説明

着色液含有微粒子、並びに、画像形成方法及び画像形成装置

【課題】高速性、信頼性に優れる前記電子写真法の利点を活かしつつ、該電子写真法の欠点であるところの色再現性(特に多色の場合の)を向上可能であり、取扱いが容易であり、画像形成時における消費電力を大幅に低減可能であり、外部刺激を付与することにより所望のタイミングで内含している着色液を外部に漏出させることで高画質の画像を簡便かつ効率よく低コストで形成可能な、着色液含有微粒子等を提供すること。
【解決手段】ゲル粒子内に着色液を内含してなり、温度変化、圧力変化、光照射及び電界印加の少なくともいずれかの外部刺激を受けると、前記ゲル粒子が相転移を生じて前記着色液を外部に漏出することを特徴とする、着色液含有微粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色液を内含し、外部刺激を受けると前記着色液を外部に漏出可能な、着色液含有微粒子、並びに、それらを用いた画像形成方法及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリンターに採用されている画像形成方法としては、インクジェット法、電子写真法が主流である。
前記インクジェット法は、プリントヘッドのノズル部でインク液滴を形成し、用紙等に着弾させインク液適を定着させることにより画像を形成する方法であり(特許文献1〜2参照)、前記ノズル部からインク液滴を用紙等に吐出させるだけで画像を形成することができるので簡便である。しかし、前記ノズル部からインク液滴を吐出させて画像を形成するには、スキャン方式で前記プリントヘッドを移動させることが必要であり、該プリントヘッドの高速移動には限界がある。このため、高速印刷を実現するために、多段式のラインヘッドノズルを用いたプリンターも実用化されているが、精密な機能を有するノズル部を多数有しなければならないため、高コストとなる上、前記ノズル部における流路も狭いため、僅かな気泡や固形物による目詰まり等に起因する印刷不良が生じ易く、信頼性が低く、また使用するインク液滴量も多いという問題がある。
【0003】
一方、前記電子写真法は、乾式トナーを静電力で用紙等に転写した後、熱溶融させて定着させて画像を形成する方法であり(特許文献3〜8参照)、粉体であるトナーを使用したプロセスであるため、前記インクジェット法に比べて、乾燥時間が不要で高速性に優れ、滲みも生じないので信頼性が高いという利点がある。
しかしながら、用紙等に前記トナーを定着する際、前記トナーの形成成分である熱可塑性樹脂を溶融させるための熱エネルギーが大きいという問題がある。このため、消費電力を低減する目的で前記トナーの低融点化が進められており、熱可塑性樹脂、離型剤などの高価な材料を多数含む複雑な組成とせざるを得ないという問題がある。さらに、カラー画像を形成する際、特に二次色では、異なる色のトナーを重ね合わせる必要があるため、トナー(層)の厚みにより透過光率が減少し、特に多色の色再現性が低下してしまうという問題がある。
【0004】
以上のように、前記インクジェット法、前記電子写真法には、それぞれ問題があり、高速性、信頼性に優れる前記電子写真法の利点を活かしつつ、該電子写真法の欠点であるところの色再現性(特に多色の場合の)を向上させ、画像形成時における消費電力の低減を図ることができる、全く新しい画像形成技術の開発が切望されているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高速性、信頼性に優れる前記電子写真法の利点を活かしつつ、該電子写真法の欠点であるところの色再現性(特に多色の場合の)を向上可能であり、取扱いが容易であり、画像形成時における消費電力を大幅に低減可能であり、外部刺激を付与することにより所望のタイミングで内含している着色液を外部に漏出させることで高画質の画像を簡便かつ効率よく低コストで形成可能な画像形成方法及び画像形成装置、並びに、これらに好適に用いられ、外部刺激を付与することにより所望のタイミングで内含している着色液を外部に漏出させることで高画質の画像を簡便かつ効率よく低コストで形成可能な着色液含有微粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、以下の知見を得た。即ち、インクジェット法による画像記録では、インク液滴の大きさを微細にし、かつ所望の位置に着弾させることは容易ではない。また、ノズルヘッドにおいてインク液滴中の溶媒揮発等による目詰まりの問題も生じ得る。ノズルヘッドのスキャンスピード向上にも限界がある。そこで、インク液滴を液滴そのものではなく粒子化し、画像形成前は粒子としての取扱いが可能であり、所望のタイミングで着色液を外部に漏出させることができれば、前記インクジェット法による画像記録における欠点を解消し得る。さらに、そうすることにより、高速性、信頼性に優れる電子写真法による画像形成にも適用が可能になり、トナーを用いた多色の画像を形成する際に、異なる色のトナーの重ね合わせによる透過光率減少に起因した多色の色再現性低下を防ぐために、前記トナーの定着時にインク液滴様の作用乃至機能を発現させることで、従来の熱融着トナーでは必須であったトナーの積層が不要となり、かつ消費電力の大幅な低減が可能となる。その結果、高速性、信頼性に優れる前記電子写真法の利点を活かしつつ、該電子写真法の欠点であるところの色再現性(特に多色の場合の)を向上可能であり、高画質の画像を簡便かつ効率よく低コストで形成可能となる、という従来には存在しない全く新しく斬新な知見である。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ゲル粒子内に着色液を内含してなり、温度変化、圧力変化、光照射及び電界印加の少なくともいずれかの外部刺激を受けると、前記ゲル粒子が前記着色液を外部に漏出することを特徴とする着色液含有微粒子である。
前記<1>に記載の着色液含有微粒子を用いて画像を形成する場合、所望の色彩の着色液を内含する該着色液含有微粒子を用紙等の記録媒体上の所望位置に、例えば電子写真方式等により配置させる。このとき、前記着色液含有微粒子に内含されている着色液は前記ゲル粒子内に内含(保持)されており、外部に漏出しない。そして、所望のタイミングで前記着色液含有微粒子に、温度変化、圧力変化、光照射及び電界印加の少なくともいずれかの外部刺激が付与されると、前記ゲル粒子内に内含(保持)されていた前記着色液が前記ゲル粒子の外部に漏出し、該着色液は、インクジェット法におけるインクの吸収と同様の原理にて前記用紙等の記録媒体に吸収される。その結果、前記用紙等の記録媒体に前記着色液による画像が形成される。
このため、該着色液含有微粒子を用いた画像形成の場合、用紙等の記録媒体上に配された該着色液含有微粒子に前記外部刺激を付与するだけで該着色液含有微粒子から前記着色液を外部に漏出させることができ、多大な熱エネルギーやコストを要することなく高画質の画像が簡便かつ効率よく形成される。また、特に多色の画像を形成する場合において、トナー(層)の重ね合わせで色を表現する必要がなく、インクジェット法におけるインクでの画像形成と同様に、用紙等の記録媒体における前記着色液の吸収により色が表現されるので、特に多色の色再現性に優れる。
<2> 溶媒を含有してなり、該溶媒の内含率が10〜99質量%である前記<1>に記載の着色液含有微粒子である。
前記<2>に記載の着色液含有微粒子においては、溶媒内含率(溶媒が水の場合は含水率)が高く、上記所定の数値範囲内であるため、所望のタイミングで画像を形成する際に、前記ゲル粒子から画像を形成するのに十分な必要量の前記着色液を外部に漏出させることができ、漏出された前記着色液は短時間で用紙等の記録媒体に吸収され、短時間で乾燥されるため、漏出された前記着色液により高画質の画像が用紙等の記録媒体上に簡便かつ効率よく形成され、高速での多数枚の画像形成性能(印刷性能)に優れる。
<3> ゲル粒子が、外部刺激を受けると第一のゲル状態から第二のゲル状態へと相転移を生じ得るゲル粒子である前記<1>から<2>のいずれかに記載の着色液含有微粒子である。
前記<3>に記載の着色液含有微粒子は、前記外部刺激を受けると、前記ゲル粒子が第一のゲル状態から第二のゲル状態へと相転移(相変化)を生ずる。この相転移(相変化)の前においては、前記ゲル粒子は前記第一のゲル状態をとる。該第一のゲル状態においては、前記着色液に含まれる溶媒(水)は、前記ゲル粒子内に水和(結合)しており(前記ゲル粒子を形成するポリマー分子と水和しており)、該ゲル粒子内に保持されている。一方、前記相転移(相変化)の後においては、前記ゲル粒子は前記第二のゲル状態をとる。このとき、前記着色液に含まれる溶媒(水)は、前記ゲル粒子内に水和(結合)できなくなる(前記ゲル粒子を形成するポリマー分子と水和できなくなる)。換言すれば、前記溶媒(水)が脱水和して前記ゲル粒子と分離される。そして、前記ゲル粒子を形成するポリマーは疎水的となり、その疎水性による親和性で互いに凝集する。その結果、該ゲル粒子から、前記脱水和した前記溶媒(水)と共に前記着色液に含まれていた前記着色剤が外部に漏出する。この漏出した前記着色液は、インクジェット法におけるインクの吸収と同様の原理にて前記用紙等の記録媒体に吸収される。その結果、前記用紙等の記録媒体に、水性の前記着色液による画像が形成される。
<4> ゲル粒子が、温度応答性ポリマーを有してなる前記<3>に記載の着色液含有微粒子である。
前記<4>に記載の着色液含有粒子は、前記ゲル粒子が前記温度応答性ポリマーを含有しているので、用紙等の記録媒体上に画像を記録する所望のタイミングで外部刺激としての温度変化を付与する(温度変化に晒す)ことにより、簡便かつ感度よく前記ゲル粒子の外部に前記着色液を漏出される。温度制御のみで感度良くシャープな応答で前記着色液が前記ゲル粒子の外部に漏出される。このため、該着色液含有微粒子を電子写真法による画像形成に使用すると、通常のトナーと同様にして現像、転写、定着を行うことができ、しかも定着時において、通常の電子写真法における定着時の温度よりも大幅に低温条件で、該温度応答性ポリマーが熱応答(変質)し、該温度応答性ポリマーに保持された前記着色液が容易にかつ効率よく漏出され、用紙等の記録媒体に吸収される。このため、従来における電子写真法によるトナーを用いた画像形成に比し、熱エネルギーを大幅に低減した状態で効率よく高画質の画像が形成される。
<5> ゲル粒子が、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋剤を重合反応させてなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の着色液含有微粒子である。
前記<5>に記載の着色液含有微粒子は、前記ゲル粒子が上記各成分を重合反応させて得られたものであるため、低コストで効率よく得られる。前記重合反応により、前記重合性モノマーが重合されて高分子化して、外部刺激応答性のポリマー(例えば前記温度応答性ポリマー)となり、該外部刺激応答性のポリマー(例えば前記温度応答性ポリマー)により(を包含した状態で)前記ゲル粒子が効率よく所望の粒径に制御された状態で形成される。
<6> 着色液が、溶媒中に親水性顔料及び水溶性染料の少なくともいずれかを含有してなり、該溶媒が水である前記<1>から<5>のいずれかに記載の着色液含有微粒子である。
前記<6>に記載の着色液含有微粒子は、前記着色液が、親水性顔料及び/又は水溶性染料を含有する溶媒(水)であるので、定着時において前記溶媒(水)が揮発し乾燥されることにより、用紙等の記録媒体に画像が記録されるが、使用者乃至画像記録装置等への悪影響が少なく、環境負荷も少なく、安全であり、取扱性に優れ、しかも低コストで製造可能である。また、得られる画像もインクジェット法により形成した画像と同様の画像構成成分で形成されているので、取扱いが容易である。
【0008】
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の着色液含有微粒子を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法である
前記<7>に記載の画像形成方法においては、前記着色液含有微粒子を用いて画像を形成するので、インクジェット法による画像記録ではなし得なかった、インク液滴の大きさを微細にでき、かつ所望の位置に着弾させることができる。また、液滴ではなく粒子であることから取扱い、保存、運搬等が容易であり、ノズルヘッドにおいてインク液滴中の溶媒揮発等による目詰まりの問題も生じ得ない。電子写真法等により用紙等の記録媒体上の所望の位置に配置されることができるので、ノズルヘッドのスキャンスピードを向上させる必要もない。その結果、前記インクジェット法による画像記録における欠点を解消し得る。さらに、高速性、信頼性に優れる電子写真法による画像形成にも適用が可能になり、トナーを用いた多色の画像を形成する際に、異なる色のトナーの重ね合わせによる透過光率減少に起因した多色の色再現性低下を防ぐために、前記トナーの定着時にインク液滴様の作用乃至機能を発現させることで、従来の熱融着トナーでは必須であったトナーの積層が不要となり、かつ消費電力の大幅な低減が可能となる。その結果、高速性、信頼性に優れる前記電子写真法の利点を活かしつつ、該電子写真法の欠点であるところの色再現性(特に多色の場合の)を向上可能であり、高画質の画像を簡便かつ効率よく低コストで形成可能となる。
<8> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、前記着色液含有微粒子を用いて現像する現像工程とを少なくとも含む前記<7>に記載の画像形成方法である。
前記<8>に記載の画像形成方法においては、前記静電潜像形成工程において、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。前記現像工程において、前記静電潜像がトナーとして機能する前記着色液含有微粒子により現像される。
このため、該着色液含有微粒子を用いた画像形成の場合、用紙等の記録媒体に転写されたトナー像(着色液含有微粒子像)を定着する際、前記外部刺激を該トナー像(着色液含有微粒子像)に付与するだけで該着色液含有微粒子から前記着色液を漏出させることができ、従来の熱融着トナーを用いた電子写真法による場合に比し、定着時における熱エネルギーを大幅に低減した状態で画像が形成される。また、特に多色の画像を形成する場合において、トナー(層)の重ね合わせで色を表現する必要がなく、インクジェット法におけるインクでの画像形成と同様に、用紙等の記録媒体における前記着色液の吸収により色が表現されるので、特に多色の色再現性に優れる。なお、前記ゲル粒子は、ゲル粒子回収手段により回収して繰返し使用(リサイクル)することもでき、この場合、低コストで高画質の画像を効率よく形成できる。
<9> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を、前記<1>から<6>のいずれかに記載の着色液含有微粒子を用いて現像する現像手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
前記<9>に記載の画像形成装置においては、前記静電潜像手段により、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。前記現像手段により、前記静電潜像がトナーとして機能する前記着色液含有微粒子で現像される。
このため、該着色液含有微粒子を用いた画像形成の場合、用紙等の記録媒体に転写されたトナー像(着色液含有微粒子像)を定着する際、前記外部刺激を該トナー像(着色液含有微粒子像)に付与するだけで該着色液含有微粒子から前記着色液を漏出させることができ、従来の熱融着トナーを用いた電子写真法による場合に比し、定着時における熱エネルギーを大幅に低減した状態で画像が形成される。また、特に多色の画像を形成する場合において、トナー(層)の重ね合わせで色を表現する必要がなく、インクジェット法におけるインクでの画像形成と同様に、用紙等の記録媒体における前記着色液の吸収により色が表現されるので、特に多色の色再現性に優れる。なお、前記ゲル粒子は、ゲル粒子回収手段により回収して繰返し使用(リサイクル)することもでき、この場合、低コストで高画質の画像を効率よく形成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、高速性、信頼性に優れる前記電子写真法の利点を活かしつつ、該電子写真法の欠点であるところの色再現性(特に多色の場合の)を向上可能であり、取扱いが容易であり、画像形成時における消費電力を大幅に低減可能であり、外部刺激を付与することにより所望のタイミングで内含している着色液を漏出させることで高画質の画像を簡便かつ効率よく低コストで形成可能な画像形成方法及び画像形成装置、並びに、これらに好適に用いられ、外部刺激を付与することにより所望のタイミングで内含している着色液を漏出させることで高画質の画像を簡便かつ効率よく低コストで形成可能な着色液含有微粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の着色液含有微粒子、画像形成用微粒子、及び着色液含有トナーにおける、複数の具体例を示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の着色液含有微粒子、画像形成用微粒子、及び着色液含有トナーにおける、着色液が外部に漏出される原理及び画像形成メカニズムを説明するための模式図である。
【図3】図3は、本発明の着色液含有微粒子を、間接振動型液滴吐出手段を用いて製造する工程を説明するための断面概略説明図である。
【図4】図4は、図3における間接振動型液滴吐出手段の液滴吐出面の概略説明図である。
【図5】図5は、図4における液滴吐出面の撓み振動の状態を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の着色液含有微粒子を、直接振動型液滴吐出手段を用いて製造する工程を説明するための断面概略説明図である。
【図7】図7は、図6における直接振動型液滴吐出手段の液滴吐出面の概略説明図である。
【図8】図8は、液滴吐出手段の液滴吐出面の断面形状の例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(着色液含有微粒子)
本発明の着色液含有微粒子は、ゲル粒子内に少なくとも着色液を内含(前記ゲル粒子の表面ではなく内部に含有)してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。また、本発明の前記着色液含有微粒子は、画像形成用微粒子、着色液含有トナーとして好適に使用することができる。
【0012】
−ゲル粒子−
前記ゲル粒子は、粒子状のゲルである。該ゲルは、該ゲルを形成するポリマー鎖どうしが互いに相互作用して三次元網目構造のマトリクス構造をとるものである。前記ポリマー鎖どうしの相互作用としては、例えば、物理的相互作用、化学的相互作用、などが挙げられる。前記物理的相互作用としては、例えば、クーロン力、ファン・デル・ワールス力、分子間力、水素結合、イオン結合、などが挙げられる。前記化学的相互作用としては、例えば、共有結合、配位結合等の化学結合、などが挙げられる。
【0013】
本発明における前記ゲル粒子としては、外部刺激を受けた際に前記着色液を外部に漏出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記外部刺激は、所望のタイミングで、画像形成用途の場合には用紙等の記録媒体に記録する時に、また、前記着色液含有トナーの場合には該着色液含有トナーを定着処理する際に、前記着色液含有微粒子に対して外部から付与される。
前記外部刺激としては、例えば、昇温又は降温による温度変化、昇圧又は降圧による圧力変化、紫外線等による光照射、電界印加、などが挙げられる。これらの中でも、本発明の着色液含有微粒子を従来からのコピー機等の電子写真方式の画像形成装置に適用する場合には、該コピー機等における定着手段による加熱をそのまま利用することができる点で、昇温による温度変化が特に好ましい。この場合、例えば従来の電子写真法において使用されてきた熱融着トナーを用いた場合と比較しても、本発明の着色液含有微粒子を用いた場合には大幅に低温(熱エネルギーを低減した状態)で、前記ゲル粒子から前記着色剤を漏出させることができ、画像の形成を行うことができる。
前記外部刺激を与えると、前記ゲル粒子は形成するポリマーの状態に変化が生じる。この変化を利用し前記ゲル粒子から前記着色剤を漏出させることができる。このような変化は、例えば、ポリマーが相転移して体積収縮することやその骨格や構造が崩壊、変形等することであり、外部刺激に応じて様々である。例えば、外部刺激が温度変化である場合には、コンフォメーションの変化、ポリマー同士の相互作用の変化、相転移などが挙げられ、外部刺激が光照射である場合には、構造変化、異性化、励起状態の変化、局所熱の発生、結合の形成・開裂、相転移などが挙げられ、外部刺激が圧力変化である場合には、結合の開裂、コンフォメーションの変化、相転移などが挙げられ、外部刺激が電場印加である場合には、中性・荷電物質の透過率変化、静電作用、帯電変化、相転移などが挙げられる。
【0014】
以下では、上記変化が“相転移(相変化)”である場合についてより詳細に説明する。つまり、前記ゲル粒子は、温度変化、圧力変化、光照射及び電界印加の少なくともいずれかの前記外部刺激を受け、第一のゲル状態から第二のゲル状態への相転移(相変化)し、前記着色剤を漏出することになる。
前記第一のゲル状態から前記第二のゲル状態への相転移(相変化)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ゲル粒子を形成するポリマーが、ランダムコイル状の構造をとる状態(第一のゲル状態)からグロビュール状の構造をとる状態(前記第二のゲル状態)への相転移が挙げられる。
【0015】
−−ハイドロゲル粒子−−
前記ハイドロゲル粒子が前記外部刺激を受けると、前記ハイドロゲル粒子が第一のゲル状態(前記ゲル粒子を形成するポリマーがランダムコイル状の構造をとる状態)から第二のゲル状態(前記ゲル粒子を形成するポリマーがグロビュール状の構造をとる状態)へと相転移(相変化)を生ずる。
この相転移(相変化)の前においては、前記ハイドロゲル粒子は前記第一のゲル状態をとる。該第一のゲル状態においては、前記着色液に含まれる溶媒(水)は、前記ハイドロゲル粒子内に水和(結合)しており(前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマー分子と水和しており)、該ハイドロゲル粒子内に保持されている。このため、前記ゲル粒子を形成するポリマー分子は、ランダムコイル状の構造をとる。
一方、前記相転移(相変化)の後においては、前記ハイドロゲル粒子は前記第二のゲル状態をとる。このとき、前記着色液に含まれる溶媒(水)は、前記ハイドロゲル粒子内に水和(結合)できなくなる(前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマー分子と水和できなくなる)。換言すれば、前記溶媒(水)が脱水和して前記ハイドロゲル粒子と分離される。そして、前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマーは疎水的となり、その疎水性による親和性で互いに凝集する。このため、前記ゲル粒子を形成するポリマーがグロビュール状の構造をとる。
その結果、前記相転移(相変化)により、前記ハイドロゲル粒子から、前記脱水和した前記溶媒(水)と共に前記着色液に含まれていた前記着色剤が外部に漏出する。
前記ゲル粒子として、前記ハイドロゲル粒子を使用する場合には、前記着色液を水系のもの(前記着色液に含まれる溶媒が水系であるもの)とすることができ、画像形成の際の環境負荷、使用機器へのダメージ、コスト等を低減することができ、取扱性に優れる点で有利である。
【0016】
前記ハイドロゲル粒子は、粒子状のハイドロゲルであり。該ハイドロゲルは、ポリマー鎖の三次元マトリクスが水和して膨潤して、該三次元マトリクス中に水を内含(保持)したゲルである。
前記ハイドロゲルの存在の確認(分析)方法としては、該ハイドロゲルが水分を内含していること及びポリマーによる三次元マトリクス構造を有していることを確認(分析)することになるので、これらの確認(分析)をなし得る限り特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、GC、LC等のクロマトグラフィー法、GC-MS、LC-MS、MALDI-TOF-MS等の質量分析法、熱重量−示差熱同時測定(TG−DTA)、DSC、TG-TMA等の熱分析法、などが挙げられる。これらの方法により、前記ハイドロゲルは、定性分析乃至定量分析できる。
【0017】
前記ハイドロゲル粒子としては、例えば、特開2008−163055、特開2007−204527などの公開特許公報に記載の、高強度ハイドロゲル粒子などが好適に挙げられる。該高強度ハイドロゲル粒子は、その圧縮破断応力が既存のプラスチックとほぼ同等である。このため、該高強度ハイドロゲルを、本発明の着色液含有微粒子、画像形成用微粒子、又は着色液含有トナーに用いると、耐久性、取扱性に優れたものにすることができる点で有利である。また、特に着色液含有トナーに用いた場合には、電子写真法における画像形成プロセスでの使用に耐え得る物性を該着色液含有トナーに持たせることができる点で有利である。
【0018】
前記ゲル粒子として前記ハイドロゲル粒子を使用する場合、該ハイドロゲル粒子から前記着色液を漏出させるための前記外部刺激として、前記温度変化を利用する場合には、該ハイドロゲル粒子が、温度応答性ポリマーを含有してなるのが好ましい。
この場合、該ハイドロゲル粒子に前記外部刺激として昇温又は降温による前記温度刺激を付与すると、該ハイドロゲル粒子に含有される前記温度応答性ポリマーが温度応答し、該ハイドロゲル粒子が第一のゲル状態(前記ゲル粒子を形成するポリマーがランダムコイル状の構造をとる状態)から第二のゲル状態(前記ゲル粒子を形成するポリマーがグロビュール状の構造をとる状態)へと相転移(相変化)を生ずる。
この相転移(相変化)の前においては、前記ハイドロゲル粒子は前記第一のゲル状態をとる。該第一のゲル状態においては、前記着色液に含まれる溶媒(水)は、前記ハイドロゲル粒子内に水和(結合)しており(前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマー分子と水和しており)、該ハイドロゲル粒子内に保持されている。このため、前記ゲル粒子を形成するポリマー分子は、ランダムコイル状の構造をとる。
一方、前記相転移(相変化)の後においては、前記ハイドロゲル粒子は前記第二のゲル状態をとる。このとき、前記着色液に含まれる溶媒(水)は、前記ハイドロゲル粒子内に水和(結合)できなくなる(前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマー分子と水和できなくなる)。換言すれば、前記溶媒(水)が脱水和して前記ハイドロゲル粒子と分離される。そして、前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマーは疎水的となり、その疎水性による親和性で互いに凝集する。このため、前記ゲル粒子を形成するポリマーがグロビュール状の構造をとる。
その結果、前記相転移(相変化)により、前記ハイドロゲル粒子から、前記脱水和した前記溶媒(水)と共に前記着色液に含まれていた前記着色剤が外部に漏出し、この漏出した前記着色液を用紙等の記録部材が受容して該記録部材に前記着色液による画像が形成される。
【0019】
−−−温度応答性ポリマー−−−
前記温度応答性ポリマーは、前記外部刺激である昇温又は降温による温度変化を受けると、それに応答して相転移(相変化)の現象を生ずるが、該温度応答性ポリマーには、前記外部刺激としての温度変化に応答可能となる温度がある。該温度を「下限臨界溶液温度(Lower Critical Solution temperature;LCST)」という。即ち、前記温度応答性ポリマーは、前記下限臨界溶液温度未満の温度から該下限臨界溶液温度以上の温度へと温度変化の外部刺激を受けると、相転移現象を生ずる。
【0020】
前記温度応答性ポリマーの前記下限臨界溶液温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、取扱性、運搬性等の観点からは、例えば、40〜150℃が好ましく、前記着色液の外部への漏出時に付与する熱エネルギーを低減する観点からは、40〜80℃がより好ましく、50〜70℃が特に好ましい。
なお、前記着色液含有トナーである場合には、前記下限臨界溶液温度が前記より好ましい数値範囲内にあると、従来の熱融着トナーを用いた電子写真法による画像形成における定着時における熱エネルギーを大幅に低減できる点で有利である。前記下限臨界溶液温度が、80℃を超えると、従来の熱融着トナーを用いた電子写真法による画像形成における定着時における消費電力に比し大幅に消費電力を低減した状態で定着を行うことができないことがあり、40℃未満であると、前記着色液含有トナーの保存乃至輸送中の温度で、該着色液含有トナー内に含まれる前記着色液の漏出が生ずることがある。
なお、前記下限臨界溶液温度を有する前記温度応答性ポリマーにおける温度挙動は、例えば、目視、体積収縮(率)、重量減少(率)、濁度測定、熱量測定、核磁気共鳴、蛍光、光散乱、中性子散乱、などの方法により分析乃至解析することができる。
【0021】
前記温度応答性ポリマーは、前記下限臨界溶液温度以上の温度となると、それに応答して相転移現象を生ずる。
該相転移現象により、前記下限臨界溶液温度未満の温度において、前記温度応答性ポリマーにおけるポリマー鎖が前記ハイドロゲル粒子内で前記着色液中の液成分(例えば水)と結合(例えば水和)して該液成分を保持していた状態が、前記下限臨界溶液温度以上の温度となると、該結合(水和)が解けて、該温度応答性ポリマーにおけるポリマー鎖及び/又は前記ハイドロゲルを形成する各種ポリマーのポリマー鎖どうしによる疎水性結合(凝集)が多発し、その結果、結合(水和)していた前記液成分(水)が前記ハイドロゲル内からの漏出(脱液乃至脱水)が起こる。換言すれば、前記下限臨界溶液温度未満の温度では、例えば、アミド基等の親水性基と水との強い相互作用(水和)により、前記ポリマー鎖は溶解してランダムコイル状のコンフォメーションをとる。ところが、水温の上昇により、前記アミド基等の親水性基と水との水素結合が不安定になるのに伴って疎水部において脱水和が起り、前記ポリマー鎖は収縮してグロビュール状となる。さらに、疎水性相互作用により、前記グロビュール状をとる前記ポリマー鎖が会合して、巨視的な相分離が生ずる。つまり、前記下限臨界溶液温度を境に、不連続に前記ポリマー鎖がコイル状(水和状態)からグロビュール状態(凝集状態)へと相転移する。
【0022】
前記温度応答性ポリマーの具体例としては、(1)ポリN-イソプロピルアクリルアミド等のポリアルキル置換アクリルアミドの架橋物、(2)アルキル置換アクリルアミドと、アクリル酸やその金属塩、アクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物、(3)ポリビニルメチルエーテルの架橋物、(4)メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イオン化が可能であり、温度応答性制御の自由度、コスト、取扱性、安全性、実用性能に優れる等の点で、ポリアルキル置換アクリルアミドの架橋物が好ましく、ポリN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)の架橋物がより好ましい。
【0023】
前記温度応答性ポリマーは、重合性モノマーをモノマー単位として含み、該重合性モノマーの単独重合体や共重合体、などが挙げられる。前記温度応答性ポリマーにおける前記重合性モノマーの含有量としては、該温度応答性ポリマーが所望の熱応答性を示し、前記相転移現象を発現することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記温度応答性ポリマーの存在の確認(分析)方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、GC、LC等のクロマトグラフィー法、GC-MS、LC-MS、MALDI-TOF-MS等の質量分析法、熱重量−示差熱同時測定(TG−DTA)、DSC、TG-TMA等の熱分析法、などが挙げられる。これらの方法により、前記温度応答性ポリマーは、定性分析乃至定量分析できる。
【0024】
前記温度応答性ポリマーの前記下限臨界溶液温度(LCST)の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(A)日本包装学会誌Vol.13 No.1(2004)に記載のようにアクリル酸ナトリウム等のイオン化剤を添加する方法、(B)Chen,Y.;Sone,M.;Fuchise,K.;Sakai,R.;Kakuchi,R.;Duan,Q.;Sun,J.;Narumi,A.;Satoh,T.;Kakuchi,T.,Structural effect of a series of block copolymers consisting of poly(N-isopropylacrylamide) and poly(N-hydroxyethylacrylamide) onthermoresponsive behavior React. Funct.Polym.,69(7),463-469,(2009)に記載のように分子末端に置換基を導入する方法、などが挙げられる。
【0025】
−−−ハイドロゲル粒子の形成成分−−−
前記ハイドロゲル粒子は、例えば、重合性モノマー、架橋剤、重合開始剤、その他の成分、などを重合反応させることにより、製造することができる。この重合反応の結果、前記ハイドロゲル粒子中には、前記重合性モノマーが重合して前記温度応答性ポリマーが形成され、また、その他のポリマーが形成され、これらのポリマー鎖が絡み合った網目構造が形成され、ゲル性能が発現する。
【0026】
前記網目構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)異種の架橋ポリマー網目構造物が互いに侵入し合って形成された「IPN(interpenetrating polymer network(相互侵入高分子網目))」、(ii)直鎖状ポリマー鎖と架橋ポリマー網目構造物とが絡み合って形成された「セミIPN」、などが挙げられる。前記ゲル粒子(前記ハイドロゲル粒子)は、前記IPN構造又は前記セミIPNを単独で有していてもよいし、前記IPN構造と前記セミIPN構造とを併有していてもよい。
【0027】
前記網目構造の具体例としては、1)モノマーを重合して得られた架橋ポリマー及び/又は非架橋ポリマーどうしで形成した前記IPN構造及び/又は前記セミIPN構造であってもよいし、2)モノマーを重合する際に、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の非架橋水溶性高分子鎖を添加して得られた前記セミIPN構造であってもよい。
また、前記網目構造の具体例としては、特開2008−163055号公報に記載のように、剛直で脆いゲルと、柔軟で高い伸縮性を持つゲルとがIPN構造をとったダブルネットワークゲルや、特開2007−204527号公報に記載のように、水膨潤性粘土鉱物を架橋点として導入したゲル、なども好適に挙げられる。
【0028】
<重合性モノマー>
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記架橋ポリマー又は前記非架橋ポリマーを形成することができ、重合反応し得るモノマーが挙げられるが、前記温度応答性ポリマーを形成し得るモノマーが好ましい。
前記重合性モノマーとしては、例えば、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエーテル誘導体、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコール、炭素数1〜3のアルキル基でアルコキシ化された(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコール、その他のモノマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記N-アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N-エチルアクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-シクロプロピルアクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、N-エトキシエチルアクリルアミド、N-エトキシエチルメタクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、などが挙げられる。
前記N,N-ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、などが挙げられる。
前記環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、1-(1-オキソ-2-プロペニル)-ピロリジン、1-(1-オキソ-2-プロペニル)-ピぺリジン、4-(1-オキソ-2-プロペニル)-ホルモリン、1-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-ピロリジン、1-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-ピぺリジン、4-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-ホルモリン、などが挙げられる。
前記ビニルエーテル誘導体としては、例えば、メチルビニルエーテル、などが挙げられる。
これらの重合性モノマーの中でも、前記温度応答性ポリマーを形成可能であり、イオン化が可能であり、コスト、取扱性、安全性、実用性能に優れる等の点で、前記N-アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、該N-アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体の中でも、N-n-プロピルアクリルアミド)、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-エトキシエチルアクリルアミド、N-エトキシエチルメタクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、などがより好ましく、ポリN-イソプロピル(メタ)アクリルアミドが特に好ましい。
【0030】
前記(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールとしては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン、メチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、スチレンスルホン酸、ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアルキレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、などが挙げられる。
前記炭素数1〜3のアルキル基でアルコキシ化された(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、などが挙げられる。
【0031】
前記その他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、などが挙げられる。また、ビニル基を有するカルボン酸類、リン酸類、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド化合物、塩類、などが挙げられる。
前記ビニル基を有するカルボン酸類としては、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸類、(メタ)アクリル酸、などが挙げられる。
前記リン酸類としては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル、などが挙げられる。
前記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
前記塩類としては、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチル硫酸塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルリン酸塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルリン酸塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルジメチルアミノエチルエチル硫酸塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルリン酸塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルリン酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルクロライド塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルクロライド塩又はジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチル硫酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルリン酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルリン酸塩、などが挙げられる。
さらに、前記その他のモノマーとして、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン又はフッ化ビニリデンなどが挙げられ、また、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、スチレン、ビニルカルバゾール、塩化ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられ、さらに、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の直鎖の水溶性高分子、ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチン又はアルギン酸等の多糖類、あるいはゼラチンやコラーゲン等のタンパク質、などが挙げられる。
【0032】
<架橋剤>
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子内に重合性を有する炭素間二重結合を2以上有する重合性モノマー、多官能架橋点として機能し得るナノクレイ、などが好適に挙げられる。
前記分子内に重合性を有する炭素間二重結合を2以上有する重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスメタクリルアミド、1,2−ジアクリルアミドエチレングリコール、ジ(トリポリ)アクリレート、ジ(トリポリ)メタクリレート、などが挙げられる。
前記多官能架橋点として機能し得るナノクレイとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゲル粒子の高強度化を図る観点からは、例えば、無機層状化合物などが好適に挙げられる。前記無機層状化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水膨潤性粘土鉱物などが特に好適に挙げられる。前記水膨潤性粘土鉱物としては、例えば、ヘクトライト、スメクタイト、モンモリロライト、ペロブスカイト、などが挙げられる。これらの中でも、前記ゲル粒子を容易に高強度化できる点で、ヘクトライトが好ましい。
前記架橋剤の含有量乃至添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該含有量乃至添加量により前記ゲル粒子の強度を所望の程度に調整することができる。
【0033】
<重合開始剤>
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、アセトフェノン系開始剤、などが挙げられる。該重合開始剤は、可視光線、紫外線、電子線、ガンマ線など放射線を照射することにより開裂し、ラジカルを発生するものであれば特に限定されないが、例えば、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタ−ル、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン、α−ケトグルタル酸、などが好適に挙げられる。これらの具体例としては、アゾイソブチロニトリル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、などが挙げられる。
前記熱重合開始剤としては、例えば、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスアミジノプロパン2塩酸塩等のアゾ重合開始剤、などが挙げられる。
前記レドックス重合開始剤としては、例えば、硫酸第1鉄、ピロ亜硫酸塩、テトラメチルエチレンジアミン等の還元剤と過酸化水素やペルオキソ2硫酸塩、過硫酸カリウム、ペルオキソ2硫酸カリウム、ペルオキソ過硫酸アンモニウム等の過酸化物、などが挙げられる。
【0034】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、前記ハイドロゲル粒子の性能を害さないものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合助剤、溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒は、前記ハイドロゲル粒子を、公知の懸濁重合法、逆相懸濁重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、マイクロエマルジョン重合法、ソープフリー乳化重合法、マイクロサスペンション重合法、沈殿重合法、分散重合法、などの微粒子生成重合方法により製造する場合に好適に使用することができる。該溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記乳化重合法等の微粒子生成重合方法において汎用される有機溶媒が好適に挙げられ、例えば、トルエン、n−ヘキサン、酢酸エチル、などが好適に挙げられる。
【0035】
−着色液−
前記着色液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、溶媒などを含有するものが好適に挙げられる。
【0036】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、前記溶媒中に均一に分散乃至溶解するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、染料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単独で前記溶媒中に均一に分散乃至溶解するものが好ましいが、分散剤等の使用により前記溶媒中に均一に分散乃至溶解するものであってもよい。
【0037】
−−−顔料−−−
前記顔料としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、親水性顔料、親油性顔料(疎水性顔料)などが挙げられる。これらの中でも、環境負荷が少なく、安全性に優れ、低コストで製造可能な水系の着色液を製造する観点からは、親水性顔料が好ましい。
前記親水性顔料としては、溶媒である水中に単独で又は分散剤により分散し得るものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水分散性顔料、などが好適に挙げられる。
前記水分散性顔料としては、分散剤等を使用することなく水中にそれ自身単独で分散し得る性質を有する限り特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2009−62519号公報に記載のものなどが好適に挙げられる。
前記分散の状態としては二次粒子(凝集粒子)の状態での分散でもよいが、高画質の画像を得る観点からは可能な限り微粒子(一次粒子、又は粒径の小さな二次粒子)の状態での分散が好ましい。
【0038】
前記顔料の色としては、着色液含有微粒子の種類、即ち、黒色用トナー、カラー用トナーなどに応じて適宜選択することができる。前記カラー用トナーとしては、例えば、イエロ−トナー、マゼンタトナー、シアントナー、などが挙げられる。
【0039】
前記黒色用トナーに用いられる顔料としては、例えば、カーボンブラック類、金属酸化物、有機顔料、などが挙げられる。
前記カーボンブラック類としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7等)、などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11等)、酸化チタン、などが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)、などが挙げられる。
【0040】
前記イエロートナーに用いられる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG),2,3,12(ジスアゾイエローAAA),13,14,16,17,20,23,24,34,35,37,42(黄色酸化鉄),53,55,73,74,75,81,83(ジスアゾイエローHR),86,93,95,97,98,100,101,104,108,109,110,114,117,120,125,128,129,137,138,139,147,148,150,151,153,154,155,166,168,180,185、などが挙げられる。
前記マゼンタトナーに用いられる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,5,7,9,12,17,22(ブリリアントファーストスカーレット),23,31,38,48:1(パーマネントレッド2B(Ba)),48:2(パーマネントレッド2B(Ca)),48:3(パーマネントレッド2B(Sr)),48:4(パーマネントレッド2B(Mn)),49:1,52:2,53:1,57:1(ブリリアントカーミン6B),60:1,63:1,63:2,64:1,81(ローダミン6Gレ−キ),83,88,92,97,101(べんがら),104,105,106,108(カドミウムレッド),112,114,122(ジメチルキナクリドン),123,146,149,166,168,170,172,175,176,178,179,180,184,185,190,192,193,202,209,215,216,217,219,220,223,226,227,228,238,240,254,255,272、などが挙げられる。
前記シアントナーに用いられる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15(銅フタロシアニンブルーR),15:1,15:2,15:3(フタロシアニンブルーG),15:4,15:6(フタロシアニンブルーE),16,17:1,22,56,60,63,64,バットブルー4,バットブルー60、などが挙げられる。
また、その他の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177,194,224、C.I.ピグメントオレンジ16,36,43,51,55,59,61,71、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,29,30,37,40,50、C.I.ピグメントグリーン7,36、などが挙げられる。
【0041】
−−−染料−−−
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性染料、水分散性染料、油溶性染料、などが挙げられる。これらの中でも、環境負荷が少なく、安全性に優れ、低コストで製造可能な水系の着色液を製造する観点からは、水分散性染料、水溶性染料が好ましく、水溶性染料がより好ましい。
前記水分散性染料は、水中に単独で又は分散剤等により分散可能な染料であり、例えば、特開2009−62519号公報に記載のものなどが好適に挙げられる。
前記水溶性染料としては、水に溶解性を示す染料である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カラーインデックスにおいて、酸性染料、食用染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料に分類される染料が好適に挙げられる。これらの中でも、耐水性、耐光性に優れたものが好ましく、画質、色再現性、取扱性、コスト等の点で、直接性染料がより好ましい。なお、前記水溶性染料としては、例えば、特開2009−62519号公報に記載のものなどが好適に挙げられる。
【0042】
前記酸性染料及び前記食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,29,45,92,249、C.I.アシッドブラック1,2,7,24,26,94、C.I.フードイエロー3,4、C.I.フードレッド7,9,14、C.I.フードブラック1,2、などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、C.I.ダイレクトオレンジ26,29,62,102、C.I.ダイレクトブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171、などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシックイエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、C.I.ベーシックレッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、C.I.ベーシックブラック2,8、などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック3,4,7,11,12,17、C.I.リアクティブイエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、C.I.リアクティブレッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97、C.I.リアクティブブルー1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95、などが挙げられる。
【0043】
−−溶媒−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒(水性溶媒)、油系溶媒(疎水性有機溶媒)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境負荷が少なく、安全性が高く、低コストで製造可能な水系の着色液を製造する観点からは、前記水系溶媒(水性溶媒)が好ましい。
前記水系溶媒(水性溶媒)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒、などが挙げられる。前記親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコール、などが挙げられる。これらの中でも、低コストで前記着色液含有トナーを製造することができる点で、水が特に好ましい。
【0044】
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の熱溶融性トナーやインクジェット用インクに含まれる各種成分、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
−−着色液含有微粒子における溶媒含有率−−
前記着色液含有微粒子における、溶媒含有率としては、特に制限はなく、用途や目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜99質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましい。
前記溶媒含有率が、10%質量未満であると、前記着色液中に前記着色剤を所望量添加させることができないことがあり、また、コスト、安全性、環境負荷等の点でも好ましくなく、99質量%を超えると、前記ゲル粒子としての強度が不十分であることがあり、また、前記着色剤を所望量添加できなかったりすることがあるため、いずれも好ましくない。
なお、前記着色液含有微粒子における溶媒含有率は、公知の測定方法に従って製造することができ、例えば、前記溶媒が水である場合の含水率については、水分計、熱重量−示差熱同時測定(TG−DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、ガス・クロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)などにより測定することができる。
【0046】
−−着色液含有微粒子の体積平均粒径−−
前記着色液含有微粒子の体積平均粒径(Dv)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電子写真法により画像形成を行う場合には、公知の市販品であるコピ−機等の電子写真法の画像形成装置においてそのまま使用でき、従来の電子写真法による画像形成装置で使用されている熱融着トナーと同様の取扱いが可能となる点で、公知の熱溶融トナーと同様の粒径が好ましく、具体的には、3.0〜7.0μm程度が好ましい。
前記体積平均粒径の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、光学顕微鏡による観察、コールターマルチサイザー、レーザー回折式粒度分布測定装置、走査型電気移動度粒径分析器、動的光散乱法粒径分析装置、レーザー回折・散乱式粒度分析計、画像解析式粒度分析計、レーザー回折式粒度分析計、レーザードップラー式粒度分析計、超音波減衰法式粒度分析計、位相ドップラー式粒子解析装置などが好適に挙げられる。
【0047】
−−着色液含有微粒子の粒度分布−−
前記着色液含有微粒子の粒度分布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高画質を得る観点からは、シャープであるのが好ましく、具体的には、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、1.00〜1.30程度であるのが好ましく、1.00〜1.20であるのがより好ましい。
前記比(Dv/Dn)が、1.30を超えると、例えば、電子写真法により画像形成を行う場合、個々のトナー粒子の粒径のバラツキが大きく、現像の際などで着色液含有微粒子の挙動にバラツキが発生し、微小ドットの再現性を損なってしまうことになり、高品位な画像が得られ難くなることがある。
【0048】
−着色液含有微粒子の製造方法−
本発明の着色液含有微粒子の製造方法としては、前記ゲル粒子を形成するための各成分、及び、前記着色液における各成分を用いて、前記ゲル粒子を形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高分子ゲルの動向:つくる・つかう・みる 著者:柴山充弘 シーエムシー出版)(乳化・分散プロセスの機能と応用技術:基礎と現場を結ぶテクニカルアプローチ 編集委員:刈米孝夫、日高徹、小石眞純、尾見信三、天野晴之 (株)サイエンスフォーラム)(ラジカル重合ハンドブック:基礎から新展開まで 監修者:蓮池幹治、遠藤剛)に記載の方法、などが挙げられる。
具体的には、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、マイクロエマルジョン重合法、ソープフリー乳化重合法、マイクロサスペンション重合法、沈殿重合法、分散重合法、などの微粒子生成重合方法が挙げられる。また、これらの微粒子生成重合方法のほか、本出願人による特開2006−293320号公報に記載の液滴吐出手段を応用した前記ハイドロゲル粒子の製造方法なども好適に挙げられる。
図1及び図2において模式図で一例を示した、ダブルネットワーク構造を有する前記ゲル粒子を効率よく、かつ所望の粒度に製造する場合には、先ず、前記逆相乳化重合法により、ナノサイズのゲル粒子を形成し、次いで、前記逆相懸濁重合法により、マイクロサイズのゲル粒子を形成することにより、ダブルネットワーク構造を有する前記ゲル粒子が製造される。
【0049】
前記液滴吐出手段を応用した前記ゲル粒子の製造方法としては、例えば、前記液滴吐出手段としてのノズルから吐出された、(A)前記ゲル粒子を形成するための各成分、あるいは(B)前記ゲル粒子を形成するための各成分及び前記着色液における各成分、を含有する液滴粒子に対し、紫外線照射、放射線照射又は加熱等を行い、重合反応を開始させ、ゲル化させて微粒子を製造する方法が好適に挙げられる。なお、このような微粒子の製造は、例えば、特開2011−012107号公報、特開2005−298644号公報、特開2003−238693号公報、乳化・分散プロセスの機能と応用技術−基礎と現場を結ぶテクノロジーアプローチ:株式会社サイエンスフォーラム 刈米孝夫、日高徹、小石眞純、尾見信三、天野晴之 1995.4.25発行、F.Candau:Scientific Methods for the Study of Polymeric Colloids and Their Applications,NATO ASI Ser,C303,p.159,Kluwer Acad.Sci.Pub.(1990).(逆相乳化重合、加熱、紫外線照射)、F.Candau,Y.S.Leong and R.M.Fitch:J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,193(1985)、などに記載の方法などを参照することができる。
前記(A)の場合、前記ゲル粒子のみを先に製造し、その後で、前記着色剤の溶液及び/又は分散液の中に、該ゲル粒子を浸漬させることにより、該ゲル粒子内に前記着色剤を含有させることができる。前記(B)の場合、前記ゲル粒子が形成された際に該ゲル粒子内に前記着色剤は内含乃至含有(保持)されている。
前記紫外線照射、放射線照射、加熱の各条件としては、前記液滴がゲル化し得る条件であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0050】
前記液滴吐出手段としては、特に制限はなく、適宜選択した公知のものを用いることができるが、吐出する液滴の粒径分布が狭いことが好ましく、例えば、1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ液滴吐出手段、レイリー分裂タイプ液滴吐出手段、液振動タイプ液滴吐出手段、液柱共鳴タイプ液滴吐出手段、などが好適に挙げられる。
【0051】
以下、前記膜振動タイプ液滴吐出手段について図面を用いて具体的に説明する。前記膜振動タイプ液滴吐出手段としては、間接振動型液滴吐出手段、直接振動型液滴吐出手段とが挙げられる。
【0052】
−−間接振動型液滴吐出手段−−
図3は、本発明の着色液含有微粒子を、間接振動型液滴吐出手段を用いて製造する工程を説明するための断面概略説明図であり、間接振動型液滴吐出手段1の概略断面が図示されている。図4は、図3における間接振動型液滴吐出手段の液滴吐出面の概略説明図である。
間接振動型液滴吐出手段1は、複数の吐出孔2が形成された薄膜3と、薄膜3を振動させる機械的振動手段4と、薄膜3と機械的振動手段4との間にゲル粒子形成用液(トナー組成液)5を供給する液流路6を形成するフレーム7とを備えている。
【0053】
ゲル粒子形成用液5は、原料収容器(不図示)から液循環ポンプ(不図示)によって液供給管(不図示)を通ってトナー組成液供給口8aから供給され、液流路6を通り、トナー組成液排出口8bから排出され、液戻り管(不図示)を通って再び原料収容器(不図示)に戻る。
複数の吐出孔9を有する薄膜3は、振動手段4の振動面10に対して平行に設置されており、薄膜3の一部がフレーム7に接合固定されており、機械的振動手段4の振動方向とは実質的に垂直な位置関係となる。機械的振動手段4の振動発生手段11の上下面に電圧信号が付与されるように、回路12が設けられており、駆動信号発生源13からの信号を機械的振動に変換することができる。電気信号を与える回路としては、表面を絶縁被覆されたリード線が適している。また、機械的振動手段4は、後述する各種ホーン型振動子、ボルト締めランジュバン型振動子など、振動振幅の大きな素子を用いることが、効率的かつ安定に前記着色液含有微粒子(前記ゲル粒子)を生産するには好適である。
【0054】
機械的振動手段4は、振動を発生する振動発生手段11と、この振動発生手段で発生した振動を増幅する振動増幅手段14とを有し、駆動信号発生源13から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が振動発生手段の電極15間に印加されることによって、振動発生手段11に振動が励起され、この振動が振動増幅手段14で増幅され、薄膜3と平行に配置される振動面10が周期的に振動し、振動面10の振動による周期的な圧力によって薄膜3が所要の周波数で振動する。なお、図3では、振動発生手段11は、一つの圧電体16を電極15で挟んだ構造になっているが、このような振動発生手段11を複数重ねた構造となっていてもよい。
【0055】
機械的振動手段4としては、薄膜3に対して確実な縦振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、薄膜3を振動させることから、振動発生手段11にはバイモルフ型の撓み振動の励起される圧電体16が好ましい。圧電体16は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有し、電圧を印加することにより、撓み振動が励起され、薄膜3を振動させることが可能となる。
前記撓み振動は、図5のグラフに示すように、薄膜3の中心で変位ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。膜が周期的に上下振動することで、吐出孔2から液滴17が周期的に吐出する。液滴17を吐出できる薄膜3における領域(ノズル(吐出口)配置領域)は、図5のグラフに示す関係により、限られるため、薄膜3における吐出孔2は、このノズル(吐出口)配置領域、即ち薄膜3の中心部に配置されている。
振動発生手段11を構成する圧電体16としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶、などが挙げられる。これらによる圧電体16は、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。
機械的振動手段4は、吐出孔2を有する薄膜3に対して垂直方向の振動を与えるものであれば、どのような配置でもよいが、振動面10と薄膜3とは平行に配置される。
【0056】
図3では、振動発生手段11と振動増幅手段14で構成される機械的振動手段4として、ホーン型振動子を用いている。このホーン型振動子は、圧電体16の振幅を振動増幅手段14で増幅することができるため、機械的振動を発生する振動発生手段11自体は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減するために生産装置としての長寿命化につながる。このホーン型振動子としては、公知の代表的なホーン形状でよく。目的に合わせて適宜形状を選択することができる。振動発生手段11としては、特に高強度なボルト締めランジュバン型振動子を用いることもできる。このボルト締めランジュバン型振動子は圧電セラミックスが機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがない。
機械的振動手段4の大きさは、発振振動数の減少に伴い大きくなることが一般的であり、必要な周波数に応じて、適宜振動手段に直接穴あけ加工を施し貯留部を設けることができる。また、貯留部全体を効率的に振動させることも可能である。
【0057】
−−直接振動型液滴吐出手段−−
図6は、本発明の着色液含有微粒子を、直接振動型液滴吐出手段を用いて製造する工程を説明するための断面概略説明図である。図7は、図6における直接振動型液滴吐出手段の液滴吐出面の概略説明図である。
直接振動型吐出手段18は、少なくとも液滴17を吐出させる吐出孔2を備えた薄膜3と、薄膜3を振動させるための円環状振動発生手段19と、ゲル粒子形成用液(トナー組成液)5を供給する流路7を設けたフレーム20を備えている。
【0058】
ゲル粒子形成用液5は、原料収容器(不図示)から液循環ポンプ(不図示)によって液供給管(不図示)を通ってトナー組成液供給口8aから供給され、流路6を通り、トナー組成液排出口8bから排出され、液戻り管(不図示)を通って再び原料収容器(不図示)に戻る。
薄膜3は、外周部をフレーム20に接合固定している。円環状振動発生手段19は、薄膜3における吐出孔2を設けた領域の周囲に配されている。円環状振動発生手段19は、円環状圧電体21と電極15とによって構成され、電極15に回路12を通じて駆動信号発生源13から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加されることで、例えば撓み振動を発生する。
円環状圧電体16の種類や電極15は、間接振動型吐出手段1で説明したものと同様のものを用いることができる。なお、前記撓み振動は、間接振動型吐出手段1において説明したのと同様である。
【0059】
<液滴の形成メカニズム>
ここで、間接振動型液滴吐出手段1及び直接振動型液滴吐出手段18による液滴形成のメカニズムについて説明する。
上述したように、これらの液滴吐出手段は、流路6に臨む複数の吐出孔2を有する薄膜3に、振動発生手段によって発生した振動を伝播させて、薄膜3を周期的に振動させ、比較的大面積の領域に複数の吐出孔2を配置し、それら複数の吐出孔2より液滴17を周期的に、安定に形成して放出することができるようになる。
円形薄膜の振動により、円形の薄膜3に設けられた吐出口2(ノズル)近傍の液体には、薄膜3の振動速度Vmに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、媒質(トナー組成液乃至ゲル粒子形成用液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、音圧は、放射インピーダンスと膜振動速度Vmの積で下記式(1)の方程式を用いて表される。
Pac(r,t)=Zr・Vm(r,t)・・・(1)
薄膜3の振動速度Vmは、時間とともに周期的に変動しているため時間(t)の関数であり、例えば、サイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、上述のとおり、薄膜3の各所で振動方向の振動変位は異なっており、Vmは、薄膜3上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる薄膜3の振動形態は、上述のとおり軸対象である。したがって、実質的には半径(r)座標の関数となる。
【0060】
分布を持った薄膜3の振動変位速度に対して、それに比例する音圧が発生し、音圧の周期的変化に対応して、トナー組成液乃至ゲル粒子形成用液が、吐出口2(ノズル)から気相へ液滴17として吐出される。即ち、気相へ周期的に排出されたトナー組成液乃至ゲル粒子形成用液は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生し、液滴17となる。
液滴化を可能とする薄膜3の振動周波数としては、20kHz〜2.0MHzの領域が好適に挙げられ、50kHz〜500kHzがより好ましい。前記振動周波数が、20kHzを超えると、液体の励振によって、トナー組成液乃至ゲル粒子形成用液中の顔料などの微粒子の分散が促進される。更には、前記音圧の変位量が、10kPa以上となることによって、上述の微粒子分散促進作用が、より好適に発生する。
【0061】
吐出孔2を有する薄膜3は、上述のように、ゲル粒子形成用液(トナー組成液)を、吐出させて液滴とする部材である。
薄膜3の材質、吐出孔2の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができる。なお、吐出孔2の開口径は、真円である場合には直径を意味し、楕円である場合には短径を意味する。また、複数の吐出孔2の個数は、2〜3000個が好ましい。
吐出孔2の断面形状は、図3に示す間接振動型液滴吐出手段、図6に示す直接振動型液滴吐出手段においては、孔の開口部と接液面とで大きさが変わらない形状として記載されているが、適宜断面形状を変更することができる。図8は、液滴吐出手段の液滴吐出面の断面形状の例を説明するための概略図である。
【0062】
図8(a)は、吐出孔2における接液面から吐出孔の出口に向かってラウンド形状を有しながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜3が振動した際に、吐出孔2の出口付近で液に印加される圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。図8(b)は、吐出孔2の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、ノズル角度22は、適宜変更することができる。図8(a)と同様のノズル角度22によって薄膜3が振動したときの吐出孔2の出口付近で液に印加される圧力を高めることができ、ノズル角度22としては、60〜90°が好ましい。該ノズル角度が、60°未満であると、液に圧力が印加され難く、薄膜3の加工も容易ではない傾向があり、90°(図8(c)に相当)を超えると、吐出孔12の出口に圧力が印加され難くなるため、液滴の吐出が非常に不安定化することがある。図8(d)は、図8(a)と図8(b)との組合せ形状である。このように段階的に形状を変更してもよい。
【0063】
以上により、本発明の前記着色液含有微粒子における前記ゲル粒子が製造される。
ここで、前記ゲル粒子を模試図に表して説明する。前記ゲル粒子の構造としては、図1及び図2に示すように、第一の構造から第三の構造の3つの代表例が挙げられる。
前記第一の構造としては、図中「模式断面図1」として示したように、前記ゲル粒子を形成する、例えば、前記NIPAMの温度応答性ポリマーの分子(鎖)の三次元構造ネットワーク中に前記着色剤及び前記溶媒(例えば水)を内含している構造である。
前記第二の構造としては、図中「模式断面図2(水膨潤性粘土鉱物での高強度化の例)」として示したように、前記ゲル粒子を形成する、例えば前記NIPAMの温度応答性ポリマーの分子(鎖)、及び/又は前記架橋剤としての前記無機層状化合物(例えばスメクタイト)、により形成された三次元構造ネットワーク中に前記着色剤及び前記溶媒(例えば水)を内含している構造である。
前記第三の構造としては、図中「模式断面図2(ダブルネットワークゲルでの高強度化の例)」として示したように、前記ゲル粒子を形成する、例えば前記NIPAMの温度応答性ポリマーの分子(鎖)、及び/又は前記架橋剤としての前記無機層状化合物(例えばスメクタイト)、により形成された三次元構造ネットワーク中に、前記着色剤及び前記溶媒(例えば水)、並びに、前記逆相乳化重合法等により形成したナノサイズの、例えばポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホーン酸(PAMPS)等で形成したゲル粒子(1stネットワークゲル)を内含している構造である。
【0064】
−−着色液含有微粒子の製造における後処理−−
以上により形成された液滴17、即ち前記ゲル粒子の形成成分を含む液滴粒子に対し、紫外線照射、放射線照射又は加熱等を行い、重合反応を開始させ、ゲル化させることにより、前記ゲル粒子が製造される。このとき、液滴17には前記着色液も含まれているので、該ゲル粒子は、本発明の着色液含有微粒子となる。
こうして得られた本発明の着色液含有微粒子は、そのまま使用してもよいし、該着色液含有微粒子を母体粒子として、更に表面処理、外添処理等の公知のトナー製造法等における後処理を行ってから使用してもよい。
【0065】
前記後処理としては、例えば、前記着色液含有微粒子(ゲル粒子)における、帯電性、乾燥防止、流動性、電子写真プロセスストレスへの耐性を持たせるために行われ、該後処理により前記着色液含有微粒子の表面性状を所望の状態に制御することができる。該後処理の具体例としては、フッ素系樹脂等の樹脂層による被覆、コアセルベーション等によるカプセル化、紫外線・電子線・X線を粒子化後に照射して表面架橋密度を向上させることによる表面硬化、無機微粒子の外添、などが挙げられる。
【0066】
以上により得られた本発明の着色液含有微粒子、あるいは、これを画像形成用微粒子又は着色液含有トナーとして用いて、画像を形成する場合には、所望の色彩の着色液を内含する該着色液含有微粒子を用紙等の記録媒体上の所望位置に、例えば電子写真方式等により配置させる。このとき、前記着色液含有微粒子に内含されている着色液は前記ゲル粒子内に内含(保持)されており、外部に漏出しない。そして、所望のタイミングで前記着色液含有微粒子に、温度変化、圧力変化、光照射及び電界印加の少なくともいずれかの外部刺激が付与されると、前記ゲル粒子が第一のゲル状態<前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマー分子と前記溶媒(水等)が結合(水和等)して、前記ゲル粒子を形成するポリマー分子がランダムコイル状の構造をとる状態>から第二のゲル状態<前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマー分子と前記溶媒(水等)とが結合(水和等)できなくなり、前記ハイドロゲル粒子を形成するポリマー分子が疎水性による親和性で互いに凝集するグロビュール状の構造をとる状態>へと相転移(相変化)を生ずる。この相転移(相変化)が生じている間、前記ゲル粒子内に内含(保持)されていた前記着色液が前記ゲル粒子の外部に漏出し、該着色液は、インクジェット法におけるインクの吸収と同様の原理にて前記用紙等の記録媒体に吸収される。その結果、多大な熱エネルギーやコストを要することなく、前記用紙等の記録媒体に前記着色液による高画質の画像を簡便かつ効率よく形成することができる。また、該画像が特に多色の画像である場合、トナー(層)の重ね合わせで色を表現する必要がなく、インクジェット法におけるインクでの画像形成と同様に、用紙等の記録媒体における前記着色液の吸収により色が表現されるので、色再現性に優れる。
【0067】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の第一の画像形成方法は、本発明の前記着色液含有微粒子を用いて画像を形成する方法である。該第一の画像形成方法は、本発明の前記着色液含有微粒子を用いる限り、公知の画像形成方法と同様に実施してもよく、例えば、電子写真法等により本発明の前記着色液含有微粒子を用紙等の記録媒体の所望位置に配し、前記外部刺激を付与することにより行うことができる。なお、電子写真法の原理を採用して本発明の前記着色液含有微粒子を用紙等の記録媒体上の所望位置に配し、前記外部刺激を付与することにより画像を形成する方法が、以下の本発明の第二の画像形成方法である。
以下に、前記第二の画像形成方法及びそれを実施するのに好適な本発明の画像形成装置について説明する。
本発明の前記画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、必要に応じて選択したその他の工程を含む。
本発明の画像形成装置は、静電潜像形成手段と、現像手段と、必要に応じて選択したその他の手段とを有する。
本発明の前記画像形成方法は、本発明の前記画像形成装置により好適に実施することができる。即ち、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に実施することができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
【0068】
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体としては、特に制限はなく、公知の電子写真法で用いられるものが好適に挙げられ、公知の感光体(感光ドラム)が好適に挙げられる。
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する方法としては、特に制限はなく、公知の電子写真法における静電潜像の形成方法が好適に挙げられる。即ち、前記静電潜像形成工程は、例えば、帯電器等の帯電手段により、前記感光体の表面を一様に帯電した後、形成する画像情報をスキャンにし、そのスキャンニング情報に基づいて露光器等の露光手段により、前記感光体の表面を露光することなどの方法により行うことができる。
前記帯電器としては、接触タイプのものであってもよいし、非接触タイプのものであってもよい。前記接触タイプのものとしては、帯電ブラシ、帯電ローラなどが挙げられる。前記非接触タイプのものとしては、コロナ帯電器、スコトロン帯電器などが挙げられる。
なお、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により実施することができる。前記静電潜像形成手段は、少なくとも前記感光体に像様に露光可能な露光器等の露光手段を有してなり、前記露光手段により露光される前記感光体の表面を一様に帯電可能な帯電器等の帯電手段を更に有してなるのがより好ましい。前記帯電手段、前記露光手段としては、公知のものが好適に挙げられる。
前記静電潜像形成工程において、また、前記静電潜像形成手段により、前記静電潜像担持体(感光体)の表面に所望の静電潜像が形成される。
【0069】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、本発明の前記着色液含有トナーを用いて、前記静電潜像担持体上に形成した前記静電潜像を現像する工程である。
前記現像は、前記現像手段を用いて好適に行うことができる。前記現像手段としては、特に制限はなく、公知の現像器等が好適に挙げられる。前記公知の現像器としては、現像用ブラシや現像用ローラを用いて前記静電潜像担持体上に前記着色液含有トナーを付与可能なものなどが挙げられる。
前記現像工程において、また、前記現像手段により、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像が現像されて、前記着色液含有トナーによるトナー像が形成される。
【0070】
−その他の工程及びその他の手段−
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、転写工程、定着工程が好適に挙げられ、クリーニング工程、除電工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、転写手段、定着手段が好適に挙げられ、クリーニング手段、除電手段などが挙げられる。
【0071】
前記転写工程は、前記静電潜像担持体上に現像された前記トナー像を、用紙等の記録媒体上に転写する工程である。前記転写工程は、前記転写手段により好適に行うことができ、前記転写手段としては、公知の帯電器などが挙げられ、該帯電器としては、上述のような、接触タイプのものであってもよいし、非接触タイプのものであってもよい。
前記転写工程において、また、前記転写手段により、前記静電潜像担持体上に現像された前記トナー像が、用紙等の記録媒体上に転写される。なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、コピ−専用紙、インクジェット用紙、などが挙げられる。
【0072】
前記定着工程は、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を該記録媒体上に定着(固定)する工程である。前記定着工程は、前記定着手段により好適に行うことができ、前記定着手段としては、接触タイプのものであってもよいし、非接触タイプのものであってもよい。前記接触タイプのものとしては、公知の定着手段が好適に挙げられ、例えば、一対の加熱加圧ローラ、ローラとベルト等との組合せ、などが挙げられる。前記非接触タイプのものとしては、例えば、加熱器、加熱器と紫外線照射装置との組合せ、などが挙げられる。
前記定着工程においては、前記着色液含有微粒子に含有される前記着色液を該着色液含有微粒子から漏出させるために、前記トナー像(着色液含有微粒子像)を加熱する。
【0073】
前記加熱の温度としては、前記着色液含有微粒子を形成する前記ゲル粒子に含まれる前記温度応答性ポリマーにおける前記下限臨界溶液温度以上の温度であることが必要となる。該下限臨界溶液温度は、その温度よりも低い温度において前記ゲル粒子が前記着色液を保持可能である温度である。
前記下限臨界溶液温度としては、前記ゲル粒子に含まれる前記温度応答性ポリマーの種類により異なるので一概に規定することはできないが、例えば、80℃以下が好ましく、20〜80℃がより好ましく、60〜80℃が特に好ましい。
前記ゲル粒子に含有される前記温度応答性ポリマーの下限臨界溶液温度が上記所定の数値範囲内であると、当該温度が上記所定の低温領域であるため、該着色液含有微粒子を用紙等の記録媒体に転写した後、当該温度以上の温度にしただけで、前記ゲル粒子から前記着色液が漏出され、該着色液が前記記録媒体に吸収され、画像が形成される。つまり、従来における電子写真法によるトナーを用いた画像形成法では、定着温度が120℃以上の高温であり、多大な熱エネルギーが必要であったが、該着色液含有微粒子を用いれば、大幅に熱エネルギーを低減した状態で、しかも通常の熱融着トナーを用いた場合に比し高画質の画像が効率よく形成される。
【0074】
よって、前記定着工程における温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃以下が好ましく、20〜80℃がより好ましく、60〜80℃が特に好ましい。また、前記定着手段としては、前記現像手段により現像された前記トナー像(着色液含有微粒子像)を80℃以下で加熱可能なものが好ましく、20〜80℃で加熱可能なものがより好ましく、60〜80℃で加熱可能なものが特に好ましい。
前記定着工程における温度が前記数値範囲内であると、前記現像工程において現像されたトナー像(着色液含有微粒子像)が、通常、120℃以上の高温に温度制御された従来の定着工程とは異なり、80℃以下という低温で大幅に熱エネルギーを低減した状態で消費電力を少なくした定着工程により定着される点で好ましい。
前記定着工程において、また、前記定着手段により、前記トナー像(着色液含有微粒子像)が、前記記録媒体上に定着(固定)される。
【0075】
前記クリーニング工程は、前記トナー像(着色液含有微粒子像)を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像担持体上に残留する前記着色液含有微粒子を除去する工程である。前記クリーニング工程は、前記クリーニング手段により行うことができ、該クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられる。
前記クリーニング工程において、また、前記クリーニング手段により、前記静電潜像担持体上に残留する不要な前記着色液含有トナーを除去することができる。
【0076】
前記除電工程は、前記トナー像(着色液含有微粒子像)を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像担持体に次の画像形成プロセスに入る前に、該静電潜像担持体上に残留する不要な電荷を除去する工程である。前記除電工程は、前記除電手段により行うことができ、該除電手段としては、公知の帯電器等が挙げられる。
【0077】
なお、本発明の前記着色液含有微粒子を用いて多色乃至フルカラーの画像を形成する場合には、前記現像工程、前記転写工程を各色毎に行ってもよいし、前記現像工程を各色毎に行い、前記転写工程を一括で行ってもよく、前者の場合には、前記画像形成装置として、タンデム方式のものを好適に使用することができ、後者の場合には、中間転写ベルト等を使用する中間転写体方式のものを好適に使用することができる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0079】
(実施例1)
−ダブルネットワーク構造を有するハイドロゲル粒子の形成−
逆相乳化重合法にてゲル粒子1を製造した。即ち、窒素雰囲気下で、トルエン70.35g中に、スルホこはく酸ジイソオクチルナトリウム17.50g、及びアゾイソブチロニトリル0.075gを溶解させ、油相1を得た。
一方、窒素雰囲気下で、イオン交換水8.5g中に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホーン酸4.5g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.2gを溶解させ、水相1を得た。
窒素雰囲気下で、前記油相1と前記水相1とを混合し、ホモジナイザーを用いて乳化した後、紫外線ランプ(アズワン(株)製、ハンディーUVランプ(型番:SLUV−8))を用いて紫外線を照射しながら、1時間重合させた後、ろ過によりトルエンを除去することにより、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホーン酸(PAMPS)等で形成したゲル粒子1(1stネットワークゲル)を製造した。
次に、窒素雰囲気下で、イオン交換水200g中に、得られたゲル粒子1の12.5gを含浸した後、N−イソプロピルアクリルアミド9.5g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.2g、直接性染料であるダイレクトブルー199の10g、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.5gを、溶解して水相2を得た。
【0080】
そして、この水相2を用い、図6に示す直接膜振動液滴吐出手段により、着色液含有微粒子を製造した。
前記直接膜振動液滴吐出手段における、各構成物のサイズ、条件等を以下に記載する。即ち、フレーム7の外径は26mmであり、薄膜3は直径(φ)20mm、厚み40μmのニッケル板である。複数の吐出孔2の開口(出口)径は10μmである。複数の吐出孔2は薄膜3の中心部(中心を含み直径(φ)1mmのエリア)に100個設けられている。圧電体16は、外径(φ)15.0mm、内径(φ)4.0mm、厚み0.5mmである。電極15は、銀ペーストで形成されている。駆動信号発生源13は、NF社ファンクションジェネレーターWF1973を用い、回路12は、ポリエチレン被覆のリード線で振動発生手段に接続されている。このときの前記駆動周波数は、液共鳴周波数に合わせて108[kHz]となる。
この直接膜振動液滴吐出手段における吐出孔2から水相2を吐出させ、20℃、飽和水蒸気の窒素雰囲気で、紫外線ランプ(アズワン(株)製、ハンディーUVランプ(型番:SLUV−8))を用いて紫外線を照射することにより、吐出した液滴をゲル化させて、前記ゲル粒子1を内含したハイドロゲル粒子1(ダブルネットワーク構造)を製造した。このハイドロゲル粒子1(ダブルネットワーク構造)が実施例1の着色液含有微粒子1である。
【0081】
(実施例2)
−ハイドロゲル粒子の形成−
窒素雰囲気下で、n−ヘキサン100g中に、セスキオレイン酸ソルビタン20g溶解して油相2を得た。
窒素雰囲気下で、イオン交換水100g中に、前記ゲル粒子1を6.5g分散させた後、N−イソプロピルアクリルアミド4.8g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.1g、直接性染料であるダイレクトブルー199の5.0g、過硫酸アンモニウム0.25g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.15gを、溶解して水相3を得た。
実施例2の着色液含有トナー2を逆相懸濁重合法により製造した。即ち、窒素雰囲気下で、前記油相2と前記水相3とを混合し、ホモジナイザー(IKA Japan K.K.製、ウルトラタラックス T25デジタル)を用いて常温下で乳化した後、攪拌しながら9時間半、重合(架橋)した後、ろ過により、n−ヘキサンを除去することにより、ハイドロゲル粒子2を製造した。このハイドロゲル粒子2が実施例2の着色液含有微粒子2である。
【0082】
(実施例3)
−ヘクトライトで高強度化されたハイドロゲル粒子の形成−
窒素雰囲気下で、イオン交換水200g中にヘクトライト3.6gを分散させた後、N−イソプロピルアクリルアミド15g、直接性染料であるダイレクトブルー199の10g、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.5gを、溶解させて水相4を得た。
実施例1において使用した直接膜振動液滴吐出手段を用いて、水相4を吐出孔2から吐出させ、20℃飽和水蒸気の窒素雰囲気で、紫外線ランプ(アズワン(株)製、ハンディーUVランプ(型番:SLUV−8))を用いて紫外線を照射し、吐出した液滴をゲル化させて、ハイドロゲル粒子3を製造した。このハイドロゲル粒子3が実施例3の着色液含有微粒子3である。
【0083】
(実施例4)
−ヘクトライトで高強度化されたハイドロゲル粒子の形成−
窒素雰囲気下で、イオン交換水100g中にヘクトライト1.8gを分散させた後、N−イソプロピルアクリルアミド7.5g、直接性染料であるダイレクトブルー199の5g、過硫酸アンモニウム0.25g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.15gを、溶解して水相5を得た。
実施例4の着色液含有微粒子4を逆相懸濁重合法により製造した。窒素雰囲気下で、実施例2における前記油相2と、前記水相5とを混合し、ホモジナイザー(IKA Japan K.K.製、ウルトラタラックス T25デジタル)を用いて乳化した後、攪拌しながら9時間半、重合(架橋)した後、ろ過により、n−ヘキサンを除去することにより、ハイドロゲル粒子4を製造した。このハイドロゲル粒子4が実施例4の着色液含有微粒子4である。
【0084】
<着色液含有微粒子の性能評価>
タンデム型カラー画像形成装置(「Imagio Neo C350」、株式会社リコー製)の定着ユニットから、シリコーンオイル塗布機構を取り去り、オイルレス定着方式に改造して、温度及び線速を調整可能にチューニングした装置と、実施例1〜4において製造した着色液含有微粒子1〜4(着色液含有トナー)とを用いて、普通紙(「タイプTYPE 6000<70W>Y目」、株式会社リコー製)に画像を形成した。このとき、定着ローラの線速を75mm/sとし、定着ローラの温度を50℃として評価を行った。
即ち、前記普通紙上に、1cm×1cmの正方形の開口部を4つ持つ、厚み30μmのPETフィルムのテンプレートを載せ、その各開口部に、実施例1〜4において製造した着色液含有微粒子1〜4(着色液含有トナー)を各々敷き詰めた。各着色液含有微粒子1〜4(着色液含有トナー)を各々敷き詰めた後、前記テンプレートを外し、前記着色液含有トナーが付着した前記普通紙のサンプルを、50℃に温度制御した定着ローラに通した。
得られた前記普通紙の各サンプルを観察したところ、着色液含有微粒子1〜4(着色液含有トナー)のいずれにおいても、前記テンプレートの形状に合わせたシアン色の1cm×1cmの正方形の高画質の(鮮明な)画像が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の着色液含有微粒子は、例えば、画像形成用微粒子又は着色液含有トナーとして、本発明の画像形成方法に好適に使用することができ、用紙等の記録媒体上に配された状態で前記外部刺激を付与するだけで前記着色液を外部に漏出させることができるので、多大な熱エネルギーやコストを要することなく高画質の画像が簡便かつ効率よく形成するのに好適に使用することができる。また、本発明の着色液含有微粒子は、従来から汎用されている熱融着トナーの代替品として電子写真法による画像形成に好適に使用することができ、多色の色再現性に優れた高画質の画像を電子写真法により形成する場合に特に好適に使用することができ、さらに、本発明の画像形成方法及び画像形成装置に好適に使用することができる。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、電子写真法による画像形成に好適に使用することができ、多色の色再現性に優れた高画質の画像を形成する必要がある場合に特に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 間接振動型液滴吐出手段
2 吐出口
3 薄膜
4 機械的振動手段
5 トナー組成液(ゲル粒子形成用液)
6 液流路
7 フレーム
8a トナー組成液供給口
8b トナー組成液排出口
9 吐出口
10 振動面
11 振動発生手段
12 回路
13 駆動信号発生源
14 振動増幅手段
15 電極
16 圧電体
17 液滴
18 直接振動型液滴吐出手段
19 円環状振動発生手段
20 フレーム
21 円環状圧電体
22 ノズル角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開昭63−139959号公報
【特許文献2】特開平01−174458号公報
【特許文献3】米国特許第2,297,691号明細書
【特許文献4】特公昭42−23910号公報
【特許文献5】特公昭43−24748号公報
【特許文献6】特許第4628269号公報
【特許文献7】特許第4646318号公報
【特許文献8】特開2009−222984号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル粒子内に着色液を内含してなり、温度変化、圧力変化、光照射及び電界印加の少なくともいずれかの外部刺激を受けると、前記ゲル粒子が前記着色液を外部に漏出することを特徴とする着色液含有微粒子。
【請求項2】
溶媒を内含してなり、該溶媒の内含率が10〜99質量%である請求項1に記載の着色液含有微粒子。
【請求項3】
ゲル粒子が、外部刺激を受けると第一のゲル状態から第二のゲル状態へと相転移を生じ得るゲル粒子である請求項1から2のいずれかに記載の着色液含有微粒子。
【請求項4】
ゲル粒子が、温度応答性ポリマーを有してなる請求項3に記載の着色液含有微粒子。
【請求項5】
ゲル粒子が、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋剤を重合反応させてなる請求項1から4のいずれかに記載の着色液含有微粒子。
【請求項6】
着色液が、溶媒中に親水性顔料及び水溶性染料の少なくともいずれかを含有してなり、該溶媒が水である請求項1から5のいずれかに記載の着色液含有微粒子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の着色液含有微粒子を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、着色液含有微粒子を用いて現像する現像工程とを少なくとも含む請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を、請求項1から6のいずれかに記載の着色液含有微粒子を用いて現像する現像手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−229341(P2012−229341A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98536(P2011−98536)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】