瞳孔径検出装置
【課題】眼瞼の下垂等による瞳孔径の欠けがあっても正確な瞳孔径を検出できる瞳孔径検出装置を提供する。
【解決手段】眼球に向けて光を発して患者の眼球を撮影し(ステップS1)、眼球画像から瞳孔部分を抽出し(ステップS2)、抽出された瞳孔を含む画像領域を水平方向に走査して情報をライン毎に記録し(ステップS3)、極大値を検出し(ステップS4)、瞳孔径を検出する前に開瞼した状態で撮像した検出前眼球画像と、瞳孔径を検出するために撮像された検出用眼球画像とを比較して、瞳孔径を推定する。
【解決手段】眼球に向けて光を発して患者の眼球を撮影し(ステップS1)、眼球画像から瞳孔部分を抽出し(ステップS2)、抽出された瞳孔を含む画像領域を水平方向に走査して情報をライン毎に記録し(ステップS3)、極大値を検出し(ステップS4)、瞳孔径を検出する前に開瞼した状態で撮像した検出前眼球画像と、瞳孔径を検出するために撮像された検出用眼球画像とを比較して、瞳孔径を推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の瞳孔径を検出する瞳孔径検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、瞳孔径を検出する技術としては、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1には、被検眼撮像画像の水平走査線の最大走査時間から瞳孔径を算出する瞳孔径計測機能を備えた視野測定装置が記載されている。
【0003】
また、従来の瞳孔径の検査では、光を眼にあてた場合の瞳孔径の変化を観察する対光反応検査が主であった。この対光反応検査は、光という刺激に瞳孔径が反応できるかどうかが主な観察対象であるため、患者の眼がどのように開けているのかは特に問題とならなかった。
【0004】
しかし、近年、瞳孔径は、白内障などによる眼内レンズ挿入等の老視矯正のために欠かすことのできない視標の1つとして挙げられている。この老視矯正のための瞳孔径の計測は、患者が日常どのような瞳孔径なのかを把握することが目的であるため、被験者の状態が普段の暮らしと変らないような自然な状態で計測されることが理想と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−178762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1等の既存の瞳孔径検出装置では、患者の眼瞼が加齢により下垂している場合には、患者の瞼を手などで引き上げて瞳孔全体の映像を取得できるようにして、瞳孔径を計測するのが一般的であった。
【0007】
このような患者の瞼を手などで引き上げた状態は、日常生活の中で起こりえない状態であり、老視矯正の場合に必要な、自然な状態での瞳孔径を計測することができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、眼瞼の下垂等による瞳孔径の欠けがあっても正確な瞳孔径を検出できる瞳孔径検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する第1の発明に係る瞳孔径検出装置は、患者の眼球を撮影する眼球撮像手段と、眼球に向けて光を発する眼球照明手段と、前記眼球撮像手段により撮像された眼球画像から瞳孔部分を抽出する瞳孔抽出手段と、前記瞳孔抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像領域を水平方向に走査した情報をライン毎に記録し、極大値を検出する瞳孔径検出手段と、前記瞳孔径を検出する前に開瞼した状態で撮像した検出前眼球画像と、前記瞳孔径を検出するために前記眼球撮像手段により撮像された検出用眼球画像とを比較する画像比較手段と、前記瞳孔径検出手段により検出された瞳孔径を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第1の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第2の発明は、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、瞳孔輪郭部分に欠けが存在するかを判断する輪郭判断手段を有し、前記瞳孔径検出手段は、前記輪郭判断手段により判断された瞳孔輪郭部分の欠けた画像部分以外の画像部分を用いて前記極大値を検出することを特徴とする。
【0011】
第2の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第3の発明は、前記輪郭判断手段は、前記瞳孔抽出部により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、所定の長さの瞳孔輪郭部分ごとに曲率を算出する曲率算出手段と、前記曲率算出手段により算出された曲率が、他の曲率とずれている場合に、当該曲率が算出された瞳孔輪郭部分が欠けていると判断する曲率判断手段とを含むことを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第4の発明は、前記輪郭判断手段は、瞳孔の輪郭部分を表すテンプレート画像を記憶するテンプレート記憶手段と、前記テンプレート記憶手段に記憶されたテンプレート画像を回転させて、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における瞳孔輪郭部分とを比較して、瞳孔輪郭部分ごとのマッチング率を算出するマッチング手段と、前記マッチング手段により算出されたマッチング率が低い瞳孔輪郭部分が欠けていると判断するマッチング率判断手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
第2の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第5の発明は、前記輪郭判断手段は、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における縦方向の画素値変化量に基づいて瞳孔を含む画像のエッジ部を検出するエッジ検出手段と、前記エッジ検出手段により検出された複数のエッジ部の位置関係から瞳孔輪郭部分の欠けを判断するエッジ判断手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出前眼球画像と検出用眼球画像とを比較して瞳孔径を推定でき、患者ごとの瞳孔変化の特性に合わせて瞳孔径を推測することができる。したがって、自然な状態で眼球画像を取得し、眼瞼の下垂等による瞳孔径の欠けがあっても正確な瞳孔径を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置により瞳孔径を算出する動作を説明する図であり、(a)は眼球画像、(b)は眼球画像から抽出された瞳孔部分を含む画像、(c)は瞳孔部分の水平ライン位置を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置により瞳孔径を求める動作手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、(a)は検出前眼球画像、(b)は検出用眼球画像である。
【図5】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置により瞳孔径を求める他の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において瞳孔部分の曲率に基づいて欠けを判断する動作を示す図であり、(a)は眼球画像から抽出された瞳孔部分を含む画像、(b)は走査領域と曲率との関係を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、瞳孔部分の曲率に基づいて欠けを判断する動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において瞳孔部分のマッチング率に基づいて欠けを判断する動作を示す図であり、(a)は眼球画像から抽出された瞳孔部分を含む画像、(b)は走査領域とマッチング率との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、瞳孔部分のマッチング率に基づいて欠けを判断する動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、(a)は瞳孔が欠けていない眼球画像に対して垂直方向に走査することを示す図であり、(b)は検出されたエッジを含むエッジ画像を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、(a)は瞳孔が欠けている眼球画像に対して垂直方向に走査することを示す図であり、(b)は検出されたエッジを含むエッジ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本発明の実施形態として示す瞳孔径検出装置は、例えば図1に示すように構成される。瞳孔径検出装置は、眼球照明部1、眼球撮像部2、眼球画像取得部3、画像処理部4、瞳孔径記録部5、及び、計測結果出力部6を含む。瞳孔径検出装置の構成のうち、眼球画像取得部3、画像処理部4及び瞳孔径記録部5は、CPUやメモリ、ハードディスク装置等を含む情報処理装置10によって実現可能な機能である。
【0018】
眼球照明部1は、例えば赤外線ランプ等からなる。この眼球照明部1は、患者Pの眼球が鮮明に撮像された眼球画像を得るために赤外線光を照射する。これにより、瞳孔以外の画像部分を白飛びさせて、周囲の状況に拘わらず瞳孔抽出をコンスタントに行うことができるようにする。
【0019】
眼球照明部1は、瞳孔径が計測される患者Pの眼球に向けて赤外線光を照射するよう設置される。ここで、図示はしていないが、患者Pの頭部は固定され、当該固定された頭部に対する眼球位置に赤外線光を照射するよう眼球照明部1は構成されている。患者Pの頭部を固定する構成としては、例えば、患者Pの額を押しつける部位と、患者Pの顎を載せる部位とがあり、瞳孔径計測時に、額及び顎を所定位置に固定することによって、眼球位置を固定することとなる。
【0020】
眼球撮像部2は、眼球照明部1によって赤外線光が患者Pの眼球に照射された状態で、患者Pの瞳孔を含む眼全体を撮像する。眼球撮像部2は、撮像した眼球画像を情報処理装置10に供給する。
【0021】
眼球画像取得部3は、眼球撮像部2から供給された眼球画像を取得する。眼球画像取得部3は、例えば眼球画像を図示しないメモリ等に記憶させる。
【0022】
画像処理部4は、眼球画像取得部3によって取得された眼球画像から、瞳孔部分を抽出する(瞳孔抽出手段)。画像処理部4は、例えば瞳孔の輪郭を示す情報を記憶しておく。
【0023】
また、画像処理部4は、抽出された瞳孔を水平方向に走査した情報をライン毎に記録し、極大値を検出する(瞳孔径検出手段)。具体的には、図2(a)に示すような眼球画像100が撮像され、瞳孔部分100aが抽出された状態で、画像処理部4は、当該瞳孔部分100aの輪郭を、図2(b)に示すように水平方向に走査する。次に、画像処理部4は、図2(c)に示すように、眼球画像100における水平ライン位置ごとの瞳孔部分100aとなっているピクセル数をカウントする。この瞳孔部分100aのピクセル数が最大となる水平ライン位置が、瞳孔部分100aの中心を通過していることとなる。したがって、瞳孔部分100aの中心を通過している水平ラインにおけるカウント数と一画素当たりの実距離とを乗算して、実際の瞳孔径を算出する。
【0024】
ここで、眼球画像100における一画素あたりの実際の距離は、眼球画像100に含まれる横方向の画素数と、実際に眼球撮像部2が撮像している範囲との関係によって決まり、予め設定されている。したがって、画像処理部4は、予め設定された一画素あたりの実際の距離を乗算することによって、実際の瞳孔径を算出できる。
【0025】
瞳孔径記録部5は、画像処理部4によって計測された瞳孔径を記録する。
【0026】
計測結果出力部6は、情報処理装置10から患者Pの瞳孔径が供給され、当該瞳孔径を表示や音声等によって出力する。
【0027】
このような瞳孔径検出装置は、実際の瞳孔径の計測時には、図3に示すように、ステップS1において、眼球照明部1による赤外線光の照射を行っている状態で、眼球撮像部2による撮像を行って、眼球画像取得部3に眼球画像100を供給する。
【0028】
次に、ステップS2において、情報処理装置10の画像処理部4は、上述した瞳孔部分100aの抽出を行う。次のステップS3において情報処理装置10の画像処理部4は、瞳孔部分100aを含む眼球画像100に対して水平ライン上における瞳孔輪郭の走査を行って、水平ラインごとの瞳孔輪郭の横径を計測する。
【0029】
その後、画像処理部4は、ステップS4において、水平ライン位置の最大値が検出できた場合には、ステップS5において、当該最大値から実際の瞳孔径を算出する。
【0030】
また、画像処理部4は、瞳孔径以外の情報も算出しても良い。具体的には、ステップS6において、瞳孔の面積を求める。このとき、画像処理部4は、ステップS5にて瞳孔径を求めた水平ライン以下の面積を求め、この面積を2倍して瞳孔全体の面積を求めることができる。更に、画像処理部4は、ステップS7において、瞳孔の中心を求める。このとき、画像処理部4は、ステップS5にて瞳孔径を求めた水平ラインにおいて、瞳孔部分100aの右端位置と左端位置との中心位置を瞳孔の中心とする。そして、画像処理部4は、瞳孔径、瞳孔面積及び瞳孔中心位置を瞳孔径記録部5に記録する。
【0031】
次に、瞳孔径検出装置は、ステップS8において、瞳孔径記録部5に記録された瞳孔径、瞳孔面積、及び、瞳孔中心位置を計測結果出力部6によって出力する。
【0032】
このような瞳孔径検出装置においては、正確な瞳孔径を計測するために、上述した実際の瞳孔径の計測前に、患者Pを開瞼した状態で撮像して、検出前眼球画像を取得しておく。そして、上述した瞳孔径を検出するために眼球撮像部2により撮像された検出用眼球画像として眼球画像100を取得し、当該検出用眼球画像と、検出前眼球画像とを比較する(画像比較手段)。
【0033】
検出前眼球画像110は、例えば図4(a)に示すように、瞳孔部分100aに眼瞼が重ならず、瞳孔部分100aに欠けがないものとなる。一方、患者Pが高齢者等である場合には、眼瞼が下垂して瞳孔の一部が隠れてしまい、図4(b)のような眼球画像100となってしまう場合がある。図4(b)のような場合、上述したような動作によって瞳孔径を計測しても正確な瞳孔径が計測できない。
【0034】
そこで、瞳孔径検出装置は、事前に検出前眼球画像110を取得することで患者Pに固有の瞳孔の傾向を把握する。その後、事前に取得した検出前眼球画像110と検査中に取得した眼球画像100を比較することで、瞳孔の欠けに影響されず瞳孔径を取得する。
【0035】
瞳孔径検出装置は、検出前眼球画像110を用いて垂直方向における瞳孔の中心位置を求めておき、当該瞳孔中心を基点として検出前眼球画像110における瞳孔の輪郭と眼球画像100における瞳孔の輪郭とを比較する。そして、瞳孔径検出装置は、双方の瞳孔の縮尺の割合から、眼球画像100における瞳孔径、瞳孔面積を推定する。
【0036】
ここで、検出前眼球画像110を取得するときには、患者P本人に力を入れて眼を見開いてもらう場合と、検査者や器具によって患者Pの眼瞼を強制的に上げさせる場合が考えられる。
【0037】
具体的には、瞳孔径検出装置は、図5に示す動作を行う。
【0038】
瞳孔径検出装置は、実際に自然な状態で瞳孔径を検出する前に、検出前眼球画像110を用いた前処理を開始する。先ず、ステップS21において、患者Pの眼瞼を上げて眼瞼が瞳孔に重ならないよう処置し、この状態で、眼球照明部1で赤外線光を照射しながら眼球撮像部2によって事前撮影を行う。これにより、眼球撮像部2は、検出前眼球画像110を生成して、眼球画像取得部3に供給する。眼球画像取得部3は、一旦メモリ等に検出前眼球画像110を記憶させておく。
【0039】
次に、ステップS22において、情報処理装置10の画像処理部4は、瞳孔部分100aの抽出を行う。次のステップS23において、情報処理装置10の画像処理部4は、瞳孔部分100aを含む検出前眼球画像110に対して水平ライン上における瞳孔輪郭の走査を行って、水平ラインごとの横径を計測する。
【0040】
その後、画像処理部4は、ステップS24において、水平ライン位置の最大値が検出できた場合には、ステップS25において、当該最大値から、参照情報としての瞳孔中心、瞳孔面積を求める。
【0041】
一方、実際に自然な状態で瞳孔径を計測するときには、上述したようにステップS1〜ステップS4を行って、ステップS9において、瞳孔径、瞳孔中心、瞳孔面積を含む瞳孔画像情報を瞳孔径記録部5に記憶しておく。
【0042】
このように、検出前眼球画像110を用いて演算した瞳孔中心及び瞳孔面積を含む参照情報と、眼球画像100を用いて演算した瞳孔中心及び瞳孔面積を含む瞳孔画像情報との双方が瞳孔径記録部5に記録される。これに応じて、眼球画像100と検出前眼球画像110とを比較し、眼球画像100における瞳孔径、瞳孔面積を推定する。
【0043】
次に、瞳孔径検出装置は、ステップS8において、瞳孔径、瞳孔面積、及び、瞳孔中心位置を計測結果出力部6によって出力する。
【0044】
なお、この処理において、検出前眼球画像110と眼球画像100とで瞳孔中心の変化が少ない場合には、ステップS3,ステップS4,ステップS9は省略し、ステップS10にて推定された瞳孔情報を出力しても良い。
【0045】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼球画像100における瞳孔の輪郭情報から、水平方向の極大値を瞳孔径とすることができる。これにより、瞳孔径検出装置は、特殊な演算等を用いずに、水平方向の輪郭幅を比較するだけで瞳孔径を求めることができる。特に、この瞳孔径検出装置によれば、検出前眼球画像110と眼球画像100とを比較して瞳孔径を推定でき、患者Pごとの瞳孔変化の特性に合わせて瞳孔径を推測することができる。したがって、自然な状態で眼球画像100を取得し、眼瞼の下垂等による瞳孔径の欠けがあっても正確な瞳孔径を検出できる。
【0046】
つぎに、上述した瞳孔径検出装置において、眼球画像100において瞳孔部分100aが眼瞼によって欠けていても、欠けている部分を除いて、又は、当該眼球画像100を使用せずに正確に瞳孔径を検出する他の動作について説明する。
【0047】
この瞳孔径検出装置において、画像処理部4は、抽出された瞳孔部分100aを用いて、瞳孔輪郭部分に欠けが存在するかを判断する(輪郭判断手段)。そして、画像処理部4は、瞳孔輪郭部分の欠けた画像部分以外の画像部分を用いて極大値を検出する。
【0048】
具体的には、画像処理部4は、瞳孔部分100aを用いて、所定の長さの瞳孔輪郭部分ごとに曲率を算出する(曲率算出手段)。そして、画像処理部4は、算出された曲率が、他の瞳孔輪郭部分で算出された曲率とずれている場合に、当該曲率が算出された瞳孔輪郭部分が欠けていると判断する(曲率判断手段)。
【0049】
この瞳孔径検出装置は、図6(a)に示すように、瞳孔部分100aが眼瞼で欠ける部分が直線的で曲率が小さいことを利用して、瞳孔径の推測を行う。このため、画像処理部4は、図6(a)の矢印で示すように右回りに所定の瞳孔輪郭部分の長さごとに曲率を求める。図6(b)に示すように、眼瞼で欠けていない瞳孔輪郭部分では、高い曲率となるが、眼瞼で欠けている瞳孔輪郭部分では、曲率が低くなる。したがって、図6(a)のように画像位置P1から画像位置P2に亘って眼瞼によって瞳孔輪郭部分が欠けていると、図6(b)のように当該画像位置に対応する走査領域(P1〜P2)の曲率が所定の曲率Cthよりも低くなる。
【0050】
この瞳孔輪郭部分の曲率を利用した瞳孔径検出装置は、図7に示すように、ステップS1において眼球画像100を取得し、ステップS2にて眼球画像100から瞳孔部分100aを抽出する。
【0051】
次に、画像処理部4は、ステップS3aにおいて、所定の長さごとに瞳孔輪郭部分の曲率を求めるよう走査し、次のステップS11において、曲率が所定の曲率Cthよりも低い瞳孔輪郭部分を瞳孔部分100aの欠け部分として検出する。
【0052】
次に、画像処理部4は、ステップS11にて瞳孔部分100aの欠け部分として検出された瞳孔部分100aの輪郭を除いて、瞳孔部分100aを含む眼球画像100に対して水平ライン上における瞳孔輪郭の走査を行って、水平ラインごとの横径を計測する。その後、画像処理部4は、水平ライン位置の最大値が検出できた場合には、当該最大値から実際の瞳孔径を算出する。そして、画像処理部4は、瞳孔径を瞳孔径記録部5に記録する。
【0053】
ここで、瞳孔径の推定方法としては、円推定を行う代表的な方法(任意の弦の垂直二等分線の交点を中心とする、円の式に代入して最小2乗法を用いるなど)を用い、当該推定された瞳孔部分100aの輪郭から瞳孔径を推定する。また、患者Pの瞳孔形状を楕円形として算出したい場合には、真円推定ではなく、楕円の式に代入して最小二乗法を用いるなどの楕円形推定を行う。
【0054】
次に、瞳孔径検出装置は、ステップS8において、瞳孔径記録部5に記録された瞳孔径、を計測結果出力部6によって出力する。
【0055】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていても、当該欠けている輪郭を用いずに瞳孔径を求めることができ、自然な状態で眼瞼が瞳孔部分100aに重なる場合であっても、正確に瞳孔径を検出できる。
【0056】
なお、上述した説明では眼瞼で瞳孔部分100aが欠ける場合について説明したが、プルキニエ像(眼の中にできる赤外照明の反射像)によって瞳孔部分100aに欠けが生じた時にも応用しても良い。
【0057】
また、曲率を計算する瞳孔部分100aの輪郭の長さは、曲率計算当初は長くしておき、曲率が低い部分では段階的に短くして正確に欠けている部分を検出しても良い。これにより、処理量を抑制できる。
【0058】
更に、曲率を求める瞳孔部分100aの輪郭の範囲は、検査者が数値的に指定しても良く、眼球画像100を見ながら指定しても良い。このとき、明らかに欠けている瞳孔部分100aの輪郭に関しては、検査者が指定して曲率を求めずに対象外範囲として定めることもできる。
【0059】
また、瞳孔径検出装置は、予め用意しておいたテンプレート画像と瞳孔部分100aの輪郭とを比較して、瞳孔部分100aの欠けている部分を判断しても良い。
【0060】
例えば、情報処理装置10は、図8に示すような眼球画像100における瞳孔輪郭部分を表すテンプレート画像120を記憶しておく(テンプレート記憶手段)。そして、画像処理部4は、テンプレート画像120を回転させながら瞳孔輪郭部分とマッチングさせ、瞳孔輪郭部分ごとのマッチング率を算出する(マッチング手段)。このとき、画像処理部4は、例えば、テンプレート画像120を回転させて最も高いマッチング率を、瞳孔輪郭部分のマッチング率とする。そして、画像処理部4は、マッチング率が低い瞳孔輪郭部分が、瞳孔部分100aの欠けている部分であると判断する(マッチング率判断手段)。
【0061】
これにより、画像処理部4は、欠けている瞳孔部分100aの輪郭部分を除いて瞳孔径を求めることができる。
【0062】
この瞳孔径検出装置は、例えば図8(a)のように画像位置P1から画像位置P2に亘って眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていると、図8(b)のように走査領域がP1〜P2のマッチング率が所定のマッチング率Mthよりも低くなる。
【0063】
この瞳孔部分100aのマッチング率を利用した瞳孔径検出装置は、図9に示すように、ステップS1において眼球画像100を取得し、ステップS2にて眼球画像100から瞳孔部分100aを抽出する。
【0064】
次に、画像処理部4は、ステップS3bにおいて、所定の間隔ごとに瞳孔輪郭部分とテンプレート画像120とを比較してマッチングを行うよう走査する。次のステップS11において、画像処理部4は、マッチング率が所定のマッチング率Mthよりも低い瞳孔輪郭部分を瞳孔部分100aの欠け部分として検出する。以降は、上述した図7と同様である。
【0065】
なお、テンプレート画像120のサイズは、規定値であっても良く、計測毎に変更できても良い。また、テンプレート画像120は、開瞼させた状態で取得した検出前眼球画像110から取得しても良い。テンプレート画像120を検出前眼球画像110から取得した場合、各角度方向に応じてテンプレート画像120を変化させ、より精度を向上させることもできる。更に、計測時の眼球画像100で目尻と目頭とのラインなど、比較的欠けにくい部分を予めしてテンプレート画像120とすることができる。更に、眼球画像100のうち明らかに欠けている部分を検査者が手動で指定し、それ以外の部分を用いてテンプレート画像120としても良い。
【0066】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていても、当該欠けている輪郭を用いずに瞳孔径を求めることができ、自然な状態で眼瞼が瞳孔部分100aに重なる場合であっても、正確に瞳孔径を検出できる。
【0067】
更に、瞳孔径検出装置は、眼球画像100に対するエッジ検出結果に基づいて瞳孔部分100aの輪郭の欠けている部分を判断しても良い。
【0068】
この瞳孔径検出装置において、画像処理部4は、眼球画像100における縦方向の画素値変化量に基づいて瞳孔画像のエッジ部を検出する(エッジ検出手段)。次に、画像処理部4は、検出された複数のエッジ部の位置関係から瞳孔輪郭部分の欠けを判断する(エッジ判断手段)。
【0069】
具体的には、瞳孔部分100aが眼瞼で欠けていない場合、図10(a)に示すような眼球画像100が取得でき、画像処理部4は、当該眼球画像100に対して垂直方向にエッジ部が存在するか走査する。その結果、画像処理部4は、図10(b)に示すようなエッジ画像130を取得できる。このエッジ画像130には、エッジ群130a〜130dが含まれる。エッジ群130aは上瞼に起因して検出されたものである。エッジ群130dは下瞼に起因して検出されたものである。エッジ群130bは瞳孔部分100aの上部に起因して検出されたものである。エッジ群130cは瞳孔部分100aの下部に起因して検出されたものである。
【0070】
一方、眼瞼が下垂して瞳孔に重なって瞳孔が欠けている場合には、図11(a)に示すように、上瞼が瞳孔部分100aに重なって、瞳孔部分100aが欠けている。このような眼球画像100に対してエッジ部を検出すると、図11(b)に示すようなエッジ画像130が得られる。このエッジ画像130は、上瞼に起因して検出されたエッジ群130aと、下瞼に起因して検出されたエッジ群130dと、瞳孔部分100aの下部に起因して検出されたエッジ群130cとが含まれる。このように、上瞼が下垂して瞳孔部分100aが欠けた場合には、瞳孔部分100aの上部に起因したエッジ群130bが検出されない。
【0071】
したがって、画像処理部4は、複数のエッジ部の位置関係から、瞳孔部分100aが欠けていることを判断できる。また、画像処理部4は、エッジ部の数から、瞳孔部分100aが欠けていることを判断しても良く、エッジ部の長さから瞳孔部分100aが欠けていることを判断しても良い。
【0072】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていても、当該欠けている輪郭を用いずに瞳孔径を求めることができ、自然な状態で眼瞼が瞳孔部分100aに重なる場合であっても、正確に瞳孔径を検出できる。
【0073】
なお、画像処理部4は、縦方向のエッジだけでは瞳孔部分100aの欠けを抽出しにくい場合、眼球画像100における目尻及び目頭の位置を参照して、エッジ部が近接していて一筆書きにできる部分を上瞼及び下瞼としても良い。また、画像処理部4は、縦方向のエッジだけでは瞳孔部分100aの欠けを抽出しにくい場合、縦方向から少しだけ傾けた方向に走査してエッジを検出しても良い。この傾ける角度は、予め定義したものでも計測を行いながら自由に変化させてもよい。
【0074】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
1 眼球照明部
2 最小
2 眼球撮像部
3 眼球画像取得部
4 画像処理部
5 瞳孔径記録部
6 計測結果出力部
10 情報処理装置
100 眼球画像
100a 瞳孔部分
110 検出前眼球画像
120 テンプレート画像
130 エッジ画像
130a〜130d エッジ群
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の瞳孔径を検出する瞳孔径検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、瞳孔径を検出する技術としては、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1には、被検眼撮像画像の水平走査線の最大走査時間から瞳孔径を算出する瞳孔径計測機能を備えた視野測定装置が記載されている。
【0003】
また、従来の瞳孔径の検査では、光を眼にあてた場合の瞳孔径の変化を観察する対光反応検査が主であった。この対光反応検査は、光という刺激に瞳孔径が反応できるかどうかが主な観察対象であるため、患者の眼がどのように開けているのかは特に問題とならなかった。
【0004】
しかし、近年、瞳孔径は、白内障などによる眼内レンズ挿入等の老視矯正のために欠かすことのできない視標の1つとして挙げられている。この老視矯正のための瞳孔径の計測は、患者が日常どのような瞳孔径なのかを把握することが目的であるため、被験者の状態が普段の暮らしと変らないような自然な状態で計測されることが理想と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−178762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1等の既存の瞳孔径検出装置では、患者の眼瞼が加齢により下垂している場合には、患者の瞼を手などで引き上げて瞳孔全体の映像を取得できるようにして、瞳孔径を計測するのが一般的であった。
【0007】
このような患者の瞼を手などで引き上げた状態は、日常生活の中で起こりえない状態であり、老視矯正の場合に必要な、自然な状態での瞳孔径を計測することができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、眼瞼の下垂等による瞳孔径の欠けがあっても正確な瞳孔径を検出できる瞳孔径検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する第1の発明に係る瞳孔径検出装置は、患者の眼球を撮影する眼球撮像手段と、眼球に向けて光を発する眼球照明手段と、前記眼球撮像手段により撮像された眼球画像から瞳孔部分を抽出する瞳孔抽出手段と、前記瞳孔抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像領域を水平方向に走査した情報をライン毎に記録し、極大値を検出する瞳孔径検出手段と、前記瞳孔径を検出する前に開瞼した状態で撮像した検出前眼球画像と、前記瞳孔径を検出するために前記眼球撮像手段により撮像された検出用眼球画像とを比較する画像比較手段と、前記瞳孔径検出手段により検出された瞳孔径を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第1の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第2の発明は、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、瞳孔輪郭部分に欠けが存在するかを判断する輪郭判断手段を有し、前記瞳孔径検出手段は、前記輪郭判断手段により判断された瞳孔輪郭部分の欠けた画像部分以外の画像部分を用いて前記極大値を検出することを特徴とする。
【0011】
第2の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第3の発明は、前記輪郭判断手段は、前記瞳孔抽出部により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、所定の長さの瞳孔輪郭部分ごとに曲率を算出する曲率算出手段と、前記曲率算出手段により算出された曲率が、他の曲率とずれている場合に、当該曲率が算出された瞳孔輪郭部分が欠けていると判断する曲率判断手段とを含むことを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第4の発明は、前記輪郭判断手段は、瞳孔の輪郭部分を表すテンプレート画像を記憶するテンプレート記憶手段と、前記テンプレート記憶手段に記憶されたテンプレート画像を回転させて、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における瞳孔輪郭部分とを比較して、瞳孔輪郭部分ごとのマッチング率を算出するマッチング手段と、前記マッチング手段により算出されたマッチング率が低い瞳孔輪郭部分が欠けていると判断するマッチング率判断手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
第2の発明に係る瞳孔径検出装置であって、第5の発明は、前記輪郭判断手段は、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における縦方向の画素値変化量に基づいて瞳孔を含む画像のエッジ部を検出するエッジ検出手段と、前記エッジ検出手段により検出された複数のエッジ部の位置関係から瞳孔輪郭部分の欠けを判断するエッジ判断手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出前眼球画像と検出用眼球画像とを比較して瞳孔径を推定でき、患者ごとの瞳孔変化の特性に合わせて瞳孔径を推測することができる。したがって、自然な状態で眼球画像を取得し、眼瞼の下垂等による瞳孔径の欠けがあっても正確な瞳孔径を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置により瞳孔径を算出する動作を説明する図であり、(a)は眼球画像、(b)は眼球画像から抽出された瞳孔部分を含む画像、(c)は瞳孔部分の水平ライン位置を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置により瞳孔径を求める動作手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、(a)は検出前眼球画像、(b)は検出用眼球画像である。
【図5】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置により瞳孔径を求める他の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において瞳孔部分の曲率に基づいて欠けを判断する動作を示す図であり、(a)は眼球画像から抽出された瞳孔部分を含む画像、(b)は走査領域と曲率との関係を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、瞳孔部分の曲率に基づいて欠けを判断する動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において瞳孔部分のマッチング率に基づいて欠けを判断する動作を示す図であり、(a)は眼球画像から抽出された瞳孔部分を含む画像、(b)は走査領域とマッチング率との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、瞳孔部分のマッチング率に基づいて欠けを判断する動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、(a)は瞳孔が欠けていない眼球画像に対して垂直方向に走査することを示す図であり、(b)は検出されたエッジを含むエッジ画像を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態として示す瞳孔径検出装置において、(a)は瞳孔が欠けている眼球画像に対して垂直方向に走査することを示す図であり、(b)は検出されたエッジを含むエッジ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本発明の実施形態として示す瞳孔径検出装置は、例えば図1に示すように構成される。瞳孔径検出装置は、眼球照明部1、眼球撮像部2、眼球画像取得部3、画像処理部4、瞳孔径記録部5、及び、計測結果出力部6を含む。瞳孔径検出装置の構成のうち、眼球画像取得部3、画像処理部4及び瞳孔径記録部5は、CPUやメモリ、ハードディスク装置等を含む情報処理装置10によって実現可能な機能である。
【0018】
眼球照明部1は、例えば赤外線ランプ等からなる。この眼球照明部1は、患者Pの眼球が鮮明に撮像された眼球画像を得るために赤外線光を照射する。これにより、瞳孔以外の画像部分を白飛びさせて、周囲の状況に拘わらず瞳孔抽出をコンスタントに行うことができるようにする。
【0019】
眼球照明部1は、瞳孔径が計測される患者Pの眼球に向けて赤外線光を照射するよう設置される。ここで、図示はしていないが、患者Pの頭部は固定され、当該固定された頭部に対する眼球位置に赤外線光を照射するよう眼球照明部1は構成されている。患者Pの頭部を固定する構成としては、例えば、患者Pの額を押しつける部位と、患者Pの顎を載せる部位とがあり、瞳孔径計測時に、額及び顎を所定位置に固定することによって、眼球位置を固定することとなる。
【0020】
眼球撮像部2は、眼球照明部1によって赤外線光が患者Pの眼球に照射された状態で、患者Pの瞳孔を含む眼全体を撮像する。眼球撮像部2は、撮像した眼球画像を情報処理装置10に供給する。
【0021】
眼球画像取得部3は、眼球撮像部2から供給された眼球画像を取得する。眼球画像取得部3は、例えば眼球画像を図示しないメモリ等に記憶させる。
【0022】
画像処理部4は、眼球画像取得部3によって取得された眼球画像から、瞳孔部分を抽出する(瞳孔抽出手段)。画像処理部4は、例えば瞳孔の輪郭を示す情報を記憶しておく。
【0023】
また、画像処理部4は、抽出された瞳孔を水平方向に走査した情報をライン毎に記録し、極大値を検出する(瞳孔径検出手段)。具体的には、図2(a)に示すような眼球画像100が撮像され、瞳孔部分100aが抽出された状態で、画像処理部4は、当該瞳孔部分100aの輪郭を、図2(b)に示すように水平方向に走査する。次に、画像処理部4は、図2(c)に示すように、眼球画像100における水平ライン位置ごとの瞳孔部分100aとなっているピクセル数をカウントする。この瞳孔部分100aのピクセル数が最大となる水平ライン位置が、瞳孔部分100aの中心を通過していることとなる。したがって、瞳孔部分100aの中心を通過している水平ラインにおけるカウント数と一画素当たりの実距離とを乗算して、実際の瞳孔径を算出する。
【0024】
ここで、眼球画像100における一画素あたりの実際の距離は、眼球画像100に含まれる横方向の画素数と、実際に眼球撮像部2が撮像している範囲との関係によって決まり、予め設定されている。したがって、画像処理部4は、予め設定された一画素あたりの実際の距離を乗算することによって、実際の瞳孔径を算出できる。
【0025】
瞳孔径記録部5は、画像処理部4によって計測された瞳孔径を記録する。
【0026】
計測結果出力部6は、情報処理装置10から患者Pの瞳孔径が供給され、当該瞳孔径を表示や音声等によって出力する。
【0027】
このような瞳孔径検出装置は、実際の瞳孔径の計測時には、図3に示すように、ステップS1において、眼球照明部1による赤外線光の照射を行っている状態で、眼球撮像部2による撮像を行って、眼球画像取得部3に眼球画像100を供給する。
【0028】
次に、ステップS2において、情報処理装置10の画像処理部4は、上述した瞳孔部分100aの抽出を行う。次のステップS3において情報処理装置10の画像処理部4は、瞳孔部分100aを含む眼球画像100に対して水平ライン上における瞳孔輪郭の走査を行って、水平ラインごとの瞳孔輪郭の横径を計測する。
【0029】
その後、画像処理部4は、ステップS4において、水平ライン位置の最大値が検出できた場合には、ステップS5において、当該最大値から実際の瞳孔径を算出する。
【0030】
また、画像処理部4は、瞳孔径以外の情報も算出しても良い。具体的には、ステップS6において、瞳孔の面積を求める。このとき、画像処理部4は、ステップS5にて瞳孔径を求めた水平ライン以下の面積を求め、この面積を2倍して瞳孔全体の面積を求めることができる。更に、画像処理部4は、ステップS7において、瞳孔の中心を求める。このとき、画像処理部4は、ステップS5にて瞳孔径を求めた水平ラインにおいて、瞳孔部分100aの右端位置と左端位置との中心位置を瞳孔の中心とする。そして、画像処理部4は、瞳孔径、瞳孔面積及び瞳孔中心位置を瞳孔径記録部5に記録する。
【0031】
次に、瞳孔径検出装置は、ステップS8において、瞳孔径記録部5に記録された瞳孔径、瞳孔面積、及び、瞳孔中心位置を計測結果出力部6によって出力する。
【0032】
このような瞳孔径検出装置においては、正確な瞳孔径を計測するために、上述した実際の瞳孔径の計測前に、患者Pを開瞼した状態で撮像して、検出前眼球画像を取得しておく。そして、上述した瞳孔径を検出するために眼球撮像部2により撮像された検出用眼球画像として眼球画像100を取得し、当該検出用眼球画像と、検出前眼球画像とを比較する(画像比較手段)。
【0033】
検出前眼球画像110は、例えば図4(a)に示すように、瞳孔部分100aに眼瞼が重ならず、瞳孔部分100aに欠けがないものとなる。一方、患者Pが高齢者等である場合には、眼瞼が下垂して瞳孔の一部が隠れてしまい、図4(b)のような眼球画像100となってしまう場合がある。図4(b)のような場合、上述したような動作によって瞳孔径を計測しても正確な瞳孔径が計測できない。
【0034】
そこで、瞳孔径検出装置は、事前に検出前眼球画像110を取得することで患者Pに固有の瞳孔の傾向を把握する。その後、事前に取得した検出前眼球画像110と検査中に取得した眼球画像100を比較することで、瞳孔の欠けに影響されず瞳孔径を取得する。
【0035】
瞳孔径検出装置は、検出前眼球画像110を用いて垂直方向における瞳孔の中心位置を求めておき、当該瞳孔中心を基点として検出前眼球画像110における瞳孔の輪郭と眼球画像100における瞳孔の輪郭とを比較する。そして、瞳孔径検出装置は、双方の瞳孔の縮尺の割合から、眼球画像100における瞳孔径、瞳孔面積を推定する。
【0036】
ここで、検出前眼球画像110を取得するときには、患者P本人に力を入れて眼を見開いてもらう場合と、検査者や器具によって患者Pの眼瞼を強制的に上げさせる場合が考えられる。
【0037】
具体的には、瞳孔径検出装置は、図5に示す動作を行う。
【0038】
瞳孔径検出装置は、実際に自然な状態で瞳孔径を検出する前に、検出前眼球画像110を用いた前処理を開始する。先ず、ステップS21において、患者Pの眼瞼を上げて眼瞼が瞳孔に重ならないよう処置し、この状態で、眼球照明部1で赤外線光を照射しながら眼球撮像部2によって事前撮影を行う。これにより、眼球撮像部2は、検出前眼球画像110を生成して、眼球画像取得部3に供給する。眼球画像取得部3は、一旦メモリ等に検出前眼球画像110を記憶させておく。
【0039】
次に、ステップS22において、情報処理装置10の画像処理部4は、瞳孔部分100aの抽出を行う。次のステップS23において、情報処理装置10の画像処理部4は、瞳孔部分100aを含む検出前眼球画像110に対して水平ライン上における瞳孔輪郭の走査を行って、水平ラインごとの横径を計測する。
【0040】
その後、画像処理部4は、ステップS24において、水平ライン位置の最大値が検出できた場合には、ステップS25において、当該最大値から、参照情報としての瞳孔中心、瞳孔面積を求める。
【0041】
一方、実際に自然な状態で瞳孔径を計測するときには、上述したようにステップS1〜ステップS4を行って、ステップS9において、瞳孔径、瞳孔中心、瞳孔面積を含む瞳孔画像情報を瞳孔径記録部5に記憶しておく。
【0042】
このように、検出前眼球画像110を用いて演算した瞳孔中心及び瞳孔面積を含む参照情報と、眼球画像100を用いて演算した瞳孔中心及び瞳孔面積を含む瞳孔画像情報との双方が瞳孔径記録部5に記録される。これに応じて、眼球画像100と検出前眼球画像110とを比較し、眼球画像100における瞳孔径、瞳孔面積を推定する。
【0043】
次に、瞳孔径検出装置は、ステップS8において、瞳孔径、瞳孔面積、及び、瞳孔中心位置を計測結果出力部6によって出力する。
【0044】
なお、この処理において、検出前眼球画像110と眼球画像100とで瞳孔中心の変化が少ない場合には、ステップS3,ステップS4,ステップS9は省略し、ステップS10にて推定された瞳孔情報を出力しても良い。
【0045】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼球画像100における瞳孔の輪郭情報から、水平方向の極大値を瞳孔径とすることができる。これにより、瞳孔径検出装置は、特殊な演算等を用いずに、水平方向の輪郭幅を比較するだけで瞳孔径を求めることができる。特に、この瞳孔径検出装置によれば、検出前眼球画像110と眼球画像100とを比較して瞳孔径を推定でき、患者Pごとの瞳孔変化の特性に合わせて瞳孔径を推測することができる。したがって、自然な状態で眼球画像100を取得し、眼瞼の下垂等による瞳孔径の欠けがあっても正確な瞳孔径を検出できる。
【0046】
つぎに、上述した瞳孔径検出装置において、眼球画像100において瞳孔部分100aが眼瞼によって欠けていても、欠けている部分を除いて、又は、当該眼球画像100を使用せずに正確に瞳孔径を検出する他の動作について説明する。
【0047】
この瞳孔径検出装置において、画像処理部4は、抽出された瞳孔部分100aを用いて、瞳孔輪郭部分に欠けが存在するかを判断する(輪郭判断手段)。そして、画像処理部4は、瞳孔輪郭部分の欠けた画像部分以外の画像部分を用いて極大値を検出する。
【0048】
具体的には、画像処理部4は、瞳孔部分100aを用いて、所定の長さの瞳孔輪郭部分ごとに曲率を算出する(曲率算出手段)。そして、画像処理部4は、算出された曲率が、他の瞳孔輪郭部分で算出された曲率とずれている場合に、当該曲率が算出された瞳孔輪郭部分が欠けていると判断する(曲率判断手段)。
【0049】
この瞳孔径検出装置は、図6(a)に示すように、瞳孔部分100aが眼瞼で欠ける部分が直線的で曲率が小さいことを利用して、瞳孔径の推測を行う。このため、画像処理部4は、図6(a)の矢印で示すように右回りに所定の瞳孔輪郭部分の長さごとに曲率を求める。図6(b)に示すように、眼瞼で欠けていない瞳孔輪郭部分では、高い曲率となるが、眼瞼で欠けている瞳孔輪郭部分では、曲率が低くなる。したがって、図6(a)のように画像位置P1から画像位置P2に亘って眼瞼によって瞳孔輪郭部分が欠けていると、図6(b)のように当該画像位置に対応する走査領域(P1〜P2)の曲率が所定の曲率Cthよりも低くなる。
【0050】
この瞳孔輪郭部分の曲率を利用した瞳孔径検出装置は、図7に示すように、ステップS1において眼球画像100を取得し、ステップS2にて眼球画像100から瞳孔部分100aを抽出する。
【0051】
次に、画像処理部4は、ステップS3aにおいて、所定の長さごとに瞳孔輪郭部分の曲率を求めるよう走査し、次のステップS11において、曲率が所定の曲率Cthよりも低い瞳孔輪郭部分を瞳孔部分100aの欠け部分として検出する。
【0052】
次に、画像処理部4は、ステップS11にて瞳孔部分100aの欠け部分として検出された瞳孔部分100aの輪郭を除いて、瞳孔部分100aを含む眼球画像100に対して水平ライン上における瞳孔輪郭の走査を行って、水平ラインごとの横径を計測する。その後、画像処理部4は、水平ライン位置の最大値が検出できた場合には、当該最大値から実際の瞳孔径を算出する。そして、画像処理部4は、瞳孔径を瞳孔径記録部5に記録する。
【0053】
ここで、瞳孔径の推定方法としては、円推定を行う代表的な方法(任意の弦の垂直二等分線の交点を中心とする、円の式に代入して最小2乗法を用いるなど)を用い、当該推定された瞳孔部分100aの輪郭から瞳孔径を推定する。また、患者Pの瞳孔形状を楕円形として算出したい場合には、真円推定ではなく、楕円の式に代入して最小二乗法を用いるなどの楕円形推定を行う。
【0054】
次に、瞳孔径検出装置は、ステップS8において、瞳孔径記録部5に記録された瞳孔径、を計測結果出力部6によって出力する。
【0055】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていても、当該欠けている輪郭を用いずに瞳孔径を求めることができ、自然な状態で眼瞼が瞳孔部分100aに重なる場合であっても、正確に瞳孔径を検出できる。
【0056】
なお、上述した説明では眼瞼で瞳孔部分100aが欠ける場合について説明したが、プルキニエ像(眼の中にできる赤外照明の反射像)によって瞳孔部分100aに欠けが生じた時にも応用しても良い。
【0057】
また、曲率を計算する瞳孔部分100aの輪郭の長さは、曲率計算当初は長くしておき、曲率が低い部分では段階的に短くして正確に欠けている部分を検出しても良い。これにより、処理量を抑制できる。
【0058】
更に、曲率を求める瞳孔部分100aの輪郭の範囲は、検査者が数値的に指定しても良く、眼球画像100を見ながら指定しても良い。このとき、明らかに欠けている瞳孔部分100aの輪郭に関しては、検査者が指定して曲率を求めずに対象外範囲として定めることもできる。
【0059】
また、瞳孔径検出装置は、予め用意しておいたテンプレート画像と瞳孔部分100aの輪郭とを比較して、瞳孔部分100aの欠けている部分を判断しても良い。
【0060】
例えば、情報処理装置10は、図8に示すような眼球画像100における瞳孔輪郭部分を表すテンプレート画像120を記憶しておく(テンプレート記憶手段)。そして、画像処理部4は、テンプレート画像120を回転させながら瞳孔輪郭部分とマッチングさせ、瞳孔輪郭部分ごとのマッチング率を算出する(マッチング手段)。このとき、画像処理部4は、例えば、テンプレート画像120を回転させて最も高いマッチング率を、瞳孔輪郭部分のマッチング率とする。そして、画像処理部4は、マッチング率が低い瞳孔輪郭部分が、瞳孔部分100aの欠けている部分であると判断する(マッチング率判断手段)。
【0061】
これにより、画像処理部4は、欠けている瞳孔部分100aの輪郭部分を除いて瞳孔径を求めることができる。
【0062】
この瞳孔径検出装置は、例えば図8(a)のように画像位置P1から画像位置P2に亘って眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていると、図8(b)のように走査領域がP1〜P2のマッチング率が所定のマッチング率Mthよりも低くなる。
【0063】
この瞳孔部分100aのマッチング率を利用した瞳孔径検出装置は、図9に示すように、ステップS1において眼球画像100を取得し、ステップS2にて眼球画像100から瞳孔部分100aを抽出する。
【0064】
次に、画像処理部4は、ステップS3bにおいて、所定の間隔ごとに瞳孔輪郭部分とテンプレート画像120とを比較してマッチングを行うよう走査する。次のステップS11において、画像処理部4は、マッチング率が所定のマッチング率Mthよりも低い瞳孔輪郭部分を瞳孔部分100aの欠け部分として検出する。以降は、上述した図7と同様である。
【0065】
なお、テンプレート画像120のサイズは、規定値であっても良く、計測毎に変更できても良い。また、テンプレート画像120は、開瞼させた状態で取得した検出前眼球画像110から取得しても良い。テンプレート画像120を検出前眼球画像110から取得した場合、各角度方向に応じてテンプレート画像120を変化させ、より精度を向上させることもできる。更に、計測時の眼球画像100で目尻と目頭とのラインなど、比較的欠けにくい部分を予めしてテンプレート画像120とすることができる。更に、眼球画像100のうち明らかに欠けている部分を検査者が手動で指定し、それ以外の部分を用いてテンプレート画像120としても良い。
【0066】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていても、当該欠けている輪郭を用いずに瞳孔径を求めることができ、自然な状態で眼瞼が瞳孔部分100aに重なる場合であっても、正確に瞳孔径を検出できる。
【0067】
更に、瞳孔径検出装置は、眼球画像100に対するエッジ検出結果に基づいて瞳孔部分100aの輪郭の欠けている部分を判断しても良い。
【0068】
この瞳孔径検出装置において、画像処理部4は、眼球画像100における縦方向の画素値変化量に基づいて瞳孔画像のエッジ部を検出する(エッジ検出手段)。次に、画像処理部4は、検出された複数のエッジ部の位置関係から瞳孔輪郭部分の欠けを判断する(エッジ判断手段)。
【0069】
具体的には、瞳孔部分100aが眼瞼で欠けていない場合、図10(a)に示すような眼球画像100が取得でき、画像処理部4は、当該眼球画像100に対して垂直方向にエッジ部が存在するか走査する。その結果、画像処理部4は、図10(b)に示すようなエッジ画像130を取得できる。このエッジ画像130には、エッジ群130a〜130dが含まれる。エッジ群130aは上瞼に起因して検出されたものである。エッジ群130dは下瞼に起因して検出されたものである。エッジ群130bは瞳孔部分100aの上部に起因して検出されたものである。エッジ群130cは瞳孔部分100aの下部に起因して検出されたものである。
【0070】
一方、眼瞼が下垂して瞳孔に重なって瞳孔が欠けている場合には、図11(a)に示すように、上瞼が瞳孔部分100aに重なって、瞳孔部分100aが欠けている。このような眼球画像100に対してエッジ部を検出すると、図11(b)に示すようなエッジ画像130が得られる。このエッジ画像130は、上瞼に起因して検出されたエッジ群130aと、下瞼に起因して検出されたエッジ群130dと、瞳孔部分100aの下部に起因して検出されたエッジ群130cとが含まれる。このように、上瞼が下垂して瞳孔部分100aが欠けた場合には、瞳孔部分100aの上部に起因したエッジ群130bが検出されない。
【0071】
したがって、画像処理部4は、複数のエッジ部の位置関係から、瞳孔部分100aが欠けていることを判断できる。また、画像処理部4は、エッジ部の数から、瞳孔部分100aが欠けていることを判断しても良く、エッジ部の長さから瞳孔部分100aが欠けていることを判断しても良い。
【0072】
以上のように、この瞳孔径検出装置によれば、眼瞼によって瞳孔部分100aが欠けていても、当該欠けている輪郭を用いずに瞳孔径を求めることができ、自然な状態で眼瞼が瞳孔部分100aに重なる場合であっても、正確に瞳孔径を検出できる。
【0073】
なお、画像処理部4は、縦方向のエッジだけでは瞳孔部分100aの欠けを抽出しにくい場合、眼球画像100における目尻及び目頭の位置を参照して、エッジ部が近接していて一筆書きにできる部分を上瞼及び下瞼としても良い。また、画像処理部4は、縦方向のエッジだけでは瞳孔部分100aの欠けを抽出しにくい場合、縦方向から少しだけ傾けた方向に走査してエッジを検出しても良い。この傾ける角度は、予め定義したものでも計測を行いながら自由に変化させてもよい。
【0074】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
1 眼球照明部
2 最小
2 眼球撮像部
3 眼球画像取得部
4 画像処理部
5 瞳孔径記録部
6 計測結果出力部
10 情報処理装置
100 眼球画像
100a 瞳孔部分
110 検出前眼球画像
120 テンプレート画像
130 エッジ画像
130a〜130d エッジ群
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼球を撮影する眼球撮像手段と、
眼球に向けて光を発する眼球照明手段と、
前記眼球撮像手段により撮像された眼球画像から瞳孔部分を抽出する瞳孔抽出手段と、
前記瞳孔抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像領域を水平方向に走査した情報をライン毎に記録し、極大値を検出する瞳孔径検出手段と、
前記瞳孔径を検出する前に開瞼した状態で撮像した検出前眼球画像と、前記瞳孔径を検出するために前記眼球撮像手段により撮像された検出用眼球画像とを比較する画像比較手段と、
前記瞳孔径検出手段により検出された瞳孔径を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする瞳孔径検出装置。
【請求項2】
前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、瞳孔輪郭部分に欠けが存在するかを判断する輪郭判断手段を有し、
前記瞳孔径検出手段は、前記輪郭判断手段により判断された瞳孔輪郭部分の欠けた画像部分以外の画像部分を用いて前記極大値を検出すること
を特徴とする請求項1に記載の瞳孔径検出装置。
【請求項3】
前記輪郭判断手段は、
前記瞳孔抽出部により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、所定の長さの瞳孔輪郭部分ごとに曲率を算出する曲率算出手段と、
前記曲率算出手段により算出された曲率が、他の曲率とずれている場合に、当該曲率が算出された瞳孔輪郭部分が欠けていると判断する曲率判断手段と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の瞳孔径検出装置。
【請求項4】
前記輪郭判断手段は、
瞳孔の輪郭部分を表すテンプレート画像を記憶するテンプレート記憶手段と、
前記テンプレート記憶手段に記憶されたテンプレート画像を回転させて、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における瞳孔輪郭部分とを比較して、瞳孔輪郭部分ごとのマッチング率を算出するマッチング手段と、
前記マッチング手段により算出されたマッチング率が低い瞳孔輪郭部分が欠けていると判断するマッチング率判断手段と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の瞳孔径検出装置。
【請求項5】
前記輪郭判断手段は、
前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における縦方向の画素値変化量に基づいて瞳孔を含む画像のエッジ部を検出するエッジ検出手段と、
前記エッジ検出手段により検出された複数のエッジ部の位置関係から瞳孔輪郭部分の欠けを判断するエッジ判断手段と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の瞳孔径検出装置。
【請求項1】
患者の眼球を撮影する眼球撮像手段と、
眼球に向けて光を発する眼球照明手段と、
前記眼球撮像手段により撮像された眼球画像から瞳孔部分を抽出する瞳孔抽出手段と、
前記瞳孔抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像領域を水平方向に走査した情報をライン毎に記録し、極大値を検出する瞳孔径検出手段と、
前記瞳孔径を検出する前に開瞼した状態で撮像した検出前眼球画像と、前記瞳孔径を検出するために前記眼球撮像手段により撮像された検出用眼球画像とを比較する画像比較手段と、
前記瞳孔径検出手段により検出された瞳孔径を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする瞳孔径検出装置。
【請求項2】
前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、瞳孔輪郭部分に欠けが存在するかを判断する輪郭判断手段を有し、
前記瞳孔径検出手段は、前記輪郭判断手段により判断された瞳孔輪郭部分の欠けた画像部分以外の画像部分を用いて前記極大値を検出すること
を特徴とする請求項1に記載の瞳孔径検出装置。
【請求項3】
前記輪郭判断手段は、
前記瞳孔抽出部により抽出された瞳孔を含む画像を用いて、所定の長さの瞳孔輪郭部分ごとに曲率を算出する曲率算出手段と、
前記曲率算出手段により算出された曲率が、他の曲率とずれている場合に、当該曲率が算出された瞳孔輪郭部分が欠けていると判断する曲率判断手段と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の瞳孔径検出装置。
【請求項4】
前記輪郭判断手段は、
瞳孔の輪郭部分を表すテンプレート画像を記憶するテンプレート記憶手段と、
前記テンプレート記憶手段に記憶されたテンプレート画像を回転させて、前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における瞳孔輪郭部分とを比較して、瞳孔輪郭部分ごとのマッチング率を算出するマッチング手段と、
前記マッチング手段により算出されたマッチング率が低い瞳孔輪郭部分が欠けていると判断するマッチング率判断手段と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の瞳孔径検出装置。
【請求項5】
前記輪郭判断手段は、
前記瞳孔径抽出手段により抽出された瞳孔を含む画像における縦方向の画素値変化量に基づいて瞳孔を含む画像のエッジ部を検出するエッジ検出手段と、
前記エッジ検出手段により検出された複数のエッジ部の位置関係から瞳孔輪郭部分の欠けを判断するエッジ判断手段と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の瞳孔径検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−196364(P2012−196364A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63570(P2011−63570)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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