説明

磁気シールド装置

【課題】 配線からの発熱によって蓄熱することのない新規な構造を有した、磁気シールド装置を提供すること。
【解決手段】 配線匍匐装置に匍匐させた配線から生じる磁場を遮蔽する磁気シールド装置において、配線匍匐装置に沿って離散配置され側部材に取り付けられた複数の固定部材と、磁性材料により形成された複数の磁気シールド部材から成り、中心軸線に対して概ね垂直に配向された板状の部材より成り、配線匍匐装置を包囲する閉曲線に沿って延設された磁気シールドセクションとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線匍匐装置に匍匐させた配線から生じる磁場を遮蔽するための磁気シールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、データセンタ、工場、変電所等において大電流を必要とする装置の利用が増えている。こうした装置に電力を供給する配線は、通常、配線ラック、配線ダクト、電線管、または配線トレイ等の配線匍匐装置を用いて建物や施設内に敷設されている。
【0003】
一方、電流を供給する配線の周囲には磁場が形成されるが、配線近傍に配置されている電子機器が、この磁場の影響を受けないように保護しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、特に大電流を流す配線の周囲を磁気シールドする必要があるが、鉄板等の磁性材料から形成された磁気シールドダクトによって磁場を遮蔽すると、重量が過大となり、また、既存の配線匍匐装置へ適用することが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、こうした従来の問題を解決することを目的としており、軽量かつ組立が容易な新規な構造を有した、特に、配線匍匐装置に沿わせて敷設された高電流配線の周囲の磁気シールドに適した磁気シールド装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、所定の中心軸線沿いに延設された配線匍匐装置に支持された配線から生じる磁場を遮蔽する磁気シールド装置において、前記配線匍匐装置に沿って離散配置され、前記配線匍匐装置に取付けられた固定部材と、前記支持部材に取付けられ、前記配線匍匐装置を包囲する閉曲線に沿って延設された磁気シールドセクションとを具備した磁気シールド装置を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配線匍匐装置を包囲する複数の板状の磁気シールドセクションを配線匍匐装置に沿って離散配置された複数の固定部材に取付けるようにしたので、軽量かつ組立が容易な磁気シールド装置を提供可能となる。
【0008】
また、磁気シールドセクションは、固定部材を介して配線匍匐装置の側部材に取付けられることとなるので、天井から磁気シールドセクションを吊り下げ、支持するための、例えば吊ボルト等の吊支持手段が不要となる。
【0009】
また、固定部材を配線匍匐装置に取付け、この固定部材に複数の磁気シールド部材から成る磁気シールドセクションを取付けるようにしたので、現場での取り付け作用が非常に軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
先ず、図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。複数の磁気シールド装置10が配線匍匐装置1に取り付けられる。配線匍匐装置1は、中心軸線Oに沿って延設されており、中心軸線Oに沿って平行に延設された2本の側部材2と、該側部材2間に横断方向に延設され、配線匍匐装置1に沿わせて匍匐させた配線(図示せず)を支持する複数の支持部材4とを具備している。
【0011】
磁気シールド装置10は、固定部材として、配線匍匐装置1の両側において、側部材2および支持部材4の双方に対して概ね垂直に、コの字形のボルト14およびナットにより側部材2に固定される一対の縦部材12と、該縦部材12に取り付けられる磁気シールドセクション20とを少なくとも具備しており、磁気シールドセクション20は複数の、本実施形態では3本のボルト18と該ボルト18に係合するナットから成る取付手段により縦部材12に取り付けられている。
【0012】
縦部材12の間には横部材16が掛け渡されており、横部材16は、磁気シールドセクション20の取付手段としてのボルト18およびナットにより、その両端部において縦部材12の両端部に固定されている。また、好ましくは、磁気シールドセクション20の外表面にはカバー22が同様に前記取付手段により取り付けられる。
【0013】
磁気シールドセクション20は、配線匍匐装置1を通すための開口部を画成する板状の部材より成り、配線匍匐装置1をを包囲する閉曲線、本実施形態では長方形に沿って延設され、また、中心軸線Oに対して概ね垂直に配向されている。
【0014】
本実施形態では、磁気シールドセクション20は、磁性材料から成る二層20a、20bの板状の磁気シールドセクションを具備し、各層20a、20bは、長短二種類の長さの異なる矩形の磁気シールド部材24、26を具備している。正方形の磁気シールドセクションを形成する場合には、磁気シールド部材24、26は同じ長さの部材であってもよい。磁気シールド部材24、26の各々は、電磁鋼板等の磁性材料から成る複数の矩形薄板を重ね合わせて一体化して形成されている。また、本実施形態では、こうした磁気シールド部材24、26を、各々の端部が、磁気シールドセクション20の各層20a、20bの隅部において、互いに重なり合わないように互い違いに配置して、磁気シールドセクション20が形成されている。これによって、磁気シールドセクション20の各層20a、20bにおいて、磁気シールド部材24、26が概ね同一平面内に配置され、中心軸線O方向の磁気シールドセクション20の寸法、つまり磁気シールドセクション20の厚さが、磁気シールドセクション20に沿って実質的に同一となる。
【0015】
また、本実施形態では、磁気シールドセクション20は、3本のボルト18およびこれに係合するナットから成る取付手段によって、縦部材12に取り付けられている。ボルト18を通すために、磁気シールド部材24、26の各々の端部には貫通孔24a、26aが形成されているが、各磁気シールド部材24、26の一方の端部には2つの貫通孔24a、26aが設けられ、他方の端部には1つの貫通孔24a、26aが設けられている。
【0016】
このように、端部に形成した貫通孔の個数を異にすることによって、既に敷設されている配線匍匐装置に磁気シールド装置10を組み付ける際に、作業員が間違えることなく、磁気シールド部材24、26をその端部において互い違いに配置することが容易になる。また、端部を互い違いにして、磁気シールド部材24、26を配置することにより、磁気シールド部材24、26の継ぎ目から漏洩磁気が低減され、磁気シールド性能が高くなる。
【0017】
同様に、本実施形態では、カバー22は、長短二種類の長さの異なるカバー部材28、30を具備している。カバー部材28、30の各々の端部には、ボルト18を通すための貫通孔28a、30aが形成されているが、各カバー部材28、30の一方の端部には2つの貫通孔28a、30aが設けられ、他方の端部には1つの貫通孔28a、30aが設けられている。正方形の磁気シールドセクションを形成する場合には、カバー部材28、30は同じ長さの部材であってもよい。
【0018】
また、本実施形態による磁気シールド装置10は、配線匍匐装置1の側部材2に縦部材12を直接固定しているので、例えば、図5(a)に示すように、配線匍匐装置1が、高さの異なる段差部分の間に延設された傾斜部分1aを含んでいても、この傾斜部分1aにも容易に取り付け可能である。この点、例えば、吊支ボルト(図示せず)等により磁気シールド装置を天井から吊り下げるようにして、配線匍匐装置1に取り付けるようにした従来の磁気シールド装置では、傾斜部分1aに磁気シールド装置を取り付けることが困難な上、天井から吊り下げるために、磁気シールド装置は延直面内に配置されなければならず、従って、傾斜部分1aでは、図5(a)に示す本実施形態のように、配線匍匐装置に対して直角に磁気シールド装置を取り付けることができないので、異なる寸法の磁気シールド装置10′(図5(b)参照)を別途準備しなければならない。更に、図5(b)の磁気シールド装置10′のように、配線匍匐装置1aに対して直角ではなく斜めに取り付けると、多量の磁気シールド部材が必要になる問題もある。
【0019】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明がこれに限定されず種々の変更と修正が可能であることは当業者の当然とするところである。
例えば、既述の実施形態では、3本のボルト18は縦部材12に取付けるようになっていたが、本発明は、これに限定されず、図6に示すように、2本のボルトを縦部材に取付け、1本のボルトを横部材に取付けるようにしてもよい。
【0020】
図6において、磁気シールド装置100は、固定部材として、配線匍匐装置1の側部材2にボルト14により固定される一対の縦部材102と、縦部材102に取付けられる横部材104と、配線匍匐装置1を包囲するように、該縦部材102および横部材104に取付けられる磁気シールドセクション20とを具備している。縦部材102には、縦方向に2本ずつ並設された2組(合計4本)のボルト108aが取付けられており、横部材104には、各端部に1本ずつ合計2本のボルト108bが取付けられている。また、好ましくは、上下一対の横部材104の間に横部材104と同じ厚さのプレート106を配置して、磁気シールドセクション20の撓みを防止する。
【0021】
また、図7は、図6の実施形態の変形例を示している。図7の実施形態による磁気シールド装置110は、固定部材として、配線匍匐装置1の側部材2にボルト14により固定される一対の縦部材112と、縦部材112に取付けられる横部材114と、配線匍匐装置1を包囲するように、該縦部材112および横部材114に取付けられる磁気シールドセクション20とを具備している。縦部材112には、縦方向に2本ずつ並設された2組(合計4本)のボルト116が取付けられており、横部材114には、各端部に1本ずつ合計2本のボルト118が取付けられている。本実施形態では、横部材114は、図7(b)に示すように、側部材2間の距離である配線匍匐装置1の幅に適合させて開口部または受承部114を画成するように、1枚の板部材からフラップ部114aをプレス加工することにより、概ね門形に形成されている。横部材114には、ボルト118が取付けられ、また、縦部材112のボルト116を通すための通孔114cが形成されている。
【0022】
本実施形態によれば、横部材114の垂直部分114dの長さを適当に選択することにより、図6の実施形態のようなプレート106を配設することなく、磁気シールドセクション20の撓みを防止することができる。一方、図6の実施形態は、ボルト108aのうち最上段のボルトに係合するナット(図示せず)を取り外すことにより上側の横部材104を取り外すことが可能であり、図1〜3および図7の実施形態と比較して、配線匍匐装置1に沿って配線を新たに敷設したり、配線匍匐装置1から配線を取り外すことが容易となっている。
【0023】
更に、本発明において、固定部材は必ずしも縦部材と横部材とを組み合わせる必要はなく、要は、磁気シールドセクションを配線匍匐装置の周囲を包囲するように、同配線匍匐装置に取付可能とする部材であればよい。
【0024】
図8を参照すると、磁気シールド装置120は、配線匍匐装置1の側部材2にボルト14により取付けられた固定部材としての縦部材122と、磁気シールドセクション21とを具備している。磁気シールドセクション21は、左右一対の縦方向の磁気シールド部材21aと、隅部においてボルト21cにより磁気シールド部材21aに結合され横断方向に延設された磁気シールド部材21bとを具備している。固定部材は横部材を含まず、それに替えて、磁気シールドセクション21の磁気シールド部材21bを受承する受承スロット122aが縦部材122に形成されている。
【0025】
本実施形態によれば、磁気シールドセクションを配線匍匐装置の周囲を包囲するように、同配線匍匐装置に取付けるための固定部材が、既述の実施形態に比較して格段に単純化される。
なお、本実施形態では、磁気シールドセクション21では、磁気シールド部材21a、21bは端部で互いに重ね合わせて結合されており、既述の実施形態のように、磁気シールド部材24、26の端部が、磁気シールドセクション20の各層20a、20bの隅部において、互いに重なり合わないように互い違いに配置された既述の磁気シールドセクション20とは異なっている。但し、互いに重なり合わないようにすることもできる。
【0026】
更に、図9の実施形態では、磁気シールド装置130は、配線匍匐装置1の側部材2にボルト14により取付けられた固定部材としての縦部材132と、磁気シールドセクション20′とを具備している。磁気シールドセクション20′は左右一対の縦方向の磁気シールド部材24′と、横断方向に延設された磁気シールド部材26′とを具備している。本実施形態においても、固定部材は横部材を含まず、それに替えて、磁気シールドセクション20′の磁気シールド部材24′、26′の双方が縦部材132にボルト、ナット(図示せず)により直接取付けられている。
【0027】
なお、本実施形態では、磁気シールドセクション20′は、縦方向に伸びる磁気シールド部材24′の端部を、横断方向に延びる磁気シールド部材26′の側縁に突き当てるようにしており、既述の実施形態のように、磁気シールド部材24、26の端部が、磁気シールドセクション20の各層20a、20bの隅部において、互いに重なり合わないように互い違いに配置された既述の磁気シールドセクション20とは異なっている。但し、互いに重なり合わないようにすることもできる。
【0028】
更に、図10の実施形態では、磁気シールド装置140は、配線匍匐装置1の側部材2にボルト144により取付けられた固定部材としての上下一対の横部材142と、横部材142に取付けられた図9と同様の磁気シールドセクション20′とを具備している。横部材142は、配線匍匐装置1の幅に適合させて形成された開口部または受承部142aと、開口部または受承部142aの両側に設けられた一対のフランジ部142bとを有しており、上下一対の横部材142のフランジ部142bをボルト144により締結することにより、開口部または受承部142aと側部材2との間の摩擦係合により、配線匍匐装置1に取付けられている。
【0029】
更に、図11の実施形態では、磁気シールド装置150は、配線匍匐装置1の側部材2にボルト154により取付けられた固定部材としての上下一対の横部材152と、横部材152に取付けられた図9と同様の磁気シールドセクション20′とを具備している。横部材152は、一方の側縁部に沿って延設されたフランジ部152aを有しており、上下一対の横部材152のフランジ部152aをボルト154により締結することにより、フランジ部152aと側部材2との間の摩擦係合により、配線匍匐装置1に取付けられている。なお、横部材152に複数の抜き孔152bを形成して、横部材152の重量を低減するようにしてもよい。
【0030】
更に、図12の実施形態では、固定部材は一枚のプレート部材より成る。図12の実施形態において、磁気シールド装置160は、一枚のプレート部材162を具備し、該プレート部材162は、配線匍匐装置1の幅に適合させてプレート部材162に形成された開口部または受承部162aと、開口部または受承部162aの周縁部に設けられたフランジ部162bとを有している。該プレート部材162は、ボルト14によりフランジ部162bを側部材2に固定することにより、配線匍匐装置1に取付けられる。なお、図12には図示されていないが、図11と同様にプレート部材162に抜き孔を形成して、その重量を低減するようにしてもよい。
【0031】
更に、既述の実施形態では、磁気シールドセクション20を固定部材へ取り付けるための取付手段として、ボルト18と該ボルト18に係合するナットの例を示したが、本発明はこれに限定されない。要は、配線匍匐装置1の延設方向に対して概ね垂直な平面内に配置された複数の磁気シールド部材24、26から成る少なくとも1つの層20a、20bを含む磁気シールドセクション20を縦部材12へ取り付け可能とする手段であればよい。
【0032】
そうした手段の他の一例として、図13には取付部材66が示されている。図13に示す実施形態では、磁気シールド装置50は、配線匍匐装置1の側部材2に、コの字状のボルト14により固定される縦部材52と、該縦部材52に取り付けられる磁気シールドセクション54とを少なくとも具備している。なお、本実施形態では、既述の実施形態のような縦部材52間に延設された横部材は備えていないが、同様の横部材を具備することもできる。
【0033】
磁気シールドセクション54は、既述の実施形態の磁気シールドセクション20と同様に、磁性材料から成る二層54a、54bの板状の磁気シールドセクションを具備し、各層54a、54bは、長短二種類の長さの異なる矩形の板部材より成る磁気シールド部材56、58を具備している。正方形の磁気シールドセクションを形成する場合には、磁気シールド部材56、58は同じ長さの部材であってもよい。本実施形態においても、磁気シールド部材56、58は、各々の端部が、磁気シールドセクション20の各層54a、54bの隅部において、互いに重なり合わないように互い違いに配置されている。これによって、磁気シールドセクション54の各層54a、54bにおいて、磁気シールド層24、26が概ね同一平面内に配置される。なお、配線匍匐装置1の前記固定部材と概ね平行に配置される磁気シールド部材56は、縦部材52に形成したスロット60を通して配置される。
【0034】
本実施形態では、取付手段は取付部材66を具備している。取付部材66は、例えば板金加工により形成可能な屈曲板部材より成り、縦部材52に形成した取付スロット62に係合する係合部66aが一端に形成され、他端に隣接する部分には、ボルト(図示せず)を通すための貫通孔66bが形成されている。
【0035】
本実施形態による磁気シールド装置50では、磁気シールド部材56、58を縦部材52に対して上述したように配置した後に、取付部材66の係合部66aを縦部材52の取付スロット62に挿入し、取付部材66の貫通孔66bおよび縦部材52の貫通孔64にボルト(図示せず)を挿通してナットで締結することにより、磁気シールド部材56、58は、縦部材52に対して固定され磁気シールドセクション54となる。
【0036】
本実施形態によれば、磁気シールド部材56、58には、既述の実施形態のようなボルト孔24a、26aが形成されていないので、第1の実施形態と比較して磁気シールド効果が高くなる。然しながら、配線匍匐装置1への磁気シールド装置50の組み付けは、既述の実施形態による磁気シールド装置の方が容易である。
【0037】
更に、図14に示す実施形態では、取付手段は、固定部材に取付けられた挟持部材を具備している。
図14において、磁気シールド装置200は、配線匍匐装置1の側部材2にボルト14により取付けられた固定部材としての縦部材202と、縦部材202にボルト202aにより結合された横部材204と、縦部材202または横部材204に取付けられた4つの挟持部材206と、該挟持部材206により、固定部材202、204に取付けられた磁気シールドセクション20とを具備している。挟持部材206は、縦部材202または横部材204に溶接等により固着された脚部206aと、該脚部206aの先端部から垂直に、磁気シールドセクション20に平行に延設されたプレート部206bとを有し、該プレート部206bには、ボルト210と係合する内ネジが形成されたネジ孔206cが設けられている。本実施形態によれば、ボルト210を締めることにより、磁気シールドセクション20が固定部材202、204に固定される。
【0038】
また、横部材204の中間に、同様の構成の補助挟持部材208を取付け、そのボルト208によって、磁気シールドセクション20を横部材204に押しつけるようにして、磁気シールドセクション20の撓みを防止するようにしてもよい。
【0039】
更に、既述の実施形態では、磁性材料から成る二層20a、20bの板状の磁気シールドセクションを具備し、各層20a、20bは、長短二種類の長さの異なる矩形の磁気シールド部材24、26を具備している旨説明した。既述の実施形態において、二層20a、20bの各々は別部材を形成していたが、本発明は、これに限定されず、二層20a、20bの各々の磁気シールド部材を互いに固着、一体化するようにしてもよい。すなわち、図15を参照すると、磁気シールドセクション20を形成する磁気シールド部材300は、磁気シールド部材302、304を長手方向にオフセットして重ね合わせ、両者を接着剤、リベット、クリップ、かしめ等の手段により互いに固着、一体化して形成されている。本実施形態による磁気シールド部材300を備えた磁気シールドセクションは、既述の実施形態の何れの例にも適用可能である。また、磁気シールドセクションは必ずしも2層としなくともよく、単層または3層以上の複層としてもよい。
【0040】
更に、既述の実施形態では、固定部材は、コの字形のボルト14により側部材2に取付られていたが、本発明はこれに限定されず、固定部材および側部材2を貫通するボルトによって取付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態による磁気シールドセクションを配線匍匐装置と共に示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による磁気シールドセクションを配線匍匐装置と共に示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による磁気シールドセクションを配線匍匐装置と共に示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による磁気シールドの一部を拡大して示す分解図である。
【図5】本発明の効果を説明するための説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の図4と同様の図面である。
【図7】本発明の第3の実施形態の部分斜視図yであり、(a)は図4と同様の図面であり、(b)は横部材の拡大斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の図4と同様の図面である。
【図9】本発明の第5の実施形態の図4と同様の図面である。
【図10】本発明の第6の実施形態の図4と同様の図面である。
【図11】本発明の第7の実施形態の図4と同様の図面である。
【図12】本発明の第8の実施形態の図4と同様の図面である。
【図13】本発明の第9の実施形態の図4と同様の図面である。
【図14】本発明の第9の実施形態による磁気シールド装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は部分断面図である。
【図15】磁気シールド部材の他の実施形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 磁気シールド装置
12 固定部材
16 横断部材
18 ボルト
20 磁気シールドセクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の中心軸線沿いに延設された配線匍匐装置に支持された配線から生じる磁場を遮蔽する磁気シールド装置において、
前記配線匍匐装置に沿って離散配置され、前記配線匍匐装置に取付けられた固定部材と、
前記固定部材に取付けられ、前記配線匍匐装置を包囲する閉曲線に沿って延設された磁気シールドセクションとを具備した磁気シールド装置。
【請求項2】
更に、前記中心軸線方向の磁気シールドセクションの寸法が、該磁気シールドセクションに沿って実質的に同一となるように、前記磁気シールドセクションを前記固定部材の各々に取り付けるための取付手段とを具備する請求項1に記載の磁気シールド装置。
【請求項3】
前記取付手段が、前記固定部材に取り付けた少なくとも1本のボルトと、前記ボルトに係合するナットとを具備しており、
前記磁気シールド部材が前記ボルトを挿通させるためのボルト孔を有している請求項1または2に記載の磁気シールド装置。
【請求項4】
前記固定部材には係合スロットが形成され
前記取付手段が、前記固定部材との間に前記磁気シールド部材の少なくとも一部を挟むように配置され、前記係合スロットに係合する係合部を有した取付部材を具備する請求項1または2に記載の磁気シールド装置。
【請求項5】
前記取付手段が、前記固定部材に取り付けた挟持部材と、該挟持部材に螺着されたボルトとを具備し、
前記磁気シールドセクションが、前記固定部材と前記挟持部材との間に配置され、前記ボルトにより前記固定部材へ向けて押圧されるようにした請求項1または2に記載の磁気シールド装置。
【請求項6】
前記配線匍匐装置は、前記中心軸線に沿って互いに平行に延設された一対の側部材と、前記側部材の間に延設された支持部材とを具備し、
固定部材は、前記側部材に取付けられている請求項1から5の何れか1項に記載の磁気シールド装置。
【請求項7】
前記固定部材は、前記一対の側部材に取付けられた一対の縦部材と、前記縦部材の間に延設され同縦部材に結合された横部材とを具備している請求項6に記載の磁気シールド装置。
【請求項8】
前記取付手段が、前記固定部材の縦部材に取付けた2本のボルトと、前記横部材に取付けた1本のボルトを具備する請求項7に記載の磁気シールド装置。
【請求項9】
前記横部材は、前記配線匍匐装置の幅に適合した受承部を具備する請求項7または8に記載の磁気シールド装置。
【請求項10】
前記磁気シールド部材は、複数の帯状の薄板を積層し一体化した部材であり、前記磁気シールドセクションは、前記配線匍匐装置を前記中心軸線に関して概ね垂直な平面内で矩形状に包囲する請求項1から9の何れか1項に記載の磁気シールド装置。
【請求項11】
前記磁気シールド部材の各々は、その両端において、前記平面内で隣接する磁気シールド部材に重なり合わないように配置されている請求項10に記載の磁気シールド装置。
【請求項12】
前記磁気シールド部材は複数の層状に配設されており、各層内で、前記磁気シールド部材は隣接する磁気シールド部材に重なり合わないように配置されている請求項1から11の何れか1項に記載の磁気シールド装置。
【請求項13】
前記磁気シールド部材は、隣接する層の磁気シールド部材に固着されている請求項12に記載の磁気シールド装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−6556(P2007−6556A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180912(P2005−180912)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000136686)株式会社ブレスト工業研究所 (74)
【Fターム(参考)】