説明

磁気インク組成物

【課題】多くの利点を有する磁気インクを提供する。
【解決手段】磁気インク組成物は、炭素ナノ発泡体および流体キャリアを含む。炭素ナノ発泡体は、好ましくは全トナー組成物の約0.1〜約45重量%の量で存在し、より好ましくは、全トナー組成物の約0.1〜約10重量%の量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷のための磁気組成物(magnetic compositions)に関し、より詳しくは、磁気画像形成文字認識能力(magnetic imaging character recognition capabilities)を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気印刷法は、磁性粒子を含有するインクまたはトナーを用いる。種々の磁気インクおよび磁性トナーが小切手、紙幣または通貨上の数字、文字または美術デザインを印刷する際に用いられてきた。これらのプロセスのために用いられる磁気インクは、例えば、流体媒体中の磁鉄鉱などの磁性粒子、ならびに結合剤および可塑剤を含むビヒクルに分散された酸化鉄、二酸化クロムまたは類似材料の磁気塗料を含有してよい。
【0003】
例えば有利な処理時間を含む多くの利点を有する磁気インクおよび磁性トナーを提供することが有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,590,000号明細書
【特許文献2】米国特許第3,655,374号明細書
【特許文献3】米国特許第3,720,617号明細書
【特許文献4】米国特許第3,983,045号明細書
【特許文献5】米国特許第3,998,160号明細書
【特許文献6】米国特許第4,935,326号明細書
【特許文献7】米国特許第4,937,166号明細書
【特許文献8】米国特許第5,278,020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有利な処理時間などの多くの利点を有する磁気インク組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、磁性インク組成物であって、炭素ナノ発泡体および流体キャリア(fluid carrier)を含む。
【0007】
また、炭素ナノ発泡体は、好ましくは全トナー組成物の約0.1〜約45重量%の量で存在し、より好ましくは、全トナー組成物の約0.1〜約10重量%の量で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、炭素ナノ発泡体(carbon nanofoam)およびポリマーを含む磁性トナー組成物を提供する。炭素ナノ発泡体および流体キャリアを含む磁気インク組成物も記載する。
【0009】
炭素ナノ発泡体(磁気すす(magnet soot)としても知られている)は炭素の強磁性同素体(ferromagnetic allotrope)である。炭素ナノ発泡体粒子は、規則的な六角形のパターンの間に七角形を包含することにより負の湾曲(negative curvature)を与えられ、繋ぎ合わされてウェブ様発泡体(web−like foam)を形成させるグラファイト様シート(graphite−like sheets)で連結された炭素原子のクラスタである。炭素ナノ発泡体粒子は、直径約1〜約50ナノメートルであることが可能であり、実施の形態において直径約5〜約10ナノメートルであることが可能である。炭素ナノ発泡体の磁気特性により、一般的なインクおよびトナー配合物において典型的に用いられる磁気粒子成分とカーボンブラック着色顔料の両方の一部または全部を本開示の炭素ナノ発泡体と置き換えることが可能となる。従って、本発明の実施の形態における組成物は磁鉄鉱とカーボンブラック顔料の両方を実質的に含まない。実施の形態において、「実質的に含まない」とは、例えば、全組成物の約5重量%〜約0.0001重量%、実施の形態において全組成物の約3重量%〜約1重量%の磁性物質(magnetic)またはカーボンブラックの量を意味する。従って、炭素ナノ発泡体を使用すると、より少ない成分しか必要としないので、通常の配合物と比べてインクまたはトナー組成物を単純化することが可能である。
【0010】
炭素ナノ発泡体は、ダイヤモンドに典型的な4員sp結合(4−membered sp bonds)の効率的な形成のために適する蒸気温度および密度を作り出す、レーザプルーム(laser plume)中の炭素原子およびイオンとチャンバ内のアルゴン原子との間で高い衝突頻度(collision frequency)をもたらすアルゴン雰囲気内での高反復速度(high−repetition−rate)レーザ融触によって製造することが可能である。パルスレーザ沈着は、排気されているか、アルゴン、酸素または窒素などの特定のガスで満たされているチャンバ内でターゲットに高強度パルスレーザビーム(high−intensity pulsed laser beam)の焦点を当てるプロセスである。レーザパルスはターゲット材料を融触し(ablate)、融触された蒸気はチャンバに広がる。基材をレーザ発生プルームの通路に入れる時、蒸気は基材に接着する。反復プルームは融触された材料の薄膜を作り、融触された炭素の場合、それは煤の一般的外観を有する。パルスレーザ沈着のためのプロセスおよび装置は、例えば米国特許第6,312,768号に記載されている。不活性ガス雰囲気中のグラファイトターゲットの超高速蒸発は、フラクタルナノメートルサイズ粒状材料(fractal nanometer−size granular material)の形への炭素原子の拡散律速凝集につながる。超高速レーザ融触技術は、ほぼ約1cm/分の炭素ナノ発泡体形成速度を提供することが可能である。炭素ナノ発泡体の見掛け密度は、約2×10−3g/cm−3〜約10×10−3g/cm−3であることが可能であり、比表面積は炭素エーロゲル(aerogel)の比表面積に匹敵する(約300m/g〜約400m/g)。
【0011】
低温で、沈着したままの(as−deposited)炭素ナノ発泡体は、強い正の静電荷と、強いヒステリシスを有する非線形電流−電圧特性を示し、その絶縁性を示唆する。アニール後、低電圧(±30V)で測定された炭素ナノ発泡体の固有抵抗(resistivity)は、室温で約1×10Ohm・cm〜約3×10Ohm・cmであり、80K(ケルビン)で約1×1013Ohm・cm〜約10×1013Ohm・cmであって、ヒステリシスは実質的に有しない。炭素ナノ発泡体は、位相的欠陥および結合欠陥(topological and bonding defects)で分かる3つの結合のみを有する炭素原子に明らかに起因する無数の不対電子を含み、炭素ナノ発泡体は磁石にくっつく(attract)ようになる。−183℃未満で(below −183℃)、炭素ナノ発泡体自体を磁性にすることが可能である。
【0012】
炭素ナノ発泡体は、適切なMICR信号を提供するのに十分な量で本明細書に記載された組成物中に存在することが可能である。信号は、バンカーズ・アソシエーション・スタンダード(Banker’s Association Standard)およびMICR符号化文書(MICR Encoded Document)に関する仕様によって定義されるように標準校正文書(standard calibration document)によって決定される。一般に、各国は、最小%信号レベル(minimum percent signal level)を設定している。例えば、USAにおける最小信号レベルは公称(nominal)の50%である一方で、カナダにおいては公称の80%である。印刷プロセスにおける許容範囲(latitude)を確保するために、文書不合格率を最少にするために公称仕様を超えることが一般に望ましく、例えばターゲット信号を公称の約115〜約130%にする。本明細書で用いられる「適切なMICR」とは、約50%〜約130%の磁気信号を意味し、ここで100%は、例えばチェックリーダ(check reader)による可読性のための公称信号を意味し、実施の形態において、約70〜約115%である。炭素ナノ発泡体は、有利なことに、約70エルステッド(以下、「Oe」と略す)〜約800Oe、および実施の形態において約250Oe〜約500Oeの保磁度(coercivity)、約10〜約75emu/グラム、および実施の形態において約23〜約39emu/グラムの残留磁気(remanent magnetization)(Br)および約50〜約100emu/グラム、および実施の形態において約70〜約90emu/グラムの飽和磁化(Bm)を有することが可能である。炭素ナノ発泡体は、トナー成分の約0.1〜約45重量%の量で、および実施の形態においてトナー成分の約0.1〜約10重量%の量で、および他の実施の形態においてトナー成分の約0.5〜約5.0重量%の量で存在することが可能である。
【0013】
炭素ナノ発泡体を、好適な、いかなる技術を使用するインクまたはトナーに配合し処理してよい。実施の形態において、磁気インクは炭素ナノ発泡体および液体キャリア(liquid carrier)を含む。通常用いる、いかなる液体キャリアに適用することも可能である。適する液体キャリアには、約1〜約18個の炭素原子を有する芳香族アルコールおよび脂肪族アルコールが挙げられるが、それらに限定されない。適する液体キャリアの特定の例には、常水または高純水(regular or high purity water)、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタン、ドデカン、ヘプタン、ヘキサン、アセトン、酢酸ブチル、グリコール、グリセロールおよびフェノールなどの少なくとも1つが挙げられる。この液体キャリアは、全組成物の約50〜約95重量%、実施の形態において、全組成物重量に対し約70〜90重量%の量で磁気インク中に存在することが可能である。磁気インクは、磁気印刷が望まれる基材に被着させることが可能であり、一旦液体キャリアが蒸発し、インクが乾燥すると、磁気画像またはテキスト(magnetic image or text)は基材上に残る。
【0014】
電子複写(reprographic)プリントデバイスまたは電子写真(xerographic)プリントデバイスとともに用いるトナー組成物を形成するプロセスは知られている。例えば、乾式トナー(dry toners)の調製のための乳化/凝集/融合プロセス(emulsion/aggregation/coalescing processes)は、米国特許第5,290,654号、米国特許第5,278,020号、米国特許第5,308,734号、米国特許第5,370,963号、米国特許第5,344,738号、米国特許第5,403,693号、米国特許第5,418,108号、米国特許第5,364,729号、米国特許第5,346,797号などの多くの特許で例示され、米国特許第5,348,832号、米国特許第5,405,728号、米国特許第5,366,841号、米国特許第5,496,676号、米国特許第5,527,658号、米国特許第5,585,215号、米国特許第5,650,255号、米国特許第5,650,256号、米国特許第5,501,935号、米国特許第5,723,253号、米国特許第5,744,520号、米国特許第5,763,133号、米国特許第5,766,818号、米国特許第5,747,215号、米国特許第5,827,633号、米国特許第5,853,944号、米国特許第5,804,349号、米国特許第5,840,462号、米国特許第5,869,215号、米国特許第5,863,698号、米国特許第5,902,710号、米国特許第5,910,387号、米国特許第5,916,725号、米国特許第5,919,595号、米国特許第5,925,488号および米国特許第5,977,210号も関連する場合がある。
【0015】
実施の形態において、本開示のプロセスは、炭素ナノ発泡体分散液(水、界面活性剤および任意に着色剤を含む)をラテックス分散液(界面活性剤、水および樹脂を含む)により凝集させる工程と、発生した凝集物を融合する工程と、その後、得られた磁性トナーを単離する工程と、洗浄する工程と、乾燥させる工程とを含む。
【0016】
界面活性剤は、例えば、トナー成分の約0.001〜約15重量%、実施の形態においてトナー成分の約0.001〜約0.1重量%の有効量でトナー組成物を形成するために用いられる炭素ナノ発泡体分散液およびラテックス分散液中に存在することが可能である。トナー組成物中で用いられる界面活性剤は、事実上アニオン性、非イオン性またはカチオン性であることが可能である。アニオン性界面活性剤の例には、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate、SDS)を含む硫酸塩(sulfates)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むスルホン酸塩、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルおよびアビ(エ)チン酸(abitic acid)など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。一般に用いられるアニオン性界面活性剤の有効濃度は、例えば、トナーポリマー樹脂(toner polymer resin)を調製するために用いられるモノマーの約0.01〜約10重量%、実施の形態において約0.1〜約5重量%の量である。
【0017】
例えば樹脂ラテックス分散液中に含めてよい非イオン性界面活性剤の例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース(methalose)、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルおよびジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。非イオン性界面活性剤の適する濃度は、例えば、トナーポリマー樹脂を調製するために用いられるモノマーの約0.01〜約10重量%、実施の形態において約0.1〜約5重量%である。
【0018】
本開示のトナーおよびプロセスのために選択される、通常は正に帯電されているカチオン性界面活性剤の例には、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ベンズアルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、第四化ポリオキシエチルアルキルアミン(quaternized polyoxyethylalkylamines)のハロゲン化物塩(halide salts)およびドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどならびにそれらの混合物が挙げられる。界面活性剤の適する量は、トナー成分の約0.1〜約10重量%、実施の形態においてトナー成分の約0.2〜約5重量%の量のように選択することが可能である。特定の界面活性剤または界面活性剤の組み合わせおよび用いられる各々の量の選択は当業者の権限の範囲内である。
【0019】
トナー組成物は任意に着色剤も含んでよい。着色剤には、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料の混合物および染料の混合物などが挙げられる。適する着色剤は当業者に知られており、様々な商業供給業者(commercial sources)から入手できる。顔料などの種々の既知の着色剤は、例えば、トナーの約1〜約15重量%、実施の形態において約3〜約10重量%の有効量でトナー中に存在することが可能である。適する着色剤には、カーボンブラックが挙げられるが、それに限定されない。一般に、選択することができる着色顔料は、シアン、マゼンタ、レッド、ブラウン、オレンジまたはイエロー顔料およびそれらの混合物である。選択してよいマゼンタの例には、例えば、CI60710としてカラーインデックスにおいて特定された2,9−ジメチル−置換キナクリドンおよびアントラキノン染料、CIディスパースドレッド15(CI Dispersed Red 15)、CI26050としてカラーインデックスにおいて特定されたジアゾ染料およびCIソルベントレッド19(CI Solvent Red 19)などが挙げられる。用いてよいシアンの例証的な例(illustrative examples)には、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、CI74160としてカラーインデックスにおいてリストされたx−銅フタロシアニン顔料、CI69810としてカラーインデックスにおいて特定されたCIピグメントブルーおよびアントラセンブルー、スペシャルブルーX−2173などが挙げられる。一方、選択してよいイエローの例証的な例として、ジアリーライドイエロー3,3−ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド(diarylide yellow 3,3−dichlorobenzidene acetoacetanilides)、CI12700としてカラーインデックスにおいて特定されたモノアゾ顔料、CIソルベントイエロー16、フォロンイエローSE/GLN(Foron Yellow SE/GLN)としてカラーインデックスにおいて特定されたニトロフェニルアミンスルホンアミド、CIディスパースドイエロー33、2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジメトキシアセトアセトアニリドおよびパーマネントイエローFGLが挙げられる。
【0020】
樹脂またはポリマーの例証的な例には、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、スチレンメタクリレートおよびより詳しくは、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(スチレン−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−イソプレン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルメタクリレート−アクリル酸)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸)およびポリ(アクリロニトリル−ブチルアクリレート−アクリル酸)など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
また、本発明の他の実施の形態において、ポリマーは、ポリ(スチレン−アルキルアクリレート)、ポリ(スチレン−1,3‐ジエン)、ポリ(スチレン−アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン−アルキルアクリレート−アクリル酸)、ポリ(スチレン−1,3‐ジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アルキルメタクリレート−アクリル酸)、ポリ(アルキルメタクリレート−アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート−アリールアクリレート)、ポリ(アリールメタクリレート−アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アルキルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−1,3‐ジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(アルキルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート−イソプレン);ポリ(スチレン−プロピルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸)、および、必要に応じて、これらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
ラテックスポリマーは、一般に、トナー成分の約30重量%〜約98重量%、実施の形態において約75重量%〜約98重量%、他の実施の形態において約85重量%〜約96重量%などの種々の有効量で本開示のトナー組成物中に存在する。本開示のプロセスのために適するラテックスポリマーサイズは、例えば、「ブルックハーベン(Brookhaven)」ナノサイズ粒子分析器によって測定すると、体積平均直径が約0.01〜約1.5マイクロメートル、実施の形態において体積平均直径が約0.05〜約1マイクロメートルであることが可能である。ラテックスポリマーの他のサイズおよび有効量を実施の形態において選択してもよい。
【0023】
トナー組成物の処理を助けるために、ラテックス中のイオン性界面活性剤に対して逆の極性を有する対イオン性凝固剤(counterionic coagulant)を、必要に応じてトナー組成物中で用いてよい。凝固剤の量は、例えば最終的なスラリー(final slurry)中の微粉(fines)の出現を防ぐまたは最少化する程度に存在する。微粉(fines)とは、トナー収率に悪影響を及ぼしうる平均体積直径約1マイクロメートル未満の小サイズ粒子を意味する。対イオン性凝固剤は有機物または無機物であってよい。例えば、本開示の実施の形態において、樹脂ラテックス分散液のイオン性界面活性剤はアニオン性界面活性剤であることが可能であり、対イオン性凝固剤は多金属ハロゲン化物(polymetal halide)または多金属スルホシリケート(polymetal sulfo silicate、特にPASS)であることが可能である。トナーに含めることができる例証的な凝固剤には、多金属ハロゲン化物、多金属スルホシリケート、必要に応じてカチオン性界面活性剤と組み合わせた1価塩、2価塩または多価塩(monovalent, divalent or multivalent salts)などが挙げられる。無機カチオン性凝固剤(inorganic cationic coagulants)には、例えば、ポリアルミニウムクロリド(polyaluminum chloride、PAC)、ポリアルミニウムスルホシリケート(polyaluminum sulfo silicate、PASS)、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛または硫酸マグネシウムが挙げられる。凝固剤が用いられるとき、凝固剤は、全トナー組成物の約0.05〜約10重量%の量で、実施の形態において約0.075〜約2重量%の量で存在する。
【0024】
さらに、必要に応じて、添加剤、表面添加剤および色強化剤などを用いてもよい。表面添加剤には、例えば、金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイドシリカ(colloidal silica)、金属酸化物およびそれらの混合物などが挙げられ、こうした添加剤は、全トナー組成物の約0.05〜5%の量で、実施の形態において約0.1〜約2重量%の量で存在してよい。
【0025】
本明細書で例示した乾式トナー組成物は、トナー樹脂粒子、炭素ナノ発泡体および界面活性剤の機械的ブレンドおよび溶融ブレンド、その後の機械的磨砕(mechanical attrition)を含む多くの既知の方法によって調製することが可能である。他の方法としては、噴霧乾燥、機械的分散、溶融分散、分散重合および懸濁重合などの技術上周知の方法が挙げられる。より詳しくは、トナー組成物は、炭素ナノ発泡体、高分子樹脂および添加剤粒子を加熱しつつ単純に混合し、その後、冷却することによって調製してよい。冷却後、組成物を超微粉化に供して、例えば、平均直径が約5マイクロメートル〜約25マイクロメートルのトナーサイズ粒子を得てよい。そして、微粉、例えば約4マイクロメートル以下の直径を有する粒子、および例えば約30マイクロメートルを上回る直径を有する非常に大きな粗粒子を除去する主目的のために後でこれらの粒子を分級する。前述したトナーは、押出装置(extrusion device)を用いて、同様の方式で調製することが可能である。押出装置から出る製品は、ばらばらに切断され、その後、超微粉化され、分級される。
【0026】
現像剤組成物は、本開示によるトナーをスチールおよびフェライトなどの被覆されたキャリアを含む既知のキャリア粒子と混合することにより調製することが可能である。実施の形態において、現像剤組成物は、例えば約2%のトナー濃度(2 percent toner concentration)〜8%のトナー濃度を含んでよい。
【0027】
本開示は、分散剤(dispersant)の存在下で水またはアルコール中に炭素ナノ発泡体粒子を含む磁気インク濃縮物(magnetic ink concentrate)およびこうしたインクの調製の方法も提供する。これらの磁気インクは、例えばインクジェットプリンタと関連して用いるのに適している。
【0028】
磁気インクは、少なくとも1種の高分子電解質を含む分散剤の存在下で水またはアルコール中の炭素ナノ発泡体粒子の分散液の形を取ってよい。磁気インク濃縮物のために適する高分子電解質は、約1,000〜約25,000の分子量、実施の形態において約3,500〜約10,000の分子量を有する。適する高分子電解質の特定の例には、ポリアクリル酸、アクリル酸/アクリルアミドコポリマーおよびポリビニルホスホン酸、ならびにこれらの化合物のアルカリ金属塩が挙げられる。水またはアルコールなどの従来のキャリアを本発明の実施の形態における磁気インク濃縮物のためのキャリアとして用いることが可能である。アルコールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、およびこれらのアルコールと水との混合物である。これらの物質の量は、炭素ナノ発泡体粒子の比表面積(specific surface area)に基づき、表面積1m当たり約0.7mg(0.7mg/mとあらわす)以上、実施の形態において約1.5〜約5mg/mは特に有利であることが可能である。
【0029】
これらの成分に加えて、本開示の磁気インク濃縮物は、この濃縮物の流動挙動(flow behavior)を調節するための添加剤、例えばアルキルフェノレート(alkyl phenolates)も含んでよい。有利な流動特性および乾燥特性を確立するために、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロールおよびポリエチレングリコールなどの高沸点溶剤(high boilers)を少量添加することも可能である。着色剤または染料を添加することにより、飽和磁化が悪影響を受けないかぎりインク濃縮物の深度(depth)を変えることも可能である。
【0030】
本開示の磁気インク濃縮物を従来の方式で調製することが可能である。実施の形態において、水またはアルコールと、約10〜約90重量%の濃度(strength)を有する溶液の形を取った高分子電解質および/またはそのアルカリ金属塩との混合物は、炭素ナノ発泡体と合わせて攪拌され、その後、懸濁液は高剪断力の作用下で約30分〜約2時間にわたり分散される。温度はこの手順中に約70℃まで上げてもよい。成分はいかなる順序でも添加してよい。その後、遠心分離(centrifuging)は、約200G〜約2,000Gで約10分〜約2時間にわたり行われ、沈殿した(sedimented)いかなる粒子も分離除去される。得られた生成物は磁気インク濃縮物に対応する。
【0031】
本開示の磁気インク濃縮物は、例えばインクジェットプリンタなどの書き込み装置のための磁気インクとして非常に有用である。得られたテキスト画像は耐擦傷性を有し(mar−resistant)、くっきりしており(crisp)、ぼやけていない(not blurred)。磁気インク濃縮物は磁気バーコードによって情報記憶装置(information storage)として用いることが可能である。磁気インク濃縮物は高い磁気感受性(magnetic susceptibility)を有しているため、この目的のために特に適している。
【0032】
好ましい電子写真プロセスは、例えば、炭素ナノ発泡体を含むトナー組成物を静電潜像に被着させる工程(depositing)と、支持面(support surface)に画像を転写する工程(transferring)と、基材に画像を付着させる工程(affixing)と、を含む。
【0033】
また、好ましい磁気画像形成文字認識(MICR)プロセスは、例えば、炭素ナノ発泡体を含む磁気組成物を有する基材を提供し、少なくとも一つの認識可能な特性(recognizable character)を形成する工程と、読取装置(reading device)でこの基材をスキャンする工程と、を含む。
【0034】
また、好ましい電子写真システムは、例えば帯電部材(charging component)と、画像形成部材と、現像部材と、転写部材と、定着部材と、を含み、現像部材(素子)には、炭素ナノ発泡体およびポリマーを含む磁性トナー組成物を有する。
【0035】
また、本発明の実施の形態として、少なくともその部分と関連付けられる、炭素ナノ発泡体を含む磁気組成物を有する基材を含む、磁気的に読み取り可能な構造(体)が提供される。この基材には、例えば小切手、紙幣および通貨(貨幣)を含んでよい。
【0036】
以下の実施例は本開示の実施の形態を例示している。これらの実施例は例示のみを意図しており、本開示の範囲の限定を目的としない。また、部および百分率は特に指示がないかぎり重量による。
【実施例】
【0037】
[出発材料(starting materials)の調製]
アニオン性界面活性剤を含む水相に懸濁されたスチレン/ブチルアクリレート/β−CEAの、サブミクロンオーダーであって、直径0.5マイクロメートルの樹脂粒子40重量%を含む非架橋ラテックス(non−crosslinked latex)(「ラテックスA」とする)と、架橋樹脂(樹脂比は、スチレン:ブチルアクリレート:β−CEA:DVB=65:35:3pph:1pphである)40%、水58.5%およびアニオン性界面活性剤1.5%を含む架橋ラテックス(「ラテックスB」)と、固形物装填率(solid loading)30%(全体を通して重量%)の、低分子量ワックスおよびアニオン界面活性剤/分散剤を含むワックス分散液と、カーボンブラック19%、アニオン性界面活性剤2%および水79%を含む顔料分散液とを、米国特許第6,767,684号に記載されたように調製する。
【0038】
[磁性トナーの調製]
磁性トナー組成物を次の通り調製する。
【0039】
1.3グラムの20%水性アニオン性界面活性剤(「ネオゲン・アール・ケイ(NEOGEN RK(商標))」)を含む水600グラムに炭素ナノ発泡体110グラムを添加する。その後、得られた混合物を5,000rpmの速度で3分間にわたりポリトロンまたはホモジナイズする(polytroned or homogenized)。得られた炭素ナノ発泡体分散液に前述のサブミクロンポリエチレンP850ワックス粒子分散液(固形物30%)90グラムを添加し、その後、スチレン/ブチルアクリレート/ベータCEAのサブミクロンラテックス粒子を含む、上で調製されたアニオン性のラテックスA(固形物40%)285グラム、およびスチレン/ブチルアクリレート/ジビニルベンゼン・ベータCEAの架橋ラテックスB37.5グラムを添加し、その後、5,000rpmの速度で5分間にわたりポリトロンする。その後、300グラムの水を添加して、得られたブレンドの粘度を下げ、その後、得られたブレンドに0.3mol・dm−3(0.3M)硝酸23グラムに入れた10%固形物を含む水性ポリアルミニウムクロリド(PAC)凝固剤溶液2.25グラムを添加する。
【0040】
その後、得られたブレンドを30分間にわたり攪拌しつつ50℃の温度まで加熱して、約5.0〜約5.5(マイクロメートル)の粒子サイズを得る。これに15グラムの水に溶解させた1.6グラムの、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドを含む「サニゾール・ビー(SANIZOL B(商標))」(固形物50%)のカチオン性界面活性剤を添加する。その後、混合物を90分間にわたり攪拌して、約5.5〜約6.0マイクロメートルのトナーサイズ凝集体を製造する。その後、前述の非架橋ラテックス120グラムを凝集体混合物(aggregate mixture)に添加し、50℃で更に30分間にわたり攪拌すると、粒子サイズ約6.0〜約7.0マイクロメートルのものが得られる。その後、4%水酸化ナトリウムの水溶液を使用して混合物のpHを約2.6から約7.3に変えることにより凝集体混合物をさらに成長させて、安定化させる。その後、得られた混合物を93℃まで加熱する。なお、加熱中、4%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpHは約7.2から約7.4である。1.25%の硝酸水溶液の添加により、93℃で1時間経過後、pHを6.5まで徐々に低下させて、その後、更に30分後に5.7まで低下させる。93℃で6時間後、測定された粒子サイズは約6.0〜約7.5マイクロメートルである。得られた混合物(resultant mixture)を冷却し、得られたトナーを水で4回洗浄し、凍結乾燥機で乾燥させた。得られたトナーは、電子写真プロセスにより文書上に現像された時、カーボンブラック顔料および磁鉄鉱も実質的にない状態で符号化文書(encoded document)のために適切なMICR信号を提供する。
【0041】
[磁性トナー組成物の調製]
磁性トナー組成物を次の通り調製する。
【0042】
前述の19%カーボンブラック顔料分散液82.5グラムが添加され、20%水性アニオン性界面活性剤(「ネオゲン・アール・ケイ」)1.3グラムを含む水600グラムに、110グラムの炭素ナノ発泡体を添加する。その後、得られた混合物を5,000rpmの速度で3分間にわたりポリトロンまたはホモジナイズすると、炭素ナノ発泡体/顔料分散液が得られる。得られた炭素ナノ発泡体/顔料分散液に前述のサブミクロンポリエチレンP850ワックス粒子の分散液(固形物30%)90グラムを添加し、その後、スチレン/ブチルアクリレート/ベータCEAのサブミクロンラテックス粒子を含む、上で調製されたアニオン性のラテックスA(固形物40%)285グラム、およびスチレン/ブチルアクリレート/ジビニルベンゼン・ベータCEAの架橋ラテックスB(固形物40%)37.5グラムを添加し、その後、5,000rpmの速度で5分間にわたりポリトーンする。その後、300グラムの水を添加して、得られたブレンドの粘度を下げ、その後、得られたブレンドに0.3mol・dm−3硝酸23グラムに入れた10%固形物を含むPAC凝固剤溶液2.25グラムを添加する。
【0043】
その後、得られたブレンドを30分間にわたり攪拌しつつ50℃の温度まで加熱して、約5.0〜約5.5(マイクロメートル)の粒子サイズを得る。これに15グラムの水に溶解させた1.6グラムの、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドを含む「サニゾール・ビー」(固形物50%)のカチオン性界面活性剤を添加する。その後、混合物を90分間にわたり攪拌して、約5.5〜約6.0マイクロメートルのトナーサイズ凝集体を製造する。その後、前述の非架橋ラテックス120グラムを凝集体混合物に添加し、50℃で更に30分間にわたり攪拌して、粒子サイズ約6.0〜約7.0マイクロメートルのものが得られる。その後、4%水酸化ナトリウムの水溶液を使用して混合物のpHを約2.6から約7.3に変えることにより凝集体混合物をさらに成長させて、安定化させる。その後、得られた混合物を93℃まで加熱する。なお、加熱中、4%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpHは約7.2から約7.4である。1.25%の硝酸水溶液の添加により、93℃で1時間経過後、pHを6.5まで徐々に低下させて、その後、更に30分後に5.7まで低下させる。93℃で6時間後、測定された粒子サイズは約6.0〜約7.5マイクロメートルである。得られた混合物(resultant mixture)を冷却し、得られたトナーを水で4回洗浄し、凍結乾燥機で乾燥させた。得られたトナーは、電子写真プロセスにより文書上に現像された時、符号化文書のために適切なMICR信号を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素ナノ発泡体および流体キャリアを含む磁気インク組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気インク組成物において、
前記炭素ナノ発泡体は、全トナー組成物の約0.1〜約45重量%の量で存在する、磁気インク組成物。


【公開番号】特開2012−7169(P2012−7169A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172047(P2011−172047)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2006−118771(P2006−118771)の分割
【原出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】