着色紙シート製品
【課題】上品で、好感度が高く、もって消費者の購買意欲をより一層引き立たせることができる製品を提供する。
【解決手段】着色原紙S0の表裏少なくとも一方側に透かし原紙S3、S5が重ねられてなり、透かし原紙S3、S5側面における、JIS Z 8729に規定されるハンターLab表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である着色紙シート製品とする。
【解決手段】着色原紙S0の表裏少なくとも一方側に透かし原紙S3、S5が重ねられてなり、透かし原紙S3、S5側面における、JIS Z 8729に規定されるハンターLab表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である着色紙シート製品とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンペーパー、トイレットペーパー、ティシュペーパー等の紙シート製品に関し、特に、着色加工が施された紙シート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ティシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、および化粧用紙といった紙製のシート製品は、パルプ等からなる原紙シートを一枚で、あるいは二枚以上重ねて貼り合わせた形態で消費者に提供される。
ところで、一般に人間は、視覚的に認識した見た目のイメージによって行動を左右され易く、例えば、美粧性に優れた商品は抵抗感無く購入し易いものである。このため、視覚的なイメージ向上のために、原紙シートに対して種々の色インキを用いた模様印刷を施すことが行われることがある。この模様印刷は、色彩を付与できることから美粧性の向上に一層寄与し、消費者により一層の購買意欲を引き立たせることができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開2005/054577A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の着色製品は鮮やか過ぎたり、ぼやけ過ぎたりする等により、上品さに欠け、好感度に乏しいという問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、上品で、好感度が高く、もって消費者の購買意欲をより一層引き立たせることができる製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
着色原紙の表裏少なくとも一方側に透かし原紙が重ねられてなり、透かし原紙側面における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【0005】
<請求項2項記載の発明>
前記着色原紙は、少なくとも一方側面に対する印刷により着色されている、請求項1記載の着色紙シート製品。
【0006】
<請求項3項記載の発明>
前記着色原紙は、パルプ原料に対し染料を添加することにより着色されている、請求項1または2記載の着色紙シート製品。
【0007】
<請求項4項記載の発明>
二枚以上の透かし原紙が重ねられ、少なくとも一対の隣接する原紙が紙間に付与された着色接着剤によって接着されてなり、表裏少なくとも一方側における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【0008】
<請求項5項記載の発明>
前記透かし原紙は、米坪が13〜50g/m2の無着色紙であり、且つJIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色紙シート製品。
【発明の効果】
【0009】
周知のように、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系においては、L値は明度指数、a値及びb値は知覚色度指数と呼ばれる。本発明は、表裏少なくとも一方側における、L値、a値及びb値を特定範囲内とし、なおかつ、着色部分(着色原紙や着色接着剤)の色が透かし原紙を介して外面に現れる形態としたものであり、後述の実施例からも明らかなとおり、特に上品で好感度が高くなるものである。
また、着色原紙に透かし原紙を重ねる形態において、着色に印刷を用いる場合、表裏各面における趣を異ならしめることも、同じにすることもできる。これに対して、着色原紙のパルプ原料に染料を添加して着色すると、表裏各面における趣を同じにすることができる。
他方、本発明の透かし原紙は、着色されたものでも良いが、最終的な色合い調整が容易になるため無着色紙が好ましく、その場合、米坪が13〜50g/m2であり、且つJIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%であると、上品な透かしとなるため好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
(原紙について)
原紙は、NBKP、LBKP、BCTMP、古紙などのパルプを、目的の製品に応じた割合で配合した原料パルプを抄紙してなる原紙を用いる。
原紙の具体的な物性としては、シート製品がトイレットペーパー、ティシュペーパーである場合には縦強度(MDT)が200〜400CN/25mm、横強度(CDT)が50〜150CN/25mmであり、縦伸び(MDS)が10〜30%(測定はJIS P 8113に準拠)であることが好ましい。またその他、強度が要求されるシート製品(ペーパータオル、ナプキン)の場合には1プライのペーパーシート(原紙)の縦強度(MDT)が120〜700CN/25mm、横強度(CDT)が45〜270CN/25mmであり、縦伸び(MDS)が5〜30%(測定はJIS P 8113に準拠)であることが好ましい。原紙強度が、これらの下限値以下ではシートの破断等が起き、上限値以上では風合いが悪化する。またシートの伸びがこれらの下限値以下ではシートの破断等が起き、上限値以上では、シートにしわ等が発生して操業性が悪化する。
透かし原紙は着色されないパルプ自体の色が現出したものの他、薄く着色されたものでもよい。後者の場合、米坪が13〜50g/m2であると、上品な透かしとなるため好ましい。着色原紙の米坪は原紙の積層枚数や製品の種類に応じて適宜定めることができ、また色は特に限定されない。さらに、透かし原紙は、JIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%であることが好ましい。下限値より小さいと、着色原紙や着色により印刷した部分が鮮やか過ぎ、上品さが欠けてしまう恐れがある。逆に、上限値より大きいと、透かし度合いが悪くなり、ぼやけ過ぎてしまう。
本発明に係るシート製品は、複数枚の原紙が重ねられた形態となるが、その枚数は特に限定されるものではなく、例えば2枚、3枚、4枚、それ以上と適宜変更することができる。ただし、着色の視認性からは2枚あるいは3枚であるのが望ましいため、以下ではその例について説明する。
【0011】
(構造例1)
図1及び図2は、着色原紙S0の両面に透かし原紙S3、S5がそれぞれ重ねられた三層構造の例を示している。図示しないが、さらに表面または裏面に別の透かし原紙を1枚以上重ね、4層以上とすることもできる。
【0012】
図1に示す例では、着色原紙S0は抄紙後において印刷Pにより着色されている。印刷Pは、図示のように原紙S0の片面に施す他、図示しないが両面に施すこともできる。また、印刷Pは、図示のように着色対象面の全部に施す他、図示しないが一部に施すこともできる。このような印刷形態では、表裏の着色度合い等を自由に調整でき、例えば図示のように一方の面にのみ着色を施すこともできる。
【0013】
一方、図2は、パルプ原料に対し染料を添加して着色した着色原紙S0の場合を示しており、この場合、着色原紙S0の全体が一様に着色される。図示しないが、原料パルプの染色に印刷を組み合わせて着色することもできる。
【0014】
染料による染色を行う場合、カチオン性の柔軟剤(必要ならばカチオン性紙力剤も)を先に添加し、パルプと結合させておき、後にアニオン性染料を添加すると、柔らかな風合を持たせることができるため好ましい。たとえば、パルプ原料中に、たとえばマシンタンク中にパルプ原料及びカチオン性の柔軟剤(必要ならばカチオン性紙力剤も)を配合し、染料については、マシンタンク、種箱、ファンポンプの手前で配合することにより着色できる。
【0015】
柔軟剤としては、脂肪酸エステル系軟化剤(米国特許第3,296,065号明細書)、第4級アンモニウム塩型カチオン柔軟剤(特開昭48−22701号公報)、ウレタンアルコール若しくはその塩、又はカチオン化物(特開昭60−139897号公報)、非陽イオン系界面活性剤(特開平2−99690号公報、同2−99691号公報)、ポリリン酸塩(特開平2−36288号公報)、ポリシロキサン(特開平2−224626号公報、同3−900号公報)等を挙げることができる。特に好ましい柔軟剤は、いずれもカチオン性を示す、第4級アンモニウム塩型カチオン柔軟剤及び又は脂肪酸エステル系軟化剤である。染料としては、アニオン性を示すアゾ系染料である。必要ならば、染料定着剤を併用できる。紙力剤(湿潤紙力増強剤)としては、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ジアルデヒドデンプンなどを挙げることができる。
【0016】
柔軟剤、紙力剤(湿潤紙力増強剤)、染料の配合量としては、紙料1トン当たり、柔軟剤が0〜15kg/t(好ましくは0.3〜3.0kg/t)、紙力剤0〜25kg/t(好ましくは1.0〜5kg/t)、染料0.05〜15kg/t(好ましくは0.1〜2kg/t)である。これらの材料について、上限を超えると、柔軟剤の場合には紙力が下がり過ぎる、紙力剤の場合には紙が硬くなる、染料の場合には色が濃すぎる(暗くなる)問題がある。また、染料配合が下限値未満であると、色が薄くなる(鮮やかさに欠ける)問題を生じる。
【0017】
かくして構成されたシート製品では、着色原紙S0の色は透かし原紙S3,S5を介して外面に現れるようになるため、上品さに富むようになる。なお、片面印刷の場合に印刷面側と反対側から見る場合には着色原紙S0自体も透かしの一部を構成する。
【0018】
また、着色原紙S0の製造に際して、片面印刷もしくは両面で表裏異なる印刷Pを施したり、透かし原紙の色、透明度を表裏で異ならしめたりすると、表裏の趣が異なるシート製品を得ることができる。これに対して、着色原紙S0の製造に際して、両面に同じ印刷Pを施すか、または染色を採用し、透かし原紙の色及び透明度を表裏同じにすると、表裏の趣が同じシート製品を得ることができる。
【0019】
(構造例2)
図3及び図4は、着色原紙S0の片面側にのみ透かし原紙S3が重ねられた構造の例を示している。図3は印刷Pにより着色した形態、図4は原料パルプの染色により着色した形態を示しており、印刷及び染色の具体的構成については構造例1と同様である。着色原紙S0の片面に印刷Pを施す場合、図3に示すように印刷面に透かし原紙S3を重ねる他、図示しないが非印刷面に透かし原紙を重ね、印刷面を露出させることもできる。
【0020】
本構造例2において、図3に示すように、着色原紙S0の片面に印刷Pを施すとともに、印刷面に透かし原紙S3を重ねた場合、着色部分は、透かし原紙S3側からは透かし原紙S3を介して、また反対側からは着色原紙S0自体を介して外面に現れるようになるため、上品さに富むようになる。この場合、シート製品の表裏を実質的に同じ趣にする若しくは同じ趣に近付けることができるが、異なる趣とする場合に好適である。
【0021】
また、図4に示すように、原料パルプの染色による着色原紙S0を用いた場合、着色部分は透かし原紙S3側からは透かし原紙S3を介して、また反対側からは直接に外面に現れるようになる。この場合、シート製品の表裏の趣を、特に色の鮮やかさにおいて著しく異ならしめる場合に好適である。着色原紙S0の片面に印刷を施すとともに、非印刷面に透かし原紙S3を重ね、印刷面を露出させた場合も同様である。
【0022】
他方、図5に示すように、着色原紙S0の片面側に2枚以上の透かし原紙S3,S4を重ね、全体で三層以上の構造とすることもできる。この場合、透かしの度合いを透かし原紙S3,S4の枚数で調整できる。
【0023】
(構造例3)
図6〜図8は二枚の透かし原紙S1、S2を重ね、着色された接着剤G1,G2で接着した形態を示している。本形態のシート製品Xは、重ねられた2枚の透かし原紙S1、S2に、30〜100個/cm2のエンボス密度および0.05〜2.0mmのエンボス深さを有するマイクロエンボス(第1エンボス)Mがそれぞれ施されている。図6において、全体を砂目状に描いてあるが、その各点がマイクロエンボス(第1エンボス)Mに相当するものと描いているものである。
【0024】
これらの原紙S1,S2は対面しており、図7に示すように、マイクロエンボス凸面同士及び凹面同士が近接して向い合っている。この原紙S1,S2のマイクロエンボスMの一部上に重ねて図柄模様を形成する図案エンボス(前記マイクロエンボスMよりエンボス密度が疎でエンボス深さの深いもの)E1,E2がそれぞれ加工されており、原紙S1,S2のマイクロエンボスMに対して図案エンボスE1,E2が重畳して形成されている。原紙S1,S2はこの重畳部で接合されている。なお、図7は原理的な説明図であり、現実的には、図案エンボスE1,E2部分においてマイクロエンボスMも含めてこれらの形状は図示の形状に対して角部が崩れるものであることを付言する。
【0025】
本形態においては、図9に示されるように、原紙S1に「花」柄エンボスE1、原紙S2に「葉」柄エンボスE2がそれぞれ付与されている。なお、図案エンボスは、大きさ、形状などは特に限定されるものではなく、ロゴマーク、数字、文字、幾何学模様など適宜選択することができる。
【0026】
このように各原紙S1,S2に、それぞれ単独で図案エンボスE1,E2加工が施され、かつマイクロエンボス同士が対面していることにより、各原紙S1,S2を重ね合わせてできるシート製品Sの嵩高性が向上され、シートの吸収性や柔らかさが良好なものとされる。
【0027】
他方、前記図案エンボスE1,E2の凸部頭頂部Etには、原紙の地色とは異なる色(色相が異なる場合はもちろん、彩度、明度のみが異なり、原紙の地色と着色糊付与部分の色とがグラデーション模様を構成する場合をも含む)に着色された接着剤G1,G2が付与されており、この接着剤G1,G2によって両原紙S1,S2が接着されている。本形態では、花柄エンボスE1の凸部頭頂部Et1に赤色接着剤G1が付与され、葉柄エンボスE2の凸部頭頂部Et2に緑色の接着剤G2が付与されている。
【0028】
そして、この着色接着剤G1,G2が、原紙S1、S2を透してシート製品Xの表裏面F、Bから視覚認識されることにより、図案エンボスE1、E2が彩色の施された図案として視認される。すなわち、赤い花柄のエンボスと緑の葉柄のエンボスが一体的とされた図案として視認される。
【0029】
この場合、接着剤G1,G2が、シート製品Xの表裏面から視認されることにより、図案を構成することとなるので、接着剤G1,G2が十分にシート製品Xの表裏面から明りょうに視認可能となるように、原紙S1,S2のJIS P 8149に基づく不透明度を、30〜80%、望ましくは60〜70%とするのが好適である。この程度の不透明度であれば、十分にシート製品の表裏面から接着剤の色彩が明りょうに視識可能となる。
【0030】
接着剤G1,G2の具体例としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の接着成分に対して、顔料等の着色成分により着色したものを使用することができる。顔料を用いる場合、着色接着剤中の顔料が、0.01〜50重量%であるのが好ましい。顔料含有量が少ないと、図案エンボス部分において着色がまだらとなり、図案をシャープに(明りょうに)に現出しがたいと共に、色のカスレが生じ易くなり、含有量が過度に多いと接着性が悪くなり、剥離強度条件を満たし難いものとなると共に、色の滲みが生じ易くなる恐れがある。また、着色接着剤の粘度としては、1〜100mpa、特に5〜30mpaが望ましい。
【0031】
本発明および本明細書において「接着剤」とは、少なくとも顔料を含むものあればよく、例えば、顔料を含むインクそのものも接着剤とされる。また、PVA(ポリビニルアルコール)やCMC(カルボキシメチルセルロース)、アクリル樹脂といった接着性効果のある物質を別途加えたとしても、少なくとも顔料を含む限り、全体として本発明の接着剤とする。但し、染料は含まない。なお、本発明および本明細書では、「接着剤」と「着色接着剤」は同義語である。
【0032】
また、原紙S1,S2に対する接着剤G1,G2の塗布量としては、例えば、シート製品Xがトイレットロールであれば0.01〜2.0g/m2とするのが望ましい。2.0g/m2を超えると、ごわつくようになり、0.01g/m2未満であると原紙同士の接着が不十分となる。なお、糊の塗布量は、シート製品の種類に応じて適宜増減することができる。
【0033】
他方、本形態のシート製品Xは、例えば、次記のようにして製造することができる。予め原紙S1及びS2に、肌触り性の向上という観点から好ましくは60%以上、より好ましくは90%以上の実質的に全領域にわたって、それぞれ図示しないマイクロエンボス加工ロール装置によってマイクロエンボスM加工を施す。
【0034】
次いで、図8に示すように、各原紙S1、S2は、原紙S1用、原紙S2用にそれぞれ設置された図案エンボスを付与するための、金属製凸エンボスロール1S,2Sとゴム製抑えロール1R,2Rとの一対のニップでそれぞれ構成される図案エンボスロール1,2に通され、図案エンボスE1,E2が付与される。本形態では、金属エンボスロール1に「花」柄、金属エンボスロール2に「葉」柄が形成されており、原紙S1に「花」の柄のエンボス、原紙S2に「葉」の柄の各図案エンボスE1,E2がそれぞれ付与される。
【0035】
原紙S1、S2は、図案エンボスロール1,2間を通り抜けてエンボスE1,E2が付与された後には、金属製凸エンボスロール1S,2Sから離間し、ゴム製抑えロール1R,2Rに沿ってガイドされて移動し、エンボス凸部頭頂部Et1,Et2に対して糊が付与される。予め着色された接着剤が、ドクターチャンバー方式を用いたグルーユニットG1,G2によって塗布されるようにされ、最終的に転写ロール31,32により転写塗布される。
【0036】
次いで、重ね合せロール4にて、原紙S1の花柄エンボスE1と、原紙S2の葉柄エンボスE2とが重ならないようにして、かつ、マイクロエンボス凸面と花柄エンボスE1及び葉柄エンボスE2とが対面するようにして両原紙S1,S2が重ねられて接着される。
【0037】
かくして、シート製品Xの表裏面F,Bから接着剤G1,G2の色が視認されて、赤色に彩色された花柄エンボスE1と緑色に彩色された葉柄エンボスE2を備えた、接着剤の彩色とエンボスパターンによる図案が形成された従来にはない美粧性を備えるシート製品Xが製造される。
【0038】
なお、エンボス深さ(高さでもある)の異なる二種類以上のエンボスパターンを有する金属エンボスロールを用いれば、高さの異なる二種類以上のエンボスが一度に付与することが可能である。この場合においては、図8の転写方式から直ちに判るように、エンボス高さの高いエンボスにのみ接着剤を付与することができ、接着剤が塗布されたエンボス凸部頭頂部と接着剤が塗布されていないエンボス凸部頭頂部を形成することができる。
【0039】
上記形態では、原紙S1と原紙S2の各図案エンボスが異なる図案であって各図案エンボスE1,E2が重ならないように両原紙S1,S2を重ね合わせる形態であるが、図13に断面図を示すように、各原紙S1,S2に同じ図案の図柄エンボスE1,E2を付与し、当該図案エンボスE1,E2同士を重ねるようにして、原紙S1,S2を接着するシート製品X2の形態であってもよい。
【0040】
ここで、本形態は、特にトイレットペーパーまたはティシュペーパー(化粧用も含む)に対して適用する場合に顕著に効果が現れる。
【0041】
すなわち、従来、シート全体の着色及びインキによる模様印刷は公知である。しかるに、後者の模様印刷した原紙にエンボス加工を施す場合、模様印刷が別工程であること、あるいは模様印刷をオンラインで行うとしても原紙の伸びや誤差のために、模様部分とエンボス加工部分と連係させることは実際的にできない。したがって、模様部分とエンボス加工部分との関連性がないことによりデザイン的に無味乾燥的なものとならざるを得ない。
【0042】
これに対し、本発明によれば、図案エンボス部分に顔料により着色された接着剤が付与されるために、凹凸部分と着色とが一体となって、周辺領域と区画化されることにより、明りょうな図案として現出するものとなる。
【0043】
トイレットペーパーまたはティシュペーパーでは、極端な、あるいは度の過ぎた着色は好まれないが、本発明によれば、図案エンボスが着色部分と一体となって図案を現出させるので(顔料を用いるとより一層)、淡い着色であっても、明りょうな図案として現出させることができるのである。
【0044】
トイレットペーパーまたはティシュペーパーとしては2プライの製品が好ましく、その1プライのJIS P8124による坪量としては、10〜25g/m2となるのが好ましい。下限を10g/m2と規定したのは、10g/m2を下回ると、柔らかさの向上の観点からは好ましいが強度を適正に確保することができないためである。また、上限を25g/m2と規定したのは、25g/m2を上回ると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化するためである。
【0045】
かかる原紙に対し、前述のように、30〜100個/cm2のエンボス密度で0.2〜2.0mmのエンボス深さを有するマイクロエンボス(第1エンボス)Mがそれぞれ施される。
【0046】
原紙S1,S2のマイクロエンボスMの一部上に重ねて、前記マイクロエンボスMよりエンボス密度が疎でエンボス深さの深い図案エンボスE1,E2がそれぞれ加工される。この図案エンボスE1,E2としては、0.1〜5個/cm2のエンボス密度で0.3〜2.5mmのエンボス深さを有するものが望ましい。個数が少ないと 、美粧性に乏しく、他方多いと、エンボスの押し込みによる紙の強度低下が生じる恐れがある。さらにエンボス深さが浅いと図案としての明りょう性が確保しがたく、過度に深いと肌触り性を阻害する。
【0047】
図案エンボスが占める面積としては、1m2当たり、0.5〜30%、特に3〜15%が望ましい。面積割合が小さいと図案として現出しかね、また過度に大きいと過剰な図案となり、商品デザインとして望ましくないものとなる。
【0048】
原紙S1,S2は、接着剤によって接着される。原紙S1,S2の剥離強度[CN/50mm]としては5〜100であることが好ましい。下限を5CN/50mmと規定したのは、5CN/50mmを下回ると、原紙S1,S2どうしの貼り合わせを適正に行うことができないためである。また、上限を100CN/50mmと規定したのは、100CN/50mmを上回ると、トイレットペーパーまたはティシュペーパーとして硬くなりすぎて肌触りが悪化するためである。
【0049】
なお、剥離強度は、JIS P 8113の引張試験方法に準じて測定する。その中でJIS P 8111に規定された標準条件下で、縦方向に幅50mmに裁断するものとする。裁断した後、試料を縦方向に剥離し、剥離試験用ロードセル(TG200N、ミネビア社製)に対して、剥離した一方を上側のつかみ具に、他方を下側のつかみ具にそれぞれ固定し、その間隔を8cmとする。次に、垂直方向に100mm/分の速度で引張り、さらに5cm剥離させて、その時の強度を測定し剥離強度とするものである。
【0050】
(構造例4)
図10〜図12に、着色接着剤および3枚の透かし原紙を使用する場合の構造例4を示した。この構造例4は、3枚の透かし原紙S3、S4、S5が重ねられたシート製品である。この場合、1プライ当たりの坪量は10〜25g/m2であるのが好ましい。
【0051】
本例は、例えば図11に示すようにして製造することができる。すなわち、2枚の原紙S3、S4は、適宜の段階で、積層状態とされ、この積層シートSWに面積が大きくかつ深さが深いマクロエンボスE3、面積が小さくかつ深さが浅いマイクロエンボスE4が、たとえばゴム製抑えロール51Rに対する金属製凸エンボスロール51Sによる押圧によって形成される。金属製凸エンボスロール51Sの押圧は15〜30kg/cmとするのが望ましい。押圧が小さいと嵩が出にくく、吸液性を阻害する原因に繋がる。逆に大きいと、シートのエンボス部分での破れに繋がり易くなる。
【0052】
他方の1枚の単独原紙S5には、面積が小さくかつ深さが浅いマイクロエンボスが、ゴム製抑えロール61Rに対する金属製凸エンボスロール61Sによる押圧によって形成される。
【0053】
また、金属製凸エンボスロール51Sに対向して、グルーユニットG3及び転写ロール33が配設され、顔料により着色された接着剤G3が、ドクターチャンバー方式によって、マイクロエンボスE4の凸部頭頂部に転写塗布される。
【0054】
マクロエンボスE3が形成された積層シートSWは、単独原紙S5と共に、金属製凸エンボスロール51Sに対向する重ね合わせロール70間に案内され、図12にも示されるように、積層シートSWと単独原紙S5とがニップされ、両者が接着糊G3によって接着される。その後は、長紙管に巻き付けられた後、細幅のトイレットペーパーロールとされたり、インタホルダに導かれティシュペーパーなどのシート製品とされる。
【0055】
ここで、金属製凸エンボスロール51Sに対向する重ね合わせロール70間のニップのクリアランスは5〜200μm、ニップ圧は3〜20kg/cmとするのが望ましい。クリアランス及びニップ圧が小さいと接着性が悪く、逆に大きいと、エンボスの形崩れが生じ、また、接着剤の他の原紙への過度の浸透が多くなり、ザラツキの原因となる。
【0056】
構造例4における、マクロエンボスE3及びマイクロエンボスE4の形成は適宜選択できるが、その例示が図10に示すものである。図10の例では、間欠点の曲線と、花弁部分にマクロエンボスE3を形成し、間欠点の曲線で囲まれる領域内にマイクロエンボスE4を形成し例である。したがって、構造例3のように、マイクロエンボスにマクロエンボスが重畳していない例であるが、重畳させてもよい。本発明において基本的にデザインが限定されるものではない。
【0057】
構造例4はトイレットペーパーロールとして好適なものであり、ロールの外面側を積層シートSWとし、内面側を単独原紙S5とするのが、消費者に対し嵩高性を印象付けるのに適している。
【0058】
本構造例4では、一部の原紙間にのみ着色接着剤を用いているが、全ての原紙間に着色接着剤を用いても良い、このことからも判るように、4枚以上の原紙を重ねる形態では、一部(単数もしくは複数)または全ての原紙間に着色接着剤を用いることができる。
【0059】
(色について)
前述のとおり、本発明では、表裏少なくとも一方側における、ハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10とされる。このような色は、原紙の積層数、着色方法、色の種類、着色濃度、着色面積、透かし原紙の不透明度、着色原紙と透かし原紙との色の組み合わせ等を、単独もしくは複数組み合わせて調整もしくは選択することで達成することができる。
また、構造例1や構造例2のように、着色原紙の色が透かし原紙を介して外面に現れる形態において、着色原紙と透かし原紙とを接着する場合、その接着強度を調整することで色合いを調整でき、例えば接着強度を弱めることで、透かしを弱めて上品さを向上させることができる。
【0060】
(その他)
本発明では、上記各構造例における一部または全部の構成を他の構造例と組み合わせることも可能である。例えば、構造例1、2の形態でエンボスを付与することができる。また、構造例1、2の形態においても、各原紙間を、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の接着成分を含む接着剤により接着できる。また、接着剤による着色と、印刷による着色もしくは原料パルプの染色による着色とを併用することもできる。
【実施例】
【0061】
全面に染色された色付き原紙に透かし原紙を重ねていく方法で、L値、a値、b値を測定すると共に、透かし原紙側から見て上品に見えるものを多数の消費者に選択してもらい、結果を表1〜17に示した。この結果から、本発明の透かし構造及び色を有するものが特に上品であり、好感度が高いものであることが判明した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】
【表10】
【0072】
【表11】
【0073】
【表12】
【0074】
【表13】
【0075】
【表14】
【0076】
【表15】
【0077】
【表16】
【0078】
【表17】
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、キッチンペーパー、トイレットペーパー、ティシュペーパー等の拭き取り用の紙シート製品全般に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】構造例1に係るシート製品の断面図である。
【図2】構造例1に係るシート製品の断面図である。
【図3】構造例2に係るシート製品の断面図である。
【図4】構造例2に係るシート製品の断面図である。
【図5】構造例2に係るシート製品の断面図である。
【図6】構造例3に係るシート製品の正面図である。
【図7】構造例3に係るシート製品の断面図である。
【図8】構造例3に係るシート製品の製造工程を示す概略図である。
【図9】構造例3に係るシート製品の分解図である。
【図10】構造例4に係るシート製品の正面図である。
【図11】構造例4に係るシート製品の製造工程を示す概略図である。
【図12】構造例4に係るシート製品の製造工程を示す概略図である。
【図13】他のシート製品の断面図である。
【符号の説明】
【0081】
S0…着色原紙、S3,S4,S5…透かし原紙、G1,G2,G3…着色接着剤、1…頂面、2…凹部、3…稜線部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンペーパー、トイレットペーパー、ティシュペーパー等の紙シート製品に関し、特に、着色加工が施された紙シート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ティシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、および化粧用紙といった紙製のシート製品は、パルプ等からなる原紙シートを一枚で、あるいは二枚以上重ねて貼り合わせた形態で消費者に提供される。
ところで、一般に人間は、視覚的に認識した見た目のイメージによって行動を左右され易く、例えば、美粧性に優れた商品は抵抗感無く購入し易いものである。このため、視覚的なイメージ向上のために、原紙シートに対して種々の色インキを用いた模様印刷を施すことが行われることがある。この模様印刷は、色彩を付与できることから美粧性の向上に一層寄与し、消費者により一層の購買意欲を引き立たせることができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開2005/054577A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の着色製品は鮮やか過ぎたり、ぼやけ過ぎたりする等により、上品さに欠け、好感度に乏しいという問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、上品で、好感度が高く、もって消費者の購買意欲をより一層引き立たせることができる製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
着色原紙の表裏少なくとも一方側に透かし原紙が重ねられてなり、透かし原紙側面における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【0005】
<請求項2項記載の発明>
前記着色原紙は、少なくとも一方側面に対する印刷により着色されている、請求項1記載の着色紙シート製品。
【0006】
<請求項3項記載の発明>
前記着色原紙は、パルプ原料に対し染料を添加することにより着色されている、請求項1または2記載の着色紙シート製品。
【0007】
<請求項4項記載の発明>
二枚以上の透かし原紙が重ねられ、少なくとも一対の隣接する原紙が紙間に付与された着色接着剤によって接着されてなり、表裏少なくとも一方側における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【0008】
<請求項5項記載の発明>
前記透かし原紙は、米坪が13〜50g/m2の無着色紙であり、且つJIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色紙シート製品。
【発明の効果】
【0009】
周知のように、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系においては、L値は明度指数、a値及びb値は知覚色度指数と呼ばれる。本発明は、表裏少なくとも一方側における、L値、a値及びb値を特定範囲内とし、なおかつ、着色部分(着色原紙や着色接着剤)の色が透かし原紙を介して外面に現れる形態としたものであり、後述の実施例からも明らかなとおり、特に上品で好感度が高くなるものである。
また、着色原紙に透かし原紙を重ねる形態において、着色に印刷を用いる場合、表裏各面における趣を異ならしめることも、同じにすることもできる。これに対して、着色原紙のパルプ原料に染料を添加して着色すると、表裏各面における趣を同じにすることができる。
他方、本発明の透かし原紙は、着色されたものでも良いが、最終的な色合い調整が容易になるため無着色紙が好ましく、その場合、米坪が13〜50g/m2であり、且つJIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%であると、上品な透かしとなるため好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
(原紙について)
原紙は、NBKP、LBKP、BCTMP、古紙などのパルプを、目的の製品に応じた割合で配合した原料パルプを抄紙してなる原紙を用いる。
原紙の具体的な物性としては、シート製品がトイレットペーパー、ティシュペーパーである場合には縦強度(MDT)が200〜400CN/25mm、横強度(CDT)が50〜150CN/25mmであり、縦伸び(MDS)が10〜30%(測定はJIS P 8113に準拠)であることが好ましい。またその他、強度が要求されるシート製品(ペーパータオル、ナプキン)の場合には1プライのペーパーシート(原紙)の縦強度(MDT)が120〜700CN/25mm、横強度(CDT)が45〜270CN/25mmであり、縦伸び(MDS)が5〜30%(測定はJIS P 8113に準拠)であることが好ましい。原紙強度が、これらの下限値以下ではシートの破断等が起き、上限値以上では風合いが悪化する。またシートの伸びがこれらの下限値以下ではシートの破断等が起き、上限値以上では、シートにしわ等が発生して操業性が悪化する。
透かし原紙は着色されないパルプ自体の色が現出したものの他、薄く着色されたものでもよい。後者の場合、米坪が13〜50g/m2であると、上品な透かしとなるため好ましい。着色原紙の米坪は原紙の積層枚数や製品の種類に応じて適宜定めることができ、また色は特に限定されない。さらに、透かし原紙は、JIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%であることが好ましい。下限値より小さいと、着色原紙や着色により印刷した部分が鮮やか過ぎ、上品さが欠けてしまう恐れがある。逆に、上限値より大きいと、透かし度合いが悪くなり、ぼやけ過ぎてしまう。
本発明に係るシート製品は、複数枚の原紙が重ねられた形態となるが、その枚数は特に限定されるものではなく、例えば2枚、3枚、4枚、それ以上と適宜変更することができる。ただし、着色の視認性からは2枚あるいは3枚であるのが望ましいため、以下ではその例について説明する。
【0011】
(構造例1)
図1及び図2は、着色原紙S0の両面に透かし原紙S3、S5がそれぞれ重ねられた三層構造の例を示している。図示しないが、さらに表面または裏面に別の透かし原紙を1枚以上重ね、4層以上とすることもできる。
【0012】
図1に示す例では、着色原紙S0は抄紙後において印刷Pにより着色されている。印刷Pは、図示のように原紙S0の片面に施す他、図示しないが両面に施すこともできる。また、印刷Pは、図示のように着色対象面の全部に施す他、図示しないが一部に施すこともできる。このような印刷形態では、表裏の着色度合い等を自由に調整でき、例えば図示のように一方の面にのみ着色を施すこともできる。
【0013】
一方、図2は、パルプ原料に対し染料を添加して着色した着色原紙S0の場合を示しており、この場合、着色原紙S0の全体が一様に着色される。図示しないが、原料パルプの染色に印刷を組み合わせて着色することもできる。
【0014】
染料による染色を行う場合、カチオン性の柔軟剤(必要ならばカチオン性紙力剤も)を先に添加し、パルプと結合させておき、後にアニオン性染料を添加すると、柔らかな風合を持たせることができるため好ましい。たとえば、パルプ原料中に、たとえばマシンタンク中にパルプ原料及びカチオン性の柔軟剤(必要ならばカチオン性紙力剤も)を配合し、染料については、マシンタンク、種箱、ファンポンプの手前で配合することにより着色できる。
【0015】
柔軟剤としては、脂肪酸エステル系軟化剤(米国特許第3,296,065号明細書)、第4級アンモニウム塩型カチオン柔軟剤(特開昭48−22701号公報)、ウレタンアルコール若しくはその塩、又はカチオン化物(特開昭60−139897号公報)、非陽イオン系界面活性剤(特開平2−99690号公報、同2−99691号公報)、ポリリン酸塩(特開平2−36288号公報)、ポリシロキサン(特開平2−224626号公報、同3−900号公報)等を挙げることができる。特に好ましい柔軟剤は、いずれもカチオン性を示す、第4級アンモニウム塩型カチオン柔軟剤及び又は脂肪酸エステル系軟化剤である。染料としては、アニオン性を示すアゾ系染料である。必要ならば、染料定着剤を併用できる。紙力剤(湿潤紙力増強剤)としては、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ジアルデヒドデンプンなどを挙げることができる。
【0016】
柔軟剤、紙力剤(湿潤紙力増強剤)、染料の配合量としては、紙料1トン当たり、柔軟剤が0〜15kg/t(好ましくは0.3〜3.0kg/t)、紙力剤0〜25kg/t(好ましくは1.0〜5kg/t)、染料0.05〜15kg/t(好ましくは0.1〜2kg/t)である。これらの材料について、上限を超えると、柔軟剤の場合には紙力が下がり過ぎる、紙力剤の場合には紙が硬くなる、染料の場合には色が濃すぎる(暗くなる)問題がある。また、染料配合が下限値未満であると、色が薄くなる(鮮やかさに欠ける)問題を生じる。
【0017】
かくして構成されたシート製品では、着色原紙S0の色は透かし原紙S3,S5を介して外面に現れるようになるため、上品さに富むようになる。なお、片面印刷の場合に印刷面側と反対側から見る場合には着色原紙S0自体も透かしの一部を構成する。
【0018】
また、着色原紙S0の製造に際して、片面印刷もしくは両面で表裏異なる印刷Pを施したり、透かし原紙の色、透明度を表裏で異ならしめたりすると、表裏の趣が異なるシート製品を得ることができる。これに対して、着色原紙S0の製造に際して、両面に同じ印刷Pを施すか、または染色を採用し、透かし原紙の色及び透明度を表裏同じにすると、表裏の趣が同じシート製品を得ることができる。
【0019】
(構造例2)
図3及び図4は、着色原紙S0の片面側にのみ透かし原紙S3が重ねられた構造の例を示している。図3は印刷Pにより着色した形態、図4は原料パルプの染色により着色した形態を示しており、印刷及び染色の具体的構成については構造例1と同様である。着色原紙S0の片面に印刷Pを施す場合、図3に示すように印刷面に透かし原紙S3を重ねる他、図示しないが非印刷面に透かし原紙を重ね、印刷面を露出させることもできる。
【0020】
本構造例2において、図3に示すように、着色原紙S0の片面に印刷Pを施すとともに、印刷面に透かし原紙S3を重ねた場合、着色部分は、透かし原紙S3側からは透かし原紙S3を介して、また反対側からは着色原紙S0自体を介して外面に現れるようになるため、上品さに富むようになる。この場合、シート製品の表裏を実質的に同じ趣にする若しくは同じ趣に近付けることができるが、異なる趣とする場合に好適である。
【0021】
また、図4に示すように、原料パルプの染色による着色原紙S0を用いた場合、着色部分は透かし原紙S3側からは透かし原紙S3を介して、また反対側からは直接に外面に現れるようになる。この場合、シート製品の表裏の趣を、特に色の鮮やかさにおいて著しく異ならしめる場合に好適である。着色原紙S0の片面に印刷を施すとともに、非印刷面に透かし原紙S3を重ね、印刷面を露出させた場合も同様である。
【0022】
他方、図5に示すように、着色原紙S0の片面側に2枚以上の透かし原紙S3,S4を重ね、全体で三層以上の構造とすることもできる。この場合、透かしの度合いを透かし原紙S3,S4の枚数で調整できる。
【0023】
(構造例3)
図6〜図8は二枚の透かし原紙S1、S2を重ね、着色された接着剤G1,G2で接着した形態を示している。本形態のシート製品Xは、重ねられた2枚の透かし原紙S1、S2に、30〜100個/cm2のエンボス密度および0.05〜2.0mmのエンボス深さを有するマイクロエンボス(第1エンボス)Mがそれぞれ施されている。図6において、全体を砂目状に描いてあるが、その各点がマイクロエンボス(第1エンボス)Mに相当するものと描いているものである。
【0024】
これらの原紙S1,S2は対面しており、図7に示すように、マイクロエンボス凸面同士及び凹面同士が近接して向い合っている。この原紙S1,S2のマイクロエンボスMの一部上に重ねて図柄模様を形成する図案エンボス(前記マイクロエンボスMよりエンボス密度が疎でエンボス深さの深いもの)E1,E2がそれぞれ加工されており、原紙S1,S2のマイクロエンボスMに対して図案エンボスE1,E2が重畳して形成されている。原紙S1,S2はこの重畳部で接合されている。なお、図7は原理的な説明図であり、現実的には、図案エンボスE1,E2部分においてマイクロエンボスMも含めてこれらの形状は図示の形状に対して角部が崩れるものであることを付言する。
【0025】
本形態においては、図9に示されるように、原紙S1に「花」柄エンボスE1、原紙S2に「葉」柄エンボスE2がそれぞれ付与されている。なお、図案エンボスは、大きさ、形状などは特に限定されるものではなく、ロゴマーク、数字、文字、幾何学模様など適宜選択することができる。
【0026】
このように各原紙S1,S2に、それぞれ単独で図案エンボスE1,E2加工が施され、かつマイクロエンボス同士が対面していることにより、各原紙S1,S2を重ね合わせてできるシート製品Sの嵩高性が向上され、シートの吸収性や柔らかさが良好なものとされる。
【0027】
他方、前記図案エンボスE1,E2の凸部頭頂部Etには、原紙の地色とは異なる色(色相が異なる場合はもちろん、彩度、明度のみが異なり、原紙の地色と着色糊付与部分の色とがグラデーション模様を構成する場合をも含む)に着色された接着剤G1,G2が付与されており、この接着剤G1,G2によって両原紙S1,S2が接着されている。本形態では、花柄エンボスE1の凸部頭頂部Et1に赤色接着剤G1が付与され、葉柄エンボスE2の凸部頭頂部Et2に緑色の接着剤G2が付与されている。
【0028】
そして、この着色接着剤G1,G2が、原紙S1、S2を透してシート製品Xの表裏面F、Bから視覚認識されることにより、図案エンボスE1、E2が彩色の施された図案として視認される。すなわち、赤い花柄のエンボスと緑の葉柄のエンボスが一体的とされた図案として視認される。
【0029】
この場合、接着剤G1,G2が、シート製品Xの表裏面から視認されることにより、図案を構成することとなるので、接着剤G1,G2が十分にシート製品Xの表裏面から明りょうに視認可能となるように、原紙S1,S2のJIS P 8149に基づく不透明度を、30〜80%、望ましくは60〜70%とするのが好適である。この程度の不透明度であれば、十分にシート製品の表裏面から接着剤の色彩が明りょうに視識可能となる。
【0030】
接着剤G1,G2の具体例としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の接着成分に対して、顔料等の着色成分により着色したものを使用することができる。顔料を用いる場合、着色接着剤中の顔料が、0.01〜50重量%であるのが好ましい。顔料含有量が少ないと、図案エンボス部分において着色がまだらとなり、図案をシャープに(明りょうに)に現出しがたいと共に、色のカスレが生じ易くなり、含有量が過度に多いと接着性が悪くなり、剥離強度条件を満たし難いものとなると共に、色の滲みが生じ易くなる恐れがある。また、着色接着剤の粘度としては、1〜100mpa、特に5〜30mpaが望ましい。
【0031】
本発明および本明細書において「接着剤」とは、少なくとも顔料を含むものあればよく、例えば、顔料を含むインクそのものも接着剤とされる。また、PVA(ポリビニルアルコール)やCMC(カルボキシメチルセルロース)、アクリル樹脂といった接着性効果のある物質を別途加えたとしても、少なくとも顔料を含む限り、全体として本発明の接着剤とする。但し、染料は含まない。なお、本発明および本明細書では、「接着剤」と「着色接着剤」は同義語である。
【0032】
また、原紙S1,S2に対する接着剤G1,G2の塗布量としては、例えば、シート製品Xがトイレットロールであれば0.01〜2.0g/m2とするのが望ましい。2.0g/m2を超えると、ごわつくようになり、0.01g/m2未満であると原紙同士の接着が不十分となる。なお、糊の塗布量は、シート製品の種類に応じて適宜増減することができる。
【0033】
他方、本形態のシート製品Xは、例えば、次記のようにして製造することができる。予め原紙S1及びS2に、肌触り性の向上という観点から好ましくは60%以上、より好ましくは90%以上の実質的に全領域にわたって、それぞれ図示しないマイクロエンボス加工ロール装置によってマイクロエンボスM加工を施す。
【0034】
次いで、図8に示すように、各原紙S1、S2は、原紙S1用、原紙S2用にそれぞれ設置された図案エンボスを付与するための、金属製凸エンボスロール1S,2Sとゴム製抑えロール1R,2Rとの一対のニップでそれぞれ構成される図案エンボスロール1,2に通され、図案エンボスE1,E2が付与される。本形態では、金属エンボスロール1に「花」柄、金属エンボスロール2に「葉」柄が形成されており、原紙S1に「花」の柄のエンボス、原紙S2に「葉」の柄の各図案エンボスE1,E2がそれぞれ付与される。
【0035】
原紙S1、S2は、図案エンボスロール1,2間を通り抜けてエンボスE1,E2が付与された後には、金属製凸エンボスロール1S,2Sから離間し、ゴム製抑えロール1R,2Rに沿ってガイドされて移動し、エンボス凸部頭頂部Et1,Et2に対して糊が付与される。予め着色された接着剤が、ドクターチャンバー方式を用いたグルーユニットG1,G2によって塗布されるようにされ、最終的に転写ロール31,32により転写塗布される。
【0036】
次いで、重ね合せロール4にて、原紙S1の花柄エンボスE1と、原紙S2の葉柄エンボスE2とが重ならないようにして、かつ、マイクロエンボス凸面と花柄エンボスE1及び葉柄エンボスE2とが対面するようにして両原紙S1,S2が重ねられて接着される。
【0037】
かくして、シート製品Xの表裏面F,Bから接着剤G1,G2の色が視認されて、赤色に彩色された花柄エンボスE1と緑色に彩色された葉柄エンボスE2を備えた、接着剤の彩色とエンボスパターンによる図案が形成された従来にはない美粧性を備えるシート製品Xが製造される。
【0038】
なお、エンボス深さ(高さでもある)の異なる二種類以上のエンボスパターンを有する金属エンボスロールを用いれば、高さの異なる二種類以上のエンボスが一度に付与することが可能である。この場合においては、図8の転写方式から直ちに判るように、エンボス高さの高いエンボスにのみ接着剤を付与することができ、接着剤が塗布されたエンボス凸部頭頂部と接着剤が塗布されていないエンボス凸部頭頂部を形成することができる。
【0039】
上記形態では、原紙S1と原紙S2の各図案エンボスが異なる図案であって各図案エンボスE1,E2が重ならないように両原紙S1,S2を重ね合わせる形態であるが、図13に断面図を示すように、各原紙S1,S2に同じ図案の図柄エンボスE1,E2を付与し、当該図案エンボスE1,E2同士を重ねるようにして、原紙S1,S2を接着するシート製品X2の形態であってもよい。
【0040】
ここで、本形態は、特にトイレットペーパーまたはティシュペーパー(化粧用も含む)に対して適用する場合に顕著に効果が現れる。
【0041】
すなわち、従来、シート全体の着色及びインキによる模様印刷は公知である。しかるに、後者の模様印刷した原紙にエンボス加工を施す場合、模様印刷が別工程であること、あるいは模様印刷をオンラインで行うとしても原紙の伸びや誤差のために、模様部分とエンボス加工部分と連係させることは実際的にできない。したがって、模様部分とエンボス加工部分との関連性がないことによりデザイン的に無味乾燥的なものとならざるを得ない。
【0042】
これに対し、本発明によれば、図案エンボス部分に顔料により着色された接着剤が付与されるために、凹凸部分と着色とが一体となって、周辺領域と区画化されることにより、明りょうな図案として現出するものとなる。
【0043】
トイレットペーパーまたはティシュペーパーでは、極端な、あるいは度の過ぎた着色は好まれないが、本発明によれば、図案エンボスが着色部分と一体となって図案を現出させるので(顔料を用いるとより一層)、淡い着色であっても、明りょうな図案として現出させることができるのである。
【0044】
トイレットペーパーまたはティシュペーパーとしては2プライの製品が好ましく、その1プライのJIS P8124による坪量としては、10〜25g/m2となるのが好ましい。下限を10g/m2と規定したのは、10g/m2を下回ると、柔らかさの向上の観点からは好ましいが強度を適正に確保することができないためである。また、上限を25g/m2と規定したのは、25g/m2を上回ると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化するためである。
【0045】
かかる原紙に対し、前述のように、30〜100個/cm2のエンボス密度で0.2〜2.0mmのエンボス深さを有するマイクロエンボス(第1エンボス)Mがそれぞれ施される。
【0046】
原紙S1,S2のマイクロエンボスMの一部上に重ねて、前記マイクロエンボスMよりエンボス密度が疎でエンボス深さの深い図案エンボスE1,E2がそれぞれ加工される。この図案エンボスE1,E2としては、0.1〜5個/cm2のエンボス密度で0.3〜2.5mmのエンボス深さを有するものが望ましい。個数が少ないと 、美粧性に乏しく、他方多いと、エンボスの押し込みによる紙の強度低下が生じる恐れがある。さらにエンボス深さが浅いと図案としての明りょう性が確保しがたく、過度に深いと肌触り性を阻害する。
【0047】
図案エンボスが占める面積としては、1m2当たり、0.5〜30%、特に3〜15%が望ましい。面積割合が小さいと図案として現出しかね、また過度に大きいと過剰な図案となり、商品デザインとして望ましくないものとなる。
【0048】
原紙S1,S2は、接着剤によって接着される。原紙S1,S2の剥離強度[CN/50mm]としては5〜100であることが好ましい。下限を5CN/50mmと規定したのは、5CN/50mmを下回ると、原紙S1,S2どうしの貼り合わせを適正に行うことができないためである。また、上限を100CN/50mmと規定したのは、100CN/50mmを上回ると、トイレットペーパーまたはティシュペーパーとして硬くなりすぎて肌触りが悪化するためである。
【0049】
なお、剥離強度は、JIS P 8113の引張試験方法に準じて測定する。その中でJIS P 8111に規定された標準条件下で、縦方向に幅50mmに裁断するものとする。裁断した後、試料を縦方向に剥離し、剥離試験用ロードセル(TG200N、ミネビア社製)に対して、剥離した一方を上側のつかみ具に、他方を下側のつかみ具にそれぞれ固定し、その間隔を8cmとする。次に、垂直方向に100mm/分の速度で引張り、さらに5cm剥離させて、その時の強度を測定し剥離強度とするものである。
【0050】
(構造例4)
図10〜図12に、着色接着剤および3枚の透かし原紙を使用する場合の構造例4を示した。この構造例4は、3枚の透かし原紙S3、S4、S5が重ねられたシート製品である。この場合、1プライ当たりの坪量は10〜25g/m2であるのが好ましい。
【0051】
本例は、例えば図11に示すようにして製造することができる。すなわち、2枚の原紙S3、S4は、適宜の段階で、積層状態とされ、この積層シートSWに面積が大きくかつ深さが深いマクロエンボスE3、面積が小さくかつ深さが浅いマイクロエンボスE4が、たとえばゴム製抑えロール51Rに対する金属製凸エンボスロール51Sによる押圧によって形成される。金属製凸エンボスロール51Sの押圧は15〜30kg/cmとするのが望ましい。押圧が小さいと嵩が出にくく、吸液性を阻害する原因に繋がる。逆に大きいと、シートのエンボス部分での破れに繋がり易くなる。
【0052】
他方の1枚の単独原紙S5には、面積が小さくかつ深さが浅いマイクロエンボスが、ゴム製抑えロール61Rに対する金属製凸エンボスロール61Sによる押圧によって形成される。
【0053】
また、金属製凸エンボスロール51Sに対向して、グルーユニットG3及び転写ロール33が配設され、顔料により着色された接着剤G3が、ドクターチャンバー方式によって、マイクロエンボスE4の凸部頭頂部に転写塗布される。
【0054】
マクロエンボスE3が形成された積層シートSWは、単独原紙S5と共に、金属製凸エンボスロール51Sに対向する重ね合わせロール70間に案内され、図12にも示されるように、積層シートSWと単独原紙S5とがニップされ、両者が接着糊G3によって接着される。その後は、長紙管に巻き付けられた後、細幅のトイレットペーパーロールとされたり、インタホルダに導かれティシュペーパーなどのシート製品とされる。
【0055】
ここで、金属製凸エンボスロール51Sに対向する重ね合わせロール70間のニップのクリアランスは5〜200μm、ニップ圧は3〜20kg/cmとするのが望ましい。クリアランス及びニップ圧が小さいと接着性が悪く、逆に大きいと、エンボスの形崩れが生じ、また、接着剤の他の原紙への過度の浸透が多くなり、ザラツキの原因となる。
【0056】
構造例4における、マクロエンボスE3及びマイクロエンボスE4の形成は適宜選択できるが、その例示が図10に示すものである。図10の例では、間欠点の曲線と、花弁部分にマクロエンボスE3を形成し、間欠点の曲線で囲まれる領域内にマイクロエンボスE4を形成し例である。したがって、構造例3のように、マイクロエンボスにマクロエンボスが重畳していない例であるが、重畳させてもよい。本発明において基本的にデザインが限定されるものではない。
【0057】
構造例4はトイレットペーパーロールとして好適なものであり、ロールの外面側を積層シートSWとし、内面側を単独原紙S5とするのが、消費者に対し嵩高性を印象付けるのに適している。
【0058】
本構造例4では、一部の原紙間にのみ着色接着剤を用いているが、全ての原紙間に着色接着剤を用いても良い、このことからも判るように、4枚以上の原紙を重ねる形態では、一部(単数もしくは複数)または全ての原紙間に着色接着剤を用いることができる。
【0059】
(色について)
前述のとおり、本発明では、表裏少なくとも一方側における、ハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10とされる。このような色は、原紙の積層数、着色方法、色の種類、着色濃度、着色面積、透かし原紙の不透明度、着色原紙と透かし原紙との色の組み合わせ等を、単独もしくは複数組み合わせて調整もしくは選択することで達成することができる。
また、構造例1や構造例2のように、着色原紙の色が透かし原紙を介して外面に現れる形態において、着色原紙と透かし原紙とを接着する場合、その接着強度を調整することで色合いを調整でき、例えば接着強度を弱めることで、透かしを弱めて上品さを向上させることができる。
【0060】
(その他)
本発明では、上記各構造例における一部または全部の構成を他の構造例と組み合わせることも可能である。例えば、構造例1、2の形態でエンボスを付与することができる。また、構造例1、2の形態においても、各原紙間を、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の接着成分を含む接着剤により接着できる。また、接着剤による着色と、印刷による着色もしくは原料パルプの染色による着色とを併用することもできる。
【実施例】
【0061】
全面に染色された色付き原紙に透かし原紙を重ねていく方法で、L値、a値、b値を測定すると共に、透かし原紙側から見て上品に見えるものを多数の消費者に選択してもらい、結果を表1〜17に示した。この結果から、本発明の透かし構造及び色を有するものが特に上品であり、好感度が高いものであることが判明した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】
【表10】
【0072】
【表11】
【0073】
【表12】
【0074】
【表13】
【0075】
【表14】
【0076】
【表15】
【0077】
【表16】
【0078】
【表17】
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、キッチンペーパー、トイレットペーパー、ティシュペーパー等の拭き取り用の紙シート製品全般に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】構造例1に係るシート製品の断面図である。
【図2】構造例1に係るシート製品の断面図である。
【図3】構造例2に係るシート製品の断面図である。
【図4】構造例2に係るシート製品の断面図である。
【図5】構造例2に係るシート製品の断面図である。
【図6】構造例3に係るシート製品の正面図である。
【図7】構造例3に係るシート製品の断面図である。
【図8】構造例3に係るシート製品の製造工程を示す概略図である。
【図9】構造例3に係るシート製品の分解図である。
【図10】構造例4に係るシート製品の正面図である。
【図11】構造例4に係るシート製品の製造工程を示す概略図である。
【図12】構造例4に係るシート製品の製造工程を示す概略図である。
【図13】他のシート製品の断面図である。
【符号の説明】
【0081】
S0…着色原紙、S3,S4,S5…透かし原紙、G1,G2,G3…着色接着剤、1…頂面、2…凹部、3…稜線部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色原紙の表裏少なくとも一方側に透かし原紙が重ねられてなり、透かし原紙側面における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【請求項2】
前記着色原紙は、少なくとも一方側面に対する印刷により着色されている、請求項1記載の着色紙シート製品。
【請求項3】
前記着色原紙は、パルプ原料に対し染料を添加することにより着色されている、請求項1または2記載の着色紙シート製品。
【請求項4】
二枚以上の透かし原紙が重ねられ、少なくとも一対の隣接する原紙が紙間に付与された着色接着剤によって接着されてなり、表裏少なくとも一方側における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【請求項5】
前記透かし原紙は、米坪が13〜50g/m2の無着色紙であり、且つJIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%である、項1〜4のいずれか1項に記載の着色紙シート製品。
【請求項1】
着色原紙の表裏少なくとも一方側に透かし原紙が重ねられてなり、透かし原紙側面における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【請求項2】
前記着色原紙は、少なくとも一方側面に対する印刷により着色されている、請求項1記載の着色紙シート製品。
【請求項3】
前記着色原紙は、パルプ原料に対し染料を添加することにより着色されている、請求項1または2記載の着色紙シート製品。
【請求項4】
二枚以上の透かし原紙が重ねられ、少なくとも一対の隣接する原紙が紙間に付与された着色接着剤によって接着されてなり、表裏少なくとも一方側における、JIS Z 8729に規定されるハンター表色系のL値が65〜100、a値及びb値がそれぞれ−10〜+10である、ことを特徴とする着色紙シート製品。
【請求項5】
前記透かし原紙は、米坪が13〜50g/m2の無着色紙であり、且つJIS P 8149に規定される不透明度が30〜80%である、項1〜4のいずれか1項に記載の着色紙シート製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−75544(P2007−75544A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271125(P2005−271125)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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