説明

硬化性の改善された人工爪組成物

【課題】
硬化性が改善された人工爪組成物の提供。および、さらに黄変が少なく、内部硬化性に優れた人工爪組成物の提供。
【解決手段】
成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物および、(i)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材および(ii)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤およびα−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材の混合物よりなる群から選択される成分(b)光重合開始材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.05〜4.00重量部である人工爪組成物を提供する。好ましくは、アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤はモノアシルホスフィンオキサイドおよび/またはビスアシルフォスフィンオキサイドであって、α−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材は1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、または2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性の改善された人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ネイルアートとは、手足の爪に施す化粧や装飾の事である。ネイルアートを施す店をネイルサロン、その技術者をネイリストと言う。さまざまなネイルアート用品が市販されており、個人でプロ顔負けのネイルアートを行っている女性も多い。
【0003】
19世紀にアメリカで自動車用のラッカー塗料が発明され、この技術を応用して現在使われているマニキュアが開発された。
【0004】
しかしながら、ラッカー塗料を応用したマニキュアは、現在広く普及しているが、天然爪との接着性に乏しく、施術後短期間で剥離、離脱することが問題であった。このため、歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料が開発された。
【0005】
歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料は、ラッカー塗料を応用したマニキュアと比較すると、強度、耐久性に優れ、一部のプロネイリストには受け入れられたものの、アクリルモノマー由来の刺激性や、刺激臭等さらには、施術操作性の悪さなどにより、一般のネイリストには十分に普及しなかった。
【0006】
最近では、歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料の臭気刺激性や施術操作性を改善したジェルネイルが市場の中心となっている。現在市販されているジェルネイルは、(メタ)アクリル系モノマーと光重合開始材とを主構成成分とする高粘度液体材料であり、紫外線を照射することにより硬化する。これらの市販ジェルネイルは、上段落記載の歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料と比較して、臭気刺激、皮膚刺激が少なく、施術操作性が良好であることから、一般のネイリストの多くに受け入れられている。しかし、市販ジェルネイルは、紫外線硬化システムであり、紫外線による人体への悪影響が懸念されている。さらに、硬化物の黄変が認められ、消費者の美的要求に応えることができない。
【0007】
WO 00/076366号公報には、光硬化性の樹脂組成物を層着して素爪を形成した後、可視光線を照射して、素爪を硬化させる方法が開示されている。人体に有害な紫外線の使用に関する改善が認められるものの、該組成物の硬化性、黄変、内部硬化等に関する改善は認められない。
【0008】
特開平11−21212号公報には、ビニル単量体を含むモノマーと重合開始剤とを含む人工爪組成物に関して、該重合開始剤として、可視光線を吸収して分解する重合開始剤を使用することが開示されている。しかし、人体に有害な紫外線の使用に関する改善が認められるものの、該組成物の硬化性、黄変、内部硬化等に関する改善は認められない。
【特許文献1】WO 00/076366号公報
【特許文献2】特開平11−21212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、硬化性が改善された人工爪組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、さらに、黄変が少なく、内部硬化性に優れた人工爪組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(1)成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物および、(i)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材および(ii)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤およびα−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材の混合物よりなる群から選択される成分(b)光重合開始材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.05〜4.00重量部である人工爪組成物である。
【0011】
本発明は、(2)成分(b)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材が、モノアシルフォスフィンオキサイドおよび/またはビスアシルフォスフィンオキサイドであって、α−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材が1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、または2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンである(1)記載の人工爪組成物である。
【0012】
本発明は、(3)硬化に際して、光重合光源として、可視光または紫外光光源を用いる(1)または(2)記載の人工爪組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の人工爪組成物により、従来までの紫外線に加えて、人体に無害な可視光線により光重合が可能となる。さらに、硬化物の黄変も少なく、消費者の美的要求に応えることが可能となる。また、顔料を含む組成物の内部硬化に有効であり、本発明による人工爪組成物によって、特別な美的外観と、人工爪としての機能を指先に容易に付与することができる。さらに、良好な表面硬化性による優れた表面光沢を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とは、公知の単官能性および多官能性の重合性単量体のうちから使用することができる。一般に好適に使用される代表的なものを例示すれば、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する重合性単量体またはウレタン(メタ)アクリレートである。なお、本発明においては(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリロイルをもってアクリロイル基含有重合性単量体とメタクリロイル基含有重合性単量体の両者を包括的に表記する。
【0015】
具体的に例示すれば次の通りである。
単官能性単量体:メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、ステアリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
【0016】
二官能性単量体:1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート
【0017】
三官能以上の単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート
【0018】
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、一分子に少なくとも2個以上のアクロイル基及び/又はメタクリロイル基並びにウレタン基を有する。例えば7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキソ−5,12−ジアザ−ヘキサデカン−1,16−ジオール−ジメタクリレート(以下、「UDMA」と略称する)、1,6-ビス[(2−フェノキシ−2'−アクリロキシ)イソプロピル−オキシ)イソプロピル−オキシ−カルボニルアミノ]ヘキサン(以下、「UDA」と略称する)、1,1,1−トリ[6-{(1−アクリロキシ−3−フェノキシ)イソプロピルオキシカルバニルアミノ}−ヘキシルカルバモイロキシメチル]プロパン(以下、「URO」と略称する)等が例示できる。
【0019】
上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外に、人工爪組成物の目的に応じて、他の重合性単量体、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体のオリゴマーまたはポリマーを用いても何等制限はない。また、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していても何等問題はない。
【0020】
本発明において、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とは、単一成分の場合のみならず、複数の重合性単量体からなる重合性単量体の混合物も含む。また、重合性単量体の粘性が室温で極めて高い場合、または重合性単量体が固体である場合は、低粘度の重合性単量体と組み合わせて重合性単量体の混合物として使用するのが好ましい。この組合せは2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0021】
さらに、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物として、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性成分を含有してもよい。好ましくは、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物であり、P−OH結合を有する化合物としては、リン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基、ホスホン酸基、ホスホン酸モノエステル基、亜リン酸モノエステル基、ホスフィン酸基、ピロリン酸基等であるが、特にリン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基や、ホスホン酸基を有する化合物が好ましい。
【0022】
本発明における、(b)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材としては、1つまたは2つのアシル基を持つタイプがあり、それぞれ、モノアシルフォスフィンオキサイド、またはビスアシルフォスフィンオキサイドと呼ばれ、いずれも利用可能である。本発明における(b)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材は、100重量部の成分(a)に対して、0.05〜4.00重量部である。
例示すれば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド等であり、好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、およびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドである。
【0023】
また、本発明における(b)α−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材として、好ましくは、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、または2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンである。さらに好ましくは、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、または2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンである。
【0024】
本発明における光重合用可視光光源としては、太陽光、ハロゲンランプ、キセノンランプ、プラズマアークランプ、発光ダイオードが挙げられ、好ましくは、波長380〜420nmに放射ピークを有する発光ダイオードである。紫外光光源としては、波長379nmに放射ピークを有する蛍光管、LED発光ダイオードが挙げられる。
【0025】
本発明の人工爪組成物には、必要に応じて、公知の各種添加剤を配合することができる。かかる添加剤の例としては、無機フィラー、有機質無機複合フィラー、重合禁止剤、着色剤、変色防止剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、揮発性有機溶媒等が挙げられる。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0027】
[実施例に示した略称(化学名)]
1.分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物
23G:トリコサエチレングリコールジメタクリレート
UDMA:ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン
2.アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材
MAPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
3.α−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材
IRG‐184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
DAR−1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
BAMP:2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルフォリノブチロフェノン
4.着色材
JR805:酸化チタン(テイカ株式会社製)
5.無機フイラー
R972:シリカフィラー(日本アエロジル社製)
[実験に使用した装置、機器]
1.紫外線光重合装置
アクセンツUVランプ(UVL−92型、滝川株式会社製)
2.可視光線光重合光源
LEDダイレクトバー照明(IDB−C50/15UV−400型、ピーク波長405nm:株式会社イマック製)
【0028】
[人工爪組成物の調製]
表1および、表2に記載した配合量に従い、原材料を計量後、大気圧下60℃にて3時間混合後さらに、大気圧下23±2℃にて12時間混合して、高粘度透明液体を得た。さらに、40〜45Torr下にて脱泡を行った。
【0029】
[硬化性の評価1]
硬化性の評価として、組成物の光重合発熱温度の計測を行った。直径6mmの円筒形プラスチック容器に、表1記載の人工爪組成物を1ml充填し、上部より突き刺し型熱電対(安立計器社製)を挿入し、発熱温度を1秒間隔で計測した。ここで、紫外線硬化の例として、紫外線光重合装置アクセンツUVランプを使用し装置内中央部に人工爪組成物を充填した円筒形プラスチック容器を固定した、また、可視光線硬化の例として、LEDダイレクトバー照明を使用し、人工爪組成物を充填した円筒形プラスチック容器の側面から光照射を行った。いずれの場合においても、光照射を行った時間をゼロ秒として、光重合による発熱温度曲線のピーク時の時間を硬化時間として記録した。また、同時に光重合による発熱温度曲線のピーク時の温度を硬化温度として記録した。さらに、市販品ジェルネイルの比較対象として、アクセンツ(AKZENTZ)(色調:オプションズクリア)および、カルジェル(CALJRL)(色調:0)について同様の測定を行った。計測された硬化時間および、硬化温度を表1に記載した。アクセンツおよびカルジェルは両に製造販売元滝川(株)の製品であり、アクセンツはウレタンメタクリレートオリゴマー、メタクリル酸ヒドロキシエチル、イロロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ゴチルパーベンゾエート、およびパラフィンを含み、カルジェルはポリエチレンメタクリレートコポリマー、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ブチルパーベンゾエート、および光重合開始材を含む。
【0030】
[黄色度の評価]
黄色度の評価は、JIS K 7373:2006(プラスチック−黄色度および黄変度の求め方)に準拠した。人工爪組成物を直径(内径)15mm、厚さ2mmのリング型ステンレス製モールドに充填し、上下方向からスライドガラスで圧接し、形態の修正と光照射面の空気の遮断を行った後、紫外線重合装置(アクセンツUVランプ)を使用して3分間光重合を行って人工爪組成物の円盤状硬化物を作製し、これを黄色度測定用円盤状試験片とし、分光測色器(コニカミノルタ社製、CM−2002)を使用して黄色度を測定した。さらに、市販品ジェルネイルの比較対象として、アクセンツ(色調:オプションズクリア)および、カルジェル(色調:0)について同様の測定を行った。
[測定条件]
a)規格番号:JIS K 7373:2006
b)試料の種類および、形状:試作人工爪組成物(実施例1〜19、比較例1〜7)、および市販製品(アクセンツ(色調:オプションズクリア)(比較例8)、カルジェル(色調:0)(比較例9))の硬化体の平板状試料(直径15mm、厚さ2mm)を使用した。
c)使用したイルミナントおよび表色系:補助イルミナントCを使用し、XYZ表色系を用いた。
d)反射測定方法において測定を実施した。
e)測定に使用したJIS Z 8722に規定する幾何光学条件:条件c[8/0]
f)試験装置の形式および名称:分光測色器(コニカミノルタ社製、CM−2002)
g)試験片裏面のあて板:標準白色面を使用した。
測定された黄色度(YIと表記される場合がある)を表1に記載した。
【0031】
[硬化性の評価2]
着色材を含有する組成物における内部硬化性の評価を行った。表2に従い調製された人工爪組成物を直径15mm、厚さ2mmのリング型ステンレス製モールドに充填し、上下方向からスライドガラスで圧接し、形態の修正と光照射面の空気の遮断を行った後、紫外線硬化の例として、紫外線光重合装置(アクセンツUVランプ)を使用し、また可視光線硬化の例として、LEDダイレクトバー照明を使用して3分間の光重合を行った。3分間経過後、光照射面の硬化物の硬化厚さをマイクロメーターで測定した。測定結果を表2に記載した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物および、(i)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材および(ii)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤およびα−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材の混合物よりなる群から選択される成分(b)光重合開始材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.05〜4.00重量部である人工爪組成物。
【請求項2】
成分(b)アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始材が、モノアシルフォスフィンオキサイドおよび/またはビスアシルフォスフィンオキサイドであって、α−ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始材が1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、または2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンである請求項1記載の人工爪組成物。
【請求項3】
硬化に際して、光重合光源として可視光または紫外光光源を用いる請求項1、または請求項2記載の人工爪組成物。

【公開番号】特開2010−37330(P2010−37330A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152449(P2009−152449)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】