説明

硫黄酸化物を含有する生成物及び肥料を複合生産するための方法。

本発明は、(I)硫黄酸化物を含有する生成物、及び(II)硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム類及びそれらの組み合わせからなる群より選択される肥料の、アンモニアと、硝酸、リン酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される酸との間接的な中和を介した複合生産のための方法であって、(a)亜硫酸カルシウムを含有する沈殿を2つの別の工程で硝酸水溶液及びアンモニア水溶液と接触させ、当該肥料、当該硫黄酸化物を含有する生成物及び水酸化カルシウムを含有する沈殿を形成すること、及び(b)当該肥料、当該硫黄酸化物及び当該水酸化カルシウムの少なくとも1部を3つの別々のストリームに分離すること、を含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(I)硫黄酸化物を含有する生成物、及び(II)硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム類及びそれらの組み合わせからなる群より選択される肥料の、アンモニアと、硝酸、リン酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される酸との間接的な中和を介した複合生産のための方法であって、亜硫酸カルシウムを含有する沈殿を2つの別の工程で硝酸水溶液及びアンモニア水溶液と接触させ、当該肥料、当該硫黄酸化物を含有する生成物及び水酸化カルシウムを含有する沈殿を形成すること;及び当該肥料、当該硫黄酸化物及び当該水酸化カルシウムの少なくとも1部を3つの別々のストリームに分離すること、を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
化石燃料の燃焼は多くの異なる目的の工業的過程に用いられる。残念なことに、化石燃料燃焼はいくつかの汚染物質を生成し、それらは環境に有害であるとわかってきた。特に、硫黄及び窒素酸化化合物は「酸性雨」の主成分である。
【0003】
特に化石燃料の燃焼が毎年何百万トンものSOを放出するので、SO及びNO化合物によって引き起こされる被害を認識し、煙道ガスの大気への放出に先立って、これら煙道ガスの成分を除去するために様々な燃焼煙道ガス浄化過程が開発されてきた。
【0004】
オスロ議定書によれば、石灰/石灰石湿式洗浄(LWS)は、全燃料ガス脱硫(FGD)設備の85%を構成している。1995年では、FGD部門は合衆国における石灰の全売上の15%を占め、ほとんどがLWSによるものだった。LWSプロセスでは、煙道ガス中の酸性のガス状SOは、前処理された石灰石とセッコウとの、水ベースの再循環スラリーに吸収され、続いてCaCOとの反応により中和される。この反応の生成物はさらに空気と反応して、硫酸カルシウム二水和物を主に生成する。SO除去能力は、入口でのガスのSO含有量、スラリーの相対的流量およびスラリーのpHに依存する。
【0005】
NaOH水溶液との中和によるSO除去は、いまひとつ別の重要な脱硫過程である。苛性ソーダは強塩基で、且つ水溶液によく溶けるので、高pH及び大吸収容量が実現され得る。しかしながら、NaOHのコストは石灰/石灰石のそれの約10倍高い。
【0006】
米国特許第6,447,437号は、亜硫酸/硫酸アンモニウムを形成するためにそれをアンモニアで吸収して、続いて硫黄化合物及び高価値の肥料、すなわち、硝酸アンモニウム又はリン酸アンモニウム類、を形成するために亜硫酸/硫酸が硝酸又はリン酸陰イオンと交換される陰イオン交換反応の段階からなる、SOによって引き起こされる大気汚染を低減するための方法を記載する。
【0007】
肥料は毎年何百万トンという量が用いられる。それらは全地球上及びほとんど年中用いられる。当該肥料のうちあるものは、酸及び塩基の直接的な中和によって生成した塩である。主要例は通常アンモニア及び硝酸の直接反応によって形成される硝酸アンモニウム及び通常リン酸とアンモニアとの反応において形成されるリン酸アンモニウム類である。この直接反応は中和エネルギーを生成する。当該中和エネルギーの用途の数は限られている。ゆえに、SO除去の高価値な副産物として肥料を選ぶことには、大きな利点がある。
【0008】
上述のように、米国特許第6,447,437号は、アンモニアと当該硝酸又はリン酸との間接的な中和を介して、それと煙道ガスからのSOの吸収を組み合わせることによって肥料を生成することを示唆する。しかしながら、これらの系でアンモニアを中和用塩基として用いることは事実上困難である。アンモニアの沸点は−33℃なのに煙道ガスは200〜400℃の高温で放出され、その上アンモニア塩は高温で分解する傾向がある。加えて、アンモニアには不快臭があり、アンモニアガスは呼吸器系の全ての部分を刺激し、目を極端に刺激する。
【0009】
この過程の主要な欠点は、まったく違う2つの主要生成物の複合生産は通常望ましくはなく、特に発電所用の石油及び石炭の燃焼を含む工業においては、望ましくないということである。これら発電所は精製化学生成物のための先端技術を特徴とするわけではない。肥料生成は発電所から連想できない特定の仕様を要する。
【0010】
ゆえに、煙道ガスからのSOの高効率な吸収及び高温中での使用の容易性を特徴とする脱硫過程には依然として大いに必要性がある。加えて、この過程は全ての副産物の再利用又は販売を可能にするはずで、従って汚染の環境中への放出を防止するはずである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明は2つの過程:(I)SOによって引き起こされる大気汚染を一般的な、即ち単純な石灰/石灰岩湿式洗浄又はNaOHを伴う湿式洗浄等の脱硫過程を用いることによって低減する過程;及び(II)当該第1過程由来の副産物から、(a)硝酸アンモニウム又はリン酸アンモニウムを含有する肥料;及び(b)硫黄酸化物を含有する生成物の複合生産の過程、を組み合わせることに役立つと理解されるであろう。
【0012】
本発明の更なる目的は、大量に利用可能な肥料の生成に関連した駆動力を、多くの場所において及びほぼ年中、硫黄酸化物を含有するガスから硫黄化合物の生成のために利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の開示
この技術の現状を念頭に置き、これより本発明により、(I)硝酸アンモニウム又はリン酸アンモニウムを含有する肥料、及び(II)硫黄酸化物を含有する生成物の複合生産のための方法であって、
(a)亜硫酸カルシウムを含有する沈殿を、2つの別々の工程でアンモニア溶液及び硝酸、リン酸、リン酸アンモニウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する溶液と接触させ、当該肥料、当該硫黄酸化物を含有する生成物及び水酸化カルシウムを含有する沈殿を形成すること、及び
(b)当該肥料、当該硫黄酸化物及び当該水酸化カルシウムの少なくとも1部を3つの別々のストリームに分離すること、
を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
用語、亜硫酸カルシウムは、本明細書中では、CaHSO、CaSO及びそれらの組み合わせをいう。
【0015】
用語、硫黄酸化物は、本明細書中では、SO及びHSOをいう。
【0016】
好ましい実施形態によれば、亜硫酸カルシウムを含む当該沈殿が、硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物及び二酸化炭素を含有する煙道ガスを、CaO、Ca(OH)、CaCO、セメント及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する塩基ストリームと接触させることによって形成され、それによって亜硫酸カルシウムが形成され、且つ得られるガスのSO含量が減少する。
【0017】
当該硫黄酸化物を含有する煙道ガスは硫黄含有炭化水素の燃焼が関わる様々な工業生産に起因し得るだろうが、特に興味深いのは石油及び石炭の燃焼に起因する煙道ガスの生成である。特に非常に興味深いのは、高硫黄燃料が用いられる場合のそれらの生成である。当該ガスは、酸−塩基反応において当該硫黄酸化物と反応する塩基ストリームと接触させられ、亜硫酸カルシウムを形成する。ある実施形態においては、CaO、Ca(OH)、CaCO、セメント及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する当該塩基ストリームが、加えてNaOH、KOH、NaHCO及びそれらの組み合わせからなる群より選択される別の化合物を含有する。
【0018】
本発明のいまひとつ別の好ましい実施形態によれば、亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿は、
(a)硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物を含有する煙道ガス及び二酸化炭素がNaOH、KOH、NaHCO3、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する塩基ストリームと接触させられ、それによって亜硫酸塩が形成され、且つ得られるガスのSO含量が減少する;
(b)工程(a)からの当該亜硫酸塩をCaO、Ca(OH)、CaCOからなる群より選択されるいまひとつ別の塩基ストリームと接触させ、亜硫酸カルシウム及びNaOH、KOH、NaHCO、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される塩基を形成する;
(c)工程(b)において形成された当該塩基を工程(a)に戻して再利用する、
ことによって形成される。
【0019】
ある実施形態によれば、当該塩基ストリームは、上述の工程(a)で形成され、再利用される水酸化カルシウムを含有する当該沈殿を含有する。
【0020】
ある好ましい実施形態によれば、当該塩基ストリームは、水及び海水からなる群より選択される化合物を含有する。この実施形態においては、海水は2つの機能を有し;添加された塩基(例えば、CaO、Ca(OH)、CaCO、NaOH、KOH、NaHCO)の媒質として役立ち;及び海水の緩衝能のために、塩基の必要添加量の低減を可能にする。海水が適用できることは船の煙道ガスからのSOの吸収において極めて重要である。これらの状況では海水は容易に利用可能で、且つたいていの場合、用いられた海水の海への放出は合法である。
【0021】
いまひとつ別の実施形態によれば、硫黄含有炭化水素の燃焼の間及びSO吸収段階の間に、結果生じる硫黄酸化物を含有する生成物が酸化され、それによって硫酸アンモニウムを含有する肥料を生成してもよい。
【0022】
特に好ましくは、亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が、最初に硝酸水溶液と接触させられて、当該硫黄酸化物及び硝酸カルシウム溶液を形成し、それによって当該硝酸カルシウム溶液が、次いでアンモニア溶液と接触させられて、当該肥料を含有する生成物及び水酸化カルシウムを含有する沈殿を形成する実施形態である。
【0023】
別の好ましい実施形態においては、亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が、最初にアンモニア溶液と接触させられて、水酸化カルシウムを含有する当該沈殿及び亜硫酸アンモニウム溶液を形成し、それによって当該亜硫酸アンモニウムが、次いで硝酸と接触されて、当該硫黄酸化物及び当該肥料を形成する。この場合においては、ある実施形態によれば、当該亜硫酸アンモニウムは、リン酸、リン酸アンモニウム及びそれらの組み合わせ(硝酸ではない)からなる群より選択される化合物と接触させられて、当該硫黄酸化物及びリン酸アンモニウムを含有する肥料を形成する。
【0024】
上述の通り、当該硫黄酸化物を含有する煙道ガスは、硫黄含有炭化水素の燃焼が関わる様々な工業生産に起因し得るだろう。これらの煙道ガスは相当量のCOを含有し、ある場合では20%を上回る。COは添加された塩基−つまり、当該塩基ストリーム−と反応する。従って好ましい実施形態によれば、亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿は、さらに炭酸カルシウムを含有する。
【0025】
ある実施形態によれば、硝酸溶液が2バッチで、第1の部分は炭酸イオンを置換するため、そして第2は亜硫酸イオンを置換するために、亜硫酸カルシウム及び炭酸カルシウムを含有する当該沈殿に添加され、それによって工程(b)に起因する当該肥料ストリーム、当該硫黄酸化物ストリーム、当該水酸化カルシウムストリーム及びCOストリームの4つのストリームを有する。
【0026】
一般的に、本発明は2つの過程を組み合わせることを含む、すなわち:
(a)SOによって引き起こされる大気汚染を低減するために、単純な石灰/石灰岩湿式洗浄又はNaOHを伴う湿式洗浄等の一般的な脱硫過程を用いること、及び
(b)(I)硝酸アンモニウム又はリン酸アンモニウムを含有する肥料;及び(II)硫黄酸化物を含有する生成物、の複合生産のために当該第1過程由来の副産物塩を用いること。
それらの組み合わせは公知の先行技術から自明ではない。
【0027】
本発明はこれらの2過程を組み合わせる。第1に、本発明は既知であり一般的に用いられる、煙道ガスからのSOの効率的な吸収を特徴とし、且つ高温においてさえ単純且つ容易な作業方法を有することも特徴とする過程を利用する。第2に、本発明は再利用又は販売することによって全ての生成物及び副産物の再使用を可能にし、従って、放出して汚染を環境中へ戻すことを防止する肥料生成の過程を利用する。
【0028】
本発明におけるこれら2過程の組み合わせは、要求されたイオン交換の選択性及び選択的な分離作業を特徴とする特異的なイオン交換反応によって行うことができる。これら特異的イオン交換反応は、脱硫反応において形成された塩の陰イオン及び陽イオンの置換を可能にし、それによって所要の肥料を形成する。選択的分離作業は、(a)添加された1または複数の塩基が脱硫過程へ戻されて再利用できるように、且つ(b)分離精製された肥料ストリーム及び形成された硫黄酸化物ストリームという2つのストリームが生成できるように、形成された生成物を分離する。
【0029】
この組み合わせは、選ばれた全ての系において実行可能ではないので、自明ではない。実際、それはある特定の系でのみ作動する。その逆の単純な事例は次の通りである。NaOH脱硫反応と硝酸アンモニウム生成とを直接組み合わせることが望まれるかもしれない。その目的のために、NaOH脱硫反応において形成されたNaSOは陽イオン(Na)を置換するために最初にアンモニアと反応させられるべきである。しかしながら、アンモニアを加えることによって、亜硫酸アンモニウムが形成され、それがNaOH同様水溶液によく溶けるため、混合溶液が形成される。その結果、添加した塩基(NaOH)の分離が実行可能でなく、従ってそれを脱硫反応に戻して再利用することが実用的ではない。加えて、肥料ストリーム及び硫黄酸化物ストリームという2つの精製されたストリームを分離することができない。
【0030】
これは、本発明が初めて教示するように、選択された組み合わせは、要求されたイオン交換反応の選択性と実行可能な選択的分離作業とによって特徴付けられなければならないことを強調するためのほんの一例である。本発明は、これらの厳密な要求に対応するいくつかの過程を提案する。
【0031】
本発明の特徴がより完全に理解され認識されるように、以下の実施例では特定の好ましい態様に関して本発明を記載するが、本発明をそれらの特定の態様に制限するものではない。そればかりか、添付されるクレームにより定義された本発明の範囲内に包含され得る、代替態様、変更および等価物は全て包含されるものである。従って、好ましい態様を含む以下の実施例は、本発明の実施を例示するのに役立つだろうし、また、示された詳細は、例示のためであって、かつ本発明の好ましい態様を例示的に解説する目的のためだけのものであり、本発明の原理および概念的特徴に関する記載と同様に、実施方法に関する、最も有用で容易に理解される記載と考えられるものを提供するために提示されるものであることが理解される。
【0032】
図面において:図1〜6は本発明の実施形態の流れ図を提示する。
【0033】
図1は2つの段階を提示する。段階(a)においては、亜硫酸カルシウムを含有する沈殿が硝酸の溶液と接触させられる。硝酸はHSOよりも強酸であり、従って選択的陰イオン交換反応が起こってCa(NO)及び遊離のHSOを形成し、HSOは水と気相に放出されるSOとに転換する。Ca(NO)の溶液中の溶解度が高いことに基づき、Ca(NO)は亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿から自発的分離される。この段階においては、SOガスストリーム及びCa(NO)の溶液が分離される。
段階(b)においては、Ca(NO)の溶液がアンモニアと接触させられ、Ca(OH)及び硝酸アンモニウムを形成する。Ca(OH)は沈殿し、従って、その溶液中の溶解度は非常に低いので、肥料溶液から容易に分離され得る。石灰石の限定的溶解度又はその結晶化エネルギー利得がこの段階の駆動力をもたらす。
【0034】
図2は2段階の過程を提示する。段階(a)においては、亜硫酸カルシウムを含有する沈殿がアンモニアの溶液と接触させられ亜硫酸アンモニウム及び気相中にSOを形成する。カルシウム(2価)とアンモニア(1価)とのモル濃度比率は2.4よりも高い。アンモニアはCa(OH)よりも弱塩基なので、完全な陽イオン交換は過剰なアンモニアを有することによってのみ形成されるだろう。段階(b)においては、亜硫酸アンモニウム及びアンモニアの混合溶液が硝酸、リン酸、リン酸アンモニウム及びそれらの混合物からなる群より選択される試薬の溶液と接触させられる。その反応は当該肥料及びSOガスの濃縮ストリームを形成する。簡潔にするため工程(a)で形成された亜硫酸生成物を亜硫酸水素アンモニウムとして表すと、この段階における反応のいくつかは下記の式で示される:
【0035】
【数1】

(その一方、その化学反応は、上記の式によって示されるよりはるかにより複雑だろう)。
【0036】
図3は3段階の過程を提示する。第1の段階においては、(図1の段階(a)で述べられた)亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が、CaO、Ca(OH)、CaCO、セメント及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する塩基ストリームを、硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物及び二酸化炭素を含有する煙道ガスと接触させることによって形成される。それによって亜硫酸カルシウムが形成され、且つ得られるガスのSO含量が減少する。次いで、この亜硫酸カルシウムストリームは(上記の図1で提示された過程の段階(a)と同一の)段階(b)へと進み、一方、次の段階、すなわち、図3における段階(c)は、図1において記載された過程の段階(b)と同一である。
【0037】
図4は3段階の過程を提示する。第1の段階においては、亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が、図3に提示されたように、硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物を含有する煙道ガスを、CaO、Ca(OH)、CaCO、セメント及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する塩基ストリームと接触させることによって形成される。それによって亜硫酸カルシウムが形成され、且つ得られるガスのSO含量が減少する。この亜硫酸カルシウムストリームは、図2で上記の通り提示された過程の段階(a)と同一の段階(b)へと進み、一方、次の段階、すなわち図3における段階(c)は、図2において記載された過程の段階(b)と同一である。
【0038】
図5は4段階の過程を提示する。第1の段階においては、水溶液中のNaOHが硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物を含有する煙道ガスと接触させられ、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム又はそれらの混合物を含むナトリウム塩を形成する。段階(b)においては、水酸化カルシウムが当該ナトリウム塩と反応させられ亜硫酸カルシウムを形成し、それによって第1の塩基NaOHを再生成し、NaOHは次いで工程(a)へと再循環される。この亜硫酸カルシウムストリームは図1で上記の通り提示された過程の段階(a)と同一の段階(c)へと進み、一方、次の段階、すなわち図5における段階(d)は、図1において記載された過程の段階(b)と同一である。
【0039】
図6は4段階の過程を提示する。第1の段階においては、図5で提示されたように、水溶液中のNaOHが硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物を含有する煙道ガスと接触させられ、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム又はそれらの混合物のナトリウム塩を形成する。段階(b)においては、水酸化カルシウムが当該ナトリウム塩と反応させられ亜硫酸カルシウムを形成し、それによって第1の塩基NaOHを再生成し、それは次いで工程(a)へと再循環される。この亜硫酸カルシウムストリームは図2で上記の通り提示された過程の段階(a)と同一の段階(c)へ入り、一方、次の段階、すなわち図6における段階(d)は、図2において上記された過程の段階(b)と同一である。
【実施例】
【0040】
[好ましい実施形態の記載]
(実施例1)
約73%N、13%CO、10%HO、4%O及び0.3%SOの組成のガスを、NaOH溶液を含有する長いカラムを通してゆっくりバブリングする。引き込んだガスの90%を上回るSOが吸着される。
【0041】
(実施例2)
実施例1において形成した溶液の一部を30%硝酸溶液と反応させる。溶液の相対的な体積はナトリウムに対する硝酸のモル濃度比率が1.1〜1.0になるように選択する。硝酸ナトリウムが形成され、実施例1において吸収されたSOのほとんどが発生する。
【0042】
当業者には、本発明が上記の実施例の詳細には限定されず、本発明の本質的特性から逸することなく、他の特定の形態として本発明が実施されてもよいことが明らかだろう。従って、本態様および実施例は、全ての点で、限定ではなく例示としてみなされことが望ましく、上記の記載よりもむしろ添付されるクレームが参照され、また、クレームの、意味および均等の範囲に入るすべての変更は、従ってそこに包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は2つの段階を提示する。
【図2】図2は2段階の過程を提示する。
【図3】図3は3段階の過程を提示する。
【図4】図4は3段階の過程を提示する。
【図5】図5は4段階の過程を提示する。
【図6】図6は4段階の過程を提示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)硫黄酸化物を含有する生成物、及び(II)硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム類及びそれらの組み合わせからなる群より選択される肥料の、アンモニアと、硝酸、リン酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される酸との間接的な中和を介した複合生産のための方法であって、
(a)亜硫酸カルシウムを含有する沈殿を2つの別の工程で硝酸溶液及びアンモニア溶液と接触させ、当該肥料、当該硫黄酸化物を含有する生成物及び水酸化カルシウムを含有する沈殿物を形成すること;及び
(b)当該肥料、当該硫黄酸化物及び当該水酸化カルシウムの少なくとも1部を3つの別々のストリームに分離すること、を含む方法。
【請求項2】
亜硫酸カルシウムを含む当該沈殿が、硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物及び二酸化炭素を含有する煙道ガスを、CaO、Ca(OH)、CaCO、セメント及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する塩基ストリームと接触させることによって形成され、それによって亜硫酸カルシウムが形成され、且つ得られるガスのSO含量が減少している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該塩基ストリームがNaOH、KOH、NaHCO及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿は:
(a)硫黄含有炭化水素の燃焼に起因する、硫黄酸化物及び二酸化炭素を含有する煙道ガスをNaOH、KOH、NaHCO及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含有する第1塩基ストリームを接触させ、それによって亜硫酸塩が形成され、且つ得られるガスのSO含量が減少する;
(b)工程(a)からの当該亜硫酸塩をCaO、Ca(OH)、CaCO、セメント及びそれらの組み合わせからなる群より選択される第2塩基ストリームと接触させ、亜硫酸カルシウム及びNaOH、KOH、NaHCO及びそれらの組み合わせからなる群より選択される当該第1塩基ストリームを形成する;及び
(c)工程(b)において形成された当該第1塩基を工程(a)に戻して再利用する、ことによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水酸化カルシウムを含有する当該塩基ストリームが請求項1の工程(a)において形成された、請求項2及び4に記載の方法。
【請求項6】
当該塩基ストリームが、水及び海水からなる群より選択される化合物を含有する、請求項2及び4に記載の方法。
【請求項7】
当該肥料が硫酸アンモニウムを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が、最初に硝酸溶液と接触させられて、当該硫黄酸化物及び硝酸カルシウム溶液を形成し、それによって当該硝酸カルシウム溶液が、次いでアンモニア溶液と接触させられて、当該肥料用硝酸アンモニウム含有生成物、及び水酸化カルシウムを含有する沈殿を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が、最初にアンモニア溶液と接触させられて、水酸化カルシウムを含有する当該沈殿及び亜硫酸アンモニウム溶液を形成し、それによって当該亜硫酸アンモニウムが、次いで硝酸と接触させられて、当該硫黄酸化物及び硝酸アンモニウムを含有する肥料生成物を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が、最初にアンモニア溶液と接触させられて、水酸化カルシウムを含有する当該沈殿及び亜硫酸アンモニウム溶液を形成し、それによって当該亜硫酸アンモニウムが、次いでリン酸、リン酸アンモニウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物と接触させられて、当該硫黄酸化物及びリン酸アンモニウムを含有する肥料生成物を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
亜硫酸カルシウムを含有する当該沈殿が炭酸カルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
当該硝酸溶液が2バッチで、第1のバッチは炭酸イオンを置換するため、そして第2のバッチは亜硫酸イオンを置換するために、亜硫酸カルシウム及び炭酸カルシウムを含有する当該沈殿に添加され、それによって当該硫黄酸化物及びCOの別々の2ストリームを形成する、請求項11に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−517323(P2009−517323A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542937(P2008−542937)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001366
【国際公開番号】WO2007/063535
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508157071)
【Fターム(参考)】