説明

磁気ディスク装置

【課題】 磁気ディスク装置の使用環境により、トランスバサーサルフィルタのタップ係数のばらつきをなくし、安定した磁気ディスク装置を提供する。
【解決手段】 各、セクタ単位にトランスバーサルフィルタの係数を管理するデータをもち、てすとデータパターンを読み込み、そのときの等化誤差が規定値よりも大きいかを判定し、大きい場合等化誤差未達フラグを立てる。フォロイング中に、等化誤差未達フラグが立っているセクタのトランスバーサルフィルタのタップ係数を再設定しなおす。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスク媒体からの再生波形をトランスバーサルフィルタを用いて波形等化を行い、ビタビ復号によりデータ弁別を行う磁気ディスク装置について、トランスバーサルフィルタのトランスバーサルフィルタのタップ係数を最適にたもつ磁気ディスク装置に関する。
【従来の技術】従来、磁気ディスク装置においては、ピーク検出方式を採用していた。つまり、記録媒体上に記録されているアナログ信号波形をちよびだし、その波形を微分し、そのゼロクロス点を波形のピーク位置として検出していた。しかし、高密度記録が進むにつれて、隣接する孤立波形の間隔が狭くなり、互いに干渉し実際の孤立波形のピーク位置と再生波形のピーク位置とがずれてしまい正確にデータを再生できなくなってしまう。いわゆる、ピークシフトが起こるためである。記録データ再生時、符号誤りを発生させる要因となるピークシフトを補正する方法として、記録時に行うタイミング補正(ライトプリシフト)や電流波形の非方形波記録等を行う記録等化と、再生時に読み取り波形を補正する、たとえば、作動アンプによる余弦形等化回路やトランスバーサルフィルタ回路などで再生波形等化等によって復号誤りの低減を図っている。近年、多くの磁気ディスク装置ではPRML方式(Partial Response Maximum Likelihood)を採用している。Partial Responseとは符号間干渉量を離散的に取るように符号を等化する方法で見方を変えると符号間の干渉を積極的に利用するようなものである。この場合、多くの磁気ディスク装置においては、トランバーサルフィルタが用いられている。このフィルタの伝達関数は、
【数1】


で表わされる。つまり、トランスバーサルフィルタは、パルス送出時間間隔Tごとにタップを有する遅延回路と各タップ毎にタップ係数Cnを乗じる利得調整回路及びそれらの出力を加算する加算回路からなっている。つまり、波形等化は出力波形が目標波形になる様に、このトランスバーサルフィルタのタップ係数Cnのを最適な値に決めることに有る。この係数を決める方法として、特許開平8-102001号に挙げられる様に、最小自乗誤差法(MSE法)やZF法(Zero Focing法)等アルゴリズムに基づいてトランスバーサルフィルタのタップ係数を決定し、不揮発メモリに格納しおく方法がある。
【発明が解決しようとする課題】現在のディスク装置は、大容量化に伴い、1台のディスク装置について複数のヘッド及び記録媒体が備わっている。しかも、高記録密度に伴い、トラック密度が高くなり、つまり媒体全面のトラック数を増加させている。個々のヘッドとトラックに対する最適な等化係数をメモリ上に保存しておくのは至難なことである。また、磁気ディスク装置の使用環境により、ヘッドの浮上の変化や、磁気ディスク装置の温度変化しいては、ノイズ量の変化、ライト時のオフセットライト等により波形の等化精度は崩れ、エラーの原因となる。 また、自動等化調整回路を常に働かせてると、消費電力の増加を招くことになる。
【課題を解決するための手段】磁気ディスク装置は信号の記録・再生以外の状態はMRヘッドのセンス電流は常に通電されており、フォーローイングやアイドルシークを行っている。このフォローイング状態を利用し、各セクタ単位のトランスバーサルフィルタのタップ係数を決める。そして、算出されたトランスバーサルフィルタのタップ係数をデータ内に書きこみ、リード動作を行う場合に係数を読み出し設定する。また、フォローイング中に等化誤差を出力し、等化誤差を監視し、規定値よりも等化誤差が大きくなった場合にのみ係数相関器を動作し通常の記録・再生動作中は自動等化調整回路は動作しないようにし消費電力を押さえる。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実地例を図を用いて詳細に説明する。複数の磁気記録媒体とそれに対応した記録再生ヘッドからなる磁気ディスク装置で説明する。再生ヘッドはMRヘッドである。ここでは、ヘッド30本、記録媒体15枚の磁気ディスク装置を例に取る。また、スペアヘッド機能を有している磁気記録装置でもかまわない。この場合、スペアヘッドに選択したヘッドは上位からのアクセスが不可能なため認識されない。図1において、記録・再生のに必要なシステムのブロック図を示す。記録媒体1への記録・再生MRヘッド2が行う。R/WIC3へのライトデータ転送及びヘッドからの再生波形のデータ弁別はR/Wチャネル4で行う。R/Wチャネル4は、さらに、PLL(Phase Lock Loop)、サーボ復調の機能を有している。本発明について、関係する部分を図2に示し、後述説明する。MPU5は、G/A6を制御し記録再生に必要なゲートやR/Wチャネルの設定パラメータををシリアルインタフェイスにて、R/Wチャネルに転送する。また、設定パラメータはメモリ7に磁気ディスク装置起動時に格納される。 R/Wチャネルに記録・再生するデータ弁別されたデータはHDC8に転送される。図2において、R/Wチャネルの本発明に関係する、データの記録・再生系統のブロック図を示す。MRヘッド2から再生される波形は、R/W・IC3で増幅され、AGCアンプ9で一定の振幅に増幅される。続いて、LPF(ブースト機能付)10 As補正回路11、ADC回路12、トランスバーサルフィルタ13、データ弁別を行うVitavi Detector 14、弁別されたデータをHDCへ送るNRZInterface 16からなっている。一方、記録系では、逆に、HDCから送られてきたデータをNRZ Interface 16が受けて、それをEncoder 17にて記録パターンにコード化しWPC18で記録等化を行い記録媒体に書きこまれる。ここでは、変調方式については(8、9)変換及び(16、17)変換のどちらでもよい。次に、トランスバーサルフィルタ13の周辺回路についてのブロック図を図3にて説明する。トランスバーサルフィルタ13は、等化誤差を算出する判定器19、その等化誤差とトランスバーサルフィルタに入力される波形との相関をとり、トランスバーサルフィルタのタップ係数を求める相関器19及びタップ係数コントロール回路20からなる。トランスバーサルフィルタ13は、パルス送出時間間隔Tごとにタップを有する遅延回路と各タップ毎にタップ係数Cn(0…N−1)を乗じる利得係数回路及びそれらの出力を加算する加算回路からなっている。加算回路から出力は、フィルタ出力端子21から判定器23に入力され等化誤差が計算され、出力端子22から出力される。等化誤差は、各識別点での入力波形と目標波形の差の自乗総和eを出力する。等化誤差eは、トランスバーサルフィルタ入力前の波形と相関器23から補正されたトランスバーサルフィルタのタップ係数が算出される。相関器23の回路への電源供給はスイッチ24でON/OFFできるようになっている。これは、トランスバーサルフィルタのタップ係数コントロール回路20により制御される。本発明については次ようなの工程が必要ある■初期等化係数の決定。
この過程の目的は、各ヘッド及びディスク上のばらつきをなくし、トランスバサルフィルタに入る前まで等化係数を決めることが主な目的である。つまり、As補正、LPFの遮断周波数及びブースと、ライトプリコンペ、そして、トランスバーサルフィルタのタップ係数である。、各ヘッド及び各ゾーンにて行う。これらの工程は、比較器から出力される等化誤差を出力しその等化誤差が最小になる係数を求める。これらは、各ノッチの最内周のシリンダで行われ、決定された係数は磁気ディスク装置内の管理エリアに書きこまれる。ドライブ起動時においては、この基準値がメモリ上にロート゛されるまた。またヘッドを選択してシークした場合はこのメモリ上から指定したヘッド番号及びゾーン番号の設定値が設定される物とする。
■フォーマットこの目的は、IDを書くことと、トランスバーサルフィルタのタップ係数の初期値及び、学習状況を書きこむことに有る。図4に示す通り、データ部のフォーマットは、サーボエリア25の後にPLL(Phase Lock Loop)部26とトランスバーサルフィルタのタップ係数管理エリア27そしてユーザーデータ部28ががある。IDが有る場合は、トランスバーサルフィルタタップ係数管理エリア27の後にID部がくる。トランスバーサルフィルタのタップ係数管理エリア27は、トランスバーサルフィルタタップ係数管理エリア開始マーク28、トランスバーサルフィルタタップ係数学習テストパターン29、等化誤差未達フラグ30、トランスバーサルフィルタのタップ係数格納エリア31、及び、トランスバーサルフィルタタップ係数設定区間32からなる。フォーマット時にトランスバーサルフィルタのタップ係数格納部に書かれる情報は初期等化係数(デフォルト値)で各ノッチ内のトラックに対しては同じ係数が書かれるものとする。
■フォロイング時のトランスバーサルフィルタのタップ係数の学習フォロイング時はトランスバーサルフィルタタップ係数学習テストパターン29を読む。ヘッドから再生された再生波形は、トラスバーサルフィルタを通過し判定器19で等化誤差が計算される。その結果が等化誤差出力端子から出力される。この結果が、目標等化誤差よりも大きい場合、等化誤差未達フラグ30をONに設定する。そして、再度そのセクタにフォロイングした場合、等化誤差未達フラグ30をみて、等化誤差未達フラグ30がONの場合はトランスバーサルフィルタタップ係数学習対象セクタとして認識される。そして、相関器回路の電源がONになりトランスバーサルフィルタタップ係数学習テストパターンを再度読み込み、トランスバーサルフィルタタップ係数学習を算出する。算出した結果をトランスバーサルフィルタのタップ係数格納エリア31に書きこみ、等化誤差未達フラグ30をOFFに設定する。
■リード時トランスバーサルフィルタのタップ係数の設定リード時のトランスバーサルフィルタへのトランスバーサルフィルタのタップ係数の設定は二つ場合に分かれる。一つは同一ヘッドでかつ同一ノッチ内におけるリードの場合である。この場合、データリードをする場合は、PLL部でVCOの周波数及び位相を調整したあと、トランスバーサルフィルタのタップ係数管理エリアのトランスバーサルフィルタのタップ係数格納エリアに記録されている各トランスバーサルフィルタのタップ係数を読み出し、トランスバーサルフィルタタップ係数設定区間32内で設定する。もう一つはノッチをまたいでリードする場合である。この時は、シーク直後、一旦、メモリ上に書かれているトランスバーサルフィルタのタップ係数が設定される。そして、セットリングが終了し、フォロイング状態になってから、PLL部でVCOの周波数及び位相を調整したあと、トランスバーサルフィルタのタップ係数管理エリアのトランスバーサルフィルタのタップ係数格納エリアに記録されている各トランスバーサルフィルタのタップ係数を読み出し、トランスバーサルフィルタタップ係数設定区間33内で設定する。
【発明の効果】トランスバーサルフィルタのトランスバーサルフィルタのタップ係数を最適な値に設定することは、データ弁別時のリードマージンを大きくすることができ。本発明によれば、磁気ディスク装置の環境が変化した場合、例えば、ヘッドの浮上量、温度、ノイズの変化、また、ライト位置のずれに対し常に最適なトランスバーサルフィルタタップ係数を提供でき、リトライの数を減少でき、安定した且つ、信頼性の置ける磁気ディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気ディスク装置のシステムブロック図。
【図2】R/Wチャネルブロック図。
【図3】トランバーサルフィルタブロック図。
【図4】トランスバーサルフィルタタップ係数管理エリアフォーマット図。
【符号の説明】
1…記録媒体、2…MRヘッド、3…R/W IC、4…R/Wチャネル、5…MPU、6…G/A、7…メモリ、8…HDC、9…AGCアンプ、10…ローパスフィルタ、11…As補正回路、12…ADC回路、13…トランスバーサルフィルタ、14…VitaviDetector、15…Detector、16…NRZ Interface、17…Encoder、18…WPC、19…判定機、20…トランスバーサルフィルタ係数コントロール回路、21…トランスバーサルフィルタ出力、22…等化誤差出力、23…相関器、24…相関器電源供給スイッチ、25…サーボエリア、26…PLL、27…トランスバーサルタップ係数管理エリア、28…ユーザーデータ、29…トランスバーサルタップ係数管理エリア開始マーク、30…トランスバーサルタップ係数学習テストデータ、31…等化誤差未達フラグ、32…トランスバーサルタップ係数格納エリア、33…トランスバーサルタップ係数設定区間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】磁気記録媒体と磁気記録媒体に情報を記録及び再生するためのヘッドを有し、その情報を記録再生するための回路からなる磁気記録装置で、再生波形をトランスバーサルフィルタを用いて波形等化を行い、ビタビ復号によりデータ弁別を行う磁気ディスク装置においてトランスバーサルフィルタのトランスバーサルフィルタのタップ係数の最適化機能を持っていることを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項2】請求項1記載の磁気ディスク装置であって、トランスバーサルフィルタのトランスバーサルフィルタのタップ係数の最適化した結果をを磁気ディスク装置内に保存しておき、その結果を、磁気ディスク装置起動時または動作中にて呼び出す磁気ディスク装置において、そのトランスバーサルフィルタのトランスバーサルフィルタのタップ係数の保存場所が、サーボエリアの直後でユーザデータ及びIDの前に有している磁気ディスク装置。
【請求項3】請求項2記載の磁気ディスク装置に於いて、トランスバーサルフィルタのトランスバーサルフィルタのタップ係数の最適化係数の管理エリア内に、等化誤差未達フラグ、テストパターン、トランスバーサルフィルタのタップ係数保存エリア、及びトランスバーサルフィルタタップ係数設定区間を有している磁気ディスク装置。
【請求項4】請求項1載の磁気ディスク装置に於いて、トランスバーサルフィルタの最適か機能として、最適化を行う回路の電源の動作及び非動作のスイッチング機能を有しており、その動作非動作のスイッチングをディスク装置内に書かれてる情報フラグで判別し動作を選択できる機能を有する磁気ディスク装置。
【請求項5】請求項1載の磁気ディスク装置に於いて、磁気ディスクがフォロイング中にトランスバーサルフィルタのトランスバーサルフィルタのタップ係数の最適化を行うことを特徴とする磁気ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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