破傷風トキソイドへのビタミンE補給
【課題】本発明は、破傷風に対する免疫応答に関する補給物質をビタミンEの使用により開発することによって、当技術分野における問題を克服した。本発明の目的は、哺乳動物がそれにより破傷風トキソイドでワクチン接種されるビタミンE補給が、哺乳動物における免疫調節に及ぼす効果を開示することである。加えて、本発明は、富トコトリエノール分画、δトコトリエノール、α−トコフェロールなどの異種ビタミンEの補給が、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答に及ぼす効果にも関する。
【解決手段】本発明は、生物学的物質に対する免疫応答に関する補給用調合剤に関する。より特定すれば、該調合剤は、破傷風トキソイドに対する免疫応答に関して補給を行う1種又は複数種のビタミンEからなる。加えて、本発明は、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答に及ぼす、富トコトリエノール分画、δトコトリエノール及びα−トコフェロールなどの異種ビタミンEの補給の効果にも関する。
【解決手段】本発明は、生物学的物質に対する免疫応答に関する補給用調合剤に関する。より特定すれば、該調合剤は、破傷風トキソイドに対する免疫応答に関して補給を行う1種又は複数種のビタミンEからなる。加えて、本発明は、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答に及ぼす、富トコトリエノール分画、δトコトリエノール及びα−トコフェロールなどの異種ビタミンEの補給の効果にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的物質に対する免疫応答に関する補給用調合剤に関する。より特定すれば、該調合剤は、破傷風トキソイドに対する免疫応答に関して補給を行う1種又は複数種のビタミンEからなる。
【背景技術】
【0002】
ビタミンEは、現在、トコフェロール及びトコトリエノールの両誘導体の生物活性について記述する属名と考えられている。ビタミンEは、正常な繁殖、筋肉の正常な発達、赤血球の溶血耐性、その他の多様な生化学的機能のために、多くの生物種の食事中に必要な脂溶性ビタミンである。ビタミンEの最も広く認識されている機能は、抗酸化剤としてである。粗製のパーム油中でのビタミンE含量は、百万分の600〜1000(ppm)の間に亘り、トコフェロール(18〜22%)とトコトリエノール(78〜82%)の混合物である。
【0003】
ビタミンEは、8種の化合物:トコフェロールの異性体4種(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール)及びトコトリエノールの異性体4種(α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール)からなる部類に対する一般名である。構造的には、トコフェロール及びトコトリエノールは、共通のクロマノール頭部及びC−2位における側鎖からなる、ある程度の類似性を共有している。トコフェロール及びトコトリエノールは、トコールと総称されることもある。
【0004】
しかし、トコフェロールとトコトリエノールはその側鎖で識別される。トコフェロールは飽和したフィチル側鎖を有するが、トコトリエノールは不飽和なイソプレノイド側鎖を有する。トコフェロールは、キャノーラ、綿実、オリーブ、ピーナッツ、ヒマワリ、大豆及びヒマワリ;特に種子油などからのベジタブル(vegetable)油に見出される。トコトリエノールの主要源はプラント(plant)油であり、最も豊富な供給源はパーム油、米ぬか油、パーム核油及びココナッツ油である。
【0005】
トコトリエノールは、オートムギ、オオムギ、ライムギなどの穀物にも見出される。世界市場における第2の食用油としてパーム油が出現すると共に、パーム油からのトコトリエノールの抽出を可能とする、現在商業的に利用できる技術的進歩がなされてきた。パーム油のトコトリエノールは、抗酸化剤としてトコフェロールの何倍も効力がある。トコトリエノールは、弱いが皮膚に吸収もされるので、ビタミンEクリームとしての使用に良く適合する。
【0006】
抗酸化剤としての機能以外に、トコトリエノールは、トコフェロールとは対照的に独特の機能性を有することが示された。トコトリエノールは、血漿コレステロール濃度及び心血管疾患に対する他の脂質関連や非脂質関連危険因子を低下させることが示された(Hood、1996年)。トコトリエノールは、抗高コレステロール血症作用を有することも報告された(Qureshi等、1991年)。この化合物は、トコフェロールより良好な抗腫瘍活性を発揮することも示された(Carroll等、1996年)。広く信じられていることとは反対に、トコトリエノールは、生物系においてトコフェロールより脂質過酸化に対して著しく高い抗酸化活性を有することが、インビトロで観察された(Serbinova等、1991年)。パーム油に主として見出されるトコトリエノールは、濃厚トコトリエノール(ET)として現在商業的に抽出されている。
【0007】
トコフェロール及びトコトリエノールは、共に抗酸化作用が良く認識されており、多くの局所製剤、特に化粧品に使用されている。こうした局所製剤中に配合されるトコフェロール又はトコトリエノールの比率(%)は、非常に低く、しばしば0.1%未満である。
【0008】
トコトリエノール、トコフェロールの双方は構造がほぼ類似しており、トコフェロール(ビタミンE)は、長年の間局所製剤中に存在している。したがって、低濃度のトコトリエノールの使用は、有害な皮膚反応の危険性を何ら引き起こさない。
【0009】
破傷風トキソイドは、人間における長期持続的な免疫を誘発する効力ある免疫原である(Simonsen等、1986年)。破傷風ワクチンの接種は、成人、新生児の双方において破傷風感染症の発症率に劇的な影響を世界的に及ぼしてきた。破傷風に対するワクチンによる免疫は、破傷風トキソイドに対する中和IgG抗体の産生を伴う(Simonsen等、1986年)。こうした抗体のレベルは、国際規格の使用により定量することができ、したがってトコトリエノール補給後のワクチンの保護効果を調べる有用なモデルとなる。
【0010】
ビタミンEは主要な脂溶性抗酸化剤であり、生体膜中で遊離ラジカルを除去し、酸化損傷から細胞構造を保護する。幾つかの研究によれば、トコフェロール、トコトリエノールいずれのビタミンEの補給も、動物や人間の免疫系に好ましい効果を誘発し、幾つかの免疫疾患及び炎症性疾患の危険性低下に関与していることが示された。本発明における発明者等は、免疫原を接種した際のマウス・モデルにおける、経口投与したトコトリエノールとトコフェロールの免疫調節作用を調べ、次いで破傷風トキソイド(TT)のブースター・ワクチンで免疫系を刺激した正常な健常志願者における、免疫調節に対する富トコトリエノール分画(TRF)の補給の効果を調べた。
【非特許文献1】Nursing Standard、1999年、http://www.gp−training.net/protocol/nurse/venepunc.html、2005年
【非特許文献2】http://www.hovid.com/cn/index/products/p dietary.html、2006年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、破傷風に対する免疫応答に関する補給物質をビタミンEの使用により開発することによって、当技術分野における問題を克服した。本発明の目的は、哺乳動物がそれにより破傷風トキソイドでワクチン接種されるビタミンE補給が、哺乳動物における免疫調節に及ぼす効果を開示することである。
【0012】
加えて、本発明は、富トコトリエノール分画、δトコトリエノール、α−トコフェロールなどの異種ビタミンEの補給が、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答に及ぼす効果にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の対象は、生物活性物質における免疫応答補助用のビタミンE[好ましくは富トコトリエノール分画(TRF)]を含む調合剤に関する。該調合剤は、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答の補助剤として使用する性能を有すると言える。その上、富トコトリエノール分画(TRF)は、α−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、γ−トコトリエノール及びα−トコフェロールからなる群から選択するのが好ましい。
【0014】
本発明の別の態様は、免疫応答に関する補助用薬物を製造するための調合剤であって、哺乳動物における免疫応答の強化に使用される調合剤の使用を対象とする。
【0015】
更に別の実施態様では、本発明は、個人における免疫応答を強化する方法であって、それを必要とする前記個人に活性量の調合剤を投与することを含む方法について記載する。
【0016】
更に、本発明は、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する、個人における免疫応答の活性化に有効な調合剤を含有する包装材を含む製品であって、包装材は、該調合剤が免疫応答の強化に使用できることを示すラベルを含み、該調合剤は、好ましくは医薬組成物として使用される、前記製品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
定義
本発明を詳細に説明する前に、この発明が、特定の調合剤タイプ、製造法などに限定されず、したがって変化し得ることを理解されたい。本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明するだけのためであり、限定的なものであることを意図していないことも理解される。
【0018】
活性剤の「有効量」という用語は、所望の有益な効果を示すために、無毒ではあるが十分な活性剤の量を意味する。より特定すれば、「治療有効」量とは、所望の治療効果又は薬用化粧効果を示すために、無毒ではあるが十分な有益作用剤の量を意味する。
【0019】
「免疫系の活性化」という用語は、個人の免疫系が、その個人の免疫系強化及びその期間の減少を含め、高性能化を実現すると考えられる、あらゆる種類の状況の改善を意味する。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合の用語「含む(comprising)」とは、「少なくとも部分的に、からなる(consisting at least in part-of)」ことを意味する。comprise(s)、comprisedなどの関連用語は、同様に解釈すべきである。
【0021】
以下の図及び実施例を参照することにより、本発明をより詳細に今から説明する。以下の実施例は、例示目的だけに提示しており、本発明を限定することを意図していない。
(実施例1)
【0022】
マウスに対するビタミンE補給
富トコトリエノール分画(TRF)濃縮物、α−トコフェロール(a−T)(Golden Hope Plantation、マレーシア)及びδ−トコトリエノール(δ−T3)(Isei、日本)、25ゲージ栄養補給針(Interfocus、英国)、大豆油(Mazola、マレーシア)。
【0023】
マウスにおける採血及び免疫
ミクロヘマトクリット用ヘパリン処理キャピラリ・チューブ(Fisher Scientific International、米国)、1.5mLミクロ遠心チューブ(Axygen、米国)、ヘパリンナトリウム塩(Sigma−Aldrich、米国)、ジエチルエーテル(Sigma−Aldrich、米国)、ミョウバン吸着破傷風トキソイドワクチン(Biofarma,Bandung、インドネシア)、1mLツベルクリン・シリンジ(Becton Dickinson,NJ、米国)、26ゲージ滅菌針(Terumo Corp、フィリピン)。
【0024】
メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイ
MTTキット(Chemicon、米国)、96ウェル平底組織培養皿(Nunc、米国)、多チャンネル・ピペッター(LabMate、米国)。
【0025】
人志願者の身体検査
血圧計(Spirit、台湾)、Littman(登録商標)聴診器(3M、英国)、デジタル式体重計(SECA,Hamburg、ドイツ)。
【0026】
人志願者からの採血
10mL及び5mLの滅菌シリンジ(Becton Dickinson、シンガポール)、25、23、21ゲージの滅菌針(Terumo Corp、フィリピン)、綿ボール、止血帯、滅菌アルコール・ワイプ(Becton Dickinson,NJ、米国)、滅菌エラストプラスト、検査用使い捨てゴム手袋(SESdn Bhd、マレーシア)、5mLヘパリン・チューブ(Becton Dickinson,NJ、米国)、Vacutainer血塊活性化剤用チューブ、3mL EDTA用チューブ、3mLフッ化ナトリウム用チューブ(Becton Dickinson,NJ、米国)、試料用バッグ、記入用紙(PATHLABから供給)。
【0027】
破傷風トキソイドのワクチン接種
1mL滅菌ツベルクリン針(Becton Dickinson、シンガポール)、破傷風トキソイド(TT)ワクチン(Biofarma、インドネシア;バッチ番号ATT073BA2006/2007)。
【0028】
フロー・サイトメトリー
5mLポリスチレン丸底チューブFalcon2054(Becton Dickinson,NJ、米国)、FACS溶解液(Becton Dickinson,NJ、米国)、TriTEST試薬としてTriTEST CD3 FITC/CD4 PE/CD45 PerCP、TriTEST CD3 FITC/CD8 PE/CD45 PerCP、TriTEST CD3 FITC/CD19 PE/CD45 PerCP、TriTEST CD3 FITC/CD16+CD56 PE/CD45 PerCPなど(Becton Dickinson,NJ、米国)。
【0029】
リンパ球培養
RBC溶解バッファー(eBioscience、米国)、15mL及び50mLのポリプロピレン・コニカル・チューブFalcon2097(Greiner、米国)、L−グルタミン入りRPMI1640培地(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、凍結乾燥コンカナバリンA(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、凍結乾燥リポ多糖体(LPS)(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、凍結乾燥破傷風トキソイド(TT)(Calbiochem、ドイツ)、0.4%トリパン・ブルー色素(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、ペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、96ウェル平底組織培養皿(Nunc、米国)、Neubauer血球計数器(Dynatech、ドイツ)、携帯計数器(Togoshi、日本)。
【0030】
酵素免疫吸着測定法(ELISA)
Maxisorp(商標)表面の96ウェル平底NUNC(商標)高結合性免疫プレート(Nunc、米国)、リン酸緩衝塩水(PBS)用錠剤(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、Tween(登録商標)20(MP Biomedicals Inc.,Ohio、米国)、ヒトIFN−γ、IL−4、IL−6及びIL−10用ELISAキット(eBioscience,CA、米国)、マウスIFN−γ、IL−4及びTNF−α用ELISAキット(eBioscience,CA、米国)、HRP−ヤギ抗マウスIgG+A+M(H+L)とHRP−ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Zymed−Invitrogen,CA、米国)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Becton Dickinson,NJ、米国)、2M硫酸(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、ヒトIgG検出キット(Immunobiological Laboratories,Hamburg、ドイツ)。
【0031】
HPLC分析
ヘキサン、エタノール、イソプロピルアルコール及び0.9%塩化ナトリウム(分子生物学用等級、Promega Corp,Wisconsin、米国)、15mLポリプロピレン・コニカル・チューブFalcon2097(Greiner、米国)。
【0032】
方法(動物試験)
ビタミンE
富トコトリエノール分画(TRF)及びα−トコフェロール(a−T)の濃縮物は、Golden Hope Plantation、マレーシアから入手した。δ−トコトリエノール(δ−T3)は、Isei、日本から購入した。各異性体の純度は約97%であった。TRF成分の比率は、α−トコフェロール32%、α−トコトリエノール25%、γ−トコトリエノール29%、δ−トコトリエノール14%を含む。次いで、異性体の濃縮物を大豆油による乳濁液として調製し、最終濃度20mg/mlを得た。大豆油は、トコトリエノールを欠いており、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油などの他の油と比較して低いビタミンE活性を有する(Grela and Gunter、1995年)ので、a−T、δ−T3、TRF各濃縮物用の溶剤として使用した。この試験では、トコトリエノールの純粋な他形態(即ちa−T3及びγ−T3)が試験時に入手できなかったので、ビタミンEの基礎標準であるa−Tと、TRF、δ−T3の効果を比較できただけであった。
【0033】
マウス
雌性BALB/cマウス(6週齢)を医学研究所(IMR)(Kuala Lumpur、マレーシア)から購入し、マレーシア・パーム油庁(MPOB)(Bangi、マレーシア)の動物小屋中に気候及び食餌が安定した条件下で収容した。マウスの週齢、性別、系統の影響を受けることが知られている(Shaikh等、1993年)免疫応答の変動を低下させる必要から、この動物試験には若い雌性BALB/cマウスだけを使用した。雌性BALB/c系統を選定した理由は、単に、これらのマウスが動物試験において最も頻繁に使用される近交系のマウスである(Iwata等、2007年)からである。
【0034】
試験設計
雌性BALB/cマウス20匹を各群5匹のマウスの4群に区分した。各群のマウスは、TRF、a−T又はδ−T350μL(1mg)で毎日2カ月間、経口で栄養補給を受けた。この試験では、対照群のマウスは、栄養補給食品を全く受けず、大豆油媒体を補給されなかった。予備試験の知見に基づいて、大豆油の短期(2カ月)経口補給は、非補給動物と比較して、免疫パラメーターや脂肪組織中のビタミンE総蓄積量を変化させなかった。これは、大豆油が低ビタミンE活性を有することが示されていた(Grela及びGunter、1995年)ことと、該動物が、毎日8週(2カ月)の期間非常に少量の油(大豆油50μL)しか補給されなかったことによると考えられる。栄養補給食品もワクチン接種も全く受けなかった追加の未処置マウス4匹を陰性対照として群別し、試験開始前の基準値免疫パラメーターを確立するために、0日目に犠牲にした。この試験は、国際医学大学(IMU)の研究倫理委員会の認可を受けた。動物の世話及び扱いは、国際医学大学倫理委員会が示した指針に厳格に従った。
【0035】
破傷風トキソイドのワクチン接種
全ての動物を、14日目にミョウバン吸着破傷風トキソイド(TT)ワクチン(Biofarma、インドネシア)の100μL即ち4Lf/mLで免疫した(表1を参照されたい)。各マウスの左後脚の大腿四頭筋に、TTワクチンの筋肉内投与を行った。ブースター用量のTTワクチンを28日目と42日目に投与した。Gileadi等(2002年)が報告したような動物試験の標準的免疫計画に従って、全ての動物に対して、14日目にTTワクチンで初回刺激を行い、2週間毎の間隔で2回追加刺激を行った。全ての免疫用接種のために、マウスをジエチルエーテルで軽度に麻酔した。血清試料は、0日目(基準)、28日目(第1回免疫用接種から2週後)、56日目(第3回免疫用接種から2週後)に眼窩後の出血により取得された。免疫用接種を完了した後、全実験動物に栄養補給食品を更に2週間補給した後、56日目に犠牲にした。犠牲動物の血液、脾臓及び脂肪組織を各種試験のために採集した。
【0036】
【表1】
【0037】
脾細胞増殖アッセイ
培地(5%(v/v)ウシ胎児血清、300μg/mLのL−グルタミン、及び100IU/mLのペニシリン並びに100μg/mLのストレプトマイシンを含有する完全RPMI−1640)を含んだペトリ皿中に、犠牲マウスからの脾臓を無菌的に取り出した。脾臓被膜の穏やかな破壊により、脾細胞を脾臓から遊離させた。この後、脾細胞を脾臓から穏やかに引き出した。脾臓懸濁液を室温で約1分間放置することにより、チューブ底に塊を沈ませた。次いで、脾細胞の単個細胞浮遊液を含有する上清を新しいチューブに移した。その脾細胞を遠心分離(4℃で1200rpm×10分)により回収した。
【0038】
製造業者が推奨する手順に従って、脾臓赤血球を溶解緩衝液(eBioscience,San Diego,CA)で溶解させた。その白血球を遠心分離(4℃で1200rpm×10分)によりもう1度回収した。次いで、白血球をRPMI−1640完全培地中に再浮遊させた。血球計数器を用いて細胞を計数した。トリパン・ブルー色素排除法を用いて計数過程における死細胞の排除を促進した。この後、その脾細胞浮遊液を、1×107細胞/mLを含有するように培地で調整した。次いで細胞浮遊液を3本のチューブ中に分けた。これらのチューブ各々に、マイトジェン、特異抗原のいずれかを添加した。使用したマイトジェンは、各濃度1μg/mLのコンカナバリンA(ConA)及びリポ多糖体(LPS)であり、使用した特異抗原は10μg/mLの純粋な破傷風トキソイド(TT)であった。これらの脾細胞浮遊液100μLを5%CO2加湿インキュベーター中、37℃、72時間、96ウェル・プレート中で培養した。脾細胞の増殖はMTTアッセイで測定し、これらの細胞によるサイトカイン産生はELISAで測定した。
【0039】
メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイ
脾細胞の増殖は、MTTアッセイ(Hansen等、1989年)を用いて測定したが、このアッセイでは、臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムのホルマザン結晶への還元を測定する。このアッセイでは、MTT黄色溶液が、生細胞のミトコンドリア・デヒドロゲナーゼにより紫色のホルマザン生成物へ変換される。脾細胞100μL(1×107細胞/mL)を平底96ウェル・プレート中に播種したものを3点用意し、1μg/mLのConA若しくはLPS又は10μg/mLのTTの存在下又は非存在下で培養した。5%CO2中37℃、72時間後、細胞を5mg/mLのMTT試薬と4時間インキュベートした。次いで、ホルマザン沈殿をイソプロパノール中のHCl 0.1mLの添加で溶解し、ヒペット操作を繰り返すことにより完全に混合した。ELISAリーダーを用いて570nmで細胞増殖を定量した。
【0040】
サイトカイン分析
72時間の培養後、脾細胞培養物の上清4ウェル分を1.5mLミクロ遠心チューブ中にプールした。このチューブを遠心(4℃で12000rpm×10分)して細胞屑を除いた。培養上清を新しい滅菌ミクロ遠心チューブに移し、−80℃で保存してELISAによる分析に備えた。無細胞培養上清中の各種サイトカイン(IFN−γ、IL−4、TNF−α)の濃度を、製造業者の手順(eBioscience,San Diego,CA)に従い、市販のマウス・サイトカインELISAキットを用いて決定した。手短に言うと、滅菌96ウェル・プレート(Nunc、米国)を該当する捕捉抗体(例えば、抗IFN−γ、抗IL−4、抗TNF−α)100μL/ウェルでコーティングした。そのプレートを密封し、4℃で終夜インキュベートした。この後、プレート内容物を捨て、ウェルを洗浄緩衝液(PBS及び0.05%Tween−20)で3回洗浄した。3回目の洗浄後、プレートを逆さにし、吸水紙上で拭き取って、残っていた洗浄緩衝液を除いた。次いで、製造業者から得たアッセイ希釈液200μL/ウェルで、ウェルをブロッキングした。
【0041】
そのプレートにカバーをし、室温で1時間、暗所でインキュベートした。インキュベーション期間の後、ブロッキング緩衝液を吸引し、既述のように洗浄した。−80℃で保存していた脾細胞培養上清を融解した。次いで、この培養上清100μLを試験ウェル中に添加し、二重に試料を用意した。陰性対照ウェルはアッセイ希釈液100μL/ウェルを含んでいたが、陽性対照は、製造業者から得た純粋な標準サイトカインの一定力価からなる。濃度既知の純粋なサイトカインの試料には、各ELISAキットが備わっていた。当該サイトカイン(IFN−γ、IL−4又はTNF−α)の標準原液100μL/ウェルを、アッセイ希釈液を用いて連続的に希釈した。次いで、プレートにカバーをし、室温で2時間インキュベートした。この後プレートの内容物を捨て、プレートを洗浄した。
【0042】
検出抗と、アビジン−セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)試薬(製造業者から入手)とを、製造業者推奨のようにアッセイ希釈液中に希釈した。次いで、こうした溶液100μLを全てのウェル中に添加した。プレートにカバーをし、暗所で1時間インキュベートした。この後、プレート内容物を吸引し、プレートを7回洗浄した。最後の洗浄サイクル中、ウェルを洗浄緩衝液中で1分間浸漬した後、緩衝液を吸引した。次いで、TMB基質溶液100μLを全ての96ウェルに添加した。プレートを室温で10分間インキュベートして発色させ、全ての96ウェルに2M硫酸40μLを添加することにより、その反応を停止させた。ELISAマイクロプレート・リーダーを用いて450nmで吸光度を読み取った。
【0043】
産生したサイトカイン量はpg/mLで表わされ、サイトカインELISAキット各々の検出限界は8pg/mLであった。陰性対照ウェル中のサイトカイン量は、殆ど検出できなかった。陰性対照ウェル中のサイトカイン値は、実験ウェル中のその値から差し引かれた。
【0044】
血清の抗TT抗体力価の決定
ELISAを用いたエンドポイント滴定によりマウス血清中の抗TT抗体を検出し、定量した。手短に言うと、96ウェルELISAプレートを炭酸塩緩衝液(pH9.2)中3μg/mLのTT溶液で100μL/ウェル用いてコーティングし、4℃で終夜インキュベートした。その後、ELISA洗浄緩衝液(0.05%Tween−20入りPBS)を用いてプレートを3回洗浄した。洗浄後、プレートをELISAブロッキング・バッファー(1%(w/v)ウシ血清アルブミン入りPBS)200μL/ウェルで室温、1時間ブロッキングした。次いで、プレートを洗浄緩衝液で5回洗浄した。次いで、試験試料100μLをこのプレートに添加し、二重に試料を用意した。ビタミンEを補給した動物の血清試料、及び対照を、1:200に始まる血清の2倍連続希釈を用いてブロッキング・バッファー中で連続的に希釈した。0日目に未処理動物から得た血清をこのアッセイ用の陰性対照として利用した。プレートを室温で2時間インキュベートした。
【0045】
2時間後、プレートを5回洗浄し、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼと結合した抗マウスIg(1:4000希釈)100μLを全てのウェルに添加した。37℃で60分間のインキュベーション及び5回の洗浄後、3,3‘,5,5‘−テトラメチルベンジジン(TMB)基質100μLを全てのウェルに添加した。発色が起こった後、全てのウェルに2M硫酸50μLを添加することにより、反応を停止させた。ELISAリーダーを用いて450nmの吸光度を読み取った。以前に記載(Sneath等、1987)のように、吸光度の値=0.45を示す希釈率の逆数としてIg力価を表した。
【0046】
マウス脂肪組織からのビタミンEの抽出
マウス脂肪組織約0.5gを15mL遠心チューブ中に入れ、組織ホモジナイザーを用いて5分間又は組織が液状になるまで、10000rpmで(比4:1:1の)ヘキサン、エタノール、0.9%塩化ナトリウムの混合物により均質化した。次いで、ホモジェネートを2000rpmで10分間遠心分離した。脂質含有上清相を5mLバイアルへ移し、窒素ガス下で乾燥させた。その試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析のために、使用する直前に適量のヘキサン(500μL対2mL)中に再懸濁した。
【0047】
HPLC分析
島津モデルRF−10AXL蛍光分光計、カラム室、島津クラスVPデータ収集ソフトからなるLC−10AT HPLC装置を用いて、分析HPLCを行った。HPLCカラムは、YMC A−012、5μmの150mm×6mmシリカ・カラムであった。蛍光検出器の励起波長と発光波長を、それぞれ295nmと325nmに設定した。移動相は、流速2mL/分のヘキサン−イソプロピルアルコール(99.5/0.5v/v)であった。試料注入容量は10μLに設定し、それに従ってα−トコフェロール、α、γ及びδ−トコトリエノールの標準混合溶液も装置内に注入した。試料中の成分のピーク面積を標準物質の対応面積と比較し、定量計算に使用した。
【0048】
統計的分析
データは平均値±標準偏差(S.D.)として提示され、その際nは使用したマウスの数である。全ての実験で脾細胞を個別に(即ち、プールした細胞ではなく)評価した。同様に、各マウスの血清も個別に試験した。SPANOVA、一元配置ANOVA、(その後、事後的なTukeyの対比較)又はスチューデントのt検定のいずれかを用いて、P<0.05を許容できる統計的有意差の水準と設定した場合に、対照と実験動物(a−T、δ−T3、TRF)の間の有意性を判定した。
【0049】
方法(臨床試験)
試験設計
臨床試験は、国際医学大学の研究倫理委員会により認可され、臨床試験基準(GCP)に関するマレーシア国家ガイドラインに従った。この試験は、無作為化した二重盲検プラセボ対照試験であった。志願者は、マレーシア・プトラ大学(UPM)工学部の第11学寮から募集した。志願者は、年齢層が理想的なため(18〜25歳)この学寮から選択された。
【0050】
動物試験では、試験の開始以前に破傷風抗原に曝されていなかった(即ち、TTワクチン接種の投与3回を全くしていなかった)ので、全てのマウスに破傷風トキソイド免疫付与の投与を3回行い、したがって標準的なワクチン接種計画の一部としてTTワクチンの投与を3回施した(各投与を2週間隔毎に)。
【0051】
志願者の選別
総合健康診断と問診の後、各志願者から血液7mLを採取し、各種の生化学試験として空腹時血糖値、血清クレアチニン、総コレステロール、高密度リポタンパク(HDL)コレステロール、低密度リポタンパク(LDL)コレステロール、トリグリセリド、総HDL比を含めた総脂質プロファイル、肝機能試験、即ち血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)及び血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)、総ビリルビンなどのために、認可臨床検査センター(PATHLAB、マレーシア)にその試料を送付した。血液は、試験の0日、28日及び56日に標準的静脈穿刺法(Nursing Standard、1999年、http://www.gp−training.net/protocol/nurse/venepunc.html、2005年)を用いて採取された。妊娠検査のために志願者から尿試料も得た。志願者は、生化学試験のために採血する前夜、10〜12時間絶食するように求められた。
【0052】
腎臓と肝臓の機能が、栄養補給後の全ての志願者において正常であることを主として保証するために、試験終了時(56日目)に同じ生化学パラメーターを再度測定した。
【0053】
志願者の募集
選定された志願者は、プラセボ(対照群)又はTRF(試験群)400mgの栄養補給を毎日受けるように無作為に割り当てられた。この試験では乱塊方式を使用した。
【0054】
試験参加者108名全員をTRF、プラセボいずれかのカプセルを満たした瓶に1:1の比で等しく割り当てた。1番と2番のラベルを付けた同一の瓶2本を試験期間中用いた。各参加者に対し、試験担当者は2本の瓶の一方を交互に選択し(即ち、第1の参加者が1番瓶を受け取り、第2の参加者が2番瓶を受け取ったという具合)、試験参加者のファイル中に選定瓶の番号を記録した。本発明を実施する期間中に、志願者間でカロリー摂取量を一定にし、ビタミンEの吸収総量に対する食事の効果を最小限にするために、志願者は、推奨される食事の標準スケジュールにより1日3食を与えられた。週日には、参加者は施設内で朝食を取り、午後の食事を持参した。夕食は、学寮のカフェテリアで毎日取った。全ての食事は学寮のカフェテリアで用意された。
【0055】
最初の1カ月間中に、処置群の志願者6名とプラセボ群の志願者2名が試験から抜けた。全志願者は、基準日(0日目)、28日目、56日目に採血された。コンプライアンスを各来所時の丸薬数により調べた。図1は、本発明を通した参加者の割当及び保持人数を表す。
【0056】
試験終了時に、各志願者の血液試料の分析から収集したデータを計算してデータベース(Microsoft Excel(登録商標)2003)とし、ウィンドウズ(登録商標)用のSPSS(version 11.0;SPSS Inc.,Chicago,IL)を用いて統計的分析を行った。
【0057】
栄養補給食品
この試験に用いたTRF栄養補給食品は、Hovid Sdn Bhd(Ipoh、マレーシア)製造のTocovid SupraBioであった。Tocovid軟質ゲルカプセルの組成物には、トコトリエノールとα−トコフェロールの混合物が含まれる(表2を参照されたい)。この混合トコトリエノール(TRF)カプセルは栄養補給食品200mgを各々含有しているのに対し、プラセボ・カプセルは、ビタミンEを全く欠いたパーム・オレイン(料理油)で出来ていた。
【0058】
【表2】
【0059】
栄養補給食品の投与
志願者は、8週間ビタミンE又はプラセボの栄養補給食品を毎日摂取することを、この試験の0日目に開始するように求められた。志願者は、コンプライアンスを促進するために、好ましくは昼食又は夕食と共に毎日カプセル2個を摂取するように教示された。試験群用栄養補給食品の経口摂取量は、毎日混合トコトリエノール400mgであった。
【0060】
破傷風トキソイド(TT)のワクチン接種
TTワクチン(Biofarma、バッチ番号ATT073BA2006/2007)を、登録看護婦による非利き腕の三角筋中への筋肉内注射を介して投与した。使用した用量は、最終容量0.5mL中にTTワクチンが20凝集単位(Lf)であった。免疫用接種期間中及び試験過程中に、ワクチン関連の重大な有害事象は起こらなかった。
【0061】
血液試料の採取
血液試料は、選別日及び0、28、56日目に登録した看護婦又は医師により健常志願者から抜き取られた。静脈穿刺のために、減圧チューブ・ホルダーに接続した蝶形又は10mLプラスチック・シリンジを使用した。血液試料に関して実施しようとする試験に基づいて、各種の採血チューブ中に血液試料を採取し、そのチューブの最大容量まで満たした。採血後、血塊活性化剤又は抗凝固剤との血液の適切な混合を確実にするため、そのチューブを3回倒立させた。この試験に使用した採血チューブの型を表3に表記する。全ての採血チューブは有効期限日の前に使用した。
【0062】
【表3】
【0063】
末梢血白血球の分離
末梢血白血球(PBL)は、赤血球(RBC)溶解法を用いて健常志願者から得たヘパリン処理血液より分離された。既に実施した最適化試験から、血液1mLの白血球が、この試験のために行う予定の増殖や、サイトカイン・アッセイにとって十分であると判定した。志願者から採取したヘパリン処理血液約1mLを、適当にラベル表示した15mLコニカル・チューブ中に分取した。次いで、血液試料を含有する各チューブ中にRBC溶解緩衝液約3mLを添加した。チューブに栓を付け、混合物が均質になるまで4回倒立させ、室温で3分間インキュベートすることにより、RBC溶解反応を起こした。氷冷したPBSの添加により反応を停止させ、チューブを4000rpmで4℃、10分遠心した。遠心後、上部の透明赤色上清を捨て、細胞を氷冷PBS中で1回洗浄した。
【0064】
遠心ステップを繰り返し、白血球を含有するペレットを、5%(v/v)FBS、1%のペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミンを含有する5mLの完全RPMI−1640中に再浮遊させた。チューブの底から細胞を解き放つため、チューブを軽く叩き、チューブを静かに倒立させることにより、細胞浮遊液を形成させた。チューブを氷上に維持し、血球計数器を用いて細胞計数を行った。血中白血球の培養を0、28、56日目に実施した。
【0065】
末梢血白血球の計数及び増殖
血球計数器を用いて全試料について個別に血液中生存白血球の計数を行った。死細胞を特定するために、トリパン・ブルー排除法を用いた。細胞浮遊液100μLを完全RPMI900μL中に添加することにより、白血球浮遊液の10倍希釈液を滅菌した1.5mLのEppendorfチューブ中に作製した。次いで、トリパン・ブルー色素(0.4%)40μLをチューブに添加し、チューブを数回倒立させることにより溶液を混合した。細胞浮遊液約10μLを血球計数器用スライド・ガラスの計数室中にピペットで添加し、非染色生存細胞の個数を数えた。生存白血球の個数を計算し、最終細胞濃度1×107細胞/mLを得るために、培地(RPMI1640)で細胞浮遊液の容量を調整した。白血球を96ウェル・プレート中に1×106細胞/ウェルで播種し、これらの細胞をConA若しくはLPS1μg/mL又はTT10μg/mLで個別に刺激した。細胞を5%CO2の加湿雰囲気中で37℃、72時間培養した。末梢血白血球の培養物を3日後に採集した。
【0066】
ELISA
72時間の培養後、末梢血白血球の培養物のウェルから得た上清を1.5mLミクロ遠心チューブ中にプールした。チューブを遠心する(4℃で12000rpm×10分)ことにより、細胞屑を除いた。この培養上清を新しい滅菌ミクロ遠心チューブに移し、−80℃で保存してELISAに備えた。ヒトPBLの培養上清からのIFN−γ、IL−4、IL−6、IL−10の見積りは、市販のELISAキット(eBioscience,San Diego,CA)を用い、該製造業者の使用説明書に従って行った。IFN−γとIL−6の検出感度の限界は、それぞれ8pg/mLと1pg/mLであった。IL−4、IL−10双方の検出限界は4pg/mLであった。0、28、56日目に採取した血漿中の抗TT総Ig力価も、ELISAを用いて決定した。ヘパリン処理チューブ中に採取した血液試料を、2000rpmで室温、10分間遠心した。沈積した赤血球から血漿を分離し、滅菌した1.5mL遠心チューブ中に移した。血漿試料は、1:400に始まる2倍連続希釈を用いてアッセイ希釈液中で連続希釈を行った。非免疫用接種志願者から得た血清を、血清総Ig滴定の陰性対照として使用した。
【0067】
血漿試料を2時間インキュベーションした後、ELISAプレートを洗浄し、ヤギ抗ヒトIgを結合したHRPを、1:5000の希釈度で添加した。60分のインキュベーションと5回の洗浄後、TMB基質100μLを添加し、発色したとき、2M硫酸の添加(50μL/ウェル)により反応を停止させた。ELISAリーダーを用いて450nmでプレートを読み取り、吸光度の値≦0.45を示す希釈率の逆数として総Ig力価を表した。
【0068】
次いで、抗破傷風ヒトIgG ELISAキット(IBL,Hamburg)を用いて、Ig力価既知の血漿試料をアッセイし、その試料中のIgG(IU/mL)の濃度を定量した。IgGマイクロウェル・プレートを不活性化した破傷風トキソイド抗原でコーティングした。製造業者の較正物質(濃度範囲が5〜40IU/mL)と陰性対照を各プレートに対して二重に操作した。較正物質の標準曲線を用いて試料中のIgGの濃度を計算した。
【0069】
血中白血球の染色
フロー・サイトメトリー分析のために、0、28、56日目に志願者から抜き取った血液約1mLを、滅菌したK3 EDTA VACUTAINER(登録商標)採血チューブ中に採取した。異なる4種類のTriTEST試薬(表4を参照されたい)、即ちCD4、CD8、CD19、CD16+CD56の各抗体(Becton Dickinson,NJ、米国)を用いて、製造業者推奨の方法に従って血液試料を染色した。全4抗体は、免疫蛍光試薬、具体的にはフルオレッセインイソチオシアネート(FITC)標識CD3抗体と、ペリジニン・クロロフィル・タンパク(PerCP)標識CD45抗体とを含有する。CD3抗体は、成熟ヒトTリンパ球(CD3+)とT細胞抗原受容体(TCR)複合体とを特定し(Brenner等、1986年)、一方CD45抗体はヒト白血球抗原(HLA)を認識する(Schmidt、1989年)。各血液試料のために滅菌した丸底Falconチューブ4本を用意した。次いで、異なるTriTEST試薬20μLを各チューブの底にヒペットで注いだ(表4を参照されたい)。この後、良く混合した抗凝固剤入り全血50μLを各血液試料用のチューブ全4本の底にヒペットで注いだ。
【0070】
チューブに栓を付け、底を軽く叩くことにより、抗体を血液細胞と十分に混合した。次いで、チューブを暗所、室温で15分インキュベートした。インキュベーションは、試料が冷温の温度変化を受けると起こることが報告された(Forsyth及びLevinsky、1990年;Repo等、1995年)、白血球の表面抗原発現量の変動を減少させるために、室温で行われた。インキュベーション後、1X FACS溶解液450μLを各チューブ中に添加した。チューブに栓を付け、底を軽く叩くことにより、混合を確実にした。
【0071】
チューブを暗所で更に15分インキュベートした。この後、フロー・サイトメーターを用いて試料を直ちに分析した。
【0072】
【表4】
【0073】
フロー・サイトメトリー分析
Tri−test抗体染色試料のデータを、フロー・サイトメトリー(FACS Calibur,Becton Dickinson,San Jose,CA)により、該製造業者提供のMultisetソフトを用いて収集した。フロー・サイトメーターの較正を、該製造業者提供のCalibrite Beadsを用いて各操作前に毎日行った。Multisetソフトを用いて測定したパラメーターには、Tリンパ球、Tヘルパー細胞、CD8+Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞の個数と比率(%)、さらにCD4:CD8 T細胞比が含まれる。
【0074】
血漿からのビタミンE抽出とHPLC分析
ヘパリン処理チューブ中に採取した血液試料を、2000rpmで室温、10分遠心した。沈積した赤血球から血漿を分離し、滅菌した1.5mL遠心チューブ中に移した。この後、0.5%NaClとエタノールを0.5mL含んだチューブに血漿500μLを次いで添加した。次いで、ヘキサン400μLを各チューブ中に添加した。
【0075】
ミニシェーカーを用いて該混合物を1時間激しく振とうした。次いで、そのチューブを3000rpmで室温、10分遠心した。遠心後、透明なヘキサン相を清浄なバイアル中に注意深く移し、窒素ガス下で送風乾燥した。その脂質試料の一定分量をヘキサン500μL中に液戻しした。次いで、その溶液10μLをHPLC装置に注入した。
【0076】
統計的分析
試験で得たデータを、ウィンドウズ用SPSS(Version10.0;SPSS Inc.,Chicago,IL)を用いて処理した。分割区画ANOVA(SPANOVA)、一元配置ANOVAのいずれかを用いて、異なる3時点、即ち0、28、56日目における対照(プラセボ)群と実験(TRF)群との間の有意性を決定した。データは平均値±S.D.として提示してある。
【0077】
結果
(動物試験)
マウスの脂肪組織におけるビタミンEレベル
異なるビタミンE異性体、主にa−T、TRF、δ−T3を給餌された実験群の動物は、非栄養補給対照マウスと比較して、脂肪組織における有意(P<0.05)な総ビタミンE蓄積レベルを示した(図2を参照されたい)。総ビタミンEレベルは、δ−T3を給餌された動物の脂肪組織で最高であり、次いでTRFとa−Tとを給餌された場合であった。異種のビタミンEを給餌されたマウスでは、a−Tとα−トコトリエノール(a−T3)異性体が全ての動物の脂肪組織に存在していた。しかし、その他の動物群と比較した場合、a−T給餌動物は有意に(P<0.05)高い濃度のトコフェロールを有し、同様にTRF補給動物は、脂肪組織中に蓄積した非常に有意な(P<0.01)量のa−T3を示した(図3を参照されたい)。脂肪組織中のδ−T3の濃度はδ−T3給餌動物で最高であり、そのレベルはその他の動物群と比較して非常に有意(P<0.01)であった(図3を参照されたい)。対照及びa−T補給動物の脂肪組織には、検出可能量のδ−T3もγ−T3も全くなかった。TRF補給動物だけが、脂肪組織中に全4異性体の存在を示し、γ−トコトリエノール(γ−T3)の濃度は、その他の動物と比較してこの群では非常に有意(P<0.01)であった。実験群は、ビタミンEの異なるアイソフォーム、即ちTRF、a−T又はδ−T3を1mg給餌された。
【0078】
対照マウスは、ビタミンEのいずれの異性体も補給されなかった。対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定した。(訳注:Pの前のaにはその下に「.」がつく)
【0079】
a−T給餌マウスとその他の動物群との有意差を、脂肪組織中のa−T濃度についてaP<0.01(ANOVA)と指定した。脂肪組織中のδ−T3濃度については、δ−T3給餌マウスと対照群、a−T群及びTRF群からの動物との差異を、cP<0.01(ANOVA)(訳注Pの前のcにはその上に「^」がつく)と指定した。脂肪組織におけるa−T3及びγ−T3の蓄積は、対照群、a−T群及びδ−T3群からの動物と比較して、TRF補給マウスにおいて有意差を示し、各々eP<0.01(ANOVA)(訳注:Pの前のeにはその下に「.」がつく)及びuP<0.01(ANOVA)と指定した(訳注:Pの前のuの上に記号が書かれているが不明)。
【0080】
ビタミンEを補給されたマウスにおける抗破傷風トキソイド抗体の産生
BALB/cマウスを4群、即ち3実験群と1対照群に分けた。実験群のマウスは、異種のビタミンEを経口で補給された。全ての動物は、破傷風トキソイド(TT)ワクチンの投薬を3回受けた。対照動物と実験動物の血清におけるTT特異抗体の力価は、ELISAを用いて0日目(基準)、28日目、56日目に測定された。図4に示すように、TT免疫用接種マウスにおける抗TT Ig力価は、ビタミンE、即ちδ−T3、a−T又はTRFの毎日の栄養補給後に有意に(P<0.05)増強された。抗TT Ig力価の増強は、対照動物と比較して、28日目の第1回ワクチン接種後に全てのビタミンE補給群において統計的に有意(P<0.05)であった。しかし、抗TT力価の増強は、第1回ワクチン接種後の実験群同士の間では有意差がなかった(図4を参照されたい)。第3回のTTワクチン接種後、ビタミンEの異なる異性体を56日間補給されたマウスは、非処置マウスと比較した場合、有意に(P<0.05)高い抗TT抗体力価を有していた(図4を参照されたい)。
【0081】
図4に示すように、δ−T3異性体を補給されたマウスは、第3回ワクチン接種後に最高の抗TT抗体力価を有していた。これに続くのは、TRFとa−Tを給餌されたマウスであった。δ−T3とTRFを補給されたマウスにおける抗TT抗体力価は、a−T処置マウスの場合より有意に(P<0.01)高かった。
【0082】
加えて、δ−T3補給とTRF補給マウスは、第1回免疫用接種と比較して、第3回免疫用接種後に有意に(P<0.01)高い抗抗体力価も示した。血清抗TT抗体の基準(0日目)力価は全動物において低く、対照群と実験群においてほぼ同じであり(図4を参照されたい)、動物の免疫状態は試験開始時に類似していたことを示す。こうした知見は、トコトリエノール、主にδ−T3とTRFが、TTワクチン接種マウスにおいて抗TT抗体の産生を有意に増強したことを示している。28、56日目での対照群と実験群との有意差を、それぞれaP<0.05(SPANOVA)及びeP<0.05(SPANOVA)と指定した。56日目でのδ−T3給餌とa−T給餌動物との有意差を、uP<0.01(ANOVA)と指定し、56日目でのTRF補給群とa−T補給群との差異はcP<0.01(ANOVA)と指定した。TRF給餌及びδ−T3給餌動物における56日目と28日目との有意差を、sP<0.01(SPANOVA)と指定した。(訳注;Pの前のsはその上に「’」がつく)
【0083】
ビタミンEを補給されたTTワクチン接種マウスからの脾細胞の増殖
BALB/cマウスを4群、即ち3実験群と1対照群に分割した。実験群のマウスは、ビタミンEの異なる異性体を経口で補給された。全ての動物は、破傷風トキソイド(TT)ワクチンの投薬を3回受けた。56日目に、犠牲にしたマウスの脾臓を取り出し、ConA、LPS又は純粋TTの存在下で培養した。
【0084】
図5は、対照及びビタミンE補給マウス由来の脾細胞のマイトジェン誘発又は抗原誘発増殖に対する、異なるビタミンE異性体の補給の効果を示す。δ−T3、TRF、a−Tのいずれかで補給されたTT免疫用接種マウスの脾細胞は、対照マウスと比較して、ConA(1μg/mL)又はTT(10μg/mL)に対する有意に(P<0.05)大きな応答を示した(図5を参照されたい)。細胞増殖は、δ−T3補給群においてやや増加し、これにTRFとa−T補給群が続いた。しかし、ConA又はTT刺激後のビタミンE処置群同士の間に脾細胞増殖の有意な(P<0.05)差はなかった。加えて、LPS(1μg/mL)は、対照群と比較して、ビタミンE処置群に有意な(P<0.05)脾細胞増殖を誘発しなかった。こうした結果は、トコトリエノール、トコフェロールいずれの補給もConA又はTT刺激マウス脾細胞の増殖を強化できることを示している。雌性マウス5匹の各群を、14日、28日、42日目にTTワクチン(4LF/mL)で免疫用に接種した。マウスを、最後のワクチン接種から2週後(56日目)に犠牲にした。
【0085】
ConA刺激培養物における対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定し、一方TT刺激培養物における対照群と実験群との有意差を、eP<0.05(ANOVA)と指定した。LPS刺激後では、脾細胞増殖の有意差が対照群と実験群との間に認められなかった(ANOVA)。
【0086】
TT免疫用接種マウスからのマイトジェン又は抗原刺激脾細胞によるサイトカインの産生に対する、ビタミンE補給の効果
BALB/cマウスを4群、即ち3実験群と1対照群に分けた。実験群のマウスは、異なるビタミンE異性体を経口で補給された。全ての動物は、破傷風トキソイド(TT)ワクチンの投薬を3回受けた。対照及び実験のマウスは、56日目に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓を取り出し、ConA又は純粋TTの存在下で培養した。培養72時間後に培養上清を採集し、産生されたサイトカイン(IFN−γ、IL−4、TNF−α)の量を、ELISAを用いて定量した。
【0087】
ConA又はTT刺激脾細胞によるIFN−γの産生に対するビタミンE補給の効果
図6に示すように、異なるビタミンE異性体を給餌されたTTワクチン接種マウスから採集したConA刺激脾細胞からのIFN−γ濃度は、対照マウスの濃度より有意に(P<0.05)高かった。a−T処置マウスに比較して、δ−T3を補給された動物は、ConA刺激後のサイトカイン産生の有意な(P<0.05)増加を示した。しかし、a−T給餌マウスとTRF給餌マウスの間には、IFN−γのレベルに有意差が認められなかった。
【0088】
TT刺激脾細胞では、対照動物と比較して、全てのビタミンE補給群においてIFN−γレベルが有意に増大した(図6を参照されたい)。しかし、処置群同士の中ではサイトカイン・レベルに有意差がなかった。加えて、ナイーブ(非処置マウスでワクチン接種もしていない)マウスからのConAで刺激された脾細胞は、対照動物と比較してかなり低い量のIFN−γを産生した。
【0089】
ConA又はTT刺激脾細胞によるIL−4の産生に対するビタミンE補給の効果
図7は、TTワクチン接種を3回した後の対照マウスとビタミンE処置マウスからの脾細胞によるIL−4の産生を示す。対照マウスと比較して、ビタミンE処置動物は、脾細胞のConA誘発、TT誘発いずれの増殖においてもIL−4産生の有意な(P<0.05)向上を示した。しかし、ビタミンE補給群同士の中ではIL−4レベルに有意差が認められなかった。ナイーブ動物(非処置マウスでワクチン接種もしていない)からの脾細胞は、対照動物と比較して相対的に非常に低い量のIL−4を産生した。
【0090】
LPS刺激脾細胞によるTNF−αの産生に対するビタミンE補給の効果
LPS誘発TNF−α産生は、異なるビタミンE異性体を補給され、TTでワクチン接種されたマウスにおいて、有意に(P<0.05)減少することが判明した(図8を参照されたい)。TNF−αの産生は、全てのビタミンE処置動物においてほぼ同じであり、こうした群同士の間で差が認められなかった。雌性マウス5匹の各群は、14日、28日、42日目にTTワクチン(4Lf/mL)で免疫用に接種された。マウスは、56日目、即ち最後のワクチン接種から2週間後に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓から脾細胞を調製し、ConA(1μg/mL)又はTT(10μg/mL)の存在下で培養した。結果は濃度(pg/mL)で表されている。
【0091】
培養上清を、培養72時間後に採集し、産生されたIFN−γの量を、ELISAを用いて定量した。ConA刺激脾細胞における対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定し、TT刺激脾細胞における対照群と実験群との差異を、eP<0.05(ANOVA)と指定した。ConA刺激脾細胞におけるδ−T3補給とa−T補給動物との差異を、uP<0.05と指定した(スチューデントのt検定)。ConA刺激脾細胞においては、TRF補給とa−T補給動物との間に差異が認められなかった。ConA刺激脾細胞におけるナイーブ動物と対照動物との有意差を、sP<0.05(スチューデントのt検定)と指定した。雌性マウス5匹の各群は、14日、28日、42日目にTTワクチン(4Lf/mL)で免疫用に接種された。マウスは、最後のワクチン接種から2週間(56日)後に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓から脾細胞を調製し、ConA(1μg/mL)又はTT(10μg/mL)の存在下で培養した。結果は濃度(pg/mL)で表されている。培養上清を、培養72時間後に採集し、産生されたIL−4の量を、ELISAを用いて定量した。ConA刺激脾細胞における対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定し、TT刺激脾細胞における対照群と実験群との差異を、eP<0.05(ANOVA)と指定した。ConA刺激脾細胞におけるナイーブ動物と対照動物との有意差を、sP<0.05(スチューデントのt検定)と指定した。雌性マウス5匹の各群は、14日、28日、42日目にTTワクチン(4Lf/mL)で免疫用に接種された。マウスは、最後のワクチン接種から2週間(56日)後に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓から脾細胞を調製し、LPS(1μg/mL)の存在下で72時間培養した。結果は濃度(pg/mL)で表されている。培養上清を、培養72時間後に採集し、産生されたTNF−αの量を、ELISAを用いて定量した。対照群と実験群との有意差を、LPS刺激脾細胞においてaP<0.05と指定した(ANOVA)。
【0092】
TRFで補給された志願者の血漿における高レベルのビタミン
HPLCを用いて志願者から得た血漿試料を分析し、トコフェロール及びトコトリエノール全体の濃度を定量した。図9に示すように、総ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)の血漿濃度は、実験群においてTRF補給をした4週(28日)後及び8週(56日)後に有意に(P<0.05)増加した。対照的に、プラセボ群の血漿中の総ビタミンE濃度は、両時点で一定のままであった(図9を参照されたい)。しかし、TRF補給群の血漿における総ビタミンE濃度の28日目及び56日目の間の差異は、統計的に有意性がなく(図9を参照されたい)、恐らくは体内の除去過程が、何らかの最適なビタミンEレベルの維持に有効であることが示唆される。
【0093】
健常志願者の血中の内因性α−トコフェロール量は、0日目と比較して28日目及び56日目に有意に(P<0.05)増加した(図10を参照されたい)。α−トコフェロール濃度は、プラセボ群と比較してTRF補給群において、28日目及び56日目に有意に(P<0.05)増大した。α、γ、δ−トコトリエノールの平均血漿濃度も、プラセボと比較すると、TRFを摂取した志願者において28日目及び56日目に有意に(P<0.01及びP<0.05)増加した(図11を参照されたい)。TRF補給群における28日目及び56日目のトコトリエノール異性体の濃度のうち、α−トコトリエノールが最高であり、これに続いてγ−トコトリエノールとδ−トコトリエノールであった(図11を参照されたい)。プラセボ群における28日目及び56日目の各トコトリエノールの濃度は、同じままであり、その量は0日目と比較して有意差がなかった(P<0.05)。100名の志願者を、2群、即ち対照群(プラセボを摂取)又は実験群(毎日TRF400mgを摂取)に無作為に割り当てた。両群より血液を0日目、28日目、56日目に抜き取った。
【0094】
血漿を、方法の項に記載のように、HPLC分析のために血液から分離した。この分析で得た総ビタミンEの血漿濃度はμg/mLで報告している。
【0095】
28日目における対照群と実験群との血漿ビタミンEレベルの有意差をuP<0.05(ANOVA)と指定する。56日目における対照群と実験群との血漿ビタミンEレベルの有意差をnP<0.05(ANOVA)と示す(訳注:Pの前のnはその上に「.」がつく)。0日目及び28日目における実験群同士間の血漿ビタミンEレベルの有意差をaP<0.05(SPANOVA)と指定する。0日目及び56日目における実験群同士間の血漿ビタミンEレベルの有意差をcP<0.05(SPANOVA)と指定する。
【0096】
100名の志願者を、2群、即ち対照群(プラセボを摂取)又は実験群(毎日TRF400mgを摂取)に無作為に割り当てた。両群より血液を0日目、28日目、56日目に抜き取った。血漿を、方法の項に記載のように、HPLC分析のために血液から分離した。この分析で得たα−トコフェロールの血漿濃度はμg/mLで報告している。
【0097】
28日目における対照群と実験群との血漿α−トコフェロール濃度の有意差をaP<0.05(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をcP<0.05(ANOVA)と示す。0日目と28日目における実験群同士間の血漿α−トコフェロール・レベルの有意差をuP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をnP<0.05(SPANOVA)と指定する。
【0098】
図11:対照及び実験志願者の血漿中のトコトリエノールの濃度
100名の志願者を、2群、即ち対照群(プラセボを摂取)又は実験群(毎日TRF400mgを摂取)に無作為に割り当てた。両群より血液を0日目、28日目、56日目に抜き取った。血漿を、方法の項に記載のように、HPLC分析のために血液から分離し、準備した。この分析で得たトコトリエノールの血漿濃度はμg/mLで報告している。
【0099】
28日目における対照群と実験群との血漿α−トコトリエノール濃度の有意差をaP<0.01(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をnP<0.0 1(ANOVA)と示す。0日目と28日目における実験群同士間の血漿α−トコトリエノール・レベルの有意差をeP<0.01(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をcP<0.01(SPANOVA)と指定する。
【0100】
28日目における対照群と実験群との血漿γ−トコトリエノール濃度の有意差をuP<0.05(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をtP<0.05(ANOVA)と示す(訳注:Pの前のtには「+」がつく)。0日目及び28日目における実験群同士間の血漿γ−トコトリエノール・レベルの有意差をsP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をνP<0.05(SPANOVA)と示す(訳注:Pの前のυの上に「’」がつく)。
【0101】
28日目における対照群と実験群との血漿δ−トコトリエノール濃度の有意差をYP<0.05(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をzP<0.05(ANOVA)と示す(訳注:Pの前のzの上に「^の反対向きの記号」がつく)。0日目と28日目における実験群同士間の血漿δ−トコトリエノール・レベルの有意差をXP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をWP<0.05(SPANOVA)と示す(訳注:Pの前のWの上に「^」がつく)。
【0102】
マイトジェン又は抗原刺激PBMCによるサイトカインの産生に対するTRF補給の効果
方法の項に記載のように、血液を0日、28日、56日目に全志願者から抜き取った。3.4.8項に記載したように末梢血単核細胞(PBMC)を分離し、その白血球をConA、LPS又は純粋TTの存在下で培養した。培養72時間後に培養上清を採集し、ELISAを用いて産生したサイトカイン(IFN−γ、IL−4、IL−6、IL−10)の量を定量した。本発明では、TT刺激後のPBMCによるサイトカイン産生を、28日目、56日目、即ちMeydani等(1997年)が報告したTTワクチンの投与前後にだけ測定した。TT刺激後のサイトカインの基準(0日目)レベルは、志願者における、TTワクチンの投与前である28日目のレベルと類似していると報告された(Meydani等、1997年)。しかし、ConA、LPS双方による刺激(非特異的マイトジェン)後のPBMCによるサイトカイン産生を、0日目、28日目、56日目に測定した。
【0103】
ConA又はTT刺激PBMCによるIFN−γの産生に対するTRF補給の効果
図12は、対照群と実験群における志願者のPBMCによるIFN−γの産生を示す。IFN−γの産生量は、0日目又は28日目に産生した量と比較して、56日目、即ちTTワクチンの接種後に、ConA刺激PBMCによって有意に(P<0.05)増強された。IFN−γレベルは、0日目と比較して28日目に僅かしか高くならなかった。加えて、28日目にTRF群とプラセボ群との間に認められた差異は、統計的に有意ではなかった(P>0.05)。56日目、即ちTTワクチンの投与から28日後に、IFN−γの産生量は、TRF補給を受けた志願者のPBMCにおいて、対応するプラセボ群と比較して有意に(P<0.02)増強された。
【0104】
特異抗原、即ちTTにより刺激されたPBMCが産生するIFN−γの量も決定された(図13を参照されたい)。志願者からのPBMCの大部分は、28日目、即ちブースターTTによる免疫用接種前にTTによる刺激に応答した。これは、子供時の免疫用接種プログラム中にこの抗原に既に曝されたためであろう。56日目のTTワクチン接種後には、インビトロでのTT刺激後のIFN−γの産生が、TRF補給群、プラセボ補給群の双方で増大した。しかし、そのサイトカイン・レベルは、プラセボ補給と比較して、TRF補給を受けた志願者において非常に有意であった(P<0.01)。
【0105】
ConA又はTT刺激PBMCによるIL−4の産生に対するTRF補給の効果
図14に示すように、TTワクチン接種の前では、志願者のPBMCは、ConA刺激培養物におけるIFN−γと比較して、非常に低レベルのIL−4を産生した。TTワクチン接種から1カ月後(56日目)では、IL−4のレベルは、試験の0日目及び28日目と比較して、TRF補給群、プラセボ補給群の双方で有意に(P<0.05)上昇した。しかし、56日目におけるIL−4の濃度は、対照群と実験群との間で有意差がなかった(P>0.05)。
【0106】
TT刺激PBMC培養物におけるIL−4レベルを、2つの時点、即ちTTワクチン接種の前後に4週間を置いてアッセイした。TTにより刺激したPBMCは、ConA刺激PBMCと比較して低い量のIL−4を産生した(図14及び15を参照されたい)。TTワクチン接種前、即ち28日目では、TRF補給及びプラセボ補給志願者からのTT刺激ヒトPBMCが産生するIL−4量に、統計的有意差がなかった(P>0.05)(図15を参照されたい)。対照的に、56日目のTTワクチン接種後では、プラセボと比較してTRFを受けた志願者において、IL−4レベルが有意に(P<0.05)増大した(図15を参照されたい)。
【0107】
LPS刺激PBMCによるIL−6の産生に対するTRF補給の効果
IL−6、TNF−αなどの炎症促進性サイトカインが、病原体侵入後に急性期タンパク質を誘導するために、マクロファージにより産生されることは十分に認められている(Levi等、2003年)。志願者からのLPS刺激PBMCは、志願者の対照群、実験群双方において、試験の0日目と28日目に高いレベルのIL−6を産生した(図16を参照されたい)。しかし、TRFを補給された志願者は、プラセボを受けた志願者と比較して、56日目、即ちTT免疫用接種から1カ月後に有意に(P<0.05)低いIL−6産生を示した(図16を参照されたい)。
【0108】
対照群及び実験群の末梢血から分離したConA刺激PBMCにより産生されるIFN−γの量を決定した。0日目(基準)、28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIFN−γの量を決定した。対照と実験志願者からのConA刺激PBMCにより、56日目に産生されたIFN−γレベルに統計的有意差が認められた。対照群と実験群との有意差を、eP<0.02(ANOVA)として示す。0日目及び28日目と比較した56日目における対照群内の統計的差異を、aP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した56日目における実験群内のレベル差を、uP<0.05(SPANOVA)として示す。
【0109】
対照群(プラセボ処置)及び実験群に属する志願者の末梢血から分離した、TT刺激PBMCにより産生されるIFN−γの量を、方法の項に記載したように決定した。28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIFN−γの量を決定した。
【0110】
28日目における対照群と実験群とのTT特異的IFN−γレベルの有意差を、eP<0.05(ANOVA)として示し、56日目における対照群と実験群との差異を、aP<0.01(ANOVA)として示す。対照群の28日目と56日目との有意差を、XP<0.05(SPANOVA)と指定し、実験群の28日目と56日目とのレベル差を、uP<0.01(SPANOVA)として示す。
【0111】
対照群(プラセボ処置)及び実験群の志願者の末梢血から分離したConA刺激PBMCにより産生されるIL−4の量。0日目(基準)、28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIL−4の量を決定した。
【0112】
0日目及び28日目と比較した56日目における対照群内の有意差を、eP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した56日目における実験群内のレベル差を、aP<0.05(SPANOVA)として示す。
【0113】
ConA又はTT刺激PBMCによるIL−10の産生に対するTRF補給の効果
インターロイキン−10は、抗原提示細胞上での副刺激分子の発現を低下させ(Corinti等、2001年)、それにより樹状細胞(DC)の抗原提示能を抑制できる(Thomssen等、1995年)、十分に立証された免疫抑制サイトカインである。この本発明では、全志願者が、0日、28日、56日目にConA刺激PBMCよる検出可能なレベルのIL−10産生を示した(図17を参照されたい)。
【0114】
産生されるIL−10のレベルは、試験の基準日から56日目まで僅かに増加したが、そのレベルは有意ではなく(P>0.05)、TRF群とプラセボ群との間にもIL−10産生の有意な変化が認められなかった(P>0.05)(図17を参照されたい)。図18に示すように、TTにより刺激されたPBMCも、28日目、56日目に、プラセボ群と比較した場合、TRF補給群においてIL−10の僅かな産生増加を示した。しかし、サイトカイン・レベルの変化は有意ではなかった(P>0.05)。
【0115】
対照群(プラセボ処置)及び実験群の志願者の末梢血から分離したConA刺激PBMCにより産生されるIL−10の量。0日目(基準)、28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIL−10の量を決定した。0日目、28日目、56日目におけるTRF補給群とプラセボ補給群とのIL−10産生のレベル差は、統計的に有意ではなかった(SPANOVA)。
【0116】
対照群(プラセボ処置)及び実験群の志願者の末梢血から分離したTT刺激PBMCにより産生されるIL−10の量は、方法の項に記載したように決定された。28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIL−10の量を決定した。
【0117】
28、56日目におけるTRF補給群とプラセボ補給群とのTT特異的IL−10産生のレベル差は、統計的に有意ではなかった(SPANOVA)。
【0118】
TRF補給及びTTワクチン接種後の血漿中の抗破傷風抗体レベル
TTでワクチン接種したヒト志願者の血漿中総Igの産生に対するTRF補給の効果を調べた。産生される抗TT抗体の量が、免疫応答の体液性防備用マーカーとして使用される。抗TT抗体の検出可能な総Ig量が、試験の0日目及び28日目に存在していたが、その力価は、TTワクチン接種後、即ち56日目に認められる力価と比較して、相対的に低かった(図19を参照されたい)。抗TT Ig力価は、TRF群、プラセボ群の双方でTTワクチン接種から1カ月後に有意に増加した(図19を参照されたい)。
【0119】
56日目に認められた両群の抗TT Ig力価は、0日目及び28日目と比較して有意に(P<0.05)高かった。TRFで補給された志願者は、プラセボで補給された志願者と比較して、56日目において有意に(P<0.05)高い抗TT Ig産生を示した。
【0120】
TTワクチン接種後、即ち56日目のTRF補給群では、抗TT IgG産生の増加も認められた(図20を参照されたい)。TTワクチン接種前の試験集団における抗TT IgGの平均レベルは、0.79IU/mLであり、そのレベルは、TRF補給、プラセボ補給両志願者において、TTワクチン接種から1カ月後に有意に(P<0.05)上昇した。56日目に、プラセボ補給群及びTRF補給群における抗TT IgG平均レベルは、それぞれ1.30IU/mLと1.93IU/mLであり、そのレベルは、プラセボと比較して、TRF群において有意に(P<0.05)高かった(図20を参照されたい)。両群の志願者は、ワクチン接種後の保護的抗TT応答を実現しており、この応答は、0.85IU/mLの抗破傷風抗体レベルと定義される(Kilian及びNielsen、1989年)。血液を、0、28、56日目に対照群(プラセボ補給)及び実験群(TRF補給)の志願者から抜き取った。
【0121】
TTワクチンのブースター用量を、28日目に筋肉内に投与した。総Ig 抗TTの血漿レベルを、ELISAにより決定した。0日目及び28日目と比較した際の56日目における、プラセボ群(対照)内での抗TT Ig力価の有意差をcP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した際の56日目における、実験群(TRF)内での力価の差異をuP<0.05(SPANOVA)として示す。
【0122】
56日目における対照群と実験群との抗TT Ig力価の有意差を、aP<0.05(ANOVA)として示す。
【0123】
血液を、0日目、28日目、56日目に対照群(プラセボ補給)及び実験群(TRF補給)の志願者から抜き取った。TTワクチンのブースター用量を、28日目に筋肉内に投与した。抗TT IgGの血漿レベルを、ELISAにより決定した。0日目及び28日目と比較した際の56日目における、プラセボ(対照)群内でのIgG濃度の有意差をeP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した際の56日目における、実験(TRF)群内でのIgGレベルの差異をaP<0.05(SPANOVA)として示す。56日目における対照群と実験群との有意なレベル差を、uP<0.05(ANOVA)として示す。
【0124】
図21:TRF、プラセボのいずれかを補給された健常志願者間の総Tリンパ球比率(%)を比較した散布図。血液を、0日目(A)、28日目(B)、56日目(C)に志願者から抜き取った。該リンパ球をCD3抗原に対する抗体で染色し、フロー・サイトメトリーで分析した。TRF群とプラセボ群との総T細胞比率(%)の差異は、各時点、即ち0日目、28日目、56日目に有意ではなかった(SPANOVA)。x軸は、TRF群のn=50及びプラセボ群のn=50を示し、合計でn=100となる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】試験を通した参加者の割当及び保持人数を例示するフロー図である。
【図2】毎日56日間ビタミンEの異なる異性体を補給したマウスの脂肪組織中の総ビタミンE濃度を表す図である。
【図3】毎日56日間ビタミンEの異なる異性体を補給したマウスの脂肪組織中のα−トコフェロール及びトコトリエノールの濃度を表す図である。
【図4】対照及びビタミンE補給マウスの間の抗TT総Ig力価を比較したヒストグラムである。
【図5】TT免疫マウスにおけるマイトジェン刺激(ConA及びLPS)並びに抗原刺激(TT)脾細胞増殖に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図6】ConA刺激又はTT刺激脾細胞によるIFN−γの産生に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図7】ConA刺激又はTT刺激脾細胞によるIL−4の産生に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図8】LPS刺激脾細胞によるTNF−αの産生に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図9】対照及び実験志願者の血漿中の総ビタミンE濃度を表す図である。
【図10】対照と実験志願者の血漿中の総α−トコフェロール濃度を表す図である。
【図11】対照及び実験志願者の血漿中のトコトリエノール濃度を表す図である。
【図12】ConA刺激PBMCによるIFN−γの産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図13】TT刺激PBMCによるIFN−γの産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図14】ConA刺激PBMCによるIL−4の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図15】TT刺激PBMCによるIL−4の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図16】LPS刺激PBMCによるIL−6の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図17】ConA刺激PBMCによるIL−10の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図18】TT刺激PBMCによるIL−10の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図19】プラセボ補給及びTRF補給志願者の間の抗TT総Ig力価を比較したヒストグラムである。
【図20】プラセボ補給及びTRF補給志願者の間の抗TT IgG力価を比較したヒストグラムである。
【図21】TRF、プラセボのいずれかを補給された健常志願者間の総Tリンパ球比率(%)を比較した散布図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的物質に対する免疫応答に関する補給用調合剤に関する。より特定すれば、該調合剤は、破傷風トキソイドに対する免疫応答に関して補給を行う1種又は複数種のビタミンEからなる。
【背景技術】
【0002】
ビタミンEは、現在、トコフェロール及びトコトリエノールの両誘導体の生物活性について記述する属名と考えられている。ビタミンEは、正常な繁殖、筋肉の正常な発達、赤血球の溶血耐性、その他の多様な生化学的機能のために、多くの生物種の食事中に必要な脂溶性ビタミンである。ビタミンEの最も広く認識されている機能は、抗酸化剤としてである。粗製のパーム油中でのビタミンE含量は、百万分の600〜1000(ppm)の間に亘り、トコフェロール(18〜22%)とトコトリエノール(78〜82%)の混合物である。
【0003】
ビタミンEは、8種の化合物:トコフェロールの異性体4種(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール)及びトコトリエノールの異性体4種(α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール)からなる部類に対する一般名である。構造的には、トコフェロール及びトコトリエノールは、共通のクロマノール頭部及びC−2位における側鎖からなる、ある程度の類似性を共有している。トコフェロール及びトコトリエノールは、トコールと総称されることもある。
【0004】
しかし、トコフェロールとトコトリエノールはその側鎖で識別される。トコフェロールは飽和したフィチル側鎖を有するが、トコトリエノールは不飽和なイソプレノイド側鎖を有する。トコフェロールは、キャノーラ、綿実、オリーブ、ピーナッツ、ヒマワリ、大豆及びヒマワリ;特に種子油などからのベジタブル(vegetable)油に見出される。トコトリエノールの主要源はプラント(plant)油であり、最も豊富な供給源はパーム油、米ぬか油、パーム核油及びココナッツ油である。
【0005】
トコトリエノールは、オートムギ、オオムギ、ライムギなどの穀物にも見出される。世界市場における第2の食用油としてパーム油が出現すると共に、パーム油からのトコトリエノールの抽出を可能とする、現在商業的に利用できる技術的進歩がなされてきた。パーム油のトコトリエノールは、抗酸化剤としてトコフェロールの何倍も効力がある。トコトリエノールは、弱いが皮膚に吸収もされるので、ビタミンEクリームとしての使用に良く適合する。
【0006】
抗酸化剤としての機能以外に、トコトリエノールは、トコフェロールとは対照的に独特の機能性を有することが示された。トコトリエノールは、血漿コレステロール濃度及び心血管疾患に対する他の脂質関連や非脂質関連危険因子を低下させることが示された(Hood、1996年)。トコトリエノールは、抗高コレステロール血症作用を有することも報告された(Qureshi等、1991年)。この化合物は、トコフェロールより良好な抗腫瘍活性を発揮することも示された(Carroll等、1996年)。広く信じられていることとは反対に、トコトリエノールは、生物系においてトコフェロールより脂質過酸化に対して著しく高い抗酸化活性を有することが、インビトロで観察された(Serbinova等、1991年)。パーム油に主として見出されるトコトリエノールは、濃厚トコトリエノール(ET)として現在商業的に抽出されている。
【0007】
トコフェロール及びトコトリエノールは、共に抗酸化作用が良く認識されており、多くの局所製剤、特に化粧品に使用されている。こうした局所製剤中に配合されるトコフェロール又はトコトリエノールの比率(%)は、非常に低く、しばしば0.1%未満である。
【0008】
トコトリエノール、トコフェロールの双方は構造がほぼ類似しており、トコフェロール(ビタミンE)は、長年の間局所製剤中に存在している。したがって、低濃度のトコトリエノールの使用は、有害な皮膚反応の危険性を何ら引き起こさない。
【0009】
破傷風トキソイドは、人間における長期持続的な免疫を誘発する効力ある免疫原である(Simonsen等、1986年)。破傷風ワクチンの接種は、成人、新生児の双方において破傷風感染症の発症率に劇的な影響を世界的に及ぼしてきた。破傷風に対するワクチンによる免疫は、破傷風トキソイドに対する中和IgG抗体の産生を伴う(Simonsen等、1986年)。こうした抗体のレベルは、国際規格の使用により定量することができ、したがってトコトリエノール補給後のワクチンの保護効果を調べる有用なモデルとなる。
【0010】
ビタミンEは主要な脂溶性抗酸化剤であり、生体膜中で遊離ラジカルを除去し、酸化損傷から細胞構造を保護する。幾つかの研究によれば、トコフェロール、トコトリエノールいずれのビタミンEの補給も、動物や人間の免疫系に好ましい効果を誘発し、幾つかの免疫疾患及び炎症性疾患の危険性低下に関与していることが示された。本発明における発明者等は、免疫原を接種した際のマウス・モデルにおける、経口投与したトコトリエノールとトコフェロールの免疫調節作用を調べ、次いで破傷風トキソイド(TT)のブースター・ワクチンで免疫系を刺激した正常な健常志願者における、免疫調節に対する富トコトリエノール分画(TRF)の補給の効果を調べた。
【非特許文献1】Nursing Standard、1999年、http://www.gp−training.net/protocol/nurse/venepunc.html、2005年
【非特許文献2】http://www.hovid.com/cn/index/products/p dietary.html、2006年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、破傷風に対する免疫応答に関する補給物質をビタミンEの使用により開発することによって、当技術分野における問題を克服した。本発明の目的は、哺乳動物がそれにより破傷風トキソイドでワクチン接種されるビタミンE補給が、哺乳動物における免疫調節に及ぼす効果を開示することである。
【0012】
加えて、本発明は、富トコトリエノール分画、δトコトリエノール、α−トコフェロールなどの異種ビタミンEの補給が、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答に及ぼす効果にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の対象は、生物活性物質における免疫応答補助用のビタミンE[好ましくは富トコトリエノール分画(TRF)]を含む調合剤に関する。該調合剤は、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答の補助剤として使用する性能を有すると言える。その上、富トコトリエノール分画(TRF)は、α−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、γ−トコトリエノール及びα−トコフェロールからなる群から選択するのが好ましい。
【0014】
本発明の別の態様は、免疫応答に関する補助用薬物を製造するための調合剤であって、哺乳動物における免疫応答の強化に使用される調合剤の使用を対象とする。
【0015】
更に別の実施態様では、本発明は、個人における免疫応答を強化する方法であって、それを必要とする前記個人に活性量の調合剤を投与することを含む方法について記載する。
【0016】
更に、本発明は、破傷風トキソイドのワクチン接種に対する、個人における免疫応答の活性化に有効な調合剤を含有する包装材を含む製品であって、包装材は、該調合剤が免疫応答の強化に使用できることを示すラベルを含み、該調合剤は、好ましくは医薬組成物として使用される、前記製品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
定義
本発明を詳細に説明する前に、この発明が、特定の調合剤タイプ、製造法などに限定されず、したがって変化し得ることを理解されたい。本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明するだけのためであり、限定的なものであることを意図していないことも理解される。
【0018】
活性剤の「有効量」という用語は、所望の有益な効果を示すために、無毒ではあるが十分な活性剤の量を意味する。より特定すれば、「治療有効」量とは、所望の治療効果又は薬用化粧効果を示すために、無毒ではあるが十分な有益作用剤の量を意味する。
【0019】
「免疫系の活性化」という用語は、個人の免疫系が、その個人の免疫系強化及びその期間の減少を含め、高性能化を実現すると考えられる、あらゆる種類の状況の改善を意味する。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合の用語「含む(comprising)」とは、「少なくとも部分的に、からなる(consisting at least in part-of)」ことを意味する。comprise(s)、comprisedなどの関連用語は、同様に解釈すべきである。
【0021】
以下の図及び実施例を参照することにより、本発明をより詳細に今から説明する。以下の実施例は、例示目的だけに提示しており、本発明を限定することを意図していない。
(実施例1)
【0022】
マウスに対するビタミンE補給
富トコトリエノール分画(TRF)濃縮物、α−トコフェロール(a−T)(Golden Hope Plantation、マレーシア)及びδ−トコトリエノール(δ−T3)(Isei、日本)、25ゲージ栄養補給針(Interfocus、英国)、大豆油(Mazola、マレーシア)。
【0023】
マウスにおける採血及び免疫
ミクロヘマトクリット用ヘパリン処理キャピラリ・チューブ(Fisher Scientific International、米国)、1.5mLミクロ遠心チューブ(Axygen、米国)、ヘパリンナトリウム塩(Sigma−Aldrich、米国)、ジエチルエーテル(Sigma−Aldrich、米国)、ミョウバン吸着破傷風トキソイドワクチン(Biofarma,Bandung、インドネシア)、1mLツベルクリン・シリンジ(Becton Dickinson,NJ、米国)、26ゲージ滅菌針(Terumo Corp、フィリピン)。
【0024】
メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイ
MTTキット(Chemicon、米国)、96ウェル平底組織培養皿(Nunc、米国)、多チャンネル・ピペッター(LabMate、米国)。
【0025】
人志願者の身体検査
血圧計(Spirit、台湾)、Littman(登録商標)聴診器(3M、英国)、デジタル式体重計(SECA,Hamburg、ドイツ)。
【0026】
人志願者からの採血
10mL及び5mLの滅菌シリンジ(Becton Dickinson、シンガポール)、25、23、21ゲージの滅菌針(Terumo Corp、フィリピン)、綿ボール、止血帯、滅菌アルコール・ワイプ(Becton Dickinson,NJ、米国)、滅菌エラストプラスト、検査用使い捨てゴム手袋(SESdn Bhd、マレーシア)、5mLヘパリン・チューブ(Becton Dickinson,NJ、米国)、Vacutainer血塊活性化剤用チューブ、3mL EDTA用チューブ、3mLフッ化ナトリウム用チューブ(Becton Dickinson,NJ、米国)、試料用バッグ、記入用紙(PATHLABから供給)。
【0027】
破傷風トキソイドのワクチン接種
1mL滅菌ツベルクリン針(Becton Dickinson、シンガポール)、破傷風トキソイド(TT)ワクチン(Biofarma、インドネシア;バッチ番号ATT073BA2006/2007)。
【0028】
フロー・サイトメトリー
5mLポリスチレン丸底チューブFalcon2054(Becton Dickinson,NJ、米国)、FACS溶解液(Becton Dickinson,NJ、米国)、TriTEST試薬としてTriTEST CD3 FITC/CD4 PE/CD45 PerCP、TriTEST CD3 FITC/CD8 PE/CD45 PerCP、TriTEST CD3 FITC/CD19 PE/CD45 PerCP、TriTEST CD3 FITC/CD16+CD56 PE/CD45 PerCPなど(Becton Dickinson,NJ、米国)。
【0029】
リンパ球培養
RBC溶解バッファー(eBioscience、米国)、15mL及び50mLのポリプロピレン・コニカル・チューブFalcon2097(Greiner、米国)、L−グルタミン入りRPMI1640培地(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、凍結乾燥コンカナバリンA(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、凍結乾燥リポ多糖体(LPS)(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、凍結乾燥破傷風トキソイド(TT)(Calbiochem、ドイツ)、0.4%トリパン・ブルー色素(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、ペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco,Invitrogen Corp、ニュージーランド)、96ウェル平底組織培養皿(Nunc、米国)、Neubauer血球計数器(Dynatech、ドイツ)、携帯計数器(Togoshi、日本)。
【0030】
酵素免疫吸着測定法(ELISA)
Maxisorp(商標)表面の96ウェル平底NUNC(商標)高結合性免疫プレート(Nunc、米国)、リン酸緩衝塩水(PBS)用錠剤(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、Tween(登録商標)20(MP Biomedicals Inc.,Ohio、米国)、ヒトIFN−γ、IL−4、IL−6及びIL−10用ELISAキット(eBioscience,CA、米国)、マウスIFN−γ、IL−4及びTNF−α用ELISAキット(eBioscience,CA、米国)、HRP−ヤギ抗マウスIgG+A+M(H+L)とHRP−ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Zymed−Invitrogen,CA、米国)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Becton Dickinson,NJ、米国)、2M硫酸(Sigma−Aldrich Inc,Missouri、米国)、ヒトIgG検出キット(Immunobiological Laboratories,Hamburg、ドイツ)。
【0031】
HPLC分析
ヘキサン、エタノール、イソプロピルアルコール及び0.9%塩化ナトリウム(分子生物学用等級、Promega Corp,Wisconsin、米国)、15mLポリプロピレン・コニカル・チューブFalcon2097(Greiner、米国)。
【0032】
方法(動物試験)
ビタミンE
富トコトリエノール分画(TRF)及びα−トコフェロール(a−T)の濃縮物は、Golden Hope Plantation、マレーシアから入手した。δ−トコトリエノール(δ−T3)は、Isei、日本から購入した。各異性体の純度は約97%であった。TRF成分の比率は、α−トコフェロール32%、α−トコトリエノール25%、γ−トコトリエノール29%、δ−トコトリエノール14%を含む。次いで、異性体の濃縮物を大豆油による乳濁液として調製し、最終濃度20mg/mlを得た。大豆油は、トコトリエノールを欠いており、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油などの他の油と比較して低いビタミンE活性を有する(Grela and Gunter、1995年)ので、a−T、δ−T3、TRF各濃縮物用の溶剤として使用した。この試験では、トコトリエノールの純粋な他形態(即ちa−T3及びγ−T3)が試験時に入手できなかったので、ビタミンEの基礎標準であるa−Tと、TRF、δ−T3の効果を比較できただけであった。
【0033】
マウス
雌性BALB/cマウス(6週齢)を医学研究所(IMR)(Kuala Lumpur、マレーシア)から購入し、マレーシア・パーム油庁(MPOB)(Bangi、マレーシア)の動物小屋中に気候及び食餌が安定した条件下で収容した。マウスの週齢、性別、系統の影響を受けることが知られている(Shaikh等、1993年)免疫応答の変動を低下させる必要から、この動物試験には若い雌性BALB/cマウスだけを使用した。雌性BALB/c系統を選定した理由は、単に、これらのマウスが動物試験において最も頻繁に使用される近交系のマウスである(Iwata等、2007年)からである。
【0034】
試験設計
雌性BALB/cマウス20匹を各群5匹のマウスの4群に区分した。各群のマウスは、TRF、a−T又はδ−T350μL(1mg)で毎日2カ月間、経口で栄養補給を受けた。この試験では、対照群のマウスは、栄養補給食品を全く受けず、大豆油媒体を補給されなかった。予備試験の知見に基づいて、大豆油の短期(2カ月)経口補給は、非補給動物と比較して、免疫パラメーターや脂肪組織中のビタミンE総蓄積量を変化させなかった。これは、大豆油が低ビタミンE活性を有することが示されていた(Grela及びGunter、1995年)ことと、該動物が、毎日8週(2カ月)の期間非常に少量の油(大豆油50μL)しか補給されなかったことによると考えられる。栄養補給食品もワクチン接種も全く受けなかった追加の未処置マウス4匹を陰性対照として群別し、試験開始前の基準値免疫パラメーターを確立するために、0日目に犠牲にした。この試験は、国際医学大学(IMU)の研究倫理委員会の認可を受けた。動物の世話及び扱いは、国際医学大学倫理委員会が示した指針に厳格に従った。
【0035】
破傷風トキソイドのワクチン接種
全ての動物を、14日目にミョウバン吸着破傷風トキソイド(TT)ワクチン(Biofarma、インドネシア)の100μL即ち4Lf/mLで免疫した(表1を参照されたい)。各マウスの左後脚の大腿四頭筋に、TTワクチンの筋肉内投与を行った。ブースター用量のTTワクチンを28日目と42日目に投与した。Gileadi等(2002年)が報告したような動物試験の標準的免疫計画に従って、全ての動物に対して、14日目にTTワクチンで初回刺激を行い、2週間毎の間隔で2回追加刺激を行った。全ての免疫用接種のために、マウスをジエチルエーテルで軽度に麻酔した。血清試料は、0日目(基準)、28日目(第1回免疫用接種から2週後)、56日目(第3回免疫用接種から2週後)に眼窩後の出血により取得された。免疫用接種を完了した後、全実験動物に栄養補給食品を更に2週間補給した後、56日目に犠牲にした。犠牲動物の血液、脾臓及び脂肪組織を各種試験のために採集した。
【0036】
【表1】
【0037】
脾細胞増殖アッセイ
培地(5%(v/v)ウシ胎児血清、300μg/mLのL−グルタミン、及び100IU/mLのペニシリン並びに100μg/mLのストレプトマイシンを含有する完全RPMI−1640)を含んだペトリ皿中に、犠牲マウスからの脾臓を無菌的に取り出した。脾臓被膜の穏やかな破壊により、脾細胞を脾臓から遊離させた。この後、脾細胞を脾臓から穏やかに引き出した。脾臓懸濁液を室温で約1分間放置することにより、チューブ底に塊を沈ませた。次いで、脾細胞の単個細胞浮遊液を含有する上清を新しいチューブに移した。その脾細胞を遠心分離(4℃で1200rpm×10分)により回収した。
【0038】
製造業者が推奨する手順に従って、脾臓赤血球を溶解緩衝液(eBioscience,San Diego,CA)で溶解させた。その白血球を遠心分離(4℃で1200rpm×10分)によりもう1度回収した。次いで、白血球をRPMI−1640完全培地中に再浮遊させた。血球計数器を用いて細胞を計数した。トリパン・ブルー色素排除法を用いて計数過程における死細胞の排除を促進した。この後、その脾細胞浮遊液を、1×107細胞/mLを含有するように培地で調整した。次いで細胞浮遊液を3本のチューブ中に分けた。これらのチューブ各々に、マイトジェン、特異抗原のいずれかを添加した。使用したマイトジェンは、各濃度1μg/mLのコンカナバリンA(ConA)及びリポ多糖体(LPS)であり、使用した特異抗原は10μg/mLの純粋な破傷風トキソイド(TT)であった。これらの脾細胞浮遊液100μLを5%CO2加湿インキュベーター中、37℃、72時間、96ウェル・プレート中で培養した。脾細胞の増殖はMTTアッセイで測定し、これらの細胞によるサイトカイン産生はELISAで測定した。
【0039】
メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイ
脾細胞の増殖は、MTTアッセイ(Hansen等、1989年)を用いて測定したが、このアッセイでは、臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムのホルマザン結晶への還元を測定する。このアッセイでは、MTT黄色溶液が、生細胞のミトコンドリア・デヒドロゲナーゼにより紫色のホルマザン生成物へ変換される。脾細胞100μL(1×107細胞/mL)を平底96ウェル・プレート中に播種したものを3点用意し、1μg/mLのConA若しくはLPS又は10μg/mLのTTの存在下又は非存在下で培養した。5%CO2中37℃、72時間後、細胞を5mg/mLのMTT試薬と4時間インキュベートした。次いで、ホルマザン沈殿をイソプロパノール中のHCl 0.1mLの添加で溶解し、ヒペット操作を繰り返すことにより完全に混合した。ELISAリーダーを用いて570nmで細胞増殖を定量した。
【0040】
サイトカイン分析
72時間の培養後、脾細胞培養物の上清4ウェル分を1.5mLミクロ遠心チューブ中にプールした。このチューブを遠心(4℃で12000rpm×10分)して細胞屑を除いた。培養上清を新しい滅菌ミクロ遠心チューブに移し、−80℃で保存してELISAによる分析に備えた。無細胞培養上清中の各種サイトカイン(IFN−γ、IL−4、TNF−α)の濃度を、製造業者の手順(eBioscience,San Diego,CA)に従い、市販のマウス・サイトカインELISAキットを用いて決定した。手短に言うと、滅菌96ウェル・プレート(Nunc、米国)を該当する捕捉抗体(例えば、抗IFN−γ、抗IL−4、抗TNF−α)100μL/ウェルでコーティングした。そのプレートを密封し、4℃で終夜インキュベートした。この後、プレート内容物を捨て、ウェルを洗浄緩衝液(PBS及び0.05%Tween−20)で3回洗浄した。3回目の洗浄後、プレートを逆さにし、吸水紙上で拭き取って、残っていた洗浄緩衝液を除いた。次いで、製造業者から得たアッセイ希釈液200μL/ウェルで、ウェルをブロッキングした。
【0041】
そのプレートにカバーをし、室温で1時間、暗所でインキュベートした。インキュベーション期間の後、ブロッキング緩衝液を吸引し、既述のように洗浄した。−80℃で保存していた脾細胞培養上清を融解した。次いで、この培養上清100μLを試験ウェル中に添加し、二重に試料を用意した。陰性対照ウェルはアッセイ希釈液100μL/ウェルを含んでいたが、陽性対照は、製造業者から得た純粋な標準サイトカインの一定力価からなる。濃度既知の純粋なサイトカインの試料には、各ELISAキットが備わっていた。当該サイトカイン(IFN−γ、IL−4又はTNF−α)の標準原液100μL/ウェルを、アッセイ希釈液を用いて連続的に希釈した。次いで、プレートにカバーをし、室温で2時間インキュベートした。この後プレートの内容物を捨て、プレートを洗浄した。
【0042】
検出抗と、アビジン−セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)試薬(製造業者から入手)とを、製造業者推奨のようにアッセイ希釈液中に希釈した。次いで、こうした溶液100μLを全てのウェル中に添加した。プレートにカバーをし、暗所で1時間インキュベートした。この後、プレート内容物を吸引し、プレートを7回洗浄した。最後の洗浄サイクル中、ウェルを洗浄緩衝液中で1分間浸漬した後、緩衝液を吸引した。次いで、TMB基質溶液100μLを全ての96ウェルに添加した。プレートを室温で10分間インキュベートして発色させ、全ての96ウェルに2M硫酸40μLを添加することにより、その反応を停止させた。ELISAマイクロプレート・リーダーを用いて450nmで吸光度を読み取った。
【0043】
産生したサイトカイン量はpg/mLで表わされ、サイトカインELISAキット各々の検出限界は8pg/mLであった。陰性対照ウェル中のサイトカイン量は、殆ど検出できなかった。陰性対照ウェル中のサイトカイン値は、実験ウェル中のその値から差し引かれた。
【0044】
血清の抗TT抗体力価の決定
ELISAを用いたエンドポイント滴定によりマウス血清中の抗TT抗体を検出し、定量した。手短に言うと、96ウェルELISAプレートを炭酸塩緩衝液(pH9.2)中3μg/mLのTT溶液で100μL/ウェル用いてコーティングし、4℃で終夜インキュベートした。その後、ELISA洗浄緩衝液(0.05%Tween−20入りPBS)を用いてプレートを3回洗浄した。洗浄後、プレートをELISAブロッキング・バッファー(1%(w/v)ウシ血清アルブミン入りPBS)200μL/ウェルで室温、1時間ブロッキングした。次いで、プレートを洗浄緩衝液で5回洗浄した。次いで、試験試料100μLをこのプレートに添加し、二重に試料を用意した。ビタミンEを補給した動物の血清試料、及び対照を、1:200に始まる血清の2倍連続希釈を用いてブロッキング・バッファー中で連続的に希釈した。0日目に未処理動物から得た血清をこのアッセイ用の陰性対照として利用した。プレートを室温で2時間インキュベートした。
【0045】
2時間後、プレートを5回洗浄し、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼと結合した抗マウスIg(1:4000希釈)100μLを全てのウェルに添加した。37℃で60分間のインキュベーション及び5回の洗浄後、3,3‘,5,5‘−テトラメチルベンジジン(TMB)基質100μLを全てのウェルに添加した。発色が起こった後、全てのウェルに2M硫酸50μLを添加することにより、反応を停止させた。ELISAリーダーを用いて450nmの吸光度を読み取った。以前に記載(Sneath等、1987)のように、吸光度の値=0.45を示す希釈率の逆数としてIg力価を表した。
【0046】
マウス脂肪組織からのビタミンEの抽出
マウス脂肪組織約0.5gを15mL遠心チューブ中に入れ、組織ホモジナイザーを用いて5分間又は組織が液状になるまで、10000rpmで(比4:1:1の)ヘキサン、エタノール、0.9%塩化ナトリウムの混合物により均質化した。次いで、ホモジェネートを2000rpmで10分間遠心分離した。脂質含有上清相を5mLバイアルへ移し、窒素ガス下で乾燥させた。その試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析のために、使用する直前に適量のヘキサン(500μL対2mL)中に再懸濁した。
【0047】
HPLC分析
島津モデルRF−10AXL蛍光分光計、カラム室、島津クラスVPデータ収集ソフトからなるLC−10AT HPLC装置を用いて、分析HPLCを行った。HPLCカラムは、YMC A−012、5μmの150mm×6mmシリカ・カラムであった。蛍光検出器の励起波長と発光波長を、それぞれ295nmと325nmに設定した。移動相は、流速2mL/分のヘキサン−イソプロピルアルコール(99.5/0.5v/v)であった。試料注入容量は10μLに設定し、それに従ってα−トコフェロール、α、γ及びδ−トコトリエノールの標準混合溶液も装置内に注入した。試料中の成分のピーク面積を標準物質の対応面積と比較し、定量計算に使用した。
【0048】
統計的分析
データは平均値±標準偏差(S.D.)として提示され、その際nは使用したマウスの数である。全ての実験で脾細胞を個別に(即ち、プールした細胞ではなく)評価した。同様に、各マウスの血清も個別に試験した。SPANOVA、一元配置ANOVA、(その後、事後的なTukeyの対比較)又はスチューデントのt検定のいずれかを用いて、P<0.05を許容できる統計的有意差の水準と設定した場合に、対照と実験動物(a−T、δ−T3、TRF)の間の有意性を判定した。
【0049】
方法(臨床試験)
試験設計
臨床試験は、国際医学大学の研究倫理委員会により認可され、臨床試験基準(GCP)に関するマレーシア国家ガイドラインに従った。この試験は、無作為化した二重盲検プラセボ対照試験であった。志願者は、マレーシア・プトラ大学(UPM)工学部の第11学寮から募集した。志願者は、年齢層が理想的なため(18〜25歳)この学寮から選択された。
【0050】
動物試験では、試験の開始以前に破傷風抗原に曝されていなかった(即ち、TTワクチン接種の投与3回を全くしていなかった)ので、全てのマウスに破傷風トキソイド免疫付与の投与を3回行い、したがって標準的なワクチン接種計画の一部としてTTワクチンの投与を3回施した(各投与を2週間隔毎に)。
【0051】
志願者の選別
総合健康診断と問診の後、各志願者から血液7mLを採取し、各種の生化学試験として空腹時血糖値、血清クレアチニン、総コレステロール、高密度リポタンパク(HDL)コレステロール、低密度リポタンパク(LDL)コレステロール、トリグリセリド、総HDL比を含めた総脂質プロファイル、肝機能試験、即ち血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)及び血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)、総ビリルビンなどのために、認可臨床検査センター(PATHLAB、マレーシア)にその試料を送付した。血液は、試験の0日、28日及び56日に標準的静脈穿刺法(Nursing Standard、1999年、http://www.gp−training.net/protocol/nurse/venepunc.html、2005年)を用いて採取された。妊娠検査のために志願者から尿試料も得た。志願者は、生化学試験のために採血する前夜、10〜12時間絶食するように求められた。
【0052】
腎臓と肝臓の機能が、栄養補給後の全ての志願者において正常であることを主として保証するために、試験終了時(56日目)に同じ生化学パラメーターを再度測定した。
【0053】
志願者の募集
選定された志願者は、プラセボ(対照群)又はTRF(試験群)400mgの栄養補給を毎日受けるように無作為に割り当てられた。この試験では乱塊方式を使用した。
【0054】
試験参加者108名全員をTRF、プラセボいずれかのカプセルを満たした瓶に1:1の比で等しく割り当てた。1番と2番のラベルを付けた同一の瓶2本を試験期間中用いた。各参加者に対し、試験担当者は2本の瓶の一方を交互に選択し(即ち、第1の参加者が1番瓶を受け取り、第2の参加者が2番瓶を受け取ったという具合)、試験参加者のファイル中に選定瓶の番号を記録した。本発明を実施する期間中に、志願者間でカロリー摂取量を一定にし、ビタミンEの吸収総量に対する食事の効果を最小限にするために、志願者は、推奨される食事の標準スケジュールにより1日3食を与えられた。週日には、参加者は施設内で朝食を取り、午後の食事を持参した。夕食は、学寮のカフェテリアで毎日取った。全ての食事は学寮のカフェテリアで用意された。
【0055】
最初の1カ月間中に、処置群の志願者6名とプラセボ群の志願者2名が試験から抜けた。全志願者は、基準日(0日目)、28日目、56日目に採血された。コンプライアンスを各来所時の丸薬数により調べた。図1は、本発明を通した参加者の割当及び保持人数を表す。
【0056】
試験終了時に、各志願者の血液試料の分析から収集したデータを計算してデータベース(Microsoft Excel(登録商標)2003)とし、ウィンドウズ(登録商標)用のSPSS(version 11.0;SPSS Inc.,Chicago,IL)を用いて統計的分析を行った。
【0057】
栄養補給食品
この試験に用いたTRF栄養補給食品は、Hovid Sdn Bhd(Ipoh、マレーシア)製造のTocovid SupraBioであった。Tocovid軟質ゲルカプセルの組成物には、トコトリエノールとα−トコフェロールの混合物が含まれる(表2を参照されたい)。この混合トコトリエノール(TRF)カプセルは栄養補給食品200mgを各々含有しているのに対し、プラセボ・カプセルは、ビタミンEを全く欠いたパーム・オレイン(料理油)で出来ていた。
【0058】
【表2】
【0059】
栄養補給食品の投与
志願者は、8週間ビタミンE又はプラセボの栄養補給食品を毎日摂取することを、この試験の0日目に開始するように求められた。志願者は、コンプライアンスを促進するために、好ましくは昼食又は夕食と共に毎日カプセル2個を摂取するように教示された。試験群用栄養補給食品の経口摂取量は、毎日混合トコトリエノール400mgであった。
【0060】
破傷風トキソイド(TT)のワクチン接種
TTワクチン(Biofarma、バッチ番号ATT073BA2006/2007)を、登録看護婦による非利き腕の三角筋中への筋肉内注射を介して投与した。使用した用量は、最終容量0.5mL中にTTワクチンが20凝集単位(Lf)であった。免疫用接種期間中及び試験過程中に、ワクチン関連の重大な有害事象は起こらなかった。
【0061】
血液試料の採取
血液試料は、選別日及び0、28、56日目に登録した看護婦又は医師により健常志願者から抜き取られた。静脈穿刺のために、減圧チューブ・ホルダーに接続した蝶形又は10mLプラスチック・シリンジを使用した。血液試料に関して実施しようとする試験に基づいて、各種の採血チューブ中に血液試料を採取し、そのチューブの最大容量まで満たした。採血後、血塊活性化剤又は抗凝固剤との血液の適切な混合を確実にするため、そのチューブを3回倒立させた。この試験に使用した採血チューブの型を表3に表記する。全ての採血チューブは有効期限日の前に使用した。
【0062】
【表3】
【0063】
末梢血白血球の分離
末梢血白血球(PBL)は、赤血球(RBC)溶解法を用いて健常志願者から得たヘパリン処理血液より分離された。既に実施した最適化試験から、血液1mLの白血球が、この試験のために行う予定の増殖や、サイトカイン・アッセイにとって十分であると判定した。志願者から採取したヘパリン処理血液約1mLを、適当にラベル表示した15mLコニカル・チューブ中に分取した。次いで、血液試料を含有する各チューブ中にRBC溶解緩衝液約3mLを添加した。チューブに栓を付け、混合物が均質になるまで4回倒立させ、室温で3分間インキュベートすることにより、RBC溶解反応を起こした。氷冷したPBSの添加により反応を停止させ、チューブを4000rpmで4℃、10分遠心した。遠心後、上部の透明赤色上清を捨て、細胞を氷冷PBS中で1回洗浄した。
【0064】
遠心ステップを繰り返し、白血球を含有するペレットを、5%(v/v)FBS、1%のペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミンを含有する5mLの完全RPMI−1640中に再浮遊させた。チューブの底から細胞を解き放つため、チューブを軽く叩き、チューブを静かに倒立させることにより、細胞浮遊液を形成させた。チューブを氷上に維持し、血球計数器を用いて細胞計数を行った。血中白血球の培養を0、28、56日目に実施した。
【0065】
末梢血白血球の計数及び増殖
血球計数器を用いて全試料について個別に血液中生存白血球の計数を行った。死細胞を特定するために、トリパン・ブルー排除法を用いた。細胞浮遊液100μLを完全RPMI900μL中に添加することにより、白血球浮遊液の10倍希釈液を滅菌した1.5mLのEppendorfチューブ中に作製した。次いで、トリパン・ブルー色素(0.4%)40μLをチューブに添加し、チューブを数回倒立させることにより溶液を混合した。細胞浮遊液約10μLを血球計数器用スライド・ガラスの計数室中にピペットで添加し、非染色生存細胞の個数を数えた。生存白血球の個数を計算し、最終細胞濃度1×107細胞/mLを得るために、培地(RPMI1640)で細胞浮遊液の容量を調整した。白血球を96ウェル・プレート中に1×106細胞/ウェルで播種し、これらの細胞をConA若しくはLPS1μg/mL又はTT10μg/mLで個別に刺激した。細胞を5%CO2の加湿雰囲気中で37℃、72時間培養した。末梢血白血球の培養物を3日後に採集した。
【0066】
ELISA
72時間の培養後、末梢血白血球の培養物のウェルから得た上清を1.5mLミクロ遠心チューブ中にプールした。チューブを遠心する(4℃で12000rpm×10分)ことにより、細胞屑を除いた。この培養上清を新しい滅菌ミクロ遠心チューブに移し、−80℃で保存してELISAに備えた。ヒトPBLの培養上清からのIFN−γ、IL−4、IL−6、IL−10の見積りは、市販のELISAキット(eBioscience,San Diego,CA)を用い、該製造業者の使用説明書に従って行った。IFN−γとIL−6の検出感度の限界は、それぞれ8pg/mLと1pg/mLであった。IL−4、IL−10双方の検出限界は4pg/mLであった。0、28、56日目に採取した血漿中の抗TT総Ig力価も、ELISAを用いて決定した。ヘパリン処理チューブ中に採取した血液試料を、2000rpmで室温、10分間遠心した。沈積した赤血球から血漿を分離し、滅菌した1.5mL遠心チューブ中に移した。血漿試料は、1:400に始まる2倍連続希釈を用いてアッセイ希釈液中で連続希釈を行った。非免疫用接種志願者から得た血清を、血清総Ig滴定の陰性対照として使用した。
【0067】
血漿試料を2時間インキュベーションした後、ELISAプレートを洗浄し、ヤギ抗ヒトIgを結合したHRPを、1:5000の希釈度で添加した。60分のインキュベーションと5回の洗浄後、TMB基質100μLを添加し、発色したとき、2M硫酸の添加(50μL/ウェル)により反応を停止させた。ELISAリーダーを用いて450nmでプレートを読み取り、吸光度の値≦0.45を示す希釈率の逆数として総Ig力価を表した。
【0068】
次いで、抗破傷風ヒトIgG ELISAキット(IBL,Hamburg)を用いて、Ig力価既知の血漿試料をアッセイし、その試料中のIgG(IU/mL)の濃度を定量した。IgGマイクロウェル・プレートを不活性化した破傷風トキソイド抗原でコーティングした。製造業者の較正物質(濃度範囲が5〜40IU/mL)と陰性対照を各プレートに対して二重に操作した。較正物質の標準曲線を用いて試料中のIgGの濃度を計算した。
【0069】
血中白血球の染色
フロー・サイトメトリー分析のために、0、28、56日目に志願者から抜き取った血液約1mLを、滅菌したK3 EDTA VACUTAINER(登録商標)採血チューブ中に採取した。異なる4種類のTriTEST試薬(表4を参照されたい)、即ちCD4、CD8、CD19、CD16+CD56の各抗体(Becton Dickinson,NJ、米国)を用いて、製造業者推奨の方法に従って血液試料を染色した。全4抗体は、免疫蛍光試薬、具体的にはフルオレッセインイソチオシアネート(FITC)標識CD3抗体と、ペリジニン・クロロフィル・タンパク(PerCP)標識CD45抗体とを含有する。CD3抗体は、成熟ヒトTリンパ球(CD3+)とT細胞抗原受容体(TCR)複合体とを特定し(Brenner等、1986年)、一方CD45抗体はヒト白血球抗原(HLA)を認識する(Schmidt、1989年)。各血液試料のために滅菌した丸底Falconチューブ4本を用意した。次いで、異なるTriTEST試薬20μLを各チューブの底にヒペットで注いだ(表4を参照されたい)。この後、良く混合した抗凝固剤入り全血50μLを各血液試料用のチューブ全4本の底にヒペットで注いだ。
【0070】
チューブに栓を付け、底を軽く叩くことにより、抗体を血液細胞と十分に混合した。次いで、チューブを暗所、室温で15分インキュベートした。インキュベーションは、試料が冷温の温度変化を受けると起こることが報告された(Forsyth及びLevinsky、1990年;Repo等、1995年)、白血球の表面抗原発現量の変動を減少させるために、室温で行われた。インキュベーション後、1X FACS溶解液450μLを各チューブ中に添加した。チューブに栓を付け、底を軽く叩くことにより、混合を確実にした。
【0071】
チューブを暗所で更に15分インキュベートした。この後、フロー・サイトメーターを用いて試料を直ちに分析した。
【0072】
【表4】
【0073】
フロー・サイトメトリー分析
Tri−test抗体染色試料のデータを、フロー・サイトメトリー(FACS Calibur,Becton Dickinson,San Jose,CA)により、該製造業者提供のMultisetソフトを用いて収集した。フロー・サイトメーターの較正を、該製造業者提供のCalibrite Beadsを用いて各操作前に毎日行った。Multisetソフトを用いて測定したパラメーターには、Tリンパ球、Tヘルパー細胞、CD8+Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞の個数と比率(%)、さらにCD4:CD8 T細胞比が含まれる。
【0074】
血漿からのビタミンE抽出とHPLC分析
ヘパリン処理チューブ中に採取した血液試料を、2000rpmで室温、10分遠心した。沈積した赤血球から血漿を分離し、滅菌した1.5mL遠心チューブ中に移した。この後、0.5%NaClとエタノールを0.5mL含んだチューブに血漿500μLを次いで添加した。次いで、ヘキサン400μLを各チューブ中に添加した。
【0075】
ミニシェーカーを用いて該混合物を1時間激しく振とうした。次いで、そのチューブを3000rpmで室温、10分遠心した。遠心後、透明なヘキサン相を清浄なバイアル中に注意深く移し、窒素ガス下で送風乾燥した。その脂質試料の一定分量をヘキサン500μL中に液戻しした。次いで、その溶液10μLをHPLC装置に注入した。
【0076】
統計的分析
試験で得たデータを、ウィンドウズ用SPSS(Version10.0;SPSS Inc.,Chicago,IL)を用いて処理した。分割区画ANOVA(SPANOVA)、一元配置ANOVAのいずれかを用いて、異なる3時点、即ち0、28、56日目における対照(プラセボ)群と実験(TRF)群との間の有意性を決定した。データは平均値±S.D.として提示してある。
【0077】
結果
(動物試験)
マウスの脂肪組織におけるビタミンEレベル
異なるビタミンE異性体、主にa−T、TRF、δ−T3を給餌された実験群の動物は、非栄養補給対照マウスと比較して、脂肪組織における有意(P<0.05)な総ビタミンE蓄積レベルを示した(図2を参照されたい)。総ビタミンEレベルは、δ−T3を給餌された動物の脂肪組織で最高であり、次いでTRFとa−Tとを給餌された場合であった。異種のビタミンEを給餌されたマウスでは、a−Tとα−トコトリエノール(a−T3)異性体が全ての動物の脂肪組織に存在していた。しかし、その他の動物群と比較した場合、a−T給餌動物は有意に(P<0.05)高い濃度のトコフェロールを有し、同様にTRF補給動物は、脂肪組織中に蓄積した非常に有意な(P<0.01)量のa−T3を示した(図3を参照されたい)。脂肪組織中のδ−T3の濃度はδ−T3給餌動物で最高であり、そのレベルはその他の動物群と比較して非常に有意(P<0.01)であった(図3を参照されたい)。対照及びa−T補給動物の脂肪組織には、検出可能量のδ−T3もγ−T3も全くなかった。TRF補給動物だけが、脂肪組織中に全4異性体の存在を示し、γ−トコトリエノール(γ−T3)の濃度は、その他の動物と比較してこの群では非常に有意(P<0.01)であった。実験群は、ビタミンEの異なるアイソフォーム、即ちTRF、a−T又はδ−T3を1mg給餌された。
【0078】
対照マウスは、ビタミンEのいずれの異性体も補給されなかった。対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定した。(訳注:Pの前のaにはその下に「.」がつく)
【0079】
a−T給餌マウスとその他の動物群との有意差を、脂肪組織中のa−T濃度についてaP<0.01(ANOVA)と指定した。脂肪組織中のδ−T3濃度については、δ−T3給餌マウスと対照群、a−T群及びTRF群からの動物との差異を、cP<0.01(ANOVA)(訳注Pの前のcにはその上に「^」がつく)と指定した。脂肪組織におけるa−T3及びγ−T3の蓄積は、対照群、a−T群及びδ−T3群からの動物と比較して、TRF補給マウスにおいて有意差を示し、各々eP<0.01(ANOVA)(訳注:Pの前のeにはその下に「.」がつく)及びuP<0.01(ANOVA)と指定した(訳注:Pの前のuの上に記号が書かれているが不明)。
【0080】
ビタミンEを補給されたマウスにおける抗破傷風トキソイド抗体の産生
BALB/cマウスを4群、即ち3実験群と1対照群に分けた。実験群のマウスは、異種のビタミンEを経口で補給された。全ての動物は、破傷風トキソイド(TT)ワクチンの投薬を3回受けた。対照動物と実験動物の血清におけるTT特異抗体の力価は、ELISAを用いて0日目(基準)、28日目、56日目に測定された。図4に示すように、TT免疫用接種マウスにおける抗TT Ig力価は、ビタミンE、即ちδ−T3、a−T又はTRFの毎日の栄養補給後に有意に(P<0.05)増強された。抗TT Ig力価の増強は、対照動物と比較して、28日目の第1回ワクチン接種後に全てのビタミンE補給群において統計的に有意(P<0.05)であった。しかし、抗TT力価の増強は、第1回ワクチン接種後の実験群同士の間では有意差がなかった(図4を参照されたい)。第3回のTTワクチン接種後、ビタミンEの異なる異性体を56日間補給されたマウスは、非処置マウスと比較した場合、有意に(P<0.05)高い抗TT抗体力価を有していた(図4を参照されたい)。
【0081】
図4に示すように、δ−T3異性体を補給されたマウスは、第3回ワクチン接種後に最高の抗TT抗体力価を有していた。これに続くのは、TRFとa−Tを給餌されたマウスであった。δ−T3とTRFを補給されたマウスにおける抗TT抗体力価は、a−T処置マウスの場合より有意に(P<0.01)高かった。
【0082】
加えて、δ−T3補給とTRF補給マウスは、第1回免疫用接種と比較して、第3回免疫用接種後に有意に(P<0.01)高い抗抗体力価も示した。血清抗TT抗体の基準(0日目)力価は全動物において低く、対照群と実験群においてほぼ同じであり(図4を参照されたい)、動物の免疫状態は試験開始時に類似していたことを示す。こうした知見は、トコトリエノール、主にδ−T3とTRFが、TTワクチン接種マウスにおいて抗TT抗体の産生を有意に増強したことを示している。28、56日目での対照群と実験群との有意差を、それぞれaP<0.05(SPANOVA)及びeP<0.05(SPANOVA)と指定した。56日目でのδ−T3給餌とa−T給餌動物との有意差を、uP<0.01(ANOVA)と指定し、56日目でのTRF補給群とa−T補給群との差異はcP<0.01(ANOVA)と指定した。TRF給餌及びδ−T3給餌動物における56日目と28日目との有意差を、sP<0.01(SPANOVA)と指定した。(訳注;Pの前のsはその上に「’」がつく)
【0083】
ビタミンEを補給されたTTワクチン接種マウスからの脾細胞の増殖
BALB/cマウスを4群、即ち3実験群と1対照群に分割した。実験群のマウスは、ビタミンEの異なる異性体を経口で補給された。全ての動物は、破傷風トキソイド(TT)ワクチンの投薬を3回受けた。56日目に、犠牲にしたマウスの脾臓を取り出し、ConA、LPS又は純粋TTの存在下で培養した。
【0084】
図5は、対照及びビタミンE補給マウス由来の脾細胞のマイトジェン誘発又は抗原誘発増殖に対する、異なるビタミンE異性体の補給の効果を示す。δ−T3、TRF、a−Tのいずれかで補給されたTT免疫用接種マウスの脾細胞は、対照マウスと比較して、ConA(1μg/mL)又はTT(10μg/mL)に対する有意に(P<0.05)大きな応答を示した(図5を参照されたい)。細胞増殖は、δ−T3補給群においてやや増加し、これにTRFとa−T補給群が続いた。しかし、ConA又はTT刺激後のビタミンE処置群同士の間に脾細胞増殖の有意な(P<0.05)差はなかった。加えて、LPS(1μg/mL)は、対照群と比較して、ビタミンE処置群に有意な(P<0.05)脾細胞増殖を誘発しなかった。こうした結果は、トコトリエノール、トコフェロールいずれの補給もConA又はTT刺激マウス脾細胞の増殖を強化できることを示している。雌性マウス5匹の各群を、14日、28日、42日目にTTワクチン(4LF/mL)で免疫用に接種した。マウスを、最後のワクチン接種から2週後(56日目)に犠牲にした。
【0085】
ConA刺激培養物における対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定し、一方TT刺激培養物における対照群と実験群との有意差を、eP<0.05(ANOVA)と指定した。LPS刺激後では、脾細胞増殖の有意差が対照群と実験群との間に認められなかった(ANOVA)。
【0086】
TT免疫用接種マウスからのマイトジェン又は抗原刺激脾細胞によるサイトカインの産生に対する、ビタミンE補給の効果
BALB/cマウスを4群、即ち3実験群と1対照群に分けた。実験群のマウスは、異なるビタミンE異性体を経口で補給された。全ての動物は、破傷風トキソイド(TT)ワクチンの投薬を3回受けた。対照及び実験のマウスは、56日目に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓を取り出し、ConA又は純粋TTの存在下で培養した。培養72時間後に培養上清を採集し、産生されたサイトカイン(IFN−γ、IL−4、TNF−α)の量を、ELISAを用いて定量した。
【0087】
ConA又はTT刺激脾細胞によるIFN−γの産生に対するビタミンE補給の効果
図6に示すように、異なるビタミンE異性体を給餌されたTTワクチン接種マウスから採集したConA刺激脾細胞からのIFN−γ濃度は、対照マウスの濃度より有意に(P<0.05)高かった。a−T処置マウスに比較して、δ−T3を補給された動物は、ConA刺激後のサイトカイン産生の有意な(P<0.05)増加を示した。しかし、a−T給餌マウスとTRF給餌マウスの間には、IFN−γのレベルに有意差が認められなかった。
【0088】
TT刺激脾細胞では、対照動物と比較して、全てのビタミンE補給群においてIFN−γレベルが有意に増大した(図6を参照されたい)。しかし、処置群同士の中ではサイトカイン・レベルに有意差がなかった。加えて、ナイーブ(非処置マウスでワクチン接種もしていない)マウスからのConAで刺激された脾細胞は、対照動物と比較してかなり低い量のIFN−γを産生した。
【0089】
ConA又はTT刺激脾細胞によるIL−4の産生に対するビタミンE補給の効果
図7は、TTワクチン接種を3回した後の対照マウスとビタミンE処置マウスからの脾細胞によるIL−4の産生を示す。対照マウスと比較して、ビタミンE処置動物は、脾細胞のConA誘発、TT誘発いずれの増殖においてもIL−4産生の有意な(P<0.05)向上を示した。しかし、ビタミンE補給群同士の中ではIL−4レベルに有意差が認められなかった。ナイーブ動物(非処置マウスでワクチン接種もしていない)からの脾細胞は、対照動物と比較して相対的に非常に低い量のIL−4を産生した。
【0090】
LPS刺激脾細胞によるTNF−αの産生に対するビタミンE補給の効果
LPS誘発TNF−α産生は、異なるビタミンE異性体を補給され、TTでワクチン接種されたマウスにおいて、有意に(P<0.05)減少することが判明した(図8を参照されたい)。TNF−αの産生は、全てのビタミンE処置動物においてほぼ同じであり、こうした群同士の間で差が認められなかった。雌性マウス5匹の各群は、14日、28日、42日目にTTワクチン(4Lf/mL)で免疫用に接種された。マウスは、56日目、即ち最後のワクチン接種から2週間後に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓から脾細胞を調製し、ConA(1μg/mL)又はTT(10μg/mL)の存在下で培養した。結果は濃度(pg/mL)で表されている。
【0091】
培養上清を、培養72時間後に採集し、産生されたIFN−γの量を、ELISAを用いて定量した。ConA刺激脾細胞における対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定し、TT刺激脾細胞における対照群と実験群との差異を、eP<0.05(ANOVA)と指定した。ConA刺激脾細胞におけるδ−T3補給とa−T補給動物との差異を、uP<0.05と指定した(スチューデントのt検定)。ConA刺激脾細胞においては、TRF補給とa−T補給動物との間に差異が認められなかった。ConA刺激脾細胞におけるナイーブ動物と対照動物との有意差を、sP<0.05(スチューデントのt検定)と指定した。雌性マウス5匹の各群は、14日、28日、42日目にTTワクチン(4Lf/mL)で免疫用に接種された。マウスは、最後のワクチン接種から2週間(56日)後に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓から脾細胞を調製し、ConA(1μg/mL)又はTT(10μg/mL)の存在下で培養した。結果は濃度(pg/mL)で表されている。培養上清を、培養72時間後に採集し、産生されたIL−4の量を、ELISAを用いて定量した。ConA刺激脾細胞における対照群と実験群との有意差を、aP<0.05(ANOVA)と指定し、TT刺激脾細胞における対照群と実験群との差異を、eP<0.05(ANOVA)と指定した。ConA刺激脾細胞におけるナイーブ動物と対照動物との有意差を、sP<0.05(スチューデントのt検定)と指定した。雌性マウス5匹の各群は、14日、28日、42日目にTTワクチン(4Lf/mL)で免疫用に接種された。マウスは、最後のワクチン接種から2週間(56日)後に犠牲にされた。犠牲マウスの脾臓から脾細胞を調製し、LPS(1μg/mL)の存在下で72時間培養した。結果は濃度(pg/mL)で表されている。培養上清を、培養72時間後に採集し、産生されたTNF−αの量を、ELISAを用いて定量した。対照群と実験群との有意差を、LPS刺激脾細胞においてaP<0.05と指定した(ANOVA)。
【0092】
TRFで補給された志願者の血漿における高レベルのビタミン
HPLCを用いて志願者から得た血漿試料を分析し、トコフェロール及びトコトリエノール全体の濃度を定量した。図9に示すように、総ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)の血漿濃度は、実験群においてTRF補給をした4週(28日)後及び8週(56日)後に有意に(P<0.05)増加した。対照的に、プラセボ群の血漿中の総ビタミンE濃度は、両時点で一定のままであった(図9を参照されたい)。しかし、TRF補給群の血漿における総ビタミンE濃度の28日目及び56日目の間の差異は、統計的に有意性がなく(図9を参照されたい)、恐らくは体内の除去過程が、何らかの最適なビタミンEレベルの維持に有効であることが示唆される。
【0093】
健常志願者の血中の内因性α−トコフェロール量は、0日目と比較して28日目及び56日目に有意に(P<0.05)増加した(図10を参照されたい)。α−トコフェロール濃度は、プラセボ群と比較してTRF補給群において、28日目及び56日目に有意に(P<0.05)増大した。α、γ、δ−トコトリエノールの平均血漿濃度も、プラセボと比較すると、TRFを摂取した志願者において28日目及び56日目に有意に(P<0.01及びP<0.05)増加した(図11を参照されたい)。TRF補給群における28日目及び56日目のトコトリエノール異性体の濃度のうち、α−トコトリエノールが最高であり、これに続いてγ−トコトリエノールとδ−トコトリエノールであった(図11を参照されたい)。プラセボ群における28日目及び56日目の各トコトリエノールの濃度は、同じままであり、その量は0日目と比較して有意差がなかった(P<0.05)。100名の志願者を、2群、即ち対照群(プラセボを摂取)又は実験群(毎日TRF400mgを摂取)に無作為に割り当てた。両群より血液を0日目、28日目、56日目に抜き取った。
【0094】
血漿を、方法の項に記載のように、HPLC分析のために血液から分離した。この分析で得た総ビタミンEの血漿濃度はμg/mLで報告している。
【0095】
28日目における対照群と実験群との血漿ビタミンEレベルの有意差をuP<0.05(ANOVA)と指定する。56日目における対照群と実験群との血漿ビタミンEレベルの有意差をnP<0.05(ANOVA)と示す(訳注:Pの前のnはその上に「.」がつく)。0日目及び28日目における実験群同士間の血漿ビタミンEレベルの有意差をaP<0.05(SPANOVA)と指定する。0日目及び56日目における実験群同士間の血漿ビタミンEレベルの有意差をcP<0.05(SPANOVA)と指定する。
【0096】
100名の志願者を、2群、即ち対照群(プラセボを摂取)又は実験群(毎日TRF400mgを摂取)に無作為に割り当てた。両群より血液を0日目、28日目、56日目に抜き取った。血漿を、方法の項に記載のように、HPLC分析のために血液から分離した。この分析で得たα−トコフェロールの血漿濃度はμg/mLで報告している。
【0097】
28日目における対照群と実験群との血漿α−トコフェロール濃度の有意差をaP<0.05(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をcP<0.05(ANOVA)と示す。0日目と28日目における実験群同士間の血漿α−トコフェロール・レベルの有意差をuP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をnP<0.05(SPANOVA)と指定する。
【0098】
図11:対照及び実験志願者の血漿中のトコトリエノールの濃度
100名の志願者を、2群、即ち対照群(プラセボを摂取)又は実験群(毎日TRF400mgを摂取)に無作為に割り当てた。両群より血液を0日目、28日目、56日目に抜き取った。血漿を、方法の項に記載のように、HPLC分析のために血液から分離し、準備した。この分析で得たトコトリエノールの血漿濃度はμg/mLで報告している。
【0099】
28日目における対照群と実験群との血漿α−トコトリエノール濃度の有意差をaP<0.01(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をnP<0.0 1(ANOVA)と示す。0日目と28日目における実験群同士間の血漿α−トコトリエノール・レベルの有意差をeP<0.01(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をcP<0.01(SPANOVA)と指定する。
【0100】
28日目における対照群と実験群との血漿γ−トコトリエノール濃度の有意差をuP<0.05(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をtP<0.05(ANOVA)と示す(訳注:Pの前のtには「+」がつく)。0日目及び28日目における実験群同士間の血漿γ−トコトリエノール・レベルの有意差をsP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をνP<0.05(SPANOVA)と示す(訳注:Pの前のυの上に「’」がつく)。
【0101】
28日目における対照群と実験群との血漿δ−トコトリエノール濃度の有意差をYP<0.05(ANOVA)と示し、56日目における対照群と実験群との差異をzP<0.05(ANOVA)と示す(訳注:Pの前のzの上に「^の反対向きの記号」がつく)。0日目と28日目における実験群同士間の血漿δ−トコトリエノール・レベルの有意差をXP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目と56日目における実験群同士間のレベル差をWP<0.05(SPANOVA)と示す(訳注:Pの前のWの上に「^」がつく)。
【0102】
マイトジェン又は抗原刺激PBMCによるサイトカインの産生に対するTRF補給の効果
方法の項に記載のように、血液を0日、28日、56日目に全志願者から抜き取った。3.4.8項に記載したように末梢血単核細胞(PBMC)を分離し、その白血球をConA、LPS又は純粋TTの存在下で培養した。培養72時間後に培養上清を採集し、ELISAを用いて産生したサイトカイン(IFN−γ、IL−4、IL−6、IL−10)の量を定量した。本発明では、TT刺激後のPBMCによるサイトカイン産生を、28日目、56日目、即ちMeydani等(1997年)が報告したTTワクチンの投与前後にだけ測定した。TT刺激後のサイトカインの基準(0日目)レベルは、志願者における、TTワクチンの投与前である28日目のレベルと類似していると報告された(Meydani等、1997年)。しかし、ConA、LPS双方による刺激(非特異的マイトジェン)後のPBMCによるサイトカイン産生を、0日目、28日目、56日目に測定した。
【0103】
ConA又はTT刺激PBMCによるIFN−γの産生に対するTRF補給の効果
図12は、対照群と実験群における志願者のPBMCによるIFN−γの産生を示す。IFN−γの産生量は、0日目又は28日目に産生した量と比較して、56日目、即ちTTワクチンの接種後に、ConA刺激PBMCによって有意に(P<0.05)増強された。IFN−γレベルは、0日目と比較して28日目に僅かしか高くならなかった。加えて、28日目にTRF群とプラセボ群との間に認められた差異は、統計的に有意ではなかった(P>0.05)。56日目、即ちTTワクチンの投与から28日後に、IFN−γの産生量は、TRF補給を受けた志願者のPBMCにおいて、対応するプラセボ群と比較して有意に(P<0.02)増強された。
【0104】
特異抗原、即ちTTにより刺激されたPBMCが産生するIFN−γの量も決定された(図13を参照されたい)。志願者からのPBMCの大部分は、28日目、即ちブースターTTによる免疫用接種前にTTによる刺激に応答した。これは、子供時の免疫用接種プログラム中にこの抗原に既に曝されたためであろう。56日目のTTワクチン接種後には、インビトロでのTT刺激後のIFN−γの産生が、TRF補給群、プラセボ補給群の双方で増大した。しかし、そのサイトカイン・レベルは、プラセボ補給と比較して、TRF補給を受けた志願者において非常に有意であった(P<0.01)。
【0105】
ConA又はTT刺激PBMCによるIL−4の産生に対するTRF補給の効果
図14に示すように、TTワクチン接種の前では、志願者のPBMCは、ConA刺激培養物におけるIFN−γと比較して、非常に低レベルのIL−4を産生した。TTワクチン接種から1カ月後(56日目)では、IL−4のレベルは、試験の0日目及び28日目と比較して、TRF補給群、プラセボ補給群の双方で有意に(P<0.05)上昇した。しかし、56日目におけるIL−4の濃度は、対照群と実験群との間で有意差がなかった(P>0.05)。
【0106】
TT刺激PBMC培養物におけるIL−4レベルを、2つの時点、即ちTTワクチン接種の前後に4週間を置いてアッセイした。TTにより刺激したPBMCは、ConA刺激PBMCと比較して低い量のIL−4を産生した(図14及び15を参照されたい)。TTワクチン接種前、即ち28日目では、TRF補給及びプラセボ補給志願者からのTT刺激ヒトPBMCが産生するIL−4量に、統計的有意差がなかった(P>0.05)(図15を参照されたい)。対照的に、56日目のTTワクチン接種後では、プラセボと比較してTRFを受けた志願者において、IL−4レベルが有意に(P<0.05)増大した(図15を参照されたい)。
【0107】
LPS刺激PBMCによるIL−6の産生に対するTRF補給の効果
IL−6、TNF−αなどの炎症促進性サイトカインが、病原体侵入後に急性期タンパク質を誘導するために、マクロファージにより産生されることは十分に認められている(Levi等、2003年)。志願者からのLPS刺激PBMCは、志願者の対照群、実験群双方において、試験の0日目と28日目に高いレベルのIL−6を産生した(図16を参照されたい)。しかし、TRFを補給された志願者は、プラセボを受けた志願者と比較して、56日目、即ちTT免疫用接種から1カ月後に有意に(P<0.05)低いIL−6産生を示した(図16を参照されたい)。
【0108】
対照群及び実験群の末梢血から分離したConA刺激PBMCにより産生されるIFN−γの量を決定した。0日目(基準)、28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIFN−γの量を決定した。対照と実験志願者からのConA刺激PBMCにより、56日目に産生されたIFN−γレベルに統計的有意差が認められた。対照群と実験群との有意差を、eP<0.02(ANOVA)として示す。0日目及び28日目と比較した56日目における対照群内の統計的差異を、aP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した56日目における実験群内のレベル差を、uP<0.05(SPANOVA)として示す。
【0109】
対照群(プラセボ処置)及び実験群に属する志願者の末梢血から分離した、TT刺激PBMCにより産生されるIFN−γの量を、方法の項に記載したように決定した。28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIFN−γの量を決定した。
【0110】
28日目における対照群と実験群とのTT特異的IFN−γレベルの有意差を、eP<0.05(ANOVA)として示し、56日目における対照群と実験群との差異を、aP<0.01(ANOVA)として示す。対照群の28日目と56日目との有意差を、XP<0.05(SPANOVA)と指定し、実験群の28日目と56日目とのレベル差を、uP<0.01(SPANOVA)として示す。
【0111】
対照群(プラセボ処置)及び実験群の志願者の末梢血から分離したConA刺激PBMCにより産生されるIL−4の量。0日目(基準)、28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIL−4の量を決定した。
【0112】
0日目及び28日目と比較した56日目における対照群内の有意差を、eP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した56日目における実験群内のレベル差を、aP<0.05(SPANOVA)として示す。
【0113】
ConA又はTT刺激PBMCによるIL−10の産生に対するTRF補給の効果
インターロイキン−10は、抗原提示細胞上での副刺激分子の発現を低下させ(Corinti等、2001年)、それにより樹状細胞(DC)の抗原提示能を抑制できる(Thomssen等、1995年)、十分に立証された免疫抑制サイトカインである。この本発明では、全志願者が、0日、28日、56日目にConA刺激PBMCよる検出可能なレベルのIL−10産生を示した(図17を参照されたい)。
【0114】
産生されるIL−10のレベルは、試験の基準日から56日目まで僅かに増加したが、そのレベルは有意ではなく(P>0.05)、TRF群とプラセボ群との間にもIL−10産生の有意な変化が認められなかった(P>0.05)(図17を参照されたい)。図18に示すように、TTにより刺激されたPBMCも、28日目、56日目に、プラセボ群と比較した場合、TRF補給群においてIL−10の僅かな産生増加を示した。しかし、サイトカイン・レベルの変化は有意ではなかった(P>0.05)。
【0115】
対照群(プラセボ処置)及び実験群の志願者の末梢血から分離したConA刺激PBMCにより産生されるIL−10の量。0日目(基準)、28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIL−10の量を決定した。0日目、28日目、56日目におけるTRF補給群とプラセボ補給群とのIL−10産生のレベル差は、統計的に有意ではなかった(SPANOVA)。
【0116】
対照群(プラセボ処置)及び実験群の志願者の末梢血から分離したTT刺激PBMCにより産生されるIL−10の量は、方法の項に記載したように決定された。28日目(プラセボ又はTRF補給から4週後で、TTワクチン接種の前)、及び56日目(プラセボ又はTRF補給から8週後で、TTワクチン接種から4週後)に産生されたIL−10の量を決定した。
【0117】
28、56日目におけるTRF補給群とプラセボ補給群とのTT特異的IL−10産生のレベル差は、統計的に有意ではなかった(SPANOVA)。
【0118】
TRF補給及びTTワクチン接種後の血漿中の抗破傷風抗体レベル
TTでワクチン接種したヒト志願者の血漿中総Igの産生に対するTRF補給の効果を調べた。産生される抗TT抗体の量が、免疫応答の体液性防備用マーカーとして使用される。抗TT抗体の検出可能な総Ig量が、試験の0日目及び28日目に存在していたが、その力価は、TTワクチン接種後、即ち56日目に認められる力価と比較して、相対的に低かった(図19を参照されたい)。抗TT Ig力価は、TRF群、プラセボ群の双方でTTワクチン接種から1カ月後に有意に増加した(図19を参照されたい)。
【0119】
56日目に認められた両群の抗TT Ig力価は、0日目及び28日目と比較して有意に(P<0.05)高かった。TRFで補給された志願者は、プラセボで補給された志願者と比較して、56日目において有意に(P<0.05)高い抗TT Ig産生を示した。
【0120】
TTワクチン接種後、即ち56日目のTRF補給群では、抗TT IgG産生の増加も認められた(図20を参照されたい)。TTワクチン接種前の試験集団における抗TT IgGの平均レベルは、0.79IU/mLであり、そのレベルは、TRF補給、プラセボ補給両志願者において、TTワクチン接種から1カ月後に有意に(P<0.05)上昇した。56日目に、プラセボ補給群及びTRF補給群における抗TT IgG平均レベルは、それぞれ1.30IU/mLと1.93IU/mLであり、そのレベルは、プラセボと比較して、TRF群において有意に(P<0.05)高かった(図20を参照されたい)。両群の志願者は、ワクチン接種後の保護的抗TT応答を実現しており、この応答は、0.85IU/mLの抗破傷風抗体レベルと定義される(Kilian及びNielsen、1989年)。血液を、0、28、56日目に対照群(プラセボ補給)及び実験群(TRF補給)の志願者から抜き取った。
【0121】
TTワクチンのブースター用量を、28日目に筋肉内に投与した。総Ig 抗TTの血漿レベルを、ELISAにより決定した。0日目及び28日目と比較した際の56日目における、プラセボ群(対照)内での抗TT Ig力価の有意差をcP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した際の56日目における、実験群(TRF)内での力価の差異をuP<0.05(SPANOVA)として示す。
【0122】
56日目における対照群と実験群との抗TT Ig力価の有意差を、aP<0.05(ANOVA)として示す。
【0123】
血液を、0日目、28日目、56日目に対照群(プラセボ補給)及び実験群(TRF補給)の志願者から抜き取った。TTワクチンのブースター用量を、28日目に筋肉内に投与した。抗TT IgGの血漿レベルを、ELISAにより決定した。0日目及び28日目と比較した際の56日目における、プラセボ(対照)群内でのIgG濃度の有意差をeP<0.05(SPANOVA)と指定し、0日目及び28日目と比較した際の56日目における、実験(TRF)群内でのIgGレベルの差異をaP<0.05(SPANOVA)として示す。56日目における対照群と実験群との有意なレベル差を、uP<0.05(ANOVA)として示す。
【0124】
図21:TRF、プラセボのいずれかを補給された健常志願者間の総Tリンパ球比率(%)を比較した散布図。血液を、0日目(A)、28日目(B)、56日目(C)に志願者から抜き取った。該リンパ球をCD3抗原に対する抗体で染色し、フロー・サイトメトリーで分析した。TRF群とプラセボ群との総T細胞比率(%)の差異は、各時点、即ち0日目、28日目、56日目に有意ではなかった(SPANOVA)。x軸は、TRF群のn=50及びプラセボ群のn=50を示し、合計でn=100となる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】試験を通した参加者の割当及び保持人数を例示するフロー図である。
【図2】毎日56日間ビタミンEの異なる異性体を補給したマウスの脂肪組織中の総ビタミンE濃度を表す図である。
【図3】毎日56日間ビタミンEの異なる異性体を補給したマウスの脂肪組織中のα−トコフェロール及びトコトリエノールの濃度を表す図である。
【図4】対照及びビタミンE補給マウスの間の抗TT総Ig力価を比較したヒストグラムである。
【図5】TT免疫マウスにおけるマイトジェン刺激(ConA及びLPS)並びに抗原刺激(TT)脾細胞増殖に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図6】ConA刺激又はTT刺激脾細胞によるIFN−γの産生に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図7】ConA刺激又はTT刺激脾細胞によるIL−4の産生に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図8】LPS刺激脾細胞によるTNF−αの産生に対するビタミンE補給の効果を表す図である。
【図9】対照及び実験志願者の血漿中の総ビタミンE濃度を表す図である。
【図10】対照と実験志願者の血漿中の総α−トコフェロール濃度を表す図である。
【図11】対照及び実験志願者の血漿中のトコトリエノール濃度を表す図である。
【図12】ConA刺激PBMCによるIFN−γの産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図13】TT刺激PBMCによるIFN−γの産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図14】ConA刺激PBMCによるIL−4の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図15】TT刺激PBMCによるIL−4の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図16】LPS刺激PBMCによるIL−6の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図17】ConA刺激PBMCによるIL−10の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図18】TT刺激PBMCによるIL−10の産生に対するTRF補給の効果を表す図である。
【図19】プラセボ補給及びTRF補給志願者の間の抗TT総Ig力価を比較したヒストグラムである。
【図20】プラセボ補給及びTRF補給志願者の間の抗TT IgG力価を比較したヒストグラムである。
【図21】TRF、プラセボのいずれかを補給された健常志願者間の総Tリンパ球比率(%)を比較した散布図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性物質における免疫応答補助用の調合剤であって、ビタミンEを含む調合剤。
【請求項2】
破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答用の補助剤として使用できる請求項1に記載の調合剤。
【請求項3】
ビタミンEが富トコトリエノール分画(TRF)からなる請求項1に記載の調合剤。
【請求項4】
α−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、α−トコフェロールからなる群から選択される請求項3に記載の富トコトリエノール分画(TRF)。
【請求項5】
免疫応答に関する補助用の薬物を製造するための前記請求項のいずれかに記載の調合剤の使用。
【請求項6】
哺乳動物における免疫応答を強化するための請求項5に記載の使用。
【請求項7】
個人における免疫応答を強化する方法であって、それを必要とする前記個人に請求項1から3に記載の調合剤の有効量を投与することを含む方法。
【請求項8】
破傷風トキソイドのワクチン接種に対する、個人における免疫応答の活性化に有効な調合剤を含有する包装材を含む製品であって、包装材は、該調合剤が免疫応答の強化に使用できることを示すラベルを含み、前記調合剤が請求項1から4に記載の医薬組成物である製品。
【請求項1】
生物活性物質における免疫応答補助用の調合剤であって、ビタミンEを含む調合剤。
【請求項2】
破傷風トキソイドのワクチン接種に対する免疫応答用の補助剤として使用できる請求項1に記載の調合剤。
【請求項3】
ビタミンEが富トコトリエノール分画(TRF)からなる請求項1に記載の調合剤。
【請求項4】
α−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、α−トコフェロールからなる群から選択される請求項3に記載の富トコトリエノール分画(TRF)。
【請求項5】
免疫応答に関する補助用の薬物を製造するための前記請求項のいずれかに記載の調合剤の使用。
【請求項6】
哺乳動物における免疫応答を強化するための請求項5に記載の使用。
【請求項7】
個人における免疫応答を強化する方法であって、それを必要とする前記個人に請求項1から3に記載の調合剤の有効量を投与することを含む方法。
【請求項8】
破傷風トキソイドのワクチン接種に対する、個人における免疫応答の活性化に有効な調合剤を含有する包装材を含む製品であって、包装材は、該調合剤が免疫応答の強化に使用できることを示すラベルを含み、前記調合剤が請求項1から4に記載の医薬組成物である製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−102313(P2009−102313A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−257171(P2008−257171)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(500511648)マレーシアン・パーム・オイル・ボード (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257171(P2008−257171)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(500511648)マレーシアン・パーム・オイル・ボード (12)
【Fターム(参考)】
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