説明

硫黄酸化細菌およびその硫化銅鉱バイオリーチングプロセスへの利用

【課題】硫黄酸化細菌を利用した硫化銅鉱バイオリーチングプロセスを提供する。
【解決手段】アシディチオバチルス チオオキシダンス(Acidithiobacillus thioooxidans)に属し、Licanantayと命名され、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に登録番号DSM17318として寄託され、単離された化学合成無機栄養細菌、および当該細菌または当該細菌を含む混合菌の硫化鉱物からなる鉱石および精鉱のバイオリーチング工程への利用。本Licanantay DSM 17318株は一次硫化銅鉱・二次硫化銅鉱、特に黄銅鉱、銅藍、斑銅鉱、輝銅鉱、硫砒銅鉱、砒四面銅鉱に対する硫黄酸化活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシディチオバチルス チオオキシダンス(Acidithiobacillus thioooxidans)に属し、Licanantayと命名され、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に登録番号DSM17318として寄託され、単離された化学合成無機栄養細菌、および当該細菌または当該細菌を含む混合菌の硫化鉱物からなる鉱石および精鉱のバイオリーチング工程への利用に関する。本Licanantay DSM 17318株は一次硫化銅鉱・二次硫化銅鉱、特に黄銅鉱、銅藍、斑銅鉱、輝銅鉱、硫砒銅鉱、砒四面銅鉱に対する硫黄酸化活性を有する。
【0002】
また、本発明は、バイオリーチング工程での前記硫黄酸化中温性細菌の利用に関し、本細菌利用により、リーチングを阻害する元素硫黄除去が行われる。Licanantay株のバイオリーチング溶液への添加により、常温での効率的な銅浸出のための浸出溶液として用いられる硫酸溶液を生じることができ、かつ同時に酸化還元電位(ORP)の過剰な上昇を抑えることにより、バイオリーチングに適した条件を維持できる。
【背景技術】
【0003】
現在、世界の鉱業的な銅生産の90%以上は、硫化銅鉱の処理により得られている。鉱石中の中に存在する全て硫化銅種のうち、主な鉱種は、黄銅鉱(カルコパイライト)、斑銅鉱(ボルナイト)、輝銅鉱(カルコサイト)、銅藍(コベライト)、砒四面銅鉱(テナンタイト)、硫砒銅鉱(エナジャイト)であり、このうち、黄銅鉱が最も比較的豊富な鉱物種であり、最も経済的に重要である。
【0004】
硫化銅鉱から銅分を回収する場合、選鉱、溶錬、錬銅、鋳造、電解精製の工程を経て金属銅を得る、乾式製錬法が用いられている、しかしながら、本工程では前記鉱種からなる低金属品位の鉱石では経済的に実行可能でない。一方、SX−EW法に代表される湿式製錬法では硫酸浸出(リーチング)、溶媒抽出、ストリッピング、電解採取の工程を経て金属銅を得る方法が知られている。
後者の湿式製錬法では初期設備投資や操業コストが低く、酸化銅鉱から二次硫化銅鉱まで各種、各品位の銅鉱に適用できる利点がある。湿式製錬法では、硫酸によるリーチング工程での効率が、全体の銅生産プロセスの効率に影響を与える一つの重要な要素となっている。
【0005】
硫酸リーチングの方法としては鉱石粒度や温度などを調整して行うケミカル浸出法、好熱性または中温性(好常温性)細菌を用いたバイオリーチング法が知られている。中でも中温性細菌をもちいたバイオリーチング法は常温で行うことができ、追加のエネルギーを必要としないという利点がある。ここでは、独立栄養細菌、そして一般的には、中温性鉄酸化細菌が利用される。
【0006】
しかしながら、リーチング溶液への中温性鉄酸化細菌の添加によりバイオリーチング速度が一時的に上がるものの、この浸出速度は長期に維持できないという問題がある。この浸出速度の鈍化は、鉱石表面を被覆する不動態化層によるものである。この不動態化層の原因としては、(a)バイオリーチング反応により遊離した元素硫黄(b)pH2以上で、ジャロサイトを生成しやすい水酸化鉄(III)、の2つの可能性がある。両化合物は、鉱物表面に沈着し、銅の浸出を妨げる鉱物表面の層が形成される。
【0007】
これまでに、このようなバクテリア浸出が抱える課題を解決しようとするいくつかの提案がなされている。たとえば、反応促進剤として銀イオンを添加する技術(米国特許第4571387:特許文献1)や、低い酸化還元電位(ORP)ではリーチング速度が遅くなるとして、硫化鉱のバイオリーチングを促進する条件になるよう、Fe(III)、過マンガン酸あるいは過酸化水素等の酸化剤を添加し、ORPを一定値に制御する技術(国際公開特許98/39491:特許文献2)が提案されている。
【0008】
しかしながら、該方法は、コスト高になること、あるいは現実に制御が極めて難しいといった問題がある。
【0009】
本発明では、硫黄酸化微生物と、その硫化鉱のバイオリーチング方法への用について開示する。本方法は、酸化鉱石から一次硫化鉱・二次硫化鉱まで、各種銅品位の鉱石にまで適用可能である。本方法の特徴は、中温性硫黄酸化細菌であるLicanantay株を含む酸性バイオリーチング溶液を用いることにより、リーチングを阻害する不動態化(パッシベーション)現象を防ぐと同時に、酸化還元電位(ORP)の過剰な上昇を防ぐという点にある。すなわち、本法により、銅鉱石は、効率的に常温にて浸出される。
【特許文献1】米国特許第4571387
【特許文献2】国際公開特許98/39491
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、バイオリーチング工程において、バイオリーチングを阻害する不動態化(パッシベーション)を防ぐ、新規中温性細菌の提供を課題とする。中温硫黄酸化細菌であるLicanantay株を含む酸性バイオリーチング溶液を用いることによって、過剰な酸化還元電位の上昇を抑えることができ、銅鉱石は効率的に常温にて浸出されうる。
【0011】
さらに、本発明のもう一つの課題は、酸化銅鉱石から、黄銅鉱、斑銅鉱、銅藍、輝銅鉱、砒四面銅鉱、硫砒銅鉱等、各種硫化銅まで、多種多様な鉱石および銅含量にも適用できるような汎用的な条件・実用的状況で実施可能である湿式製錬プロセスを用いたバイオリーチング方法の提供である。
【0012】
バイオリーチング溶液で中温性硫黄酸化細菌、特にLicanantayと名づけられたアシディチオバチルス チオオキシダンス(Acidithiobacillus thiooxidans)DSM17318株を用いることにより、常温にて銅鉱石を効率的に浸出するため、リーチングを阻害する硫黄を除去し、同時に酸化還元電位(ORP)の過剰な上昇を抑えることができる。本発明により、前記被覆現象を起こす元素硫黄は硫酸として除去され、バイオリーチング速度の低下を防ぐ。
【0013】
本工程は、好気的な、バイオリーチング工程を制限するジャロサイトの生成を避けるため、好ましくはpH1.0から1.8まで、場合によっては2.5までの条件で行われる。
【0014】
同様に、溶液のORPはAg/AgCl参照電極で、500mV以下の値に保たれる。
【0015】
異なった単離菌株を適切に区別するため、RAPD-PCR法を用いた(Selenska-Pobell S, Otto A, Kutschke S. Identification and discrimination of thiobacilli using ARDREA, RAPD (“Random Amplification of Polymorphic DNA”) and rep-APD. J Appl Microbiol 1998, 84, 1085-1091.)。本方法は、分析対象となる微生物の全ゲノムDNAに存在する配列に沿ってランダムに配置する特異性の低いプライマーを用いたPCR法からなる。このRAPD-PCRシステムにより、同じ種であっても異なる菌株に特徴的な再現性のある増幅パターンが得られる。図5により2種のアシディチオバチルス チオオキシダンス株が有する異なったパターンが示され、両菌株は、同じ属・種に属するものの、2つの解析された配列はゲノムDNAレベルで異なっていることを示し、両株のバイオリーチング能力の違いを説明している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に関して、添付図面を参照して、実施例を以下に述べる。ただし、本発明はここに開示した形態に限られるものではない。
【0017】
本発明は各種、各品位の銅鉱物に対するバイオリーチング工程を対象とするが、特に浸出が難しいとされる黄銅鉱(CuFeS2)への適用した際にすぐれた効果を示す。
【0018】
本発明が適用され得るバイオリーチング工程は、連続浸出処理工程はもとより、回分攪拌浸出工程のみならず、バット・攪拌槽、ヒープ、ダンプ、鉱さいダム、またはその他の原位置操業におけるバイオリーチング等、粒状物質の積層体リーチング現場でも適用可能である。また、Licanantay株を単独、またはその他の菌株との混合として含む溶媒抽出工程から再生された溶液を鉱石に接種することもできる。工程は、好気的に、好ましくはpH1.0から1.8、例外的に2.5までの条件で行われる。バイオリーチング工程に添加される硫黄酸化中温性細菌の量は、特に限定しないが、一般的にはリーチング溶液中106から109個/mlが好ましい。
【0019】
黄銅鉱の溶解、浸出は式1〜3に示す一連の反応によって進行するとされており、これらの反応がバランスよく進行すれば銅浸出速度が速くなり継続的に浸出が進む。
【0020】
CuFeS2 + 4Fe3+ → Cu2+ + 5Fe 2+ + 2S 式1
2Fe 2+ + 0.5O2 + 2H+ → 2Fe3+ + H2O 式2
S + 1.5O2 + H2O → H2SO4 式3
本発明においては、中温性硫黄酸化細菌は、上記3式のなかで、最も低い反応定数を有し、隘路となる式3の反応を促進させるために添加される。元素硫黄は鉱物表面に沈着し、不動態化層を構成する。重要な点は、式3は硫黄除去反応である点であり、すなわち式3の反応が早く進めば硫黄皮膜は観察されない。さらには、中温性硫黄酸化細菌は、鉄の酸化還元反応には関与しないため、同時にORPの極端な上昇を抑え、ORPを500mV以下に保つことができる。
【0021】
ORPは2価鉄イオンと3価鉄イオンとの比率により決まる。鉄酸化細菌は式1において、2価鉄イオンを3価鉄イオンに再生し、式1が継続することを助ける。このイオンの再生を行わない硫黄酸化細菌の場合は、環境中の酸素による酸化によりこの再生が行われる。よって、本発明は好気的条件で行われることが望ましい。
【0022】
さらに式1の反応は式4と式5から成り立っていると言われている。
【0023】
CuFeS2 + 3Fe2+ + 3Cu2+ → 2Cu2S + 4Fe 3+ 式4
Cu2S + 4Fe 3+ → 2Cu2+ + 4Fe 2+ + S 式5
岡本ら(Redox Potential Dependence and Optimum Potential of Chalcopyrite Leaching in Sulfuric acid Solutions. Shigen-to-Sozai, Vol 120 (2004) No. 10,11 p592-599) によれば、黄銅鉱から輝銅鉱への変換反応(式4)は低い酸化還元電位(ORP)で早くなり、一方、輝銅鉱から銅イオンへの反応(式5)は、高いORPで早くなる。すなわち、平衡的に両反応が起こるために、中間的なORPを保つことが望ましい。
【0024】
さらに本発明での中温性硫黄酸化菌が活性条件であるpH1.5から1.8、例外的には2.5まで、でバクテリア浸出を行うことにより、浸出阻害物質であるジャロサイト等の鉄沈殿物の生成を妨げることが可能となる。硫黄酸化菌株は硫酸を生産するため、リーチング溶液は酸性化され、溶解性銅成分(酸化銅、炭酸銅)の溶解を助け、式2の反応が促進される。これによって、H+濃度を高くすることで効率良い浸出を達成することが可能であるという知見を得た。
【0025】
本硫黄酸化中温性細菌菌株はアシディチオバチルス チオオキシダンス(Acidithiobacillus thiooxidans)であり、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に登録番号DSM17318として寄託されたLicanantay株の単一培養、もしくはその混合物であることがより好ましい。
【0026】
Licanantay株は、硫黄酸化能力を有する微生物株を指向した分離方法によって鉱業操業現場から得られたサンプルから単離された。サンプルは9KS液体培地(3.0 g/L (NH4)2SO4、0.5g/L K2HPO4、0.5g/L MgSO4・7H2O, 0,1g/L KCl、0,1g/L Ca(NO3)2、1%元素硫黄またはその他還元性硫黄化合物)を加えた攪拌フラスコで集積培養し、その後サンプル中の純粋菌数株が分離された。各菌株についてそれぞれ評価した結果、他の菌株と比較した中でLicanantay株が最も高い黄銅鉱からの銅回収率を示した。
【0027】
Licanantay株は好酸性絶対好気性グラム陰性細菌で、化学栄養独立的に元素硫黄、チオ硫酸、テトラチオン酸などの還元性硫黄化合物を利用し、9KS液体培地において30−35℃を温度上限として独立栄養的な生育を示すが、その他のAcidithiobacillus thiooxidans (Kelly DP, Wood AP, “Reclassification of some species of Thiobacillus to the newly designed genera Acidithiobacillus gen. Nov., Halothiobacillus gen. Nov and Thermithiobacillus gen. Nov.”, Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 2000, 50, 511-516)と同様に、鉄の酸化能力は持たない。DSM17318株の部分的16S rDNA遺伝子配列を図4に示す。
【0028】
本菌株は、16S rDNA遺伝子配列レベルでは他の国際的な菌株寄託機関に登録された他のA.thiooxidans株と高い相同性を有する。特に、Acidithiobacillus thiooxidans ATCC19377株、Acidithiobacillus thiooxidans NBRC12701株と100%の相同性を示した。同様にAcidithiobacillus albertensis DSM14366株とも100%の相同性を示した。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
黄銅鉱を主成分とし、銅28wt%、鉄28wt%、硫黄32wt%、その他主に珪素・亜鉛、カルシウムを含む銅精鉱を用いた。
【0030】
上記精鉱を3gと硫酸でpH1.5〜1.8に調整した浸出液(硫酸アンモニウム3g/L、リン酸水素カリウム0.5g/L、硫酸マグネシウム7水和物0.5g/L塩化カリウム0.1g/Lを含む)を300ml混合して500ml容量の攪拌フラスコに注いだ。これの精鉱および浸出液の混合物に、107 cells/mlの硫黄酸化中温性細菌Licanantay株を添加し、常温で振とうした。
【0031】
比較例として鉄酸化能力を有する中温性細菌アシディチオバチルス フェロオキシダンス(Acidithiobacillus Ferrooxidans)Wenelen DSM 16786株を107 cells/ml添加して常温で振とうした。
【0032】
中温性硫黄酸化菌(Licanantay)と中温性鉄酸化菌(Wenelen)を添加したときの銅濃度の経時変化を図1に示す。溶液中銅濃度は、孔径5μmの細孔性材料にてろ過し、ICP発光分光装置で測定した。図は硫黄酸化細菌の利用が好ましいことを示している。銅の浸出速度は鉄酸化細菌にくらべ遅いが、より継続性がある一方、鉄酸化細菌では、最初の10日間では早い銅の浸出がみられるが、その後急速に頭打ちとなり、その上限値は、本発明での菌株での上限値と比べ30%低い結果となっている。
【0033】
図2には本発明の実施例1におけるORPの経時変化を示す。前記説明によれば、銅浸出は中温性硫黄酸化細菌による浸出によって促進されている、同時に、ORPは浸出期間での測定により500mV(Ag/AgCl参照電極)以下を保っていた。
【0034】
(実施例2)
107cells/mlのLicanantay株を実施例1にしめしたpH1.8の浸出溶液と同じ黄銅鉱精鉱を添加して、最終液量125mlとなるよう500mlとなるよう植菌した。比較例として、107cells/mlの硫黄酸化能を有するAcidithiobacillus thiooxidans(DSM 508)株、または鉄酸化能を有するAcidithiobacillus ferrooxidans (Wenelen株DSM 16786)を同じ条件で植菌した。これら菌株は、振とう条件で30℃にて培養した。溶液中の銅含量は、孔径5μmの細孔性フィルターにてろ過後、原子吸光分光装置にて分析した。
【0035】
図3に中温性硫黄酸化細菌(Licanantay DSMZ 17318、Acidithiobacillus thiooxidans DSM 508)と中温性鉄酸化細菌(Wenelen)を添加した条件での精鉱からの銅回収率の経時変化を示す。図に示すとおり、より高い銅回収率は本発明のLicanantay株を用いた場合に得られた。
【0036】
実施例1,2と同様の実験を、Licanantay DSM17318を含む溶媒抽出工程より再生された溶液を接種した鉱物についても実施した。基本的に図1,2,および3に示したものと同じ結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、実施例1における、細菌DSM17318株と、細菌Wenelen DSM 16786株をリーチング溶液に用いた際の、銅品位28%の黄銅鉱からの銅の溶出を示す。
【図2】図2は実施例1に従い、各種細菌の添加後の銅リーチングにおけるORPの時間変化を示す。
【図3】図3は、実施例2における、細菌Licanantay株と各種既存細菌をリーチング溶液に用いた際の、銅品位28%の黄銅鉱からの銅の溶出を示す。
【図4】図4は、アシディチオバチルス チオオキシダンス DSM17318株の16s rDNA遺伝子をSeq ID No.1として示す。本配列はATCC19377株およびNBRC13701株と100%相同性を示す。
【図5】図5は、RAPD-PCR法を用いた2つのアシディチオバチルス チオオキシダンスにおけるゲノムDNAの違いの解析を示す。ST:標準100塩基対DNAラダー;1:保存機関菌DSM504株;2:バイオシグマ社により分離・寄託されたDSM17318株。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシディチオバチルス チオオキシダンス(Acidithiobacillus thiooxidans)に属し、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig、ドイツ共和国)にて登録番号DSM17318にて寄託され、好酸性・好気性・グラム陰性・運動性・桿菌で、元素硫黄・チオ硫酸・テトラチオン酸などの還元性硫黄化合物に無機栄養的に生育し、鉱物のバイオリーチングの阻害物質となる硫黄含有物質の蓄積を防止する能力を有する、分離された細菌。
【請求項2】
請求項1記載の細菌のうち、特に黄銅鉱(カルコパイライト)・斑銅鉱(ボルナイト)・銅藍(コベライト)、その他の同様の銅鉱物種を含む、混合硫化銅鉱からの銅浸出にすぐれた能力を有することを特徴とする単離された細菌
【請求項3】
請求項1記載の細菌Licanantay DSM 17318株を単独または混合微生物として含むことを特徴とする、硫化金属鉱石のリーチングに用いられる細菌接種物(イノクラム)。
【請求項4】
リーチング対象となる硫化金属鉱石に、リーチングを妨害する硫黄を除去できる、請求項1に記載のLicanantay DSM 17318株を含む細菌を含む酸性溶液を接種し、pH1.0から2.5、工程における温度が35℃以下の常温で銅を浸出することを特徴とする鉱物リーチング工程。
【請求項5】
リーチング対象とする硫化金属鉱物に、Licanantay DSM 17318株およびその他の菌株を含む細菌リーチング溶液を接種することを特徴する請求項4に記載の鉱石リーチング工程。
【請求項6】
前記金属鉱石または精鉱において、黄銅鉱(カルコパイライト)、斑銅鉱(ボルナイト)、輝銅鉱(カルコサイト)、銅藍(コベライト)、砒四面銅鉱(テナンタイト)、硫砒銅鉱(エナジャイト)、を鉱物種の一部として含むことを特徴とする請求項4および5に記載の工程。
【請求項7】
前記鉱物がバット、攪拌槽およびリアクター、ヒープ、ダンプ、鉱さいダムまたは、その他原位置操業にてリーチングされることを特徴とする、請求項4から6に記載の工程。
【請求項8】
請求項1に記載のLicanantay DSMZ 17318株を含む溶媒抽出工程から再生された混合溶液を、前記鉱物に接種し、これら細菌がリーチングを阻害し、好ましくはpH2から3、温度が20から30℃にて操業されることを特徴とする鉱物リーチング工程。
【請求項9】
前記金属鉱石または精鉱において、黄銅鉱(カルコパイライト)、斑銅鉱(ボルナイト)、輝銅鉱(カルコサイト)、銅藍(コベライト)、砒四面銅鉱(テナンタイト)、硫砒銅鉱(エナジャイト)、を鉱物種の一部として含むことを特徴とする請求項8に記載の工程。
【請求項10】
前記鉱物がバット、攪拌槽およびリアクター、ヒープ、ダンプ、鉱さいダムまたは、その他原位置操業にてリーチングされることを特徴とする、請求項8、9に記載の工程。
【請求項11】
硫化銅鉱から湿式法により銅を回収する方法において、浸出溶液である硫酸溶液に細菌として中温性硫黄酸化菌、またはアシディチオバチルス チオオキシダンス(Acidithiobacillus thiooxidans)を添加することにより、浸出阻害因子である元素硫黄を取り除き、常温で効率的に浸出を行うことを特徴とする銅鉱石の浸出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−49992(P2007−49992A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212330(P2006−212330)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(505393463)バイオシグマ・エス・エー (5)
【Fターム(参考)】