説明

硝酸アニオンの二酸化炭素/エポキシド共重合触媒システム

【課題】本発明は、硝酸アニオンの二酸化炭素/エポキシド共重合触媒システムに関する。
【解決手段】本発明は、硝酸アニオンの第四級アンモニウム塩を3個以上含むサレン(Salen)型配位子;前記配位子から製造された3価の金属錯体化合物及びその製造方法;これを触媒として用いてエポキシド化合物と二酸化炭素とを共重合してポリカーボネートを製造する方法;及び前記共重合反応の後、共重合体から触媒を分離及び回収する方法に関する。
本発明によると、前記触媒がエポキシド化合物と二酸化炭素を共重合することにおいて、従来触媒に比べて触媒の製造工程が単純であり、触媒の製造及び回収に必要なコストが低く、また活性が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硝酸アニオンの第四級アンモニウム塩を3個以上含むサレン(Salen)型配位子;前記配位子から製造された3価の金属錯体化合物及びその製造方法;これを触媒として用いてエポキシド化合物と二酸化炭素とを共重合してポリカーボネートを製造する方法;及び前記共重合反応の後、共重合体から触媒を分離及び回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ポリカーボネートは、生分解が容易な高分子であって、例えば、包装材またはコーティング材として有用な材料である。ポリカーボネートをエポキシド化合物と二酸化炭素から製造する方法は、有毒化合物であるホスゲンを使用しないという点と、二酸化炭素が安く得られるという点において、環境に非常にやさしい。
【0003】
1960年代から多くの発明者がエポキシド化合物と二酸化炭素からポリカーボネートを製造するために様々な形態の触媒を開発している。本発明者は、第四級アンモニウム塩を含むサレン[Salen[HSalen=N,N´,−bis(3,5−dialkylsalicylidene)−1,2−ethylenediamine]−型配位子から合成された高活性、高選択性の触媒を開示した[Bun−Yeoul Lee、韓国特許登録10−0853358(登録日:2008.08.13);Bun−Yeoul Lee、Sujith S、Eun−Kyung Noh、Jae−Ki Min、韓国特許出願10−2008−0015454(出願日:2008.02.20);Bun−Yeoul Lee、Sujith S、Eun−Kyung Noh、Jae−Ki Min、PCT/KR2008/002453(出願日:2008.04.30);Eun−Kyung Noh、Sung−Jae Na、Sujith S、Sang−Wook Kim、and Bun−Yeoul Lee* J.Am.Chem.Soc.2007、129、8082−8083(2007.07.04);Sujith S、Jae−Ki Min、Jong−Eon Seong、Sung−Jea Na、and Bun−Yeoul Lee、Angew.Chem.Int.Ed.,2008、47、7306−7309(2008.09.08)]。本発明者が開示した触媒は、高活性、高選択性を示し、分子量の大きい共重合体を製造することができ、高温でも重合が可能であるため商業工程に適用することができる。また、第四級アンモニウム塩を配位子に含んでおり、二酸化炭素/エポキシド共重合反応の後、共重合体から触媒を容易に分離して再使用することができるという長所がある。
【0004】
また、本発明者は、前記特許の触媒群のうち他のものに比べて特に高活性と高選択性を示す触媒の構造を鋭意分析し、その構造が、サレン(Salen)−配位子の窒素原子は配位せず、酸素原子のみが金属に配位された、公知されていない独特の構造を有していることを見い出した(下記構造1参照、Sung−Jae Na、Sujith S、Anish Cyriac、Bo−Eun Kim、Jina Yoo、Youn K.Kang、Su−Jung Han、Chongmok Lee、and Bun−Yeoul Lee* 「Elucidation of the Structure of A Highly Active Catalytic System for CO/Epoxide Copolymerization:A Salen−Cobaltate Complex of An Unusual Binding Mode」Inorg.Chem.2009、48、10455−10465)。

【0005】
また、前記化合物の配位子を容易に合成することができる方法が開発された(Min,J.;Seong,J.E.;Na,S.J.;Cyriac,A.;Lee,B.Y.Bull.Korean Chem.Soc.2009、30、745−748)。しかし、前記構造1の高活性触媒の商業工程への投入を考慮したところ、以下の問題があることが判明した。
【0006】
1)前記構造1の触媒が含んでいる2,4−ジニトロフェノレートまたは2,4−ジニトロフェノールは、爆発性を有する物質で知られている。特に、水分がない場合、爆発性をさらに強めると知られている(K.R.Desai、B.G.Naik、Production of Organic Intermediates(Phamaceutical and Dyestuff)、Sarup & Sons、New Delhi、2005;p5)。前記構造1の触媒は、水分のない条件下で製造されて保管されなければならない。また、大量に製造して連続して使用するには適していない。
【0007】
2)前記構造1の触媒を用いて二酸化炭素/エポキシド共重合を行うと、高分子鎖が前記構造1の触媒が含む2,4−ジニトロフェノレートまたは2,4−ジニトロフェノールから成長する。即ち、ほとんどの高分子鎖の末端に、2,4−ジニトロフェノール基がついている。即ち、触媒回収段階で2,4−ジニトロフェノレートと2,4−ジニトロフェノールは回収されない。全ての高分子鎖の末端に2,4−ジニトロフェノール基をつけることは、樹脂のコストを高める原因となる。また、2,4−ジニトロフェノレートアニオンは、かなり黄色を帯びるため、触媒を除去した後にも樹脂が淡い黄色を帯びる原因となり得る。
【0008】
3)前記構造1の触媒の製造コストが高い。下記にその合成法を示した(Bull.Korean Chem.Soc.2009、30、745−748)。前記方法は、以下のような点のため、大量に生産するには適していない。

【0009】
i)第一の段階で用いるAgBFは、非常に高価の化合物であって、触媒の製造コストが高い主な原因であり、大量に製造または購入するのが容易でない。
【0010】
ii)第二の段階は、酸素がない雰囲気下で反応を進めなければならない。即ち、使用する溶媒であるエタノールから酸素を完全に除去しなければならない。エタノールから酸素を完全に除去することは容易でない。
【0011】
iii)第三の段階で用いるナトリウム2,4−ジニトロフェノレートは、湿気のないものを使用しなければならず、湿気のないナトリウム2,4−ジニトロフェノレートを製造するためには、NaHと無水THF溶媒を使用しなければならない。しかし、NaHは高価で、かつ発火性が大きいため、大量に取り扱うには負担が大きい。また、THF溶媒の湿気を除去することもまた大量生産において大きな負担となる。
【0012】
4)前記構造1の触媒を回収する際にNaBFを用いるが、NaBFは高価の化合物であるため、経済的ではない。
【0013】
また、硝酸アニオンを有する類似形態の化合物が中国特許に開示されているが、RとRに第四級アンモニウム塩を含む2個の化合物と、R、R、R、Rにアンモニウム塩を含む4個の化合物のみが限定的に提示されており、本発明が提供する錯化合物の範囲から外れている(CN100494248C(2009.06.03))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国特許登録10−0853358
【特許文献2】韓国特許出願10−2008−0015454
【特許文献3】PCT/KR2008/002453
【特許文献4】CN100494248C
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Eun−Kyung Noh、Sung−Jae Na、Sujith S、Sang−Wook Kim、and Bun−Yeoul Lee* J.Am.Chem.Soc.2007、129、8082−8083
【非特許文献2】Sujith S、Jae−Ki Min、Jong−Eon Seong、Sung−Jea Na、and Bun−Yeoul Lee、Angew.Chem.Int.Ed.,2008、47、7306−7309
【非特許文献3】Sung−Jae Na、Sujith S、Anish Cyriac、Bo−Eun Kim、Jina Yoo、Youn K.Kang、Su−Jung Han、Chongmok Lee、and Bun−Yeoul Lee* 「Elucidation of the Structure of A Highly Active Catalytic System for CO2/Epoxide Copolymerization:A Salen−Cobaltate Complex of An Unusual Binding Mode」Inorg.Chem.2009、48、10455−10465
【非特許文献4】Min,J.;Seong,J.E.;Na,S.J.;Cyriac,A.;Lee,B.Y.Bull.Korean Chem.Soc.2009、30、745−748
【非特許文献5】K.R.Desai、B.G.Naik、Production of Organic Intermediates(Phamaceutical and Dyestuff)、Sarup & Sons、New Delhi、2005;p5
【非特許文献6】Bull.Korean Chem.Soc.2009、30、745−748
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記のような問題点を解決するために鋭意研究を行ったところ、本発明者は、2,4−ジニトロフェノレートの代わりに硝酸アニオンと酢酸アニオンを導入することにより、前記構造1の触媒が有している1)と2)の問題を解決することができることを見い出した。また、硝酸アニオンと酢酸アニオンが導入された触媒を合成する際に、AgBFではなく、AgNOまたはAg(OAc)を用いることにより、コストが相当下がり、大量に製造及び購入することができる。さらに、酸素のないエタノールを使用する必要がなく、ナトリウム2,4−ジニトロフェノレートを使用しないため、NaH及び無水THFが不要であり、前記構造1の触媒が有している3)の問題を解決することができる。また、触媒回収段階で従来用いられた非反応性塩であるNaBFの代わりにコストが相対的にかなり低い硝酸または硝酸塩を使用することにより、前記構造1の触媒が有している4)の問題を解決することができる。
【0017】
従って、本発明の第一の目的は、硝酸アニオンの第四級アンモニウム塩を3個以上含むサレン(Salen)型配位子、前記配位子から製造された3価の金属錯体化合物及びその製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の第二の目的は、前記錯化合物を触媒として用いてエポキシド化合物と二酸化炭素とを共重合してポリカーボネートを製造する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の第三の目的は、前記錯化合物を触媒として用いて共重合体を製造した後、得られた共重合体と触媒の混合溶液から触媒を分離及び回収する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的を達成するために、下記化学式1の構造の化合物を提供する。
【0021】
[化学式1]

【0022】
[前記化学式1中、
Mは、3価コバルトまたは3価クロムであり、
Aは、酸素または硫黄原子であり、
Qは、二つの窒素原子を連結するジラジカルであり、
及びRは、互いに独立して、第一級(C1−C20)アルキルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R〜R10のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
前記R〜R10のうち少なくとも3個以上は、下記化学式a、化学式b及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり、


Zは、窒素またはリンであり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
31、R32及びR33は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
X´は、酸素、硫黄またはN−R(ここで、Rは(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R〜R10が含むプロトングループの数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンは、Mに配位してもよい。]
【0023】
本発明は、硝酸アニオンを必ず含み、一部酢酸アニオンで構成された化合物を提供するものである。本発明者によって公知された韓国特許登録10−0853358(登録日:2008.08.13)では、硝酸アニオンは開示されておらず、アニオンがハロゲン原子、ニトロ基で置換または非置換の炭素数1〜20のアリールオキシ、またはハロゲンで置換または非置換の炭素数1〜20のカルボキシルアニオンに限定されており、本発明とは相違する。本発明は、2,4−ジニトロフェノレートの代わりに硝酸アニオンと酢酸アニオンを導入することにより、爆発性がなく、高分子鎖末端基にニトロ基または酢酸基がついており、大量生産の場合、触媒コストが低いという長所がある。
【0024】
前記背景技術の構造1の触媒は、窒素が配位せず第四級アンモニウム塩のアニオンが配位されてコバルトが負の形式電荷を有するオクタヘドラル構造を有しており、高活性である(Inorg.Chem.2009、48、10455−10465)。
【0025】
本発明の硝酸アニオンは、配位力が弱くてコバルトに強く配位することができないため、構造1の触媒のような窒素が配位せず、第四級アンモニウム塩のアニオンが配位された構造を容易に形成できない。しかし、重合反応が開始すると、硝酸アニオンは、単量体と反応してカーボネートアニオンまたはアルコキシアニオンになる。カーボネートアニオンまたはアルコキシアニオンは、配位力が強いため前記構造1の触媒のような窒素が配位せず、第四級アンモニウム塩のアニオンが配位された構造を形成することができる。重合反応開始の後、高活性を示す構造1の触媒のような構造を有するためには、オニウム塩の個数が3個以上でなければならず、また、RとRの立体障害が大きくない第一級アルキルでなければならない。RとRが第三級アルキルまたは第二級アルキルである場合、構造1の触媒のような構造が形成されず、重合活性が低くなる。また、オニウム塩の個数が2個以下である場合にも、構造1の触媒のような構造が形成されず、重合活性が低い(Inorg.Chem.2009、48、10455−10465)。
【0026】
好ましくは、前記化学式1中、Mは、3価コバルトであり、Aは、酸素であり、Qは、(C6〜C30)アリーレン、(C1〜C20)アルキレン、(C2〜C20)アルケニレン、(C2〜C20)アルキニレンまたは(C3〜C20)シクルロアルキレンであり、より好ましくは、Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、RとRは、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、R〜R10は、互いに独立して、水素または−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、Yは、CまたはSiであり、R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R44、R45及びR46のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、mは1〜3の整数であり、nは1〜20の整数であり、但し、mが1である場合、R〜R10のうち少なくとも3個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、mが2である場合、R〜R10のうち少なくとも2個以上は−[YR41-−m{(CR4243444546}]であり、mが3である場合、R〜R10のうち1個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]である。
【0027】
より好ましくは、前記化学式1の錯化合物は、下記化学式2の錯化合物であってもよい。
【0028】
[化学式2]

【0029】
[前記化学式2中、
51及びR52は、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、
53及びR54は、互いに独立して、水素またはメチルであり、
Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、
nは、1〜20の整数であり、
硝酸アニオンと酢酸アニオンは、コバルトに配位してもよい。]
【0030】
より好ましくは、前記化学式2中、R51、R52、R53及びR54がメチルであり、nが3であり、Qはトランス−1,2−シクロヘキシレンである。
【0031】
本発明の他の様態として、前記化学式1の錯化合物を触媒として利用し、エポキシド化合物及び二酸化炭素を共重合する段階を含むポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0032】
前記エポキシド化合物は、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C2−C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシ、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシまたは(C1−C20)アルキルで置換または非置換の(C8−C20)スチレンオキシドからなる群から選択される一つ以上である。前記アリールオキシは、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシなどが挙げられる。前記アルキルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ及びアルキルは、ハロゲン元素またはアルコキシ基から選択される置換基を有してもよい。
【0033】
前記エポキシド化合物は、具体的に、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシド−7−オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、α−ピネンオキシド、2,3−エポキシドノルボルネン、リモネンオキシド、ディルドリン、2,3−エポキシドプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、クロロスチルベンオキシド、ジクロロスチルベンオキシド、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル−メチルフェニルエーテル、クロロフェニル−2,3−エポキシドプロピルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテル、ビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテルなどがある。
【0034】
エポキシド化合物は、有機溶媒を反応媒質にして重合に用いられてもよく、前記溶媒としては、ペンタン、オクタン、デカン及びシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどのような芳香族炭化水素、クロロメタン、メチレンクロライド、クロロホルム、カーボンテトラクロライド、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクルロエタン、エチルクロライド、トリクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、クロロベンゼン及びブロモベンゼンなどのようなハロゲン化炭化水素のうち1個を単独で用いるか、または2個以上を組み合わせて用いてもよい。より好ましくは、単量体自体を溶媒として用いるバルク重合を行ってもよい。
【0035】
エポキシド化合物に対する触媒のモル比、即ちエポキシド化合物:触媒モル比は、1,000〜1,000,000で使用が可能であり、好ましくは、50,000〜200,000で使用が可能である。この際、前記触媒の転換速度、即ち、コバルト1モルに対して消耗する時間当たりのエポキシド化合物のモル数は、500ターンオーバ(turnover)/hr以上を具現することができる。前記共重合段階における二酸化炭素の圧力は、常圧〜100気圧が可能であり、好ましくは、5気圧〜30気圧が好適である。前記共重合段階における重合温度は、20℃〜120℃が可能であり、好ましくは50℃〜90℃が好適である。
【0036】
ポリカーボネートを重合する方法としては、回分式重合法、半分回分式重合法、または連続式重合法が挙げられる。回分式または半分回分式重合法を用いる場合、反応時間は1〜24時間、好ましくは1.5〜4時間にしてもよい。連続式重合法を用いる場合の触媒の平均滞留時間も同様に1.5〜4時間にすることが好ましい。
【0037】
本発明によると、数平均分子量(M)が5,000〜1,000,000の値を有し、分子量分布(即ち、M/M)が1.05〜4.0の値を有するポリカーボネートを製造することができる。ここで、Mは、単一分子量分布のポリスチレンを標準物質に補正してGPCで測定した数平均分子量を意味し、分子量分布(M/M)値は、同一の方法により、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との間の割合である。
【0038】
製造されたポリカーボネート重合体は、80%以上のカーボネート結合で構成されており、時々95%以上のカーボネート結合で構成される。本発明によって製造されるポリカーボネートは、分解が容易であり燃焼の際に残渣とススのない高分子であって、例えば、包装材、断熱材、またはコーティング材として有用な材料である。
【0039】
本発明のまた他の様態として、前記化学式1の錯化合物を含む下記化学式3の錯化合物を触媒として用いて、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C2−C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシド;及び、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシ、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシまたは(C1−C20)アルキルで置換または非置換の(C8−C20)スチレンオキシドからなる群から選択される一つ以上のエポキシド化合物及び二酸化炭素を共重合してポリカーボネートを製造する段階と、前記製造された共重合体と触媒が溶解されている溶液をこの溶液に溶解されない固体状の無機物質、ポリマー物質またはその混合物と接触して前記固体状の無機物質またはポリマー物質と触媒の複合体を形成することにより、共重合体と触媒とを分離する段階と、を含むポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0040】
[化学式3]

【0041】
[前記式中、
Mは、3価コバルトまたは3価クロムであり、
Aは、酸素または硫黄であり、
Qは、二つの窒素原子を連結するジラジカルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R〜R10のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
前記R〜R10のうち少なくとも1個以上は、下記化学式a、化学式b及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり、


Zは、窒素またはリンであり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
31、R32及びR33は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
X´は、酸素、硫黄またはN−R(ここで、Rは(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R〜R10が含むプロトングループの数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンはMに配位してもよい。]
【0042】
本発明が提供する触媒除去方法のメカニズムは、本発明者によって既に公開された方法と同一である(韓国特許出願10−2008−0015454;Angew.Chem.Int.Ed.,2008、47、7306−7309.(2008.09.08))。しかし、既に公開された特許では、アニオンが硝酸である化合物が含まれていない。硝酸アニオンを有する類似形態の化合物を用いた二酸化炭素/エポキシド共重合が中国特許に開示されているが、触媒除去方法に関しては全く言及されていない(CN 100494248C(2009.06.03)。本発明は、化学式1を用いて製造された共重合体及び前記共重合体と触媒とを分離する方法だけでなく、RとRが必ず第一級アルキルではなく、且つオニウム塩の個数が2個以下であるため、重合活性が多少低下しうる、より広い範囲の前記化学式3の化合物を用いて得られた重合体、及び前記重合体と触媒とを分離する方法を提供する。
【0043】
前記固体状の無機物質は、表面改質されたり表面改質されていないシリカまたはアルミナであり、ポリマー物質がアルコキシアニオンによって脱プロトン反応が生じ得る作用基を有しているポリマー物質であってもよく、前記アルコキシアニオンによって脱プロトン反応が生じ得る作用基は、スルホン酸基、カルボン酸基、フェノール基またはアルコール基であってもよい。
【0044】
アルコキシアニオンまたはカーボネートアニオンにプロトンを提供することができるブレンステッド酸点を含む珪素またはアルミニウムを主成分とする固体状の無機物質としては、具体的に、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート(ゼオライト)、アルミノホスフェート、チタンシリケート、クレイなどが挙げられ、表面改質されたり表面改質されていないシリカまたはアルミナを用いることがより好ましい。
【0045】
前記ポリマー物質は、数平均分子量が500〜10,000,000に架橋されたものが好ましいが、架橋されていなくても共重合体と触媒を含む溶液に溶解されなければ可能である。「アルコキシアニオンによって脱プロトン反応が生じ得る作用基を有しているポリマー物質」は、より具体的には、高分子鎖中に下記化学式A〜Eのようなユニットを含む共重合体またはこのようなユニットのみで構成された単独重合体(homopolymer)を含む。このような支持体として作用するポリマー物質は、前記溶液に溶解されない限り架橋されていないものも可能であるが、溶解度を低下させるために適当に架橋されたものが好ましい。

【0046】
本発明のまた他の様態として、前記化学式3の錯化合物を触媒として用いて、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C2−C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシド;及び、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシ、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシまたは(C1−C20)アルキルで置換または非置換の(C8−C20)スチレンオキシドからなる群から選択される一つ以上のエポキシド化合物及び二酸化炭素を共重合してポリカーボネートを製造する段階と、前記製造された共重合体と触媒が溶解されている溶液をこの溶液に溶解されない固体状の無機物質、ポリマー物質またはその混合物と接触して前記固体状の無機物質またはポリマー物質と触媒の複合体を形成することにより、共重合体と触媒とを分離する段階と、前記固体状の無機物質またはポリマー物質と触媒の複合体を溶解できない媒質中で、前記固体状の無機物質またはポリマー物質と触媒の複合体を硝酸または硝酸塩で処理して、触媒または触媒の前駆体が前記媒質から溶解されるようにすることにより、触媒及び触媒前駆体を分離回収する段階と、を含む共重合体と触媒が溶解されている溶液から触媒及び触媒前駆体を分離回収する方法を提供する。前記媒質として最も好ましいものは、エタノールやメタノールである。
【0047】
既に公開された触媒の回収方法では、非反応性塩であるNaBFを用いているが(韓国特許出願10−2008−0015454;Angew.Chem.Int.Ed.,2008、47、7306−7309.(2008.09.08))、本発明ではコストが相対的にかなり低い硝酸または硝酸塩を用いた。
【0048】
本発明のまた他の様態として、下記化学式4の化合物を化学式4が含むハロゲンアニオン当量の硝酸銀(AgNO)または硝酸銀(AgNO)と酢酸銀(AgOC(O)CH)との混合物と反応させて化学式5の化合物を製造する段階と、酢酸コバルト(II)または酢酸クロム(II)と化学式5の化合物を酸素存在下で反応させて化学式1の錯化合物を製造する段階と、を含む下記化学式1の錯化合物を製造する方法を提供する。
【0049】
[化学式1]

【0050】
[化学式4]

【0051】
[化学式5]

【0052】
[前記化学式1、4及び5中、
Mは、3価コバルトまたは3価クロムであり、
Aは、酸素または硫黄原子であり、
Qは、二つの窒素原子を連結するジラジカルであり、
は、ハロゲンアニオンであり、
及びRは、互いに独立して、第一級(C1−C20)アルキルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R〜R10のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
前記R〜R10のうち少なくとも3個以上は、下記化学式a、化学式b及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり、


Zは、窒素またはリンであり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
31、R32及びR33は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
X´は、酸素、硫黄またはN−R(ここでRは(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R〜R10が含むプロトングループの数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンはMに配位してもよい。]
【0053】
本発明の触媒合成の際に使用されるAgNOまたはAg(OAc)は、AgBFに比べてコストが相当低く、大量に製造及び購入することができ、酸素のないエタノールを用いる段階がなく、ナトリウム2,4−ジニトロフェノレートを使用しないため、NaH及び無水THFが不要である。
【0054】
好ましくは、前記化学式1、化学式4及び化学式5中、前記Mは、3価コバルトであり、Aは、酸素であり、Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、RとRは、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、R〜R10は、互いに独立して、水素または−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、Yは、CまたはSiであり、R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R44、R45及びR46のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、mは、1〜3の整数であり、nは、1〜20の整数であり、但し、mが1である場合、R〜R10のうち少なくとも3個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、mが2である場合、R〜R10のうち少なくとも2個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、mが3である場合、R〜R10のうち1個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]である。
【0055】
より好ましくは、下記化学式6の化合物を4当量の硝酸銀(AgNO)と反応させて化学式7の化合物を製造する段階と、酢酸コバルト(II)と化学式7の化合物を酸素存在下で反応させて下記化学式2の化合物を製造する段階と、を含む製造方法を提供する。
【0056】
[化学式2]

【0057】
[化学式6]

【0058】
[化学式7]

【0059】
[前記化学式2、6及び7中、
は、ハロゲンアニオンであり、
51及びR52は、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、
53及びR54は、互いに独立して、水素またはメチルであり、
Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、
nは、1〜20の整数であり、
硝酸アニオンと酢酸アニオンは、コバルトに配位してもよい。]
【0060】
前記化学式2、化学式6及び化学式7中、R51、R52、R53及びR54がメチルであり、nが3であり、Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレンであることがより好ましい。
【0061】
前記化学式6及び化学式7の化合物の合成は、本発明者によって公知された論文及び特許に公知されている(韓国特許登録10−0853358(登録日:2008.08.13);Angew.Chem.Int.Ed.,2008、47、7306−7309;Bull.Korean Chem.Soc.2009、30、745−748)。
【発明の効果】
【0062】
従来の合成法は、爆発性を有する2,4−ジニトロフェノレートまたは2,4−ジニトロフェノールを使用しており、これを含んでいる触媒を用いて二酸化炭素/エポキシド共重合の際に、高分子鎖末端基に2,4−ジニトロフェノール基がついており、触媒回収段階で2,4−ジニトロフェノレートと2,4−ジニトロフェノールは回収されない。そのため、樹脂のコストが高くなり、樹脂の色が変化する可能性がある。また、触媒を製造する際に高価のAgBFを使用し、酸素のないエタノールと無水THFなどの溶媒を用いており、触媒製造が複雑で、発火性が強いNaHを使用する。さらに、触媒回収の際に高価のNaBFを用いており、経済的ではない。
【0063】
本発明による新規構造の錯化合物の製造方法は、1)爆発性を有する2,4−ジニトロフェノレートの代わりに硝酸アニオンと酢酸アニオンを用いて、触媒を大量に生産するのに負担がなく、2)高分子鎖末端基にニトロ基または酢酸基がついており、大量生産の際に触媒コストが低く、3)触媒を製造する際に高価のAgBFを使用せず、コストが低く大量に生産及び購入が可能なAgNOを用いるため触媒の製造コストが低い。また、酸素のないエタノールと無水THFなどの溶媒を使用しないため触媒製造が簡単であり、発火性が強いNaHを使用しない。さらに、4)触媒回収のために高価のNaBFの代わりに硝酸または硝酸塩を用いることができるため、経済的である。
【0064】
また、本発明による錯化合物を触媒として用いて、二酸化炭素/エポキシド共重合反応の後、使用された触媒を分離回収して再使用することにより、触媒のコストを低下して、共重合体の製造において経済性を具現することができる。さらに、共重合体から金属化合物である触媒を除去することにより、純度が高い共重合体を製造できるようにして、共重合体の利用範囲を拡大することができるだけでなく、共重合体の耐久性及び加工性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0065】
下記の実施例及び比較例は、本発明の効果を具体的に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0066】
[実施例1]触媒(化合物C)の合成
本発明の簡単で経済的な触媒合成方法を以下に示した。化合物Aは、公知の方法により合成した(Bull.Korean Chem.Soc.2009、30、745−748)。

【0067】
化合物Bの合成
化合物A(100mg、0.054mmol)とAgNO(37.3mg、0.219mmol)をエタノール(3mL)に溶解した後、一晩中攪拌した。セライトを用いて濾過して生成されたAgIを除去した。溶媒を真空減圧して除去し、褐色の固体粉末状の化合物Bを得た(0.80g、94%)。
【0068】
H NMR(CDCl):δ13.51(s、2H、OH)、8.48(s、2H、CH=N)、7.15(s、4H、m−H)、3.44(br、2H、cyclohexyl−CH)、3.19(br、32H、NCH)、2.24(s、6H、CH)、1.57−1.52(br、4H、cyclohexyl−CH)、1.43−1.26(br、74H),0.90−070.(br、36H、CH)ppm。
【0069】
化合物Cの合成
化合物B(95mg、0.061mmol)とCo(OAc)(10.7mg、0.061mmol)をフラスコに入れてメチレンクロライド3mLを加えて溶解した。常温で3時間酸素気体下で攪拌した後、減圧して溶媒を除去し、褐色の固体粉末状の化合物Cを得た(85mg、83%)。
【0070】
H NMR(DMSO−d6、38℃):major signal set、δ 7.83(s、2H、CH=N)7.27(br s、2H、m−H)、7.22、7.19(brs、2H、m−H)、3.88(br、1H、cyclohexyl−CH)、3.55(br、1H、cyclohexyl−CH)、3.30−2.90(br、32H、NCH)、2.58(s、3H、CH)、2.55(s、3H、CH)、2.10−1.80(br、4H、cyclohexyl−CH)、1.70−1.15(br m、74H)、1.0−0.80(br、36H、CH)ppm;major signal set、δ7.65(s、2H、CH=N)7.45(s、2H、m−H)、7.35(s、2H、m−H)、3.60(br、2H、cyclohexyl−CH)、3.30−2.90(br、32H、NCH)、2.66(s、6H、CH)、2.10−1.80(br、4H、cyclohexyl−CH)、1.70−1.15(br m、74H)、1.0−0.80(br、36H、CH)ppm。
【0071】
H NMR(CDCl):δ7.65(br、2H、CH=N)7.34(br、2H、m−H)、7.16(br、2H、m−H)、3.40−2.00(br、32H、NCH)、2.93(br s、6H、CH)、2.10−1.80(br m、4H、cyclohexyl−CH)、1.70−1.15(br m、74H)、1.1−0.80(br、36H、CH)ppm。
【0072】
DMSO−dに溶解して得たH NMRスペクトルで2セットのシグナルが6:4の割合で観察された。メジャーシグナルセットは、Salen−ユニットの二つのフェノキシ配位子が相違していることを示しており、マイナーシグナルセットは、二つのフェノキシ配位子が同一であることを示している。これは、化合物CがDMSO溶媒で以下に記述する平衡状態にあると解釈することができる。Salen−ユニットの二つのフェノキシ配位子のオルト位にメチルのように立体障害が小さい置換体がある場合、DMSOのように極性溶媒でイミンの窒素が配位しない構造を有することが認められた(Inorg.Chem.2009、48、10455−10465)。非極性溶媒であるメチレンクロライドでは全般的に広範囲な1セットのシグナルが観察された。NO-アニオンが配位力が弱いことを考慮したとき、下記に提示した構造のようにイミンの窒素が配位し、二軸の配位面に硝酸アニオンと酢酸アニオンが交換しながら配位/脱配位する構造を有すると予想される。



【0073】
[実施例2]二酸化炭素/プロピレンオキシド共重合
50mLのbomb reactorに前記実施例1で製造された化合物C(3.0mg、単量体/触媒=100,000)とプロピレンオキシド(10.0g、172mmol)を入れて反応器を組立てた。反応器に15barの二酸化炭素ガス圧力を加えた後、予め温度が73℃に調整されたオイルバスに反応器を投入し攪拌を始めた。35分後、反応器内部の温度が70℃に達し、この時点から反応器の圧力が減少することが観察された。反応器の内部温度が70℃に逹して反応が始まった時点から1時間重合反応を行った。反応器を冷却槽に浸して冷却した後、二酸化炭素ガスを除去して反応を終了した。淡い黄色の粘液性の溶液が得られた。
【0074】
[実施例3]触媒分離
実施例2で製造された粘液性の溶液にプロピレンオキシド10gをさらに投入して溶液の粘度を低めた後、シリカゲル(400mg、メルク社製、0.040−0.063mm粒径(230−400メッシュ)カラムを通過させて無色の溶液を得た。単量体を真空減圧して除去し、2.4gの無色固体を得た。これはTON(Turnover Number)が15000であり、TOF(Turnover Frequency)が15000h−1である活性度に該当する。得られた高分子のGPCを用いて測定された分子量(M)は217000であり、分子量分布(M/M)は1.34であった。H NMRで分析されたポリマー形成に対する選択性は99%以上であった。
【0075】
[実施例4]触媒前駆体の回収
前記実施例3で得られた触媒がかかっているシリカカラムに、NaNOが飽和されたメタノール溶液を展開液として用いて赤褐色のコバルト化合物を抽出した。黄色の化合物を全て抽出することができ、この際、シリカカラムの色はシリカ固有の白色になった。前記抽出液からメタノールを減圧蒸溜して除去した。ジクロロエタン(3mL)を入れて濾過して過剰量のNaNOを除去した。前記濾過液に2NaNO水溶液1mLを入れて85℃で一晩中攪拌した。水溶液階を除去し、水1mLで有機層を洗浄した。有機層の湿気を無水MgSOで除去し、溶媒を減圧して除去した。エタノールとメチレンクロライド10:1混合溶媒でシリカゲルカラムクロマトグラフィー法により下記のアルデヒド化合物を得た。回収率は90%であった。このアルデヒド化合物から触媒を容易に製造することができる。

【産業上の利用可能性】
【0076】
従来の合成法は、爆発性を有する2,4−ジニトロフェノレートまたは2,4−ジニトロフェノールを使用しており、これを含んでいる触媒を用いて二酸化炭素/エポキシド共重合の際に、高分子鎖末端基に2,4−ジニトロフェノール基がついており、触媒回収段階で2,4−ジニトロフェノレートと2,4−ジニトロフェノールは回収されない。そのため、樹脂のコストが高くなり、樹脂の色が変化する可能性がある。また、触媒を製造する際に高価のAgBFを使用し、酸素のないエタノールと無水THFなどの溶媒を用いており、触媒製造が複雑で、発火性が強いNaHを使用する。さらに、触媒回収の際に高価のNaBFを用いており、経済的ではない。
【0077】
本発明による新規構造の錯化合物の製造方法は、1)爆発性を有する2,4−ジニトロフェノレートの代わりに硝酸アニオンと酢酸アニオンを用いて、触媒を大量に生産するのに負担がなく、2)高分子鎖末端基にニトロ基または酢酸基がついており、大量生産の際に触媒コストが低く、3)触媒を製造する際に高価のAgBFを使用せず、コストが低く大量に生産及び購入が可能なAgNOを用いるため触媒の製造コストが低い。また、酸素のないエタノールと無水THFなどの溶媒を使用しないため触媒製造が簡単であり、発火性が強いNaHを使用しない。さらに、4)触媒回収のために高価のNaBFの代わりに硝酸または硝酸塩を用いることができるため、経済的である。
【0078】
また、本発明による錯化合物を触媒として用いて、二酸化炭素/エポキシド共重合反応の後、使用された触媒を分離回収して再使用することにより、触媒のコストを低下して、共重合体の製造において経済性を具現することができる。さらに、共重合体から金属化合物である触媒を除去することにより、純度が高い共重合体を製造できるようにして、共重合体の利用範囲を拡大することができるだけでなく、共重合体の耐久性及び加工性を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される錯化合物。
[化学式1]


[前記化学式1中、
Mは、3価コバルトまたは3価クロムであり、
Aは、酸素または硫黄原子であり、
Qは、二つの窒素原子を連結するジラジカルであり、
及びRは、互いに独立して、第一級(C1−C20)アルキルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R〜R10のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
前記R〜R10のうち少なくとも3個以上は、下記化学式a、化学式b及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり、


Zは、窒素またはリンであり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
31、R32及びR33は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
X´は、酸素、硫黄またはN−R(ここで、Rは(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R〜R10が含むプロトングループの数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンは、Mに配位してもよい。]
【請求項2】
Qは、(C6〜C30)アリーレン、(C1〜C20)アルキレン、(C2〜C20)アルケニレン、(C2〜C20)アルキニレンまたは(C3〜C20)シクルロアルキレンである請求項1に記載の錯化合物。
【請求項3】
Mは、3価コバルトであり、
Aは、酸素であり、
Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、
とRは、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素または−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、
Yは、CまたはSiであり、
41、R42、R43、R44、R45及びR46は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R44、R45及びR46のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
mは、1〜3の整数であり、nは1〜20の整数であり、
但し、mが1である場合、R〜R10のうち少なくとも3個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、mが2である場合、R〜R10のうち少なくとも2個以上は−[YR41-−m{(CR4243444546}]であり、mが3である場合、R〜R10のうち1個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であることを特徴とする請求項2に記載の錯化合物。
【請求項4】
下記化学式2で表される請求項3に記載の錯化合物。
[化学式2]


[前記化学式2中、
51及びR52は、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、
53及びR54は、互いに独立して、水素またはメチルであり、
Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、
nは、1〜20の整数であり、
硝酸アニオンと酢酸アニオンは、コバルトに配位してもよい。]
【請求項5】
51、R52、R53及びR54がメチルであり、nが3であり、Qはトランス−1,2−シクロヘキシレンである請求項4に記載の錯化合物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の錯化合物を触媒として用いて、
エポキシド化合物及び二酸化炭素を共重合させる段階を含むポリカーボネートの製造方法。
【請求項7】
エポキシド化合物は、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C2−C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシ、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシまたは(C1−C20)アルキルで置換または非置換の(C8−C20)スチレンオキシドからなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項8】
下記化学式3の錯化合物を触媒として用いて、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C2−C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシまたは(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシで置換または非置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシド;及び、ハロゲン、(C1−C20)アルキルオキシ、(C6−C20)アリールオキシ、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル(aralkyl)オキシまたは(C1−C20)アルキルで置換または非置換の(C8−C20)スチレンオキシドからなる群から選択される一つ以上のエポキシド化合物及び二酸化炭素を共重合してポリカーボネートを製造する段階と、
前記製造された共重合体と触媒が溶解されている溶液を、この溶液に溶解されない固体状の無機物質、ポリマー物質またはその混合物と接触して前記固体状の無機物質またはポリマー物質と触媒の複合体を形成することにより、共重合体と触媒とを分離する段階と、を含むポリカーボネートの製造方法。
[化学式3]


[前記式中、
Mは、3価コバルトまたは3価クロムであり、
Aは、酸素または硫黄であり、
Qは、二つの窒素原子を連結するジラジカルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R〜R10のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
前記R〜R10のうち少なくとも1個以上は、下記化学式a、化学式b及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり、


Zは、窒素またはリンであり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
31、R32及びR33は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
X´は、酸素、硫黄またはN−R(ここで、Rは(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R〜R10が含むプロトングループの数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンはMに配位してもよい。]
【請求項9】
固体状の無機物質は、表面改質されたり表面改質されていないシリカまたはアルミナであり、固体状のポリマー物質がアルコキシアニオンによって脱プロトン反応が生じ得る作用基を有しているポリマー物質であることを特徴とする請求項8に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項10】
アルコキシアニオンによって脱プロトン反応が生じ得る作用基は、スルホン酸基、カルボン酸基、フェノール基またはアルコール基であることを特徴とする請求項9に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項11】
下記化学式3の錯化合物を触媒として用いて、ハロゲンまたは(C1−C20)アルコキシで置換または非置換の(C2−C20)アルキレンオキシド;ハロゲンまたは(C1−C20)アルコキシで置換または非置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシドと、ハロゲン、(C1−C20)アルコキシまたは(C1−C20)アルキルで置換または非置換の(C8−C20)スチレンオキシドからなる群から選択される一つ以上のエポキシド化合物及び二酸化炭素を共重合してポリカーボネートを製造する段階と、
前記製造された共重合体と触媒が溶解されている溶液をこの溶液に溶解されない固体状の無機物質、ポリマー物質またはその混合物と接触して前記固体状の無機物質または高分子物質と触媒の複合体を形成することにより、共重合体と触媒とを分離する段階と、
前記固体状の無機物質またはポリマー物質と触媒の複合体を溶解できない媒質中で、前記固体状の無機物質またはポリマー物質と触媒の複合体を硝酸または硝酸塩で処理して、触媒または触媒の前駆体が前記媒質から溶解されるようにすることで、触媒及び触媒前駆体を分離回収する段階と、を含む共重合体と触媒が溶解されている溶液から触媒及び触媒前駆体を分離回収する方法。
[化学式3]


[前記式中、
Mは、3価コバルトまたは3価クロムであり、
Aは、酸素または硫黄であり、
Qは、二つの窒素原子を連結するジラジカルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R〜R10のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
前記R〜R10のうち少なくとも1個以上は、下記化学式a、化学式b及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり、


Zは、窒素またはリンであり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
31、R32及びR33は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
X´は、酸素、硫黄またはN−R(ここで、Rは(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R〜R10が含むプロトングループの数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンはMに配位してもよい。]
【請求項12】
請求項1に記載の化学式1で表される錯化合物の製造方法は、
下記化学式4の化合物を化学式4が含むハロゲンアニオン当量の硝酸銀(AgNO)または硝酸銀(AgNO)と酢酸銀(AgOC(O)CH)の混合物と反応させて化学式5の化合物を製造する段階と、
酢酸コバルト(II)または酢酸クロム(II)と化学式5の化合物を酸素存在下で反応させて化学式1の錯化合物を製造する段階と、を含むことを特徴とする製造方法。
[化学式1]


[化学式4]


[化学式5]


[前記化学式1、4及び5中、
Mは、3価コバルトまたは3価クロムであり、
Aは、酸素または硫黄原子であり、
Qは、二つの窒素原子を連結するジラジカルであり、
は、ハロゲンアニオンであり、
及びRは、互いに独立して、第一級(C1−C20)アルキルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R〜R10のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
前記R〜R10のうち少なくとも3個以上は、下記化学式a、化学式b及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり、


Zは、窒素またはリンであり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結して環を形成してもよく、
31、R32及びR33は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
X´は、酸素、硫黄またはN−R(ここでRは(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R〜R10が含むプロトングループの数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンはMに配位してもよい。]
【請求項13】
Mは、3価コバルトあり;
Aは、酸素であり、
Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、
とRは、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、
〜R10は、互いに独立して、水素または−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、
Yは、CまたはSiであり、
41、R42、R43、R44、R45及びR46は、互いに独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄及びリンのうち何れか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R44、R45及びR46のうち2個は互いに連結して環を形成してもよく、
mは、1〜3の整数であり、nは、1〜20の整数であり、
但し、mが1である場合、R〜R10のうち少なくとも3個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、mが2である場合、R〜R10のうち少なくとも2個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であり、mが3である場合、R〜R10のうち1個以上は−[YR413−m{(CR4243444546}]であることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
下記化学式6の化合物を4当量の硝酸銀(AgNO)と反応させて化学式7の化合物を製造する段階と、
酢酸コバルト(II)と化学式7の化合物を酸素存在下で反応させて下記化学式2の化合物を製造する段階と、を含む請求項13に記載の製造方法。
[化学式2]


[化学式6]


[化学式7]


[前記化学式2、6及び7中、
は、ハロゲンアニオンであり、
51及びR52は、互いに独立して、メチルまたはエチルであり、
53及びR54は、互いに独立して、水素またはメチルであり、
Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、
nは、1〜20の整数であり、
硝酸アニオンと酢酸アニオンは、コバルトに配位してもよい。]
【請求項15】
51、R52、R53及びR54がメチルであり、nが3であり、Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレンである請求項14に記載の製造方法。

【公表番号】特表2013−520493(P2013−520493A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554937(P2012−554937)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001324
【国際公開番号】WO2011/105846
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(508171000)エスケー イノベーション  シーオー., エルティーディー. (19)
【Fターム(参考)】