説明

硬質コーティング層と硬質コーティング製品及びその製造方法

【課題】砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、からなる糖または糖アルコール類について、これらを硬質コーティング層を形成させる際の主成分とし、補強剤として還元澱粉加水分解物を用いることにより、衝撃に対して割れにくく、保存中のひび割れが生じにくく、滑らかな仕上がりで表面に艶を持たせ、吸湿性の低い、硬質コーティング層と硬質コーティング製品及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPSと1,1−GPMの混合物、からなる糖または糖アルコール類に、特定の糖組成を有した還元澱粉加水分解物を使用することにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、以上の群から選ばれる何れか一種の糖または糖アルコール類を主成分とする硬質コーティング層、該硬質コーティング層により芯材が被覆された硬質コーティング製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング製品とは、主に食品や医薬品を含有する芯材の表面に被膜を形成させることで、芯材の吸湿や酸化、光分解などによる品質低下を軽減させ、芯材の苦味、臭い、刺激などを緩和する役割を果たすもので、代表的なものとして糖質の被膜を形成させるコーティング技術が良く知られている。そして、単に芯材をコーティングできるか否かという視点に留まらず、現代の多様な嗜好性に合わせて、数多くの材質について、コーティング分野への利用可能性が研究されている。
【0003】
それらの中でも砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物といった糖または糖アルコール類について、コーティングの主成分として使用したコーティング製品や製造方法が提案されている。
【0004】
砂糖を用いたコーティング技術として特許文献1には、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも1種を含有するシロップを用いて糖衣を施すことを特徴とする糖衣錠の製造法が紹介されている。さらに明細書中には、従来技術の説明として、糖衣層の強度を高めたり、裸錠と糖衣層間の結合力を強めるためにゼラチン、アラビアゴム等の結合剤を添加、使用することが記載されている。
【0005】
砂糖を用いた別のコーティング技術として特許文献2には、ショ糖水溶液中にプルラン及び/又は水溶性プルラン誘導体を含有する糖衣被覆液を用いて固型製剤に糖衣を施すことを特徴とする固形製剤の糖衣被覆方法が紹介されている。さらに明細書中には、従来技術の説明として、糖衣層の強度を高めたり、裸錠と糖衣層間の結合力を強めるためにゼラチン、アラビアゴム等の結合剤を添加、使用することが記載されている。
【0006】
トレハロースを用いたコーティング技術として特許文献3には、 糖衣部分が純度95重量%以上のトレハロースを含有し、表面が滑らかな結晶質であることを特徴とする糖衣固形物や、 固形物中のトレハロース純度が98重量%以上、濃度が45〜60重量%で、温度が30〜60℃であるトレハロースシロップを、温度20〜50℃の範囲に調節した芯剤と接触させることを特徴とする、糖衣部分が純度95重量%以上のトレハロースを含有し、表面が滑らかな結晶質である糖衣固形物の製造方法が紹介されている。
【0007】
ラクチトールを用いたコーティング技術として特許文献4には、芯材がラクチトール及び結晶セルロースを含む糖衣層で被覆された糖衣生成物や、ラクチトールを乾燥物質重量で40〜65重量%、及び結晶セルロースを0.5〜3重量%含有する糖衣シロップを糖衣パン内に載置した芯材に供給することを特徴とする糖衣生成物の製造方法が紹介され、さらに明細書中には、澱粉、ゼラチン、アラビアガム、プルラン、カラヤガム、キサンタンガム等の結合剤が、該糖衣シロップ中に添加してもよい物質として例示されている。
【0008】
パラチニットを用いたコーティング技術として特許文献5には、コアおよびコーティングを含んでなる被覆製品であって、前記コーティングが、57重量%:43重量%〜99重量%:1重量%の割合の1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)とからなる1,6−GPS濃厚混合物の少なくとも1つの層を含む被覆製品が開示され、さらに明細書中には、膜形成剤として、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその混合物について開示されている。
【0009】
上述の特許文献1〜5で紹介されているように、各種の糖または糖アルコール類による硬質コーティングを得る方法としては、主材の糖または糖アルコール類を高純度で用いることや、糖または糖アルコール類以外に、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、プルラン、水溶性プルラン、ゼラチン、アラビアゴム、澱粉、カラヤガム、キサンタンガム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、などの種々の添加剤を加える方法などが提案されている。
【0010】
しかしながら、上述の添加剤を使用する場合、硬質コーティング層の原料溶液(以下、コーティング溶液と称する)が高い粘性を帯びたり添加剤と水との溶解に時間が掛り、調製が困難であること、硬質コーティング層の形成時に芯材表面に対してコーティング溶液を塗布しても、コーティング溶液自体の粘性が高く芯材表面に対するコーティング溶液の伸びが悪いため、コーティング層にムラができ易いこと、上述の添加剤は粘着質なので芯材同士で固まり易いこと、等の理由によるコーティング形成時の操作性の問題点が指摘されている。また、コーティング操作によって得られた硬質コーティング製品についても、上述の製造工程上の問題点が原因の一つとして考えられるが、芯材に対して均一で艶のある滑らかな硬質コーティング層となり難いこと、形成された硬質コーティング層が経時的に褐変し易いこと、硬質コーティング層の衝撃耐性が低いこと、時間の経過と共に硬質コーティング層にひび割れが生じること、など硬質コーティング製品の物性そのものについても、改善されるべき点を多数有している。加えて、従来技術で紹介されている添加剤の多くが、味質において好ましいものとは云えないこと、高価であること、安定供給が難しいことも工業的規模での製造における懸念材料といえる。
【0011】
【特許文献1】特開昭49−108225号公報
【特許文献2】特開昭59−219220号公報
【特許文献3】特開平9−154493号公報
【特許文献4】特開平6−70688号公報
【特許文献5】特開2000−342185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、特定の糖または糖アルコール類を主成分とした硬質コーティング層及び硬質コーティング製品の形成にあたり、衝撃に対して割れにくく、保存中のひび割れが生じにくく、滑らかな仕上がりで表面に艶を持たせ、吸湿性の低い、硬質コーティング層と硬質コーティング層を有した硬質コーティング製品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、から選ばれる何れか一種を硬質コーティング層の主成分とし、補強剤として還元澱粉加水分解物(還元澱粉糖化物、還元水飴ともいう)を用いて、硬質コーティング層の形成の可能性、硬質コーティング製品とした時の品質や物性などについて鋭意検討を行った。その結果、上記例示の特定の糖または糖アルコール類について、特定の糖組成を有した還元澱粉加水分解物を組合せることによって、本発明の課題を解決することが可能となり、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明の硬質コーティング層の主成分となる糖または糖アルコール類の分子構造は、砂糖はグルコースの1位とフラクトースの2位が結合した物であり、ラクチトールはガラクトースとソルビトールがβ−1,4結合した物であり、トレハロースはグルコース2分子がα,α−1,1結合した物であり、1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物は、グルコースとソルビトールがα−1,6結合した物とグルコースとマンニトールがα−1,1結合した物との混合物である。これらの糖または糖アルコール類を形成する分子の構成や結合様式の違いからも明らかなように、いずれも重合度数が2の二糖類ではあるが、何れの物質についても、澱粉を加水分解して得られるマルトオリゴ糖類に属さない糖質群である。
【0015】
本発明に係る硬質コーティング層は、主成分である糖または糖アルコール類の結晶化によって得られるが、通常、不純物の増加は結晶化を妨げるものと考えられ、特に分子構造が類似した化合物が共存すると、結晶化においては不利に作用するものと考えられていた。また、本発明の主成分についても、不純物の共存下で結晶化が有利に働くとの知見は存在しない。
【0016】
一方、還元澱粉加水分解物も、結晶化を阻害したり保湿状態を維持する、いわゆるシャリ止めとしての使用が一般的に知られており、例えば、溶解度が低い物質や結晶の生じ易い物質と共存させて、意図的に結晶化を遅らせたり阻害させるなどの作用が期待できる物質であり、このような作用を持った還元澱粉加水分解物が、結晶化によって得られる硬質コーティング層の形成に有利に働くとは考えられていなかった。
【0017】
しかしながら、砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、から選ばれる何れか一種を主成分とする硬質コーティング層の形成において、結晶化の阻害剤として作用することが公知である還元澱粉加水分解物を使用することで、非常に好ましい作用がもたらされることは予想外であり、特に、澱粉の加水分解によって得られるマルトオリゴ糖類に属さない糖類やその水素化物である糖アルコール類に対して効果が発現することは、不純物の存在が結晶化に好ましくないと考えられていたこれまでの一般常識を覆すものであり、驚くべきことであった。
【0018】
すなわち、本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0019】
第一に、砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、から選ばれる何れか一種を主成分とし、補強剤として下記で示される還元澱粉加水分解物Hを固形物換算で0.1〜10.0重量%含有する硬質コーティング層である。
*還元澱粉加水分解物Hは固形物換算で以下の糖組成を有する。
重合度1の水素化糖類の含有率が15.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が10.0〜70.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が0.5〜10.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【0020】
第二に、還元澱粉加水分解物Hの含有量が固形物換算で0.5〜6.0重量%である、第一に記載の硬質コーティング層である。
【0021】
第三に、第一又は第二に記載された硬質コーティング層により芯材が被覆された、硬質コーティング製品である。
【0022】
第四に、硬質コーティング製品の製造に際し、砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、から選ばれる何れか一種を主成分とし、補強剤として下記で示される還元澱粉加水分解物Hを固形物換算で0.1〜10.0重量%含有するコーティング溶液を芯材に塗布する工程、次いで乾燥する工程を経て結晶質の被膜を形成させる、硬質コーティング製品の製造方法である。
*還元澱粉加水分解物Hは固形物換算で以下の糖組成を有する。
重合度1の水素化糖類の含有率が15.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が10.0〜70.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が0.5〜10.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【0023】
硬質コーティング製品とは、硬質コーティング層で芯材の表面や周囲が被覆された物を指し、この硬質コーティング層によって、衝撃や水分などに対する芯材への保護効果の付与や、優れた外観を持たせることが可能である。また、晶出物の固化によって構成される硬質コーティング層は、食べた時にカリカリまたはパリパリとしたクランチ性のある好ましい食感と共に噛み砕くことが可能となるなどの好ましい性質も有する。
【0024】
本発明において使用する還元澱粉加水分解物は、還元澱粉糖化物や還元水飴とも称され、当業者には、甘味料、糖類結晶の析出防止剤、食品のツヤ出し、粘度調整剤、甘味やコク味の付与などを目的として、主に飲食品、医薬品、化粧品の分野での利用が広く知られている。
【0025】
還元澱粉加水分解物とは、澱粉を加水分解し、重合度の異なる多数のオリゴ糖類を含有する澱粉加水分解物を経て、次いで水素化処理を行って得られる物質の総称である。澱粉の加水分解の手法としては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼなどの酵素処理法や、酸やアルカリによる加水分解、加熱による加水分解などが、澱粉を加水分解するための一般的な手法として例示でき、水素化の手法としては、触媒と水素ガスの共存下における水素添加反応や試薬による水素化などが一般的な手法として例示できるが、その他の公知の方法を採用しても良い。
【0026】
澱粉加水分解物の調製では、澱粉に対し上述のような方法で加水分解を行うが、その反応条件については目的とする糖組成に応じて経験的に求められており、所定の糖組成を有した澱粉加水分解物の調製が行われる。反応の進行と共に、巨大な分子は減少し、デキストリン、高重合度オリゴ糖、中重合度オリゴ糖、低重合度オリゴ糖を段階的に経て、使用する酵素の種類によっては特定の糖類や限界デキストリンを生じることもあるが、各重合度のオリゴ糖と最小分子であるグルコースが共存する澱粉加水分解物が調製される。
【0027】
本発明では、特定の糖または糖アルコール類による硬質コーティング層の形成に、特定の糖組成を有した還元澱粉加水分解物の有効性を検討し、その中でも重合度4〜19の中重合度のオリゴ糖分子の水素化物と、重合度20以上の高重合度のオリゴ糖分子の水素化物を一定のバランスで存在させ、かつグルコースの水素化物であるソルビトール分を一定量以下に抑え、残余が重合度2〜3の低重合度のオリゴ糖分子の水素化物で構成されるように調整された特定の糖組成を有する還元澱粉加水分解物が、本発明の糖または糖アルコール類を主成分とする硬質コーティング層の形成に極めて有利に作用する。
【0028】
上述のような糖組成のバランスを重視した還元澱粉加水分解物については、その原料である澱粉加水分解物が、澱粉の液化処理により澱粉分子内を任意に加水分解させ、その後、小分子へと分解される方向に不可逆的に進行する加水分解反応によって調製が行われるため、グルコース分の生成をゼロに抑えることは事実上不可能である。よって、特に重合度4〜19程度の中重合度オリゴ糖の水素化物と重合度20以上の高重合度オリゴ糖の水素化物を所定量含有させ、かつ本発明が達成可能なソルビトール分の範囲を特定する必要があった。
【0029】
以上の背景を踏まえ、本発明の実施を可能とする還元澱粉加水分解物Hは、下記糖組成(その1)によって定義される糖組成によって達成することができる。
*還元澱粉加水分解物Hの糖組成(その1)
重合度1の水素化糖類の含有率が15.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が10.0〜70.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が0.5〜10.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【0030】
また、本発明を好適に実施する上で、糖組成(その1)よりも好ましい還元澱粉加水分解物Hの糖組成は、下記糖組成(その2)によって定義される糖組成によって達成することができる。
*還元澱粉加水分解物Hの糖組成(その2)
重合度1の水素化糖類の含有率が10.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が15.0〜60.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が1.0〜9.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【0031】
また、本発明を好適に実施する上で、糖組成(その2)よりも好ましい還元澱粉加水分解物Hの糖組成は、下記糖組成(その3)によって定義される糖組成によって達成することができる。
*還元澱粉加水分解物Hの糖組成(その3)
重合度1の水素化糖類の含有率が8.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が20.0〜55.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が1.5〜8.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【0032】
また、本発明を好適に実施する上で、糖組成(その3)よりも好ましい還元澱粉加水分解物Hの糖組成は、下記糖組成(その4)によって定義される糖組成によって達成することができる。
*還元澱粉加水分解物Hの糖組成(その4)
重合度1の水素化糖類の含有率が7.5重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が25.0〜45.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が2.0〜4.5重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【0033】
また、本発明を好適に実施する上で、糖組成(その4)よりも好ましい還元澱粉加水分解物Hの糖組成は、下記糖組成(その5)によって定義される糖組成によって達成することができる。
*還元澱粉加水分解物Hの糖組成(その5)
重合度1の水素化糖類の含有率が7.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が30.0〜40.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が3.0〜4.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【0034】
本発明に係る糖または糖アルコール類を主成分とした硬質コーティング製品の調製に際し、上記糖組成の還元澱粉加水分解物中に存在する、各重合度の水素化された糖類の硬質コーティング層内での働きや、発現している作用など、硬質コーティング層における補強剤としての詳細なメカニズムは解明されていないが、重合度が4〜19である中重合度のオリゴ糖の水素化物が、コーティング層を形成する糖または糖アルコール類の結晶間の結着性を高める性質に寄与していること、また既存の補強剤と比べて粘度が低いことから、コーティング層を形成するために芯材表面にコーティング溶液を塗布した際、芯材に対する伸び良く、満遍なく芯材表面を覆うことができること、更に乾燥及び固化により、滑らかで艶を帯びた美しいコーティング層に仕上げられることなどが考えられる。
【0035】
一方、重合度が20以上である高重合度のオリゴ糖水素化糖類も、適切な量を存在させることにより、結晶化速度を調節して均一なコーティング層の形成に寄与しているものと考えられ、好ましいコーティング層の形成に効果的である反面、あまり多量に存在するとコーティング溶液の粘度が高くなり易く、コーティング溶液を芯材に塗布しても伸びが十分でなく、芯材表面を満遍なく覆われず局所的に偏在する可能性が高くなり、結果として、得られるコーティング層の艶や割れ難さ、保存中のひび割れの生じ難さの点で劣ってしまう。このため、必ずしも多量に存在していることが好ましいとは言えず、上述のように、重合度4〜19の中重合度のオリゴ糖の水素化物の含有量に応じ、少量含まれていることが、好ましい硬質コーティング層を形成する上で有利である。
【0036】
還元澱粉加水分解物は、澱粉の加水分解反応により調製されるという性質上、重合度数が1の糖類の混入を避けることは困難である。重合度数が1の糖類として最も多量に生成する成分がグルコースであり、還元澱粉加水分解物としたときにはソルビトールとして存在する。本発明では、このソルビトール分が大量に存在するようになると還元澱粉加水分解物の粘度が大幅に低下するため、コーティング溶液を調製しコーティング操作を行っても、コーティング溶液が芯材表面に十分に乗らずに周囲に拡散し易くなってしまう。また、多量のソルビトール分が存在すると、硬質コーティング層の主成分である糖または糖アルコール類の結晶化を阻害し、コーティング層が均一に成長し難い、コーティング製品とした後も吸湿し易いなどの現象も生じ易くなることから、硬質コーティングに求められる本来の目的を十分に果たせない恐れもある。以上のことから、還元澱粉加水分解物中に含まれるソルビトール分は極力抑えるべきで、本発明者が確認した結果、本発明の実施を好適に可能とする上限範囲は、ソルビトール分が固形物換算で15.0重量%以下である。
【0037】
還元澱粉加水分解物の糖組成として、重合度4〜19の水素化糖類及び重合度20以上の水素化糖類の何れか一方もしくは両方が本発明で定義する範囲を外れた場合、硬質コーティング層の主成分である糖または糖アルコール類の結晶間の結着性が低下する、硬質コーティング層を形成する際、主成分である糖または糖アルコール類の結晶析出が遅れたり結晶そのものの発生が抑制される、コーティング層の衝撃耐性が低下し割れ易くなる、保存中における硬質コーティング層のひび割れが生じ易くなる、コーティング層の表面が滑らかで艶のある仕上がりになり難いなどの問題が生じる要因となり、本発明の効果が十分に得られないことがある。
【0038】
上述の糖組成を満足するような還元澱粉加水分解物の調製方法としては、目安として、澱粉からの分解率の指標であるデキストロース当量(以下DE(Dextrose Equivalent))で表した場合に、DE値が30〜50程度にまで加水分解処理した澱粉加水分解物を調製し、それを水素化処理して得られる還元澱粉加水分解物が、本発明で使用し得る還元澱粉加水分解物の糖組成に近い値となるので、必要に応じて、そこからクロマト分画や膜分離などの公知の方法により、糖組成を調整すればよい。なおDEの測定方法として、Lane Eynon法が好適な方法として例示できる。
【0039】
本発明で使用する還元澱粉加水分解物は、本発明の実施が可能となる糖組成を有しているものであれば、市販の還元澱粉加水分解物をそのまま用いることが可能であるが、本発明の実施が可能となる糖組成を有するよう、異なる糖組成を有した2種類以上の還元澱粉加水分解物や糖アルコール類を混合して調製することも可能である。複数の還元澱粉加水分解物を混合する際、それぞれの原料や調製方法などが相違しても特に問題はない。
【0040】
本発明で使用することが出来る還元澱粉加水分解物は、本発明の実施が可能となるよう糖組成が調製されたものであれば特段の制限は無く、澱粉を原料として、酸、アルカリ、加熱、酵素など各種公知の方法により液化及び/又は糖化された澱粉加水分解物を、各種公知の方法により水素化することで得られたものであれば使用可能である。また、還元澱粉加水分解物の原料となる澱粉の種類に特段の制限はなく、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、米、小麦、大麦、ライ麦、タピオカ、サゴ等の各種澱粉類を原料として利用することができる。
【0041】
本発明に係る硬質コーティング層中での還元澱粉加水分解物の含有量は固形物換算で0.1〜10.0重量%であり、好ましくは0.5〜6.0重量%、より好ましくは0.7〜5.5重量%、更にいっそう好ましくは1.0〜5.0重量%、最も好ましくは2.0〜3.5重量%である。これらの好ましい数値範囲は、何れの糖または糖アルコール類が硬質コーティング層の主成分であっても適用される。これらの範囲を外れて添加量が少量であると、本発明に係る効果が十分に発現しない。また、これらの範囲を外れて添加量を増加させた場合、コーティング溶液から糖または糖アルコール類が晶出せず、コーティング層が形成されないか若しくは形成が困難となり、コーティング層が形成されたとしても、得られたコーティング製品は本発明に係る効果が少ないか、若しくはほとんど得られない。なお、上述の硬質コーティング層中での還元澱粉加水分解物の含有量に関する数値範囲は、本発明に係る硬質コーティング製品の製造にあたり調製されるコーティング溶液中に含まれる、固形物換算した還元澱粉加水分解物の含有量と読み替えることができる。即ち、コーティング溶液中に含まれる還元澱粉加水分解物の含有量は固形物換算で0.1〜10.0重量%であり、好ましくは0.5〜6.0重量%、より好ましくは0.7〜5.5重量%、更にいっそう好ましくは1.0〜5.0重量%、最も好ましくは2.0〜3.5重量%である。
【0042】
本発明で、硬質コーティング層の主成分である砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物は、食品用途や医薬品用途などの分野に市販されている品質で十分であり、原料、製法、由来は特に問われない。なお、1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物については、三井製糖株式会社から販売されているパラチニット(登録商標名)が好適に採用できるが、混合物中の1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の配合比率は、市販品で採用されている比率以外の任意の比率で採用できる。
【0043】
本発明に係る硬質コーティング製品に適用可能な芯材については、コーティング層の形成を著しく妨げるような物質でない限り制限は無く、コーティングの芯材としての使用が公知である素材であれば、本発明においても適用することが可能である。具体的な芯材として、例えば、ガム、キャンデー、トローチ、タブレット、グミ、チョコレート、ゼリー、パン、ケーキ、プレッツェル、クラッカー、タフィー、団子、揚げ菓子、スナック菓子、ポテトチップ、甘納豆、ポップコーンなどの各種菓子類、各種果実類や各種野菜類や各種豆類とそれらの乾物類、その他にも、医薬品類などを芯材として利用することが可能であり、その形状も特に問われない。
【0044】
本発明の実施に当たり、本発明に係る糖または糖アルコール類と還元澱粉加水分解物の他に、必要に応じてさらに、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、プルラン、水溶性プルラン、ゼラチン、アラビアガム、澱粉、カラヤガム、キサンタンガム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酸化澱粉、酸処理澱粉などの従来のコーティング補強剤の1種又は2種以上の混合物を添加しても良い。また、これらのコーティング補強剤の中でも特に好ましいものとして、アラビアガム、酸化澱粉、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、以上の群から選ばれるいずれか1種又は2種以上を混合したものが例示できる。
【0045】
本発明の実施に当たり、本発明に係る糖または糖アルコール類と還元澱粉加水分解物の他に、コーティング層の増量剤として実質的にコーティング層を形成可能で、水に難・不溶性の性質を示す、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、卵殻カルシウム、貝殻カルシウムなどの基剤の1種又は2種以上の混合物を添加しても良い。また、これらのコーティング層の増量剤の中でも特に好ましいものとして、炭酸カルシウム、タルクの何れか1種もしくはこれらを組合せたものが例示できる。
【0046】
上述のコーティング補強剤や増量剤は、本発明の実施を妨げない範囲であれば、それぞれの群から選ばれる物質について任意に1種又は2種以上組み合わせて使用しても良い。これらのコーティング層補強剤及び/又は懸濁基剤は、予めコーティング溶液中に必要量を添加しておけばよく、後は通常のコーティング操作を実施することにより、本発明を好適に実施することが可能である。
【0047】
本発明の実施を妨げない範囲であれば、コーティング層の味質や外観改善の目的で、グリシン、アラニン、ロイシン、チロシンなどの各種アミノ酸やその塩、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸などの各種有機酸やその塩、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなどの高甘味度甘味料、艶出し剤、着色料、着香料、界面活性剤などを添加しても良い。
【0048】
本発明でいうコーティング溶液とは、硬質コーティング層を形成するために必要な原料が含まれた水溶液状物を指し、当業者には糖衣液と称されることもある。
【0049】
本発明における芯材へのコーティング溶液の塗布とは、コーティング溶液が芯材表面に接触するよう行われる方法であれば、本発明の実施を妨げない限りその方法に特に制限はなく、塗布、噴霧、散布、液掛、などの技術用語で表される何れの方法も包含する。
【0050】
本発明に係る硬質コーティング層を有した硬質コーティング製品の製造方法としては、公知のコーティング形成に用いられる装置をそのまま使用することが可能であり、その手段や装置の種類に特段の制限は無い。一例として、断続的若しくは連続的に回転可能なコーティングパン内にコーティングされる芯材を入れ、必要に応じて回転を加えるかそのままの状態で芯材に対してコーティング溶液を塗布し、次いでコーティングパンを回転させて芯材表面にコーティング溶液を満遍なく行き渡らせると同時に、必要に応じて送風するなどして塗布したコーティング溶液の乾燥を促し、塗布されたコーティング溶液の乾燥により固化物が晶出する。以後、芯材に所望の厚さのコーティング層が形成されるまで、コーティング溶液の塗布と乾燥を繰返し実施すれば良い。
【0051】
コーティング溶液の固形分濃度は、芯材へのコーティング溶液の塗布と乾燥の繰り返しにより、所望する品質の硬質コーティング層が得られる条件であれば、特に制限は無いが、具体例を示すと、所望する品質の硬質コーティング層を得るために必要成分が含まれた状態のコーティング溶液について、固形分濃度50〜80重量%程度が好適に実施できる範囲として例示できる。なお個別の各糖または糖アルコール類について更に好ましい条件を例示すれば、砂糖を硬質コーティング層の主成分とする場合は、コーティング溶液の固形分濃度は65〜75重量%であり、ラクチトールを硬質コーティング層の主成分とする場合は、コーティング溶液の固形分濃度は68〜72重量%であり、1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物を硬質コーティング層の主成分とする場合は、コーティング溶液の固形分濃度は55〜60重量%であり、トレハロースを硬質コーティング層の主成分とする場合は、コーティング溶液の固形分濃度は55〜60重量%である。これらの範囲を外れて固形分濃度が80重量%を超えると、コーティング溶液の粘度上昇、芯材表面への伸びの悪化、不均一なコーティング層が形成される、などの問題が生じ易くなる。また、これらの範囲を外れて固形分濃度が50重量%未満であると、芯材への水分移行が進み易くなり芯材への悪影響が懸念されることや、芯材表面に塗布されたコーティング溶液の乾燥・固化がなかなか進まないこと、などの問題が生じ易くなる。
【0052】
芯材に硬質コーティング層を形成させる過程での任意の時期に、硬質コーティング層の主成分である糖または糖アルコール類の粉末物を塗布することで、コーティング溶液の乾燥固化をさらに促すことが可能であり、添加する量によっては、コーティング層の食感に特徴を与えることも可能である。
【0053】
本発明に係る硬質コーティング製品を構成する硬質コーティング層は、コーティング溶液中の固形成分によって形成されるものである。よって、本発明に係る硬質コーティング製品や硬質コーティング層の固形成分の同定では、硬質コーティング層そのものを分析しても良いが、コーティング溶液中の成分組成を固形物質に換算したときの含有率でそのまま表せば良い。
【0054】
本発明に係る硬質コーティング製品は、衝撃による耐性が高く割れ難くく、保存期間中にコーティング層にひび割れが生じ難くく、表面が滑らかで艶のある仕上がりとなり、吸湿性も低いなどの特徴を有するものであるが、これらの効果を好適に発現させ、芯材に対する被膜効果や保護効果を有意に発現させる上で、芯材に対して一定量以上の硬質コーティング層が形成された硬質コーティング製品とすることが望ましい。
【0055】
本発明では、硬質コーティング層の形成割合の目安として、芯材に対して形成された硬質コーティング層の重量を、芯材の重量で除して、芯材重量に対する硬質コーティング層の比率を求める方法(以下、コーティング層被覆率と称す)を採用している。本発明に係る硬質コーティング製品をこのコーティング層被覆率で示すと、30%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上であれば、コーティングによる各種の保護機能が有意に発現する。コーティング層被覆率という用語は、当業者間では糖衣率と呼ばれることもあり、コーティング層の厚さや被覆の程度を示す指標として使用されている。硬質コーティング層の重量の測定方法としては、形成された硬質コーティング層の部分の重量を直接測定してもよいが、硬質コーティング製品の重量からコーティング前の芯材重量を引いて、硬質コーティング層の重量を求めても良い。
【0056】
本発明における水素化糖類の各重合度別の含有量は、以下の表1に示す高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた糖組成分析により算出された値を用いた。
【0057】
【表1】

【0058】
上述の通りHPLCカラムにはMCI−GEL(Grand CK02AS MI、三菱化学株式会社製)カラムを用い、カラムから溶出する分離物の定量には示差屈折率を利用した検出器(RI Detector L−7490、日立製作所製)を用い、その結果をクロマトデータ処理装置(Integrator D−7500、日立製作所製)にて出力して、得られたクロマトチャートの合計ピーク面積から、各ピーク面積の面積百分率を計算する方法により値を求め、その値を各ピーク位置に対応する糖重合度についての含有率として、重量%で表した。この値は、固形物換算した場合の含有率としてそのまま用いられる。なお、感度が不十分である場合には、測定サンプルの注入量や固形分濃度を高めて分析しても良い。
【0059】
MCI−GELカラムによるクロマトチャートでは、水素化糖類の重合度の数に応じて溶出するピーク位置が異なるため、どの重合度の水素化糖類が溶出したのかが容易に同定することが可能である。即ち、MCI−GELカラムの場合、重合度の大きい糖類から順番にカラムから溶出し、一般的には最後に溶出する成分が重合度1の水素化糖類といえる。正確を期する場合には、ソルビトールやマルチトールの標準試薬をサンプルとして注入し、同じクロマト分離条件において、試料注入から溶出ピークが得られるまでの時間を記録し、当該溶出時間と合致するピークを、重合度1あるいは重合度2の水素化糖類であると同定することも可能である。
【0060】
本発明では、得られたクロマトチャートを元に、通常最後に溶出したピークを重合度1、最後から2番目に溶出したピークを重合度2、最後から3番目に溶出したピークを重合度3のように同定し、以後溶出した最終ピークから逆に、重合度が1づつ増加していく。よって、本発明において重合度4〜19(DP=4〜19)の水素化糖類の含有量は、クロマトチャートの最後のピークから数えて4番目〜19番目までのピークによって与えられたピーク面積の合計値を元に、クロマトチャート全体のピーク面積に対する面積百分率によって求められた値を採用している。また、本発明において重合度20以上(DP≧20)の水素化糖類の含有量とは、クロマトチャートの最後のピークから数えて20番目以降に表示された部分のピーク面積の合計値を元に、クロマトチャート全体のピーク面積に対する面積百分率によって求められた値を採用している。なお、明らかに糖類に由来しないと思われるピークについては、正確を期するため、そのピーク面積については除外して計算すべきである。
【0061】
本発明に係る硬質コーティング製品に関連する諸物性の評価は、以下に示す方法で調製した硬質コーティング製品をモデル製品とする。モデル製品の調製では、芯材として、乳糖模擬錠(Lot:03D14-Z1-12、平均直径:10mm、平均重量:360mg/錠、サンケーヘルス株式会社製)を用い、硬質コーティング製品の平均重量が540mg/錠となるまでコーティング作業を行い、コーティング層被覆率の平均値が50.0%である硬質コーティング製品を調製し、これを各種実験の検体とした。
【0062】
本発明に係る硬質コーティング製品は、衝撃による耐性が高く、割れ難いという特徴を有している。本発明では、この割れ難さを評価する手法として、硬質コーティング製品を30cmの高さから平滑な大理石板上に自由落下させ、硬質コーティング層の表面に割れが生じるまでに要する落下回数を測定する耐衝撃性試験を、各調製例で調製されたコーティング製品について20検体づつ実施し、その平均値を求めることで、硬質コーティング層の衝撃による耐性の程度を評価する方法が採用される。
【0063】
生産現場では、硬質コーティング製品としたものを所定の容器に充填する際、硬質コーティング製品同士の接触や、容器や充填装置の壁面への接触などの衝撃による、コーティング層のひび割れ、破損、剥離などは最も避けなければならない。そのような観点から、この耐衝撃性試験において20検体の平均値が1.0回以上2.0回未満のコーティング製品は、1回の衝撃でコーティング層のひび割れ、破損、剥離などが生じる製品が存在することを意味するものであり、実際の生産現場での製造に耐え得る品質とはいえず好ましくない。また、20検体の平均値が2.0回以上3.0回未満のコーティング製品では、1回の衝撃には耐え得るが、その後、流通過程で発生する衝撃の影響を考慮すると、必ずしも満足できる水準とはいえない。生産現場での製造、充填、流通、などの各過程を考慮した場合、耐衝撃性試験において20検体の平均値が3.0回以上であることが、実用に耐え得る硬質コーティング製剤として評価される水準といえる。この試験法によると、本発明に係る硬質コーティング製品は、耐衝撃性試験において3.0回以上、好ましくは4.0回以上、特に好ましくは5.0回以上の結果を有するものであり、従来品と比較してその回数が明らかに改善され、実用に耐え得る品質を有することが示された。
【0064】
本発明に係る硬質コーティング製品は、乾燥条件下に保存しても、コーティング層表面にひび割れが生じ難いという特徴を有している。本発明では、コーティング層表面のひび割れの生じ難さを評価する手法として、各調製例で調製された10検体の硬質コーティング製品を用意し、それをシリカゲルを入れたデシケータ内(相対湿度9%)に20℃で3ヶ月保管し、保存期間内にコーティング層表面にひび割れが生じたものをカウントする保存試験を行い、生じたひび割れの数を、測定に用いた検体総数で除した値を、ひび割れ率として求めて評価する方法が採用される。この試験法によると、本発明に係る硬質コーティング製品は、保存試験において30%以下、好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは0%という結果を有するものであり、従来品と比較してその回数が明らかに改善された。
【0065】
本発明に係る硬質コーティング製品は、コーティング層の表面が滑らかで良好な艶を有したコーティング製品とすることができる。本発明では、各調製例で調製されたコーティング製品のコーティング層表面の外観について、訓練されたパネリスト10名の目視による外観評価で、2点:[表面が滑らかで優れた艶を有する]、1点:[艶を有する]、0点:[艶がない]の三段階で評価し、合計点数が20〜16点:◎、15〜10点:○、9〜5点:△、4点以下:×で示される結果は、還元澱粉加水分解物を添加しない場合よりも好ましい評価となった。
【0066】
本発明に係る硬質コーティング製品は、硬質コーティング層部分の吸湿性が少ない製品とすることできる。本発明では、コーティング製品としたときのコーティング層の吸湿性について、各調製例で調製された硬質コーティング製品を任意に3検体取出し、それらを、蓋を外した秤量瓶中に入れ、次いで、底部に塩化ナトリウムの飽和溶液が入れられ、相対湿度が75%に調整されたデシケータ内に秤量瓶を設置し、デシケータの蓋をして、デシケータごと40℃に調整された恒温機(装置名:温(湿)度試験器 HIFLEX FX210P、エタックエンジニアリング株式会社製)内に設置し、そのまま3ヶ月保管した。保管後、3検体の硬質コーティング製品の重量変化の平均値を求め、増加重量が0.5%未満:◎、0.5%以上〜1.5%未満:○、1.5%以上〜3%未満:△、3%以上:×で表した。測定の結果、本発明品は何れも吸湿性が低く、優れた硬質コーティング製品であった。
【発明の効果】
【0067】
本発明に係る硬質コーティング製品は、硬質コーティング層が割れ難くく、保存中における硬質コーティング層表面のひび割れが生じ難くく、コーティング層表面が滑らかで良好な艶を有し、吸湿性が低いなどの効果を有するものであった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下に、本発明に係る硬質コーティング製品及びその製造方法の詳細について、実施例を交えて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に限定されるものではない。
【0069】
各調製例で例示する糖組成は、HPLCによって得られるクロマトチャートのピーク面積を基に、計算によって求められたものであり、分析に使用した装置、分析条件、糖組成の同定方法は、本明細書の行番号0056〜0060に記載された通りである。
【0070】
各調製例で使用される硬質コーティング層の主成分である糖または糖アルコール類は、以下に記載のものを使用した。砂糖は、大日本明治製糖株式会社製の砂糖製品(商品名:グラニュー糖)を使用した。ラクチトールは、東和化成工業株式会社製のラクチトール一水和物結晶製品(商品名:ミルヘン、含水率5重量%)を使用した。1,6−GPS(6−O−α−アミラーゼ−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物は、新三井製糖株式会社製の製品(商品名:パラチニットPNP(登録商標)、含水率5重量%)を使用した。トレハロースは、株式会社林原商事製のトレハロース二水和物結晶製品(商品名:トレハ(登録商標)、含水率9.5重量%)を使用した。
【0071】
各調製例で使用される還元澱粉加水分解物は、トウモロコシ澱粉を原料とし、液化及び糖化処理により異なる糖組成を有する4種類の澱粉加水分解物を調製し、得られた澱粉加水分解物は、スポンジニッケル触媒の存在下で接触水素化反応を行い、活性炭処理及びイオン交換樹脂による精製処理及び脱塩処理を行い、濃縮により固形分含有量を70重量%となるように調整し、表2に示す糖組成を有する還元澱粉加水分解物A、B、C、Dを調製した。糖組成は固形成分の換算重量%で表され、還元澱粉加水分解物の固形分含有量は何れも70重量%である。なお、本発明で規定する糖組成から外れる還元澱粉加水分解物として、東和化成工業株式会社から販売されている、重合度20以上の水素化糖類の含有量が高いPO−20(商品名)と、重合度1の水素化糖類の含有量が高く、重合度4〜19の水素化糖類の含有量が低いアマミール(商品名、登録商標)を使用した。
【0072】
【表2】

【0073】
各調製例で使用されるその他の成分として、以下に記載のものを使用した。アラビアガムは、関東化学株式会社製の試薬特級品(含水率:10重量%)を使用した。ゼラチンは、ニッピゼラチン工業株式会社製の製品(商品名:ゼラチンE1)を使用した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、信越化学株式会社製の製品(商品名:SB−4)を使用した。プルランは、株式会社林原商事製の製品(商品名:プルラン)を使用した。炭酸カルシウムは、和光純薬工業株式会社製の試薬特級品を使用した。タルクは、和光純薬工業株式会社製の試薬一級品を使用した。
【0074】
酸化澱粉は、タピオカ澱粉1.0kgに水2.0kgを加えて懸濁させた後、3.0%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH11.0に調整し、有効塩素を13.0%含む次亜塩素酸ナトリウム溶液150mlを加えて1時間酸化処理を行った。その後、塩酸にて中和後、水洗・脱水・乾燥を行い、含水率が10.0重量%の酸化タピオカ澱粉を調製し、これを酸化澱粉として使用した。
【実施例】
【0075】
(調製例1〜7)
砂糖と固形分含有量70重量%の還元澱粉加水分解物A〜Dを、表3で示した調製例1〜7に示す配合割合に従い、液温50℃のコーティング溶液を調製した。なお、配合割合とは、含水物の水分重量を含めた状態での配合割合であり、調製例1で示されるコーティング溶液の場合、砂糖:65.0重量部、固形分含有量70重量%の還元澱粉加水分解物:1.0重量部、水:35.0重量部の割合で配合されたことを示す。以下の調製例も同様である。次に、乳糖模擬錠(Lot:03D14-Z1-12、平均直径:10mm、平均重量:360mg/錠、サンケーヘルス株式会社製)を芯材として用い、用意した乳糖模擬錠300g分を小型糖衣機(装置名:16DS、菊水製作所製)に入れ、連続的に25rpmで回転している小型糖衣機内の芯材に対し、調製したコーティング溶液を一度に4.0g塗布し、小型糖衣機内の芯材に空気流を断続的に送って芯材表面を乾燥させ、これを繰返し実施して、平均重量540mg/錠の硬質コーティング製品が得られるまでコーティング操作を行った。調製例1で示されたコーティング溶液で調製されたコーティング製品を調製品1と称する。以下、各調製品の番号は、各々の調製例の番号に一致した番号を付与して呼称する。表3に示された調製例1〜7のコーティング溶液を用いて、本発明に係る硬質コーティング製品(調製品1〜7)を得た。
【0076】
【表3】

【0077】
(調製例8〜17)
表4中の調製例8〜17に示す配合割合に従い、砂糖と還元澱粉加水分解物の他に、アラビアガム、酸化澱粉、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、炭酸カルシウム、タルクなどの成分を配合したコーティング溶液を調製した。後は上記記載の調製例1と同一の方法でコーティング操作を行い、本発明に係る平均重量540mg/錠の硬質コーティング製品(調製品8〜17)を得た。
【0078】
【表4】

【0079】
(調製例18〜21)
表5中の調製例18〜21に示す配合割合に従い、液温50℃のコーティング溶液を調製した。調製例18は還元澱粉加水分解物を添加していないコーティング溶液である。調製例19は還元澱粉加水分解物Aを多量に添加したコーティング溶液である。調製例20は、重合度1の水素化糖類の含有量が高く、重合度4〜19の水素化糖類の含有量の低い還元澱粉加水分解物であるアマミール(商品名)を用いたコーティング溶液である。調製例21は、重合度20以上の水素化糖類の含有量が高い還元澱粉加水分解物であるPO−20(商品名)を用いたコーティング溶液である。アマミールとPO−20は、還元澱粉加水分解物Aと同様、固形分含有量70重量%のものを使用した。これらのコーティング溶液を用いて、上記記載の調製例1と同一の方法でコーティング操作を行い、本発明の比較品となる平均重量540mg/錠のコーティング製品(調製品18、20、21)を得た。なお、調製例19については芯材にコーティングが形成されなかったため、コーティング製品(調製品19)を得ることができなかった。
【0080】
【表5】

【0081】
(調製例22〜24)
表6中の調製例22〜24に示す配合割合に従い、ラクチトールを硬質コーティング層の主成分とする、液温50℃のコーティング溶液を調製した。後は上記記載の調製例1と同一の方法でコーティング操作を行い、平均重量540mg/錠の、本発明に係る硬質コーティング製品(調製品22,23)と、本発明の比較品となるコーティング製品(調製品24)を得た。
【0082】
【表6】

【0083】
(調製例25〜27)
表7中の調製例25〜27に示す配合割合に従い、1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物であるパラチニットPNP(登録商標名)を硬質コーティング層の主成分とする、液温50℃のコーティング溶液を調製した。後は上記記載の調製例1と同一の方法でコーティング操作を行い、平均重量540mg/錠の、本発明に係る硬質コーティング製品(調製品25,26)と、本発明の比較品となる硬質コーティング製品(調製品27)を得た。
【0084】
【表7】

【0085】
(調製例28〜30)
表8中の調製例28〜30に示す配合割合に従い、トレハロースを硬質コーティング層の主成分とする、液温50℃のコーティング溶液を調製した。後は上記記載の調製例1と同一の方法でコーティング操作を行い、平均重量540mg/錠の、本発明に係る硬質コーティング製品(調製品28,29)と、本発明の比較品となる硬質コーティング製品(調製品30)を得た。
【0086】
【表8】

【0087】
上記調製例に記載した方法によって調製された各調製品1〜30について、衝撃による硬質コーティング層の割れ難さ、乾燥条件下での保存による硬質コーティング層表面のひび割れの生じ難さ、硬質コーティング層の艶、吸湿性、以上の項目について評価した。なお、硬質コーティング製品の各評価では、それぞれの硬質コーティング製品を製造した後、ジッパー付のアルミ製保存袋(商品名:ラミジップAL16、株式会社生産日本社製)に入れて、室温で2週間静置させたものを評価サンプルとして用いた。
【0088】
(比較試験1)衝撃による硬質コーティング層の割れ難さ
各調製例で得られた各調製品を任意に20検体取出し、30cmの高さから大理石上に自由落下させ、硬質コーティング層の表面に割れが生じるまでに要する落下回数を測定する耐衝撃性試験を実施し、硬質コーティング層が割れるまでに要する落下回数の平均値を求めた。本発明品は比較品よりも糖衣層の割れ難さが改善されていた。
【0089】
(比較試験2)乾燥条件下での保存による硬質コーティング層のひび割れ率
本比較試験では、各調製例で得られた硬質コーティング製品を任意に10検体取出し、シリカゲルを入れたデシケータ内(相対湿度9%)に、20℃で3ヶ月保管し、表面のコーティング層の状態を観察した。実験に使用したサンプルの中で硬質コーティング層表面にひびが生じたものをカウントし、以下の計算式Aによりひび割れ率を求めた。本発明品は3ヶ月保管しても全くひび割れが生じず、保存性に優れた硬質コーティング製品であることが確認された。
計算式A:ひび割れ率(%)=(ひび割れが生じた検体数)÷(測定検体数)×100
【0090】
(比較試験3)硬質コーティング製品表面の艶
各調製品のコーティング層表面の艶について、訓練されたパネリスト10名の目視による外観評価で、2点:[高い光沢と艶を有する]、1点:[艶を有する]、0点:[艶がない]の三段階で評価し、合計点数が20〜16点:◎、15〜10点:○、9〜5点:△、4点以下:×とした。結果は、本発明に係る硬質コーティング製品は、比較品よりも好ましい評価となった。
【0091】
(比較試験4)硬質コーティング製品の吸湿性
本比較試験では、各調製例で得られた硬質コーティング製品を任意に3検体取出し、それらを、蓋を外した秤量瓶中に入れた。次いで、底部に塩化ナトリウムの飽和溶液が入れられ、相対湿度が75%に調整されたデシケータ内に秤量瓶を設置し、デシケータの蓋をして、デシケータごと40℃に調整された恒温機(装置名:温(湿)度試験器 HIFLEX FX210P、エタックエンジニアリング株式会社製)内に設置し、そのまま3ヶ月保管した。保管後、3検体の硬質コーティング製品の重量変化の平均値を求め、増加重量が1%未満:◎、1%以上〜2%未満:○、2%以上〜3%未満:△、3%以上:×で表した。本発明品は殆ど吸湿性が見られず、優れた非吸湿性を有することが確認された。
【0092】
比較試験1〜4の結果を表9〜表14に示した。砂糖を主成分とする調製品については、調製品1〜7を表9に、調製品8〜17を表10に、調製品18〜21を表11にそれぞれの結果を示した。本発明に係る硬質コーティング製品は、各比較試験において優れた結果を示した。
【0093】
ラクチトールを主成分とする調製品22〜24については、表12にそれぞれの結果を示した。本発明の実施品に該当する硬質コーティング製品は、還元澱粉加水分解物を含有していない比較品と比べて、各比較試験での評価が改善し、好ましい結果が得られた。
【0094】
1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物であるパラチニット(登録商標)を主成分とする調製品25〜27については、表13にそれぞれの結果を示した。本発明の実施品に該当する硬質コーティング製品は、還元澱粉加水分解物を含有していない比較品と比べて、各比較試験での評価が改善し、好ましい結果が得られた。
【0095】
トレハロースを主成分とする調製品28〜30については、表14にそれぞれの結果を示した。本発明の実施品に該当する硬質コーティング製品は、還元澱粉加水分解物を含有していない比較品と比べて、各比較試験での評価が改善し、好ましい結果が得られた。
【0096】
【表9】

【0097】
【表10】

【0098】
【表11】

【0099】
【表12】

【0100】
【表13】

【0101】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、から選ばれる何れか一種を主成分とし、補強剤として下記で示される還元澱粉加水分解物Hを固形物換算で0.1〜10.0重量%含有する硬質コーティング層。
*還元澱粉加水分解物Hは固形物換算で以下の糖組成を有する。
重合度1の水素化糖類の含有率が15.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が10.0〜70.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が0.5〜10.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。
【請求項2】
還元澱粉加水分解物Hの含有量が固形物換算で0.5〜6.0重量%である、請求項1に記載の硬質コーティング層。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された硬質コーティング層により芯材が被覆された、硬質コーティング製品。
【請求項4】
硬質コーティング製品の製造に際し、砂糖、ラクチトール、トレハロース、または1,6−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール)と1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトール)の混合物、から選ばれる何れか一種を主成分とし、補強剤として下記で示される還元澱粉加水分解物Hを固形物換算で0.1〜10.0重量%含有するコーティング溶液を芯材に塗布する工程、次いで乾燥する工程を経て結晶質の被膜を形成させる、硬質コーティング製品の製造方法。
*還元澱粉加水分解物Hは固形物換算で以下の糖組成を有する。
重合度1の水素化糖類の含有率が15.0重量%以下、
重合度4〜19の水素化糖類の含有率が10.0〜70.0重量%、
重合度20以上の水素化糖類の含有率が0.5〜10.0重量%、
残余が重合度2〜3の水素化糖類。

【公開番号】特開2007−53952(P2007−53952A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242693(P2005−242693)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000223090)東和化成工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】