説明

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスク用板状ガラス素材

【課題】 主表面の表面凹凸を抑制した磁気ディスク用ガラス基板を、効率よく製造する方法及び磁気ディスク用ガラス基板を提供する。
【解決手段】 溶融ガラスの塊を、互いに対向しかつ略同じ温度に設定された一対の型の面を用いて挟み込みプレス成形することにより、ヘイズ率が20%以上の板状ガラス素材を成形する工程と、板状ガラス素材を固定砥粒を用いて研削する工程と、を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスク用板状ガラス素材に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性を前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、ガラス基板に磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッド(DFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板には、金属基板等に比べて塑性変形をしにくい性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられている。
【0003】
また、ハードディスク装置における記憶容量の増大の要請を受けて、磁気記録の高密度化が図られている。例えば、磁性層における磁化方向を基板の面に対して垂直方向にする垂直磁気記録方式を用いて、磁気記録情報エリアの微細化が行われている。これにより、1枚のディスク基板における記憶容量を増大させることができる。しかも、記憶容量の一層の増大化のために、磁気ヘッドの磁気記録面からの浮上距離を極めて短くして磁気記録情報エリアを微細化することも行われている。このような磁気ディスクの基板においては、磁性層の磁化方向が基板面に対して略垂直方向に向くように、磁性層が平らに形成される。このために、ガラス基板の表面凹凸は可能な限り小さく作製されている。
また、磁気ヘッドの浮上距離が短いことによりヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を引き起こし易い。これらの障害は磁気ディスク面上の微小な凹凸あるいはパーティクルによって発生するため、ガラス基板の主表面の他にガラス基板の端面の表面凹凸も可能な限り小さく作製されている。
【0004】
ところで、磁気ディスクに用いるガラス基板は、例えば、以下の方法で製造される。具体的には、当該方法では、受けゴブ形成型である下型上に、溶融ガラスからなるガラスゴブが供給され、下型と対向ゴブ形成型である上型を使用してガラスゴブがプレス成形されて板状ガラス素材を作製した後、情報記録媒体用ガラス基板に加工される(特許文献1)。
【0005】
この方法では、下型上に溶融ガラスからなるガラスゴブを供給した後に上型用胴型の下面と下型用胴型の上面を当接させ、上型と上型用胴型との摺動面および下型と下型用胴型との摺動面を超えて外側に肉薄板状ガラス成形空間を形成し、さらに上型を下降してプレス成形を行い、プレス成形直後に上型を上昇する。これにより、磁気ディスク用ガラス基板の元となる板状ガラス素材が成形される。この後、研削工程及び研磨工程を経て磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
【0006】
研削工程では、例えば、アルミナ系遊離砥粒を用いた研削が行われる。この工程では、粒子サイズが異なる遊離砥粒を用いて第1研削工程と第2研削工程が行われる。第2研削工程で用いる遊離砥粒の粒子サイズは第1研削工程で用いる遊離砥粒の粒子サイズに比べて小さく設定される。これにより、粗い研削と細かい研削をこの順番で行う。
研磨工程は、例えば、酸化セリウム等の遊離砥粒および硬質樹脂材ポリッシャ等を用いた第1研磨工程と、例えばコロイダルシリカおよび軟質樹脂材ポリッシャ等を用いた第2研磨工程とを含む。第1研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズは、研削工程中の第2研削工程で用いる砥粒の粒子サイズに比べて小さい。さらに、第2研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズは、第1研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズに比べて小さい。
以上のように、ガラス基板における表面加工では、第1研削工程、第2研削工程、第1研磨工程、第2研磨工程が、この順番に行われ、ガラス基板の表面粗さ等の表面品質を徐々に精度高くなるように加工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3709033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の方法で成形されるガラス基板の表面精度は、上述の磁気記録の高密度化および磁気記録情報エリアの微細化のために求められる主表面の表面精度に対して十分でない。
例えば、板状ガラス素材を成形する際、ガラス材が上型および下型の型表面に融着するのを防止するために型表面に離型剤を塗布するが、この離型剤を用いるために板状ガラス素材の主表面の表面粗さは大きい。また、上型および下型の表面温度差が大きく、ガラスコブ(ガラス材の塊)が供給される下型は高温となる。この表面温度差は、成形された板状ガラス素材の厚さ方向およびこの板の面内で温度分布をつくるため、型から取り出されて冷却された板状ガラス素材の収縮量も板状ガラス素材の厚さ方向およびこの板の面内で分布を持つ。このため、板状ガラス素材は反り易く、その結果、成形されたときの板状ガラス素材の平坦度は低い。
【0009】
このような板状ガラス素材の平坦度は、研削(第1研削工程)により向上させることができる。例えば、平坦度の向上のために研削工程における取り代(削り量)を大きくする。しかし、研削工程における取り代を大きくすると、板状ガラス素材の表面に深いクラックが入るため、深いクラックが残留しないように、後工程である研磨工程においても取り代(研磨量)は必然的に大きくなる。しかし、遊離砥粒および樹脂ポリッシャを用いる研磨工程において取り代を大きくすると、板状ガラス素材の主表面の外周エッジ部近傍が丸く削られて、エッジ部の「だれの問題」が発生する。すなわち、板状ガラス素材の外周エッジ部近傍が丸く削られるため、この板状ガラス素材をガラス基板として用いて磁気ディスクを作製したとき、外周エッジ部近傍の磁性層と磁気ヘッドとの間の距離が、ガラス基板の別の部分における磁気ヘッドの浮上距離より大きくなる。また、外周エッジ部近傍が丸みを持った形状となるため、表面凹凸が発生する。この結果、外周エッジ部近傍の磁性層において磁気ヘッドの記録及び読み出しの動作が正確でない。これが「だれの問題」である。
また、研磨工程における取り代が大きくなるため、研磨工程は長時間を要する等により実用上好ましくない。
【0010】
そこで、本発明は、主表面の表面凹凸を抑制した磁気ディスク用ガラス基板を、効率よく製造する方法及び磁気ディスク用板状ガラス素材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、溶融ガラスの塊を、互いに対向しかつ略同じ温度に設定された一対の型の面を用いて挟み込みプレス成形することにより、ヘイズ率が20%以上の板状ガラス素材を成形する工程と、前記板状ガラス素材を固定砥粒を用いて研削する工程と、を有する。
【0012】
また、上記板状ガラス素材を成形する工程は、前記一対の型の面で前記塊を略同じタイミングで接触させて挟み込みプレス成形するとともに、一対の面で前記塊を挟み込みプレス成形した直後に一対の型を開放することが好ましい。
【0013】
また、上記板状ガラス素材は、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0014】
また、上記板状ガラス素材は、主表面が磁気ディスク用ガラス基板における目標平坦度を有していることが好ましい。
なお、前記「磁気ディスク用ガラス基板における目標平坦度を有する」とは、板状ガラス素材をプレス成形した時点で、主表面の平坦度は磁気ディスク用ガラス基板として有すべき主表面の表面精度を既に満たしていることを意味する。すなわち、板状ガラス素材を成形する工程では、磁気ディスク用ガラス基板における主表面の目標平坦度が設定されており、この目標平坦度に基づいてプレス成形することにより主表面が目標平坦度を有するガラス素材が実現されることをいう。
【0015】
また、前記板状ガラス素材は、前記磁気ディスク用ガラス基板の目標厚さに対して10μm〜150μm厚く成形され、前記研削する工程及び前記研磨をする工程によって、前記板状ガラス素材を前記目標厚さに加工することが好ましい。
【0016】
また、前記目標平坦度は4μm以下であることが好ましい。
【0017】
また、磁気ディスク用ガラス基板の製造に用いられ、プレス成形によって得られる磁気ディスク用板状ガラス素材は、主表面が、磁気ディスク用ガラス基板における目標平坦度を有し、かつ、前記主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下である表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上である磁気ディスク用板状ガラス素材である。
【0018】
溶融ガラスをプレス成形して、主表面が磁気ディスク用ガラス基板における目標平坦度を有し、かつ、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下である表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上の光学特性とを有する板状ガラス素材を成形することにより、固定砥粒を用いた研削と遊離砥粒を用いた研磨を経て磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる。従来のように遊離砥粒を用いた研削を2段階で行わないので、磁気ディスク用ガラス基板を、効率よく製造することができる。
【0019】
前記板状ガラス素材をプレス成形する工程は、溶融ガラスの塊を落下させる工程と、前記塊の落下経路の両側から、互いに対向し、かつ、略同じ温度に設定された一対の型の面で前記塊を挟み込みプレス成形することにより、前記板状ガラス素材を成形する工程と、を有することが好ましい。前記プレス成形により、主表面が磁気ディスク用ガラス基板における目標平坦度を有し、かつ、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下である表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上の光学特性とを有する板状ガラス素材を作製することができる。
【0020】
前記板状ガラス素材を成形する工程は、一対の型の面で塊を挟み込みプレス成形した直後に一対の型を開放することが好ましい。平坦度の高い板状ガラス素材を作製するためには、従来のプレス成形では、プレス成形した後に型を開放することなく一定時間圧力を保って平坦度を高める必要があったが、前述したような成形方法によれば、プレス成形をした直後に型を開放したとしても平坦度の高い板状ガラス素材を成形することができる。
【発明の効果】
【0021】
上述の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、主表面の表面凹凸を抑制した磁気ディスク用ガラス基板を、効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態である磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクを説明する図である。
【図2】(a)〜(d)は、板状ガラス素材あるいはガラス基板における表面凹凸を説明する図である。
【図3】本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。
【図4】図3に示すプレス成形において用いる装置の平面図である。
【図5】(a)〜(c)は、図4に示す装置が行うプレス成形の一例を説明する図である。
【図6】(a)〜(c)は、図3中のプレス成形の他の例を説明する図である。
【図7】(a)〜(d)は、図3中のプレス成形の、更に他の例を説明する図である。
【図8】(a)〜(c)は、図3中のプレス成形の、更に他の例を説明する図である。
【図9】(a)は、図3に示す固定砥粒による研削に用いる装置の全体図であり、(b)は、(a)に示す装置に用いられるキャリヤを説明する図である。
【図10】図9(a)に示す装置を用いて板状ガラス素材を研削するときの状態を説明する図である。
【図11】(a)〜(d)は、研削あるいは研磨によって得られる板状ガラス素材あるいはガラス基板の表面プロファイルの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスク用ガラス基板について詳細に説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクを説明する図である。
【0024】
(磁気ディスクおよび磁気ディスク用ガラス基板)
図1(a)に示す、ハードディスク装置に用いる磁気ディスク1は、リング状のガラス基板2の主表面に、図1(b)に示すように少なくとも磁性層(垂直磁気記録層)等を含む層3A,3Bが形成されている。より具体的には、層3A,3Bには、例えば、図示されない付着層、軟磁性層、非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層および潤滑層が含まれる。付着層には、例えばCr合金等が用いられ、ガラス基板2との接着層として機能する。軟磁性層には、例えばCoTaZr合金等が用いられ、非磁性下地層には、例えばグラニュラー非磁性層等が用いられ、垂直磁気記録層には、例えばグラニュラー磁性層等が用いられる。また、保護層には、水素カーボンからなる材料が用いられ、潤滑層には、例えばフッ素系樹脂等が用いられる。
【0025】
磁気ディスク1について、より具体的な例で説明すると、ガラス基板2に対して、インライン型スパッタリング装置を用いて、ガラス基板2の両主表面に、CrTiの付着層、CoTaZr/Ru/CoTaZrの軟磁性層、CoCrSiO2の非磁性グラニュラー下地層、CoCrPt−SiO2・TiO2のグラニュラー磁性層、水素化カーボン保護膜が順次成膜される。さらに、成膜された最上層にディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層が成膜される。
【0026】
磁気ディスク1は、図1(c)に示すように、ハードディスク装置の磁気ヘッド4A,4Bのそれぞれが、磁気ディスク1の高速回転、例えば7200rpmの回転に伴って磁気ディスク1の表面から5nm浮上する。すなわち、図1(c)中の距離Hが5nmである。この状態で、磁気ヘッド4A,4Bは、磁性層に情報を記録し、あるいは読み出しを行う。この磁気ヘッド4A,4Bの浮上によって、磁気ディスク1に対して摺動することなく、しかも近距離で磁性層に対して記録あるいは読み出しを行うので、磁気記録情報エリアの微細化と磁気記録の高密度化を実現する。
このとき、磁気ディスク1のガラス基板2の中央部から外周エッジ部5まで、目標とする表面精度で正確に加工され、距離H=5nmを保った状態で磁気ヘッド4A,4Bを正確に動作させることができる。
このようなガラス基板2の表面凹凸の加工は、後述するように、取り代の小さい固定砥粒を用いた研削と、その結果、取り代を小さくすることができる第1研磨および第2研磨を経て作製される。したがって、従来の「だれの問題」が解消される。
【0027】
このような磁気ディスク1に用いるガラス基板2の主表面の表面凹凸は、平坦度が例えば4μm以下であり、表面の粗さが例えば0.2nm以下である。平坦度が4μm以下は、最終製品としての磁気ディスク用基板に求められる目標平坦度である。平坦度は、例えば、Nidek社製フラットネステスターFT−900を用いて測定することができる。また、主表面の粗さはJIS B0601:2001により規定され算術平均粗さRaで表され、0.006μm以上200μm以下の場合は、例えば、ミツトヨ社製粗さ測定機SV−3100で測定し、JIS B0633:2001で規定される方法で算出できる。その結果粗さが0.03μm以下であった場合は、例えば、エスアイアイナノテクノロジーズ社製走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡)で計測しJIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。
今回は、板状ガラス素材の表面粗さについては、ミツトヨ社製粗さ測定機SV−3100を用いて測定した結果を用い、研磨後のガラス基板の表面粗さについては上記走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡)にて測定した結果を用いた。
【0028】
図2(a)〜(d)は、表面凹凸を説明する図である。表面凹凸は、凹凸の波長に応じて概略4つの凹凸によって定めることができる。
具体的には、表面凹凸は、最も波長が大きなうねり(波長0.6μm〜130mm程度)、ウェービネス(波長0.2μm〜2mm程度)、マイクロウェービネス(波長0.1μm〜1mm)、粗さ(波長10nm以下)に分けられる。
この中で、うねりは上記平坦度を指標として表すことができ、粗さは上記Raを指標として表すことができる。
【0029】
このような磁気ディスク用ガラス基板は、後述するようにプレス成形後、研削工程、第1研磨工程および第2研磨工程を経て、平坦度が例えば4μm以下であり、表面の粗さが0.2nm以下の表面凹凸を有する基板を得ることができる。
一方、成形直後の、ガラス基板2の元となる板状ガラス素材の表面凹凸は上記範囲に含まれない。しかし、この板状ガラス素材は、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下であり、磁気ディスク用ガラス基板として必要な主表面の目標平坦度、具体的には主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下であるほか、JIS K7105およびJIS K7136で規定されるヘイズ率が20%以上の光学特性を有する。板状ガラス素材の表面の平坦度を磁気ディスク用ガラス基板として必要な主表面の目標平坦度とするのは、平坦度及び板厚を調整する従来の第1研削工程を行うことなく磁気ディスク1に用いるガラス基板2の平坦度を維持するためであり、磁気ヘッド4A,4Bによる適切な記録と読み取りの動作を可能にするためである。磁気ディスク用ガラス基板として必要な主表面の目標平坦度、例えば4μm以下であり、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下である表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上の光学特性とを有する板状ガラス素材は、一例を挙げると、後述するプレス成形により作製することができる。従来のプレス成形では、平坦度が4μm以下の板状ガラス素材を成形することはできない。一方、板状ガラス素材のヘイズ率が20%以上の光学特性を有するのは、後述する固定砥粒による研削工程で効率良い研削をするためである。
【0030】
板状ガラス素材の表面の粗さを0.01μm以上とするのは、板状ガラス素材を後述する固定砥粒による研削を効率よく行うためである。板状ガラス素材の表面の粗さを10μm以下とするのは、研削により深く進行したクラックを除去するために研磨による取り代が大きくなるのを抑制するためである。また、ガラスブランクの主表面の表面粗さを10μm以下とすることにより、磁気ディスク用ガラス基板として求められる表面粗さRaに確実に調整することが可能となる。また、板状ガラス素材を効率よくスクライブするために、板状ガラス素材の表面の粗さは、0.01μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。
このような板状ガラス素材Gの表面凹凸は、プレス成形における型の表面の粗さを調整することにより達成することができる。
【0031】
磁気ディスク1に用いるガラス基板2の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
アルミノシリケートガラスとして、モル%表示で、SiO2を57〜74%、ZnO2を0〜2.8%、Al23を3〜15%、Li2Oを7〜16%、Na2Oを4〜14%、を主成分として含有する、化学強化用ガラス材を用いることが好ましい。
【0032】
(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法)
図3は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。まず、板状ガラス素材をプレス成形により作製する(ステップS10)。作製される板状ガラス素材は、主表面の平坦度が、磁気ディスク用ガラス基板として必要な主表面の目標平坦度、例えば4μm以下であり、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下である表面凹凸と、JIS K7105およびJIS K7136で規定されるヘイズ率が20%以上の光学特性を有する。
このようなプレス成形は、例えば図4及び図5に示す装置を用いて行われる。また、このプレス成形は、図6、図7、あるいは図8に示す装置を用いて行うこともできる。図4はプレス成形をする装置101の平面図であり、図5〜8は、装置がプレス成形をする様子を側面から見た図である。
【0033】
(a)プレス成形工程
図4に示す装置101は、4組のプレスユニット120,130,140及び150と、切断ユニット160を有する。切断ユニット160は、溶融ガラス流出口111から流出する溶融ガラスの経路上に設けられる。装置101は、切断ユニット160によって切断されてできる溶融ガラスの塊を落下させ、そのとき、塊の落下経路の両側から、互いに対向すし、かつ、略同じ温度に設定された一対の型の面で塊を挟み込みプレスすることにより、板状ガラス素材を成形する。
具体的には、図4に示されるように、装置101は、溶融ガラス流出口111を中心として、4組のプレスユニット120,130,140及び150が90度おきに設けられている。
ここで、「略同じ温度」とは、一対の型を構成する第一のプレス成形型のプレス成形面の温度と、第二のプレス成形型のプレス成形面の温度との温度差の絶対値が10℃以内であることを意味する。この温度差の絶対値は、5℃以内がより好ましく、0℃が最も好ましい。ここで、プレス成形面内において、温度分布が存在する場合、「プレス成形面の温度」とは、プレス成形面の中心部近傍の温度を意味する。
また、前記一対の型の面で前記塊を略同じタイミングで接触させて挟み込み、プレス成形することが好ましい。ここで、「略同じタイミングで接触させ」とは、溶融ガラス塊と一方のプレス成形面とが接触した時点と、溶融ガラス塊と他方のプレス成形面とが接触した時点と、の時間差の絶対値が0.1秒以内であることを意味する。この時間差の絶対値は、0.05秒以内がより好ましく、0秒が最も好ましい。
【0034】
プレスユニット120,130,140及び150の各々は、図示しない移動機構によって駆動されて、溶融ガラス流出口111に対して進退可能となっている。すなわち、溶融ガラス流出口111の真下に位置するキャッチ位置(図4においてプレスユニット140が実線で描画されている位置)と、溶融ガラス流出口111から離れた退避位置(図4において、プレスユニット120,130及び150が実線で描画されている位置及び、プレスユニット140が破線で描画されている位置)との間で移動可能となっている。
【0035】
切断ユニット160は、キャッチ位置と溶融ガラス流出口111との間の溶融ガラスの経路上に設けられ、溶融ガラス流出口111から流出される溶融ガラスを適量に切り出して溶融ガラスの塊(以降、ゴブともいう)を形成する。切断ユニット160は、一対の切断刃161及び162を有する。切断刃161及び162は、一定のタイミングで溶融ガラスの経路上で交差するよう駆動され、切断刃161及び162が交差したとき、溶融ガラスが切り出されてゴブが得られる。得られたゴブは、キャッチ位置に向かって落下する。
【0036】
プレスユニット120は、第1の型121、第2の型122、第1駆動部123及び第2駆動部124を有する。第1の型121と第2の型122の各々は、ゴブをプレス成形するための面を有するプレート状の部材である。この2つの面の法線方向が略水平方向となり、この2つの面が互いに平行に対向するよう配置されている。第1駆動部123は、第1の型121を第2の型122に対して進退させる。一方、第2駆動部124は、第2の型122を第1の型121に対して進退させる。第1駆動部123及び第2駆動部124は、例えばエアシリンダやソレノイドとコイルばねを組み合わせた機構など、第1駆動部123の面と第2駆動部124の面とを急速に近接させる機構を有する。
なお、プレスユニット130,140及び150の構造は、プレスユニット120と同様であるため、説明は省略する。
【0037】
プレスユニットの各々は、キャッチ位置に移動した後、第1駆動部と第2駆動部の駆動により、落下するゴブを第1の型と第2の型の問で挟み込んで所定の厚さに成形すると共に急速冷却し、円形状の板状ガラス素材Gを作製する。つぎに、プレスユニットは退避位置に移動した後、第1の型と第2の型を引き離し、成形された板状ガラス素材Gを落下させる。プレスユニット120,130,140及び150の退避位置の下には、第1コンベア171、第2コンベア172、第3コンベア173及び第4コンベア174が設けられている。第1〜第4コンベア171〜174の各々は、対応する各プレスユニットから落下する板状ガラス素材Gを受け止めて図示しない次工程の装置に板状ガラス素材Gを搬送する。
【0038】
装置101では、プレスユニット120,130,140及び150が、順番にキャッチ位置に移動して、ゴブを挟み込んで退避位置に移動するよう構成されているため、各プレスユニットでの板状ガラス素材Gの冷却を待たずに、連続的に板状ガラス素材Gの成形を行うことができる。
【0039】
図5(a)〜(c)は、装置101を用いたプレス成形をより具体的に説明している。図5(a)は、ゴブを作る以前の状態を示す図であり、図5(b)は、切断ユニット160によってゴブが作られた状態を示す図であり、図5(c)は、ゴブをプレスすることにより板状ガラス素材Gが成形された状態を示す図である。
【0040】
図5(a)に示されるように、溶融ガラス流出口111から、溶融ガラス材料LGが連続的に流出される。このとき、所定のタイミングで切断ユニット160を駆動し、切断刃161及び162によって溶融ガラス材料LGを切断する(図5(b))。これにより、切断された溶融ガラスは、その表面張力によって、概略球状のゴブGGとなる。図示される例では、一回切断ユニット160を駆動する度に、例えば半径10mm程度のゴブGG が形成されるように、溶融ガラス材料LGの時間当たりの流出量及び切断ユニット160の駆動間隔が調整される。
【0041】
作られたゴブGG は、プレスユニット120の第1の型121と第2の型122の隙間に向かって落下する。このとき、ゴブGG が第1の型121と第2の型122の隙間に入るタイミングで、第1の型121と第2の型122が互いに近づくように、第1駆動部123及び第2駆動部124(図4参照)が駆動される。これにより、図5(c)に示されるように、第1の型121と第2の型122の間にゴブGG が捕獲(キャッチ)される。さらに、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aとが、微小な間隔にて近接した状態になり、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間に挟み込まれたゴブGG が、薄板状に成形される。なお、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間隔を一定に維持するために、第2の型122の内周面122aには、突起状のスペーサ122bが設けられる。すなわち、第2の型のスペーサ122bが第1の型121の内周面121aに当接することによって、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間隔は一定に維持されて、板状の空間が作られる。
【0042】
第1の型121及び第2の型122には、図示しない温度調節機構が設けられており、第1の型121及び第2の型122の温度は、溶融ガラスLGのガラス転移温度TGよりも十分に低い温度に保持されている。
装置101では、ゴブGG が第1の型121の内周面121a又は第2の型122の内周面122aに接触してから、第1の型121と第2の型122とがゴブGGを完全に閉じ込める状態になるまでの時間は約0.06秒と極めて短い。このため、ゴブGG は極めて短時間の内に第1の型121の内周面121a及び第2の型122の内周面122aに沿って広がって略円形状に成形され、さらに、急激に冷却されて非晶質のガラスとして固化する。これによって、板状ガラス素材Gが作製される。なお、本実施形態において成形される板状ガラス素材Gは、例えば、直径75〜80mm、厚さ約1mmの円形状の板である。
【0043】
第1の型121と第2の型122が閉じられた後、プレスユニット120は速やかに退避位置に移動し、代わりに、他のプレスユニット130がキャッチ位置に移動し、このプレスユニット130によって、ゴブGG のプレスが行われる。
【0044】
プレスユニット120が退避位置に移動した後、板状ガラス素材Gが十分に冷却されるまで(少なくとも屈服点よりも低い温度となるまで)、第1の型121と第2の型122は閉じた状態を維特する。この後、第1駆動部123及び第2駆動部124が駆動されて第1の型121と第2の型122が離間し、板状ガラス素材Gは、プレスユニット120を離れて落下し、下部にあるコンベア171に受け止められる(図4参照)。
【0045】
装置101では、上記のように、0.1秒以内(約0.06秒)という極めて短時間の問に第1の型121と第2の型122が閉じられ、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの全体に、略同時に溶融ガラスが接触することになる。このため、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aが局所的に加熱されることは無く、内周面121aと内周面122aに歪みは殆ど生じない。また、溶融ガラスから第1の型121及び第2の型122に熱が移動する前に、溶融ガラスが円形状に成形されるため、成形される溶融ガラスの温度分布は略一様なものとなる。このため、溶融ガラスの冷却時、ガラス材料の収縮量の分布は小さく、板状ガラス素材Gの歪みが大きく発生することはない。したがって、作製された板状ガラス素材Gの主表面の平坦度は、従来のプレス成形により作製される板状ガラス素材に比べて向上し、磁気ディスク用ガラス基板として必要な主表面の目標平坦度にすることができる。
【0046】
また、第1の型121の内周面121a及び第2の型122の内周面122aの表面凹凸は、成形される板状ガラス素材Gにおけるヘイズ率が20%以上の光学特性となるように、調整することができる。さらに、内周面121a及び内周面122aの表面の粗さは、板状ガラス素材Gの算術平均粗さRaが0.01μm〜10μmとなるように、好ましくは、0.01μm〜1μmとなるように、調整することができる。
【0047】
なお、図5に示す例では、切断刃161及び162を用いて、流出する溶融ガラスLGを切断することによって略球状のゴブGGが形成される。しかしながら、溶融ガラス材料LG の粘度が、切り出そうとするゴブGGの体積に対して小さい場合は、溶融ガラスLGを切断するのみでは切断されたガラスが略球状とはならず、ゴブが作れない。このような場合は、ゴブを作るためのゴブ形成型を用いる。
【0048】
図6(a)〜(c)は、図5に示す実施形態の変形例を説明する図である。この変形例ではゴブ形成型を用いる。図6(a)は、ゴブを作る前の状態を示す図であり、図6(b)は、切断ユニット160及びゴブ形成型180によってゴブGGが作られた状態を示す図であり、図6(c)は、ゴブGGをプレス成形して板状ガラス素材Gが作られた状態を示す図である。
図6(a)に示すように、プレスユニット120は、ブロック181,182を溶融ガラスLGの経路上で閉じることにより溶融ガラスLGの経路が塞がれ、ブロック181,182で作られる凹部180Cで、切断ユニット160で切断された溶融ガラスLGの塊が受け止められる。この後、図6(b)に示すように、ブロック181,182が開かれることにより、凹部180Cにおいて球状となった溶融ガラスLGが一度にプレスユニット120に向けて落下する。この落下時、ゴブGGは、溶融ガラスLGの表面張力により球状になる。球状のゴブGGは、落下途中、図6(c)に示すように、第1の型121と第2の型122とに挟まれてプレス成形されることにより、円形状の板状ガラス素材Gが作製される。
【0049】
あるいは、図7(a)〜(d)に示すように、装置101は、図6(a)〜(c)に示す切断ユニット160を用いず、ゴブ形成型180を、溶融ガラスLGの経路に沿って上流側方向あるいは下流側方向に移動させる移動機構を用いてもよい。図7(a)〜(d)は、ゴブ形成型180を使用する変形例を説明する図である。図7(a),(b)は、ゴブGGが作られる前の状態を示す図であり、図7(c)は、ゴブ形成型180によってゴブGGが作られた状態を示す図であり、図7(d)は、ゴブGGをプレス成形して板状ガラス素材Gが作られた状態を示す図である。
図7(a)に示すように、ブロック181,182によって作られる凹部180Cが溶融ガラス流出口111から流出する溶融ガラスLGを受け止め、図7(b)に示すように、所定のタイミングでブロック181,182を溶融ガラスLGの流れの下流側に素早く移動させる。これにより、溶融ガラスLGが切断される。この後、所定のタイミングで、図7(c)に示すように、ブロック181,182が離間する。これにより、ブロック181,182で保持されている溶融ガラスLGは一度に落下し、ゴブGGは、溶融ガラスLGの表面張力により球状になる。球状のゴブGGは、落下途中、図7(d)に示すように、第1の型121と第2の型122とに挟まれてプレス成形されることにより、円形状の板状ガラス素材Gが作製される。
【0050】
図8(a)〜(c)は、ゴブGGとの代わりに図示されない軟化炉で加熱した光学ガラスの塊CPを落下させ、落下途中の両側から型221,222で挟んでプレス成形する変形例を説明する図である。図8(a)は、加熱した光学ガラスの塊を成形する前の状態を示す図であり、図8(b)は、光学ガラスの塊を落下する状態を示す図であり、図8(c)は、光学ガラスの塊をプレス成形して板状ガラス素材Gが作られた状態を示す図である。
図8(a)に示すように、装置201は、光学ガラスの塊CPをガラス材把持機構212でプレスユニット220の上部の位置に搬送し、この位置で、図8(b)に示すように、ガラス材把持機構212による光学ガラスの塊CPの把持を開放して、光学ガラスの塊CPを落下させる。光学ガラスの塊CPは、落下途中、図8(c)に示すように、第1の型221と第2の型222とに挟まれて円形状の板状ガラス素材Gが成形される。第1の型221及び第2の型222は、図5に示す第1の型121及び第2の型122と同じ構成及び作用をするので、その説明は省略する。
【0051】
(b)スクライブ工程
以上のプレス成形の後、図3に示すように、成形された板状ガラス素材Gに対してスクライブが行われる(ステップS20)。
ここでスクライブとは、成形された板状ガラス素材Gを所定のサイズのリング形状とするために、板状ガラス素材Gの表面に超鋼合金製あるいはダイヤモンド粒子からなるスクライバにより2つの同心円(内側同心円および外側同心円)状の切断線(線状のキズ)を設けることをいう。2つの同心円の形状にスクライブされた板状ガラス素材Gは、部分的に加熱され、板状ガラス素材Gの熱膨張の差異により、外側同心円の外側部分および内側同心円の内側部分が除去される。これにより、リング形状の板状ガラス素材となる。
上述したように、板状ガラス素材Gの粗さの上限を1μmとすることにより、スクライバを用いて好適に切断線を設けることができる。板状ガラス素材Gの粗さが1μmを越える場合、スクライバが表面凹凸に追従せず、切断線を一様に設けることはできない。なお、板状ガラス素材の粗さが1μmを超える場合には、板状ガラス素材をスクライブを必要としない程度の外径、真円度とし、このような板状ガラス素材に対してコアドリル等を用いて円孔を形成することによりリング形状とすることもできる。
【0052】
(c)形状加工工程(チャンファリング工程)
次に、スクライブされた板状ガラス素材Gの形状加工が行われる(ステップS30)。形状加工は、チャンファリング(外周端部および内周端部の面取り)を含む。
リング形状の板状ガラス素材Gの外周端部および内周端部に、ダイヤモンド砥石により面取りが施される。
【0053】
(d)固定砥粒による研削工程
次に、リング形状の板状ガラス素材Gに対して、固定砥粒による研削が施される(ステップS40)。固定砥粒による研削による取り代は、例えば数μm〜100μm程度である。固定砥粒の粒子サイズは、例えば10μm程度である。
図9(a)は、研削に用いる装置の全体図である。図9(b)は、この装置に用いられるキャリヤを説明する図である。図10は、板状ガラス素材Gの研削中の状態を説明する図である。
【0054】
装置400は、図9(a)および図10に示すように、下定盤402、上定盤404、インターナルギヤ406、キャリヤ408、ダイヤモンドシート410、太陽ギヤ412、インターナルギヤ414、容器416、及びクーラント418を有する。
装置400は、下定盤402と上定盤404との間に、インターナルギヤ406を上下方向から挟む。インターナルギヤ406内には、研削時に複数のキャリヤ408が保持される。図9(b)では、5つのキャリヤを保持する。下定盤402および上定磐404に平面的に接着したダイヤモンドシート410の面が研削面となる。すなわち、板状ガラス素材Gは、ダイヤモンドシート410を用いた固定砥粒による研削が行われる。
【0055】
研削すべき複数の板状ガラス素材Gは、図9(b)に示すように、各キャリヤ408に設けられた円形状の孔に配置されて保持される。板状ガラス素材Gの一対の主表面は、研削時、下定盤402および上定盤404に挟まれてダイヤモンドシート410に当接する。
一方、板状ガラス素材Gは、下定盤402の上で、外周にギヤ409を有するキャリヤ408に保持される。このキャリヤ408は、下定盤402に設けられた太陽ギヤ412、インターナルギヤ414と噛合する。太陽ギヤ412を矢印方向に回転させることにより、各キャリヤ408はそれぞれの矢印方向に遊星歯車として自転しながら公転する。これにより、板状ガラス素材Gは、ダイヤモンドシート410を用いて研削が行われる。
【0056】
装置400は、図9(a)に示すように、容器416内のクーラント418をポンプ420によって上定盤404内に供給し、下定盤402からクーラント418を回収し、容器416に戻すことにより、循環させる。このとき、クーラント418は、研削中に生じる切子を、研削面から除去する。具体的には、装置400は、クーラント418を循環させる際に、下定盤402内に設けられたフィルタ422で濾過し、そのフィルタ422に切子を滞留させる。
【0057】
このような固定砥粒による研削により、主表面は、図11(a)に示すような表面プロファイルを有する。図11(a)は、固定砥粒による研削後の表面プロファイルの一例を示す図であり、図11(b)は、従来から行われていた遊離砥粒による研削後の表面プロファイルの一例を示す図である。
すなわち、図11(a)に示すように、板状ガラス素材Gの表面凹凸のうち、凸部のみが固定砥粒により効果的に削れて、研削面は、比較的平坦な部分に凹部およびクラックが部分的に入ったプロファイル形状となる。勿論、上記平坦な部分には、固定砥粒の粒子サイズに応じた大きさの凹凸、例えば粗さを備える。これに対して、遊離砥粒を用いた研削の場合、図11(b)に示すように凸部の他に凹部も同様に除去される。このため、遊離砥粒による研削後の平面プロファイルは、図11(a)に示すような、平坦な部分が比較的多い表面プロファイルとはならない。
なお、固定砥粒による研削は、表面凹凸の粗さが0.01μm未満の場合殆ど機能しない。すなわち、研削されない。このため、固定砥粒による研削を効果的に行うために、成形された板状ガラス素材Gの表面凹凸の粗さは0.01μm以上に調整されている。
【0058】
図11(c)は、固定砥粒による研削が行われ易い表面プロファイル形状の一例を示す図であり、図11(d)は、固定砥粒による研削が行われ難い表面プロファイル形状の一例を示す図である。
すなわち、図11(c)に示すように、表面プロファイルにおいて局所的に凸部が存在し、粗さが0.01μm以上であることにより、固定砥粒による研削が効果的に行われ易い。一方、図11(d)に示すように、表面プロファイルにおいて局所的に凸部が存在せず、滑らかに変化するとき、粗さが0.01μm以上であっても、固定砥粒による研削が行われ難い。
このような表面プロファイルの形状の差異は、ヘイズ率によって表すことができる。すなわち、板状ガラス素材Gにおいて、ヘイズ率が20%以上の光学特性を有するものは、図11(d)に示すような表面プロファイル形状を持たず、固定砥粒による研削が行われ難い。このため、成形される板状ガラス素材Gが上記表面凹凸および上記光学特性を持つように、型121,122の内周面121a,122aの表面形状が調整されている。板状ガラス素材Gの光学特性は、ヘイズ率20%以上である。
【0059】
研削装置400では、ダイヤモンドシート410を用いて研削を行うが、ダイヤモンドシート410の代わりに、ダイヤモンド粒子を設けた固定砥粒を用いることができる。例えば、複数のダイヤモンド粒子を樹脂で結合することによりペレット状にしたものを固定砥粒による研削に用いることができる。
【0060】
(d)端面研磨工程
固定砥粒による研削後の板状ガラス素材Gの端面研磨が行われる(ステップS50)。端面研磨では、板状ガラス素材Gの内周側端面及び外周側単面をブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、板状ガラス素材Gの端面での塵等が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことにより、ナトリウムやカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。
【0061】
(e)第1研磨(主表面研磨)工程
次に、研削された板状ガラス素材Gの主表面に第1研磨が施される(ステップS60)。第1研磨による取り代は、例えば数μm〜50μm程度である。
第1研磨は、固定砥粒による研削により主表面に残留したキズ、歪みの除去を目的とする。第1研磨では、固定砥粒による研削(ステップS40)で用いた装置400を用いる。このとき、固定砥粒による研削と異なる点は、
・ 固定砥粒の代わりにスラリーに混濁した遊離砥粒を用いること、
・ クーラントは用いないこと、
・ ダイヤモンドシート410の代わりに樹脂ポリッシャを用いること、である。
第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させた酸化セリウム等の微粒子(粒子サイズ:直径1〜2μm程度)が用いられる。
【0062】
(f)化学強化工程
次に、第1研磨後の板状ガラス素材Gは化学強化される(ステップS60)。
化学強化液として、例えば硝酸カリウム(60%)と硫酸ナトリウム(40%)の混合液等を用いることができる。化学強化では、化学強化液が、例えば300℃〜400℃に加熱され、洗浄した板状ガラス素材Gが、例えば200℃〜300℃に予熱された後、板状ガラス素材Gが化学強化液中に、例えば3時間〜4時間浸漬される。この浸漬の際には、板状ガラス素材Gの両主表面全体が化学強化されるように、複数の板状ガラス素材Gが端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
このように、板状ガラス素材Gを化学強化液に浸漬することによって、板状ガラス素材Gの表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、板状ガラス素材Gが強化される。なお、化学強化処理された板状ガラス素材Gは洗浄される。例えば、硫酸で洗浄された後に、純水、IPA(イソプロピルアルコール)等で洗浄される。
【0063】
(g)第2研磨(最終研磨)工程
次に、化学強化されて十分に洗浄された板状ガラス素材Gに第2研磨が施される(ステップS80)。第2研磨による取り代は、例えば1μm程度である。
第2研磨は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨では、固定砥粒による研削(ステップS40)および第1研磨(ステップS60)で用いた装置400を用いる。このとき、第1研磨と異なる点は、
・遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なること、
・樹脂ポリッシャの硬度が異なること、である。
第2研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子(粒子サイズ:直径0.1μm程度)が用いられる。
こうして、研磨された板状ガラス素材Gは、洗浄される。洗浄では、中性洗剤、純水、IPAが用いられる。
第2研磨により、主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが0.2nm以下の表面凹凸を有する、磁気ディスク用ガラス基板2が得られる。
この後、磁気ディスク用ガラス基板2に、図1に示されるように、磁性層等の層3A,3Bが成膜されて、磁気ディスク1が作製される。
以上が、図3に沿ったフローの説明である。図3に示すフローでは、スクライブ(ステップS20)及び形状加工(ステップS30)は、固定砥粒による研削(ステップS40)と第1研磨(ステップS60)の間に行われ、化学強化(ステップS70)は、第1研磨(ステップS60)と第2研磨(ステップS80)との間に行われるが、この順番に限定されない。固定砥粒による研削(ステップS40)の後、第1研磨(ステップS60)、その後第2研磨(ステップS80)が行われる限り、スクライブ(ステップS20)、形状加工(ステップS30)および化学強化(ステップS70)の各工程は、適宜配置することができる。
【0064】
本実施形態では、成形された板状ガラス素材Gを、従来のように遊離砥粒を用いた2回の研削(第1研削及び第2研削)をせず、固定砥粒を用いた1回の研削をした後、第1研磨及び第2研磨を行う。このように研削工程を1工程省くことができるのは、主表面が磁気ディスク用ガラス基板として必要な目標平坦度を有し、主表面の粗さが0.1μm〜10μmである表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上の光学特性とを有する板状ガラス素材を成形することができるからである。
しかも、固定砥粒を用いた研削では、図11(a)に示すように、表面プロファイルにおける凸部の部分のみを優先的に研削することができ、後工程の第1研磨及び第2研磨において、取り代を抑えることができる。例えば、研削及び研磨において合計の取り代を10μm〜150μmとすることができる。したがって、板状ガラス素材Gは、磁気ディスクに用いるガラス基板2の目標厚さに対して10μm〜150μm厚く成形され、研削及び研磨によって、板状ガラス素材Gを目標厚さに加工することが好ましい。
【0065】
従来における研削(第1研削工程及び第2研削工程)及び研磨(第1研磨工程及び第2研磨工程)における取り代は、成形される板状ガラス素材の平坦度の低さの解消のために150μmを越えていた。すなわち、従来の第1研削工程および第2研削工程では取り代を大きく定めていた。研削で大きく削ると、平坦度は向上するが、クラックが深く進行する。このため、第1研磨及び第2研磨における取り代は必然的に大きくなっていた。このような研磨における大きな取り代に起因して、上述したようにガラス基板の外周エッジ部近傍が丸く削られるエッジ部の「だれの問題」が発生する。なお、外周エッジ部近傍が丸く削られるのは、上述した第1研磨及び第2研磨を行う際、硬質あるいは軟質樹脂ポリッシャを用いることに起因する。
【0066】
このように、本実施形態の方法では、成形された板状ガラス素材の主表面に対して固定砥粒による研削を行い、さらに、この研削を行った板状ガラス素材の主表面に第1研磨を施すことができる。このため、本実施形態の方法では、研削による取り代を小さくでき、この結果、研削、第1研磨および第2研磨における取り代を10μm〜150μmとすることができる。
【0067】
(実施例、従来例、比較例)
以下、図3に示す方法の有効性を確かめた。
ガラス材は、アルミノシリケートガラス(SiOを57〜74%、ZnOを0〜2.8%、Alを3〜15%、LiOを7〜16%、NaOを4〜14%)を用いた。
作製されたガラス基板について、インライン型スパッタリング装置を用いて、磁性層を形成した。具体的には、ガラス基板の両主表面に、CrTiの付着層、CoTaZr/Ru/CoTaZrの軟磁性層、CoCrSiO2の非磁性グラニュラー下地層、CoCrPt−SiO2・TiO2のグラニュラー磁性層、水素化カーボン保護膜を順次成膜した。この後、成膜された最上層にディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を成膜した。これにより、磁気ディスクを得た。
【0068】
・実施例1〜11
主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが0.01μm〜10μmである表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上の光学特性とを有する板状ガラス素材を用いて図3〜5に示す本実施形態の方法でガラス基板を作製した。
【0069】
・比較例1
一方、図4,5に示すプレス成形の方法により、主表面の平坦度が4μm以下であるが、主表面の粗さが0.01μm未満であり、ヘイズ率が20%以上の板状ガラス素材を用いて、図3に示すステップ20〜ステップS80を行ってガラス基板を作製した。
【0070】
・比較例2〜8
また、図4,5に示すプレス成形の方法により、主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが0.01μm〜10μmである表面凹凸を有するが、ヘイズ率が20%未満である板状ガラス素材を用いて、図3に示すステップ20〜ステップS80を行ってガラス基板を作製した。
【0071】
・比較例9〜11
図4,5に示すプレス成形の方法により、主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが10μmを超える表面凹凸を有し、ヘイズ率が20%以上である板状ガラス素材を用いて、図3に示すステップ20〜ステップS80を行ってガラス基板を作製した。
【0072】
・比較例12〜14
図4,5に示すプレス成形の方法により、主表面の平坦度が4μmを超え、主表面の粗さが0.01μm〜10μmである表面凹凸を有し、ヘイズ率が20%以上である板状ガラス素材を用いて、図3に示すステップ20〜ステップS80を行ってガラス基板を作製した。
【0073】
・従来例
従来の方法(特許第3709033号公報に記載の方法)で作製した板状ガラス素材を用いて、ガラス基板を作製した(従来例)。作製したガラス基板は、いずれも主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが0.2nm以下の表面凹凸を有するものとなるように、第1研削、第2研削、第1研磨および第2研磨を行った。
なお、上記実施例1〜11、比較例1〜14の板状ガラス素材は、プレス成形に用いる型の表面の凹凸形状を変えて作製した。
【0074】
実施例1〜11および比較例1〜14の研削、研磨の条件は以下のように行った。
・固定砥粒による研削工程:ダイヤモンドシート
・第1研磨工程:酸化セリウム(平均粒子サイズ;直径1〜2μm)、硬質ウレタンパッドを使用して研磨した。取り代10μm。
・第2研磨工程:コロイダルシリカ(平均粒子サイズ;直径0.1μm)、軟質ポリウレタンパッドを使用して研磨した。取り代1μm。
また、従来例では、研削工程として、遊離砥粒を用いた上述の第1研削工程と第2研削工程を行った。従来例における第1研磨工程および第2研磨工程の条件は、上記条件と同じとした。
【0075】
得られた磁気ディスクに対する磁気ヘッドの浮上安定性を評価するため、LUL耐久試験(60万回)を行って評価した。LUL耐久試験とは、HDD(ハードディスク装置)を70℃80%の恒温恒湿槽に入れた状態で、磁気ヘッドを、ランプ→IDストップ→ランプ→IDストップ→・・・というサイクルで動かし、エラーの発生状況や試験後のヘッドの汚れや摩耗等の異常発生を調査する試験のことである。1つの実験水準に対して10台を用い、8万回/日×7.5日=60万回のLUL試験の結果、HDD1台でも異常が見られる場合は不合格として評価した。
下記表1は、実施例1〜11、比較例1〜14における主表面の粗さと平坦度とヘイズ率と、LUL耐久試験結果(合格、不合格)を示す。
【0076】
【表1】

【0077】
上記表1中の実施例1〜11と比較例1〜14の比較により明らかなように、成形された板状ガラス素材は、主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが0.01μm〜10μmである表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上の光学特性とを有する限り、LUL耐久試験をすることができ、しかもLUL耐久試験において合格であった。
なお、実施例8〜11および比較例8〜11は、成型したときの板状ガラス素材Gの主表面の粗さが1.0μmを超え、スクライブ工程ができなかったため、スクライブに代えてコアドリルを用いてコアリングを行った。
なお、実施例1〜11における、成型時の板状ガラス素材Gの厚さは、いずれもガラス基板2の目標厚さに対して10μ〜150μm厚く、この10〜150μmの厚さの分を、研削および研磨で取り除くことにより、LUL耐久試験で合格する表面凹凸を備えた、目標厚さのガラス基板を作製できた。
なお、従来の方法で成型された従来例の板状ガラス素材の厚さは、ガラス基板2の目標厚さに対して150μmより厚く設定し、この厚さの分を、研削および研磨で取り除き、目標厚さのガラス基板を得ることができる。しかし、このガラス基板を用いた磁気ディスクの外周エッジ部近傍は、上述した「だれの問題」の原因となる、丸い形状となることが確認された。これより、「だれの問題」が発生することは明らかである。
【0078】
以上より、成形された板状ガラス素材は、主表面の平坦度が4μm以下であり、主表面の粗さが0.01μm〜10μmである表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上の光学特性とを有することにより、固定砥粒による研削が効果的に行われることがわかる。なお、この場合、主表面の平坦度が4μm以下とは、磁気ディスク用ガラス基板における主表面の目標平坦度である。
【0079】
以上、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスク用ガラス基板について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0080】
1 磁気ディスク
2 ガラス基板
3A,3B 磁性層
4A,4B 磁気ヘッド
5 外周エッジ部
101,201,400 装置
111 溶融ガラス流出口
120、130、140,150,220 プレスユニット
121,221 第1の型
121a、122a 内周面
122,222 第2の型
122b スペーサ
123 第1駆動部
124 第2駆動部
160 切断ユニット
161,162 切断刃
171 第1コンベア
172 第2コンベア
173 第3コンベア
174 第4コンベア
212 ガラス材把持機構
401 下定盤
404 上定盤
406 インターナルギヤ
408 キャリヤ
409 ギア
410 ダイヤモンドシート
412 太陽ギヤ
414 インターナルギヤ
416 容器
418 クーラント
420 ポンプ
422 フィルタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ガラスの塊を、互いに対向しかつ略同じ温度に設定された一対の型の面を用いて挟み込みプレス成形することにより、ヘイズ率が20%以上の板状ガラス素材を成形する工程と、
前記板状ガラス素材を固定砥粒を用いて研削する工程と、
を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
上記板状ガラス素材を成形する工程は、前記一対の型の面で前記塊を略同じタイミングで接触させて挟み込みプレス成形するとともに、一対の面で前記塊を挟み込みプレス成形した直後に一対の型を開放することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
上記板状ガラス素材は、主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
上記板状ガラス素材は、主表面が磁気ディスク用ガラス基板における目標平坦度を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記板状ガラス素材は、前記磁気ディスク用ガラス基板の目標厚さに対して10μm〜150μm厚く成形され、前記研削する工程及び前記研磨をする工程によって、前記板状ガラス素材を前記目標厚さに加工する、請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項6】
前記目標平坦度は4μm以下である、請求項4に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
磁気ディスク用ガラス基板の製造に用いられ、プレス成形によって得られる磁気ディスク用板状ガラス素材であって、
主表面が、磁気ディスク用ガラス基板における目標平坦度を有し、かつ、前記主表面の粗さが0.01μm以上10μm以下である表面凹凸と、ヘイズ率が20%以上である磁気ディスク用板状ガラス素材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−133882(P2012−133882A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−73954(P2012−73954)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【分割の表示】特願2010−288959(P2010−288959)の分割
【原出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】