説明

着脱式配線ダクト

【目的】 本発明の目的は、ラックの柱体又は板体の端部への取り付けが容易である安価な着脱式配線ダクトを提供する。
【構成】 ラック10の円柱状の柱体11に着脱可能に取り付けられる樹脂成形品であって、OA機器等の電子機器の配線20が入れられる収容部100と、収容部100が設けられており且つラック10の柱体11を保持する略逆凹字状の保持部200とを備え、保持部200は、長さ方向の一端から他端にかけて設けられており且つ他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部210と、この薄肉部210により開閉可能に分割された第1、第2の保持片221、222とを有する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OA機器等の電子機器の配線が入れられる収容部を有し、ラックの柱体又は板体の端部に着脱可能に取り付けられる着脱式配線ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の着脱式配線ダクトとしては、前記収容部と、この収容部をラックの円柱状の柱体に取り付けるための複数の取付具とを備え、この取付具は柱体が嵌合する略U字状の部材であって、一対の先端部に収容部を係止する係止片が各々設けられたものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−165503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記着脱式配線ダクトは、柱体が嵌合した状態で複数の取付具の一対の先端部の係止片を収容部に各々係止させなければならないことから、取り付けが面倒であるという欠点を有している。また、収容部と取付具とが別部材でることから、部品点数が増加し低コスト化を図ることが困難であるという別の欠点も有している。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、ラックの柱体又は板体の端部への取り付けが容易である安価な着脱式配線ダクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の着脱式配線ダクトは、OA機器等の電子機器の配線が入れられる収容部を有し、ラックや机の柱体又は板体の端部に着脱可能に取り付けられる樹脂製の着脱式配線ダクトであって、収容部が設けられた略逆凹字状の保持部を有しており、この保持部は、長さ方向の一端から他端にかけて設けられており且つ他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部と、この薄肉部により開閉可能に分割された第1、第2の保持片とを有しており、第1、第2の保持片がラックの柱体又は板体の端部を保持するようになっているOA機器等の電子機器ことを特徴としている。なお、ここで言うラックは、所謂スチールシェルフ等の金属製の棚や本棚等の木製の棚を含む概念である。
【0007】
収容部は、保持部の第1、第2の保持片に各々設けられた弾性を有する第1、第2の収容片を有し、この第1、第2の収容片が第1、第2の保持片の閉開に応じて開閉するようになっている。
【0008】
この第1、第2の収容片の先端部には互いに係合するための係合手段が設けられていることが好ましい。
【0009】
或いは、収容部は、保持部の第1、第2の保持片のいずれか一方に設けられており且つ先端部が保持部に当接可能な弾性を有する略逆凹字状の片部材であって、前記先端部は、第1、第2の保持片の閉開に応じて保持部から離れたり近づいたりするようになっている。
【0010】
収容部の先端部及び保持部の収容部が当接する部分には互いに係合するための係合手段が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る着脱式配線ダクトによる場合、収容部が設けられた略逆凹字状の保持部が、長さ方向の一端から他端にかけて設けられており且つ他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部と、この薄肉部により開閉可能に分割された第1、第2の保持片とを有する構成となっている。この第1、第2の保持片の間にラックの柱体又は板体の端部を押し入れると、第1、第2の保持片が開いてラックの柱体又は板体の端部を保持する。このように第1、第2の保持片の間にラックの柱体又は板体の端部を押し入れるだけで、ラックに取り付けることができることから、従来例と比べて取り付けが非常に簡単になる。また、収容部と保持部とが一体的に設けられていることから、部品点数が減少するので、低コスト化を図る上でメリットがある。
【0012】
本発明の請求項2に係る着脱式配線ダクトによる場合、保持部の第1、第2の保持片を閉じると、収容部の第1、第2の収容片が開くので、当該第1、第2の収容片の間から配線を入れることができる。その後、第1、第2の保持片の間にラックの柱体又は板体の端部を押し入れると、第1、第2の保持片が開いて第1、第2の収容片が閉じる。このようにして配線を第1、第2の収容片の間に簡単に入れることができる。即ち、配線を収容部内に簡単に収容させることができるので、配線の収容作業が非常に簡単になり、使い勝手が向上する。しかも、第1、第2の収容片は弾性を有していることから、閉じた状態であっても、その間に配線を押し当てると、弾性変形する。即ち、ラックに取り付け、第1、第2の収容片が閉じた状態であっても、配線を出し入れすることができるので、この点でも使い勝手が良く、便利である。
【0013】
本発明の請求項3に係る着脱式配線ダクトによる場合、第1、第2の収容片の先端部には互いに係合するための係合手段が設けられている。即ち、係合手段により第1、第2の収容片が閉じた状態が維持されるので、第1、第2の収容片の先端部の間に隙間が生じることがなく、当該隙間から塵や埃が侵入するのを防止することができる。
【0014】
本発明の請求項4に係る着脱式配線ダクトによる場合、収容部は、保持部の第1、第2の保持片のいずれか一方に設けられており且つ先端部が保持部に当接可能な略逆凹字状の片部材であって、前記先端部は、第1、第2の保持片の閉開に応じて保持部から離れたり近づいたりするようになっている。即ち、保持部の第1、第2の保持片を閉じると、収容部の先端部が保持部から離れるので、当該先端部と保持部との間から配線を入れることができる。その後、第1、第2の保持片の間にラックの柱体又は板体の端部を押し入れると、収容部の先端部が保持部に近づいて当接する。このようにして配線を収容部に簡単に収容させることができるので、配線の収容作業が非常に簡単になり、使い勝手が向上する。しかも、収容部は弾性を有していることから、収容部の先端部が保持部に当接した状態で、当該収容部を把持して先端部が保持部から離なれる方向に引っ張ると、収容部の基端部が弾性変形するようになっている。即ち、ラックに取り付け、収容部の先端部が保持部に当接した状態であっても、配線を出し入れすることができるので、この点でも使い勝手が良く、便利である。
【0015】
本発明の請求項5に係る着脱式配線ダクトによる場合、収容部の先端部及び保持部の収容部が当接する部分には互いに係合するための係合手段が設けられている。即ち、係合手段により収容部の先端部が保持部に当接した状態が維持されるので、収容部の先端部と保持部との間に隙間が生じることがなく、当該隙間から塵や埃が侵入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る着脱式配線ダクトについて説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る着脱式配線ダクトについて図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの使用状態を示す斜視図、図2は同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図、図3は同ダクトの保持部の薄肉部を示す図2のα部分の拡大図、図4は同ダクトの収容部の係合手段を示す図であって、( a) が図2のβ部分の拡大図、( b) が図2のγ部分の拡大図である。
【0018】
図1及び図2に示す着脱式配線ダクトAは、ラック10の円柱状の柱体11に着脱可能に取り付けられる長尺状の樹脂成形品であって、図示しないOA機器等の電子機器の配線20が入れられる収容部100と、収容部100が設けられており且つラック10の柱体11を保持する略逆凹字状の保持部200とを有している。以下、各部を詳しく説明する。
【0019】
保持部200は、図2又は図3に示すように、中央部の長さ方向の一端から他端にかけて設けられており且つ他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部210と、この薄肉部210により開閉可能に分割された第1、第2の保持片221、222とを有する。第1、第2の保持片221、222は、ラック10の柱体11の周面に沿うように湾曲した弾性片である。第1、第2の保持片221、222は、その間に柱体11が押し入れられることにより当該柱体11を保持する。
【0020】
収容部100は、図2に示すように、保持部200の第1、第2の保持片221、222に各々設けられた第1、第2の収容片110、120を有する。第1、第2の収容片110、120は、先端部111、121が互いに対向するように略逆し字状に湾曲した一対の弾性片であって、第1、第2の保持片221、222の閉開に応じて開閉するようになっている。
【0021】
第1の収容片110の先端部111には、図4に示すように、係合凹部111aが設けられている。第2の収容片120の先端部121には、第1の収容片110の係合凹部111aに係合する係合凸部121aが設けられている。
【0022】
以下、着脱式配線ダクトAの使用方法を説明すると共に、各部の動作について説明する。ラック10の柱体11に取り付ける前の状態においては、図2( b)に示すように、保持部200の第1、第2の保持片221、222が閉じ、収容部100の第1、第2の収容片110、120が開いている。
【0023】
まず、配線20を収容部100の第1、第2の収容片110、120の先端部111、121の間の隙間から収容部100内に入れる。そして、保持部200の第1、第2の保持片221、222の間に柱部11を押し入れる。すると、第1、第2の保持片221、222が弾性変形しつつ開く。そして、図2( a)に示すように、柱部11が第1、第2の保持片221、222の間に嵌まり込む。このようにして着脱式配線ダクトAがラック10の柱体11に取り付けられる。この過程で、第1、第2の収容片110、120が閉じて第1の収容片110の係合凹部111aに第2の収容片120の係合凸部121aが係合される。これにより配線20が収容部100に収容される。
【0024】
ラック10の柱体11から取り外すに当っては、収容部100を把持して柱部11から離れる方向に引っ張る。すると、保持部200の第1、第2の保持片221、222が弾性変形して柱部11が外れる。すると、第1、第2の保持片221、222が閉じ、第1の収容片110の係合凹部111aと第2の収容片120の係合凸部121aとの係合が外れ、第1、第2の収容片110、120が開く。これにより第1、第2の収容片110、120の間から配線20を取り出すことが可能になる。
【0025】
このような着脱式配線ダクトAによる場合、保持部200の第1、第2の保持片221、222の間にラック10の柱体11を押し入れるだけで、柱部11に取り付けることができることから、従来例と比べて取り付けが非常に簡単になる。また、収容部100と保持部200とが一体的に設けられていることから、部品点数が減少し、低コスト化を図る上でメリットがある。しかも、第1、第2の収容片110、120が開いた状態で、その間に配線20を入れた後、保持部200の第1、第2の保持片221、222をラック10の柱体11に取り付けるだけで、第1、第2の保持片221、222が開いて第1、第2の収容片110、120が閉じ、これにより配線20が収容部100内に収容されるようになっている。このため、配線20の収容作業が非常に簡単になり、使い勝手が向上する。更に、第1、第2の収容片は樹脂製の弾性片であることから、閉じた状態であっても、その間に配線20を押し当てると、弾性変形する。これにより第1の収容片110の係合凹部111aと第2の収容片120の係合凸部121aとの係合が外れるので、配線20を出し入れすることができる。即ち、保持部200をラック10の柱体11に取り付け、第1、第2の収容片110、120が閉じた状態であっても、配線20を出し入れすることができるので、この点でも使い勝手が良く、便利である。
【実施例2】
【0026】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る着脱式配線ダクトについて図面を参照しながら説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの斜視図、図6は同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図、図7は同ダクトの保持部の薄肉部を示す図6のδ部分の拡大図である。
【0027】
図5及び図6に示す着脱式配線ダクトBは、着脱式配線ダクトAと収容部300の形状及び保持部200の薄肉部210の形状の点で異なっている。よって、以下、その相違点について詳しく説明し、重複する部分については説明を省略する。なお、符号については、収容部に300を付し、薄肉部には210’を付す。
【0028】
保持部200の薄肉部210’は、図6及び図7に示すように、保持部200の表面の中央部が薄肉にされている。この薄肉部210’は薄肉部210と比べて幅広になっている。
【0029】
収容部300は、保持部200の第1、第2の保持片221、222に各々設けられた第1、第2の収容片310、320を有する。第1、第2の収容片310、320は、先端部が半円弧状に湾曲した一対の弾性片である。この点で第1、第2の収容片110、120と異なる。
【0030】
以下、着脱式配線ダクトBの使用方法を説明すると共に、各部の動作について説明する。ラック10( 図1参照) の柱体11に取り付ける前の状態においては、図6( b)に示すように、保持部200の第1、第2の保持片221、222が閉じ、収容部300の第1、第2の収容片310、320が開いている。
【0031】
まず、配線20を収容部300の第1、第2の収容片310、320の先端部の間の隙間から収容部300内に入れる。そして、保持部200の第1、第2の保持片221、222の間に柱部11を押し入れる。すると、第1、第2の保持片221、222が弾性変形しつつ開く。そして、図6( a)に示すように、柱部11が第1、第2の保持片221、222の間に嵌まり込む。このようにして着脱式配線ダクトBがラック10の柱体11に取り付けられる。この過程で、第1、第2の収容片310、320が閉じて配線20を収容する。
【0032】
ラック10の柱体11から取り外すに当っては、収容部300を把持して柱部11から離れる方向に引っ張る。すると、保持部200の第1、第2の保持片221、222が弾性変形して柱部11が外れる。すると、第1、第2の保持片221、222が閉じて第1、第2の収容片310、320が開く。これにより第1、第2の収容片310、320の間から配線20を取り出すことが可能になる。
【0033】
このような着脱式配線ダクトBによる場合であっても、保持部200の第1、第2の保持片221、222の間にラック10の柱体11を押し入れるだけで、柱部11に取り付けることができることから、従来例と比べて取り付けが非常に簡単になる。また、収容部300と保持部200とが一体的に設けられていることから、部品点数が減少し、低コスト化を図る上でメリットがある。しかも、第1、第2の収容片310、320が開いた状態で、その間に配線20を入れた後、保持部200の第1、第2の保持片221、222をラック10の柱体11に取り付けるだけで、第1、第2の保持片221、222が開いて第1、第2の収容片310、320が閉じ、これにより配線20が収容部300内に収容されるようになっている。このため、配線20の収容作業が非常に簡単になり、使い勝手が向上する。更に、第1、第2の収容片310、320は樹脂製の弾性片であることから、閉じた状態であっても、その間に配線20を押し当てると、弾性変形する。即ち、保持部200をラック10の柱体11に取り付け、第1、第2の収容片310、320が閉じた状態であっても、配線20を出し入れすることができるので、この点でも使い勝手が良く、便利である。
【実施例3】
【0034】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る着脱式配線ダクトについて図面を参照しながら説明する。図8は本発明の第3の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの斜視図、図9は同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図、図10は同ダクトの収容部の係合手段を示す図であって、( a) が図9のε部分の拡大図、( b) が図9のζ部分の拡大図である。
【0035】
図8及び図9に示す着脱式配線ダクトCは、着脱式配線ダクトAと収容部400の形状及び保持部500の第1、第2の保持片521、522の形状の点で異なっている。よって、以下、その相違点について詳しく説明し、重複する部分については説明を省略する。なお、符号については、収容部に400を付し、保持部に500を付す。
【0036】
保持部500は、上面の中央部に長さ方向の一端から他端にかけて切れ込みが入れられることにより他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部510と、この薄肉部510により開閉可能に分割された一対の第1、第2の保持片521、522とを有する。第1の保持片521は、略つ字状の弾性片であって、ラック10の板体12の円柱状の支柱12aを保持する。第2の保持片522は、第1の保持片521と対向する略逆つ字状の弾性片であって、ラック10の板体12の円柱状の支柱12aを保持する。
【0037】
収容部400は、略逆つ字状に湾曲した第1の収容片410と、第1の収容片410と先端部同士411、421が対向するように湾曲した第2の収容片420とを有する。第1の収容片410の先端部411には、図10に示すように、係合凹部411aが設けられている。第2の収容片420の先端部421には、第1の収容片410の係合凹部411aに係合する係合凸部421aが設けられている。
【0038】
以下、着脱式配線ダクトCの使用方法を説明すると共に、各部の動作について説明する。ラック10の板体12の端部に取り付ける前の状態においては、保持部500の第1、第2の保持片521、522が閉じ、収容部400の第1、第2の収容片410、420が開いている( 図9( b)参照) 。
【0039】
まず、配線20を収容部400の第1、第2の収容片410、420の先端部411、421の間の隙間から収容部400内に入れる。そして、保持部500の第2の保持片522をラック10の板体12の一方の支柱12aに係合させる。その後、第1の保持片521を板体12の他方の支柱12aに押しつける( 即ち、保持部500の第1、第2の保持片521、522の間にラック10の板体12の端部を押し入れる) 。なお、第1の保持片521を一方の支柱12aに係合させた後、第2の保持片522を他方の支柱12aに押しつけるようにしても良い。
【0040】
すると、第1、第2の保持片521、522が開くと共に、当該第1の保持片521の先端部が弾性変形し、他方の支柱12aを乗り越えて当該支柱12aを係合する( 図9( a)参照) 。このようにして着脱式配線ダクトCがラック10の板体12の端部に取り付けられる。この過程で、第1、第2の収容片410、420が閉じて第1の収容片410の係合凹部411aに第2の収容片420の係合凸部421aが係合される。これにより配線20が収容部400に収容される。
【0041】
ラック10の板体12の端部から取り外すに当っては、収容部400を把持して板体12から離れる斜方向に引っ張る( 即ち、図示斜め上方に引っ張る) 。すると、保持部500の第1、第2の保持片521、522のいずれか一方が弾性変形して支柱12aから外れる。すると、第1、第2の保持片521、522が閉じて第1、第2の収容片410、420が開く。これにより第1の収容片410の係合凹部411aと第2の収容片420の係合凸部421aとの係合が外れ、第1、第2の収容片410、420の間から配線20を取り出すことが可能になる。その後、第1、第2の保持片521、522の他方を支柱12aから外す。
【0042】
このような着脱式配線ダクトCによる場合であっても、保持部500の第1、第2の保持片521、522の間にラック10の板体12の端部を押し入れると、第1、第2の保持片521、522が板体12の支柱12aを係合する。このため、従来例と比べて取り付けが非常に簡単になる。また、収容部400と保持部500とが一体的に設けられていることから、部品点数が減少し、低コスト化を図る上でメリットがある。しかも、第1、第2の収容片410、420が開いた状態で、その間に配線20を入れた後、保持部500の第1、第2の保持片521、522をラック10の板体12の支柱12aに取り付けるだけで、第1、第2の保持片521、522が開いて第1、第2の収容片410、420が閉じ、これにより配線20が収容部400内に収容されるようになっている。このため、配線20の収容作業が非常に簡単になり、使い勝手が向上する。更に、第1、第2の収容片410、420は、樹脂製の弾性片であることから、閉じた状態であっても、その間に配線20を押し当てると、弾性変形する。これにより第1の収容片410の係合凹部411aと第2の収容片420の係合凸部421aとの係合が外れるので、配線20を出し入れすることができる。即ち、保持部500をラック10の柱体11に取り付け、第1、第2の収容片410、420が閉じた状態であっても、配線20を出し入れすることができるので、この点でも使い勝手が良く、便利である。
【実施例4】
【0043】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る着脱式配線ダクトについて図面を参照しながら説明する。図11は本発明の第4の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの斜視図、図12は同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図である。
【0044】
図11及び図12に示す着脱式配線ダクトDは、着脱式配線ダクトCと収容部600の形状の点で異なっている。よって、以下、その相違点について詳しく説明し、重複する部分については説明を省略する。なお、符号については、収容部に600を付す。
【0045】
収容部600は、保持部500の第1の保持片521に設けられており且つ先端部610が第2の保持片522に当接可能な略逆凹字状の弾性を有する片部材である。収容部600の先端部610は、第1、第2の保持片521、522の閉開に応じて第2の保持片522から離れたり近づいたりするようになっている。この収容部600の先端部610には、第2の保持片522の係合片522aに係合される係合片611が設けられている。
【0046】
保持部500の第2の保持片522の収容部600が当接する部分には、収容部600の係合片611と係合する係合片522aが設けられている。
【0047】
以下、着脱式配線ダクトDの使用方法を説明すると共に、各部の動作について説明する。ラック10の板体12の端部に取り付ける前の状態においては、保持部500の第1、第2の保持片521、522が閉じ、収容部600の先端部610が第2の保持片522から離れている。( 図12( b)参照) 。
【0048】
まず、配線20を収容部600の先端部610と第2の保持片522との間の隙間から収容部600内に入れる。そして、保持部500の第2の保持片522をラック10の板体12の一方の支柱12aに係合させる。その後、第1の保持片521を板体12の他方の支柱12aに押しつける( 即ち、保持部500の第1、第2の保持片521、522の間にラック10の板体12の端部を押し入れる) 。なお、第1の保持片521を一方の支柱12aに係合させた後、第2の保持片522を他方の支柱12aに押しつけるようにしても良い。
【0049】
すると、第1、第2の保持片521、522が開くと共に、当該第1の保持片521の先端部が弾性変形して他方の支柱12aを乗り越え、当該支柱12aを係合する( 図12( a)参照) 。このようにして着脱式配線ダクトDがラック10の板体12の端部に取り付けられる。この過程で、収容部600の先端部610が第2の保持片522に近づき、収容部600の係合片611が第2の保持片522の係合片522aに係合される。これにより配線20が収容部600に収容される。
【0050】
ラック10の板体12の端部から取り外すに当っては、収容部600を把持して板体12から離れる斜方向に引っ張る( 即ち、図示斜め上方に引っ張る) 。すると、保持部500の第1、第2の保持片521、522のいずれか一方が弾性変形して支柱12aから外れる。すると、第1、第2の保持片521、522が閉じるので、収容部600の係合片611と第2の保持片522の係合片522aとの係合が外れ、収容部600の先端部が第2の保持片522から離れる。これにより収容部600の先端部610と第2の保持片522との間の隙間から配線20を取り出すことが可能になる。その後、第1、第2の保持片521、522の他方を支柱12aから外す。
【0051】
このような着脱式配線ダクトDによる場合であっても、保持部500の第1、第2の保持片521、522の間にラック10の板体12の端部を押し入れると、第1、第2の保持片521、522が板体12の支柱12aを係合する。このため、従来例と比べて取り付けが非常に簡単になる。また、収容部600と保持部500とが一体的に設けられていることから、部品点数が減少し、低コスト化を図る上でメリットがある。しかも、収容部600の先端部610が保持部500から離れた状態で、当該先端部610と保持部500との間から配線20を入れた後、第1、第2の保持片521、522の間にラック10の板体12の端部を押し入れると、収容部600の先端部610が保持部500に近づいて当接する。このようにして配線20を収容部600に簡単に収容させることができるので、配線20の収容作業が非常に簡単になり、使い勝手が向上する。更に、収容部600は樹脂製の弾性を有する片部材であることから、収容部600の先端部610が保持部500に当接した状態で当該先端部610を保持部500から離れる方向に引っ張ると、収容部600の基端部が弾性変形する。これにより収容部600の先端部610と保持部500との間から配線を出し入れすることができる。即ち、ラック10の板体12に取り付け、収容部600の先端部610が保持部500に当接した状態であっても、配線20を出し入れすることができるので、この点でも使い勝手が良く、便利である。
【0052】
なお、上記着脱式配線ダクトは、OA機器等の電子機器の配線が入れられる収容部を有し、ラックの柱体又は板体の端部に着脱可能に取り付けられる樹脂製の着脱式配線ダクトであって、収容部が設けられた略逆凹字状の保持部を有しており、この保持部は、長さ方向の一端から他端にかけて設けられており且つ他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部と、この薄肉部により開閉可能に分割された第1、第2の保持片とを有しており、第1、第2の保持片がラックの柱体又は板体の端部を保持するようになっているようになっている限りどのように設計変更をしてもかまわない。なお、図13は本発明の第2の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの設計変更例を示す図であって、( a) は斜視図、( b) は取付状態及び非取付状態を示す正面図、図14は本発明の第4の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの設計変更例を示す図であって、( a) は斜視図、( b) は取付状態及び非取付状態を示す正面図、図15は本発明の第4の実施の形態に係る別の着脱式配線ダクトの設計変更例を示す図であって、( a) は取付状態を示す正面図、( b) は非取付状態を示す正面図である。
【0053】
収容部については、配線20が入れられる筒状をなすものであればどのような形状のものであっても良い。この収容部が第1、第2の収容片を有する構成である場合、第1、第2の収容片は、保持部の第1、第2の保持片に各々設けられており且つ第1、第2の保持片の閉開に応じて開閉する構成となっている限りどのような形状のものを用いてもかまわない。例えば、第1の収容片を略く字状とする一方、第2の収容片を第1の収容片と対向する略逆く字状とすることができる。また、第1、第2の収容片は上記実施例のように一対の形状である必要はない。例えば、図13に示すように、着脱式配線ダクトBの第1の収容片310’の先端部311’を略3/4円弧状に湾曲させた形状とする一方、第2の収容片320’の先端部321’を略1/4円弧状に湾曲させた形状としても良い。
【0054】
第1、第2の収容片の先端部には互いに係合するための係合手段が設けられているとしたが、係合手段を設けるか否か任意である。また、設けるに当たっては、上記実施例に限定されない。
【0055】
収容部が片部材である場合、保持部の第1、第2の保持片のいずれか一方に設けられており且つ先端部が保持部に当接可能な略逆凹字状の片部材であって、前記先端部は、第1、第2の保持片の閉開に応じて保持部から離れたり近づいたりするようになっている限りどのような形状のものを用いてもかまわない。また、図14に示すように、着脱式配線ダクトDの収容部600’の基端部620’の外側面に長さ方向の一端から他端にかけて切れ込み621’を入れ、これにより収容部600’の先端部610’が第2の保持片822から離れたり近づいたりし易くすることができる。更に、図15に示すように、着脱式配線ダクトDの収容部600’’の基端部620’’の内側面に長さ方向の一端から他端にかけて切れ込み621’’を入れ、これにより収容部600’’の先端部610’’が第2の保持片522’から離れたり近づいたりし易くすることができる。なお、前記切れ込みは他の実施例の収容部に設けることが可能であることは言う迄もない。
【0056】
収容部の先端部及び保持部の収容部が当接する部分には互いに係合するための係合手段が設けられているとしたが、係合手段を設けるか否か任意である。また、設けるに当たっては、上記実施例に限定されない。
【0057】
保持部については、長さ方向の一端から他端にかけて設けられており且つ他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部と、この薄肉部により開閉可能に分割された第1、第2の保持片とを有する構成である限りどのような形状のものを用いてもかまわない。なお、薄肉部については、保持部の中央部に設ける必要はなく、保持部の幅方向に位置ズレして設けるようにしてもかまわない。また、どのような方法で薄肉にするか否かは任意であり、薄肉部とすべき部分を薄肉に成形するようにしても良いし、切り込みを入れて薄肉としても良い。
【0058】
第1、第2の保持片については、上記実施例では、柱体11に沿って湾曲したもの( 第1、第2の保持片221、222) 、互いに対向する略つ字状、略逆つ字状のもの( 第1、第2の保持片521、522) であるとしたが、これに限定されることはない。例えば、角柱状の柱体を保持し得るように、第1、第2の保持片を互いに対向する略く字状、略逆く字状とすることができるし、ラック10の柱体11や本棚の板体を保持可能にするために、図14に示すように、第1、第2の保持片821、822を先端部が内側に向けて湾曲した直線状とすることができる。また、第1、第2の保持片は、互いに異なる形状とすることもできる。例えば、図15に示すように、第1の保持片521’を先端部が略レ字状に折れ曲がった形状にする一方、第2の保持片522’を略つ字状とすることも可能である。
【0059】
なお、上述した保持部と収容部とは、任意に組み合わせが可能であることは言う迄もない。また、保持部と収容部とは、長さ寸法が異なっていてもかまわない。換言すると、保持部が収容部よりも短くても良いし、長くても良い。また、保持部又は収容部を断続的に設けるようにすることもできる。上記着脱式配線ダクトは長尺状のものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの使用状態を示す斜視図である。
【図2】同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図である。
【図3】同ダクトの保持部の薄肉部を示す図2のα部分の拡大図である。
【図4】同ダクトの収容部の係合手段を示す図であって、( a) が図2のβ部分の拡大図、( b) が図2のγ部分の拡大図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの斜視図である。
【図6】同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図である。
【図7】同ダクトの保持部の薄肉部を示す図6のδ部分の拡大図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの斜視図である。
【図9】同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図である。
【図10】同ダクトの収容部の係合手段を示す図であって、( a) が図9のε部分の拡大図、( b) が図9のζ部分の拡大図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの斜視図である。
【図12】同ダクトの正面図であって、( a) が取付状態を示す図、( b) が非取付状態を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの設計変更例を示す図であって、( a) は斜視図、( b) は取付状態及び非取付状態を示す正面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの設計変更例を示す図であって、( a) は斜視図、( b) は取付状態及び非取付状態を示す正面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る着脱式配線ダクトの別の設計変更例を示す図であって、( a) は取付状態を示す正面図、( b) は非取付状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 ラック
11 柱体
12 板体
12a 支柱
20 配線
100 収容部
110 第1の収容片
120 第2の収容片
200 保持部
210 薄肉部
221 第1の保持片
222 第2の保持片
300 収容部
310 第1の収容片
320 第2の収容片
210’ 薄肉部
400 収容部
410 第1の収容片
420 第2の収容片
500 保持部
510 薄肉部
521 第1の保持片
522 第2の保持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OA機器等の電子機器の配線が入れられる収容部を有し、ラックや机の柱体又は板体の端部に着脱可能に取り付けられる樹脂製の着脱式配線ダクトにおいて、
収容部が設けられた略逆凹字状の保持部を有しており、この保持部は、長さ方向の一端から他端にかけて設けられており且つ他の部分よりも薄肉にされた直線状の薄肉部と、この薄肉部により開閉可能に分割された第1、第2の保持片とを有しており、第1、第2の保持片がラックの柱体又は板体の端部を保持するようになっていることを特徴とする着脱式配線ダクト。
【請求項2】
請求項1記載の着脱式配線ダクトにおいて、収容部は、保持部の第1、第2の保持片に各々設けられた弾性を有する第1、第2の収容片を有し、この第1、第2の収容片が第1、第2の保持片の閉開に応じて開閉することを特徴とする着脱式配線ダクト。
【請求項3】
請求項2記載の着脱式配線ダクトにおいて、第1、第2の収容片の先端部には互いに係合するための係合手段が設けられていることを特徴とする着脱式配線ダクト。
【請求項4】
請求項1記載の着脱式配線ダクトにおいて、収容部は、保持部の第1、第2の保持片のいずれか一方に設けられており且つ先端部が保持部に当接可能な弾性を有する略逆凹字状の片部材であって、前記先端部は、第1、第2の保持片の閉開に応じて保持部から離れたり近づいたりするようになっていることを特徴とする着脱式配線ダクト。
【請求項5】
請求項4記載の着脱式配線ダクトにおいて、収容部の先端部及び保持部の収容部が当接する部分には互いに係合するための係合手段が設けられていることを特徴とする着脱式配線ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−238597(P2006−238597A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49420(P2005−49420)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000195029)星和電機株式会社 (143)
【Fターム(参考)】