説明

砂泥の固定式吸引搬送除去装置

【課題】ダム湖等の大規模な貯水池に堆積する砂泥を、長期に渡る運用期間中、定期的に適切な保守管理を行いながら、安定した排砂性能を維持する事が可能な固定式吸引搬送装置を提供する。
【解決手段】排砂管に振動と揺動運動を加えるアクチュエータ16を取り付け、固定式排砂管の閉塞やシヨートカットなどの諸問題を解決する。さらに水中には駆動装置を設けないので圧力配管の必要も無く、設置の際も保守管理の場合も作業が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は砂泥を吸引搬送除去する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダム湖を含めた大規模な貯水池に於いて、水底に堆積する砂泥を吸引搬送除去する固定式排砂管としてハイドロパイプとマルチホールサクション排砂管が知られている。構造的には両者とも管下面に複数の吸入口を軸方向に設け、水位差による水の移動を利用し排砂を行っている。これらの装置は構造が簡単な事と、排砂に要するエネルギーを基本的には必要としない等、経済的に優れていると考えられている。
【特許文献1】特開2002−294677号公報
【特許文献2】特開2005−2609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ハイドロパイプは繰返しの使用で常に安定した動作を再現できる技術なのか疑問が残る。さらに、両技術とも管内と吸入口付近の閉塞に対して明確な対策が確立されているとは言えない。また,マルチホールサクション排砂管では吸入口開閉装置を排砂管の真下に設けているため、長期間の運用での開閉装置の取替え工事などを含めた保守点検作業に問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ダム湖などの大規模貯水池での堆砂対策は、浚渫搬送された砂泥を集積地に置き、条件が整った時点で排砂を行う事が考えられている。本発明は集積と排砂の機能に関する装置と構造物である。
【0005】
本発明は排砂管を直管とする事で、管に回転運動を加える駆動装置を取り付ける事が可能となり、管全体に振動と揺動運動を起こすことが出来る。
【発明の効果】
【0006】
この駆動装置により固定式排砂管の問題点であった閉塞とショートカットなどを解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の全体外略図を図1に示す。本装置は、導水部A、集積と砂泥の吸引部B、駆動部C、バルブを含む固定部Dの4箇所から構成される。
【0008】
多量の砂泥を堆積し、自然流下を促す事の出来る船底形貯砂槽1を構造物2で固定する。立抗3には駆動装置と排砂用バルブを取り付けた固定管を設置し、貯槽4に排砂する、さらに搬送管5にて湖外に排出される。船底形貯砂槽を図2に示す。
【0009】
装置上端部の構造を図3に示す。集砂時に砂泥が排砂管6になるべく侵入させないため、管端はプレート7で塞ぎ導水口8は下側に設ける。
【0010】
軸受け箱9に軸受け10を設け揺動運動の上部の受けとする。
【0011】
貯砂槽内のスリット状の吸入口12を有する排砂管11の状態を図4に示す。
【0012】
貯砂槽の底部には排砂管11を受ける受け台13を設ける。
【0013】
立抗のコンクリート壁に埋め込まれたプレートにフランジ14を取り付け、Oリング18、パッキン19、ダストシ−ル20、ウェアリング21を装着したパッキンスリーブ15を組み付ける。
【0014】
振動と揺動運動を付与するアクチュエータ16を排砂管の延長管に取り付ける。
【0015】
軸受け箱9に軸受け10を組み込み排砂管下部で支持する。
【0016】
排砂管固定部と揺動部の接続はZ部詳細に示すように、パッキン19、ダストシール20、ウェアリング21を装着した管により行なわれる。
【0017】
図6に示すように、吐出口23を有する固定部の排砂管24には、排砂操作用のバルブ22が取り付けられる。
【実施例1】
【0018】
排砂作業の開始は、バルブ22を開けアクチュエータ16の運転を開始する。
【0019】
運転開始初期では、集砂堆積した砂泥が排砂管周囲を圧密固化していると考えられるため、すぐに排砂は行なわれないが、アクチュエータの繰返し動作により発生する振動で徐々に緩みだし、排砂が開始される。
【0020】
排砂が始まると管の自由度は増し、やがて揺動運動となる。
【0021】
揺動が始まるとスリットのエッジが掘削の作用をするため加速度的に排砂は進む。
【0022】
仮に排砂動作中、雪崩現象による閉塞、ショートカットが発生しても、この動作を繰り返す事により、排砂は再開される。
【実施例2】
【0023】
排砂処理量を増すため、本装置を複数台設置した状態を図7に示す。隣り合う貯砂槽に屋根型のプレート25を付ける事で、連続した集砂エリアを構築できる。
【実施例3】
【0024】
本装置は開閉装置を必要としないマルチホールサクション排砂管にも適用でき、その形態を図8に示す。
【0025】
排砂管内への不要な土砂の流入を避けるため導水口26は下向きに設置する。導水口部Eとバルブを含む吐出口部Hを固定し、吸入口部Fを駆動部Gで作動させる。
【0026】
この方式は管長に制限がある事と構造的に枝管は取り付けられないため、広範な排砂を行なうことは出来ないが、水底に対し水平に設置する事から貯砂槽は必要とせず、比較的小規模な貯水池での自然堆砂の排砂に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】排砂装置全体の概略図
【図2】船底形断面の貯砂槽の図面
【図3】導水口部の構造図
【図4】スリット状吸入口の構造図
【図5】駆動部の構造図
【図6】吐出口部の構造図
【図7】複数台設置の状態図
【図8】マルチホールサクション排砂管への適用図
【符号の説明】
【0028】
1 貯砂槽
2 構造物
3 立抗
4 貯槽
5 搬送管
6 導水口部排砂管
7 管端プレート
8 導水口
9 軸受け箱
10 軸受け
11 吸入口部排砂管
12 吸入口
13 受け台
14 フランジ
15 パッキンスリーブ
16 アクチュエータ
17 シール
18 Oリング
19 パッキン
20 ダストシール
21 ウェアリング
22 バルブ
23 吐出口
24 吐出口排砂管
25 屋根形プレート
26 マルチホールサクション排砂管導水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定式排砂管に振動と揺動運動を与える装置を取り付け、固着をほぐし排砂を促進する事を特徴とする固定式吸引除去装置。
【請求項2】
多量の砂泥を貯め、自然流下を促す事が可能な、船底形の断面構造を有する貯砂槽を有する固定式吸引除去装置。
【請求項3】
自然堆砂に対しての排砂に有効な吸入口開閉装置と貯砂槽を必要としない固定式排砂管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−7787(P2009−7787A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168381(P2007−168381)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(503284246)有限会社テーエスピー (2)
【Fターム(参考)】