説明

磁性体基板、及び、電子回路モジュール

【課題】板状に形成された磁性体の上面側に導電性材料からなる板状のリードを設けてなる磁性体基板において、磁性体とリードとの密着性向上を図る。
【解決手段】板状の磁性体4と導電性板材からなるリード22,23とを備えて、当該リード22,23のうちその厚さ方向に面する上面24a,25aが前記磁性体4の上面4aから露出するように、前記リード22,23を前記磁性体4に封止して構成され、前記磁性体4によって覆われた前記リード22,23の下面24b,25bに、当該下面24b,25bから突出する別個の突出部材30が固定された磁性体基板2を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁性体基板、及び、これを備える電子回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状に形成された磁性体を配線基板として使用する磁性体基板には、例えば特許文献1のように、電気配線をなす端子電極の一部を磁性体内部に埋設して固定したものがある。なお、この種の磁性体基板においては、端子電極の配線パターンを銅箔により構成することが考えられるが、銅箔では磁性体基板を大量生産する際に配線パターンの精度が低下する虞があるため、導電性板材を加工してなるリードフレームを使用することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−188023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子電極を磁性体内部に埋設する上記従来の磁性体基板では、端子電極を磁性体に固定することができるものの、その厚さ寸法が大きくなってしまうため、磁性体基板の薄型化に限界が生じる、という問題がある。磁性体基板の薄型化を図るためには、例えば、板状とされた磁性体の主面に端子電極等の電気配線全体を露出させることが考えられるが、電気配線をリードフレームに備えるリードにより構成する場合、リードが磁性体の主面から剥離し易い、という問題がある。
【0005】
なお、リードの密着性向上を図る従来の手法としては、磁性体を成形する前に予めリード表面を凸凹に荒らすこと(例えば、特開2002−299538号公報参照)や、リードにディンプル(凹部)を形成すること(例えば、特開2009−260282号公報参照)、あるいは、リードにその厚さ方向に貫通するアンカーホールを形成することが考えられる。
しかしながら、板状の磁性体は、磁性粉末を圧縮成形することで得られるため、磁性体を成形する前にリード表面を荒らしても、磁性粉末の圧縮成形時の圧力によってリード表面の状態が変化してしまい、リードと磁性体との密着性を十分に得ることができない。
【0006】
一方、リードにディンプルやアンカーホールを形成した場合には、リード自体のボリュームが減少してしまうため、磁性体基板の電気配線としての電気抵抗が大きくなってしまう、という問題がある。また、前述のボリューム減少に伴ってリードの熱抵抗が高くなってしまうため、磁性体基板の主面に電源回路用のIC/LSIやLED等のように動作時に熱を生じる電子部品が搭載された場合、この電子部品の熱をリードフレームに効率よく伝達することができず、磁性体基板の放熱性が低下してしまう、という問題も生じる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、リードの電気抵抗の増加や、磁性体基板の放熱性の低下を防ぎつつも、磁性体とリードとの密着性向上を図ることが可能な磁性体基板、及び、これを備える電子回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の磁性体基板は、板状の磁性体と導電性板材からなるリードとを備えて、当該リードのうちその厚さ方向に面する上面が前記磁性体の上面から露出するように、前記リードを前記磁性体に封止して構成されるものであって、前記磁性体によって覆われた前記リードの下面に、当該下面から突出する別個の突出部材が固定されていることを特徴とする。
なお、前記リードは、導電性板材にプレス加工やエッチング加工等を施してなるリードフレームの構成要素であり、その平面視形状や大きさは任意である。
【0009】
さらに、本発明の電子回路モジュールは、前記磁性体基板と、前記リードに接触するように前記磁性体基板の上面に搭載された電子部品とを備えることを特徴とする。
なお、電子部品の具体例としては、電源回路用のIC/LSIやLED等の各種半導体素子が挙げられる。
【0010】
上記磁性体基板及び電子回路モジュールによれば、リードの下面に突出部材が固定されていることで、リードと磁性体との実質的な接触面積が拡大すると共に、突出部材が磁性体内部に埋設されることによるアンカー効果が得られるため、磁性体とリードとの密着性向上を図ることができる。
さらに、突出部材がリードと別個に形成されていることで、従来のようにリード自体のボリュームが減少することも無いため、リードが磁性体基板の電気配線として機能する場合にはリードの電気抵抗の増加を防止できる。また、ボリューム減少に伴うリードの熱抵抗の増加も防ぐことができるため、電子部品がリードに接触するように磁性体基板の上面に搭載された場合、この電子部品において発生した熱をリードに効率よく伝達することができる。すなわち、磁性体基板の放熱性低下も防止できる。
【0011】
また、突出部材により磁性体とリードとの密着性向上を図れることで、別途接着剤によってリードを磁性体に固定する必要がなくなる。すなわち、磁性体とリードとの間に熱抵抗の高い接着剤が介在しないことで、前述した電子部品において生じた熱をリードから磁性体側に効率よく逃がすこともできる。例えば、磁性体の下面が搭載基板の搭載面に対向するように、電子回路モジュールを搭載基板に搭載した状態では、電子部品において生じた熱を、リード及び磁性体を介して搭載基板に効率よく逃がすことができる。
【0012】
そして、前記磁性体基板においては、前記突出部材の突出方向の先端部に、当該突出部材の側方に突出すると共に前記リードの下面に対して前記厚さ方向に間隔をあけて位置する係合突起が形成されていることが好ましい。
この構成では、リードの下面と係合突起との間に磁性体が入り込むことで、係合突起によって磁性体とリードとをその厚さ方向に確実に係合させることができる。したがって、磁性体とリードとの密着性をさらに向上させることができる。
【0013】
さらに、前記磁性体基板においては、前記磁性体内部にコイルが埋設されることで、インダクタとして構成されていてもよい。
この構成では、磁性体基板自体がインダクタとして機能し、磁性体基板を電子部品の電源回路として構成できるため、電子部品と共に別個のインダクタを磁性体基板に搭載する場合と比較して、磁性体基板の小型化を図ることができる。
【0014】
また、前記磁性体基板においては、前記突出部材が、前記磁性体をなす磁性材料によって構成されていることが好ましい。
この構成では、磁性体がその特性を損なうことを防止できる。例えば、前述したように磁性体基板がインダクタとして機能する場合、コイルによって磁性体に発生する磁束が、磁性体内部に配された突出部材によって乱されたり、磁性体の外部に漏れてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リードフレームのうち磁性体によって覆われるリードの下面に別個の突出部材を固定しておくことで、電気配線をなすリードの電気抵抗の増加や、磁性体基板の放熱性の低下を防ぎつつも、磁性体とリードとの密着性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子回路モジュールを磁性体基板の上面から見た状態を示す概略平面図である。
【図2】図1に示す電子回路モジュールのA−A矢視断面図である。
【図3】図1に示す電子回路モジュールのB−B矢視断面図である。
【図4】図1〜3に示す電子回路モジュールを製造する方法のうち、加圧成形工程を示す概略断面図である。
【図5】図4に示す加圧成形工程後の状態を磁性体の上面側から見た状態を示す概略平面図である。
【図6】図1〜3に示す電子回路モジュールを製造する方法のうち、キュア工程及び切断工程を実施した後の状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜6を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1〜3に示すように、この実施形態に係る電子回路モジュール1は、磁性体基板2と、磁性体基板2の上面2aに搭載された半導体素子(電子部品)3とを備えて大略構成されている。
磁性体基板2は、板状に形成されて電気的な絶縁性を有する磁性体4と、磁性体4の表面に配された複数のリード22,23と、磁性体4内部に埋設されたコイル5とを備えており、磁性体4及びコイル5によってインダクタが構成されている。この構成において、磁性体4は、コイル5により発生する磁界から大きな磁束密度を得るために用いられており、透磁率の大きな材料を選択することが好ましい。なお、コイル5の両端は、それぞれ磁性体基板2の電気配線をなす別個のリード22に電気接続されている。
【0018】
各リード22,23は、銅材等の導電性材料を磁性体の厚さ寸法と比較して十分に薄い板状に形成したものである。各リード22,23は、磁性体基板2の上面2aをなす磁性体4の上面4a側に配される平板部24,25と、平板部24,25に対して折り曲げられることで磁性体4の側面4c上に配される延長板部26,27とによって大略構成されている。
各リード22,23の平板部24,25は、磁性体4の上面4a側において磁性体4に封止されている。詳細に説明すれば、各リード22,23の平板部24,25のうちリード22の厚さ方向に面する上面24a,25aが、磁性体4の上面4aと同一平面をなすように磁性体4の上面4aから外方に露出し、リード22,23の下面24b,25b及び側面24c,25cは磁性体4によって覆われている。
一方、各リード22,23の延長板部26,27のうち平板部24,25側から延びる延出方向の先端部分は、磁性体4の側面4cから突出するように折り曲げて配され、半導体素子3やコイル5を外部に接続するための外部端子として機能する。なお、この先端部分は、磁性体4の下面4bと同一平面をなすように配されており、これによって、磁性体基板2が表面実装型の基板として構成されている。
【0019】
これら複数のリード22,23は、磁性体基板2の電気配線をなすことを主たる目的とした複数の第一リード22、及び、半導体素子3において生じた熱を効率よく逃がすことを主たる目的とした第二リード23の二種類の二種類に大別される。
各第一リード22は、細長い短冊板状に形成されている。なお、図示例では、一つの第一リード22が平板部24の両端に一対の延長板部26を設けて構成され、残り(二つ)の第一リード22は平板部24及び延長板部26を一つずつ備えて構成されている。また、図示例における各第一リード22の平板部24は、平面視で直線形状に形成されているが、半導体素子3やコイル5との電気接続に適する配線パターンをなすように、平面視で直線形状や屈曲形状等の適宜組み合わせた任意の形状を呈していてよい。
【0020】
一方、第二リード23は、半導体素子3との接触面積が大きくなるように第一リード22よりも幅広の板状に形成され、その平板部25が半導体素子3を搭載するためのダイパッドとして構成されている。なお、この第二リード23は、第一リード22と同様に半導体素子3と電気接続されてもよいが、電気接続されなくてもよい。また、図示例の第二リード23は、その平板部25の両端に一対の延長板部27を設けて構成されているが、例えば一部の第一リード22と同様に、平板部25の一端に一つの延長板部27のみを設けて構成されてもよい。
半導体素子3は、インダクタと共に電源回路を構成するLSIやIC等であり、前述した複数のリード22,23に接触するように磁性体基板2の上面2aに搭載されている。
【0021】
そして、第二リード23の平板部25の下面25bには、下面25bから第二リード23の厚さ方向に突出する別個の突出部材30が固定されている。
突出部材30は、磁性体4と同じ磁性材料によって構成され、突出部材30の突出方向の先端部には、突出部材30の側方に突出する係合突起31が形成されている。この係合突起31は、第二リード23の平板部25の下面25bに対して第二リード23の厚さ方向に間隔をあけて位置している。なお、係合突起31は、突出部材30の周方向の一部にのみ形成されてもよいが、例えば突出部材30の周方向全体にわたって環状に形成されてもよい。また、係合突起31は、例えば突出部材30の周方向に複数配列されてもよい。
【0022】
また、突出部材30は、第二リード23の下面25bに対する接触面積が広くなるように、その突出方向の基端部が幅広に形成されている。そして、突出部材30は、第二リード23の平板部25の下面25bの中心に配され、さらに、平面視でコイル5の中心軸と重なるように位置している。この突出部材30と第二リード23との固定は、接着剤や半田によって行われてもよいし、超音波溶接等の各種溶接よって行われてもよい。
なお、図示例において、第二リード23の平板部25の下面25bには突出部材30が一つだけ固定されているが、例えば複数固定されていてもよい。また、ここでは、第二リード23の平板部25の下面25bに突出部材30を固定することについてのみ説明したが、各第一リード22の平板部24の下面24bにも同様の突出部材30が固定されている。
【0023】
次に、上記構成の電子回路モジュール1を製造する方法について説明する。
電子回路モジュール1の製造に際しては、はじめに、図5に示すように、銅材等からなる導電性板材にプレス加工やエッチング加工等を施したリードフレーム20を用意する(準備工程)。
リードフレーム20は、互いに間隔をあけて平行に配された一対の連結部21と、一対の連結部21の一方から他方に向けて延びるように、各連結部21から一体に突出する複数のリード22とを備えている。なお、図示例において、一対の連結部21は、互いに繋がっていないように見えるが、実際には各連結部21の長手方向(紙面上下方向)の端部等において一体に連結されている。
このリードフレームにおいて、複数のリード22,23のうち一つの第一リード22及び第二リード23は一対の連結部21の両方に繋がっており、これら一つの第一リード22及び第二リード23の延在方向の中間部分が平板部24,25となっている。一方、残り(二つ)の第一リード22は一方の連結部21のみに繋がっており、これら第一リード22の延在方向の先端部分が平板部24となっている。
【0024】
上記準備工程後には、各リード22,23の平板部24,25の下面24b,25bに突出部材30を固定し(固定工程)、次いで、図4に示すように、鉄等の磁性微粒子を樹脂(バインダ)によりコーティングしてなる磁性粉末14を圧縮して板状の磁性体4に成形する加圧成形工程を実施する。
この工程においては、はじめに、リードフレーム20を上下逆さまにした状態で圧縮成形用金型Mの載置面M1に配置する。また、リードフレーム20のうち各リード22,23の平板部24,25を圧縮成形用金型MのキャビティC内に収容し、リードフレーム20の残部(各リード22,23の延長板部26,27及び連結部21)をキャビティCの外側に固定する。
【0025】
次いで、磁性粉末14によって各リード22,23の平板部24,25の下面24b,25b及び側面24c,25cを覆うように、かつ、突出部材30を埋設するように、磁性粉末14をキャビティC内に充填し、リードフレーム20と磁性粉末14とがリードフレーム20の厚さ方向に重ねられた状態とする。また、磁性粉末14の充填と同時あるいは前後においてコイル5を磁性粉末14内に埋め込む。そして、この状態において磁性粉末14をリードフレーム20の厚さ方向から圧縮することにより、磁性粉末14が板状の磁性体4に成形されることになる。
なお、上記加圧成形工程が終了した状態においては、図5に示すように、各リード22,23の平板部24,25が磁性体4の上面4a側に固定され、各リード22,23の延長板部26,27が磁性体4の側面4cから突出するように配されている。
【0026】
そして、上記加圧成形工程後には、磁性体4を加熱することで磁性粉末14の樹脂を完全に一体化し(キュア工程)、次いで、リードフレーム20から連結部21を切り落とすことで複数のリード22,23を電気的に分離する(切断工程)。
さらに、図6に示すように、磁性体4の側面4cから突出する各リード22,23の延長板部26,27を磁性体4の側面4cに這わせるように折り曲げ、さらに、各延長板部26,27の先端部分を磁性体4の側面4cから突出するように折り曲げる(リードフォーミング工程)ことで、磁性体基板2が製造されることになる。
最後に、この磁性体基板2の上面2aに半導体素子3を搭載することで、図1〜3に示す電子回路モジュール1の製造が完了する。なお、半導体素子3の搭載は、磁性体基板2の製造完了後に限らず、少なくともキュア工程よりも後に実施することが可能である。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係る電子回路モジュール1及びこれに備える磁性体基板2によれば、各リード22,23の平板部24,25の下面24b,25bに突出部材30が固定されていることで、磁性体4と各リード22,23との実質的な接触面積が拡大すると共に、突出部材30が磁性体4内部に埋設されることによるアンカー効果が得られるため、磁性体4とリード22,23との密着性向上を図ることができる。
【0028】
さらに、突出部材30がリード22,23と別個に形成されていることで、従来のようにリード22,23自体のボリュームが減少することも無いため、リード22,23(特に第一リード22)が磁性体基板2の電気配線をなす場合、リード22,23の電気抵抗の増加を防止できる。また、ボリューム減少に伴うリード22,23の熱抵抗の増加も防ぐことができるため、半導体素子3がリード22,23に接触するように磁性体基板2の上面2aに搭載されていることで、半導体素子3において発生した熱をリード22,23に効率よく伝達することができる。すなわち、磁性体基板2の放熱性低下を防止することができる。
【0029】
また、突出部材30により磁性体4とリード22,23との密着性向上を図れることで、別途接着剤によってリード22,23を磁性体4に固定する必要がなくなる。すなわち、磁性体4とリード22,23との間に熱抵抗の高い接着剤が介在しないことで、半導体素子3において生じた熱をリード22,23から磁性体4側に効率よく逃がすこともできる。例えば、磁性体4の下面4bが搭載基板の搭載面に対向するように、電子回路モジュール1を搭載基板に搭載した状態では、半導体素子3において生じた熱を、リード22,23及び磁性体4を介して搭載基板に効率よく逃がすことができる。なお、本実施形態では、第二リード23を幅広に形成することで、第二リード23と半導体素子3との接触面積増加が図られているため、半導体素子3の熱を特に効率よく逃がすことができる。
【0030】
また、突出部材30の先端部に係合突起31が形成されていることで、リード22,23の下面24b,25bと係合突起31との間に磁性体4が入り込むため、係合突起31によって磁性体4とリード22,23とをその厚さ方向に確実に係合させることができる。したがって、磁性体4とリード22,23との密着性をさらに向上できる。
さらに、磁性体基板2がインダクタとして構成されていることで、磁性体基板2を半導体素子3と共に電源回路として構成できるため、半導体素子3と共に別個のインダクタを磁性体基板2に搭載する場合と比較して、磁性体基板2の小型化を図ることができる。
また、突出部材30が磁性体と同じ磁性材料によって構成されていることで、磁性体4がその特性を損なうことを防止できる。すなわち、インダクタとして機能する本実施形態の磁性体基板2では、コイル5によって磁性体4に発生する磁束が、磁性体4内部に配された突出部材30によって乱されたり、磁性体4の外部に漏れてしまうことを防止することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、突出部材30には係合突起31が特に形成されていなくてもよい。この場合でも上記実施形態と同様に、突出部材30により磁性体4と各リード22,23との実質的な接触面積が拡大され、また、アンカー効果も得られるため、磁性体4とリード22,23との密着性向上を図ることは可能である。
【0032】
また、各リード22,23の平板部24,25は、その上面24a,25aのみが露出するように側面24c,25cが磁性体4によって覆われているが、少なくとも平板部24,25の下面24b,25bが磁性体4によって覆われていればよい。すなわち、各リード22,23の平板部24,25は、磁性体4の上面4aと同一平面をなすように配されることに限らず、例えば磁性体4の上面4aから突出するように配されてもよい。
さらに、各リード22,23の延長板部26,27の先端部分は、磁性体4の側面4cから突出するように配されるとしたが、少なくとも外部に接続されるように配されていればよく、例えば磁性体4の下面4bに配されていてもよい。また、リード22,23は磁性体4の側面4cに配されていなくてもよく、例えば磁性体4の上面4a側のみに配されていてもよい。
【0033】
また、磁性体基板2の上面2aには、インダクタである磁性体基板2と共に電源回路を構成する半導体素子3が搭載されるとしたが、少なくとも各種電子回路を構成する電子部品が搭載されていればよく、例えばLED素子等の他の半導体素子3が搭載されても構わない。
さらに、磁性体基板2の上面2aには、半導体素子3が1つだけ搭載されることに限らず、例えば複数搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 電子回路モジュール
2 磁性体基板
2a 上面
3 半導体素子(電子部品)
4 磁性体
4a 上面
5 コイル
22 第一リード(リード)
23 第二リード(リード)
24,25 平板部
24a,25a 上面
24b,25b 下面
24c,25c 側面
30 突出部材
31 係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の磁性体と導電性板材からなるリードとを備えて、当該リードのうちその厚さ方向に面する上面が前記磁性体の上面から露出するように、前記リードを前記磁性体に封止してなる磁性体基板であって、
前記磁性体によって覆われた前記リードの下面に、当該下面から突出する別個の突出部材が固定されていることを特徴とする磁性体基板。
【請求項2】
前記突出部材の突出方向の先端部に、当該突出部材の側方に突出すると共に前記リードの下面に対して前記厚さ方向に間隔をあけて位置する係合突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性体基板。
【請求項3】
前記磁性体内部にコイルが埋設されることで、インダクタとして構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁性体基板。
【請求項4】
前記突出部材が、前記磁性体をなす磁性材料によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁性体基板。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁性体基板と、前記リードに接触するように前記磁性体基板の上面に搭載された電子部品とを備えることを特徴とする電子回路モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−222616(P2011−222616A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87651(P2010−87651)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】