説明

石炭バンカ

【課題】ゲート開放時に石炭が落下しない状況をなくして、微粉炭機に安定的に石炭を供給することを可能とした石炭バンカを提供する。
【解決手段】この石炭バンカ50は、石炭塊(以下、単に石炭と呼ぶ)1を貯蔵すると共に石炭1を排出する排出口3aを有したバンカ本体3と、バンカ本体3内に水を注入する注水管4と注水弁5を備えた注水手段51と、バンカ本体3に衝撃を加える槌打手段52と、バンカ本体3内に貯蔵された石炭1を微粉炭機14に供給するために排出口3aを開閉する石炭ゲート8と、石炭ゲート8開放時に石炭1が落下しているか否かを検出する透過型センサ(落下検出手段)9と、透過型センサ9の検出結果に基づいて注水手段51、槌打手段52及び石炭ゲート8を制御する制御装置(制御手段)20と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭バンカに関し、さらに詳しくは、石炭塊を貯蔵すると共に石炭塊を排出する排出口を有したバンカ本体の排出口近傍で石炭塊が固化することを防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電所に備えられている発電機には、LNGを燃料としてガスタービンを駆動するタイプと、LNGをボイラで燃焼させて蒸気タービンを駆動するタイプと、石炭を微粉炭にして燃焼させ、ボイラにより高圧蒸気を発生して蒸気タービンを駆動するタイプがある。特に、石炭を燃料とするものは、石炭塊を微粉炭機により粉砕して微粉炭を生成し、その微粉炭をボイラに供給して燃焼することにより高圧蒸気を生成しているため、稼動時には微粉炭機に石炭塊を安定して供給する必要がある。そのため、多くの場合、貯炭場から運ばれた石炭を一旦バンカと呼ばれる貯蔵容器に貯蔵し、必要なときに所定量バンカから取り出して微粉炭機に供給している。
従来技術として特許文献1には、中空の本体上部と、該本体上部の下方に連続して截頭逆円錐形をなす中空の本体下部と、該本体下部に接続されて下方へ延びる円筒状のバンカシュートとからなる石炭バンカにおいて、本体下部の軸心に対してバンカシュートの軸心が水平方向へ偏るようにバンカシュートを本体下部に接続する石炭バンカについて開示されている。
【特許文献1】特開平10−203587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、バンカに貯蔵された石炭が長期間貯蔵される場合には、石炭の重量と外的環境によりバンカ底部にある石炭ほど乾燥固化する虞がある。しかも、石炭を取り出す場合は、バンカの底部排出口からコールゲートと呼ばれる開閉自在なゲートを開放して取り出すようになっている。しかし、排出口近傍で石炭が固化すると排出不能な状態に陥って微粉炭機に供給されなくなり、安定的な石炭の供給が阻害されるといった問題がある。
また、石炭が微粉炭機に供給されなくなると、微粉炭機が無負荷運転となり、石炭塊をすり潰すミルボール同士が接触してミルボールを損傷するといった問題も発生する。
また、石炭の固化が発生した場合は、人力により大きなハンマー等でバンカの外壁を打撃して衝撃を与えて固化を解消する方法も行なわれていたが、ハンマーの重量が重く重労働であるばかりでなく、危険を伴うものであった。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、バンカ内部の構造に関する発明であり、ゲートを閉じて長期間貯蔵した場合、石炭が固化するといった課題は解決されていない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、バンカ内の石炭の固化を解消するために注水手段と槌打手段とを備え、状況に応じてこれらの手段を単独に或いは組み合わせることにより、ゲート開放時に石炭が落下しない状況をなくして、微粉炭機に安定的に石炭を供給することを可能とした石炭バンカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、石炭塊を粉砕して微粉炭を生成する微粉炭機に前記石炭塊を供給する石炭バンカであって、前記石炭塊を貯蔵すると共に石炭塊を排出する排出口を有したバンカ本体と、前記バンカ本体内に水を注入する注水手段と、前記バンカ本体に衝撃を加える槌打手段と、前記バンカ本体内に貯蔵された石炭塊を前記微粉炭機に供給するために前記排出口を開閉する石炭ゲートと、該石炭ゲート開放時に前記排出口から前記石炭塊が落下しているか否かを検出する落下検出手段と、前記落下検出手段の検出結果に基づいて前記注水手段、前記槌打手段及び前記石炭ゲートを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
石炭は長期間一定の圧力を加えられると各石炭塊同士が密着して固化することがある。このような状態で石炭ゲートを開放しても、上からの圧力だけでは固化は解消されない。そこで本発明では、バンカ本体に外部から衝撃を与えて各石炭塊同士の密着度合いを解消し、更に水を注入することにより促進するものである。また、衝撃と注水をどのように使い分けるかを判断するために、石炭ゲートを開放したときに石炭がバンカ本体から落下しているか否かを検出する手段を備えるものである。そしてこれらの制御は制御手段により制御される。これにより、石炭ゲートが開放すると自動的に最適な手段で石炭の固化を解消することができる。
【0005】
請求項2は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入するように前記注水手段を制御することを特徴とする。
比較的短期間の貯蔵の場合、石炭ゲートを開放した後、水を注入するだけで固化が解消される場合がある。本発明は石炭ゲートを開放した後、所定の時間に亘ってバンカ本体内に水を注入するようにしたものである。これにより、簡易な方法により石炭の固化を解消することができる。
【0006】
請求項3は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする。
バンカ本体内に水を注入しただけでは石炭の固化を解消できない場合がある。そのような時は、外部から衝撃を加えることにより固化が解消される可能性がある。本発明は石炭ゲートを開放した後、所定の時間に亘ってバンカ本体内に水を注入すると共に、バンカ本体に衝撃を加えるようにしたものである。これにより、より確実に石炭の固化を解消することができる。
【0007】
請求項4は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入したにも拘わらず前記落下検出手段が前記石炭塊の落下を検出しない場合、新たに注水時間を設定して前記バンカ本体内に水を注入するように前記注水手段を制御することを特徴とする。
バンカ本体内に所定の時間水を注入しても、固化の具合と注入する時間により石炭の固化が解消されない場合がある。そこで本発明では、そのような場合は更に時間を延長して注水するものである。これにより、注水のみで石炭の固化を解消する可能性を大きくすることができる。
【0008】
請求項5は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入した結果、前記落下検出手段により石炭塊の落下を検出し、前記所定の時間に亘って当該状態が継続した場合、前記注水を停止するように前記注水手段を制御することを特徴とする。
石炭塊を粉砕して微粉炭にする微粉炭機は、できるだけ石炭塊に水分が少ないほうが好ましい。そこで本発明では、注水後に落下検出手段により石炭塊の落下が継続していることを検出した場合は、直ちに注水を停止するものである。これにより、可能な限り石炭塊に水分の含有量を少なくすることができる。
【0009】
請求項6は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えたにも拘わらず前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出しない場合、新たに注水時間を設定して前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする。
バンカ本体内に所定の時間水を注入し、且つ衝撃を加えても、固化の具合により石炭の固化が解消されない場合がある。そこで本発明では、そのような場合は更に時間を延長して注水すると共に、再度バンカに衝撃を加えるものである。これにより、より確実に石炭の固化を解消する可能性を大きくすることができる。
【0010】
請求項7は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えた結果、前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出し、前記所定の時間に亘って当該状態が継続した場合、前記注水を停止すると共に前記バンカ本体の衝撃を停止するように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする。
石炭塊を粉砕して微粉炭にする微粉炭機は、できるだけ石炭塊に水分が少ないほうが好ましく、また、バンカ本体の損傷を少なくする意味でもバンカ本体に加える衝撃の回数は少ないほうが好ましい。そこで本発明では、注水後に落下検出手段により石炭塊の落下が継続していることを検出した場合は、直ちに注水を停止すると共に、バンカ本体への衝撃を停止するものである。これにより、可能な限り石炭塊に水分の含有量を少なくすると共に、バンカ本体の衝撃回数を減らすことができる。
【0011】
請求項8は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記落下検出手段により石炭塊の落下を検出できないとき、前記槌打手段により所定時間に亘って前記バンカ本体に衝撃を加え、該衝撃にも拘わらず前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出しない場合、前記バンカ本体内に水を注入するように前記注水手段を制御することを特徴とする。
バンカ本体に注水を行なわずにバンカ本体に衝撃のみを加えて石炭の固化を解消できる可能性もある。しかし、固化が長期間継続すると石炭塊同士が密着して衝撃だけでは固化が解消されない場合がある。そのようなときは、別の手段としてバンカ本体内に水を注入して密着性を弱めることが必要である。そこで本発明では、衝撃にも拘わらず石炭塊が落下しない場合、バンカ本体内に水を注入するものである。これにより、衝撃の効果を高めて石炭の固化を解消し易くすることができる。
【0012】
請求項9は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記落下検出手段により石炭塊の落下を検出できないとき、前記注水手段により所定時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入し、該注入にも拘わらず前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出しない場合、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記槌打手段を制御することを特徴とする。
バンカ本体に注水を行なうのみで石炭の固化を解消できる可能性もある。しかし、固化が長期間継続すると圧力により石炭塊同士が密着して注水だけでは固化が解消されない場合がある。そのようなときは、別の手段としてバンカ本体内に衝撃を加えて密着の弱い部分を破壊する必要である。そこで本発明では、注水にも拘わらず石炭塊が落下しない場合、バンカ本体に衝撃を加えるものである。これにより、注水だけでは解消しない石炭の固化を機械的な振動を加えることにより解消し易くすることができる。
【0013】
請求項10は、前記落下検出手段は、光透過センサにより構成されることを特徴とする。
石炭ゲートを開放すると、自重により石炭が落下する構造の場合、石炭が通過する通路に透過型の光センサを備えておくことにより、石炭が落下することにより光を遮ったことを光センサが検出することができる。これにより、石炭の落下の有無を自動的に検出することができる。
【0014】
請求項11は、前記制御手段は、前記石炭ゲートを閉鎖した状態で、所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする。
石炭ゲートがいつ開放されても石炭を落下させるためには、石炭ゲートが閉鎖されているときに予めバンカ本体内に注水したり、バンカ本体に衝撃を加えておいて、石炭が固化しないようにすることが重要である。これにより、石炭ゲート開放時の石炭固化を事前に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、石炭塊を粉砕して微粉炭を生成する微粉炭機に石炭塊を供給する石炭バンカであって、石炭塊を貯蔵すると共に石炭塊を排出する排出口を有したバンカ本体と、バンカ本体内に水を注入する注水手段と、バンカ本体に衝撃を加える槌打手段と、バンカ本体内に貯蔵された石炭塊を微粉炭機に供給するために排出口を開閉する石炭ゲートと、石炭ゲート開放時に石炭塊が落下しているか否かを検出する落下検出手段と、落下検出手段の検出結果に基づいて注水手段、槌打手段及び石炭ゲートを制御する制御手段と、を備え、石炭ゲートを開放した後、所定の時間に亘ってバンカ本体内に水を注入すると共に、バンカ本体に衝撃を加えるように注水手段及び槌打手段を制御するので、より確実に石炭の固化を解消することができ、微粉炭機の無負荷状態を事前に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の石炭バンカを備えた火力発電システムの模式図である。この火力発電システム100は、貯炭場10に貯炭された石炭1をベルトコンベア2により搬送して石炭バンカ50に貯蔵し、必要時に石炭ゲート8を開放して給炭機11に積載する。給炭機11は例えば、ベルトコンベアのようにベルトが移動して、そのベルト上に積載された石炭を微粉炭機14の給炭管12に供給する。微粉炭機14はモータ16により減速機19を介してミルボールを回転して石炭をすりつぶして微粉炭とし、送風機15の風で燃料管13を介してバーナ17に送られる。ボイラ18はバーナ17により燃焼された微粉炭の火力により高圧蒸気を発生して図示しない発電機のタービンを回転する。以上が全体の概略説明であるが、本発明の主旨は石炭バンカ50にあるので、それ以外の微粉炭機14、及びボイラ18の詳しい説明は省略する。
【0017】
次に本発明の石炭バンカ50の構成について詳細に説明する。この石炭バンカ50は、石炭塊(以下、単に石炭と呼ぶ)1を貯蔵すると共に石炭1を排出する排出口3aを有したバンカ本体3と、バンカ本体3内に水を注入する注水管4と注水弁5を備えた注水手段51と、バンカ本体3に衝撃を加える槌打手段52と、バンカ本体3内に貯蔵された石炭1を微粉炭機14に供給するために排出口3aを開閉する石炭ゲート8と、石炭ゲート8開放時に石炭1が落下しているか否かを検出する透過型センサ(落下検出手段)9と、透過型センサ9の検出結果に基づいて注水手段51、槌打手段52及び石炭ゲート8を制御する制御装置(制御手段)20と、を備えて構成されている。尚、槌打手段52は例えば、断続圧縮空気7をピストン10に供給してバンカ本体3の外壁に衝撃を加える方法がある。このとき、衝撃を加える範囲は、石炭バンカ50の比較的底部で石炭ゲート8の近傍(6の領域)が効果的である。
【0018】
即ち、石炭1は長期間一定の圧力を加えられると各石炭同士が密着して固化することがある。このような状態で石炭ゲート8を開放しても、上からの圧力だけでは固化は解消されない場合がある。そこで本実施形態では、バンカ本体3に外部から衝撃を与えて各石炭同士の密着度合いを解消し、更に水を注入することにより解消の度合いを促進するものである。また、衝撃と注水をどのように使い分けるかを判断するために、石炭ゲート8を開放したときに石炭1がバンカ本体3から落下しているか否かを検出する透過型センサ9を備えるものである。そしてこれらの制御は制御装置20により制御される。これにより、石炭ゲート8が開放すると自動的に最適な手段で石炭の固化を解消することができる。
【0019】
図2は注水手段51の注水弁5を所定時間(t)開放させる回路の一例を示す図である。この回路は、接点cが矢印の方向に閉じると動作するリレーAと、リレーAの接点a1により所定時間(t)動作するタイマリレーBと、リレーAの接点a2により動作してタイマリレーBの接点bが矢印の方向に閉じることにより動作するリレーSと、を備えて構成されている。次にこの回路の動作について説明する。制御装置20により石炭ゲート8を開放すると、接点cが矢印の方向に閉じてリレーAを動作させる。それにより、接点a1、a2が閉じてタイマリレーBとリレーSが動作する。リレーSが動作すると、注水手段51の注水弁5が開放されて注水管4からバンカ本体3内に水が注入される。その後、時間(t)が経過するとタイマリレーBが不動作となり、接点bが開放されてリレーSが不動作となって注水手段51の注水弁5が閉鎖されて注水管4からバンカ本体3内に水が注入されなくなる。その後、制御装置20により石炭ゲート8が閉鎖されると、接点cが開放されてリレーAが不動作となり、接点a1、a2が開放されて初期状態に戻る。尚、タイマリレーBが一旦不動作となると、設定時間(t)は再度設定し直される。また、以下の実施形態の説明では、注水弁5の開閉動作は、この回路により動作するものとする。
【0020】
図3は本発明の第1の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフローチャートである。制御装置20は、石炭ゲート8を開放すると(S1でYES)、注水弁5を開放してバンカ本体3内に注水を開始する(S2)。そして所定時間が経過すると(S3でYES)、注水弁5を閉鎖して注水を停止する(S4)。
即ち、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入するように注水手段51を制御するものであり、比較的短期間の貯蔵の場合、石炭ゲート8を開放した後、水を注入するだけで固化が解消される場合がある。本実施形態は石炭ゲート8を開放した後、所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入するようにしたものである。これにより、簡易な方法により石炭の固化を解消することができる。
【0021】
図4は本発明の第2の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフローチャートである。制御装置20は、石炭ゲート8を開放すると(S10でYES)、注水弁5を開放してバンカ本体3内に注水を開始すると共に(S11)、槌打手段52によりバンカ本体3に衝撃を加える(S12)。そして所定時間が経過すると(S13でYES)、注水弁5を閉鎖して注水を停止すると共に(S14)、槌打手段52を停止する(S15)。
即ち、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入すると共に、バンカ本体3に衝撃を加えるように注水手段51及び槌打手段52を制御するものであり、バンカ本体3内に水を注入しただけでは石炭の固化を解消できない場合がある。そのような時は、外部から衝撃を加えることにより固化が解消される可能性がある。本実施形態は石炭ゲート8を開放した後、所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入すると共に、バンカ本体3に衝撃を加えるようにしたものである。これにより、より確実に石炭の固化を解消することができる。
【0022】
図5は本発明の第3の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフローチャートである。制御装置20は、石炭ゲート8を開放すると(S20でYES)、注水弁5を開放してバンカ本体3内に注水を開始すると共に(S21)、槌打手段52によりバンカ本体3に衝撃を加える(S22)。そして、透過型センサ9により石炭が給炭機11に落下しているかを確認し(S23)、落下していなければ(S23でNO)、所定時間が経過していなければ(S24でNO)、ステップS20に戻って繰り返し、所定時間が経過していれば(S24でYES)注水時間を再セットして(S25)ステップS20に戻って繰り返す。一方ステップS23で石炭が給炭機11に落下していれば(S23でYES)、注水時間が終了したかを確認して(S26)、終了していれば(S26でYES)注水弁5を閉鎖して注水を停止すると共に(S27)、槌打手段52を停止する(S28)。
【0023】
即ち、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、注水手段51により所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入すると共に、バンカ本体3に衝撃を加えたにも拘わらず透過型センサ9が石炭の落下を検出しない場合、新たに注水時間を設定してバンカ本体3内に水を注入すると共に、バンカ本体3に衝撃を加えるように注水手段51及び槌打手段52を制御するものであり、バンカ本体3内に所定の時間水を注入し、且つ衝撃を加えても、固化の具合により石炭の固化が解消されない場合がある。そこで本実施形態では、そのような場合は更に時間を延長して注水すると共に、再度バンカ本体3に衝撃を加えるものである。これにより、より確実に石炭の固化を解消する可能性を大きくすることができる。
【0024】
また、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、注水手段51により所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入すると共に、バンカ本体3に衝撃を加えた結果、透過型センサ9が石炭塊1の落下を検出し、所定の時間に亘って当該状態が継続した場合、注水を停止すると共にバンカ本体3の衝撃を停止するように注水手段51及び槌打手段52を制御するものであり、石炭を粉砕して微粉炭にする微粉炭機14は、できるだけ石炭に水分が少ないほうが好ましく、また、バンカ本体3を維持する意味でもバンカ本体3に加える衝撃の回数は少ないほうが好ましい。そこで本実施形態では、注水後に透過型センサ9により石炭の落下が継続していることを検出した場合は、直ちに注水を停止すると共に、バンカ本体3への衝撃を停止するものである。これにより、可能な限り石炭に水分の含有量を少なくすると共に、バンカ本体3の衝撃回数を減らすことができる。
【0025】
また、第3実施形態では注水手段51と槌打手段52を併用しているが、第4の実施形態として注水手段51のみでも構わない。即ち、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、注水手段51により所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入したにも拘わらず透過型センサ9が石炭の落下を検出しない場合、新たに注水時間を設定してバンカ本体3内に水を注入するように注水手段51を制御するものであり、バンカ本体3内に所定の時間水を注入しても、固化の具合と注入する時間により石炭の固化が解消されない場合がある。そこで本実施形態では、そのような場合は更に時間を延長して注水するものである。これにより、注水のみで石炭の固化を解消する可能性を大きくすることができる。
また、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、注水手段51により所定の時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入した結果、透過型センサ9により石炭の落下を検出し、所定の時間に亘って当該状態が継続した場合、注水を停止するように注水手段51を制御するものであり、石炭を粉砕して微粉炭にする微粉炭機14は、できるだけ石炭に水分が少ないほうが好ましい。そこで本実施形態では、注水後に透過型センサ9により石炭の落下が継続していることを検出した場合は、直ちに注水を停止するものである。これにより、可能な限り石炭塊に水分の含有量を少なくすることができる。
【0026】
図6は本発明の第5の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフローチャートである。制御装置20は、石炭ゲート8を開放すると(S30でYES)、透過型センサ9により石炭が給炭機11に落下しているかを確認し(S31)、落下していなければ(S31でNO)、槌打手段52によりバンカ本体3に衝撃を加える(S32)。そして所定時間が経過していなければ(S33でNO)、ステップS32に戻って繰り返し、所定時間が経過していれば(S33でYES)再び透過型センサ9により石炭が給炭機11に落下しているかを確認し(S34)、石炭が給炭機11に落下していれば(S34でYES)、ステップS30に戻って繰り返し、落下していなければ(S34でNO)、注水弁5を開放してバンカ本体3内に注水を開始する(S35)。一方、ステップS31で石炭が給炭機11に落下していれば(S31でYES)、槌打手段52を停止すると共に(S36)注水弁5を閉鎖して注水を停止する(S37)。
【0027】
即ち、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、光透過センサ9により石炭の落下を検出できないとき、槌打手段52により所定時間に亘ってバンカ本体3に衝撃を加え、衝撃にも拘わらず光透過センサ9が石炭の落下を検出しない場合、バンカ本体3内に水を注入するように注水手段51を制御するものであり、バンカ本体3に注水を行なわずにバンカ本体3に衝撃のみを加えて石炭の固化を解消できる可能性もある。しかし、固化が長期間継続すると石炭同士が密着して衝撃だけでは固化が解消されない場合がある。そのようなときは、別の手段としてバンカ本体3内に水を注入して密着性を弱めることが必要である。そこで本実施形態では、衝撃にも拘わらず石炭が落下しない場合、バンカ本体3内に水を注入するものである。これにより、衝撃の効果を高めて石炭の固化を解消し易くすることができる。
【0028】
また、制御装置20は、石炭ゲート8を開放した後、光透過センサ9により石炭の落下を検出できないとき、注水手段51により所定時間に亘ってバンカ本体3内に水を注入し、この注入にも拘わらず光透過センサ9が石炭の落下を検出しない場合、バンカ本体3に衝撃を加えるように槌打手段52を制御するものであり、バンカ本体3に注水を行なうのみで石炭の固化を解消できる可能性もある。しかし、固化が長期間継続すると圧力により石炭同士が密着して注水だけでは固化が解消されない場合がある。そのようなときは、別の手段としてバンカ本体内に衝撃を加えて密着の弱い部分を破壊する必要がある。そこで本実施形態では、注水にも拘わらず石炭が落下しない場合、バンカ本体3に衝撃を加えるものである。これにより、注水だけでは解消しない石炭の固化を機械的な振動を加えることにより解消し易くすることができる。
【0029】
図7は本発明の第6の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフローチャートである。制御装置20は、石炭ゲート8を開放すると(S40でYES)、注水弁5を開放してバンカ本体3内に注水を開始すると共に(S41)、槌打手段52によりバンカ本体3に衝撃を加える(S42)。そして所定時間が経過していなければ(S43でNO)、ステップS40に戻って繰り返し、所定時間が経過していれば(S43でYES)、注水弁5を閉鎖して注水を停止すると共に(S44)、槌打手段52を停止し(S45)、透過型センサ9により石炭が給炭機11に落下しているかを確認し(S46)、落下していなければ(S46でNO)、注水時間を再セットして(S47)ステップS40に戻って繰り返す。一方、ステップS46で石炭が給炭機11に落下していれば(S46でYES)、終了する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の石炭バンカを備えた火力発電システムの模式図。
【図2】給水手段の注水弁を所定時間(t)開放させる回路の一例を示す図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフロー図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフロー図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフロー図。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフロー図。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る石炭ゲートの動作を説明するフロー図。
【符号の説明】
【0031】
1 石炭、2 ベルトコンベア、3 バンカ本体、4 注水管、5 注水弁、6 槌打領域、7 圧縮空気、8 石炭ゲート、9 光透過型センサ、10 貯炭場、11 給炭機、12 給炭管、13 燃料管、14 微粉炭機、15 送風機、16 モータ、17 バーナ、18 ボイラ、19 減速機、20 制御装置、50 石炭バンカ、51 注水手段、52 槌打手段、100 火力発電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭塊を粉砕して微粉炭を生成する微粉炭機に前記石炭塊を供給する石炭バンカであって、
前記石炭塊を貯蔵すると共に石炭塊を排出する排出口を有したバンカ本体と、前記バンカ本体内に水を注入する注水手段と、前記バンカ本体に衝撃を加える槌打手段と、前記バンカ本体内に貯蔵された石炭塊を前記微粉炭機に供給するために前記排出口を開閉する石炭ゲートと、該石炭ゲート開放時に前記排出口から前記石炭塊が落下しているか否かを検出する落下検出手段と、前記落下検出手段の検出結果に基づいて前記注水手段、前記槌打手段及び前記石炭ゲートを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする石炭バンカ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入するように前記注水手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の石炭バンカ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の石炭バンカ。
【請求項4】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入したにも拘わらず前記落下検出手段が前記石炭塊の落下を検出しない場合、新たに注水時間を設定して前記バンカ本体内に水を注入するように前記注水手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の石炭バンカ。
【請求項5】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入した結果、前記落下検出手段により石炭塊の落下を検出し、前記所定の時間に亘って当該状態が継続した場合、前記注水を停止するように前記注水手段を制御することを特徴とする請求項1、2又は4に記載の石炭バンカ。
【請求項6】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えたにも拘わらず前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出しない場合、新たに注水時間を設定して前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする請求項1又は3に記載の石炭バンカ。
【請求項7】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記注水手段により所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えた結果、前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出し、前記所定の時間に亘って当該状態が継続した場合、前記注水を停止すると共に前記バンカ本体の衝撃を停止するように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする請求項1、2又は5に記載の石炭バンカ。
【請求項8】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記落下検出手段により石炭塊の落下を検出できないとき、前記槌打手段により所定時間に亘って前記バンカ本体に衝撃を加え、該衝撃にも拘わらず前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出しない場合、前記バンカ本体内に水を注入するように前記注水手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の石炭バンカ。
【請求項9】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを開放した後、前記落下検出手段により石炭塊の落下を検出できないとき、前記注水手段により所定時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入し、該注入にも拘わらず前記落下検出手段が石炭塊の落下を検出しない場合、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記槌打手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の石炭バンカ。
【請求項10】
前記落下検出手段は、光透過センサにより構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の石炭バンカ。
【請求項11】
前記制御手段は、前記石炭ゲートを閉鎖した状態で、所定の時間に亘って前記バンカ本体内に水を注入すると共に、前記バンカ本体に衝撃を加えるように前記注水手段及び前記槌打手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の石炭バンカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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