説明

硬化性樹脂組成物

【課題】耐熱性に優れる塗膜及びパターンを形成可能な硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体、(B)アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物、(C)重合開始剤、及び(D)式(1)で表される化合物


[式(1)中、Rは、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基を表す]を含む硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等には、カラーフィルタ保護膜等の塗膜が部材として用いられている。カラーフィルタ保護膜は、下地であるカラーフィルタやブラックマトリクスで生じる表面の凹凸を平坦化したり、これらの上層の部材を形成するために用いられる薬液からカラーフィルタ等を保護したりするために用いられる塗膜である。カラーフィルタ保護膜を形成するために、硬化性樹脂組成物が用いられる。
このような硬化性樹脂組成物としては、例えば、不飽和カルボン酸と脂肪族多環式エポキシ化合物との共重合体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び重合開始剤を含む硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−152335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られている上記の硬化性樹脂組成物を用いて形成した塗膜やパターンは、耐熱性が必ずしも十分に高いものではなく、加熱処理により着色しやすい場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1]下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む硬化性樹脂組成物:
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体
(B)アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物
(C)重合開始剤
(D)式(1)で表される化合物
【化1】

[式(1)中、Rは、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基を表し、
〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ニトロ基又は炭素数1〜20のアシル基を表し、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい]。
[2](D)の含有量が、(A)100質量部に対して1質量部以上25質量部以下である前記[1]記載の硬化性樹脂組成物。
[3]前記[1]又は[2]記載の硬化性樹脂組成物により形成される塗膜。
[4]前記[3]記載の塗膜を含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、加熱処理による着色が少なく、耐熱性に優れる塗膜やパターンを形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体(以下「重合体(A)」という場合がある)を含む。
【0008】
重合体(A)としては、例えば、
重合体[A1]:不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下、「(a)」という場合がある)と、オキシラニル基を有する不飽和化合物(b)(以下、「(b)」という場合がある)とを重合してなる共重合体、
重合体[A2]:(a)と(b)と、(a)と(b)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる単量体)(以下、「(c)」という場合がある)とを重合してなる共重合体、
等が挙げられる。
【0009】
(a)としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
【0010】
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が共重合反応性の点やアルカリ溶解性の点から好ましく用いられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も同様の意味を有する。
【0011】
本発明において、オキシラニル基を有する不飽和化合物(b)とは、オキシラン環と不飽和結合とを有する単量体をいう。(b)としては、例えば、鎖式脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「(b1)」という場合がある)や、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)が挙げられる。
本発明において、(b)は、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体であることが好ましく、オキシラニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることがより好ましい。また、(b)は(b2)であることが好ましい。
【0012】
(b1)としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、特開平7−248625号公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0013】
(b2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0014】
【化2】

【0015】
式(I)及び式(II)において、R及びRは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、互いに独立に、単結合、−R−、*−R−O−、*−R−S−、*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。
【0016】
炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0017】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−(*はOとの結合手を表す)基、*−CHCH−O−基が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CHCH−O−基が挙げられる。
【0018】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−11)〜式(I−15)が挙げられる。より好ましくは式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−15)が挙げられる。
【0019】
【化3】

【0020】
【化4】

【0021】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−11)〜式(II−15)が挙げられる。
より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−15)が挙げられる。
【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物とを併用する場合、その比率〔式(I):式(II)〕(モル比)は任意であるが、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、とりわけ好ましくは20:80〜80:20である。
【0025】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。
)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類;
【0026】
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリール又はアラルキルエステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;
【0027】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
【0028】
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
【0029】
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等のスチレン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリルアミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のジエン化合物類;
3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等のオキセタニル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のテトラヒドロフリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0030】
これらのうち、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が、共重合反応性及びアルカリ溶解性の点から好ましい。
【0031】
重合体[A1]において、各単量体に由来する構造単位の比率は、重合体[A1]を構成する構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜60モル%(より好ましくは10〜50モル%)
(b)に由来する構造単位;40〜95モル%(より好ましくは50〜90モル%)
重合体[A1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、得られる塗膜の耐薬品性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0032】
重合体[A1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0033】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気で、攪拌、加熱、保温する方法が例示される。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4− ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各単量体を溶解するものであればよく、本発明の硬化性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等を用いることができる。
【0034】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)と同一の溶剤を使用することにより、反応後の溶液を硬化性樹脂組成物の調製にそのまま使用することができ、硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0035】
重合体[A2]において、各単量体に由来する構造単位の比率は、重合体[A2]を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%(より好ましくは1〜60モル%)
また、(a)に由来する構造単位と(b)に由来する構造単位との合計は、重合体[A2]を構成する全構造単位の合計モル数に対して、70〜99モル%が好ましく、90〜99モル%がより好ましい。
重合体[A2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、得られる塗膜の耐薬品性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
重合体[A2]は、重合体[A1]と同様の方法により製造することができる。
【0036】
重合体[A1]の具体例としては、(メタ)アクリル酸/式(I−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−2)/式(II−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−3)/式(II−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−4)/式(II−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−5)/式(II−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−6)/式(II−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−7)/式(II−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−8)/式(II−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−9)/式(II−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−10)/式(II−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−11)/式(II−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−12)/式(II−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−13)/式(II−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−14)/式(II−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−15)/式(II−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(I−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−7)の共重合体、クロトン酸/式(I−1)の共重合体、クロトン酸/式(I−2)の共重合体、クロトン酸/式(I−3)の共重合体、クロトン酸/式(I−4)の共重合体、クロトン酸/式(I−5)の共重合体、クロトン酸/式(I−6)の共重合体、クロトン酸/式(I−7)の共重合体、クロトン酸/式(I−8)の共重合体、クロトン酸/式(I−9)の共重合体、クロトン酸/式(I−10)の共重合体、クロトン酸/式(I−11)の共重合体、クロトン酸/式(I−12)の共重合体、クロトン酸/式(I−13)の共重合体、クロトン酸/式(I−14)の共重合体、クロトン酸/式(I−15)の共重合体、クロトン酸/式(II−1)の共重合体、クロトン酸/式(II−2)の共重合体、クロトン酸/式(II−3)の共重合体、クロトン酸/式(II−4)の共重合体、クロトン酸/式(II−5)の共重合体、クロトン酸/式(II−6)の共重合体、クロトン酸/式(II−7)の共重合体、クロトン酸/式(II−8)の共重合体、クロトン酸/式(II−9)の共重合体、クロトン酸/式(II−10)の共重合体、クロトン酸/式(II−11)の共重合体、クロトン酸/式(II−12)の共重合体、クロトン酸/式(II−13)の共重合体、クロトン酸/式(II−14)の共重合体、クロトン酸/式(II−15)の共重合体、マレイン酸/式(I−1)の共重合体、マレイン酸/式(I−2)の共重合体、マレイン酸/式(I−3)の共重合体、マレイン酸/式(I−4)の共重合体、マレイン酸/式(I−5)の共重合体、マレイン酸/式(I−6)の共重合体、マレイン酸/式(I−7)の共重合体、マレイン酸/式(I−8)の共重合体、マレイン酸/式(I−9)の共重合体、マレイン酸/式(I−10)の共重合体、マレイン酸/式(I−11)の共重合体、マレイン酸/式(I−12)の共重合体、マレイン酸/式(I−13)の共重合体、マレイン酸/式(I−14)の共重合体、マレイン酸/式(I−15)の共重合体、マレイン酸/式(II−1)の共重合体、マレイン酸/式(II−2)の共重合体、マレイン酸/式(II−3)の共重合体、マレイン酸/式(II−4)の共重合体、マレイン酸/式(II−5)の共重合体、マレイン酸/式(II−6)の共重合体、マレイン酸/式(II−7)の共重合体、マレイン酸/式(II−8)の共重合体、マレイン酸/式(II−9)の共重合体、マレイン酸/式(II−10)の共重合体、マレイン酸/式(II−11)の共重合体、マレイン酸/式(II−12)の共重合体、マレイン酸/式(II−13)の共重合体、マレイン酸/式(II−14)の共重合体、マレイン酸/式(II−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−15)の共重合体等が挙げられる。
【0037】
重合体[A2]の具体例としては、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−2)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−3)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−4)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−5)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−6)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−7)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−8)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−9)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−10)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−11)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−12)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−13)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−14)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−15)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−2)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−3)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−4)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−5)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−6)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−7)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−8)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−9)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−10)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−11)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−12)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−13)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−14)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−15)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/マレイン酸ジエチルの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体等が挙げられる。
【0038】
重合体(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜25,000であり、特に好ましくは5,000〜15,000である。重合体(A)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向がある。
【0039】
重合体(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、得られる塗膜は耐薬品性に優れる傾向がある。
【0040】
重合体(A)の酸価は、好ましくは30mg−KOH/g以上180mg−KOH/g以下であり、より好ましくは40mg−KOH/g以上150mg−KOH/g以下、特に好ましくは50mg−KOH/g以上135mg−KOH/g以下である。ここで酸価は重合体1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。重合体(A)の酸価が、前記の範囲にあると、得られる塗膜は基板との密着性に優れる傾向がある。
【0041】
重合体(A)の含有量は、重合体(A)の含有量と(メタ)アクリル化合物(B)の含有量との合計に対して、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%である。重合体(A)の含有量が、前記の範囲にあると、得られる塗膜は基板との密着性及び耐薬品性が良好になる傾向がある。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物は、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基(以下、「(メタ)アクリロイル基」という場合がある)を有する化合物(B)(以下、「(メタ)アクリル化合物(B)」という場合がある)を含むことが好ましい。
【0043】
(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリル化合物(B)としては、前記(a)、(b)及び(c)として挙げた化合物と同じものが挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0044】
(メタ)アクリロイル基を2つ有する(メタ)アクリル化合物(B)としては、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する(メタ)アクリル化合物(B)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物等が挙げられる。
(メタ)アクリル化合物(B)としては、(メタ)アクリルロイル基を3つ以上有する(メタ)アクリル化合物(B)が好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0046】
(メタ)アクリル化合物(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、好ましくは10〜233質量部、より好ましくは25〜150質量部である。(メタ)アクリル化合物(B)の含有量が、前記の範囲にあると、得られる塗膜の平滑性、信頼性及び機械強度が良好になる傾向がある。
【0047】
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合開始剤(C)を含むことが好ましい。重合開始剤(C)としては、光や熱の作用により(メタ)アクリル化合物(B)の重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
【0048】
重合開始剤(C)として、例えば、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物が挙げられる。
中でも、ビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物及びオキシム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤であることが好ましく、特にオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤であることがより好ましい。これらの重合開始剤であると、特に、高感度になる傾向があるため好ましい。
【0049】
前記のアルキルフェノン化合物は、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アルコキシアルキルフェノン又はα−(N−置換アミノ)アルキルフェノンを部分構造として有する化合物であり、具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]―フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(2−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−エチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−プロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−ブチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2,3−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2、4−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−メチル−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−メチル−4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−ブロモ−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。
【0050】
前記のオキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−エトキシカルボニルオキシ−1−フェニルプロパン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0051】
前記のビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照。)等が挙げられる。好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
【0052】
前記のトリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0053】
前記のアシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0054】
さらに重合開始剤(C)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(C1)と組み合わせて用いることが好ましい。
また、特表2002−544205号公報に記載される、連鎖移動を起こしうる基を有する重合開始剤を使用してもよい。
【0055】
本発明の硬化性樹脂組成物において、さらに、上述した重合開始剤(C)とともに、重合開始助剤(C1)を用いてもよい。重合開始助剤(C1)は、重合開始剤(C)と組み合わせて用いられ、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(C1)としては、チオキサントン化合物、チアゾリン化合物、アルコキシアントラセン化合物、アミン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。これらと重合開始剤(C)とを組み合わせることで、高感度でパターンを得ることができる。
【0056】
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0057】
チアゾリン化合物としては、式(III−1)〜式(III−3)で表される化合物、特開2008−65319号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0058】
【化7】

【0059】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、特開2009−139932号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0060】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称;ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのような芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0061】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等の芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0062】
重合開始剤(C)の含有量は、重合体(A)及び(メタ)アクリル化合物(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部、さらに好ましくは2〜10質量部である。重合開始剤(C)の含有量が前記の範囲にあると、高感度でパターンを得られる傾向があり好ましい。
【0063】
重合開始助剤(C1)の使用量は、樹脂(A)及び(メタ)アクリル化合物(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜7質量部である。重合開始助剤(C1)の量が前記の範囲にあると、高感度でパターンを得ることができ、得られるパターンは形状が良好であるため好ましい。
【0064】
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記式(1)で表されるイミダゾール化合物(以下「イミダゾール化合物(D)」という場合がある)を含んでなる。
【0065】
【化8】

〔式(1)中、Rは、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基を表す。
〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ニトロ基又は炭素数1〜20のアシル基を表し、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。〕
【0066】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ヘプタデシル基、ウンデシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜12である。
炭素数2〜5のシアノアルキル基としては、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、シアノペンチル基等が挙げられる。
【0067】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストリル基及びステアロイル基等が挙げられる。
【0068】
は、好ましくは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基である。
【0069】
及びRは、好ましくは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、とりわけ好ましくは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。
【0070】
イミダゾール化合物(D)としては、例えば、1−ベンジル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−4−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノメチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノメチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノメチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノメチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。中でも1−ベンジル−4−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましい。これらは、単独で又は2種以上組合わせて用いることができる。
【0071】
イミダゾール化合物(D)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上25質量部以下、より好ましくは1.5質量部以上20質量部以下である。イミダゾール化合物(D)の含有量が、前記の範囲にあると、得られるパターンや塗膜は透明性に優れる傾向がある。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにチオール化合物(T)を含むことが好ましい。チオール化合物(T)は、分子内にスルファニル基(−SH)を有する化合物である。中でも、スルファニル基を2つ以上有する化合物が好ましく、脂肪族炭化水素構造の炭素原子と結合するスルファニル基を2つ以上有する化合物がより好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物にチオール化合物(T)を含むことにより、感度が高くなる傾向がある。
【0073】
チオール化合物(T)としては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ビス(メチルスルファニル)ベンゼン、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルアセテート)、エチレングリコールビス(3−スルファニルアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルアセテート)、トリスヒドロキシエチルトリス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルブチレート)、1,4−ビス(3−スルファニルブチルオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0074】
チオール化合物(T)の含有量は、重合開始剤(C)100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部、より好ましくは15〜70質量部である。チオール化合物(T)の含有量がこの範囲にあると、感度が高くなり、また現像性が良好になる傾向がある。
【0075】
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤(E)を含むことが好ましい。
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0076】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0077】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0078】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0079】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0080】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0081】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0082】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール及びこれらを含む混合溶剤が好ましい。
【0084】
硬化性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、硬化性樹脂組成物に対して、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜95質量%である。言い換えると、硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。ここで、固形分とは、硬化性樹脂組成物から溶剤(E)を除いた量のことをいう。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、硬化性樹脂組成物を塗布した膜の平坦性が高い傾向がある。
【0085】
本発明の硬化性樹脂組成物は酸化防止剤(F)を含むことが好ましい。酸化防止剤(F)としては、例えば、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d、f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。IRGANOX(登録商標)3114(BASFジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
【0086】
酸化防止剤(F)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であり、0.5質量部以上3質量部以下が好ましい。酸化防止剤(F)の含有量が上記の範囲内であると、得られる塗膜は耐熱性及び鉛筆硬度に優れる傾向がある。酸化防止剤(F)の含有量が5質量部を超えると、鉛筆硬度が低下するおそれがある。
【0087】
本発明の硬化性樹脂組成物は界面活性剤(G)を含んでもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0088】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコーンオイルSH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0089】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、フロリナート(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F552、同F553、同F554、同F555、同F556、同F558、同F559、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0090】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。好ましくはメガファック(登録商標)F475が挙げられる。
【0091】
界面活性剤(G)は、硬化性樹脂組成物に対して、0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。界面活性剤をこの範囲で含有することにより、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0092】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、その他の高分子化合物、熱ラジカル発生剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、密着促進剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0093】
充填剤として、ガラス、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
その他の高分子化合物として、マレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂やポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0094】
熱ラジカル発生剤として具体的には、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
紫外線吸収剤として具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−スルファニルプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0095】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、顔料及び染料などの着色剤を実質的に含有しない。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物において、組成物全体に対する着色剤の含量は、例えば、1質量%未満、好ましくは、0.5質量%未満である。
【0096】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、光路長が1cmの石英セルに充填し、分光光度計を使用して、測定波長400〜700nmの条件下で透過率を測定した場合、平均透過率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0097】
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗膜とした際に、塗膜の平均透過率が好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。この平均透過率は、加熱硬化(例えば、100〜250℃、5分〜3時間)後の厚みが3μmの塗膜に対して、分光光度計を使用して、測定波長400〜700nmの条件下で測定した場合の平均値である。これにより、可視光領域での透明性に優れた塗膜を提供することができる。
【0098】
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合体(A)、(メタ)アクリル化合物(B)、重合開始剤(C)及びイミダゾール化合物(D)、必要に応じて溶媒やその他の添加剤等を、従来公知の方法により攪拌・混合することにより製造することができる。混合後は、孔径0.05〜1.0μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0099】
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、ガラス、金属、プラスチック等の基板、カラーフィルタ、各種絶縁又は導電膜、駆動回路等を形成したこれらの基板上に塗布することによって、塗膜として形成することができる。塗膜は、乾燥及び硬化したものであることが好ましい。また、得られた塗膜を所望の形状にパターニングして、パターンとして用いることもできる。さらに、これら塗膜又はパターンを、表示装置等の構成部品の一部として形成して使用してもよい。
【0100】
まず、本発明の硬化性樹脂組成物を、基板上に、塗布する。
塗布は、上述したように、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター、インクジェット、ロールコータ、ディップコーター等の種々の塗布装置を用いて行うことができる。
【0101】
次いで、乾燥又はプリベークして、溶剤等の揮発成分を除去することが好ましい。これにより、平滑な未硬化塗膜を得ることができる。
この場合の塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、1〜6μm程度が例示される。
【0102】
さらに、得られた未硬化塗膜に、目的のパターンを形成するためのマスクを介して、光、例えば、水銀灯、発光ダイオードから発生する紫外線等を照射する。この際のマスクの形状は特に限定されず、種々の形状が挙げられる。また、マスク透光部の透過率も光源からの光を透すものであれば特に限定されない。パターンの幅や高さ等は、マスクサイズやマスク透光部の透過率等によって、適宜調整することができる。
近年の露光機では、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出して、露光面全体に均一に平行光線を照射したりすることができる。このときマスクと基板との正確な位置合わせを行うために、マスクアライナ、ステッパ等の装置を使用してもよい。
【0103】
この後、塗膜をアルカリ水溶液に接触させて所定部分、例えば、非露光部を溶解させ、現像することにより、目的とするパターン形状を得ることができる。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
【0104】
現像に使用する現像液は、アルカリ性化合物の水溶液が好ましい。
アルカリ性化合物は、無機及び有機のアルカリ性化合物のいずれでもよい。
無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
【0105】
また、有機アルカリ性化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
これらの無機及び有機アルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0106】
前記アルカリ性化合物の水溶液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0107】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0108】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、より好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0109】
現像後、水洗を行い、さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、例えば、150〜240℃の温度範囲、10〜180分間が好ましい。
【0110】
このようにして得られる塗膜又はパターンは、例えば、液晶表示装置に使用されるフォトスペーサ、パターニング可能なオーバーコートとして有用である。また、未硬化塗膜へのパターニング露光の際に、ホール形成用フォトマスクを使用することにより、ホールを形成することができ、層間絶縁膜として有用である。さらに、未硬化塗膜への露光の際に、フォトマスクを使用せず、全面露光及び加熱硬化、又は加熱硬化のみを行うことにより、透明膜を形成することができる。この透明膜は、オーバーコートとして有用である。また、タッチパネル等の表示装置にも用いることができる。これにより、高品質の塗膜又はパターンを備えた表示装置を、高い歩留りで製造することが可能である。
【0111】
本発明の硬化性樹脂組成物は、種々の膜及びパターンを形成するための材料、例えば、カラーフィルタ及び/又はアレイ基板の一部を構成する透明膜、パターン、フォトスペーサ、オーバーコート、絶縁膜、液晶配向制御用突起、マイクロレンズ、コート層等を形成するために好適である。また、これらの塗膜又はパターンをその構成部品の一部として備えるカラーフィルタ、アレイ基板等、さらに、これらカラーフィルタ及び/又はアレイ基板等を具備する表示装置、例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等に利用することができる。
【実施例】
【0112】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0113】
(合成例1)
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル140部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いでメタクリル酸40部;並びに単量体(I−1)及び単量体(II−1)の混合物{混合物中の単量体(I−1):単量体(II−1)のモル比=50:50}360部を、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル190部に溶解させた溶液を調製し、この溶液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
【0114】
【化9】

【0115】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル240部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤溶液の滴下が終了した後、70℃で4時間保持し、その後室温まで冷却して、固形分42.3%の共重合体(樹脂Aa)の溶液を得た。得られた樹脂Aaの重量平均分子量(Mw)は8000、分子量分布(Mw/Mn)は1.91、酸価は60mg−KOH/g(固形分換算の酸価)であった。
【0116】
(合成例2)
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200部及び3−メトキシブチルアセテート105部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物の、モル比、50:50の混合物。)240部を、3−メトキシブチルアセテート140部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部を3−メトキシブチルアセテート225部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6%、酸価110mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Ab)の溶液を得た。得られた樹脂Abの重量平均分子量Mwは、13,400、分子量分布(Mw/Mn)は2.50であった。
【0117】
上記で得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行なった。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0118】
(実施例1〜8及び比較例1)
表1の成分を混合して、硬化性樹脂組成物を得た。
【0119】
【表1】

【0120】
なお、表1中、断りない限り、単位は「部」である。重合体(A)の含有部数は、固形分換算の質量部を表す。
重合体(A);Aa;合成例で得られた樹脂Aa
重合体(A);Ab;合成例で得られた樹脂Ab
(メタ)アクリル化合物(B);Ba;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製)
重合開始剤(C);Ca;N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE 01;BASF社製;オキシム化合物)
重合開始剤(C);Cb;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(B−CIM;保土谷化学(株)製)
重合開始助剤(C1);C1a;2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン
イミダゾール化合物(D);Da;1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(キュアゾール1B2PZ;四国化成工業(株)製)
【化10】

イミダゾール化合物(D);Db;1−(2−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール(キュアゾールC11Z−CN;四国化成工業(株)製)
【化11】

イミダゾール化合物(D);Dc;1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール(キュアゾール2E4MZ−CN;四国化成工業(株)製)
【化12】

チオール化合物(T);Ta;ペンタエリスリトールテトラキスプロピオネート(PEMP;SC有機化学(株)製)
酸化防止剤(F);Fa;1,3,5−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(IRGANOX(登録商標)3114;BASFジャパン(株)製)
溶剤(E);Ea;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(E);Eb;3−メトキシ−1−ブタノール
溶剤(E);Ec;ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
溶剤(E);Ed;3−エトキシエチルプロピオネート
溶剤(E);Ee;3−メトキシブチルアセテート
溶剤(E)は、硬化性樹脂組成物の固形分量が表1の「固形分量(%)」となるように混合し、溶剤(E)中の溶剤成分(Ea)〜(Ee)の値は、溶剤(E)中の質量比を表す。
【0121】
<粘度測定>
得られた硬化性樹脂組成物について、それぞれ、粘度計(機種;TV-30;東機産業(株)製)を用いて、粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0122】
<硬化性樹脂組成物の透過率>
得られた硬化性樹脂組成物について、それぞれ、紫外可視近赤外分光光度計(V−650;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0123】
<塗膜の作製>
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)を、中性洗剤、水及び2−プロパノールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、硬化性樹脂組成物を、ポストベーク後の膜厚が3.0μmになるようにスピンコートし、次にホットプレート中、90℃で2分間プリベークし、次に露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cm2の露光量(365nm基準)で、プリベーク後の塗膜を露光した。なおこの露光では、超高圧水銀灯からの放射光は、光学フィルタ(UV−33;旭テクノグラス(株)製)を通過させて照射した。露光後、230℃で20分加熱して塗膜を得た。
【0124】
<塗膜の透過率>
得られた塗膜について、顕微分光測光装置(OSP−SP200;OLYMPUS社製)を用いて、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0125】
<耐熱性>
得られた塗膜を、240℃で60分オーブン中で加熱し、加熱前後の膜厚及び透過率を測定し、次式にしたがって、膜厚変化(%)及び透過率変化(%)を求めた。尚、膜厚は、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製)を用いて測定した。いずれも、100%に近いほど加熱前後の変化は小さく、耐熱性に優れることを意味する。また、塗膜の耐熱性が高ければ、同じ硬化性樹脂組成物により形成されたパターンも耐熱性は高い。結果を表2に示す。
透過率変化(%);(加熱後の透過率(%)/加熱前の透過率(%))×100
膜厚変化(%);(加熱後の膜厚(μm)/加熱前の膜厚(μm))×100
【0126】
<パターン形成>
2インチ角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)を、中性洗剤、水及び2−プロパノールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、ポストベーク後のパターンの膜厚が3μmになるようにスピンコートで硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、減圧乾燥機(VCDマイクロテック(株)製)で減圧度を0.5torrまで減圧して乾燥させて塗膜を形成した。この塗膜を、ホットプレート中90℃で2分間プリベークした。基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を10μmとし、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cmの露光量(365nm基準)で、プリベーク後の塗膜を露光した。なおこの露光では、超高圧水銀灯からの放射光は、光学フィルタ(UV−33;旭テクノグラス(株)製)を通過させて照射した。前記フォトマスクとしては、直径5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、及び20μmの円形透光部を有し、該円形透光部の間隔が100μmのパターンが同一平面上に形成されたフォトマスクを用いた。
露光後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液で25℃で60秒間浸漬して現像し、水洗した後、オーブンにて230℃で20分間ポストベークを行い、パターンを形成した。
【0127】
<解像度評価>
走査型電子顕微鏡(S−4000;(株)日立製作所社製)で得られたパターンを観察し、パターンが分離している最小線幅を解像度とした。結果を表2に示す。
【0128】
【表2】

【0129】
上記の結果より、本発明の硬化性樹脂組成物により得られた塗膜は、耐熱性試験における透過率変化が小さく、加熱処理による着色が少ないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、耐熱性に優れる塗膜及びパターンを形成することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む硬化性樹脂組成物:
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体
(B)アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物
(C)重合開始剤
(D)式(1)で表される化合物
【化1】

[式(1)中、Rは、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基を表し、
〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ニトロ基又は炭素数1〜20のアシル基を表し、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい]。
【請求項2】
(D)の含有量が、(A)100質量部に対して1質量部以上25質量部以下である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物により形成される塗膜。
【請求項4】
請求項3記載の塗膜を含む表示装置。

【公開番号】特開2013−10938(P2013−10938A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117864(P2012−117864)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】