説明

眼障害の治療方法

網膜疾患または網膜の外傷を患っている対象の昼間、明所視力および/または錐体がもたらす視野ならびに視覚機能を改善する方法であって、薬学的に有効量の粗製のドウナリエラ粉末を該対象に投与する段階を含む方法。本発明の別の態様は、網膜疾患を患っている対象の夜間視力および/または桿体がもたらす視野を改善する方法であって、薬学的に有効量の粗製のドウナリエラ粉末を該対象に投与する段階を含む方法である。網膜疾患を患っている対象の昼間視力および/または視野を改善する医薬組成物であって、粗製のドウナリエラ粉末を含む医薬組成物も請求される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼障害の治療方法およびそのための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの眼には、昼間および夜間の両方において物を見る能力がある。桿体細胞、すなわち桿体は、眼の網膜にある光受容体細胞であり、別の種類の光受容体細胞である錐体細胞が機能できる光より弱い光で機能することができる。光に対する感度が高い桿体は、夜間視力を担っている。円柱の形状に名前が由来する桿体は、中心を除く網膜のすべての部分に集中しており、これにより周辺視力がもたらされる。錐体細胞、すなわち錐体は、眼の網膜の中心にある光受容体細胞であり、比較的明るい光の下で最も機能する。錐体細胞は、網膜の周辺部に向かって徐々にまばらになっていく。
【0003】
眼の疾患は、一方の視力もしくは他方の視力またはその両方に影響を及ぼすことがある。特定の疾患においては、最初は夜間視力が影響され、疾患が進行するにつれ昼間視力が影響される。
【0004】
網膜色素変性(RP)には、眼の網膜の進行性変性を特徴とする比較的一般的な遺伝性疾患のグループが含まれる。網膜の破壊が広がり続ければ、次第に重度の視力喪失につながる。視力は、周辺[夜間視力、広い視野]から中心[高解像度の昼間視力、色]へと徐々に悪化する。症状は、暗順応の低下に始まり夜盲症に至る。同時に周辺視野が狭窄しトンネル状視野にまで至ることがある。続いて中心(昼間)視力が失われて全盲に至る。RPの進行速度は、特定の遺伝子異常により変化する。視力障害の問題は、失明よりはるかにありふれたものである。
【0005】
現在、RP患者の視力を改善することが認められた治療はない。1年に約2%だけRPの進行を遅らせるためにパルミチン酸ビタミンA(15,000U/d)が処方されている。現在、変性を遅らせる試みのための複数の臨床試験が進行中であり、以下のものが含まれる:
・毛様体神経栄養因子眼内インプラント
・オメガ3脂肪酸(DHA)
・ルテイン(10または30mg/日)カプセル
・ビタミンA
・ビタミンE
【0006】
過去15年にわたって、研究者らによってさまざまな型のRPを引き起こす多数の遺伝子における欠陥の正確な位置が示されてきた。驚いたことに、場合によって、同じ遺伝子異常のある患者でも、異なる視力喪失の重症度および疾患の進行速度を示すことがある。この影響は、正常な視力がある領域が視力のない領域に隣接することがある場合に、一部の個体の網膜にわたって最も劇的である。重症度のこの変動については環境因子が疑わしいものの上位であった。程度はさまざまであるがすべてのヒトが経験する環境因子は光への曝露であり、以前は明るい光が特定の型のRPを加速すると推測されていた。
【0007】
ロドプシン遺伝子にある約100の突然変異がRPを引き起こすことが示されてきたが、変異タンパク質と桿体光受容体細胞死との間の段階についてはまだ十分にわかっていない。ロドプシンの変異のある患者の多くがより良好な予後を有することが知られている一方で、他の患者は幼児期から急速に悪化する失明に苦しんでいる。
【0008】
別の眼疾患は、レーバー先天性黒内障(LCA)である。RPおよびLCAは、同じ疾患ではないが、いくつかの遺伝子が共通である。
【0009】
先進国における失明および低視力の大部分は、光受容体細胞の破壊を伴う疾患である加齢黄斑変性(AMD)によるものである。米国では、175万人を超える個人がAMDに侵されている。米国人口の急速な高齢化により、2020年までにこの数はおよそ300万人にまで増加するであろう(Arch Ophthalmol、2004年;122:564頁)。
【0010】
夜盲症は、非変性の眼疾患においても起こる。そのような疾患の例としては、先天性の夜間視力障害、先天性停止夜盲症、白点状眼底およびビタミンA欠乏症が挙げられる。先天性停止夜盲症は、主に網膜の桿体光受容体細胞に影響を及ぼし、夜間視力が損なわれる遺伝性の眼障害である。中等度から強度の近視(myopia)(近視(shortsightedness))になることもある。通常、良好な照明条件下では視覚障害は生じない。いくつかの異なる型の障害があり、常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝またはX連鎖劣性遺伝する。X連鎖型は、専ら男性のみを侵し、男性の先天性停止夜盲症が多くなる原因である。
【0011】
WO2007/109824には、全体を乾燥したドウナリエラ(Dunaliella)属の藻類に含まれるカロテンおよびカロテノイドなどの酸化感受性物質を含むパッケージ化された安定した剤形を調製するプロセスが開示されている。黄斑変性または白内障などの眼障害を含む複数の疾患の治療に有用である剤形が記載されている。
【0012】
J. Preston Van Hooser、Tomas S. Aleman、Yu-Guang He、Artur V. Cideciyan、Vladimir Kuksa、Steven J. Pittler、Edwin M. Stone、Samuel G. Jacobson、Krzysztof Palczewski (2000年)、「Rapid restoration of visual pigment and function with oral retinoid in a mouse model of childhood blindness」、PNAS、97巻 第15、8623〜8628頁は、レーバー先天性黒内障モデルである桿体の感光色素がなく、桿体の生理機能が著しく損なわれているRpe65-欠損マウスにおいてレチノイドの流れを分析した。彼らは、経口の9-シス-レチナールを用いることによって介入し、遺伝子異常によって起こる生化学的ブロックを回避することを試みた。48時間以内に桿体の感光色素が生成され、桿体の生理機能が劇的に改善された。
【0013】
J. Preston Van Hooser、Yan Liang、Tadao Maeda、Vladimir Kuksa、Geeng-Fu Jang、Yu-Guang He、Fred Rieke、Henry K. W. Fong、Peter B. DetwilerおよびKrzysztof Palczewski (2002)、「Recovery of Visual Functions in a Mouse Model of Leber Congenital Amaurosis」J. Biol. Chem、277巻、21号、19173〜19182頁は、9-シス-レチナールの投与によって早期に介入することにより、治療後6カ月を超えるの間、顕著にレチナールエステルの蓄積を軽減し、桿体のレチナールの働きを助けたことの証拠を提供している。単一細胞記録において、桿体の光感受性は、再生されるイソロドプシンの量によることが示されており、大量に投与することにより正常な感受性および動態を伴う桿体の応答を回復した。
【0014】
Syed M. Noorwez、Ritu Malhotra、J. Hugh McDowell、Karen A. Smith、Mark P. Krebs and Shalesh Kaushal(2004)「Retinoids Assist the Cellular Folding of the Autosomal Dominant Retinitis Pigmentosa Opsin Mutant P23H」、J. Biol. Chem、279巻、16号、16278〜16284頁は、常染色体優性網膜色素変性と関係のある変異オプシンP23Hは、天然の発色団である9-シス-レチナールまたは11-cis-レチナールによって効果的に救済されることを示している。9-シス-レチナールまたは11-cis-レチナールを含むP23Hロドプシンは、対応する野生型タンパク質と比較して、青にシフトした吸収極大を有し、光退色特性を変化させた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO2007/109824
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Arch Ophthalmol、2004年;122:564頁
【非特許文献2】J. Preston Van Hooser、Tomas S. Aleman、Yu-Guang He、Artur V. Cideciyan、Vladimir Kuksa、Steven J. Pittler、Edwin M. Stone、Samuel G. Jacobson、Krzysztof Palczewski (2000年)、「Rapid restoration of visual pigment and function with oral retinoid in a mouse model of childhood blindness」、PNAS、97巻 第15、8623〜8628頁
【非特許文献3】J. Preston Van Hooser、Yan Liang、Tadao Maeda、Vladimir Kuksa、Geeng-Fu Jang、Yu-Guang He、Fred Rieke、Henry K. W. Fong、Peter B. Detwiler and Krzysztof Palczewski (2002)、「Recovery of Visual Functions in a Mouse Model of Leber Congenital Amaurosis」J. Biol. Chem、277巻、21号、19173〜19182頁
【非特許文献4】Syed M. Noorwez、Ritu Malhotra、J. Hugh McDowell、Karen A. Smith、Mark P. Krebs and Shalesh Kaushal (2004)「Retinoids Assist the Cellular Folding of the Autosomal Dominant Retinitis Pigmentosa Opsin Mutant P23H」、J. Biol. Chem、279巻、16号、16278〜16284頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
RP患者の昼間視力に改善をもたらす治療については、いかなる科学文献にも記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様では、網膜疾患または網膜の外傷を患っている対象の昼間[明所]視力および/または錐体がもたらす視野ならびに視覚機能を改善する方法であって、薬学的に有効量の粗製のドウナリエラ粉末を該対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0019】
本明細書において、用語、昼間視力または明所視力とは、網膜の周辺部分によって作りだされる夜間視力とは対照的に、網膜の中心部分によって作りだされる明るい光下における視力に関する。昼間視力は、主に網膜の錐体細胞を介するものである。
【0020】
本明細書において、用語、網膜疾患または網膜の外傷は、網膜ジストロフィーのすべての型を含むことができ、網膜ジストロフィーの網膜の変性は昼間視力の悪化につながる。加齢黄斑変性などの後天性の網膜変性も、この用語に含まれうる。一実施形態では、夜間視力段階または要素(night vision stage or component)を有する網膜疾患も含まれるが、そのような場合、本発明は昼間視力段階または要素(day vision stage or component)にのみに関する。別の実施形態では、網膜疾患は網膜変性疾患である。
【0021】
本発明による活性成分は、実質的に粗製のドウナリエラ属藻類調製物、典型的には乾燥したドウナリエラ属藻類である。ドウナリエラ属藻類は、好ましくはドウナリエラ・バルダヴィル(Dunaliella bardawil)である。他の種としては、D.サリーナ(salina)、D.ヴィリディス(viridis)、D.ペイルケイ(peircei)、D.パルヴァ(parva)、D.メディア(media)、D.エウクロラ(euchlora)、D.ミヌタ(minuta)、D.テルティオレクタ(tertiolecta)、D.プリモレクタ(primolecta)、D.アキドフィラ(acidophila)、D.クワルトレクタ(quartolecta)およびD.ポリモルファ(polymorpha)が挙げられる。
【0022】
好ましい実施形態では、実質的に粗製のドウナリエラ属藻類調製物は、β-カロテン(BC)を、BCの9-シス-異性体対オールトランス異性体の比およそ1:1またはBCの9-シス-異性体対オールトランス異性体の比1:1超で含む。
【0023】
本明細書において用語「治療する」または「治療」とは、疾患の病理学的な症状に改善をもたらし、場合によっては疾患を治癒させるとして理解されるべきである。
【0024】
「有効量」とは、所望の治療効果、すなわち示される疾患の治療を達成するのに十分である活性成分の量または用量として理解されるべきである。有効量は、疾患の重症度、調製物を1回投与するか、ある期間にわたり数回投与するかなどの投与レジメン、対象の健康状態などを含むさまざまな要因によって決まる。最低限の実験により、当業者は容易に各症例の有効量を決定するはずである。
【0025】
粗製のドウナリエラ粉末は、例えば、カプセル封入した形態で経口投与されるのが好ましい。しかし、局所、静脈内、筋肉内、腹腔内または皮下投与用に薬学的に許容される賦形剤とともに配合されるドウナリエラ粉末などの他の投与形態も考えられる。
【0026】
本教示による治療に提案される医学的状態には以下のものが含まれる。
【0027】
網膜色素変性(RP)、レーバー先天性黒内障(LCA)、加齢黄斑変性(AMD)、劣性RP、優性網膜色素変性、X連鎖性網膜色素変性、不完全優勢X連鎖性網膜色素変性、優性レーバー先天性黒内障、網膜色素変性を伴う劣性後索運動失調、RPEの側細動脈蓄積を伴う劣性網膜色素変性(Recessive retinitis pigmentosa with para-arteriolar preservation of the RPE)、網膜色素変性RP12、アッシャー症候群、感音難聴を伴う優性網膜色素変性、劣性白点状網膜炎、劣性アルストレーム症候群、劣性バルデ・ビードル症候群、黄斑ジストロフィーまたは網膜変性を伴う優性脊髄小脳変性症、劣性無ベータリポ蛋白血症、黄斑変性を伴う劣性網膜色素変性、成人型劣性レフサム病、乳児型劣性レフサム病、劣性増強型S錐体症候群、精神遅滞を伴う網膜色素変性、筋障害を伴う網膜色素変性、劣性ニューファンドランド桿体-錐体ジストロフィー、無色素網膜色素変性、扇形網膜色素変性、局所網膜色素変性、シニア-ローケン症候群、ジュベール症候群、若年性シュタルガルト病、遅発性シュタルガルト病、シュタルガルト型優性黄斑ジストロフィー、優性シュタルガルト様黄斑ジストロフィー、劣性黄斑ジストロフィー、劣性黄色斑眼底、劣性錐体-桿体ジストロフィー、進行性のX連鎖性錐体-桿体ジストロフィー、優性錐体-桿体ジストロフィー、錐体-桿体ジストロフィー;ド・グルーシー症候群(de Grouchy syndrome)、優性錐体ジストロフィー、X連鎖性錐体ジストロフィー、劣性錐体ジストロフィー、過剰桿体網膜電図検査を伴う劣性錐体ジストロフィー、X連鎖性萎縮性黄斑ジストロフィー、X連鎖性網膜分離症、優性黄斑ジストロフィー、優性の放射状黄斑ドルーゼ、優性牛眼状黄斑ジストロフィー、優性蝶形黄斑ジストロフィー、優性成人卵黄状黄斑ジストロフィー、優性ノースカロライナ型黄斑ジストロフィー、優性網膜-錐体ジストロフィー1、優性嚢胞様黄斑ジストロフィー、優性異型卵黄状黄斑ジストロフィー、Foveo黄斑性萎縮症(Foveomacular atrophy)、優性ベスト型黄斑ジストロフィー、進行性の優性ノースカロライナ様黄斑ジストロフィー、貧毛症を伴う劣性若年性黄斑ジストロフィー、劣性の中心窩形成不全および前眼部形成不全、劣性錐体順応遅延、青錐体一色型色覚異常の黄斑ジストロフィー、II型糖尿病および難聴を伴う黄斑性パターンジストロフィー、神鳥斑点網膜、パターンジストロフィー、優性スティックラー症候群、優性マーシャル症候群、優性硝子体網膜変性、優性家族性滲出性硝子体網膜疾患、優性硝子体網脈絡膜症;優性血管新生炎症性硝子体網膜疾患(Dominant neovascular inflammatory vitreoretinopathy)、ゴールドマン-ファーブル症候群、劣性色覚異常、優性第三色覚異常、劣性桿体一色型色覚異常、先天性赤緑色覚異常、第二色覚異常、赤色覚異常、緑色弱、第一色弱、劣性小口病、優性遅発性黄斑ジストロフィー、劣性脳回転状萎縮、優性限局性萎縮(atrophia areata)、優性中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィー、X連鎖性コロイデレミア、中心性輪紋状脈絡膜萎縮、中心性脈絡膜萎縮、乳頭周囲網脈絡膜萎縮、進行性の優性二病巣性網脈絡膜萎縮(bifocal chorioretinal atrophy)、進行性の二病巣性網脈絡膜萎縮、優性ドインの蜂巣状網膜変性(Malattia Leventinese)、エナメル質形成不全、劣性ビエッティ結晶沈着角膜網膜ジストロフィー、レイノー現象および偏頭痛を伴う優性遺伝性血管網膜症、優性ワーグナー病およびびらん性硝子体網膜症(erosive vitreoretinopathy)、劣性小眼球および網膜疾患(microphthalmos and retinal disease syndrome)候群;劣性小眼球、劣性精神遅滞、痙攣および網膜変性、劣性ボスニアジストロフィー、劣性弾力線維性仮性黄色腫、優性弾力線維性仮性黄色腫;劣性若年性バッテン病(セロイドリポフスチン症)、優性アラジール症候群、マクージック・カウフマン症候群、HARP (hypoprebetalipoproteinemia, acanthocytosis, palladial degeneration)症候群;劣性ハラーホルデン・スパッツ症候群;優性ソースビー眼底変性症、オレゴン眼病(Oregon eye disease)、カーンズ・セイヤー症候群、発達異常および神経異常を伴う網膜色素変性、バッセン・コーンツヴァイク症候群、ハーラー病、サンフィリッポ病、シャイエ病、黒色腫関連網膜症、シーン網膜ジストロフィー(Sheen retinal dystrophy)、デュシェンヌ型黄斑ジストロフィー、ベッカー型黄斑ジストロフィー(Becker macular dystrophy)、散弾状網脈絡膜症、多発一過性白点症候群、急性帯状潜在性網膜外層症、網膜静脈閉塞、網膜動脈閉塞、糖尿病網膜症、網膜毒性、網膜損傷、網膜外傷および網膜レーザー傷害ならびに白点状眼底。
【0028】
本明細書で用いられる場合、用語「加齢黄斑変性もしくはジストロフィー」または「AMD」とは、消耗性疾患を指し、滲出型および乾燥型AMDが含まれる。全症例の約90パーセントを占める乾燥型AMDは、萎縮性、非滲出性またはドルーゼ型黄斑変性としても知られている。乾燥型AMDにより、典型的にはブルッフ膜の下/内部の網膜色素上皮(RPE)組織にドルーゼが蓄積する。次に、ドルーゼにより黄斑にある光受容体細胞の機能が妨げられると、視力の喪失が起こることがある。乾燥型AMDでは、何年もかかって視力が徐々に失われていく。乾燥型AMDは、滲出型AMDに至ることがある。滲出型AMDは、急速に進行することがあり、中心視力に重度の損傷をもたらす。黄斑ジストロフィーには、シュタルガルト型黄斑ジストロフィーまたは、若年発症型黄斑ジストロフィーに最もよく見られる黄色斑眼底としても知られるシュタルガルト病ならびに卵黄状黄斑ジストロフィー、錐体-桿体ジストロフィーおよび上記リストに含まれる他のものとしても知られるベスト型ジストロフィーが含まれる。
【0029】
本発明のこの態様の別の実施形態は、網膜変性疾患を患っている対象の昼間視力および/または視野を改善する医薬組成物であって、粗製のドウナリエラ粉末を含む医薬組成物である。
【0030】
本発明の第2の態様では、網膜の夜間視力疾患を患っている対象の夜間視力および/または桿体がもたらす視野を改善する方法であって、薬学的に有効量の粗製のドウナリエラ粉末を該対象に投与する段階を含む方法が提供される。この疾患の患者は、光受容体細胞の伝達が損なわれることにより光の少ない状況に順応するのが難しい。
【0031】
本明細書において、用語、夜間視力は、網膜の周辺部分によって作りだされる薄明かり下における視力に関する。夜間視力は、主に網膜の桿体細胞を介するものである。
【0032】
本明細書において、用語、網膜疾患には、定常的で、夜間視力の悪化につながるすべての型の網膜ジストロフィーが含まれうる。そのような疾患の例としては、先天性の夜間視力障害、先天性停止夜盲症、白点状眼底およびビタミンA欠乏症が挙げられる。一実施形態では、昼間視力段階または要素を有する網膜変性疾患も含まれるが、そのような場合、本発明は夜間視力段階または要素のみに関する。別の実施形態では、網膜疾患は網膜変性疾患である。
【0033】
本発明による活性成分は、実質的に粗製のドウナリエラ属藻類調製物、典型的には乾燥したドウナリエラ属藻類である。ドウナリエラ属藻類は、好ましくはドウナリエラ・バルダヴィルである。他の種には、D.サリーナ、D.ヴィリディス、D.ペイルケイ、D.パルヴァ、D.メディア、D.エウクロラ、D.ミヌタ、D.テルティオレクタ、D.プリモレクタ、D.アキドフィラ、D.クワルトレクタおよびD.ポリモルファが挙げられる。
【0034】
好ましい実施形態では、実質的に粗製のドウナリエラ属藻類調製物は、β-カロテン(BC)をBCの9-シス-異性体対オールトランス異性体の比およそ1:1またはBCの9-シス-異性体対オールトランス異性体の比1:1超で含む。
【0035】
用語「治療する」、「治療」および「有効量」の意味は、上で定義した通りである。
【0036】
本発明のこの態様の別の実施形態は、網膜変性疾患を患っている対象の夜間視力および/または桿体がもたらす視野を改善する医薬組成物であって、粗製のドウナリエラ粉末を含む医薬組成物である。
【0037】
本発明を理解し、実際にどのように実施されうるかわかるように、添付図面を参照して、限定ではなく単に例として実施形態をここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】治療前のRP患者の左眼の暗順応の色視野図である。
【図2】3カ月の治療後のRP患者の左眼の暗順応の色視野図である。
【図3】治療前のRP患者の右眼の暗順応の色視野図である。
【図4】3カ月の治療後のRP患者の右眼の暗順応の色視野図である。
【図5】治療前、治療後および3カ月の休薬期間後のRP患者の左右の眼の光受容体細胞のERG応答レベルを示す棒グラフである。
【図6A】ドウナリエラ治療前の暗点(盲点)を示す、患者No.4の右眼の暗順応の色視野図である。
【図6B】3カ月のドウナリエラ治療後の暗点(盲点)を示す、患者No.4の右眼の暗順応の色視野図である。
【図7】治療前後の正常対象および患者の視野の平均偏差を示す棒グラフである。
【図8】治療前後の正常対象および患者のb波振幅最大応答を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に示す、ヒトに対するすべての試験は、以下の通りに調製されたドウナリエラ粉末を含むカプセルを使用した。
【0040】
β-カロテン(以下「BC」とする)の9-シス-異性体とオールトランス異性体との比およそ1:1またはBCの9-シス-異性体とオールトランス異性体との比1:1超であるBCをおよそ8重量%含む藻類を得るために、ドウナリエラ・バルダヴィル(以下「Db」とする)を、50,000m2の大型開放塩水池で育て、培養した。藻類を排出型遠心分離器(dislodging centrifuge)によって採取して濃縮ペーストにした。このペーストを洗浄して塩分を除去し、殺菌し、その後、噴霧乾燥しておよそ8%のBCと5%未満の水分とを含むDb粉末を得た。この粉末を、藻類のすべての天然成分とともにそれぞれ15〜20mgのBCを含む、250〜300mgの藻類カプセルに充填した。カプセルのBCは、もともとの異性体比を保持している。カプセルを最大3年の保存期間を有する真空密閉ブリスターに包装する。
【実施例】
【0041】
(実施例I)
RP患者の昼間視力の視覚機能に対する藻類ドウナリエラ・バルダヴィルの9-cisが豊富な粉末の経口投与による影響
二重盲検プラセボ対照クロスオーバー臨床試験では、(RHO変異を有する)常染色体優性網膜色素変性の患者20人(年齢50〜75歳)に12週間、1日2回2カプセルを投与した。患者のうち半分には、ドウナリエラ・バルダヴィルを投与し、残りの半分にプラセボを投与した。この治療期間後に12週間の休薬期間をおき、続いてさらに12週間、ドウナリエラ・バルダヴィルを投与されていた患者にはプラセボが投与されることになり、逆もまた同様である。4人の患者が最初の治療期間を完了した。
【0042】
結果:治療コースを完了した5人の患者のうちの2人の患者(No.2およびNo.5)には改善が見られなかった。一方、他の3人の患者の視覚機能は、客観的(ERG)にも主観的(視野および患者からの報告)にも劇的に改善された。RPについてのこれらの結果は前例のないものである。これらの患者がドウナリエラ治療を受けたためと考えられる。
【0043】
1人の患者では、明順応網膜電図検査(ERG)応答に30%の改善が見られた。別の患者(No.4)についての結果を図1〜5に示している。図1〜4は、治療前後における患者の左右の眼の暗順応の色視野を示している。対象は中心を見つめ、その周辺に患者に対して観察者が小さな光刺激を見せる。着色した円は、対象が最初に刺激を認めたときを表している。赤刺激を赤い円で表し、青刺激を青で表している。符号II3Cは、サイズII(Vと比較して小さい)を意味し、3Cが光強度を表し、Cの上の横線が100倍弱い光強度を表す。
【0044】
【表1】

【0045】
光受容体ERGの結果を図5に示している。両目とも治療後には著しい改善が見られたことがわかり得る。ERGは、治療休止3カ月後には治療前のレベルに戻った。これは、視覚機能を維持するためには維持治療が必要であることを示している。
【0046】
(実施例II)
実施例Iの臨床試験で登録された患者の昼間(錐体)視力の別の結果
続いて、別の患者が3カ月の治療期間を完了した。5人の患者の視野および電気的機能の結果をTables 1(表2)および2(表3)に示している。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
上記の結果から、患者No.3が両目の視野および片眼のERGに著しい改善を示したことがわかる。患者No.4については、治療前に既に正常範囲内にあった錐体がもたらす領域に変化はなかった。しかし、右眼の盲点が著しく、3.5分の1倍に少した(図6)。錐体の電気的機能については、患者No.4だけでなく患者No.3の片眼においても著しい改善が見られた。これらの患者がドウナリエラ治療を受けたためと考えられる。患者No.2およびNo.5では明らかな改善は見られなかった。
【0050】
(実施例III)
乾燥型加齢黄斑変性(AMD)患者の視覚機能に対する藻類ドウナリエラ・バルダヴィルの9-cisが豊富な粉末の経口投与による影響
上記の実施例Iで記載した臨床試験と同様の臨床試験を、乾燥型加齢黄斑変性患者に対して行うことになる。
【0051】
両目の長年の悪化したAMDを患っている74歳の女性に対して予備試験を行った。この女性は、この数年読むことができなくなっていた。1日に4カプセルの用量でドウナリエラ治療を受けた1週間以内に、両目ともに正常に読めるようになったが、眼底検査およびOCTの形態的外観には改善は見られなかった。
【0052】
(実施例IV)
先天性停止夜盲症患者の視覚機能に対する藻類ドウナリエラ・バルダヴィルの9-cisが豊富な粉末の経口投与による影響
対象
正常対象:眼科検査でいかなる病態も示さなかった、年齢58.6±5.6の5人の対象を、上記の通り1日4カプセルのドウナリエラ・バルダヴィルを用いて90日間治療した。90日間の治療の前後に、対象の視力、生体顕微鏡による眼圧および網膜電図検査(ERG)の検査を行った。治療前後に正常対象および患者の両目(弱視の眼を除く)の視野中心24-2閾値検査を行った。
【0053】
患者:臨床的および遺伝学的に先天性停止夜盲症(CSNB)であると診断された、年齢32±11の5人の患者を、1日4カプセルのドウナリエラ・バルダヴィルを用いて90日間治療した。
【0054】
治療前後にISCEVを順守した手順を用いてERG(LKCテクノロジー社(LKC Technologies, Inc.,)、ゲーサーズバーグ、メリーランド州)によって対象の両目の検査を行った。単回の低輝度閃光刺激(0.023cd-s/m2)および単回の高輝度閃光刺激(2.44cd-s/m2)に対しての暗順応応答を記録した。白色背景光(0.023cd-s/m2)に続いて、単回の白色閃光刺激(2.44cd-s/m2)および白色2.44cd-s/m2、30Hzフリッカーの10分間の光順応を行った。患者に暗順応ERGの30分間の記録後にさらに90分間暗順応(合計120分間の暗順応)をさせ、その後光順応をさせた。波形の振幅潜伏時間を測定し、治療後の応答からベースラインのERG応答を引き、それぞれの眼のベースラインの応答で割ることによって変化率を算出した。
【0055】
結果
治療前、すべての正常対象および患者の両目の最良矯正視力は、弱視の眼を有する1人の患者の視力20/200を除いて、20/20であった。視力は治療後も変化しなかった。
【0056】
正常対象群についての治療前後の平均した平均偏差は統計的に有意ないかなる改善も示さなかった(T-検定、p=0.291)。治療前における患者の平均した視野の平均偏差は、-5.16±2.25であった。治療後における平均偏差は、-3.42±3.12まで有意に改善された(T-検定、p=0.019)。
【0057】
結果を図7にまとめる。
【0058】
網膜電図検査(ERG)
正常対象:正常対象のERGの応答変化率をTable 3(表4)にまとめる。治療前の平均分離桿体応答振幅は199±57μVであり、治療後は184±49μVであった(p=0.340、T-検定)。暗順応の最大a波およびb波振幅応答はベースラインと変わらなかった。治療前の平均a波振幅は、186±61μVであり、治療後は181±28μVであった(p=0.307、T-検定)。治療前の平均b波振幅は、361±61μVであり、治療後は370±79μVであった(p=0.615、T-検定)。明順応条件におけるERG応答はベースラインから有意ないかなる変化も示さなかった。治療前の平均a波振幅は、28±4μVであり、治療後は25±5μVであった(p=0.451、T-検定)。治療前の平均b波振幅は106±24μVであり、治療後は108±26μVであった(p=0.797、T-検定)。30Hzフリッカー応答は、治療前が平均振幅73±12μVであり、治療後が平均振幅86±16μVで、ベースラインと有意な差異を示さなかった(p=0.099、T-検定)。しかし、対象の1人は、両目の30Hz応答において90%の臨床的に有意な改善を示した。この改善は、この小さな対象群では統計的に評価できなかった。
【0059】
【表4】

【0060】
患者:CSNB患者についての応答をTable 4(表5)にまとめる。30分間の暗順応の最大暗順応ERG応答は、ベースラインから有意には変化しなかった(a波およびb波の最大桿体応答は、それぞれ15%±55%および42%±109%であった)。しかし、120分間の暗順応ERGの最大b波応答は2倍であり、a波およびb波の最大桿体応答がそれぞれ17%±52%および68%±63%だけ増加した。治療前の平均b波最大応答振幅は、194±56μVであり、治療後は300±52μV(p<0.001、T-検定)であった。120分間の暗順応後、平均分離桿体応答b波振幅は、ベースラインの86±40μVから治療後の184±105μVに改善された(p<0.001、T-検定)。患者のすべてで、b波最大応答振幅および分離桿体応答振幅に臨床的に有意な改善が示され、各患者の両目で同様であることがわかった。明順応の単回の閃光のa波およびb波応答ならびに30Hzフリッカー応答(Table 4(表5))については、有意な差は示されなかった(0.11〜0.571)。
【0061】
【表5】

【0062】
結果を図8にまとめる。
【0063】
結論:藻類ドウナリエラ・バルダヴィルを用いた経口治療により、多くの先天性停止夜盲症患者の暗順応機能が有意に改善された。
【0064】
(実施例V)
実施例Iの臨床試験で登録された患者の夜間視力の結果
実施例IIの患者についての夜間視力および周辺視野ならびに電気的機能の結果をTables 5(表6)および6(表7)に示している。
【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【0067】
この結果は、患者No.4の両目における桿体がもたらす視野領域に著しい改善、さらに患者No.2およびNo.5ではそれより低い程度の改善を示している。桿体の電気的機能については、No.4の両目で著しく改善され、患者No.5の左眼でそれより低い程度で改善された。これらの患者は、ドウナリエラ治療を受けたためと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜疾患または網膜の外傷を患っている対象の昼間視力および/または錐体がもたらす視野ならびに視覚機能を改善する方法であって、薬学的に有効量の粗製のドウナリエラ粉末を前記対象に投与する段階を含む方法。
【請求項2】
前記網膜疾患は、網膜色素変性(RP)、レーバー先天性黒内障(LCA)、加齢黄斑変性(AMD)、劣性RP、優性網膜色素変性、X連鎖性網膜色素変性、不完全優勢X連鎖性網膜色素変性、優性レーバー先天性黒内障、網膜色素変性を伴う劣性後索運動失調、RPEの側細動脈蓄積を伴う劣性網膜色素変性、網膜色素変性RP12、アッシャー症候群、感音難聴を伴う優性網膜色素変性、劣性白点状網膜炎、劣性アルストレーム症候群、劣性バルデ・ビードル症候群、黄斑ジストロフィーまたは網膜変性を伴う優性脊髄小脳変性症、劣性無ベータリポ蛋白血症、黄斑変性を伴う劣性網膜色素変性、成人型劣性レフサム病、乳児型劣性レフサム病、劣性増強型S錐体症候群、精神遅滞を伴う網膜色素変性、筋障害を伴う網膜色素変性、劣性ニューファンドランド桿体-錐体ジストロフィー、無色素網膜色素変性、扇形網膜色素変性、局所網膜色素変性、シニア-ローケン症候群、ジュベール症候群、若年性シュタルガルト病、遅発性シュタルガルト病、シュタルガルト型優性黄斑ジストロフィー、優性シュタルガルト様黄斑ジストロフィー、劣性黄斑ジストロフィー、劣性黄色斑眼底、劣性錐体-桿体ジストロフィー、進行性のX連鎖性錐体-桿体ジストロフィー、優性錐体-桿体ジストロフィー、錐体-桿体ジストロフィー;ド・グルーシー症候群、優性錐体ジストロフィー、X連鎖性錐体ジストロフィー、劣性錐体ジストロフィー、過剰桿体網膜電図検査を伴う劣性錐体ジストロフィー、X連鎖性萎縮性黄斑ジストロフィー、X連鎖性網膜分離症、優性黄斑ジストロフィー、優性の放射状黄斑ドルーゼ、優性牛眼状黄斑ジストロフィー、優性蝶形黄斑ジストロフィー、優性成人卵黄状黄斑ジストロフィー、優性ノースカロライナ型黄斑ジストロフィー、優性網膜-錐体ジストロフィー1、優性嚢胞様黄斑ジストロフィー、優性異型卵黄状黄斑ジストロフィー、Foveo黄斑性萎縮症、優性ベスト型黄斑ジストロフィー、進行性の優性ノースカロライナ様黄斑ジストロフィー、貧毛症を伴う劣性若年性黄斑ジストロフィー、劣性の中心窩形成不全および前眼部形成不全、劣性錐体順応遅延、青錐体一色型色覚異常の黄斑ジストロフィー、II型糖尿病および難聴を伴う黄斑性パターンジストロフィー、神鳥斑点網膜、パターンジストロフィー、優性スティックラー症候群、優性マーシャル症候群、優性硝子体網膜変性、優性家族性滲出性硝子体網膜疾患、優性硝子体網脈絡膜症;優性血管新生炎症性硝子体網膜疾患、ゴールドマン-ファーブル症候群、劣性色覚異常、優性第三色覚異常、劣性桿体一色型色覚異常、先天性赤緑色覚異常、第二色覚異常、赤色覚異常、緑色弱、第一色弱、劣性小口病、優性遅発性黄斑ジストロフィー、劣性脳回転状萎縮、優性限局性萎縮、優性中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィー、X連鎖性コロイデレミア、中心性輪紋状脈絡膜萎縮、中心性脈絡膜萎縮、乳頭周囲網脈絡膜萎縮、進行性の優性二病巣性網脈絡膜萎縮、進行性の二病巣性網脈絡膜萎縮、優性ドインの蜂巣状網膜変性、エナメル質形成不全、劣性ビエッティ結晶沈着角膜網膜ジストロフィー、レイノー現象および偏頭痛を伴う優性遺伝性血管網膜症、優性ワーグナー病およびびらん性硝子体網膜症、劣性小眼球および網膜疾患候群;劣性小眼球、劣性精神遅滞、痙攣および網膜変性、劣性ボスニアジストロフィー、劣性弾力線維性仮性黄色腫、優性弾力線維性仮性黄色腫;劣性若年性バッテン病(セロイドリポフスチン症)、優性アラジール症候群、マクージック・カウフマン症候群、HARP症候群;劣性ハラーホルデン・スパッツ症候群;優性ソースビー眼底変性症、オレゴン眼病、カーンズ・セイヤー症候群、発達異常および神経異常を伴う網膜色素変性、バッセン・コーンツヴァイク症候群、ハーラー病、サンフィリッポ病、シャイエ病、黒色腫関連網膜症、シーン網膜ジストロフィー、デュシェンヌ型黄斑ジストロフィー、ベッカー型黄斑ジストロフィー、散弾状網脈絡膜症、多発一過性白点症候群、急性帯状潜在性網膜外層症、網膜静脈閉塞、網膜動脈閉塞、糖尿病網膜症、網膜毒性、網膜損傷、網膜外傷および網膜レーザー傷害ならびに白点状眼底からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粗製のドウナリエラ粉末は経口投与される、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ドウナリエラ粉末はカプセル封入されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ドウナリエラは、ドウナリエラ・バルダヴィル、D.サリーナ、D.ヴィリディス、D.ペイルケイ、D.パルヴァ、D.メディア、D.エウクロラ、D.ミヌタ、D.テルティオレクタ、D.プリモレクタ、D.アキドフィラ、D.クワルトレクタまたはD.ポリモルファからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ドウナリエラ粉末は、9-シス-β-カロテン異性体とオールトランスβ-カロテン異性体との比およそ1:1または9-シス-β-カロテン異性体とオールトランスβ-カロテン異性体との比1:1超でβ-カロテンを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
粗製のドウナリエラ粉末を含む、網膜変性疾患を患っている対象の昼間視力および/または視野を改善する医薬組成物。
【請求項8】
前記ドウナリエラ粉末は、9-シス-β-カロテン異性体とオールトランスβ-カロテン異性体の比およそ1:1または9-シス-β-カロテン異性体とオールトランスβ-カロテン異性体との比1:1超でβ-カロテンを含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
網膜疾患を患っている対象の夜間視力および/または桿体がもたらす視野ならびに視覚機能を改善する方法であって、薬学的に有効量の粗製のドウナリエラ粉末を前記対象に投与する段階を含む方法。
【請求項10】
前記網膜疾患は、先天性の夜間視力障害、先天性停止夜盲症、白点状眼底およびビタミンA欠乏症からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粗製のドウナリエラ粉末は経口投与される、請求項9または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ドウナリエラ粉末はカプセル封入されている、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ドウナリエラは、ドウナリエラ・バルダヴィル、D.サリーナ、D.ヴィリディス、D.ペイルケイ、D.パルヴァ、D.メディア、D.エウクロラ、D.ミヌタ、D.テルティオレクタ、D.プリモレクタ、D.アキドフィラ、D.クワルトレクタまたはD.ポリモルファからなる群から選択される、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ドウナリエラ粉末は、9-シス-β-カロテン異性体とオールトランスβ-カロテン異性体の比およそ1:1または9-シス-β-カロテン異性体とオールトランスβ-カロテン異性体との比1:1超でβ-カロテンを含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
粗製のドウナリエラ粉末を含む、網膜疾患を患っている対象の夜間視力および/または視野を改善する医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A−6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−518875(P2011−518875A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506828(P2011−506828)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000448
【国際公開番号】WO2009/133552
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(399127603)株式会社日健総本社 (19)
【出願人】(504277012)テル・ハシヨメル・メデイカル・リサーチ・インフラストラクチヤー・アンド・サービシズ・リミテツド (4)
【Fターム(参考)】