硬貨一時貯留機構
【課題】硬貨一時貯留機構を小型化し、硬貨貯留部に貯留した硬貨を振り分ける動作時間を短縮するとともにその動作不良の発生を低減させる。
【解決手段】対向して直立し、硬貨貯留部の側面を形成する平板状の一対のサイドフレームの間に対向配置され、硬貨貯留部101の側面を形成するとともに、それぞれの一端が回動可能に軸支され、櫛歯状に形成されたそれぞれの自由端が互いに内側に傾斜し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部101の底部を形成する第1のガイド部材3および第2のガイド部材4と、その自由端が噛み合った第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動の規制およびその規制を解除する第1の規制部材17および第2の規制部材18とを設けた。
【解決手段】対向して直立し、硬貨貯留部の側面を形成する平板状の一対のサイドフレームの間に対向配置され、硬貨貯留部101の側面を形成するとともに、それぞれの一端が回動可能に軸支され、櫛歯状に形成されたそれぞれの自由端が互いに内側に傾斜し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部101の底部を形成する第1のガイド部材3および第2のガイド部材4と、その自由端が噛み合った第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動の規制およびその規制を解除する第1の規制部材17および第2の規制部材18とを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨貯留部に一時的に貯留した硬貨を二つの硬貨通路に振り分ける硬貨一時貯留機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の硬貨一時貯留機構を備えた硬貨処理装置は、投入口に投入された硬貨を鑑別部で鑑別し、正常と鑑別され、計数された硬貨を、平板状の底部が開閉する硬貨貯留部に一時的に貯留し(例えば、特許文献1参照)、顧客の意思を確認して金庫等の収納部に収納するか又は顧客に返却するための返却部へ搬送するかを決定するようにしている。この硬貨貯留部に一時的に貯留された硬貨を収納部に収納する硬貨搬送通路または返却部に返却する硬貨搬送通路に振り分ける方法として、硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から投入口の繰出し部に戻し、1枚ずつ再分離をして搬送し、振分ゲートを通して収納部または返却部へ移送する方法、硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から落下させた後、その下部に設置された振分ゲートにより硬貨ルートを変える方法(例えば、特許文献2参照)、硬貨貯留部自体を移動もしくは回転させ、底部の開口を収納部か返却部へ通じさせる方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−265470号公報(段落「0007」〜段落「0010」、図4)
【特許文献2】特開平5−266327号公報(段落「0007」〜段落「0016」、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から投入口の繰出し部に戻し、1枚ずつ再分離をして搬送し、振分ゲートを通して収納部または返却部へ移送する方法では処理時間がかかるという問題があり、また硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から落下させた後、その下部に設置された振分ゲートにより硬貨ルートを変える方法、硬貨貯留部自体を移動もしくは回転させ、底部の開口を収納部か返却部へ通じさせる方法では装置が大型化するという問題がある。
【0005】
また、平板状の硬貨貯留部の底部に貯留した硬貨の重みが直接かかり、その硬貨の重みによる底部の開閉動作不良が発生する恐れがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、硬貨一時貯留機構を小型化し、硬貨貯留部に貯留した硬貨を振り分ける動作時間を短縮するとともにその動作不良の発生を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、硬貨貯留部に貯留された硬貨の放出先を振り分ける硬貨一時貯留機構において、対向して直立し、硬貨貯留部の側面を形成する平板状の一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの間に対向配置されて硬貨貯留部の側面を形成するとともに、それぞれの一端が回動可能に軸支され、櫛歯状に形成されたそれぞれの自由端が互いに内側に傾斜し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部の底部を形成する第1のガイド部材および第2のガイド部材と、前記自由端が噛み合った前記第1のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第1の規制部材と、前記自由端が噛み合った前記第2のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第2の規制部材とを設け、前記一対のサイドフレームと、前記第1の規制部材および第2の規制部材で回動が規制された第1のガイド部材および第2のガイド部材とにより硬貨を貯留する硬貨貯留部を形成し、前記第1の規制部材による規制が解除された前記第1のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第1の開口を形成するとともに前記第2の規制部材で規制された前記第2のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第1の開口から該硬貨を放出し、または、前記第2の規制部材による規制が解除された前記第2のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第2の開口を形成するとともに前記第1の規制部材で規制された前記第1のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第2の開口から該硬貨を放出して前記硬貨貯留部に貯留した硬貨の放出先を振り分けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、硬貨一時貯留機構を小型化し、硬貨貯留部に貯留した硬貨を振り分ける動作時間を短縮することができるとともにその動作不良の発生を低減させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す正面図
【図2】第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す平面図
【図3】第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図
【図4】第1の実施例におけるガイド部材の先端形状を示す説明図
【図5】第1の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図
【図6】第1の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図
【図7】第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す正面図
【図8】第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す側面図
【図9】第2の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図
【図10】第2の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図
【図11】第3の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図
【図12】第3の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図
【図13】第3の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による硬貨一時貯留機構の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す正面図、図2は第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す平面図、図3は第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図である。
【0012】
図1、図2および図3において、100は硬貨一時貯留機構であり、例えば現金自動預払機や自動券売機等の自動取引装置の硬貨処理装置に搭載され、投入された硬貨を貯留部に一時的に貯留し、その硬貨を収納部へ搬送するための硬貨放出通路または返却部へ搬送するための硬貨放出通路へ振り分けるものである。
【0013】
1および2は平板状の一対のサイドフレームであり、投入された硬貨を一時的に貯留する硬貨貯留部101の2つの側面を形成するものであり、対向して直立するように配設されている。
【0014】
3は第1のガイド部材、4は第2のガイド部材であり、サイドフレーム1およびサイドフレーム2の内側に対向して設けられ、硬貨貯留部101の2つの側面を形成するものである。この第1のガイド部材3および第2のガイド部材4のそれぞれの一端は硬貨貯留部101の上部で回動可能に軸支され、自由端であるそれぞれの他端は内角が鈍角となるように互いに内側に曲折して傾斜しており、その先端は図4に示すように径が最小の硬貨(例えば、1円硬貨)の径より小さいピッチの櫛歯状に形成され、互いの先端が入れ子構造を成し、その先端が互い違いに噛み合うことで底部を塞いでいる。
【0015】
このようにサイドフレーム1およびサイドフレーム2、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4により、上部のみ開口した硬貨貯留部101を形成している。
【0016】
5および6は支軸としてのシャフトであり、硬貨貯留部101の上方でサイドフレーム1とサイドフレーム2との間に配設され、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の一端を回転可能に軸支するものである。
【0017】
7および8は突起状の押圧部であり、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の一部がサイドフレーム2の外側に延伸するように形成されたものである。なお、サイドフレーム2には、押圧部7、8に対応して円弧状の開口が形成されており、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動を妨げないようになっている。
【0018】
9は回転量および正逆回転方向を制御することができるステッピングモータ等のガイド回転モータ(駆動源)であり、ギヤ10を介して、第1のガイド部材3の回転支点(支軸)としてのシャフト5と同軸に、シャフト5と独立して回転可能に設けられた第1の回転体としてのギヤ11、および第2のガイド部材4の回転支点(支軸)としてのシャフト6と同軸に、シャフト6と独立して回転可能に設けられた第2の回転体としてのギヤ12に駆動を伝達し、ギヤ11とギヤ12を同方向に回転させる。なお、ガイド回転モータ9は、その停止状態を保持することができるようになっている。
【0019】
13および14は、ギヤ11およびギヤ12に設けられた突出部としての突起であり、突起13はギヤ11が図1における時計方向に回転するとき第1のガイド部材3の押圧部7に硬貨貯留部101の内側から当接するように設けられ、また突起14はギヤ12が図1における反時計方向に回転するとき第2のガイド部材4の押圧部8に硬貨貯留部101の内側から当接するように設けられている。
【0020】
23はスプリングであり、一端が第1のガイド部材3に取り付けられ、また他端が第2のガイド部材4に取り付けられて第1のガイド部材3と第2のガイド部材4とを互いに内側に閉じる方向、すなわち第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の自由端が噛み合う方向に付勢する付勢部材である。
【0021】
したがって、突起13は、スプリング23により付勢されている方向と反対の方向から第1のガイド部材3の押圧部7に当接し、一方突起14は、スプリング23により付勢されている方向と反対の方向から第2のガイド部材4の押圧部8に当接する。
【0022】
15および16はリミッタであり、サイドフレーム1またはサイドフレーム2に取り付けられたものである。リミッタ15はスプリング23で内側に付勢された第1のガイド部材3に当接し、またリミッタ16はスプリング23で内側に付勢された第2のガイド部材4に当接し、それぞれの回転位置を規制する。このリミッタ15およびリミッタ16により回転位置が規制された第1のガイド部材3および第2のガイド部材4のそれぞれの櫛歯状の先端は互いに噛み合い硬貨貯留部101の底部を形成している。
【0023】
17は第1の規制部材であり、18は第2の規制部材であり、一方のサイドフレーム(本実施例ではサイドフレーム1側)に設けられ、それぞれ第1のガイド部材3および第2のガイド部材4に当接し、その回動を規制する部材である。第1の規制部材17は、先端が噛み合った第1のガイド部材3の傾斜部の外側に当接してその回動を規制するように配置され、第2の規制部材18は、先端が噛み合った第2のガイド部材4の傾斜部の外側に当接してその回動を規制するように配置されている。
【0024】
19および20はソレノイドであり、第1の規制部材17および第2の規制部材18が設けられたサイドフレームに取り付けられ、それぞれ規制部材17および規制部材18を移動させるものである。このソレノイド19、20を吸引することによりそれぞれ規制部材17および規制部材18をサイドフレームの外側に退避させて第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動の規制を解除し、一方吸引を解除することによりそれぞれ規制部材17および規制部材18をサイドフレームの内側に突出させて第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動を規制する。
【0025】
このようにサイドフレーム1およびサイドフレーム2、第1の規制部材17で回動が規制された第1のガイド部材3および第2の規制部材18で回動が規制された第2のガイド部材4は、硬貨貯留部101の側面および底部を形成している。
【0026】
21は返却側硬貨放出通路であり、22は収納側硬貨放出通路である。返却側硬貨放出通路21は、その上方の開口が硬貨貯留部101の下方の第1のガイド部材3側に配設され、またその下方の開口が図示しない返却部の開口に向けて配設されている。また、収納側硬貨放出通路22は、その上方の開口が硬貨貯留部101の下方の第2のガイド部材4側に配設され、またその下方の開口が図示しない収納部の開口に向けて配設されている。
【0027】
したがって、第1のガイド部材3を図1における時計方向に回動させることにより、硬貨貯留部101に貯留された硬貨は第2のガイド部材4に案内されて返却側硬貨放出通路21へ誘導される。一方、第2のガイド部材4を図1における反時計方向に回動させることにより、硬貨貯留部101に貯留された硬貨は第1のガイド部材3に案内されて収納側硬貨放出通路22へ誘導される。
【0028】
なお、硬貨一時貯留機構100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の演算手段および制御手段で構成された制御部と装置全体の動作を制御するための制御プログラム(ソフトウェア)を記憶した記憶部とを備え、その制御プログラムに基づいて制御部が装置全体の動作を制御するものとする。
【0029】
上述した構成の作用について説明する。
【0030】
まず、硬貨の貯留動作を図1に基づいて説明する。
【0031】
硬貨処理装置の投入口に投入された硬貨は、図示せぬ硬貨繰り出し部、鑑別部を経て、正常と判断されたものが、硬貨貯留部101に送られて集積する。このとき硬貨貯留部101は、規制部材17、18によって第1のガイド部材3および第2のガイド部材4が外側へ開くのを防止され、先端部が噛み合ったその第1のガイド部材3および第2のガイド部材4で硬貨を集積するための底部が形成されている。
【0032】
硬貨貯留部101内に集積された硬貨の枚数が所定の枚数になるか、または投入されたすべての硬貨の集積が終わると、貯留動作を終了する。なお、硬貨の枚数の計測は、鑑別部により行われるものとする。
【0033】
ここで、図示せぬ硬貨処理装置100の側面等に設けられた表示部および操作部で顧客意思確認を行い、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納部に「収納」するか、返却口に「返却」するかを選択する操作を操作部で受け付ける。この選択にしたがって、硬貨貯留部101に集積された硬貨は、「返却」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた返却部へ硬貨を導く返却側硬貨放出通路21へ、「収納」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた収納部へ硬貨を導く収納側硬貨放出通路22へ振り分けられる。
【0034】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨の振り分け方法を図5の第1の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図、図6の第1の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図に基づいて説明する。なお、図5および図6の(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0035】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ振り分ける場合の動作を図5に基づいて説明する。
【0036】
まず、ソレノイド19を図中矢印Aが示す方向へ吸引することにより、第1のガイド部材3の回転を規制している回転規制部材17を退避させてその規制を解除し、第1のガイド部材3は図中矢印Eが示す方向である外側へ回転可能となる。
【0037】
ガイド回転モータ9を図中矢印Bが示す方向へ所定量正回転させると、ギヤ11は図中矢印Cが示す方向へ回転し、その側面に設けられた突起13も図中矢印Cが示す方向へ回転する。突起13がこれと当接している第1のガイド部材3の押圧部7を押すことで第1のガイド部材3は図中矢印Eが示す方向へ回転する。なお、ガイド回転モータ9を所定量回転させた後停止させ、第1のガイド部材3が回転した状態を保持する。
【0038】
一方、第2のガイド部材4は、その回転方向における硬貨貯留部101の内側へはリミッタ16で規制され、外側へは規制部材18で規制されており、またガイド回転モータ9の図中矢印Bが示す方向の正回転によってギヤ12の側面に設けられた突起14は図中矢印Dが示す方向に回転するが、押圧部8から離れる方向へ移動するため動かない。したがって、第2のガイド部材4の先端は返却側硬貨放出通路21の上方に位置したままとなり、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ案内することができるようになっている。
【0039】
このように第1のガイド部材3を図中矢印Eが示す方向へ回転させることにより、図5(b)における左斜め下方向の底部を開放して開口(第1の開口)を形成し、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第2のガイド部材4下部の傾斜に沿って開口から返却側硬貨放出通路21へ排出される。
【0040】
ガイド回転モータ9は、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出(落下)されるまでその状態を保持する。図示しないセンサ等により硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出されたことが検知されると、ガイド回転モータ9を逆回転する。
【0041】
第1のガイド部材3はガイド回転モータ9の逆回転によってギヤ11の突起13が押圧部7から離れる方向へ移動するため、ガイド回転モータ9による強制回転ではなくスプリング23の付勢によって第1のガイド部材3は硬貨貯留部101の内側へ押し戻されるように回転する。
【0042】
ガイド回転モータ9は、所定量逆回転すると停止し、第1のガイド部材3はサイドフレーム2のリミッタ15に当接するまで回転方向における硬貨貯留部101の内側へ回転して停止する。
【0043】
その後、ソレノイド19の吸引を停止し、規制部材17の退避を解除する。規制部材17が第1のガイド部材3の回転方向における硬貨貯留部101の外側にあるため、第1のガイド部材3は外側への回転が規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0044】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ振り分ける場合の動作を図6に基づいて説明する。
【0045】
まず、ソレノイド20を図中矢印Gが示す方向へ吸引することにより、第2のガイド部材4の回転を規制している回転規制部材18を退避させてその規制を解除し、第2のガイド部材4は図中矢印Lが示す方向である外側へ回転可能となる。
【0046】
ガイド回転モータ9を図中矢印Hが示す方向へ所定量逆回転させると、ギヤ12は図中矢印Kが示す方向へ回転し、その側面に設けられた突起14も図中矢印Kが示す方向へ回転する。突起14がこれと当接している第2のガイド部材4の押圧部8を押すことで第2のガイド部材4は図中矢印Lが示す方向へ回転する。なお、ガイド回転モータ9を所定量回転させた後停止させ、第2のガイド部材4が回転した状態を保持する。
【0047】
一方、第1のガイド部材3は、その回転方向における硬貨貯留部101の内側へはリミッタ15で規制され、外側へは規制部材17で規制されており、またガイド回転モータ9の図中矢印Hが示す方向の逆回転によってギヤ11の側面に設けられた突起13は図中矢印Jが示す方向に回転するが、押圧部7から離れる方向へ移動するため動かない。したがって、第1のガイド部材3の先端は収納側硬貨放出通路22の上方に位置したままとなり、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ案内することができるようになっている。
【0048】
このように第2のガイド部材4を図中矢印Lが示す方向へ回転させることにより、図6(b)における右斜め下方向の底部を開放して開口(第2の開口)を形成し、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第1のガイド部材3下部の傾斜に沿って開口から収納側硬貨放出通路22へ排出される。
【0049】
ガイド回転モータ9は、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出(落下)されるまでその状態を保持する。図示しないセンサ等により硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出されたことが検知されると、ガイド回転モータ9を正回転する。
【0050】
第2のガイド部材4はガイド回転モータ9の正回転によってギヤ12の突起14が押圧部8から離れる方向へ移動するため、ガイド回転モータ9による強制回転ではなくスプリング23の付勢によって第2のガイド部材4は硬貨貯留部101の内側へ押し戻されるように回転する。
【0051】
ガイド回転モータ9は、所定量正回転すると停止し、第2のガイド部材4はサイドフレーム2のリミッタ16に当接するまで回転方向における硬貨貯留部101の内側へ回転して停止する。
【0052】
その後、ソレノイド20の吸引を停止し、規制部材18の退避を解除する。規制部材18が第2のガイド部材4の回転方向における硬貨貯留部101の外側にあるため、第2のガイド部材4は外側への回転が規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0053】
以上説明したように、第1の実施例では、一端が硬貨貯留部の上部で回動自在に軸支され、櫛歯状に形成された自由端が互いに内側に傾斜した2つのガイド部材を対向して配置し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部の底部を形成するようにしたため、ガイド部材を回動させる方向により硬貨貯留部に貯留した硬貨を返却部または収納部へ開放された底部から放出することができ、硬貨を振り分ける処理時間を短縮することができるとともに硬貨処理装置を小型化することができるという効果が得られる。
【0054】
また、硬貨貯留部の底部が傾斜しているため、貯留した硬貨の重みによるガイド部材の回動動作への負荷を低減させることができ、ガイド部材の動作不良を低減させることができるとともにモータ等の駆動手段を小型化、安価にすることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0055】
図7は第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す正面図、図8は第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す側面図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
第2の実施例の構成は、第1のガイド部材3と第2のガイド部材4の硬貨貯留部101の外側への回転を規制およびその規制を解除する構成が第1の実施例と異なっている。
【0057】
図7および図8において、24はシャフトであり、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の先端部が噛み合った交差部分の直下に設けられた回転軸である。
【0058】
27は第1のガイド部材3の櫛歯形状の突出した部位である凸部25に当接するカム(第1の規制部材としての第1のカム部材)であり、また28は第2のガイド部材4の櫛歯形状の突出した部位である凸部26に当接するカム(第2の規制部材としての第2のカム部材)である。このカム27およびカム28は、図8(a)に示すようにシャフト24の中央部の近傍に1つずつ固定されている。
【0059】
また、図7に示すようにカム27とカム28とは、その断面(シャフト24に直交する平面による断面)がシャフト24を挟んで左右対称(線対称)の略扇形になるように形成され、カム27の外周部の頂部271およびカム28の外周部の頂部281のそれぞれが第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の方向に配置されているとき、カム27の頂部271は第1のガイド部材3の自由端である凸部25に下方より当接して支持するとともに第1のガイド部材3の回転を規制し、またカム28の頂部281は第2のガイド部材4の自由端である凸部26に下方より当接して支持するとともに第2のガイド部材4の回転を規制している。
【0060】
このようにカム27およびカム28で第1のガイド部材3の先端部および第2のガイド部材4の先端部を支持するとともに回転を規制することにより、硬貨貯留部101の底部を形成している。
【0061】
カム27およびカム28を図7における時計方向へ所定の角度(例えば、45度)で回転させるとカム27の頂部271は第1のガイド部材3の凸部25から離れ、第1のガイド部材3は規制が解除されて図7における時計方向に回転可能になる。一方、カム28の頂部281での第2のガイド部材4の凸部26との当接は解除されるが、その頂部281に連続している外周部282により第2のガイド部材4の凸部26と当接した状態が保持され、第2のガイド部材4の回転を規制している。
【0062】
また、カム27およびカム28を図7における反時計方向へ所定の角度(例えば、45度)で回転させるとカム28の頂部281は第2のガイド部材4の凸部26から離れ、第2のガイド部材4は規制が解除されて図7における反時計方向に回転可能になる。一方、カム27の頂部271での第1のガイド部材3の凸部25との当接は解除されるが、その頂部271に連続している外周部272により第1のガイド部材3の凸部25と当接した状態が保持され、第1のガイド部材3の回転を規制している。
【0063】
29は回転量および正逆回転方向を制御することができるステッピングモータ等のカム回転モータであり、ギヤ30を介して、シャフト24を回転させる。なお、カム回転モータ29は、その停止状態を保持することができるようになっている。
【0064】
なお、カム27およびカム28は、図8(b)に示すように第1のガイド部材3に当接するカム27a〜27cと、第2のガイド部材4に当接するカム28a〜28cとを第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の入れ子構造の櫛歯(凸部25および凸部26)の間隔に合わせた幅で形成し、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の全幅にわたって複数対、配設するようにしてもよい。
【0065】
上述した構成の作用について説明する。
【0066】
まず、硬貨の貯留動作を図7に基づいて説明する。
【0067】
硬貨処理装置の投入口に投入された硬貨は、図示せぬ硬貨繰り出し部、鑑別部を経て、正常と判断されたものが、硬貨貯留部101に送られて集積する。このとき硬貨貯留部101は、カム27、28によって第1のガイド部材3および第2のガイド部材4が外側へ開くのを防止され、先端部が噛み合ったその第1のガイド部材3および第2のガイド部材4で硬貨を集積するための底部が形成されている。
【0068】
硬貨貯留部101内に集積された硬貨の枚数が所定の枚数になるか、または投入されたすべての硬貨の集積が終わると、貯留動作を終了する。なお、硬貨の枚数の計測は、鑑別部により行われるものとする。
【0069】
ここで、図示せぬ硬貨処理装置の側面等に設けられた表示部および操作部で顧客意思確認を行い、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納部に「収納」するか、返却口に「返却」するかを選択する操作を操作部で受け付ける。この選択にしたがって、硬貨貯留部101に集積された硬貨は、「返却」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた返却部へ硬貨を導く返却側硬貨放出通路21へ、「収納」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた収納部へ硬貨を導く収納側硬貨放出通路22へ振り分けられる。
【0070】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨の振り分け方法を図9の第2の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図、図10の第2の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図に基づいて説明する。
【0071】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21への振り分ける場合の動作を図9に基づいて説明する。
【0072】
まず、カム回転モータ29を図7における矢印Pが示す方向へ所定量正回転させると、そのカム回転モータ29の駆動は、ギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中時計方向に所定量回転させる。
【0073】
図9に示すようにカム27及びカム28が時計方向に所定量正回転すると、カム27の頂部271は第1のガイド部材3の先端の凸部25より外れ、第1のガイド部材3は図中矢印Rが示す硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第1のガイド部材3は、櫛歯形状の隣り合う凸部25の間に形成された凹部により、カム28を通過することができる。
【0074】
一方、第2のガイド部材4は、その先端の凸部26がカム28の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第2のガイド部材4の先端は返却側硬貨放出通路21の上方に位置したままとなり、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ案内することができるようになっている。
【0075】
次に、第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を正回転し、第1のガイド部材3を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0076】
このように第1のガイド部材3を図中矢印Rが示す方向へ回転させることにより、図9における左斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第2のガイド部材4下部の傾斜に沿って返却側硬貨放出通路21へ排出される。
【0077】
なお、図8に示すようにカム27およびカム28をシャフト24に沿って硬貨貯留部101の全幅にわたって配置にすれば、カム27、28全体が第2のガイド部材4先端の下方を覆っており、硬貨搬送通路外への硬貨の侵入を防ぐとともに、その形状によりカム自体が滑り台となり硬貨の搬送ガイドの役目が果たせる。
【0078】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出されると第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を逆回転するとともに、図示しないスプリング23の力で第1のガイド部材3が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0079】
さらに、カム回転モータ29を所定量逆回転させてカム27およびカム28の図中反時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0080】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22への振り分ける場合の動作を図10に基づいて説明する。
【0081】
まず、カム回転モータ29を図7における矢印Qが示す方向へ所定量正回転させると、そのカム回転モータ29の駆動は、ギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中反時計方向に所定量回転させる。
【0082】
図10に示すようにカム27及びカム28が反時計方向に所定量正回転すると、カム28の頂部281は第2のガイド部材4の先端の凸部26より外れ、第2のガイド部材4は図中矢印Sが示す硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第2のガイド部材4は、櫛歯形状の隣り合う凸部26の間に形成された凹部により、カム27を通過することができる。
【0083】
一方、第1のガイド部材3は、その先端の凸部25がカム27の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第1のガイド部材3の先端は収納側硬貨放出通路22の上方に位置したままとなり、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ案内することができるようになっている。
【0084】
次に、第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を逆回転し、第2のガイド部材4を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0085】
このように第2のガイド部材4を図中矢印Sが示す方向へ回転させることにより、図10における右斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第1のガイド部材3下部の傾斜に沿って収納側硬貨放出通路22へ排出される。
【0086】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出されると第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を正回転するとともに、図示しないスプリング23の力で第2のガイド部材4が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0087】
さらに、カム回転モータ29を所定量正回転させてカム27およびカム28を図中時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0088】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、2つのガイド部材が噛み合った自由端を下方からカム部材で規制することにより、硬貨貯留部に貯留された硬貨の重みでガイド部材が底部を開放する方向に働く力を確実に規制することができ、底部の閉塞状態を確実に保持することができるという効果が得られる。
【0089】
また、硬貨貯留部の全幅にカム部材を設けることにより、貯留した硬貨の重みによるガイド部材のねじれを防止でできるとともに、ガイド部材とその下方に位置する硬貨通路との隙間に硬貨が入り込むことを防止することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0090】
図11は第3の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図である。なお、上述した第1の実施例および第2の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0091】
図11において、9はガイド回転モータ(駆動源)であり、第1の実施例で記載したようにギヤ10を介してギヤ11、12に駆動が伝わっている。ギヤ11には突起13、ギヤ12には突起14が設けられており、それぞれ第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の押圧部7、8との間に図中矢印Tおよび矢印Uで示す回転方向で既定量の遊び(隙間)を有している。
【0092】
また、ガイド回転モータ9は、ギヤ31を介して第2の実施例で記載したようにカム27、28を固定したシャフト24にも駆動が伝わっている。
【0093】
なお、第2の実施例と同様にカム27およびカム28は、図8(b)に示すように第1のガイド部材3に当接するカム27a〜27cと、第2のガイド部材4に当接するカム28a〜28cとを第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の入れ子構造の櫛歯(凸部25および凸部26)の間隔に合わせた幅で形成し、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の全幅にわたって複数対、配設するようにしてもよい。
【0094】
上述した構成の作用について説明する。
【0095】
なお、硬貨の貯留動作は第2の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0096】
硬貨貯留部101に集積された硬貨の振り分け方法を図12の第3の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図、図13の第3の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図に基づいて説明する。
【0097】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21への振り分ける場合の動作を図12に基づいて説明する。
【0098】
まず、ガイド回転モータ9を図12における矢印Vが示す方向へ所定量正回転させると、そのガイド回転モータ9の駆動は、ギヤ31およびギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中時計方向に所定量回転させる。
【0099】
図12(a)に示すようにカム27及びカム28が時計方向に所定量正回転すると、カム27の頂部271は第1のガイド部材3の先端の凸部25より外れ、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第1のガイド部材3は、櫛歯形状の隣り合う凸部25の間に形成された凹部により、カム28を通過することができる。
【0100】
このとき、ギヤ10を介してギヤ11及びギヤ12に設けられた突起13および突起14も図中矢印が示す時計方向に回転するが、突起14は第2のガイド部材4の押圧部8から離れる方向に、突起13は第1のガイド部材3の押圧部7を押圧する方向に回転する。突起13は、カム27の頂部271が第1のガイド部材3の先端より外れるまで第1のガイド部材3の押圧部7に当接しないよう遊びを設けているため、カム27の頂部271が第1のガイド部材3の先端より外れる前に第1のガイド部材3の押圧部7を押圧して開くことはない。
【0101】
その後、さらにガイド回転モータ9を正回転すると、図12(b)に示すように突起13は第1のガイド部材3の押圧部7に当接した後、第2の実施例と同様に第1のガイド部材3を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0102】
一方、第2のガイド部材4は、その先端の凸部26がカム28の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第2のガイド部材4の先端は返却側硬貨放出通路21の上方に位置したままとなり、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ案内することができるようになっている。
【0103】
このように第1のガイド部材3を図中矢印Wが示す方向へ回転させることにより、図12における左斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第2のガイド部材4下部の傾斜に沿って返却側硬貨放出通路21へ排出される。
【0104】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出され、ガイド回転モータ9をカム27の頂部271が第1のガイド部材3の先端より外れた直後の位置まで所定量逆回転すると、スプリング23の力で第1のガイド部材3が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0105】
さらに、ガイド回転モータ9を所定量逆回転させてカム27およびカム28を図中反時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0106】
ここで、ガイド回転モータ9の逆転は、第1のガイド部材3がスプリング23で閉じきる前にカム27およびカム28が元の位置にもどらないよう、所定量逆回転した位置で一旦止めるか、回転速度を遅くするとよい。
【0107】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22への振り分ける場合の動作を図13に基づいて説明する。
【0108】
まず、ガイド回転モータ9を図13における矢印Xが示す方向へ所定量逆回転させると、そのガイド回転モータ9の駆動は、ギヤ31およびギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中反時計方向に所定量回転させる。
【0109】
図13(a)に示すようにカム27及びカム28が反時計方向に所定量逆回転すると、カム28の頂部281は第2のガイド部材4の先端の凸部26より外れ、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第2のガイド部材4は、櫛歯形状の隣り合う凸部26の間に形成された凹部により、カム27を通過することができる。
【0110】
このとき、ギヤ10を介してギヤ11及びギヤ12に設けられた突起13および突起14も図中矢印が示す反時計方向に回転するが、突起13は第1のガイド部材3の押圧部7から離れる方向に、突起14は第2のガイド部材4の押圧部8を押圧する方向に回転する。突起14は、カム28の頂部281が第2のガイド部材4の先端より外れるまで第2のガイド部材4の押圧部8に当接しないよう遊びを設けているため、カム28の頂部281が第2のガイド部材4の先端より外れる前に第2のガイド部材4の押圧部8を押圧して開くことはない。
【0111】
その後、さらにガイド回転モータ9を逆回転すると、図13(b)に示すように突起14は第2のガイド部材4の押圧部8に当接した後、第2の実施例と同様に第2のガイド部材4を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0112】
一方、第1のガイド部材3は、その先端の凸部25がカム27の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第1のガイド部材3の先端は収納側硬貨放出通路22の上方に位置したままとなり、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ案内することができるようになっている。
【0113】
このように第2のガイド部材4を図中矢印Yが示す方向へ回転させることにより、図13における右斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第1のガイド部材3下部の傾斜に沿って収納側硬貨放出通路22へ排出される。
【0114】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出され、ガイド回転モータ9をカム28の頂部281が第2のガイド部材4の先端より外れた直後の位置まで所定量正回転すると、スプリング23の力で第2のガイド部材4が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0115】
さらに、ガイド回転モータ9を所定量正回転させてカム27およびカム28を図中時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0116】
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例および第2の実施例の効果に加え、ガイド部材の押圧部とその押圧部に当接するギヤの突起部との間に遊びを設け、ガイド部材を回動させる駆動源とカム部材を回転させる駆動源を共用したことにより、硬貨一時貯留機構を小型化、安価にすることができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0117】
第4の実施例は、上述した第1から第3の実施例の構成において、第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を複数回行うようにしたものである。
【0118】
その第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を図1、図7、図11を参照しながら説明する。
【0119】
まず、上述した第1から第3の実施例の方法で、第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を行う。
【0120】
いずれも閉じる時はスプリング23で戻すため、第1のガイド部材3または第2のガイド部材4はリミッタ15または16に衝突した振動が衝撃として加わり、第1のガイド部材3,第2のガイド部材4上やサイドフレーム1,2上に残留した硬貨や貼り付いた硬貨は硬貨貯留部101の底部へ落下する。
【0121】
その後、再度第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を1回以上行うと、硬貨貯留部101の底部に落下した残留硬貨が返却側硬貨放出通路21または収納側硬貨放出通路22に排出される。
【0122】
なお、この動作を処理時間の許す限り複数回行ったり、小さく小刻みに行ったり、開放角を変えたりして、より効果をあげるようにしても良い。
【0123】
以上説明したように、第4の実施例では、第1の実施例、第2の実施例および第3の実施例の効果に加え、硬貨貯留部にガイド部材を衝突させ振動を与えることにより、サイドフレームやガイド部材に硬貨が貼り付いた場合やバリのある硬貨が引っ掛かった場合であっても、一時貯留部内の硬貨の残留を防止することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0124】
1、2 サイドフレーム
3 第1のガイド部材
4 第2のガイド部材
5、6、24 シャフト
7、8 押圧部
9 ガイド回転モータ
10、11、12 ギヤ
13、14 突起
15、16 リミッタ
17、18 規制部材
19、20 ソレノイド
21 返却側硬貨放出通路
22 収納側硬貨放出通路
23 スプリング
27、28 カム
100 硬貨一時貯留機構
101 硬貨貯留部
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨貯留部に一時的に貯留した硬貨を二つの硬貨通路に振り分ける硬貨一時貯留機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の硬貨一時貯留機構を備えた硬貨処理装置は、投入口に投入された硬貨を鑑別部で鑑別し、正常と鑑別され、計数された硬貨を、平板状の底部が開閉する硬貨貯留部に一時的に貯留し(例えば、特許文献1参照)、顧客の意思を確認して金庫等の収納部に収納するか又は顧客に返却するための返却部へ搬送するかを決定するようにしている。この硬貨貯留部に一時的に貯留された硬貨を収納部に収納する硬貨搬送通路または返却部に返却する硬貨搬送通路に振り分ける方法として、硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から投入口の繰出し部に戻し、1枚ずつ再分離をして搬送し、振分ゲートを通して収納部または返却部へ移送する方法、硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から落下させた後、その下部に設置された振分ゲートにより硬貨ルートを変える方法(例えば、特許文献2参照)、硬貨貯留部自体を移動もしくは回転させ、底部の開口を収納部か返却部へ通じさせる方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−265470号公報(段落「0007」〜段落「0010」、図4)
【特許文献2】特開平5−266327号公報(段落「0007」〜段落「0016」、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から投入口の繰出し部に戻し、1枚ずつ再分離をして搬送し、振分ゲートを通して収納部または返却部へ移送する方法では処理時間がかかるという問題があり、また硬貨貯留部に貯留したすべての硬貨を一括して底部の放出口から落下させた後、その下部に設置された振分ゲートにより硬貨ルートを変える方法、硬貨貯留部自体を移動もしくは回転させ、底部の開口を収納部か返却部へ通じさせる方法では装置が大型化するという問題がある。
【0005】
また、平板状の硬貨貯留部の底部に貯留した硬貨の重みが直接かかり、その硬貨の重みによる底部の開閉動作不良が発生する恐れがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、硬貨一時貯留機構を小型化し、硬貨貯留部に貯留した硬貨を振り分ける動作時間を短縮するとともにその動作不良の発生を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、硬貨貯留部に貯留された硬貨の放出先を振り分ける硬貨一時貯留機構において、対向して直立し、硬貨貯留部の側面を形成する平板状の一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの間に対向配置されて硬貨貯留部の側面を形成するとともに、それぞれの一端が回動可能に軸支され、櫛歯状に形成されたそれぞれの自由端が互いに内側に傾斜し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部の底部を形成する第1のガイド部材および第2のガイド部材と、前記自由端が噛み合った前記第1のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第1の規制部材と、前記自由端が噛み合った前記第2のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第2の規制部材とを設け、前記一対のサイドフレームと、前記第1の規制部材および第2の規制部材で回動が規制された第1のガイド部材および第2のガイド部材とにより硬貨を貯留する硬貨貯留部を形成し、前記第1の規制部材による規制が解除された前記第1のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第1の開口を形成するとともに前記第2の規制部材で規制された前記第2のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第1の開口から該硬貨を放出し、または、前記第2の規制部材による規制が解除された前記第2のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第2の開口を形成するとともに前記第1の規制部材で規制された前記第1のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第2の開口から該硬貨を放出して前記硬貨貯留部に貯留した硬貨の放出先を振り分けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、硬貨一時貯留機構を小型化し、硬貨貯留部に貯留した硬貨を振り分ける動作時間を短縮することができるとともにその動作不良の発生を低減させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す正面図
【図2】第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す平面図
【図3】第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図
【図4】第1の実施例におけるガイド部材の先端形状を示す説明図
【図5】第1の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図
【図6】第1の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図
【図7】第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す正面図
【図8】第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す側面図
【図9】第2の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図
【図10】第2の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図
【図11】第3の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図
【図12】第3の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図
【図13】第3の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による硬貨一時貯留機構の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す正面図、図2は第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す平面図、図3は第1の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図である。
【0012】
図1、図2および図3において、100は硬貨一時貯留機構であり、例えば現金自動預払機や自動券売機等の自動取引装置の硬貨処理装置に搭載され、投入された硬貨を貯留部に一時的に貯留し、その硬貨を収納部へ搬送するための硬貨放出通路または返却部へ搬送するための硬貨放出通路へ振り分けるものである。
【0013】
1および2は平板状の一対のサイドフレームであり、投入された硬貨を一時的に貯留する硬貨貯留部101の2つの側面を形成するものであり、対向して直立するように配設されている。
【0014】
3は第1のガイド部材、4は第2のガイド部材であり、サイドフレーム1およびサイドフレーム2の内側に対向して設けられ、硬貨貯留部101の2つの側面を形成するものである。この第1のガイド部材3および第2のガイド部材4のそれぞれの一端は硬貨貯留部101の上部で回動可能に軸支され、自由端であるそれぞれの他端は内角が鈍角となるように互いに内側に曲折して傾斜しており、その先端は図4に示すように径が最小の硬貨(例えば、1円硬貨)の径より小さいピッチの櫛歯状に形成され、互いの先端が入れ子構造を成し、その先端が互い違いに噛み合うことで底部を塞いでいる。
【0015】
このようにサイドフレーム1およびサイドフレーム2、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4により、上部のみ開口した硬貨貯留部101を形成している。
【0016】
5および6は支軸としてのシャフトであり、硬貨貯留部101の上方でサイドフレーム1とサイドフレーム2との間に配設され、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の一端を回転可能に軸支するものである。
【0017】
7および8は突起状の押圧部であり、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の一部がサイドフレーム2の外側に延伸するように形成されたものである。なお、サイドフレーム2には、押圧部7、8に対応して円弧状の開口が形成されており、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動を妨げないようになっている。
【0018】
9は回転量および正逆回転方向を制御することができるステッピングモータ等のガイド回転モータ(駆動源)であり、ギヤ10を介して、第1のガイド部材3の回転支点(支軸)としてのシャフト5と同軸に、シャフト5と独立して回転可能に設けられた第1の回転体としてのギヤ11、および第2のガイド部材4の回転支点(支軸)としてのシャフト6と同軸に、シャフト6と独立して回転可能に設けられた第2の回転体としてのギヤ12に駆動を伝達し、ギヤ11とギヤ12を同方向に回転させる。なお、ガイド回転モータ9は、その停止状態を保持することができるようになっている。
【0019】
13および14は、ギヤ11およびギヤ12に設けられた突出部としての突起であり、突起13はギヤ11が図1における時計方向に回転するとき第1のガイド部材3の押圧部7に硬貨貯留部101の内側から当接するように設けられ、また突起14はギヤ12が図1における反時計方向に回転するとき第2のガイド部材4の押圧部8に硬貨貯留部101の内側から当接するように設けられている。
【0020】
23はスプリングであり、一端が第1のガイド部材3に取り付けられ、また他端が第2のガイド部材4に取り付けられて第1のガイド部材3と第2のガイド部材4とを互いに内側に閉じる方向、すなわち第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の自由端が噛み合う方向に付勢する付勢部材である。
【0021】
したがって、突起13は、スプリング23により付勢されている方向と反対の方向から第1のガイド部材3の押圧部7に当接し、一方突起14は、スプリング23により付勢されている方向と反対の方向から第2のガイド部材4の押圧部8に当接する。
【0022】
15および16はリミッタであり、サイドフレーム1またはサイドフレーム2に取り付けられたものである。リミッタ15はスプリング23で内側に付勢された第1のガイド部材3に当接し、またリミッタ16はスプリング23で内側に付勢された第2のガイド部材4に当接し、それぞれの回転位置を規制する。このリミッタ15およびリミッタ16により回転位置が規制された第1のガイド部材3および第2のガイド部材4のそれぞれの櫛歯状の先端は互いに噛み合い硬貨貯留部101の底部を形成している。
【0023】
17は第1の規制部材であり、18は第2の規制部材であり、一方のサイドフレーム(本実施例ではサイドフレーム1側)に設けられ、それぞれ第1のガイド部材3および第2のガイド部材4に当接し、その回動を規制する部材である。第1の規制部材17は、先端が噛み合った第1のガイド部材3の傾斜部の外側に当接してその回動を規制するように配置され、第2の規制部材18は、先端が噛み合った第2のガイド部材4の傾斜部の外側に当接してその回動を規制するように配置されている。
【0024】
19および20はソレノイドであり、第1の規制部材17および第2の規制部材18が設けられたサイドフレームに取り付けられ、それぞれ規制部材17および規制部材18を移動させるものである。このソレノイド19、20を吸引することによりそれぞれ規制部材17および規制部材18をサイドフレームの外側に退避させて第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動の規制を解除し、一方吸引を解除することによりそれぞれ規制部材17および規制部材18をサイドフレームの内側に突出させて第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動を規制する。
【0025】
このようにサイドフレーム1およびサイドフレーム2、第1の規制部材17で回動が規制された第1のガイド部材3および第2の規制部材18で回動が規制された第2のガイド部材4は、硬貨貯留部101の側面および底部を形成している。
【0026】
21は返却側硬貨放出通路であり、22は収納側硬貨放出通路である。返却側硬貨放出通路21は、その上方の開口が硬貨貯留部101の下方の第1のガイド部材3側に配設され、またその下方の開口が図示しない返却部の開口に向けて配設されている。また、収納側硬貨放出通路22は、その上方の開口が硬貨貯留部101の下方の第2のガイド部材4側に配設され、またその下方の開口が図示しない収納部の開口に向けて配設されている。
【0027】
したがって、第1のガイド部材3を図1における時計方向に回動させることにより、硬貨貯留部101に貯留された硬貨は第2のガイド部材4に案内されて返却側硬貨放出通路21へ誘導される。一方、第2のガイド部材4を図1における反時計方向に回動させることにより、硬貨貯留部101に貯留された硬貨は第1のガイド部材3に案内されて収納側硬貨放出通路22へ誘導される。
【0028】
なお、硬貨一時貯留機構100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の演算手段および制御手段で構成された制御部と装置全体の動作を制御するための制御プログラム(ソフトウェア)を記憶した記憶部とを備え、その制御プログラムに基づいて制御部が装置全体の動作を制御するものとする。
【0029】
上述した構成の作用について説明する。
【0030】
まず、硬貨の貯留動作を図1に基づいて説明する。
【0031】
硬貨処理装置の投入口に投入された硬貨は、図示せぬ硬貨繰り出し部、鑑別部を経て、正常と判断されたものが、硬貨貯留部101に送られて集積する。このとき硬貨貯留部101は、規制部材17、18によって第1のガイド部材3および第2のガイド部材4が外側へ開くのを防止され、先端部が噛み合ったその第1のガイド部材3および第2のガイド部材4で硬貨を集積するための底部が形成されている。
【0032】
硬貨貯留部101内に集積された硬貨の枚数が所定の枚数になるか、または投入されたすべての硬貨の集積が終わると、貯留動作を終了する。なお、硬貨の枚数の計測は、鑑別部により行われるものとする。
【0033】
ここで、図示せぬ硬貨処理装置100の側面等に設けられた表示部および操作部で顧客意思確認を行い、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納部に「収納」するか、返却口に「返却」するかを選択する操作を操作部で受け付ける。この選択にしたがって、硬貨貯留部101に集積された硬貨は、「返却」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた返却部へ硬貨を導く返却側硬貨放出通路21へ、「収納」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた収納部へ硬貨を導く収納側硬貨放出通路22へ振り分けられる。
【0034】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨の振り分け方法を図5の第1の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図、図6の第1の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図に基づいて説明する。なお、図5および図6の(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0035】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ振り分ける場合の動作を図5に基づいて説明する。
【0036】
まず、ソレノイド19を図中矢印Aが示す方向へ吸引することにより、第1のガイド部材3の回転を規制している回転規制部材17を退避させてその規制を解除し、第1のガイド部材3は図中矢印Eが示す方向である外側へ回転可能となる。
【0037】
ガイド回転モータ9を図中矢印Bが示す方向へ所定量正回転させると、ギヤ11は図中矢印Cが示す方向へ回転し、その側面に設けられた突起13も図中矢印Cが示す方向へ回転する。突起13がこれと当接している第1のガイド部材3の押圧部7を押すことで第1のガイド部材3は図中矢印Eが示す方向へ回転する。なお、ガイド回転モータ9を所定量回転させた後停止させ、第1のガイド部材3が回転した状態を保持する。
【0038】
一方、第2のガイド部材4は、その回転方向における硬貨貯留部101の内側へはリミッタ16で規制され、外側へは規制部材18で規制されており、またガイド回転モータ9の図中矢印Bが示す方向の正回転によってギヤ12の側面に設けられた突起14は図中矢印Dが示す方向に回転するが、押圧部8から離れる方向へ移動するため動かない。したがって、第2のガイド部材4の先端は返却側硬貨放出通路21の上方に位置したままとなり、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ案内することができるようになっている。
【0039】
このように第1のガイド部材3を図中矢印Eが示す方向へ回転させることにより、図5(b)における左斜め下方向の底部を開放して開口(第1の開口)を形成し、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第2のガイド部材4下部の傾斜に沿って開口から返却側硬貨放出通路21へ排出される。
【0040】
ガイド回転モータ9は、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出(落下)されるまでその状態を保持する。図示しないセンサ等により硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出されたことが検知されると、ガイド回転モータ9を逆回転する。
【0041】
第1のガイド部材3はガイド回転モータ9の逆回転によってギヤ11の突起13が押圧部7から離れる方向へ移動するため、ガイド回転モータ9による強制回転ではなくスプリング23の付勢によって第1のガイド部材3は硬貨貯留部101の内側へ押し戻されるように回転する。
【0042】
ガイド回転モータ9は、所定量逆回転すると停止し、第1のガイド部材3はサイドフレーム2のリミッタ15に当接するまで回転方向における硬貨貯留部101の内側へ回転して停止する。
【0043】
その後、ソレノイド19の吸引を停止し、規制部材17の退避を解除する。規制部材17が第1のガイド部材3の回転方向における硬貨貯留部101の外側にあるため、第1のガイド部材3は外側への回転が規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0044】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ振り分ける場合の動作を図6に基づいて説明する。
【0045】
まず、ソレノイド20を図中矢印Gが示す方向へ吸引することにより、第2のガイド部材4の回転を規制している回転規制部材18を退避させてその規制を解除し、第2のガイド部材4は図中矢印Lが示す方向である外側へ回転可能となる。
【0046】
ガイド回転モータ9を図中矢印Hが示す方向へ所定量逆回転させると、ギヤ12は図中矢印Kが示す方向へ回転し、その側面に設けられた突起14も図中矢印Kが示す方向へ回転する。突起14がこれと当接している第2のガイド部材4の押圧部8を押すことで第2のガイド部材4は図中矢印Lが示す方向へ回転する。なお、ガイド回転モータ9を所定量回転させた後停止させ、第2のガイド部材4が回転した状態を保持する。
【0047】
一方、第1のガイド部材3は、その回転方向における硬貨貯留部101の内側へはリミッタ15で規制され、外側へは規制部材17で規制されており、またガイド回転モータ9の図中矢印Hが示す方向の逆回転によってギヤ11の側面に設けられた突起13は図中矢印Jが示す方向に回転するが、押圧部7から離れる方向へ移動するため動かない。したがって、第1のガイド部材3の先端は収納側硬貨放出通路22の上方に位置したままとなり、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ案内することができるようになっている。
【0048】
このように第2のガイド部材4を図中矢印Lが示す方向へ回転させることにより、図6(b)における右斜め下方向の底部を開放して開口(第2の開口)を形成し、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第1のガイド部材3下部の傾斜に沿って開口から収納側硬貨放出通路22へ排出される。
【0049】
ガイド回転モータ9は、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出(落下)されるまでその状態を保持する。図示しないセンサ等により硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨が完全に排出されたことが検知されると、ガイド回転モータ9を正回転する。
【0050】
第2のガイド部材4はガイド回転モータ9の正回転によってギヤ12の突起14が押圧部8から離れる方向へ移動するため、ガイド回転モータ9による強制回転ではなくスプリング23の付勢によって第2のガイド部材4は硬貨貯留部101の内側へ押し戻されるように回転する。
【0051】
ガイド回転モータ9は、所定量正回転すると停止し、第2のガイド部材4はサイドフレーム2のリミッタ16に当接するまで回転方向における硬貨貯留部101の内側へ回転して停止する。
【0052】
その後、ソレノイド20の吸引を停止し、規制部材18の退避を解除する。規制部材18が第2のガイド部材4の回転方向における硬貨貯留部101の外側にあるため、第2のガイド部材4は外側への回転が規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0053】
以上説明したように、第1の実施例では、一端が硬貨貯留部の上部で回動自在に軸支され、櫛歯状に形成された自由端が互いに内側に傾斜した2つのガイド部材を対向して配置し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部の底部を形成するようにしたため、ガイド部材を回動させる方向により硬貨貯留部に貯留した硬貨を返却部または収納部へ開放された底部から放出することができ、硬貨を振り分ける処理時間を短縮することができるとともに硬貨処理装置を小型化することができるという効果が得られる。
【0054】
また、硬貨貯留部の底部が傾斜しているため、貯留した硬貨の重みによるガイド部材の回動動作への負荷を低減させることができ、ガイド部材の動作不良を低減させることができるとともにモータ等の駆動手段を小型化、安価にすることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0055】
図7は第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す正面図、図8は第2の実施例における硬貨一時貯留機構の要部の構成を示す側面図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
第2の実施例の構成は、第1のガイド部材3と第2のガイド部材4の硬貨貯留部101の外側への回転を規制およびその規制を解除する構成が第1の実施例と異なっている。
【0057】
図7および図8において、24はシャフトであり、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の先端部が噛み合った交差部分の直下に設けられた回転軸である。
【0058】
27は第1のガイド部材3の櫛歯形状の突出した部位である凸部25に当接するカム(第1の規制部材としての第1のカム部材)であり、また28は第2のガイド部材4の櫛歯形状の突出した部位である凸部26に当接するカム(第2の規制部材としての第2のカム部材)である。このカム27およびカム28は、図8(a)に示すようにシャフト24の中央部の近傍に1つずつ固定されている。
【0059】
また、図7に示すようにカム27とカム28とは、その断面(シャフト24に直交する平面による断面)がシャフト24を挟んで左右対称(線対称)の略扇形になるように形成され、カム27の外周部の頂部271およびカム28の外周部の頂部281のそれぞれが第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の方向に配置されているとき、カム27の頂部271は第1のガイド部材3の自由端である凸部25に下方より当接して支持するとともに第1のガイド部材3の回転を規制し、またカム28の頂部281は第2のガイド部材4の自由端である凸部26に下方より当接して支持するとともに第2のガイド部材4の回転を規制している。
【0060】
このようにカム27およびカム28で第1のガイド部材3の先端部および第2のガイド部材4の先端部を支持するとともに回転を規制することにより、硬貨貯留部101の底部を形成している。
【0061】
カム27およびカム28を図7における時計方向へ所定の角度(例えば、45度)で回転させるとカム27の頂部271は第1のガイド部材3の凸部25から離れ、第1のガイド部材3は規制が解除されて図7における時計方向に回転可能になる。一方、カム28の頂部281での第2のガイド部材4の凸部26との当接は解除されるが、その頂部281に連続している外周部282により第2のガイド部材4の凸部26と当接した状態が保持され、第2のガイド部材4の回転を規制している。
【0062】
また、カム27およびカム28を図7における反時計方向へ所定の角度(例えば、45度)で回転させるとカム28の頂部281は第2のガイド部材4の凸部26から離れ、第2のガイド部材4は規制が解除されて図7における反時計方向に回転可能になる。一方、カム27の頂部271での第1のガイド部材3の凸部25との当接は解除されるが、その頂部271に連続している外周部272により第1のガイド部材3の凸部25と当接した状態が保持され、第1のガイド部材3の回転を規制している。
【0063】
29は回転量および正逆回転方向を制御することができるステッピングモータ等のカム回転モータであり、ギヤ30を介して、シャフト24を回転させる。なお、カム回転モータ29は、その停止状態を保持することができるようになっている。
【0064】
なお、カム27およびカム28は、図8(b)に示すように第1のガイド部材3に当接するカム27a〜27cと、第2のガイド部材4に当接するカム28a〜28cとを第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の入れ子構造の櫛歯(凸部25および凸部26)の間隔に合わせた幅で形成し、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の全幅にわたって複数対、配設するようにしてもよい。
【0065】
上述した構成の作用について説明する。
【0066】
まず、硬貨の貯留動作を図7に基づいて説明する。
【0067】
硬貨処理装置の投入口に投入された硬貨は、図示せぬ硬貨繰り出し部、鑑別部を経て、正常と判断されたものが、硬貨貯留部101に送られて集積する。このとき硬貨貯留部101は、カム27、28によって第1のガイド部材3および第2のガイド部材4が外側へ開くのを防止され、先端部が噛み合ったその第1のガイド部材3および第2のガイド部材4で硬貨を集積するための底部が形成されている。
【0068】
硬貨貯留部101内に集積された硬貨の枚数が所定の枚数になるか、または投入されたすべての硬貨の集積が終わると、貯留動作を終了する。なお、硬貨の枚数の計測は、鑑別部により行われるものとする。
【0069】
ここで、図示せぬ硬貨処理装置の側面等に設けられた表示部および操作部で顧客意思確認を行い、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納部に「収納」するか、返却口に「返却」するかを選択する操作を操作部で受け付ける。この選択にしたがって、硬貨貯留部101に集積された硬貨は、「返却」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた返却部へ硬貨を導く返却側硬貨放出通路21へ、「収納」の場合、硬貨貯留部101の下底部に設けられた収納部へ硬貨を導く収納側硬貨放出通路22へ振り分けられる。
【0070】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨の振り分け方法を図9の第2の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図、図10の第2の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図に基づいて説明する。
【0071】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21への振り分ける場合の動作を図9に基づいて説明する。
【0072】
まず、カム回転モータ29を図7における矢印Pが示す方向へ所定量正回転させると、そのカム回転モータ29の駆動は、ギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中時計方向に所定量回転させる。
【0073】
図9に示すようにカム27及びカム28が時計方向に所定量正回転すると、カム27の頂部271は第1のガイド部材3の先端の凸部25より外れ、第1のガイド部材3は図中矢印Rが示す硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第1のガイド部材3は、櫛歯形状の隣り合う凸部25の間に形成された凹部により、カム28を通過することができる。
【0074】
一方、第2のガイド部材4は、その先端の凸部26がカム28の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第2のガイド部材4の先端は返却側硬貨放出通路21の上方に位置したままとなり、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ案内することができるようになっている。
【0075】
次に、第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を正回転し、第1のガイド部材3を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0076】
このように第1のガイド部材3を図中矢印Rが示す方向へ回転させることにより、図9における左斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第2のガイド部材4下部の傾斜に沿って返却側硬貨放出通路21へ排出される。
【0077】
なお、図8に示すようにカム27およびカム28をシャフト24に沿って硬貨貯留部101の全幅にわたって配置にすれば、カム27、28全体が第2のガイド部材4先端の下方を覆っており、硬貨搬送通路外への硬貨の侵入を防ぐとともに、その形状によりカム自体が滑り台となり硬貨の搬送ガイドの役目が果たせる。
【0078】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出されると第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を逆回転するとともに、図示しないスプリング23の力で第1のガイド部材3が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0079】
さらに、カム回転モータ29を所定量逆回転させてカム27およびカム28の図中反時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0080】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22への振り分ける場合の動作を図10に基づいて説明する。
【0081】
まず、カム回転モータ29を図7における矢印Qが示す方向へ所定量正回転させると、そのカム回転モータ29の駆動は、ギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中反時計方向に所定量回転させる。
【0082】
図10に示すようにカム27及びカム28が反時計方向に所定量正回転すると、カム28の頂部281は第2のガイド部材4の先端の凸部26より外れ、第2のガイド部材4は図中矢印Sが示す硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第2のガイド部材4は、櫛歯形状の隣り合う凸部26の間に形成された凹部により、カム27を通過することができる。
【0083】
一方、第1のガイド部材3は、その先端の凸部25がカム27の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第1のガイド部材3の先端は収納側硬貨放出通路22の上方に位置したままとなり、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ案内することができるようになっている。
【0084】
次に、第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を逆回転し、第2のガイド部材4を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0085】
このように第2のガイド部材4を図中矢印Sが示す方向へ回転させることにより、図10における右斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第1のガイド部材3下部の傾斜に沿って収納側硬貨放出通路22へ排出される。
【0086】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出されると第1の実施例と同様に図示しないガイド回転モータ9を正回転するとともに、図示しないスプリング23の力で第2のガイド部材4が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0087】
さらに、カム回転モータ29を所定量正回転させてカム27およびカム28を図中時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0088】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、2つのガイド部材が噛み合った自由端を下方からカム部材で規制することにより、硬貨貯留部に貯留された硬貨の重みでガイド部材が底部を開放する方向に働く力を確実に規制することができ、底部の閉塞状態を確実に保持することができるという効果が得られる。
【0089】
また、硬貨貯留部の全幅にカム部材を設けることにより、貯留した硬貨の重みによるガイド部材のねじれを防止でできるとともに、ガイド部材とその下方に位置する硬貨通路との隙間に硬貨が入り込むことを防止することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0090】
図11は第3の実施例における硬貨一時貯留機構の構成を示す側面図である。なお、上述した第1の実施例および第2の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0091】
図11において、9はガイド回転モータ(駆動源)であり、第1の実施例で記載したようにギヤ10を介してギヤ11、12に駆動が伝わっている。ギヤ11には突起13、ギヤ12には突起14が設けられており、それぞれ第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の押圧部7、8との間に図中矢印Tおよび矢印Uで示す回転方向で既定量の遊び(隙間)を有している。
【0092】
また、ガイド回転モータ9は、ギヤ31を介して第2の実施例で記載したようにカム27、28を固定したシャフト24にも駆動が伝わっている。
【0093】
なお、第2の実施例と同様にカム27およびカム28は、図8(b)に示すように第1のガイド部材3に当接するカム27a〜27cと、第2のガイド部材4に当接するカム28a〜28cとを第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の入れ子構造の櫛歯(凸部25および凸部26)の間隔に合わせた幅で形成し、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の全幅にわたって複数対、配設するようにしてもよい。
【0094】
上述した構成の作用について説明する。
【0095】
なお、硬貨の貯留動作は第2の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0096】
硬貨貯留部101に集積された硬貨の振り分け方法を図12の第3の実施例における返却側への硬貨放出動作の説明図、図13の第3の実施例における収納側への硬貨放出動作の説明図に基づいて説明する。
【0097】
硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21への振り分ける場合の動作を図12に基づいて説明する。
【0098】
まず、ガイド回転モータ9を図12における矢印Vが示す方向へ所定量正回転させると、そのガイド回転モータ9の駆動は、ギヤ31およびギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中時計方向に所定量回転させる。
【0099】
図12(a)に示すようにカム27及びカム28が時計方向に所定量正回転すると、カム27の頂部271は第1のガイド部材3の先端の凸部25より外れ、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第1のガイド部材3は、櫛歯形状の隣り合う凸部25の間に形成された凹部により、カム28を通過することができる。
【0100】
このとき、ギヤ10を介してギヤ11及びギヤ12に設けられた突起13および突起14も図中矢印が示す時計方向に回転するが、突起14は第2のガイド部材4の押圧部8から離れる方向に、突起13は第1のガイド部材3の押圧部7を押圧する方向に回転する。突起13は、カム27の頂部271が第1のガイド部材3の先端より外れるまで第1のガイド部材3の押圧部7に当接しないよう遊びを設けているため、カム27の頂部271が第1のガイド部材3の先端より外れる前に第1のガイド部材3の押圧部7を押圧して開くことはない。
【0101】
その後、さらにガイド回転モータ9を正回転すると、図12(b)に示すように突起13は第1のガイド部材3の押圧部7に当接した後、第2の実施例と同様に第1のガイド部材3を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0102】
一方、第2のガイド部材4は、その先端の凸部26がカム28の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第2のガイド部材4の先端は返却側硬貨放出通路21の上方に位置したままとなり、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101に集積された硬貨を返却側硬貨放出通路21へ案内することができるようになっている。
【0103】
このように第1のガイド部材3を図中矢印Wが示す方向へ回転させることにより、図12における左斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第2のガイド部材4下部の傾斜に沿って返却側硬貨放出通路21へ排出される。
【0104】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出され、ガイド回転モータ9をカム27の頂部271が第1のガイド部材3の先端より外れた直後の位置まで所定量逆回転すると、スプリング23の力で第1のガイド部材3が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0105】
さらに、ガイド回転モータ9を所定量逆回転させてカム27およびカム28を図中反時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0106】
ここで、ガイド回転モータ9の逆転は、第1のガイド部材3がスプリング23で閉じきる前にカム27およびカム28が元の位置にもどらないよう、所定量逆回転した位置で一旦止めるか、回転速度を遅くするとよい。
【0107】
次に、硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22への振り分ける場合の動作を図13に基づいて説明する。
【0108】
まず、ガイド回転モータ9を図13における矢印Xが示す方向へ所定量逆回転させると、そのガイド回転モータ9の駆動は、ギヤ31およびギヤ30を介してシャフト24及びシャフト24に固定されているカム27及びカム28を図中反時計方向に所定量回転させる。
【0109】
図13(a)に示すようにカム27及びカム28が反時計方向に所定量逆回転すると、カム28の頂部281は第2のガイド部材4の先端の凸部26より外れ、第2のガイド部材4は硬貨貯留部101の外側への回転が可能となる。なお、第2のガイド部材4は、櫛歯形状の隣り合う凸部26の間に形成された凹部により、カム27を通過することができる。
【0110】
このとき、ギヤ10を介してギヤ11及びギヤ12に設けられた突起13および突起14も図中矢印が示す反時計方向に回転するが、突起13は第1のガイド部材3の押圧部7から離れる方向に、突起14は第2のガイド部材4の押圧部8を押圧する方向に回転する。突起14は、カム28の頂部281が第2のガイド部材4の先端より外れるまで第2のガイド部材4の押圧部8に当接しないよう遊びを設けているため、カム28の頂部281が第2のガイド部材4の先端より外れる前に第2のガイド部材4の押圧部8を押圧して開くことはない。
【0111】
その後、さらにガイド回転モータ9を逆回転すると、図13(b)に示すように突起14は第2のガイド部材4の押圧部8に当接した後、第2の実施例と同様に第2のガイド部材4を回動させて硬貨貯留部101の底部を開放して硬貨を排出する。
【0112】
一方、第1のガイド部材3は、その先端の凸部25がカム27の円弧の部分で規制されているため回転できない。したがって、第1のガイド部材3の先端は収納側硬貨放出通路22の上方に位置したままとなり、第1のガイド部材3は硬貨貯留部101に集積された硬貨を収納側硬貨放出通路22へ案内することができるようになっている。
【0113】
このように第2のガイド部材4を図中矢印Yが示す方向へ回転させることにより、図13における右斜め下方向の底部が開放され、硬貨貯留部101に貯留されていた硬貨は、その自重によって、第1のガイド部材3下部の傾斜に沿って収納側硬貨放出通路22へ排出される。
【0114】
その後すべての硬貨が硬貨貯留部101から排出され、ガイド回転モータ9をカム28の頂部281が第2のガイド部材4の先端より外れた直後の位置まで所定量正回転すると、スプリング23の力で第2のガイド部材4が硬貨貯留部101の内側に回転し、硬貨貯留部101の底部が閉じられる。
【0115】
さらに、ガイド回転モータ9を所定量正回転させてカム27およびカム28を図中時計方向へ回転させると、第1のガイド部材3および第2のガイド部材4の回動がカム27およびカム28で規制され、硬貨貯留部101の底部を形成して硬貨の集積前の状態に戻る。
【0116】
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例および第2の実施例の効果に加え、ガイド部材の押圧部とその押圧部に当接するギヤの突起部との間に遊びを設け、ガイド部材を回動させる駆動源とカム部材を回転させる駆動源を共用したことにより、硬貨一時貯留機構を小型化、安価にすることができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0117】
第4の実施例は、上述した第1から第3の実施例の構成において、第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を複数回行うようにしたものである。
【0118】
その第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を図1、図7、図11を参照しながら説明する。
【0119】
まず、上述した第1から第3の実施例の方法で、第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を行う。
【0120】
いずれも閉じる時はスプリング23で戻すため、第1のガイド部材3または第2のガイド部材4はリミッタ15または16に衝突した振動が衝撃として加わり、第1のガイド部材3,第2のガイド部材4上やサイドフレーム1,2上に残留した硬貨や貼り付いた硬貨は硬貨貯留部101の底部へ落下する。
【0121】
その後、再度第1のガイド部材3または第2のガイド部材4の開閉動作を1回以上行うと、硬貨貯留部101の底部に落下した残留硬貨が返却側硬貨放出通路21または収納側硬貨放出通路22に排出される。
【0122】
なお、この動作を処理時間の許す限り複数回行ったり、小さく小刻みに行ったり、開放角を変えたりして、より効果をあげるようにしても良い。
【0123】
以上説明したように、第4の実施例では、第1の実施例、第2の実施例および第3の実施例の効果に加え、硬貨貯留部にガイド部材を衝突させ振動を与えることにより、サイドフレームやガイド部材に硬貨が貼り付いた場合やバリのある硬貨が引っ掛かった場合であっても、一時貯留部内の硬貨の残留を防止することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0124】
1、2 サイドフレーム
3 第1のガイド部材
4 第2のガイド部材
5、6、24 シャフト
7、8 押圧部
9 ガイド回転モータ
10、11、12 ギヤ
13、14 突起
15、16 リミッタ
17、18 規制部材
19、20 ソレノイド
21 返却側硬貨放出通路
22 収納側硬貨放出通路
23 スプリング
27、28 カム
100 硬貨一時貯留機構
101 硬貨貯留部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨貯留部に貯留された硬貨の放出先を振り分ける硬貨一時貯留機構において、
対向して直立し、硬貨貯留部の側面を形成する平板状の一対のサイドフレームと、
前記一対のサイドフレームの間に対向配置されて硬貨貯留部の側面を形成するとともに、それぞれの一端が回動可能に軸支され、櫛歯状に形成されたそれぞれの自由端が互いに内側に傾斜し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部の底部を形成する第1のガイド部材および第2のガイド部材と、
前記自由端が噛み合った前記第1のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第1の規制部材と、
前記自由端が噛み合った前記第2のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第2の規制部材とを設け、
前記一対のサイドフレームと、前記第1の規制部材および第2の規制部材で回動が規制された第1のガイド部材および第2のガイド部材とにより硬貨を貯留する硬貨貯留部を形成し、
前記第1の規制部材による規制が解除された前記第1のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第1の開口を形成するとともに前記第2の規制部材で規制された前記第2のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第1の開口から該硬貨を放出し、
または、前記第2の規制部材による規制が解除された前記第2のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第2の開口を形成するとともに前記第1の規制部材で規制された前記第1のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第2の開口から該硬貨を放出して前記硬貨貯留部に貯留した硬貨の放出先を振り分けることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項2】
請求項1の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材を、前記自由端が噛み合う方向に付勢する付勢部材と、
前記第1のガイド部材の支軸と同軸に回転可能に設けられ、前記第1のガイド部材に形成された押圧部に、前記付勢部材による付勢方向と反対方向に当接する突出部が形成された第1の回転体と、
前記第2のガイド部材の支軸と同軸に回転可能に設けられ、前記第2のガイド部材に形成された押圧部に、前記付勢部材による付勢方向と反対方向に当接する突出部が形成された第2の回転体と、
前記第1の回転体および前記第2の回転体を同方向に回転させる駆動源とを設け、
前記第1のガイド部材または第2のガイド部材のいずれか一方を回動させることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項3】
請求項2の硬貨一時貯留機構において、
前記第1の規制部材および第2の規制部材は、噛み合った前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の自由端が交差する位置の直下に配置された回転軸に固定され、断面形状が扇状の第1のカム部材および第2のカム部材であり、
前記第1のカム部材は、前記第1のガイド部材の自由端に当接して該第1のガイド部材の回動を規制するとともに前記第1のガイド部材の自由端から離れて前記第1のガイド部材の回動の規制を解除する第1の外周部が形成され、
前記第2のカム部材は、前記第2のガイド部材の自由端に当接して該第2のガイド部材の回動を規制するとともに前記第2のガイド部材の自由端から離れて前記第2のガイド部材の回動の規制を解除する第2の外周部が形成され、
前記第1のカム部材および前記第2のカム部材は、それぞれの断面形状が線対称になるように前記回転軸に取り付けられ、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量正回転することにより、前記第1のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第2の外周部で第2のガイド部材の回動を規制し、一方、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量逆回転することにより、前記第2のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第1の外周部で第1のガイド部材の回動を規制することを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項4】
請求項3の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のガイド部材に形成された押圧部と前記第1の回転体に形成された突出部との間および前記第2のガイド部材に形成された押圧部と前記第2の回転体に形成された突出部との間に遊びを設け、
前記駆動源は、前記第1の回転体および前記第2の回転体を回転させるとともに前記第1のカム部材および第2のカム部材が固定された回転軸を回転させ、
前記第1のカム部材が前記第1のガイド部材の規制を解除した後、該第1のガイド部材を回動させ、また前記第2のカム部材が前記第2のガイド部材の規制を解除した後、該第2のガイド部材を回動させることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項5】
請求項1の硬貨一時貯留機構において、
前記第1の規制部材および第2の規制部材は、噛み合った前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の自由端が交差する位置の直下に配置された回転軸に固定され、断面形状が扇状の第1のカム部材および第2のカム部材であり、
前記第1のカム部材は、前記第1のガイド部材の自由端に当接して該第1のガイド部材の回動を規制するとともに前記第1のガイド部材の自由端から離れて前記第1のガイド部材の回動の規制を解除する第1の外周部が形成され、
前記第2のカム部材は、前記第2のガイド部材の自由端に当接して該第2のガイド部材の回動を規制するとともに前記第2のガイド部材の自由端から離れて前記第2のガイド部材の回動の規制を解除する第2の外周部が形成され、
前記第1のカム部材および前記第2のカム部材は、それぞれの断面形状が線対称になるように前記回転軸に取り付けられ、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量正回転することにより、前記第1のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第2の外周部で第2のガイド部材の回動を規制し、一方、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量逆回転することにより、前記第2のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第1の外周部で第1のガイド部材の回動を規制することを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項6】
請求項3、請求項4または請求項5の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のカム部材は、前記第2のガイド部材の櫛歯の間隔に合わせた幅で形成され、
前記第2のカム部材は、前記第1のガイド部材の櫛歯の間隔に合わせた幅で形成され、
前記第1のカム部材および前記第2のカム部材が前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材の全幅にわたって複数配置されていることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のガイド部材または第2のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放した後、開放した前記第1のガイド部材または第2のガイド部材を閉塞して該第1のガイド部材または第2のガイド部材に衝撃を与え、その後再度前記第1のガイド部材または第2のガイド部材を開放させる動作を、1回以上行うことを特徴とした硬貨一時貯留機構。
【請求項1】
硬貨貯留部に貯留された硬貨の放出先を振り分ける硬貨一時貯留機構において、
対向して直立し、硬貨貯留部の側面を形成する平板状の一対のサイドフレームと、
前記一対のサイドフレームの間に対向配置されて硬貨貯留部の側面を形成するとともに、それぞれの一端が回動可能に軸支され、櫛歯状に形成されたそれぞれの自由端が互いに内側に傾斜し、その自由端が噛み合って硬貨貯留部の底部を形成する第1のガイド部材および第2のガイド部材と、
前記自由端が噛み合った前記第1のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第1の規制部材と、
前記自由端が噛み合った前記第2のガイド部材の回動の規制およびその規制を解除する第2の規制部材とを設け、
前記一対のサイドフレームと、前記第1の規制部材および第2の規制部材で回動が規制された第1のガイド部材および第2のガイド部材とにより硬貨を貯留する硬貨貯留部を形成し、
前記第1の規制部材による規制が解除された前記第1のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第1の開口を形成するとともに前記第2の規制部材で規制された前記第2のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第1の開口から該硬貨を放出し、
または、前記第2の規制部材による規制が解除された前記第2のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放して第2の開口を形成するとともに前記第1の規制部材で規制された前記第1のガイド部材の傾斜で貯留された硬貨を案内して前記第2の開口から該硬貨を放出して前記硬貨貯留部に貯留した硬貨の放出先を振り分けることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項2】
請求項1の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材を、前記自由端が噛み合う方向に付勢する付勢部材と、
前記第1のガイド部材の支軸と同軸に回転可能に設けられ、前記第1のガイド部材に形成された押圧部に、前記付勢部材による付勢方向と反対方向に当接する突出部が形成された第1の回転体と、
前記第2のガイド部材の支軸と同軸に回転可能に設けられ、前記第2のガイド部材に形成された押圧部に、前記付勢部材による付勢方向と反対方向に当接する突出部が形成された第2の回転体と、
前記第1の回転体および前記第2の回転体を同方向に回転させる駆動源とを設け、
前記第1のガイド部材または第2のガイド部材のいずれか一方を回動させることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項3】
請求項2の硬貨一時貯留機構において、
前記第1の規制部材および第2の規制部材は、噛み合った前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の自由端が交差する位置の直下に配置された回転軸に固定され、断面形状が扇状の第1のカム部材および第2のカム部材であり、
前記第1のカム部材は、前記第1のガイド部材の自由端に当接して該第1のガイド部材の回動を規制するとともに前記第1のガイド部材の自由端から離れて前記第1のガイド部材の回動の規制を解除する第1の外周部が形成され、
前記第2のカム部材は、前記第2のガイド部材の自由端に当接して該第2のガイド部材の回動を規制するとともに前記第2のガイド部材の自由端から離れて前記第2のガイド部材の回動の規制を解除する第2の外周部が形成され、
前記第1のカム部材および前記第2のカム部材は、それぞれの断面形状が線対称になるように前記回転軸に取り付けられ、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量正回転することにより、前記第1のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第2の外周部で第2のガイド部材の回動を規制し、一方、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量逆回転することにより、前記第2のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第1の外周部で第1のガイド部材の回動を規制することを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項4】
請求項3の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のガイド部材に形成された押圧部と前記第1の回転体に形成された突出部との間および前記第2のガイド部材に形成された押圧部と前記第2の回転体に形成された突出部との間に遊びを設け、
前記駆動源は、前記第1の回転体および前記第2の回転体を回転させるとともに前記第1のカム部材および第2のカム部材が固定された回転軸を回転させ、
前記第1のカム部材が前記第1のガイド部材の規制を解除した後、該第1のガイド部材を回動させ、また前記第2のカム部材が前記第2のガイド部材の規制を解除した後、該第2のガイド部材を回動させることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項5】
請求項1の硬貨一時貯留機構において、
前記第1の規制部材および第2の規制部材は、噛み合った前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の自由端が交差する位置の直下に配置された回転軸に固定され、断面形状が扇状の第1のカム部材および第2のカム部材であり、
前記第1のカム部材は、前記第1のガイド部材の自由端に当接して該第1のガイド部材の回動を規制するとともに前記第1のガイド部材の自由端から離れて前記第1のガイド部材の回動の規制を解除する第1の外周部が形成され、
前記第2のカム部材は、前記第2のガイド部材の自由端に当接して該第2のガイド部材の回動を規制するとともに前記第2のガイド部材の自由端から離れて前記第2のガイド部材の回動の規制を解除する第2の外周部が形成され、
前記第1のカム部材および前記第2のカム部材は、それぞれの断面形状が線対称になるように前記回転軸に取り付けられ、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量正回転することにより、前記第1のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第2の外周部で第2のガイド部材の回動を規制し、一方、それぞれの外周部で前記第1のガイド部材および第2のガイド部材の回動を規制する位置から所定量逆回転することにより、前記第2のガイド部材の回動の規制を解除するとともに前記第1の外周部で第1のガイド部材の回動を規制することを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項6】
請求項3、請求項4または請求項5の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のカム部材は、前記第2のガイド部材の櫛歯の間隔に合わせた幅で形成され、
前記第2のカム部材は、前記第1のガイド部材の櫛歯の間隔に合わせた幅で形成され、
前記第1のカム部材および前記第2のカム部材が前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材の全幅にわたって複数配置されていることを特徴とする硬貨一時貯留機構。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項の硬貨一時貯留機構において、
前記第1のガイド部材または第2のガイド部材を回動させて硬貨貯留部の底部を開放した後、開放した前記第1のガイド部材または第2のガイド部材を閉塞して該第1のガイド部材または第2のガイド部材に衝撃を与え、その後再度前記第1のガイド部材または第2のガイド部材を開放させる動作を、1回以上行うことを特徴とした硬貨一時貯留機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−108099(P2011−108099A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264101(P2009−264101)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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