説明

磁性を具えた樹脂テープ及びその製造方法

【課題】 磁性を具えた樹脂テープ及びその製造方法の提供。
【解決手段】 軟性磁石材料に離型剤と改質剤を添加し攪拌混合して離型特性表面を具えた長帯状軟性磁化基片を形成し、基片のそのうち一側の表面を表面浄化或いは粗化処理し、高い接着効果を有する接着層をこの一側の表面を被覆するように結合させ、これにより長帯状軟性磁化基片をロール状に巻取り可能とし、且つ巻取り後に外側に位置する一端を必要に応じて引き出して分割使用できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁性を具えた樹脂テープ及びその製造方法に係り、特に磁性を具えた樹脂テープであって、その両面が粘着性及び磁気吸着能力を具え、これによりそのうちの一面を物品に粘着させられ、該物品に簡便な磁気吸着可能物品の表面に磁気吸着される特性を賦与できる磁性を具えた樹脂テープ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な樹脂テープは、そのうちの一面に接着剤が塗布された長形樹脂片が巻かれたもので、必要時にはその外端を引き出して切断し、物品に接着することができ、物品の接着或いは表面に対する被覆保護の作用を達成する。これらの機能は広く日常生活で応用されている。
【0003】
しかし、上述の片面樹脂テープは長時間使用すると、ある範疇では有効に応用され便利性をもたらし、このような片面テープには多種類の改良構造と特許がある。周知の樹脂テープは、軟性プラスチック材料、例えばポリ塩化ビニル(PVC)或いはエチレンビニルアセテート(EVA)等で樹脂テープ本体が形成され、更にそのうちの一面に接着層が塗布され、樹脂テープ本体の一面に接着層を具えた構造が形成され、並びに巻取り方式で樹脂テープロールが構成される。
【0004】
このような樹脂テープ本体構造には更に改良して異なる要求に対応できるようにする余地がある。例えば、改良された周知の樹脂テープは、それが薄片或いは条状の軟性磁石基片とされ、その両面に離型剤と接着層が結合された構造とされ、それが接着力と磁気吸着力を具備するものとされ、このような課題は特許文献1に既に記載され並びに検討されている。それは、磁性を具えた基片の一側表面に、接着層が、もう一面に離型剤が塗布されて、巻取り時に、該離型剤が別の非付着面と希望しない過度の接着或いは粘着を発生するのを防止し、巻取り後の分離を行ないやすいものとされている。
【0005】
【特許文献1】台湾特許出願第93202971号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は一種の樹脂テープ型磁石の構造を提供し、それは極薄の片状或いは条状の軟性磁化基片を具え、該軟性磁化基片はその一側表面に離型剤層が結合され、もう一側の表面に接着層が結合されて構成され、並びにロール状とするのに適している。上述の巻き取った状態の基片の少なくとも一端はロールから引き出し可能で、物品の背面に粘着或いは吸着可能とされ、もう一面の磁気吸着特性を利用し、磁気吸着可能な壁面或いは板面に吸着可能である。但しこのような樹脂テープ型磁石の構造は、明らかに磁石自身が酸化鉄等の微粒子材料で形成されるため使用中に表面より材料の粉粒が剥落しやすく、このような粉粒特性が離型剤或いは接着層の塗布を難しくし、製造のコスト及び実行性に影響を与える。この部分で確実で合理的な処理方式を提供することが必要である。
【0007】
ゆえに、本発明の主要な目的は一種の磁性を具えた樹脂テープ及びその製造方法を提供することにある。それは離型剤と改質剤を直接軟性磁石材料中に加えて攪拌混合した後、成形して全体表面が離型効果を有するテープとなし、その後、該テープのそのうち一側の表面を浄化或いは粗化処理し、更に接着剤で処理した表面を被覆し、テープ表面を剥落しにくくし、樹脂テープの粘着度を高め、樹脂テープの接着性を増す。且つテープ表面を離型剤で加工被覆することが不要であるため、その製造過程を簡易化できる。
【0008】
更に、本発明は上述のテープの表面処理加工を行なう時、テープに綿密な押し紋を形成し、押し紋により楽に切り取れるようにし、使用者が切断使用する時に便利とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、長型の磁性を具えたテープを具え、該テープの材料に離型剤が添加され、全体表面が高い離型能力を具備し、且つそのうち一つの表面に処理後に接着層が結合されてなることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープとしている。
請求項2の発明は、請求項1記載の磁性を具えた樹脂テープにおいて、表面の処理が該表面の摩擦浄化処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープとしている。
請求項3の発明は、請求項1記載の磁性を具えた樹脂テープにおいて、表面の処理が該表面のアーク極性処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープとしている。
請求項4の発明は、請求項1、2、3のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープにおいて、テープの表面に綿密な凹凸の押し紋が設けられたことを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープとしている。
請求項5の発明は、磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、磁化可能原料、ゴム/プラスチック複合材料、離型剤及び改質剤を均一に混合攪拌し、更に薄片型のテープを形成し、該テープの少なくとも一つの表面に表面処理を行なった後に充磁し、処理済みの表面に接着剤を結合させることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
請求項6の発明は、請求項5記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、表面の処理が接着剤を結合する表面に対する摩擦浄化処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
請求項7の発明は、請求項5記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、表面の処理が接着剤を結合する表面に対するアーク極性処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
請求項8の発明は、請求項5、6、7のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、離型剤が飽和脂肪酸エステル誘導体とされたことを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
請求項9の発明は、請求項5、6、7のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、改質剤が乳化カルシウムせっけんと脂肪酸の混合物とされたことを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
請求項10の発明は、請求項5、6、7のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、テープを形成すると同時に、押し型機械によりテープの表面に凹凸の押し紋を形成することを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
請求項11の発明は、請求項8に記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、薄片型のテープを形成すると同時に、押し型機械によりテープの表面に凹凸の押し紋を形成することを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
請求項12の発明は、請求項9に記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、薄片型のテープを形成すると同時に、押し型機械によりテープの表面に凹凸の押し紋を形成することを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法により製造されたテープ型磁石は製造上、別に離型剤を塗布する必要がなく、余分の加工時間とコストを節約でき、且つ全体の離型効果を均一で信頼出来るものとできる。表面処理後に接着剤で被覆することで、テープと接着剤間の高い結合性を確保できる。テープ上の押し紋は使用上、カッタ不要で切り取れる便利性を提供する。全体として本発明は新規性を有し製造と使用効率を向上できる磁性を具えた樹脂テープを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2を参照されたい。本発明は磁化可能原料10(例えばバリウム、ストロンチウム、ルビジウム、コバルト、ホウ素、或いは酸化鉄等の粉末)、ゴム/プラスチック複合材料20、離型剤30(例えば飽和脂肪酸エステル誘導体)及び改質剤40(例えば乳化カルシウムせっけんと脂肪酸の混合物)を均一に混合攪拌50した後、成形して薄片形テープ60となす。その後、該テープ60の少なくとも一つの表面に、ロールで摩擦するか或いは化学式浄化(粗化)或いはアーク極性処理61’し、充磁(磁極配向)62を行い、処理した表面を接着剤で被覆63’し、その後、必要により条状に分割し巻取り処理64し、磁性を具えた樹脂テープ65を形成する。
【0012】
上述のテープ60の表面はいずれも高度の離型能力を具え、これにより該表面と接着剤の接着性は極めて低く(表面処理の後、接着性が向上する)、巻取り後に、接着剤を未塗布の表面は簡単に接着剤を塗布した表面と良好な離型効果を保持することができる。
【0013】
更に、テープ60成形過程で、押し紋機械で接着剤を塗布しない表面に綿密な押し紋66処理を行なえば(図3参照)、テープ60にカッタ不要で手で切断できる効果を発生させることができ、使用上、便利である。且つ押し紋66の凹凸表面により接着剤63との間の接触性を低減でき(非完全接触)、その離型特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の製造フローチャートである。
【図2】本発明の製品の立体図である。
【図3】本発明の別の製品の立体図である。
【符号の説明】
【0015】
10 磁化可能原料
20 ゴム/プラスチック複合材料
30 離型剤
40 改質剤
50 均一に混合攪拌
60’ テープに成形
61’ 浄化(粗化)或いはアーク極性処理
62 充磁(磁極配向)
63’ 接着剤で被覆
64 条状に分割し巻取り処理
65 磁性を具えた樹脂テープ
60 テープ
61 浄化(粗化)或いはアーク極性処理した表面
63 接着剤
66 押し紋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長型の磁性を具えたテープを具え、該テープの材料に離型剤が添加され、全体表面が高い離型能力を具備し、且つそのうち一つの表面に処理後に接着層が結合されてなることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープ。
【請求項2】
請求項1記載の磁性を具えた樹脂テープにおいて、表面の処理が該表面の摩擦浄化処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープ。
【請求項3】
請求項1記載の磁性を具えた樹脂テープにおいて、表面の処理が該表面のアーク極性処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープ。
【請求項4】
請求項1、2、3のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープにおいて、テープの表面に綿密な凹凸の押し紋が設けられたことを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープ。
【請求項5】
磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、磁化可能原料、ゴム/プラスチック複合材料、離型剤及び改質剤を均一に混合攪拌し、更に薄片型のテープを形成し、該テープの少なくとも一つの表面に表面処理を行なった後に充磁し、処理済みの表面に接着剤を結合させることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、表面の処理が接着剤を結合する表面に対する摩擦浄化処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、表面の処理が接着剤を結合する表面に対するアーク極性処理であることを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。
【請求項8】
請求項5、6、7のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、離型剤が飽和脂肪酸エステル誘導体とされたことを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。
【請求項9】
請求項5、6、7のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、改質剤が乳化カルシウムせっけんと脂肪酸の混合物とされたことを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。
【請求項10】
請求項5、6、7のいずれかに記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、テープを形成すると同時に、押し型機械によりテープの表面に凹凸の押し紋を形成することを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、薄片型のテープを形成すると同時に、押し型機械によりテープの表面に凹凸の押し紋を形成することを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の磁性を具えた樹脂テープの製造方法において、薄片型のテープを形成すると同時に、押し型機械によりテープの表面に凹凸の押し紋を形成することを特徴とする、磁性を具えた樹脂テープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−307097(P2006−307097A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133962(P2005−133962)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(504406173)
【Fターム(参考)】