説明

磁性プレートレットの2軸アライメント

【課題】縦型ウェブによって支持される複数の配向可能な非球形フレークを平坦化する方法を提供する。
【解決手段】磁場により配向可能な非球形フレークのコーティングを支持するウェブが、磁石の間に配置され、したがって磁石による磁場がウェブを横切る。搬送路の一方側に第1および第3の磁石を設け、第1と第3の磁石の間で搬送路の他方側に第2の磁石を設ける。第1および第3の磁石は、同じ極性を有し、第2の磁石は、第1および第3の磁石に対して相補的な極性を有し、したがって、搬送路をカバーする第1の磁場が、第1と第2の磁石の間に存在し、搬送路をカバーする第2の磁場が、第2と第3の磁石の間に存在する。搬送路に沿って移動する、磁場によって配向可能な複数の非球形のフレークが、ウェブと磁石の間の相対的な移動中に第2の磁石を通過するとき、第1の回転を行うように、磁石は配置される。次いで、ウェブを、磁石を通る磁場中を移動させ、その後に、コーティングを硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インク・ビヒクル中に分散され、支持体の表面上に印刷された顔料粒子は、入射光の反射率が、高い、または低いことがある。この反射率は、いくつかの異なるファクタによって決まる。顔料粒子の固有の光学特性は、反射性にかなり影響を及ぼす。高反射性の「金属性の」顔料は、アルミニウムまたは他の高反射性金属から主に構成されたフレーク形状の粒子である。金属性「効果」は、粒子のサイズおよび形状から主になる異なる個々の特性の相互作用、さらに顔料のリーフィング(leafing)またはノンリーフィング(non-leafing)挙動によって獲得される。
【背景技術】
【0002】
リーフィングまたはノンリーフィング特性は、「浮く」という顔料粒子の能力によって決まる顔料の特性である。リーフィング顔料は、高界面張力の結果として、印刷インク・フィルムの表面上に浮く。この顔料は、その反射特性が粒子の粉末度によって決まる、干渉性の表面フィルムを形成する。ノンリーフィング顔料は、結合剤によって完全に湿潤状態にされ、塗り厚さ全体にわたって一様に分布している。リーフィングは、G. Buxbaum著、「Industrial Inorganic Pigments」、Wiley-VCH、ISBN 3-527-28878-3、1998年、229頁に記載されている。リーフィング顔料およびノンリーフィング顔料は、互いに異なって振る舞うので、極めて異なる外観をもたらす。たとえば、リーフィング・アルミニウム顔料の粒子は、フィルムの表面全体にわたってより一様に分布することになり、クロムメッキを施したような仕上がりが得られることになる。
【0003】
「リーフィング」顔料粒子を製造する通常の方法は、Ackerman他の名義による米国特許第6,379,804号に記載されているように、様々な潤滑剤の存在の下での顔料のボール・ミルによる方法である。この目的のために、ステアリン酸が通常使用される。この酸は、顔料の表面から液体のインクまたは塗料のビヒクルをはじき、空気とインク表面の間の界面の方向に粒子を押し付ける。その結果、プレートレットが印刷物の表面に浮かび、ミラーのような外観を示す。しかし、この方法の欠点は、摩耗抵抗が減少することである。そのような「リーフィング」粒子を含んだ印刷物は、その摩耗に対する抵抗が小さい、というのは、この酸が、フレークの表面へのインク・ビヒクルの付着を阻むからである。
【0004】
ノンリーフィング粒子を用いて印刷された画像は、「リーフィング」顔料とは大きく違い、滑らかなミラーのような外観を有さない。その代り、画像は、斑点がある「きらめくような」仕上がりを有する。他方では、これらの印刷画像は、摩耗抵抗が極めて良好である。というのは、インク・ビヒクルが、改質されない顔料粒子の表面との強力な接着剤を形成するからである。リーフィング粒子と同様に、インク表面に対して平行でインク層中に分布されたノンリーフィング顔料粒子を用いて印刷された高反射性画像を作り上げることは、有利なことになるはずである。
【0005】
外部からの作用によってインク層中の粒子を配向することが可能である。たとえば、Pratt他の名義による米国特許第2,418,479号には、はけ塗り、またはへら塗りによる光輝金属塗料フィルムの製造が言及されている。
【0006】
Prattは、米国特許第2,418,479号で、リーフィングのような特性を有した粒子を、磁場を印加した中で粒子をアライメントさせることによって製作する方法も開示している。この応用のために使用される粒子は、磁性を有する必要があり、反射性であることが好ましい。液体インク中に分散され、支持体の表面上に被覆され、外部からの磁場に晒された粒子は、磁場のラインに沿ったそれらの容易軸にアライメントする傾向がある。粒子の位置は、粒子の配向後に結合剤の硬化によって固定される。材料科学では、用語「容易軸」は、強磁性体中の自発磁化のエネルギー的に好都合な方向を言う。この軸は、磁気結晶異方性や形状異方性を含んだ様々なファクタによって決められる。容易軸に沿った2つの反対方向は、通常同等であり、実際の磁化方向は、それらのどちらかになり得る。
【0007】
支持体の表面上の有機結合剤の層中に分散され、外部からの磁場中に晒された磁性粒子のアライメントは、多くの書籍および特許、たとえばC. Denis Mee著、「Magnetic Recording」、McGraw-Hill Book Company、ISBN 0-07-041271-5、Volume 1、164頁やFinn Jorgensen著、「The Complete Handbook of Magnetic Recording」、TAB Professional and Reference Books、ISBN 0-8306-1979-8、1988年に記載されている。
【0008】
C. D. Meeは、ウェブ移動方向に対して平行に磁場を印加することによる、記録媒体中の粒子のアライメントを述べている。永久磁石回路の磁極片の好ましい構成は、これまでウェブの両側に反対極を置く構成であり、それは、中心面上に垂直磁場成分を有さない。この著者は、また、ウェブ方向に沿った磁性粒子の配向のための様々な磁気デバイスを述べた。しかし、支持体の表面に対するこれらのデバイスによる粒子のアライメントには、特殊な共通の特徴がある。参考文献には、テープに記録するために、ウェブ方向に沿った粒子の容易軸に、粒子をアライメントさせることがはっきりと述べられている。
【0009】
記録媒体に使用される磁性材料の大部分は、ワイヤーまたは針と同様の形状など、2つの他の寸法よりはるかに大きい1つの寸法を有した準一次元のものである。図1aに示すように、プレートレット101のように形作られた粒子は、XおよびY軸の寸法がZ軸の寸法より実質的に大きく、それらの寸法の縦横比が大きいので、2次元(XY)の物体として見なすことができる。プレートレットが、磁場によって誘導されたとき、プレートレットは、その双極子ベクトルが外部磁場と平行でないときはいつでも、磁気トルクを受ける。磁気トルクが存在すると、粒子が、外部磁場の磁気ライン102の方向に沿ったその容易軸と一致するように回転することになり、プレートレットの双極子ベクトルは、磁場ベクトルに対して平行になる。粒子は、磁場が除去されるまで、回転せず、この位置で安定した状態になる。言い換えると、粒子は、図1aに示すように、その最長の対角線と一致するように配向された状態になり、それは、より大きい寸法、たとえば座標Xと見なすことができ、印加磁場のラインと平行である。
【0010】
しかし、第2の寸法Yは、支持体に対して常に平行であるとは限らない。実際、それは、あるわずかな角度で印加磁場の方向に対して常に傾いていることがわかった。このわずかな傾きは、記録媒体の全体性能に対して、非常に重要ではない。しかし、それは、様々な支持体上に耐久性のある高反射性のコーティングを製作するために、塗装および印刷産業では、極めて重要になる。
【0011】
反射性フレーク材料を用いて光輝コーティングを製造する試みが、何十年もの間にわたって行われてきた。Pratt他は、光輝コーティングを製作するための金属性フレーク顔料を配向するプロセスを1947年に米国特許第2,418,479号で開示した。強磁性フレークなど、塗装フィルム中の顔料は、磁場への反応によって単一の平面的な表面上に配置される。物品表面およびフレークの両方は、磁場の方向に位置付けられる。この方法では、フィルムが堆積される物品表面が、磁極間に位置し、したがって、粒子の長い、またはより大きい寸法のそれぞれが、コンパスの針がなるように、磁場方向に沿って自己アライメントすることになる。Pratt他は、強磁性フレークを含んだ湿ったフィルムを磁場の作用に委ね、フィルムが乾燥するまで、短い時間間隔で平行から垂直に変化させられるフィルムと磁場の間の方向角に対して位置付けるステップを含む方法を開示している。フィルムと磁場の間の方向変化は、フィルムの回転によって、または磁場の平面的な回転によって実施することができる。この特許に記載された電磁気システムは、回転磁場を発生し、それによって、フレークが、5から10Hzの周波数でその方向を変化させることを可能にする。磁場は、その方向が90°変化する。セットの1つ中の磁石は、中空であり、支持体は、予め決められた速度でこれらの中空磁石上の中心を連続的に通過させた。
【0012】
米国特許第2,418,479号に開示されたPrattの発明は、いくつかの欠点を有する技術分野において進歩をもたらした。Prattの方法の使用は、物品の大きな表面には実行することができない。というのは、磁場強さは、極めて大きくする必要があり、構築するには難しく費用がかかることになるからである。さらに、述べられたそのような方法は、湾曲した、または複雑に形作られた平面的でない物品表面上のフィルムまたはコーティング中に配置されたフレークの大部分を配向するようには動作しないはずである。そのような表面の1つの例は、ガス・タービン・エンジンなどの発電装置の環状または翼の形に作られた構成品である。
【0013】
James Pengは、Eastman Kodak社に譲渡され、1989年に公表された米国特許第4,859,495号に、任意の所与の方向に配向された磁性粒子を有した磁気記録フィルムを製作する方法を開示しており、その方法は、磁性塗料を支持体に塗布するステップと、固定されていない条件下で磁性塗料を含んだ支持体を、所与の方向に対して垂直な平面上だけに位置する磁気成分を有した回転磁場にかけるステップと、磁性塗料を凝固させるステップとを含む。フレークの配向は、分散された磁性フレークを含んだ、移動ウェブの表面上に被覆された有機結合剤の層中で行われる。一磁気システムでは、4個のヘルムホルツ・コイルが述べられている。第2の実施形態では、磁性塗料層が、流動的な条件下で、支持体上で速い速度で移動している間、Z軸成分がない回転磁場のためのシステムが述べられている。この実施形態は、非常に広い幅、たとえば幅が30インチまで、さらには50インチまでの磁性媒体を製作するのに適切である。というのは、それは、ヘルムホルツ・コイルの実施形態と同じようには限定されないからである。この実施形態では、移動ウェブの上側および下側に配置された、たとえば銅プレートなどの2個の導電性プレートが利用される。移動ウェブの上部のプレート中の電流は、移動ウェブの幅を横切って流れる。移動ウェブの下部のプレートは、電流が、電圧源のために、移動ウェブの運動方向でプレートを流れる。2つの電流は、互いに対して位相が90°ずれている2個の電圧源によって印加され、これによって、XおよびY軸方向だけの成分を有し、ウェブの平面から、またはZ軸方向の磁気成分を有さない回転磁場が生じる。この方法も、欠点は、大きな表面の支持体に対するその実用性の欠如、大きな表面にわたる配向の一様性に関する問題、流出磁場による適切な配向の破壊、および磁場内でのUV硬化の実行可能性の欠如である。
【0014】
Buczek他の名義による米国特許出願US第2004/0052976号には、より大きい寸法の非球形粒子が全体的に物品表面に沿って配向され、その物品表面に対して粒子が配置される、非球形粒子のアライメントが開示されている。粒子は、流体媒体中に配置され、粒子を所定位置に固定するために、流体媒体の粘度を増加させることができ、粒子は、粒子に対して力を使用して位置付けられる。この力は、磁場からのトルク力、流体媒体の流れからの力、重力、および表面張力だけ、またはそれと重力と組み合わせた力を含む。表面の明るさ、またはそれからの反射を制御するために、コーティングおよびシートでは、より大きい寸法を有したフレークの形状の非球形金属性粒子が使われてきた。そしてフレークの相対的な配向、および物品表面に対するより大きい寸法によって、明るさまたは反射の程度が決められる。この方法は、光輝塗料コーティングを製作する上でいくらかの実用性を有しているが、たとえば100〜500ft/minの速度で移動する幅広いウェブの上部上に明るい画像を印刷するという実用性が欠けている。
【0015】
粒子の磁気アライメントに関する他の米国特許は、Kashiwagi他の名義による米国特許第5,630,877号であり、彼等は、有機結合剤中に分散され、外部磁場に晒された磁性を有した粒子またはフレークのアライメントを開示している。磁気的に形成されたパターンを有し、多様に異なる形状で明瞭な視覚認識性を有した所望のパターンを形成することができる製品を、高速で簡単な手順を使用して製造するための方法および装置が教示され、これらの方法および装置によって製造される塗装された製品が教示されている。しかし、この特許は、高速で移動する幅広のウェブの表面に対して平行なXおよびY軸成分を有した、明るいコーティングをどのように製作するかについて述べていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,379,804号
【特許文献2】米国特許第2,418,479号
【特許文献3】米国特許第4,859,495号
【特許文献4】米国特許出願US第2004/0052976号
【特許文献5】米国特許第5,630,877号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】G. Buxbaum著、「Industrial Inorganic Pigments」、Wiley-VCH、ISBN 3-527-28878-3、1998年、229頁
【非特許文献2】C. Denis Mee著、「Magnetic Recording」、McGraw-Hill Book Company、ISBN 0-07-041271-5、Volume 1、164頁
【非特許文献3】Finn Jorgensen著、「The Complete Handbook of Magnetic Recording」、TAB Professional and Reference Books、ISBN 0-8306-1979-8、1988年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、高速で幅広の支持体上に高反射性で耐摩耗性の物品を、磁性プレートレットを含んだインクを用いて印刷するためのシステムおよび方法であって、その磁性プレートレットは、プレートレットを配向する磁場に晒され、したがって、その2つの主要な寸法が、支持体の表面に対して平行になり、それによって「リーフィングのような」明るさが得られる、システムおよび方法と、粒子の配向の方法とを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、インク層中の磁性プレートレットのシートを形成することである。
【0020】
本発明の他の目的は、磁性色シフト性顔料を含んだインクを用いて印刷された画像中の彩度を増加させることである。
【0021】
本発明の他の目的は、「ホイルのような(foil-like)」反射率および明るさ、あるいは色移動を有したコーティングを印刷することである。
【0022】
本発明の他の目的は、磁性色シフト性プレートレットを含んだインクを用いて印刷されたセキュリティ印(しるし)を含んだセキュリティ文書を提供することであり、この磁性色シフト性プレートレットは、その2つの主な寸法がインクの表面に対して本質的に平行になるまで、印加された磁場中で配向され、したがってコーティングの彩度および動的な色領域が増加される。
【0023】
本発明の他の目的は、2次元連続シート中に集められた磁性プレートレットを含んだコーティングを印刷することである。
【0024】
本発明の主な目的は、物品を印刷するための方法および装置を提供することであり、その物品自体は、金属性または色シフト性磁性プレートレットを含んだインクによって平坦な支持体上に印刷され、そのプレートレットは、すべてのプレートレットが、互いと、かつインクの表面と同一平面上にあるような方法で、印加された動的な磁場中でアライメントされる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、反射性または色シフト性顔料を含んだインクを用いて、寸法がたとえば60インチまでの幅広で、50〜300ft/minの速度で高速に移動するウェブまたは紙上に、印刷されたセキュリティ物品を提供する。
【0026】
本発明は、高反射性の磁性顔料フレークの配列を高速で印刷するための方法およびシステムを提供し、そのフレークは、アライメント後ウェブが高速で移動している間、ミラーのような仕上げを生成する。そのような印刷物は、インク・ビヒクル中に分散された磁性で反射性または色シフト性の顔料を利用して、作ることができる。
【0027】
本発明によれば、縦型ウェブによって支持される複数の配向可能な非球形フレークを平坦化する方法であって、
磁場により配向可能な非球形フレークのコーティングを支持するウェブを設けるステップと、
搬送路を画定するラインの一方側に第1および第3の磁石を設け、第1と第3の磁石の間でラインの他方側に第2の磁石を設けるステップであって、第1および第3の磁石は、ラインに向かって同じ極性を有し、第2の磁石は、ラインに向かって、第1および第3の磁石に対して相補的な極性を有し、したがってラインをカバーする第1の磁場が、第1と第2の磁石間に存在し、ラインをカバーする第2の磁場が、第2と第3の磁石の間に存在し、搬送路に沿って移動する、磁場によって配向可能な複数の非球形のフレークが、ウェブが移動しているときに第2の磁石を通過する際、第1の回転を行うように、磁石が配置される、ステップと、
フレークが第1および第2の磁場を連続して通過するように、フレークを支持するウェブと磁石のうちの少なくとも一方を搬送路に沿って相対的に移動させるステップとを含む方法が提供される。
【0028】
本発明の発明者らは、浮揚性が中立的である多層光学プレートレットをアライメントさせるための方法を発見しており、その光学プレートレットは、有機結合剤中に分散され、平坦な高速移動ウェブ上に被覆され、その後で、プレートレットが、ガラスまたは他の適切で滑らかな支持体上に堆積される同じ光学的構造の少なくとも50%の光学反射率を示す(懸濁液の凝固後)シート状のアセンブリを形成するまで、外部磁場に晒される。磁性インクは、磁性インク文字認識(MICR: Magnetic Ink Character Recognition)として知られた文字認識技術、さらに磁気記録媒体において1956年から使用されてきた。磁性インクのそれぞれは、多かれ少なかれ顕著な流れ制御が磁場を印加して行われる、磁気レオロジー(MR: magnetorheological)流体である。磁性インクのレオロジー特性は、結合剤およびそこに分散される磁性粒子の物理的および化学的な特性によって決まる。懸濁粒子のレオロジーはS. W. Charlesによって詳しく述べられている。磁性インクのレオロジー特性に関するさらなる説明は、「Rheology of particulate dispersions and composites」、CRC Press、ISBN 1-57444-520-0、2007年、および「The Journal of Magnetism and Magnetic Materials」、65 (1987)、350〜358頁に見ることができる。
【0029】
磁気レオロジー流体の流れ特性は、磁性粒子のサイズ、形状および磁化率に強く依存する。
【0030】
2つの磁性流体が、知られており、十分研究されている。ナノ・スケールのコロイド磁性粒子が分散された懸濁液は、磁場の存在下で強い分極状態になる場合、強磁性流体と呼ばれる。マイクロメータ・サイズの磁性粒子を有した懸濁液は、外部磁場に晒されたときに、その粘度が実質的に増加される場合、磁性レオロジー(MR: Magnetorheological)と呼ばれる。しかし、寸法が高縦横比になるミクロン・サイズの磁性プレートレットを含んだ、他の種類の磁気レオロジー流体が存在する。これらの流体は、物品の表面上に被覆され、印加された磁場の力に対して磁場中での磁性プレートレットの再配向によって応答する磁性を有した塗料およびインクとして使用される。インクの粘度は、磁界強度、磁場方向、粒子濃度、結合剤粘度、磁性プレートレットの磁化率などによって決まる。磁場の増加による粘度変化の一例は、図1bに明示する。
【0031】
平均サイズが20×20×0.5ミクロンである平坦な磁性プレートレットからなる磁性顔料は、20重量%の濃度で回転スクリーン・インク・ビヒクルと混合した。Brookfield型粘度計モデルDV-IIを用いて50rpmで粘度を測定した。粘度は、磁場を導入しない場合と、さらに互いから異なって隔置された2個の永久磁石によってわずかに異なった磁場を発生させて異なる強度の磁場を生成した場合について、測定した。磁場が存在しない場合、粘度は1742cPであり、粘度は、磁界強度を大きくするにつれて増加し、0.74T(740ガウス)の磁場の大きさで3544cPになることを測定することが可能であった。
【0032】
液体結合剤中に分散され、磁場によって誘導される1個の磁性粒子は、磁気双極子モーメントを獲得し、磁場の磁気ラインに沿ったその容易軸に方向を合わせ、それによって、できるだけ正味磁界強度を相殺し、その磁場中で蓄えられるエネルギーを最小まで低下させることが知られている。希釈された結合剤中で懸濁された多数の粒子は、同様に、すべて完全に同じように磁場の方向に沿って自己配向する。静的磁場に晒されたプレートレットの濃度が大きい懸濁液中では、プレートレットは、様々な相互作用を受ける。鎖形成メカニズムの詳細な説明は、J. H. E. PromislowおよびA. P. Gastによる「Aggregation kinetics of paramagnetic colloidal particles」、J. Chem. Phys.、1995年、102、5492〜5498頁、およびE. Clement、M. R. Maxey、G. E. Karniadakisによる「Dynamics of self-assembled chaining in magnetorheological fluids」、Langmuir、2004年、20、507〜513頁によって与えられる。
【0033】
結合剤中に分散され、磁場に晒された粒子は、ブラウン運動、双極子磁力、および多体流体力学的な相互作用を同時に受ける。粒子は、互いに結合し、双極子強度(ランダム拡散に対する磁力の比を示す)が臨界値を超えたとき、鎖などの超粒子構造を形成する。鎖では、1個の粒子のN極が、他の粒子のS極に引き付けられ、さらに他の粒子にも引き付けられるといった具合になる。鎖は、図2に示すように、印加磁場の方向に突き出される。
【0034】
図2は、N極(黒色)およびS極(白色)が、表示目的のため異なる色で図に示された、16個のダイヤモンド状の粒子201からなる。外部磁場の方向は、矢印202によって表す。粒子は、磁場の方向202に4個の鎖I〜IV(点線によって示す)を形成している。各鎖は、4個のプレートレットによる頭尾アレイ、1〜4、5〜8、9〜12、および13〜16からなる。時間が経過すると、粒子/鎖および鎖/鎖の相互作用によって、連続的に、クラスタ・サイズが増加し全体システムの粘度が増加することになる。
【0035】
しかし、図2に示す磁場方向が、たとえば45°反時計回りに回転して突然変化した場合、プレートレットは、その中心のまわりで即座に回転を始め、印加磁場の新しい磁力によって、図3aに示すように、新しい鎖が形成されるまで、回転することになる。図2および3のプレートレット1〜16は、いかにそれらの極性の配向が反時計回りに45°回転しようとも、支持体上で物理的にそれらの位置を維持することに留意することが重要である。プレートレットの極性の再配向の結果として、いくつかの新しい鎖が、図2に前に示した同じ粒子1〜16から、磁場の新しい方向に沿って形成された。ここで、プレートレット5、10および15;1、6、11および16;2、7および12;3および8;および9および14は、図3の点線によって示す鎖を形成した。磁場の方向の別の変化は、同じ粒子から別の鎖を形成させる。
【0036】
もっとも極端な場合、磁場は、その方向が連続的に変化してもよい。Prattが米国特許第2,418,479号で開示したように、磁場が回転するとき、これが行われる。Prattは、湿式塗料の層を有した支持体が、2個の永久磁石の極の間に挿入され回転されるとき、塗料コーティングが輝くことについて言及している。結合剤中に分散され、回転磁場に晒された磁性粒子は、それらの個々のスピン運動を磁場ラインの方向に向けさせる磁気トルク、求心引力すなわち領域の中心に向かう磁力、および流れに誘起される相互作用を同時に受ける。流体力学的な反作用によって、磁化されたプレートレットの求心引力が釣り合い、粒子間距離に関連した速度で回転する、いくつかの粒子の凝集体が形成されることになる。1個のプレートレットは、液体媒体中に分散されたとき、そのZ軸のまわりでより容易に回転する。というのは、縁部における液体に対する抵抗が、プレートレットがそのXまたはY軸のまわりで回転する場合よりも実質的に小さいからである。それは、プレートレットの寸法の縦横比によって駆動される。同じ平面上で回転する、いくつかの金属性粒子は、高反射性の凝集体を形成する。
【0037】
他者によってこれまで開示された方法およびプロセスは、高速で移動する幅広の支持体を使用した印刷およびアライメントには適さず、一方、幅広の支持体上で高処理能力を得ることが望ましいということが発明者の見解である。前述のPratt他およびPeng他に対する特許では、1つの磁石または複数の磁石が、ウェブの両側または下に設置されるプロセスが述べられている。しかし、ウェブの幅には限界がある。というのは、印加磁場の流束密度の大きさが、磁石の極の間の距離が増加するにつれて急速に低下するからである。Prattの特許で開示された回転磁石は、実際、幅広のウェブの下で利用できるほど十分に大きく作ることはできない。さらに、粒子を回転させて回転磁場中で配向された状態にするための滞留時間は、幅広のウェブの異なる部分で変化することになり、コーティングの一様性は、達成されないことになる。Prattの教示の他の負の側面は、高速回転磁石の上部を移動するウェブ表面上の湿式インクの層中に分散された粒子が、らせん状の軌道に沿ってウェブの方向に、同時に回転し移動することになることである。
【0038】
移動ウェブ上で磁気的にフレークをアライメントさせるとき、考慮しなければならない他の課題は、流出磁場である。いずれの磁石の磁場も、一様でない。ウェブが磁石に沿って移動するとき、湿式インク中に分散され、ウェブの表面上に被覆された粒子は、磁場に即時に応答し、したがって支持体に対してそれらの異なる配向を受ける。流出磁場中での粒子の配向は、粒子が特定の予め決められた配向を受ける磁場の部分中での粒子の配向と非常に異なる。流出磁場の結果として、アライメントされた印刷画像は、輪郭がぼやけ鮮明さを失ったような、「色あせた」状態になる。
【0039】
2つの主要軸が支持体の表面に対して平行である湿式インクの層中に分散された磁性プレートレットをアライメントさせるために、磁気セットアップを支持体の下に設置することによって発生させた動的磁場を印加した。プレートレットに必要な配向をさせる磁気装置のこの位置のために、無限大の幅の支持体にその磁気装置を使用することを可能にする。この装置は、方向角が90°より小さい磁場を発生する。ウェブは、高速で、そのような磁気システムの上を、または通って移動することができる。従来技術に開示された回転の代わりに、磁場は、その方向が急速に変化して、それによって、プレートレットの両方の主要軸が支持体に対して平行になるまで、粒子を急速に振動させる。磁場中で配向されたプレートレットを含んだインクを紫外線硬化させて、流出磁場の負の作用をなくした。
【0040】
動的磁気システムの動作の基本原理は、Raksha他の名義による米国特許第7,258,900号に開示されている。この特許は、インク・ビヒクル中に分散され、高速移動支持体上に印刷することによって被覆された磁性プレートレットのウェブを横切る(cross-web)アライメントを開示している。粒子は、用いられた方法を表す図3Cに概略的に示すように、静的な、ウェブの下方に配置された磁石の2つの列の間でアライメントされる。平坦な支持体22が、読者に向かって移動する。画像68および70が、磁性プレートレット16を含んだインクを用いて支持体22の上部に印刷されている。インクは、画像68および70が磁石62、64および66の磁場中に導入されたとき、まだ湿っていた。磁石が磁場を発生し、磁気ライン72は、印刷画像が支持体上に配置された場所で、支持体に対してほとんど均一で平行である。磁気ライン72に沿って湿った画像68および70中にあるプレートレット16のアライメントは、支持体に対してほとんど平行である。
【0041】
従来技術の図4に、粒子のアライメントの平面図を示す。ウェブ401が方向402で移動する。湿式インクの層403は、磁性粒子404および405を含む。磁石406および407は、図3Cに示すように、ウェブの下に設置されている。ウェブ402上に印刷された粒子404は、いかなる予め決められた配向も受けていない。一度粒子がウェブとともに磁石406と407の間の領域中に移動してくると、粒子は、磁場の方向408でウェブを横切るように自己配向し、それらの平面がウェブに対してほぼ平行になる。
【0042】
本発明の目的は、ウェブの幅が限定ファクタにならない高速プロセス中で、プレートレットをさらによくアライメントさせることである。
【0043】
次に、本発明の例示の実施形態を添付図面とともに述べる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1a】磁場に晒された磁気的に配向可能なプレートレットまたは粒子であって、磁場に対する粒子のアライメントが粒子のX軸に沿っている、プレートレットまたは粒子の図である。
【図1b】磁場による粘度変化のグラフである。
【図2】N極(黒色)およびS極(白色)が表示目的のため異なる色で図に示される、16個のダイヤモンド状の粒子またはフレークの図である。
【図3a】フレークまたは粒子が磁場ラインに沿って回転して粒子のシートを形成する、図2と同様な図である。
【図3b】2個の磁石の間に配置されるフレークを平坦化しアライメントさせることを達成しようとする従来技術のシステムを表す図である。
【図4】2個の棒磁石の間を通過するフレークがこの2個の磁石の間で磁場ラインに沿ってアライメントされる、従来技術のシステムの図である。
【図5】相補的極性がジグザグに、たとえばN極そしてS極、あるいはS極そしてN極となるように、磁石が、搬送路に沿ってジグザグになるように配置され、それによって、フレークまたは磁石を相対的に移動させたとき、搬送路に沿ったウェブによって支持されるフレークを回転させる、本発明の実施形態の図である。
【図6】多数の平行な搬送路に沿って配置され、コーティングが硬化する前にコーティング内のフレークにスピンを生じさせる、より複雑な磁石の配列を示す図である。
【図7】本発明の方法を使用して一方のコーティングを回転させ、他方のコーティングは、回転させなかった、2つのコーティングの差を表す色移動のプロットである。
【図8】非配向コーティング、それに対する本発明の実施形態による配向コーティング、それに対するホイル、の輝度を表すプロットである。
【図9】軸上の一式のローラが本発明の方法によってフレークを回転させるために使用される、本発明の実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明によれば、動的磁場を設けるために、ACまたはDCの電磁石、あるいは永久磁石を使用することができる。図5に、本発明の例示の実施形態の平面図を示す。
【0046】
ここで図5を参照すると、ウェブ501が矢印502の方向に移動する。磁性粒子を含んだインク503が、ウェブ501の表面上に被覆されている。図5の磁性粒子は、磁石506〜508を通過する際のインク・ビヒクル中での異なるアライメント段階において、1個の粒子504を描写している。ウェブが移動するとき、粒子は、磁石によって生成された磁場の影響を受ける状態になる。磁石は、角度510が90°より小さいジグザグ構成で配置される。インク503がウェブ501上に印刷されているとき、ウェブは、磁石の間の領域中を移動する。粒子は、図5の点線で示す磁場の方向509に自己配向する。磁場方向509は、ウェブが方向502で移動したとき、変化する。粒子504は、ウェブの平面上において、磁石のジグザグ配列によって決まる角度510で、図中の矢印によって示す回転を行う。角度510は、45°〜90°の範囲内にあるとき、うまく働くことを見出した。磁石の間のアライメント領域を通過する複数の磁性粒子は、さらに図3に示す様々な頭尾相互作用を受ける。磁場中で回転する粒子は、異なる方向の力を受ける。存在する力は、印加磁場によって決まる巨視的な力、および近くに存在する双極子の磁場によって決まる微視的な力である。1個の粒子にかかる力は、各磁場が寄与する力の合計である。粒子は、XY方向に沿ったインク層の磁化率を増加させ、したがって磁化率合計を最大にするまで、ウェブの平面上で移動することになる。磁石間での移行経路の終わりまでに、プレートレットは、恒久的に結合されたシート状の構造を形成し、そこでは磁性プレートレットが、配向されていて、それらのXY軸がウェブに対して平行になっている。
【0047】
図5に、フレークが移動するにつれて、磁石によって磁場方向を予め決められた変化をさせる永久磁石の線形配列を示す。いくつかのラインは、図6に概略的に示すように、互いに組み合わせ、印刷機上に幅広のウェブの下で取り付けることができ、図6では、ウェブ601は、表示目的のため透けて見えるように概略的に示され、図には示していない先行する印刷プロセスにおいて磁性粒子を含んだインクを用いて印刷された正方形ラベル602によって被覆されている。図5に示すように組み立てられた、立方体状の磁石603は、図には示していない印刷機のベンチ上に、ウェブ601に極めて近接してそのすぐ下に設置される。ウェブの幅は、6インチから72インチの範囲内で変えることができる。ウェブの速度は、10から300ft/minの範囲内で変えることができる。ウェブに沿った1個のストリング中の磁石の数は、たとえば4から40またはもっと多くまで変えることができる。ウェブの方向604で永久磁石の磁場を通過することによって、プレートレットは、それらのXおよびY軸がウェブに対して平行である、安定したシート状の構成になるまで、ウェブの平面上で回転する。
【0048】
本発明者らが見出したように、平坦な支持体が移動するとき、その支持体の平面上で磁性プレートレットを回転させるために、異なる磁気アセンブリを用いることができる。それらは、AC電磁石とし、それらのAC電磁石によって発生される磁場の方向は、ウェブが移動するとき、制御することができる。また、磁気アセンブリは、反対極性を有した永久磁石のアセンブリとすることができる。磁石は、図6に示したようにウェブの下とする、あるいは上と下とすることができる(アセンブリが2つの部分からなる場合)。これらのアセンブリのすべての主な特性の特徴は、高速移動ウェブの平面上で磁性粒子を回転させる、それらの磁場である。また、色シフト性磁性顔料は、以下に示す実験室試料で実証するように、紙幣、重要な文書、身分証明書などの上に高彩度を有したセキュリティ物品を印刷するために使用することができる。
【0049】
静的磁場におけるアライメントから動的磁場におけるアライメントへの変化は、印刷物の光反射率および色特性を大幅に増加拡大させた。平坦な反射性プレートレットを含んだインクから印刷物を作成し、その印刷された層の反射率がミラーの反射率の少なくとも50%とすることができることがわかった。
【0050】
初期のFlexの特許/特許出願で開示されるように、プレートレットのシート状のアセンブリを動的磁場中で硬化させることが重要である。動的磁気システムの流出磁場は、方向が、プレートレットが支持体に対して平行に自己配向する方向と異なっている。
【0051】
例示の実施形態
ポリエステル支持体の上部に真空中で薄膜ゴールドツウグリーン(gold-to-green)干渉スタックの真空蒸着を実施することによって、磁性色シフト性顔料を製造した。支持体の一部分を切り取り、さらなる色測定のために残した。堆積物の残りは、初期のFlexの特許に開示されているように、支持体からはずし、すりつぶして20ミクロンの顔料粉末の大きさにした。顔料のプレートレットは、紫外線硬化型の透明なSericol Rotary Screen Ink Vehicle中に20重量%の濃度で分散させ、スクリーン印刷技術を用いて紙の表面に被覆した。プレートレットが非配向の湿った印刷物の半分は、切り取られ、インクは、紫外線を用いて硬化させた。印刷物のもう半分は、プレートレットを配向して、それらのXおよびY軸をウェブに対して平行にするために、磁気アレイ中を走行するウェブに取り付けた。印刷物は、アライメントの完了後に紫外線を用いて硬化させた。オフグロス(off-gloss)が10°のすべての3つの試料の色移動を、Zeiss型スペクトル・ゴニオメータを用いて解析した。図7に、a色移動プロットを示す。ライン701は、非配向プレートレットを含んだ印刷物に対応する。色移動ライン702は、動的磁場中で配向された磁性ゴールドツウグリーン・プレートレットのシート状アライメントに対応する。カーブ703は、ゴールドツウグリーン干渉スタックを用いて真空中で被覆されたポリエステル支持体に対応する。同じ試料の反射輝度は、SF600+型分光光度計を用いて測定した。図8に、反射輝度Yのプロットを示す。
【0052】
本発明は、インクを用いて高速で移動する幅広の支持体上に印刷される高反射性で耐摩耗性の物品を提供し、使用されるインクは、磁性プレートレットを含み、そのプレートレットがインク中で配向された状態になって、それらの2つの主要なXおよびY軸が支持体の表面に対して平行になり、それによって、「リーフィングのような」明るさがもたらされるような構成の動的磁場に、さらに晒される。この高反射性で耐摩耗性の物品は、本発明の方法によって印刷されるセキュリティ印を含んだセキュリティ文書の一部分とすることができ、プレートレットまたはフレークのXおよびY軸が、インクの表面に対して平行になり、それによってコーティングの彩度および動的カラー領域が増加拡大される。
【0053】
さらに、本発明は、90°より小さい角度で支持体の平面上でプレートレットを回転させて、プレートレットに安定したシート状の構造を形成させる動的磁場に対して非常に多数のプレートレットを晒すことによって、インク層中での磁性プレートレットの高反射性層の形成を可能にし、もたらす。
【0054】
図9に、本発明の他の実施形態を示し、そこでは、ローラの配列が、図5に示す搬送路と並んだ磁石の線形配列と本質的に同じ作用をもたらす。しかし、図9のローラによって、本発明のさらにコンパクトな実施形態が実現される。搬送路は、そのままである、すなわちウェブがローラの上を移動される経路であり、本実施形態の磁石は、搬送路に沿って同様に、そして効果的に隔置される。ここで図9を参照すると、シャフトによって支持され回転可能な、その上に磁石を有した2個のホイール902および904は、距離「d」だけ離れて隔置される。ホイール902および904は、止めねじによってシャフトに取り付けられて、シャフトが回転したとき、磁気ホイールがシャフトとともに回転した。磁石は、図5の構成と同じジグザグ構成を有する。支持ローラの配列によって支持され、2個のホイール902および904に隣接したウェブは、その2個のホイールよりわずかに高いプロファイルを有し、それによってウェブは、搬送路に沿って、ウェブが磁石と接触せずに運ばれる。ウェブ支持ローラは、非磁性ベアリングを用いてシャフト上に取り付けられる。好ましい実施形態では、ウェブは、搬送路の方向に移動させることができ、磁気ホイール902および904は、フレークの毎分回転数の量を増加させるように、反対方向で反時計回りに回転させることができる。
【符号の説明】
【0055】
501 ウェブ
502 矢印、方向
503 インク
504 1個の粒子
506 磁石
507 磁石
508 磁石
509 磁場の方向
601 ウェブ
602 正方形ラベル
603 磁石
604 方向
701 ライン
702 色移動ライン
703 カーブ
902 磁気ホイール
904 磁気ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型ウェブによって支持される複数の配向可能な非球形フレークを平坦化する方法であって、
a)磁場により配向可能な非球形フレークのコーティングを支持するウェブを設けるステップと、
b)搬送路の第1の側に第1および第3の磁石を設け、前記第1および第3の磁石の間で前記搬送路の第2の反対側に第2の磁石を設けるステップであって、前記第1および第3の磁石は、同じ極性を有し、前記第2の磁石は、前記第1および第3の磁石に対して相補的な極性を有し、したがって前記搬送路をカバーする第1の磁場が、前記第1と第2の磁石の間に存在し、前記搬送路をカバーする第2の磁場が、前記第2と第3の磁石の間に存在し、前記搬送路に沿って移動する、磁場によって配向可能な複数の非球形のフレークが、前記ウェブと前記磁石間での相対的な移動中に前記第2の磁石を通過するとき、第1の回転を行うように、前記磁石が配置される、ステップと、
c)前記フレークを支持する前記ウェブと、2対の相補的誘引磁石を形成する前記磁石とのうちの少なくとも一方を相対的に移動させるステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記ステップ(c)は、前記搬送路に沿って前記ウェブを移動させるステップを含み、
前記搬送路は、ラインによって画定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)は、前記搬送路に沿って前記磁石を移動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)は、前記搬送路に沿って前記フレークおよび前記磁石を移動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の磁場および前記第2の磁場は、前記ウェブに対して実質的に平行である第1および第2の磁場ラインをそれぞれ有し、
前記第1の磁場ラインは、前記搬送路に対して第1の角度で前記ウェブを横切り、
前記第2の磁場ラインは、前記搬送路に対して第2の角度で前記ウェブを横切り、
前記第1および第2の磁場ラインは、互いに対して平行でなく、前記搬送路に対して直交しない、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
第1、第2および第3の磁石を設ける前記ステップは、前記第2の磁石と同じ前記搬送路の側に配置される第4の磁石を少なくとも設けるステップも含み、
前記第3と第4の磁石の間の第3の磁場が、前記搬送路を横切り、
前記第4の磁石の極性が、前記搬送路を横切る磁場ラインを発生するために、前記第2の磁石の極性と同じであって、前記第3の磁石の極性に対して相補的であり、
前記ウェブまたは前記磁石が移動しているとき、前記搬送路に沿って移動する、磁場によって配向可能な複数の非球形のフレークが、前記第3の磁石を通過する際別の回転を行うように、前記磁石が配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第3の磁石は、第1の回転可能なホイールに埋め込まれ、または支持され、
前記第2の磁石は、第2の回転可能なホイールに埋め込まれ、または支持され、
前記搬送路は、前記第1と第2のホイールの間の領域と一致する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の磁場が、前記第1と第2の磁石の間に存在し、
第2の磁場が、前記第2と第3の磁石の間に存在し、
前記第1および第2の磁場は、前記搬送路およびウェブ移動方向を横切る、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記フレークは、サイズが2から100ミクロンの範囲内である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記フレークのサイズは、20%より大きくは変化しない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フレークは、予め決められたサイズおよび形状のものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1、第2および第3の磁石は、永久磁石である、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
縦型ウェブによって支持される複数の配向可能な非球形フレークを平坦化する方法であって、
a)磁場により配向可能な非球形フレークのコーティングを支持するウェブを搬送路に沿って設けるステップと、
b)前記搬送路の一方側に第1の複数の磁石を設け、前記搬送路の反対側に第2の複数の磁石を設けるステップであって、前記第1の複数の磁石および前記第2の複数の磁石は、ジグザグ構成で配置され、したがって、それらは、前記搬送路に沿って互いに直接向かい合わず、前記第1の複数の磁石および前記第2の複数の磁石は、前記搬送路の傍らに異なる位置で配置され、前記搬送路に向かって反対の極性を有した磁石の複数の対を形成し、したがって、各対が相補的極性を有し、それによって、前記搬送路を横切る磁場が得られ、前記搬送路に沿って移動する、磁場によって配向可能な複数の非球形のフレークが、前記ウェブに沿って前記磁石を通過するとき、複数の回転を行うように、前記磁石が配置される、ステップと、
c)前記フレークを支持する前記ウェブと、相補的な誘引磁石の対を形成する前記磁石とのうちの少なくとも一方を相対的に移動させるステップとを含む、方法。
【請求項14】
磁石の隣接した対は、両方の対に対して共通の磁石を有する、請求項13に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−42407(P2010−42407A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−188235(P2009−188235)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】