砥石旋回中心測定方法および砥石旋回中心測定装置
【課題】砥石車の砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を高精度に測定することができる砥石旋回中心測定方法および砥石旋回中心測定装置を提供する。
【解決手段】砥石車42を第1〜第4旋回角度位置に位置決めし、4つのプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求める。そして、4つの位置関係およびマスタプレート24の既知の寸法等から、幾何学的に砥石車42の砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの位置関係を演算する。この方法によれば、砥石台40を旋回させて砥石車42のR形状を成形するツルーイングの砥石形状精度が向上する。
【解決手段】砥石車42を第1〜第4旋回角度位置に位置決めし、4つのプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求める。そして、4つの位置関係およびマスタプレート24の既知の寸法等から、幾何学的に砥石車42の砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの位置関係を演算する。この方法によれば、砥石台40を旋回させて砥石車42のR形状を成形するツルーイングの砥石形状精度が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸台と砥石台との相対移動および主軸台に対する砥石台の旋回が可能であり、主軸台に装着される工作物を砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤において、砥石旋回中心を測定する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2000−94322号公報(特許文献1)には、研削盤において、砥石台に取付けられたタッチプローブと、主軸台に固定された基準ブロックおよび転写棒とを用いて工作物に対する砥石車の外径位置を測定することが記載されている。つまり、タッチプローブを基準ブロックに当接させ、砥石車の回転軸芯と主軸の回転軸芯との位置関係を求める。次に、転写棒の先端を砥石車により研削し、転写棒の先端の位置をタッチプローブで測定して砥石車の半径を求める。そして、砥石車の回転軸芯と主軸の回転軸芯との位置関係と砥石車の半径とから、工作物に対する砥石車の外径位置を求める。
【0003】
また、例えば特開平9−70755号公報(特許文献2)には、研削盤において、砥石台に取付けられたタッチセンサと、主軸台に固定された検知ピンとを用いて砥石車のツルーイング工具に対する移動量を補正することが記載されている。つまり、検知ピンの先端を砥石車により研削する前後において、検知ピンの先端の位置をタッチセンサで測定して磨耗量を求める。そして、求めた磨耗量に基づいて、砥石車のツルーイング工具に対する移動量を補正する。
【0004】
上述の特許文献1,2に記載の方法は、主軸台と砥石台とが直交方向に相対移動する研削盤に適用されるものであり、主軸台に対する砥石台の旋回が可能な研削盤には適用することができない。これに対し、例えば特開平3−55159号公報(特許文献3)には、砥石台の旋回が可能な旋回台を備えた研削盤において、砥石車の研削先端点の座標位置を検出することが記載されている。つまり、旋回台を任意位置から第1旋回位置に旋回させたときの砥石車の研削先端点の第1変位を求める。次に、旋回台を第1旋回位置から第2旋回位置に旋回させたときの砥石車の研削先端点の第2変位を求める。そして、求めた第1、第2変位および旋回角度に基づいて、砥石車の研削先端点の座標位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−94322号公報
【特許文献2】特開平9−70755号公報
【特許文献3】特開平3−55159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献3に記載の方法は、第1、第2変位および旋回角度に基づいて、砥石車の研削先端点の座標位置を検出している。この旋回角度は、研削盤の制御装置の制御データ上の旋回中心点を基準に求めている。ところが、制御データ上の旋回中心点は、研削盤の製造誤差や熱変位等により、実際の旋回中心点と異なる場合がある。このため、検出される砥石車の研削先端点の座標位置に誤差が生じることになる。
【0007】
その結果、砥石台を旋回させて砥石車のR形状を成形するツルーイングにおいて、制御装置が演算する砥石軌跡と実際の砥石軌跡との間に誤差が生じ、砥石形状誤差となるおそれがある。また、砥石台を旋回させて砥石車により研削を行う場合には、工作物寸法の誤差となってしまい、砥石台の旋回角度毎に寸法を補正する必要がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、砥石車の砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を高精度に測定することができる砥石旋回中心測定方法および砥石旋回中心測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(砥石旋回中心測定方法)
(請求項1)本発明の砥石旋回中心測定方法は、主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤であって、前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートを備え、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定方法において、前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接工程と、前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算工程と、前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算工程と、を備える。
【0010】
(請求項2)前記マスタプレートには、前記複数のプレート基準面に垂直であって、回転している前記砥石車が接触可能な複数のピンが夫々立設され、前記砥石台には、位置測定が可能な位置測定手段が取付けられ、前記当接工程は、前記砥石車の円筒面または端面を異なる旋回角度で少なくとも4回前記ピンに当接させ、少なくとも1つの前記ピンには他の前記ピンに当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させて前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置を求める工程と、前記位置測定手段で前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置を測定する工程であり、前記演算工程は、前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置、前記位置測定手段で測定した前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置に基づいて、前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係を演算する工程であるようにしてもよい。
【0011】
(請求項3)前記主軸台の移動方向をZ軸方向、前記砥石台の移動方向を前記Z軸方向と直交するX軸方向とした場合、第1演算工程は、第1位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向の距離を演算し、第2演算工程は、第2位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記Z軸方向の距離を演算し、第3演算工程は、第3位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算し、第4演算工程は、第4位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算するようにしてもよい。
【0012】
(請求項4)前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された前記第3プレート基準面に接触させるようにしてもよい。
【0013】
(請求項5)前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させるようにしてもよい。
【0014】
(請求項6)前記第4演算工程は、前記砥石車を前記第3旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させるようにしてもよい。
【0015】
(砥石旋回中心測定装置)
(請求項7)本発明の砥石旋回中心測定装置は、主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤において、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定装置であって、前記砥石台に取付けられており、位置測定が可能な位置測定手段と、前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートと、前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接手段と、前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算手段と、前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算手段と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1)砥石車を第1、第2、第3、第4旋回角度位置に位置決めし、4つのプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求める。そして、4つの位置関係およびマスタプレートの既知の寸法等から、幾何学的に砥石車の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する。この方法によれば、砥石車の砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を高精度に測定することができる。よって、例えば、砥石台を旋回させて砥石車のR形状を成形するツルーイングにおいて、砥石形状の精度を向上させることができる。また、砥石台を旋回させて砥石車により研削を行う場合、砥石台の旋回角度毎に寸法を補正しなくても工作物を高精度に研削することができる。
【0017】
(請求項2)回転している砥石車がマスタプレートに直接接触しなくてもよいように、回転している砥石車が接触可能なピンをマスタプレートに設けている。これにより、停止している砥石車を手動によりマスタプレートに直接接触させて、4つのプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求める必要はなく、該位置関係を自動的に求めることが可能となる。
【0018】
(請求項3)主軸台の移動方向であるZ軸方向、および砥石台の移動方向をであるZ軸方向と直交するX軸方向のプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求めている。これにより、砥石車の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を幾何学的に容易に演算することができる。
【0019】
(請求項4)第1旋回角度位置と第2旋回角度位置が同一であるので、砥石車の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0020】
(請求項5)第3演算工程および第4演算工程の旋回角度を小さくできるため、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。また、砥石車と主軸台に装着された砥石車をツルーイングするツルーイング装置との干渉を防止することができる。
【0021】
(請求項6)第3演算工程および第4演算工程の砥石車の旋回角度位置が同一であるので、砥石車の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0022】
(請求項7)本発明の砥石旋回中心測定装置によれば、上述した砥石旋回中心測定方法における効果と同様の効果を奏する。また、砥石旋回中心測定方法における他の特徴部分について、本発明の砥石旋回中心測定装置に同様に適用できる。そして、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】研削盤の平面図である。
【図2】第一実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図3】第一実施形態:砥石旋回中心測定プログラムのフローチャートである。
【図4】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1位置関係を求める手順を示す図である。
【図5】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第2位置関係を求める手順を示す図である。
【図6】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第3位置関係を求める手順を示す図である。
【図7】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第4位置関係を求める手順を示す図である。
【図8】第一実施形態:砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を示す図である。
【図9】第二実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図10】第二実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【図11】第三実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図12】第三実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【図13】第四実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図14】第四実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【図15】第五実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図16】第五実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第一実施形態>
(1.研削盤の機械構成)
研削盤1の一例として、砥石台旋回機構を有する研削盤を例に挙げ、図1を参照して説明する。図1に示すように、研削盤1は、ベッド10と、主軸台20と、心押台30と、砥石台40と、制御装置50とから概略構成される。
【0025】
ベッド10は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。ただし、ベッド10の形状は矩形状に限定されるものではない。このベッド10の上面には、一対の主軸台用ガイドレール11a,11bが、図1の左右方向(Z軸方向)に延びるように、且つ、相互に平行に形成されている。一対の主軸台用ガイドレール11a,11bは、矩形状の主軸台用移動テーブル12が摺動可能なレールである。
【0026】
さらに、ベッド10には、一対の主軸台用ガイドレール11a,11bの間に、主軸台用移動テーブル12を図1の左右方向に駆動するための、主軸台用Z軸ボールねじ11cが配置され、この主軸台用Z軸ボールねじ11cを回転駆動する主軸台用Z軸モータ11dが配置されている。この主軸台用Z軸モータ11dはエンコーダ11eを有しており、エンコーダ11eにより主軸台用Z軸モータ11dの回転角を検出することができる。
【0027】
主軸台用移動テーブル12上には、主軸台20と心押台30とが対向して配置されている。主軸台20は、主軸台本体21と、チャック22と、主軸モータ23とを備えている。主軸台本体21は、主軸台用移動テーブル12の上面のうち、図1の左側に固定されている。この主軸台本体21には、Z軸方向と平行な軸線の周りで回転可能にチャック22が設けられている。チャック22の回転軸部材は、主軸モータ23のモータ軸部材にギヤ機構等を介して連結されている。
【0028】
主軸台本体21には、詳細は後述するが、砥石車22の砥石基準点Pgの位置に対する実際の旋回中心点Crの位置を測定するために、ほぼ矩形状のマスタプレート24が砥石台40側に突設されている。このマスタプレート24は、図2に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθ度(本例では、45度)の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート24は、先端左角部の頂点がプレート基準点P0として設けられている。
【0029】
そして、プレート基準点P0から傾斜面に達する境界点P1までのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1として設けられている。境界点P1からの傾斜面が第3プレート基準面SP3として設けられている。傾斜面を超える境界点P2から主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2として設けられている。
【0030】
マスタプレート24は、第3プレート基準面SP3の傾斜角度θおよびプレート基準点P0と各境界点P1,P2との距離A,Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート24には、第1〜第3プレート基準面SP1〜SP3に夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な第1〜第3ピン25a〜25cが夫々立設されている。
【0031】
心押台30は、心押台本体31と、センタ32とを備えている。心押台本体31は、主軸台用移動テーブル12の上面のうち、図1の右側に固定されている。この心押台本体31には、左右方向に移動可能なセンタ32が設けられている。工作物Wは、一端がチャック22に把持され、他端がセンタ32に支持され、主軸モータ23によりZ軸方向と平行な軸線の周りで回転される。
【0032】
ベッド10の上面には、一対の砥石台用ガイドレール13a,13bが、図1の上下方向(X軸方向)に延びるように、且つ、相互に平行に形成されている。一対の砥石台用ガイドレール13a,13bは、矩形状の砥石台用移動テーブル14が摺動可能なレールである。さらに、ベッド10には、一対の砥石台用ガイドレール13a,13bの間に、砥石台用移動テーブル14を図1の上下方向に駆動するための、砥石台用X軸ボールねじ13cが配置され、この砥石台用X軸ボールねじ13cを回転駆動する砥石台用X軸モータ13dが配置されている。この砥石台用X軸モータ13dはエンコーダ13eを有しており、エンコーダ13eにより砥石台用X軸モータ13dの回転角を検出することができる。
【0033】
砥石台用移動テーブル14上には、X軸およびZ軸に直交するB軸周りで回転可能な円形状の砥石台用回転テーブル15が配置されている。砥石台用回転テーブル15の側縁には、砥石台用回転テーブル15をB軸回りで回転するための、ウォームホイール16aが形成されている。そして、砥石台用回転テーブル15上には、ウォームホイール16aと噛合するウォーム16bがモータ軸に嵌入されているB軸サーボモータ16cが配置されている。このB軸サーボモータ16cはエンコーダ16dを有しており、エンコーダ16dによりB軸サーボモータ16cの回転角を検出することができる。
【0034】
砥石台用回転テーブル15上には、砥石台40が配置されている。砥石台40は、砥石台本体41と、砥石車42と、砥石車駆動用モータ43とを備えている。砥石台本体41には、砥石車用軸部材44が軸回りで回転可能に支承されている。この砥石車用軸部材44の先端には、工作物Wを研削する砥石車42が装着されている。砥石車用軸部材44の後端は、砥石車駆動用モータ43のモータ軸部材とベルト伝動機構45を介して連結されている。つまり、砥石車42は、砥石車駆動用モータ43により砥石車用軸部材44の軸回りで回転駆動される。さらに、砥石台本体41には、位置測定手段としてタッチセンサ46が設けられている。タッチセンサ46のタッチプローブ46aは、主軸台20側に突設されている。なお、タッチセンサ46の代わりに、超音波(AE)センサにより位置測定するように構成してもよい。
【0035】
制御装置50は、中央処理装置51と、種々の制御値およびプログラムを記憶するメモリ52と、インターフェィス53,54から主に構成されている。メモリ52には、研削加工プログラムおよび研削加工サイクルを実行するに必要な種々のデータが記憶される。制御装置50には、インターフェース53,54を介して種々のデータが入出力される。入出力装置55として、データの入力等を行うためのキーボード、データの表示を行うLCD等の表示装置を備えている。また、制御装置50には、タッチセンサ46からの検出信号が増幅器56を介して入力される。
【0036】
制御装置50は、Z軸モータ駆動ユニット57を介して主軸台用移動テーブル12をZ軸方向へ移動させる主軸台用Z軸モータ11dに駆動信号を与える。主軸台用Z軸モータ11dに取り付けられたエンコーダ11eは、主軸台用Z軸モータ11dの回転位置、即ち主軸台用移動テーブル12の位置をZ軸モータ駆動ユニット57および制御装置50へ送出する。
【0037】
また、制御装置50は、X軸モータ駆動ユニット58を介して砥石台用移動テーブル14をX軸方向へ移動させる砥石台用X軸モータ13dに駆動信号を与える。砥石台用X軸モータ13dに取り付けられたエンコーダ13eが、砥石台用X軸モータ13dの回転位置、即ち砥石台用移動テーブル14の位置をX軸モータ駆動ユニット58および制御装置50へ送出する。
【0038】
また、制御装置50は、B軸モータ駆動ユニット59を介して砥石台用回転テーブル15をB軸回りに回転させるB軸サーボモータ16cに駆動信号を与える。B軸サーボモータ16cに取り付けられたエンコーダ16dは、B軸サーボモータ16cの回転位置、即ち砥石台用回転テーブル15の位置をB軸モータ駆動ユニット59および制御装置50へ送出する。
【0039】
制御装置50は、メモリ42に記憶されたNCプログラムの目標位置指令とエンコーダ11e,13eからの現在位置信号との偏差により、主軸台用Z軸モータ11d、砥石台用X軸モータ13dをそれぞれ駆動し、主軸台用移動テーブル12上の工作物Wおよび砥石台用移動テーブル14上の砥石車42をそれぞれ目標位置に位置決め制御する。また、目標位置指令とエンコーダ16dから現在位置信号との偏差により、B軸サーボモータ16cを駆動し、砥石台用回転テーブル15上の砥石車42を目標位置(目標角度)に位置(角度)決め制御する。また、制御装置50は、図略の主軸モータ23用のモータ駆動ユニットおよび砥石車駆動用モータ43用のモータ駆動ユニットを介して主軸モータ23および砥石車駆動用モータ43に駆動信号を与える。
【0040】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
次に、制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムの実行について、図3〜図8を参照して説明する。なお、図1に示すように、砥石車42の回転軸AgがZ軸方向と平行なときの旋回角度を0度とし、右回りが正方向とする。
【0041】
図3に示すように、砥石台用回転テーブル15を回転し、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする(ステップS1)。この状態で、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の円筒面が第1ピン25aの先端に接触したか否かを判断する(ステップS2)。図4(A)−(a)に示すように、砥石車42の円筒面が第1ピン25aの先端に接触したとき、該接触点Qaの架空原点Oに対するX軸方向の位置Xaを求める(ステップS3)。
【0042】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図4(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第1プレート基準面SP1に接触させ、第1プレート基準面SP1の架空原点Oに対するX軸方向の位置Xbを測定する。さらに、図4(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第1ピン25aの上記接触点Qaに接触させ、該接触点Qaの架空原点Oに対するX軸方向の位置Xcを測定する(ステップS4)。
【0043】
そして、図4(B)に示すように、求めた第1ピン25aの接触点QaのX軸方向の位置Xa、測定した第1プレート基準面SP1のX軸方向の位置Xb、および第1ピン25aの接触点QaのX軸方向の位置Xcに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するX軸方向の位置XA(=Xa−(Xc−Xb))を演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係としてX軸方向の距離X1(=Xcc−XA)を演算する(ステップS5)。なお、Xccは、制御上の旋回中心点Ccの架空原点Oに対するX軸方向の位置である。
【0044】
次に、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままで(ステップS6)、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の端面が第2ピン25bの先端に接触したか否かを判断する(ステップS7)。図5(A)−(a)に示すように、砥石車42の端面が第2ピン25bの先端に接触したとき、該接触点Qbの架空原点Oに対するZ軸方向の位置Zaを求める(ステップS8)。
【0045】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図5(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第2プレート基準面SP2に接触させ、第2プレート基準面SP2の架空原点Oに対するZ軸方向の位置Zbを測定する。さらに、図5(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第2ピン25bの上記接触点Qbに接触させ、該接触点Qbの架空原点Oに対するZ軸方向の位置Zcを測定する(ステップS9)。
【0046】
そして、図5(B)に示すように、求めた第2ピン25bの接触点QbのZ軸方向の位置Za、測定した第2プレート基準面SP2のZ軸方向の位置Zb、および第2ピン25bの接触点QbのZ軸方向の位置Zcに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するZ軸方向の位置ZA(=Za−(Zc−Zb)−B)を演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係としてZ軸方向の距離Z3(=Zcc−ZA)を演算する(ステップS10)。なお、Zccは、制御上の旋回中心点Ccの架空原点Oに対するZ軸方向の位置である。
【0047】
次に、図6(A)−(a)に示すように、砥石台用回転テーブル15を回転し、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が+45度となる位置に位置決めする(ステップS11)。この状態で、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の円筒面が第3ピン25cの先端に接触したか否かを判断する(ステップS12)。砥石車42の円筒面が第3ピン25cの先端に接触したとき、該接触点Qcの架空原点Oに対するX軸方向の位置XdおよびZ軸方向の位置Zdを求める(ステップS13)。
【0048】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図6(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第3プレート基準面SP3に接触させ、第3プレート基準面SP3の架空原点Oに対するX軸方向の位置XeおよびZ軸方向の位置Zeを測定する。さらに、図4(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第3ピン25cの上記接触点Qcに接触させ、該接触点Qcの架空原点Oに対するX軸方向の位置XfおよびZ軸方向の位置Zfを測定する(ステップS14)。
【0049】
そして、図6(B)に示すように、求めた第3ピン25cの接触点QcのX軸方向の位置XdおよびZ軸方向の位置Zd、測定した第3プレート基準面SP3のX軸方向の位置XeおよびZ軸方向の位置Ze、並びに第3ピン25cの接触点QcのX軸方向の位置XfおよびZ軸方向の位置Zfに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するX軸方向の位置XBおよびZ軸方向の位置ZBを演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係としてX軸方向の距離X2(=Xcc−XB)およびZ軸方向の距離Z2(=Zcc−ZB)を演算する(ステップS15)。
【0050】
次に、図7(A)−(a)に示すように、砥石台用回転テーブル15を回転し、砥石車42を第4旋回角度位置として旋回角度が−45度となる位置に位置決めする(ステップS16)。この状態で、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の端面が第3ピン25cの先端に接触したか否かを判断する(ステップS17)。砥石車42の端面が第3ピン25cの先端に接触したとき、該接触点Qdの架空原点Oに対するX軸方向の位置XgおよびZ軸方向の位置Zgを求める(ステップS18)。
【0051】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図7(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第3プレート基準面SP3に接触させ、第3プレート基準面SP3の架空原点Oに対するX軸方向の位置XhおよびZ軸方向の位置Zhを測定する。さらに、図7(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第3ピン25cの上記接触点Qdに接触させ、該接触点Qdの架空原点Oに対するX軸方向の位置XiおよびZ軸方向の位置Ziを測定する(ステップS19)。
【0052】
そして、図7(B)に示すように、求めた第3ピン25cの接触点QdのX軸方向の位置XgおよびZ軸方向の位置Zg、測定した第3プレート基準面SP3のX軸方向の位置XhおよびZ軸方向の位置Zh、並びに第3ピン25cの接触点QdのX軸方向の位置XiおよびZ軸方向の位置Ziに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するX軸方向の位置XCおよびZ軸方向の位置ZCを演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係としてX軸方向の距離X4(=Xcc−XC)およびZ軸方向の距離Z4(=Zcc−ZC)を演算する(ステップS20)。なお、砥石車42を各ピン25a〜25cに接触させず、手動により各プレート基準面SP1〜SP3に直接接触させて各位置関係を演算するようにしてもよい。
【0053】
そして、図8に示すように、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する(ステップS21)。ここで、第1〜第4の位置関係で求めたX1,Z3,X2,Z2,X4,Z4は、制御上の旋回中心点Ccと実際の旋回中心点CrとのX軸方向の距離をXo、Z軸方向の距離をZoとしたとき、次式(1)〜(4)で表される。よって、式(1)〜(4)からXo,Zoを消去することで、次式(5),(6)からX,Zを求めることができる。
【0054】
X1=Xo+X・・・(1)
X2=Xo+(Xsinθ−Zcosθ)
−(Z2−Zo−(Xcosθ+Zsinθ)−A)/tanθ・・・(2)
Z3=Zo+Z+B・・・(3)
Z4=Zo+(−Xsinθ+Zcosθ)
+(Xo+Xcosθ+Zsinθ−X4)*tanθ+A・・・(4)
【0055】
X=(−((X1−X2)*tanθ−(Z2−Z3+B−A))
*(1−1/cosθ)−(Z4−Z3+B−A)+(X1−X4)*tanθ)
/(tanθ−(1−1/sinθ)*(1−1/cosθ)*tanθ)・・・(5)
Z=(((Z4−Z3+B−A)/tanθ−(X1−X4))*(1−1/sinθ)
+(X1−X2)−(Z2−Z3+B−A)/tanθ)
/(1/tanθ−(1−1/cosθ)*(1−1/sinθ)/tanθ)・・・(6)
【0056】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
砥石車42を第1、第2、第3、第4旋回角度位置に位置決めし、4つのプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求める。そして、4つの位置関係およびマスタプレート24の既知の寸法等から、幾何学的に砥石車42の砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの位置関係を演算する。この方法によれば、砥石車の砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を高精度に測定することができる。よって、例えば、砥石台40を旋回させて砥石車42のR形状を成形するツルーイングにおいて、砥石形状の精度を向上させることができる。また、砥石台40を旋回させて砥石車42により研削を行う場合、砥石台40の旋回角度毎に寸法を補正しなくても工作物Wを高精度に研削することができる。
【0057】
また、回転している砥石車42がマスタプレート24に直接接触しなくてもよいように、回転している砥石車42が接触可能なピン25a〜25cをマスタプレート24に設けている。これにより、停止している砥石車42を手動によりマスタプレート24に直接接触させて、4つのプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求める必要はなく、該位置関係を自動的に求めることが可能となる。また、主軸台20の移動方向であるZ軸方向、および砥石台40の移動方向であるZ軸方向と直交するX軸方向のプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求めている。これにより、砥石車42の砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの位置関係を幾何学的に容易に演算することができる。また、第1旋回角度位置と第2旋回角度位置が同一であるので、砥石車42の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0058】
<第二実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図9に示すマスタプレート64が用いられる。このマスタプレート64は、図9に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθ度の角度の傾斜面となるように切り欠かれていると共に、先端左角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のγ度の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート64は、先端左角部の傾斜面とZ軸方向に平行な面(第1プレート基準面SP1a)との境界点がプレート基準点P0aとして設けられている。
【0059】
そして、プレート基準点P0aから先端右角部の傾斜面に達する境界点P1aまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1aとして設けられている。境界点P1aからの先端右角部の傾斜面が第3プレート基準面SP3aとして設けられている。先端右角部の傾斜面を超える境界点P2aから主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2aとして設けられている。さらに、プレート基準点P0aからの先端左角部の傾斜面が第4プレート基準面SP4aとして設けられている。
【0060】
マスタプレート64は、第3プレート基準面SP3aの傾斜角度θ、第4プレート基準面SP4aの傾斜角度γおよびプレート基準点P0aと各境界点P1a,P2aとの距離A,Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート24には、第1〜第4プレート基準面SP1a〜SP4aに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1〜第4ピンが夫々立設されている。
【0061】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート64との接触態様を図10を参照して説明する。
【0062】
図10(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0063】
次に、図10(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0064】
次に、図10(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が90−θ度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第3プレート基準面SP3aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0065】
次に、図10(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置として旋回角度が90度−γ度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第4プレート基準面SP4aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。このプレート基準点P0aと制御上の旋回中心点CcとのX軸方向の距離X5と、Z軸方向の距離Z5との関係は、次式(7)で表される。
【0066】
Z5=Zo+(−Xcosγ+Zsinγ)−(Xo+Xsinγ+Zcosγ−X5)*tanγ・・・(7)
【0067】
そして、第一実施形態で使用した式(4)を除く式(1)〜(3)および次式(8),(9)から、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0068】
X=((Z5−Z3+B+(X1−X5)*tanγ)/tanθ+(X1−X2)
−(Z2−Z3+B−A)/tanθ)
/((1−1/sinθ)−(1/cosγ−tanγ)/tanθ)・・・(8)
Z=−X*(1/cosγ−tanγ)−(Z5−Z3+B+(X1−X5)*tanγ
・・・(9)
【0069】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
砥石車42を大きく旋回させなくても2つのプレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求めることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。また、マスタプレート64は、第3プレート基準面SP3aおよび第4プレート基準面SP4aの2つの傾斜面を有している。このため、砥石車42を2つの傾斜面に夫々接触させればよく、砥石車42と主軸台20に装着された砥石車42をツルーイングするツルーイング装置やピン等の他部材との干渉が生じ難い。
【0070】
<第三実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図11に示すマスタプレート64が用いられる。このマスタプレート64は、図11に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθ度の角度の傾斜面となるように切り欠かれていると共に、先端左角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のγ度(本例では、90度−θ度)の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート64は、先端左角部の傾斜面とZ軸方向に平行な面(第1プレート基準面SP1b)との境界点がプレート基準点P0bとして設けられている。
【0071】
そして、プレート基準点P0bから先端右角部の傾斜面に達する境界点P1bまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1bとして設けられている。境界点P1bからの先端右角部の傾斜面が第3プレート基準面SP3bとして設けられている。先端右角部の傾斜面を超える境界点P2bから主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2bとして設けられている。さらに、プレート基準点P0bからの先端左角部の傾斜面が第4プレート基準面SP4bとして設けられている。
【0072】
マスタプレート64は、第3プレート基準面SP3bの傾斜角度θ、第4プレート基準面SP4bの傾斜角度γおよびプレート基準点P0bと各境界点P1b,P2bとの距離A,Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート24には、第1〜第4プレート基準面SP1b〜SP4bに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1〜第4ピンが夫々立設されている。
【0073】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート64との接触態様を図12を参照して説明する。
【0074】
図12(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0075】
次に、図12(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0076】
次に、図12(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が−θ度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第3プレート基準面SP3bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0077】
次に、図12(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第4旋回角度位置は第3旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が−θ度(=−(90度−γ度))となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の円筒面を第4プレート基準面SP4bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。そして、プレート基準点P0b、プレート基準点P0bと境界点P1bとの距離A、第3プレート基準面SP3bの傾斜角度θ、第4プレート基準面SP4bの傾斜角度γおよびプレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第1から第4位置関係に基づいて、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0078】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
第3旋回角度位置および第4旋回角度位置が同一であるので、砥石車42の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0079】
<第四実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図13に示すマスタプレート74が用いられる。このマスタプレート74は、図13に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθc度(本例では、45度)の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート74は、先端左角部の頂点がプレート基準点P0cとして設けられている。
【0080】
そして、プレート基準点P0cから先端右角部の傾斜面に達する境界点P1cまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1cとして設けられている。境界点P1cからの先端右角部の傾斜面が第2プレート基準面SP2cとして設けられている。マスタプレート74は、第2プレート基準面SP2cの傾斜角度θcおよびプレート基準点P0cと境界点P1cとの距離Aは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート74には、第1、第2プレート基準面SP1c,SP2cに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1、第2ピンが夫々立設されている。
【0081】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート74との接触態様を図14を参照して説明する。
【0082】
図14(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0083】
次に、図14(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置として旋回角度が−90度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第1プレート基準面SP1cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0084】
次に、図14(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が+θ度(45度)となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第2プレート基準面SP2cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0085】
次に、図14(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置として旋回角度が−θ度(−45度)となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。
【0086】
そして、プレート基準点P0c、プレート基準点P0cと境界点P1cとの距離A、第2プレート基準面SP2cの傾斜角度θcおよびプレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第1から第4位置関係に基づいて、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0087】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
マスタプレート74には、2つのプレート基準面SP1b,SP2bおよび2つのピンのみが形成されている。これにより、マスタプレート84の製作コストを低減することができる。
【0088】
<第五実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図15に示すマスタプレート84が用いられる。このマスタプレート84は、図15に示すように、矩形状に形成されている。マスタプレート84は、先端左角部の頂点がプレート基準点P0dとして設けられている。
【0089】
そして、プレート基準点P0dから先端右角部の頂点P1dまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1dとして設けられている。先端右角部の頂点P1dから主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2dとして設けられている。マスタプレート84は、プレート基準点P0dと先端右角部の頂点P1dとの距離Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート84には、第1、第2プレート基準面SP1d,SP2dに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1、第2ピンが夫々立設されている。
【0090】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート84との接触態様を図16を参照して説明する。
【0091】
図16(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0092】
次に、図16(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0093】
次に、図16(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が−90度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第1プレート基準面SP1dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0094】
次に、図16(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第4旋回角度位置は第3旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が−90度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の円筒面を第2プレート基準面SP2dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。
【0095】
そして、プレート基準点P0d、プレート基準点P0dと先端右角部の頂点P1dとの距離B、およびプレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第1から第4位置関係に基づいて、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0096】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
マスタプレート84には、直交する2つのプレート基準面SPd1,SPd2および2つのピンのみが形成されている。これにより、砥石車42を一度だけ90度旋回させるのみにより4つのプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求めることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムをさらに短縮することができる。
【0097】
<各実施形態の変形態様>
なお、第一実施形態において、第3および第4演算工程では砥石車42の円筒面および端面を第3プレート基準面SP3に夫々接触させる構成としたが、砥石車42の端面および円筒面を第3プレート基準面SP3に夫々接触させる構成としてもよい。また、第二実施形態において、第3および第4演算工程では砥石車42の円筒面および端面を第3プレート基準面SP3aおよび第4プレート基準面SP4aに夫々接触させる構成としたが、砥石車42の端面および円筒面を第3プレート基準面SP3aおよび第4プレート基準面SP4aに夫々接触させる構成としてもよい。
【0098】
また、各実施形態において、研削盤1立ち上げ時の初期設定時に、寸法が分かっているマスタ砥石車を用いて砥石基準点Pgと制御上の旋回中心点Ccとの距離を求める。そして、求めた距離からマスタ砥石車の寸法を除算することで、砥石車42の取り付けの基準位置と制御上の旋回中心点Ccとの距離を求める。そして、砥石交換後に、基準角度での位置合わせのみを行うことにより、砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの距離を求めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1:研削盤
10:ベッド、 11a,11b:主軸台用ガイドレール、
12:主軸台用移動テーブル、 13a,13b:砥石台用ガイドレール
14:砥石台用移動テーブル
11c:砥石台用Z軸ボールねじ、 11d:砥石台用Z軸モータ
20:主軸台、 21:主軸台本体、 22:チャック、 23:主軸モータ
24,64,74,84:マスタプレート、 25a〜25c:第1〜第3ピン
30:心押台、 31:心押台本体、 32:センタ
40:砥石台、 41:砥石台本体、 42:砥石車、 43:砥石車駆動用モータ
46:タッチセンサ、 46a:タッチプローブ
50:制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸台と砥石台との相対移動および主軸台に対する砥石台の旋回が可能であり、主軸台に装着される工作物を砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤において、砥石旋回中心を測定する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2000−94322号公報(特許文献1)には、研削盤において、砥石台に取付けられたタッチプローブと、主軸台に固定された基準ブロックおよび転写棒とを用いて工作物に対する砥石車の外径位置を測定することが記載されている。つまり、タッチプローブを基準ブロックに当接させ、砥石車の回転軸芯と主軸の回転軸芯との位置関係を求める。次に、転写棒の先端を砥石車により研削し、転写棒の先端の位置をタッチプローブで測定して砥石車の半径を求める。そして、砥石車の回転軸芯と主軸の回転軸芯との位置関係と砥石車の半径とから、工作物に対する砥石車の外径位置を求める。
【0003】
また、例えば特開平9−70755号公報(特許文献2)には、研削盤において、砥石台に取付けられたタッチセンサと、主軸台に固定された検知ピンとを用いて砥石車のツルーイング工具に対する移動量を補正することが記載されている。つまり、検知ピンの先端を砥石車により研削する前後において、検知ピンの先端の位置をタッチセンサで測定して磨耗量を求める。そして、求めた磨耗量に基づいて、砥石車のツルーイング工具に対する移動量を補正する。
【0004】
上述の特許文献1,2に記載の方法は、主軸台と砥石台とが直交方向に相対移動する研削盤に適用されるものであり、主軸台に対する砥石台の旋回が可能な研削盤には適用することができない。これに対し、例えば特開平3−55159号公報(特許文献3)には、砥石台の旋回が可能な旋回台を備えた研削盤において、砥石車の研削先端点の座標位置を検出することが記載されている。つまり、旋回台を任意位置から第1旋回位置に旋回させたときの砥石車の研削先端点の第1変位を求める。次に、旋回台を第1旋回位置から第2旋回位置に旋回させたときの砥石車の研削先端点の第2変位を求める。そして、求めた第1、第2変位および旋回角度に基づいて、砥石車の研削先端点の座標位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−94322号公報
【特許文献2】特開平9−70755号公報
【特許文献3】特開平3−55159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献3に記載の方法は、第1、第2変位および旋回角度に基づいて、砥石車の研削先端点の座標位置を検出している。この旋回角度は、研削盤の制御装置の制御データ上の旋回中心点を基準に求めている。ところが、制御データ上の旋回中心点は、研削盤の製造誤差や熱変位等により、実際の旋回中心点と異なる場合がある。このため、検出される砥石車の研削先端点の座標位置に誤差が生じることになる。
【0007】
その結果、砥石台を旋回させて砥石車のR形状を成形するツルーイングにおいて、制御装置が演算する砥石軌跡と実際の砥石軌跡との間に誤差が生じ、砥石形状誤差となるおそれがある。また、砥石台を旋回させて砥石車により研削を行う場合には、工作物寸法の誤差となってしまい、砥石台の旋回角度毎に寸法を補正する必要がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、砥石車の砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を高精度に測定することができる砥石旋回中心測定方法および砥石旋回中心測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(砥石旋回中心測定方法)
(請求項1)本発明の砥石旋回中心測定方法は、主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤であって、前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートを備え、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定方法において、前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接工程と、前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算工程と、前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算工程と、を備える。
【0010】
(請求項2)前記マスタプレートには、前記複数のプレート基準面に垂直であって、回転している前記砥石車が接触可能な複数のピンが夫々立設され、前記砥石台には、位置測定が可能な位置測定手段が取付けられ、前記当接工程は、前記砥石車の円筒面または端面を異なる旋回角度で少なくとも4回前記ピンに当接させ、少なくとも1つの前記ピンには他の前記ピンに当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させて前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置を求める工程と、前記位置測定手段で前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置を測定する工程であり、前記演算工程は、前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置、前記位置測定手段で測定した前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置に基づいて、前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係を演算する工程であるようにしてもよい。
【0011】
(請求項3)前記主軸台の移動方向をZ軸方向、前記砥石台の移動方向を前記Z軸方向と直交するX軸方向とした場合、第1演算工程は、第1位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向の距離を演算し、第2演算工程は、第2位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記Z軸方向の距離を演算し、第3演算工程は、第3位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算し、第4演算工程は、第4位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算するようにしてもよい。
【0012】
(請求項4)前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された前記第3プレート基準面に接触させるようにしてもよい。
【0013】
(請求項5)前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させるようにしてもよい。
【0014】
(請求項6)前記第4演算工程は、前記砥石車を前記第3旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させるようにしてもよい。
【0015】
(砥石旋回中心測定装置)
(請求項7)本発明の砥石旋回中心測定装置は、主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤において、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定装置であって、前記砥石台に取付けられており、位置測定が可能な位置測定手段と、前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートと、前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接手段と、前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算手段と、前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算手段と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1)砥石車を第1、第2、第3、第4旋回角度位置に位置決めし、4つのプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求める。そして、4つの位置関係およびマスタプレートの既知の寸法等から、幾何学的に砥石車の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する。この方法によれば、砥石車の砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を高精度に測定することができる。よって、例えば、砥石台を旋回させて砥石車のR形状を成形するツルーイングにおいて、砥石形状の精度を向上させることができる。また、砥石台を旋回させて砥石車により研削を行う場合、砥石台の旋回角度毎に寸法を補正しなくても工作物を高精度に研削することができる。
【0017】
(請求項2)回転している砥石車がマスタプレートに直接接触しなくてもよいように、回転している砥石車が接触可能なピンをマスタプレートに設けている。これにより、停止している砥石車を手動によりマスタプレートに直接接触させて、4つのプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求める必要はなく、該位置関係を自動的に求めることが可能となる。
【0018】
(請求項3)主軸台の移動方向であるZ軸方向、および砥石台の移動方向をであるZ軸方向と直交するX軸方向のプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求めている。これにより、砥石車の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を幾何学的に容易に演算することができる。
【0019】
(請求項4)第1旋回角度位置と第2旋回角度位置が同一であるので、砥石車の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0020】
(請求項5)第3演算工程および第4演算工程の旋回角度を小さくできるため、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。また、砥石車と主軸台に装着された砥石車をツルーイングするツルーイング装置との干渉を防止することができる。
【0021】
(請求項6)第3演算工程および第4演算工程の砥石車の旋回角度位置が同一であるので、砥石車の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0022】
(請求項7)本発明の砥石旋回中心測定装置によれば、上述した砥石旋回中心測定方法における効果と同様の効果を奏する。また、砥石旋回中心測定方法における他の特徴部分について、本発明の砥石旋回中心測定装置に同様に適用できる。そして、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】研削盤の平面図である。
【図2】第一実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図3】第一実施形態:砥石旋回中心測定プログラムのフローチャートである。
【図4】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1位置関係を求める手順を示す図である。
【図5】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第2位置関係を求める手順を示す図である。
【図6】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第3位置関係を求める手順を示す図である。
【図7】第一実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第4位置関係を求める手順を示す図である。
【図8】第一実施形態:砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を示す図である。
【図9】第二実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図10】第二実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【図11】第三実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図12】第三実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【図13】第四実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図14】第四実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【図15】第五実施形態:マスタプレートの平面図である。
【図16】第五実施形態:プレート基準点と制御上の旋回中心点との第1〜第4位置関係を求める方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第一実施形態>
(1.研削盤の機械構成)
研削盤1の一例として、砥石台旋回機構を有する研削盤を例に挙げ、図1を参照して説明する。図1に示すように、研削盤1は、ベッド10と、主軸台20と、心押台30と、砥石台40と、制御装置50とから概略構成される。
【0025】
ベッド10は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。ただし、ベッド10の形状は矩形状に限定されるものではない。このベッド10の上面には、一対の主軸台用ガイドレール11a,11bが、図1の左右方向(Z軸方向)に延びるように、且つ、相互に平行に形成されている。一対の主軸台用ガイドレール11a,11bは、矩形状の主軸台用移動テーブル12が摺動可能なレールである。
【0026】
さらに、ベッド10には、一対の主軸台用ガイドレール11a,11bの間に、主軸台用移動テーブル12を図1の左右方向に駆動するための、主軸台用Z軸ボールねじ11cが配置され、この主軸台用Z軸ボールねじ11cを回転駆動する主軸台用Z軸モータ11dが配置されている。この主軸台用Z軸モータ11dはエンコーダ11eを有しており、エンコーダ11eにより主軸台用Z軸モータ11dの回転角を検出することができる。
【0027】
主軸台用移動テーブル12上には、主軸台20と心押台30とが対向して配置されている。主軸台20は、主軸台本体21と、チャック22と、主軸モータ23とを備えている。主軸台本体21は、主軸台用移動テーブル12の上面のうち、図1の左側に固定されている。この主軸台本体21には、Z軸方向と平行な軸線の周りで回転可能にチャック22が設けられている。チャック22の回転軸部材は、主軸モータ23のモータ軸部材にギヤ機構等を介して連結されている。
【0028】
主軸台本体21には、詳細は後述するが、砥石車22の砥石基準点Pgの位置に対する実際の旋回中心点Crの位置を測定するために、ほぼ矩形状のマスタプレート24が砥石台40側に突設されている。このマスタプレート24は、図2に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθ度(本例では、45度)の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート24は、先端左角部の頂点がプレート基準点P0として設けられている。
【0029】
そして、プレート基準点P0から傾斜面に達する境界点P1までのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1として設けられている。境界点P1からの傾斜面が第3プレート基準面SP3として設けられている。傾斜面を超える境界点P2から主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2として設けられている。
【0030】
マスタプレート24は、第3プレート基準面SP3の傾斜角度θおよびプレート基準点P0と各境界点P1,P2との距離A,Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート24には、第1〜第3プレート基準面SP1〜SP3に夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な第1〜第3ピン25a〜25cが夫々立設されている。
【0031】
心押台30は、心押台本体31と、センタ32とを備えている。心押台本体31は、主軸台用移動テーブル12の上面のうち、図1の右側に固定されている。この心押台本体31には、左右方向に移動可能なセンタ32が設けられている。工作物Wは、一端がチャック22に把持され、他端がセンタ32に支持され、主軸モータ23によりZ軸方向と平行な軸線の周りで回転される。
【0032】
ベッド10の上面には、一対の砥石台用ガイドレール13a,13bが、図1の上下方向(X軸方向)に延びるように、且つ、相互に平行に形成されている。一対の砥石台用ガイドレール13a,13bは、矩形状の砥石台用移動テーブル14が摺動可能なレールである。さらに、ベッド10には、一対の砥石台用ガイドレール13a,13bの間に、砥石台用移動テーブル14を図1の上下方向に駆動するための、砥石台用X軸ボールねじ13cが配置され、この砥石台用X軸ボールねじ13cを回転駆動する砥石台用X軸モータ13dが配置されている。この砥石台用X軸モータ13dはエンコーダ13eを有しており、エンコーダ13eにより砥石台用X軸モータ13dの回転角を検出することができる。
【0033】
砥石台用移動テーブル14上には、X軸およびZ軸に直交するB軸周りで回転可能な円形状の砥石台用回転テーブル15が配置されている。砥石台用回転テーブル15の側縁には、砥石台用回転テーブル15をB軸回りで回転するための、ウォームホイール16aが形成されている。そして、砥石台用回転テーブル15上には、ウォームホイール16aと噛合するウォーム16bがモータ軸に嵌入されているB軸サーボモータ16cが配置されている。このB軸サーボモータ16cはエンコーダ16dを有しており、エンコーダ16dによりB軸サーボモータ16cの回転角を検出することができる。
【0034】
砥石台用回転テーブル15上には、砥石台40が配置されている。砥石台40は、砥石台本体41と、砥石車42と、砥石車駆動用モータ43とを備えている。砥石台本体41には、砥石車用軸部材44が軸回りで回転可能に支承されている。この砥石車用軸部材44の先端には、工作物Wを研削する砥石車42が装着されている。砥石車用軸部材44の後端は、砥石車駆動用モータ43のモータ軸部材とベルト伝動機構45を介して連結されている。つまり、砥石車42は、砥石車駆動用モータ43により砥石車用軸部材44の軸回りで回転駆動される。さらに、砥石台本体41には、位置測定手段としてタッチセンサ46が設けられている。タッチセンサ46のタッチプローブ46aは、主軸台20側に突設されている。なお、タッチセンサ46の代わりに、超音波(AE)センサにより位置測定するように構成してもよい。
【0035】
制御装置50は、中央処理装置51と、種々の制御値およびプログラムを記憶するメモリ52と、インターフェィス53,54から主に構成されている。メモリ52には、研削加工プログラムおよび研削加工サイクルを実行するに必要な種々のデータが記憶される。制御装置50には、インターフェース53,54を介して種々のデータが入出力される。入出力装置55として、データの入力等を行うためのキーボード、データの表示を行うLCD等の表示装置を備えている。また、制御装置50には、タッチセンサ46からの検出信号が増幅器56を介して入力される。
【0036】
制御装置50は、Z軸モータ駆動ユニット57を介して主軸台用移動テーブル12をZ軸方向へ移動させる主軸台用Z軸モータ11dに駆動信号を与える。主軸台用Z軸モータ11dに取り付けられたエンコーダ11eは、主軸台用Z軸モータ11dの回転位置、即ち主軸台用移動テーブル12の位置をZ軸モータ駆動ユニット57および制御装置50へ送出する。
【0037】
また、制御装置50は、X軸モータ駆動ユニット58を介して砥石台用移動テーブル14をX軸方向へ移動させる砥石台用X軸モータ13dに駆動信号を与える。砥石台用X軸モータ13dに取り付けられたエンコーダ13eが、砥石台用X軸モータ13dの回転位置、即ち砥石台用移動テーブル14の位置をX軸モータ駆動ユニット58および制御装置50へ送出する。
【0038】
また、制御装置50は、B軸モータ駆動ユニット59を介して砥石台用回転テーブル15をB軸回りに回転させるB軸サーボモータ16cに駆動信号を与える。B軸サーボモータ16cに取り付けられたエンコーダ16dは、B軸サーボモータ16cの回転位置、即ち砥石台用回転テーブル15の位置をB軸モータ駆動ユニット59および制御装置50へ送出する。
【0039】
制御装置50は、メモリ42に記憶されたNCプログラムの目標位置指令とエンコーダ11e,13eからの現在位置信号との偏差により、主軸台用Z軸モータ11d、砥石台用X軸モータ13dをそれぞれ駆動し、主軸台用移動テーブル12上の工作物Wおよび砥石台用移動テーブル14上の砥石車42をそれぞれ目標位置に位置決め制御する。また、目標位置指令とエンコーダ16dから現在位置信号との偏差により、B軸サーボモータ16cを駆動し、砥石台用回転テーブル15上の砥石車42を目標位置(目標角度)に位置(角度)決め制御する。また、制御装置50は、図略の主軸モータ23用のモータ駆動ユニットおよび砥石車駆動用モータ43用のモータ駆動ユニットを介して主軸モータ23および砥石車駆動用モータ43に駆動信号を与える。
【0040】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
次に、制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムの実行について、図3〜図8を参照して説明する。なお、図1に示すように、砥石車42の回転軸AgがZ軸方向と平行なときの旋回角度を0度とし、右回りが正方向とする。
【0041】
図3に示すように、砥石台用回転テーブル15を回転し、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする(ステップS1)。この状態で、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の円筒面が第1ピン25aの先端に接触したか否かを判断する(ステップS2)。図4(A)−(a)に示すように、砥石車42の円筒面が第1ピン25aの先端に接触したとき、該接触点Qaの架空原点Oに対するX軸方向の位置Xaを求める(ステップS3)。
【0042】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図4(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第1プレート基準面SP1に接触させ、第1プレート基準面SP1の架空原点Oに対するX軸方向の位置Xbを測定する。さらに、図4(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第1ピン25aの上記接触点Qaに接触させ、該接触点Qaの架空原点Oに対するX軸方向の位置Xcを測定する(ステップS4)。
【0043】
そして、図4(B)に示すように、求めた第1ピン25aの接触点QaのX軸方向の位置Xa、測定した第1プレート基準面SP1のX軸方向の位置Xb、および第1ピン25aの接触点QaのX軸方向の位置Xcに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するX軸方向の位置XA(=Xa−(Xc−Xb))を演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係としてX軸方向の距離X1(=Xcc−XA)を演算する(ステップS5)。なお、Xccは、制御上の旋回中心点Ccの架空原点Oに対するX軸方向の位置である。
【0044】
次に、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままで(ステップS6)、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の端面が第2ピン25bの先端に接触したか否かを判断する(ステップS7)。図5(A)−(a)に示すように、砥石車42の端面が第2ピン25bの先端に接触したとき、該接触点Qbの架空原点Oに対するZ軸方向の位置Zaを求める(ステップS8)。
【0045】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図5(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第2プレート基準面SP2に接触させ、第2プレート基準面SP2の架空原点Oに対するZ軸方向の位置Zbを測定する。さらに、図5(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第2ピン25bの上記接触点Qbに接触させ、該接触点Qbの架空原点Oに対するZ軸方向の位置Zcを測定する(ステップS9)。
【0046】
そして、図5(B)に示すように、求めた第2ピン25bの接触点QbのZ軸方向の位置Za、測定した第2プレート基準面SP2のZ軸方向の位置Zb、および第2ピン25bの接触点QbのZ軸方向の位置Zcに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するZ軸方向の位置ZA(=Za−(Zc−Zb)−B)を演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係としてZ軸方向の距離Z3(=Zcc−ZA)を演算する(ステップS10)。なお、Zccは、制御上の旋回中心点Ccの架空原点Oに対するZ軸方向の位置である。
【0047】
次に、図6(A)−(a)に示すように、砥石台用回転テーブル15を回転し、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が+45度となる位置に位置決めする(ステップS11)。この状態で、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の円筒面が第3ピン25cの先端に接触したか否かを判断する(ステップS12)。砥石車42の円筒面が第3ピン25cの先端に接触したとき、該接触点Qcの架空原点Oに対するX軸方向の位置XdおよびZ軸方向の位置Zdを求める(ステップS13)。
【0048】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図6(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第3プレート基準面SP3に接触させ、第3プレート基準面SP3の架空原点Oに対するX軸方向の位置XeおよびZ軸方向の位置Zeを測定する。さらに、図4(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第3ピン25cの上記接触点Qcに接触させ、該接触点Qcの架空原点Oに対するX軸方向の位置XfおよびZ軸方向の位置Zfを測定する(ステップS14)。
【0049】
そして、図6(B)に示すように、求めた第3ピン25cの接触点QcのX軸方向の位置XdおよびZ軸方向の位置Zd、測定した第3プレート基準面SP3のX軸方向の位置XeおよびZ軸方向の位置Ze、並びに第3ピン25cの接触点QcのX軸方向の位置XfおよびZ軸方向の位置Zfに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するX軸方向の位置XBおよびZ軸方向の位置ZBを演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係としてX軸方向の距離X2(=Xcc−XB)およびZ軸方向の距離Z2(=Zcc−ZB)を演算する(ステップS15)。
【0050】
次に、図7(A)−(a)に示すように、砥石台用回転テーブル15を回転し、砥石車42を第4旋回角度位置として旋回角度が−45度となる位置に位置決めする(ステップS16)。この状態で、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、砥石車42の端面が第3ピン25cの先端に接触したか否かを判断する(ステップS17)。砥石車42の端面が第3ピン25cの先端に接触したとき、該接触点Qdの架空原点Oに対するX軸方向の位置XgおよびZ軸方向の位置Zgを求める(ステップS18)。
【0051】
そして、砥石台用移動テーブル14および主軸台用移動テーブル12を移動し、図7(A)−(b)に示すように、タッチセンサ46のタッチプローブ46aを第3プレート基準面SP3に接触させ、第3プレート基準面SP3の架空原点Oに対するX軸方向の位置XhおよびZ軸方向の位置Zhを測定する。さらに、図7(A)−(c)に示すように、タッチプローブ46aを第3ピン25cの上記接触点Qdに接触させ、該接触点Qdの架空原点Oに対するX軸方向の位置XiおよびZ軸方向の位置Ziを測定する(ステップS19)。
【0052】
そして、図7(B)に示すように、求めた第3ピン25cの接触点QdのX軸方向の位置XgおよびZ軸方向の位置Zg、測定した第3プレート基準面SP3のX軸方向の位置XhおよびZ軸方向の位置Zh、並びに第3ピン25cの接触点QdのX軸方向の位置XiおよびZ軸方向の位置Ziに基づいて、プレート基準点P0の架空原点Oに対するX軸方向の位置XCおよびZ軸方向の位置ZCを演算する。そして、プレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係としてX軸方向の距離X4(=Xcc−XC)およびZ軸方向の距離Z4(=Zcc−ZC)を演算する(ステップS20)。なお、砥石車42を各ピン25a〜25cに接触させず、手動により各プレート基準面SP1〜SP3に直接接触させて各位置関係を演算するようにしてもよい。
【0053】
そして、図8に示すように、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する(ステップS21)。ここで、第1〜第4の位置関係で求めたX1,Z3,X2,Z2,X4,Z4は、制御上の旋回中心点Ccと実際の旋回中心点CrとのX軸方向の距離をXo、Z軸方向の距離をZoとしたとき、次式(1)〜(4)で表される。よって、式(1)〜(4)からXo,Zoを消去することで、次式(5),(6)からX,Zを求めることができる。
【0054】
X1=Xo+X・・・(1)
X2=Xo+(Xsinθ−Zcosθ)
−(Z2−Zo−(Xcosθ+Zsinθ)−A)/tanθ・・・(2)
Z3=Zo+Z+B・・・(3)
Z4=Zo+(−Xsinθ+Zcosθ)
+(Xo+Xcosθ+Zsinθ−X4)*tanθ+A・・・(4)
【0055】
X=(−((X1−X2)*tanθ−(Z2−Z3+B−A))
*(1−1/cosθ)−(Z4−Z3+B−A)+(X1−X4)*tanθ)
/(tanθ−(1−1/sinθ)*(1−1/cosθ)*tanθ)・・・(5)
Z=(((Z4−Z3+B−A)/tanθ−(X1−X4))*(1−1/sinθ)
+(X1−X2)−(Z2−Z3+B−A)/tanθ)
/(1/tanθ−(1−1/cosθ)*(1−1/sinθ)/tanθ)・・・(6)
【0056】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
砥石車42を第1、第2、第3、第4旋回角度位置に位置決めし、4つのプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求める。そして、4つの位置関係およびマスタプレート24の既知の寸法等から、幾何学的に砥石車42の砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの位置関係を演算する。この方法によれば、砥石車の砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を高精度に測定することができる。よって、例えば、砥石台40を旋回させて砥石車42のR形状を成形するツルーイングにおいて、砥石形状の精度を向上させることができる。また、砥石台40を旋回させて砥石車42により研削を行う場合、砥石台40の旋回角度毎に寸法を補正しなくても工作物Wを高精度に研削することができる。
【0057】
また、回転している砥石車42がマスタプレート24に直接接触しなくてもよいように、回転している砥石車42が接触可能なピン25a〜25cをマスタプレート24に設けている。これにより、停止している砥石車42を手動によりマスタプレート24に直接接触させて、4つのプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求める必要はなく、該位置関係を自動的に求めることが可能となる。また、主軸台20の移動方向であるZ軸方向、および砥石台40の移動方向であるZ軸方向と直交するX軸方向のプレート基準点P0と制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求めている。これにより、砥石車42の砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの位置関係を幾何学的に容易に演算することができる。また、第1旋回角度位置と第2旋回角度位置が同一であるので、砥石車42の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0058】
<第二実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図9に示すマスタプレート64が用いられる。このマスタプレート64は、図9に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθ度の角度の傾斜面となるように切り欠かれていると共に、先端左角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のγ度の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート64は、先端左角部の傾斜面とZ軸方向に平行な面(第1プレート基準面SP1a)との境界点がプレート基準点P0aとして設けられている。
【0059】
そして、プレート基準点P0aから先端右角部の傾斜面に達する境界点P1aまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1aとして設けられている。境界点P1aからの先端右角部の傾斜面が第3プレート基準面SP3aとして設けられている。先端右角部の傾斜面を超える境界点P2aから主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2aとして設けられている。さらに、プレート基準点P0aからの先端左角部の傾斜面が第4プレート基準面SP4aとして設けられている。
【0060】
マスタプレート64は、第3プレート基準面SP3aの傾斜角度θ、第4プレート基準面SP4aの傾斜角度γおよびプレート基準点P0aと各境界点P1a,P2aとの距離A,Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート24には、第1〜第4プレート基準面SP1a〜SP4aに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1〜第4ピンが夫々立設されている。
【0061】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート64との接触態様を図10を参照して説明する。
【0062】
図10(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0063】
次に、図10(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0064】
次に、図10(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が90−θ度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第3プレート基準面SP3aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0065】
次に、図10(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置として旋回角度が90度−γ度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第4プレート基準面SP4aに接触させたときの、プレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。このプレート基準点P0aと制御上の旋回中心点CcとのX軸方向の距離X5と、Z軸方向の距離Z5との関係は、次式(7)で表される。
【0066】
Z5=Zo+(−Xcosγ+Zsinγ)−(Xo+Xsinγ+Zcosγ−X5)*tanγ・・・(7)
【0067】
そして、第一実施形態で使用した式(4)を除く式(1)〜(3)および次式(8),(9)から、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0068】
X=((Z5−Z3+B+(X1−X5)*tanγ)/tanθ+(X1−X2)
−(Z2−Z3+B−A)/tanθ)
/((1−1/sinθ)−(1/cosγ−tanγ)/tanθ)・・・(8)
Z=−X*(1/cosγ−tanγ)−(Z5−Z3+B+(X1−X5)*tanγ
・・・(9)
【0069】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
砥石車42を大きく旋回させなくても2つのプレート基準点P0aと制御上の旋回中心点Ccとの位置関係を求めることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。また、マスタプレート64は、第3プレート基準面SP3aおよび第4プレート基準面SP4aの2つの傾斜面を有している。このため、砥石車42を2つの傾斜面に夫々接触させればよく、砥石車42と主軸台20に装着された砥石車42をツルーイングするツルーイング装置やピン等の他部材との干渉が生じ難い。
【0070】
<第三実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図11に示すマスタプレート64が用いられる。このマスタプレート64は、図11に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθ度の角度の傾斜面となるように切り欠かれていると共に、先端左角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のγ度(本例では、90度−θ度)の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート64は、先端左角部の傾斜面とZ軸方向に平行な面(第1プレート基準面SP1b)との境界点がプレート基準点P0bとして設けられている。
【0071】
そして、プレート基準点P0bから先端右角部の傾斜面に達する境界点P1bまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1bとして設けられている。境界点P1bからの先端右角部の傾斜面が第3プレート基準面SP3bとして設けられている。先端右角部の傾斜面を超える境界点P2bから主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2bとして設けられている。さらに、プレート基準点P0bからの先端左角部の傾斜面が第4プレート基準面SP4bとして設けられている。
【0072】
マスタプレート64は、第3プレート基準面SP3bの傾斜角度θ、第4プレート基準面SP4bの傾斜角度γおよびプレート基準点P0bと各境界点P1b,P2bとの距離A,Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート24には、第1〜第4プレート基準面SP1b〜SP4bに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1〜第4ピンが夫々立設されている。
【0073】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート64との接触態様を図12を参照して説明する。
【0074】
図12(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0075】
次に、図12(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0076】
次に、図12(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が−θ度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第3プレート基準面SP3bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0077】
次に、図12(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第4旋回角度位置は第3旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が−θ度(=−(90度−γ度))となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の円筒面を第4プレート基準面SP4bに接触させたときの、プレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。そして、プレート基準点P0b、プレート基準点P0bと境界点P1bとの距離A、第3プレート基準面SP3bの傾斜角度θ、第4プレート基準面SP4bの傾斜角度γおよびプレート基準点P0bと制御上の旋回中心点Ccとの第1から第4位置関係に基づいて、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0078】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
第3旋回角度位置および第4旋回角度位置が同一であるので、砥石車42の旋回割出回数を1回減少させることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムを短縮することができる。
【0079】
<第四実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図13に示すマスタプレート74が用いられる。このマスタプレート74は、図13に示すように、先端右角部がX軸方向に対し0度および90度を除く0度から90度の範囲のθc度(本例では、45度)の角度の傾斜面となるように切り欠かれた形状に形成されている。マスタプレート74は、先端左角部の頂点がプレート基準点P0cとして設けられている。
【0080】
そして、プレート基準点P0cから先端右角部の傾斜面に達する境界点P1cまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1cとして設けられている。境界点P1cからの先端右角部の傾斜面が第2プレート基準面SP2cとして設けられている。マスタプレート74は、第2プレート基準面SP2cの傾斜角度θcおよびプレート基準点P0cと境界点P1cとの距離Aは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート74には、第1、第2プレート基準面SP1c,SP2cに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1、第2ピンが夫々立設されている。
【0081】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート74との接触態様を図14を参照して説明する。
【0082】
図14(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0083】
次に、図14(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置として旋回角度が−90度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第1プレート基準面SP1cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0084】
次に、図14(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が+θ度(45度)となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第2プレート基準面SP2cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0085】
次に、図14(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置として旋回角度が−θ度(−45度)となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2cに接触させたときの、プレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。
【0086】
そして、プレート基準点P0c、プレート基準点P0cと境界点P1cとの距離A、第2プレート基準面SP2cの傾斜角度θcおよびプレート基準点P0cと制御上の旋回中心点Ccとの第1から第4位置関係に基づいて、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0087】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
マスタプレート74には、2つのプレート基準面SP1b,SP2bおよび2つのピンのみが形成されている。これにより、マスタプレート84の製作コストを低減することができる。
【0088】
<第五実施形態>
(1.マスタプレートの構成)
本実施形態では、図2に示すマスタプレート24の代わりに、図15に示すマスタプレート84が用いられる。このマスタプレート84は、図15に示すように、矩形状に形成されている。マスタプレート84は、先端左角部の頂点がプレート基準点P0dとして設けられている。
【0089】
そして、プレート基準点P0dから先端右角部の頂点P1dまでのZ軸方向に平行な面が第1プレート基準面SP1dとして設けられている。先端右角部の頂点P1dから主軸台本体21に達するX軸方向に平行な面が第2プレート基準面SP2dとして設けられている。マスタプレート84は、プレート基準点P0dと先端右角部の頂点P1dとの距離Bは、所定の角度および寸法となるように作成されている。そして、マスタプレート84には、第1、第2プレート基準面SP1d,SP2dに夫々垂直であって、回転している砥石車42が接触可能な図略の第1、第2ピンが夫々立設されている。
【0090】
(2.制御装置による砥石旋回中心測定処理)
本実施形態でも、図3に示す制御装置50による砥石旋回中心測定プログラムが実行される。そこで、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第1〜第4の位置関係を求めるための、砥石車42とマスタプレート84との接触態様を図16を参照して説明する。
【0091】
図16(A)に示すように、砥石車42を第1旋回角度位置として旋回角度が0度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の円筒面を第1プレート基準面SP1dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第1の位置関係を求める。
【0092】
次に、図16(B)に示すように、砥石車42を第2旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第2旋回角度位置は第1旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が0度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の端面を第2プレート基準面SP2dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第2の位置関係を求める。
【0093】
次に、図16(C)に示すように、砥石車42を第3旋回角度位置として旋回角度が−90度となる位置に位置決めする。この状態で、砥石車42の端面を第1プレート基準面SP1dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第3の位置関係を求める。
【0094】
次に、図16(D)に示すように、砥石車42を第4旋回角度位置に位置決めするのであるが、本例では、第4旋回角度位置は第3旋回角度位置と同一の場合であるため、砥石車42を旋回角度が−90度となる位置に位置決めしたままとする。この状態で、砥石車42の円筒面を第2プレート基準面SP2dに接触させたときの、プレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第4の位置関係を求める。
【0095】
そして、プレート基準点P0d、プレート基準点P0dと先端右角部の頂点P1dとの距離B、およびプレート基準点P0dと制御上の旋回中心点Ccとの第1から第4位置関係に基づいて、砥石車42の砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係としてX軸方向の距離XおよびZ軸方向の距離Zを演算する。
【0096】
(3.砥石旋回中心測定処理の効果)
マスタプレート84には、直交する2つのプレート基準面SPd1,SPd2および2つのピンのみが形成されている。これにより、砥石車42を一度だけ90度旋回させるのみにより4つのプレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を求めることができる。よって、砥石旋回中心測定のサイクルタイムをさらに短縮することができる。
【0097】
<各実施形態の変形態様>
なお、第一実施形態において、第3および第4演算工程では砥石車42の円筒面および端面を第3プレート基準面SP3に夫々接触させる構成としたが、砥石車42の端面および円筒面を第3プレート基準面SP3に夫々接触させる構成としてもよい。また、第二実施形態において、第3および第4演算工程では砥石車42の円筒面および端面を第3プレート基準面SP3aおよび第4プレート基準面SP4aに夫々接触させる構成としたが、砥石車42の端面および円筒面を第3プレート基準面SP3aおよび第4プレート基準面SP4aに夫々接触させる構成としてもよい。
【0098】
また、各実施形態において、研削盤1立ち上げ時の初期設定時に、寸法が分かっているマスタ砥石車を用いて砥石基準点Pgと制御上の旋回中心点Ccとの距離を求める。そして、求めた距離からマスタ砥石車の寸法を除算することで、砥石車42の取り付けの基準位置と制御上の旋回中心点Ccとの距離を求める。そして、砥石交換後に、基準角度での位置合わせのみを行うことにより、砥石基準点Pgと実際の旋回中心点Crとの距離を求めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1:研削盤
10:ベッド、 11a,11b:主軸台用ガイドレール、
12:主軸台用移動テーブル、 13a,13b:砥石台用ガイドレール
14:砥石台用移動テーブル
11c:砥石台用Z軸ボールねじ、 11d:砥石台用Z軸モータ
20:主軸台、 21:主軸台本体、 22:チャック、 23:主軸モータ
24,64,74,84:マスタプレート、 25a〜25c:第1〜第3ピン
30:心押台、 31:心押台本体、 32:センタ
40:砥石台、 41:砥石台本体、 42:砥石車、 43:砥石車駆動用モータ
46:タッチセンサ、 46a:タッチプローブ
50:制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤であって、前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートを備え、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定方法において、
前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接工程と、
前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算工程と、
前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算工程と、
を備える砥石旋回中心測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記マスタプレートには、前記複数のプレート基準面に垂直であって、回転している前記砥石車が接触可能な複数のピンが夫々立設され、
前記砥石台には、位置測定が可能な位置測定手段が取付けられ、
前記当接工程は、前記砥石車の円筒面または端面を異なる旋回角度で少なくとも4回前記ピンに当接させ、少なくとも1つの前記ピンには他の前記ピンに当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させて前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置を求める工程と、前記位置測定手段で前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置を測定する工程であり、
前記演算工程は、前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置、前記位置測定手段で測定した前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置に基づいて、前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係を演算する工程である砥石旋回中心測定方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記主軸台の移動方向をZ軸方向、前記砥石台の移動方向を前記Z軸方向と直交するX軸方向とした場合、
第1演算工程は、第1位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向の距離を演算し、
第2演算工程は、第2位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記Z軸方向の距離を演算し、
第3演算工程は、第3位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算し、
第4演算工程は、第4位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算する砥石旋回中心測定方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、
前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、
前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、
前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された前記第3プレート基準面に接触させる砥石旋回中心測定方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、
前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、
前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、
前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させる砥石旋回中心測定方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第4演算工程は、前記砥石車を前記第3旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させる砥石旋回中心測定方法。
【請求項7】
主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤において、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定装置であって、
前記砥石台に取付けられており、位置測定が可能な位置測定手段と、
前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートと、
前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接手段と、
前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算手段と、
前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算手段と、
を備える砥石旋回中心測定装置。
【請求項1】
主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤であって、前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートを備え、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定方法において、
前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接工程と、
前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算工程と、
前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算工程と、
を備える砥石旋回中心測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記マスタプレートには、前記複数のプレート基準面に垂直であって、回転している前記砥石車が接触可能な複数のピンが夫々立設され、
前記砥石台には、位置測定が可能な位置測定手段が取付けられ、
前記当接工程は、前記砥石車の円筒面または端面を異なる旋回角度で少なくとも4回前記ピンに当接させ、少なくとも1つの前記ピンには他の前記ピンに当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させて前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置を求める工程と、前記位置測定手段で前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置を測定する工程であり、
前記演算工程は、前記砥石車と前記ピンとの接触点の位置、前記位置測定手段で測定した前記プレート基準面の位置および前記ピンの接触点の位置に基づいて、前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係を演算する工程である砥石旋回中心測定方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記主軸台の移動方向をZ軸方向、前記砥石台の移動方向を前記Z軸方向と直交するX軸方向とした場合、
第1演算工程は、第1位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向の距離を演算し、
第2演算工程は、第2位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記Z軸方向の距離を演算し、
第3演算工程は、第3位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算し、
第4演算工程は、第4位置関係として前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との前記X軸方向および前記Z軸方向の距離を演算する砥石旋回中心測定方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、
前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、
前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、
前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された前記第3プレート基準面に接触させる砥石旋回中心測定方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記第1演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第1プレート基準面に接触させ、
前記第2演算工程は、前記砥石車を前記Z軸方向に平行に位置決めした状態で、前記砥石車の端面を該端面と平行になるように形成された第2プレート基準面に接触させ、
前記第3演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第3プレート基準面に接触させ、
前記第4演算工程は、前記砥石車を前記X軸方向に対し0度および±90度を除く+90度から−90度の旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させる砥石旋回中心測定方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第4演算工程は、前記砥石車を前記第3旋回角度位置に位置決めした状態で、前記砥石車の円筒面を該円筒面と平行になるように形成された第4プレート基準面に接触させる砥石旋回中心測定方法。
【請求項7】
主軸台と砥石台との相対移動および前記主軸台に対する前記砥石台の旋回が可能であり、前記主軸台に装着される工作物を前記砥石台に装着される砥石車により研削する研削盤において、前記砥石車の前記砥石基準点の位置に対する実際の旋回中心点の位置を測定する砥石旋回中心測定装置であって、
前記砥石台に取付けられており、位置測定が可能な位置測定手段と、
前記砥石車の砥石基準点の位置を測定するためのプレート基準点および前記砥石車の円筒面または端面を接触させる複数のプレート基準面を備えたマスタプレートと、
前記砥石車の円筒面または端面を、異なる旋回角度で少なくとも4回前記プレート基準面に当接させ、少なくとも1つの前記プレート基準面には他の前記プレート基準面に当接させた前記砥石車の円筒面または端面と異なる面を当接させる当接手段と、
前記当接工程により前記プレート基準点と制御上の旋回中心点との位置関係を演算する演算手段と、
前記プレート基準点と前記プレート基準面との位置関係および前記プレート基準点と前記制御上の旋回中心点との位置関係から前記砥石基準点と実際の旋回中心点との位置関係を演算する旋回中心演算手段と、
を備える砥石旋回中心測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−171062(P2012−171062A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36577(P2011−36577)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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