説明

硬質ポリイソシアヌレートフォームを生成するための貯蔵安定性ポリオール組成物

約100未満のヒドロキシル価を有し、少なくともポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応により調製される脂肪族ポリエステルポリオールと;芳香族ポリエステルポリオールと;ノボラック型ポリエーテルポリオールと;ハイドロフルオロカーボン発泡剤とを含み、少なくとも60日間貯蔵安定性であり得るポリオール組成物が開示される。該組成物は、約2.5〜約4のイソシアネート指数でポリイソシアネートと反応して、硬質ポリイソシアヌレートフォームを形成することができる。該フォームは、金属基材に適用されるとき、概して改良された凝集性、ならびにさらには改良された付着性および低減された空隙発生率も示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアヌレートフォームに関する。より詳細には、本発明は、比較的貯蔵安定性のポリオール組成物から調製される硬質ポリイソシアヌレートフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアヌレートフォームは、建設業において絶縁材料として広く用いられている。これらのフォームは、典型的には、気泡内に、低伝導ガス、例えば、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を含有する独立気泡の硬質フォームである。液体である発泡組成物は、現場注入適用において、スプレー適用において、および硬質フォームボードを形成するのに用いられ得る。該ボードは、特にフォームが付着する外装、例えば金属ホイルを含むことが多い。
【0003】
不都合なことに、ポリイソシアヌレートフォームは、典型的には250を超えるMDI/ポリオール比でポリエステルポリオールおよびメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)から形成されており、欠点に悩まされる場合がある。1つのたびたび起こる問題は、フォームが、ホイルおよびスチールなどの金属に面したとき、乏しい凝集性および/または付着性(引張接着強度)を示す場合があるということである。フォームはまた、フォーム/金属界面における望ましくない空隙の形成に悩まされる場合もある。
【0004】
多くのポリイソシアヌレートについて、使用されるポリエステルポリオールは、芳香族系構造である。かかるポリイソシアヌレートフォームは、多くの用途を有するが、少なくともある種の脂肪族ポリエステルポリオールを含むことが利益を付与し得るということが見出されている。例えば、米国特許出願公開第2006/0047011A1号には、脂肪族ポリエステルポリオールから調製されるポリイソシアヌレートフォームが、改良された耐燃性、より低い熱伝導率、低下した脆性および改良された表面付着性を示し得ることが開示されている。低い粘度は、スプレーフォームにおける潜在的な使用を可能にする。本明細書において用いられる脂肪族ポリオールは、エチレングリコールによってエステル化されるアジピン酸、グルタル酸、コハク酸および硝酸と水との組合せをベースとしている。これらのポリオールは、200を超えるヒドロキシル(OH)価および2,000mPasの範囲の粘度を有する。
【0005】
別の例では、脂肪族ポリエステルポリオールと芳香族ポリエステルポリオールとの組合せが、硬質イソシアヌレート変性ポリウレタンフォームを調製するのに有用であるとして、米国特許出願公開第2001/0003758号に記載されている。該フォームは、80〜380の範囲のイソシアネート指数を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記技術にも関わらず、フォーム凝集性およびスチール外装への付着性の改良を示すポリイソシアヌレートフォームが依然として必要とされている。これらおよび他の特徴は、本発明において見出され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、貯蔵安定性ポリオール組成物であって、約100未満のヒドロキシル価を有し、少なくともポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応により調製される、約1〜約20重量%の脂肪族ポリエステルポリオールと;約1〜約60重量%の芳香族ポリエステルポリオールと;約1〜約60重量%のノボラック型ポリエーテルポリオールと;約1〜約20重量%のハイドロフルオロカーボン発泡剤とを含み;非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さないポリオール組成物を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、ポリイソシアヌレートフォームを調製するための配合物であって、ポリイソシアネートと、(a)約100未満のヒドロキシル価を有し、少なくともポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応により調製される、約1〜約20重量%の脂肪族ポリエステルポリオール;(b)約1〜約60重量%の芳香族ポリエステルポリオール;(c)約1〜約60重量%のノボラック型ポリエーテルポリオール;および(d)約1〜約20重量%のハイドロフルオロカーボン発泡剤を含むポリオール組成物とを含み、ポリオール組成物が、非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さない配合物を提供する。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、ポリイソシアヌレートフォームを調製する方法であって、フォーム形成条件下で、(a)ポリイソシアネートと;(b)約100未満のヒドロキシル価を有し、少なくともポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応により調製される、約1〜約20重量%の脂肪族ポリエステルポリオール;約1〜約60重量%の芳香族ポリエステルポリオール;約1〜約60重量%のノボラック型ポリエーテルポリオール;および約1〜約20重量%のハイドロフルオロカーボン発泡剤を含むポリオール組成物とを;ポリオール組成物が、非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さないように;約2.5〜約4の範囲のイソシアネート指数において接触させて、硬質ポリイソシアヌレートフォームを形成することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、予期せぬ貯蔵安定性を示すポリオール組成物、および該新規のポリオール組成物を用いてポリイソシアヌレートフォームを作製する方法の両方を含み、ポリイソシアヌレート産業において有利であるプロセスおよび特性の改良の両方を付与する。用語「ポリイソシアヌレート」は、本明細書において用いられるとき、ポリイソシアヌレートフォームおよびウレタン変性ポリイソシアヌレート(PU−PIR)フォームの両方を含む。用語「貯蔵安定性」は、非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さないとして、本明細書において定義される。これらの改良は、以下に記載するように、少なくとも3種の特定の成分を含有するポリオール組成物に起因する。
【0011】
1)脂肪族ポリエステルポリオール
第1成分は、脂肪族ポリエステルポリオールである。この脂肪族ポリエステルポリオールは、当業者に公知のいずれの効果的な様式で生成されてもよい。一方法において、好適な脂肪族ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との間の縮合反応によって生成されてよい。かかるポリカルボン酸は、1個の無水物基が2個の酸基と同等であるという前提で、2個以上のカルボン酸基または同等数の無水物基を有してよく、当該分野において周知である。好ましくは、ポリカルボン酸は、2個のカルボン酸基を含有する。好適なポリカルボン酸の例として、アルキレンラジカル中に2〜12個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらの酸として、例えば、脂肪族ジカルボン酸、例えば、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、デカンジカルボン酸、およびヘキサン二酸;脂環式酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸ならびに1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;ならびに1,3−および1,4−不飽和アルカン二酸、例えば、フマル酸およびマレイン酸が挙げられる。上記多塩基酸の無水物、例えば、無水マレイン酸または無水フタル酸が用いられてもよい。多塩基酸の2種以上の組合せが用いられてもよい。一実施形態において、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、またはこれらの組合せを用いることが好ましい。かかる酸の組合せは、市販されており、19〜26重量%のアジピン酸、45〜52重量%のグルタル酸、および16〜24重量%のコハク酸を一般に含む。
【0012】
別の実施形態において、好適な脂肪族ポリエステルポリオールは、脂肪酸およびポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との縮合反応から調製されてよい。好適な二量体脂肪酸は、非限定的な実施形態において、当該分野において公知であり(例えば、米国特許出願公開第2005/0124711号を参照されたい、その開示内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)、概して、モノもしくは多価不飽和脂肪酸および/またはそのエステルの二量体化生成物である。かかる二量体脂肪酸は、C10〜C30、より好ましくはC12〜C24、最も好ましくはC14〜C22アルキル鎖の二量体である。本発明のポリエステルを生成するのに好適な脂肪酸として、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸およびエライジン酸の二量体化生成物が挙げられる。天然油脂、例えば、ヒマワリ油、ダイズ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油およびトール油の加水分解において得られる不飽和脂肪酸混合物の二量体化生成物が用いられてもよい。
【0013】
二量体化は、二量体脂肪酸に加えて、存在している、各種量のオリゴマー脂肪酸、例えば、三量体、および単量体脂肪酸の残基、またはそのエステルを通常は生ずる。市販製品、例えば、Uniqemaから入手可能なものは、60%を超えて95%超までの二量体含量を一般に有する。三量体含量は、一般に40%未満であり、好ましくは、本発明での使用のために2〜25%の範囲である。他の非二量体脂肪酸も有用であり得る。
【0014】
好適なポリヒドロキシ化合物の例は、多価アルコールであり、いくつかの実施形態において、限定されないがエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールならびに1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、エタンジオール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ならびにこれらの組合せを含めたジオールである。三官能以上のアルコールが用いられるとき、その量は、所与のブレンドの官能価が最大で2.8、好ましくは2〜2.3であるように一般に選択され得る。一実施形態において、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、またはこれらの組合せが特に有用であり得る。概して、低級アルキレン化合物および低級アルコキシアルキレン化合物は、2〜12個の炭素原子を有するとして定義され、出発物質として好ましい。
【0015】
脂肪族ポリエステルポリオールは、好ましくは1,000〜5,000、より好ましくは1,700〜3,000、特に1,800〜2,500、より好ましくは1,900〜2,200の範囲の数平均分子量を有する。そのヒドロキシル価は、好ましくは約10〜約100、好ましくは約30〜約80、より好ましくは約40〜約70mg KOH/gである。さらに、該ポリオールは、約2未満、好ましくは約1.5未満、より好ましくは約1.3未満の酸価を有し得る。
【0016】
脂肪族ポリエステルポリオールの生成のためのプロセスは、当該分野において周知である。これらの脂肪族ポリエステルポリオールを調製するための一方法は、両方ともが本質的に脂肪族化合物である脂肪酸二量体またはそのエステルおよび(非二量体)ポイカルボン酸を、選択されたポリヒドロキシ化合物と重縮合することである。揮発性副生成物を除去するために、次いで、脂肪族ポリエステルポリオールを、減圧蒸留に、続いて、不活性ガス、真空、または他の公知の分離法によるストリッピングに付してよい。しかし、出発物質のいくつかが芳香族基を含み得ることが可能である。この場合、最終脂肪族ポリエステルポリオールの芳香族含量(1分子当たり少なくとも1個の芳香族環を含有する基の重量%として表される)は、約50%未満であり、すなわち、このポリエステルポリオールは、必ずしも排他的にではないが、事実上、主に脂肪族である。
【0017】
得られる好適な脂肪族ポリエステルポリオールは、いくつかの実施形態において、事実上、シクロ脂肪族または複素環式脂肪族であってよく、ラクトン、例えば、ε−カプロラクトン、または、ヒドロキシカルボン酸、例えば、ω−ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族ポリエステルポリオールを含んでいてもよい。
【0018】
2)芳香族ポリエステルポリオール
第2成分は、芳香族ポリエステルポリオールである。「芳香族」は、本明細書において用いられるとき、単結合と二重結合とが交互になっている少なくとも1個の共役環を有する有機化合物を称し、共役環は、該化合物に全体としての安定性を与える。用語「ポリエステルポリオール」は、本明細書において用いられるとき、ポリエステルポリオールの調製後に残存するあらゆる少量の未反応ポリオールおよび/またはポリエステルポリオールの調製後に添加される少量の未エステル化ポリオール(例えば、グリコール)を含む。芳香族ポリエステルポリオールは、実質的に純粋な反応体物質から調製され得るが、より複雑な出発物質、例えばポリエチレンテレフタレートが有利であり得る。他の残渣は、ジメチルテレフタレート(DMT)プロセスの残渣であり、DMTの製造からの廃棄物またはスクラップ残渣である。
【0019】
芳香族ポリエステルポリオールは、例えば、ハロゲン原子を場合により含有してよく、および/または、不飽和であってよく、上記と同じ選択の出発物質から一般に調製されてよいが、ポリオールまたはポリカルボン酸の少なくとも一方、好ましくはポリカルボン酸が、化合物全重量を基準にして少なくとも約50重量%、好ましくは約50重量%を超える芳香族環含量(1分子当たり少なくとも1個の芳香族環を含有する基の重量%として表示)を有する芳香族化合物であり、すなわち、事実上、主に芳香族である。少なくとも約30重量%のフタル酸残基、またはその異性体の残基を有利には含む酸成分を有するポリエステルポリオールが特に有用である。好ましくは、芳香族ポリエステルポリオールの芳香族環含量は、化合物全重量を基準にして約70〜約90重量%である。好ましい芳香族ポリエステルポリオールは、粗反応残渣またはスクラップポリエステル樹脂のエステル交換により得られる粗ポリエステルポリオールである。
【0020】
3)ノボラック型ポリエーテルポリオール
第3成分は、ノボラック型ポリエーテルポリオールである。ノボラック型ポリエーテルポリオールは、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂のアルコキシル化生成物であり、該樹脂は、酸触媒、例えば氷酢酸、その後の濃塩酸の存在下での、フェノールのホルムアルデヒドとの脱離反応によって形成される。通常は、少量の酸触媒または触媒が混和性フェノール、例えばp−トルエンスルホン酸に添加され、その後ホルムアルデヒドが添加される。ホルムアルデヒドは、2種のフェノール間で反応してメチレンブリッジを形成することとなり、フェノールのオルトおよびパラ位とプロトン化ホルムアルデヒドとの間の求電子芳香族置換によって二量体を生じる。この二量体はビスフェノールFである。別の例は、ビスフェノールAであり、アセトンと2種のフェノールとの縮合生成物である。二量体の濃度が増大するに従い、三量体、四量体およびそれより高次のオリゴマーも形成され得る。しかし、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比は、いくぶん1未満で制御されるため、重合は完了されない。したがって、ノボラックは、次いでアルコキシル化されて、分子量を所望のレベル、望ましくは約300〜約1500、ある一定の非限定的な実施形態では約400〜約1000まで増加させることができる。
【0021】
ノボラック開始剤を調製するために用いられ得るフェノールとして:o−、m−、またはp−クレゾール、エチルフェノール、ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロパン、ベータ−ナフトール、ベータ−ヒドロキシアントラセン、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、2,6−ジクロロフェノール、p−ニトロフェノール、4−ニトロ−6−フェニルフェノール、2−ニトロ−4−メチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、2−ブロモ−4−シクロヘキシルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−メチル−4−ブロモフェノール、2−(2−ヒドロキシプロピル)フェノール、2−(4−ヒドロキシフェノール)エタノール、2−カルベトキシフェノール、4−クロロ−メチルフェノール、およびこれらの混合物が挙げられる。ノボラック型ポリエーテルポリオールを調製するために用いられるフェノールは置換されていないことが特に好ましい。
【0022】
好適なノボラック型ポリエーテルポリオールは、例えば、フェノールおよびホルムアルデヒドの縮合物付加物を、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、およびブチレンオキサイドを含めた1種または複数種のアルキレンオキサイドと反応させることによって生成され得る。かかるポリオールは、ノボラック開始ポリオールと称される場合があり、当業者に公知であり、例えば、米国特許第2,838,473号;同第2,938,884号;同第3,470,118号;同第3,686,101号;および同第4,046,721号に開示されている方法によって得ることができ;その開示内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。典型的には、ノボラック出発物質は、酸性触媒の存在下で、フェノール(例えば、クレゾール)を、フェノール1モル当たり約0.8〜約1.5モルのホルムアルデヒドと反応させて、1分子当たり2.1〜12、好ましくは2.2〜6、より好ましくは3〜5のフェノールユニットを含有する多核縮合生成物を形成することによって調製される。次いで、ノボラック樹脂は、アルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、またはイソブチレンオキサイドと反応して、複数個のヒドロキシル基を含有するオキシアルキル化生成物を形成する。本発明の目的で、好ましいノボラックポリオールは、1分子当たり平均3〜6個のヒドロキシル部分、および約100〜約500、好ましくは約100〜約300の平均ヒドロキシル当量を有するものである。
【0023】
発泡剤(複数可)
ポリオール組成物にはハイドロフルオロカーボン発泡剤も含まれている。このハイドロフルオロカーボン発泡剤は、必ずしも限定されないが、本発明に必要であるとして上記に列挙したポリオールを含めた選択されたポリオールと、所望の量で組み合わされるとき、該組合せが先に定義されているように貯蔵安定性であるように選択される。ハイドロフルオロカーボン発泡剤の例として、必ずしも限定されないが、HCFC−142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン)、HCFC−22(クロロジフルオロ−メタン)、HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、これらの組合せなどが挙げられる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、他の発泡剤がポリオール組成物に含まれていてもよいが、かかる発泡剤が、ハイドロフルオロカーボン発泡剤を含むポリオール組成物の貯蔵安定性に負に影響しないことを条件とする。例えば、炭化水素発泡剤またはフッ素不含ハイドロハロカーボン発泡剤が用いられてよく、いくつかの場合には、粘度を低減するまたは粘度をさらに低減する機能を果たし、これによりスプレー性を向上させることができる。ある一定の特定の非限定的な実施形態において、1種または複数種の場合による追加の発泡剤は、例えば、ブタン、イソブタン、2,3−ジメチルブタン、n−およびi−ペンタン異性体、ヘキサン異性体、ヘプタン異性体、ならびにシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンを含めたシクロアルカン、ならびにこれらの組合せから選択されてよい。これらの炭化水素および/またはフッ素不含ハイドロハロカーボンは、ハイドロフルオロカーボンを含めた全発泡剤が、100部の全ポリオール組成物を基準にして約15部以下、より望ましくは約10部以下であるような量で好ましくは用いられる。
【0025】
選択され得る場合による化学発泡剤は、ギ酸または別のカルボン酸である。ギ酸は、ポリオール組成物100重量部当たり約0.5〜約8重量部の量で用いられ得る。ある一定の非限定的な実施形態において、ギ酸は、約0.5重量部から、より好ましくは約1重量部から、最大で約6重量部、より好ましくは約3.5重量部までの量で存在する。ギ酸は、好ましくはカルボン酸であるが、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,143,945号に開示されているもの、ならびにイソ酪酸、エチル酪酸、エチルヘキサン酸、およびこれらの組合せを含めた、少量の他の脂肪族モノ−およびポリカルボン酸が使用され得ることも意図される。
【0026】
ギ酸または他のカルボン酸発泡剤に加えてまたはその代わりに、水が化学発泡剤として場合により選択されてもよい。水は、いくつかの非限定的な実施形態において、ポリオール組成物100重量部当たり約0.5〜約10重量部、好ましくは約1〜約6重量部の量で存在する。ポリイソシアヌレートフォームを調製するとき、所望の加工特性を促進してこれを与えるために、ポリオール組成物100部当たり2部を超えない水、好ましくは1.5部以下の水、より好ましくは0.75部以下の水が有利である。いくつかの非限定的な実施形態では、水の省略が望ましい。
【0027】
最後に、発泡プロセスの間に二酸化炭素を放出するカルバメートおよびその付加物が、場合による付加的な化学発泡剤として有利に用いられてもよい。これらは、全体が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許第5,789,451号および同第6,316,662号、ならびにEP1097954において、より詳しく議論されている。
【0028】
ポリオール組成物の割合
ポリイソシアヌレート配合物のポリオール部分の最小限必要とされる4種の成分は、ある一定の非限定的な実施形態において、これらが合わされた後の貯蔵安定性を改良するために、特定の割合の範囲で存在する。最大で約20重量%の脂肪族ポリエステルポリオールが好ましいが、脂肪族ポリエステルポリオールの全体量は、約1〜約20重量%の範囲であってよい。芳香族ポリエステルポリオールおよびノボラック型ポリエーテルポリオールはそれぞれ、約1〜約60重量%の範囲であってよいが、好ましい実施形態では、ノボラック型ポリエーテルポリオールは、約20〜約50重量%の範囲であってよい。1種を超える各種ポリオールの組合せが選択されてもよいが、これらの合計の百分率が記述した最大値に適合することを条件とする。芳香族ポリエステルポリオール(複数可)対脂肪族ポリエステルポリオール(複数可)の重量%比は、好ましくは約90:10〜約20:80、より好ましくは約80:20〜約30:70、最も好ましくは約80:20〜約40:60である。ハイドロフルオロカーボン発泡剤は、100部のポリオール組成物を基準として望ましくは約2〜約15部の量で、より望ましくは、同じ基準で、約4〜約10部の量で存在する。
【0029】
先に既に注記したように、用語「貯蔵安定性」は、非強化目視検査の際、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さない材料を称する。用語「非強化」は、眼鏡およびコンタクトレンズなどの常套の光学補正装置を用いても用いなくても、自然のヒトの眼によって得られるものを超えた有意に大きな力を付与する微視的または他の視覚的強化を排除する。したがって、本発明において、貯蔵安定性ポリオール組成物は、少なくとも4種の所要の成分(脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、ノボラック開始ポリエーテルポリオール、およびハイドロフルオロカーボン発泡剤)を含み、非強化目視検査によって判断されるとき、ついに60日間、相分離を示さない組成物である。本明細書において用いられる用語としての「相分離」は、周囲条件下での、相への実際の分離として示されても、単に、組成物の曇ったまたは濁った外観として示されてもよい。成分の割合ならびに成分の選択は、全体としての組成物の全体の貯蔵安定性に影響するであろうということが理解されよう。用語「ポリオール組成物」は、本明細書において用いられるとき、両方とも必要とされるポリオール出発物質、ならびに、いくつかの場合には、追加の、場合によるポリオール出発物質、ならびにハイドロフルオロカーボン発泡剤およびあらゆる追加の発泡剤の組合せを称するのに用いられる。
【0030】
イソシアネート成分
ポリイソシアヌレートフォームを調製するために、適切なフォーム形成条件下でポリオール組成物をポリイソシアネート成分と反応させることが必要である。ポリイソシアネート成分は、米国では「A成分」と(欧州では、「B成分」と)称される。A成分の選択は、限定されないが、当業者に周知のものを含めた広範なポリイソシアネートからなされ得る。例えば、有機ポリイソシアネート、変性ポリイソシアネート、イソシアネート系プレポリマー、およびこれらの混合物が使用されてよい。これらとして、脂肪族およびシクロ脂肪族のイソシアネート、特に芳香族、より詳細には多官能芳香族イソシアネートをさらに挙げることができる。また、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)も特に好ましい。
【0031】
本発明において有用な他のポリイソシアネートとして、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートならびにこれらの対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニル−メタンジイソシアネートならびにこれらの対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニル−メタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)との混合物;ならびにPMDIとトルエンジイソシアネートとの混合物が挙げられる。脂肪族およびシクロ脂肪族イソシアネート化合物、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−1,3−イソシアアントメチルシクロ−ヘキサン;2,4−および2,6−ヘキサヒドロトルエン−ジイソシアネートならびにこれらの対応する異性体混合物;ならびに4,4’−、2,2’−および2,4’−ジシクロヘキシル−メタンジイソシアネートならびにこれらの対応する異性体混合物もまた本明細書において有用である。1,3−テトラメチレンキシレンジイソシアネートも本発明において有用である。
【0032】
いわゆる変性多官能イソシアネート、すなわち、上記ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートの化学反応を経て得られる生成物もA成分に有利に用いられる。例示的には、エステル、ウレア、ビウレット、アロファネートならびに好ましくはカルボジイミドおよび/またはウレトノミンを含有するポリイソシアネート、ならびにイソシアヌレートおよび/またはウレタン基含有ジイソシアネートまたはポリイソシアネートである。カルボジイミド基、ウレトノミン基および/またはイソシアヌレート環を含有し、120〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%のイソシアネート基(NCO)含量を有する液体ポリイソシアネートも用いられ得る。これらとして、例えば、4,4’− 2,4’−および/または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートならびにこれらの対応する異性体混合物、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネートならびにこれらの対応する異性体混合物をベースとするポリイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネートおよびPMDIの混合物;ならびにトルエンジイソシアネートならびにPMDIおよび/またはジフェニルメタンジイソシアネートの混合物が挙げられる。
【0033】
本発明の配合物のポリイソシアネート成分としての使用に好適なプレポリマーは、2〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%のNCO含量を有するプレポリマーである。これらのプレポリマーは、ジ−および/またはポリイソシアネートと、より低分子量のジオールおよびトリオールを含めた物質との反応によって調製されるが、多価活性水素化合物、例えば、ジ−およびトリアミンならびにジ−およびトリチオールによって調製されてもよい。個々の例として、ウレタン基を含有し、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%のNCO含量を有し、ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、例えば、ポリオール、例えば、最大で約800の分子量を有するより低分子量のジオール、トリオール、オキシアルキレングリコール、ジオキシアルキレングリコール、またはポリオキシアルキレングリコールとの反応により得られる芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。これらのポリオールは、ジ−および/またはポリオキシアルキレングリコールとして個々で使用されても混合物で使用されてもよい。例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコールが用いられ得る。ポリエステルポリオール、ならびにアルキルジオール、例えばブタンジオールも用いられ得る。また、有用である他のジオールとして、ビスヒドロキシエチル−またはビスヒドロキシプロピルビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、およびビスヒドロキシエチルハイドロキノンも挙げられる。
【0034】
本発明において使用され得るプレポリマー配合物のポリイソシアネート成分として有用であるのは:(i)8〜40重量%のNCO含量を有し、カルボジイミド基および/またはウレタン基を含有し、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’−および2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物に由来するポリイソシアネート;(ii)NCO基を含有し、プレポリマーの重量を基準にして2〜35重量%のNCO含量を有し、好ましくは1.75〜4の官能価および800〜15,000の分子量を有するポリオールと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−および2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、または(i)および(ii)の混合物のいずれかとの反応により調製されるプレポリマー;ならびに(iii)2,4’および2,6−トルエン−ジイソシアネートならびにこれらの対応する異性体混合物である。
【0035】
PMDIは、そのいずれの形態においても、本発明による使用に最も好ましいポリイソシアネートである。PMDIは、用いられるとき、好ましくは125と300との間、より好ましくは130〜175の当量、および約1.5を超える平均官能価を有する。1.75〜3.5の平均官能価がより好ましい。ポリイソシアネート成分の粘度は、好ましくは25〜5,000センチポイズ(cP)(0.025〜約5Pas)であるが、25℃で100〜1,000cP(0.1〜1Pas)の値が加工の容易性のために好ましい。代替のポリイソシアネート成分が選択される場合、同様の粘度が好ましい。さらに、好ましくは、本発明の配合物のポリイソシアネート成分は、MDI、PMDI、MDIプレポリマー、PMDIプレポリマー、変性MDI、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0036】
A成分対B成分(ポリイソシアネート対ポリオール組成物)の比が、約2.5〜約4であることが望ましく;いくつかの非限定的な実施形態では、イソシアネート指数は、望ましくは約2.8〜約3.5である。
【0037】
場合による配合物成分
他のポリオールが、本発明の必要に応じて、示した3種に加えて、本発明に含まれていてもよく、含まれる場合、配合物のB成分の一部であると考えられる。これらの追加の物質は、配合プロセスの間にB成分の一部として典型的には含まれるが、これらは、場合によるものであると考えられるため、本明細書において別々に扱われる。これらは、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートフォームを作製するプロセスにおいて典型的に使用される種類の1種または複数種の他のポリエーテルまたはポリエステルポリオールを含んでいてよい。少なくとも2種のイソシアネート反応性水素原子を有する他の化合物、例えば、ポリチオエーテルポリオール、ヒドロキシル基を含有するポリエステルアミドおよびポリアセタール、ヒドロキシル基を含有する脂肪族ポリカーボネート、アミン末端ポリオキシアルキレンポリエーテル、および好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオール、およびグラフト分散ポリオールが存在していてもよい。2種以上の上記物質の混合物が使用されてもよい。
【0038】
先に記載したA成分およびB成分に加えて、本発明の配合物は、当該技術分野において周知であるものなどのさらなる添加剤または変性剤を含んでいてよい。例えば、界面活性剤、触媒、難燃剤、および/または充填剤が使用されてよい。その例は、特に、1種または複数種の三量体化触媒である。使用される三量体化触媒は、有機イソシアネート化合物の三量体化を触媒してイソシアヌレート部分を形成するであろう、当業者に公知であるいずれのものであってもよい。典型的なイソシアネート三量体化触媒については、The Journal of Cellular Plastics、1975年11月/12月、329頁:ならびに米国特許第3,745,133号;同第3,896,052号;同第3,899,443号;同第3,903,018号;同第3,954,684号および同第4,101,465号を参照されたい;これらの開示内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。典型的な三量体化触媒として、グリシン塩、第3級アミン三量体化触媒、アルカリ金属カルボン酸塩、およびこれらの分類の触媒の混合物が挙げられる。該分類内の好ましい種は、N−2−ヒドロキシ−5−ノニルフェニル−メチル−N−メチルグリシン酸ナトリウム、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、およびこれらの混合物である。開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,745,133号に開示されているエポキシドも、好ましい触媒成分に含まれる。
【0039】
含まれ得る別のカテゴリーの触媒は、少なくとも1個の第3級窒素原子を含有し、A成分とB成分との間のヒドロキシル/イソシアネート反応を触媒することが可能であるあらゆる有機化合物を含めた、アミン触媒である。典型的な分類のアミンとして、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびこれらの異性形態である場合のN−アルキルモルホリン、N−アルキルアルカノールアミン、N,N−ジアルキルシクロヘキシルアミン、およびアルキルアミン、ならびに複素環式アミンが挙げられる。典型的には、限定されないが、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、2−メチルプロパンジアミン、メチルトリエチレンジアミン、2,4,6−トリジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)sym−ヘキサヒドロトリアジン、およびこれらの混合物である。選択がなされ得る第3級アミンの好ましい群は、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N−エチルモルホリン、およびこれらの混合物を含む。
【0040】
非アミン触媒が本発明において用いられてもよい。かかる触媒の典型例は、ビスマス、鉛、スズ、チタン、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、およびこれらの組合せの有機金属化合物である。硝酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛、塩化鉄、三塩化アンチモン、グルコン酸アンチモン、これらの組合せなどが、説明目的のみで含まれる。好ましい分類は、カルボン酸の第1スズ塩、例えば、酢酸第1スズ、オクタン酸第1スズ、2−エチルヘキサン酸第1スズ、1−メチルイミダゾール、およびラウリン酸第1スズ、ならびにカルボン酸のジアルキルスズ塩、例えば、二酢酸ジブチルスズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、二マレイン酸ジブチルスズ、二酢酸ジオクチルスズ、これらの組合せなどを含む。
【0041】
触媒、例えば、NIAXA−1、POLYCAT9および/またはPOLYCAT77が、全体で、約1〜約8部のB成分の量で含まれていてよい。(NIAXA−1は、General Electricから入手可能である。POLYCAT9およびPOLYCAT77は、Air Productsから入手可能である)。追加の触媒、例えば、TOYOCATDM70または他のゲル化触媒が、0〜約2部の量で含まれていてよい。(TOYOCATDM70は、Tosoh Corporationから入手可能である)。
【0042】
本発明に有用な他の添加剤は、1種または複数種の臭素化または非臭素化難燃剤、例えば、リン酸トリス(2−クロロエチル)、リン酸トリス(2−クロロ−プロピル)、リン酸トリス(1,3−ジクロロプロピル)、リン酸二アンモニウム、種々のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミナ三水和物、ポリ塩化ビニル、およびこれらの組合せを含むことによって燃焼性能をさらに向上させることが望ましい場合がある。分散剤、気泡安定剤、および界面活性剤が配合物に組み込まれていてもよい。有機界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤を含めた界面活性剤は、添加されて、気泡安定剤としての機能を果たし得る。いくつかの代表的な材料は、称号SF−1109、L−520、L−521およびDC−193で販売されており、これらは、一般に、ポリシロキサンポリオキシルアルキレンブロックコポリマー、例えば、米国特許第2,834,748号;同第2,917,480号;および同第2,846,458号(これらの開示内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているものである。その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,600,019号に記載されているような、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンブロックコポリマーを含有する有機界面活性剤も含まれる。少量の界面活性剤を使用して、硬化するまで発泡性反応混合物を安定化することが特に望ましい。他の界面活性剤として、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アリル酸硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸の第3級アミンまたはアルカノールアミン塩、およびこれらの組合せが挙げられる。かかる界面活性剤は、崩壊に対する発泡反応および大きく不均一な気泡の形成を安定化するのに十分な量で使用される。典型的には、ポリオール組成物100重量部当たり約0.2〜約3部の界面活性剤がこの目的に十分である。界面活性剤、例えば、DABCODC−5598は、0〜約6部の範囲のいずれの量で含まれていてもよい。(DABCODC−5598は、Air Productsから入手可能である)他の添加剤、例えば、カーボンブラックおよび着色剤を添加してもよい。最後に、充填剤および顔料、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、黒鉛、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、ミクロスフェア、アルミナ三水和物、珪灰石、調製されたガラス繊維(切れたまたは連続)、およびポリエステル繊維ならびに他のポリマー繊維を含めることができる。
【0043】
フォームの調製
本発明のプロセスに従って調製されるポリイソシアヌレートポリマーは、発泡した硬質独立気泡ポリマーである。かかるポリマーは、反応成分、すなわち、ポリオール成分(先に定義したポリオール/発泡剤組成物から本質的になるまたはこれらを含む)を、イソシアネート成分と、すなわち、2ストリームを;または単独のポリオール成分(先に定義したポリオール組成物から本質的になるまたはこれらを含む)、発泡剤成分、およびイソシアネート成分、すなわち、3ストリームを密に混合することによって典型的には調製され、ポリオール成分および発泡剤成分は、イソシアネート成分)と接触する直前に、室温にてまたは僅かに高温にて短い時間で混合する。この混合は、スプレー装置、ポリオール成分および発泡剤を合わせるためのスタティックミキサーを有するもしくは有さない混合ヘッド、または容器のいずれかにおいて実施されてよく、次いで、反応混合物を基材上にスプレーするかまたは堆積させる。この基材は、製造ラインに沿って搬送されている、例えば、ホイルまたは別の物質から作製される硬質または可撓性の外装シートであってよい。
【0044】
代替の実施形態において、反応混合物は、開放金型内に注がれても、横たわった機器を介して開放金型内に分配されても、定められた位置にまたは該位置内に、例えば、構造の内壁と外壁との間に単に堆積されても、すなわち現場注入適用されてもよい。外装シートへの堆積の場合、第2シートが、堆積された混合物の頂部に適用されてよい。他の実施形態において、混合物は、空洞充填用の真空補助を有する密閉金型内に注入されても、これを有さない密閉金型内に注入されてもよい。金型は、使用されるとき、最も典型的には加熱される。
【0045】
一般に、かかる適用は、従来の混合法と一緒に用いられる公知のワンショットのプレポリマーまたはセミプレポリマー技術を用いて達成され得る。混合物は、反応の際、金型の形状を取るかまたは基材に付着して多かれ少なかれ所定の構造のポリイソシアヌレートポリマーを生成し、次いでこれを適所または金型において部分的または完全のいずれかで硬化させる。ポリマーの硬化を促進するのに好適な条件は、典型的には20℃〜150℃、好ましくは35℃〜75℃、より好ましくは45℃〜55℃の温度を含む。かかる温度は、金型が、反応体の混合後、典型的には1〜10分以内、より典型的には1〜5分以内で用いられる場合、通常、十分に硬化されたポリマーを金型から除去することを可能にするであろう。ポリマーを調製する際に用いられる触媒および量、ならびにさらには製造される物品のサイズおよび形状を含めた最適な硬化条件は、具体的な成分によるであろう。
【0046】
結果物は、スラブストック、成形体、限定されないがパイプもしくは絶縁壁もしくは船体構造を含めた充填空洞の形態の硬質フォーム、スプレーフォーム、泡状フォーム、または、限定されないが、他の材料、例えばハードボード、プラスターボード、プラスチック、紙もしくは金属によって形成された積層された生成物を含めた連続的もしくは非連続的に製造された積層体生成物であってよい。有利には、本発明において調製されるポリイソシアヌレートフォームは、金属基材、例えば、絶縁構造体に用いられるようなホイル裏打ちに直接適用されるとき、改良された凝集性および付着性ならびに低減された空隙発生率を示すことができる。
【0047】
先の記載は、一般的であることを意図しており、本発明の全ての起こり得る実施形態を含むことを意図していない。同様に、以下の実施例は、説明としてのみ提供され、本発明を定義または限定することを何ら意図していない。当業者は、特許請求の範囲内にある他の実施形態が、本明細書および/または本明細書に開示されている発明の実施を考慮して明らかであろうことに完全に気付くであろう。かかる他の実施形態は、特定の成分およびその割合の選択;混合および反応条件、容器、展開装置、ならびにプロトコル;性能および選択性;生成物および副生成物の同定;その後の加工およびその使用などを含み得、当業者は、これらが、添付されている特許請求の範囲内で変動し得ることを認識するであろう。
【実施例】
【0048】
実施例において用いられる材料は以下の通りである:
TERATE2541Vは、Invistaから入手可能な芳香族ポリエステルポリオールである。
VORALASTGF422は、アジピン酸、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの反応から調製され、56のヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールであり、Dow Chemical Companyから入手可能である。
IP585は、ポリオールIP585であり、195のヒドロキシル価および3.3の平均官能価を有する芳香族樹脂開始オキシプロピレン−オキシエチレンポリオールであって、Dow Chemical Companyから入手可能である。
TERCAROL5902は、TDA開始の、オキシプロピレンオキシエチレンポリオールであり、Dow Chemical Companyから入手可能である。
TCPPは、リン酸トリス(クロロイソプロピル)である。
DEEPは、エチルホスホン酸ジエチルである。
CURITHANE206は、Dow Chemical Companyから入手可能な触媒である。
DMCHAは、ジメチルシクロヘキシルアミンである。
DC5598は、DABCO DC5598であり、Air Productsから入手可能な界面活性剤である。
ギ酸は、化学発泡剤としての機能を果たす、98%の純度の生成物である。
HFC−245faは、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンであり、ハイドロフルオロカーボン発泡剤である。
【0049】
実施例1および2
2種のB成分のブレンドを調製し、その安定性を評価する。これらの成分および性能を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
比較例1〜4
実施例1および2との比較の目的で、4種の追加のB成分のブレンドを調製する。これらのブレンドの成分およびその安定性評価を表2に示す。ブレンド手順は、実施例1および2のものと同一である。
【0052】
【表2】

【0053】
実施例3および比較例5〜7
一連のポリイソシアヌレートフォームのパネルを、表3に示す成分および割合を用いて、ならびに他には同一の調製方法および手順を用いて、密閉金型に配置されたスチール基材において調製する。1個のパネルは、本発明の例(実施例3)であり、3個は、比較(比較例5〜7)である。次いで、これらをBrett金型および特大金型において評価する。放熱を、ISO5660の手順に従って、コーン熱量計を用いて熱量測定によって測定し、引張接着強度については、EN14509に従って測定する。これらの結果を表3にも示す。
【0054】
【表3−1】

【表3−2】

【0055】
概して、実施例3は、低減された放熱ピークおよび低減された全放熱を伴って、より良好なコーン熱量測定特性を示す。また、実施例3では、改良された引張接着強度特性を見ることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約100未満のヒドロキシル価を有し、少なくともポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応により調製される、約1〜約20重量%の脂肪族ポリエステルポリオールと;
(b)約1〜約60重量%の芳香族ポリエステルポリオールと;
(c)約1〜約60重量%のノボラック型ポリエーテルポリオールと;
(d)約1〜約20重量%のハイドロフルオロカーボン発泡剤と
を含み、非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さない、貯蔵安定性ポリオール組成物。
【請求項2】
ポリカルボン酸が、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサン二酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
ポリヒドロキシ化合物が、2〜12個の炭素原子を有する低級アルキレンおよび低級アルコキシアルキレンからなる群から調製される、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
ポリヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールならびに1,3−および1,4−シクロヘキサン−ジメタノール、エタンジオール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
脂肪族ポリエステルポリオールが、二量体脂肪酸またはその脂肪酸エステル;非二量体ポリカルボン酸;およびポリヒドロキシ化合物の反応によって調製される、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
二量体脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、またはヒマワリ油、ダイズ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油、もしくはトール油の加水分解によって得られる天然油脂の不飽和混合物の二量体化生成物である、請求項5に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
ポリカルボン酸がアジピン酸であり、ポリヒドロキシ化合物が、エチレングリコールまたはジエチレングリコールである、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項8】
脂肪族ポリエステルポリオールが、シクロ脂肪族および複素環式脂肪族ポリエステルポリオールならびにラクトンの脂肪族ポリエステルポリオールからなる群から選択される、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項9】
ラクトンの脂肪族ポリエステルポリオールが、ε−カプロラクトン、ヒドロキシカルボン酸、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載のポリオール組成物。
【請求項10】
芳香族ポリエステルポリオールが、少なくとも約50重量%の芳香族含量を有する芳香族ポリエステルポリオールからなる群から選択される、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項11】
芳香族ポリオールエステルポリオールが、約70〜約90重量%の芳香族含量を有する、請求項10に記載のポリオール組成物。
【請求項12】
芳香族ポリエステルポリオールが、粗反応残渣またはスクラップポリエステル樹脂のエステル交換によって得られる、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項13】
ノボラック型ポリエーテルポリオールが、o−、m−、およびp−クレゾール、エチルフェノール、ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロパン、ベータ−ナフトール、ベータ−ヒドロキシアントラセン、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、2,6−ジクロロ−フェノール、p−ニトロフェノール、4−ニトロ−6−フェニルフェノール、2−ニトロ−4−メチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、2−ブロモ−4−シクロヘキシルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−メチル−4−ブロモフェノール、2−(2−ヒドロキシプロピル)フェノール、2−(4−ヒドロキシフェノール)エタノール、2−カルベトキシフェノール、4−クロロ−メチルフェノール、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるフェノールから調製される、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項14】
ポリオール組成物を基準として、脂肪族ポリエステルポリオールが、1〜20重量%の量で存在し;芳香族ポリエステルポリオールが、約1〜50重量%の量で存在し;ノボラック型ポリエーテルポリオールが、約20〜約50重量%の量で存在する、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項15】
炭化水素発泡剤またはハイドロハロカーボン発泡剤をさらに含む、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項16】
発泡剤が、HCFC−142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン)、HCFC−22(クロロジフルオロメタン)、HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HCFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、ブタン、イソブタン、2,3−ジメチルブタン、n−およびi−ペンタン異性体、ヘキサン異性体、ヘプタン異性体、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載のポリオール組成物。
【請求項17】
発泡剤が、ポリオール組成物100重量部当たり約2〜約15重量部の量で存在する、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項18】
ポリイソシアヌレートフォームを調製するための配合物であって、
ポリイソシアネートと;
(a)約100未満のヒドロキシル価を有し、少なくともポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応により調製される、約1〜約20重量%の脂肪族ポリエステルポリオール;
(b)約1〜約60重量%の芳香族ポリエステルポリオール;
(c)約1〜約60重量%のノボラック型ポリエーテルポリオール;および
(d)約1〜約20重量%のハイドロフルオロカーボン発泡剤
を含むポリオール組成物と
を含み、ポリオール組成物が、非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さない配合物。
【請求項19】
ポリイソシアヌレートフォームを調製する方法であって、フォーム形成条件下で
ポリイソシアネートと;
(a)約100未満のヒドロキシル価を有し、少なくともポリカルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応により調製される、約1〜約20重量%の脂肪族ポリエステルポリオール;
(b)約1〜約60重量%の芳香族ポリエステルポリオール;
(c)約1〜約60重量%のノボラック型ポリエーテルポリオールにおいて、ポリオール組成物が、非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さないもの;および
(d)約1〜約20重量%のハイドロフルオロカーボン発泡剤
を含むポリオール組成物とを、ポリオール組成物が、非強化目視検査によって判断されるとき、周囲条件下で少なくとも60日間、相分離を示さないように;
約2.5〜約4の範囲のイソシアネート指数において接触させて、硬質ポリイソシアヌレートフォームを形成することを含む方法。

【公表番号】特表2012−522867(P2012−522867A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503474(P2012−503474)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/027385
【国際公開番号】WO2010/114695
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】