説明

磁気ヘッドの製造方法

【課題】磁気ヘッドの製造工程において、ウエハ段階においてネックハイトを高精度に予測することを可能とし、製品精度及び製品の歩留まりを向上させる磁気ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】ウエハ基板に主磁極10を形成した後、該主磁極10のフレアポイントFを挟む配置に一対のネックハイトモニター(NHモニター)30a、30bを形成する工程と、前記NHモニター30a、30bの中心位置Cと前記フレアポイントFとの相対的距離(ΔNH)を計測する工程と、前記相対的距離(ΔNH)の計測結果をもとに、前記主磁極10のネックハイトを予測する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ウエハ段階において記録ヘッドのネックハイトを予測して管理することを可能にする磁気ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、垂直磁気ヘッドにおける主磁極のABS面近傍の平面形状を示す。主磁極10のABS面(浮上面)の近傍部分は細幅のネック部12として形成され、ネック部12の端部(フレアポイント)からは、ハイト方向に徐々に幅広になる。ABS面とネック部12の端部との間の長さがネックハイト(NH)あるいはスロートハイトと呼ばれる。このネックハイトは記録ヘッドの書き込み精度に影響を与えることから、磁気ヘッドの製造工程においては、主磁極のネックハイトが管理項目の一つとなっている。
【0003】
磁気ヘッドの製造工程においては、ウエハ基板に多数個の素子を整列配置させて形成し、後工程においてウエハからスライダーを加工する際にABS面が決定される。このABS面の位置は、リード素子のハイト方向の高さ(MRハイト)あるいはリード素子が所定の抵抗値となるようにねらって設定される。したがって、ウエハ段階において主磁極をパターン形成した時点では、ABS面の位置が最終的に確定していないため、主磁極のネックハイトが決まらない。
【0004】
このため、ウエハ段階において主磁極のネックハイトを予測、管理する方法として、リード素子をパターン形成する際と、主磁極をパターン形成する際の露光パターンの位置ずれを検知し、その位置ずれ量から、ネックハイトを予測する方法が考えられている。
ABS面はリード素子を基準として設定されるから、リード素子と主磁極との相互位置関係が検知できればネックハイトを予測することができるという考え方である。たとえば、リード素子の後端位置に対して主磁極10のネック部12の端部(フレアポイント)の位置は設計上、決められているから、リード素子の露光パターンと主磁極の露光パターンとの位置ずれ量がわかれば、その位置ずれ量から、ネックハイトがどの程度であるかが予測できる。
【0005】
リード素子を形成する際の露光パターンと主磁極を形成する際の露光パターンの位置ずれを検知する方法としては、リード素子を形成する際に形成したマーカーと、主磁極10を形成する際に形成したマーカーとの位置ずれから検知することができる。図6は、ボックス形のマーカーを使用する例であり、リード素子を形成する際に設けた基準マークM1に重ね合わせるように、主磁極を形成する際に主磁極マークM2を形成した例である。基準マークM1と主磁極マークM2との中間層をアルミナ等の光透過性材料としておけば、基準マーク14と主磁極マークM2とを視認することによって露光パターンの位置ずれ量(X−Y方向のずれ量)を検知することができる。
【0006】
基準マークM1と主磁極マークM2との位置ずれ量が検知できれば、ウエハ段階におけるネックハイト(NH)は次式によって予測することができる。
NH=(定数項)−(主磁極とリード素子の露光パターンの位置ずれ量)
ここで、定数項は、磁気ヘッド(スライダー)完成時におけるネックハイトの実測値と、(主磁極とリード素子の露光パターンの位置ずれ量)との差分から求められる。
【0007】
【特許文献1】特開2005−293805号公報
【特許文献2】特開2006−190438号公報
【特許文献3】特開平5−67312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した基準マークM1と主磁極マークM2の位置ずれ量からネックハイトを予測する方法は、図7(a)に示すような、主磁極を露光する際の露光パターンによる位置ずれに起因するネックハイトを予測するものである。しかしながら、ネックハイトは、露光パターンの位置ずれの他に、レジストの感度、露光量、現像時間等に起因する露光後のパターン変動、主磁極を形成した後のスリミング加工、主磁極を形成した後の表面研磨加工等によって変動する。図7(b)は、主磁極を形成した後にイオンミリングによりネック部12を細幅化(スリミング加工)した状態を示している。このような加工を施すと、ネックハイトは露光時とは異なってくる。
【0009】
これらのネックハイトに及ぼす変動を考慮すると、実際のネックハイトは以下のような式によって表される。
NH=(定数項)−(主磁極とリード素子の露光パターンの位置ずれ量)+(露光後のパターン変動)+(スリミングの影響)+(平坦化の影響)+……
上式の3項目以降の各項による影響は、露光時における露光パターンの位置ずれからは把握することができない量である。
【0010】
したがって、従来の、露光パターンのマーカーの位置からネックハイトを予測する方法は、パターン形成後の変動や、主磁極を形成した後の加工による変動を反映できていない点で正確なネックハイトからずれている。
垂直磁気ヘッドのような、主磁極等のパターンがきわめて微細にかつ高精度に形成することが求められる製品においては、従来は問題視されなかった露光パターンの位置ずれ以外に起因する位置ずれであっても、製品の特性精度に影響を及ぼすようになってきた。このため、製造工程においてより高精度にネックハイトを予測し、それに基づいて工程を管理することが求められる。
【0011】
本発明は磁気ヘッドの製造工程において、ウエハ段階において、ネックハイトを高精度に予測することを可能とし、製品精度及び製品の歩留まりを向上させる磁気ヘッドの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本実施形態の一観点によれば、ウエハ基板に主磁極を形成した後、該主磁極のフレアポイントを挟む配置に一対のネックハイトモニター(NHモニター)を形成する工程と、前記NHモニターの中心位置と前記フレアポイントとの相対的距離(ΔNH)を計測する工程と、前記相対的距離の計測結果をもとに、前記主磁極のネックハイトを予測する工程とを備える磁気ヘッドの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る磁気ヘッドの製造方法によれば、NHモニターを利用して主磁極のフレアポイントを検知することによって、主磁極をパターン形成した後の加工によるネックハイトの変動分を取り込んで、ウエハ段階においてネックハイトを予測することが可能となる。これによって、より高精度にネックハイトを検知することが可能となり、磁気ヘッドを高精度に形成でき、製造歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(リード素子と主磁極との配置)
図1は、ウエハ基板にリード及びライト用の素子を形成した状態の断面図を示す。
リード素子部分は、リード素子20と、リード素子20を厚さ方向に挟む配置に設けられた下部シールド層21と上部シールド層22とを備える。
ライト素子部分は、主磁極10と、主磁極10の上層と下層に設けられた上部リターンヨーク14及び下部リターンヨーク15と、主磁極10の下層に設けられた磁性膜13とコイル16とを備える。磁性膜13はハイト端側において上部リターンヨーク14と連結する。コイル16は、主磁極10及び磁性膜13を巻回するように形成される。なお、図1において空白部分は絶縁層である。
【0015】
ウエハ基板にリード及びライト用の素子部分を形成した状態においては、ABS面位置は決まっていない。したがって、リード素子20と主磁極10等を形成する場合は、ABS面位置と交差する配置となるように大きめにリード素子20や主磁極10等を形成する。
【0016】
リード素子20についてみると、ウエハ基板の段階においては、ABS面に垂直方向(ハイト方向)の長さはA0であるが、ABS面位置まで研磨加工した段階においては、ハイト方向の長さはAとなる。前述したように、このABS面を決める研磨加工は、リード素子20のハイト方向の長さが所定の長さとなった時点で停止するか、リード素子20が所定の抵抗値になったところで停止される。ABS面の位置が最終的に決まることによって、はじめて主磁極10のネックハイト(NH)が決まる。
【0017】
(NHモニター)
本実施形態においては、主磁極10のネックハイトの位置を正確に検知するために、露光パターンを利用して主磁極10を形成し、主磁極10にスリミングあるいは表面研磨といった所要の加工を施した後に、主磁極10の形状を観察し、その観察結果に基づいてネックハイトを予測する。すなわち、従来方法においては、リード素子と主磁極を形成する際の露光パターンの位置ずれを検知してネックハイトを予測しているのに対して、本実施形態においては主磁極10、具体的には主磁極10のフレアポイントを実際に観測してネックハイトを予測する。
【0018】
図2は、主磁極10のネック部12を観察するためにネックハイトモニター(NHモニター)30a、30bを形成した例を示す。NHモニター30a、30bは主磁極10のネック部12の端部(フレアポイントF)をNHモニター30a、30bの中間に挟む配置に、内端縁が互いに平行になるように形成する。
NHモニター30a、30bの内端縁の位置(線Bの位置)は、フレアポイントFの位置を検知する基準位置となる。すなわち、主磁極10のフレアポイントFの位置は、NHモニター30a、30bの内端縁の直線によって挟まれた中心位置(C点)を通る直線との相対的距離:変位量(ΔNH)によってその位置を特定する。
【0019】
NHモニターはレジストをパターニングして形成することができる。ウエハ基板の表面をレジストによって被覆し、露光及び現像してNHモニターを形成する。
NHモニターは、実素子に形成してもよいし、モニター用に形成した素子に形成してもよい。また、ネックハイトの測定は全素子について行うものではないから、素子を選択してNHモニターを形成してもよいし、全素子にわたって形成してもよい。
【0020】
上述したように、NHモニターは主磁極10のフレアポイントFをモニターの内端縁間に挟む配置に形成する。したがって、NHモニターを形成する際には、計測の基準位置となるNHモニターの内端縁位置の間隔や内端縁位置をどこに設定するかが重要となる。すなわち、NHモニターを形成する際にNHモニター自体の幅はなんら問題にならない。NHモニターは適当な幅に形成すればよく、NHモニターの外側域をべた膜状に形成してもよい。
【0021】
NHモニターの内端縁の位置は、その中心位置(C位置)とフレアポイントFとの相対距離(ΔNH)を計測する際の基準位置となるから、NHモニターを形成する場合は、ネック部12のフレアポイントFの位置が、NHモニターを基準として精度よく決められる位置に配置する必要がある。
【0022】
NHモニターの中心位置とフレアポイントFとのずれ量(ΔNH)は、具体的には測長用のSEM(電子顕微鏡)を用いて測定する。測定に際しては、NHモニターの両側の内端縁とフレアポイントを一つの視野に取り込んで計測する。NHモニターの間隔が広くなると電子顕微鏡を低倍率にせざるを得なくなり、測定誤差が大きくなる。一方、NHモニターの間隔を狭くすると、電子顕微鏡の倍率は高くできるものの、ネック部12のフレアポイントFの形状がシャープになっていないと、フレアポイントFの位置を特定することが難しくなり、測定誤差を生じる原因になる。
したがって、NHモニターを形成する場合には、測定誤差を考慮しながら、その配置位置および配置間隔を設定するのがよい。NHモニター30a、30bの内端縁間の間隔としては、0.5〜5μm程度が適当である。
【0023】
NHモニターをレジストによって形成した場合は、後工程においてレジストを溶解して除去すればよいから製品に影響を与えないという利点がある。
ただし、NHモニターの下地層は主磁極10の領域が磁性層であり、主磁極10の領域外はアルミナ等の絶縁層であって、NHモニターの下地層は均一材料からなっていない。したがって、ネックハイトの測定後にレジストを除去する際に、たとえば絶縁層がアルカリによってエッチングされるという問題が生じ得る。
【0024】
このような問題を解消する方法として、レジストによってNHモニターを形成する際に、まず下地層として反射防止膜を形成し、その上にレジストパターンを形成する方法が有効である。反射防止膜を使用する場合は、反射防止膜を塗布した後、加熱して反射防止膜を熱硬化させ、その表面にレジストを塗布し、露光及び現像してNHモニターを形成する。反射防止膜はドライエッチング除去が可能で、レジストを現像した直後には開口部がアルカリ現像液に直接さらされないので、主磁極近傍の絶縁層がエッチングされることを防ぐことができる。
また、反射防止膜を使用すると、下地が磁性層であったり絶縁層であったりすることによる影響を受けずにレジストをパターニングすることができる。NHモニターは高精度にパターニングする必要があるから、下地層として反射防止膜を形成してパターニングする方法は高精度にパターニングできる点で有効である。
【0025】
なお、NHモニターは内端縁(線B)によって挟まれた中心線位置(中心位置)を基準としてフレアポイントFの位置を検知するから、NHモニターを形成する際には、内端縁(線B)がABS面に平行となるようにパターニングする必要がある。ABS面はウエハ段階においては特定されないが、ウエハ基板に素子を形成する際には、ABS面に平行となるように個々の素子が並列されるように露光パターンが設定されている。したがって、NHモニターをパターニングする際には、素子配列方向に平行に内端縁の直線方向を設定してパターニングすればよい。
【0026】
(ネックハイトの予測)
図2に示すように、主磁極10のネックハイトNHは、ABS面を加工した後のリード素子の高さ(MR-h)に、リード素子のハイト方向の後端からフレアポイントFまでの距離(ΔF)を用いて、次のように表される。
NH=(加工後のMR-h)+(ΔF)
この式は、NHモニター30a、30bの中心位置Cとフレアポイントまでの距離(ΔNH)を使用すると、次のように表される。
NH=(加工後のMR-h)+(リード素子のハイト方向の後端から中心位置までの距離)−(ΔNH)・・・(1)
【0027】
(1)式において、(加工後のMR-h)・・・(a)は、ウエハ段階において測定することはできないから、ABS面を加工する際の狙い値を指定する。リード素子の高さを狙い値としてABS面を加工する場合は、その高さを指定する。リード素子の抵抗値を狙い値として加工する場合は、ウエハ段階におけるリード素子幅、RA(抵抗)あるいはシート抵抗から、狙いの抵抗値となるリード素子の高さを設定すればよい。
【0028】
(1)式において、(リード素子のハイト方向の後端から中心位置までの距離)とは、NHモニターを形成する露光パターンにおいて、NHモニターをどの程度オフセットさせるかという量(NHモニターのマスク上のオフセット)・・・(b)に相当する。すなわち、NHモニターは、主磁極10を形成した後にフレアポイントを挟む配置を狙い位置として形成する。このNHモニターの配置位置は設定条件であり、一意に決められる。
【0029】
(1)式において、(ΔNH)は測定値である。前述したように、ΔNHを精度よく測定できるようにNHモニターの配置を適宜調節する。
【0030】
主磁極10のネックハイトには、上記(1)式に示した項の他に、以下の変動要素がある。
一つは、(リード素子の高さ変動分)・・・(c)である。リード素子を形成する際に使用する露光パターンに対し、リード素子は伸縮し、露光パターンに対してリード素子の高さが変動する。(1)式はリード素子のハイト方向の後端の位置を基準として立式しているから、ウエハ段階におけるリード素子の高さ方向の変動分を補正する必要がある。
【0031】
ウエハ段階におけるリード素子の高さは、測長用のSEM(電子顕微鏡)を用いて直接的に測定できる。したがって、(リード素子の高さ変動分)は測定結果として得られる。
なお、リード素子をパターン形成するマスクの大きさ、たとえばリード素子の辺長(D)に対し、リード素子の仕上がりの辺長がΔDだけ短いとすると、リード素子の高さ方向の変動分に対しては、(D−ΔD)/2の変動分が寄与することになる。
【0032】
他の一つは、(NHモニターとリード素子の露光パターンの位置ずれ量)・・・(d)である。リード素子と主磁極を形成する場合に露光パターンの位置ずれが生じたと同様に、NHモニターを形成する場合も、リード素子を形成する際のマーカーを基準としてNHモニターをパターニングするから、同様の位置ずれが生じ得る。これもネックハイトの変動分となる。
【0033】
(1)式において、(リード素子のハイト方向の後端から中心位置までの距離)を(b)によって置き換え、上記(c)、(d)の変動分を考慮すると、ネックハイトは次式によって与えられる。
NH=(加工後のMR-h)+(NHモニターのマスク上のオフセット)−(ΔNH)−(ウエハ段階のリード素子の高さ変動分)−NHモニターとリード素子の露光パターンの位置ずれ量)・・・(2)
この(2)式が、NHモニターを使用して(ΔNH)を計測することによって得られる主磁極のネックハイトである。なお、(2)式における符号(+、−)は便宜的に付けたものである。
【0034】
以上のように、本実施形態においてはNHモニターを利用し、一対のNHモニターの中心位置とネック部12のフレアポイントとの距離を検出することにより、主磁極のネックハイトを、より正確に予測することが可能となる。この予測値は、主磁極を形成した後における露光パターンとの変動分、スリミング等の加工による変動分を含むものであり、より現実のネックハイトに近いものとなる。
【0035】
図3に、従来方法によるネックハイトの予測値と本実施形態の方法によるネックハイトの予測値を示す。図のように、従来方法にくらべて本実施形態の方法による場合はネックハイトが5〜40nm程度大きくあらわれている。この結果は、露光パターンの位置ずれ以外の変動分を考慮することがネックハイトを高精度に予測する上で重要な要素になっていることを示す。
【0036】
本実施形態のネックハイトの予測方法においては、上述したように、主磁極10のフレアポイントの位置を検知するためにレジストパターンを用いてNHモニターを形成する。主磁極10の製造工程においては、図4(a)、(b)に示すように、主磁極10の平面形状を所定のパターンに形成した後に、磁極端をトリミングするプロセスがある。このトリミング工程はネック部の上面をABS面が低位となる傾斜面とし、記録磁界が磁極端に集中させるようにするための工程である。このトリミング工程においては、主磁極10をイオンミリングから保護する領域をレジストパターン32によって被覆し(図4(a))、イオンミリングによってネック部12の上面を傾斜面とする。図4(b)は図4(a)のE-E線断面図である。
【0037】
したがって、主磁極10にトリミングする工程を行う場合には、このトリミング工程において形成するレジストパターン32をNHモニターとして兼用することができる。NHモニターとして使用する場合には、NHモニターを一対設ける必要があるから、図4(a)に示すように、ネック部12のトリミングを阻害しない位置に対となるレジストパターン32aを設ける。
図4(b)は、レジストパターン32、32aを設けてイオンミリングしている状態を示す。レジストパターン32に対して斜め方向からイオンミリングすることによってネック部12の上面を傾斜面とすることができる。
このように主磁極10のトリミング工程において使用するレジストパターン32を利用することによりウエハ段階において、ネックハイトを予測することも可能である。
【0038】
なお、主磁極10をトリミングする工程においては、図4(c)に示すように、ネック部12のフレアポイントを覆うようにレジストパターン32を形成する場合もある。この場合は、レジストパターン32をNHモニターとして利用することができないから、実素子とは別にテスト用の素子を形成し、そのテスト用の素子については、レジストパターン32を形成する際に、フレアポイントを挟む配置にレジストパターンを形成すればよい。
【0039】
本実施形態のネックハイトを予測する方法によれば、主磁極をパターン形成した後においてスリミング加工等を施した場合等であっても、ネックハイトを精度よく予測することができる。これによって、ウエハ段階においてネックハイトを正確に予測することが可能となり、早期に、製造工程を見直したり、修正したりすることができ、垂直磁気ヘッドのような高度の加工精度が求められる製造工程に適用して、製品精度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ABS面と、リード素子及び主磁極との配置位置関係を示す断面図である。
【図2】NHモニターを配置した状態の説明図である。
【図3】ネックハイトの予測値を示すグラフである。
【図4】ネック部にトリミング加工を施す状態を示す平面図(a)、断面図(b)、平面図(c)である。
【図5】主磁極のネックハイトを示す説明図である。
【図6】露光パターンの位置ずれを検知するボックス形のマーカーの平面図である。
【図7】ネックハイトの偏位を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10 主磁極
12 ネック部
13 磁性膜
14 上部リターンヨーク
20 リード素子
21 下部シールド層
22 上部シールド層
30a、30b NHモニターモニター
32、32a レジストパターン
NH ネックハイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ基板に主磁極を形成した後、該主磁極のフレアポイントを挟む配置に一対のネックハイトモニター(NHモニター)を形成する工程と、
前記NHモニターの中心位置と前記フレアポイントとの相対的距離(ΔNH)を計測する工程と、
前記相対的距離の計測結果をもとに、前記主磁極のネックハイトを予測する工程とを備えることを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記ネックハイトを予測する工程においては、
(a)前記ウエハ基板を加工してABS面を位置出しした際のリード素子のハイト方向の高さの狙い値(加工後のMR-H)と、
(b)前記NHモニターを形成する際のオフセット量(NHモニターのマスク上のオフセット)と、に基づいて前記ネックハイトを予測することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記リード素子のハイト方向の高さとして、前記リード素子の抵抗値に基づいてABS面を加工する際には、ウエハ段階におけるリード素子幅、RAあるいはシート抵抗から、狙いの抵抗値となるリード素子の高さを使用することを特徴とする請求項2記載の磁気ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記ネックハイトを予測する工程においては、
前記(a)、(b)に加えて、
(c)ウエハ段階において前記リード素子が伸縮することによる(リード素子の高さ変動分)と、
(d)前記リード素子を基準として前記NHモニターをパターン形成する際における位置ずれ(NHモニターとリード素子の露光パターンの位置ずれ量)と
に基づいて前記ネックハイトを予測することを特徴とする請求項2または3記載の磁気ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記NHモニターは、レジストを所定パターンに露光及び現像することによって形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の磁気ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記レジストの下地層として反射防止膜を形成し、この反射防止膜上にレジストを被覆し、該レジストを所定パターンにパターニングすることにより前記NHモニターを形成することを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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