説明

硬貨包装機

【課題】例え変形硬貨が混入していたとしても集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を適正に判定することができる硬貨包装機の提供。
【解決手段】硬貨を一枚ずつ送り出す硬貨搬送手段16と、硬貨搬送手段16から送り出された硬貨を積み重ね状態に集積する集積手段23と、集積手段23で集積された集積硬貨の周面に包装紙45を供給して巻き付けるとともに加締めて包装硬貨を作製する包装紙巻回加締手段30と、集積硬貨の集積方向に移動可能に設けられるとともに検出面が集積硬貨の周面に対向するように配置された磁気センサ70、および、磁気センサ70の出力信号に基づいて集積硬貨の異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する制御手段を有する過不足検出手段73とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を所定枚数集積して包装する硬貨包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨を所定枚数集積して包装する硬貨包装機として、回転円盤および硬貨通路で一枚ずつ送り出された硬貨を積み重ね状態に集積する集積部と、集積部で集積された集積硬貨の周面に包装紙を供給して巻き付けるとともに、巻き付けた包装紙を加締めて包装硬貨を作製する包装部とを有するものがある。この種の硬貨包装機において、集積部から包装部に向けて集積硬貨を下降させる際に、集積部と包装部との間に配置されたフォトセンサで集積硬貨の移動量を計測してその集積方向の長さ寸法を割り出し、集積枚数の過不足の有無を判定する硬貨包装機が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−24909号公報(段落「0013」〜「0017」、図2、図3、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した硬貨包装機では、集積硬貨全体の集積方向の長さ寸法に基づいて集積枚数の過不足の有無を判定しているため、集積硬貨の一部に、長さ寸法に影響を与える変形硬貨が混入していたときは、誤判定してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、例え変形硬貨が混入していたとしても集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を適正に判定することができる硬貨包装機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、硬貨を一枚ずつ送り出す硬貨搬送手段と、該硬貨搬送手段から送り出された硬貨を積み重ね状態に集積する集積手段と、該集積手段で集積された集積硬貨の周面に包装紙を供給して巻き付けるとともに、該巻き付けた包装紙を加締めて包装硬貨を作製する包装紙巻回加締手段と、前記集積硬貨の集積方向に移動可能に設けられるとともに検出面が前記集積硬貨の前記周面に対向するように配置された磁気センサ、および、該磁気センサの出力信号に基づいて前記集積硬貨の異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する制御手段を有する過不足検出手段と、を備えている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記制御手段は、前記磁気センサの出力信号から前記集積硬貨の硬貨間の硬貨隙間を検出し、該硬貨隙間の数から前記集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記制御手段は、前記磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた開始基準値になると前記集積硬貨の検出開始を判断し、前記磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた終了基準値になると前記集積硬貨の検出終了を判断するとともに、前記検出開始から前記検出終了までの検出期間における前記磁気センサの出力信号に基づいて前記集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記制御手段は、前記検出期間における前記磁気センサの出力信号値の変化量が予め定められた硬貨隙間検出基準値になると前記硬貨隙間があると判断することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記硬貨隙間検出基準値は、硬貨の金種毎に予め定められて記憶されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項4または5に係る発明において、前記硬貨隙間検出基準値は、包装すべき金種の設定に合わせて選択されることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項2ないし6のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間を前記磁気センサの移動距離情報と連携させて記憶し隣り合う前記硬貨隙間間の距離が予め定められた厚さ基準値より小さいときに異常としての変形硬貨の混入と判断することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項2ないし7のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間を前記磁気センサの移動距離情報と連携させて記憶し、連続する3つの前記硬貨隙間において隣り合う硬貨隙間間の2つの距離の少なくとも一方が予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間と三番目の硬貨隙間との間の距離が予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間のうちの中央の硬貨隙間を硬貨隙間でないと判断することを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項2ないし8のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間の数に1を加えた数を集積硬貨検出枚数とするとともに該集積硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、前記集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項2ないし9のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号から異常としての異金種の有無を判断することを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項10に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号が集積されるべき金種の基準範囲外であるときに異金種であると判断することを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項10または11に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号の隣り合うもの同士の差が予め定められた基準範囲外であるときに異金種であると判断することを特徴とする。
【0018】
請求項13に係る発明は、請求項2ないし12のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、一つの前記硬貨隙間を検出する間の前記磁気センサの移動距離情報から異常としての変形硬貨の混入を判断することを特徴とする。
【0019】
請求項14に係る発明は、請求項1ないし13のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記異常を検出したときに警告することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、集積手段により積み重ね状態に集積された集積硬貨に対して、磁気センサが、その集積方向に移動して集積硬貨の周面に対向する検出面で磁気データを検出すると、制御手段がこの磁気センサの出力信号に基づいて集積硬貨の異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する。このように、磁気センサの出力信号を用いるため、変形硬貨による影響を排除可能となる。したがって、例え変形硬貨が混入していたとしても集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を適正に判定することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、制御手段は、磁気センサの出力信号から集積硬貨の硬貨間の硬貨隙間を検出し、この硬貨隙間の数から集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、集積硬貨の全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、制御手段は、磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた開始基準値になると集積硬貨の検出開始を判断し、予め定められた終了基準値になると集積硬貨の検出終了を判断することになるため、検出開始から検出終了までの適正な検出期間における磁気センサの出力信号から集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、制御手段は、検出期間における磁気センサの出力信号値の変化量が予め定められた硬貨隙間検出基準値になると硬貨間の硬貨隙間があると判断するため、硬貨間の硬貨隙間を適正に検出することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、硬貨隙間検出基準値が、硬貨の金種毎に予め定められて記憶されているため、金種毎に適正に、硬貨間の硬貨隙間を検出することができる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、硬貨隙間検出基準値が、包装すべき金種の設定に合わせて選択されるため、選択された設定金種の硬貨間の硬貨隙間を適正に検出することができる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の距離つまり硬貨の厚さが予め定められた厚さ基準値より小さいときに異常としての変形硬貨(つぶれ硬貨)の混入と判断するため、変形硬貨の混入を適正に検出することができる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、制御手段が、連続する3つの硬貨隙間において隣り合う硬貨隙間間の2つの距離の少なくとも一方が予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間と三番目の硬貨隙間との間の距離が予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間のうちの中央の硬貨隙間を硬貨隙間でないと判断するため、硬貨外周面についた傷などによる影響を排除可能となる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、制御手段は、硬貨隙間の数に1を加えた数を集積硬貨検出枚数とするとともに、この集積硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、集積硬貨の全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の磁気センサの出力信号値から異常としての異金種の有無を判断することになるため、異金種の混入を検出することができる。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の磁気センサの出力信号値が集積されるべき金種の基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の磁気センサの出力信号値の隣り合うもの同士の差が予め定められた基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
【0032】
請求項13に係る発明によれば、制御手段が、一つの硬貨隙間を検出する間の磁気センサの移動距離情報から異常としての変形硬貨(折れ硬貨)の混入を判断するため、変形硬貨の混入を検出することができる。
【0033】
請求項14に係る発明によれば、制御手段が、異常を検出したときに警告することになるため、異常が見逃されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る硬貨包装機の基本構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る硬貨包装機のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る硬貨包装機の集積硬貨、支持棒、磁気センサおよび昇降機構を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る硬貨包装機の集積硬貨と磁気センサの出力信号値との関係を示す線図である。
【図5】図4の線図のX部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の一実施形態に係る硬貨包装機を図面を参照しつつ以下に説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の硬貨包装機10は、同一金種の硬貨が一括投入される回転円盤11を有しており、この回転円盤11内の硬貨は、回転円盤11の遠心力および図示しない通過規制部による重なり規制により、硬貨通路12に向けて一枚ずつ送り出されるようになっている。
【0037】
硬貨通路12は、その上方位置に硬貨を一枚ずつ送るベルト機構13を有しており、その端末位置には、硬貨の送り出しを許容および規制する図2に示す送出ストッパ14が設けられている。
【0038】
上記した回転円盤11、硬貨通路12、ベルト機構13および送出ストッパ14と、回転円盤11およびベルト機構13を駆動する図2に示す送出モータ15とが、硬貨を一枚ずつ送り出す硬貨搬送機構(硬貨搬送手段)16を構成している。
【0039】
硬貨通路12の途中位置には、図2に示す硬貨識別部20が設けられており、硬貨の真偽および金種が識別されるとともに計数および送り出しのタイミング検出が行われるようになっている。
【0040】
硬貨搬送機構16の硬貨通路12を経由した硬貨は、所定枚数の硬貨を上下方向に集積させる集積部(集積手段)23に供給されるようになっている。
【0041】
集積部23は、螺旋状の突起部24をそれぞれ有する一対の集積ドラム25を有している。これら集積ドラム25は、相互の突起部24の高さ位置を一致させた状態で、図2に示すドラムモータ26により、硬貨通路12からの硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられるようになっている。
【0042】
これにより、硬貨通路12から送り出された硬貨が一対の集積ドラム25の突起部24に乗せられて集積ドラム25の回転により一段下降させられ、その後に供給された硬貨が先の硬貨の上に積み重ねられる結果、これら集積ドラム25間に、複数の硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積され、これにより集積硬貨が形成されるようになっている。
【0043】
また、これら集積ドラム25を含む集積部23の下方には、集積硬貨を包装して包装硬貨とする包装部(包装紙巻回加締手段)30が設けられており、集積部23と包装部30との間には、閉状態で集積部23からの包装部30への硬貨の進入を規制するとともに開状態で集積部23からの包装部30への硬貨の進入を許容する進入防止シャッタ31が設けられている。
【0044】
進入防止シャッタ31は、集積部23の集積ドラム25と包装部30との間に水平に配置される平板状のベース部材33を有しており、このベース部材33には、集積ドラム25から突起部24の支持が解除されることで落下する集積硬貨の落下方向に、集積硬貨を通過可能な直径の通過穴34が貫通形成されている。また、進入防止シャッタ31は、ベース部材33の通過穴34を開閉するシャッタ部材35を有している。
【0045】
包装部30は、進入防止シャッタ31のシャッタ部材35が開かれることで通過穴34から落下させられた集積硬貨を下から支える支持棒41と、この支持棒41の周囲に鉛直方向に沿って配置される3本の平行な包装ローラ43a,43b,43cからなる包装ローラ群44により集積硬貨の周囲に包装紙45を巻回する包装機構46と、巻回された包装紙45を集積硬貨の上下端において加締めて包装硬貨とする加締機構48とを有している。包装ローラ43a,43b,43cは、図2に示す包装モータ50によって、その軸心回りに回転駆動されるようになっている。つまり、包装部30は、集積部23で同一金種の所定枚数の硬貨が集積されてなる集積硬貨の周面に包装紙45を供給して巻き付けるとともに、該巻き付けた包装紙45を加締めて棒状の包装硬貨を作製する。
【0046】
包装機構46の包装ローラ群44において、3本の平行な包装ローラ43a,43b,43cのうちの所定の2本の包装ローラ43a,43bは位置固定であり、残りの所定の1本の包装ローラ43cが、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない包装ローラカムの作動により包装ローラ43a,43bに対し平行状態のまま近接および離間するように移動可能に設けられている。また、進入防止シャッタ31のシャッタ部材35は、包装ローラ43cの包装ローラ43a,43bへの近接作動つまり包装ローラ群44の閉作動に連動して閉じ、包装ローラ43cの包装ローラ43a,43bからの離間作動つまり包装ローラ群44の開作動に連動して開くようになっている。
【0047】
集積硬貨の集積部23から包装部30への移送は、進入防止シャッタ31の下側で待機する支持棒41によって行われる。この支持棒41は、包装ローラ43b,43c間の隙間に挿入された状態で、昇降可能に設けられた支持アーム55の先端に固定されており、進入防止シャッタ31のすぐ下に配置された上昇状態で、図示しない包装ローラカムの作動によって包装ローラ群44が開作動しかつ進入防止シャッタ31が開放されると、進入防止シャッタ31の通過穴34を介して落下する集積硬貨をその上端に受け止め、その後に、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない支持アーム垂直動作カムの作動により鉛直方向に下降させられることによって、集積硬貨を開状態にある包装ローラ群44の3本の包装ローラ43a,43b,43cの間に配置するようになっている。
【0048】
包装機構46は、このようにして包装ローラ43a,43b,43c間に配置された集積硬貨に対して、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない包装ローラ開閉カムの作動によって包装ローラ43a,43bに包装ローラ43cを近接させることにより包装ローラ群44を閉状態にし、これら包装ローラ43a,43b,43cによって集積硬貨をその半径方向3方向から挟持するようになっている。また、これら包装ローラ43a,43b,43cの近くには、一対の包装紙供給ローラ58が設けられており、図2に示す包装紙供給モータ59の駆動によるこれら包装紙供給ローラ58の回転によって、包装紙45が集積硬貨と包装ローラ群44との間に供給されるようになっている。そして、包装紙供給ローラ58によって包装紙45を集積硬貨と包装ローラ群44との間に供給した状態で、図2に示す包装モータ50の駆動により包装ローラ群44を回転させることによって、包装紙45が集積硬貨の円筒状の周面に巻回されるようになっている。なお、包装紙供給ローラ58と包装ローラ群44との間には、包装紙45を切断するためのカッタ60が設けられている。
【0049】
加締機構48は、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない加締爪逃がしカムの作動により包装ローラ43a,43b間の隙間から集積硬貨の上下位置に挿入されるとともに、同じくカムモータ51で駆動される図示しない加締爪垂直動作カムの作動により上下方向に沿って近接離間させられる一対の加締爪64,65を具備している。すなわち、包装紙45は、集積硬貨の高さよりも大きな幅寸法を有するものであり、一対の加締爪64,65は、図示しない加締爪垂直動作カムの作動により近接方向に移動させられることで、集積硬貨の周囲に巻回された包装紙45の集積硬貨から上下に突出する部分を内側に丸めるように加締める。
【0050】
なお、包装された包装硬貨を下方に落下させる際に、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない包装ローラ開閉カムの作動によって包装ローラ43a,43bから包装ローラ43cを離間させることにより包装ローラ群44を開状態にし、これら包装ローラ43a,43b,43cによる包装硬貨の挟持を解除しつつ、支持棒41が、同じくカムモータ51で駆動される図示しない支持アーム逃がしカムの作動によって包装ローラ群44から離間する横方向に逃げることなる。これにより、包装部30から包装硬貨が落下することになる。包装部30の下方には、適正枚数の集積硬貨が包装紙45で包装されてなる包装硬貨を受け入れる図示しないロールシュート、包装硬貨の集積枚数が適正でない場合等にこれを受け入れる図示しないリジェクトボックス、および、包装硬貨を、ロールシュートまたはリジェクトボックスに振り分ける図示しないゲートが設けられている。ゲートは図2に示すゲートソレノイド66で振り分け方向が切り換えられる。
【0051】
そして、本実施形態においては、包装ローラ群44の側方、具体的には、加締爪64,65および支持アーム55が進退しない、包装ローラ43b,43c間の隙間に、磁気センサ70と、この磁気センサ70を、その検出面70aが集積硬貨の周面に対向するように配置した状態で、上下方向つまり集積硬貨の集積方向(軸線方向)に移動させる昇降機構71とが設けられている。磁気センサ70は、検出対象の磁気的性質に応じて変化する電圧を磁気データとして検出するものである。磁気センサ70は、その出力信号に基づいて集積硬貨の異常としての硬貨枚数の過不足の有無等を判定する図2に示す過不足検出制御部(制御手段)72とともに過不足検出装置(過不足検出手段)73を構成している。
【0052】
過不足検出制御部72は、磁気センサ70の出力信号を増幅する増幅回路75、増幅回路75で増幅された磁気センサ70の出力信号を比較処理等するマイクロコンピュータ76および過不足判定用のデータ等を記憶する記憶部77とからなっている。記憶部77には、磁気センサ70の出力信号を比較処理する際に用いられる予め定められた基準値および基準範囲が記憶されている。つまり、例えば、磁気センサ70による集積硬貨の検出開始を判断するための開始基準値と、磁気センサ70による集積硬貨の検出終了を判断するための終了基準値と、図3に示す硬貨c間の硬貨隙間sがあると判断するための硬貨隙間検出基準値と、異常としての変形硬貨を判断するための厚さ基準値と、硬貨cの厚さが適正であるか否かを判断するための厚さ基準範囲と、包装硬貨の単位枚数である包装基準枚数と、硬貨隙間sの大きさが適正であるか否かを判断するための硬貨隙間基準範囲とが、それぞれ硬貨cの金種毎に予め定められて記憶部77に記憶されている。
【0053】
昇降機構71は、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない昇降機構動作カムの作動により鉛直方向に磁気センサ70を昇降させることになる。昇降機構71は、支持棒41で支持され包装ローラ43a,43b,43cで挟持された集積硬貨の軸線方向の全範囲および両側所定範囲にわたって磁気センサ70を移動可能とするように磁気センサ70を支持している。
【0054】
そして、支持棒41で支持されることで集積方向に位置決めされ、包装ローラ43a,43b,43cで挟持されることで径方向の位置が揃えられた集積硬貨に対して、包装紙45の巻回前に、磁気センサ70を、集積硬貨の集積方向の一端よりも外側位置から集積方向の他端よりも外側位置まで、昇降機構71により移動させ、過不足検出制御部72が、その間の得られる磁気センサ70の出力信号から集積硬貨の過不足の有無等を判定する。具体的には、磁気センサ70が、図3に実線で示すように集積硬貨Cの上端よりも上側の所定の待機位置から、図3に二点鎖線で示すように集積硬貨Cの下端よりも下側の所定の下端位置まで移動することになり、過不足検出制御部72は、この間の磁気センサ70の出力信号から集積硬貨Cの過不足の有無等を判定する。勿論、集積硬貨Cの下端よりも下側の所定位置を待機位置として、この待機位置から集積硬貨Cの上端よりも上側の所定の上端位置まで移動する間の磁気センサ70の出力信号から集積硬貨Cの過不足の有無等を判定しても良い。
【0055】
過不足検出制御部72は、硬貨包装機10の全体を制御する全体制御部80に接続されている。全体制御部80には、操作者により操作入力がなされる操作部81、操作者に向けて画像出力を行う画像表示部82、操作者に向けて音声出力を行う音声出力部83等が接続されている。
【0056】
以上の構成の硬貨包装機10において、操作部81を介して包装すべき包装硬貨の金種が設定入力されると、全体制御部80は、この指定金種を示す指定金種データを過不足検出制御部72に出力する。
【0057】
そして、回転円盤11に、基本的に指定金種の硬貨cが投入されることになり、この状態で、操作部81に包装開始の操作入力が入力されると、全体制御部80は、送出モータ15を駆動する。すると、回転円盤11およびベルト機構13が回転することになり、回転円盤11内の硬貨cが、遠心力および図示しない通過規制部による重なり規制により、硬貨通路12に向けて一枚ずつ送り出され、硬貨通路12にて、ベルト機構13により、集積部23に向けて一枚ずつ移送される。そして、硬貨識別部20にて、硬貨cの真偽および金種が識別されるとともに計数および送り出しのタイミング検出が行われることになる。
【0058】
硬貨識別部20にて真の指定金種と識別された硬貨cが集積部23に供給されると、全体制御部80は、硬貨識別部20の検出タイミングに基づいて、ドラムモータ26を間欠駆動することになる。これにより、待機位置にあった一対の集積ドラム25の突起部24上に硬貨cが積み重ね状態に集積されることになる。全体制御部80は、硬貨識別部20で指定金種の包装基準枚数の硬貨cを計数すると、最後の硬貨cの次の硬貨cを送出ストッパ14により停止させるとともに、送出モータ15を停止させて、次の包装硬貨の作製が開始可能となるまで回転円盤11およびベルト機構13を停止させることになる。
【0059】
なお、集積部23への送り出しの最中に、上記した硬貨識別部20により偽硬貨あるいは異金種の硬貨が検出されると、全体制御部80は、例えば、この硬貨を送出ストッパ14により停止させるとともに、送出モータ15を停止させて回転円盤11およびベルト機構13を停止させて、画像表示部82および音声出力部83でその旨のアラームを発生させる。
【0060】
上記のように、硬貨識別部20で指定金種の包装基準枚数の最後の硬貨cが検出された後、この硬貨cが集積ドラム25の突起部24上のすでに集積されている硬貨に積み重ねられるのに必要な時間が経過すると、全体制御部80は、ドラムモータ26により集積ドラム25をさらに回転させて、突起部24上の集積硬貨Cを進入防止シャッタ31の通過穴34を塞ぐ閉状態のシャッタ部材35上に受け渡す。その後、全体制御部80は、集積ドラム25が待機位置となるタイミングでドラムモータ26を停止させるとともに、カムモータ51を駆動する。すると、図示しない包装ローラカムの作動によって包装ローラ群44が開作動しかつ進入防止シャッタ31のシャッタ部材35が開作動する。これにより、集積硬貨Cは、進入防止シャッタ31の通過穴34を通過して、上昇位置で待機していた支持棒41に載置されることになる。
【0061】
続くカムモータ51の駆動で、支持棒41が図示しない支持アーム垂直動作カムの作動により鉛直方向に下降させられることになり、所定の包装位置で停止する。これにより、集積硬貨Cが開状態にある包装ローラ群44の3本の包装ローラ43a,43b,43cの間に配置される。
【0062】
続くカムモータ51の駆動で、図示しない包装ローラ開閉カムの作動により包装ローラ43a,43bに包装ローラ43cを近接させることになり、これら包装ローラ43a,43b,43cによって集積硬貨Cをその半径方向3方向から挟持する。
【0063】
続くカムモータ51の駆動で、図示しない昇降機構動作カムの作動により昇降機構71が磁気センサ70を、集積硬貨Cの上端よりも上側の待機位置から集積硬貨Cの下端よりも下側の下端位置まで予め定められた一定速度で移動させることになる。すると、過不足検出制御部72が、この磁気センサ70の移動の間に得られる磁気センサ70の、例えば図4に示すような待機位置からの移動距離毎の出力信号値(電圧)を検出し、この出力信号値から過不足の有無等を判定する。なお、磁気センサ70が一定速度で移動することから移動時間毎の出力信号値を用いても良い。
【0064】
つまり、過不足検出制御部72は、上記した操作部81への包装すべき金種の設定に基づいて全体制御部80から出力された指定金種データに合わせて、この指定金種データに対応する金種の基準値および基準範囲を記憶部77から選択して読み出し、磁気センサ70の出力信号値の、磁気センサ70が待機位置にある状態からの変化量が、指定金種データに対応する金種の予め定められた開始基準値になると、集積硬貨Cの検出開始を判断し、この検出開始判断時点での磁気センサ70の位置を検出開始位置(図4に示すL0)に設定する。
【0065】
そして、過不足検出制御部72は、上記した検出開始判断の後、磁気センサ70の出力信号値が極小値まで下がると一枚目の硬貨cの外周面を検出していると判断し、出力信号値がこの極小値から上がり、この極小値からの変化量(図5に示すΔV)が、指定金種データに対応する金種の予め定められた硬貨隙間検出基準値になると(図4に示すL1の位置)、硬貨c間の硬貨隙間sがあると判断してその計数を行う。次に、出力信号値の変化量が硬貨隙間検出基準値よりも大きな所定の終了基準値になることなく下がり、極小値まで下がると次の硬貨cの外周面を検出していると判断し、出力信号値がこの極小値から上がり、この極小値からの変化量が硬貨隙間検出基準値になると(図4に示すL2の位置)、次に隣り合う硬貨隙間sがあると判断してその計数を行い、再び出力信号値の変化量が終了基準値になることなく下がり、極小値まで下がると次の硬貨cの外周面を検出していると判断し、この極小値から上がり、この極小値からの変化量が硬貨隙間検出基準値になると(図4に示すL3の位置)、次に隣り合う硬貨隙間sがあると判断してその計数を行う。このような硬貨cの外周面および硬貨c間の硬貨隙間sの検出および計数を順次行い、最後に、直前の極小値からの変化量が硬貨隙間検出基準値よりも大きな、指定金種データに対応する金種の所定の終了基準値になると(図4に示すLeの位置)、集積硬貨Cの検出終了を判断することになる。
【0066】
つまり、過不足検出制御部72は、検出開始判断のタイミングから検出終了判断のタイミングまでの間の検出期間における磁気センサ70の出力信号および磁気センサ70の移動距離に基づいて集積硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定することになり、硬貨c同士の硬貨隙間sと硬貨外周面との出力信号値の差異から硬貨隙間sおよび外周面を検出して、硬貨隙間sの数を計数する。
【0067】
過不足検出制御部72は、上記検出期間において検出したすべての硬貨隙間sを、上記検出期間においては一定速で移動する磁気センサ70の移動距離情報と連携させて記憶部77に記憶しており、一の硬貨隙間sを検出してからこれに移動方向下流側で隣り合う次の硬貨隙間sを検出するまでの磁気センサ70の移動距離である隣り合う硬貨隙間s間の距離(図5に示すn)を、すべて、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準値(例えば正常な硬貨隙間s間の距離の90%の値)と比較する。そして、いずれかの隣り合う硬貨隙間s間の距離が、厚さ基準値より小さいときには、異常としての変形硬貨(つぶれ硬貨)の混入ありと判断する一方、すべての隣り合う硬貨隙間s間の距離が厚さ基準値以上であれば、変形硬貨の混入なしと判断する。変形硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部72は、その旨のアラームを画像表示部82および音声出力部83により出力させる。
【0068】
また、過不足検出制御部72は、上記した硬貨隙間s間の距離から、連続する3つの硬貨隙間sのすべての組み合わせについて、3つの硬貨隙間s間の2つの距離の少なくとも一方が、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間sと三番目の硬貨隙間sとの間の距離が、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間sのうちの中央の硬貨隙間sを硬貨c間の硬貨隙間sではなく傷であると判断する。当然、この傷を硬貨隙間sとして計数することはない。
【0069】
また、過不足検出制御部72は、上記した硬貨隙間s間の磁気センサ70の出力信号から、異常としての異金種硬貨の有無を判断する。つまり、出力信号において、一の硬貨隙間sを検出してからこれに移動方向下流側で隣り合う次の硬貨隙間sを検出するまでの磁気センサ70の移動距離である硬貨隙間s間の距離を、すべて、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準範囲と比較する。そして、いずれかの硬貨隙間s間の距離が、厚さ基準範囲外である場合に、異常としての異金種硬貨の混入ありと判断する一方、すべての硬貨隙間s間の距離が厚さ基準範囲内にあれば、異金種硬貨の混入なしと判断する。異金種硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部72は、その旨のアラームを画像表示部82および音声出力部83により出力させる。
【0070】
また、過不足検出制御部72は、出力信号において、一の硬貨隙間sを検出してからこれに移動方向下流側で隣り合う次の硬貨隙間sを検出するまでの磁気センサ70の移動距離である硬貨隙間s間の距離のすべてについて、隣り合うもの同士で比較を行う。そして、隣り合うもの同士の差が、いずれかにおいて、指定金種データに対応する金種の予め定められた差分基準範囲外である場合に、異常としての異金種硬貨の混入ありと判断する一方、すべてについて、差分基準範囲内にあれば、異金種硬貨の混入なしと判断する。異金種硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部72は、その旨のアラームを画像表示部82および音声出力部83により出力させる。
【0071】
また、過不足検出制御部72は、硬貨c間の硬貨隙間sを検出する度に、一つの硬貨隙間sを検出している間の磁気センサ70の移動距離(図5に示すw)を、指定金種データに対応する金種の予め定められた硬貨隙間基準値と比較する。そして、いずれかの硬貨隙間sについて磁気センサ70の移動距離が硬貨隙間基準値より大きい場合には、異常としての変形硬貨(折れ硬貨)の混入ありを判断する一方、すべての硬貨隙間sについて磁気センサ70の移動距離が硬貨隙間基準値以下であれば、変形硬貨の混入なしを判断する。変形硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部72は、その旨のアラームを画像表示部82および音声出力部83により出力させる。つまり、図4に示すように、集積硬貨C中に、折れ硬貨c1が混入している場合、硬貨隙間sを検出している間の図5に示す移動距離wが大きくなるため、この移動距離wを検出することで変形硬貨を検出する。
【0072】
そして、過不足検出制御部72は、上記検出期間において計数された硬貨隙間sの数に1を加えた数を集積硬貨検出枚数とするとともに、この集積硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、集積硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定する。つまり、集積硬貨検出枚数が指定金種データに対応する金種の予め定められた包装基準枚数と一致すれば、集積硬貨Cの硬貨枚数に過不足がないと判定する一方、これら集積硬貨検出枚数と包装基準枚数とが一致しなければ、集積硬貨Cの硬貨枚数に過不足があると判定して、その旨のアラームを画像表示部82および音声出力部83により出力させる。
【0073】
そして、過不足検出制御部72は、変形硬貨および異金種硬貨のいずれも混入がなく、集積硬貨Cの硬貨枚数に過不足がない場合に、全体制御部80に集積硬貨Cが正常である旨の信号を出力する一方、変形硬貨および異金種硬貨のいずれかの混入があり、あるいは集積硬貨Cの硬貨枚数に過不足がある場合に、全体制御部80に集積硬貨Cが異常である旨の信号を出力する。全体制御部80は、集積硬貨Cが正常である旨の信号を受け付けると、ゲートソレノイド66でゲートをロールシュート側に切り換え、集積硬貨Cが異常である旨の信号を受け付けると、ゲートソレノイド66でゲートをリジェクトボックス側に切り換える。
【0074】
磁気センサ70が下端位置に移動するタイミングで、全体制御部80は、図2に示す包装紙供給モータ59を駆動して包装紙供給ローラ58により包装紙45を集積硬貨Cと包装ローラ群44との間に供給し、その後、図2に示す包装モータ50の駆動により包装ローラ群44を回転させることによって、包装紙45を集積硬貨Cの周面に巻回し、包装紙供給モータ59を停止させることにより、包装紙45をカッタ60で切断する。
【0075】
また、上記に引き続き行われるカムモータ51の駆動で、図示しない加締爪逃がしカムの作動により一対の加締爪64,65が集積硬貨Cの上下に挿入されるとともに、同じくカムモータ51で駆動される図示しない加締爪垂直動作カムの作動により一対の加締爪64,65を近接させる。これにより、一対の加締爪64,65が集積硬貨Cの周囲に巻回された包装紙45の集積硬貨Cから上下に突出する部分を内側に丸めるように加締める。続くカムモータ51の駆動で図示しない包装ローラ開閉カムの作動により包装ローラ群44が開状態となり、支持棒41が、同じくカムモータ51で駆動される図示しない支持アーム逃がしカムの作動により包装ローラ群44から離間する横方向に逃げることなる。これにより、正常な集積硬貨Cを包装した包装硬貨であればロールシュートに落下し、異常な集積硬貨Cを包装した包装硬貨であればリジェクトボックスに落下する。
【0076】
以上に述べた本実施形態の硬貨包装機10によれば、集積部23により積み重ね状態に集積された集積硬貨Cに対して、磁気センサ70が、その集積方向に移動して集積硬貨Cの周面に対向する検出面70aで磁気データを検出すると、過不足検出制御部72が磁気センサ70の出力信号に基づいて集積硬貨Cの異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する。このように、磁気センサ70の出力信号を用いるため、変形硬貨による影響を検出可能となり、よって、この変形硬貨による影響を排除可能となる。したがって、例え変形硬貨が混入していたとしても集積硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を適正に判定することができる。つまり、集積硬貨Cの長さで集積枚数の過不足を判定するものであると、硬貨枚数が不足していても変形硬貨が混入していることで集積硬貨Cの全長が長くなった場合に、硬貨枚数が適正であると判定してしまう可能性があるが、このような誤判定を防止することができる。また、集積硬貨Cの長さで集積枚数の過不足を判定するものであると、適正枚数が集積された集積硬貨の一部に流通には支障のない程度であるが集積硬貨の長さ寸法に影響を与える変形硬貨が混入した状態で包装されてしまったときに、過不足があると判定してこれを排除してしまう可能性があるが、このような誤判定も防止することができる。
【0077】
また、過不足検出制御部72は、磁気センサ70の出力信号から集積硬貨Cの硬貨c間の硬貨隙間sを検出し、この硬貨隙間sの数から集積硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、集積硬貨Cの全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、変形や摩耗の累積による影響をも受けにくく、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
【0078】
また、過不足検出制御部72は、磁気センサ70の出力信号値の変化量が、予め定められた開始基準値になると集積硬貨Cの検出開始を判断し、予め定められた終了基準値になると集積硬貨Cの検出終了を判断することになるため、検出開始から検出終了までの適正な検出期間における磁気センサ70の出力信号から集積硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
【0079】
また、過不足検出制御部72は、上記検出期間における磁気センサ70の出力信号値の変化量が予め定められた硬貨隙間検出基準値になると硬貨c間の硬貨隙間sがあると判断するため、硬貨c間の硬貨隙間sを適正に検出することができる。
【0080】
また、硬貨隙間検出基準値が、硬貨cの金種毎に予め定められて記憶されているため、金種毎に適正に、硬貨c間の硬貨隙間sを検出することができる。
【0081】
また、硬貨隙間検出基準値が、包装すべき金種の設定に合わせて選択されるため、選択された設定金種の硬貨c間の硬貨隙間sを適正に検出することができる。
【0082】
また、過不足検出制御部72が、硬貨隙間s間の距離つまり硬貨cの厚さが予め定められた厚さ基準値より小さいときに異常としての変形硬貨(つぶれ硬貨)の混入と判断するため、変形硬貨の混入を適正に検出することができる。
【0083】
また、過不足検出制御部72が、連続する3つの硬貨隙間sにおいて隣り合う硬貨隙間s間の2つの距離の少なくとも一方が予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間sと三番目の硬貨隙間sとの間の距離が予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間sのうちの中央の硬貨隙間sを硬貨c間の硬貨隙間sでないと判断するため、硬貨外周面についた傷などによる影響を排除可能となる。
【0084】
また、過不足検出制御部72は、硬貨c間の硬貨隙間sの数に1を加えた数を集積硬貨検出枚数とするとともに、この集積硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、集積硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、集積硬貨Cの全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
【0085】
また、過不足検出制御部72が、硬貨隙間s間の磁気センサ70の出力信号値から異常としての異金種の有無を判断することになるため、異金種の混入を検出することができる。
【0086】
また、過不足検出制御部72が、硬貨隙間s間の磁気センサ70の出力信号値が集積されるべき金種の基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
【0087】
また、過不足検出制御部72が、硬貨隙間s間の磁気センサ70の出力信号値の隣り合うもの同士の差が予め定められた基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
【0088】
また、過不足検出制御部72が、一つの硬貨隙間sを検出する間の磁気センサ70の移動距離情報から異常としての変形硬貨(折れ硬貨)の混入を判断するため、変形硬貨の混入を検出することができる。一つの硬貨隙間sを検出する間の磁気センサ70の移動距離が長ければ、集積硬貨Cの全長も長くなるため、枚数が適正で全長が基準全長より長ければ、変形硬貨の混入ありと判断するようにしても良い。
【0089】
また、過不足検出制御部72が、集積硬貨枚数の過不足、変形硬貨の混入および異金種硬貨の混入の少なくともいずれか一つからなる異常を検出したときに警告することになるため、異常が見逃されてしまうことを防止できる。
【0090】
なお、以上の実施形態においては、包装紙45を巻回する前の集積硬貨Cに対して磁気センサ70で検出を行うことにより集積枚数の過不足の有無等の判定を行う場合を例にとり説明したが、包装紙45を巻回後の包装硬貨に対して磁気センサ70で検出を行うことにより集積枚数の過不足の有無等の判定を行うようにしても良い。しかしながら、包装紙45がない状態での検出の方が磁気センサ70を集積硬貨Cの周面に近づけることができて検出精度が高まることから、包装紙45を巻回する前の集積硬貨Cに対して磁気センサ70で検出を行うのが好ましい。
【0091】
また、以上の実施形態においては、不動状態にある集積硬貨Cに対して磁気センサ70を移動させる場合を例にとり説明したが、磁気センサ70を位置固定とし、集積硬貨Cをその集積方向に移動させて磁気センサ70の出力信号を得るようにしても良い。
【符号の説明】
【0092】
10 硬貨包装機
16 硬貨搬送機構(硬貨搬送手段)
23 集積部(集積手段)
30 包装部(包装紙巻回加締手段)
45 包装紙
70 磁気センサ
70a 検出面
72 過不足検出制御部(制御手段)
73 過不足検出装置(過不足検出手段)
c 硬貨
C 集積硬貨
s 硬貨隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を一枚ずつ送り出す硬貨搬送手段と、
該硬貨搬送手段から送り出された硬貨を積み重ね状態に集積する集積手段と、
該集積手段で集積された集積硬貨の周面に包装紙を供給して巻き付けるとともに、該巻き付けた包装紙を加締めて包装硬貨を作製する包装紙巻回加締手段と、
前記集積硬貨の集積方向に移動可能に設けられるとともに検出面が前記集積硬貨の前記周面に対向するように配置された磁気センサ、および、該磁気センサの出力信号に基づいて前記集積硬貨の異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する制御手段を有する過不足検出手段と、
を備える硬貨包装機。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記磁気センサの出力信号から前記集積硬貨の硬貨間の硬貨隙間を検出し、該硬貨隙間の数から前記集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の硬貨包装機。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた開始基準値になると前記集積硬貨の検出開始を判断し、前記磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた終了基準値になると前記集積硬貨の検出終了を判断するとともに、前記検出開始から前記検出終了までの検出期間における前記磁気センサの出力信号に基づいて前記集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする請求項2に記載の硬貨包装機。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記検出期間における前記磁気センサの出力信号値の変化量が予め定められた硬貨隙間検出基準値になると前記硬貨隙間があると判断することを特徴とする請求項3に記載の硬貨包装機。
【請求項5】
前記硬貨隙間検出基準値は、
硬貨の金種毎に予め定められて記憶されていることを特徴とする請求項4に記載の硬貨包装機。
【請求項6】
前記硬貨隙間検出基準値は、
包装すべき金種の設定に合わせて選択されることを特徴とする請求項4または5に記載の硬貨包装機。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記硬貨隙間を前記磁気センサの移動距離情報と連携させて記憶し隣り合う前記硬貨隙間間の距離が予め定められた厚さ基準値より小さいときに異常としての変形硬貨の混入と判断することを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記硬貨隙間を前記磁気センサの移動距離情報と連携させて記憶し、連続する3つの前記硬貨隙間において隣り合う硬貨隙間間の2つの距離の少なくとも一方が予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間と三番目の硬貨隙間との間の距離が予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間のうちの中央の硬貨隙間を硬貨隙間でないと判断することを特徴とする請求項2ないし7のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記硬貨隙間の数に1を加えた数を集積硬貨検出枚数とするとともに該集積硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、前記集積硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする請求項2ないし8のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号から異常としての異金種の有無を判断することを特徴とする請求項2ないし9のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号が集積されるべき金種の基準範囲外であるときに異金種であると判断することを特徴とする請求項10に記載の硬貨包装機。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号の隣り合うもの同士の差が予め定められた基準範囲外であるときに異金種であると判断することを特徴とする請求項10または11に記載の硬貨包装機。
【請求項13】
前記制御手段は、
一つの前記硬貨隙間を検出する間の前記磁気センサの移動距離情報から異常としての変形硬貨の混入を判断することを特徴とする請求項2ないし12のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記異常を検出したときに警告することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の硬貨包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−255898(P2011−255898A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129227(P2010−129227)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(500267170)ローレル機械株式会社 (86)
【Fターム(参考)】