説明

研削盤のツルーイング装置

【課題】より高精度なツルーイングを可能とする研削盤のツルーイング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】研削盤1のツルーイング装置3は、砥石車11の形状を成形するツルア43と、旋回軸Acの回りに旋回可能にツルア43を支持する旋回テーブル30と、砥石車11の形状を成形する際に砥石車11と接触するツルア43の先端位置から旋回テーブル30の旋回中心Oまでの距離を直接的に検知する検知手段50と、検知手段50による検知距離Lに基づいて砥石車11に対するツルア43の先端位置を制御して砥石車11のツルーイングを行う制御手段60を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物を砥石車により研削加工する研削盤において、砥石車の形状を成形するツルアを備えるツルーイング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
研削盤は、工作物を所定の形状に加工するために、または研削加工の加工効率を好適に維持するために、砥石車の研削面を成形するツルーイング装置を備えるものがある。このようなツルーイング装置として、例えば、特許文献1には、回転可能なロータリーツルア(一般に「ロータリードレッサ」と称する場合もある)を、砥石車の中心軸に直交する軸回りに旋回させてツルーイングを行う旋回式のツルーイング装置が開示されている。ここで、旋回式のツルーイング装置においては、ツルアの支持部材の取付け誤差やツルア自体の摩耗などに起因して、ツルアの先端位置(ロータリーツルアにあっては径方向から見た外周面の先端位置)がツルーイングにおける制御位置に対して位置誤差が生じることがある。
【0003】
研削盤のツルーイング装置は、ツルーイングの精度を向上させるためには上記のようなツルアの位置誤差の影響を低減する必要がある。そこで、特許文献1では、ツルーイングの前後において、接触センサにより検出した砥石車の外周面の位置に基づいてツルーイングを補正して行う方法が開示されている。より具体的には、接触センサの検出値に基づいて砥石車の外径を算出すると共に、この砥石車の外径に基づいてツルアの摩耗量を算出する方法が記載されている。この方法によれば、次回のツルーイングを行う際に、ツルアの旋回動作と同期させる砥石台の動作をツルアの摩耗量に基づいて補正できるので、ツルアの位置誤差を低減しツルーイングの高精度化を図ることができるとされている。また、特許文献2には、ツルアに接触してその先端位置を検知する接触センサ(電気マイクロメータ)を備えたツルーイング装置が開示されている。このツルーイング装置によれば、当該接触センサからの電気信号に基づいてツルアの移動量を補正することで、ツルアの位置誤差を補正することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−210565号公報
【特許文献2】実開平6−3561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、砥石車の外径からツルアの摩耗量を間接的に算出していることから、砥石車の回転振れや研削盤の熱変位量などの誤差要因が接触センサによる検知に影響するおそれがある。さらに、ツルーイング装置において、接触センサによる砥石車の外周面の検知は、実際にツルーイングする際に位置決めされる位置とは異なるため、算出されたツルアの摩耗量に誤差が含まれるおそれがあった。
【0006】
また、旋回式のツルーイング装置は、砥石車の外周面における断面形状を円弧形状などの曲面形状に成形する場合には特にツルアの位置誤差による影響が大きい。そのため、旋回中心を基準としてツルアの先端位置を検知し、より適正にツルアの位置誤差を補正する要請がある。特許文献2のツルーイング装置は、接触センサによりツルアの先端位置を検知するものであるが、これを旋回式のツルーイング装置に適用したとしても、基準位置が旋回中心とはならないため、旋回中心を基準としたツルアの先端位置を間接的に算出する必要があり、上記の誤差要因が接触センサによる検知に影響するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、より高精度なツルーイングを可能とする研削盤のツルーイング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明によると、砥石車の形状を成形するツルアと、前記ツルアが前記砥石車の中心軸に直交する軸回りに旋回可能に前記ツルアを支持する旋回テーブルと、前記砥石車の形状を成形する際に前記砥石車と接触する前記ツルアの先端位置から前記旋回テーブルの旋回中心までの距離を直接的に検知する検知手段と、前記検知手段による検知距離に基づいて前記砥石車に対する前記ツルアの先端位置を制御して前記砥石車のツルーイングを行う制御手段とを備える。
【0009】
請求項2に係る発明によると、請求項1において、前記検知手段は、前記旋回テーブルにより支持されている。
請求項3に係る発明によると、請求項2において、前記検知手段は、前記旋回テーブルの旋回軸方向に移動可能に支持されている。
【0010】
請求項4に係る発明によると、請求項2または3において、前記旋回テーブルに設けられ、前記ツルアを前記旋回テーブルの径方向に移動可能に支持する移動体をさらに備える。
【0011】
請求項5に係る発明によると、請求項2〜4の何れか一項において、前記検知手段は、対象物との接触を検知する接触検知部材を有し、前記旋回テーブルの旋回中心を基準として、前記接触検知部材により前記ツルアとの接触を検知することにより、前記ツルアの先端位置から前記旋回テーブルの旋回中心までの距離を検知する。
【0012】
請求項6に係る発明によると、請求項5において、前記砥石車の径方向外方に位置する外周面における断面形状のうち少なくとも一部を円弧形状にツルーイングする場合に、前記接触検知部材は、前記旋回テーブルの旋回中心から前記接触検知部材における前記ツルアとの接触を検知する部位までの距離が、前記砥石車の前記外周面における断面形状の円弧形状の半径と一致するように形成される。
【0013】
請求項7に係る発明によると、請求項5または6において、前記検知手段は、前記接触検知部材であって前記ツルアとの接触を検知するツルア用検知ピンと、前記接触検知部材であって前記砥石車との接触を検知する砥石用検知ピンと、前記ツルア用検知ピンおよび前記砥石用検知ピンを一体的に保持するセンサ本体と、を有し、前記ツルア用検知ピンおよび前記砥石用検知ピンは、それぞれの先端部が前記旋回テーブルの旋回中心から径方向外方に向くように、且つ互いに異なる方向となるように設けられている。
【0014】
請求項8に係る発明によると、請求項7において、前記検知手段は、前記砥石用検知ピンであって前記砥石車の回転軸方向に位置する端面との接触を検知する砥石端面用検知ピンと、前記砥石用検知ピンであって前記砥石車の径方向外方に位置する外周面との接触を検知する砥石外周面用検知ピンと、を有し、前記センサ本体は、ツルア用検知ピン、砥石端面用検知ピン、および砥石外周面用検知ピンを一体的に保持する。
【0015】
請求項9に係る発明によると、請求項5または6において、前記検知手段は、旋回軸方向に延伸する柱状に形成された前記接触検知部材であって、外周面において前記対象物との接触を検知する柱状センサを有し、前記ツルアに対して前記柱状センサを旋回軸回りに相対回転させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記ツルアとの接触を検知する周方向部位を変位させる。
【0016】
請求項10に係る発明によると、請求項9において、前記砥石車に対して前記柱状センサを旋回軸回りに相対回転させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記砥石車との接触を検知する周方向部位を変位させる。
【0017】
請求項11に係る発明によると、請求項5、6、9、10の何れか一項において、前記検知手段は、旋回軸方向に延伸する柱状に形成された前記接触検知部材であって、外周面において前記対象物との接触を検知する柱状センサを有し、前記ツルアに対して前記柱状センサを旋回軸方向に相対移動させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記ツルアとの接触を検知する軸方向部位を変位させる。
【0018】
請求項12に係る発明によると、請求項11において、前記砥石車に対して前記柱状センサを旋回軸方向に相対移動させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記砥石車との接触を検知する軸方向部位を変位させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、ツルーイング装置は、検知手段による検知距離に基づいて制御しツルーイングを行う。この検知手段による検知距離は、ツルアの先端位置から旋回テーブルの旋回中心までの距離を直接的に検知されたものである。これにより、砥石車の回転振れや研削盤の熱変位量などの誤差要因に影響されることなく、ツルアの位置誤差をより確実に検出することができる。よって、制御手段が検出したツルアの位置誤差を勘案し、砥石車に対するツルアの先端位置を制御することにより、ツルアの位置誤差や摩耗量を補正することができる。従って、ツルーイング装置は、より高精度なツルーイングを行うことができる。そうすると、砥石車の外周面における断面形状が曲面形状のように複雑な場合にあっても、形状による影響を抑制して高精度なツルーイングを行うことができる。
【0020】
ここで、旋回式のツルーイング装置においては、ツルアの位置誤差がツルーイングの精度に大きく影響するため、ツルアの先端位置から旋回中心までの距離をより正確に検知することが好適である。特許文献1による砥石車の外周面の検知では、基準位置が旋回中心となっていないことから、ツルアの先端位置から旋回中心までの距離を算出する場合には間接的に求めることになる。そのため、ツルアの位置誤差の補正においては上記の誤差要因に影響されるおそれがある。また、特許文献2によるツルアの先端位置の検知では、接触センサによりツルアの先端位置を検知しているが、非旋回式であることから基準位置が当然ながら旋回中心とはなっていない。従って、特許文献2によるツルアの先端位置の検知方法が特許文献1のツルーイング装置に適用可能であったとしても、本発明とは検知基準が相違し、本発明のような構成とはならない。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、検知手段は、旋回テーブルにより支持されている構成としている。これにより、検知手段が検知対象のツルアに対して旋回テーブルにより位置を調整される場合には、ツルーイングにおいて制御される旋回テーブルの動作による影響を含んだ検知が可能となり、より正確に距離を検知することができる。また、従来では砥石車の外周面の位置を検知する接触センサは、ツルーイングを行う際にツルアなど他の部材と干渉を避ける為に、実際にツルーイングが行われる位置から離すように、少なくとも旋回テーブルとはある程度の距離を取って設置される。これに対して、本発明では、検知手段が旋回テーブルにより支持されることから、従来と比較して実際にツルーイングが行われる位置に近接して配置することができる。これにより、旋回テーブルなど他の部材の動作による位置誤差を勘案し、ツルアの先端位置から旋回中心までの距離をより正確に検知することができる。よって、ツルーイングの精度を向上させることができる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、検知手段は、旋回テーブルの旋回軸方向に移動可能に支持されている構成としている。これにより、ツルーイング装置において、実際にツルーイングを行う位置に近接して検知手段を配置することができる。また、例えば、検知手段を旋回テーブルの旋回軸上に配置した場合には、検知手段が旋回軸を基準としてツルアの先端位置から旋回中心までの距離を検知することになり、従来のように間接的に算出する方法と比較して、より高精度に検知することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、ツルーイング装置は、旋回テーブルに設けられ、ツルアを旋回テーブルの径方向に移動可能に支持する移動体を備える構成としている。これにより、検知手段は、ツルアを支持する移動体によってツルアとの位置関係を調整され、ツルアの先端位置から旋回中心との距離を検知することが可能となる。そうすると、ツルーイングにおいて制御される旋回テーブルおよび移動体を用いることになり、検知手段は、実際のツルーイングと同様の条件でツルアの先端位置と旋回中心までの距離を検知することができる。よって、従来と比較して、より高精度にツルアの位置誤差を補正することができる。
【0024】
また、ツルアの位置誤差の補正に際して、その補正量を移動体の移動量に対して反映させることができる。ここで、砥石車は、単一の円弧曲線からなる単一R形状に形成されることがある。そうすると、特許文献1のようにツルアの旋回動作と同期させる砥石台の動作を補正する場合と比較して、砥石台に係る位置指令値を補正する必要がないため、より簡易で確実に位置誤差を補正することができる。一方で、砥石車は、断面形状の曲率半径が徐変する形状、例えば複合R形状に形成されることがある。このような場合には、ツルーイングの際に旋回テーブルの動作に対して、砥石台および移動体が必要に応じて同期制御される。つまり、ツルアを旋回テーブルの径方向に移動させることにより、ツルアの先端位置から旋回テーブルの旋回中心までの距離を変化させることで、曲率半径が徐変するような種々の形状からなる砥石車を成形できるとともに、確実に位置誤差を補正することができる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、検知手段は、対象物との接触を検知する接触検知部材を有する構成としている。また、検知手段は、この接触検知部材を用いて、旋回テーブルの旋回中心を基準として、検知したツルアとの接触により、ツルアの先端位置と旋回中心までの距離を検知している。これにより、移動体によりツルアを旋回テーブルの径方向に移動させて、接触検知部材がツルアとの接触を検知するとともに、検知手段がツルアの先端位置と旋回中心までの距離を確実に検知することができる。このような接触検知部材を用いたセンサとして、例えば、AEセンサを用いることができる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、接触検知部材は、旋回テーブルの旋回中心から先端部までの距離が、砥石車の外周面における断面形状の円弧形状の半径と一致するように形成される構成としている。つまり、移動体によりツルアを移動させて検知手段が検知したツルアの位置は、砥石車の外周面における断面形状を円弧形状にツルーイングする際のツルアの位置に相当する。よって、当該位置でツルアを旋回させることにより砥石車を円弧形状に成形することができる。このように、上記のような接触検知部材を用いることにより、ツルアの位置誤差や摩耗量などを補正したツルーイングが可能となり、ツルーイングの高精度化を図ることができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、検知手段は、接触検知部材としてツルア用検知ピンおよび砥石用検知ピンを有し、当該砥石用検知ピンにより砥石車の位置を検知可能な構成としている。例えば、砥石用検知ピンが砥石車の径方向外方に位置する外周面の位置を検知するものにあっては、その検知した位置に基づいて検知手段が砥石車の外径を算出することができる。そして、本発明では、この砥石用検知ピンは、センサ本体によりツルア用検知ピンと共に一体的に保持されている。このような構成とすることにより、検知手段は、ツルアおよび砥石車の位置を検知する場合に、それぞれの検知における基準位置を共通化することができる。よって、ツルアの位置誤差や摩耗量について補正した場合に、その補正がツルーイングに好適に反映されツルーイングの精度を向上できる。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、検知手段は、各砥石用検知ピンにより砥石車の端面および外周面の位置を検知可能な構成としている。これにより、砥石車の外径を算出できるとともに、砥石車の位置決めに位置誤差が生じていないかなどを検知することができる。そして、本発明では、これら砥石端面用検知ピンおよび砥石外周面用検知ピンは、センサ本体によりツルア用検知ピンと共に一体的に保持されている。これにより、検知手段は、ツルアおよび砥石車の位置を検知する場合に、それぞれの検知における基準位置を共通化することができる。よって、ツルアの位置誤差や摩耗量について補正した場合に、その補正がツルーイングに好適に反映されツルーイングの精度を向上できる。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、ツルーイング装置は、ツルアに対して柱状センサを旋回軸回りに相対回転させることにより、柱状センサにおけるツルアとの接触部位を変位させるようにしている。また、柱状センサは、旋回軸方向に延伸する柱状であって、旋回軸に直交する断面形状が円形または多角形となるように円柱状または角柱状に形成され得る。これにより、接触検知部材である柱状センサの外周面において、ツルアを接触検知可能な部位を周方向に増加できる。よって、柱状センサにおける摩耗による影響を低減することができる。従って、ツルアの先端位置をより高精度に検知できる。
【0030】
請求項10に係る発明によれば、ツルーイング装置は、砥石車に対して柱状センサを旋回軸回りに相対回転させることにより、柱状センサにおける砥石車との接触部位を変位させるようにしている。これにより、柱状センサの外周面において、砥石車を接触検知可能な部位を周方向に増加できる。よって、柱状センサにおける摩耗による影響を低減することができる。従って、砥石車の端面および外周面の位置をより高精度に検知できる。
【0031】
請求項11に係る発明によれば、ツルーイング装置は、ツルアに対して柱状センサを旋回軸方向に相対移動させることにより、柱状センサにおけるツルアとの接触部位を変位させるようにしている。また、柱状センサは、旋回軸方向に延伸する柱状であって、旋回軸に直交する断面形状が円形または多角形となるように円柱状または角柱状に形成され得る。これにより、接触検知部材である柱状センサの外周面において、ツルアを接触検知可能な部位を軸方向に増加できる。よって、柱状センサにおける摩耗による影響を低減することができる。従って、ツルアの先端位置をより高精度に検知できる。
【0032】
請求項12に係る発明によれば、ツルーイング装置は、砥石車に対して柱状センサを旋回軸方向に相対移動させることにより、柱状センサにおける砥石車との接触部位を変位させるようにしている。これにより、柱状センサにおいて、砥石車を接触検知可能な部位を軸方向に増加できる。よって、柱状センサにおける摩耗による影響を低減することができる。従って、砥石車の端面および外周面の位置をより高精度に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第一実施形態における研削盤とツルーイング装置を示すブロック図である。
【図2】第一実施形態における研削盤のツルーイング装置の斜視図である。
【図3】図1,2に示すツルーイング装置におけるロータリーツルアとセンサユニットを示す拡大斜視図である。
【図4】センサユニットによる砥石車およびロータリーツルアの位置検知の状態を示す平面図である。
【図5】砥石車の軸方向一端をツルーイングしている状態を示す平面図である。
【図6】砥石車の軸方向他端をツルーイングしている状態を示す平面図である。
【図7】第二実施形態におけるセンサユニットよる砥石車およびロータリーツルアの位置検知の状態を示す平面図である。
【図8】参考例におけるセンサユニットによる砥石車の位置検知の状態を示す平面図である。
【図9】図8に示す研削盤における砥石車と柱状センサを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の研削盤のツルーイング装置を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0035】
<第一実施形態>
(研削盤のツルーイング装置の構成)
本実施形態の研削盤1について、図1〜図3を参照して説明する。研削盤1は、ベッド2に支持された工作物Wに対して砥石車11を相対移動させて研削加工を行う工作機械である。研削盤1は、ツルーイング装置3と、砥石台10と、工作物支持装置20と、制御装置60(本発明の「制御手段」に相当する)を備えて構成される。研削盤1のツルーイング装置3は、工作物Wを所定の形状に加工することなどを目的として、砥石車11の研削面を成形する装置である。本実施形態において、ツルーイング装置3は、ツルアを砥石車11の中心軸Awに直交する軸回りに旋回させてツルーイングを行う旋回式のツルーイング装置として説明する。
【0036】
砥石台10は、工作物Wを研削する砥石車11を有する。砥石台10は、ベッド2の上面に配置され砥石車11の中心軸Awの方向に延びる図示しないガイドレール上に配置される。また、砥石台10は、上記のガイドレールの延伸方向に直交する方向であって、ベッド2の上面と平行な方向に砥石車11を移動させる移動機構を有している。砥石車11は、この移動機構を介して砥石台10に支持され、これにより工作物Wの軸方向および径方向への移動が可能となっている。また、砥石台10は、制御装置60により砥石車11の各軸方向への移動および回転数などを制御される。
【0037】
砥石車11は、例えば、円盤状の金属コアの外周に硬質の砥粒を結合させて構成される。ここで、本実施形態において、工作物Wは、外径の異なる部位が軸方向に設けられる段付き軸状の部材を例示している。さらに、工作物Wは、段付き端面と外周面との隅部に円弧凹形状の曲面形状に形成されている。このような工作物Wを研削するために、砥石車11は、外周面における断面形状を工作物Wの円弧凹形状に対応する円弧凸形状に成形(以下、「R成形」とも称する)されている。つまり、砥石車11は、研削可能な円筒状の外周面において、その軸方向両端部を曲面形状に成形されている。
【0038】
工作物支持装置20は、工作物Wの中心軸の回りに回転可能となるように、工作物Wの両端を支持する。工作物支持装置20は、工作物Wの一端を支持する主軸台21と、主軸台21と対向して配置され工作物Wの他端を支持する心押台22を備える。主軸台21には、図示しない回転駆動装置により回転する主軸が備えられており、主軸が回転駆動されることにより工作物Wが回転するように構成されている。また、主軸台21は、制御装置60により主軸の回転数や回転位相などを制御される。
【0039】
旋回式のツルーイング装置3は、砥石車11の外周面をツルーイングする装置であって、図1,2に示すように、旋回テーブル30と、ツルア台40と、センサユニット50(本発明の「検知手段」に相当する)を備える。旋回テーブル30は、ベッド2の上面に配置され、図示しない旋回駆動装置によって旋回軸Acの回りに旋回可能となっている。この旋回テーブル30は、2本のツルア台用ガイドレール31と、ツルア台用直進軸ボールねじ32と、ツルア台用直進軸モータ33を有する。また、旋回テーブル30の上面は、図2に示すように、円形状部30aと矩形状部30bとからなるように形成されている。旋回テーブル30は、この円形状部30aの中心Oを通る旋回軸Acの回りに旋回する。
【0040】
2本のツルア台用ガイドレール31は、旋回テーブル30の矩形状部30bの長手方向に延びるように、互いに平行に配置されている。ツルア台用直進軸ボールねじ32は、ツルア台40を旋回テーブル30の矩形状部30bの長手方向に駆動するように、2本のツルア台用ガイドレール31の間に配置されている。ツルア台用直進軸モータ33は、ツルア台用直進軸ボールねじ32を回転駆動するモータであり、ツルア台用直進軸ボールねじ32の一端側に配置されている。また、旋回テーブル30は、制御装置60により旋回駆動装置およびツルア台用直進軸モータ33を制御される。これにより、旋回テーブル30は、ベッド2に対する旋回速度や旋回速度を制御されると共に、ツルア台用直進軸ボールねじ32の回転数や回転位相などを制御される。
【0041】
ツルア台40は、ベース41(本発明の「移動体」に相当する)と、ツルア駆動機構42と、ロータリーツルア43(本発明の「ツルア」に相当する)を有する。ベース41は、旋回テーブル30の矩形状部30bにおいて、ツルア台用ガイドレール31の上を矩形状部30bの長手方向(図2の左下から右上向かう方向)に摺動可能に設けられている。このベース41は、ツルア台用直進軸ボールねじ32のナット部分に連結されており、ツルア台用直進軸モータ33の駆動によりツルア台用ガイドレール31に沿って送りされる。
【0042】
ツルア駆動機構42は、ベース41の上部に一体的に配置され、図示しないビルトインモーターによってツルア軸を回転駆動する。ロータリーツルア43は、砥石車11の形状を成形するツルーイング工具であり、ツルア駆動機構42のツルア軸の端部に嵌装されている。これにより、ロータリーツルア43は、ツルア駆動機構42の回転駆動に伴い中心軸Atの回りに回転可能となっている。本実施形態において、ロータリーツルア43は、円盤形状に形成され、例えば、ダイヤモンドなどにより外周面を形成されている。このロータリーツルア43の外周面は、円筒状からなり軸方向幅が砥石車11の軸方向幅に対して薄くなるように形成されている。
【0043】
また、ロータリーツルア43は、ロータリーツルア43の中心軸Atに直交し、且つロータリーツルア43の軸方向幅の中央部を通る平面が、旋回テーブル30の旋回軸Acを含むように設置されている。すなわち、ロータリーツルア43の外周面は、旋回テーブル30が旋回軸Acの回りに旋回した場合に、旋回テーブル30の旋回中心Oとの距離が一定に維持される。このように、旋回テーブル30は、ロータリーツルア43が砥石車11の中心軸Awに直交する軸と平行な旋回軸Acの回りに旋回可能となるように、ベース41およびツルア駆動機構42を介してロータリーツルア43を支持している。
【0044】
このような旋回式のツルーイング装置3は、例えば、ツルア台用直進軸モータ33の駆動によりベース41を移動させて、ロータリーツルア43を旋回テーブル30の径方向に移動させる。そして、旋回軸Acに対するロータリーツルア43の先端位置を位置決めする。続いて、旋回テーブル30を旋回させることで、ロータリーツルア43の先端位置が旋回軸Acまでの距離を維持したまま旋回することを可能としている。ここで、ロータリーツルア43の「先端位置」とは、ロータリーツルア43の外周面のうち旋回テーブル30の旋回軸Acに最も近接する部位としている。また、ツルア台40は、制御装置60によりツルア駆動機構42を制御される。これにより、ツルア台40は、ロータリーツルア43の回転数などを制御される。
【0045】
センサユニット50は、ロータリーツルア43の先端位置から旋回テーブル30の旋回軸Acまでの距離を検知する検知手段である。このセンサユニット50は、図3に示すように、センサ本体51と、センサ駆動装置52と、AEセンサ53と、ツルア用検知ピン54と、砥石端面用検知ピン55と、砥石外周面用検知ピン56を備える。センサ本体51は、全体形状としては円筒形状に形成され、その円筒形状の中心軸が旋回テーブル30の旋回軸Acと一致するように配置されている。また、センサ本体51は、旋回テーブル30により相対回転可能に支持されている。これにより、センサ本体51は、旋回テーブル30の旋回動作に依らず所定位相を維持することが可能となっている。センサ駆動装置52は、旋回テーブル30の旋回中心部に配置され、センサ本体51を旋回軸Acの方向に移動させる装置である。
【0046】
AEセンサ53は、センサ本体51の円筒内部に収容され、検知ピンなどの接触子と対象物との接触によって発生するAE(Acoustic Emission)信号を検出する。ツルア用検知ピン54、砥石端面用検知ピン55、および砥石外周面用検知ピン56は、AEセンサ53の検知ピン(本発明の「接触検知部材」に相当する)であって、図3に示すように、センサ本体51により一体的に保持されている。また、各検知ピン54,55,56は、それぞれの先端部が旋回テーブル30の旋回中心Oから径方向外方に向くように、且つ互いに異なる方向となるように設けられている。より具体的には、各検知ピン54,55,56は、センサ本体51の外周面において、周方向に90°間隔に、その延伸方向が旋回テーブル30の上面と並行となるように配置されている。
【0047】
このような構成により、センサユニット50は、ツルア用検知ピン54とロータリーツルア43との接触をAEセンサ53により検知し、これによりロータリーツルア43の先端位置から旋回テーブル30の旋回中心Oまでの距離Lを検知する。また、センサユニット50は、砥石端面用検知ピン55と砥石車11の中心軸Awの一方側に位置する端面との接触をAEセンサ53により検知する。同様に、センサユニット50は、砥石外周面用検知ピン56と砥石車11の径方向外方に位置する外周面との接触をAEセンサ53により検知する。
【0048】
また、本実施形態において、ツルア用検知ピン54は、検知する距離Lが砥石車11の外周面においてR成形される部位の半径と一致するように、そのピン長さを予め設定されている。これにより、センサユニット50は、ツルア用検知ピン54に対してロータリーツルア43を相対移動させ、旋回中心Oとロータリーツルア43の先端位置との間が距離Lとなった時に、ロータリーツルア43の接触を検知することになる。つまり、このような検知を可能とするために、ツルア用検知ピン54は、その先端部をロータリーツルア43との接触を検知する部位とし、旋回中心Oから当該先端部までの距離Lが、砥石車11の外周面における断面形状の円弧形状の半径と一致するように形成されている。また、センサユニット50は、制御装置60によりセンサ駆動装置52を制御されるとともに、AE信号を制御装置60に出力している。
【0049】
制御装置60は、研削加工においては、砥石台10の各軸位置、および主軸台21の回転をNC制御する。そして、制御装置60は、ツルア駆動機構42のビルトインモーターを回転させ、ロータリーツルア43を回転させる。このように、研削盤1は、制御装置60により、砥石車11を回転させながら、工作物Wに対する砥石台10の各軸位置を制御することで、工作物Wの外周面を研削加工する。また、制御装置60は、ツルーイングにおいては、ロータリーツルア43を回転させた状態で、砥石台10の各軸位置、および旋回テーブル30の旋回角度をNC制御しながら、砥石車11のロータリーツルア43により成形または各部位との接触を検知する。
【0050】
(ツルーイング動作)
次に、上述した研削盤1のツルーイング装置3において、砥石車11のツルーイング動作について、センサユニット50による砥石車11およびロータリーツルア43の位置検知とともに、図3〜図6を参照して説明する。先ず、砥石車11のツルーイングの開始が支持されると、センサユニット50によりロータリーツルア43の先端位置の検知を行う。そのため、制御装置60は、センサ駆動装置52によりセンサ本体51を旋回テーブル30の旋回軸Acの上方向に移動させる。この時、制御装置60は、ツルア用検知ピン54とロータリーツルア43の中心軸Atが同じ高さとなるようにセンサ駆動装置52を制御する。さらに、ツルア用検知ピン54の中心軸とロータリーツルア43の中心軸Atが直交するように旋回テーブル30が旋回される。
【0051】
そして、制御装置60は、ツルア駆動機構42によりロータリーツルア43を所定回転数で回転させた状態で、ロータリーツルア43をセンサユニット50に接近させるようにベース41を所定速度で移動させる。その後に、センサユニット50は、図3,4に示すように、ツルア用検知ピン54とロータリーツルア43の先端部との接触をAEセンサ53により検知する。これにより、センサユニット50は、旋回テーブル30の旋回中心Oを基準として、ロータリーツルア43の先端位置が旋回中心Oから検知距離Lにあることを検知する。
【0052】
また、制御装置60は、ツルア用検知ピン54とロータリーツルア43が接触した際にセンサユニット50からAE信号を入力し、この時のベース41の現在位置を記憶する。この記憶したベース41の現在位置と、ロータリーツルア43の先端位置と旋回中心Oとの間を距離Lとするために制御されるベース41の制御位置との差分が、ロータリーツルア43の位置誤差に相当するものである。また、この位置誤差は、旋回式のツルーイング装置3における各部材の取付け誤差、ロータリーツルア43の摩耗、装置自体の熱変位などに起因するものである。本実施形態において、制御装置60は、このようにロータリーツルア43の位置誤差を検知している。
【0053】
続いて、センサユニット50により砥石車11の端面位置および外周面位置の検知を行う。この時、センサユニット50は、ロータリーツルア43の先端位置の検知を行った位置を維持される。即ち、旋回テーブル30の旋回中心Oを基準として、砥石車11の位置検知を行う。そして、制御装置60は、まず砥石車11を所定の回転数で回転させ、この状態で砥石車11を中心軸Awの方向に移動させるように砥石台10の移動機構を制御する。その後に、センサユニット50は、図4に示すように、砥石端面用検知ピン55と砥石車11の中心軸Awの方向に位置する端面との接触をAEセンサ53により検知する。
【0054】
同様に、制御装置60は、砥石車11を回転させた状態で砥石車11を中心軸Awに対して垂直な方向に移動させ、砥石外周面用検知ピン56と砥石車11の径方向外方に位置する外周面との接触をAEセンサ53により検知する。これにより、センサユニット50は、旋回テーブル30の旋回中心Oを基準として、砥石車11の端面位置および外周面位置が旋回中心Oからそれぞれ所定の距離にあることを検知する。また、制御装置60は、各砥石用検知ピン55,56と砥石車11が接触した際にセンサユニット50からAE信号を入力し、この時の砥石台10の現在位置を記憶する。
【0055】
続いて、ツルーイング装置3による砥石車11の形状を成形について説明する。本実施形態では、上述したように、砥石車11は、外周面における断面形状をR成形されるものとして説明する。制御装置60は、先ず、ツルーイングを行う所定の位置に砥石車11を移動させるように、砥石台10の移動機構を制御する。より具体的には、砥石車11は、R成形の円弧形状の中心が旋回テーブル30の旋回中心Oと一致するように位置決めされる。そして、制御装置60は、砥石台10の駆動装置により砥石車11を所定の回転数で回転させる。
【0056】
次に、制御装置60は、ツルア駆動機構42によりロータリーツルア43を所定の回転数で回転させる。そして、ロータリーツルア43を回転させた状態で、ロータリーツルア43の先端位置が砥石車11の外周面における円弧形状の始点に接触させるように、旋回テーブル30およびベース41を移動させる。この時、ベース41の位置は、ロータリーツルア43および砥石車11の位置検知において制御装置60に記憶された位置に基づいて設定される。
【0057】
そして、砥石車11の外周面にロータリーツルア43を接触させた状態で、図5に示すように、旋回テーブル30を旋回させる。この時、ベース41は、最初に旋回テーブル30に対して位置決めされた位置を維持している。さらに、図6に示すように、ロータリーツルア43の先端位置が砥石車11の外周面における円弧形状の終点に達するまで旋回テーブル30を旋回させる。そうすると、ロータリーツルア43の円筒状からなる外周面が、旋回中心Oに対する距離を一定に保たれた状態で旋回するので、砥石車11の外周面における断面形状が円弧形状に成形される。
【0058】
研削盤1のツルーイング装置3は、例示したように砥石車11のツルーイングを行うものである。また、ツルーイング装置3は、砥石車11の形状を成形した後に、砥石車11の端面位置および外周面位置の検知を再度行うようにしてもよい。これにより、ツルーイングの前後において検知した砥石車11の位置の差分を算出し、適正なツルーイングが行われたかを検査することができる。さらに、ツルーイングの前後において検出した砥石車11の端面位置および外周面位置、並びにロータリーツルア43の先端位置は、ロータリーツルア43の摩耗量や各検知ピン54,55,56の摩耗量の算出に利用できるものである。
【0059】
ここで、本実施形態では、砥石車11の外周面の断面形状が円弧形状であるものを例示して説明した。その他に、砥石車11は、断面形状の一部に円弧形状を有する形状、例えば鍋底形状に形成されることがある。このような場合には、砥石車11の形状を成形する際に旋回テーブル30の動作に対して、砥石台10が必要に応じて同期制御される。そして、このような砥石車11の断面形状が鍋底形状の場合には、鍋底形状における円弧部の中心と旋回テーブル30の旋回中心Oが一致するようにツルーイングが行われる。
【0060】
さらに、砥石車11は、断面形状の曲率半径が徐変する形状、例えば複合R形状に形成されることがある。このような場合には、砥石車11の形状を成形する際に旋回テーブル30の動作に対して、砥石台10およびベース41が必要に応じて同期制御される。つまり、ロータリーツルア43を旋回テーブル30の径方向に移動させることにより、ロータリーツルア43の先端位置から旋回テーブル30の旋回中心Oまでの距離を変化させ、上記のような種々の形状とする砥石車11の成形を可能としている。
【0061】
また、本実施形態において、ツルア用検知ピン54のピン長さは、砥石車11の外周面においてR成形される部位の半径に応じて予め設定するものとした。これに対して、R成形される部位の半径とは異なる半径で形成する場合には、その異なる半径との差分だけベース41によりロータリーツルア43の先端位置を補正することが可能である。
【0062】
(研削盤のツルーイング装置による効果)
上述した研削盤1のツルーイング装置3によれば、ツルーイング装置3は、センサユニット50による検知距離に基づいて、ロータリーツルア43などを制御しツルーイングを行う構成としている。そして、このセンサユニット50による検知距離は、ロータリーツルア43の先端位置から旋回テーブル30の旋回中心Oまでの距離を直接的に検知されたものである。つまり、この検知距離は、ツルーイングにおいてロータリーツルア43が位置決めされる状態で検知されるものである。よって、制御装置60が検知距離に基づいてロータリーツルア43を位置決めすることにより、砥石車11の回転振れや研削盤の熱変位量などによる影響されることなく、ロータリーツルア43の摩耗量などに起因する位置誤差を勘案したツルーイングを行うことができる。従って、ツルーイング装置3は、より高精度なツルーイングを行うことができるので、砥石車11の外周面における断面形状が曲面形状のように複雑な場合にあっても、形状による影響を抑制して高精度なツルーイングを行うことができる。
【0063】
センサユニット50は、旋回テーブル30により支持されている構成としている。これにより、センサユニット50が検知対象のロータリーツルア43に対して旋回テーブル30により位置を調整される場合には、ツルーイングにおいて制御される旋回テーブル30の動作による影響を含んだ検知が可能となり、より正確にロータリーツルア43の位置を検知することができる。さらに、このような構成により、従来と比較して実際にツルーイングが行われる位置に近接してセンサユニット50を配置することができる。これにより、旋回テーブル30など他の部材の動作による位置誤差を勘案し、ロータリーツルア43の先端位置から旋回中心Oまでの距離をより正確に検知することができる。よって、ツルーイングの精度を向上させることができる。
【0064】
また、センサユニット50は、センサ駆動装置52により旋回テーブル30の旋回軸Ac方向に移動可能に支持されている構成としている。これにより、ツルーイング装置3において、実際にツルーイングを行う位置に近接してセンサユニット50を配置することができる。また、センサユニット50は、旋回テーブル30の旋回軸Ac上に配置され、旋回中心Oを基準としてロータリーツルア43の先端位置から旋回中心Oまでの距離を検知している。これにより、従来のように間接的に算出する方法と比較して、より高精度に検知することができる。
【0065】
さらに、制御装置60は、ツルーイングする際に、センサユニット50による検知距離に基づいて砥石車11に対するロータリーツルア43の先端位置を制御する。また、ロータリーツルア43を支持するベース41によって、センサユニット50はロータリーツルア43との位置関係を調整されて、ロータリーツルア43の先端位置から旋回中心Oとの距離を検知している。これにより、ロータリーツルア43の位置検知ではツルーイングにおいて制御される旋回テーブル30およびベース41を用いることになり、センサユニット50は、実際のツルーイングと同様の条件でロータリーツルア43の先端位置と旋回中心Oまでの距離を検知することができる。また、ロータリーツルア43の位置誤差をベース41の移動量で補正することができるので、従来のように砥石台10に係る位置指令値を補正することなく、より簡易で確実にツルーイングの高精度化を図ることができる。
【0066】
センサユニット50は、ツルア用検知ピン54を用いて、旋回テーブル30の旋回中心Oを基準として検知したロータリーツルア43との接触により、ロータリーツルア43の先端位置と旋回中心Oまでの距離を検知している。これにより、ベース41によりロータリーツルア43を旋回テーブル30の径方向に移動させて、ツルア用検知ピン54がロータリーツルア43との接触を検知するとともに、センサユニット50がロータリーツルア43の先端位置と旋回中心Oまでの距離を確実に検知することができる。
【0067】
また、ツルア用検知ピン54は、旋回テーブル30の旋回中心Oから接触を検知する先端部までの距離が、砥石車11の外周面においてR成形される部位の半径と一致するように形成される構成としている。つまり、ベース41によりロータリーツルア43を移動させてセンサユニット50が検知したロータリーツルア43の位置は、砥石車11をR成形する際のロータリーツルア43の位置に相当する。よって、当該位置でロータリーツルア43を旋回させることにより砥石車11を円弧形状に成形することができる。
【0068】
センサユニット50は、砥石車11との接触を検知する砥石用検知ピン55,56により砥石車11の端面位置および外周面位置を検知する構成としている。また、砥石端面用検知ピン55および砥石外周面用検知ピン56は、センサ本体51によりツルア用検知ピン54と共に一体的に保持されている。このような構成とすることにより、センサユニット50は、ロータリーツルア43および砥石車11の各位置を検知する場合に、それぞれの検知における基準位置を共通化することができる。よって、ロータリーツルア43の位置誤差や摩耗量の補正がツルーイングに好適に反映されツルーイングの精度を向上できる。さらに、砥石端面用検知ピン55および砥石外周面用検知ピン56により砥石車11の端面位置および外周面位置を検知することにより、例えば、砥石車11の摩耗量の算出や位置誤差などを検知することができる。
【0069】
<第二実施形態>
本実施形態の研削盤101について、図7を参照して説明する。本実施形態における研削盤101は、主として、第一実施形態とツルーイング装置103におけるセンサユニット150の構成が相違する。その他の共通する構成については、第一実施形態と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
【0070】
ツルーイング装置103は、図7に示すように、旋回テーブル30と、ツルア台40と、センサユニット150(本発明の「検知手段」に相当する)を備える。センサユニット150は、柱状センサ157と、センサ駆動装置52と、AEセンサ53と、砥石端面用検知ピン55と、砥石外周面用検知ピン56を備える。柱状センサ157は、外周面において対象物との接触を検知する接触検知部材であって、内部にAEセンサ53を収容する当該AEセンサ53の接触子である。本実施形態において、柱状センサ157は、中心軸Asが旋回テーブル30の旋回軸Acと一致するように配置され、当該旋回軸Ac(中心軸As)方向に延伸する柱状に形成される。本実施形態において、柱状センサ157は、中心軸Asに直交する断面形状が円形となるように円柱状に形成されている。
【0071】
また、柱状センサ157は、センサユニット150におけるセンサ本体を兼ねており、砥石端面用検知ピン55および砥石外周面用検知ピン56を支持している。そして、各検知ピン55,56は、それぞれの先端部が旋回テーブル30の旋回中心Oから径方向外方を向くように、且つ互いに異なる方向となるように設けられている。さらに、柱状センサ157は、旋回テーブル30により相対回転可能に支持され、旋回テーブル30の旋回動作に依らず所定位相を維持することが可能となっている。
【0072】
このような構成により、センサユニット150は、柱状センサ157の外周面とロータリーツルア43との接触をAEセンサ53により検知し、これによりロータリーツルア43の先端位置から旋回テーブル30の旋回中心Oまでの距離Lを検知する。また、センサユニット150は、砥石端面用検知ピン55と砥石車11の中心軸Awの一方側に位置する端面との接触をAEセンサ53により検知する。同様に、センサユニット150は、砥石外周面用検知ピン56と砥石車11の径方向外方に位置する外周面との接触をAEセンサ53により検知する。
【0073】
また、本実施形態において、柱状センサ157は、検知する距離Lが砥石車11の外周面においてR成形される部位の半径と一致するように、その半径を予め設定されている。これにより、センサユニット150は、柱状センサ157に対してロータリーツルア43を相対移動させ、旋回中心Oとロータリーツルア43の先端位置との間が距離Lとなった時に、ロータリーツルア43の接触を検知することになる。
【0074】
そして、本実施形態において、制御装置60は、ロータリーツルア43の位置を検知する際に、柱状センサ157の外周面においてロータリーツルア43との接触部位を変位させるように制御する。より詳細には、制御装置60は、旋回テーブル30を以前の検知の際の角度と異なる角度まで旋回させる。このように、ロータリーツルア43に対して柱状センサ157を旋回軸Ac回りに相対回転させることにより、柱状センサ157の外周面においてロータリーツルア43との接触を検知する周方向部位を変位させている。
【0075】
同様に、制御装置60は、センサ駆動装置52を以前の検知の際の高さと異なる高さまで昇降させる。このように、ロータリーツルア43に対して柱状センサ157を旋回軸Ac方向に相対移動させることにより、柱状センサ157の外周面においてロータリーツルア43との接触を検知する周方向部位を変位させている。上記のように、ロータリーツルア43の位置の検知においては、柱状センサ157における接触部位を適宜ずらすように制御され、その他のツルーイング動作については第一実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0076】
(研削盤のツルーイング装置による効果)
上述した研削盤101のツルーイング装置103によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、ツルーイング装置103のセンサユニット150は、柱状センサ157を有するものとした。そして、柱状センサ157の外周面においてロータリーツルア43との接触を検知する周方向部位および軸方向部位を変位させるようにした。これにより、接触検知部材である柱状センサ157の外周面において、ロータリーツルア43を接触検知可能な部位を周方向および軸方向に増加できる。よって、柱状センサ157における摩耗による影響を低減することができる。従って、ツルアの先端位置をより高精度に検知できる。
【0077】
<第一、第二実施形態の変形態様>
第一実施形態および第二実施形態において、センサユニット50,150は、旋回テーブル30により旋回軸Ac方向に移動可能に支持されるものとした。これに対して、センサユニット50,150は、旋回テーブル30とは離れた位置に配置される構成としてもよい。しかし、センサユニット50,150が実際のツルーイングと同様の条件でロータリーツルア43の先端位置と旋回中心Oまでの距離を検知するためには、本実施形態において例示した構成とすることが好適である。
【0078】
また、ツルーイング装置3,103は、ロータリーツルア43を旋回テーブル30の径方向に移動させる移動体として、ベース41を有するものとした。これに対して、例えば、砥石台10に旋回軸Acと平行な軸回りに旋回可能な機構を有する研削盤においては、移動体を有さない構成としても、各軸の駆動装置を同期制御することで研削加工およびツルーイングが可能である。
【0079】
検知手段であるセンサユニット50は、第一実施形態(第二実施形態)において、ツルア用検知ピン54(柱状センサ157)とロータリーツルア43の接触を検知するAEセンサ53を有するものとした。これに対して、ロータリーツルア43の位置を検知できるものであれば、接触式であるかを問わず、例えば渦電流やレーザーなどを用いたセンサを有する構成としてもよい。第一、第二実施形態では、用途の異なる複数の検知ピンを備える構成とし、第二実施形態では、円筒状の外周面において接触を検知する柱状センサ157を備える構成とした。そして、これらが接触により発生するAE信号を検出するAEセンサ53を共用とすることでセンサユニット50,150のコスト低減を図っている。
【0080】
また、用途別に複数の検知ピンを備える構成としたが、例えば、1つの砥石用検知ピンにより砥石車11の端面位置および外周面位置を検知してもよい。さらに、接触検知部材として柱状センサ157のみとし、検知ピンを有さない構成としてもよい。つまり、第二実施形態において、砥石端面用検知ピン55および砥石外周面用検知ピン56の一方または両方を除いた構成とし、柱状センサ157の外周面においてロータリーツルア43と砥石車11の端面または外周面の位置を検知するようにしてもよい。
【0081】
また、このような検知ピンを有さない構成において、砥石車11に対して柱状センサ157を旋回軸Ac回りに相対回転、または砥石車11に対して柱状センサ157を旋回軸Ac方向に相対移動させるようにしてもよい。そうすると、柱状センサ157の外周面において砥石車11との接触を検知する周方向部位および軸方向部位を変位させることになる。これにより、接触検知部材である柱状センサ157の外周面において、砥石車11を接触検知可能な部位を周方向および軸方向に増加できる。よって、柱状センサ157における摩耗による影響を低減することができる。従って、砥石車11の端面および外周面の位置をより高精度に検知できる。
【0082】
その他に、本実施形態において、砥石車11の形状を成形するツルアは、円盤形状からなりツルア駆動機構42により回転駆動されるロータリーツルア43とした。これに対して、ツルアは、砥石車11のみが回転駆動させてツルーイングを行う単石のツルアとしてもよい。このような構成においても、旋回式のツルーイング装置であれば、本発明を適用して同様の効果を奏する。
【0083】
<参考例>
ここで、研削盤の砥石車は、研削加工により摩耗し、またツルーイングによって所定形状に成形される。そして、研削盤は、より正確に研削加工またはツルーイングを行うためには、砥石車の端面および外周面の位置を高精度に把握する必要がある。これに対して、例えば、特開2007−175815号公報には、砥石車に検知ピンを接触させることにより、砥石車の外周面の位置および外径を取得する方法が開示されている。しかしながら、このような方法においては、検知ピンの摩耗による検出精度への影響が懸念される。そこで、本願発明の構成の一部を適用することによって、より高精度に砥石車の端面および外周面の位置を検知することが可能な研削盤を参考例として例示する。
【0084】
(研削盤の構成)
本実施形態の研削盤201について、図8および図9を参照して説明する。研削盤201は、図示しないベッドに支持された工作物Wに対して砥石車11を相対移動させて研削加工を行う工作機械である。研削盤201は、砥石台210と、工作物支持装置20と、センサユニット250と、制御装置60を備えて構成される。
【0085】
砥石台210は、工作物Wを研削する砥石車11を有する。砥石台210は、ベッドの上面に配置され砥石車11の中心軸Awの方向に延びる図示しないガイドレール上に配置される。また、砥石台10は、上記のガイドレールの延伸方向に直交する方向であって、ベッド2の上面と平行な方向に砥石車11を移動させる移動機構を有している。さらに、この移動機構は、何れの移動方向に対して垂直な回転軸Adの回りに旋回可能としている。
【0086】
砥石車11は、例えば、円盤状の金属コアの外周に硬質の砥粒を結合させて構成されている。また、砥石車11は、砥石台210の移動機構を介して砥石台10に支持され、これにより工作物Wの軸方向および径方向への移動が可能となっている。このような構成からなる砥石台10は、制御装置60により砥石車11の各軸方向への移動、旋回角度、および回転数などを制御される。
【0087】
工作物支持装置20は、工作物Wの中心軸の回りに回転可能となるように、工作物Wの両端を支持する。工作物支持装置20は、工作物Wの一端を支持する主軸台21と、主軸台21と対向して配置され工作物Wの他端を支持する心押台22を備える。主軸台21には、図示しない回転駆動装置により回転する主軸が備えられており、主軸が回転駆動されることにより工作物Wが回転するように構成されている。また、主軸台21は、制御装置60により主軸の回転数や回転位相などを制御される。
【0088】
センサユニット250は、砥石車11の位置を検知する検知手段である。このセンサユニット250は、図8に示すように、柱状センサ257と、センサ駆動装置52と、AEセンサ53とを備える。柱状センサ257は、外周面において対象物との接触を検知する接触検知部材であって、内部にAEセンサ53を収容する当該AEセンサ53の接触子である。本実施形態において、柱状センサ257は、中心軸Asが砥石台210の移動機構における回転軸Adと平行となるように配置され、当該中心軸As方向に延伸する円柱状に形成されている。
【0089】
このような構成により、センサユニット250は、柱状センサ257の外周面と砥石車11の中心軸Awの一方側に位置する端面との接触をAEセンサ53により検知している。同様に、センサユニット250は、砥石外周面用検知ピン56と砥石車11の径方向外方に位置する外周面との接触をAEセンサ53により検知している。
【0090】
また、本実施形態において、制御装置60は、砥石車11の位置を検知する際に、柱状センサ257の外周面において砥石車11との接触部位を変位させるように制御する。より詳細には、制御装置60は、砥石台210の移動機構を以前の検知の際の角度と異なる角度まで旋回させる。このように、砥石車11に対して柱状センサ257を中心軸As回りに相対回転させることにより、柱状センサ257の外周面において砥石車11との接触を検知する周方向部位を変位させている。
【0091】
同様に、制御装置60は、図9に示すように、センサ駆動装置52を以前の検知の際の高さと異なる高さまで昇降させる。このように、砥石車11に対して柱状センサ257を回転軸Ad(中心軸As)方向に相対移動させることにより、柱状センサ257の外周面において砥石車11との接触を検知する周方向部位を変位させている。上記のように、砥石車11の位置の検知においては、柱状センサ257における接触部位を適宜ずらすように制御される。
【0092】
(研削盤による効果)
上述した研削盤201によれば、砥石車11に対して柱状センサ257を相対移動させることにより、柱状センサ257の外周面における砥石車11と接触する周方向部位および軸方向部位を変位させる構成としている。これにより、接触式の柱状センサ257の外周面において、砥石車11を接触検知可能な部位を周方向および軸方向に増加できる。よって、柱状センサ257における摩耗による影響を低減することができるので、砥石車11の外周面の位置および外径を高精度に検知することができる。従って、研削加工およびツルーイングにおける砥石車11の位置決めにおける位置誤差を補正し、これらの精度を向上させることができる。
【0093】
ここで、上述した参考例において、砥石車11に対して柱状センサ257を相対移動させる構成として、周方向への変位については砥石台210の移動機構、軸方向への変位についてはセンサユニット250のセンサ駆動装置52を用いるものとした。これに対して、砥石車11と柱状センサ257が相対移動可能であれば、例示した構成に限らず適用が可能である。例えば、砥石台210の移動機構が旋回機能を有さない構成においては、センサユニット250のセンサ駆動装置52がさらに柱状センサ257を中心軸As回り回転させる機能を有することで同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0094】
1,101,201:研削盤、 2:ベッド、 3,103:ツルーイング装置
10,210:砥石台、 11:砥石車
20:工作物支持装置、 21:主軸台、 22:心押台
30:旋回テーブル、 30a:円形状部、 30b:矩形状部
31:ツルア台用ガイドレール、 32:ツルア台用直進軸ボールねじ
33:ツルア台用直進軸モータ
40:ツルア台、 41:ベース(移動体)、 42:ツルア駆動機構
43:ロータリーツルア(ツルア)
50,150,250:センサユニット(検知手段)、 51:センサ本体
52:センサ駆動装置、 53:AEセンサ、 54:ツルア用検知ピン
55:砥石端面用検知ピン、 56:砥石外周面用検知ピン
157,257:柱状センサ
60:制御装置(制御手段)
W:工作物、 0:旋回中心、 Ac:旋回軸
Aw:砥石車の中心軸、 At:ロータリーツルアの中心軸
As:柱状センサの中心軸、 Ad:砥石台の回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石車の形状を成形するツルアと、
前記ツルアが前記砥石車の中心軸に直交する軸回りに旋回可能に前記ツルアを支持する旋回テーブルと、
前記砥石車の形状を成形する際に前記砥石車と接触する前記ツルアの先端位置から前記旋回テーブルの旋回中心までの距離を直接的に検知する検知手段と、
前記検知手段による検知距離に基づいて前記砥石車に対する前記ツルアの先端位置を制御して前記砥石車のツルーイングを行う制御手段と、
を備える研削盤のツルーイング装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記検知手段は、前記旋回テーブルにより支持されている研削盤のツルーイング装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記検知手段は、前記旋回テーブルの旋回軸方向に移動可能に支持されている研削盤のツルーイング装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記旋回テーブルに設けられ、前記ツルアを前記旋回テーブルの径方向に移動可能に支持する移動体をさらに備える研削盤のツルーイング装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項において、
前記検知手段は、
対象物との接触を検知する接触検知部材を有し、
前記旋回テーブルの旋回中心を基準として、前記接触検知部材により前記ツルアとの接触を検知することにより、前記ツルアの先端位置から前記旋回テーブルの旋回中心までの距離を検知する研削盤のツルーイング装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記砥石車の径方向外方に位置する外周面における断面形状のうち少なくとも一部を円弧形状にツルーイングする場合に、
前記接触検知部材は、前記旋回テーブルの旋回中心から前記接触検知部材における前記ツルアとの接触を検知する部位までの距離が、前記砥石車の前記外周面における断面形状の円弧形状の半径と一致するように形成される研削盤のツルーイング装置。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記検知手段は、前記接触検知部材であって前記ツルアとの接触を検知するツルア用検知ピンと、前記接触検知部材であって前記砥石車との接触を検知する砥石用検知ピンと、前記ツルア用検知ピンおよび前記砥石用検知ピンを一体的に保持するセンサ本体と、を有し、
前記ツルア用検知ピンおよび前記砥石用検知ピンは、それぞれの先端部が前記旋回テーブルの旋回中心から径方向外方に向くように、且つ互いに異なる方向となるように、設けられている研削盤のツルーイング装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記検知手段は、前記砥石用検知ピンであって前記砥石車の回転軸方向に位置する端面との接触を検知する砥石端面用検知ピンと、前記砥石用検知ピンであって前記砥石車の径方向外方に位置する外周面との接触を検知する砥石外周面用検知ピンと、を有し、
前記センサ本体は、ツルア用検知ピン、砥石端面用検知ピン、および砥石外周面用検知ピンを一体的に保持する研削盤のツルーイング装置。
【請求項9】
請求項5または6において、
前記検知手段は、旋回軸方向に延伸する柱状に形成された前記接触検知部材であって、外周面において前記対象物との接触を検知する柱状センサを有し、
前記ツルアに対して前記柱状センサを旋回軸回りに相対回転させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記ツルアとの接触を検知する周方向部位を変位させる研削盤のツルーイング装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記砥石車に対して前記柱状センサを旋回軸回りに相対回転させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記砥石車との接触を検知する周方向部位を変位させる研削盤のツルーイング装置。
【請求項11】
請求項5、6、9、10の何れか一項において、
前記検知手段は、旋回軸方向に延伸する柱状に形成された前記接触検知部材であって、外周面において前記対象物との接触を検知する柱状センサを有し、
前記ツルアに対して前記柱状センサを旋回軸方向に相対移動させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記ツルアとの接触を検知する軸方向部位を変位させる研削盤のツルーイング装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記砥石車に対して前記柱状センサを旋回軸方向に相対移動させることにより、前記柱状センサの前記外周面において前記砥石車との接触を検知する軸方向部位を変位させる研削盤のツルーイング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate