説明

眼の画像読取装置

【課題】 装置利用者の眼の状態を客観的に且つ正確に判定できるようにした眼の画像読取装置を提供する。
【解決手段】 画像情報に応じた光を眼に照射する光照射部2と、前記光照射部2により照射された画像における眼の所定の部分の画像を読み取る読取部3とを備えたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の状態を読取ることのできる眼の画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置として、網膜走査表示装置が知られている。網膜走査表示装置は、光を画像信号で強度変調して、被変調光として出力し、この被変調光を直交する二方向に走査しつつ装置利用者の眼の瞳孔内の水晶体に通し、網膜上に画像を直接表示する構成である。特許文献1に記載のように、係る網膜走査表示装置を用いて眼の健康状態を知るようにした発明が知られている。
【特許文献1】特開平10−272098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の発明においては、装置利用者が眼の状態を告知するものであるため、眼の状態を客観的に検査できないという問題があるため、眼の状態を改善するための対策を迅速、且つ適切に摂ることができなかった。
【0004】
そこで、本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、装置利用者の目の状態を客観的に且つ正確に判定できるようにした眼の画像読取装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の眼の画像読取装置は、画像情報に応じた光を眼に照射する光照射部と、
前記光照射部により照射された画像における眼の所定の部分の画像を読み取る読取部と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の眼の画像読取装置において、読取部に読み取られた画像に基づいて、眼の状態を解析する解析部を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の眼の画像読取装置において、解析部は、読取部で読み取られた画像の比較基準となる基準情報を記憶した記憶部とを備え、前記読取部で読取られた画像、或いは読取られた画像に基づく情報の少なくとも何れかを基準情報と比較することにより眼の状態を解析或いは判定することを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の眼の画像読取装置において、記読取部は、第1タイミング及び第1タイミングから所定時間経過した第2タイミングにて眼の所定部分の画像を読み取ることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の眼の画像読取装置において、解析部は、前記第1タイミングにて読み取られた画像と、前記第2タイミングにて読み取られた画像とに基づいて、眼の状態を解析又は判定することを特徴とするものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の眼の画像読取装置において、解析部は、眼底状態又は角膜近傍の状態を解析することを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の眼の画像読取装置において、解析部は、眼底の充血の度合い、瞳孔の反応の速さ、瞬き回数、視力のうちの少なくとも一つを解析或いは判定することを特徴とするものである。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項2乃至請求項7の何れか1項に記載の眼の画像読取装置において、解析部の解析結果を報知する報知部を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の眼の画像読取装置において、読取部で読み取られた画像、或いは前記画像に関連する情報を送信する送信部を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像読取装置において、外部機器から送信される所定の情報を受信する受信部を備え、当該受信部が受信する前記情報或いは情報の内容を利用者に報知する受信内容報知部と、前記受信部が受信する所定の情報或いは情報の内容を記憶する情報記憶部との少なくとも何れかを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の眼の画像読取装置において、光照射部は、眼の状態解析用の特定画像に応じた光を眼に照射することを特徴とするものである。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の眼の画像読取装置において、光照射部は、眼に照射される光が眼の虹彩部分まで広がるように制御し、前記読取部は少なくとも虹彩部の画像を読取ることを特徴とするものである。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の眼の画像読取装置において、利用者に関する情報を記憶する情報記憶部と、利用時に前記読取部で読み取られた情報と前記情報記憶部に予め記憶されている利用者に関する情報とを比較し、利用者が正当な利用者か否かを判定する利用者判定部とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の眼の画像読取装置において、利用者判定部が、利用者が正当でないと判定した場合には、装置利用を禁止するか或いは装置の所定の機能を制限することを特徴とするものである。
【0019】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は請求項14に記載の眼の画像読取装置において、利用者判定部が、利用者が正当でないと判定した場合には、利用者が正当でないことを警告する報知部を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項16に記載の発明は、請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の眼の画像読取装置において、光照射部は、入力される画像信号に応じた光を生成し、当該光に所定の制御を行い網膜上に走査された画像として投影表示することを特徴とするものである。
【0021】
請求項17に記載の発明は、画像信号に応じた光を生成し、当該光に所定の制御を行い網膜上に走査された画像として投影表示する光照射部を備えた画像表示装置に装着して利用されるものであって、少なくとも眼の所定の部分の画像を読取る読取部を備え、画像表示装置に装着した場合は請求項16に記載の画像読取装置として動作することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、光照射部により照射された画像における眼の所定部分の画像を読取ることにより、眼の状態を正確且つ客観的に知ることが可能になる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加え、解析部によって眼の状態を人の診断に依らず客観的に解析或いは判定することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加え、読取部で読取られた画像を基準情報と比較することにより、眼の状態を客観的で簡単且つ迅速に判定できる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の効果に加え、眼の状態を所定時間毎に判定することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の効果に加え、現在の眼の状態を、所定時間前の眼の状態と比較することにより、時間の経過に伴って変化する眼の状態を判定することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の効果に加え、眼底状態又は角膜近傍の状態を解析することにより、眼の状態を知ることができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の効果に加え、眼底の充血の度合い、瞳孔の反応の速さ、瞬き回数、視力のうちの少なくとも一つを解析することにより、眼の健康状態を知ったり、装置利用者の識別を行うことができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、請求項2乃至請求項7の何れか1項に記載の効果に加え、解析結果を報知することにより、装置利用者に眼の状態を報知することができる。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、請求項2乃至請求項8の何れか1項に記載の効果に加え、読取られた眼に関する情報を送信する送信部を設けたので、眼に関する情報を医療機関等の外部機関に送信し、外部機関において解析することができ、装置の小型化、低コストが図られ、より適切な判定も可能となる。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、請求項9に記載の効果に加え、受信内容報知部を設ければ、外部機関から送信された情報或いは情報の内容を受信内容報知部によって報知されるので、利用者は判定内容を分かり易い。又、情報記憶部を設ければ、外部機関から送信された情報又は情報の内容を記憶するので、その後の眼の状態の判定に応用でき、より適正な判定ができるようになる。
【0032】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の効果に加え、眼の様々な状態解析用の特定画像情報に応じた光を眼に照射することにより、眼の状態を詳細、且つ、正確に解析或いは判定することができる。
【0033】
請求項12に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の効果に加え、網膜部分の画像だけでなく、眼の虹彩部の画像まで読取ることができ、眼の状態をより幅広く解析できる。
【0034】
請求項13に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の効果に加え、装置利用者の眼の健康状態の解析だけでなく、正当な装置利用者か否かを判定することもできる。
【0035】
請求項14に記載の発明によれば、請求項13に記載の効果に加え、装置利用者が正当な装置利用者でない場合には、装置の利用を停止し、又は、制限することができ、装置の安全性や、セキュリティーが高まる。
【0036】
請求項15に記載の発明によれば、請求項13又は請求項14の何れか1項に記載の効果に加え、装置利用者が正当な装置利用者でない場合には、装置利用者が正当でない旨を報知することができ、以後の不当な使用を抑制できる。
【0037】
請求項16に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の効果に加え、光照射部は、入力される画像信号に応じた光を生成し、当該光に所定の制御を行い網膜上に走査された画像として投影表示することができ、画像表示と眼の健康状態の判定の両方を効率的に行える。又、画像視聴に伴う、経時的な疲労の判定が最も簡単に行え、適正な画像視聴を行える。
【0038】
請求項17に記載の発明によれば、画像表示装置に対して、読取部を装着することにより、眼の画像読取装置としても利用することができ、一般の画像表示装置を有効利用でき、低コストで眼の健康状態を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1乃至図9は、この発明に係る眼の画像読取装置を適用した網膜走査表示装置を示す。図1および図2は本発明の第1実施形態を示す。この第1実施形態の網膜走査表示装置1は、光照射部2と、読取部3aと、読取信号処理部3bと、解析部4と、報知部5とを備えている。
【0040】
光照射部2は、VTR等の画像再生機器の再生によって出力される映像信号Vが入力され、その映像信号Vに応じた光、即ち、映像信号Vに基づいて強度変調された被変調光Hを水平、垂直両方向に走査し、所定のリレー光学系を経てこの装置の利用者(以下、装置利用者という)の眼Mに照射することにより、ビデオ機器の再生画像を網膜上に投影する部分である。
【0041】
読取部3aは、被変調光Hを照射された眼Mの所定部分の画像を撮像する光学素子等で構成される部分であり、例えば、CCDのような撮像素子等によって構成される。読取部3aは、装置利用者の眼Mに対面して眼Mの所定部分の画像を読取ることができるように配置されていて、本実施例では装置利用者の眼Mに対面するハーフミラーPで、眼の所定部分から反射されてくる光を眼に照射される被変調光と分離し、方向を変え読取部3aで読取れるようにしている。読取部3aは、装置利用開始時及び所定のタイミングで装置利用者の所定部分の画像を撮像し、撮像映像信号として読取信号処理部3bに出力するものである。
【0042】
読取信号処理部3bは、ハーフミラーPで反射されて届く眼の所定部分の画像、即ち、読取部3aで撮像したCCD画像を、情報記憶部6から読み出される基準情報と比較できるような信号に変換する処理を行う部分である。即ち、前記CCD画像はアナログビデオ信号であり、一方、前記基準情報はデジタル信号であるため、前記CCD画像と前記基準情報とはそのままでは比較できない。このため、前記CCD画像をADコンバーター等でデジタル化し、更に、RGBデコード(RGBの各色成分に分解)する等して後述するRAM10のような記憶手段に記憶できる撮像画像の形態に変換するものである。RGBデコードはCCD画像がデジタル化される前のアナログの状態で行ってもよく、その場合はRGB信号それぞれがADコンバータでデジタル化される。CCD画像が色差信号系のYUVコンポーネント信号等で出力されてくる場合など、YUV信号で比較するように読取信号処理部3bや解析部4を構成してもよいことはいうまでもない。YUV信号の場合、色相情報の抽出判定や輪郭情報の抽出判定が容易で、データ容量も少なくて済むメリットがある。
【0043】
解析部4は、読取部3aで読取られ、且つ前記読取信号処理部3bで信号処理された画像データに基づき眼Mの疲労の程度や目の健康状態等を解析する部分である。解析部4は、情報記憶部6と、マイコン部7とで構成される。情報記憶部6には、読取部3aから出力された撮像画像に対応した撮像情報と比較するための基準情報が記憶されている。ここで、撮像情報とは、撮像画像から抽出された或いは撮像信号に基づいて生成された情報のことであるが、撮像画像そのものの場合もある。具体的な撮像情報としては、眼底の充血の度合い、瞳孔の反応の速さ、瞬き回数のような角膜近傍の状態から抽出された情報、水晶体などの焦点制御能力、応答性のような視力に関する情報などが該当する。尚、情報記憶部6は電源がOFFされても記憶内容が消えない必要性があるため、一般的にはEEPROMやフラッシュROMが利用されるが、電池によってバックアップができるSRAMやハードディスク等の記憶装置であってもよい。基準情報とは、前述の眼底の充血の度合い、瞬き回数のような角膜近傍の状態から抽出された情報、水晶体などの焦点制御能力、応答性のような視力に関する情報であって、眼Mが健康な状態における画像等の情報である。
【0044】
マイコン部7は、前述のように、読取部3aで読取られた撮像画像から撮像情報を抽出し、前述の基準情報と比較することにより、眼Mの状態を判定するものである。マイコン部7は、前述の各タイミングで読取られた撮像情報と、基準情報とを比較することにより、各タイミングにおける装置利用者の眼Mの疲労度等を含めた眼Mの健康状態を判定するものである。具体的な眼(主に眼底部)の判定は、例えば、充血の度合いは抽出された撮像情報と基準情報とを比較し、その比較結果の主に色成分に着目した解析等で得られるが、基定以上の赤みを帯びているか否かとか、赤みを帯びている面積が規定以上の広さがあるか否かとか、血管と認識される線が所定の太さ以上か否かとかで、判定される場合が多い。
【0045】
尚、前記マイコン部7は、CPU8,ROM9,RAM10等で構成されるが、ROM9に予め記憶されているプログラムデータ(ソフト)に基づき所定の動作を実行できるように設定されている。即ち、前記マイコン部7は、前述した解析或いは判定を行うだけでなく、画像視聴や前記解析や判定を行うために必要な前記光照射部2、読取部3a、読取信号処理部3b、及び情報記憶部6等、網膜走査表示装置各部の動作を制御するものである。尚、マイコン部7が各部を制御する制御線の図示は、図の簡素化のため省略している。
【0046】
報知部5は、解析部4によって解析或いは判定された解析結果を装置利用者に報知する部分である。報知の手法としては、画像、又は、音声によって報知する手法があり、画像によって報知する場合は、その解析結果に基づき報知すべき文字や画像を報知部で表示可能な画像に変換し、光照射部2より投影される通常の再生画像に対し、切り換え、或いは合成して報知画像として表示しても良い。例えば、再生画像の下端に文字テロップとして表示する場合等が考えられる。又、液晶表示部を装置内に別途備え、前記報知画像を表示してもよい。音声として報知する場合は、前記報知すべき情報を音声合成等の手法を用い、音声に変換し、報知音声として装置に別個備えられたスピーカやヘッドフォンによって通常の再生音声に対し、切り換え、或いは合成して報知音声として出力しても良い。
前述の光照射部2は、被変調光出力部11と波面曲率変調部12と投影部13とを備えている。被変調光出力部11は、映像信号Vによって光を変調して被変調光Hとして出力する光学部分である。
【0047】
投影部13は、被変調光Hを直交する二方向に走査し、装置利用者の眼Mの虹彩M1で囲まれた瞳孔M2内の水晶体M3に通すことにより走査された画像として投影表示する部分である。
【0048】
次に、前述の被変調光出力部11の構成について説明する。被変調光出力部11は、VTR等の外部機器(図示せず)からの映像信号Vが入力される画像信号処理手段14と、赤色光源15、緑色光源16、青色光源17と、赤色光源ドライバ18,緑色光源ドライバ19,青色光源ドライバ20と、コリメートレンズ21,22,23と、ハーフミラー24,25,反射ミラー26と、フォーカスレンズ27とを備えている。そして、画像信号処理手段14は、外部機器から供給される前記映像信号Vから、RGBデコード処理等でR信号(赤信号成分)、G信号(緑信号成分)、B信号(青信号成分)を抽出し、R信号、G信号、B信号それぞれに応じた光変調用信号を生成し、対応する赤色光源ドライバ18,緑色光源ドライバ19,青色光源ドライバ20を駆動し、R信号、G信号、B信号それぞれによって強度変調された各被変調光が出力される。各被変調光はコリメートレンズ21,22,23でそれぞれ所定の径の略平行ビームに絞り込まれ、ハーフミラー24,25、反射ミラー26で1本のビームに合波される。合波された光は、フォーカスレンズ27において、光ファイバで伝送可能に絞り込まれた後、光ファイバに入射され、投影部13側へ伝送される。光ファイバからの出射光は、波面曲率変調部12で所定の拡がりをもったビームに調整され、投影部13に入射される構成になっている。尚、本発明の実施例では、ハーフミラー24、25と反射ミラー26とで構成する等しているため、各色光に対する減衰率が異なり、RGB各色被変調光の強度のばらつきが出てしまうので、図示はしていないが、青色光源ドライバ17、赤色光源ドライバ18、緑色光源ドライバ19で各色被変調光の出力を調整して前記光ファイバからの出射光における各色被変調光の強度バランスを取っているが、波長特性を調整する素子を途中に設けて各色被変調光の強度バランスを取って良いことは言うまでもない。
【0049】
又、画像信号処理手段14は、上述したRGBデコード処理だけでなく同期信号を各部分へ出力する大きな役割もあり、映像信号Vがコンポジットビデオ信号の場合は、同期分離処理によって水平同期信号SH、垂直同期信号SVを抽出し、後述する水平走査制御部30、及び垂直走査制御部33、解析部4等に、所定の信号波形のタイミングで出力する。映像信号Vが同期信号を含まないコンポーネント信号等の場合は別途同期信号が入力されるので、その同期信号に基づいて所定の信号波形にし、水平走査制御部30、及び垂直走査制御部33、解析部4等に、所定のタイミングで出力する。
【0050】
次に、投影部13の構成について説明する。投影部13は、水平走査ミラー28、水平リレー光学系29、水平走査制御部30、垂直走査ミラー31、垂直リレー光学系32,垂直走査制御部33を備えている。
【0051】
前記水平走査ミラー28は回転軸X1によって回転可能に設けられるポリゴンミラーである。水平走査ミラー28は、前記波面曲率変調部12を通過した被変調光Hを、この水平走査ミラー28の回転位置に応じた方向へ反射するものである。水平走査ミラー28の回転は、画像信号処理手段14から出力される水平同期信号SHに同期し、所定のタイミングで光走査するように水平走査制御部30によって制御されるものである。又、水平リレー光学系29は水平走査ミラー28で水平走査された被変調光Hの方向を変え、垂直走査ミラー31の所定の反射面に集中させるものである。
【0052】
垂直走査ミラー31は回転軸X2を回転中心に揺動可能に設けられるガルバノミラーである。この垂直走査ミラー31は、被変調光Hを、垂直走査ミラー31の回転位置に応じた方向へ反射するものである。水平走査ミラー28の揺動は、画像信号処理手段14から入力する垂直同期信号SVに同期し、所定のタイミングで光走査するように垂直走査制御部33によって制御されるものである。
又、垂直リレー光学系32は、垂直走査ミラー31で反射され、垂直走査された被変調光Hの方向を変え、装置利用者の眼Mの虹彩M1で囲まれた瞳孔M2内の水晶体M3に通すことにより、網膜M4上に走査された画像として表示するものである。
【0053】
以下、装置利用者が、一般的には、通常の網膜走査表示装置1として画像の視聴を楽しんでいるが、所定のタイミングで装置利用者の眼Mの疲労の具合を検査する場合について、図2に基づき説明する。この場合、ステップS1において、マイコン部7は情報記憶部6に記憶されている基準情報を読取ってRAM10に記憶する。次に、ステップS2において、装置利用者の眼Mの所定部分を読取部3aによって撮像し、撮像画像から撮像情報を抽出し、RAM10に記憶する。
【0054】
次に、ステップS3において、マイコン部7が撮像情報と基準情報とを比較することにより、ステップS4において撮像情報が正常か否かを判定して眼Mの状態を判定し、異常の場合には、ステップS5において報知部5によって、眼Mの状態が異常である旨を報知する。一方、ステップS4において、正常の場合には、ステップS6において、報知部5によって、眼Mの状態が正常である旨を報知する。次に、ステップS7において、装置利用者が当該網膜走査表示装置1の作動の停止を指示したか否かを判断し、当該作動の停止を指示していない場合には、ステップS8の処理を実行する。ステップS8において、所定時間が経過した場合には、ステップS2に戻って以上の処理を繰り返す。又、ステップS8において所定時間が経過していない場合には、ステップS7に戻ってステップS7の処理を繰り返す。ステップS8の処理は、図示しない計時手段で行われるが、ステップS4の処理後、再スタートする。又、ステップS8で所定時間経過後はステップS2へ戻るが、計時手段はステップS4後計時をリセットし再スタートする。そして、以下同様にステップS4後計時をリセットし再スタートする。又、計時手段はステップS4後リセットせず、所定時間を複数設定してもよい。例えば時間T1、T2、T3、…、Tn(nは整数:T1<T2<T3<…<Tn)の各時間で眼の状態の判定が行われる様にする。又、計時スタート或いはリセットはステップS4に限定されるものではなく、例えば、ステップS2の後やステップS6の後でも構わないし、複数の所定時間を設定しているのであれば、スタート(装置利用開始)後であってもよい。尚、ステップS7の作動停止に関しては、眼の状態の判定途中での作動停止が起きないようにしたフローであるが、判定途中で作動停止してよいのであれば、どのステップであれ作動停止が優先するように構成すればよい。
網膜走査表示装置1を用いて外部の画像再生機器の再生画像を楽しみながら、再生画像視聴による疲労を含めた眼Mの健康状態を判定することができるため、眼Mの健康状態を考慮しながら適正な再生画像視聴を行える。尚、以上の実施形態においては、ステップS3において、予め決めれた基準情報と、実際に読取られた画像情報とを比較することによりステップS4において眼Mの状態を判定するようにした。しかし、スタート後の最初のフローでのステップS2後に、ステップS2で抽出した撮像情報をRAM10或いは情報記憶部6に記憶しておき、ステップS8での所定時間経過後のステップS3において、実際に読取られた最新の撮像情報と前記記憶された撮像情報とを比較することにより、ステップS4において眼Mの疲労の時間的な変化を判定するようにしても良い。所定時間後のステップS2で抽出された撮像情報は最新のものだけ記憶させてもよいし、最初と前回等複数記憶させていろいろな比較を行うことで、より眼Mの画像の視聴による経時的疲労が判定し易くできる。又、ステップS1の基準情報を読取る処理を省き、ステップS2で抽出した撮像情報をRAM10或いは情報記憶部6に記憶させ、ステップS8での所定時間経過後にまず、前記記憶された撮像情報を読み出しステップS2の処理へ移っていくようにしてもよい。この場合でも、絶対的な眼の評価はできないが、外部再生画像の視聴などによる経時的な疲労などは十分判定できる。尚、眼の状態の判定は、外部機器の再生を停止する等、再生映像信号Vの入力を停止して行われるが、眼の所定部分の画像を撮像するために光照射部2から所定輝度の白色ビーム光が照射される。本実施例では、再生映像信号が無くても動作するように、画像信号処理手段14が内部で同期用の水平同期信号SH、垂直同期信号SVと所定輝度の白色光を形成するR、G、B信号等を作成、出力しているが、後述する実施形態のように再生映像信号とは別に所定の画像パターンの映像信号が作成され入力される構成としてもよい。
【0055】
図3は本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態の特徴は、特定画像情報出力部41を備えた点にある。特定画像情報出力部41は、眼Mの状態解析用の特定画像情報Tを画像信号処理手段14に出力する部分である。画像信号処理手段14に特定画像情報Tが入力されることで、被変調光出力部11から、眼Mの状態解析用の特定画像が出力されるものである。特定画像の出力と共に、該特定画像に対応する奥行き情報が出力されるが、画像信号処理手段14に入力され、奥行き信号として奥行き制御部34へ出力される。奥行き制御部34は、該奥行き信号に応じて光ファイバから出射される光の波面曲率を波面曲率変調部12によって制御して、対応する距離にあたかも該特定画像が表示されるようになる。
【0056】
ここで、前記特定画像を図4および図5に示す。図4に示す特定画像は、所定時間間隔で黒色→白色→黒色と明暗(輝度)の大きく変化する画像である。所定時間間隔で輝度変化する特定画像に対する装置利用者の応答に基づき、眼Mの疲労度を含めた眼Mの健康状態を判定するものである。この場合には、所定時間間隔で明暗(輝度)の大きく変化する特定画像に反応して、眼Mの瞳孔が拡大、縮小する速さを測定することにより、眼Mの疲労度を含めた眼Mの健康状態を判定できるものである。
又、図5においては、特定画像を大きさの異なる四角形とし、同図(イ)に示すように、この特定画像を装置利用者が遠距離に小さく見えるように表示し、又、同図(ロ)に示すように、中距離に見えるように表示し、更に、同図(ハ)に示すように、近距離に大きく見えるように表示し、それぞれの表示位置に対する特定画像の網膜上での表示画像の精細度等の画質や(イ)(ロ)(ハ)等距離の異なる画像を切り換えた場合の眼Mの水晶体等の焦点制御の能力及び応答性に基づき、眼Mの疲労度を含めた眼Mの健康状態を判定するものである。つまり、所定時間間隔で、同図(イ)→同図(ロ)→同図(ハ)に示すように、画像の表示位置を変化させた際に、装置利用者の網膜Mに投影された四角形が、同図(ニ)、同図(ホ)、同図(ヘ)に示すように、いわゆる、ぼやけている場合には、眼Mの焦点を合わせる機能や当該応答性が低下しているものと判定できるものである。
【0057】
前述のように、画像の表示位置を装置利用者の遠方から近距離にまで位置の変更をさせることは、図6に示す波面曲率変調部12によって実行される。この波面曲率変調部12は、図6に示すように、眼Mに入射する被変調光Hの拡散の角度を変更することにより、画像の位置を観察者の遠方から近距離にまで変更するもので、つまり、遠方から届く被変調光は略平行で眼に届くが、近景から届く被変調光は一定の拡がりを持って眼に届くため、この被変調光の拡がりを波面曲率変調手段12で可変させることで、あたかも近景から遠景までを立体的に表示されるものである。つまり、図6(イ)で示すように、被変調光の拡散の角度が小さいか又は平行の場合には、装置利用者は被変調光Hが遠距離から照射されて、画像が遠距離の位置に表示されるものと認識し、当該被変調光Hを逆に辿った遠距離の位置に画像が表示されるものと認識し、又、図6(ロ)で示すように、被変調光の拡散の角度が大きな場合には、装置利用者は被変調光Hが近距離から照射されて、画像が近距離の位置に表示されるものと認識するものである。このように、波面曲率変調部12を制御することにより、図6に示すように、特定画像の仮想的表示位置を観察者の遠距離から近距離まで自在に変更できるものである。尚、波面曲率変調手段の具体例は、特開平2003−295108号公報等で広く開示されているが、光学レンズの替わりに、曲率可変ミラーや、液晶などの屈折率を制御できる素子を用いても容易に実施できることは言うまでもない。尚、上述した実施例では特定画像出力部41が特定画像及び対応する奥行き情報を読み出し画像信号処理手段に出力するよう説明しているが、特定画像及び対応する奥行き情報は情報記憶部6或いはROM9等から、マイコン部7の制御によって読み出され、特定画像出力部41でアナログ映像信号等所定の信号形式に変換され画像信号処理手段14に送られるようにしてもよい。奥行き情報に関しては、直接、画像信号処理手段14や奥行き制御部34に送ってもよい。
【0058】
図7は、本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態の特徴は、装置利用者の認証手段も備えている点であり、正当でない利用者に警告し、装置利用の制限、禁止を行えるものである。この第3実施形態においては、情報記憶部6に実施例1,2等とは異なる種類の基準情報として、利用者認証情報が記憶されており、該利用者認証情報に基づき、マイコン部7が実際の装着利用者が正当な利用者か否か判定するもので、ROM9等に格納される所定のプログラムデータ(ソフト)の実行によって実施されるものである。
【0059】
利用者認証情報とは、利用者個人を識別し得る情報であって、例えば、眼Mの虹彩部分の画像パターンが個人毎に相違し、且つ、幼児期以降変化のないものなので、本実施例でも情報記憶部6に正当な装置利用者の認証用の基準情報として虹彩部分の皺模様の画像パターンが予め記憶されている。
【0060】
この第3実施形態では、他の実施形態とは異なり、照射光が装置利用者の眼の虹彩の部分まで照射されるように、例えば、波面曲率変調部12で照射光のビーム径が少くなくとも虹彩部分まで拡がるように制御される。又、水平走査ミラー28と垂直走査ミラー31は所定の位置で静止するように制御され、ハーフミラーPも必要に応じて、虹彩部分の画像を読取れるように位置調整される。尚、前記水平走査ミラー28、垂直走査ミラー31は、撮像画像に不要な反射光が入射するのを抑制できる位置や、必要な撮像部分に均一な強度の光照射が行える位置で静止するよう制御するのが望ましいが、水平走査ミラー28等は静止位置の制御が難しい場合等が考えられるので、その場合は通常通り走査させて、走査タイミング毎に輝度補正を行ったり、撮像時間を長めに設定し平均化する、等の画像処理で撮像画像を補正し虹彩部分の画像としてもよい。
【0061】
又、波面曲率変調手段12でビーム径を絞り、水平走査リレー光学系29と垂直走査リレー光学系32等の特性を調整することで、虹彩部分近傍をビーム光が走査するように構成し、読取部3aで虹彩部分の画像を撮像しても良い。この場合は水平走査リレー光学系29と垂直走査リレー光学系32はフォーカス位置等の特性が可変できる必要がある。
【0062】
読取部3aも通常と異なり、照射光で照らされた虹彩部分の画像を撮像する。撮像された虹彩部分の画像は読取データ処理部3bで認証用基準情報と比較可能な信号(データ)に変換され、解析部4へ送られ、情報記憶部6に記憶されている正当な利用者の認証用虹彩データとマイコン部7によって比較判定される。
【0063】
マイコン部7は装置利用者が正当な利用者でないと判定した場合には、報知部5により利用者に正当な利用者でない旨の警告をする。そして、装置の利用を制限、或いは禁止する目的で、例えば、被変調光出力部11等への電力供給を禁止したり、赤色光源ドライバ18、緑色光源ドライバ19、青色光源ドライバ20の発光を禁止する等して装置利用を禁止する。又、装置全体の電源を一時的にオフしても良い。但し、次の装置利用時には、電源スイッチ等で復帰することは言うまでもないが、上述した利用者認証手段が再度、動作することになる。
【0064】
以上説明したように、この第3実施形態においては、装置の利用に先立って利用者の認証を画像表示や眼の状態の判定の手段を利用して簡単に行うことができるという効果がある。
【0065】
尚、利用者認証情報を情報記憶部6に記憶したが、該利用者認証情報を記憶する利用者情報記憶部を個別に設けてもよいし、ROM9等に予め記憶させておいてもよい。
【0066】
次に、この第3実施形態の作用を、図8に基づき、説明する。ステップS11において、読取部3aによって読取られた装置利用者の撮像画像から、例えば、前述の虹彩部分の画像パターンのような利用者情報を抽出して、RAM10に記憶する。次に、ステップS12において、情報記憶部6から正当な利用者に関する利用者認証情報を読取って、RAM10に記憶する。次に、ステップS13において、正当な利用者に関する利用者認証情報と利用者情報とを比較し、両者が一致しない場合には、ステップS14において、正当な利用者でない旨の警告をし、被変調光出力部11の作動を停止する。一方、ステップS13において、正当な利用者に関する利用者情報と利用者情報とが一致する場合には、ステップS1以下の処理を実行する。尚、ステップS1乃至ステップS8については、図2に示す処理と同様のため説明を省略する。
【0067】
図9は、本発明の第4実施形態を示す。この第4実施形態の特徴は、送受信部61を設け、解析部4と同様に送受信部を備えた医療機関62とがインターネット等のような通信網63によって接続された点にある。即ち、この第4実施形態においては、読取部3aで読取られた撮像情報を送受信部61から通信網63を介し、医療機関62に送信する。医療機関62では、前述の第1実施形態で説明した手法と同様の手法によって装置利用者の眼Mの状態を判定して、眼Mの状態や眼Mの状態に対する対応策を返信する。医療機関から通信網63を介して返信された情報は、送受信部61によって受信されて、マイコン部7によってその情報が解析され、判定結果などの内容であれば、報知部5で報知可能な状態に変換して報知部5に送り報知部5よりその情報の内容が利用者に報知され、装置利用者が、報知内容を見ることにより、自己の眼Mの状態を認識することができる。
【0068】
送受信部61は眼の撮像情報の判定の送受信のみならず、様々な情報の交換ができる。例えば、図4,5等で説明した判定用の特定の画像として医療機関62から送信してもらい、情報記憶部6或いはRAM10に記憶させることで特定の画像を予め記憶させる必要がないばかりか、利用者用に個々の最適な判定用の特定画像で眼の状態の判定が可能となるため、利用者毎に最適な眼の状態の判定が行える。又、判定結果に応じて、各利用者毎に、逐次更新基準情報を送信し、受信した更新基準情報によって各利用者毎に基準情報を容易に更新することもできる。この場合、判定データ等のデータは医療機関62で各個人毎に管理保存することで、利用者毎に装置利用のたびに逐次基準情報を修正したり、経時的な眼の状態の変化の判定も可能となるため、各利用者毎によりきめ細やかで正確な判定が行える。
【0069】
又、第1実施形態と比較して、情報記憶部6等を有さない構成とすることも可能になるため、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【0070】
又、送受信部61で、第3実施形態で説明したような装置利用者の利用者認証情報を医療機関62などに送信し、装置利用の正当性判定結果を受信するように構成しても、装置利用時に装置を特定する情報を先に送信し、利用者認証の基準情報を送信してもらうように構成しても同様な効果を呈する。前者の場合、医療機関62で眼の状態の判定を行う場合の利用者特定の作業を自動的に行える効果も生まれ、特に利用者を限定しない場合等に有効である。
【0071】
尚、以上の説明においては、外部から入力される映像信号Vに読取部3aにおける撮像タイミングを同期させるか否かについては説明していないが、外部から入力される映像信号Vに読取部3aを同期させた方が読取部3aにおける読取画像のノイズ、例えば、ブランキング部分が画面上を移動するようなノイズ等を効果的に抑圧でき、判定の精度があがることは言うまでもない。
【0072】
又、本実施形態では、画像の読取を簡単に実施できるように、読取部3aをCCDによって構成した場合を例に挙げて説明したが、前述したように、外部から入力される映像信号に同期させ、眼からの反射光をトラッキングできるようハーフミラーP等を可動させる構成、或いは、外部から入力される映像信号Vに被変調光の水平、垂直走査を同期させ、眼からの反射光をフォトセンサ上に集光し、該フォトセンサの出力と前記映像信号Vに基づくタイミングに応じて眼の画像を形成する構成とすれば、安価なフォトセンサ等も読取部3aとして利用できることは言うまでもない。
【0073】
又、以上の実施形態では、ハーフミラー24,25,反射ミラー26で合波された被変調光Hを光ファイバで水平走査部28に送っているが、合波された被変調光Hを水平走査部28に直接送っても反射ミラーを経由して送ってもいいことは言うまでもない。又、本実施例では、画像表示装置としてRGB光を2次元的に走査して網膜上に画像を投影表示する網膜走査型ディスプレイを例に説明したが、現在市販もされている一般的なHMD(頭部搭載型ディスプレイ)の様な、液晶表示装置に表示される画像を用い、眼前に虚像が表示される様に構成された画像表示装置であっても、眼Mと画像表示装置との間にハーフミラーPを設け眼Mの所定部分の画像を読取る点は同じなので、同様に本発明を容易に実施できることは言うまでもない。その場合、第2実施例の波面曲率変調手段12が問題となるが、液晶表示素子の各画素毎に焦点距離(屈折率)を変えるような素子等を設け、奥行き情報で制御することで奥行き感を表現できるというような立体表示装置の例が特開昭62−77794号公報等数多く公開されており、容易に実施できるものである。
【0074】
又、以上の説明では、光照射部2、読取部3a、読取信号処理部3b、解析部4等を備えたものとして、眼の画像読取装置を説明したが、通常のHMDなどの画像表示装置に着脱自在な構成になっている眼の画像読取装置であってもよい。この場合の画像読取装置は、画像表示装置に装着した場合のみ眼Mの画像を読取って判定できるもので、眼Mの画像を読取り、判定できる手段を備えており、眼Mに画像表示装置によって投影される画像の眼Mへの光路上にハーフミラーPなどが設置され、目的となる眼Mの所定部分の画像が撮像され、その画像に基づいて判定される。装着時に、画像表示装置の表示内容を制御する必要があるため、所定の画像信号を画像表示装置の画像信号処理手段14に入力することで眼Mに所定の画像(光)を照射でき、眼Mの判定が行える。又、前記画像読取装置に映像信号入力部を備えさせ、外部からの映像信号Vを前記画像読取装置に入力させ、画像読取装置から画像表示装置に映像信号を送る構成にすることで、外部再生映像と画像読取装置用の画像との切換、合成を画像読取装置側から容易に制御できるため、外部再生映像の表示と眼の判定が容易に行えるようになる。又、情報記憶部6に記憶される基準情報は、各実施例では主に撮像情報と比較する基準となる情報として説明してあるが、撮像情報と比較した結果としての情報を判定するための判定基準情報も含まれる場合が多い。
【0075】
又、実施例では、充血の度合いの情報、瞳孔の反応速度情報、応答性を含めた視力に関する情報など、個別にその方法について説明したが、実際の眼の疲労度の判定は、前記各情報を総合的に解析し判定する場合も多いと思われる。又、読取部3aで、瞼等で瞳孔が塞がれる(瞬きの)回数等も撮像情報から容易に検出できるが、この検出結果は、疲労度だけでなく、緊張度を測る指標としても使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の構成図である。(第1実施形態)
【図2】フローチャートである。(第1実施形態)
【図3】本発明の構成図である。(第2実施形態)
【図4】特定画像を示す説明図である。(第2実施形態)
【図5】特定画像を示す説明図である。(第2実施形態)
【図6】波面曲率変調部の作用を説明する説明図である。(第2実施形態)
【図7】本発明の構成図である。(第3実施形態)
【図8】フローチャートである。(第3実施形態)
【図9】本発明の構成図である。(第4実施形態)
【符号の説明】
【0077】
1 網膜走査表示装置
2 光照射部
3a 読取部
3b 読取信号処理部
4 解析部
5 報知部
6 情報記憶部
7 マイコン部
11 被変調光出力部
13 投影部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を眼に照射する光照射部と、
前記光が照射された眼の所定の部分の画像を読み取る読取部と、
を備えたことを特徴とする眼の画像読取装置。
【請求項2】
前記読取部によって読み取られた画像に基づいて、眼の状態を解析する解析部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の眼の画像読取装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記読取部で読み取られた画像の比較基準となる基準情報を記憶した記憶部とを備え、
前記読取部で読み取られた画像、或いは、読み取られた画像に基づく情報の少なくとも何れかを、前記基準情報と比較することにより眼の状態を解析或いは判定することを特徴とする請求項2に記載の眼の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取部は、第1タイミング及び第1タイミングから所定時間経過した第2タイミングにて眼の所定部分の画像を読み取ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項5】
前記解析部は、前記第1タイミングにて読み取られた画像と、前記第2タイミングにて読み取られた画像とに基づいて、眼の状態を解析或いは判定することを特徴とする請求項4に記載の眼の画像読取装置。
【請求項6】
前記解析部は、眼底状態又は角膜近傍の状態を解析することを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項7】
前記解析部は、眼底の充血の度合い、瞳孔の反応の速さ、瞬き回数、視力のうちの少なくとも一つを解析或いは判定することを特徴とする請求項6に記載の眼の画像読取装置。
【請求項8】
前記解析部の解析結果を報知する報知部を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項9】
前記読取部で読み取られた画像、或いは前記画像に関連する情報を送信する送信部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項10】
外部機器から送信される所定の情報を受信する受信部を備え、
当該受信部が受信する前記情報或いは情報の内容を利用者に報知する受信内容報知部と、
前記受信部が受信する所定の情報或いは情報の内容を記憶する情報記憶部と、
の少なくとも何れかを備えたことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記光照射部は、眼の状態解析用の特定画像に応じた光を眼に照射することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項12】
光照射部は、眼に照射される光が眼の虹彩部分まで広がるように制御し、前記読取部は少なくとも虹彩部の画像を読取ることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項13】
利用者に関する情報を記憶する情報記憶部と、
利用時に前記読取部で読み取られた情報と前記情報記憶部に予め記憶されている利用者に関する情報とを比較し、利用者が正当な利用者か否かを判定する利用者判定部と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項14】
前記利用者判定部が、利用者が正当でないと判定した場合には、装置利用を禁止するか或いは装置の所定の機能を制限する禁止部を備えたことを特徴とする請求項13に記載の眼の画像読取装置。
【請求項15】
前記利用者判定部が、利用者が正当でないと判定した場合には、利用者が正当でないことを報知する報知部を備えたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の眼の画像読取装置。
【請求項16】
前記光照射部は、入力される画像信号に応じた光を生成し、当該光に所定の制御を行い網膜上に走査された画像として投影表示することを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の眼の画像読取装置。
【請求項17】
画像信号に応じた光を生成し、当該光に所定の制御を行い網膜上に走査された画像として投影表示する光照射部を備えた画像表示装置に装着して利用されるものであって、
少なくとも眼の所定の部分の画像を読取る読取部を備え、
画像表示装置に装着した場合は請求項16に記載の画像読取装置として動作することを特徴とする眼の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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