説明

硬化性組成物

【課題】接着性(伸びおよび剥離強度)に優れ、せん断強度が高い硬化物を得ることができ、かつ硬化速度が速い硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記硬化性材料(a1)と下記硬化性材料(a2)と硬化触媒(b)とを含む硬化性組成物。硬化性材料(a1):水酸基数が4以上のポリオキシアルキレンポリオールを変性することによって、水酸基を、下式(Y1)で表される基を有する基(X1)に変換した重合体(a1)の1種または2種以上。硬化性材料(a2):ポリオキシアルキレンジオールを変性することによって、水酸基を、下式(Y)で表される基を有する基(X)に変換した重合体(a21)等の1種または2種以上であって、硬化性材料(a2)に存在する基(X)のうち基(X1)が50モル%以上である。−Si(OR)・・・(Y)、−Si(OCH・・・(Y1)。Rは炭素数1〜6の有機基。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿分存在下において加水分解性ケイ素基の加水分解および架橋反応によって硬化する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレン鎖の末端に加水分解性ケイ素基を有する重合体は、湿分硬化性を有する、硬化物がゴム弾性を有する、周辺目地汚染が少ない等の特性から、被覆組成物、密封組成物等の硬化性組成物に用いられる。
しかし、該重合体を含む硬化性組成物を冬季に屋外で用いる場合、低温下での該重合体の反応性が低いため、所定の時間で、充分な硬化が進まず、作業性に問題が生じる。
また、該硬化性組成物を工場のラインでシール材料、接着剤等として用いる場合、生産性向上の目的から、該硬化性組成物には短時間で硬化することが求められる。
【0003】
該硬化性組成物としては、下記の硬化性組成物が提案されている。
(1)ポリオキシアルキレン鎖の末端にメチルジメトキシシリル基を有する重合体を含む硬化性組成物(特許文献1参照)。
(2)ポリオキシアルキレン鎖の末端にトリメトキシシリル基を有する重合体を含む硬化性組成物(特許文献2、3参照)。
(3)4官能以上のポリオキシプロピレンポリオールの末端水酸基をメチルジメトキシシリル基に置換した重合体を含む硬化性組成物(特許文献4参照)。
【0004】
(1)の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、伸びおよび柔軟性を有するが、硬化性組成物の硬化速度が充分でない。硬化触媒の量を増やしたり、硬化触媒の活性を高めたりすることにより、室温の硬化速度を12時間程度から数時間まで短縮できるが、硬化速度をこれ以上速くすることは困難であり、かつポットライフが短くなる、貯蔵安定性が悪化する等の問題がある。
【0005】
(2)の硬化性組成物は、重合体のトリメトキシシリル基が加水分解されやすく、かつシロキサン結合による架橋を形成しやすいことから、湿分存在下で速やかに硬化する。しかし、トリメトキシシリル基を有する重合体を単独で用いた場合、得られる硬化物は、脆いため、接着性(伸びおよび剥離強度)が不充分である。また、室温(23℃)における硬化速度が速すぎるため、作業性に問題がある。
【0006】
(3)の硬化性組成物は、低粘度で作業性に優れ、かつ硬化物のせん断強度に優れる。しかし、硬化速度は、いまだ不充分である。
【特許文献1】特公昭58−10418号公報
【特許文献2】特開平3−47825号公報
【特許文献3】特開平10−245484号公報
【特許文献4】特開平7−62205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、接着性(伸びおよび剥離強度)に優れ、せん断強度が高い硬化物を得ることができ、かつ硬化速度が速い硬化性組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の硬化性組成物は、下記硬化性材料(a1)と、下記硬化性材料(a2)と、硬化触媒(b)とを含むことを特徴とする。
(硬化性材料(a1))
水酸基数が4以上であるポリオキシアルキレンポリオールを変性することによって、水酸基の50モル%以上を、下式(Y1)で表される基を有する基(X1)に変換した重合体(a1)(ただし、基(X1)に変換されない水酸基は別の基に変性されていてもよい。)の1種または2種以上。
(硬化性材料(a2))
ポリオキシアルキレンジオールを変性することによって、水酸基の50モル%以上を、下式(Y)で表される基を有する基(X)に変換した重合体(a21)(ただし、基(X)に変換されない水酸基は別の基に変性されていてもよい。)および/または不飽和基を有するポリオキシアルキレンモノオールを変性することによって、不飽和基および水酸基の合計の50モル%以上を、下式(Y)で表される基を有する基(X)に変換した重合体(a22)(ただし、基(X)に変換されない不飽和基および/または水酸基を有していてもよい。)の1種または2種以上であって、硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が50モル%以上である。
−Si(OR) ・・・(Y)、
−Si(OCH ・・・(Y1)。
ただし、Rは、それぞれ炭素数1〜6の有機基である。
【0009】
前記硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が50モル%以上であり、残りの基(X)が、下式(Y2)で表される基を有する基(X2)であることが好ましい。
−Si(OCHCH ・・・(Y2)。
前硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が100モル%であることがより好ましい。
【0010】
前記ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基数は、4〜6であることが好ましい。
前記硬化性材料(a1)と前記硬化性材料(a2)との比(硬化性材料(a1)/硬化性材料(a2))は、90/10〜10/90(質量比)であることが好ましく、80/20〜10/90(質量比)であることがより好ましい。
【0011】
前記重合体(a1)の数平均分子量(Mn)が、8000〜50000であり、前記重合体(a1)の分子量分布(Mw/Mn)が、1.6以下であり、前記重合体(a21)または前記重合体(a22)の数平均分子量(Mn)が、8000〜50000であり、前記重合体(a21)または前記重合体(a22)の分子量分布(Mw/Mn)が、1.6以下であることが好ましい。
前記重合体(a1)の基(X1)は、ウレタン結合を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の硬化性組成物によれば、接着性(伸びおよび剥離強度)に優れ、せん断強度が高い硬化物を得ることができる。また、本発明の硬化性組成物は、硬化速度が速い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書においては、式(X)で表される基を、基(X)と記す。他の式で表される基も同様に記す。また、式(1−1)で表される化合物を、化合物(1−1)と記す。他の式で表される基も同様に記す。
【0014】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、硬化性材料(a1)と、硬化性材料(a2)と、硬化触媒(b)とを含み、必要に応じて他の添加剤(接着性付与剤、可塑剤、脱水剤、充填剤、老化防止剤、着色剤、チキソ性付与剤等。)を含む。
本発明の硬化性組成物は、室温付近の温度であっても、湿分存在下において加水分解性ケイ素基の加水分解および架橋反応によって重合体が架橋して硬化物を与える。
【0015】
硬化性組成物の硬化速度、可使時間、硬化物の機械的物性等は、硬化性材料(a1)および硬化性材料(a2)の種類、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)との比、硬化性材料(a2)が重合体(a21)(または重合体(a22))の2種以上の場合は各重合体(a21)(または重合体(a22))の種類および比を適宜選択することにより、調整できる。
また、硬化物の特性は、重合体1分子あたりの加水分解性ケイ素基の数、分子末端1個所あたりの重合体の分子量、および重合体の分子量分布等の各種パラメータによっても変動する。
【0016】
硬化性材料(a1)と前記硬化性材料(a2)との比(硬化性材料(a1)/硬化性材料(a2))は、硬化速度の調整の点から、90/10〜10/90(質量比)が好ましく、80/20〜10/90(質量比)がより好ましい。硬化性材料(a1)/硬化性材料(a2)が90/10〜10/90(質量比)であれば、硬化性組成物の可使時間および硬化速度のバランスに優れる。硬化性材料(a1)/硬化性材料(a2)が80/20〜10/90(質量比)であれば、硬化速度が速く、かつ硬化物の伸び、剥離強度等の機械的物性がさらに向上する。
【0017】
(硬化性材料(a1))
硬化性材料(a1)は、水酸基数が4以上であるポリオキシアルキレンポリオール(以下、ポリオール(a1)と記す。)を変性することによって、水酸基の50モル%以上を、基(Y1)を有する基(X1)に変換した重合体(a1)(ただし、基(X1)に変換されない水酸基は別の基に変性されていてもよい。)の1種または2種以上である。
−Si(OCH ・・・(Y1)。
【0018】
基(X1)は、下式で表される基である。
−O−A−Si(OCH ・・・(X1)。
ただし、Aは、2価の連結基である。
【0019】
基(X1)としては、後述の変性方法に応じて、たとえば、基(X1−1)〜(X1−3)が挙げられる。
−O−A−R11−CH(R12)CH(R13)−A−R01−Si(OCH ・・・(X1−1)、
−O−C(O)NH−R02−Si(OCH ・・・(X1−2)、
−O−C(O)NH−R31−A−R03−Si(OCH ・・・(X1−3)。
【0020】
は、単結合、−C(O)−、−C(O)O−、または−C(O)NH−である。
11は、単結合または2価の有機基(−CH−、−CHCH−OC(O)−等。)である。
12、R13は、水素原子または1価の有機基(−CH等。)である。
は、単結合または−S−である。
01は、単結合または2価の有機基である。2価の有機基としては、炭素数1〜17の2価の有機基が好ましく、−CHCHCH−がより好ましい。
02、R03は、2価の有機基であり、炭素数1〜17の2価の有機基が好ましく、−CHCHCH−がより好ましい。
31は、2価の有機基(アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基等。)である。
は、−NHC(O)O−、−NHC(O)NH−、−NHC(O)N(R32)−、−NHC(O)OC(O)−または−NHC(O)S−である。
32は、1価の有機基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等。)である。
【0021】
ポリオール(a1):
ポリオール(a1)は、主鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するポリオールである。ポリオール(a1)は、ポリオキシアルキレン鎖以外の構造(たとえば、開始剤に由来する構造等。)を有していてもよい。
ポリオール(a1)の水酸基数は、4以上であり、4〜8が好ましく、4〜6がより好ましい。ポリオール(a1)の水酸基数が4〜6であれば、該ポリオールから得られる重合体(a1)と後述の重合体(a2)とを併用した場合に、得られる硬化物の接着性がさらに向上し、かつ得られる硬化性組成物の硬化速度が充分に速くなる。
【0022】
ポリオール(a1)としては、開始剤の存在下で重合触媒を用いて、環状エーテルを開環重合反応させて得られるポリオールが好ましい。
環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられ、プロピレンオキシドが好ましい。環状エーテルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
開始剤としては、一分子内に4以上の活性水素原子を有する化合物が挙げられ、一分子内に4以上の水酸基を有するヒドロキシ化合物および/または不飽和アルコールが好ましく、一分子内に4〜8の水酸基を有するヒドロキシル化合物および/または不飽和アルコールがより好ましく、一分子内に4〜6の水酸基を有するヒドロキシル化合物が特に好ましい。
【0024】
開始剤としては、下記の化合物が挙げられる。
多価アルコール類:4価のアルコール類(ペンタエリスリトール等。)、6価のアルコール類(ソルビトール、ジペンタエリスリトール等。)、8価のアルコール類(ショ糖等。)等、
ポリアミン類:エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等、
前記多価アルコール類のアルキレンオキシド付加物、
前記ポリアミン類のアルキレンオキシド付加物等。
開始剤としては、得られる硬化物の接着性の点から、ペンタエリスリトール、ソルビトールが好ましい。開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
重合触媒としては、アルカリ金属化合物、複合金属シアン化物錯体、金属ポルフィリン錯体、P=N結合を有する化合物等が挙げられる。アルカリ金属化合物としては、カリウム化合物(水酸化カリウム、カリウムメトキシド等。)、セシウム化合物(水酸化セシウム等。)が挙げられる。
重合触媒としては、分子量の大きいポリオールが得られる点から、複合金属シアン化物錯体、セシウム化合物、またはP=N結合を有する化合物が好ましい。
【0026】
複合金属シアン化物錯体としては、高い重合活性を有する点から、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、高活性である点から、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのエーテルおよび/またはアルコール錯体がより好ましい。
エーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル(以下、グライムと記す。)またはジエチレングリコールジメチルエーテル(以下、ジグライムと記す。)が好ましく、製造時に錯体を取り扱いやすい点から、グライムがより好ましい。
アルコールとしては、高活性の重合触媒が得られる点から、tert−ブチルアルコールが好ましい。
複合金属シアン化物錯体の使用量は、得られるポリオール(100質量%)に対して0.0001〜0.1質量%が好ましく、製品の貯蔵安定性に優れ、かつ経済的に有利である点から、0.001〜0.03質量%がより好ましい。
【0027】
セシウム化合物としては、セシウム金属、水酸化セシウム、炭酸セシウム、セシウムアルコキシド(セシウムメトキシド等。)が挙げられ、入手の容易性等の点から、水酸化セシウムが好ましい。
セシウム化合物の使用量は、得られるポリオール(100質量%)に対して0.05〜1.5質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
【0028】
P=N結合を有する化合物としては、ホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物、またはホスフィンオキシド化合物が挙げられ、入手の容易性等の点から、ホスファゼニウム化合物またはホスフィンオキシド化合物が好ましい。
【0029】
ポリオール(a1)の変性:
ポリオール(a1)の変性方法としては、たとえば、下記の方法が挙げられる。
(i)ポリオール(a1)の水酸基、または該水酸基にアルカリ金属のアルコキシド(ナトリウムメトキシド等。)を作用させて水酸基を変換した−OM(ただし、Mはアルカリ金属である。)に、化合物(1−1)を作用させて、水酸基を基(X0−1)に変換し、ついで基(X0−1)に化合物(1−2)を作用させて、基(X0−1)を(X1−1)に変換する方法。
−R11−C(R12)=CH(R13) ・・・(1−1)、
−O−A−R11−C(R12)=CH(R13) ・・・(X0−1)、
−R01−Si(OCH ・・・(1−2)。
ただし、Wは、ハロゲン原子、−COOH、−COX(ただし、Xはハロゲン原子である。)、−NCO等の水酸基または−OMと反応しうる基であり、Wは、R01が単結合の場合は、水素原子であり、R01が2価の有機基の場合は、−SHである。また、R11、R12、R13、A、R01は、基(X1)の説明と同じである。
【0030】
(ii)ポリオール(a1)の水酸基に、化合物(2−1)を作用させて、水酸基を基(X1−2)に変換する方法。
OCN−R02−Si(OCH ・・・(2−1)。
ただし、R02は、基(X1)の説明と同じである。
【0031】
(i)の方法:
化合物(1−1)としては、塩化アリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
化合物(1−2)としては、下記の化合物が挙げられる。
H−Si(OCH ・・・(1−2−1)、
HS−R01−Si(OCH ・・・(1−2−2)。
【0032】
基(X0−1)と化合物(1−2−1)との反応(ヒドロシリル化反応)は、触媒の存在下で行う。
触媒としては、白金系触媒(塩化白金酸、白金金属、塩化白金、白金オレフィン錯体等。)、ロジウム系触媒、コバルト系触媒、パラジウム系触媒、またはニッケル系触媒が挙げられ、白金系触媒が好ましい。
ヒドロシリル化反応の温度は、30〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。
ヒドロシリル化反応の時間は、通常、数時間である。
【0033】
化合物(1−2−2)としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
基(X0−1)と化合物(1−2−2)との反応は、ラジカル重合開始剤を用いて行ってもよく、ラジカル重合開始剤を用いることなく放射線または熱によって行ってもよい。
ラジカル重合開始剤としては、パーオキシド系重合開始剤、アゾ系重合開始剤、レドックス系重合開始剤、金属化合物触媒等が挙げられ、具体的には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、AMBNと記す。)、ベンゾイルパーオキシド、tert−アルキルパーオキシエステル、アセチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を用いる場合の反応温度は、ラジカル重合開始剤の分解温度(半減期温度)によって異なり、通常、20〜200℃であり、50〜150℃が好ましい。反応時間は、数時間〜数十時間程度が好ましい。
【0034】
(ii)の方法:
化合物(2−1)としては、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートブチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートペンチルトリメトキシシラン、1−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが挙げられ、1−イソシアネートメチルトリメトキシシランまたは3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが好ましく、硬化性組成物の硬化速度が速い点、および硬化物の伸びが良好である点から、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。化合物(2−1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
化合物(2−1)のイソシアネート基(NCO)とポリオール(a1)の水酸基(OH)との比(NCO/OH)は、0.80〜1.10(モル比)が好ましく、0.85〜1.05(モル比)がより好ましく、0.95〜1.05(モル比)が特に好ましい。
NCO/OHが0.80(モル比)以上であれば、未反応の水酸基と基(Y1)との反応等が起こりにくく、得られる硬化性組成物の貯蔵安定性が良好となる。未反応の水酸基は、新たに化合物(2−1)またはモノイソシアネート化合物と反応させて減らすことが好ましい。
NCO/OHが1.20(モル比)以下であれば、硬化物が柔らかく、かつ未反応のイソシアネート基と水との反応で発泡が起こりにくい。未反応のイソシアネート基は、アルコール類と反応させて減らすことが好ましい。
【0036】
ポリオール(a1)の水酸基と化合物(2−1)との反応は、ウレタン化触媒を用いて行ってもよい。
ウレタン化触媒としては、有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等。)、ビスマス化合物等の金属触媒;有機アミン等の塩基触媒が挙げられる。
ウレタン化触媒の量は、1〜100ppmが好ましく、10〜50ppmがより好ましい。ウレタン化触媒の量が100ppm以下であれば、硬化性組成物の貯蔵安定性が良好となる。ウレタン化触媒の量が1ppm以上であれば、ウレタン化反応が短時間で進行する。
【0037】
反応温度は、ウレタン化触媒の有無、その量によって異なり、通常は、50〜200℃であり、70〜150℃が好ましい。
反応時間は、数時間程度が好ましい。
(ii)の方法は、工程数が少ないため、製造時間を大幅に短縮できる。また、工程途中で副生する不純物がないため、精製等の煩雑な操作が不要であり、また、得られる硬化性組成物は、貯蔵安定性に非常に優れる。
【0038】
重合体(a1):
重合体(a1)は、1種を単独で用いてもよく、分子量、分子量分布、原料のポリオール(a1)の水酸基数、基(X1)の導入率等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
重合体(a1)における基(X1)の導入率は、原料のポリオール(a1)の水酸基(100モル%)に対して、50〜100モル%であり、85〜100モル%が好ましい。基(X1)の導入率が50モル%以上であれば、硬化性組成物の硬化速度が速く、硬化の均一性が良好であり、硬化物の強度および耐久性が高い。基(X1)に変換されていない水酸基は、他の有機基に変換してもよい。
【0040】
重合体(a1)の数平均分子量(Mn)は、柔軟かつ伸びのよい硬化物が得られる点から、8000〜50000が好ましく、8000〜38000より好ましく、12000〜35000が特に好ましい。重合体(a1)の数平均分子量(Mn)が8000以上では、得られる硬化物が脆くなりにくい。重合体(a1)の数平均分子量(Mn)が50000以下であれば、重合体(a1)の粘度が低くなり、硬化性組成物の施工時における作業性および取扱性が良好となる。
【0041】
重合体(a1)の分子量分布は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.4以下が特に好ましい。
重合体(a1)の分子量分布が1.6以下であれば、硬化物の弾性率を維持しつつ、硬化物の破断時伸度を向上でき、かつ強度も向上できる。
重合体(a1)の分子量分布の下限は1.0である。
【0042】
また、分子量分布が狭い重合体を含む硬化性組成物と、数平均分子量が同じで、分子量分布が広い重合体を含む硬化性組成物とを比較した場合、前者は分子量の小さい重合体の割合が少ないため、硬化物の破断時伸度および最大応力が後者に比べて大きくなり、かつ、硬化性組成物の粘度が低くなるため取扱性に優れる。
分子量分布が狭い重合体(a1)は、重合触媒として複合金属シアン化物錯体を用いて得られたポリオール(a1)を変性し、水酸基を基(X1)に変換することによって、安定して製造できる。
なお、重合体(a1)の分子量分布が1.6を超えたとしても、該重合体(a1)を含む本発明の硬化性組成物と、基(X1)を3つ有する重合体を含む硬化性組成物とを比較すれば、本発明の硬化性組成物は、硬化物の引張最大応力および破断時伸度が大きく向上する。
【0043】
重合体(a1)の分子量分布は、下記の方法によって調整できる。
(i)ポリオール(a1)の製造に用いる重合触媒の種類および量を調整する方法。
(ii)環状エーテルの重合条件を最適化する方法。
(iii)分子量、分子量分布が異なる2種以上の重合体(a1)を組み合わせる方法。
【0044】
重合体(a1)の分子量分布は、下式で表される。
分子量分布=質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)。
重合体(a1)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)によって測定されるポリスチレン換算の分子量である。
【0045】
(硬化性材料(a2))
硬化性材料(a2)は、ポリオキシアルキレンジオール(以下、ジオール(a21)と記す。)を変性することによって、水酸基の50モル%以上を、下式(Y)で表される基を有する基(X)に変換した重合体(a21)(ただし、基(X)に変換されない水酸基は別の基に変性されていてもよい。)および/または不飽和基を有するポリオキシアルキレンモノオール(以下、不飽和モノオール(a22)と記す。)を変性することによって、不飽和基および水酸基の合計の50モル%以上を、下式(Y)で表される基を有する基(X)に変換した重合体(a22)(ただし、基(X)に変換されない不飽和基および/または水酸基を有していてもよい。)の1種または2種以上であって、硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が50モル%以上である。
−Si(OR) ・・・(Y)。
【0046】
Rは、それぞれ炭素数1〜6の有機基である。有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。
アルキル基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
Rとしては、硬化速度の点から、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0047】
基(X)は、下式で表される。
−Q−A−Si(OR) ・・・(X)。
ただし、Qは、水酸基を変換した場合は、−O−であり、不飽和基を変換した場合は、−CH(R41)CH(R42)−であり、R41、R42は、水素原子または1価の有機基(−CH等。)である。また、Aは、基(X1)の説明と同じであり、Rは、基(Y)の説明と同じである。
【0048】
基(X)としては、後述の変性方法に応じて、たとえば、基(X−1)〜(X−4)が挙げられる。
−O−A−R11−CH(R12)CH(R13)−A−R01−Si(OR) ・・・(X−1)、
−O−C(O)NH−R02−Si(OR) ・・・(X−2)、
−O−C(O)NH−R31−A−R03−Si(OR) ・・・(X−3)、
−CH(R41)CH(R42)−A−R01−Si(OR) ・・・(X−4)。
ただし、Rは、基(Y)の説明と同じであり、A、R11、R12、R13、A、R01、R02、R31、A、R03は、基(X1)の説明と同じであり、R41、R42は、基(X)の説明と同じである。
【0049】
ジオール(a21):
ジオール(a21)は、主鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するジオールである。ジオール(a21)は、ポリオキシアルキレン鎖以外の構造(たとえば、開始剤に由来する構造等。)を有していてもよい。
【0050】
ジオール(a21)としては、開始剤の存在下で重合触媒を用いて、環状エーテルを開環重合反応させて得られるポリオールが好ましい。
環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられ、プロピレンオキシドが好ましい。環状エーテルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
開始剤としては、一分子内に2つの活性水素原子を有する化合物が挙げられ、一分子内に2つの水酸基を有するヒドロキシ化合物および/または不飽和アルコールが好ましく、一分子内に2つの水酸基を有するヒドロキシル化合物が特に好ましい。
開始剤としては、エチレングリコール、プロパンジオール(プロピレングリコール)、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの化合物のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
重合触媒としては、ポリオール(a1)の製造に用いたものが挙げられ、分子量の大きいジオールが得られる点から、複合金属シアン化物錯体、セシウム化合物、またはP=N結合を有する化合物が好ましい。
【0053】
ジオール(a21)の変性:
ジオール(a21)の変性方法としては、たとえば、上述のポリオール(a1)と同様の方法が挙げられる。
(i)ジオール(a21)の水酸基、または該水酸基にアルカリ金属のアルコキシド(ナトリウムメトキシド等。)を作用させて水酸基を変換した−OM(ただし、Mはアルカリ金属である。)に、化合物(1−1)を作用させて、水酸基を基(X0−1)に変換し、ついで基(X0−1)に化合物(1−3)を作用させて、基(X0−1)を(X−1)に変換する方法。
−R11−C(R12)=CH(R13) ・・・(1−1)、
−O−A−R11−C(R12)=CH(R13) ・・・(X0−1)、
−R01−Si(OR) ・・・(1−3)。
ただし、Rは、基(Y)の説明と同じであり、W、W、R11、R12、R13、A、R01は、基(X1)の説明と同じである。
【0054】
(ii)ジオール(a21)の水酸基に、化合物(2−2)を作用させて、水酸基を基(X−2)に変換する方法。
OCN−R02−Si(OR) ・・・(2−2)。
ただし、Rは、基(Y)の説明と同じであり、R02は、基(X1)の説明と同じである。
【0055】
(iii)ジオール(a21)の水酸基に化合物(3−1)を作用させて、水酸基を基(X0−3)に変換し、ついで基(X0−3)に化合物(3−3)を作用させて、基(X0−3)を(X−3)に変換する方法。
OCN−R31−NCO ・・・(3−1)、
−O−C(O)NH−R31−NCO ・・・(X0−3)、
−R03−Si(OR) ・・・(3−3)。
ただし、Wは、−OH、−NH、−NHR32、−COOH、または−SHである。また、Rは、基(Y)の説明と同じであり、R31、R03は、基(X1)の説明と同じである。
【0056】
(i)の方法:
化合物(1−3)としては、下記の化合物が挙げられる。
H−Si(OR) ・・・(1−3−1)、
HS−R01−Si(OR) ・・・(1−3−2)。
化合物(1−3−2)としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(i)の方法における反応条件は、ポリオール(a1)の変性方法における反応条件と同様である。
【0057】
(ii)の方法:
化合物(2−2)としては、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートブチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートペンチルトリメトキシシラン、1−イソシアネートメチルトリエトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、1−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられ、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、または3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましく、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランがより好ましく、硬化性組成物の硬化速度が速い点、および硬化物の伸びが良好である点から、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。化合物(2−2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ii)の方法における反応条件は、ポリオール(a1)の変性方法における反応条件と同様である。
【0058】
(iii)の方法:
化合物(3−1)としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
化合物(3−1)の量は、ポリオール(a1)の水酸基に対してイソシアネート基が過剰になるような量とする。
【0059】
化合物(3−3)としては、アミノシラン系化合物(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等。)、メルカプトシラン系化合物(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等。)が挙げられる。
【0060】
基(X0−3)のイソシアネート基と化合物(3−3)との反応は、ウレタン化触媒を用いて行ってもよい。
反応温度は、ウレタン化触媒の有無、その量によって異なり、通常は、20〜200℃であり、50〜150℃が好ましい。
反応時間は、数時間程度が好ましい。
【0061】
重合体(a21):
重合体(a21)は、1種を単独で用いてもよく、分子量、分子量分布、基(X)の種類、導入率等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
重合体(a21)における基(X)の導入率は、原料のジオール(a21)の水酸基(100モル%)に対して、50〜100モル%であり、70〜100モル%が好ましい。基(X)の導入率が50モル%以上であれば、硬化性組成物の硬化速度が速く、硬化の均一性が良好であり、硬化物の強度および耐久性が高い。基(X)に変換されていない水酸基は、他の有機基に変換してもよい。
【0063】
重合体(a21)の数平均分子量(Mn)は、柔軟かつ伸びのよい硬化物が得られる点から、8000〜50000が好ましく、8000〜38000より好ましく、12000〜35000が特に好ましい。重合体(a21)の数平均分子量(Mn)が8000以上では、得られる硬化物が脆くなりにくい。重合体(a21)の数平均分子量(Mn)が50000以下であれば、重合体(a21)の粘度が低くなり、硬化性組成物の施工時における作業性および取扱性が良好となる。
【0064】
重合体(a21)の分子量分布は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.4以下が特に好ましい。
重合体(a21)の分子量分布が1.6以下であれば、硬化物の弾性率を維持しつつ、硬化物の破断時伸度を向上でき、かつ強度も向上できる。
重合体(a21)の分子量分布の下限は1.0である。
【0065】
また、分子量分布が狭い重合体を含む硬化性組成物と、数平均分子量が同じで、分子量分布が広い重合体を含む硬化性組成物とを比較した場合、前者は分子量の小さい重合体の割合が少ないため、硬化物の破断時伸度および最大応力が後者に比べて大きくなり、かつ、硬化性組成物の粘度が低くなるため取扱性に優れる。
分子量分布が狭い重合体(a21)は、重合触媒として複合金属シアン化物錯体を用いて得られたジオール(a21)を変性し、水酸基を基(X)に変換することによって、安定して製造できる。
なお、重合体(a21)の分子量分布が1.6を超えたとしても、該重合体(a21)を含む本発明の硬化性組成物と、基(X)を3つ有する重合体を含む硬化性組成物とを比較すれば、本発明の硬化性組成物は、硬化物の引張最大応力および破断時伸度が大きく向上する。
【0066】
重合体(a21)の分子量分布は、下記の方法によって調整できる。
(i)ジオール(a21)の製造に用いる重合触媒の種類および量を調整する方法。
(ii)環状エーテルの重合条件を最適化する方法。
(iii)分子量、分子量分布が異なる2種以上の重合体(a21)を組み合わせる方法。
【0067】
重合体(a21)の分子量分布は、下式で表される。
分子量分布=質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)。
重合体(a21)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量は、GPCによって測定されるポリスチレン換算の分子量である。
【0068】
不飽和モノオール(a22):
不飽和モノオール(a22)は、主鎖にポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ末端に不飽和基をするモノオールである。不飽和モノオール(a22)は、ポリオキシアルキレン鎖以外の構造(たとえば、開始剤に由来する構造等。)を有していてもよい。
【0069】
不飽和モノオール(a22)としては、開始剤の存在下で重合触媒を用いて、環状エーテルを開環重合反応させて得られるモノオールが好ましい。
環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられ、プロピレンオキシドが好ましい。環状エーテルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
開始剤としては、不飽和モノアルコール(アリルアルコール、メタリルアルコール等。)が挙げられる。開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合触媒としては、ポリオール(a1)の製造に用いたものが挙げられ、分子量の大きいモノオールが得られる点から、複合金属シアン化物錯体、セシウム化合物、またはP=N結合を有する化合物が好ましい。
【0071】
不飽和モノオール(a22)の変性:
不飽和モノオール(a22)の変性方法としては、たとえば、上述のジオール(a21)の変性方法における(i)の方法と同様の方法が挙げられる。
(i)不飽和モノオール(a22)の水酸基、または該水酸基にアルカリ金属のアルコキシド(ナトリウムメトキシド等。)を作用させて水酸基を変換した−OM(ただし、Mはアルカリ金属である。)に、化合物(1−1)を作用させて、水酸基を基(X0−1)に変換し、ついで基(X0−1)および不飽和モノオール(a22)の不飽和基に化合物(1−3)を作用させて、基(X0−1)および前記不飽和基を基(X−1)および基(X−4)に変換する方法。
−R11−C(R12)=CH(R13) ・・・(1−1)、
−O−A−R11−C(R12)=CH(R13) ・・・(X0−1)、
−R01−Si(OR) ・・・(1−3)。
ただし、Rは、基(Y)の説明と同じであり、W、W、R11、R12、R13、A、R01は、基(X1)の説明と同じである。
(i)の方法における反応条件は、ジオール(a21)の変性方法における反応条件と同様である。
【0072】
重合体(a22):
重合体(a22)は、1種を単独で用いてもよく、分子量、分子量分布、基(X)の種類、導入率等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
重合体(a22)における基(X)の導入率は、原料の不飽和モノオール(a22)の水酸基(100モル%)に対して、50〜100モル%が好ましく、70〜100モル%がより好ましい。基(X)の導入率が50モル%以上であれば、硬化性組成物の硬化速度が速く、硬化の均一性が良好であり、硬化物の強度および耐久性が高い。基(X)に変換されていない水酸基は、他の有機基に変換してもよい。
【0074】
重合体(a22)の数平均分子量(Mn)は、柔軟かつ伸びのよい硬化物が得られる点から、8000〜50000が好ましく、8000〜38000より好ましく、12000〜35000が特に好ましい。重合体(a22)の数平均分子量(Mn)が8000以上では、得られる硬化物が脆くなりにくい。重合体(a22)の数平均分子量(Mn)が50000以下であれば、重合体(a22)の粘度が低くなり、硬化性組成物の施工時における作業性および取扱性が良好となる。
【0075】
重合体(a22)の分子量分布は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.4以下が特に好ましい。
重合体(a22)の分子量分布が1.6以下であれば、硬化物の弾性率を維持しつつ、硬化物の破断時伸度を向上でき、かつ強度も向上できる。
重合体(a22)の分子量分布の下限は1.0である。
【0076】
また、分子量分布が狭い重合体を含む硬化性組成物と、数平均分子量が同じで、分子量分布が広い重合体を含む硬化性組成物とを比較した場合、前者は分子量の小さい重合体の割合が少ないため、硬化物の破断時伸度および最大応力が後者に比べて大きくなり、かつ、硬化性組成物の粘度が低くなるため取扱性に優れる。
分子量分布が狭い重合体(a22)は、重合触媒として複合金属シアン化物錯体を用いて得られた不飽和モノオール(a22)を変性し、水酸基を基(X)に変換することによって、安定して製造できる。
なお、重合体(a22)の分子量分布が1.6を超えたとしても、該重合体(a22)を含む本発明の硬化性組成物と、基(X)を3つ有する重合体を含む硬化性組成物とを比較すれば、本発明の硬化性組成物は、硬化物の引張最大応力および破断時伸度が大きく向上する。
【0077】
重合体(a22)の分子量分布は、下記の方法によって調整できる。
(i)不飽和モノオール(a22)の製造に用いる重合触媒の種類および量を調整する方法。
(ii)環状エーテルの重合条件を最適化する方法。
(iii)分子量、分子量分布が異なる2種以上の重合体(a22)を組み合わせる方法。
【0078】
重合体(a22)の分子量分布は、下式で表される。
分子量分布=質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)。
重合体(a22)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量は、GPCによって測定されるポリスチレン換算の分子量である。
【0079】
基(X1)の割合:
硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が50モル%以上である必要がある。基(X1)の割合は、60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
基(X1)の割合が100モル%未満の場合、残りの基(X)は、硬化速度の点から、基(Y2)を有する基(X2)であることが好ましい。
−Si(OCHCH ・・・(Y2)。
【0080】
基(X1)の割合を調整する方法としては、下記の方法が挙げられ、調整が容易である点から、(i)の方法が好ましい。
(i)ジオール(a21)を変性することによって、水酸基を基(X1)のみに変換した重合体(a21−1)および/または不飽和モノオール(a22)を変性することによって、不飽和基および水酸基を基(X1)のみに変換した重合体(a22−1)の1種以上と、ジオール(a21)を変性することによって、水酸基を基(X)(ただし、基(X1)を除く。)に変換した重合体(a21−2)および/または不飽和モノオール(a22)を変性することによって、不飽和基および水酸基を基(X)(ただし、基(X1)を除く。)に変換した重合体(a22−2)の1種以上とを組み合わせる方法。
(ii)ジオール(a21)を、基(Y1)を有する化合物および基(Y)(ただし、基(Y1)を除く。)を有する化合物で変性することによって、水酸基を同時に基(X1)または基(X)(ただし、基(X1)を除く。)に変換した重合体(a21−3)および/または不飽和モノオール(a22)を、基(Y1)を有する化合物および基(Y)(ただし、基(Y1)を除く。)を有する化合物で変性することによって、不飽和基および水酸基を同時に基(X1)または基(X)(ただし、基(X1)を除く。)に変換した重合体(a22−3)の1種以上を用いる方法。
【0081】
(他の硬化性材料)
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化性材料(a1)および硬化性材料(a2)以外に、加水分解性ケイ素基を有する他の硬化性材料を含んでいてもよい。
【0082】
他の硬化性材料としては、下記のものが挙げられる。
(i)水酸基数が3であるポリオキシアルキレンポリオールを変性することによって、水酸基を基(X)に変換した重合体(ただし、基(X)に変換されない水酸基を有していてもよい。)の1種または2種以上。
(ii)ポリオール(a1)を変性することによって、水酸基を基(X)(ただし、基(X1)を除く。)に変換した重合体(ただし、基(X)に変換されない水酸基を有していてもよい。)の1種または2種以上。
(iii)ジオール(a21)を変性することによって、水酸基を基(X)に変換した重合体(a21)(ただし、基(X)に変換されない水酸基を有していてもよい。)および/または不飽和モノオール(a22)を変性することによって、不飽和基および水酸基を基(X)に変換した重合体(a22)(ただし、基(X)に変換されない不飽和基および/または水酸基を有していてもよい。)の1種または2種以上であって、該硬化性材料に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が50モル%未満である。
【0083】
(硬化触媒(b))
硬化触媒(b)は、基(X)の加水分解および/または架橋反応を促進する化合物である。
硬化触媒(b)としては、下記の化合物が挙げられる。
有機スズカルボン酸塩:ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、(n−CSn(OCOCH=CHCOOCH、(n−CSn(OCOCH=CHCOO(n−C))、(n−C17Sn(OCOCH=CHCOOCH、(n−C17Sn(OCOCH=CHCOO(n−C))、(n−C17Sn(OCOCH=CHCOO(iso−C17))等、
含硫黄有機スズ化合物:(n−CSn(SCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCOOCHCHOCOCHS)、(n−CSn(SCHCOO(iso−C17))、(n−C17Sn(SCHCOO(iso−C17))、(n−C17Sn(SCHCOO(n−C17))、(n−CSnS等、
有機スズオキシド:(n−CSnO、(n−C17SnO等、
前記有機スズオキシドとエステル化合物(エチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等。)との反応生成物、
キレートスズ化合物:(n−CSn(acac)、(n−C17Sn(acac)、(n−CSn(OC17)(acac)、(n−CSn(OC(CH)CHCO、(n−C17Sn(OC(CH)CHCO、(n−CSn(OC17)(OC(CH)CHCO)等(ただし、acacはアセチルアセトナト配位子であり、OC(CH)CHCOはエチルアセトアセテート配位子である。)、
前記キレートスズ化合物とアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等。)との反応生成物、
4価のスズ化合物:−SnOSn−結合含有有機スズ化合物{(n−C(CHCOO)SnOSn(OCOCH)(n−C、(n−C(CHO)SnOSn(OCH)(n−C等。}等、
【0084】
2価スズカルボン酸塩類:2−エチルヘキサン酸スズ、n−オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズ等、
酸性化合物類:オクチル酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸等、
脂肪族モノアミン類:ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン等、
脂肪族ジアミン類、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン等、
脂肪族ポリアミン類:ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等、
複素環式アミン類:ピペリジン、ピペラジン等、
芳香族アミン類:メタフェニレンジアミン等、
アルカノールアミン類:モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等、
トリアルキルアミン類:トリエチルアミン等、
各種変性アミン:エポキシ樹脂の硬化剤等。
【0085】
硬化触媒(b)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせる場合は、硬化性の点から、金属含有化合物(2価スズカルボン酸塩、有機スズカルボン酸塩、有機スズオキシドとエステル化合物との反応生成物等。)と、アミン化合物(脂肪族モノアミン等)との組み合わせが好ましい。
【0086】
硬化触媒(b)の量は、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)との合計100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましい。硬化触媒(b)の量が0.001質量部以上であれば、硬化性組成物の硬化速度を有効に促進できる。硬化触媒(b)の量が10質量部以下であれば、硬化物の発泡および耐久性の低下等の不具合を抑制できる。
【0087】
なお、硬化性組成物が他の硬化性材料を含む場合、硬化触媒(b)の量は、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)と他の硬化性材料の合計100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、硬化触媒(b)をあらかじめ添加して脱水条件で保存し、硬化時に大気中の湿分と反応させる一液型としてもよく、また、硬化させる直前に硬化触媒(b)を混合して硬化させる二液型としてもよい。
【0088】
(他の添加剤)
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、接着性付与剤、可塑剤、脱水剤、充填剤、老化防止剤、着色剤、チキソ性付与剤等を含んでいてもよい。
【0089】
接着性付与剤:
接着性付与剤は、基材との接着性を改良するためのものである。
接着性付与剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、カルボキシル基含有シラン類等、いわゆるシランカップリング剤が挙げられ、アミノ基含有シラン類またはエポキシ基含有シラン類が好ましい。
【0090】
アミノ基含有シラン類としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、および3−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0091】
エポキシ基含有シラン類としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
接着性付与剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 接着性付与剤の量は、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)と他の硬化性材料の合計100質量部に対して、30質量部以下が好ましい。接着性付与剤の量が30質量部以下であれば、硬化物が硬くなりすぎず、硬化物の柔軟性が良好となる。
【0092】
接着性付与剤とともにエポキシ樹脂、必要に応じて、さらにエポキシ樹脂硬化剤を用いてもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、難燃型エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェノールA−グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等。)、ノボラック型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−プロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ジグリシジルエステル系エポキシ樹脂(4−グリシジルオキシ安息香酸グリシジル、フタル酸ジグリシジル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル等。)、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、多価アルコール(グリセリン等)のグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、不飽和重合体(石油樹脂等。)のエポキシ化物等が挙げられる。
【0093】
エポキシ樹脂の量は、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)と他の硬化性材料の合計100質量部に対して、100質量部以下が好ましい。エポキシ樹脂の量が100質量部以下であれば、硬化物が硬くなりすぎず、硬化物の柔軟性が良好となる。
【0094】
エポキシ樹脂硬化剤としては、下記の化合物が挙げられる。
アミン類:トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等、
アミン類の塩類、
ブロックドアミン類:アミン類のケチミン化合物等、
ポリアミド樹脂、
イミダゾール類、
ジシアンジアミド類、
三フッ化ホウ素錯化合物類、
カルボン酸無水物:無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ピロメリット酸無水物等、
フェノキシ樹脂、
カルボン酸類、
アルコール類、
エポキシ基と反応しうる基を平均して分子内に少なくとも1個有するポリアルキレンオキシド重合体:末端アミノ化ポリオキシプロピレングリコール、末端カルボキシ化ポリオキシプロピレングリコール等、
液状末端官能基含有重合体:官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基等。)で末端が修飾された重合体(ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル系重合体等。)等。
エポキシ樹脂硬化剤の量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、300質量部以下が好ましい。
【0095】
可塑剤:
可塑剤としては、下記の化合物が挙げられる。
フタル酸エステル類:フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等、
脂肪族カルボン酸エステル類:アジピン酸ジオクチル、コハク酸ビス(2−メチルノニル)、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等、
アルコールエステル類:ペンタエリスリトールエステル等、
リン酸エステル類:リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等、
エポキシ可塑剤類:エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシステアリン酸ベンジル等、
塩素化パラフィン、
ポリエステル系可塑剤類:2塩基酸と2価アルコールを反応させて得られるポリエステル類等、
ポリエーテル類:ポリオキシプロピレングリコール、その誘導体等、
スチレン系オリゴマー類:ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等、
オリゴマー類:ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水素添加ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等。
【0096】
可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の量は、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)と他の硬化性材料の合計100質量部に対して、300質量部以下が好ましい。
なお、本発明の硬化性組成物を接着剤等の用途に用いる場合は、可塑剤を用いないほうが硬化物と基材との接着力を高くできる場合がある。
【0097】
脱水剤:
脱水剤は、硬化性組成物の貯蔵安定性を高めるためのものである。硬化性組成物が一液型の場合には、脱水剤を用いることが好ましい。
脱水剤としては、下記の化合物が挙げられる。
オルトギ酸アルキル類:オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等、
オルト酢酸アルキル類:オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等、
加水分解性有機ケイ素化合物:メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等、
加水分解性有機チタン化合物等。
【0098】
脱水剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脱水剤としては、入手しやすい点、および脱水効果が高い点から、ビニルトリメトキシシランまたはテトラエトキシシランが好ましい。
脱水剤の量は、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)と他の硬化性材料の合計100質量部に対して、30質量部以下が好ましい。脱水剤の量が30質量部以下であれば、硬化性組成物の硬化速度の低下が抑えられる。
【0099】
充填剤:
充填剤としては、粉体状充填剤、繊維状充填剤等が挙げられる。
粉体状充填剤としては、脂肪酸または樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、該炭酸カルシウムをさらに微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム、他の炭酸カルシウム類、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスバルーン、プラスチックバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等が挙げられる。プラスチックバルーンを用いることにより、硬化性組成物の比重を小さくできる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等が挙げられる。
【0100】
充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填剤の量は、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)と他の硬化性材料の合計100質量部に対して、600質量部以下が好ましく、50〜250質量部がより好ましい。
【0101】
老化防止剤:
老化防止剤は、硬化性組成物の耐候性および耐光性を高めるためのものである。
老化防止剤としては、ポリウレタン樹脂に用いられる老化防止剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等。)が挙げられる。該老化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエ−ト系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の各種老化防止剤が挙げられる。
【0102】
着色剤:
着色剤としては、無機顔料(酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等。)、有機顔料(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等。)等が挙げられる。
【0103】
チキソ性付与剤:
チキソ性付与剤は、タレ止め剤として用いる。
チキソ性付与剤としては、水素添加ひまし油、脂肪酸アミド等が挙げられる。
チキソ性付与剤の量は、所望のタレ止め性が得られる量を適宜選択する。
【0104】
他の添加剤:
他の添加剤としては、防かび剤、発泡剤等が挙げられる。
【0105】
以上説明した本発明の硬化性組成物にあっては、硬化性材料(a1)と、硬化性材料(a2)と、硬化触媒(b)とを含むため、従来の硬化性組成物よりも硬化速度が速く、しかも良好な強度および伸びを有する硬化物を得ることができる。
すなわち、分子末端に加水分解性ケイ素基としてトリメトキシシリル基を有する4官能以上の分岐状の重合体と、分子末端にトリアルコキシシリル基(ただし、トリメトキシシリル基が50モル%以上である。)を有する直鎖状の重合体とを含む硬化性組成物は、分子末端に加水分解性ケイ素基としてトリメトキシシリル基を有する3官能の分岐状の重合体を含む硬化性組成物と比較して、硬化性組成物の硬化速度が極めて速くなり、しかも得られる硬化物が高い強度および大きな伸びを有する。
【実施例】
【0106】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例にのみに限定されるものではない。
例7〜17、22〜31は、実施例であり、例18〜21、32は、比較例である。
【0107】
(質量平均分子量、数平均分子量、分子量分布)
重合体の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をGPCによって測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。具体的には、GPCのカラムとしてTSK Multipore HXL−M(東ソー社製)を2本直列につないだものを用い、移動相としてテトラヒドロフランを用い、40℃にて測定を行った。また、分子量既知のポリスチレン標準試料(Polymer Laboratories社製、PS−2)を用いて作成した検量線から、ポリスチレン換算分子量としてMwおよびMnを求めた。
【0108】
(引張りせん断強度)
JIS K6850に準拠して、長さ100mm×幅25mmのアルミニウム試験片に、試料塗布面が長さ25mm×幅25mm×厚さ1mmとなるように硬化性組成物を塗布し、物性測定用試験体を作製した。
試験体を、温度23℃、相対湿度50%の条件下の養生装置内に3日間入れ、硬化性組成物を硬化、養生させた。スペーサーをはずしてから、さらに試験体を、温度50℃、相対湿度65%の条件下の養生装置内に6日間入れ、養生させた。養生装置から試験体を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の条件下に24時間以上放置した後、テンシロンを用いて、引張りせん断強度(最大引張応力および最大応力時の伸び)を測定した。該測定は、引張り速度50mm/分の条件にてJIS K6850に準拠して行った。
【0109】
(T字型剥離強度)
長さ100mm×幅25mm×厚さ0.5mmのアルミニウム試験片に、試料塗布面が長さ75mm×幅25mm×厚さ1mmとなるように硬化性組成物を塗布し、物性測定用試験体を作製した。
試験体を、温度23℃、相対湿度50%の条件下の養生装置内に3日間入れ、硬化性組成物を硬化、養生させた。スペーサーをはずしてから、さらに試験体を、温度50℃、相対湿度65%の条件下の養生装置内に6日間入れ、養生させた。養生装置から試験体を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の条件下に24時間以上放置した後、試験体をT字型に折り曲げ、テンシロンを用いて、剥離強度(5点平均剥離応力)を測定した。該測定は、引張り速度100mm/分の条件にてJIS K6854−3に準拠して行った。
【0110】
(硬化性)
重合体の合計100質量部に、硬化触媒としてES−C10(旭硝子社製)の2質量部を添加した後、これらを混合、撹拌した。撹拌開始時刻を0分とし、硬化性組成物がゲル状になった時点をゲル化時間(分)とし、硬化性組成物がスパーテルに付着しなくなった時間を皮張り時間(分)とした。
【0111】
〔例1〕
プロパンジオールにプロピレンオキシドを開環付加して得られたジオール(Mn:3200)の1000gを開始剤として用い、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の1.6gの存在下でプロピレンオキシドの6828gを重合させ、ポリオキシプロピレンジオールを得た。
ポリオキシプロピレンジオールの水酸基に対して1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、加熱減圧下でメタノールを留去してポリオキシプロピレンジオールの水酸基を−ONa基に変換した。ついで、−ONa基に対して1.20当量の塩化アリルを加えて反応させた後、減圧下で未反応の塩化アリルを除去し、さらに副生した塩を精製により除去し、アリル基末端オキシプロピレン重合体(以下、重合体1と記す。)を得た。
【0112】
重合体1に残存する水酸基を、JIS K1557に準拠して水酸基価の測定法によって分析したところ、水酸基量は0.01ミリモル/gであった。
重合体1の1000gに対して、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの31.7gおよびAMBNの4gを加えて、70℃で12時間加熱して反応させ、分子末端にトリメトキシシリル基を有する重合体(a21)(以下、TMS−2と記す。)を得た。TMS−2の数平均分子量(Mn)は17000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.29であった。基(X1)の導入率は、原料のポリオキシプロピレンジオールの水酸基(100モル%)に対して、70モル%であった。
【0113】
〔例2〕
グリセリンにプロピレンオキシドを開環重合して得られたトリオール(Mn:1000)の295gを開始剤として用い、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の0.059gの存在下でプロピレンオキシドの706gを重合させ、ポリオキシプロピレントリオールを得た。
ポリオキシプロピレントリオールの水酸基に対して1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、加熱減圧下でメタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの水酸基を−ONa基に変換した。ついで、−ONa基に対して1.20当量の塩化アリルを加えて反応させた後、減圧下で未反応の塩化アリルを除去し、さらに副生した塩を精製により除去し、アリル基末端オキシプロピレン重合体(以下、重合体2と記す。)を得た。
【0114】
重合体2に残存する水酸基を、JIS K1557に準拠して水酸基価の測定法によって分析したところ、水酸基量は0.01ミリモル/gであった。
重合体2の1000gに対して、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの35gおよびAMBNの5gを溶解させたメタノール溶液の15gを加えて、70℃で12時間加熱して反応させ、さらに減圧脱気して、分子末端にトリメトキシシリル基を有する重合体(以下、TMS−3と記す。)を得た。TMS−3の数平均分子量(Mn)は17000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.29であった。基(X1)の導入率は、原料のポリオキシプロピレントリオールの水酸基(100モル%)に対して、85モル%であった。
【0115】
〔例3〕
ペンタエリスリトールにプロピレンオキシドを開環重合して得られたテトラオール(Mn:1200)の1200gを開始剤として用い、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体触媒の0.06gの存在下で24064gのプロピレンオキシドを重合させ、ポリオキシプロピレンテトラオールを得た。
ポリオキシプロピレンテトラオールの水酸基に対して1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、加熱減圧下でメタノールを留去してポリオキシプロピレンテトラオールの水酸基を−ONa基に変換した。ついで、−ONa基に対して1.20当量の塩化アリルを加えて反応させた後、減圧下で未反応の塩化アリルを除去し、さらに副生した塩を精製により除去し、アリル基末端オキシプロピレン重合体(以下、重合体3と記す。)を得た。
【0116】
重合体3に残存する水酸基を、JIS K1557に準拠して水酸基価の測定法によって分析したところ、水酸基量は0.01ミリモル/gであった。
重合体3の1000gに対して、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの39.17gおよびAMBNの5.6gを溶解させたメタノール溶液の22.4gを加えて、70℃で12時間加熱して反応させ、さらに減圧脱気して、分子末端にトリメトキシシリル基を有する重合体(a1)(以下、TMS−4と記す。)を得た。TMS−4の数平均分子量(Mn)は25000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.35であった。基(X1)の導入率は、原料のポリオキシプロピレンテトラオールの水酸基(100モル%)に対して、85モル%であった。
【0117】
〔例4〕
ソルビトールにプロピレンオキシドを開環重合して得られたヘキサオール(Mn:880)の880gを開始剤として用い、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体触媒の0.04gの存在下で26970gのプロピレンオキシドを重合させた、ポリオキシプロピレンヘキサオールを得た。
ポリオキシプロピレンヘキサオールの水酸基に対して1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、加熱減圧下でメタノールを留去してポリオキシプロピレンヘキサオールの水酸基を−ONa基に変換した。ついで、−ONa基に対して1.20当量の塩化アリルを加えて反応させた後、減圧下で未反応の塩化アリルを除去し、さらに副生した塩を精製により除去し、アリル基末端オキシプロピレン重合体(以下、重合体4と記す。)を得た。
【0118】
重合体4に残存する水酸基を、JIS K1557に準拠して水酸基価の測定法によって分析したところ、水酸基量は0.01ミリモル/gであった。
重合体4の1000gに対して、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの54.1gおよびAMBNの7.7gを溶解させたメタノール溶液30.8gを加えて、70℃で12時間加熱して反応させ、さらに減圧脱気して、分子末端にトリメトキシシリル基を有する重合体(a1)(以下、TMS−6と記す。)を得た。TMS−6の数平均分子量(Mn)は25000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.45であった。基(X1)の導入率は、原料のポリオキシプロピレンヘキサオールの水酸基(100モル%)に対して、85モル%であった。
【0119】
〔例5〕
例1で得られた重合体1の1000gに対して、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランの31.7gおよびAMBN3.7gを溶解させたメタノール溶液14.9gを加えて、70℃で12時間加熱して反応させ、分子末端にトリエトキシシリル基を有する重合体(a21)(以下、TES−2と記す。)を得た。TES−2の数平均分子量(Mn)は17000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.29であった。基(X)の導入率は、原料のポリオキシプロピレンジオールの水酸基(100モル%)に対して、70モル%であった。
【0120】
〔例6〕
ペンタエリスリトールにプロピレンオキシドを開環重合して得られたテトラオール(Mn:1200)の1200gを開始剤として用い、tert−ブチルアルコールを配位子とする複合金属シアン化物錯体触媒の0.06gの存在下で30800gのプロピレンオキシドを重合させ、ポリオキシプロピレンテトラオールを得た。
ポリオキシプロピレンテトラオールを110℃で4時間加熱して、脱水し、降温した後にウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレート(以下、DBTDLと記す。)の50ppmを加え、撹拌した。ポリオキシプロピレンテトラオールの水酸基に対して95モル%の3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを加え、90℃で8時間加熱して反応させ、分子末端にトリメトキシシリル基を有する重合体(a1)(uTMS−4)を得た。
uTMS−4をIRにて分析し、残存イソシアネートがないことを確認した。uTMS−4の数平均分子量(Mn)は32000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.35であった。基(X1)の導入率は、原料のポリオキシプロピレンテトラオールの水酸基(100モル%)に対して、95モル%であった。
【0121】
〔例7〜32〕
表1または表2に示す割合で、硬化性材料(a1)(TMS−4、TMS−6、uTMS−4から選ばれる1種)、硬化性材料(a2)(TMS−2、TES−2から選ばれる1種または2種)および他の硬化性材料(TMS−3)を配合し、硬化性材料(a1)と硬化性材料(a2)と他の硬化性材料の合計100質量部に、重質炭酸カルシウム(商品名:NS−400、日東粉化工業社製)の30質量部、および表面処理炭酸カルシウム(商品名:白艶化CCR、白石カルシウム社製)の70質量部を加え、遊星式撹拌器(クラボウ社製)を用いて撹拌、混合した。得られた混合物の温度を室温まで下げてから、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM―1003、信越化学工業社製)の5質量部を加えて撹拌、混合した後、さらに接着性付与剤としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−603、信越化学工業社製)の3質量部、および3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学工業社製)の1質量部を加えて撹拌、混合し、最後に硬化触媒としてDBTDLの1質量部を加えて撹拌、混合して、硬化性組成物を得た。なお、例17、31においては、硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、基(X1)は、それぞれ順に、75.5モル%、77.8モル%である。
硬化性組成物を用いて、引張りせん断強度(最大引張応力および最大応力時の伸び)、剥離強度(5点平均剥離応力)、硬化性の評価を行った。結果をゲル化時間、皮張り時間の測定結果とともに表1または表2に示す。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
表1および表2に示すように、分子末端にトリメトキシシリル基を有する4官能以上の分岐状の重合体と、分子末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖状の重合体とを含む例7〜17、22〜31の硬化性組成物は、従来の硬化性組成物(分子末端にトリアルコキシシリル基を有する直鎖状の重合体のみを含む例20の硬化性組成物、および分子末端にトリメトキシシリル基を有する3官能の分岐状の重合体のみを含む例21の硬化性組成物)と比べて、初期硬化性のゲル化時間、皮張り時間は速く、また引張りせん断強度、最大応力時の伸びおよび剥離強度は、同様か、高い値を示した。
【0125】
また、分子末端にトリメトキシシリル基を有する4官能以上の分岐状の重合体のみを含む例18、19、32の硬化性組成物のゲル化時間、皮張り時間と、分子末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖状の重合体のみを含む例20の硬化性組成物のゲル化時間、皮張り時間とから予測される、ゲル化時間、皮張り時間の計算値に比べ、例7〜17、22〜31の硬化性組成物のゲル化時間、皮張り時間は短く、硬化速度に顕著な効果を示していた。これにより、基材への短い接着時間が確保できた。本発明の硬化性組成物は、せん断強度を維持したまま、硬化時間を短縮でき、また硬化後も良好な剥離強度および伸びを有していた。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の硬化性組成物は、シーラント、防水材、接着剤、コーティング剤等の被覆組成物、密封組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記硬化性材料(a1)と、下記硬化性材料(a2)と、硬化触媒(b)とを含む、硬化性組成物。
(硬化性材料(a1))
水酸基数が4以上であるポリオキシアルキレンポリオールを変性することによって、水酸基の50モル%以上を、下式(Y1)で表される基を有する基(X1)に変換した重合体(a1)(ただし、基(X1)に変換されない水酸基は別の基に変性されていてもよい。)の1種または2種以上。
(硬化性材料(a2))
ポリオキシアルキレンジオールを変性することによって、水酸基の50モル%以上を、下式(Y)で表される基を有する基(X)に変換した重合体(a21)(ただし、基(X)に変換されない水酸基は別の基に変性されていてもよい。)および/または不飽和基を有するポリオキシアルキレンモノオールを変性することによって、不飽和基および水酸基の合計の50モル%以上を、下式(Y)で表される基を有する基(X)に変換した重合体(a22)(ただし、基(X)に変換されない不飽和基および/または水酸基を有していてもよい。)の1種または2種以上であって、硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が50モル%以上である。
−Si(OR) ・・・(Y)、
−Si(OCH ・・・(Y1)。
ただし、Rは、それぞれ炭素数1〜6の有機基である。
【請求項2】
前記硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が50モル%以上であり、
残りの基(X)が、下式(Y2)で表される基を有する基(X2)である、請求項1に記載の硬化性組成物。
−Si(OCHCH ・・・(Y2)。
【請求項3】
前記硬化性材料(a2)に存在するすべての基(X)(100モル%)のうち、前記基(X1)が100モル%である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基数が、4〜6である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記硬化性材料(a1)と前記硬化性材料(a2)との比(硬化性材料(a1)/硬化性材料(a2))が、90/10〜10/90(質量比)である、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記硬化性材料(a1)と前記硬化性材料(a2)との比(硬化性材料(a1)/硬化性材料(a2))が、80/20〜10/90(質量比)である、請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記重合体(a1)の数平均分子量(Mn)が、8000〜50000であり、
前記重合体(a1)の分子量分布(Mw/Mn)が、1.6以下であり、
前記重合体(a21)または前記重合体(a22)の数平均分子量(Mn)が、8000〜50000であり、
前記重合体(a21)または前記重合体(a22)の分子量分布(Mw/Mn)が、1.6以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記重合体(a1)の基(X1)が、ウレタン結合を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2009−46539(P2009−46539A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211807(P2007−211807)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】