説明

破袋・除袋機

【課題】小型で処理能力が大きく、空き瓶など割れ易いものの処理が可能で、種々雑多な材料・形状のものを処理できる破・除袋を提供する。
【解決手段】廃棄物を包んだ袋を破り除去する装置において、投入された袋入り廃棄物Zの案内板12aに複数条のスリット15を設け、そのスリット15を設けた案内板の外側からスリット15を通り抜けて廃棄物の流れに逆らい、又は準じて回転し、かつ回転方向に付勢されながら逆方向に揺動可能の鉤形回転刃13を配設したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収集された廃棄物を包んでいるプラスチック袋を破りさるための破袋・除袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なゴミ袋はポリエチレンを材料とするもので、その中に入っているゴミは、種々雑多なものが詰め込まれており、そのままでは燃えるもの、燃えないもの、あるいは燃やすと有害ガスが発生するもの、爆発するもの、焼却炉を損傷させるもの、あるいはリサイクル可能なものなどが混ざっているため焼却する前にゴミの分別をする必要がある。
【0003】
本出願人は、ゴミ袋を破って除去する「破袋・除袋機」を特願2006−92276号で提案した。
【0004】
上記提案によって従来の破袋・除袋機に較べ多くの効果を得ることができたが、その後の需要家から、さらに厳しい条件下でも破・除袋できるものを提供するようにとの要求が出されるようになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで新たに出されてきた需要家からの要求を纏めると、より一層小型で処理能力を上げること、空き瓶を中心とする廃棄物の処理を可能にすること、いろいろな形状のものが混在しているものの処理を可能にすることがなどで、上記需要家の要求を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明は、<1>廃棄物を包んだ袋を破り除去する装置において、投入された袋入り廃棄物Zの案内板12aに複数条のスリット15を設け、そのスリット15を設けた案内板の外側からスリット15を通り抜けて廃棄物の流れに逆らい、又は準じて回転し、かつ回転方向に付勢されながら逆方向に揺動可能の鉤形回転刃13を配設してなるもので、<2>上記鉤形回転刃13に対向する位置に支軸23を設け、この支軸23にブラケット24を揺動可能に取付け、このブラケット24の揺動端に鉤形固定刃25を取付け、作用端に付勢手段26により、上記鉤形固定刃25を上記鉤形回転刃13に向けて付勢してなる。<3>上記鉤形回転刃13に対向する位置に支軸23bを設け、この支軸23bに、上記鉤形回転刃13に向けて延びる鉤形固定刃25を付設し、カウンターウェイト32によって上記鉤形固定刃25を鉤形回転刃13に向けて付勢してなる。<4>鉤形回転刃13を設けてない案内板12eを上流側と下流側に二分し、上記上流側の案内板12eにスリット15を設け、その案内板の外側から鉤形固定刃25を、上記スリット15を通り抜けるように配設し、その上流側の案内板の対向位置に廃棄物強制送り込み手段を設け、上記下流側の案内板を、その上端を軸にして揺動可能にしてなる。
【発明の効果】
【0007】
上記のごとく構成するこの発明によれば、破袋・除袋機が一層小型で処理能力を上げることが可能になり、空き瓶などの割れ易い廃棄物を包んだものの破・除袋処理がスムーズに行い得るようになり、種々雑多の形状のものが混在しているものの処理も可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次にこの発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1の部分切り欠き正面図で、前段のコンベヤ11の終端に本発明の破袋・除袋機10が据え付けられており、コンベヤ11から排出されたポリエチレン等の袋入り廃棄物Z(以下単に「袋入り廃棄物」という)は本発明の実施例1の破袋・除袋機に投入される。
【0010】
破袋・除袋機10は、ホッパ12の左側案内板12aの下端は鉤形回転刃13を取付けているドラム状枠体14に沿うように湾曲し、その部分に鉤形回転刃13の刃先が通り抜けるスリットが空けられており、ホッパ12の右側案内板12bは左側案内板12aに対向して配置されてホッパ12の開口部を形成している。
【0011】
鉤形回転刃13は、その基部が上記ドラム状枠体14に支持台17の軸18および規制子19でもって一定範囲内で揺動可能に軸支され、鉤形回転刃13の刃先は上記ホッパ12に空けたスリット15を通り抜けて回転する。上記ドラム状枠体14の中心軸20は軸受け21(図3の参照)に支承され公知の駆動源と伝達手段により回転する。
【0012】
投入された袋入り廃棄物Zの袋は、ホッパ12を通過する間に鉤形回転刃13によって引き裂かれ、上記スリット15を経てホッパ12の外に掻き出される。なお、ここでは鉤形回転刃は時計方向に曲げ、同方向に回転させているが、反時計方向に曲げ、同方向に回転させるようにすることもできる。
【実施例2】
【0013】
図2および図3は実施例2に係り、ビンなど割れ易い物を包んだ廃棄物の処理に適したもので、廃棄物は、図面の右上から左下に向けて傾斜した案内板12cをもつ通路を通過し、上記案内板12cには複数のスリット15が空けられ、案内板12cの下側に鉤形回転刃13が実施例1と同様にドラム状枠体14に取付けられて、上記スリット15を通り抜けて回転する。
【0014】
廃棄物の通路22の上部には支軸23によりブラケット24が支承され、そのブラケット24の揺動端には鉤形固定刃25が取付けられ、その作用端にはスプリング26が調整ネジ27を介して取付けられている。なお、ブラケット24には揺動範囲を規制するストッパ28が設けられている。
【0015】
鉤形回転刃13は、回転軸29に軸支されたドラム状枠体14に取付けられた支持台17にトーションスプリング30を介して揺動可能、かつ回転方向に付勢されて取付けられている。
【実施例3】
【0016】
図4は実施例3に係り、鉤形回転刃13の取付け状態は実施例1および2とほぼ同様であるから省略する。上記各実施例と相違するところは、鉤形固定刃25が鉤形回転刃13と対向する位置に支軸23bが設置され、この支軸23bに鉤形固定刃25を揺動可能に取付け、この鉤形固定刃25にほぼ90度位相してアーム31を延ばしカウンターウェイト32(スプリング、エアーシリンダに替えることができる)を設けて鉤形回転刃13に向けて付勢している。なお、アームに設けているパットPは図示しない振り下がり規制子に当接したときの衝撃を吸収するためのものである。
【実施例4】
【0017】
図5は実施例4に係り、種々雑多の材料・形状の廃棄物Zに対応できるようにしたもので、鉤形回転刃13の取付け状態は上記各実施例とほぼ同様で鉤形回転刃13が通り抜けるスリット15を空けた案内板12jの形状が同図に示すように変化している。
【0018】
図において右上から左下に向けて設けている傾斜案内板12eは、上側からほぼ2/3と下側1/3で二分され、上側傾斜案内板12e’の下方には支軸23cに鉤形固定刃25が揺動可能に支承され、支軸23cから延びるアーム31の揺動端に図示しないエアーシリンダまたはコイルスプリングを取付けて上方に(後述のピンチローラに向けて)付勢されるようになっている。
【0019】
下側1/3の傾斜案内板(下側傾斜案内板12e”)は、その上端で支軸23dに揺動可能に支承されている。なお、下側傾斜案内板12e”はカウンターウェイト32、あるいは図示しないトーションスプリングやエアーシリンダにより鉤形回転刃に向けて付勢されるようになっている。
【0020】
上側傾斜案内板12e’に対向する位置には、上端がフレームFに設けられた支軸23eに支承された揺動アーム33が揺動可能に取付けられ、この揺動アーム33には二個のピンチローラ34が取付けられ、各ピンチローラ34には従動スプロケット35が同軸に取付けられ、上記支軸23eには駆動スプロケット36が取付けられ、上記駆動・従動スプロケット35,36にチェン37が掛け渡されて上記ピンチローラ34が駆動される。
【0021】
上記揺動アーム33は支軸23eの軸方向に複数設置され、各揺動アーム33に亘ってカバー38が被せられ、ピンチローラ34の周縁はスリット15を通り抜けて廃棄物に接して廃棄物を送り出すようになっている。
【実施例5】
【0022】
図6乃至図9は実施例5に係り、鉤形回転刃13とそれを取付けるドラム状枠体14の部分は実施例3と同様であり、傾斜案内板12f,12gを上側と下側に二分するところも、さらに下側傾斜案内板12gをカウンターウェイト32で付勢し、上側傾斜案内板12fの下端に鉤形固定刃25を設け、上側傾斜案内板12fに対向してピンチローラ34を有する揺動アーム33を設け、この揺動アーム33にカバー38を設ける点も実施例4と同様であるから説明を省略し、相違するところのみ説明する。
【0023】
上側傾斜案内板12fの下端にはピンチローラ34bが鉤形固定刃25の位置に合わせて設けられ、上記揺動アーム33の下端にも鉤形固定刃25が支軸39を軸にして揺動可能に設けられ、後方に延びるアーム31の端に取付けられたスプリング26により鉤形固定刃25が付勢されている。また、上記揺動アーム33はエアーシリンダ40により制御された状態で付勢されている。
【0024】
図7は鉤形回転刃13を取付けたドラム状枠体14を示す部分正面図で、軸受け41に支軸23が支承され、この攴軸23にドラム状枠体14が取付けられ、このドラム状枠体14に支持台17を介して鉤形回転刃13が揺動可能に取付けられている。なお、支持台17と鉤形回転刃13との間にはトーションスプリング30が介在して回転方向に付勢されている。
【0025】
図8はカバー38を被せた揺動アーム33の部分の部分正面図で、支軸23hに揺動アーム33が取付けられ、この揺動アーム33に一定間隔をあけて二本の従動軸42を設け、この従動軸42にピンチローラ34が取付けられ、支軸23hには駆動スプロケット36が従動軸42には従動スプロケット35が嵌められ、その間にチェン37が掛け渡されてピンチローラ34が回転するようになっている。
【0026】
上記揺動アーム33にはカバー38が被せられ、そのカバー38にはスリット15を空け、そのスリット15を通り抜けてピンチローラ34の周縁が突き出すようになっている。また、並列したカバー38間には鉤形固定刃25が通り抜けてスプリング26により付勢されている。
【0027】
図9は上側傾斜案内板12fの下端に設けたピンチローラ34と鉤形固定刃25の部分平面図で、支軸23iにアーム31を取付け、そのアーム31に鉤形固定刃25を取付け、上記アーム31の後端にスプリング26を取付けて上記鉤形固定刃25を付勢し、上記鉤形固定刃25の間にピンチローラ34を配置している。
【0028】
図10は実施例6に係り廃棄物をより強制的に送り込むために、図6に示すピンチローラを歯付きスラットコンベヤ44に替えたもので他の部分は実施例5と同様である。
【0029】
上記実施例1乃至6において、処理対象廃棄物の状態によっては鉤形回転刃および鉤形固定刃の鉤形に曲がった内側を鋸刃状にすること効果的な場合があり、また、ドラム状枠体に巻き付き防止棒45を亘設することにより破袋後の破片が巻きつくのを防止することができる。
【0030】
なお、上記各実施例における巻き付き防止棒は、その亘設により有効胴回りが大きくなり破袋された破片の巻き付きが防止され、万が一巻き付いたときでもカッタあるいは鎌などにより簡単に切除することができる。
【0031】
以上説明したように実施例1では、極めて簡単な機構で従来と同等以上の処理能力を有する破袋・除袋機を提供できるようになり、実施例2では、ビンのように割れ易い廃棄物包んだものの破・除袋がスムーズに行い得るようになり、実施例3では、破・除袋効果が一層向上し、実施例4および5では種々雑多の材料・形状の廃棄物を強制的に送り込み強力に破・除袋することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したようにこの発明によれば従来技術に較べてより小型で高性能の破袋・除袋機が得られるようになり、さらに、種々雑多の材料・形状の廃棄物を処理が可能となって産業上より高い利用効果が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1の部分切り欠き正面図
【図2】実施例2の縦断面図
【図3】図2のA−A矢視図
【図4】実施例3の要部断面図
【図5】実施例4の要部断面図
【図6】実施例5の要部断面図
【図7】図6のドラム状枠体の部分図
【図8】図6のピンチローラの部分図
【図9】図6の傾斜案内板下端のピンチローラと鉤形固定刃の部分平面図
【図10】実施例6の要部断面図
【符号の説明】
【0034】
10 破袋・除袋機
11 コンベヤ
12 ホッパ
13 鉤形回転刃
14 ドラム状枠体
15 スリット
16 開口部(ホッパの)
17 支持台
18 軸
19 規制子
20 中心軸(ドラム形枠体)
21 軸受け
22 通路
23 支軸
24 ブラケット
25 鉤形固定刃
26 スプリング
27 調整ネジ
28 ストッパ
29 回転軸
30 トーションスプリング
31 アーム
32 カウンターウェイト
33 揺動アーム
34 ピンチローラ
35 従動スプロケット
36 駆動スプロケット
37 チェン
38 カバー
39 支軸
40 エアーシリンダ
41 軸受け
42 従動軸
43 駆動軸
44 スラットコンベヤ
45 巻き付き防止棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を包んだ袋を破り除去する装置において、投入された袋入り廃棄物(Z)の案内板(12a)に複数条のスリット(15)を設け、そのスリット(15)を設けた案内板の外側からスリット(15)を通り抜けて廃棄物の流れに逆らい、又は準じて回転し、かつ回転方向に付勢されながら逆方向に揺動可能の鉤形回転刃(13)を配設したことを特徴とする破袋・除袋機
【請求項2】
上記鉤形回転刃(13)に対向する位置に支軸(23)を設け、この支軸(23)にブラケット(24)を揺動可能に取付け、このブラケット(24)の揺動端に鉤形固定刃(25)を取付け、作用端に付勢手段(26)により、上記鉤形固定刃(25)を上記鉤形回転刃(13)に向けて付勢してなることを特徴とする請求項1に記載の破袋・除袋機
【請求項3】
上記鉤形回転刃(13)に対向する位置に支軸(23b)を設け、この支軸(23b)に、上記鉤形回転刃(13)に向けて延びる鉤形固定刃(25)を付設し、カウンターウェイト(32)によって上記鉤形固定刃(25)を鉤形回転刃(13)に向けて付勢してなることを特徴とする請求項1に記載の破袋・除袋機。
【請求項4】
鉤形回転刃(13)を設けてない案内板(12e)を上流側と下流側に二分し、上記上流側の案内板(12e)にスリット(15)を設け、その案内板の外側から鉤形固定刃(25)を、上記スリット(15)を通り抜けるように配設し、その上流側の案内板の対向位置に廃棄物強制送り込み手段を設け、上記下流側の案内板を、その上端を軸にして揺動可能にしてなることを特徴とする請求項1に記載の破袋・除袋機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−43934(P2008−43934A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249994(P2006−249994)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(394006174)テクニカマシナリー株式会社 (8)
【Fターム(参考)】