説明

着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ及びこれを具備した液晶表示装置

【課題】カラーフィルタに適用する際、低露光量でもパターンの欠けはなく、透過度の低下がないため優秀な感度を示す着色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】着色材料(A)、結合剤樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、前記光重合開始剤(D)が、一つの分子内に少なくとも2つの光活性オキシムエステル骨格を有する化合物を含む着色感光性樹脂組成物において、前記一つの分子内に少なくとも2つの光活性オキシムエステル骨格を有する化合物は、下記化学式18で表される化合物がR1又はR2を介して二量化された化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置の画素を含む着色層を、薄膜トランジスタ(TFT)方式のカラー液晶表示装置の駆動用基板上に形成するために使用する着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ及びこれを具備した液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、撮像素子、液晶表示装置(LCD)などに広く利用されるものであり、その応用範囲が急速に拡大されている。カラー液晶表示装置や撮像素子などに使用されるカラーフィルタは、通常ブラックマトリックスがパターン形成された基板上に赤色、緑色及び青色の各色に相当する顔料を含む着色感光性樹脂組成物を、スピンコーティングによって均一に塗布した後、加熱乾燥(以下、「予備焼成」と称することもある)して形成された塗膜を露光、現像し、必要に応じて更に加熱硬化(以下、「後焼成」と称することもある)する操作を色ごとに反復し、各色の画素を形成することで製造されている。
【0003】
このような着色感光性樹脂組成物として、顔料及び結合剤樹脂と共に光重合性化合物及び光重合開始剤を含む組成物が多く使用されており、ブラックマトリックスの形成にも黒色顔料を含む感光性樹脂組成物が利用されている。
【0004】
最近、着色感光性樹脂組成物は、工程上の収率を向上させるために、少ない露光量でも高い透過度による優秀な感度と、優れた密着性を有するようにする物性が求められている。
【0005】
このため、従来の技術では、着色感光性樹脂組成物内に多官能モノマーの含量を高めて架橋度を高める方法で感度を向上させようとしたが、このような方法は、現像の際、非露光部に残渣が残るか、現像タイプが剥離タイプに進行され、パターンが欠ける現像による表示不良の原因となっていた。
【0006】
最近では、着色感光性樹脂組成物内に感度が優秀な光活性オキシムエステル基を含む光重合開始剤、即ち、一つの分子内に一つの光活性オキシムエステル骨格を含む化合物を導入して感度を向上させようとしていた。しかし、光活性オキシムエステル基を含む光重合開始剤の含量が適正量を超過する場合には、輝度の低下をもたらし、色特性の不良及び露光機を汚染させる問題点があり、これに対する解決策が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、カラーフィルタに適用する際、低露光量でもパターンの欠けはなく、透過度の低下がないため優秀な感度を示す着色感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記着色感光性樹脂組成物を利用して製造されるカラーフィルタを提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、前記カラーフィルタを具備した液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明は、着色材料(A)、結合剤樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、前記光重合開始剤(D)は、一つの分子内に少なくとも2つの光活性オキシムエステル骨格を有する化合物を含むことを特徴とする着色感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、本発明による着色感光性樹脂組成物を所定のパターンに形成した後、露光及び現像して形成されるカラー層を含むカラーフィルタを提供する。
【0012】
本発明はまた、本発明によるカラーフィルタを具備した液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明による着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルタに適用する際、低露光量でもパターンの欠けはなく、透過度の低下がないため優秀な感度を示す優秀な高品質のカラーフィルタ及びこれを具備した液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による着色感光性樹脂組成物を使用してカラーフィルタを形成する工程を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明による着色感光性樹脂組成物を使用してカラーフィルタを形成する工程を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明による着色感光性樹脂組成物は、着色材料(A)、結合剤樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含む着色感光性樹脂組成物であり、前記光重合開始剤(D)が一つの分子内に少なくとも2つの光活性オキシムエステル骨格を有する化合物を含む。
【0017】
〔着色材料(A)〕
前記着色材料(A)は通常顔料であり、顔料分散レジストに一般的に使用される有機顔料又は無機顔料であることが好ましい。前記着色材料(A)は、必要に応じて染料を使用してもよい。
【0018】
無機顔料としては金属酸化物や金属錯塩などの金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン、バリウム、カルシウムなどの金属の酸化物又は複合金属酸化物などが挙げられる。また、カーボンブラックを含んでもよい。
【0019】
前記有機顔料及び無機顔料としては、具体的には、色指数(The society of Dyers and Colourists出版)でピグメントで分類されている化合物が挙げられ、更に具体的には、以下のような色指数(C.I.)番号の顔料が挙げられるが、必ずしもこれらに限られない。
C.I.ピグメントイエロー20,24,31,53,83,86,93,94,109,110,117,125,137,138,139,147,148,150,153,154,166,173,180及び185
C.I.ピグメントオレンジ13,31,36,38,40,42,43,51,55,59,61,64,65,及び71
C.I.ピグメントレッド9,97,105,122,123,144,149,166,168,176,177,180,192,215,216,224,242,254,255及び264
C.I.ピグメントバイオレット14,19,23,29,32,36,37及び38
C.I.ピグメントブルー15(15:3,15:4,15:6など),21,28,60,64及び76
C.I.ピグメントグリーン7,10,15,25,36,47及び58
C.I.ピグメントブラウン28
C.I.ピグメントブラック1及び7など
【0020】
これらの着色材料(A)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
前記着色材料(A)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して、質量分率で5〜60質量%、好ましくは、10〜50質量%である。着色材料(A)の含有量が前記の基準で5〜60質量%の範囲であれば、薄膜を形成しても画素の色濃度が充分であり、現像の際、非画素部の欠落性が低下せず、残渣が発生しにくいため好ましい。
【0022】
本発明において、着色感光性樹脂組成物中の固形分とは、溶剤を除去した成分の合計を意味する。
【0023】
着色材料が顔料である場合、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液の中で均一に分散された状態の顔料分散液を得ることができる。
【0024】
前記顔料分散剤としては、例えば、シリコン系、フッ素系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリアクリル系、正イオン系、負イオン系、非イオン系、陽性などの界面活性剤を使用してもよく、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
顔料分散剤を使用する場合、その使用量は、着色感光性樹脂組成物中の着色材料(A)1質量部当たり好ましくは1質量部以下であり、更に好ましくは、0.05質量部〜0.5質量部である。顔料分散剤の使用量が前記範囲にあれば、均一な分散状態の顔料が得られるため、前記顔料分散剤は前記範囲内で使用することが好ましい。
【0026】
〔結合剤樹脂(B)〕
前記結合剤樹脂(B)は、通常、光や熱の作用による反応性及びアルカリ溶解性を有し、着色材料の分散媒として作用する。本発明の着色感光性樹脂組成物に含有される結合剤樹脂(B)としては、着色材料(A)に対する結合剤樹脂として作用し、カラーフィルタの製造のための現像段階で使用されるアルカリ性現像液に溶解され得る結合剤樹脂であれば全て使用することができる。
【0027】
前記結合剤樹脂(B)は、下記化学式1で表されるノルボルネン骨格化合物(B1)、芳香族ビニル化合物又はN−置換マレイミド化合物(B2)及びカルボキシル基と不飽和結合を有する化合物(B3)を含む化合物の共重合反応で得られる共重合体であることが好ましく、前記得られた共重合体に、1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物(B4)を更に反応させて得られる不飽和基含有樹脂であることが更に好ましい。
【化1】


(前記化学式1において、nは0又は1であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子を含むか含まない炭素原子数1〜12の脂肪族又は芳香族炭化水素であり、R,R,R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子を含むか含まない炭素原子数1〜30の脂肪族又は芳香族炭化水素であり、R,R,R及びRのうちから2つが選択されて連結された鎖状又は連結されない枝状である。)
【0028】
前記化学式1で表されるノルボルネン骨格化合物(B1)を含む結合剤樹脂を含有する着色感光性樹脂組成物は、優れた熱的、耐化学的特性を示す。
【0029】
前記化学式1で表されるノルボルネン骨格化合物(B1)は、更に具体的には、以下の化学式2から17で表される構造式を有する化合物から選択される少なくとも1種であってもよい。
【化2】

【0030】
一方、本明細書中に記載された(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0031】
前記芳香族ビニル化合物又はN−置換マレイミド化合物(B2)として使用可能な化合物としては、具体的には、以下のものが例示される。まず、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどがあり、中でも、ビニルトルエンが現像性、工程性に優れるため好ましい。また、N−置換マレイミド化合物としては、N−シクロへキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミドなどがあり、中でも、N−ベンジルマレイミドが現像性、工程性に優れるため好ましい。これらはそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
前記カルボキシル基と不飽和結合を有する化合物(B3)としては、重合が可能な不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物であれば特に限定されず、具体的な一例として、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらアクリル酸、メタクリル酸に加えて、その他の酸を1種以上使用してもよい。その他の酸としては、具体的には、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など、他の不飽和カルボン酸から選択される1種以上が挙げられる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸など、同一分子のうちにヒドロキシ基及びカルボキシル基を含む単量体を併用してもよい。
【0033】
本発明によると、前記(B1)、(B2)及び(B3)を共重合して得られる共重合体(B1、B2及びB3以外の単量体が更に含まれて共重合される場合も本発明に含まれる)において、(B1)、(B2)及び(B3)それぞれから誘導される構成成分の割合は、前記共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対して、モル分率で以下の範囲にあることが好ましい。
(B1)から誘導される構成単位:2〜30モル%
(B2)から誘導される構成単位:2〜95モル%
(B3)から誘導される構成単位:2〜70モル%
【0034】
特に、前記(B1)、(B2)及び(B3)それぞれから誘導される構成成分の割合は、前記共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対して、モル分率で以下の範囲にあることが更に好ましい。
(B1)から誘導される構成単位:5〜30モル%
(B2)から誘導される構成単位:5〜80モル%
(B3)から誘導される構成単位:5〜65モル%
【0035】
上述したように、(B1)、(B2)及び(B3)それぞれから誘導される構成成分の割合が前記範囲内にあれば、現像性、可溶性及び耐熱性の均衡が良好であるため、好ましい共重合体を得ることができる。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記共重合体が(B1)、(B2)及び(B3)を共光重合させて得られる場合、以下のような方法で共重合させることで製造してもよい。
【0037】
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を具備したフラスコに、(B1)と、(B1)、(B2)及び(B3)の合計質量に対して質量基準で0.5〜20倍量の溶剤を一緒に導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換する。次に、溶剤を40〜140℃に昇温させた後、(B2)及び(B3)の所定量、(B1)、(B2)及び(B3)の合計質量に対して質量基準で0〜20倍量の溶剤、及びアゾビスイソブチロニトリルやt−ブチルパーオキシ2−エチルへキシルカーボネートなどの重合開始剤を、(B1)、(B2)及び(B3)の合計モル数に対してモル分率で0.1〜10モル%添加した溶液(室温又は加熱下で攪拌溶解)を滴下ロートから0.1〜8時間かけて前記のフラスコに滴下し、40〜140℃で1時間〜10時間更に攪拌する。
【0038】
前記工程において、重合開始剤の一部又は全量をフラスコに入れてもよく、(B1)、(B2)及び(B3)の一部又は全量をフラスコに入れてもよい。前記(B1)、(B2)及び(B3)を共重合して得られる共重合体に(B4)を重合させる場合、この過程で(B1)、(B2)及び(B3)の残量を添加してもよい。
【0039】
前記工程で使用される溶媒としては、通常のラジカル重合反応の際使用される溶媒を利用してもよい。具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエチル、ジエチレングリコールジメチルエチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、硝酸エチル、硝酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピルグリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロフォルム、ジメチルスルフォキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
また、前記の工程に使用される重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、通常使用される重合開始剤を添加してもよい。具体的には、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネートなどの有機過酸化物と、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などの窒素化合物が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
また、前記(B1)、(B2)及び(B3)を共重合して得られる共重合体は、重合過程で、分子量や分子量分布を制御するため、α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物を連鎖移動剤として使用してもよい。α−メチルスチレンダイマーやマーカプト化合物の使用量は、(B1)、(B2)及び(B3)の合計質量に対して質量分率で0.005〜5質量%である。また、前記の重合条件は、製造設備や重合による発熱量などを考慮し、投入方法や反応温度を適切に調整してもよい。
【0042】
本発明の一実施形態によると、結合剤樹脂は、上述した化学式1で表されるノルボルネン骨格化合物(B1)、芳香族ビニル化合物又はN−置換マレイミド化合物(B2)及びカルボキシル基と不飽和結合を有する化合物(B3)を含む化合物の共重合反応で得られる共重合体に、1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物(B4)を付加することで、光/熱硬化性を付与した結合剤樹脂であってもよい。
【0043】
前記1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物(B4)の具体的な一例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましく使用される。これらはそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
前記1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物(B4)は、前記共重合体中のカルボキシル基と不飽和結合を有する化合物(B3)から誘導される構成成分のモル数に対し、モル分率で5〜80モル%反応させることが好ましく、特に10〜80モル%がよい。不飽和結合とエポキシ基を有する化合物(B4)が前記範囲内にあれば、充分な光硬化性や熱硬化性が得られ、感度と鉛筆硬度が両立されて信頼性に優れるため好ましい。
【0045】
本発明の一実施形態において、結合剤樹脂(B)は前記(B1)、(B2)及び(B3)を共重合させて得られる共重合体と(B4)を、例えば以下のような方法で反応させることで製造してもよい。
【0046】
上述した方法によって(B1)、(B2)及び(B3)の共重合体が得られると、フラスコ内の雰囲気を窒素から空気に置換し、前記共重合体のうちのカルボキシル基と不飽和結合を有する化合物(B3)から誘導される構成成分のモル数に対してモル分率で5〜80モル%の(B4)、カルボキシル基とエポキシ基の反応触媒として、例えば、トリスジメチルアミノメチルフェノールを(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)の合計質量に対して質量分率で0.01〜5質量%、及び重合禁止剤として、例えば、ヒドロキノンを(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)の合計質量に対して質量分率で0.001〜5質量%をフラスコ内に入れ、60〜130℃で1〜10時間反応させることで、前記共重合体と(B4)を反応させてもよい。また、重合条件と同じく製造設備や重合による発熱量などを考慮し、投入方法や反応温度を適切に調整してもよい。
【0047】
本発明の一実施形態において、結合剤樹脂(B)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、5,000〜50,000の範囲にあることが更に好ましい。結合剤樹脂(B)の重量平均分子量が3,000〜100,000の範囲にあれば、現像の際、膜の減少が生じにくく、非画素部分の欠落性が良好であるため好ましい。
【0048】
結合剤樹脂(B)の酸価は、固形分を基準として30〜150mgKOH/gの範囲であることが好ましい。酸価が30mgKOH/g未満である場合、アルカリ水に対する現像性が低くなって基板に残渣を残すおそれがあり、酸価が150mgKOH/gを超過する場合、パターンの脱着が起こる可能性が高くなる。
【0049】
結合剤樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は1.5〜6.0であることが好ましく、1.8〜4.0であることが更に好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が1.5〜6.0であると、現像性に優れるため好ましい。
【0050】
結合剤樹脂(B)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して、質量分率で通常5〜90質量%、好ましくは、10〜70質量%で範囲である。結合剤樹脂(B)の含有量が前記基準で5〜90質量%であれば、現像液に対する溶解性が充分で非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、現像の際、露光部の画素部分の膜の減少が生じにくく、非画素部分の欠落性が良好であるため好ましい。
【0051】
〔光重合性化合物(C)〕
本発明の着色感光性樹脂組成物に含有される光重合性化合物(C)は、光及び後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物であり、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0052】
本発明に使用される光重合性化合物(C)は、着色感光性樹脂組成物の現像性、感度、密着性、表面問題などを改良するために官能基の構造や官能基の数が異なる2つ又はそれ以上の光重合性化合物を混合して使用してもよく、その範囲は限られない。
【0053】
単官能単量体の具体的な例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルへキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0054】
2官能単量体の具体的な例としては、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0055】
その他の多官能単量体の具体的な例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0056】
これらのうち、2官能以上の多官能単量体が好ましく使用される。
【0057】
光重合性化合物(C)は、着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して、質量分率で通常1〜60質量%、好ましくは、5〜50質量%の範囲で使用される。光重合性化合物(C)が前記基準で1〜60質量%の範囲にあると、画素部の強度や平滑性が良好になるため好ましい。
【0058】
〔光重合開始剤(D)〕
本発明による着色感光性樹脂組成物に含有される光重合開始剤(D)は、一つの分子内に2つ以上の光活性オキシムエステル骨格を有する化合物を含む。前記一つの分子内に2つ以上の光活性オキシムエステル骨格を有する化合物としては、下記化学式18で表される化合物がR又はRを介して二量化されたものが好ましい。
【0059】
【化3】


(前記式において、R,R及びRはそれぞれ独立に、R11,OR11,COR11,SR11,CONR1213又はCNを示し、R及びRはそれぞれ独立に、R11,OR11,SR11,COR11,CONR1213,NR12COR11,OCOR11,COOR11,SCOR11,OCSR11,COSR11,CSOR11,CN,ハロゲン原子又は水酸基を示し、a及びbはそれぞれ独立に、0〜3である。)
【0060】
11、R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を示し、ここで、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び複素環基の水素原子は、R21,OR21,COR21,SR21,NR2223,CONR2223、−NR22−OR23,−NCOR22−OCOR23,−C(=N−OR21)−R22,−C(=N−OCOR21)−R22,CN,ハロゲン原子、−CR21=CR2223,−CO−CR21=CR2223,OCO−CR21=CR2223,O−C1−6アルキレン−OCOR21,COOR21又はエポキシ基で置換されていてもよく、R21,R22及びR23はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を示し、前記R11,R12,R13,R21,R22及びR23で表示される置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合によって1〜5回中断されていてもよく、前記置換基のアルキル部分は分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、前記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよく、また、R12とR13及びR22とR23はそれぞれ共に環を形成していてもよく、Rは隣接するベンゼン環と共に環を形成していてもよい。R及びRはそれぞれ独立に、R11,OR11,SR11,COR11,CONR1213,NR12COR11,OCOR11,COOR11,SCOR11,OCSR11,COSR11,CSOR11,CN,ハロゲン原子又は水酸基を示し、a及びbはそれぞれ独立に、0〜3である。)
【0061】
好ましくは、前記化学式18でR11,R12,R13,R21,R22及びR23で表示されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、へキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルへキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘキシルメチル、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル、プロピニル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、ペンチルオキシエチル、オクチルオキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロポキシエトキシエチル、メトキシプロピル、2−メトキシ−1−メチルエチルなどが挙げられる。R11,R12,R13,R21,R22及びR23で表示されるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントレニル、前記アルキル基で一つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。R11,R12,R13,R21,R22及びR23で表示されるアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、クロロベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、フェニルエチル、フェニルエテニルなどが挙げられる。R11,R12,R13,R21,R22及びR23で表示される複素環基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオクソラニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルフォリニルなどの5〜7員複素環が好ましく例示される。また、R12とR13が共に形成できる環、R22とR23が共に形成できる環、及びRが隣接するベンゼン環と共に形成できる環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロへキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ラクトン環、ラクタム環などの5〜7員環が挙げられる。また、R11,R12,R13,R21,R22及びR23を置換してもよいハロゲン原子及びR,Rで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ブロム、ヨードが挙げられる。
【0062】
前記置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合によって1〜5回中断されていてもよく、この際中断する結合基は、1種又は2種以上の基であってもよく、連続して中断できる基であれば、2つ以上連続して中断してもよい。また、前記置換基のアルキル部分は分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、前記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよい。
【0063】
本発明によるオキシムエステル化合物のうちでも、前記化学式18において、Rが炭素原子数11〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環基、OR11,COR11,SR11,CONR1213又はCNであるものや、Rがエーテル結合又はエステル結合で1〜5回中断されている炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数13〜20のアルキル基、OR11,COR11,SR11,CONR1213又はCNであるもの、特にRが炭素原子数11〜20のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であるもの、或いはRがアルキル基のアルキレン部分のメチレン基がエーテル結合又はエステル結合で1〜5回中断されてもよい炭素原子数8以上の分岐アルキル基であるもの、アルキル基のアルキレン部分のメチレン基がエーテル結合又はエステル結合によって1〜5回中断されていてもよい炭素原子数13以上のアルキル基であるもの、Rがエーテル結合によって1〜5回中断されているアルキル基であるもの、Rがエステル結合によって1〜5回中断されているアルキル基であるものが合成が容易で架橋密度も高く、また、光重合開始剤として使用した場合、溶媒であるプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート又はシクロヘキサノンに1質量%以上溶解され、光重合開始剤としての要求を満足するため好ましい。
【0064】
本発明によるオキシムエステル化合物は、下記化学式19及び化学式20で表示したように、化学式18で表される化合物がR又はRを介して二量化されたものが好ましい。
【0065】
【化4】


【化5】


(前記化学式19及び化学式20において、R,R,R,R,R,a及びbは、前記化学式18で定義されたものと同義である。)
【0066】
前記化学式18で表される本発明によるオキシムエステル化合物の好ましい具体的な例としては、下記化学式21〜27で表される化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物によって何ら制限を受けることはない。
【0067】
【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】

【0068】
前記化学式20で表される本発明によるオキシムエステル化合物の好ましい具体的な例としては、下記化学式28の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物によって何ら制限を受けることはない。
【化13】

【0069】
前記一つの分子内に2つ以上の光活性オキシムエステル骨格を有する化合物として市販されているものを利用してもよく、具体的には、前記化学式28の構造を有する市販品としてNCI−831((株)ADEKA)が挙げられる。
【0070】
前記一つの分子内に2つ以上の光活性オキシムエステル骨格を有する化合物は、固形分を基準として着色感光性樹脂組成物中の光重合開始剤に対して質量分率で10質量%以上、好ましくは20〜80質量%である。光重合開始剤に前記本発明による一つの分子内に2つ以上の光活性オキシムエステル骨格を有する化合物が前記基準で10質量%以上含まれると、光に対する高い感度を示して低露光量でも架橋密度が高く、基板に対する密着性に優れ、現像過程の途中にパターンが剥がれることがなく、熱安定性が優れるため好ましい。
【0071】
本発明による着色感光性樹脂組成物に含有される光重合開始剤(D)は、前記一つの分子内に2つ以上の光活性オキシムエステル骨格を有する化合物以外に制限されないが、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物及びオキシム化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を一緒に使用してもよい。前記光重合開始剤(D)を含有する着色感光性樹脂組成物は高感度であり、この組成物を使用して形成される膜は、その画素部の強度や表面平滑性が良好になる。
【0072】
前記トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1.3.5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1.3.5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0073】
また、前記アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−[4−2(−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オンのオリゴマなどが挙げられる。
【0074】
また、上述したアセトフェノン系化合物以外に使用可能なアセトフェノン系化合物としては、例えば、下記化学式29で表される化合物が挙げられる。
【化14】

【0075】
前記化学式29において、R,R,R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜12のアルキル基によって置換されていてもよいフェニル基、炭素原子数1〜12のアルキル基によって置換されていてもよいベンジル基又は炭素原子数1〜12のアルキル基によって置換されていてもよいナフチル基を示す。
【0076】
前記化学式29で表される化合物の具体的な例としては、2−メチル−2−アミノ(4−モルフォリノフェニル)エタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルフォリノフェニル)エタン−1−オン、2−プロピル−2−アミノ(4−モルフェリノフェニル)エタン−1−オン、2−ブチル−2−アミノ(4−モルフォリノフェニル)エタン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルフォリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルフォリノフェニル)プロパン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−2−メチルアミノ(4−モルフォリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジメチルアミノ(4−モルフォリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジメチルアミノ(4−モルフォリノフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0077】
前記ビイミダゾール系化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール又は4,4’,5,5’の位置のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。このうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール又は2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが好ましく使用される。
【0078】
前記オキシム化合物としては、O−エトキシカルボニル−α−オキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンと、下記化学式30〜32で表される化合物などが挙げられる。
【化15】


【化16】


【化17】

【0079】
また、本発明の効果を損傷しない程度であれば、この分野で通常使用されているその他の光重合開始剤などを併用してもよい。その他の光重合開始剤としては、例えばベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0080】
前記ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0081】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、0−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフェート、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0082】
前記チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0083】
前記アントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0084】
その他、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルクリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などがその他の光重合開始剤として挙げられる。
【0085】
また、光重合開始剤(D)には、光重合開始補助剤(D−1)を組み合わせて使用してもよい。光重合開始剤(D)に光重合開始補助剤(D−1)を併用すると、これらを含有する着色感光性樹脂組成物は更に高感度になり、この組成物を使用してカラーフィルタを形成する際の生産性が向上するため好ましい。
【0086】
光重合開始補助剤(D−1)としては、アミン化合物、カルボン酸化合物が好ましく使用される。
【0087】
光重合開始補助剤(D−1)のうち、アミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。アミン化合物としては、芳香族アミン化合物が好ましく使用される。
【0088】
カルボン酸化合物の具体例としては、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族へテロ酢酸類が挙げられる。
【0089】
光重合開始剤(D)の使用量は、固形分を基準として、結合剤樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計量に対して質量分率で通常0.1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%であり、光重合開始補助剤(D−1)の使用量は、前記基準で通常0.1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%である。
【0090】
光重合開始剤(D)の使用量が前記範囲内にあれば、着色感光性樹脂組成物が高感度化され、この組成物を使用して形成した画素部の強度や、この画素部の表面における平滑性が良好になるため好ましい。また、光重合開始補助剤(D−1)の使用量が前記範囲内にあれば、着色感光性樹脂組成物の感度が更に高くなり、この組成物を使用して形成されるカラーフィルタの生産性が向上するため好ましい。
【0091】
〔溶剤(E)〕
本発明による着色感光性樹脂組成物に含有される溶剤(E)としては、特に限定されず、着色感光性樹脂組成物の分野で使用されている各種有機溶剤を使用してもよい。その具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート及びメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0092】
前記溶剤のうち、塗布性、乾燥性面において、好ましくは、沸点が100℃〜200℃である有機溶剤が挙げられ、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3−エトキシプロピオン酸エチルや、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、更に好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これら溶剤(E)は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0093】
本発明による着色感光性樹脂組成物中の溶剤(E)の含有量は、それを含む着色感光性樹脂組成物全体量に対して、質量分率で通常60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%である。溶剤(E)の含有量が前記基準で60〜90質量%の範囲内であれば、ロールコータ、スピンコータ、スリットアンドスピンコータ、スリットコータ(ダイコータと称する場合もある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布したとき、塗布性が良好になるため好ましい。
【0094】
〔添加剤(F)〕
本発明による着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて充填剤、他の高分子化合物、硬化剤、顔料分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの添加剤(F)を併用することもできる。
【0095】
充填剤の具体的な例としては、ガラス、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
【0096】
他の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0097】
硬化剤は深部硬化及び機械的強度を高めるために使用され、硬化剤としては、エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0098】
前記硬化剤において、エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、その他芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、又はこのようなエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂及びその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族又は芳香族エポキシ化合物、ブタジエン(共)重合体エポキシ化物、イソプレン(共)重合体エポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0099】
前記硬化剤において、オキセタン化合物としては、例えば、カーボネートビスオキセタン、キシレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0100】
前記硬化剤において、硬化剤と共にエポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させ得る補助化合物を含んでもよい。硬化補助化合物としては、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などが挙げられる。
【0101】
カルボン酸無水物として、エポキシ樹脂硬化剤として市販されているものを利用してもよい。そのエポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、商品名(アデカハードナーEH−700)(ADEKA工業(株)製造)、商品名(リカシッドHH)(新日本理化(株)製造)、商品名(MH−700)(新日本理化(株)製造)などが挙げられる。前記硬化剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0102】
前記顔料分散剤としては、市販されている界面活性剤を利用してもよく、例えば、シリコン系、フッ素系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリアクリル系、正イオン系、負イオン系、非イオン系、陽性などの界面活性剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などがあり、これ以外に、商品名KP(信越化学工業(株)製造)、ポリフロー(POLYFLOW)(共栄社化学工業(株)製造)、エフトップ(EFTOP)(トーケムプロダクツ社製造)、メガファック(MEGAFAC)(大日本インキ化学工業(株)製造)、フロラード(Flourad)(住友スリーエム(株)製造)、アサヒガード(Asahi guard)、サーフロン(Surflon)(以上、旭硝子(株)製造)、ソルスパース(SOLSPERSE)(ゼネカ(株)製造)、EFKA(EFKAケミカルス社製造)、PB821(味の素(株)製造)などが挙げられる。
【0103】
前記密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0104】
これら密着促進剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。密着促進剤は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、質量分率で通常0.01〜10質量%、好ましくは、0.05〜2質量%が含まれる。
【0105】
前記酸化防止剤としては、具体的には、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0106】
前記紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0107】
前記凝集防止剤としては、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0108】
本発明による着色感光性樹脂組成物は、例えば、以下のような方法によって製造されてもよい。着色材料(A)を予め溶剤(E)と混合し、着色材料の平均粒径が0.2μm以下程度になるまでビーズミルなどを利用して分散させる。この際、必要に応じて顔料分散剤が使用され、また結合剤樹脂(B)の一部又は全部が配合される場合もある。得られた分散液(以下、ミルベースと称することもある)に結合剤樹脂(B)の残り分、光重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)、必要に応じて使用されるその他の成分、必要に応じて追加の溶剤を所定の濃度になるように更に添加し、目的とする着色感光性樹脂組成物を得る。
【0109】
本発明では、上述した本発明による着色感光性樹脂組成物を所定のパターンに形成した後、露光及び現像して形成されるカラー層を含むカラーフィルタと、これを具備した液晶表示装置を提供する。
【0110】
本発明による前記着色感光性樹脂組成物を利用してカラーフィルタを形成する工程を、図1及び2を参照して以下説明する。
【0111】
本発明による着色感光性樹脂組成物を使用してCOA(Color Filter on Array)方式によるカラーフィルタを製造する場合には、SiNx(保護層)塗膜21が形成されたTFT層31を有するガラス基板41上に、直接赤色、緑色、青色の各ピクセルパターン11,12,13を形成する。前記ピクセルパターン11,12,13は、前記SiNx塗膜21の上に形成する(図1a)。
【0112】
TFT層31と電極(IZO層)との電気的導通路を形成するための工程で、SiNx(保護層)塗膜21の除去のためにマスクを利用してポジティブ感光性樹脂膜51をパターニングする(図1b)。
【0113】
前記ポジティブ感光性樹脂膜51の下部面(電気的導通路)に位置したSiNx(保護層)塗膜21を、乾式エッチング(ドライエッチング)して電気的導通路を形成する(図1c)。
【0114】
図1cのピクセルパターン11,12,13の上に残存するポジティブ感光性樹脂膜51を除去するために、ストリッパ現像液を使用してポジティブ感光性樹脂膜51層を除去する(図1d)。
【0115】
TFT層31との共通電極(IZO層)61として使用することになるIZO層61を蒸着する(図2e)。
【0116】
共通電極(IZO層)61層を形成するために、共通電極(IZO層)61層の上部にポジティブ感光性樹脂膜51を形成する(図2f)。
【0117】
形成されたポジティブ感光性樹脂膜51の露光部分(IZO層61が露出された部分)を湿式エッチング(ウェットエッチング)によって除去する(図2g)。
【0118】
図2gの共通電極(IZO層)61の上に残存するポジティブ感光性樹脂膜51を除去するために、ストリッパ現像液を使用してポジティブ感光性樹脂膜51層を除去する(図2h)。
【0119】
前記のようにして製造されたカラーフィルタは、低露光量でもパターンの欠けがないため、優れた品質の液晶表示装置を高い収率で提供することができる。
【実施例】
【0120】
以下では、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、下記に開示される本発明の実施の形態はあくまでも例であり、本発明の範囲はこれら実施の形態に限られない。本発明の範囲は特許請求の範囲に表示されており、更に特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内における全ての変更を含有している。以下の実施例、比較例において含有量を示す「%」及び「部」は、特別に言及しない限り、着色感光性樹脂組成物に対する質量%又は質量部を意味する。
【0121】
<結合剤樹脂の合成例:結合剤樹脂(B)>
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を具備したフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90g、プロピレングリコールモノメチルエーテル90g及び2−ノルボルネン(2−norbornene)11.0g(0.10モル)を混合して導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、80℃に昇温させ、ベンジルメタクリレート70.5g(0.4モル)、メタクリル酸45.0g(0.5モル)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gを含む混合物に、t−ブチルパーオキシ2−エチルへキシルカーボネート3.2gを添加した溶液を滴下ロートから2時間にかけてフラスコに滴下し、100℃で5時間更に攪拌を続けた。次に、フラスコ内の雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート30g[0.2モル(本反応に使用したメタクリル酸のカルボキシル基に対して40モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9g及びヒドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続けさせ、固形分の酸価が100mgKOH/gである樹脂Bを得た。GPCによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は31,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0122】
この際、前記結合剤樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定にはHLC−8120GPC(東ソー(株)製造)装置を使用しており、カラムはTSK−GELG4000HXLとTSK−GELG2000HXLを直列接続して使用しており、カラムの温度は40℃、移動相溶媒はテトラヒドロフラン、流速は1.0ml/分、注入量は50μl、検出器RIを使用しており、測定試料の濃度は0.6質量%(溶媒=テトラヒドロフラン)、固定用標準物質はTSK STANDARD POLYSTYRENE F−40,F−4,F−1,A−2500,A−500(東ソー(株)製造)を使用した。
【0123】
<実施例1〜4及び比較例1〜5>
下記表1に記載した各成分のうち、予め(A)着色材料である顔料及び(F)その他の添加剤である顔料分散剤の合計量が顔料、顔料分散剤及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合物の合計量に対して質量分率で20質量%になるように混合し、ビーズミルを利用して顔料を充分に分散させてからビーズミルを分離し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの残量を含む残りの成分を更に添加して混合し、着色感光性樹脂組成物を得た。
【0124】
【表1】

【0125】
前記表1中、各構成成分はそれぞれ以下に示すものである。
着色材料(A1):青色顔料分散液(C.I.ピグメントグリーン58)
着色材料(A2):黄色顔料分散液(C.I.ピグメントイエロー150)
光重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製造)
開始剤(D1):化学式28[NCI−831<製造社:(株)ADEKA>]
開始剤(D2):エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9H−カバゾール‐3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)(Irgacure OXE02;Ciba Specialty Chemical社製造)
開始剤(D3):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(Irgacure 369;Ciba Specialty Chemical社製造)
開始剤(D4):4.4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB−F;保土谷化学(株)製造)
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
添加剤(F1):アクリル系顔料分散剤(Disperbyk−2009;BYK社製造)
添加剤(F2):3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
【0126】
<測定試片の製作>
2平方インチのガラス基板(コーニング社製造、#1737)を中性洗剤、水及びアルコールの順で洗浄してから乾燥させた。このガラス基板上に前記の着色感光性樹脂組成物(表1)を100mJ/cmの露光量(365nm)で露光し、現像工程を省略したときの後焼成の後の膜の厚さが3.2μmになるようにスピンコーティングし、次にクリーンオーブン中、100℃で3分間予備乾燥させた。冷却させた後、この着色感光性樹脂組成物を塗布した基板と石英ガラス製フォトマスク(透過率を1〜100%の範囲で階段状に変化させるパターンと、1μmで50μmまでのライン/スペースパターンを有する)の間隔を100μmにし、ウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプ(商品名USH−250D)を利用して、大気雰囲気下で100mJ/cmの露光量(365nm)で光走査した。次に、非イオン系界面活性剤0.12%と、水酸化カリウム0.06%を含む水系現像液に前記塗膜を26℃で所定時間浸してから現像した後、水洗してから230℃で60分間乾燥させた。得られた画素部では、表面粗さを発見することができなかった。また、非画素部では、基板上に現像残渣が発生しなかった。
【0127】
【表2】


*1:現像した後、L/Sにパターンの欠けが発生しないようにするために必要な最低必要露光量が20mJ以下である場合は○、20mJ超過である場合は×とした。
*2:実施例及び比較例の組成が、同じ(x,y)色座標上で実施例1組成の透過率(Y)を100%とした場合、透過率が5%未満に落ちる場合は○、5%以上である場合は×とした。
【0128】
前記表2に示したように、本発明によって光重合開始剤として一つの分子内に2つ以上の光活性オキシムエステル骨格を含む化合物であるD1を含む実施例1〜4の場合、これを含まない比較例1〜5に比べ、低露光量でもパターンの欠けと透過度の低下がないことを確認することができた。
【符号の説明】
【0129】
11,12,13…R/G/Bのピクセルパターン、21…SiNx(保護層)塗膜、31…TFT層、41…ガラス基板、51…ポジティブ感光性樹脂膜、61…IZO層(共通電極)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色材料(A)、結合剤樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、前記光重合開始剤(D)が、一つの分子内に少なくとも2つの光活性オキシムエステル骨格を有する化合物を含む着色感光性樹脂組成物において、
前記一つの分子内に少なくとも2つの光活性オキシムエステル骨格を有する化合物は、下記化学式18で表される化合物がR又はRを介して二量化された化合物であることを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
【化1】


(前記化学式18において、R,R,及びRは、それぞれ独立に、R11,OR11,COR11,SR11,CONR1213又はCNを示し、
及びRは、それぞれ独立に、R11,OR11,SR11,COR11,CONR1213,NR12COR11,OCOR11,COOR11,SCOR11,OCSR11,COSR11,CSOR11,CN,ハロゲン原子又は水酸基を示し、
a及びbは、それぞれ独立に、0〜3である。
11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を示し、ここで、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び複素環基の水素原子は、R21,OR21,COR21,SR21,NR2223,CONR2223,−NR22−OR23,−NCOR22−OCOR23,−C(=N−OR21)−R22,−C(=N−OCOR21)−R22,CN,ハロゲン原子、−CR21=CR2223,−CO−CR21=CR2223,OCO−CR21=CR2223,O−C1−6アルキレン−OCOR21,COOR21又はエポキシ基で置換されていてもよく、
21,R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を示し、
前記R11,R12,R13,R21,R22及びR23で示される置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合によって1〜5回中断されていてもよく、前記置換基のアルキル部分は分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、前記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよく、
また、R12とR13及びR22とR23は、それぞれ共に環を形成していてもよく、Rは、隣接するベンゼン環と共に環を形成していてもよい。)
【請求項2】
前記R又はRを介して二量化された化合物が、下記化学式19又は20で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化2】


【化3】


(前記化学式19及び化学式20において、R,R,R,R,R,a及びbは、前記化学式18で定義されたものと同義である。)
【請求項3】
前記R又はRを介して二量化された化合物が、下記化学式28で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化4】

【請求項4】
前記光重合開始剤(D)の含有量が、固形分を基準として、前記結合剤樹脂(B)及び前記光重合性化合物(C)の合計量に対して質量分率で0.1〜40質量%であり、
前記一つの分子内に少なくとも2つの光活性オキシムエステル骨格を有する化合物が、固形分を基準として、前記光重合開始剤(D)に対して質量分率で10質量%以上含まれることを特徴とする請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載された着色感光性樹脂組成物を基板上に所定のパターンに形成した後、露光及び現像して形成されるカラー層を含むことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−48241(P2012−48241A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183724(P2011−183724)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(503454506)東友ファインケム株式会社 (42)
【Fターム(参考)】