説明

着脱式体外循環回路

【課題】(緊急)離脱時にチューブを遮断するための閉止部材(クランプ、鉗子)を、別に使用しなくても良いので、作業がより迅速に行え、また離脱及び再接続する際も、容易で確実な離脱、並びに再接続が行うことができる着脱式体外循環回路を提供すること。
【解決手段】動脈側体外循環回路(2)と静脈側体外循環回路(3)から構成され、前記動脈側体外循環回路(2)と前記静脈側体外循環回路(3)の途中に、それぞれ着脱式接続部材(4、6、7、5)を配置し、前記動脈側体外循環回路(2)の着脱式接続部材(4、6)として、ポート(4)とアダプタ(6)が配置され、前記静脈側体外循環回路(3)の着脱式接続部材(7、5)として、アダプタ(7)とポート(5)が配置され、前記ポート(4、5)とアダプタ(6、7)は、離脱しても液密性を維持できるように形成されている着脱式体外循環回路(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血液透析等の治療中に、予期せぬ災害や機器のトラブル、また患者自身の事情などにより、一時的に治療を中断しなければならなくなった場合に、患者と人工腎臓を容易に離脱可能にでき、さらに、治療が再開できるように形成した着脱式体外循環回路に関する。本発明の着脱式体外循環回路は、血液透析のみでなく、患者から血液を抜き出して体外循環する回路であれば、全ての血液処理に応用できる。以下、血液透析に使用する場合について例示する。
【背景技術】
【0002】
患者の血管に体外循環回路を穿刺し、患者の血液を、その体外循環回路及び体外循環回路に接続された人工腎臓内を循環させて血液内の不純物を取り除く血液透析は、通常、3〜4時間といった長時間を要する治療である。
こうした血液透析の治療中に、災害発生、機器トラブル、また患者自身に何らかの事情等が生じた場合、避難したりトラブル対応を行ったり、緊急に治療を一時中断しなければならない事態が起こり得る。
【0003】
中でも、例えば地震等の災害発生の非常事態が起きると、透析を中断して、速やかに避難を行わなければならないが、災害が治まったりなどで、再び透析を始める場合、避難の前に行っていた透析で体外へと流出させた血液は、人工腎臓や回路の中で凝血等を起こしている可能性が高く、したがって人工腎臓や回路等を再度使用することはできない。そのため、人工腎臓や回路に残っていた血液は、人工腎臓や回路とともに廃棄することになってしまう。
【0004】
そこで、出願人は特許文献1(図15は従来の体外循環回路351の通常使用時の概略図、図16は従来の体外循環回路351の緊急離脱時の概略図)には、面倒な操作を必要とせずに体外循環を一時的に中断でき、患者側及び体液処理装置側に閉回路を形成することで、患者側の閉回路では動脈圧により体液を循環させ、体液処理装置側の閉回路では体液ポンプにより体液を循環させることで、回路内及び装置内の血液を凝固させることなく、体外循環を再び行うことのできる発明が開示した。
【0005】
しかし、特許文献1の発明では、図16のように動脈側体外循環回路352(血液を体外に流す側)、静脈側体外循環回路353(血液を体内に戻す側)とも、コネクタ(オスコネクタ356、357、メスコネクタ354、355)を離脱させるときに、鉗子(またはクランプ)358等でおのおの患者側と人工腎臓側の4ヶ所を図16のようにそれぞれ確実に閉塞し、コネクタ(オスコネクタ356、357、メスコネクタ354、355)を離脱して避難していた。
しかしこれらの発明では、特に緊急離脱時といった急を要する事態においては、心理的にも、落ち着いて作業をこなすことは難しくもあり、鉗子やクランプでしっかりと閉塞できていないと、血液が漏れる懸念がある。
さらに、出願人は特許文献2に、「動脈側体外循環回路2と静脈側体外循環回路3の途中に、それぞれ着脱式接続部材4、6、7、5を配置し、前記動脈側体外循環回路2の着脱式接続部材4、6として、ポート4とアダプタ6が配置され、前記静脈側体外循環回路3の着脱式接続部材7、5として、アダプタ7とポート5が配置され、前記ポート4、5は、それぞれアダプタ6、アダプタ7を、離脱しても液密性を維持できるように形成した着脱式体外循環回路1」の発明を提案した。
しかし当該発明は、動脈側体外循環回路2と静脈側体外循環回路3のそれぞれのアダプタ6の近傍にそれぞれ着脱可能な閉止部材8を配置しなければならない。
さもなくば、アダプタ6、7の液体流路の途中に、公知の逆止弁等のシール部材を配置して、ポート4、5から外しても、シールされる構造としなければならない。血液は粘性の高い液体であり、アダプタ6、7の液体流路の途中に、公知の逆止弁等のシール部材を配置するには、血液の滞留・凝固等が発生しないように配置しなければならない。
【特許文献1】実公平6−28125号公報([産業上の利用分野]、第3図)
【特許文献2】実用新案登録第3118320号公報(請求項1、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
災害発生など緊急離脱時といった急を要する事態においては、特許文献1の体外循環回路のように、回路の4ヶ所全てを図16のようにそれぞれ確実に閉塞し、さらにコネクタ(オスコネクタ356、357、メスコネクタ354、355)を離脱させて避難することは、心理的にも、手技的にも困難である。また特許文献2の体外循環回路のように、動脈側体外循環回路2と静脈側体外循環回路3のそれぞれのアダプタ6の近傍にそれぞれ着脱可能な閉止部材8を配置するのも手技的に煩わしい。さらにアダプタ6、7の液体流路の途中に、血液の滞留・凝固等が発生しないように逆止弁等のシール部材を配置するのは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の発明に到達した。
[1]本発明は、動脈側体外循環回路(2)と静脈側体外循環回路(3)から構成され、
前記動脈側体外循環回路(2)と前記静脈側体外循環回路(3)の途中に、それぞれ着脱式接続部材(4、6、7、5)を配置し、
前記動脈側体外循環回路(2)の着脱式接続部材(4、6)として、ポート(4)とアダプタ(6)が配置され、
前記静脈側体外循環回路(3)の着脱式接続部材(7、5)として、アダプタ(7)とポート(5)が配置され、
前記ポート(4、5)とアダプタ(6、7)は、離脱しても液密性を維持できるように形成されている着脱式体外循環回路(1)を提供する。
[2]本発明は、前記アダプタ(6、7)は、少なくともポート(4、5)の注入口(156)と、ポート(4、5)の係合部(155A、155B)と、チューブの挟持部(158A、158B)を有する[1]に記載の着脱式体外循環回路(1)を提供する。
[3]本発明は、前記アダプタ(6、7)は、上部壁(152)と底部壁(153)を有し、これらの間に内部壁(154)を形成し、当該内部壁(154)の前方にポート(4、5)の注入口(156)を形成し、
前記上部壁(152)と底部壁(153)の前方に、ポート(4、5)の係合部(155A、155B)を形成し、当該係合部(155A、155B)は、上部壁(152)の前方に上係合部(155A)、底部壁(153)の前方に、下係合部(155B)として形成され、
前記内部壁(154)の後方には、チューブの挟持部(158A、158B)が形成され、当該挟持部(158A、158B)は、上部壁(152)の下部に上挟持部(158A)、底部壁(153)の上部に下挟持部(158B)としてそれぞれ形成され、
前記底部壁(153)の後方には後方壁(164)が上方に立設され、
前記上部壁(152)の後方には、上係合部(160)が形成され、前記後方壁(164)の上方には、前記上係合部(160)と対応する下係合部(161)が形成されている[1]または[2]に記載の着脱式体外循環回路(1)を提供する。
[4]本発明は、前記ポート(4、5)は、少なくともスリット(206)を形成した栓体(205)と、
前記アダプタ(6、7)を係合可能な部分を有する[1]から[3]のいずれか1に記載の着脱式体外循環回路(1)を提供する。
[5]本発明は、前記ポート(4、5)は、キャップ(210)の側壁(213)の内側に、円周リブ(216)を形成し、当該円周リブ(216)の内側にスリット(206)を形成した栓体(205)を装着し、
ハウジング202に突設されたポート(203)を前記キャップ(210)の側壁(213)と円周リブ(216)の間に形成された空間(S)に装着したポート(201)である[1]から[4]のいずれか1に記載の着脱式体外循環回路(1)を提供する。
【発明の効果】
【0008】
(1)(緊急)離脱時に、アダプタ6、7とポート4、5を分離する際、チューブを遮断するための閉止部材8(クランプ、鉗子)を、別に使用しなくても良いので、作業がより迅速に行える。
(2)また、アダプタ6、7とポート4、5を離脱及び再接続する際も、容易で確実な離脱、並びに再接続が行うことができる。
(3)一時中断していた透析治療を(2)により再び続行できるので、無駄になる血液がなくなる。
(4)アダプタ6、7とポート4、5を相互に取り外しても、これら自体に液密性を維持できる構造に形成することにより、特許文献1に記載のように四箇所、また特許文献2のように二箇所で閉塞する必要がないので、操作性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の体外循環回路1の通常使用時の概略図、図2は本発明の体外循環回路1の緊急離脱時の概略図、図3は本発明の体外循環回路1の緊急離脱時の概略図で、(A)は患者側接続時の概略図、(B)は人工腎臓側接続時の概略図である。
[体外循環回路1]
体外循環回路1は、動脈側体外循環回路2と静脈側体外循環回路3から構成される。動脈側体外循環回路2は、上流から下流に見て、コネクタ10、着脱式接続部材4、6、混注部9、ローリングチューブ12が配置されている。静脈側体外循環回路3には、下流から上流側に見て、コネクタ11、着脱式接続部材7、5、チャンバ13が配置されている。
【0010】
[着脱式接続部材(ポート4、5とアダプタ6、7)]
体外循環回路として通常の使用時には、図1に例示するように、ポート4、5にアダプタ6、7を装着した状態で使用する。動脈側体外循環回路2は、患者側にポート4を配置し、人工腎臓側にアダプタ6を配置している。一方、静脈側体外循環回路3は人工腎臓側にポート5を配置し、患者側にアダプタ7を配置している。それぞれのポート4、5とアダプタ6、7は互いに液密に装着され、離脱できるように形成されている。さらに詳述すれば、前記ポート4、5はアダプタ6、7から離脱しても液密性を維持できるように形成されている。またアダプタ6、7はチューブを閉塞できる機能を有している。
なお、アダプタ6、7にチューブを閉塞できる機能を配置しなくても、体外循環(透析)を中断し、送血ポンプを止めてから、ポート4、5から取り外すようにすれば、取り外し後には、体外循環回路1側に圧力はかからないので、アダプタ6、7から血液が漏れることはない。ところがこれでは、緊急時に対応できない。
またポート4、5とアダプタ6、7の配置は、図1、図2、図3に示した位置に限定されることはなく、離脱や再接続の操作がしやすい位置であれば、どの位置に設置してもよい。
【0011】
[使用方法の一例]
(緊急離脱時)
(1)災害等の発生により緊急離脱が必要となった場合、まず図2のように、動脈側体外循環回路2のアダプタ6と静脈側体外循環回路3のアダプタ7を閉塞して、各体外循環回路2、3を構成するチューブの液体流路を遮断する。
(2)次に、動脈側体外循環回路2のポート4とアダプタ6及び静脈側体外循環回路3のポート5とアダプタ7を離脱する。ポート4、5は、アダプタ6、7から離脱させると、自動的にシールされ、閉止部材8(鉗子、クランプ)を用いなくても血液が漏れることはない。
(3)図3に示すように、動脈側体外循環回路2のポート4に静脈側体外循環回路3のアダプタ7、静脈側体外循環回路3のポート5に動脈側体外循環回路2のアダプタ6を接続する。これによりポート4とアダプタ7で患者側の循環回路が形成され、ポート5とアダプタ6で人工腎臓側の循環回路が形成される。各循環回路内で、血液を循環させるときは、各アダプタ6、7の閉塞を解除する。
患者側の循環回路内の血液は、動脈圧によって循環し、人工腎臓側の循環回路内の血液は、血液ポンプ等で循環させることにより、回路内での凝固を防止できる。
【0012】
(透析治療再開時)
患者側のアダプタ7と、人工腎臓側のアダプタ6を閉塞して、血液の流れを止める。患者側の循環回路を形成していたポート4とアダプタ7、人工腎臓側の循環回路を形成していたポート5とアダプタ6を離脱し、図1のようにポート4とアダプタ6及びポート5とアダプタ7を再接続し、元の通常使用時の状態に戻して透析治療を再開する。
【0013】
[着脱式接続部材(ポートとアダプタ)の例示]
アダプタ6、7は、図4から図9に例示するように、少なくともポート4、5の注入口156と、ポート4、5の係合部155A、155Bと、チューブの挟持部158A、158Bを有するアダプタ151であれば何でも良い。
ポート4、5は、図10から図11に例示するように、少なくともスリット206を形成した栓体205と、前記アダプタ6、7のポート4、5の係合部155A、155Bを係合可能な部分(図10から図11の例示では、キャップ203)を有するポート201であれば、何でも良い。
次に、本発明に使用するポート201とアダプタ151の例について詳述する。
【0014】
[アダプタ151]
図4から図9は本発明に使用するアダプタ151の概略図である。
アダプタ151は、図4に例示するように、上部壁(側壁ともいう)152と底部壁(側壁ともいう)153を有し、これらの間に略板状の内部壁154を形成している。内部壁154の前方に注入口(細径のルアー部ともいう)156を形成し、後方に(チューブ)接続部157を形成している。
上部壁152と底部壁153の前方に、(ポート)係合部155A、155Bを形成している。すなわち上部壁152の前方に上係合部155A、底部壁153の前方に、下係合部155Bを形成している。
(ポート)係合部155A、155Bは、図4の例示では、上下(左右)に二箇所略板状で、湾曲状の溝165を形成しているが、ポート4、5の一部分(例えば下部ないし側部)に係合できれば、形状は例えばフック状、楔状、鉤状等何でも良い。
内部壁154の後方には、(チューブ)挟持部158A、158Bが形成(突設)されている。すなわちこれら挟持部158A、158Bは、上部壁152の下部に上挟持部158A、底部壁153の上部に下挟持部158Bとしてそれぞれ形成(突設)されている。
これらの上挟持部158Aと下挟持部158Bは、図4の例示では、略三角形状に形成されているが、チューブを挟持できれば形状は何でも良い。
底部壁153の後方には屈曲部163を介して後方壁164が上方に立設され、後方壁164に、(チューブ挿入)孔159が形成されている。
上部壁152の後方には、先細りの上係合部160が形成され、後方壁164上方には、下係合部161が形成され、下係合部161下面(溝162ともいう)に、上係合部160が係合することにより係止される。
これらの上係合部160と下係合部161は、相互に係合ないし係合を解除できれば形状は何でも良い。
【0015】
図10は本発明に使用するポート201の分解図、図11は断面図である。
[ポート201の概要]
ポート201は、キャップ210の側壁213の内側に、円周リブ216を形成し、当該円周リブ216の内側にスリット206を形成した栓体205を装着し、ハウジング202に突設されたポート203を前記キャップ210の側壁213と円周リブ216の間に形成された空間Sに装着している。
【0016】
[キャップ210]
キャップ210は図10から図11に例示するように、円筒状の側壁213と板状の天上壁214より構成され、円筒状の側壁213の内側(内周)に円周リブ216が形成されている。
円周リブ216とは、例えば環状に連続ないし一部不連続に間隔をおいて形成される筒体ないし複数の突起で、円周リブ216の内径は、栓体205の外径よりも若干小さく形成して、内部空間に栓体205を装着(圧入、嵌合)できるように形成されている。
側壁213と円周リブ216の間に形成された空間Sは、ハウジング202に突設されたポート203が装着(圧入、嵌合)できるように形成されている。
【0017】
[栓体5]
また口部203に装填される栓体205は、アダプタ131(図示せず)の細径部133(注入口)を挿入可能なスリット206付きの栓体205であれば何でも良い。スリット206の形態も細径部(注入口)を挿入可能な形態(例えば縦断面の上端から途中に亘って形成されているものあるいは縦断面の上端から下端に亘って形成されたもの等)であれば何でも良い。
また図11の例示では、栓体205はポート203の内部に配置されているが、ポート203の下部に配置(厳密にいえば、口部203下部とハウジング202の上段部との間)しても良い。
口部203とキャップ210は係合部204、215(具体的には、突起と溝で、相互に入れ替わっても良い)により係合される。
【0018】
図10と図11を参照にして、ポート201の組み立て方法の一例について説明する。
(1)図10に例示するように、キャップ210の円周リブ216内に栓体205を装着(圧入、嵌合)する。これにより円周リブ216により栓体205に締付圧力が付与される。
(2)ハウジング202に突設されたポート203を(1)のキャップ210の側壁213と円周リブ216の間に形成された空間Sに装着(圧入、嵌合)する。これによりキャップ210の側壁213と円周リブ216の両方で二重に栓体205に締付圧力を付与することができる。
本発明のポート201は、(1)キャップ210の側壁213の内側に、円周リブ216を形成することにより、栓体205の上面により強い締め付け力を付与することができ、スリット206にアダプタ等の注入口を挿入した時のシール性が向上する。(円周リブ216がない場合は、栓体205の下部に強い締め付け圧が発生し、スリット206に注入口を挿入した時のシール性が弱くなる)
(2)ハウジング202に突設された口部203を前記キャップ210の側壁213と円周リブ216の間に形成された空間Sに装着しているので、(円周リブ216を形成していない(単に上から押さえつけるのみ)と比較して)キャップ210とポート203の嵌合力が強くなり、キャップ210が抜けにくくなる。
(3)前記(1)と(2)により、円周リブ216及び側壁213の両方から二重に栓体205の上面により強い締め付け力を付与することができるので、スリット206に注入口を挿入した時のシール性が確実に向上する。
アダプタの注入口を外してもシール性(液密性)を維持することができる。
【0019】
図12から図14を参照にして、本発明に使用するアダプタ151とポート201の使用例を説明する。
(1)アダプタ151をポート201に接続する前は、図12に例示するように、
係合部160と係合部161を係合することにより、チューブTは、二つの(チューブ)挟持部158A、158Bに、挟持されて、液体は注入口156方向へは流通しない。
(2)アダプタ151をポート201に接続する時は、図13に例示するように、注入口156の前方は、ポート201のスリット206に挿入され、(ポート)係合部155A、155Bは、(ポート)キャップ203の下部に係止される。係合部160と係合部161の係合を解除することにより、チューブTは、二つの(チューブ)挟持部158A、158Bによる挟持から開放されて、液体は注入口156方向へ流通する。
(3)アダプタ151をポート201から取り外すときは、図14に例示するように、注入口156の前方は、ポート201のスリット206から引き抜かれ、(ポート)係合部155A、155Bの(ポート)キャップ203の下部への係止も解除される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の体外循環回路1の通常使用時の概略図
【図2】本発明の体外循環回路1の緊急離脱時の概略図
【図3】本発明の体外循環回路1の緊急離脱時の概略図[(A)患者側接続時の概略図(B)人工腎臓側接続時の概略図]
【図4】本発明に使用するアダプタ151の概略図(斜視図)
【図5】本発明に使用するアダプタ151の正面図
【図6】本発明に使用するアダプタ151の一部切欠断面図
【図7】図5のA矢視図
【図8】図5のB矢視図
【図9】図5のA−A’断面図
【図10】本発明に使用するポート201の分解図
【図11】本発明に使用するポート201の断面図
【図12】本発明に使用するアダプタ151とポート201の使用例の概略図
【図13】本発明に使用するアダプタ151とポート201の使用例の概略図
【図14】本発明に使用するアダプタ151とポート201の使用例の概略図
【図15】従来の体外循環回路51の通常使用時の概略図
【図16】従来の体外循環回路51の緊急離脱時の概略図
【符号の説明】
【0021】
1、351 体外循環回路
2、352 動脈側体外循環回路
3、353 静脈側体外循環回路
4 ポート(着脱式接続部材)
5 ポート(着脱式接続部材)
6 アダプタ(着脱式接続部材)
7 アダプタ(着脱式接続部材)
8、158 閉止部材(クランプ、鉗子)
9 混注部
10 動脈側コネクタ
11 静脈側コネクタ
12、362 ローリングチューブ
13、363 チャンバ
354、355 メスコネクタ
356、357 オスコネクタ
151 アダプタ
152 上部壁(側壁)
153 底部壁(側壁)
154 内部壁
155A(ポート)(上)係合部
155B(ポート)(下)係合部
156 ルアー部(注入口)
157 (チューブ)接続部
158A (チューブ)(上)挟持部
158B (チューブ)(下)挟持部
159 (チューブ挿入)孔
160 上係合部
161 下係合部
162 溝
163 屈曲部
164 後方壁
201 ポート
202 ハウジング
203 口部
204 係合部
205 栓体
206 スリット
210 キャップ
211 開口部
213 側壁
214 天上壁
215 係合部
216 円周リブ
T チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動脈側体外循環回路(2)と静脈側体外循環回路(3)から構成され、
前記動脈側体外循環回路(2)と前記静脈側体外循環回路(3)の途中に、それぞれ着脱式接続部材(4、6、7、5)を配置し、
前記動脈側体外循環回路(2)の着脱式接続部材(4、6)として、ポート(4)とアダプタ(6)が配置され、
前記静脈側体外循環回路(3)の着脱式接続部材(7、5)として、アダプタ(7)とポート(5)が配置され、
前記ポート(4、5)とアダプタ(6、7)は、離脱しても液密性を維持できるように形成されている、ことを特徴とする着脱式体外循環回路(1)。
【請求項2】
前記アダプタ(6、7)は、少なくともポート(4、5)の注入口(156)と、ポート(4、5)の係合部(155A、155B)と、チューブの挟持部(158A、158B)を有することを特徴とする請求項1に記載の着脱式体外循環回路(1)。
【請求項3】
前記アダプタ(6、7)は、上部壁(152)と底部壁(153)を有し、これらの間に内部壁(154)を形成し、当該内部壁(154)の前方にポート(4、5)の注入口(156)を形成し、
前記上部壁(152)と底部壁(153)の前方に、ポート(4、5)の係合部(155A、155B)を形成し、当該係合部(155A、155B)は、上部壁(152)の前方に上係合部(155A)、底部壁(153)の前方に、下係合部(155B)として形成され、
前記内部壁(154)の後方には、チューブの挟持部(158A、158B)が形成され、当該挟持部(158A、158B)は、上部壁(152)の下部に上挟持部(158A)、底部壁(153)の上部に下挟持部(158B)としてそれぞれ形成され、
前記底部壁(153)の後方には後方壁(164)が上方に立設され、
前記上部壁(152)の後方には、上係合部(160)が形成され、前記後方壁(164)の上方には、前記上係合部(160)と対応する下係合部(161)が形成されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の着脱式体外循環回路(1)。
【請求項4】
前記ポート(4、5)は、少なくともスリット(206)を形成した栓体(205)と、
前記アダプタ(6、7)を係合可能な部分を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の着脱式体外循環回路(1)。
【請求項5】
前記ポート(4、5)は、キャップ(210)の側壁(213)の内側に、円周リブ(216)を形成し、当該円周リブ(216)の内側にスリット(206)を形成した栓体(205)を装着し、
ハウジング202に突設されたポート(203)を前記キャップ(210)の側壁(213)と円周リブ(216)の間に形成された空間(S)に装着したポート(201)である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の着脱式体外循環回路(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−215557(P2007−215557A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35908(P2006−35908)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【出願人】(505361244)
【Fターム(参考)】