説明

研磨ブラシおよび研磨ブラシ装置

【課題】 本発明は、金属線および合成樹脂からなるブラシ毛に研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒等を混入させることにより、研磨性に優れた金属および合成樹脂からなる研磨ブラシおよび研磨ブラシ装置に関するものである。
【解決手段】 本発明の研磨ブラシは、合成樹脂および/または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛から構成されている。前記ブラシ毛の基部は、熱収縮性樹脂部材を覆うことにより結束されている。前記熱収縮性樹脂部材は、前記ブラシ毛の基部を覆った後、たとえば、ドライヤーによって加熱することにより、熱収縮して前記ブラシ毛の基部を覆うと同時に堅固に結束することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機、自動車、車両、電機、電子機器等、あらゆる産業界の完成品または半製品に対する表面研磨、整形研磨、またはバリ取り研磨を行うのに都合の良い金属線および/または合成樹脂からなるブラシ毛を基にした研磨ブラシおよび研磨ブラシ装置に関するものである。本発明は、特に、金属線および合成樹脂からなるブラシ毛に研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒等を混入させることにより、研磨性に優れた金属および合成樹脂からなる研磨ブラシおよび研磨ブラシ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブラシは、たとえば、2本の芯材または4本の芯材にブラシ毛素材を挟み込んだ後、ブラシ毛の部分をねじることにより作製されるねじりブラシがある。また、特開2003−181769号公報に記載されている研磨材は、合成樹脂のブラシ素材に、ダイヤモンド砥粒、研磨砥粒、金属砥粒等の1種類または2種類以上が混入されている。特開2003−127067号公報に記載されている研磨処理具は、研磨素材が繊維、皮、ゴム、合成樹脂、または金属であり、その表面にダイヤモンド砥粒、金属砥粒、研磨砥粒、ガラス砥粒の1種類または2種類以上が形成されている。
【特許文献1】特開2003−181769号公報
【特許文献2】特開2003−127067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の金属からなるブラシ毛は、金属メーカーで、合成樹脂からなるブラシ毛は、合成樹脂メーカーでそれぞれ製造されていた。そして、前記金属からなるブラシ毛または合成樹脂からなるブラシ毛は、ブラシメーカーによって購入され、研磨ブラシを製造販売していた。前記研磨ブラシメーカーは、前記ブラシ毛を、たとえば、液体ゴムのような接着剤を付けた後、乾燥させることにより、結束していた。前記のような接着剤は、ブラシ毛の結束までに乾燥工程が必要であり、製造に時間がかかるという欠点を有していた。
【0004】
また、前記金属メーカーまたは合成樹脂メーカーが製造している素材は、研磨ブラシとして加工しても、ユーザの完成品または半製品に対する研磨またはバリ取りに、必ずしも、適ったものにならない。また、前記メーカーで製造したブラシ毛素材は、その回転数を早めたり、あるいは押し圧を高くすることで、折れることがあり、作業者に危険を及ぼすことがあった。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、合成樹脂および/または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入された金属線からなる複数のブラシ毛との基部を熱収縮性樹脂部材により覆って結束することで、寿命が長く、危険のない安価な研磨ブラシおよび研磨ブラシ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の研磨ブラシは、合成樹脂および/または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、前記ブラシ毛の基部を覆って結束する熱収縮性樹脂部材と、前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の研磨ブラシは、研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている金属線からなる複数のブラシ毛と、前記ブラシ毛の基部を覆って結束する熱収縮性樹脂部材と、前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の研磨ブラシは、合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、前記ブラシ毛の周囲に植設された研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている金属線からなる複数のブラシ毛と、前記ブラシ毛の基部を覆って結束する熱収縮性樹脂部材と、前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の研磨ブラシは、合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、前記合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛の基部を覆って結束する第1の熱収縮性樹脂部材と、前記合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛の周囲に植設された研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている金属線からなる複数のブラシ毛と、前記金属線からなるブラシ毛の基部を覆って結束する第2の熱収縮性樹脂部材と、前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明の研磨ブラシは、第1発明において、ブラシ毛の長さ方向で、前記熱収縮性樹脂部材または前記第2の熱収縮性樹脂部材より長さの長い熱収縮性樹脂部材によって前記ブラシ毛を覆って結束することを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明の研磨ブラシは、第1発明から第5発明の熱収縮性樹脂部材が少なくとも複数箇所においてブラシ毛を覆って結束していることを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明の研磨ブラシは、第1発明から第5発明の熱収縮性樹脂部材が少なくとも複数箇所においてキャップ部材が金属からなることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明の研磨ブラシは、第1発明から第6発明のキャップ部材が樹脂部材からなることを特徴とする。
【0014】
(第9発明)
第9発明の研磨ブラシは、第1発明から第6発明のキャップ部材が樹脂部材で、底部に金属板がインサート成形されていることを特徴とする。
【0015】
(第10発明)
第10発明の研磨ブラシは、第9発明のキャップ部材が樹脂部材で、金属粉が混入されていることを特徴とする。
【0016】
(第11発明)
第11発明の研磨ブラシは、第1発明から第10発明のブラシ毛の基部が合成樹脂によって成形された溶着部から構成されていることを特徴とする。
【0017】
(第12発明)
第12発明の研磨ブラシは、第11発明のブラシ毛の基部において、合成樹脂によって成形された溶着部の端部に金属板がインサートされていることを特徴とする。
【0018】
(第13発明)
第13発明の研磨ブラシは、第11発明のブラシ毛の基部において、金属砥粒が混入した部材により溶着部が成形されていることを特徴とする。
【0019】
(第14発明)
第14発明の研磨ブラシ装置は、第1発明から第13発明における複数個の研磨ブラシが嵌合または磁力により取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、熱収縮性樹脂部材でブラシ毛の基部の任意の位置を覆うことができるため、ブラシ毛の広がりおよび折れを防止でき、研磨ブラシの寿命を長くすることができる。また、第1発明の研磨ブラシは、ブラシ毛の基部を覆って結束するものであるため、たとえ、ブラシ毛が折れても、飛散するのを防止でき、安全な作業を行うことができる。
【0021】
本発明によれば、ブラシ毛の長さ方向に長く複数の熱収縮性樹脂部材によって前記ブラシ毛を覆って結束しているため、先端部の研磨による消耗に応じて、前記安価な熱収縮性樹脂部材を剥がしながら使用することができ、研磨ブラシの寿命を長くすることができる。
【0022】
本発明によれば、ブラシ毛の長さ方向において、少なくとも複数箇所で、熱収縮性樹脂部材によって、ブラシ毛の基部を覆って結束しているため、先端部の研磨による消耗に応じて、前記複数箇所の熱収縮性樹脂部材を一つずつ剥がしながら使用でき、ブラシ毛の広がりをなくすとともに、折れるのを防止することができる。
【0023】
本発明によれば、ブラシ毛を覆って結束した熱収縮性樹脂部材の上にキャップを取り付け、前記キャップを金属製としたり、あるいは金属板のインサートまたは金属粉の混入により、研磨ブラシ装置に対する磁力を利用した取り付けが容易になる。したがって、研磨ブラシの交換は、短時間でできるため、無駄な時間をなくすことができる。
【0024】
本発明によれば、金属線または合成樹脂線の基部を金型で加熱することにより溶着部による結束が容易であるだけでなく、前記溶着部に金属板または金属砥粒を入れることにより、研磨ブラシ装置に対する磁力を利用した取り付けが容易になる。
【0025】
本発明によれば、ブラシ毛の交換が容易であるとともに寿命が長くなったため、ワークのバリ取りだけでなく、ワークの整形や表面の研磨を行うことができる。
【0026】
本発明によれば、完成品または半製品の研磨またはバリ取りが所望の通り行われるとともに、研磨等の作業環境や作業者の健康を考慮するだけでなく、研磨ブラシの破損による飛散がなく、人体に対する危険を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1発明)
第1発明の研磨ブラシは、合成樹脂および/または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛から構成されている。前記ブラシ毛の基部は、熱収縮性樹脂部材を覆うことにより結束されている。前記熱収縮性樹脂部材は、前記ブラシ毛の基部を覆った後、たとえば、ドライヤーによって加熱することにより、熱収縮して前記ブラシ毛の基部を覆うと同時に堅固に結束することができる。
【0028】
前記ブラシ毛の結束は、たとえば、前記ドライヤーの加熱という簡単な手段によって、しかも堅固にすることができる。また、前記熱収縮性樹脂部材は、チューブを用いることにより、なお、一層容易に研磨ブラシを作製することができる。前記熱収縮性樹脂部材は、ブラシ毛の基部の任意の位置を覆うことができるため、ブラシ毛の広がりおよび折れを防止できる。また、前記熱収縮性樹脂部材は、ブラシ毛の基部を覆って結束するものであるため、たとえ、ブラシ毛が折れても、飛散するのを防止することができる。さらに、前記熱収縮性樹脂部材は、チューブの外に、テープ状の部材を巻き付けた後、加熱により熱収縮させることもできる。
【0029】
(第2発明)
第2発明の研磨ブラシは、研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている複数の金属線からなるブラシ毛によって構成されている。前記金属線からなるブラシ毛の基部は、熱収縮性樹脂部材によって覆い、互いに結束されている。前記熱収縮性樹脂部材は、前記金属線からなるブラシ毛の基部を覆った後、加熱することにより、前記ブラシ毛の基部を熱収縮して、堅固に結束することができる。さらに、前記ブラシ毛の基部の端部は、キャップ部材が取り付けられている。なお、本発明でいう「金属線」は、研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている金属線だけでなく、各種金属からなるいわゆるワイヤーブラシも含む。
【0030】
(第3発明)
第3発明の研磨ブラシは、合成樹脂を主体とした複数のブラシ毛と、研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている複数の金属線から構成されている。前記合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛は、その周囲に研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている複数の金属線が植設されている。前記複数の金属線は、熱収縮性樹脂部材によって、前記ブラシ毛の基部を覆うことにより、互いに結束されている。前記熱収縮性樹脂部材およびキャップ部材は、第2発明と同様にブラシ毛の基部の端部に取り付けられる。
【0031】
(第4発明)
第4発明の研磨ブラシは、合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、前記合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛の周囲に植設された複数の金属線、あるいは研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている複数の金属線からなるブラシ毛とから構成されている。前記合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛は、基部における任意の位置を第1の熱収縮性樹脂部材で覆った後、加熱することにより熱収縮で結束されている。
【0032】
前記金属線あるいは金属線からなるブラシ毛は、基部における任意の位置を第2の熱収縮性樹脂部材で覆うことにより、前記同様に、結束されている。前記金属線あるいは金属線からなるブラシ毛の基部の端部には、キャップ部材が取り付けられている。第4発明の研磨ブラシは、前記第1の熱収縮性樹脂部材の周囲に間隔を置き、第2の熱収縮性樹脂部材を設け、その間に前記金属線あるいは金属線からなるブラシ毛を装着し、その後、加熱して前記第2の熱収縮性樹脂部材を熱収縮させることにより研磨ブラシを堅固に結束している。
【0033】
(第5発明)
第5発明の研磨ブラシは、ブラシ毛の長さ方向で、第1発明から第4発明における熱収縮性樹脂部材または第2の熱収縮性樹脂部材より長さの長い熱収縮性樹脂部材によって前記ブラシ毛を覆って結束している。前記研磨ブラシは、先端部が研磨により消耗した場合、熱収縮性樹脂部材を剥がすことにより、使用することができるため、寿命が長くなる。
【0034】
(第6発明)
第6発明の研磨ブラシは、ブラシ毛の長さ方向において、少なくとも複数箇所で、熱収縮性樹脂部材によって覆って結束している。前記複数箇所の熱収縮性樹脂部材による結束は、ブラシ毛の広がりをなくすとともに、折れるのを防止する。また、前記熱収縮性樹脂部材は、前記ブラシ毛の消耗にしたがい、一箇所ずつ取り除くことによって、研磨ブラシの寿命を長くすることができる。
【0035】
(第7発明)
第7発明の研磨ブラシは、基部の端部が金属キャップによって取り付けられているため、研磨装置への装着に磁力の使用が可能になる。
【0036】
(第8発明)
第8発明の研磨ブラシは、キャップ部材が樹脂部材から構成されている。前記樹脂部材からなるキャップは、金属より安価に作製できる。
【0037】
(第9発明)
第9発明の研磨ブラシは、キャップ部材が樹脂部材からなり、その底部に金属板がインサート成形されている。前記金属板は、研磨装置に取り付ける際に研磨装置側の磁力を利用でき、簡単な取り付け作業となる。
【0038】
(第10発明)
第10発明の研磨ブラシは、キャップ部材となる樹脂部材に金属粉が混入されて成形されている。前記金属粉は、研磨装置に取り付ける際に研磨装置側の磁力を利用することができる。
【0039】
(第11発明)
第11発明の研磨ブラシは、ブラシ毛に含まれている基部の合成樹脂を加熱することにより、成形された溶着部が構成されている。前記ブラシ毛の基部は、加熱された金型に挿入することで加熱され、ブラシ毛に含まれている樹脂が溶融して、各ブラシ毛を結束する。
【0040】
(第12発明)
第12発明の研磨ブラシは、第11発明におけるブラシ毛の基部が合成樹脂によって成形された溶着部となっている。前記溶着部の端部には、金属板がインサート成形されている。前記溶着部の金属板は、ブラシ毛の取り付けに磁力が使用できる。
【0041】
(第13発明)
第13発明の研磨ブラシは、第11発明におけるブラシ毛の基部に金属砥粒が混入した部材により溶着部が成形されている。前記金属砥粒が混入した基部は、磁石等を備えた研磨装置に容易に取り付けることができる。
【0042】
(第14発明)
第14発明の研磨ブラシ装置は、第1発明から第13発明の研磨ブラシを複数個嵌合または磁力により取り付けることができる。前記研磨ブラシ装置は、ワークのバリ取り、あるいは表面研磨等に使用することができる。また、前記研磨ブラシ装置は、消耗したブラシ毛の交換が容易である。
【実施例1】
【0043】
図1(イ)から(ヘ)は本発明の研磨ブラシを説明するための図である。図1(イ)において、ブラシ毛は、比較的耐熱性の高い(300度Cから400度C)複数からなる合成樹脂部材11と、前記合成樹脂部材11の周囲に、たとえば、研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入された金属線からなるブラシ毛12とから構成されている。図1(ロ)において、ブラシ毛は、比較的耐熱性の低い(100度Cから150度C)複数からなる合成樹脂部材11′と、前記合成樹脂部材11′の周囲に、たとえば、平鋼線素材13からなるブラシ毛13とから構成されている。
【0044】
図1(ハ)において、ブラシ毛は、合成樹脂(たとえば、ナイロン−商標名)からなる複数の素材15と、ダイヤモンド混入素材および酸化セリウム混入線素材14との混毛から構成されている。図1(ニ)において、ブラシ毛は、合成樹脂部材11′に、三角線131、平鋼線13、ステンレス線132が混毛されている。図1(ホ)において、ブラシ毛は、前記合成樹脂部材11、11′の混毛であり、前記合成樹脂部材11の頂部に球状部が成形されている。図1(ヘ)において、ブラシ毛は、前記合成樹脂部材11の頂部に球状部16が成形された線材、およびダイヤモンド混入線14の混毛で、周囲を平鋼線13で囲んだ例である。
【0045】
さらに、図示されていないが、ブラシ毛は、合成樹脂部材が1種類からなるもの、金属砥粒等を含む線材だけからなるもの、各種素材の組み合わせからなるものが使用される。たとえば、ブラシ毛は、数本の周りに樹脂をコーティングしたもの、複数本を編んだもの、パイプ状の中に金属線が入ったもの、断面が丸線だけでなく、三角、四角、六角、八角、クローバー状、多角形としたもの、先端を球状または前記各種多角形にしたものがある。
【実施例2】
【0046】
図2は本発明の第1実施例で、ブラシ毛の基部を熱収縮性樹脂部材により覆って結束した状態を説明するための図である。図2において、ブラシ毛21は、前記段落0043から段落0045により説明したものを使用し、その基部を熱収縮性樹脂部材22(たとえば、チューブ状のもの)で覆う。その後、この部分は、加熱されることにより、熱収縮性樹脂部材22が収縮し、堅固に結束される。さらに、前記ブラシ毛21の基部は、たとえば、樹脂キャップ24が取り付けられる。前記樹脂キャップ24は、前記ブラシ毛21を研磨装置に容易に取り付けられる。なお、前記熱収縮性樹脂部材22を加熱収縮させるための熱源は、工業用ドライヤー、赤外線ヒーター、電熱器、電気炉、トーチランプ、ガスバーナ等がある。前記熱源は、温度を120度Cから160度Cの範囲で均一に加熱する。
【実施例3】
【0047】
図3(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例で、ブラシ毛の結束手順の一例を説明するための図である。図3(イ)において、たとえば、合成樹脂および/または合成樹脂を主体としたブラシ毛21は、前記同様にして、基部が第1の熱収縮性樹脂部材22によって覆われて結束される。次に、図3(ロ)において、第2の熱収縮性樹脂部材22′は、前記第1の熱収縮性樹脂部材22と間隔を置いて配置される。たとえば、研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入された金属線からなるブラシ毛23は、前記第1の熱収縮性樹脂部材22と、第2の熱収縮性樹脂部材22′の間に挿入された後、前記同様に、加熱して第2の熱収縮性樹脂部材22′を熱収縮させて結束する。
【0048】
その後、図3(ハ)に示すように、ブラシ毛23は、第2の熱収縮性樹脂部材22′の周囲に樹脂キャップ24を取り付けて、研磨ブラシとなる。さらに、ブラシ毛23は、第1の熱収縮性樹脂部材22および第2の熱収縮性樹脂部材22′の上に、必要に応じて、第3の熱収縮性樹脂部材25を設けることができる。前記第3の熱収縮性樹脂部材25は、通常、ブラシ毛21および23の先端部近傍を結束して、広がりまたは破損を防止するとともに、ブラシ毛21および23の先端部が消耗して短くなった場合、除去することにより、消耗前と同じように使用することができる。
【実施例4】
【0049】
図4(イ)から(ハ)は本発明の第3実施例で、熱収縮性樹脂部材を覆うキャップ部材を説明するための図である。図4(イ)において、熱収縮性樹脂部材に取り付けられる樹脂キャップ41は、端部に金属キャップ42が設けられる。前記金属キャップ42は、研磨ブラシ装置(図示されていない)に予め設けられている永久磁石(または電磁磁石)に吸着でき、必要に応じて、着脱が便利にできる。図4(ロ)において、樹脂キャップ41は、底部(図では右端部)に金属板43が予めインサート成形されている。前記樹脂キャップ41における金属板43は、前記と同様に、研磨ブラシ装置に容易に取り付けられる。
【0050】
図4(ハ)において、樹脂キャップ44は、成形に際し、予め金属砥粒または金属粉45を樹脂材に混入させ、金型で成形される。前記金属砥粒または金属粉45は、磁性材からなり、前記研磨ブラシ装置に設けられている永久磁石(または電磁磁石)に簡単に取り付けられる。
【実施例5】
【0051】
図5(イ)から(ハ)は本発明の第4実施例で、ブラシ毛を複数の熱収縮性樹脂部材により結束した例を説明するための図である。図5(イ)において、研磨ブラシは、ブラシ毛51と、基部を結束した熱収縮性樹脂部材52と、前記熱収縮性樹脂部材52に取り付けられたキャップ部材53とからなり、第1実施例に相当するものである。図5(ロ)において、ブラシ毛51は、第1の熱収縮性樹脂部材52−1および第2の熱収縮性樹脂部材52−2により、一定の間隔を開けて結束されている。
【0052】
図5(ハ)において、ブラシ毛51は、第1の熱収縮性樹脂部材52−1、第2の熱収縮性樹脂部材52−2、第3の熱収縮性樹脂部材52−3により、それぞれ一定の間隔を開けて結束されている。前記第4実施例における研磨ブラシは、ブラシ毛51の先端部が消耗した場合、第1の熱収縮性樹脂部材52−1、第2の熱収縮性樹脂部材52−2、第3の熱収縮性樹脂部材52−3と順次除去することにより、常に、ブラシ毛51の先端部が結束されていることになり、ブラシ毛51の広がり、あるいは折れて飛散するのを防止することができる。
【実施例6】
【0053】
図6(イ)から(ニ)は本発明の第5実施例で、ブラシ毛の基部を溶着する例を説明するための図である。図6(イ)において、ブラシ毛61は、基部を熱収縮性樹脂部材62により結束し、前記結束の前に、基部の端部が溶着された溶着部64を備え、さらに、前記熱収縮性樹脂部材62および溶着部64に樹脂キャップ63が取り付けられている。
【0054】
図6(ロ)において、ブラシ毛61は、金型66に垂直方向から図示されていない、治具により載置される。前記金型66は、その下部から熱源65が供給される。前記ブラシ毛61の下端部は、前記熱源65と金型66により、図6(ハ)に示されているように溶着部64が成形される。そして、図6(ニ)示されているように、前記ブラシ毛61および溶着部64は、前記金型66から取り出される。
【0055】
前記ブラシ毛61は、樹脂ブラシ毛と金属ブラシ毛が昆毛している。前記樹脂ブラシ毛と金属ブラシ毛との昆毛比は、樹脂ブラシ毛を多くし、金属ブラシ毛を少なくし、金属ブラシ毛の周囲に樹脂が回り込んで溶け、一体化できる程度にする。また、パイプ状の樹脂ブラシ毛は、その中に金属ブラシ毛を通すことで、周りが樹脂となるため、溶着が容易にできる。さらに、ブラシ毛は、金属ブラシ毛と樹脂ブラシ毛を編み込むことができる。また、樹脂ブラシ毛は、内部に研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されているもの、あるいは、マイナスイオン発生砥粒、静電気防止砥粒等を周りにコーティングすることができる。
【実施例7】
【0056】
図7(イ)および(ロ)は本発明の第6実施例で、研磨ブラシ装置を説明するための図である。図7(イ)において、ブラシ毛71は、基部を熱収縮性樹脂部材72により結束されており、その端部に金具73が取り付けられている。図7(ロ)において、研磨ブラシ装置は、前記ブラシ毛71、熱収縮性樹脂部材72、および金具からなる研磨ブラシを取付基台75の取付孔74に取り付ける。前記取付基台75は、図示されていない駆動機構に固定部76を固定する。たとえば、前記取付孔74には、永久磁石等が設けられており、前記ブラシ毛71が設けられている金具73を容易に取り付けることができる。前記ブラシ毛71の交換は、金属部分と永久磁石等が設けられているため、短時間に行うことができる。
【実施例8】
【0057】
図8(イ)から(ニ)は本発明の第7実施例で、ブラシ毛の基部を溶着部とした例を説明するためのものである。図8(イ)において、溶着ブラシ81は、ブラシ毛82の基部が溶着部となる。前記溶着部は、図6(ロ)における金型66をそのままキャップにした例である。図8(ハ)は、溶着部88を作製する際に、金属板89をインサートした例である。図8(ニ)は、溶着部88を作製する際に金属砥粒90を混入した例である。前記溶着部88は、金属部材により、研磨ブラシ装置に設けられた永久磁石等と簡単に着脱ができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明は、前記実施例において示されていない形状であっても、公知または周知の研磨用ブラシに適用できることはいうまでもないことである。また、本発明は、ブラシ、砥粒等の大きさ、形状、材質、および混入比率等を使用目的により任意に選択できることはいうまでもないことである。
【0059】
本発明のブラシ毛は、合成樹脂、金属、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒、研磨砥粒、マイナスイオンを発生する部材からなる砥粒等を使用目的によって任意の量混入することができる。また、本発明は、熱収縮性樹脂部材の代わりに、ゴム、ワイヤー、マスキングテープを使用することも可能である。
【0060】
本発明に使用する熱収縮性樹脂部材は、たとえば、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、架橋ポリエチレン、ニトリルブタジェンゴム、ポリオレフィン系エラストマー等がある。また、前記熱収縮性樹脂部材は、収縮前の内径が20mmで、収縮後の内径が10mm、収縮後の厚さ2mm程度のチューブ形のものが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(イ)から(ヘ)は本発明の研磨ブラシを説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施例で、ブラシ毛の基部を熱収縮性樹脂部材により覆って結束した状態を説明するための図である。(実施例1)
【図3】(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例で、ブラシ毛の結束手順の一例を説明するための図である。(実施例2)
【図4】(イ)から(ハ)は本発明の第3実施例で、熱収縮性樹脂部材を覆うキャップ部材を説明するための図である。(実施例3)
【図5】(イ)から(ハ)は本発明の第4実施例で、ブラシ毛を複数の熱収縮性樹脂部材により結束した例を説明するための図である。(実施例4)
【図6】(イ)から(ニ)は本発明の第5実施例で、ブラシ毛の基部を溶着する例を説明するための図である。(実施例5)
【図7】(イ)および(ロ)は本発明の第6実施例で、研磨ブラシ装置を説明するための図である。(実施例6)
【図8】(イ)から(ニ)は本発明の第7実施例で、ブラシ毛の基部を溶着部とした例を説明するためのものである。(実施例7)
【符号の説明】
【0062】
21、23・・・ブラシ毛
22、22′、25、・・・熱収縮性樹脂部材
24、41、44・・・樹脂キャップ
42・・・金属キャップ
43・・・金属板
45・・・金属砥粒または金属粉
51・・ブラシ毛
52、52−1、52−2、52−3・・・熱収縮性樹脂部材
53・・・キャップ部材
61・・・ブラシ毛
62・・・熱収縮性樹脂部材
63・・・樹脂キャップ
64・・・溶着部
65・・・熱源
66・・・金型
71・・・ブラシ毛
72・・・熱収縮性樹脂部材
73・・・金具
74・・・取付孔
75・・・取付基台
76・・・固定部
81、86・・・溶着ブラシ
82、87・・・ブラシ毛
83、88・・・溶着部
89・・・金属板
90・・・金属砥粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂および/または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、
前記ブラシ毛の基部を覆って結束する熱収縮性樹脂部材と、
前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨ブラシ。
【請求項2】
研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている金属線からなる複数のブラシ毛と、
前記ブラシ毛の基部を覆って結束する熱収縮性樹脂部材と、
前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨ブラシ。
【請求項3】
合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、
前記ブラシ毛の周囲に植設された研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている金属線からなる複数のブラシ毛と、
前記ブラシ毛の基部を覆って結束する熱収縮性樹脂部材と、
前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨ブラシ。
【請求項4】
合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛と、
前記合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛の基部を覆って結束する第1の熱収縮性樹脂部材と、
前記合成樹脂製または合成樹脂を主体とする複数のブラシ毛の周囲に植設された研磨砥粒、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒の中の少なくとも1種類または2種類以上が混入されている金属線からなる複数のブラシ毛と、
前記金属線からなるブラシ毛の基部を覆って結束する第2の熱収縮性樹脂部材と、
前記基部の端部に取り付けられたキャップ部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨ブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ毛の長さ方向で、前記熱収縮性樹脂部材または前記第2の熱収縮性樹脂部材より長さの長い熱収縮性樹脂部材によって前記ブラシ毛を覆って結束することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された研磨ブラシ。
【請求項6】
前記熱収縮性樹脂部材は、少なくとも複数箇所においてブラシ毛を覆って結束していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された研磨ブラシ。
【請求項7】
前記キャップ部材は、金属からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された研磨ブラシ。
【請求項8】
前記キャップ部材は、樹脂部材からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された研磨ブラシ。
【請求項9】
前記キャップ部材は、樹脂部材の底部に金属板がインサート成形されていることを特徴とする請求項8に記載された研磨ブラシ。
【請求項10】
前記キャップ部材は、樹脂部材に金属粉が混入されていることを特徴とする請求項9に記載された研磨ブラシ。
【請求項11】
前記ブラシ毛の基部は、合成樹脂によって成形された溶着部から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載された研磨ブラシ。
【請求項12】
前記ブラシ毛の基部は、合成樹脂によって成形された溶着部の端部に金属板がインサートされていることを特徴とする請求項11に記載された研磨ブラシ。
【請求項13】
前記ブラシ毛の基部は、金属砥粒が混入した部材により溶着部が成形されていることを特徴とする請求項11に記載された研磨ブラシ。
【請求項14】
前記複数個の研磨ブラシが嵌合または磁力により取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載された研磨ブラシ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−38328(P2007−38328A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223778(P2005−223778)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(398029234)
【出願人】(300038675)
【Fターム(参考)】