説明

睡眠補助具

【課題】 就寝者がストレスを受けることなく、就寝者に精神的な癒しと睡眠をもたらすことのできる睡眠補助具を提供することにある。
【解決手段】 就寝中に就寝者の近くに配置して、就寝者が手で持ったり握ったりすることのできる把持部を備え、その把持部は動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は衣類又は身の回り品の形状のものである。把持部は動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は衣類又は身の回り品と同じ又はそれと同様の感触を備えたものとすることができる。把持部に任意形状の付加部材を設けることもできる。把持部に加温材や芳香剤を設けてもよい。睡眠補助具は、把持部に振動発生機能、就寝者を撫でる、叩く、掻く等の機能を備えたものや、音声、音楽、心拍音等の音発生機能を備えたものとすることもできる。本願発明の睡眠補助具は、乳幼児に好適なものであるが、社会のストレスを感じて不眠症に悩む成人等、どの年齢層の人でも使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は睡眠に役立つ補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から乳幼児の睡眠を促進するための寝具が各種提供されており、例えば、特許文献1に記載のように、乳幼児を寝かせる際に体を横向きに優しく保護して睡眠を促進する睡眠具がある。近年は、年齢を問わず不眠に悩む人が増えており、これらの人の睡眠を促進することを目的とする各種寝具(例えば、特許文献2記載の抱き枕)も提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−322843号公報
【特許文献2】特開2009−11795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の睡眠具や抱き枕には次のような課題があった。
(1)前記睡眠具は乳幼児の体をその前後から保護維持するものであるため、乳幼児の寝返り等の動きが制約され、乳幼児がストレスを受けることがある。
(2)前記睡眠具や抱き枕は就寝前又は就寝中の者(以下、両者を合わせて「就寝者」という。)の体と同じくらい大きいものであり、旅行先などの出先に携帯することが難しい。また、不使用時の収納に広い場所をとり不便である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は乳幼児のみならず大人であっても、人の手(特に指の部分)を握ったり、手に触れたりすると精神的に安心して、睡眠し易いことに着眼して開発されたものであり、本願発明の解決課題は、就寝者がストレスを受けることなく、就寝者が睡眠し易く、睡眠をもたらすことのできる睡眠補助具を提供することにある。
【0006】
本願発明の睡眠補助具は、就寝者の近くに配置して、就寝者が手で持ったり握ったりすることのできる把持部を備え、把持部を動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は衣類又は身の回り品の形状としたものである。その形状はそれらの全部又は一部の形状とすることができる。また、把持部を動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は身の回り品と同じ又はそれと同様の感触を備えたものとすることができる。把持部には任意形状の付加部材を設けることもできる。把持部には加温材や芳香剤を設けることもできる。把持部は、振動発生機能、就寝者を撫でる、叩く、掻く等の動く機能を備えたものとすることもできる。把持部は、音声、音楽、心拍音等の音発生機能を設けることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の睡眠補助具は次のような効果がある。
(1)把持部が動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は衣類又は身の回り品の形状であるため、就寝者が把持部を握れば人の手を握っているような安心感が得られ、睡眠し易くなる。
(2)把持部が動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は衣類又は身の回り品の形状であり、それらと同じ又は同様の感触を備えたものであるため、把持部をペット、好きな植物(例えば、花)、好物の食物(例えば、果物)、愛用している玩具、人形、普段着用している母親の衣類、身の回り品等の形状及びそれらの感触にすれば、就寝者が把持部を握れば安心感が得られ、睡眠し易くなる。
(3)就寝者の体が拘束されない形状及び構造であるため、寝返り等の動作が制約されず、就寝者が睡眠中にストレスを受けない。
(4)把持部から心拍音、音楽、音声、振動等を発生させれば睡眠し易くなる。就寝者の感覚に合った心拍音、音楽、音声、振動等とすればより一層睡眠し易くなる。
(5)把持部で就寝者を撫でたり、繰り返し軽く叩いたりすれば睡眠し易くなる。
(6)母親や身近な人が使用している化粧品や香水と同じ香りの芳香剤が発生するようにすれば、傍にそれらの人が居るような感じになり、嗅覚を通じても安心感が得られ、寝付きの促進、熟睡の一助となる。
(7)親、兄弟、友人等の頭部や上半身の形をしたぬいぐるみ等と組み合わせれば、人間が添い寝しているような雰囲気になり、睡眠がより一層促進される。
(8)把持部を、花、ペット等の組み合わせにすれば、自分の好みの物や、身近なものに囲まれて就寝するような雰囲気になり、就寝し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明の睡眠補助具の使用の一例を示す斜視図。
【図2】本願発明の睡眠補助具の使用の他の例を示す斜視図。
【図3】本願発明の睡眠補助具の他例の説明図。
【図4】本願発明の睡眠補助具の機能説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
本願発明の睡眠補助具100(図4)は就寝者の近く、例えば、枕元において、就寝者が寝ながら手で持ったり、握ったり、触ったりすることができ、必要に応じて就寝者の頭、腕、胸といった身体の一部を撫でたり、軽く叩いたり、振動したりして就寝者の寝付きをよくし、睡眠、熟睡を促進、補助することがきるものである。
【0010】
本願発明の睡眠補助具の一例として図1に示すものは把持部4をペット(猫)の形にしたものである。図3に示すものは把持部4を猫の手の形にし、それに花の形状の付加部材5を取り付けたものである。把持部4及び付加部材5は他の各種動物、各種の植物、食物、玩具、人形、衣類、身の回り品をはじめとして、睡眠に役立つその他の任意の物とすることができる。他の動物の形状としては犬、小鳥をはじめとして各種ペットの形状とすることができ、植物としては例えば花、食物としては例えば果実や菓子、日常使用している玩具や人形、日常着用している衣類、身の回り品等の形状、その他の物の形状とすることができる。可能であれば、それら自体を把持部4として使用することもできる。
【0011】
図1に示す把持部4は、猫の形状を模した外皮内にクッション性のある充填材を収容して猫のような感触にしてあり、就寝者が手で持ったり握ったり、触ったりすることのできるサイズにしてある。前記外皮は就寝者が握って安心できる形状、感触、サイズであることが望ましく、例えば、素材としては例えば綿・絹・フランネル素材・フリース素材・フェルト素材といったソフト感のあるもの、ゴム・樹脂といった弾力性のあるもの、肌触りのよいもの等が好ましい。
【0012】
前記充填材としては、綿、低反発ウレタンフォーム、樹脂性ビーズなどを使用することができる。外皮に収容する充填材の量や材質を変えることにより、固さを調節することができる。前記把持部4は外皮の内部に充填材を収容するのではなく、各種形状に成形した充填材を外皮で包むこともできるし、発泡成型、射出成型などの方法により成型したものであってもよい。
【0013】
本願発明の睡眠補助具は外皮や充填材の内部に芳香剤を添加したり匂い袋を収納したりして芳香するようにすることもできる。芳香は乳幼児に安心感を与えるもの、例えば、母親が使用する香水や化粧品の香りなどが好ましい。芳香剤は外皮や充填材に直接染み込ませることも、それらの内部に収容しておくこともできる。いずれの場合も外皮や充填材に芳香を外部に発散させるための微細な放香孔を開口しておくこともできる。
【0014】
本願発明の睡眠補助具には外皮や充填材の内部に加温材を入れておくこともできる。この場合、加温材は動物の体温程度まで加温可能なものであることが好ましい。これにより冬場でも暖かい動物の感触を得ることができ、癒し、睡眠に効果的である。加温材は酸素に接触すると昇温するものとか、通電により昇温するものであってもよい。
【0015】
本願発明の睡眠補助具は図2及び図3に示すように、把持部4に連結した付加部材5に動作部6(図4)を設けて、動作部6の動作により把持部4が動作するようにしてある。動作部6の一例としては図4のように電源10、設定部8、制御部7、駆動源11、可動機構9等を備えたものとすることができる。電源10はAC、DC何れの電源でもよい。DCの場合は充電式が良い。
【0016】
前記設定部8は動作機能の動作条件を設定する部分であり、例えば、心拍音の発生、音声や音楽の発生、把持部4の振動、往復動といった各種動作を設定できるものである。設定部8は、心拍音の発生、音声や音楽の発生、把持部4の振動、往復動といった各種動作のうち、いずれか二以上の動作を同時に行うように設定することもできる。
【0017】
前記制御部7は把持部4の動作状況、例えば、前記動作の強弱変化、速度、動作時間、往復動の繰り返し周期、振動のリズムといった各種動作条件を自動的に制御するためのものであり、コンピュータプログラムに基づいて制御できるようにすることも、手動設定した条件に基づいて制御されるようにすることもできる。
【0018】
前記駆動源11は可動機構9を駆動するためのものであり各種動作源である。それには例えばモータが使用される。
【0019】
前記可動機構9は把持部4を動作させるためのものであり、把持部4を制御部7の制御条件に従って横に往復移動(撫でる動作)させたり、上下動(叩く動作)させたり、把持部4の指を指関節のように屈伸させる機構といったように、各種動作をさせる機構である。
【0020】
前記可動機構9の可動条件の設定は、切り替えスイッチ、調節用摘み等の操作により行うことも、コンピュータプログラムで自動制御できるようにすることもできる。切り替えスイッチを設ける場合、一度押す度に条件を切り替えられるようにすることも、切り替えスイッチを動作条件ごとに設けて、それら切り換えスイッチを操作することによって切り替えられるようにすることもできる。接触式や近接式のスイッチを使用してそれに手が接触或いは接近すると切り替え設定されるようにすることもできる。前記条件設定はリモコン操作できるようにしておくこともできる。
【0021】
把持部4から心拍音が出るようにするには、例えば、把持部4又は付加部材5に心拍音発生器を内蔵し、それから心拍音が発生されるようにすることができる。拍音発生器としては例えば就寝者の心拍音と関連する心拍音、例えば、親、兄弟等の心拍音を記憶したメモリーを内蔵したものを使用することができる。心拍音の強さ、速度等は設定部8で選択して設定したり、就寝者に合わせて制御部7で自動的に制御されたりするようにすることができる。
【0022】
把持部4又は付加部材5から音声や音楽が流れるようにするには、把持部4又は付加部材5にスピーカ、イヤホンジャック、メモリー、再生機能等を内蔵し、再生機能によりメモリーに記録されている音楽や音声等が再生され、スピーカやイヤホンジャックに接続されたイヤホンから音楽が発生するようにする。選曲や音声の切り替えは設定部8で行うことができ、制御部7で自動的に制御されるようにすることもできる。それらの音はボリュームで調節可能とすることができる。前記心拍数、音声、音楽は、同時に聞こえるようにすることもできる。
【0023】
把持部4で就寝者を撫でたり、叩いたり、掻いたり、振動させたりするには、把持部4又は付加部材5内の可動機構9をモータ等の駆動源11で駆動させ、横往復動、縦振動等できるようにすることができる。横往復移動(撫でる動作)の範囲、繰り返し速度、縦振動(叩く動作)の強さ、繰り返し周期等は設定部8で設定したり切り替えたりすることができ、制御部7で自動制御可能とすることもできる。
【0024】
掻く動作は把持部4の指を曲げたり伸ばしたりできる機械的関節機能14を内蔵し(図3)、その機械的関節機能14をモータ等の駆動源11で屈伸させることにより実現できる。屈伸範囲、屈伸の繰り返し速度等は設定部8で設定したり切り替えたりすることができ、制御部7で自動制御可能とすることもできる。
【0025】
振動させるための可動機構9には既存のバイブレータ、例えば振動式モータを使用し、それを把持部4に内蔵し、それらモータに通電して振動させることができる。振動の強度、繰り返しスピード等は設定部8で設定或いは切り替え可能としたり制御部7で自動制御可能とすることもできる。
【0026】
付加部材5の形状、構造等は特に限定されない。付加部材5の他に就寝者の布団やベッドの下に敷いたり取り付けたりすることができるように安定部13を設けることもできる。付加部材5や安定部13は、内部に可動機構9、駆動源11、制御部7等を収容できる大きさや形状にすることもできる。
【0027】
本願発明の睡眠補助具には、タイマー12(図4)を設けることもできる。タイマー12には既存のタイマーを使用することができる。タイマー12は駆動源11の動作時間を選択して、設定時間の経過後に駆動源11の動作が自動的に停止するようにするためのものである。タイマー12は制御部7に内蔵することもできる。
【0028】
本願発明の睡眠補助具は、乳幼児用のみならず、それ以外の年齢層の人向けのものを用意することもできる。大きさや各サイズも就寝者の手の大きさに応じて各種用意することが好ましい。
【符号の説明】
【0029】
4 把持部
5 付加部材
6 動作部
7 制御部
8 設定部
9 可動機構
10 電源
11 駆動源
12 タイマー
13 安定部
14 機械的関節機能
100 睡眠補助具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝中に就寝者の近くに配置して、就寝者が手で持ったり握ったりすることのできる把持部を備え、
前記把持部が動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は衣類又は身の回り品の形状であることを特徴とする睡眠補助具。
【請求項2】
請求項1記載の睡眠補助具において、
把持部が動物又は植物又は食物又は玩具又は人形又は衣類又は身の回り品と同じ又はそれと同様の感触を備えたものであることを特徴とする睡眠補助具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の睡眠補助具において、
把持部に、任意形状の付加部材が設けられたことを特徴とする睡眠補助具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の睡眠補助具において、
把持部が、加温材又は/及び芳香剤を備えたことを特徴とする睡眠補助具。
【請求項5】
請求項1乃至至請求項4のいずれかに記載の睡眠補助具において、
把持部が、動く機能を備えたことを特徴とする睡眠補助具。
【請求項6】
請求項1乃至至請求項5のいずれかに記載の睡眠補助具において、
把持部が、音発生機能を備えたことを特徴とする睡眠補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−5654(P2012−5654A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144190(P2010−144190)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500392760)
【Fターム(参考)】