説明

破砕装置

【課題】長さ、径等の異なる中空円筒状の被破砕物を簡単な構成により、効率よく破砕することができる経済的な破砕装置を提供する。
【解決手段】保持室17の被破砕物18の挿入方向に沿って、互いに平行に配置された各回転軸9、14で対をなすように対向して軸支され、それぞれの外周に切欠部24を設けると共に、被破砕物18を破砕する回転刃25を設けた一対の破砕ロータ22、23と、回転軸9、14に軸支され、外周に切欠部28を設けると共に、前記被破砕物18を挟持するよう設けられた少なくとも二対の挟持体26、27とを備え、各切欠部24、28が各回転軸9、14方向に沿って合致するように設定され被破砕物18の中空部47が挿入され、挿入された部分が回転する一対のロータ22,23により破砕された後、一方の破砕ロータ22に、次に破砕される被破砕物18の中空部47が挿入され、被破砕物18を順次破砕するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕装置に関するもので、詳しくは、不要品となった塩ビ管等の中空円筒
状の被破砕物を、簡単な構成により、効率よく、しかも、長さ、径等の異なる被破砕物に対して対応し、破砕することができるようにした破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の破砕装置としては、ハンマクラッシャを用いる方法がある。しかし、ハンマクラッシャを用いる方法のものにあっては、中空円筒状の被破砕物を破砕するには、その構造上、駆動力として大きな容量のものが必要となり、経済的ではなく、そして、破砕時の振動、騒音が大きくなる欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記した問題点を解決するためになされた破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記した問題を解決するための本発明の手段は、破砕装置本体と、この破砕装置本体に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物を保持するための保持室と、この保持室から供給される前記被破砕物を受けて、破砕処理する破砕室と、この破砕室に設けられ、前記保持室の前記被破砕物の挿入方向に沿って、互いに平行に配置された各回転軸に、それぞれが前記回転軸間で対をなすように対向して軸支され、それぞれの外周に切欠部を設けると共に、前記被破砕物を破砕する回転刃を設けた一対の破砕ロータと、この各々の破砕ロータの近傍であって保持室側に臨み、互いに間隔をもって配置され、それぞれが前記回転軸間で対をなすように対向して前記各回転軸に軸支され、外周に切欠部を設けると共に、挿入される前記被破砕物を挟持するよう設けられた少なくとも二対の挟持体とを備え、前記一対の破砕ロータと、前記二対の挟持体は、各切欠部が前記各回転軸方向に沿って合致するように設定され前記各回転軸に軸支され、前記各切欠部が前記各回転軸間で互いに対向位置した状態において、対向する前記各破砕ロータ間および前記挟持体間に、切欠部による間隙部が形成されるようにし、前記各回転軸の回転に伴ない、前記間隙部が形成された回転状態時、前記間隙部を介して前記一方の破砕ロータに前記被破砕物の中空部が挿入され、挿入された部分が回転する前記一対の破砕ロータにより破砕された後、再び前記切欠部による間隙部が形成された回転状態時になったとき、前記一方の破砕ロータに、次に破砕される前記被破砕物の中空部が挿入され、前記一対の破砕ロータにより破砕されるようにし、前記被破砕物を順次破砕するようにしたものである。
【0005】
また、請求項2記載の破砕装置は、破砕装置本体と、この破砕装置本体に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物を保持するための保持室と、この保持室から供給される前記被破砕物を受けて、破砕処理する破砕室と、この破砕室に設けられ、前記保持室の前記被破砕物の挿入方向に沿って配置された各回転軸に、外周に切欠部を設けると共に、前記被破砕物を破砕する回転刃を設けた破砕ロータと、この破砕ロータの近傍であって保持室側に臨み、互いに間隔をもって配置され、前記回転軸に軸支され、外周に切欠部を設けた少なくとも2つの挟持体と、前記破砕室に設けられ、前記破砕ロータおよび前記各挟持体と互いに対をなすように平行して回動自在に取り付けられ、挿入される前記被破砕物を案内すると共に対向する前記挟持体と共に挟持するように設けられた破砕軸とを備え、前記破砕ロータと、前記各挟持体は、前記各切欠部が前記回転軸方向に沿って合致して位置するように設定され前記回転軸に軸支され、前記各切欠部が合致した状態において、この前記破砕ロータおよび前記各挟持体と、対向する前記破砕軸との間に、切欠部による間隙部が形成されるようにし、前記回転軸の回転に伴ない、前記間隙部が形成された回転状態時、前記間隙部を介して前記破砕軸に前記被破砕物の中空部が挿入され、挿入された前記被破砕物のうち、前記破砕ロータに臨んだ部分が、回転する前記破砕ロータにより破砕された後、再び前記切欠部による間隙部が形成された回転状態時になったとき、前記破砕軸の前記破砕ロータと対向する部分に、次に破砕される前記被破砕物の中空部が挿入され、前記破砕ロータに臨んだ部分が回転する前記破砕ロータにより破砕されるようにし、前記被破砕物を順次破砕するようにしたものである。
【0006】
また、請求項3記載の破砕装置は、破砕装置本体と、この破砕装置本体に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物を保持するための保持室と、この保持室から供給される前記被破砕物を受けて、破砕処理する破砕室と、この破砕室に設けられ、互いに平行に配置された各回転軸に、それぞれが前記回転軸間で対をなすように対向して軸支され、それぞれの外周に切欠部を設けると共に、前記被破砕物を破砕する回転刃を設けた一対の破砕ロータとを備え、前記保持室を、前記被破砕物が、前記一対の破砕ロータのそれぞれの回転軸に対して略直交する方向であって、前記一対の各破砕ロータ間の導入側から挿入されるように配置し、前記被破砕物を前記一対の破砕ロータにより破砕させるようにしたものである。
【0007】
また、請求項4記載の破砕装置は、請求項1および請求項2記載の破砕装置において
、破砕ロータに設けた回転刃は、外周に被破砕物を所定長さに切断するための円弧状の切断刃と、この円弧状の切断刃の中途に設けられた切欠部と、前記切断刃により切断された前記被破砕物を破砕するための破砕刃とを備え、この破砕刃は前記切断刃に略直交し、前記切断刃の外周に沿って複数設けられ、隣接する前記破砕刃と前記破砕刃との間は切欠部であり、前記破砕刃の先端と前記切断刃の先端とは略同面である。
【0008】
また、請求項5記載の破砕装置は、請求項1および請求項2記載の破砕装置において
、破砕ロータに設けた回転刃は、外周に被破砕物を所定長さに切断するための円弧状の切断刃と、この円弧状の切断刃の中途に設けられた切欠部と、前記切断刃により切断された前記被破砕物を破砕するための破砕刃とを備え、この破砕刃は前記切断刃に略直交し、前記切断刃の外周に沿って複数設けられ、隣接する前記破砕刃と前記破砕刃との間は切欠部であり、前記破砕刃の先端と前記切断刃の先端とは略同面であり、前記破砕刃と前記切断刃とは接離自在な別部材で形成されている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の破砕装置によれば、中空円筒状の被破砕物を保持するための保持室と
、被破砕物を破砕処理する破砕室と、この破砕室に、外周に切欠部を設けた一対の破砕ロ
ータを設け、この破砕ロータの近傍に、外周に切欠部を設けた少なくとも二対の挟持体を
設け、破砕ロータおよび挟持体は、それぞれに設けた各切欠部が各回転軸方向に沿って合
致するように設定され各回転軸に軸支され、各切欠部が各回転軸間で互いに対向位置した
状態において、これらの間に形成される間隙部を介して一方の破砕ロータに被破砕物の中
空部が挿入され、被破砕物が挟持体に挟持されつつ破砕ロータにより破砕され、破砕され
た後、再び切欠部による間隙部が形成された回転状態時になったとき、一方の破砕ロータ
に、次に破砕される被破砕物の中空部が挿入され、順次破砕されるようにしたため、中空
円筒状の被破砕物を簡単な構成により、効率よく破砕できる。また、被破砕物が長い場合
であっても、短い場合であっても、保持室により案内保持されるため、長さの長短に関係
なく、広範な長さのものに対応して破砕できる。さらに破砕できる被破砕物の径も、中空
部が一方の破砕ロータに挿入できるもの、つまり、中空部の径が一方の破砕ロータの外形以上の広範な径のものに対応して破砕することができ、経済的である。また、被破砕物が破砕ロータにより破砕される際、被破砕物が対向する挟持体で挟持されるため、破砕作用をより確実に行なえる。
【0010】
また、請求項2記載の破砕装置によれば、保持室と破砕室とを設け、回転軸に軸支した破砕ロータおよび各挟持体と、回動自在な破砕軸とを互いに対向させ、回転軸の回転に伴ない、これら互いの間に間隙部が生じたとき、この間隙部を介して被破砕物の中空部を破砕軸に挿入させ、破砕ロータにより順次破砕するようにしたため、中空円筒状の被破砕物を、簡単な構成により、効率よく破砕できる。また、保持室により、被破砕物の長さの長短に関係なく、広範な長さのものに対応して破砕できる。さらに、破砕できる被破砕物の径も、中空部が破砕軸に挿入できるもの、つまり、中空部の径が、破砕軸の外形以上の広範な径のものに対応して破砕することができ、経済的である。また、被破砕物が破砕ロータにより破砕される際、被破砕物が対向する、挟持体と破砕軸とで挟持されるため、破砕作用をより確実に行なえる。また、被破砕物を破砕するにあたり、この1つの破砕ロータを、対向する破砕ロータとの組合わせで破砕する手段の破砕にも、また、対向する破砕軸との組合わせで破砕する手段の破砕にも、兼用して利用することも可能となるため、破砕ロータを有効活用でき、より経済的である。
【0011】
また、請求項3記載の破砕装置によれば、保持室と破砕室とを設け、この破砕室に、一対の破砕ロータを設け、保持室を、中空円筒状の被破砕物が、一対の破砕ロータのそれぞれの各回転軸に対して略直交する方向であって、一対の各破砕ロータ間の導入側から挿入されるように配置し、被破砕物を一対の破砕ロータにより破砕するようにしたため、中空円筒状の被破砕物を、簡単な構成により、効率よく破砕できる。また保持室により、被破砕物の長さの長短に関係なく、広範な範囲の長さのものに対応して破砕できる。さらに、破砕できる被破砕物の径も、各破砕ロータ間の導入側から破砕ロータ間に導入し得る範囲の径までの広範な径のものに対応して破砕することができ、経済的である。また、被破砕物を破砕するにあたり、この一対の破砕ロータを、破砕ロータに対して、被破砕物を軸方向に挿入して破砕する手段の破砕にも、また、軸方向に略直交する方向に挿入して破砕する手段の破砕にも、兼用して利用することも可能となるため、一対の破砕ロータを有効活用でき、より経済的である。
【0012】
また、請求項4記載の破砕装置によれば、破砕ロータに設けた回転刃は、被破砕物を所定長さに切断するための切断刃と、被破砕物を破砕するための破砕刃とを備えるようにしたため、被破砕物を効果的に効率よく破砕できる。
【0013】
また、請求項5記載の破砕装置によれば、前述の請求項4記載の発明の効果に加え、破砕刃と切断刃とは接離自在な別部材で形成されているため、破砕刃、切断刃の内、何れか一方が破損、摩耗等した場合、何れか一方を交換することにより対応することができる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の破砕装置の一実施例について図面に従って説明する。1は破砕装置本
体で、この破砕装置本体1は、設置床面に据付するための基台2および、この基台2に取り付けられた支持台3により支持されている。4は低速回転するギアドモータで、このギアドモータ4の軸5には、スプロケット6が取り付けられている。7はケーシング8により包囲されて、内部に破砕装置本体1を駆動する伝導手段を備えた駆動室である。9は駆動室7のケーシング8に取り付けられた軸受10、10に回動自在に支持された回転軸であり、この回転軸9の一側には、ギア11とスプロケット12が取り付けてある。そして、このスプロケット12とスプロケット6間にはチェーン13がかけられ、チェーン伝導機構が形成されている。また、14は回転軸9と対をなすように平行して設けられた回転軸であり、この回転軸14は回転軸9と同様に、ケーシング8に取り付けた軸受15、15に回動自在に支持されている。この回転軸14の一側には、ギア11とかみ合うギア16を取り付けてある。
【0015】
一方、図4に示す17は破砕装置本体1に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物(例えば、不要品となった塩ビ管)18を保持するための保持室である。この保持室17はケーシング19により形成させ、ケーシング19の一部を、挿入される被破砕物18より大きい径の円筒体20で形成している。また、21は、この保持室17から供給される被破砕物18を受けて、破砕処理する破砕室である。さらに、22、23は、この破砕室21に設けられ、保持室17の被破砕物18の挿入方向に沿って、互いに平行に配置された回転軸9、14に、それぞれが回転軸9、14間に対をなすように対向して軸支され、それぞれの外周に切欠部24を設けると共に、被破砕物18を破砕する複数の回転刃25を設けた一対の破砕ロータである。26、26、27、27は、この各々の破砕ロータ22、23の近傍であって保持室17側に臨み、互いに間隔をもって配置され、それぞれが前記回転軸9、14間で対をなすように対向して、各回転軸9、14に軸支され、外周に切欠部28を設けると共に、挿入される被破砕物18を挟持する複数の突部29を設けた少なくとも二対の挟持体である。つまり、破砕ロータ22、23に設けた回転刃は、外周に被破砕物18を所定長さに切断するための円弧状の切断刃48、48と、この円弧状の切断刃48、48の中途に設けられた切欠部48a、48aと、切断刃48、48により切断された被破砕物18を破砕するための破砕刃49、49とを備え、この破砕刃49、49は切断刃48、48に略直交し、切断刃48、48の外周に沿って複数設けられ、隣接する破砕刃48と破砕刃48との間は切欠部49であり、破砕刃49の先端と切断刃48の先端とは略同面となっている。そして、破砕刃49と切断刃48とは接離自在な別部材で形成されている。破砕ロータ22、23と、二対の挟持体26、26、27、27は、互いの切欠部24、24、28、28、28、28が回転軸9、14方向に沿って合致するように設定され、回転軸9、14に軸支されている。そして、各切欠部24、28が回転軸9、14間で互いに対向位置した状態において、対向する各破砕ロータ22、23間および挟持体間26、27間、26、27間の各間に切欠部24、28による間隙部30が形成されるようにしてある。なお、31、32は回転軸9、14に軸支された被破砕物18を案内するための案内筒である。そして、各破砕ロータ22、23、各挟持体26、27および各案内筒31、32は回転軸9、14にネジ33を介して固定されている。
【0016】
一方、図4に示す34は、破砕装置本体1に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物(例えば、中空円筒状の被破砕物18の径より小さい不要品となった塩ビ管)35を保持するための、保持室17とは別の保持室である。そして、この保持室34はケーシング19の一部を、挿入される被破砕物35の径より大きい径の円筒体36で形成している。この保持室34は、保持室17と平行して並設され、破砕室21に臨むよう設けてある。37は、破砕室21に設けられ、破砕ロータ23および各挟持体27、27と互いに対をなすように平行して回動自在に取り付けられ、挿入される被破砕物35を案内すると共に、対向する挟持体27、27と共に被破砕物35を挟持するように設けられた回転駆動する破砕軸(破砕軸37は、回転軸14の回転を図示しない歯車を介して回転するようになっている。)である。そして、回転軸14が回転され、破砕ロータ23および、各挟持体27、27の各切欠部28が回転軸14方向に合致した状態において、破砕軸37と対向した回転状態時に、互いに対向する、破砕ロータ23、各挟持体27と、破砕軸37との間に、各切欠部28による間隙部38が形成されるようにしてある。
【0017】
また、図1、図3、図6及び図16に示す39は、破砕装置本体1に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物(例えば、中空円筒状の被破砕物35の径より小さい不要品となった塩ビ管)40を保持するための、保持室17、34とは別の保持室である。この保持室39は破砕室21のケーシング41に取り付けられ、被破砕物40が、一対の破砕ロータ22、23のそれぞれの回転軸9、14に対して略直交する方向であって、一対の各破砕ロータ22、23間の導入側42から挿入されるように配置してあり、導入側42に向かって低くなるように傾斜させてある。この保持室39は、挿入される被破砕物40より大きい径の円筒体43で形成している。また、破砕室21の下方には破砕された被破砕物を排出するための排出口44を設けてあり、45は破砕され細分化された破砕片46を受ける受箱である。
【0018】
以上のように構成する破砕装置の動作を説明する。まず、保持室17を使用して被破砕物18を破砕する場合について説明する。使用者は図示しない運転スイッチを操作し、ギアドモータ4を駆動させることにより、駆動軸である回転軸9を回転し駆動させる。これによりチエーン13、ギア11、16等が作動し、回転軸9、14は、図7、図8及び図10に示す矢印の向きに回転され、各破砕ロータ22、23、各挟持体26、27、各案内筒31、32も回転される。そして、中空円筒状の被破砕物18を保持室17に挿入すると、保持室17が予め傾斜された状態にあるため、被破砕物18は、それ自身の自重により破砕室21に向かい落下していくが、挟持体26、27の突部29により遮られ、この挟持体26、27部分で停止され待機状態になる。そして、回転軸9、14がさらに回転し、各破砕ロータ22、23、各挟持体26、27の各切欠部24、28が回転軸9、14間で互いに対向位置した状態になると、対向する各破砕ロータ22、23間、各挟持体26、27間、26、27間に、各切欠部24、28による間隙部30が形成されるため、この間隙部30を介して、一方の破砕ロータ22に、被破砕物18の端部が破砕室21の駆動室7側に面したケーシング41に突き当たるまで、被破砕物18の中空部47が挿入される。そして、破砕ロータ22に挿入された部分が、対向する破砕ロータ22、23の回転刃25により破砕される(図4、図7乃至図11参照)。つまり、破砕ロータ22に挿入された被破砕物18は、破砕される手前の部分が各挟持体26、27により挟持された状態で、回転刃25を形成する切断刃48により所定長さに切断されつつ、破砕刃49により破砕され、回転軸9、14が継続回転することにより、挿入された部分の全周部分が破砕される。そして、破砕された破砕片46は排出口44から受箱45に落下する。また残った被破砕物18は、破砕ロータ22の保持室17側に面した端部で停止され待機状態とされ、この後、再度、各切欠部24、28が対向位置する回転状態になったとき、一方の破砕ロータ22に、次に破砕される被破砕物18の中空部47が挿入され、一対の破砕ロータ22、23により、被破砕物18が順次破砕される。この1本の被破砕物18が終了され、さらに、破砕するものがある場合は、前述と同様の操作で破砕作業が行なわれる。そして全て終了した時点で運転スイッチを停止操作することにより終了する。
【0019】
次に、保持室34を使用して被破砕物(例えば、中空円筒状の被破砕物18の径より小さい不要品となった塩ビ管)35を破砕する場合について説明する(図4、図7、図12乃至図15参照)。ギアドモータ4を駆動させることにより、回転軸9、14は矢印の向きに回転され、各破砕ロータ22、23、各挟持体26、27、各案内筒31、32も回転される。そして、中空円筒状の被破砕物35を保持室34に挿入すると、保持室34が予め傾斜された状態にあるため、被破砕物35は、それ自身の自重により破砕室21に向かい落下していくが、挟持体27の突部29により遮られ、この挟持体27部分で停止され待機状態になる。そして、回転軸14がさらに回転し、破砕ロータ23、各挟持体27の各切欠部24、28が回転する破砕軸37と対向位置した状態になると、対向する、破砕ロータ23および各挟持体27と、破砕軸37との間に、各切欠部24、28による間隙部38が形成されるため、この間隙部38を介して破砕軸37に被破砕物35の中空部50が挿入され、被破砕物35の端部が破砕室21の、駆動室7側に面したケーシング41に突き当たるまで挿入される。そして、破砕ロータ23と対向する部分に挿入された部分が、破砕軸37と対向する破砕ロータ23の回転刃25により破砕される。つまり、破砕ロータ23により被破砕物35は、切断刃48により所定長さに切断されつつ、破砕刃49により破砕され、回転軸14が継続回転することにより、挿入された部分の全周部分が破砕される。そして、破砕された破砕片46は排出口44から受箱45に落下する。また、残った被破砕物35は、破砕ロータ23の保持室34側に面した端部で停止され待機状態とされ、この後、再度、切欠部24、28が破砕軸37と対向位置する回転状態になったとき、破砕軸37に、次に、破砕される被破砕物35の中空部50が挿入され、破砕ロータ23により、被破砕物35が順次破砕され、全て終了した時点で運転スイッチを停止操作することにより、破砕作業が終了する。
【0020】
さらに、保持室39を使用して被破砕物(例えば、中空円筒状の被破砕物35の径より小さい不要品となった塩ビ管)40を破砕する場合について説明する(図1、図3、図6及び図16参照)。ギアドモータ4を駆動させることにより、回転軸9、14は矢印の向きに回転され、各破砕ロータ22、23、各挟持体26、27、各案内筒31、32も回転される。そして、中空円筒状の被破砕物40を保持室39に挿入すると、保持室39が予め傾斜された状態にあるため、被破砕物40は、それ自身の自重により破砕室21に向かい落下していく。そして、この被破砕物40は、一対の破砕ロータ22、23のそれぞれの回転軸9、14に対して略直交する方向であって、この各破砕ロータ22、23間の導入側42に挿入され、一対の破砕ロータ22、23により破砕される。そして被破砕物40は、破砕された都度、それ自身の自重により導入側42に導入され、被破砕物40が全て破砕されるまで、破砕作業は継続される。また破砕された破砕片46は排出口44から受箱45に落下する。そして、全て終了した時点で運転スイッチを停止操作することにより、破砕作業が終了する。
【0021】
このように、この破砕装置1は、簡単な構成により、中空円筒状の被破砕物を保持室
17、34、39に挿入するだけの簡単な操作で効率よく破砕することができる。また各
保持室17、34、39へは、広範の長さの、広範の径の被破砕物18、35、40を挿
入し破砕できるため、より作業性を向上でき、しかも容量の異なる破砕装置を数台設ける
必要もないため、より経済的となる。さらに、1台の破砕装置1に、複数の、例えば保持
室17、34、39を備え、破砕ロータ22、23等の限られた構成部品を利用し、複数
の異なった破砕手段を備えることもできるようになるため、、広範な寸法の被破砕物を破
砕処理でき、しかも同時に複数の作業をすることもでき、より経済的である。
【0022】
なお、この実施例では、保持室を3つ設け、保持室17、34、39の順に大径、中
径、小径の各グループ毎の被破砕物18、35、40の破砕に、適用するようにした場合
を示したが、この径と、これに対応する破砕手段および保持室の設置数等は、限定するも
のではなく、破砕ロータ22、23、破砕軸37、駆動源等、これらの大きさ、容量、数
等を適宜設定することにより、適宜の組合わせ、手段が設定可能であることは勿論である

【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の破砕装置の一実施例を示す概略側面図である。
【図2】図1を矢印Aの方向から見た概略平面図である。
【図3】図1を矢印Bの方向から見た、一部切り欠いて断面で示す要部の概略正面図である。
【図4】図1の概略縦断面図である。
【図5】図4のX−X線に沿って切断した要部の概略断面図である。
【図6】図4のY−Y線に沿って切断した要部の概略断面図である。
【図7】本発明の要部の概略斜視図である。
【図8】図1を矢印Bの方向から見た、一部切り欠いて断面で示すもので、被破砕物が破砕される前の使用状態を示す概略断面図である。
【図9】図8の側面方向から見た概略構成図である。
【図10】図8の被破砕物が破砕される状態を示す概略断面図である。
【図11】図10の側面方向から見た使用状態を示す概略構成図である。
【図12】図1を矢印Bの方向から見た、一部切り欠いて断面で示す使用状態を示すもので、被破砕物が破砕される前の概略断面図である。
【図13】図12の側面方向から見た概略構成図である。
【図14】図12の被破砕物が破砕される状態を示す概略断面図である。
【図15】図14の側面方向から見た使用状態を示す概略構成図である。
【図16】図3の使用状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 破砕装置
9 回転軸
14 回転軸
17 保持室
18 被破砕物
21 破砕室
22 破砕ロータ
23 破砕ロータ
24 切欠部
26 挟持体
30 間隙部
47 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕装置本体と、
この破砕装置本体に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物を保持するための保
持室と、
この保持室から供給される前記被破砕物を受けて、破砕処理する破砕室と、
この破砕室に設けられ、前記保持室の前記被破砕物の挿入方向に沿って、互いに平行
に配置された各回転軸に、それぞれが前記回転軸間で対をなすように対向して軸支され、
それぞれの外周に切欠部を設けると共に、前記被破砕物を破砕する回転刃を設けた一対の
破砕ロータと、
この各々の破砕ロータの近傍であって保持室側に臨み、互いに間隔をもって配置され
、それぞれが前記回転軸間で対をなすように対向して前記各回転軸に軸支され、外周に切
欠部を設けると共に、挿入される前記被破砕物を挟持するよう設けられた少なくとも二対
の挟持体とを備え、
前記一対の破砕ロータと、前記二対の挟持体は、各切欠部が前記各回転軸方向に沿っ
て合致するように設定され前記各回転軸に軸支され、前記各切欠部が前記各回転軸間で互
いに対向位置した状態において、対向する前記各破砕ロータ間および前記挟持体間に、切
欠部による間隙部が形成されるようにし、前記各回転軸の回転に伴ない、前記間隙部が形
成された回転状態時、前記間隙部を介して前記一方の破砕ロータに前記被破砕物の中空部
が挿入され、挿入された部分が回転する前記一対の破砕ロータにより破砕された後、再び
前記切欠部による間隙部が形成された回転状態時になったとき、前記一方の破砕ロータに
、次に破砕される前記被破砕物の中空部が挿入され、前記一対の破砕ロータにより破砕さ
れるようにし、前記被破砕物を順次破砕するようにしたことを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
破砕装置本体と、
この破砕装置本体に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物を保持するための保
持室と、
この保持室から供給される前記被破砕物を受けて、破砕処理する破砕室と、
この破砕室に設けられ、前記保持室の前記被破砕物の挿入方向に沿って配置された各
回転軸に、外周に切欠部を設けると共に、前記被破砕物を破砕する回転刃を設けた破砕ロ
ータと、
この破砕ロータの近傍であって保持室側に臨み、互いに間隔をもって配置され、前記
回転軸に軸支され、外周に切欠部を設けた少なくとも2つの挟持体と、
前記破砕室に設けられ、前記破砕ロータおよび前記各挟持体と互いに対をなすように
平行して回動自在に取り付けられ、挿入される前記被破砕物を案内すると共に対向する前
記挟持体と共に挟持するように設けられた破砕軸とを備え、
前記破砕ロータと、前記各挟持体は、前記各切欠部が前記回転軸方向に沿って合致し
て位置するように設定され前記回転軸に軸支され、前記各切欠部が合致した状態において
、この前記破砕ロータおよび前記各挟持体と、対向する前記破砕軸との間に、切欠部によ
る間隙部が形成されるようにし、前記回転軸の回転に伴ない、前記間隙部が形成された回
転状態時、前記間隙部を介して前記破砕軸に前記被破砕物の中空部が挿入され、
挿入された前記被破砕物のうち、前記破砕ロータに臨んだ部分が、回転する前記破砕ロー
タにより破砕された後、再び前記切欠部による間隙部が形成された回転状態時になったと
き、前記破砕軸の前記破砕ロータと対向する部分に、次に破砕される前記被破砕物の中空
部が挿入され、前記破砕ロータに臨んだ部分が回転する前記破砕ロータにより破砕される
ようにし、前記被破砕物を順次破砕するようにしたことを特徴とする破砕装置。
【請求項3】
破砕装置本体と、
この破砕装置本体に設けられ、挿入される中空円筒状の被破砕物を保持するための保
持室と、
この保持室から供給される前記被破砕物を受けて、破砕処理する破砕室と、
この破砕室に設けられ、互いに平行に配置された各回転軸に、それぞれが前記回転軸
間で対をなすように対向して軸支され、それぞれの外周に切欠部を設けると共に、前記被
破砕物を破砕する回転刃を設けた一対の破砕ロータとを備え、
前記保持室を、前記被破砕物が、前記一対の破砕ロータのそれぞれの回転軸に対して
略直交する方向であって、前記一対の各破砕ロータ間の導入側から挿入されるように配置
し、前記被破砕物を前記一対の破砕ロータにより破砕させるようにしたことを特徴とする
破砕装置。
【請求項4】
破砕ロータに設けた回転刃は、外周に被破砕物を所定長さに切断するための円弧状の切断刃と、この円弧状の切断刃の中途に設けられた切欠部と、前記切断刃により切断された前記被破砕物を破砕するための破砕刃とを備え、この破砕刃は前記切断刃に略直交し、前記切断刃の外周に沿って複数設けられ、隣接する前記破砕刃と前記破砕刃との間は切欠部であり、前記破砕刃の先端と前記切断刃の先端とは略同面であることを特徴とする請求
項1および請求項2記載の破砕装置。
【請求項5】
破砕ロータに設けた回転刃は、外周に被破砕物を所定長さに切断するための円弧状の切断刃と、この円弧状の切断刃の中途に設けられた切欠部と、前記切断刃により切断された前記被破砕物を破砕するための破砕刃とを備え、この破砕刃は前記切断刃に略直交し、前記切断刃の外周に沿って複数設けられ、隣接する前記破砕刃と前記破砕刃との間は切欠部であり、前記破砕刃の先端と前記切断刃の先端とは略同面であり、前記破砕刃と前記切断刃とは接離自在な別部材で形成されていることを特徴とする請求項1および請求項2記載の破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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