説明

硬化性オルガノポリシロキサン組成物

【課題】エポキシ樹脂系防食塗膜の表面上に直接積層できると共に従来以上の防汚性能を有する防汚塗膜が得られる、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)、シリカ(a2)、上記オルガノポリシロキサン(a1)の縮合反応性基と縮合反応可能な官能基を有するオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)、所定の一般式で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物(ac)を少なくとも含有する、2液型または3液型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂系防食塗膜との接着性が改善され、しかも良好な防汚性能を有する防汚塗膜を形成しうる硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。また、本発明は、このような硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含有する防汚塗料組成物、この防汚塗料組成物を硬化させることにより形成される防汚塗膜、ならびにこの防汚塗膜とエポキシ樹脂系防食塗膜とからなる複合防汚塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性オルガノポリシロキサン系塗料組成物から形成される塗膜は、水中構造物への水棲生物の付着を防止するための防汚塗膜として利用されており、従来の有機金属等の有害な物質を含む防汚塗膜に替わり得るものとして有用である。この硬化オルガノポリシロキサン系防汚塗膜は、鋼製などの基材表面に防食性の観点から形成されたエポキシ樹脂系防食塗膜の上層に積層され、硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜として好適に用いることができる。
【0003】
従来は、硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜において、硬化オルガノポリシロキサン系防汚塗膜層(Finish Coat)とエポキシ防食塗膜層(Under Coat)との間に、1
層または2層のオルガノポリシロキサン中間塗膜層(Tie Coat)を介在させ、上記防汚複合塗膜全体を3層または4層の塗膜構造とすることにより、塗膜層間の接着力を保持していた。しかし、このような多層塗膜構造の防汚複合塗膜においては、長期的な防汚性が得られず、また塗装工期も長期化するため、コスト高となる問題があった。
【0004】
また、従来の硬化性オルガノポリシロキサン系塗料組成物としては、以下の文献に記載されたものなどが知られている。
特表2002−500239号公報(特許文献1)には、例えば、α,ω−ヒドロキシ官能性シロキサン、シリカ、シリコーンオイルなどを含有するベースと、テトラエチルオルソシリケート、シリコーンオイルなどを含有する硬化剤と、ジブチル錫ジラウレートなどを含有する触媒溶液とからなる3パック配合の防汚塗料組成物が開示されている。
【0005】
特表平5−505845号公報(特許文献2)には、例えば、α,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン、アルコキシシラン硬化剤、カルボン酸の金属および有機金属塩(例:オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫アセテート)などの硬化用触媒などを含有する室温硬化性ポリジオルガノシロキサンが開示されている。
【0006】
特表平5−507955号公報(特許文献3)には、例えば、α,ω−ジヒドロキシポ
リジオルガノシロキサン、架橋剤としてのケチミノキシシラン化合物、触媒としてのカルボン酸の金属または有機金属塩(例:オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート)、熱処理されたシリカ、非反応性シリコーン油などを含有するオルガノポリシロキサン組成物が開示されている。
【0007】
特表平7−506599号公報(特許文献4)には、例えば、反復単位の少なくとも主割合がシロキサン単位以外のポリマー、硬化性ポリジオルガノシロキサン、単一パックまたは2液型方式で使用できる、テトラオルソエチルシリケートなどの硬化剤、錫等の金属のカルボン酸塩(例:ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、オクタン酸錫(II)、ジブチル錫アセトアセトネート)などの縮合硬化反応用の触媒、シリコーン油などを含有する防汚塗膜生成用の組成物が開示されている。また、このような組成物を含有する防汚塗料組成物は、エポキシ塗料などから形成される公知の耐食性被覆上に良好な
接着性を有して塗布できる旨記載されている。
【0008】
しかし、これらの特許文献に記載された硬化性オルガノポリシロキサン系塗料組成物、すなわち従来のスズのカルボン酸塩を含有する塗料組成物を用いる場合、硬化オルガノポリシロキサン系防汚塗膜は下地のエポキシ塗膜との付着しないため、複合塗膜を形成するために、少なくとも1層のオルガノポリシロキサン中間塗膜層(TieCoat)が必要であっ
た。
【特許文献1】特表2002−500239号公報
【特許文献2】特表平5−505845号公報
【特許文献3】特表平5−507955号公報
【特許文献4】特表平7−506599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来技術に伴う問題を解決するためのものであり、エポキシ樹脂系防食塗膜の表面上に直接積層させても極めて層間接着性に優れると共に、優れた防汚性能を兼ね備えた防汚塗膜が得られる、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述したような問題点を解決すべく鋭意検討を進めた結果、硬化性オルガノポリシロキサン系防汚塗料組成物に特定のスズ触媒を配合することにより、好ましくは所定の割合で配合することにより、エポキシ防食塗膜との接着性が向上し、しかも防汚性能および塗膜強度性能が良好である硬化オルガノポリシロキサン系防汚塗膜が形成されることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の第1の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(A)1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)を含有する主剤成分と、(B)上記1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)の縮合反応性基と縮合反応可能な官能基を有するオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)を含有する硬化剤成分と、(C)下記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物(ac)を含有する効果促進剤成分とからなる、3液型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物として提供される。
【0012】
【化1】

【0013】
(式(I)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R2は炭素原子数1〜4の炭化
水素基を示す。pは1〜10、qは1〜4、rは1〜5の整数を示す。)
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
(式(II)〜(V)中、R1は炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、R2は炭素原子数
1〜4の炭化水素基を示す。また、式(V)中のnは1以上の整数である。)
また、本発明の第2の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(A)上記オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)を含有する主剤成分と、(B)上記オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)を含有する硬化剤成分と、主剤成分(A)または硬化剤成分(B)に配合された、上記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物(ac)とからなる、2液型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物としても提供される。
【0019】
上記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物(ac)としては、シロキサン結合含有スズ化合物が好ましい。このスズ化合物(ac)に含有されるスズの配合量は、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、0.0
01〜2.0重量%が好ましく、0.01〜1.0重量%がより好ましい。また、成分(a1)、(a2)および(b1)の合計量に対する割合は、0.001〜1.0重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。
【0020】
主剤成分(A)中の上記オルガノポリシロキサン(a1)は、好ましくは、それぞれ独立に、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群より選ばれる官能基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであり、より好ましくは、それぞれ独立に、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群より選ばれる官能基を分子の両末端に有するオルガノポリシロキサンである。
【0021】
硬化剤成分(B)中の上記オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)は、好ましくは、水酸基、オキシム基、アセチルオキシ基またはアルコキシ基を有するオルガノシランおよび/またはそれらの部分加水分解物であり、より好ましくは、アルキルシリケートまたはその部分加水分解物である。
【0022】
主剤成分(A)は、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)とシリカ(a2)とをあらかじめ加熱処理することにより形成された熱処理物(a22)、あるいはこのような熱処理物(a22)と1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a12)とを含有することが好ましい。
【0023】
主剤成分(A)は、さらに、チタン白、黒色弁柄、カーボンブラック、弁柄およびコバルトブルーなどの着色顔料(a3)を含有してもよい。これらの着色顔料(a3)の配合量は、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、0.01〜30重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましい。
【0024】
主剤成分(A)は、さらに溶剤(a4)を含有していてもよい。
硬化剤成分(B)中のオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)の重量は、1分子中に少なくとも2つの縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、1〜20重量%であることが好ましく、3〜10重量%であることがより好ましい。
【0025】
主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)には、さらに液状オルガノポリシロキサン(d1)が配合されていてもよい。この液状オルガノポリシロキサン(d1)のGPCで測定した数平均分子量(Mn)は、400〜10000であることが好ましい。
【0026】
上記液状オルガノポリシロキサン(d1)は、例えば下記一般式(3a)および/または(3b)で表される非反応性液状オルガノポリシロキサン(d11)であってもよく、例えば下記一般式(3c)で表される反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)であってもよい。反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)の縮合反応性官能基は、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の縮合反応性官能基であることが好ましい。
【0027】
【化6】

【0028】
(上記一般式(3a)中、R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはフルオロアルキル基を示し、nは0〜500の整数を示す。)
14xSi(R15−Z)y(4-x-y)/2 ……(3b)
(上記組成式(3b)中、R14は水素原子、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、R15はエーテル基、エステル基または−NH−が介在していてもよい炭素数2〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、Zは、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基または末端が炭素数1〜6のアルキル基もしくはアシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール基である1価の
極性基を示す。また、x、yは、0.01≦x<3.99、0.02≦y<4、かつ0.02≦x+y<4を満たす。)
≡SiR4OSiR5b(3-b) ……(3c)
(上記式(3c)中、R4は非置換または置換の2価炭化水素基またはエーテル結合を含
む2価炭化水素基を表し、R5は非置換または置換の1価炭化水素基を表し、Yは縮合反
応性官能基を表し、bは0、1または2である。)
液状オルガノポリシロキサン(d1)の割合は、主剤成分(A)に配合されて用いられるときは、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、0.01〜15重量%以下であることが好ましく、1〜10重量%がより好ましい。また、硬化性成分(B)に配合されて用いられるときは、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)に対して、0.01〜500重量%が好ましく、50〜350重量%がより好ましい。このような液状オルガノポリシロキサン(d1)としては、シリコーンオイルが好ましい。
【0029】
主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)には、さらにシランカップリング剤が配合されていてもよい。シランカップリング剤の配合量は、主剤成分(A)に配合して用いられるときは、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、0.01〜1重量%であることが好ましく、一方、硬化剤成分(B)に配合して用いられるときは、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)に対して、0.01〜50重量%であることが好ましい。
【0030】
以上のような硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含有する防汚塗料組成物[ii]を硬化させることにより、本発明の防汚塗膜[II]を形成することができる。
この防汚塗膜[II]は、エポキシ樹脂系防食塗膜、とくにエポキシ樹脂(e1)およびエポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)を含み、さらに体質顔料(e3)およびタレ止め剤(e4)を含んでいてもよい防食塗料組成物[i]から形成されるエポキシ樹脂系防食塗膜[I]との接着性が良好であり、このエポキシ樹脂系防食塗膜[I]の表面上に直接接して積層形成させ、防汚複合塗膜として用いることが可能である。
【0031】
上記エポキシ樹脂系防食塗料組成物[i]に含まれる成分の好ましい具体例として、エポキシ樹脂(e1)としてはビスフェノールタイプエポキシ樹脂が挙げられ、エポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)としてはポリアミドアミンが挙げられ、体質顔料(e3)としてはタルク、硫酸バリウム、マイカ、酸化チタンおよびカーボンブラックが挙げられ、タレ止め剤(e4)としてはポリアマイドワックスが挙げられる。
【0032】
以上のような本発明の防汚塗膜および防汚複合塗膜は、水中構造物および船舶などの基材を被覆するよう塗装することができ、良好な防汚性能を発揮しうる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、従来の中間塗膜層を介在させることなく、エポキシ防食塗膜層の上に直接接して、この防食塗膜層との層間接着性に優れた硬化オルガノポリシロキサン系防汚塗膜層を積層させることが可能となり、塗装工期の短縮やコスト低減などの効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明における硬化性オルガノポリシロキサン組成物、この組成物を含有する硬化性オルガノポリシロキサン系防汚塗料組成物[ii](単に「防汚塗料組成物[ii]」ともいう。)、この防汚塗料組成物[ii]から形成される硬化オルガノポリシロキサン系防汚塗膜(単に「防汚塗膜[II]」ともいう。)、エポキシ樹脂系防食塗料組成物[i](単に「防食塗料組成物[i]ともいう。」)、エポキシ樹脂系防食塗膜[I](
単に「防食塗膜[I]ともいう。)、およびこの防食塗膜[I]と上記防汚塗膜[II]とからなる硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜(単に「防汚複合塗膜」ともいう。)などについて、具体的に説明する。
【0035】
硬化性オルガノポリシロキサン組成物
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、少なくとも、
(a1)1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン、
(a2)シリカ、
(b1)上記オルガノポリシロキサン(a1)の縮合反応性基と縮合反応可能な官能基を有するオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物、および
(ac)前記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物、
を含有する。
【0036】
なお、本明細書において、「(a1)1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン」を「オルガノポリシロキサン(a1)」または「成分(a1)」と呼ぶことがあり、「(b1)上記オルガノポリシロキサン(a1)の縮合反応性基と縮合反応可能な官能基を有するオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物」を「オルガノシラン(b1)」または「成分(b1)」と呼ぶことがあり、また、「(ac)前記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物」を「スズ化合物(ac)」または「成分(ac)」と呼ぶこともある。
【0037】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、通常、下記のような3液型または2液型の組成物として提供される。これらの3液または2液はそれぞれ別個に、缶などの容器に入れられた状態で貯蔵保管され、塗装時に混合・攪拌して使用される。
【0038】
上記3液型の態様の硬化性オルガノポリシロキサン組成物においては、下記の主剤成分(A)、硬化剤成分(B)および硬化促進剤成分(C)がそれぞれ別個に包装(パック)され、使用時にこれらを混合して用いる。
【0039】
この場合、主剤成分(A)は、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)を含有する。硬化剤成分(B)は、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)を含有する。硬化促進剤成分(C)は、スズ化合物(ac)を含有する。
【0040】
一方、上記2液型の態様の硬化性オルガノポリシロキサン組成物においては、下記の主剤成分(A)および硬化剤成分(B)がそれぞれ別個に包装(パック)され、使用時にこれらを混合して用いる。
【0041】
この場合、主剤成分(A)は、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)を含有する。硬化剤成分(B)は、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)を含有する。また、スズ化合物(ac)は、主剤成分(A)または硬化剤成分(B)に配合されて用いられる。
【0042】
さらに、上記2液型および3液型のいずれの場合も、主剤成分(A)に着色顔料(a3)または溶剤(a4)が配合されることがあり、また、主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に、液状オルガノポリシロキサン(d1)またはシランカップリング剤が配合されることがある。
【0043】
以下、これらのオルガノポリシロキサン(a1)、シリカ(a2)、オルガノシラン(
b1)、スズ化合物(ac)、着色顔料(a3)、溶剤(a4)、液状オルガノポリシロキサン(d1)、シランカップリング剤などの各種成分について順次説明する。
【0044】
オルガノポリシロキサン(a1)
本発明で用いられるオルガノポリシロキサン(a1)は、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有する、下記一般式(1)で表される構造を有する重合体である。
【0045】
【化7】

【0046】
上記一般式(1)中、R11は、互いに同一でも異なっていてもよく、縮合反応性基あるいは炭素原子数1〜12の1価炭化水素基を示す。ただし、R11の少なくとも2つは縮合反応性基でなくてはならない。nは250〜2500、好ましくは350〜1500の整数を示す。
【0047】
また、上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン(a1)は、数平均分子量が通常は20,000〜170,000、好ましくは25,000〜100,000であり、25℃における粘度が通常は500〜1,000,000mPa・s、好ましくは1,000〜100,000mPa・sである。
【0048】
上記「縮合反応性基」としては、水酸基、あるいはアルコキシ基、アセチルオキシ基、アルケニルオキシ基、イミノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、オキシム基などの加水分解性基等が挙げられ、なかでも、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基またはアルコキシ基が反応性などの点で好ましい。
【0049】
上記アミノ基としては、総炭素原子数1〜10のものが望ましく、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N,N−
ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などが挙げられ
る。
【0050】
上記アセチルオキシ基としては、炭素原子数1〜10の脂肪族系または炭素原子数6〜12の芳香族系のものが望ましく、例えば、アセトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
【0051】
上記アルコキシ基としては、総炭素原子数1〜10のものが望ましく、炭素原子間に1カ所以上酸素原子(エーテル結合)が介在していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基などが挙げられる。
【0052】
本発明におけるオルガノポリシロキサン(a1)としては、反応性などの点から、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群よりそれぞれ独立に選ばれる官能基を分子の両末端に有するものが好ましく、分子の両末端に水酸基を有するもの(α,ω−ジヒドロキシ官能性シロキサン)が特に好ましい。
【0053】
一方、一般式(1)における炭素原子数1〜12の1価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アラルキル基などが挙げら
れる。これらの1価炭化水素基は、置換または非置換のどちらであってもよい。
【0054】
上記アルキル基としては、直鎖状、分岐状または脂環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基等が挙げられる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、ヘキセニル基、アリル基等が挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。なかでも、非置換のメチル基およびフェニル基が好ましい。
【0055】
このようなオルガノポリシロキサン(a1)は、良好な防汚性を発揮させるためには、溶剤等を含む防汚塗料組成物[ii]中に、通常20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%の量で、また防汚塗料組成物[ii]の固形分100重量%に対して、通常25〜95重量%、好ましくは35〜85重量%の量で配合される。
【0056】
なお、本発明におけるオルガノポリシロキサン(a1)として、上市されている製品を用いることができる。例えば、水酸基を有する「YF3057」(GE東芝シリコーン製)、オキシム基を有する「KE45」(信越化学工業製)、アルコキシ基を有する「KE489」(信越化学工業製)などが挙げられる。
【0057】
シリカ(a2)
本発明で用いられるシリカ(a2)としては、湿式法シリカ(水和シリカ)、乾式法シリカ(フュームドシリカ、無水シリカ)等の親水性シリカ(表面未処理シリカ)、および、疎水性湿式シリカ、疎水性フュームドシリカ等の表面処理された疎水性シリカを用いることができる。これらは単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0058】
上記湿式法シリカは、特に限定されないが、例えば、吸着水分含量4〜8%程度、嵩密度200〜300g/L、1次粒子径10〜30μm、比表面積(BET表面積)10m2/g以上のものを使用できる。
【0059】
上記乾式法シリカは、特に限定されないが、例えば、水分含量が1.5%以下、嵩密度
50〜100g/L、1次粒子径8〜20μm、比表面積10m2/g以上のものを使用
できる。
【0060】
上記疎水性フュームドシリカは、乾式法シリカをメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の有機珪素化合物で表面処理したものである。経時的な水分吸着は少なく、水分含量は通常0.3%以下、多くの場合0.1〜0.2%である。この
ような疎水性フュームドシリカとしては、特に限定されないが、例えば、1次粒子径5〜50μm、嵩密度50〜100g/L、比表面積10m2/g以上のものを使用できる。
【0061】
なお、以下に述べるように、前述のオルガノポリシロキサン(a1)と共に熱処理した場合、生成される熱処理疎水性ヒュームドシリカは、シリカの表面に吸着している水分が物理的に低減・除去されており、水分含量は通常、0.2%以下、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.05〜0.1%である。嵩密度等のその他の物性値は、上記疎水性シリカと同様のままである。
【0062】
このようなシリカ(a2)は上市されているものを用いることができる。例えば、日本アエロジル製「R974」、「RX200」などが挙げられる。
本発明の主剤成分(A)中のオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)は、上記オルガノポリシロキサン(a1)とシリカ(a2)とを予め加熱処理することにより形成される熱処理物(a22)であること、または、この熱処理物(a22)および加熱処理していないオルガノポリシロキサン(a1)の混合物であることが好ましい。シリカ(a2)を、オルガノポリシロキサン(a1)の一部または全部と共にあらかじめ加熱処理することにより、両成分の親和性を向上させ、シリカ(a2)の凝集を抑制するなどの効果が得られるためである。この加熱処理は、例えば、常圧下または減圧下に、100℃以上で配合成分の分解温度以下、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは140〜200℃の温度で、通常30分〜3時間程度加熱すればよい。
【0063】
シリカ(a2)は、オルガノポリシロキサン(a1)100重量部に対し、通常1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部の割合で配合される。シリカ(a2)の配合量が、上記範囲より少ないと、充分な塗膜強度、塗膜硬度およびチクソトロピー性が得られず、1回の塗装、特にスプレー塗装で所望の膜厚が得られないことがあり、上記範囲より多いと、塗料の粘度が過度に高くなることがある。
【0064】
以上のようなシリカ(a2)を用いることにより、得られる防汚塗料組成物の調製または保管時の安定性が増し、流動性、チクソトロピー性が良好になり、垂直塗装面などに対しても充分な厚みの塗膜を少ない塗装回数で形成でき、さらに得られる塗膜の硬さ、引張強さ、伸び等の物性にバランス良く優れ、防汚性にも優れるなどの効果が得られる。
【0065】
オルガノシラン(b1)
本発明で用いられるオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)は、1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)の縮合反応性基と縮合反応可能な官能基を有する。この成分(b1)におけるオルガノシランとしては、下記一般式(2)で表されるオルガノシランを用いることができる。
【0066】
【化8】

【0067】
上記一般式(2)中、R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、縮合反応性基あるいは炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示す。ただし、R12の少なくとも2つ、望ましくは3つ以上は縮合反応性基である。mは0〜10、好ましくは0〜8の整数を示す。
【0068】
一般式(2)における炭素原子数1〜8の1価炭化水素基としては、前記一般式(1)の場合と同様に、それぞれ置換または非置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アラルキル基などが挙げられる。
【0069】
一般式(2)における縮合反応性基としては、前記一般式(1)の場合と同様のものが挙げられるが、なかでも、水酸基、オキシム基、アセチルオキシ基またはアルコキシ基が好ましい。
【0070】
また、例えば上記アセチルオキシ基、アルコキシ基などの加水分解性基が部分的に加水分解されたオルガノシランを、上記成分(b1)として用いることもできる。
本発明では、特に、上記アルコキシ基を含有するオルガノシラン、すなわちアルコキシシラン(アルキルシリケート)またはその部分加水分解物を好適に用いることができる。
上記アルコキシシランとしては、例えば、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)等のテトラアルキルオルトシリケート(テトラアルコキシシラン)、またはメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランもしくはメチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0071】
特に、両末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサンを成分(a1)として用いる場合、これらのアルキルシリケート(アルコキシシラン)および/またはその部分加水分解物を成分(b1)として組み合わせて用いることが好ましい。
【0072】
このようなオルガノシラン(b1)は上市されているものを用いることができる。例えば、テトラエチルオルトシリケートとしては「エチルシリケート28」(コルコート社製)、「正珪酸エチル」(多摩化学工業製)が、テトラエチルオルトシリケートの部分加水分解物としては「シリケート40」(多摩化学工業製)、「TES40 WN」(旭化成ワッカーシリコーン製)が、アルキルトリアルコキシシランとしては「KBM−13」(信越化学工業製)などが挙げられる。
【0073】
上記オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)は、本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、両末端に縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計重量[(a1)+(a2)]100重量%に対して、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%の割合の重量で配合されることが塗膜の作業性を良好にし、形成される塗膜に十分な防汚性を与えることができるために望ましい。
【0074】
スズ化合物(ac)
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物では、スズ化合物(ac)として、下記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物が用いられる。これらのスズ化合物は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
【化9】

【0076】
式(I)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R2は炭素原子数1〜4の炭化
水素基を示す。pは1〜10、qは1〜4、rは1〜5の整数を示す。 SHAPE \* MERGEFORMAT
【0077】
【化10】

【0078】
【化11】

【0079】
【化12】

【0080】
【化13】

【0081】
式(II)〜(V)中、R1は炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、R2は炭素原子数
1〜4の炭化水素基を示す。また、式(V)中のnは1以上の整数である。
上記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物のうち、一般式(I)においてR1がブチル基、R2がエチル基であるスズ化合物は下地エポキシ塗料と良好な付着性が確保でき、
また、塗料の可使時間が好適な範囲となるなどの点で好ましい。
【0082】
このようなスズ化合物(ac)としては、上市されている商品を用いることができ、例えば、日東化成社製「U−700」、「U−780」などが挙げられる。
スズ化合物(ac)は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物が3液型であれば単独で「硬化促進剤成分(C)」として用いられ、2液型であれば主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に配合して用いられる。
【0083】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、スズ化合物(ac)に含有されるスズの、成分(a1)および(a2)の合計量に対する割合は、塗料の反応時間などの点を考慮すると、0.001〜2.0重量%であることが好ましく、0.01〜1.0重
量%であることがより好ましい。
【0084】
また、同じく上記スズ化合物(ac)に含有されるスズの、成分(a1)、(a2)および(b1)の合計量に対する割合は、塗料の反応時間などの点を考慮すると、0.00
1〜1.0重量%であることが好ましく、0.01〜0.5重量%であることがより好まし
い。
【0085】
液状オルガノポリシロキサン(d1)
本発明において、主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)には、さらに液状オ
ルガノポリシロキサン(d1)が配合されていてもよい。液状オルガノポリシロキサン(d1)が配合されていない場合、防汚塗料組成物[ii]から形成される防汚塗膜と、エポキシ樹脂系防食塗膜との塗膜接着性に優れる傾向がある。一方、非反応性液状オルガノポリシロキサン(d11)が配合された場合は上記防汚塗膜の防汚性に優れ、反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)が配合された場合は上記防汚塗膜の防汚性および塗膜接着性に優れる傾向がある。
【0086】
本発明における非反応性液状オルガノポリシロキサン(d11)としては、例えば、下記一般式(3a)または組成式(3b)で表される、オルガノポリシロキサン(a1)などとの反応性や自己縮合性を示さない、非反応性のシリコーンオイルを好ましく用いることができる。これらのシリコーンオイルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような非反応性液状オルガノポリシロキサン(d11)は、得られる塗膜の表面に防汚機能層を形成する働きを有していると考えられる。
【0087】
【化14】

【0088】
上記一般式(3a)中、R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはフルオロアルキル基を示し、nは0〜500の整数を示す。
【0089】
また、上記一般式(3a)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が通常は180〜20,000、好ましくは1,000〜10,000であり、25℃における粘度が通
常は20〜30,000mPa・s、好ましくは50〜3,000mPa・sである。
【0090】
上記一般式(3a)で表されるシリコーンオイルとしては、例えば、R13のすべてがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、このジメチルシリコーンオイルの一部がフェニル基で置換されたフェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられ、なかでもメチルフェニルシリコーンオイルが好ましい。
【0091】
このようなメチルフェニルシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、信越化学工業社製品「KF−54」,「KF−56」、「KF−50」;東レダウコーニングシリコーン社製「SH510」,「SH550」;東芝シリコーン社製「TSF431」,「TSF433」等の商品名で上市されているものが挙げられる。
【0092】
14xSi(R15−Z)y(4-x-y)/2……(3b)
上記組成式(3b)中、R14は水素原子、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、R15はエーテル基、エステル基または−NH−が介在していてもよい炭素数2〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、Zは、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基または末端が炭素数1〜6のアルキル基もしくはアシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール基である1価の極性基を示す。また、x、yは、0.01≦x<3.99、0.02≦y<4、かつ0.02≦x+y<4を満たす。
【0093】
また、上記組成式(3b)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が通常は250〜30,000、好ましくは1,000〜20,000であり、25℃における粘度が通
常は20〜30,000mPa・s、好ましくは50〜3,000mPa・sである。
【0094】
上記組成式(3b)で表されるシリコーンオイルとしては、例えば、R14がメチル基またはフェニル基であり、R15がメチレン基、エチレン基またはプロピレン基であるものが好ましい。また、Zが、末端が炭素数1〜6のアルキル基もしくはアシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール基である場合、このアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、このアシル基としては、ケトオキシム基、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられ、繰り返し単位としてのオキシエチレン、オキシプロピレンの数は10〜60が好ましい。
【0095】
このような上記組成式(3b)で表されるシリコーンオイルについて、具体的には、例えば、極性基Zがアミノ基であるシリコーンオイルとしては、東レダウコーニング社製「SF8417」;東芝シリコーン社製「ISI4700」、「ISI4701」;日本ユニカー社製「FZ3712」、「AFL−40」等が挙げられる。極性基Zがカルボキシル基であるシリコーンオイルとしては、東芝シリコーン社製「XI42−411」;東レダウコーニングシリコーン社製「SF8418」;日本ユニカー社製「FXZ4707」等が挙げられる。また極性基がエポキシ基であるシリコーンオイルとしては、東レダウコーニングシリコーン社製「SF8411」;東芝シリコーン社製「XI42−301」;日本ユニカー社製「L−93」,「T−29」等が挙げられる。極性基Zがアルキル基またはアシル基であるシリコーンオイルとしては、東芝シリコーン社製「ISI4460」、「ISI4445」、「ISI4446」;東レダウコーニングシリコーン社製「SH3746」、「SH8400」、「SH3749」、「SH3700」;信越シリコーン社製「KF6009」等が挙げられる。
【0096】
一方、本発明における反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)としては、例えば、下記一般式(3c)で表される基を少なくとも1個有するシリコーンオイルを好ましく用いることができる。
【0097】
≡SiR4OSiR5b(3-b) ……(3c)
上記式(3c)中、R4は非置換または置換の2価炭化水素基またはエーテル結合を含
む2価炭化水素基を表し、R5は非置換または置換の1価炭化水素基を表し、Yは縮合反
応性官能基を表し、bは0、1または2である。上記縮合反応性官能基は、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の縮合反応性官能基であることが好ましい。
【0098】
このような反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)は、例えば、H3C−[SiR2−O−]n−SiR4OH(ここで、Rはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を表し、R4は上記式(3c)における場合と同様
である。)で表されるシリコーンオイルと、SiR5b(4-b)(ここで、R5およびYは上記式(3c)における場合と同様であり、bは0,1,2または3である。)で表されるオルガノシランと反応させることにより調製することが可能である。
【0099】
本発明における液状オルガノポリシロキサン(d1)は、主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に配合して用いられる。上記成分(d1)を主剤成分(A)に配合して用いる場合、主剤成分(A)に含まれる成分(a1)および(a2)の合計量に対する割合[(d1)/[(a1)+(a2)]]は、十分な塗膜強度を得るため、また、良好な防汚機能層の形成などの点を考慮すると、0.01〜15重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。また、上記成分(d1)を硬化剤成分(B)に配合して用いる場合、硬化剤成分(B)に含まれる成分(b1)に対する割合[(d1)/(b
1)]は、塗料の取り扱い粘度などの点を考慮すると、0.01〜500重量%であるこ
とが好ましく、50〜350重量%であることがより好ましい。
【0100】
シランカップリング剤
本発明において、主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)は、さらにシランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤を本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合することにより、エポキシ樹脂系防食塗膜などとの付着性をより向上させることができる。
【0101】
シランカップリング剤は、オルガノポリシロキサン(a1)として前述のような商品を利用する場合に当該商品に予め配合されていることもあるが、配合されていない場合には別途、2液型または3液型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を包装(パック)する前に、主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に配合すればよい。
【0102】
用いるシランカップリング剤の種類は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の塗布対象に応じて公知のものを適宜選択して利用することができるが、例えば、エポキシ樹脂系防食塗膜を塗布対象とする場合は、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルプロピルトリエトキシシランなどが好ましい。
【0103】
このようなシランカップリング剤を主剤成分(A)に配合して用いる場合、主剤成分(A)に含まれる成分(a1)および(a2)の合計量に対する割合は、0.01〜1重量%であることが好ましく、0.1〜0.6重量%であることがより好ましい。また、シランカップリング剤を硬化剤成分(B)に配合して用いる場合、硬化剤成分(B)に含まれる成分(b1)に対する割合は、0.01〜50重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましい。
【0104】
着色顔料(a3)
本発明の主剤成分(A)は、必要に応じて着色顔料(a3)を含有していてもよい。この着色顔料(a3)としては、従来公知の有機系および無機系の各種顔料を1種または2種以上組み合わせて用いることができ、さらに染料等の各種着色剤が含まれていてもよい。
【0105】
上記有機系の着色顔料としては、カーボンブラック、ナフトールレッド、フタロシアニンブルーなどが挙げられる。また、上記無機系の着色顔料としては、弁柄、黒色弁柄、チタン白、バライト粉、タルク、白亜、黄色酸化鉄、コバルトブルーなどが挙げられる。これらのうち、チタン白、黒色弁柄、カーボンブラック、弁柄およびコバルトブルーは、本発明において好適に用いることができる。
【0106】
上記着色顔料(a3)の、主剤成分(A)に含まれる成分(a1)および(a2)の合計重量に対する割合[(a3)/[(a1)+(a2)]]は、0.01〜30重量%が好ましく
、0.1〜20重量%がより好ましい。
【0107】
溶剤(a4)
本発明の主剤成分(A)は、必要に応じて溶剤(a4)を含有していてもよい。この溶剤(a4)としては、脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系、エーテル系、アルコール系などの、従来公知の溶剤を用いることが可能である。上記芳香族系溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、例えば、MIBK、シクロヘキサノン等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)等が挙げられ、アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール等が挙
げられる。
【0108】
このような溶剤は、得られる防汚塗料組成物の粘度が塗工性などの点で好適となるよう、適量を配合して用いることができるが、例えば、成分(a1)および(a2)の合計重量に対する割合[(a4)/[(a1)+(a2)]]は、0〜50重量%であることが好ましく、0〜30重量%であることがより好ましい。なお、硬化剤成分(B)および硬化促進剤成分(C)についても、このような溶剤を適量配合して用いてもよい。
【0109】
防汚塗料組成物[ii]
本発明のオルガノポリシロキサン系防汚塗料組成物[ii]は、少なくとも上述したような成分からなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含有する。そのほかにも必要に応じて、チクソトロピー性付与剤、無機脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤(増粘剤)、その他の塗膜形成成分、殺菌剤、防カビ剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導改良剤などの従来公知の添加物を適量含有していてもよい。
【0110】
このような防汚塗料組成物[ii]に含有される任意成分は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記硬化性オルガノポリシロキサン組成物がパックされている2液または3液のいずれか1液以上において、あらかじめ主剤成分(A)、硬化剤成分(B)または硬化促進剤成分(C)に配合して用いることもできる。
【0111】
本発明の防汚塗料組成物[ii]は、例えば、常法に従って、該防汚塗料組成物[ii]を構成する各成分である2液型または3液型のパックの内容物、および必要に応じて任意成分を順次または同時に添加し、これらを混合することにより得られる。
【0112】
エポキシ樹脂系防食塗料組成物[i]
本発明における好適なエポキシ樹脂系防食塗膜[I]は、通常基材の表面に形成され、少なくともエポキシ樹脂(e1)およびエポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)を含むエポキシ樹脂系防食塗料組成物[i](以下「防食塗料組成物[i]ともいう。」を硬化させることにより形成される。この防食塗料組成物[i]は、必要に応じて、体質顔料(e3)、タレ止め防止剤(e4)を含有してもよい。
【0113】
エポキシ樹脂(e1)
上記防食塗料組成物[i]に含有されるエポキシ樹脂(e1)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、エポキシ化油系エポキシ樹脂などを用いることができる。中でも、ビスフェノールAタイプ、Fタイプなどのビスフェノール型エポキシ樹脂は、得られる防食塗膜の基材への付着力および耐食性に優れるため好ましい。これらのエポキシ樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0114】
このようなエポキシ樹脂(e1)は、溶剤等を含む防食塗料組成物[i]中に、通常10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の量で、また防食塗料組成物[i]の固形分100重量%に対して、通常10〜70重量%、好ましくは10〜60重量%の量で含まれていることが、塗膜の耐食性に優れるため望ましい。
【0115】
なお、エポキシ樹脂(e1)は上市されているものを用いることができる。例えば、
ビスフェノール型エポキシとして、ジャパンエポキシレジン製「エピコート828」、「エピコート834」、「エピコート1001」、「エピコート1004」、「エピコート807」、「エピコート4004P」、「エピコート4007P」などが挙げられる。
【0116】
エポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)
上記防食塗料組成物[i]に含有されるエポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)としては、例えば、フェノール類とホルマリンとアミン化合物とのマンニッヒ縮合反応で形成されたマンニッヒ変性アミン類、および/または脂肪族ポリアミン類を用いることができるが、塗料の取り扱いが容易となる、塗料の可使時間が好適な範囲となるなどの点で、主としてダイマー酸とポリアミンの縮合により生成し、分子中に反応性の第1および第2アミノ基を有するポリアミドアミンを用いることが好ましい。
【0117】
エポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)は、理論的にはエポキシ樹脂(e1)中のエポキシ基数と、アミン系硬化剤(e2)中のアミノ基数とが等しくなる量(当量)用いればよいが、本発明では、エポキシ基1当量に対してアミノ基が0.35〜0.9当量、好ましくは0.4〜0.8当量となるよう用いればよい。また、エポキシ樹脂(e1)100重量部に対してアミン系硬化剤(e2)を例えば10〜80重量部、好ましくは20〜70重量部の範囲の割合で用いることができる。
【0118】
このようなエポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)は上市されているものを用いることができる。例えば、「ラッカマイドTD966」(大日本インキ(株)製)、「サンマイ
ド 307D−60」(三和化学(株)製)などが挙げられる。
【0119】
体質顔料(e3)
上記防食塗料組成物[i]に含有されうる体質顔料(e3)としては、例えば、タルク、シリカ、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カーボンブラックなど、従来公知のものを使用できるが、なかでもタルク、硫酸バリウム、マイカ、酸化チタン、カーボンブラックが本発明において好適に用いられる。これらの体質顔料は、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。この体質顔料(e3)は、例えば、防食塗料組成物[i]の固形分100重量%に対して、5〜80重量%の範囲で含有することができる。
【0120】
タレ止め剤(e4)
上記防食塗料組成物[i]に含有されうるタレ止め剤(e4)としては、例えば、Al、Ca、Znのアミン塩、ステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの有機粘土系ワックス、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス、ポリアマイドワックス、水添ヒマシ油ワックスおよびポリアマイドワックスの混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等、従来公知のものを使用できるが、なかでもポリアマイドワックスが本発明において好適に用いられる。このタレ止め剤(e4)は、例えば、防食塗料組成物[i]100重量%に対して0.1〜5重量%の範囲で含有することができる。
【0121】
以上のような各種成分は、上市されている製品などを用いて、常法により、エポキシ樹脂系塗料組成物[i]の調製の際にそれぞれ上記のような割合で配合すればよい。さらに、上記成分以外にも、例えば溶剤、液状炭化水素樹脂、界面活性剤、防錆顔料などの、エポキシ樹脂系防食塗膜に用いられている各種の成分を必要に応じて適量、添加してもよい。このようなエポキシ樹脂系塗料組成物は、エポキシ樹脂(e1)を含む主剤成分と、アミン系硬化剤(e2)を含む硬化剤成分との2液型の組成物として提供されることもある。
【0122】
防汚塗膜および防汚複合塗膜
防汚塗膜および防汚複合塗膜の形成方法
本発明の防汚複合塗膜は、エポキシ樹脂系防食塗膜[I]を基材表面に形成した後、この塗膜の上に防汚塗料組成物[ii]を塗装し、防汚塗膜[II]を形成することにより得られる。
【0123】
本発明の防汚塗膜[II]のベースとなるエポキシ樹脂系防食塗膜[I]は、前述したエポキシ樹脂系塗料組成物を構成する成分を、それぞれ従来公知の方法を用いて、攪拌・混合した後、基材表面に塗布または含浸させ、大気中で0.5〜3日間程度硬化させることにより形成される。硬化後の防食塗膜[I]の膜厚は、用途などに応じて所望の厚さにすればよいが、例えば30〜150μm/回で1回〜複数回、塗布または含浸させた後に硬化させ、膜厚が200〜5000μmとなるようにすれば、防食性に優れた被膜が得られる。
【0124】
このエポキシ樹脂系防食塗膜[I]は、基材の材質がFRP、鋼鉄、木、アルミニウム合金などである場合にも基材表面に良好に付着し、中でも鋼鉄が密着性の点で材質として好ましい。また、上記基材は、防食塗膜[I]との密着性を高めるために、ブラスト処理などの公知の表面処理が施されていてもよい。
【0125】
また、上記防汚塗膜[II]も、一般的な手法に従って、前述した防汚塗料組成物[ii]を攪拌・混合した後、上記防食塗膜[I]の表面に塗装し、常温の大気中で0.5〜3日間程度放置ないし加熱下に強制送風して硬化させることにより形成される。硬化後の防汚塗膜[II]の膜厚は、用途などに応じて所望の厚さにすればよいが、例えば前述した防汚塗料組成物[ii]を30〜150μm/回で1回〜複数回、塗布または含浸させた後に硬化させ、膜厚が150〜5000μmとなるようにすれば、防汚性能やエポキシ樹脂系防食塗膜[I]との接着性に優れた被膜となる。
【0126】
なお、この防汚塗膜[II]が形成される防食塗膜[I]は完全硬化されていてもよいが、密着性向上などの点から、指触半硬化状態のうちに防汚塗料組成物[ii]を塗布し、防汚塗膜[II]を形成するようにしてもよい。
【0127】
本発明の防汚塗膜[II]は、エポキシ樹脂系防食塗膜[I]の表面に直接接して(すなわち他の中間層などの塗膜層を介することなく)防汚塗膜[II]を積層形成させて得られる、防汚複合塗膜において用いることが好適であるが、本発明の防汚塗料組成物[ii]を上記のような基材表面に直接塗装し、基材に直接接した防汚塗膜[II]を形成させることも可能である。
【0128】
防汚塗膜および防汚複合塗膜の利用
上述したような方法により形成される本発明の防汚塗膜または防汚複合塗膜は、例えば火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等の各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁業資材(例:ロープ、漁網、漁具、浮き子、ブイ)などの各種基材の表面に形成することができる。
【0129】
上記のような防汚塗膜または防汚複合塗膜を基材表面に形成することにより、基材の表面の表面自由エネルギーを低くすることができる。このような表面自由エネルギーの低い塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水生生物の付着が難しく、たとえ付着したとしても海水または真水の水流抵抗によって容易に離脱するため、長期間継続的に防汚効果を発揮する。したがってこのような防汚方法は、表面が海水または真水と常時または断続的に接触する基材、特に水中構造物、船舶外版、漁網および漁具に対して効果的であり、水中構造物の機能を長期間維持することや、漁網の網目の閉塞を防止することが可能である。
【実施例】
【0130】
以下、実施例および試験例により本発明をさらに詳細に説明する。
(硬化性オルガノポリシロキサン系防汚塗料組成物の調製)
表1に記載された組成配合の、主剤成分(A)、硬化剤成分(B)および硬化促進剤成分(C)からなる3液型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製した。硬化促進成分(C)については、7種類のスズ化合物をそれぞれ1種類ずつもちいることにより、1
2通りのものを調製した。
【0131】
続いて、上記主剤成分(A)77重量部、硬化剤成分(B)18重量部および硬化促進剤成分(C)5重量部を、撹拌装置を用いて均一になるよう充分に混合することにより、成分(a1)、(a2)、(b1)、(ac)もしくは非(ac)、および(d1)を表3に示した配合量で含有する、実施例1〜6および比較例1〜5のそれぞれに相当する防汚塗料組成物を調製した。
【0132】
(エポキシ樹脂系塗料組成物の調製)
表2に記載された組成配合の、エポキシ樹脂系塗料組成物用の主剤成分(X)および硬化剤成分(Y)を調製した後、上記主剤成分(X)85重量部および硬化剤成分(Y)15重量部を、攪拌装置で均一になるよう充分に混合して、エポキシ樹脂系防食塗膜を形成するための塗料組成物を調製した。
【0133】
[試験例]
上述のようにして調製したエポキシ樹脂系塗料組成物および硬化性オルガノポリシロキサン系塗料組成物から得られる防汚複合塗膜について、下記の要領で引張試験、テープ剥離試験、真水浸漬試験および防汚試験を行った。これらの試験結果は、表3に記載されたとおりである。
【0134】
(引張試験)
100mm×300mm×2.3mmのサンドブラスト鋼板に、上記エポキシ樹脂系塗料組成物をスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させ、乾燥膜厚200μmのエポキシ樹脂系防食塗膜を形成した。次いで、この乾燥した防食塗膜上に、実施例1〜6および比較例1〜5で調製した防汚塗料組成物を乾燥膜厚が150μmになるようスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させた。その結果、比較例3〜5で調製した防汚塗料組成物を用いた場合は塗膜が硬化しなかったため、硬化した防汚複合塗膜を形成した実施例1〜6および比較例1〜2の防汚塗料組成物を用いた場合についてのみ、引張試験を行った。
【0135】
引張試験は、JIS K 5600-5-7(ISO4624)に定められた方法で行った。硬化した防汚複
合塗膜が塗装された試験板に、接着剤(GE東芝製、商品名「TSE399」)を用いて、断面積2cm2、ステンレススチール製の試験円筒(Dollyピース)を接着させた。このDolly
ピースの周囲にカッターナイフで切り込みを入れた後、プルオフ試験機により付着強度を測定した。
【0136】
(テープ剥離試験)
100mm×300mm×2.3mmのサンドブラスト鋼板の中央に、マスキングテープ(商品名「建築用マスキングテープ」(ニチバン(株)製))を貼り付けてから、上記エポキシ樹脂系塗料組成物をスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させ、乾燥膜厚200μmのエポキシ樹脂系防食塗膜を形成した。次いで、この乾燥した防食塗膜上に
、実施例1〜6および比較例1〜5で調製した防汚塗料組成物を乾燥膜厚が150μmになるようスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させた。その結果、比較例3〜5で調製した防汚塗料組成物を用いた場合は塗膜が硬化しなかったため、硬化した防汚複合塗膜を形成した実施例1〜6および比較例1〜2の防汚塗料組成物を用いた場合についてのみ、テープ剥離試験を行った。
【0137】
貼り付けておいたマスキングテープを除去し、塗膜に段差を形成させた後、その段差部分を指の腹で強く擦り塗膜を剥離させ、最大剥離距離を測定した。十分付着していれば剥離は0mmであり、付着不良の場合はこの距離が長くなる。
【0138】
(真水浸漬試験)
100mm×300mm×2.3mmのサンドブラスト鋼板に、上記エポキシ樹脂系塗料組成物をスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させ、乾燥膜厚200μmのエポキシ樹脂系防食塗膜を形成した。次いで、この乾燥した防食塗膜上に、実施例1〜6および比較例1〜5で調製した防汚塗料組成物を乾燥膜厚が150μmになるようスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させた。その結果、比較例3〜5で調製した防汚塗料組成物を用いた場合は塗膜が硬化しなかったため、硬化した防汚複合塗膜を形成した実施例1〜6および比較例1〜2の防汚塗料組成物を用いた場合についてのみ、真水浸漬試験を行った。
【0139】
硬化した複合塗膜を、水温を23℃に保った脱イオン水に6ヶ月浸漬した。発生したフクレの程度を、ASTM D714に定められた方法で評価した。ASTM D714のフクレの大きさと密度を表4に示す基準で判定し、例えば大きさ8(かなり小さなフクレ)が、中程度分布している場合は、8Mと表現する。
【0140】
(防汚試験)
100mm×300mm×2.3mmのサンドブラスト鋼板に、上記エポキシ樹脂系塗料組成物をスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させ、乾燥膜厚200μmのエポキシ樹脂系防食塗膜を形成した。次いで、この乾燥した防食塗膜上に、実施例1〜6および比較例1〜5で調製した防汚塗料組成物を乾燥膜厚が150μmになるようスプレー塗装機(商品名:iwata WIDER SPRAY GUN、型番:W−77−2G)を用いて常温下で塗装し、1日間乾燥させた。その結果、比較例3〜5で調製した防汚塗料組成物を用いた場合は塗膜が硬化しなかったため、硬化した防汚複合塗膜を形成した実施例1〜6および比較例1〜2の防汚塗料組成物を用いた場合についてのみ、防汚試験を行った。
【0141】
硬化した防汚複合塗膜が塗装された試験板を、長崎県長崎湾内の海水中に12ヶ月静置浸漬させ、6ヶ月後および12ヶ月後に目視観察し、防汚性評価を行った。
【0142】
【表1】

【0143】
(表1補注)
※1:実施例1〜6および比較例1〜5において、(d11−1)、(d11−2)または(d12)のいずれかを1種類ずつ使用した。
※2:ジメチルジフェニルシリコーンオイル(メチル基約70%、フェニル基約30%)。約450mPa・s。Raはメチル基もしくはフェニル基を表す。
※3:ジメチルジフェニルシリコーンオイル(メチル基約95%、フェニル基約5%)。約100mPa・s。Raはメチル基もしくはフェニル基を表す。
※4:ジメチルジフェニルシリコーンオイル(メチル基約95%、フェニル基約5%)。約100mPa・s。Raはメチル基もしくはフェニル基を表す。Rb:−C36−、Rc:−CH=CH2
※5:実施例1〜6および比較例1〜5において、本発明におけるスズ化合物(ac)に該当する(ac−1)もしくは(ac−2)またはスズ化合物(ac)に該当しないもののいずれかを1種類ずつ使用した。
※6:前記式(I)において、p=q=r=1、R1はブチル基、R2はエチル基で表され
る化合物。
※7:前記式(I)において、p=q=r=1、R1はオクチル基、R2はエチル基で表さ
れる化合物。
【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)を含有する主剤成分と、
(B)上記1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)の縮合反応性基と縮合反応可能な官能基を有するオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)を含有する硬化剤成分と、
(C)下記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物(ac)を含有する硬化促進剤成分と、
からなる3液型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【化1】

(式(I)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R2は炭素原子数1〜4の炭化
水素基を示す。pは1〜10、qは1〜4、rは1〜5の整数を示す。)
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

(式(II)〜(V)中、R1は炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、R2は炭素原子数
1〜4の炭化水素基を示す。また、式(V)中のnは1以上の整数である。)
【請求項2】
(A)1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a
1)およびシリカ(a2)を含有する主剤成分と、
(B)上記1分子中に少なくとも2個の縮合反応性基を有するオルガノポリシロキサン(a1)の縮合反応性基と縮合反応可能な官能基を有するオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)を含有する硬化剤成分と、
主剤成分(A)または硬化剤成分(B)に配合された、前記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物(ac)と、
からなる2液型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
前記一般式(I)〜(V)で表されるスズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のスズ化合物(ac)が、シロキサン結合含有スズ化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
スズ化合物(ac)に含有されるスズが、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
0.001〜2.0重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
スズ化合物(ac)に含有されるスズが、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
0.01〜1.0重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
スズ化合物(ac)に含有されるスズが、オルガノポリシロキサン(a1)、シリカ(a2)、ならびにオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)の合計量に対して、
0.001〜1.0重量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
スズ化合物(ac)に含有されるスズが、オルガノポリシロキサン(a1)、シリカ(a2)、ならびにオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)の合計量に対して、
0.01〜0.5重量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項8】
主剤成分(A)中のオルガノポリシロキサン(a1)が、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群よりそれぞれ独立に選ばれる官能基を、1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項9】
主剤成分(A)中のオルガノポリシロキサン(a1)が、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群よりそれぞれ独立に選ばれる官能基を、分子の両末端に有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項8に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項10】
硬化剤成分(B)中のオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)が、
水酸基、オキシム基、アセチルオキシ基またはアルコキシ基を有するオルガノシランおよび/またはそれらの部分加水分解物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項11】
硬化剤成分(B)中のオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)が、
アルキルシリケートおよび/またはその部分加水分解物であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項12】
主剤成分(A)中のオルガノポリシロキサン(a1)が、両末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサンであり、
主剤成分(B)中のオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)が、アルキルシリケートおよび/またはその部分加水分解物である
ことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項13】
主剤成分(A)中のオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)が、
オルガノポリシロキサン(a1)とシリカ(a2)とをあらかじめ加熱処理することにより形成された熱処理物(a22)であることを特徴とする、請求項1〜12のずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項14】
主剤成分(A)中のオルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)が、
オルガノポリシロキサン(a1)とシリカ(a2)とをあらかじめ加熱処理することにより形成された熱処理物(a22)および加熱処理していないオルガノポリシロキサン(a1)の混合物であることを特徴とする、請求項1〜13のずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項15】
主剤成分(A)が、さらに着色顔料(a3)を含有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項16】
着色顔料(a3)が、チタン白、黒色弁柄、カーボンブラック、弁柄およびコバルトブルーからなる群より選ばれる少なくとも1種の着色顔料であることを特徴とする、請求項15に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項17】
着色顔料(a3)の配合量が、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
0.01〜30重量%であることを特徴とする、請求項15に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項18】
着色顔料(a3)の配合量が、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項15に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項19】
主剤成分(A)が、さらに溶剤(a4)を含有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項20】
オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)の配合量が、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項21】
オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)の配合量が、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
3〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項22】
主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に、さらに液状オルガノポリシロキサン(d1)が配合されたことを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項23】
液状オルガノポリシロキサン(d1)のGPCで測定した数平均分子量(Mn)が400〜10000であることを特徴とする、請求項22に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項24】
液状オルガノポリシロキサン(d1)が、非反応性液状オルガノポリシロキサン(d11)であることを特徴とする、請求項22に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項25】
非反応性液状オルガノポリシロキサン(d11)が、下記一般式(3a)および/または(3b)で表される非反応性液状オルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項24に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【化6】

(上記一般式(3a)中、R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはフルオロアルキル基を示し、nは0〜500の整数を示す。)
14xSi(R15−Z)y(4-x-y)/2 ……(3b)
(上記組成式(3b)中、R14は水素原子、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、R15はエーテル基、エステル基または−NH−が介在していてもよい炭素数2〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、Zは、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基または末端が炭素数1〜6のアルキル基もしくはアシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール基である1価の極性基を示す。また、x、yは、0.01≦x<3.99、0.02≦y<4、かつ0.02≦x+y<4を満たす。)
【請求項26】
液状オルガノポリシロキサン(d1)が、反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)であることを特徴とする、請求項22に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項27】
反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)が、下記一般式(3c)で表される基を少なくとも1個有するシリコーンオイルであることを特徴とする、請求項26に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
≡SiR4OSiR5b(3-b) ……(3c)
(上記式(3c)中、R4は非置換または置換の2価炭化水素基またはエーテル結合を含
む2価炭化水素基を表し、R5は非置換または置換の1価炭化水素基を表し、Yは縮合反
応性官能基を表し、bは0、1または2である。)
【請求項28】
反応性液状オルガノポリシロキサン(d12)の縮合反応性官能基が、水酸基、オキシム基、アミノ基、アセチルオキシ基およびアルコキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の縮合反応性官能基であることを特徴とする、請求項26に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項29】
液状オルガノポリシロキサン(d1)が主剤成分(A)に配合されることを特徴とする
、請求項22〜28のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項30】
液状オルガノポリシロキサン(d1)が硬化剤成分(B)に配合されることを特徴とする請求項22〜28のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項31】
液状オルガノポリシロキサン(d1)の配合量が、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
0.01〜15重量%であることを特徴とする請求項29に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項32】
液状オルガノポリシロキサン(d1)の重量が、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
1〜10重量%であることを特徴とする、請求項29に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項33】
液状オルガノポリシロキサン(d1)の重量が、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)に対して、
0.01〜500重量%であることを特徴とする、請求項30に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項34】
液状オルガノポリシロキサン(d1)の重量が、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)に対して、
50〜350重量%であることを特徴とする、請求項30に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項35】
主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に、さらにシランカップリング剤が配合されたことを特徴とする、請求項1〜34のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項36】
シランカップリング剤の配合量が、オルガノポリシロキサン(a1)およびシリカ(a2)の合計量に対して、
0.01〜1重量%であることを特徴とする、請求項35に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項37】
シランカップリング剤の配合量が、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物(b1)に対して、
0.01〜50重量%であることを特徴とする、請求項35に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含有する、防汚塗料組成物。
【請求項39】
請求項38に記載の防汚塗料組成物を硬化させることにより形成された、防汚塗膜。
【請求項40】
[I]エポキシ樹脂(e1)およびエポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)を含む防食塗料組成物から形成されるエポキシ樹脂系防食塗膜と、
[II]その表面上に直接接して積層形成された、請求項39に記載の防汚塗膜とからなる、防汚複合塗膜。
【請求項41】
[I]エポキシ樹脂(e1)、エポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)および体質顔料(
e3)を含む防食塗料組成物から形成されるエポキシ樹脂系防食塗膜と、
[II]その表面上に直接接して積層形成された、請求項39に記載の防汚塗膜とからなる、防汚複合塗膜。
【請求項42】
[I]エポキシ樹脂(e1)、エポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)、体質顔料(e3)およびタレ止め防止剤(e4)を含む防食塗料組成物から形成されるエポキシ樹脂系防食塗膜と、
[II]その表面上に直接接して積層形成された、請求項39に記載の防汚塗膜とからなる、防汚複合塗膜。
【請求項43】
エポキシ樹脂系防食塗膜[I]を構成するエポキシ樹脂(e1)がビスフェノールタイプエポキシ樹脂であり、エポキシ樹脂用アミン系硬化剤(e2)がポリアミドアミンであることを特徴とする、請求項40〜42のいずれかに記載の硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜。
【請求項44】
エポキシ樹脂系防食塗膜[I]を構成する体質顔料(e3)が、タルク、硫酸バリウム、マイカ、酸化チタンおよびカーボンブラックからなる群より選ばれた少なくとも1種の体質顔料であることを特徴とする、請求項41または42に記載の硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜。
【請求項45】
エポキシ樹脂系防食塗膜[I]を構成するタレ止め防止剤(e4)が、ポリアマイドワックスであることを特徴とする、請求項42に記載の硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜。
【請求項46】
請求項39に記載の防汚塗膜または請求項40〜45のいずれかに記載の防汚複合塗膜で被覆された基材。
【請求項47】
請求項39に記載の防汚塗膜または請求項40〜45のいずれかに記載の防汚複合塗膜で被覆された水中構造物。
【請求項48】
請求項39に記載の防汚塗膜または請求項40〜45のいずれかに記載の防汚複合塗膜で被覆された船舶。
【請求項49】
基材表面を、請求項39に記載の防汚塗膜または請求項40〜45のいずれかに記載の防汚複合塗膜で被覆する、基材の防汚方法。

【公開番号】特開2007−246888(P2007−246888A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33587(P2007−33587)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(390033628)中国塗料株式会社 (57)
【Fターム(参考)】