説明

磁気カードリーダ

【課題】磁気カードリーダにおいて、簡単な構成で、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図る。
【解決手段】磁気カードCの磁気ストライプBに記憶された情報を磁気ヘッド6により読み取る磁気カードリーダ1において、磁気ヘッド6で情報を読み取る際に、この情報の終了を検出した場合、直ちにカード搬送を停止する機能を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気カードに記憶された情報を読み取る磁気カードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカード等に記録された情報を読み取る磁気ヘッドを備えたカード処理装置において、磁気ヘッドがヘッド本体と制御部とを備え、ヘッド本体が読み取ったカード情報を制御部が暗号化し、暗号化されたカード情報をカード処理装置の本体制御部に送信することで、カード処理装置のセキュリティの向上を図ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−143213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のカード処理装置では、カード情報を暗号化していても、本来の磁気ヘッドとは異なる別の磁気ヘッドを利用して、カード情報を読み取られるおそれがあり、カード処理装置の十分なセキュリティが図れないという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述課題を解決するため、本発明は、磁気カードの磁気ストライプに記憶された情報を磁気ヘッドにより読み取る磁気カードリーダにおいて、前記磁気ヘッドで情報を読み取る際に、前記情報の終了を検出した場合、直ちにカード搬送を停止する機能を備えたことを特徴とする磁気カードリーダを提供する。
この構成によれば、磁気カードを搬送しながら磁気ストライプに記憶された情報を磁気ヘッドによって読み取る際に、磁気ストライプの情報の終了を検出した場合、磁気カードの搬送が直ちに停止される。上記構成によれば、磁気ストライプの情報の終了を検出した時点で磁気カードの搬送が停止されるため、磁気ヘッドの近傍に設けられた別の磁気データピックアップモジュールは、不連続な情報しか読み込むことができず、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図れる。また、情報の終了を検出後、直ちにカード搬送を停止するだけでセキュリティの向上を図れ、従来の構成を大きく変えることなく簡単な構成でセキュリティを向上できる。
【0006】
上記構成において、前記情報の終了を、前記磁気ストライプにおけるデータ領域の終了コードの読み取りにより検知しても良い。
この場合、データ領域の終了コードを読み取って確実に磁気カードの搬送を停止できる。
また、前記磁気ヘッドが読み取った前記情報を受け取る制御部を備え、前記制御部と前記磁気ヘッドとに対になる固有情報をそれぞれ格納し、前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取ることができない場合に、読み取り機能を停止しても良い。
この場合、制御部に格納された固有情報に対応した固有情報を磁気ヘッドから受け取ることができない場合に、読み取り機能が停止されるため、制御部に格納された固有情報と対になる固有情報が格納された磁気ヘッド以外の磁気ヘッドを使用して磁気カードの情報を読み取ることができない。このため、本構成では、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図ることができる。
【0007】
また、前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取れるか否かを、前記制御部が定期的に判定しても良い。
この場合、制御部に格納された固有情報に対応した固有情報を、磁気ヘッドから受け取れるか否かを定期的に判定し、固有情報を受け取ることができない場合は、読み取り機能が停止される。これにより、磁気カードの読み取り動作時以外においても、固有情報を受け取れるか否かを定期的に判定するため、磁気カードの読み取り動作を行わなくても、磁気ヘッドの交換などの不正が行われた可能性がある磁気カードリーダは読み取り機能を停止する。このため、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図ることができる。
【0008】
また、前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取れるか否かを、前記磁気ヘッドで前記情報を読み取る前に、前記制御部が判定しても良い。
この場合、磁気ヘッドにより磁気カードを読み取る前に、制御部に格納された固有情報に対応した固有情報を、磁気ヘッドから受け取れるか否かを判定し、固有情報を受け取ることができない場合は、磁気カードリーダの読み取り機能が停止される。このため、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図ることができる。
【0009】
また、前記情報の終了に伴ってカード搬送を停止し、前記磁気カードを該磁気カードの挿入口に搬送して排出しても良い。
この場合、カード搬送を停止した後、磁気カードを磁気カードの挿入口に搬送して排出するため、磁気カードは情報の終了が検出された地点を越えて読み取り方向に搬送されない。このため、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図ることができる。
【0010】
さらに、前記情報の終了に伴ってカード搬送を停止した後、前記磁気カードを搬送して排出する過程において前記磁気カードの搬送を一時停止しても良い。
この場合、磁気カードの情報を読み取り後に磁気カードを排出する過程において、磁気カードの搬送を一時停止する。これにより、磁気カードの排出経路に設けられた別の磁気データピックアップモジュールは、不連続な情報しか読み込むことができず、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図れる。
【0011】
また、本発明は、磁気カードの磁気ストライプに記憶した情報を磁気ヘッドにより読み取る磁気カードリーダにおいて、前記磁気ヘッドが読み取った前記情報を受け取る制御部を備え、前記制御部と前記磁気ヘッドとに対になる固有情報をそれぞれ格納し、前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取ることができない場合に、読み取り機能を停止することを特徴とする磁気カードリーダを提供する。
この構成によれば、制御部に格納された固有情報に対応した固有情報を磁気ヘッドから受け取ることができない場合に読み取り機能が停止されるため、制御部に格納された固有情報と対になる固有情報が格納された磁気ヘッド以外の磁気ヘッドを使用して磁気カードの情報を読み取ることができない。このため、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁気カードリーダにおいて、情報の終了を検出した場合、直ちにカード搬送を停止するため、簡単な構成で、磁気カードリーダのセキュリティの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る磁気カードリーダの構成を示す平面図である。図2は、磁気カードリーダの斜視図である。
磁気カードリーダ1は、クレジットカード等に代表される磁気カードCに記録されたカード情報(情報)を読み取る装置である。ここで、磁気カードCはクレジットカードであり、磁気カードリーダ1は、クレジットカードにより決済が可能な自動販売機等の前面に埋め込まれるようにして設けられる。
【0014】
磁気カードCは、図1中において直線的に延びる磁気ストライプBを有し、磁気カードCに記憶されるカード情報は、磁気ストライプBに磁気的に記録されている。磁気カードリーダ1においては、磁気カードCは、磁気カードリーダ1に挿入され、図中、矢印Xで示す読み取りの搬送方向に送られる際にカード情報が読み取られ、その後、図中右方向に排出される。
【0015】
磁気カードリーダ1は、略箱型の筐体2を有し、筐体2の内部に、磁気カードCを搬送する搬送ローラ3a、3b及び33a、33bと、搬送ローラ3a、3b及び33a、33bをそれぞれ支持する軸4と、搬送ローラ3a、3b及び33a、33bを駆動する搬送モータ5と、カード情報を読み取る磁気ヘッド6とを備えている。
筐体2は、磁気カードCの搬送方向にそれぞれ延在する側板7、8と、磁気カードCが挿通される面に位置する前板9と、前板9に対向して設けられる後板10と、筐体2の底面を形成する底板11とを備えている。また、側板7、8において筐体2の内側面には、磁気カードCの両端を挟むようにして搬送方向へガイドするガイド部材34(図2)が設けられている。
【0016】
側板7、8は対向して設けられ、側板7、8の間には、軸4にそれぞれ軸支された搬送ローラ3a、3b及び33a、33bが架け渡されている。搬送ローラ3a、3b及び33a、33bは、それぞれ2個一組で設けられ、図2中の上下方向、すなわち筐体2の高さ方向に対向して配設されて、この高さ方向から磁気カードCを挟み込んで搬送するように構成されている。搬送ローラ3a、33aは上側のローラであり、搬送ローラ3b、33bは下側のローラである。また、搬送ローラ3a、3bは磁気カードCの読み取りの搬送方向における上流側に配設され、搬送ローラ33a、33bは下流側に配設されている。
【0017】
側板7、8の各々の縁部は全周に亘り筐体2の外側を向くように折り曲げられてリブ状の壁が形成されている。側板7においてこのリブ状の壁に囲まれた部分には、軸4及び搬送モータ5の軸が貫通し、軸4及び搬送モータ5の軸の端には、それぞれ歯車12、13が取り付けられている。そして、歯車12、13の間には歯車12、13と噛合う複数の歯車が設けられ、搬送モータ5の駆動力を搬送ローラ3a、3b及び33a、33bに伝達する歯車列14が構成されている。
また、底板11の外側面には、制御部50が設けられている。制御部50は、搬送モータ5の駆動の制御や、磁気ヘッド6の制御等、磁気カードリーダ1の全般の制御を行う。
【0018】
筐体2の高さ方向における略中間の位置には、筐体2を上下に仕切る仕切板15が設けられている。仕切板15は、搬送ローラ3bの上面よりも若干下方に位置し、磁気カードCの面と平行に延在している。また、搬送ローラ3bを支持する軸4の一端は、仕切板15に形成されたリブ状部15aに支持されている。さらに、図1に示すように、前板9の面には、磁気カードCの挿入口16aを備えた前面カバー16が取り付けられている。そして、挿入口16aから挿入された磁気カードCは、搬送モータ5により回転駆動される搬送ローラ3a、3b及び33a、33bにより挟まれて搬送されるとともに、この搬送中に、磁気ストライプBに記憶されたカード情報が磁気ヘッド6によって読み取られる。磁気ヘッド6は磁気ストライプBに接触することでカード情報を読み取る。
【0019】
搬送ローラ3bは、搬送ローラ3aよりもその軸方向に短く形成されており、搬送ローラ3aの直下には、搬送ローラ3bに隣接して磁気ヘッド6が設けられている。また、磁気ヘッド6の近傍には、磁気カードCが挿入口16aに挿入されたことを検知する挿入検知手段(図示略)が設けられている。この挿入検知手段は、制御部50に接続されている。
【0020】
図3は、磁気ヘッド6および制御部50の機能ブロック図である。
磁気ヘッド6は、磁気ストライプBに磁気的に記憶されたカード情報を読み取る読取部26と、読取部26を制御するヘッド側制御回路27と、ヘッド側制御回路27に接続されたメモリ29とを備えている。
ヘッド側制御回路27は、増幅器(図示略)、A/D変換器(図示略)、及び、カード情報を暗号化する暗号キーを有する暗号化部71を備えている。読取部26が読み取ったカード情報はアナログ信号として増幅器に出力され、この増幅器で増幅されたアナログ信号は、A/D変換器によってデジタル信号に変換された後、暗号化部71で暗号化され、制御部50に出力される。
【0021】
制御部50は、制御部50の演算処理を行うCPU51と、搬送モータ5の駆動を制御するモータ駆動回路52と、CPU51に接続されたメモリ53とを備えている。そして、CPU51は、暗号化されたカード情報を復号化する複合キーを有する復号化部72と、カード情報の開始及び終了を検知するコード検知部54と、後述する固有情報30を取得する固有情報取得部55と、固有情報30の正当性を判断する正当性判定部56と、正当性判定部56の判断の結果を出力する報知部57とを備えている。
また、制御部50は、外部にカード情報を送信する通信回線(図示略)を備えている。そして、ヘッド側制御回路27からデジタル信号として制御部50に入力されたカード情報は、制御部50において所定方式で暗号化されて通信回線を介して外部に送信される。
【0022】
ところで、従来、磁気カードリーダにおいては、カード情報を読み取る磁気ヘッドが、第3者等がカード情報を読み取り可能な別の磁気ヘッド等に交換された場合、カード情報が読み取られてしまい、セキュリティが低下するおそれがあった。
【0023】
磁気カードリーダ1においては、セキュリティの向上を図る目的で、磁気ヘッド6に固有情報30が格納され、制御部50に照合用固有情報40(固有情報)が格納されている。固有情報30は、磁気カードリーダ1ごとに固有に与えられる固有の情報であり、照合用固有情報40は、固有情報30と対に与えられる固有の情報である。すなわち、固有情報30と照合用固有情報40とは、磁気カードリーダ1ごとに固有に与えられる固有の情報であり、固有情報30は照合用固有情報40に対応した固有の情報である。詳細には、固有情報30は磁気ヘッド6のメモリ29に格納され、照合用固有情報40は制御部50のメモリ53に格納されている。
【0024】
磁気カードリーダ1においては、固有情報30及び照合用固有情報40として磁気カードリーダ1のシリアル番号を用いている。ここで、シリアル番号である固有情報30と照合用固有情報40とは同一の情報であるが、互いに対応していれば、互いに異なる情報であっても良い。互いに異なる情報である場合、制御部50の正当性判定部56には、固有情報30と照合用固有情報40との対応関係が記憶されている。
【0025】
磁気カードリーダ1では、制御部50の固有情報取得部55が磁気ヘッド6の固有情報30を取得し、この固有情報30が制御部50のメモリ53に格納された照合用固有情報40に対応した固有情報であるか否かについて、制御部50の正当性判定部56が判定する。そして、固有情報取得部55は、定期的に固有情報30を取得するとともに、磁気ヘッド6がカード情報の読み取りを実行する前、すなわち挿入検知手段が磁気カードCの挿入を検知した際に固有情報30を毎回取得する。次いで、正当性判定部56は、固有情報30が照合用固有情報40に対応した固有情報であるか否かについて判定する。また、報知部57は、磁気カードリーダ1の表示部(図示略)に正当性判定部56の判定結果を表示する。
【0026】
そして、正当性判定部56によって固有情報30を受け取ることができないと判定された場合には、制御部50が搬送モータ5の駆動を禁止して搬送機能(読み取り機能)を停止する。ここで、正当性判定部56が、照合用固有情報40と対応した固有情報30を受け取ることができない場合には、磁気ヘッド6の接続が切断された可能性、磁気ヘッド6が固有情報30を格納していない別の磁気ヘッド等に交換された可能性、或いは、磁気ヘッド6を取り外して何らかの不正が行われた可能性等が考えられ、磁気カードリーダ1においては、このような不正が行われた可能性がある場合に、磁気カードリーダ1の読み取り機能が停止される。また、磁気カードリーダ1の読み取り機能の停止とは、磁気カードCの読み取り動作が実行されない状態にすれば良く、搬送モータ5の駆動の禁止に限らず、制御部50によって磁気ヘッド6の機能を停止しても良く、或いは、磁気カードリーダ1の全機能を停止しても良い。
また、正当性判定部56によって固有情報30を受け取れたと判定された場合には、制御部50は、搬送モータ5の駆動を可能にし、磁気カードリーダ1を磁気カードCの読み取りが可能な状態に制御する。
【0027】
また、固有情報30が格納された磁気ヘッド6においては、固有情報30が磁気カードリーダ1ごとに与えられた固有の情報であるため、第3者等が固有情報30と同一の固有情報を有する磁気ヘッドを入手することは難しい。また、第3者は、制御部50に格納された照合用固有情報40に対応する固有情報が固有情報30であることを知ることが困難である。従って、磁気ヘッド6が不正な磁気ヘッド等に交換されることを防止する効果があり、磁気カードリーダ1のセキュリティが向上する。
【0028】
さらに、磁気カードリーダ1においては、読取部26で読み取られたカード情報が暗号化部71により暗号化され、制御部50が有する復号化部72により復号化されるため、第3者等にカード情報を盗み取られることを防止でき、セキュリティが高い。例えば、第3者等が、磁気ヘッド6を取り外さずに磁気ヘッド6に直接、カード情報を盗み取るためのケーブルを取り付けてカード情報を盗み取ることが考えられるが、磁気カードリーダ1においては、磁気ヘッド6の暗号化部71によりカード情報が暗号化されているため、第3者等は正しいカード情報を盗み取ることができない。しかしながら、このように暗号化を実施しても、磁気ヘッドが不正な磁気ヘッド等に交換された場合には、暗号化によるセキュリティの向上が期待できない。
そこで、本実施の形態では、読取部26で読み取られたカード情報を、暗号化部71で暗号化してセキュリティを向上させるとともに、磁気ヘッド6の固有情報30を正当性判定部56で判定し、不正な磁気ヘッド等によりカード情報が盗み取られることを防止している。このため、磁気カードリーダ1は、磁気ヘッド6にカード情報を盗み取るためのケーブルが取り付けられた場合、及び、磁気ヘッド6が不正な磁気ヘッド等に交換された場合の両方の場合において、カード情報が盗み取られることを防止でき、セキュリティが高い。
【0029】
図4は、磁気ストライプBの情報を読み取る際の磁気カードCの搬送状態を示した平面図である。ここで図4においては、搬送ローラ3a、33aの図示を省略している。
以下、図3及び図4を参照して、磁気カードCの搬送状態を説明する。
図4(a)に示すように、磁気ストライプBは、カード情報が記憶されたデータ領域Dと、カード情報が記憶されていないタイミングエリアTとから構成されている。磁気カードCでは、カード情報の読み取り方向が、図4に矢印Xで示す一方向に規定されている。そして、タイミングエリアTは、磁気ストライプB上においてデータ領域Dの前後に分かれて位置し、磁気カードCの読み取り方向における磁気ストライプBの前端と後端とにそれぞれ設けられている。また、データ領域Dにおいて磁気カードCの読み取り方向の先頭には、カード情報の開始を示す開始コードFが格納され、一方、データ領域Dにおいて磁気カードCの読み取り方向の後端には、カード情報の終了を示す終了コードEが格納されている。ここで、磁気カードCにおいては、カード情報は、磁気ストライプBの表裏の両面に記憶されている。
【0030】
上述した挿入検知手段により磁気カードCが磁気カードリーダ1に挿入されたことが制御部50により検知されると、モータ駆動回路52により搬送ローラ3a、3bが駆動されて、磁気カードCの読み取り方向への搬送が開始される。ここで、磁気カードCは搬送ローラ3a、3bによって一定速度で搬送される。また、磁気カードCが読み取り方向とは反対の方向を向いて挿入され、コード検知部54によって終了コードEが最初に検知された場合には、磁気カードCの読み取りは行われず、磁気カードCは挿入口16aから排出される。
【0031】
図4(b)に示す状態は、前側のタイミングエリアTが磁気ヘッド6と重なった状態であり、磁気ヘッド6によるカード情報の読み取りは開始されていない。そして、磁気カードCは、搬送されるに伴ってデータ領域Dが磁気ヘッド6と重なる位置に達し、まず、開始コードFが磁気ヘッド6により読み取られてコード検知部54に入力される。続いて、磁気カードCは一定速度で搬送されると同時に、データ領域Dに記憶されたカード情報が磁気ヘッド6によって連続的に読み取られる。
【0032】
そして、図4(c)に示すように、磁気ヘッド6がデータ領域Dの後端の終了コードEを読み取り、コード検知部54が終了コードEを検知した時点で、制御部50がモータ駆動回路52を制御して磁気カードCの搬送を直ちに停止する。これに伴い、カード情報の読み取りが終了する。ただし、制御部50が搬送モータ5の停止の制御に要する時間による遅れや搬送ローラ3a、3bの回転の慣性等により、図4(d)に示すように、磁気カードCは、カード情報の読み取りが終了した後にも読み取り方向にわずかに移動する。
【0033】
従って、制御部50のコード検知部54が終了コードEを読み取った時点で磁気カードCの搬送が直ちに停止されるため、磁気ヘッド6における読み取りの搬送方向の下流側に別の磁気ヘッド等を設けたとしても、この別の磁気ヘッド等は、磁気ストライプBのカード情報を連続して読み取ることができない。
【0034】
また、上記のようにカード情報の読み取りが終了すると、磁気カードCは、読み取り方向の反対方向に位置する挿入口16a(図1)へ搬送されて排出される。このため、磁気カードCは終了コードEを越えて読み取り方向へ搬送されないため、終了コードEが上記別の磁気ヘッド等の位置まで搬送されることがなく、上記別の磁気ヘッド等は終了コードEまでの全てのカード情報を読み取ることができない。さらに、終了コードEの検出後にカード搬送が直ちに停止されるため、カード情報の読み取りに要する時間を短縮できる利点がある。
また、磁気カードCを読み取った結果、磁気カードCが盗難されたカードであると判定された場合には、搬送ローラ33a、33bの駆動により、磁気カードCは筐体2の外側に設けられた回収箱(図示略)に回収される。
【0035】
さらに、磁気カードリーダ1においては、制御部50がモータ駆動回路52を制御し、図4(e)に示すように、磁気カードCを排出する過程において途中で磁気カードCの搬送を一時停止する。そして、制御部50は、搬送を所定の時間だけ一時停止した後、再び排出の方向へ磁気カードCを搬送し、図4(f)に示すように、磁気ヘッド6が後側のタイミングエリアTに重なる位置で搬送を停止する。ここで、磁気カードCの搬送を一時停止する所定の時間は、磁気カードCを磁気ヘッド6とは異なる別の磁気ヘッド等により読み取ろうとした場合に、読み取り時のカード情報の連続性がこの一時停止によって失われ、カード情報を正確に読み取りできない時間に設定される。また、ここで一時停止とは、排出の方向への搬送を一時的に停止すれば良く、排出の方向への搬送の最中に、磁気カードCを一時的に読み取り方向に搬送することで排出の方向への搬送を一時的に停止しても良い。
【0036】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、磁気カードCを搬送しながら磁気ストライプBに記憶されたカード情報を磁気ヘッド6によって読み取る際に、終了コードEを検出した場合、磁気カードCの搬送が直ちに停止される。これにより、磁気ヘッド6における磁気カードCの読み取りの搬送方向の下流側に、磁気ストライプBのカード情報を盗み取るために磁気ヘッド6とは別の磁気ヘッド等が設けられた場合において、この別の磁気ヘッド等は、磁気カードCの搬送の停止によってカード情報を連続して読み取ることができない。従って、上記別の磁気ヘッド等が読み取るカード情報は不連続な情報となり、磁気ストライプBのカード情報を正しく読み取りできないため、別の磁気ヘッド等により磁気カードCの情報が読み取られることを防止し、磁気カードリーダ1のセキュリティの向上を図ることができる。例えば、第3者等が、磁気ストライプBの情報を盗み取るために、磁気ヘッド6の下流側に別の磁気ヘッドとして磁気データピックアップモジュール等を設けることが考えられる。この場合において、上記構成によれば、終了コードEを検出した時点で磁気カードCの搬送が停止されるため、磁気ヘッド6の下流側に設けられた磁気データピックアップモジュールは、不連続な情報しか読み込むことができず、磁気カードCの情報が盗み取られることが防止される。また、終了コードEを検出後、直ちにカード搬送を停止するだけでセキュリティの向上を図れ、従来の構成を大きく変えることなく簡単な構成でセキュリティを向上できる。
【0037】
また、終了コードEを読み取ってカード情報の終了を検知するため、確実に磁気カードCの搬送を停止できる。
さらに、制御部50に格納された照合用固有情報40に対応した固有情報30を磁気ヘッド6から受け取ることができない場合に、磁気カードリーダ1の読み取り機能が停止されるため、制御部50に格納された照合用固有情報40と対になる固有情報30が格納された磁気ヘッド6以外を使用して磁気カードCの情報を読み取ることができない。このため、不正な磁気ヘッドへの交換を防止でき、磁気カードリーダ1のセキュリティの向上を図ることができる。例えば、第3者等が、固有情報30を持たない磁気ヘッド、或いは、制御部50に格納された照合用固有情報40と対の関係に無い固有情報を有する磁気ヘッドに交換した場合、また、磁気ヘッド6の接続を切断した場合、磁気カードリーダ1は読み取り機能を停止するため、セキュリティを向上できる。
【0038】
また、磁気ヘッド6により磁気カードCを読み取る時以外においても、制御部50に格納された照合用固有情報40に対応した固有情報30を、磁気ヘッド6から受け取れるか否かを定期的に判定し、固有情報30を受け取ることができない場合は、磁気カードリーダ1の読み取り機能が停止される。このため、磁気カードCの読み取り動作を行わなくても、磁気ヘッド6の交換などの不正が行われた可能性がある磁気カードリーダ1は読み取り機能を停止し、不正が行われた可能性がある磁気カードリーダ1を使用することを未然に防止でき、磁気カードリーダ1のセキュリティの向上を図ることができる。
【0039】
さらに、磁気ヘッド6により磁気カードCを読み取る前に、制御部50に格納された照合用固有情報40に対応した固有情報30を、磁気ヘッド6から受け取れるか否かを判定し、固有情報30を受け取ることができない場合は、磁気カードリーダ1の読み取り機能が停止される。このため、読み取り動作が行われる前に、磁気ヘッド6の交換などの不正が行われた可能性がある磁気カードリーダ1は読み取り機能を停止し、不正が行われた可能性がある磁気カードリーダ1を使用することを未然に防止でき、磁気カードリーダ1のセキュリティの向上を図ることができる。
【0040】
また、終了コードEを検出して磁気カードCの搬送を停止した後、磁気カードCを磁気カードリーダ1の挿入口16aに搬送して排出するため、磁気カードCは終了コードEが検出された地点を越えて読み取り方向に搬送されない。このため、磁気ヘッド6における磁気カードCの読み取りの搬送方向の下流側に別の磁気ヘッド等が設けられた場合において、終了コードEがこの別の磁気ヘッド等の位置まで搬送されることがない。このため、上記別の磁気ヘッド等は、カード情報の終了コードEまでの全てのカード情報を読み取ることができないため、別の磁気ヘッド等により磁気カードCのカード情報が読み取られることを防止し、磁気カードリーダ1のセキュリティの向上を図ることができる。
【0041】
また、磁気カードCのカード情報を読み取り後に磁気カードCを排出する過程において、磁気カードCの搬送を一時停止する。これにより、磁気カードCの排出経路に、第3者等が、カード情報を盗み取るために別の磁気ヘッド等を配置した場合において、この別の磁気ヘッド等は、磁気カードCの搬送の一時停止によってカード情報を連続して読み取ることができない。従って、上記別の磁気ヘッド等が読み取るカード情報は不連続なカード情報となり、カード情報を正しく読み取りできないため、別の磁気ヘッド等により磁気カードCのカード情報が読み取られることを防止し、磁気カードリーダ1のセキュリティの向上を図ることができる。
【0042】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されない。
例えば、上記実施の形態において、データ領域Dには、カード情報の開始を示す開始コードF、及び、カード情報の終了を示す終了コードEが格納され、コード検知部54が終了コードEを検知した時点で、磁気カードCの搬送が直ちに停止されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、開始コードF、及び、終了コードEが格納されていない磁気カードにおいて、カード情報の末端をカード情報の終了として検知し、磁気カードCの搬送を直ちに停止するようにしても良い。
また、上記実施の形態では、固有情報取得部55は、定期的に固有情報30を取得するとともに、磁気ヘッド6がカード情報の読み取りを実行する前に固有情報30を毎回取得しするものとして説明したが、固有情報取得部55が、固有情報30が格納されていることを連続して常に取得するようにしても良い。
【0043】
さらに、上記実施の形態では、磁気カードリーダ1は暗号化部71及び復号化部72を備え、読取部26で読み取られたカード情報は、暗号化部71により暗号化され、復号化部72により復号化されるものとして説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、磁気カードリーダに暗号化部71及び復号化部72を設けず、暗号化及び復号化を実施しなくとも良い。
また、上記実施の形態では、磁気カードCはクレジットカードであり、磁気カードリーダ1は、クレジットカードにより決済が可能な自動販売機等の前面に埋め込まれるようにして設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、磁気カードCは、マンションやホテルの扉のカードキーであっても良く、磁気カードリーダ1はこれらの扉に配設されても良い。また、磁気カードリーダ1のユニットを販売店等のレジ周辺に設け、クレジットカード等の読み込みを行っても良い。また、磁気カードリーダ1のその他の細部構成についても任意に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る磁気カードリーダの構成を示す平面図である。
【図2】磁気カードリーダの斜視図である。
【図3】磁気ヘッドおよび制御部の機能ブロック図である。
【図4】磁気カードの搬送状態を示した平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 磁気カードリーダ
2 筐体
3a、3b 搬送ローラ
5 搬送モータ
6 磁気ヘッド
26 読取部
29、53 メモリ
30 固有情報
40 照合用固有情報
50 制御部
51 CPU
52 モータ駆動回路
54 コード検知部
56 正当性判定部
B 磁気ストライプ
C 磁気カード
E 終了コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気カードの磁気ストライプに記憶された情報を磁気ヘッドにより読み取る磁気カードリーダにおいて、
前記磁気ヘッドで情報を読み取る際に、前記情報の終了を検出した場合、直ちにカード搬送を停止する機能を備えたこと、
を特徴とする磁気カードリーダ。
【請求項2】
前記情報の終了を、前記磁気ストライプにおけるデータ領域の終了コードの読み取りにより検知することを特徴とする請求項1に記載の磁気カードリーダ。
【請求項3】
前記磁気ヘッドが読み取った前記情報を受け取る制御部を備え、
前記制御部と前記磁気ヘッドとに対になる固有情報をそれぞれ格納し、
前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取ることができない場合に、読み取り機能を停止すること、
を特徴とする請求項1または2記載の磁気カードリーダ。
【請求項4】
前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取れるか否かを、前記制御部が定期的に判定すること、
を特徴とする請求項3記載の磁気カードリーダ。
【請求項5】
前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取れるか否かを、前記磁気ヘッドで前記情報を読み取る前に、前記制御部が判定すること、
を特徴とする請求項3または4記載の磁気カードリーダ。
【請求項6】
前記情報の終了に伴ってカード搬送を停止し、前記磁気カードを該磁気カードの挿入口に搬送して排出すること、
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の磁気カードリーダ。
【請求項7】
前記情報の終了に伴ってカード搬送を停止した後、
前記磁気カードを搬送して排出する過程において前記磁気カードの搬送を一時停止すること、
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の磁気カードリーダ。
【請求項8】
磁気カードの磁気ストライプに記憶した情報を磁気ヘッドにより読み取る磁気カードリーダにおいて、
前記磁気ヘッドが読み取った前記情報を受け取る制御部を備え、
前記制御部と前記磁気ヘッドとに対になる固有情報をそれぞれ格納し、
前記制御部に格納された前記固有情報に対応した固有情報を前記磁気ヘッドから受け取ることができない場合に、読み取り機能を停止すること、
を特徴とする磁気カードリーダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−40088(P2010−40088A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200400(P2008−200400)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(390027074)株式会社ニューロン (3)
【Fターム(参考)】