説明

着色剤、分散物、分散剤及びインク

【課題】広範囲の着色剤及びインク配合物に亘って安定性を与える、着色分散物のための分散剤を提供する。
【解決手段】1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有するPNP、並びに特定の親水性基及び疎水性基を含む第二ポリマー成分を含有する、着色剤、分散剤、分散物及びインクが提供される。また、PNP、並びに特定の親水性基及び疎水性基を含む第二ポリマー成分を含有する、着色剤、分散剤、分散物及びインクの製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤、分散剤、分散物及びインクに関する。特に、本発明は、1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有する架橋ポリマーナノ粒子(以下、「PNP」)並びにある種の親水性基及び疎水性基を含む第二ポリマー成分の組合せを含有する、着色剤、分散剤、分散物及びインクに関する。本発明は、また、着色剤、分散剤、分散物及びインクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機及び無機の顔料粒子並びに染料を含む多数の種類の着色剤を、液体中に分散させることができる。しかしながら、有機顔料のような多数の着色剤は、しばしば、一次顔料粒子のアグリゲートの大きい(例えば、100ミクロン超)粉末状凝集塊として提供される。残念ながら、大きい粉末状着色剤凝集塊の分散物を含む材料の色品質は、しばしば劣っている。従って、多くの着色剤は、例えば、粉砕及び微粉砕による、大きいエネルギーの入力を必要とし、そして改良された色品質を有する材料で使用するために、より小さい着色剤粒子、例えば一次顔料粒子の分散物を製造するために、特別の分散剤の使用を必要とする。染料は、一般的に顔料よりも一層分散性であるけれども、多くの染料は、熱、光及び放射線に露出された際に退色する傾向がある(劣った耐光堅牢度)。多くの染料は、また、移動する(即ち、「ブリードする」)傾向がある。有機顔料は、典型的に、染料と比較して、より良い耐光堅牢度を有しており、そして移動度がより低いけれども、これらは、典型的に、前記のように分散させることが困難である。改良された着色剤が求められている。
【0003】
粒子分散物は、本来不安定である。粒子分散物は、粒子が凝集するのを防止するために、有効な分散剤を必要とする傾向がある。適切な分散剤の例は、アニオン性、カチオン性及び非イオン性界面活性剤並びにポリマー分散剤である。分散剤としての界面活性剤は、2個の粒子の接近の際に不可逆的凝集を生じさせ得る、粒子表面と連続相との間の動的移動度を有するという欠点がある。分散剤としてのこれらの有効性は、また、分散物中に存在する水混和性有機溶媒の存在によって悪影響を受け得る。ポリマー分散剤は、粒子表面に複数の点で付着して、それらは、界面活性剤のいくつかの破壊モード(failure mode)に感受性でなくなる。これらは、また、電荷及び立体安定化の両方によって安定化し得る。しかしながら、ポリマー分散剤でさえ、安定化ポリマー鎖の崩壊又は粒子表面からのポリマー分散剤の脱離を起こし得る、種々の有機添加物の存在によって悪影響を受け得る。改良された分散剤及び分散物が求められる。
【0004】
インク、特にインクジェットインクを配合する際に、得られる印刷された画像の光学的及び物理的特性を最大にするために、種々の水混和性共溶媒、界面活性剤、保湿剤、水溶性ポリマーなどを含有することが望ましい。これらの種々のインク配合添加物の組み合わせた効果は、そうでない場合に安定な着色剤分散物を不安定にすることが見出されている。
【0005】
国際特許出願公開第2003014237号には、親水性セグメント及び疎水性セグメントを含むコポリマー分散剤であって、親水性セグメントが、好ましくは、メタクリル酸ポリマー又はスチレンスルホン酸のような他のモノマーとのそのコポリマーであり、そして疎水性セグメントが、好ましくは、複数のメタクリレート誘導モノマーを含む電子富化官能基を含有するポリマー又はコポリマーであるコポリマー分散剤が開示されている。また、モノマー性疎水性ヘッド及びポリマー性テイルを含むポリマーであって、好ましくは、モノマー性疎水性ヘッドが、(エチレングリコール)2,4,6−トリス−(1−フェニルエチル)フェニルエーテルであるポリマーも開示されている。これらの分散剤は、ある種のインク配合物に於けるある顔料のためには適切であるけれども、より広範囲の顔料及びインク配合物の使用を可能にするために、より大きい安定性についての要求が存在する。
【0006】
欧州特許出願公開第1245644号明細書及び欧州特許出願公開第1371688号明細書には、改良された着色剤及びインクを製造するためのPNPの使用が開示されている。これらの改良は、ある種のインク配合物に於けるある顔料のためには有利であるけれども、より広範囲の顔料及びインク配合物の使用を可能にするために、より大きい安定性についての要求が存在する。
【特許文献1】国際特許出願公開第2003014237号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第1245644号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1371688号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によって取り組まれる問題点は、広範囲の着色剤及びインク配合物に亘って安定性を与える、着色分散物のための分散剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)1種以上の顔料;(b)1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有する架橋ポリマーナノ粒子(「PNP」)、〔該PNPは、重合単位として、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含む〕;及び(c)重合単位として、親水性スペーサー単位によって、(メタ)アクリレート単位を含む主鎖基に結合した、多環式又は多芳香族末端単位を有する疎水性モノマー単位を含む第二ポリマーを含む、着色粒子の分散物を提供する。本発明は、更に、(a)液体媒体、並びに(b)(i)1種以上の顔料、(ii)1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有する架橋ポリマーナノ粒子(「PNP」)、〔該PNPは、重合単位として、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含む〕、及び(iii)重合単位として、親水性スペーサー単位によって、(メタ)アクリレート単位を含む主鎖基に結合した、多環式又は多芳香族末端単位を有する疎水性モノマー単位を含む第二ポリマー、を含む着色粒子の分散物を含む、インクジェットインクを提供する。本発明は、更に、微細固体粒子の製造方法であって、(a)凝集した顔料粒子を粉砕ミルの中に供給すること、(b)架橋ポリマーナノ粒子(「PNP」)を粉砕ミルの中に供給すること、ここで、PNPは、1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有し、かつ重合単位として、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含む、(c)重合単位として、親水性スペーサー単位によって、(メタ)アクリレート単位を含む主鎖基に結合した、多環式又は多芳香族末端単位を有する疎水性モノマー単位を含む第二ポリマーを供給すること、並びに(d)粉砕ミルを運転すること、を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
驚くべきことに、着色剤を分散させる方法に於いて、PNPを他の非PNPポリマーと組み合わせると、現在利用可能な材料及び上記同定された方法の問題点に取り組むことができる、着色剤分散物及びこのような分散物から製造されたインクを生じさせる。好ましくは、PNPには、少なくとも10重量%の組み合わされたポリマーが含まれる。
【0010】
用語「(メタ)アクリル」には、アクリル及びメタクリルの両方が含まれ、そして用語「(メタ)アクリレート」には、アクリレート及びメタクリレートの両方が含まれる。同様に、用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミドの両方を指す。「アルキル」には、直鎖、分枝鎖及び環式アルキル基が含まれる。本明細書に於いて定義される全ての範囲は、包括的であり、そして組み合わせることができる。他に示されない限り、本明細書に於ける用語「又は」の使用は、「又は」の包括形を指し、例えば、条件「A又はB」が真とは、下記のこと、即ち、Aは真である、Bは真である、A及びBは共に真である、の少なくとも一つが満足されるときである。
【0011】
モノマー又はモノマー単位を指すとき、用語「親水性」は、少なくとも6.0重量%の、20〜25℃で重量%基準での、水中の溶解度(水100g当たりの可溶性モノマーg)を有するモノマーを意味する。エチレン性不飽和親水性モノマーの例には、これらに限定されないが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、モノ−及びマルチ−エチレン性不飽和ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール並びに少なくとも6.0重量%の水中の溶解度を示すこれらの誘導体が含まれる。水中のモノマーの溶解度は公知である。例えば、データは、メルクインデックス(Merck Index)(第11版、メルク社(Merck & Co.,Inc.)、米国ニュージャージー州ローウェイ(Rahway))に記載されている。
【0012】
PNPは、重合単位として、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含む。PNPは、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合によって形成される。典型的に、PNPは、PNPの重量基準で少なくとも1重量%の、少なくとも1種の重合したマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含有する。PNPの重量基準で、100%を含めて100%までの重合したマルチ−エチレン性不飽和モノマーを、本発明のPNP中に有効に使用することができる。重合したマルチ−エチレン性不飽和モノマーの量は、PNPの重量基準で約1%〜約80%、更に好ましくはPNPの重量基準で約1%〜約60%、最も好ましくはPNPの重量基準で1%〜25%であることが好ましい。PNP及びその製造方法は、欧州特許出願公開第EP1245644号(第US20030055178号)明細書(参照してここに組み込まれる)に開示されている。
【0013】
PNPは、典型的に、500〜1,000,000の範囲内、好ましくは1,000〜900,000の範囲内、更に好ましくは2,000〜800,000の範囲内、なお更に好ましくは3,000〜700,000の範囲内、なお更に好ましくは4,000〜600,000の範囲内、なお更に更に好ましくは5,000〜500,000の範囲内、実質的に更に好ましくは10,000〜500,000の範囲内、最も好ましくは15,000〜100,000の範囲内の、見掛けGPC重量平均分子量を有する。本明細書で使用されるとき、「見掛け重量平均分子量」は、PNP粒子のサイズを反映する。それによってPNPのGPC溶離時間は、見掛け重量平均分子量測定値の指標を与え、必ずしも絶対重量平均分子量測定値を与えない。本明細書で使用されるとき、用語「分子量」は、PNPを説明するとき、標準的ゲル浸透クロマトグラフィー方法を使用して、例えば、40℃でTHF溶媒、3ピーエルゲル(Plgel)カラム(ポリマー・ラブス社(Polymer Labs))、100オングストローム、10^3、10^4オングストローム、30cm長さ、7.8mm内径、1mil/分、100マイクロリットル注入体積、ポリマー・ラブス・キャリブレ(CALIBRE)(商標)ソフトウエアを使用し狭いポリスチレン標準物質に対する較正を使用して得られる、見掛け分子量を指す。
【0014】
本発明の種々の態様に於いて、他に示さない限り、PNPは、1〜20nmの範囲内、好ましくは1〜10nmの範囲内、更に好ましくは10nmよりも小さい、なお更に好ましくは2〜8nmの範囲内の平均直径を有する。
【0015】
PNPとの組み合わせにおけるのは、親水性基及び疎水性基を含む第二非PNPポリマーである。第二ポリマーは、重合単位として、親水性スペーサー構造、例えばポリエチレンオキシド単位を介して、(メタ)アクリレート単位を含む主鎖基に結合した、多環式又は多芳香族末端構造からなる疎水性成分を含む。好ましくは、主鎖基中の(メタ)アクリレート単位の少なくとも20重量パーセントは、親水性モノマー単位である。
【0016】
着色剤には、染料、顔料又はこれらの組合せが含まれ、そして着色剤は、好ましくは有機又は無機顔料である。分散されるとき、本発明の着色分散物は、塗料、例えば、建築用塗料、工業用塗料又は紙塗料及びインク、特にインクジェットインクの中に配合することができる。典型的なインクジェットインク配合物には、液体媒体、好ましくは主として水、更に好ましくは脱イオン水、着色剤分散物及び任意にバインダー成分が含有されている。使用する場合、典型的に、バインダーは、インクの全重量基準で、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%のレベルで存在する。典型的に、水性担体は、インクの全重量基準で、40〜95重量%、好ましくは55〜80重量%、更に好ましくは70〜80重量%で存在する。ポリマー分散剤は、典型的に、インクの全重量基準で0.1〜5重量%で使用される。
【0017】
水中の顔料分散物のような微細な固体分散物は、顔料、分散剤、水及び任意の添加物を混合し、そして、例えば、横型媒体ミル、縦型媒体ミル又は磨砕機ミル、例えば、ネッツシュ(Netzsch)ブランドゼータミル若しくはプレミア(Premier)ブランドスーパーミル内で微粉砕することによって、製造することができる。本発明のための着色剤分散方法は、限定されず、分散機、例えば、媒体ミル、ピンミル(pin mill)、サンドミル、パールミル(pearl mill)、攪拌機ミル、ショットミル(shot mill)若しくは3本ロールミル又は高圧ホモジナイザー、例えば、ミクロフルイダイザー、ナノマイザー(nanomizer)若しくはマルチマイザー(multimizer)又は超音波分散機を使用するものから選択することができる。使用することができる当該技術分野で公知の他の微粉砕技術には、例えば、超音波微粉砕、例えば、ミクロフルイディックス・インターナショナル社(Microfluidics International)、米国マサチューセッツ州ニュートン(Newton)からのミクロフルイダイザー(Microfluidizer)(登録商標)を使用する、ミクロチャンネル又は高剪断高圧微粉砕による微粉砕が含まれる。用語「微粉砕」又は「粉砕ミル」は、全てのこのような技術及び装置を包含するように意味される。
【0018】
幾つかの微粉砕用途に於いて、微粉砕媒体は、種々の材料、例えば、スチール、セラミック、ガラス又はポリマービーズから選択される。一般的な媒体には、セラミック媒体、例えば、日本のトーソー社(Tosoh)からのYTZ(登録商標)媒体を含むイットリア安定化酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニア及びジルコニウム−アルミニウム酸化物が含まれる。一般的な媒体サイズは、直径が0.1mm〜3.0mmである。このような粉砕媒体は、典型的に5.5〜7.7g/mLの間で変化する密度及び7〜9のモース硬度で、高密度で硬い。材料のモース硬度値は、引っ掻きに対する材料耐性を示す。ダイヤモンドは、10の最高モース硬度を有し、そしてタルクは1のモース硬度を有する。
【0019】
硬い微粉砕媒体は、イットリア、ジルコニア、ニッケル及び鉄のような重金属を、分散物の中に導入するであろう。重金属汚染を減少するために、幾つかのミルチャンバーは、ステンレススチールミルチャンバーからのニッケル及び鉄含有量並びに粉砕媒体からの幾らかの金属含有量を減少させる、ポリウレタン被覆剤で被覆されている。重金属汚染を減少させる他の方法は、粉砕媒体としてポリマービーズを使用することである。それは、このような媒体が、重金属を導入せず、そしてポリウレタンでチャンバーを塗布する必要性を排除し、それによって、熱移動容量のためのチャンバー本体の使用を可能にするからである。ポリマー媒体は軽く、典型的に1.1〜1.6g/mLの密度を有する。
【0020】
本発明のポリマー分散剤の組合せは、好ましくは、20〜200ナノメートルのサイズ範囲内の着色剤粒子のための、高い負荷量及び迅速な微粉砕速度のために使用される。好ましくは、着色剤粒子及び少なくとも1種のポリマー分散剤のプレミックスが、微粉砕の前に製造される。
【0021】
適切な顔料には、例えば、有機顔料、例えばアゾ化合物、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ、カーボンブラック、チオインジゴ顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料及びイソインドレン並びに無機顔料、例えば二酸化チタン、酸化鉄及び金属粉末が含まれる。顔料は、自己分散型の顔料であってよく又はそうでなくてよい。典型的に、使用される着色剤分散物の量は、インクの全重量基準で、10重量%未満、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは0.5〜7重量%である。好ましくは、顔料粒子サイズは、0.05〜5ミクロン、更に好ましくは1ミクロン以下、最も好ましくは0.3ミクロン以下である。
【0022】
インクジェットインクには、また、例えば、保湿剤、分散剤、浸透剤、キレート化剤、緩衝剤、殺生物剤、殺真菌剤、殺バクテリア剤、界面活性剤、カール防止剤、ブリード防止剤及び表面張力調節剤が含有されていてよい。有用な保湿剤には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、200、300、400、600、900、1000、1500及び2000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、425、725、1000及び2000の平均分子量を有するポリプロピレングリコール、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−ピペリドン、N−エチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−アセチルエタノールアミン、N−メチルアセトアミド、ホルムアミド、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2,2−チオジエタノール、3,3−チオジプロパノール、テトラメチレンスルホン、ブタジエンスルホン、炭酸エチレン、ブチロールアセトン、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、1,2,4−ブテントリオール、トリメチルプロパン、ソルビタール、パントテノール、リポニックEG−1(Liponic EG−1)が含まれる。好ましい保湿剤は、400〜1000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、2−ピロリドン、2,2−チオジエタノール及び1,5−ペンタンジオールである。使用される保湿剤の量は、インクの全重量基準で1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲であってよい。好ましい浸透剤は、1,2−C1〜C4アルキルジオール、例えば1,2−ヘキサンジオール、N−プロパノール、イソプロパノール及びヘキシルカルビトールである。使用される浸透剤の量は、インクの全重量基準で0.1〜10重量%の範囲であってよい。
【0023】
インクジェットインクは、当該技術分野で公知の任意の方法により、例えば、成分を一緒に混合し、攪拌又はかき回すことによって製造することができる。インクジェットインクには、追加的に、所望により、キレート化剤、緩衝剤、殺生物剤、殺真菌剤、殺バクテリア剤、界面活性剤、カール防止剤、ブリード防止剤及び表面張力調節剤のようなアジュバントが含有されていてよい。本発明の着色剤分散物と配合されるインクジェットインクは、それぞれ平らな及び光沢のある写真用紙上で、高い光学濃度及び光沢を有する。
【0024】
このインクジェットインクは、感熱又は圧電インクジェットインクプリンタ、例えば、レックスマーク(Lexmark)7000、レックスマーク5700、レックスマークZ32、レックスマークZ51、レックスマークZ−65、レックスマーク2050プリンタ、エプソン・スタイラス(Epson Stylus)3000、C−82、C−84、ヒューレット−パッカード(Hewlett−Packard)・デスクジェット550、570、694C、698、894、895Ci及びキャノン750を使用して、紙、ビニルなどのような支持体に適用することができる。このインクは、周囲温度で乾燥させるか又は加熱してより高い温度で乾燥させることができる。
【0025】
下記の実施例は、本発明の例示である。実施例に於いて、P/Dは、固体顔料のポリマー分散剤に対する重量比を意味する。アイガー(Eiger)横型媒体ミルは、米国イリノイ州グレイスレイク(Grayslake)にある、アイガー・マシナリー社(Eiger Machinery,Inc.)から入手できるアイガー「ミニ」MkIIミルを指す。ディスパーマット(Dispermat)は、ドイツ国ライヒショフ(Reichshof)にある、VMAゲッツマン社(VMA Getzmann GmbH)から入手できる、ディスパーマットPE実験室分散機を指す。コルデックス(Kordex)LX5000は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)にある、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Company)から入手できる市販の殺生物剤である。サーフィノール(Surfynol)465は、米国ペンシルベニア州アレンタウン(Allentown)にある、エアー・プロダクツ社(Air Products,Inc.)から入手できる市販の界面活性剤である。BYK022は、米国コネチカット州ウォーリングフォード(Wallingford)にある、BYK−ヘミー・USA社(BYK−Chemie USA)から入手できる市販の脱泡剤である。X−ライト(X−Rite)デンシトメーターは、米国ミシガン州グランドビル(Grandville)にある、X−ライト社(X−Rite,Inc.)から入手できる、500シリーズ・スペクトロデンシトメーターを指す。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
SEM−25ポリマーの製造
【0027】
一般的組成物シポマー(Sipomer)SEM25(SEM25)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)の非PNPポリマー分散剤のサンプルを、この実施例に記載したようにして製造した。シポマーSEM25(化学名、トリスチリルフェノールポリエトキシメタクリレート)は、米国ニュージャージー州クランバリー(Cranbury)にある、ローディア社(Rhodia,Inc.)から入手できるモノマーである。1,231gのイソプロパノールを含有する反応容器を、79℃に加熱する。9gのイソプロパノール中に溶解した9.6gのt−ブチルペルオキシピバラート(75%活性)の混合物を、この反応容器に125分間かけて供給する。同時に、60gのイソプロパノール中に溶解した225gのシポマーSEM25(60%活性、20%MAA、20%水)、71.1gのAAを含有する混合物を、この反応容器に120分間かけて供給する。両方の供給が完結した後、反応容器を79℃で30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの第二混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの第三混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を150分間、79℃で保持する。この最終保持の後、次いで、反応容器を40℃まで冷却し、そして反応容器の内容物を、1000gの脱イオン水中に予備希釈した、146gの45重量%水酸化カリウムの混合物で中和する。次いで、イソプロパノールを、真空蒸留によって反応容器から除去する。最終の蒸留された水性ポリマー分散剤は、下記の特性を有する。14.3%固体、pH8.5、ブルックフィールド粘度2,410cps。
【0028】
(実施例2)
SEM−25ポリマーの製造、より低いAA
【0029】
一般的組成物シポマーSEM25(SEM25)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)の分散剤のサンプルを、この実施例に記載したようにして製造した。1,231gのイソプロパノールを含有する反応容器を、79℃に加熱する。9gのイソプロパノール中に溶解した9.6gのt−ブチルペルオキシピバラート(75%活性)の混合物を、この反応容器に125分間かけて供給する。同時に、60gのイソプロパノール中に溶解した268gのシポマーSEM25(60%活性、20%MAA、20%水)、2.5gのAAプラス34.3gのMAAを含有する混合物を、この反応容器に120分間かけて供給する。両方の供給が完結した後、反応容器を79℃で30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの第二混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの第三混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を150分間、79℃で保持する。この最終保持の後、次いで、反応容器を40℃まで冷却し、そして反応容器の内容物を、1000gの脱イオン水中に予備希釈した、146gの45重量%水酸化カリウムの混合物で中和する。次いで、イソプロパノールを、真空蒸留によって反応容器から除去する。最終の蒸留された水性ポリマー分散剤は、下記の特性を有する。10.3%固体、pH7.24、粘度3,612cps。
【0030】
(実施例3)
SEM−16ポリマーの製造
【0031】
一般的組成物「SEM16」、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)の分散剤のサンプルを、この実施例に記載したようにして製造した。「SEM16」は、また、エトキシル化トリスチリルフェノールメタクリレートモノマーであり、そして米国ニュージャージー州クランバリーにある、ローディア社によって、製品名称DV−7486で提供された。これは、エトキシル化単位のモル数が、シポマーSEM25とは異なる。即ち、「SEM16」は16モルを有し、そしてシポマーSEM25は25モルを有する。1,231gのイソプロパノールを含有する反応容器を、79℃に加熱する。9gのイソプロパノール中に溶解した9.6gのt−ブチルペルオキシピバラート(75%活性)の混合物を、この反応容器に125分間かけて供給する。同時に、60gのイソプロパノール中に溶解した167.0gの「SEM16」(60%活性、20%MAA、20%水)、10.5gのMAA、69.14gのAAを含有する混合物を、この反応容器に120分間かけて供給する。両方の供給が完結した後、反応容器を79℃で30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの第二混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、12gのイソプロパノール中に溶解した4.8gのt−ブチルペルオキシピバラートの第三混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を150分間、79℃で保持する。この最終保持の後、次いで、反応容器を40℃まで冷却し、そして反応容器の内容物を、1000gの脱イオン水中に予備希釈した、142gの45重量%水酸化カリウムの混合物で中和する。次いで、イソプロパノールを、真空蒸留によって反応容器から除去する。最終の蒸留された水性ポリマー分散剤は、下記の特性を有する。18.5%固体、pH7.3、ブルックフィールド粘度260cps。
【0032】
(実施例4)
PNPの製造
【0033】
一般的組成物ベンジルメタクリレート(BzMA)、メチルメタクリレート(MMA)、アクリル酸(AA)及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)の分散剤のサンプルを、下記のようにして製造した。2,462gのイソプロパノールを含有する反応容器を、79℃に加熱する。18gのイソプロパノール中に溶解した19.2gのt−ブチルペルオキシピバラート(75%活性)の混合物を、この反応容器に125分間かけて供給する。同時に、120gのイソプロパノール中に溶解した201gのBzMA、150.8gのMMA、100.5gのAA及び50.2gのTMPTAを含有する混合物を、この反応容器に120分間かけて供給する。両方の供給が完結した後、反応容器を79℃で30分間保持する。30分間の保持が完結した後、24gのイソプロパノール中に溶解した9.6gのt−アミルペルオキシピバラートの混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、24gのイソプロパノール中に溶解した9.6gのt−アミルペルオキシピバラートの第二混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を30分間保持する。30分間の保持が完結した後、24gのイソプロパノール中に溶解した9.6gのt−アミルペルオキシピバラートの第三混合物を、反応容器に1分間かけて添加する。次いで、反応容器を150分間、79℃で保持する。この最終保持の後、次いで、反応容器を40℃まで冷却し、そして反応容器の内容物を、2000gの脱イオン水中に予備希釈した、148gの45重量%水酸化カリウムの混合物で中和する。次いで、イソプロパノールを、真空蒸留によって反応容器から除去する。最終の蒸留された水性ポリマー分散剤は、下記の特性を有する。24.4%固体、pH8.5、ブルックフィールド粘度<10cps。このPNP粒子は、19.3ナノメートルの平均直径を有している。
【0034】
粒子サイズは、時間ベースオートコリレーター(time based auto−correlator)及び532ナノメートル波長レーザーを用いて動的光散乱(DLS)を使用して決定される。サンプルを、pH8.5で水中の公称1重量パーセント固体溶液で調製し、そして分析の前に、希薄溶液を、0.1ミクロン細孔サイズ膜フィルターに通過させることによる濾過によって清澄にする。観察された自己相関関数のDLS緩和時間を、波動ベクトルの二乗に対して、145°〜50°散乱角の複数の観察角にわたってプロットし、次いでこの直線の勾配を使用して、ポリマーの相互拡散係数を決定する。観察された相互拡散係数を、ポリマーが球状であると仮定し、球の拡散のためのストークス−アインシュタインの式を使用することによって、流体力学的直径に変換する。
【0035】
(実施例5)
シアン分散物の製造(w/実施例1分散剤のみ)
【0036】
150gのフタロシアニンブルー15:3(アズテク(Aztech))顔料を、実施例1に従って製造したポリマーの水溶液126.1gに添加した。この混合物を、高速ディスパーマットを使用して分散させた。このプレミックスを、0.6〜0.9mmのポリスチレン粉砕媒体を装入した250mLのアイガー横型媒体ミルの中に供給した。この混合物を、42.2gのポリマーの間欠的添加を伴う再循環方式で、32〜35%固体で微粉砕した。104nmの顔料粒子サイズが、7の最終P/Dで10時間以内に製造された。この分散物を20%固体にまで希釈し、そして0.45ミクロンカプセルフィルターに通して濾過した。本発明の顔料分散物は、有機共溶媒の存在及び熱老化(65℃、30日)に対して安定であることが見出された。
【0037】
(実施例6)
イエロー分散物の製造(w/実施例1分散剤のみ)
【0038】
151gのピグメントイエロー747(サン(Sun))を、実施例1に従って製造したポリマーの水溶液127.0gに添加した。この混合物を、高速ディスパーマットを使用して分散させた。このプレミックスを、0.6〜0.9mmのポリスチレン粉砕媒体を装入した250mLのアイガー横型媒体ミルの中に供給した。この混合物を、43.3gのポリマーの間欠的添加を伴う再循環方式で、33〜35%固体で微粉砕した。113nmの顔料粒子サイズが、7の最終P/Dで10時間以内に製造された。この分散物を20%固体にまで希釈し、そして0.45ミクロンカプセルフィルターに通して濾過した。本発明の顔料分散物は、熱老化及び有機共溶媒の存在(65℃、30日)に対して安定であった。
【0039】
(実施例7)
マゼンタ分散物の製造(w/実施例1分散剤のみ)
【0040】
150gのピグメントレッド122(サン)を、実施例1に従って製造したポリマーの水溶液に添加した。この混合物を、高速ディスパーマットを使用して分散させた。このプレミックスを、0.8mmのイットリア処理ジルコニア(YTZ)粉砕媒体を装入した250mLのアイガー横型媒体ミルの中に供給した。この混合物を、再循環方式で約20時間微粉砕して、5の最終P/Dで153nmの顔料粒子サイズを製造した。この分散物を20%固体にまで希釈し、そして0.45ミクロンカプセルフィルターに通して濾過した。
【0041】
(実施例8)
シアン分散物の製造(w/実施例3分散剤のみ)
【0042】
下記に同定した成分を、80%まで装填した0.8mmYTZセラミック媒体を有する250mLのアイガーミル内で分散させて、ナノトラック(Nanotrac)150で測定した123nmの平均体積粒子サイズにした。
【0043】
【表1】

【0044】
(実施例9)
マゼンタ分散物の製造(w/実施例4PNPのみ)
【0045】
下記に同定した成分を、80%まで装填した0.8YTZセラミック媒体を有する250mLのアイガーミル内で分散させて、ナノトラック150で測定した169nmの平均体積粒子サイズにした。分散物は、アイガーミルから取り出して24時間後にゲル化した。
【0046】
【表2】

【0047】
(実施例10)
シアン分散物の製造(w/実施例2及び実施例4分散剤)
【0048】
下記に同定した成分を、80%まで装填した0.8mmYTZセラミック媒体を有する250mLのアイガーミル内で分散させて、ナノトラック150で測定した99nmの平均体積粒子サイズにした。
【0049】
【表3】

【0050】
(実施例11)
イエロー分散物の製造(w/実施例2及び実施例4分散剤)
【0051】
下記に同定した成分を、80%まで装填した0.8YTZセラミック媒体を有する250mLのアイガーミル内で分散させて、ナノトラック150で測定した110nmの平均体積粒子サイズにした。
【0052】
【表4】

【0053】
(実施例12)
マゼンタ分散物の製造(w/実施例2及び実施例4分散剤)
【0054】
下記に同定した成分を、80%まで装填した0.8YTZセラミック媒体を有する250mLのアイガーミル内で分散させて、ナノトラック150で測定した120nmの平均体積粒子サイズにした。
【0055】
【表5】

【0056】
(実施例13)
安定性結果
【0057】
実施例5〜12に於ける着色剤分散物の安定性を、10%のジエチレングリコールブチルエーテル及び残りのDI水で5%顔料固体で顔料分散物を製造することによって評価した。サンプルを、テフロン(登録商標)シールを有する低形ガラスバイアル内で製造した。追加のpH調節は行わなかった。着色剤を、磁気攪拌機によって攪拌しながら、予め測定した液体に添加し、1分間混合し、蓋をし、次いでビニルテープで蓋をシールした。サンプルを、実験室オーブン内で、50〜60℃で、アルミニウムトレー内で貯蔵した。熱老化の前及び後で、粒子サイズ分布をナノトラック150によって測定した。平均体積粒子サイズ、標準偏差、d95及び最大粒子サイズを、安定性決定のために記録した。多くのケースで、粒子サイズ成長、例えば、最初の100nmの平均体積から、50〜60℃で1日後に400nmまでが、24時間後に見出された。安定なサンプルについて、測定を、週に1回、8週まで続けた。それらが、8週後に粒子サイズに於ける5%未満の成長を示した場合、サンプルは安定であるとして分類した。
【0058】
試験した単一の分散剤組成物の何れも、全ての顔料について安定性に合格しなかったことが見出された。その結果を下記の表1に示す。
【0059】
【表6】

【0060】
本発明の発明2成分系分散剤のみが、評価した全ての顔料について、10%ジエチレングリコールブチルエーテルの存在下で熱老化安定性を与えることが見出された。
【0061】
(実施例14)
インクジェットインク配合物
【0062】
インクジェットインクを、下記の表2に示すような、印刷試験のための下記の配合の一つで、実施例5〜8及び10〜12の着色剤分散物から製造した。
【0063】
【表7】

【0064】
溶媒及び水を最初に秤量し、次いで磁気攪拌機によって攪拌しながら、着色剤を添加した。このインクを、1ミクロンガラスシリンジフィルターに通して濾過し、そしてデシケーター内のハウス真空下で脱気した。インクジェット・ウエアハウス(Ink Jet Warehouse)C82カートリッジに、この実験インクを充填し、そして更にハウス真空下で2時間脱気した。このカートリッジをエプソンC82プリンタ内に設置し、そして紙を選択して試験パターンを印刷するために使用した。
【0065】
光学濃度(OD)結果を、X−ライト手持ち式デンシトメーターで測定した。ボイス・アスペン(Boise Aspen)054901紙は、普通紙の代表であることが見出され、アスペン054901上のOD結果を、下記の表3に要約する。20度での光沢結果を、エプソン写真光沢紙S041286上で測定し、下記の表3に要約する。
【0066】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の顔料;
1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有する架橋ポリマーナノ粒子(「PNP」)、該PNPは、重合単位として、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含む;および
重合単位として、親水性スペーサー単位によって、(メタ)アクリレート単位を含む主鎖基に結合した、多環式又は多芳香族末端単位を有する疎水性モノマー単位を含む第二ポリマー:
を含む、着色粒子の分散物。
【請求項2】
PNPが、重合単位として、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸及びトリメチロールプロパントリアクリレートを含む、請求項1記載の着色粒子。
【請求項3】
第二ポリマーが、重合単位として、トリスチリルフェノールポリエトキシメタクリレート、アクリル酸及びメタクリル酸を含む、請求項1記載の着色粒子。
【請求項4】
第二ポリマーの主鎖基の(メタ)アクリレート単位が、少なくとも20重量パーセントの親水性モノマーを含む、請求項1記載の着色粒子。
【請求項5】
液体媒体、並びに
(i)1種以上の顔料、(ii)1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有する架橋ポリマーナノ粒子(「PNP」)、該PNPは、重合単位として、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含み、及び(iii)重合単位として、親水性スペーサー単位によって、(メタ)アクリレート単位を含む主鎖基に結合した、多環式又は多芳香族末端単位を有する疎水性モノマー単位を含む第二ポリマー、を含む着色粒子の分散物:
を含む、インクジェットインク。
【請求項6】
第二ポリマーの主鎖基の(メタ)アクリレート単位が、少なくとも20重量パーセントの親水性モノマーを含む、請求項5記載のインクジェットインク。
【請求項7】
シアン、マゼンタ及びイエローを含むインクセットであって、インクセットのインクの少なくとも1つが、請求項5記載のインクジェットインクであるインクセット。
【請求項8】
微細固体粒子の製造方法であって、
凝集した顔料粒子を粉砕ミルの中に供給すること;
架橋ポリマーナノ粒子(「PNP」)を粉砕ミルの中に供給すること、ここで、PNPは、1〜20ナノメートルの範囲内の平均直径を有し、かつ重合単位として、少なくとも1種のマルチ−エチレン性不飽和モノマーを含む;
重合単位として、親水性スペーサー単位によって、(メタ)アクリレート単位を含む主鎖基に結合した、多環式又は多芳香族末端単位を有する疎水性モノマー単位を含む第二ポリマーを供給すること;並びに
粉砕ミルを運転すること
を含む方法。
【請求項9】
顔料粒子と、(a)PNP又は(b)第二ポリマーの少なくとも1つとが、粉砕ミルの中に供給する前に混合される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
粉砕媒体が粉砕ミルの中に組み入れられる、請求項8記載の方法。

【公開番号】特開2006−321992(P2006−321992A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−117671(P2006−117671)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】