説明

磁性粒子除去装置、および被処理流体浄化システム

【課題】被処理流体中の磁性粒子jを磁気吸引力により吸着する吸着面51aと、該吸着面51aに吸着された磁性粒子jを掻取る掻取り面81aを有する除去本体部と、該除去本体部を吸着面51aに沿って相対移動させるためのモータと、を備えた磁性粒子除去装置において、装置全体としての磁性粒子jの除去効率を向上させる。
【解決手段】掻取り面81aにて掻取った磁性粒子jを回収するための回収用空間82と該回収用空間82に連通する粒子吸込口83cとを有する回収タンク部83と、該粒子吸込口83cから該回収用空間82内に磁性粒子jを吸引するためのエジェクタバルブとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着する吸着面と、該吸着面に吸着された磁性粒子を掻き取って除去する掻取り部(除去本体部)とを備えた磁性粒子除去装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
この種の磁性粒子除去装置としては、例えば特許文献1に示すように、内周面にマグネットを配して外周面を磁性粒子吸着用の吸着面とする非磁性回転円筒と、該回転円筒の吸着面に吸着された磁性粒子(切屑等)を掻き取る掻取り板とを備えたものが知られている。この除去装置では、上記非磁性回転円筒を、その吸着面がクーラント液中に浸漬する状態でモータにより回転駆動させることで、掻取り板を、吸着面に沿って周方向に(つまり掻取り板の掻取り面が磁性粒子を掻き取る向きに)相対移動させ、これによって、吸着面に吸着された磁性粒子を該掻取り板で掻き取るようになっている。掻き取られた磁性粒子は、掻取り板に沿って落下して装置外へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−340717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような磁石部材の磁気吸引力を利用した磁性粒子除去装置では、磁性粒子の除去効率の向上を図るために、マグネット数を増やす等して磁気吸引力の増強を図ることが好ましい。
【0005】
しかしながら、このように磁気吸引力を増強した場合には、磁性粒子の吸着面への吸着力が強くなり過ぎる結果、掻取り板により掻き取られた磁性粒子が再び吸着面に吸着されて、磁性粒子の除去効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば、被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着する吸着面と、該吸着面に吸着された磁性粒子を掻き取る掻取り面を有する掻取り部と、該掻取り部を吸着面に沿って相対移動させる相対移動手段とを備えた磁性粒子除去装置において、その構成に工夫を凝らすことで、装置全体としての磁性粒子の除去効率を可及的に向上させようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、例えば、掻取り面にて掻き取った磁性粒子を回収するための回収用空間と該回収用空間に連通する粒子吸込口とを有する掻取り部と、該粒子吸込口から該回収用空間内に磁性粒子を吸込むための吸引部、または該粒子吸込口から粒子排出口に向く被処理流体の流れを生じさせる押し流し部とを備えるようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明は、
磁性粒子を含む被処理流体に接触して該被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着する吸着面と、
掻取り部材を有し、該吸着面に吸着された磁性粒子を掻き取る掻取り部と、
上記吸着面、及び上記掻取り部材の少なくとも一方を、上記掻取り部材が上記吸着面に吸着された磁性粒子を掻き取る向きに相対移動するように移動させる相対移動手段とを備えた磁性粒子除去装置であって、
さらに、上記掻取り部材によって掻き取られた磁性粒子を搬送して排出する搬送部を備え、
上記搬送部は、掻取り部材によって掻き取られた磁性粒子を吸引して排出する吸引部、および上記磁性粒子を押し流して排出する押し流し部の少なくとも一方を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、掻き取った磁性粒子を回収するべく該掻取り部の内部に形成される回収用空間と、該回収用空間に連通する粒子吸込口とを有しており、
上記吸引部は、上記掻取り部材により掻き取った磁性粒子を上記粒子吸込口から上記回収用空間内に吸込むことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、相対移動手段により掻取り部を吸着面に沿って相対移動させると、掻取り部材の掻取り面が、該吸着面に吸着した磁性粒子を掻き取る。掻き取られた磁性粒子は、上記吸引部により吸引されて粒子吸込口から掻取り部内(回収用空間内)に導入される。したがって、一旦掻き取った磁性粒子が吸着面に再吸着される前に、該磁性粒子を掻取り部内(回収用空間内)に導くことができる。よって、磁性粒子の除去効率を確実に向上させることができる。
【0011】
請求項3の発明は、
請求項2記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、上記回収用空間内に吸込まれた磁性粒子を該掻取り部外に排出するべく該回収用空間に連通する粒子排出口を有しており、
上記掻取り部における上記回収用空間と上記吸着面との間には、該回収用空間内に吸引された磁性粒子に対して該吸着面から磁気吸引力が作用するのを阻止する磁気シールド部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、回収用空間内の磁性粒子に対して上記吸着面から作用する磁気吸引力を、該回収用空間と吸着面との間に配設された磁気シールド部材によって遮断することができる。したがって、回収用空間内の磁性粒子の流動性が該磁気吸引力により損なわれることもなく、このため、回収用空間内に吸込んだ磁性粒子を上記粒子排出口まで確実に流動させて排出することができる。よって、回収用空間内に磁性粒子が堆積したり、粒子吸込口が該堆積した磁性粒子で閉塞されたりして、磁性粒子の回収効率が低下するのを確実に防止することができる。
【0013】
また、磁気シールド部材が上記吸着面からの磁気吸引力により該吸着面側に引き寄せられるので、掻取り部も磁気シールド部材と共に吸着面側に引き寄せられる。この結果、掻取り部に設けられた掻取り面の吸着面側の端縁が、該吸着面に押付けられることとなって、比較的小さな磁性粒子をも逃さずに該掻取り面で掻き取ることができる。よって、磁性粒子の除去効率を可及的に向上させることが可能となる。更に、この磁性体の大きさの選定、配置の調整、適切な磁気シールド性能を有するシールド部材の選出等によって透磁率を調整することによって、上記吸着面への吸着状態や上記吸着面からの掻取り状態を制御できる。したがって、被処理流体中に含まれる磁性粒子jの大きさや量に応じて、この磁性体の透磁率を調整することで、磁性粒子jを効率的に除去することができる。
【0014】
請求項4の発明は、
請求項3記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部材は、厚さ方向の一方側面が上記吸着面に当接又は近接し、かつ、上記相対移動方向の前側側面が掻取り面とされる板状部材からなり、
上記磁気シールド部材は、上記板状部材の厚さ方向の他方側面に積層されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、上記掻取り部における上記磁気シールド部材と吸着面との間に挟まれた部分が板状部材とされているので、吸着面と磁気シールド部材との距離を極力近づけて該吸着面から磁気シールド部材に作用する磁気吸引力を高めることができる。したがって、該磁気シールド部材と吸着面との間に挟まれた板状部材を、吸着面側に強力に押付けることができ、延いては、上記掻取り面の吸着面側の端縁を吸着面に強力に押付けることができる。したがって、請求項3の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることができる。
【0016】
請求項5の発明は、
請求項4記載の磁性粒子除去装置であって、
上記粒子吸込口は、上記除去本体部における上記相対移動方向の前側面に形成されており、
上記掻取り面は、上記相対移動方向の後側に行くにしたがって上記吸着面と離れる側に傾斜する傾斜面とされ、
上記掻取り面の上記相対移動方向の後側端部は、上記粒子吸込口に接続されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、上記掻取り面で掻き取られた磁性粒子を、該掻取り面に沿って粒子吸引口まで案内することができる。よって、磁性粒子を粒子吸引口から回収用空間内に確実に案内回収することができる。
【0018】
請求項6の発明は、
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、粒子吸込口、粒子排出口、および上記吸着面から引きはがされた磁性粒子を上記粒子吸込口から粒子排出口に集約する回収用空間を有し、
集約された磁性粒子が上方または水平方向に排出されることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、磁性粒子を集約させて、装置のレイアウトや被処理流体の性状などに応じて、適切な方向に排出させることなどが容易にできる。
【0020】
請求項7の発明は、
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、粒子吸込口、粒子排出口、および上記吸着面から引きはがされた磁性粒子を上記粒子吸込口から粒子排出口に集約する回収用空間を有し、
上記押し流し部は、上記粒子吸込口から粒子排出口に向く被処理流体の流れを生じさせる被処理流体噴出部を有していることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、磁性粒子を集約させて、被処理流体の流れの作用によって排出させることができる。
【0022】
請求項8の発明は、
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、粒子吸込口、粒子排出口、および上記吸着面から引きはがされた磁性粒子を上記粒子吸込口から粒子排出口に集約する回収用空間を有し、
上記吸着面と回収用空間との間に、磁性体から成る磁気シールド部材が設けられていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、やはり、回収用空間内の磁性粒子に対して上記吸着面から作用する磁気吸引力を遮断することができる。よって、回収用空間内の磁性粒子の流動性が該磁気吸引力により損なわれることもなく、このため、回収用空間内に吸込んだ磁性粒子を上記粒子排出口まで確実に流動させて排出することができ、回収用空間内に磁性粒子が堆積したり、粒子吸込口が該堆積した磁性粒子で閉塞されたりして、磁性粒子の回収効率が低下するのを確実に防止することができる。
【0024】
請求項9の発明は、
請求項8記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部材、及び磁気シールド部材は、吸着面に吸着された磁性粒子が吸着面から引きはがされる位置から、上記粒子排出口が設けられている位置にかけて、上記吸着面から磁気シールド部材の上面までの距離が大きくなる傾斜を有することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、上記磁気吸引力の遮断作用が、磁性粒子が粒子排出口に向かうほど大きくなるので、より確実に搬送されやすくすることができる。
【0026】
請求項10の発明は、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部を上記吸着面側に押付ける付勢バネをさらに備えていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、付勢バネにより掻取り部を吸着面側に押付けることができる。したがって、掻取り部の掻取り面の吸着面側の端縁をより一層確実に吸着面に押付けて、磁性粒子の除去効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明の磁性粒子除去装置によると、例えば、掻取り面にて掻き取った磁性粒子を回収するための回収用空間と該回収用空間に連通する粒子吸込口とを有する除去本体部と、該粒子吸込口から該回収用空間内に磁性粒子を吸込む吸引部等とを備えるようにしたことで、磁性粒子の除去効率を可及的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1の被処理流体浄化システムの構成を示す全体図である。
【図2】ダスト分離用タンク103の構成を示す縦断面図である。
【図3】同、右側面図である。
【図4】同、平面図である。
【図5】サイクロン式分離除去装置1の構成を示す縦断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線断面図である。
【図9】サイクロン式分離除去装置1の永久磁石の配設状態を示す横断面図である。
【図10】実施形態1の磁性粒子除去装置50の構成を示す縦断面図である。
【図11】実施形態1の円板状吸着部60の永久磁石の配設状態を示す平面図である。
【図12】実施形態1の吸着面の構造を示す拡大図である。
【図13】図10のXIII−XIII線断面図である。
【図14】実施形態1の除去本体部80の構成を示す縦断面図である。
【図15】実施形態2の被処理流体浄化システムの構成を示す全体図である。
【図16】実施形態2の磁性粒子除去装置50の構成を示す縦断面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面図である。
【図18】実施形態2の除去本体部80の構成を示す縦断面図である。
【図19】実施形態3の被処理流体浄化システムの構成を示す全体図である。
【図20】実施形態3の磁性粒子除去装置50の構成を示す縦断面図である。
【図21】実施形態3の除去本体部80の構成を示す縦断面図である。
【図22】実施形態4の被処理流体浄化システムの構成を示す全体図である。
【図23】実施形態4の磁性粒子除去装置50の構成を示す縦断面図である。
【図24】実施形態4の除去本体部80の構成を示す縦断面図である。
【図25】実施形態5の磁性粒子除去装置50の構成を示す断面図である。
【図26】実施形態6の磁性粒子除去装置50の構成を示す断面図である。
【図27】他の実施形態の円板状吸着部60の構成を示す平面図である。
【図28】他の実施形態の被処理流体浄化システムの構成を示す全体図である。
【図29】他の実施形態の被処理流体浄化システムの構成のさらに他の例を示す全体図である。
【図30】他の実施形態のサイクロン式分離除去装置1の構成を示す縦断面図である。
【図31】他の実施形態の磁性粒子除去装置50の構成を示す断面図である。
【図32】図31のXIII−XIII線断面図である。
【図33】他の実施形態の磁性粒子除去装置50の構成のさらに他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る被処理流体浄化システム100を示し、本実施形態では一例として、このシステム100を、工作機械101のクーラント液(被処理流体)の浄化システムに適用した例を示す。
【0032】
すなわち、上記被処理流体浄化システム100は、工作機械101において、クーラント液(すなわち被処理流体)の中に混入する切粉(磁性粒子j)或いは該切粉と砥粒との溶着したもの等からなる切削屑である磁性粒子j(図5及び図14参照)と、クーラント液とを分離し、該磁性粒子jを分離回収する場合に適用したものである。より具体的には、このシステム100は、ダーティタンク102と、ダスト分離用タンク103と、サイクロン供給用貯留タンク109と、サイクロン式分離除去装置1と、磁性粒子除去装置50と、スーパクリーンタンク104とを備えている。
【0033】
工作機械101から排出されたダーティ液(磁性粒子jを除去する前の被処理流体)は先ず、ダーティタンク102内へと導かれて貯留される。ダーティタンク102内に貯留された被処理流体は、ポンプ115により汲み上げられて、ダスト分離用タンク103へと導かれる。ダスト分離用タンク103では、後述するマグネットプレート108f等に吸着され、または自重で速やかに沈殿する比較的大きなダストなどが除去され、残りのダストを含む被処理流体がサイクロン供給用貯留タンク109に貯留される。
【0034】
サイクロン供給用貯留タンク109に貯留された被処理流体は、ポンプ105により汲み上げられてサイクロン式分離除去装置1へと導かれる。サイクロン式分離除去装置1では、後述するように、比重が比較的小さい磁性粒子jが浮上物排出口21(図5参照)からダスト分離用タンク103へと排出された後、比重が比較的大きい磁性粒子jが遠心力により分離されて排出口4(図5参照)から、ダスト分離用タンク103へと排出され、浄化処理後の被処理流体が、筒状排出管6から排出されて磁性粒子除去装置50へと導かれる。
【0035】
磁性粒子除去装置50では、サイクロン式分離除去装置1で除去しきれなかった磁性粒子jを含む被処理流体が分離されてサイクロン供給用貯留タンク109へと戻される一方、浄化処理後の被処理流体はスーパクリーンタンク104内に排出される。尚、図1中、符号106は、後述するように磁性粒子除去装置50にて分離した磁性粒子jを吸引するためのエジェクタバルブ(吸引手段に相当)である。
【0036】
上記スーパクリーンタンク104に導かれて貯留された、磁性粒子除去後のクリーンな被処理流体は、不図示のポンプにより工作機械101に供給されてクーラント液として使用される。尚、スーパクリーンタンク104内の被処理流体は、その水位が所定水位h2に達すると戻り管104bからサイクロン供給用貯留タンク109へと戻されるようになっている。これに伴って、軽くてスーパクリーンタンク104内で表面に浮いたダストも、サイクロン供給用貯留タンク109へと戻される。また、磁性粒子除去装置50によっても除去されずスーパクリーンタンク104内で沈殿したダストは、スーパクリーンタンク104の底部に設けられた排出管104c、および排出バルブ104dを介してダーティタンク102に排出されるようになっている。
【0037】
上記のように、工作機械101から排出された被処理流体が直接サイクロン式分離除去装置1に供給されず、一旦ダスト分離用タンク103によって比較的大きなダストなどが除去されてから供給されることによって、より小さなダストを含む被処理流体が遠心分離の対象となるので、サイクロン式分離除去装置1における比較的小さな磁性粒子jの除去効率を容易に高めることができる。また、さらに磁性粒子除去装置50を組み合わせることによって、より小さな磁性粒子jの除去効率を高めることができる。すなわち、例えば、各装置の特性をダストの性状等に応じて特化させて、種々の大きさのダストに対する全体的な除去効率を大幅に高めることなどができる。
【0038】
なお、上記のシステム構成例は一例であり、種々の変形構成が可能である。例えば、工作機械101から排出された被処理流体は、ダーティタンク102を介してダスト分離用タンク103に供給されるのに限らず、直接ダスト分離用タンク103に供給されるようにしてもよい。また、ダスト分離用タンク103から排出された被処理流体は、サイクロン供給用貯留タンク109に貯留された後にサイクロン式分離除去装置1に供給されるのに限らず、ダスト分離用タンク103から直接供給されるようにしてもよい。もっとも、上記のようにダスト分離用タンク103の前後にダーティタンク102および/またはサイクロン供給用貯留タンク109を設ける場合には、ダスト分離用タンク103の流入、流出量を適切に設定、または制御して、ダストの除去効率を向上させることが、より容易になる。また、サイクロン式分離除去装置1から排出される磁性粒子jや浮上物は、通常はダスト分離用タンク103に戻されるのが、ダストボックス107、浮上物回収ボックス103mへの回収をスムーズに行いやすい点で好ましいが、これに限らず、ダーティタンク102やサイクロン供給用貯留タンク109に戻されるなどしてもよいし、別途分離処理されるようにしてもよく、最終的にダスト等の回収が可能であればよい。
【0039】
−ダスト分離用タンク103の構成−
ダスト分離用タンク103は、例えば図2〜図4に示すような構成を有している。流入管103aから流入した被処理流体は、タンク流入口103cからタンク本体内に流入し、流入口仕切板103jを回り込み、排出口下方仕切板103gと排出口側方仕切板103hとの間を通過して、排出管103bから排出されるようになっている。
【0040】
上記被処理流体が流れる経路付近には、マグネット103d、およびマグネットプレート108fが設けられ、ダスト(磁性粒子)が、自重で沈殿するのに加えて、強制的に吸着、沈殿させられて、捕捉されるようになっている。タンク流入口103cの近傍のマグネット103dに捕捉されたダストは、転がり落ちてタンク内に沈殿するか、または、切り屑排出口103eから強制的に排出できるようになっている。上記切り屑排出口103eは、通常の運転時には、蓋103fで塞がれている。
【0041】
一方、マグネットプレート108fに吸着され、またはタンク内に沈殿したダストは、コンベア式のダスト分離装置108によって、ダストボックス107に排出される。ダスト分離装置108は、モータ108aにより駆動される駆動軸108bと、従動軸108cと、両者間に掛け渡されたチェーンベルト108dとを備えている。上記チェーンベルト108dには適宜間隔でスクレーパ108eが立設され、このスクレーパ108eによって、マグネットプレート108fに吸着され、またはタンク内に沈殿したダストが掻き出される。
【0042】
上記ダスト分離装置108は、限定はされないが、例えばユニット化されて、斜め上方に引き抜くことができるよう脱着自在に設けられ、メインテナンスが容易にできるようにされるようになっている。また、ダスト分離装置108を引き抜いた状態でも、ダスト分離用タンク103内に沈殿したダスト等を手動で掻き出すことが容易にできるようになっている。なおダスト分離装置108は、上記のような構成に限るものではなく、例えば特開2003−251542号公報に示されるものなど、公知の種々の構造を有するものを適用してもよい。
【0043】
ダスト分離用タンク103には、また、後に詳述するサイクロン式分離除去装置1から排出された磁性粒子j、および浮上物も回収管121・122を介して回収されるようになっている。回収管121によって回収された磁性粒子jは、ダスト分離用タンク103の底に沈殿し、またはマグネットプレート108fに吸着されて、上記のようにダスト分離装置108によりダストボックス107に排出される。浮上物が回収される回収管122は、ダスト分離用タンク103内で下方を除く周囲を浮上物仕切板103iに囲まれている。これにより、回収された浮上物は上記浮上物仕切板103iに囲まれた範囲内に止められ、サイクロン供給用貯留タンク109に送られる被処理流体中に混入するのが防止されるようになっている。上記浮上物は、ダスト分離用タンク103内の水位が上昇すると浮上物回収ボックス103mに排出される(図3)。
【0044】
また、必須な構成要素ではないが、ダスト分離用タンク103の側方には、内部の液位などを視認するための監視窓103k(図3)が設けられている。
【0045】
−サイクロン式分離除去装置の構成−
サイクロン式分離除去装置1は、図5に示すように、ステンレス、アルミニウムや樹脂等の非磁性体からなるサイクロン式処理容器2と、該サイクロン式処理容器2の上側に配設される浮上物回収タンク15と、サイクロン式処理容器2内の浄化後の被処理流体を該処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1外)へと排出する筒状排出管6とを備えている。該サイクロン式処理容器2及び浮上物回収タンク15は、上端部が閉塞された略円筒状の本体部2aと、該本体部2aの下端部に接続される略円筒状の流体渦流部2eとで構成されている。より具体的には、本体部2aの内側空間13は、仕切り板18により上下に仕切られており、この仕切り板18がサイクロン式処理容器2の上壁部を構成するとともに、浮上物回収タンク15の底壁部を構成している。
【0046】
このサイクロン式処理容器2は、上下方向に延びる内側周側壁面2gに、逆円錐状部2b,2dを形成した槽体からなるものであって、後述するように、磁性粒子jを含む被処理流体を該内側周側壁面2gに沿って、サイクロン式分離除去装置1を上方から見たときにおける反時計回り方向に旋回流動させることでその遠心力により該磁性粒子jを分離する。尚、被処理流体を時計回り方向に旋回流動させるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0047】
より詳細には、サイクロン式処理容器2の内側周側壁面2gは、その上端部に形成されて内径が上下方向の全体に亘って略一定となる円筒状部2fと、該円筒状部2fの下側に連設され、下側ほど内径が小さくなる上記上側逆円錐状部2bと、該上側逆円錐状部2bに隣接してその下側に形成された下側逆円錐状部2dと、両逆円錐状部2b,2d同士を接続する円錐状部2cとからなる。該円筒状部2f、両逆円錐状部2b,2d、及び円錐状部2cの軸心は一致しており、この軸心が、サイクロン式処理容器2の中心軸1Cとされる。そして、この中心軸1Cは、被処理流体の旋回中心軸に略一致している。尚、円筒状部2fは、上記本体部2aの内側周側壁面における仕切り板18よりも下側の部分とされ、両逆円錐状部2b,2d及び円錐状部2cは、上記流体渦流部2eの内側周側壁面とされている。
【0048】
上記円筒状部2fの上端部(つまりサイクロン式処理容器2の上端部)には、図5、図6に示すように、上記サイクロン式処理容器2内に被処理流体を導入するための導入口3が形成されている。この導入口3は、上側から見て該円筒状部2fに対してその接線方向から貫通して開口するとともに、該開口から処理容器2内に流入する被処理流体を該円筒状部2fの中心軸(処理容器2の中心軸1C)周りに反時計回り方向に旋回流動させるように構成されている(なお、図5に示す断面には、実際には導入口3は現れないが、図5では、便宜上、ほぼ同図の断面に投影した位置に表している。)。こうして、被処理流体は、該円筒状部2fにおいて反時計回り方向に旋回流動されることで、その勢いで流体渦流部2e内においても同方向(反時計回り方向)に旋回流動される。
【0049】
上記下側逆円錐状部2dの上端の内径は、上側逆円錐状部2bの下端の内径よりも大きくなっており(つまり拡径している)、後述するように、この下側逆円錐状部2dの上端部に磁性粒子jが分離集約されるようになっている。
【0050】
上記下側逆円錐状部2dの上端と上側逆円錐状部2bの下端とは、下側ほど拡径する円錐状部2cを介して接続されている。下側逆円錐状部2dの下端(つまりサイクロン式処理容器2(流体渦流部2e)の底面)には、磁性粒子jを排出するための排出口4が設けられている。これら両逆円錐状部2b,2d及び円錐状部2cを構成する流体渦流部2eは、円筒外筒5に嵌合挿入されて着脱可能になっている。尚、円筒外筒5はステンレス、合成樹脂等の非磁性体で構成するが、永久磁石10の磁力の作用上で影響が無ければ、鋼管としてもよい。また、本体部2a及び流体渦流部2eは別体で構成しているが、一体でもよい。
【0051】
円筒外筒5は、その上端部の外周面に形成された雄ねじ部9bを本体部2aの下端部に形成された雌ねじ部9aに螺合してねじ込み固定されている。流体渦流部2eの上端面の外周縁、及び、円筒外筒5の上端面の内周縁は共に面取り加工が施されていて、両面取り面によりV字状の溝部が形成され、この溝部にOリング8がセットされている。こうすることで、本体部2aと流体渦流部2eとの接続部から被処理流体が漏出するのを防止している。特に、円筒外筒5の上端部がねじ込まれて本体部2aの下端部に押しつけられ、且つ流体渦流部2eの上端面がスプリング(図示省略)で上方に押しつけられることで、組み付けでき且つシールできるので、組付性及びメンテナンス性に優れる。
【0052】
上記浮上物回収タンク15は、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上した比較的比重の小さい浮上物(例えば、比重の軽い磁性粒子、油成分、浮遊カーボン、浮遊ゴミ等であり、以下浮上物と称す)を回収するためのものであって、上述のように、底壁部がサイクロン式処理容器2の上壁部(仕切り板18)で構成されている。
【0053】
浮上物回収タンク15の内側周側壁面15aは、上記サイクロン式処理容器2の円筒状部2fと同軸の円筒状をなしていて、上下方向において径寸法が略一定となるように形成されている。
【0054】
また、浮上物回収タンク15の内側周側壁面15aには、回収した浮上物を含む被処理流体を該回収タンク15外(装置1外)へと排出するための浮上物排出口21が形成されている。この浮上物排出口21は、図6に示すように、上側から見て該回収タンク15の内側周側壁面15aに対してその接線方向から貫通して開口している。より詳細には、該浮上物排出口21は、上記導入口3に対して、サイクロン式処理容器2の中心軸1C(回収タンク15の中心軸)を挟んで相対向する位置に形成されており、該浮上物排出口21の軸心方向は、該導入口3の軸心方向に対して垂直な関係にある。
【0055】
上記浮上物回収タンク15の底壁部(つまりサイクロン式処理容器2の上壁部)を構成する仕切り板18には、該処理容器2の上部に浮上した浮上物を浮上物回収タンク15内に導くための回収用貫通孔が形成されている。
【0056】
この回収用貫通孔は、複数のスリット19からなり、各スリット19は、上側から見てサイクロン式処理容器2(円筒状部2f)の中心部側から径方向外側に延びるとともに、該処理容器2の中心軸1C(円筒状部2fの中心軸)周りに周方向に等間隔(本実施形態では90°間隔)に配設されている。
【0057】
各スリット19は、仕切り板18の該各スリット19に対応する部分を切り欠いて下側に折り曲げることで形成されている。該仕切り板18の該折り曲げた部分である折曲げ片20は、図7に示すように各スリット19から回収タンク15内へと浮上物を案内する案内用折曲げ片20a(本実施形態では、4つの折曲げ片20のうちの3つ)と、図8に示すように仕切り板18の下面近傍の流れ(サイクロン式処理容器2内の上端部の流れ)を整流するための整流用折曲げ片20bとで構成されている。
【0058】
上記案内用折曲げ片20aは、仕切り板18のスリット19に対応する部分をその幅方向の旋回下流側(被処理流体の旋回方向の下流側であって、図7の右側)の側縁部に沿って(側縁部を基端部として)、旋回上流側が下方に傾斜するように折り曲げることで形成されている。
【0059】
一方、上記整流用折曲げ片20bは、仕切り板18のスリット19に対応する部分をその幅方向の旋回上流側(被処理流体の旋回方向の上流側であって、図8の左側)の側縁部に沿って(側縁部を基端部として)、旋回下流側が下方に傾斜するように折り曲げることで形成されている。
【0060】
なお、実施形態では、案内用折曲げ片20aと整流用折曲げ片20bとを設けたが、旋回流の渦流形成状態によれば、案内用折曲げ片20aだけとして、整流用折曲げ片20bを省略することもあり得る。
【0061】
上記筒状排出管6(図1参照)は、サイクロン式処理容器2及び浮上物回収タンク15の中心部を通って上下方向に延びるとともに、該処理容器2の内外を連通することで該処理容器2内のクリーンな被処理流体を該処理容器2外(装置1外)へと導くように構成されている。
【0062】
より詳細には、筒状排出管6は、その下端部がサイクロン式処理容器2内に位置していて、そこから上側に向かって延びるとともに、該処理容器2の上壁部(仕切り板18であって浮上物回収タンク15の底壁部)及び浮上物回収タンク15の上壁部(本体部2aの上端部)を貫通して該処理容器2外(装置1外)へと延設されている。換言すると、上記筒状排出管6は、浮上物回収タンク15を串刺すようにその中心部を通って上下方向に延設されている。筒状排出管6の下端部の開口(以下、流体排出口7という)の高さ位置は、下側逆円錐状部2dの上端とほぼ同じ高さ位置か、その近傍(例えば、下側逆円錐状部2dの上端よりも上側で上側逆円錐状部2bの下端よりも下側)に位置しており、後述するように、磁性粒子jが除去されたクリーンな被処理流体は、該流体排出口7から筒状排出管6内を通って装置1外へと導かれる。また、流体排出口7が設けられた筒状排出管6の下端部の外周面は僅かに外側に拡径しており、こうすることで、流体により確実に遠心力が作用するようになっている。しかし、場合によれば、該下端部は筒状排出管6の本体部分(該下端部を除く部分)と同径のままでもよい。
【0063】
上記サイクロン式処理容器2(流体渦流部2e)における下側逆円錐状部2dの上端部および上側逆円錐状部2bの下端部付近の外周面2h(側壁部2iの外周面)には、図9に示すように円周溝12,11が形成され、それぞれ8個の永久磁石10が嵌め込まれている。これらの永久磁石10は、例えば矩形の薄板状をなし、円周方向に隣り合う2個ずつがヨーク22によって連結されている。上記ヨーク22は、例えばパーマロイの薄板が折り曲げられて形成されている。各永久磁石10の円周方向の位置決めは、間に交互に配置された薄肉スペーサ16および厚肉スペーサ17によってなされている。また、ヨーク22の円周方向の位置決めは、上記厚肉スペーサ17によってなされている。上記のようにヨーク22を設けることによって、該永久磁石10による磁気吸引力をより一層強めることができる。すなわち、ヨーク22を永久磁石10の径方向外側に配置し、2個ずつの永久磁石10を連結することで、径方向外側に逃げる磁力線を減らせるので、永久磁石10の径方向内側に作用する磁力が強くなる。したがって、永久磁石10のコンパクト化を図ることができる。また、永久磁石10の径方向外側に、鉄製部材等の強磁性体を配設したとしても該強磁性体に対して永久磁石10からの磁気吸引力の影響が低減される。このため、サイクロン式処理容器2やその周辺装置を設計する際の設計自由度を高めることができる。
【0064】
なお、図9においてはヨーク22の厚さを永久磁石10の厚さよりも薄く描いているが、例えば、永久磁石10としてネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石などを用い、ヨーク22として鋼板を用いる場合には、ヨーク22を永久磁石10と同等以上の厚さに設定するなどしてもよい。
【0065】
また、上記ヨーク22に加えて、例えば、円筒外筒5の外周にさらに同様のヨークを設け、吸引力をより大きくできるようにしてもよい。
【0066】
各永久磁石10は、円周溝11,12共に、半径方向内側がS極になるものとN極になるものとが、互いに隣り合うように配設されている。
【0067】
なお、永久磁石10を設ける方法は、上記のように円周溝11,12に嵌め込むのに限らず、例えば、永久磁石10の外形に対応する凹部を側壁部2iの外周面2hに形成して嵌め込むなどしてもよい。また、ヨーク22によって連結される永久磁石10の個数は2個に限らず、より多くてもよく、さらには、ヨーク22をリング状にし、全部の永久磁石10を連結するようにしたりしてもよい。一方、永久磁石10とほぼ同形状の磁性体を各永久磁石10の背面に重ねるように設けるだけでもよい。また、永久磁石10は、筒状排出管6における流体排出口7の上下付近で上下2段に設けるのに限らず、何れか一方だけ設けるなどしてもよい。
【0068】
また、サイクロン式分離除去装置1としては、上記のような構成のものに限らず、遠心分離機能を備えた種々の装置が適用できる。具体的には、例えば浮上物回収タンク15を備えず、遠心分離による磁性粒子jの除去などを主とする装置を用いるなどしてもよい。
【0069】
−サイクロン式分離除去装置の動作−
以上のように構成されたサイクロン式分離除去装置1における磁性粒子jの分離回収動作について説明する。
【0070】
先ず、磁性粒子jを含む被処理流体が、高速で、導入口3(図5参照)からサイクロン式処理容器2内に導入される。導入された被処理流体は、該処理容器2の内側周側壁面2gの円筒状部2fに沿って上記筒状排出管6周りに旋回運動することで旋回流が生じる。ここで、被処理流体中に含まれる比重の小さい浮上物は、これを浮上させようとする浮力によって、処理容器2内の上部に浮上集約されることとなる。この浮上集約された浮上物は、被処理流体が筒状排出管6周りに旋回流動する過程で、スリット19から浮上物回収タンク15内へと流入する。より具体的には、サイクロン式処理容器2内の上端部(仕切り板18の下面近傍)に集約された浮上物は、被処理流体の旋回流動により該処理流体と共にその旋回上流側から旋回下流側へと流れる中で、上記案内用折曲げ片20aの案内面20j(図7参照)に衝突することでその進路を上方へと変更し、回収タンク15内へと導かれる。回収タンク15内へと導かれた浮上物を含む被処理流体は、その旋回慣性により該回収タンク15内においてもその内側周側壁面15aに沿って上記筒状排出管6周りに旋回流動して、上記浮上物排出口21から接線方向に排出され、装置1外へと導かれる。
【0071】
一方、上記導入口3からサイクロン式処理容器2内に流入した被処理流体のうち、回収タンク15内に流入しなかった残りの流体(つまり比重の小さい浮上物が除去された被処理流体)は、逆円錐状部2bに導かれて下側に行くほど回転速度を増加させていく。これに伴って、被処理流体中の磁性粒子jは、遠心力が作用して径方向外側に移動し、内側周側壁面2gに沿って旋回しながら下降する。そして、被処理流体の回転速度が最も速くなる上側逆円錐状部2bの下端部にて、被処理流体中の磁性粒子jには、大きな遠心力が作用するとともに、上方側の円周溝11に嵌入された永久磁石10から径方向外側へと向かう磁気吸引力が作用することとなる。この結果、該磁性粒子jは、内側周側壁面2g側(径方向外側)に分離される。
【0072】
一方、磁性粒子jが極めて少なくなったクリーンな流体は上側逆円錐状部2bの中心部寄りに残ることとなる。ここで、磁性粒子jが極めて少なくなったクリーンな流体と表現した理由は、1μm〜5μmの磁性粒子が、軽いためにクリーンな流体と共に筒状排出管6に導かれることがあり、僅かに磁性粒子が含まれている可能性があるからである。
【0073】
そして、被処理流体は、主として5μm以上の磁性粒子jが内側周側壁面2g側に偏って分離された状態のまま円錐状部2cに導かれる。
【0074】
円錐状部2cにおいては、被処理流体の旋回流速は若干低下するものの、上記のように既に内側周側壁面2g側に偏った状態にある磁性粒子jは、さらに径方向外側へと移動する。
【0075】
そうして、円錐状部2cを通過した被処理流体中の磁性粒子jは、下側逆円錐状部2dの上端部に流入すると、その径方向外側への流動慣性力に加えて、下方側の円周溝12に嵌入された永久磁石10から径方向外側へと向かう磁気吸引力を受けて、下側逆円錐状部2dの上端部に分離集約される。上記下側逆円錐状部2dの上端部に分離集約された磁性粒子jは、いずれ団塊状になってその自重により下側逆円錐状部2dの傾斜面に沿って落下し、排出口4から排出され、該排出された磁性粒子jは、ダスト分離用タンク103(回収容器)内に回収される。
【0076】
一方、下側逆円錐状部2dに流入した被処理流体は、旋回流動(渦流)するとともに、中心部の被処理流体には上向き軸方向の力が作用して、流体排出口7から筒状排出管6を通って磁性粒子除去装置50へと供給される。
【0077】
上記実施形態では、下側逆円錐状部2dの内壁に吸着した磁性粒子は自重で落下するが、更に吸着した磁性粒子の落下を促進したい場合には、磁石部材の磁力を弱める機構、例えば、磁石部材及び/またはヨークを上下動させるような機構を設けて積極的に分離除去するようにしてもよい。
【0078】
−磁性粒子除去装置の構成−
上記磁性粒子除去装置50は、図1に示すように、スーパクリーンタンク104の上壁部104aにおけるタンク長さ方向の一方側端部に取付けられていて、上述のように、サイクロン式分離除去装置1から供給される被処理流体中の磁性粒子j(サイクロン式分離除去装置1で除去しきれなかった磁性粒子j)を分離除去する。
【0079】
より具体的には磁性粒子除去装置50は、図10〜図14に示すように、磁性粒子jを吸着する吸着面51aを有する円板状吸着部60と、該吸着面51aに吸着された磁性粒子jを掻き取る掻取り面81a(図14参照)を有する除去本体部80(掻取り部)と、円板状吸着部60をその軸心回りに図13で反時計回り方向に回転駆動させる駆動モータ56とを備えている。
【0080】
円板状吸着部60は、図11に示すように、金属性の円板本体52と、該円板本体52の上面に埋設される矩形板状の永久磁石55及びヨーク54と、永久磁石55の間隔を一定に保つスペーサ57と、該永久磁石55等を覆うように配設された円形プレート51とを備えている。より具体的には、円板本体52の上面には、その軸心周りに形成された2重の円周溝53に、それぞれ、同図に示す極性が上面側になるように、永久磁石55とヨーク54が積層された状態で嵌め込まれている。なお、ヨークとしては、例えばパーマロイから成るものが用いられるが、これに限られるものではなく、磁力を強くする磁性体であれば良く、ニッケルメッキを施した鉄系部材などでもよい。
【0081】
上記円形プレート51は、非磁性体(本実施形態ではステンレス)からなるものであって、下面を上記永久磁石55の上面55aに当接させて配設されている。該円形プレートの上面が上記吸着面51aを構成している。尚、円形プレート51は、図示しない接着補強材により円板本体52に接着固定されている。
【0082】
上記円板状吸着部60(円板本体52及び円形プレート51)は、その中心部にて上下方向に延びる駆動シャフト61の下端部にナット62により固定されている。該駆動シャフト61の上端部は、ギヤケース63内の減速機(図示省略)を介してモータ56の駆動軸に動力伝達可能に連結されている。モータ56およびギヤケース63は、スーパクリーンタンク104の上側を覆うタンク上壁部104aに支持プレート64を介して固定されている。
【0083】
支持プレート64には、サイクロン式分離除去装置1から排出された浄化後の被処理流体を磁性粒子除去装置50内に導くための導入口64aが形成されている。導入口64aは、上側から見て円板状吸着部60の径方向外側端部(本実施形態では、タンク長さ方向の一方側の周縁部)と重なる位置に配置されている。
【0084】
支持プレート64の上面64bには、該導入口64aと略同軸に配設されたオス型の配管継手65がボルト66により固定されている。そして、サイクロン式分離除去装置1の筒状排出管6は、この配管継手65を介して上記導入口64aに接続されており、これにより、該排出管6から導入口64aへと被処理流体が導かれる。
【0085】
支持プレート64の下面64cにおける上記導入口64aに対応する部分には、該導入口64aから流入する被処理流体を、上記円板状吸着部60(吸着面51a)へと案内する案内ダクト67がビス73により固定されている。この案内ダクト67は、断面略矩形状(図13参照)をなしていて、支持プレート64の下面64cから下側に向かって延設されている。案内ダクト67の下端部には、タンク長さ方向の他方側に開放する開口部68が設けられている。この開口部68は、タンク長さ方向から見て、タンク幅方向に長い略矩形状をなしている。
【0086】
より詳細には、この案内ダクト67は、タンク長さ方向に並ぶ内側ダクト壁67a及び外側ダクト壁67bと、タンク幅方向に並設されて該内側及び外側ダクト壁67a,67bを連結するダクト側壁67g,67hとを備えて構成されており、上記内側ダクト壁67aは、上下方向に延びてその下端縁が外側ダクト壁67bの下端縁よりも上側に位置するように形成されている。そして、この内側ダクト壁67aの下端縁が上記開口部68の上側辺を構成している。
【0087】
また、上記外側ダクト壁67bは、支持プレート64の下面64cから上記内側ダクト壁67aの下端縁と略同高さ位置まで延びる垂直壁部67cと、該垂直壁部67cの下端に連設され下側に向かってタンク長さ方向の他方側に傾斜する傾斜部67dと、該傾斜部67dの下端部に連設され、タンク長さ方向の他方側に突出する水平突出片部67eとで構成されている。上記水平突出片部67eは、吸着面51aに沿って略平行に形成されており、該吸着面51aと水平突出片部67eの下面との間には、互いに擦れない程度の若干の隙間が形成されている。そして、該水平突出片部67eのタンク長さ方向の他方側端部が、上記開口部68の下側辺部を構成している。
【0088】
上記案内ダクト67の下端部には、該案内ダクト67の開口部68から流出する被処理流体がスーパクリーンタンク104内に拡散するのを防止する案内ケーシング69が接続されている。
【0089】
この案内ケーシング69は、吸着面51aに対して所定間隔を隔てて略平行に延びる水平部69aと、該水平部69aのタンク幅方向の両側縁部から下側に延びる側壁部69c(図13参照)とで構成されている。
【0090】
より詳細には、上記案内ケーシング69の水平部69aは、上側から見てタンク長さ方向の両側端縁がそれぞれタンク幅方向に延びる直線状をなしかつタンク幅方向の両側端縁が円板本体52の外周縁に沿った円弧状をなすように形成されており、該水平部69aのタンク長さ方向の他方側端縁におけるタンク幅方向の中央部には、駆動シャフト61との干渉を避けるためのU字状の切欠き部69b(図13参照)が形成されている。
【0091】
上記案内ケーシング69の側壁部69cは、水平部69aの外周縁に沿うアーチ状を呈していて、その内径が円板本体52の内径よりも若干大きめになるように形成されている。これにより、後述の垂直部69dの上下方向の取付位置を調整することで、案内ケーシング69の上下方向の位置調整が可能になっている。
【0092】
上記案内ケーシング69の水平部69aのタンク長さ方向の一方側の端縁部には、上下方向に延びる垂直部69d(図10及び図13参照)が接続されており、案内ケーシング69は、上記案内ダクト67の内側ダクト壁67aに該垂直部69dをボルト締結することで固定されている。この案内ケーシング69の固定状態における、該ケーシング69の水平部69aと吸着面51aとの間の空間が被処理流体の流路70を形成している。ここで、案内ケーシング69のタンク長さ方向の両側は開放しており、該案内ケーシング69における該タンク長さ方向の一方側の開放部72から被処理流体が流路70内に流入し、他方側の開放部71から被処理流体が流出するようになっている。
【0093】
ここで、垂直部69dを内側ダクト壁67aにボルト締結するためのボルト挿通孔は、上下方向に延びる長孔69fとされており、こうすることで、垂直部69dの上下方向の取付位置(つまり案内ケーシング69の水平部69aの高さ位置)を調整して、吸着面51a上を流れる被処理流体の流路断面積を調整可能になっている。
【0094】
上記除去本体部80は、図10、図12、図13に示すように、駆動シャフト61に対してタンク長さ方向の他方側に配設されていて、円板状吸着部60が上記モータ56により装置上方から見て反時計回り方向に回転駆動されることで、吸着面51aに対して時計回り方向に相対移動するように構成されている。
【0095】
この除去本体部80は、下面が上記吸着面51aに当接しかつ装置中心部側から径方向外側(本実施形態では、タンク長さ方向の一方側から他方側)に向かって延びる上面視略矩形状の掻取り部材81(図14参照)を有しており、掻取り部材81の上記相対移動方向の前側面が上記掻取り面81aとされている。掻取り面81aは、上記相対移動方向の後側に行くにしたがって上記吸着面51aから離れるように傾斜する傾斜面とされている。また、掻取り部材81は、上記ステンレス製の円形プレート51(吸着面51a)との間の摺動抵抗を減らすべくアクリル材で構成されている。
【0096】
上記除去本体部80はさらに、上記掻取り面81aで掻き取った磁性粒子jを回収するための回収用空間82を内部に形成してなるハウジング部材83を有している。
【0097】
このハウジング部材83は、略直方体状のブロック体の長手方向の一方側の端面83aから該長手方向に延びる円筒穴を形成してなるものであって、非磁性体であるアルミニウム材で構成されている。そして、この円筒穴が回収用空間82を構成している。ハウジング部材83には、この回収用空間82(円筒穴)と同軸で貫通細孔83bが形成されている。貫通細孔83bの直径は、該円筒孔の径よりも小さく設定されている。
【0098】
上記ハウジング部材83は、その長手方向を上記タンク長さ方向(スーパクリーンタンク104の長さ方向)に向けた状態で掻取り部材81の上面81bに配設されている。ハウジング部材83の上記相対移動方向の前側面83kには、上記回収用空間82に連通する粒子吸込口83cが形成されている。この粒子吸込口83cは、上記相対移動方向の前側から見て上記タンク長さ方向に長い略矩形状とされていて、連通路84を介して回収用空間82に連通している。この連通路84は、上記相対移動方向の後側に向かって上側に傾斜している。
【0099】
上記回収用空間82の上記タンク長さ方向の他方側端部の開口は、該回収用空間82内に吸込まれた磁性粒子jを排出するための粒子排出口83gを構成しており、該粒子排出口83gは、配管継手85を介して磁性粒子排出管87が接続され、該磁性粒子排出管87がサイクロン供給用貯留タンク109に接続されている。
【0100】
上記磁性粒子排出管87の途中には、エジェクタバルブ106が設けられており、このエジェクタバルブ106の流体供給ポート106aに不図示のエア源からエアを供給することで、上記回収用空間82内に被処理流体を吸込むようになっている。なお、エジェクタバルブ106の流体供給ポート106aから空気を供給することで、掻取り面81aにて掻き取った磁性粒子jを含む被処理流体を回収用空間82内に吸込むのに限らず、例えば流体供給ポート106aから空気を供給する代わりに、水や被処理流体等の流体を供給することで磁性粒子jを回収用空間82内に吸込むようにしてもよい。
【0101】
上記掻取り部材81の上面81bには、板状の磁気シールド部材86が積層されている。この磁気シールド部材86は、ニッケルメッキを施した磁性体からなるものであって、上記相対移動方向の前側から見て径方向に2列に設けられた永久磁石55に跨るように装置中心部側から径方向外側に延びている。
【0102】
また、磁気シールド部材86は、上側から見てその幅方向の内側に回収用空間82が位置するように形成されている。なお、磁気シールド部材86としては、適切な透磁率を有する磁性体であれば、どのような部材であっても良く、上記実施形態に限られるものではない。例えば、一般的に磁石の一面に接触させて設けられ磁石の磁力を強くするためのヨークとして用いられるものなどでも良く、より具体的には例えばパーマロイや磁性体等が使用できる。特に、この磁性体の大きさや、配置の設定等に応じて、適切な磁気シールド性能を有する透磁率のシールド部材を選定することによって、上記磁性粒子jの吸着面51aへの吸着状態や該吸着面51aからの掻き取り状態、掻き取られた磁性粒子jの吸引状態などを制御できる。したがって、被処理流体中に含まれる磁性粒子jの大きさや量に応じて、この磁性体の透磁率等を設定することで、磁性粒子jを効率的に除去することができる。
【0103】
上記ハウジング部材83の下面83dには、磁気シールド部材86の平面形状に対応した凹部83fが形成されており、この該凹部83fに磁気シールド部材86を嵌込んだ状態でハウジング部材83の下面83dを掻取り部材81の上面81bに接着固定することで、磁気シールド部材86がハウジング部材83と掻取り部材81との間に挟まれて固定されている。換言すると、除去本体部80における回収用空間82と上記吸着面51aとの間には磁気シールド部材86が配設されているとも言える。
【0104】
上記ハウジング部材83の上面83eには、上下方向に延びるとともに上記タンク長さ方向に互いに所定間隔を隔てて並ぶ2本のガイドシャフト90が接続されている。各ガイドシャフト90は、下側に開放する断面略コ字状のホルダ部材91(図14参照)を介してハウジング部材83の上面83eに連結されており、各ガイドシャフト90の上部は、ガイドプレート92(図10参照)に形成されたガイド孔92aに上下方向に摺動可能に内挿されている。ガイドシャフト90には、圧縮コイルスプリング93が外挿されており、各コイルスプリング93は、その上端面をワッシャ94を介してガイドプレート92の下面92bに当接させかつ下端面をホルダ部材91の上面91a(図14参照)に当接させて圧縮状態で配設されている。
【0105】
上記ガイドプレート92は、上側から見てタンク長さ方向に延びる略矩形状をなしており、該ガイドプレート92は、そのタンク長さ方向の上記一方側端部を垂直支柱95の下側フランジ部95aにボルト締結されて水平支持されている。垂直支柱95は、上下方向に延びる支柱本体部95cと、該支柱本体部95cの上下両端部にそれぞれ接続された上側及び下側フランジ部95a,95bとで構成されており、上側フランジ部95bの上面には、位置決めピン96が突設されている。そして、該垂直支柱95は、位置決めピン96を、支持プレート64に形成されたノック孔64dに嵌入した状態で支持プレート64の下面にボルト97で固定されている。
【0106】
また、上記ガイドプレート92は、駆動シャフト61が挿通される挿通孔92fが形成されている。この挿通孔92fには、メタル製の円筒状ガイドブッシュ98が圧入されており、駆動シャフト61の上下方向の中間部が、該ガイドブッシュ98により回動自在に支持されている。
【0107】
−磁性粒子除去装置の動作−
以上のように構成された被処理流体浄化システム100において、サイクロン式分離除去装置1から排出されて磁性粒子除去装置50へと導かれた軽量の(1μm〜5μmの)磁性粒子jを含む被処理流体は、該装置50の導入口64aから該装置50内へと流入する。すなわち、該導入口64aから流入した被処理流体は、案内ダクト67内を通って下側へと流れるとともにその下端部にて上記開口部68から流出する。該開口部68から流出した被処理流体は、案内ケーシング69と吸着面51aとの間に形成される流路70内をタンク長さ方向の一方側から他方側に向かって流れる(図10及び図13参照)。そうして、被処理流体が該流路70内を流れる間に、該被処理流体中に含まれる磁性粒子jは、上記永久磁石55からの磁気吸引力を受けて吸着面51aに吸着されることとなる。
【0108】
上記吸着面51aに吸着された磁性粒子jは、除去本体部80により掻き取られて除去される。すなわち、円板状吸着部60がモータ56によりシャフト61回りに反時計回り方向に回転駆動されることにより、除去本体部80が該吸着面51aに対して時計回り方向に相対移動する。この結果、除去本体部80の掻取り部材81の上記相対移動方向の前側に形成された掻取り面81aにより磁性粒子j(図14参照)が掻き取られる。掻き取られた磁性粒子jは、エジェクタバルブ106の吸引作用によって、粒子吸込口83cから連通路84を通って該回収用空間82内へと吸引され、吸引された磁性粒子jはその周辺の被処理流体と共に、粒子排出口83gから磁性粒子排出管87内へと導かれてその下流側のサイクロン供給用貯留タンク109に排出される。なお、ダーティタンク102やダスト分離用タンク103に排出されるようにしてもよい。こうして、磁性粒子jが除去されたクリーンな被処理流体は、案内ケーシング69の開放部71(図10参照)からスーパクリーンタンク104内へと排出されて、工作機械101に供給される。
【0109】
以上の如く上記実施形態1では、磁性粒子除去装置50の除去本体部80は、吸着面51aに吸着された磁性粒子jを掻き取る掻取り面81aと、該掻取り面81aにて掻き取った磁性粒子jを回収するためのハウジング部材83とを有しており、ハウジング部材83には、回収用空間82に連通する粒子吸込口83cと粒子排出口83gとが形成されており、磁性粒子除去装置50はさらに、回収用空間82内に被処理流体を吸引するためのエジェクタバルブ106を備えている。
【0110】
これにより、掻取り面81aにて掻き取られた磁性粒子jが、永久磁石55の磁気吸引力により吸着面51aに再度吸着される前に、該磁性粒子jをその周辺の被処理流体と共に、ハウジング部材83内(回収用空間82)に吸引して除去することができる。したがって、装置50全体としての磁性粒子jの除去効率を向上させることができる。
【0111】
また、上記実施形態1では、上記除去本体部80は、下面(厚さ方向の下側面)が上記吸着面51aに当接しかつ上記相対移動方向の前側側面が上記掻取り面81aとされる板状の掻取り部材81を有し、掻取り部材81の上面81b(厚さ方向の上側面)には、磁性体からなる磁気シールド部材86が積層されている。
【0112】
これにより、磁気シールド部材86及び永久磁石55には、互いに引き合う方向の磁気吸引力が作用することとなる。このため、磁気シールド部材86と吸着面51aとの間に挟まれた掻取り部材81は、該磁気シールド部材86によって吸着面51a側(下側)へと押付けられる。この結果、掻取り部材81の下面(吸着面側の面)が吸着面51aに押付けられることとなる。したがって、掻取り面81aの吸着面51a側(下側)の端縁81fを吸着面51aに押付けて極力密着させることができ、このことで、比較的小さな磁性粒子jをも逃さずに該掻取り面81aで掻き取ることができる。よって、磁性粒子jの除去効率を可及的に向上させることができる。
【0113】
また、上記実施形態1では、除去本体部80における回収用空間82と上記吸着面51aとの間には、磁気シールド部材86が配設されている。これによれば、磁気シールド部材86が永久磁石55の磁力を遮断する結果、回収用空間82内に吸引された磁性粒子jに磁気吸引力が作用するのを防止することができる。したがって、該回収用空間82内の磁性粒子jの流動性を十分に確保することができる。このため、回収用空間82内に磁性粒子jが堆積したり、粒子吸込口83cが該堆積した磁性粒子jで閉塞されたりして、磁性粒子jの回収効率が低下するのを確実に防止することができる。
【0114】
また、上記実施形態1では、上記粒子吸込口83cは、ハウジング部材83における上記相対移動方向の前側面83kに形成されており、掻取り部材81の掻取り面81aは、上記相対移動方向の後側に行くにしたがって吸着面51aとの垂直距離が大きくなる傾斜面とされ、掻取り面81aの上記相対移動方向の後側端部は、上記粒子吸込口83cの吸着面側(下側)の端縁部に連接されている。
【0115】
これによれば、掻取り面81aで掻き取られた磁性粒子jを、該掻取り面81aに沿って粒子吸込口83cまで案内することができる。よって、磁性粒子jを粒子吸込口83cから回収用空間82内に確実に案内回収することができる。
【0116】
また、上記実施形態1では、ハウジング部材83には、回収用空間82(円筒穴)と同軸で貫通細孔83bが形成されている。こうすることで、流路70内をタンク長手方向の一方側から他方側へと流れる被処理流体が、貫通細孔83bから回収用空間82を通って粒子排出口83gへと流通することとなり、これによって、該回収用空間82内の被処理流体(磁性粒子j)の流動性を高めることができる。よって、磁性粒子jの回収用空間82内への回収効率をより一層向上させることができる。
【0117】
また、上記実施形態1では、サイクロン式処理容器2の上側には、底壁部が該処理容器2の上壁部(つまり仕切り板18)で構成された浮上物回収タンク15が設けられ、該仕切り板18には、浮上物を該回収タンク15内へと導くためのスリット19(回収用貫通孔)が形成されている。
【0118】
こうすることで、処理容器2内に流入した被処理流体を流体渦流部2eにて遠心分離処理する前に、該被処理流体中に含まれる比重の小さい磁性粒子jを該処理容器2の上部に浮上させて、スリット19から浮上物回収タンク15内へと導くことができる。したがって、流体渦流部2eにおける遠心分離処理では除去しきれない比重の小さな浮上物をも確実に除去することができて、装置1全体の浮上物や磁性粒子jの除去効率を向上させることができる。
【0119】
また、上記実施形態1では、仕切り板18の下面には、該仕切り板18の該スリット19に対応する部分を切欠いて下側に折り曲げることにより形成される案内用折曲げ片20a及び整流用折曲げ片20bが設けられており、案内用折曲げ片20aは、その基端部から下側に行くにしたがって旋回上流側に傾斜するように形成されている。これにより、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上した浮上物を該案内用折曲げ片20aの案内面20jに沿って浮上物回収タンク15内に確実かつ容易に案内することができる。
【0120】
また、整流用折曲げ片20bは、その基端部から下側に行くにしたがって旋回下流側に傾斜するように形成されている。これにより、仕切り板18の下面近傍の被処理流体が、案内用折曲げ片20aに衝突することで乱れた流れを、該整流用折曲げ片20bの下面20kで押さえ込むようにして整流することができる。したがって、該被処理流体の流れが乱れることに起因して浮上物の挙動が乱れるのを防止することができ、延いては、該浮上物を上記案内用折曲げ片20aにより浮上物回収タンク15内へと確実に案内することができる。
【0121】
また、上記実施形態1では、浮上物回収タンク15の内側周側壁面15aは、サイクロン式処理容器2の円筒状部2fと略同軸に形成された略円筒状をなしており、筒状排出管6は、浮上物回収タンク15を串刺すようにその中心部を通って上下方向に延設されている。
【0122】
こうすることで、スリット19から回収タンク15内へと流入した被処理流体を、その旋回慣性を持続したまま、筒状排出管6周りに旋回流動させることができる。よって、回収タンク15内の被処理流体が流体抵抗となることでスリット19から該回収タンク15内への被処理流体(延いては磁性粒子j)の流入が妨げられるのを確実に防止することができる。
【0123】
また、上記実施形態1では、浮上物排出口21は、上側から見て浮上物回収タンク15の内側周側壁面15aに対してその接線方向に貫通して開口している。これにより、該回収タンク15内に流入してその内側周側壁面15aに沿って旋回流動する被処理流体を、旋回接線方向に高速で確実に排出することができる。したがって、該回収タンク15内の被処理流体の排出性能を十分に高めることができて、該回収タンク15内の被処理流体が流体抵抗となるのを確実に防止することができる。
【0124】
(実施形態2)
被処理流体浄化システム100に用いられる磁性粒子除去装置50の他の例について、図15〜図18に基づいて説明する。本実施形態2の磁性粒子除去装置50は、実施形態1の磁性粒子除去装置50と比べ、主として、円板状吸着部60と対向させて対向磁性板161が設けられている点(図16)、および除去本体部80の形状、構造、磁性粒子jの吸引方向(図18)等が異なる。
【0125】
−磁性粒子除去装置の構成−
磁性粒子除去装置50は、図15に示すように、スーパクリーンタンク104における上壁部104aの上に載置されている。被処理流体から除去された磁性粒子jを吸引するエジェクタバルブ106は、ポンプ105からサイクロン式分離除去装置1に供給される被処理流体のうちの一部が分流して供給されることにより、吸引力を生じるようになっている。
【0126】
磁性粒子除去装置50のケーシング150は、図16に示すように、側壁部151と、底壁部152と、上壁部153とを有している。底壁部152には、排出筒部154が立設されている。排出筒部154の上部には、水位調節スリーブ155がねじ込まれ、そのねじ込み量を調整することによって、ケーシング150内の被処理流体の水位を調節できるようになっている。
【0127】
円板状吸着部60を回転駆動する駆動シャフト61に駆動力を伝達するモータ56、およびギヤケース63は、ケーシング150の上壁部153に、支持プレート64を介して固定されている。
【0128】
サイクロン式分離除去装置1から筒状排出管6を介して排出される被処理流体を円板状吸着部60の吸着面51aへと案内する案内ダクト67は、図17に示すように、タンク幅方向に広がる向きの内側ダクト壁67a及び外側ダクト壁67bと、これらの内側及び外側ダクト壁67a,67bの幅方向両縁部をそれぞれ連結するダクト側壁67g,67hとを備えて構成されている。
【0129】
上記外側ダクト壁67bは、支持プレート64の下面64cから下方に延びる垂直壁部67cと、該垂直壁部67cの下端に連設され下側に向かってタンク長さ方向の他方側に傾斜する傾斜部67dと、該傾斜部67dの下端部に連設され、タンク長さ方向の他方側に突出する水平突出片部67eとで構成されている。上記水平突出片部67eは、吸着面51aに沿って略平行に配置されており、該吸着面51aと水平突出片部67eの下面との間には、互いに擦れない程度の若干の隙間が形成されている。水平突出片部67eにおけるタンク長さ方向の他方側縁部には、円板状吸着部60の半径よりもわずかに小さい半径の円弧状切欠き67fが形成されている。すなわち、円板状吸着部60は、水平突出片部67eによっては周縁部だけが覆われるようになっている。
【0130】
上記内側ダクト壁67aは、支持プレート64の下面64cから下方に延びてその下端縁が外側ダクト壁67bにおける垂直壁部67cの下端よりも上側に位置するように形成されている。そして、この内側ダクト壁67aの下端縁が案内ダクト67における開口部68の上側辺を構成している。なお、後述するように、上記開口部68の一部は対向磁性板ブラケット69’及び対向磁性板161によって覆われ、案内ダクト67を介して供給される被処理流体の流路70となるのは、対向磁性板161の下面と円板状吸着部60の上面との間になる。
【0131】
また、上記内側及び外側ダクト壁67a,67bを連結するダクト側壁67g,67hには、タンク幅方向外方側に、円板状吸着部60の駆動シャフト61付近まで延びる側板67i,67jが設けられ、被処理流体が円板状吸着部60のタンク幅方向側に逃げにくいようにされている。
【0132】
案内ダクト67の内側ダクト壁67aには、垂直部69dと水平部69aとから成る対向磁性板ブラケット69’の上記垂直部69dが、ビス止め又はボルト締結によって取付けられている。対向磁性板ブラケット69’の水平部69aには、対向磁性板161が、ビス止め又はボルト締結によって取付けられている。これにより、対向磁性板161と、円板状吸着部60の吸着面51aとが、所定の間隔を空けて対向するように配置され、間に、被処理流体の流路70が形成されるようになっている。
【0133】
上記垂直部69dを内側ダクト壁67aにボルト締結するためのボルト挿通孔は、上下方向に延びる長孔69fとされており、こうすることで、対向磁性板ブラケット69’の上下方向の取付位置(つまり対向磁性板161の高さ位置)を調整して、円板状吸着部60の吸着面51a上を流れる被処理流体の流路断面積を調整することが可能になっている。
【0134】
ここで、対向磁性板ブラケット69’の水平部69a、及び対向磁性板161のタンク長さ方向の他方側部分におけるタンク幅方向の中央部には、駆動シャフト61との干渉を避けるためのU字状の切欠き部69b,161a(図17参照)が形成されている。
【0135】
円板状吸着部60に吸着された磁性粒子jを掻き取る除去本体部80は、図18に示すように、板状の掻取り部材81と、板状の磁気シールド部材86と、ハウジング部材83とを備えて構成されている。
【0136】
掻取り部材81は、図17に示すように、円板状吸着部60の中心側から径方向外側(本実施形態では、タンク長さ方向の一方側から他方側)に向かって延びる上面視略矩形状を有し、下面が円板状吸着部60の吸着面51aに当接するように設けられている。掻取り部材81には、上記相対移動方向の前側から後側に向けて、吸着面51aからの距離が大きくなる傾斜を有する掻取り面81aが形成されている。掻取り部材81の材料は特に限定されないが、例えば、ステンレス製の円形プレート51(吸着面51a)との間の摺動抵抗を減らすべくアクリル材で構成されている。
【0137】
磁気シールド部材86は、掻取り部材81の上面に積層され、掻取り部材81の掻取り面81aに連続する傾斜面を有している。また、円板状吸着部60に設けられた内周側の永久磁石55から外周側の永久磁石55に跨るように、装置中心部側から径方向外側に延びる形状を有している。この磁気シールド部材86は、例えば、ニッケルメッキを施した磁性体から構成されている。このように構成された磁気シールド部材86は、円板状吸着部60の永久磁石55に吸引されることによって、掻取り部材81を円板状吸着部60の吸着面51aに密着させる作用を果たす。また、81により掻き取られて磁気シールド部材86の上方に至った磁性粒子jに対する永久磁石55の吸引力を低減し、粒子排出口83gから排出させやすくする作用も果たす。
【0138】
ハウジング部材83は、例えば非磁性体であるアルミニウムから成り、上記掻取り部材81及び磁気シールド部材86を覆うように設けられて、間に回収用空間82が形成されている。この回収用空間82は、図17に示すように、上記相対移動方向の前側に開口した粒子吸込口83cを有し、上記相対移動方向の後側に向けて幅が狭くなる略直角二等辺三角形状を成している。回転方向側の略頂点の箇所には、除去本体部80の上方に開口する粒子排出口83gが形成されている。すなわち、掻取り部材81によって円板状吸着部60の吸着面51aから掻き取られた磁性粒子jは、徐々に粒子排出口83g付近に集約されて、後述するように粒子排出口83gから上方に吸引されるようになっている。
【0139】
また、ハウジング部材83の上壁には、水抜き穴88が形成されている。このような水抜き穴88を設けることによって、粒子吸込口83cから流入して水抜き穴88から逃げる被処理流体の流れを生じさせ、磁性粒子jの流動性を高めて、効率よく回収用空間82内に導入することが容易になる。なお、被処理流体の流量や磁性粒子jの量、大きさなどの条件によっては、必ずしも水抜き穴88を設けなくてもよい。後述する変形例のような構成を用いる場合も同様である。
【0140】
上記粒子排出口83gには、配管継手85を介して磁性粒子排出管87が接続され、該磁性粒子排出管87がサイクロン供給用貯留タンク109に接続されている。上記磁性粒子排出管87の途中には、エジェクタバルブ106が設けられており、このエジェクタバルブ106の流体供給ポート106aに、ポンプ105(図15参照)からサイクロン式分離除去装置1に供給される処理流体の一部を分岐させて供給することで、回収用空間82内に掻き取られた磁性粒子jを粒子排出口83gから吸引するようになっている。
【0141】
−磁性粒子除去装置の動作−
以上のように構成された磁性粒子除去装置50を備えた被処理流体浄化システム100において、サイクロン式分離除去装置1から排出されて磁性粒子除去装置50へと導かれた軽量の(1μm〜5μmの)磁性粒子jを含む被処理流体は、該磁性粒子除去装置50の導入口64aから該磁性粒子除去装置50内へと流入する。すなわち、該導入口64aから流入した被処理流体は、案内ダクト67内を通って下側へと流れるとともに、その下端部にて、円板状吸着部60の吸着面51aと対向磁性板161との間に形成された流路70に流れ込み、タンク長さ方向の一方側から他方側に向かって流れる(図16及び図17参照)。そうして、被処理流体が該流路70内を流れる間に、該被処理流体中に含まれる磁性粒子jは、上記永久磁石55からの磁気吸引力を受けて吸着面51aに吸着されることとなる。
【0142】
ここで、上記のように円板状吸着部60の永久磁石55に対向して対向磁性板161が設けられていることによって、被処理流体中の磁性粒子jには、単に永久磁石55が設けられている場合に比べて大きな磁気吸引力が働く。それゆえ、磁性粒子jは効率よく吸着面51aに吸着される。
【0143】
上記吸着面51aに吸着された磁性粒子jは、除去本体部80により掻き取られて除去される。すなわち、円板状吸着部60がモータ56により駆動シャフト61回りに装置上方から見て反時計回り方向に回転駆動されることにより、除去本体部80が該吸着面51aに対して時計回り方向に相対移動する。この結果、除去本体部80の掻取り部材81に形成された掻取り面81aにより磁性粒子j(図18参照)が掻き取られる。掻き取られた磁性粒子jは、エジェクタバルブ106の吸引作用によって、粒子吸込口83cから回収用空間82内へと吸引され、吸引された磁性粒子jはその周辺の被処理流体と共に、粒子排出口83gから磁性粒子排出管87内へと導かれて、その下流側のサイクロン供給用貯留タンク109に排出される。こうして、磁性粒子jが除去されたクリーンな被処理流体は、ケーシング150内に溜まり、所定の水位を超えると、水位調節スリーブ155(図16参照)からスーパクリーンタンク104内へと排出されて、工作機械101に供給される。
【0144】
以上の如く上記実施形態では、円板状吸着部60の永久磁石55に対向して対向磁性板161が設けられていることによって、被処理流体中の磁性粒子jには、単に永久磁石55が設けられている場合に比べて大きな磁気吸引力が働く。それゆえ、磁性粒子jは効率よく吸着面51aに吸着される。しかも、対向磁性板161が設けられていない部分では、吸着力は小さくなるので、吸着された磁性粒子jを効率よく掻き取ることができる。
【0145】
また、上記実施形態では、ハウジング部材83には、水抜き穴88が形成されている。こうすることで、流路70内をタンク長手方向の一方側から他方側へと流れる被処理流体が、粒子吸込口83cから水抜き穴88へと流通することとなり、これによって、該回収用空間82内の被処理流体(磁性粒子j)の流動性を高めることができる。よって、磁性粒子jの回収用空間82内への回収効率をより一層向上させることができる。
【0146】
なお、上記の例では、除去本体部80には、略直角二等辺三角形状の回収用空間82が形成される例を示したが、これに限らず、頂角をより大きくしたり小さくしたりしてもよい。また、円板状吸着部60の半径方向位置による磁性粒子jの量の相違等に応じて、粒子排出口83gが外周側に寄った形状に形成するなどしてもよい。
【0147】
また、磁性粒子jが粒子排出口83gから磁性粒子排出管87内へと導かれる方向が、円板状吸着部60上を被処理流体の流れる方向と同じになるように、回収用空間82の形状や除去本体部80の配置方向などを設定して、被処理流体の自然な流れによって磁性粒子jがより排出されやすくなるようにしてもよい。
【0148】
(実施形態3)
掻取り部材81によって掻き取られた磁性粒子jの吸引方向は、構成要素のレイアウト等に応じて種々設定することができ、例えば実施形態1と同じく水平方向で、しかし実施形態1とは異なる方向に吸引されるようにすることもできる。具体的には、例えば図19〜図21に示すように、回収用空間82に連通する粒子排出口83gには、磁性粒子排出管87が、円板状吸着部60に対する除去本体部80の相対移動方向の後側から水平方向に接続されている。そこで、掻取り部材81によって円板状吸着部60の吸着面51aから掻き取られ、粒子吸込口83cから粒子排出口83g付近に集約された磁性粒子jは、エジェクタバルブ106の吸引力により、粒子排出口83gから水平方向に吸引される。これにより、吸引された磁性粒子jをより容易に磁性粒子排出管87を介してサイクロン供給用貯留タンク109に排出させることができる。
【0149】
(実施形態4)
掻取り部材81によって掻き取られた磁性粒子jを積極的に回収する手段としては、エジェクタバルブ106により吸引するのに代えて、例えば図22〜図24に示すように、ポンプ105から供給される被処理流体によって、除去本体部80の粒子吸込口83cから回収用空間82に流入する流れを生じさせ、押し流すようにしてサイクロン供給用貯留タンク109に排出させるようにしてもよい。より詳しくは、粒子吸込口83c付近にはノズルヘッド89aが設けられている。ノズルヘッド89aに形成されたノズル89bからは、回収用空間82の内部に向けて被処理流体が噴出される。掻取り部材81によって円形プレート51の吸着面51aから掻き取られた粒子吸込口83c付近の磁性粒子jは、上記噴出した被処理流体の流れにつられて、または押し流されるようにして、磁性粒子排出管87に流入し、その勢いおよび/または自重による落下によって、サイクロン供給用貯留タンク109に排出される。
【0150】
なお、流体供給管89に供給される流体として、上記のようにポンプ105からサイクロン式分離除去装置1に供給される被処理流体の一部を流体供給管89に分岐させて流用することにより、製造コストを安く抑えることが容易にできるが、これに限らず、別途ポンプを設けて、スーパクリーンタンク104からクリーンな被処理流体を供給するようにしてもよい。この場合には、ノズル89bから噴出した被処理流体が粒子吸込口83cから回収用空間82に流入せずに漏れてスーパクリーンタンク104に戻ったとしても、これによるスーパクリーンタンク104内の磁性粒子jの増加を防止することが容易にできる。
【0151】
また、上記のように磁性粒子jを押し流す構成と、実施形態1等のように吸引する構成とを組み合わせて用いるなどして、磁性粒子jをより確実に回収できるようにしてもよい。
【0152】
(実施形態5)
図25は、本発明の実施形態5の磁性粒子除去装置50の配設構造及びそのドラム状吸着部411の構成を上記実施形態1とは異ならせたものである。尚、図10等と実質的に同じ又は相当する機能を有する構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。すなわち、本実施形態では、磁性粒子除去装置50は、スーパクリーンタンク104とは別に、被処理流体を処理する処理槽110を有していて、浄化処理後の処理液を接続配管111を介してスーパクリーンタンク104へと供給するように構成されている。また、磁性粒子除去装置50のドラム状吸着部411は、円筒ドラム状を呈しており、該ドラム状吸着部411の外周面が吸着面51aとされている。
【0153】
上記処理槽110は、スーパクリーンタンク104の上壁部104aの上面に配設されており、該処理槽110の上壁部110aには、導入口64aが形成され、サイクロン式処理容器2から排出された被処理流体が該導入口64aから処理槽110内に流入する。
【0154】
導入口64aから処理槽110内に流入した被処理流体は、案内ケーシング74により案内されて上記ドラム状吸着部411の吸着面51aに沿ってシャフト61回りに反時計回り方向に流動した後に接続配管111から排出される。
【0155】
案内ケーシング74は、吸着面51aと該案内ケーシング74との間の流路70の流路断面積を可変とするべくその径方向位置を調整可能になっている。この調整により、例えば1μm〜5μmの微細のスラッジ(磁性粒子j)を確実に除去することができる。
【0156】
上記ドラム状吸着部411は、円筒状の非磁性体からなる円筒本体112と、該円筒本体112の内周側面112aに周方向に互いに所定間隔を隔てて配設される永久磁石(図示省略)とで構成され、各永久磁石のドラム径方向内側面にはヨーク(本実施形態ではパーマロイ)が積層されている。上記円筒本体112は、その軸心部を貫通する駆動シャフト61に回転一体に固定されており、この駆動シャフト61は、不図示のモータの出力軸に動力伝達可能に連結されている。なお、ヨークとしては、一面の永久磁石の磁力を強くすることができれば他のものでも良く、この実施形態に限られるものではなく、ニッケルメッキを施した磁性体、単なる磁性体等でもよい。
【0157】
ドラム状吸着部411の上端部の吸着面51aには、除去本体部80が配設されている。尚、除去本体部80の基本的な構成は、上記実施形態1等と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0158】
除去本体部80は、モータ56により円筒本体112(ドラム状吸着部411)がシャフト61回りに反時計回り方向に回転駆動されることで、該吸着面51aに沿って時計回り方向に相対移動する。そして、除去本体部80は、該吸着面51a上を時計回り方向に相対移動しながら、吸着面51a上の磁性粒子jを掻取り面81aにて掻き取るとともに、掻き取った磁性粒子jをハウジング部材83内(回収用空間82内)に吸引して除去する。こうして、上記実施形態1等と同様に、吸着面51a上に吸着された磁性粒子jを、吸着面51aに再吸着される前に吸引除去することができ、上記実施形態1等と同様の作用効果を得ることができる。
【0159】
また、本実施形態では、ドラム状吸着部411の回転方向と、被処理流体の回転流動方向とは共に、シャフト61回りに反時計回り方向で一致しており、このため、被処理流体中の磁性粒子jを効率的に除去することができる。
【0160】
特に、本実施形態では、永久磁石を円筒状の吸着面51aの内側に配置できるので、永久磁石の設置範囲が広く、吸着される面が広いので、コンパクトな形状で吸着率を上げる上では効果的である。
【0161】
(実施形態6)
図26は、上記実施形態5と同様のドラム状吸着部411に、実施形態2で説明したような除去本体部80を組み合わせたものである。また、必須の構成要素ではないが、この実施形態では、案内ケーシング74の外周側に、円筒本体112の内周側面112aに設けられた永久磁石に対向する対向磁性板461が設けられ、実施形態5と同様に磁気吸引力が強められるようになっている。なお、同様に実施形態2〜実施形態4で説明したような除去本体部80を組み合わせるなどしてもよい。
【0162】
このように構成する場合にも、やはり、上記実施形態5と同様に、吸着面51a上に吸着された磁性粒子jを、吸着面51aに再吸着される前に吸引除去することができ、同様の作用効果を得ることができる。
【0163】
(その他の実施形態)
円板状吸着部60における永久磁石55の配置は、図11に示すものに限らず、例えば、図27に示すように配置するなどしてもよい。また、永久磁石55の極性の配置も種々設定してもよい。具体的には、例えば図27のように半径方向に3列設ける場合であれば、表面側の極性を内周側からNSNとしたり、SNNとしたり、SSNとしたりするなどしてもよい。また、円周方向で極性を異ならせたりしてもよい。
【0164】
また、ヨーク54は、各永久磁石55と対応させて設けるのに限らず、複数の永久磁石55、特に、表面側の極性の異なるものが磁気的に結合されるように設けるなどしてもよ。より具体的には、例えば図11のように永久磁石55が配置される場合、内周側の永久磁石55と外周側の永久磁石55とに亘る幅の円弧状またはドーナツ状のヨーク54を設けるなどしてもよい。
【0165】
また、上記のように、ダスト分離装置108を備えたダスト分離用タンク103と、サイクロン式分離除去装置1と、磁性粒子除去装置50とを組み合わせることによって、例えば、自重で沈殿しやすい程度の比較的大きなダスト、自重で速やかな沈殿はしにくくても遠心力が作用すれば捕捉されやすい程度の磁性粒子、磁力による吸引によって効率的な除去が可能または容易になる微細な磁性粒子などをそれぞれ効率よく除去できるが、必ずしも、これらの構成要素の組み合わせ、配置順序に限るものではなく、被処理流体の性状や要求される処理能力などに応じて種々設定可能である。
【0166】
具体的には、例えば図28に示すように磁性粒子除去装置を省略して、ダスト分離用タンク103とサイクロン式分離除去装置1とを組み合わせるなどしてもよい。また、その場合、同図に併せて示すように、仕切り壁104e・104fを設けて、スーパクリーンタンク104内でのダストの沈殿による除去効果を簡便に得るようにしてもよい。また、磁性粒子除去装置50と仕切り壁104e・104fとを併用するなどしてもよい。
【0167】
これらの場合、磁性粒子除去装置50によっても除去されず、または磁性粒子除去装置50が設けられない場合に、スーパクリーンタンク104内で沈殿したダストは、例えば、スーパクリーンタンク104の底部に設けられた排出管104c、および排出バルブ104dを介してダーティタンク102に排出させることができる。また、逆に、軽くてスーパクリーンタンク104内で表面に浮いたダストは、例えば、スーパクリーンタンク104に貯留された被処理流体の水位が所定水位h2に達したときに戻り管104bからサイクロン供給用貯留タンク109へと戻されるようにすることができる。これらのような戻り管104bや排出管104c等の構成によって、スーパクリーンタンク104内のダストが所定量以上に蓄積されることを防止することができ、スーパクリーンタンク104からのクリーンな液を工作機械101に供給してクーラント液として使用することができる。
【0168】
また、必ずしも、被処理流体がダスト分離用タンク103で比較的大きなダスト除去後に、サイクロン式分離除去装置1に供給されるのに限らず、図29に示すように、ダーティタンク102の被処理流体がサイクロン式分離除去装置1に供給され、分離されたダストが、ダスト分離用タンク103に送られ、排出されるようにしてもよい。すなわち、このような場合でも、サイクロン式分離除去装置1と磁性粒子除去装置50とを組み合わせることによる磁性粒子などの効率的な除去効果は得られる。
【0169】
また、上記各実施形態では、磁性粒子除去装置50にて被処理流体中の磁性粒子jを分離除去する前に、サイクロン式分離除去装置1で予め磁性粒子jの分離除去処理を行うようにしているが、必ずしもこれに限ったものではない。例えば、被処理流体やダストの性状、流量、含有量などに応じては、磁性粒子除去装置50にて分離除去処理を行った後にサイクロン式分離除去装置1にて分離除去処理を行うようにしてもよいし、また、サイクロン式分離除去装置1を設けず、50だけによって除去するようにしてもよい。すなわち、サイクロン式分離除去装置1、磁性粒子除去装置50、およびダスト分離装置108の選択的組み合わせや、処理順序は、被処理流体やダストの性状等に応じて、種々設定することができる。
【0170】
また、サイクロン式分離除去装置としては、種々の構成のものを適用することができる。例えば図30に示すようなサイクロン式分離除去装置1を用いてもよい。このサイクロン式分離除去装置1では、サイクロン式処理容器2の内側周側壁面2gは、その上端部に形成されて内径が上下方向の全体に亘って略一定となる円筒状部2fと、該円筒状部2fの下側に連設され、概ね下方ほど内径が小さくなる上側逆円錐状部2bと、その下に順に連接される円錐状部2cと、2段の下側逆円錐状部2dとが形成されて成っている。上側逆円錐状部2bは、上部付近の頂角が大きく、その下方に頂角の小さい部分、及び円筒状の部分を有している。円錐状部2cは、下側ほど拡径し、上記円筒状部分と、その下方の下側逆円錐状部2dとを接続するようになっている。ここで、同図の例では、流体渦流部2eは3つの側壁部2iに分割されている例を示すが、これに限らず、一体でもよいし、2分割などでもよい。また、下側逆円錐状部2dは1段だけ設けるなどしてもよい。
【0171】
浮上物回収タンク15と上記円筒状部2fとを仕切る仕切り板18は、仕切り部18aと、ボス部18bとから構成され、ボス部18bが筒状排出管6に嵌挿されることによって取付けられている。
【0172】
また、筒状排出管6の下部には、スリーブ6cが嵌挿されている。スリーブ6cの外周には、被処理流体の旋回および下降流動に対応する方向の螺旋突起6aが形成されている。より具体的には、螺旋突起6aは、例えば断面形状が矩形、リード角が30°で、2条形成されている。ここで、螺旋突起6aの方向(右ネジ方向か左ネジ方向か)は、例えば旋回流動の方向に応じて決定すればよい。なお、上記の例では、筒状排出管6の内径、及びスリーブ6cにおける螺旋突起6a以外の部分の外形は、一定である例を示すが、筒状排出管6の下端部の外周面又は内周面を僅かに外側に拡径して、流体に、より確実に遠心力が作用するようにしてもよい。また、上方側の円周溝11に設けられる永久磁石10の上下方向の長さおよび位置は、例えば1ピッチ以上の螺旋突起6aが形成されている範囲に設定される。
【0173】
なお、上記のような螺旋突起6aに限らず、螺旋状の溝を形成してもよい。また、そのような螺旋溝や螺旋溝に代えて、またはこれとともに、上側逆円錐状部2bの内周に螺旋溝や螺旋突起を設けてもよい。
【0174】
上記のような螺旋溝や螺旋突起を設けることによって、被処理流体の旋回速度を増大させたり、螺旋溝や螺旋突起によって微小な磁性粒子が捕捉されるようにして、被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることが容易にできる。すなわち、螺旋溝2jの方向が被処理流体の旋回下降流の方向に一致している場合には、被処理流体の流れがスムーズになって磁性粒子jが安定して内側周側壁面2gや螺旋溝2jの底に押しつけられる作用が大きくなる。一方、螺旋溝2jの方向が被処理流体の旋回下降流の方向と異なる場合には、被処理流体が螺旋溝2jを横切ることになるので、磁性粒子jが螺旋溝2jに引っかかって捕捉されやすくなる作用が大きくなる。また、被処理流体の旋回下降流の方向よりも螺旋溝2jのリード角を小さく設定し、回転速度を増加させるようにして、より大きな遠心力を作用させるようにすることもできる。それゆえ、被処理流体の流速や粘度、磁性粒子jの大きさ、形状、比重の相異などに応じて、螺旋溝2jのリード角や条数、断面形状などを設定すればよい。
【0175】
また、磁性粒子jは、上記のように円板状吸着部60に吸着させるのに限らず、例えば図31、図32に示すように、ドラム状吸着部411に吸着させるようにしてもよい。
【0176】
磁性粒子除去装置50のハウジング400は、円筒部ハウジング401に、側壁部ハウジング402,403、及び軸受カバー404がボルト406により締結されて構成されている。
【0177】
上記ハウジング400内には、ドラム状吸着部411が設けられている。上記ドラム状吸着部411は、回転軸414に側壁413を介してドラム412が取付けられて構成されている。ドラム412の外周面には、永久磁石55及びヨーク54が埋め込まれている。永久磁石55の配置は、種々設定可能であるが、例えば、ドラム412の外周側がN極の永久磁石55とS極の永久磁石55とが、回転軸414の長手方向に並ぶように配置される。なお、2列に限らず、より多くの永久磁石55が直線状に配置されるようにしてもよい。また、ヨーク54は、上記のように回転軸414の長手方向に並ぶ永久磁石55に亘る内周側に設けて、これらの永久磁石55が磁気的に結合されるようにしたりしてもよい。また、ドラム412自体を磁性体で形成して、ヨークとして作用させるようにしてもよい。この場合、ドラム412には、例えば、永久磁石55を取り付けるために、永久磁石55の厚さの2/3程度の深さで永久磁石55の外形に対して1mm〜3mm程度の隙間が形成される浅凹部内に、さらに永久磁石55の厚さの1/3程度の深さで永久磁石55の外形に略等しい形状の深凹部が形成された段付凹部を設け、上記深凹部内に永久磁石55を嵌め込むようにしてもよい。これにより、永久磁石55の位置決めを確実にするとともに、磁力線のリークを防止してドラム412によるヨークとしての作用が確実に得られるようにすることが容易にできる。また、永久磁石55をドラム412の表面に露出させるのに限らず、ステンレス製の円筒でドラム状吸着部411を覆うなどしてもよい。
【0178】
ドラム状吸着部411の回転軸414は、ベアリング421によって回転自在に支持されるとともに、モータ431の駆動力が、減速機432内のギヤ433を介して伝達され、図31における時計回り方向に回転するようになっている。上記ベアリング421のハウジング内部側には、シール422が設けられ、被処理流体がベアリング421に流れ込まないようにされている。
【0179】
円筒部ハウジング401には、被処理流体の導入口401aが設けられる一方、側壁部ハウジング403には、排出口403aが設けられている。導入口401aから流入した被処理流体は、円筒部ハウジング401と、ドラム412との間を通って、ドラム状吸着部411の回転方向とは逆の図31における反時計回りの方向に流れ、排出口403aから排出されるようになっている。
【0180】
ここで、上記のようにドラム状吸着部411の回転方向と被処理流体の流れる方向とが互いに逆の場合、ドラム412に吸着された磁性粒子jが導入口401aから流入する被処理流体に衝突すると離脱する可能性が高くなる。そこで、本実施形態においては、導入口401aから流入した被処理流体がドラム412の表面に直接当たりにくくするように、導入口401aのドラム412側に、ガイド板405が設けられている。
【0181】
上記被処理流体の流路となる円筒部ハウジング401とドラム状吸着部411との間には、部分円筒状の対向磁性板461が設けられ、永久磁石55による磁性粒子jの吸引力が強められるようになっている。
【0182】
また、被処理流体の流路には、回動軸464周りに回動可能な流量規制板463が設けられ、被処理流体中の磁性粒子jの量や、比重、大きさなどに応じて、被処理流体の流量を調整できるようにあっている。
【0183】
ドラム412の上部付近には、ドラム412に当接する(又はわずかに離間して近接する)掻取り面451aを有する掻取り部材451が設けられている。すなわち、ドラム412に吸着された磁性粒子jは、掻取り面451aにより掻き取られ、案内ダクト451bに案内されて排出されるようになっている。
【0184】
上記のようにドラム状吸着部411に磁性粒子jを吸着させる場合でも、ドラム412に埋め込まれた永久磁石55に対向して対向磁性板461が設けられていることにより、大きな磁気吸引力を作用させて、磁性粒子jを効率よく除去することができる。
【0185】
また、磁性粒子除去装置50のさらに他の例としては、図33に示すように構成してもよい。この磁性粒子除去装置50は、前記の例(図31、図32)と比べて、ドラム状吸着部411の回転方向と同じ方向に被処理流体が流れるように構成された点が異なっている。すなわち、側壁部ハウジング402には、排出口403aに加えて、導入口403bが設けられている。導入口403bから流入した被処理流体は、ドラム状吸着部411の回転方向と同じ図33における時計回りの方向に流れ、排出口403aから排出されるまでの間に、磁性粒子jがドラム状吸着部411に吸着されるようになっている。
【0186】
上記のように構成された磁性粒子除去装置50においても、対向磁性板461が設けられていることにより、大きな磁気吸引力を作用させて、磁性粒子jを効率よく除去することができる。特に、ドラム状吸着部411の回転方向と被処理流体の流れる方向を同じ方向にすることによって、一旦ドラム状吸着部411に吸着された磁性粒子jが被処理流体の流れによって引きはがされる可能性を低減できるので、一層磁性粒子jの除去効率を向上させることも容易にできる。
【0187】
《その他の事項》
また、上記各実施形態では、除去本体部80は、アクリル製の掻取り部材81と、アルミニウム製のハウジング部材83との2部材からなるものとされているが、これに限ったものではなく、例えば、アルミニウム製又はアクリル製の一体品としてもよい。
【0188】
また、上記各実施形態では、磁性粒子jを回収用空間82内に吸引するための吸引手段としてエジェクタバルブ106を採用するようにしているが、これに限ったものではなく、例えばダイヤフラムポンプを採用するようにしてもよい。
【0189】
また、上記各実施形態では、円板状吸着部60やドラム状吸着部411をモータ56により駆動することで、除去本体部80を吸着面51aに沿って相対移動させるようになっているが、これに限ったものではなく、例えば、円板状吸着部60やドラム状吸着部411を固定しておいて除去本体部80をモータ56により吸着面51aに沿って移動させるようにしてもよい。
【0190】
また、上記各実施形態では、吸着面51aは、非磁性体からなるプレート材(実施形態1では円形プレート51、実施形態5、実施形態6では円筒本体112の周側壁)で構成されているが、これに限ったものではなく、吸着面51aを永久磁石等の磁石部材で構成するようにしてもよい。
【0191】
また、上記各実施形態では、掻取り面81aは、上記相対移動方向の後側に行くにしたがって吸着面51aから離れる側に傾斜する傾斜面とされているが、これに限ったものではなく、例えば、吸着面51aに対して垂直な面であってもよい。
【0192】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。
【0193】
また、上記各実施形態や変形例で説明した構成要素等は、論理的に可能な範囲で種々組み合わせたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明は、被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着する吸着面と、該吸着面に吸着された磁性粒子を掻き取って除去する除去本体部とを備えた磁性粒子除去装置等に有用であり、特に、サイクロン式処理容器の外周面に磁石部材を配設してなるサイクロン式分離除去装置を含む被処理流体浄化システムに適用する場合等に有用である。
【符号の説明】
【0195】
1 サイクロン式分離除去装置
2 サイクロン式処理容器
2a 本体部
2b 上側逆円錐状部
2c 円錐状部
2d 下側逆円錐状部
2e 流体渦流部
2f 円筒状部
2g 内側周側壁面
2h 外周面
2i 側壁部
2j 螺旋溝
3 導入口
4 排出口
5 円筒外筒
6 筒状排出管
6a 螺旋突起
6c スリーブ
7 流体排出口
8 Oリング
9a 雌ねじ部
9b 雄ねじ部
10 永久磁石
11 円周溝
12 円周溝
13 内側空間
15 浮上物回収タンク
15a 内側周側壁面
16 薄肉スペーサ
17 厚肉スペーサ
18 仕切り板
18a 仕切り部
18b ボス部
19 スリット
20 折曲げ片
20a 案内用折曲げ片
20b 整流用折曲げ片
20j 案内面
20k 下面
21 浮上物排出口
22 ヨーク
50 磁性粒子除去装置
51 円形プレート
51a 吸着面
52 円板本体
53 円周溝
54 ヨーク
55 永久磁石
55a 上面
56 駆動モータ
57 スペーサ
60 円板状吸着部
61 駆動シャフト
62 ナット
63 ギヤケース
64 支持プレート
64a 導入口
64b 上面
64c 下面
64d ノック孔
65 配管継手
66 ボルト
67 案内ダクト
67a 内側ダクト壁
67b 外側ダクト壁
67c 垂直壁部
67d 傾斜部
67e 水平突出片部
67g,67h ダクト側壁
67i,67j 側板
68 開口部
69 ケーシング
69 案内ケーシング
69’ 対向磁性板ブラケット
69a 水平部
69b 切欠き部
69c 側壁部
69d 垂直部
69f 長孔
70 流路
71 開放部
72 開放部
73 ビス
74 案内ケーシング
80 除去本体部
81 掻取り部材
81a 掻取り面
81b 上面
81f 端縁
82 回収用空間
83 ハウジング部材
83 回収タンク部
83a 端面
83b 貫通細孔
83c 粒子吸込口
83d 下面
83e 上面
83f 凹部
83g 粒子排出口
83k 前側面
84 連通路
85 配管継手
86 磁気シールド部材
87 磁性粒子排出管
88 水抜き穴
89 流体供給管
89a ノズルヘッド
89b ノズル
90 ガイドシャフト
91 ホルダ部材
91a 上面
92 ガイドプレート
92a ガイド孔
92b 下面
92f 挿通孔
93 圧縮コイルスプリング
94 ワッシャ
95 垂直支柱
95a 下側フランジ部
95b 上側フランジ部
95c 支柱本体部
96 位置決めピン
97 ボルト
98 円筒状ガイドブッシュ
100 被処理流体浄化システム
101 工作機械
102 ダーティタンク
103 ダスト分離用タンク
103a 流入管
103b 排出管
103c タンク流入口
103d マグネット
103e 屑排出口
103f 蓋
103g 排出口下方仕切板
103h 排出口側方仕切板
103i 浮上物仕切板
103j 流入口仕切板
103k 監視窓
103m 浮上物回収ボックス
104 スーパクリーンタンク
104a 上壁部
104b 戻り管
104c 排出管
104d 排出バルブ
104e・104f 仕切り壁
105 ポンプ
106 エジェクタバルブ
106a 流体供給ポート
107 ダストボックス
108 ダスト分離装置
108a モータ
108b 駆動軸
108c 従動軸
108d チェーンベルト
108e スクレーパ
108f マグネットプレート
109 サイクロン供給用貯留タンク
110 処理槽
110a 上壁部
111 接続配管
112 円筒本体
112a 内周側面
115 ポンプ
121 回収管
122 回収管
150 ケーシング
151 側壁部
152 底壁部
153 上壁部
154 排出筒部
155 水位調節スリーブ
161 対向磁性板
161a 切欠き部
411 ドラム状吸着部
461 対向磁性板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を含む被処理流体に接触して該被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着する吸着面と、
掻取り部材を有し、該吸着面に吸着された磁性粒子を掻き取る掻取り部と、
上記吸着面、及び上記掻取り部材の少なくとも一方を、上記掻取り部材が上記吸着面に吸着された磁性粒子を掻き取る向きに相対移動するように移動させる相対移動手段とを備えた磁性粒子除去装置であって、
さらに、上記掻取り部材によって掻き取られた磁性粒子を搬送して排出する搬送部を備え、
上記搬送部は、掻取り部材によって掻き取られた磁性粒子を吸引して排出する吸引部、および上記磁性粒子を押し流して排出する押し流し部の少なくとも一方を有することを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、掻き取った磁性粒子を回収するべく該掻取り部の内部に形成される回収用空間と、該回収用空間に連通する粒子吸込口とを有しており、
上記吸引部は、上記掻取り部材により掻き取った磁性粒子を上記粒子吸込口から上記回収用空間内に吸込むことを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項3】
請求項2記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、上記回収用空間内に吸込まれた磁性粒子を該掻取り部外に排出するべく該回収用空間に連通する粒子排出口を有しており、
上記掻取り部における上記回収用空間と上記吸着面との間には、該回収用空間内に吸引された磁性粒子に対して該吸着面から磁気吸引力が作用するのを阻止する磁気シールド部材が設けられていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項4】
請求項3記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部材は、厚さ方向の一方側面が上記吸着面に当接又は近接し、かつ、上記相対移動方向の前側側面が掻取り面とされる板状部材からなり、
上記磁気シールド部材は、上記板状部材の厚さ方向の他方側面に積層されていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項5】
請求項4記載の磁性粒子除去装置であって、
上記粒子吸込口は、上記除去本体部における上記相対移動方向の前側面に形成されており、
上記掻取り面は、上記相対移動方向の後側に行くにしたがって上記吸着面と離れる側に傾斜する傾斜面とされ、
上記掻取り面の上記相対移動方向の後側端部は、上記粒子吸込口に接続されていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項6】
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、粒子吸込口、粒子排出口、および上記吸着面から引きはがされた磁性粒子を上記粒子吸込口から粒子排出口に集約する回収用空間を有し、
集約された磁性粒子が上方または水平方向に排出されることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項7】
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、粒子吸込口、粒子排出口、および上記吸着面から引きはがされた磁性粒子を上記粒子吸込口から粒子排出口に集約する回収用空間を有し、
上記押し流し部は、上記粒子吸込口から粒子排出口に向く被処理流体の流れを生じさせる被処理流体噴出部を有していることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項8】
請求項1記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部は、さらに、粒子吸込口、粒子排出口、および上記吸着面から引きはがされた磁性粒子を上記粒子吸込口から粒子排出口に集約する回収用空間を有し、
上記吸着面と回収用空間との間に、磁性体から成る磁気シールド部材が設けられていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項9】
請求項8記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部材、及び磁気シールド部材は、吸着面に吸着された磁性粒子が吸着面から引きはがされる位置から、上記粒子排出口が設けられている位置にかけて、上記吸着面から磁気シールド部材の上面までの距離が大きくなる傾斜を有することを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の磁性粒子除去装置であって、
上記掻取り部を上記吸着面側に押付ける付勢バネをさらに備えていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項11】
請求項1の磁性粒子除去装置と、
サイクロン式磁性粒子分離装置とを有し、これらの装置によって順次磁性粒子を除去する被処理流体浄化システムであって、
上記サイクロン式磁性粒子分離装置は、
磁性粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の磁性粒子を分離して下方に排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該容器外へと導く排出管と、
磁性粒子に対して、上記サイクロン式処理容器の径方向外側に向かう磁気吸引力を作用させる磁石部材と、
を備えたことを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項12】
請求項11の被処理流体浄化システムであって、
上記サイクロン式磁性粒子分離装置は、
上記サイクロン式処理容器の上部に浮上した浮上物を回収するべく該処理容器の上側に配設され、底壁部が該サイクロン式処理容器の上壁部で構成された浮上物回収タンクをさらに備え、
上記サイクロン式処理容器の上壁部には、上記浮上物を上記浮上物回収タンク内へと導くための回収用貫通孔が形成され、
上記サイクロン式処理容器の上壁部の下面には、上記浮上物を上記貫通孔から上記浮上物回収タンク内へと案内する案内部材が設けられており、
上記浮上物回収タンクには、該タンク内に流入した上記浮上物を含む被処理流体を排出するための浮上物排出口が設けられていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項13】
請求項11の被処理流体浄化システムであって、
上記サイクロン式磁性粒子分離装置は、
上記サイクロン式処理容器の内周面に形成された螺旋溝、上記排出管の外周面に形成された螺旋突起、及び上記排出管の外周面に形成された螺旋溝のうち少なくとも何れかを有すること特徴とする被処理流体浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−23028(P2010−23028A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143681(P2009−143681)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(594190574)岡野機工株式会社 (19)
【Fターム(参考)】