説明

磁気ヘッドサスペンション及び磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法

【課題】共振特性及び耐衝撃性を同時に向上させ得る磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【解決手段】本発明に係る磁気ヘッドサスペンションは、磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッド搭載領域を有するフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダを記録媒体へ向けて押し付ける荷重を発生させる荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部によって発生される荷重を前記フレクシャ部へ伝達するロードビーム部と、前記荷重曲げ部の基端側に連接される基部とを備える。前記基部は、先端から所定距離だけ基端側へ至る領域が他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク装置等の記憶媒体に対してデータをリード及び/又はライトする為の磁気ヘッドスライダを支持するサスペンション、並びに、前記サスペンションの構成部材である基部の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドサスペンションには、共振特性の向上及び耐衝撃性の向上が望まれている。
即ち、搭載する磁気ヘッドスライダを、ハードディスク装置等の記憶媒体における目的トラック上へ向けてシーク方向へ高速移動させる為には、磁気ヘッドサスペンションの共振周波数を高める必要がある。
又、磁気ヘッドスライダがロード位置に位置する際(即ち、磁気ヘッドスライダが記憶媒体上で浮上状態とされている際)に衝撃が加わった場合において、磁気ヘッドスライダがZ方向(記憶媒体の記憶面と直交する方向)へ跳躍して記憶媒体の記憶面を損傷することを防止する為に、耐衝撃性を向上させる必要がある。
【0003】
しかしながら、共振特性の向上と耐衝撃性の向上とは相反する関係にある。
例えば、磁気ヘッドサスペンションを構成する部材の厚みを増加させれば、該磁気ヘッドサスペンションの剛性が向上し、これにより、共振特性を向上させることができるが、その反面、重量増加によって耐衝撃性が悪化する。
【0004】
この点に関し、剛性アップによって共振特性を向上させる代わりに、前記磁気ヘッドサスペンションにおけるロードビーム部に、減衰の大きな粘弾性材からなる制振部材を貼付することで共振特性の向上を図ることが提案されている(下記特許文献1参照)。
【0005】
前記特許文献1に記載の構成は、磁気ヘッドサスペンションの重量増加を可及的に防止しつつ、前記制振部材によって磁気ヘッドサスペンションの共振モードの振幅を減少させることができる点で有用であるが、部品点数の増加によるコストアップや、前記制振部材の貼り付け精度に起因する振動特性のバラツキという問題が生じる。
【特許文献1】特開昭59−180855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、共振特性及び耐衝撃性を同時に向上させ得る構造簡単な磁気ヘッドサスペンションの提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、磁気ヘッドサスペンションの種々の物性のうちのどの物性が共振特性及び耐衝撃性にとって重要であるかを、図1に示す1自由度系モデル1を用いて検討した。
前記モデル1は、一端部が回転中心5に支持されたバネ2と、前記バネ2の他端部に連結された剛体3とを有している。
【0008】
前記モデル1において、回転中心5から前記剛体3の重心Gまでの距離rにおける前記剛体3の慣性モーメントをI、減衰定数をC、バネ2の回転方向の剛性をKとすると、前記モデルの固有角振動数ωn及び減衰比は、それぞれ、
ωn=√(K/I) ・・・式(1)
減衰比=C/2√(I×K)・・・式(2)
となる。
【0009】
例えば、剛性Kを小さくすれば減衰比を大きくできるが(式(2)参照)、その反面、固有角振動数ωnが小さくなり、共振周波数が低下する(式(1)参照)。
又、慣性モーメントIを小さくしても減衰比を大きくできるが(式(2)参照)、磁気ヘッドサスペンション全体に対して単純に質量を低下させるだけでは、剛性が悪化して共振周波数が低下してしまう(式(1)参照)。
【0010】
そこで、本発明者は、磁気ヘッドサスペンションにおける構成要素の中で最も大質量(一般的には、磁気ヘッドサスペンション全体質量の65%〜95%)である基部部材に着目し、該基部部材の先端側領域の質量を低下させることで、式(2)における(I×K)を小さくして減衰比を大とさせつつ、質量低下に伴う剛性Kの低下を可及的に防止できる新規な磁気ヘッドサスペンションを発明した。
【0011】
即ち、本発明の一態様は、前記目的を達成する為に、磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッド搭載領域を有するフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダを記録媒体へ向けて押し付ける荷重を発生させる荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部によって発生される荷重を前記フレクシャ部へ伝達するロードビーム部と、前記荷重曲げ部の基端側に連接される基部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記基部は、先端から所定距離だけ基端側へ至る領域が他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされた磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0012】
好ましくは、前記薄肉領域及び前記他の領域の境界線は、幅方向中央が基端側に位置するような平面視コの字状とされる。
これに代えて、前記境界線を幅方向中央が基端側に位置するような円弧状とすることも可能である。
【0013】
前記種々の構成において、好ましくは、前記薄肉領域の幅方向両端側に、それぞれ、長手方向の少なくとも一部においてフランジ曲げ部を設けることができる。
【0014】
又、本発明の他態様は、前記目的を達成する為に、磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッド搭載領域を有するフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダを記録媒体へ向けて押し付ける荷重を発生させる荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部によって発生される荷重を前記フレクシャ部へ伝達するロードビーム部と、前記荷重曲げ部の基端側に連接される基部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記基部は、幅方向中央において先端から所定距離だけ基端側へ至る領域が、該領域の幅方向両端側を含む他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされた磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0015】
前記種々の態様において、例えば、前記基部を構成する部材は、前記他の領域を形成する厚肉部材と、前記薄肉領域を形成する薄肉部材であって、前記厚肉部材とは別体とされた薄肉部材とを有し得る。前記厚肉部材及び前記薄肉部材は溶接等により互いに固着される。
【0016】
これに代えて、前記基部を、単一の金属部材によって形成することも可能である。
さらには、前記基部を、金属材料と該金属材料よりも減衰定数が大きい樹脂系材料とを含む積層材料によって形成することも可能である。
【0017】
前記荷重曲げ部を構成する部材は、前記基部に固着される固着領域と、前記固着領域と前記ロードビーム部との間に位置する荷重発生領域とを有する。
好ましくは、前記固着領域は、前記薄肉領域と前記他の領域とによって形成される先端側に開く凹部内において前記基部に固着される。
これに代えて、前記固着領域は、前記凹部とは反対側の表面に固着される。
【0018】
前記種々の態様において、前記荷重曲げ部及び前記ロードビーム部は単一部材によって一体形成され得る。
【0019】
さらに、本発明は、所定領域が他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされ且つ取付孔及び位置決め孔を含む開口が形成された磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法であって、略均一な厚みの単一材料からなるプレート状部材を用意する工程と、前記薄肉領域に対応した領域には前記プレート状部材の一方面にのみレジストを設け、前記他の領域に対応した領域には両面にレジストを設け、且つ、前記開口に対応した領域は両面共に露出させる工程と、前記レジストをエッチングマスクとして前記プレート状部材の両面側からエッチング処理する工程とを含む磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法を提供する。
【0020】
さらに、本発明は、所定領域が他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされ且つ取付孔及び位置決め孔を含む開口が形成された磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法であって、略均一な厚みのプレート状部材であって、樹脂系材料が第1及び第2金属材料によって挟まれてなる積層構造を有するプレート状部材を用意する工程と、前記薄肉領域に対応した領域には前記第2金属材料が位置する側にのみレジストを設け、前記他の領域に対応した領域には両面側にレジストを設け、且つ、前記開口に対応した領域は前記第1及び第2金属材料の双方共に露出させる工程と、前記レジストをエッチングマスクとして前記プレート状部材の両面側から露出している前記第1及び第2金属材料に対して第1のエッチング処理を行う工程と、前記レジスト又は残存する前記第1及び第2金属材料をエッチングマスクとして前記樹脂系材料に対して第2のエッチング処理を行う工程とを含む磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法を提供する。
【0021】
例えば、前記第2のエッチング処理工程は、前記第2金属材料が位置する側からのみ行うものとされる。
これに代えて、前記第2のエッチング処理工程を両面側から行うことも可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、基部のうち先端から所定距離だけ基端側へ至る領域を他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域としたので、軽量化による慣性モーメント低減の効果を最大限に得ることができる。従って、共振特性を効果的に向上させつつ、耐衝撃性も向上させることができる。
【0023】
前記薄肉領域と前記他の領域との境界線を、幅方向中央が基端側に位置するような平面視コの字状とすれば、前記薄肉領域の基端エッジの幅方向両側に存在する厚肉領域によって横方向の剛性を向上させることができる。従って、横方向の共振特性をさらに向上させることができる。
前記境界線を、幅方向中央が基端側に位置するような平面視円弧状とすれば、横方向の剛性を向上させ得る基部をより簡便に製造することができる。
【0024】
前記薄肉領域の幅方向両端側にフランジ曲げ部を設ければ、質量増加を招くことなく、横方向,上下方向及び捩り方向の剛性を向上させることができる。従って、共振特性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0025】
本発明の他態様によれば、基部のうち幅方向中央において先端から所定距離だけ基端側へ至る領域を、該領域の幅方向両端側を含む他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域としたので、剛性の悪化を招くことなく、軽量化による慣性モーメント低減の効果を最大限に得ることができる。従って、共振特性を効果的に向上させつつ、耐衝撃性も向上させることができる。
【0026】
前記薄肉領域を形成する薄肉部材と前記他の領域を形成する厚肉部材とを固着させることで前記基部を形成するように構成すれば、前記薄肉領域及び前記他の領域の板厚をそれぞれ独立して設定することができる。従って、前記薄肉領域を有する前記基部を容易に製造することができる。
【0027】
金属材料と該金属材料よりも減衰定数の大きい樹脂系材料とを含む積層部材によって前記基部を形成すれば、前記基部の振幅をより低減させることができる。
【0028】
荷重曲げ部を構成する部材における固着領域を、前記薄肉領域と前記他の領域とによって形成される先端側に開く凹部内において前記基部に固着させるように構成すれば、磁気ヘッドサスペンションのZ方向(上下方向)の厚みを可及的に縮小化することができる。
【0029】
又、本発明に係る磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法の一態様によれば、薄肉領域に対応した領域には単一材料からなるプレート状部材の一方面にのみレジストを設け、前記他の領域に対応した領域には両面にレジストを設け、且つ、前記開口に対応した領域は両面共に露出させる工程と、前記レジストをエッチングマスクとして前記プレート状部材の両面側からエッチング処理する工程とを含むように構成したので、前記薄肉領域と位置決め孔及び取付孔を含む前記開口とを同時に形成することができる。
【0030】
さらに、本発明に係る磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法の他態様によれば、樹脂系材料が第1及び第2金属材料によって挟まれてなる積層構造を有するプレート状部材に対して、前記薄肉領域に対応した領域には前記第2金属材料が位置する側にのみレジストを設け、前記他の領域に対応した領域には両面側にレジストを設け、且つ、前記開口に対応した領域は前記第1及び第2金属材料の双方共に露出させる工程と、前記レジストをエッチングマスクとして前記プレート状部材の両面側から露出している前記第1及び第2金属材料に対して第1のエッチング処理を行う工程と、前記レジスト又は残存する前記第1及び第2金属材料をエッチングマスクとして前記樹脂系材料に対して第2のエッチング処理を行う工程とを含むように構成したので、前記薄肉領域と位置決め孔及び取付孔を含む前記開口とを同時に形成することができる。
【0031】
前記他態様の製造方法において、前記第2のエッチング処理工程を、前記第2金属材料が位置する側からのみ行うように構成すれば、前記薄肉領域に前記樹脂系材料を残すことができる。
これに代えて、前記他態様の製造方法において、前記第2のエッチング処理工程を、両面側から行うように構成すれば、前記薄肉領域には前記第2金属材料のみを残すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
実施の形態1
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図2に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aの斜視図であって、記録媒体とは反対側から視た斜視図を示す。
又、図3(a)〜(c)に、それぞれ、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの平面図(記録媒体とは反対側から視た図)、側面図及び背面図(記録媒体側から視た図)を示す。
【0033】
図2及び図3に示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aは、磁気ヘッドスライダ15を支持する磁気ヘッド搭載領域11を有するフレクシャ部10と、前記磁気ヘッドスライダ15を記録媒体へ向けて押し付ける荷重を発生させる荷重曲げ部30と、前記荷重曲げ部30によって発生される荷重を前記フレクシャ部10へ伝達するロードビーム部20と、前記荷重曲げ部30の基端側に連接される基部40とを備えている。
【0034】
前記フレクシャ部10は、例えば、厚さ10μm〜25μmのステンレス板材から形成される。
前記フレクシャ部10は基端側が前記ロードビーム部20に接合されており、前記磁気ヘッド搭載領域11が前記ロードビーム部20によって片持ち支持されている。
なお、本実施の形態においては、前記フレクシャ部10は、前記ロードビーム部を構成する部材とは別体の部材によって構成されており、該フレクシャ部10は、前記ロードビーム部20に溶接によって接合されている。
前記フレクシャ部10には、前記磁気ヘッドスライダ15及び外部の間で電気信号を伝達する為の配線構造体90が設けられている。
前記配線構造体90は、例えば、絶縁層及び導体層が前記フレクシャ部に一体形成された構成とされ得る。
【0035】
前記ロードビーム部20は、前記荷重曲げ部30によって発生される磁気ヘッド押し付け荷重を前記フレクシャ部10に伝達すると共に、磁気ヘッドスライダ15をシーク方向へ移動させ、目的のトラックに位置決めさせる為の剛性を有している。
【0036】
前記ロードビーム部20には、前記フレクシャ部10の磁気ヘッド搭載領域11に対応した位置に、ディンプル25が設けられている。
斯かるディンプル25を設けることにより、前記磁気ヘッド搭載領11のピッチ剛性及びロール剛性を向上(低下)させることができる。従って、該磁気ヘッド搭載領域11に搭載される磁気ヘッドスライダ15の記録面に対する追従性を向上させることができる
【0037】
好ましくは、前記ロードビーム部20は両側辺にフランジ部21を有し得る。
斯かるフランジ部21を備えることにより、質量を増加させることなく、前記ロードビーム部20の剛性を高めることができる。
より好ましくは、前記ロードビーム部20は、前記荷重曲げ部30に連接される基端側を幅広とし、且つ、該基端側から先端側へ行くに従って幅狭とした平面視略二等辺三角形状とすることができる。
このように、前記ロードビーム部を平面視略二等辺三角形状とすることにより、衝撃特性の悪化を防止しつつ、剛性を高めることができる。
【0038】
前記荷重曲げ部30は、磁気ディスク等の記憶媒体の回転に伴って磁気ヘッドスライダ15と記憶面との間に生じる空気膜の圧力に抗して、前記磁気ヘッドスライダ15を記憶面へ向けて押し付け、磁気ヘッドスライダ15の一定の浮上量を確保する為の前記磁気ヘッド押し付け荷重を発生させる板ばねとして機能する。
【0039】
本実施の形態においては、前記荷重曲げ部30は前記ロードビーム部20と一体形成されている。
図4に前記磁気ヘッドサスペンション1Aの分解図を示す。
【0040】
即ち、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aは、前記フレクシャ部10を構成する第1部材100と、前記荷重曲げ部30及び前記ロードビーム部20を形成する第2部材200と、前記基部40を構成する第3部材300とを有しており、前記第1〜第3部材100,200,300が溶接等により固着されている。
【0041】
前記第2部材200は、基端側が前記荷重曲げ部30を形成し、且つ、先端側が前記ロードビーム部20を形成している。
詳しくは、前記第2部材200のうち前記荷重曲げ部30を形成する領域には前記フランジ部21が設けられておらず、前記ロードビーム部20を形成する領域にのみ前記フランジ部21が設けられている。
【0042】
好ましくは、前記第2部材200のうち前記荷重曲げ部30を形成する領域は、基端側が幅広とされ且つ先端側が幅狭とされた平面視略三角形状とされる。
本実施の形態においては、図4に示すように、前記第2部材200のうち荷重曲げ部を形成する領域を平面視略三角形状とすると共に幅方向略中央に開口を設けている。
前記第2部材200は、例えば、板厚25μm〜50μmのステンレス材によって形成される。
なお、当然ながら、前記ロードビーム20を構成する部材と前記荷重曲げ部30を構成する部材とを別体とすることも可能である。
【0043】
前記荷重曲げ部30を構成する部材(本実施の形態においては前記第2部材200)は、図4に示すように、前記基部40に固着される固着領域210と、前記固着領域210と前記ロードビーム部20との間に位置する荷重発生領域250とを有している。
【0044】
前記基部40は、前記荷重曲げ部30,前記ロードビーム部20及び前記フレクシャ部10からなるアッセンブリを支持すると共に、該アッセンブリに対してアクチュエータからの駆動力を伝達し得るように構成されている。
本実施の形態においては、図2〜図4に示すように、前記基部40は、ボイスコイルモータのベアリングに取り付けられるアームとされている。
これに代えて、前記基部40を、Eブロックにかしめにより取り付けられるマウントとすることも可能である。
【0045】
図5(a)及び(b)に、それぞれ、前記基部40の平面図(記録媒体とは反対側から視た図)及び側面図を示す。
図5に示すように、前記基部40を構成する前記第3部材300は、先端から所定距離だけ基端側へ至る領域が他の領域350に比して板厚の薄い薄肉領域310とされている。
前記他の領域350は、例えば、厚み0.1mm〜0.5mmとすることでき、前記薄肉領域310の厚みは前記他の領域350の厚みの50%以下とすることができる。
【0046】
斯かる構成の前記磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては以下の効果を得ることができる。
即ち、前記磁気ヘッドサスペンションの構成要素のうち最も大質量である前記基部40の一部を薄肉領域310としたことにより、低質量化による耐衝撃性の向上を図ることができる。
さらに、前記薄肉領域310を前記基部40の先端側に設けたので、質量低下による剛性悪化を可及的に防止しつつ、該磁気ヘッドサスペンション1Aの慣性モーメントを効果的に低減させることができる。従って、共振周波数の低下防止及び共振時のシーク方向の振幅の低減化を含む共振特性の向上並びに耐衝撃性の向上を図ることができる。
【0047】
前記基部40を構成する前記第3部材300は、例えば、鉄、アルミニウム、チタン、ステンレス等の金属、又は、これらの合金とされ得る。
これに代えて、前記第3部材300をセラミックとすることも可能である。
【0048】
本実施の形態においては、前記基部40は単一の金属材料によって形成されている。
図6に、本実施の形態における前記基部40の製造方法の一例を示す。
【0049】
図6に示す製造方法においては、まず、略均一な所定厚み(例えば、0.1mm〜0.5mm)の金属板300をダイ400の上に載せ、前記薄肉領域310とすべき部分に対してパンチ410によってプレスすることにより絞り加工(圧縮加工)を施し、該薄肉領域310の厚みを他の領域350よりも薄い所定の厚みとする(図6(a)及び(b)参照)。
【0050】
次に、前記絞り加工によって外側へ押し出された材料を打ち抜き加工によって製品形状に合わせる(図6(c)参照)。なお、この打ち抜き加工の際には、金属材料の外形状を製品形状に合わせる外形打ち抜き加工に加えて、孔打ち抜き加工が含まれる。該孔打ち抜き加工によって形成される孔には、前記磁気ヘッドサスペンションの組立作業の際に用いる位置決め孔44や、前記基部40を前記アクチュエータへ取り付ける為の取付孔45が含まれる。
【0051】
そして、最後に、化学研磨又は電解研磨等の表面処理加工を行って、前記基部40を得る(図6(d)参照)。
斯かる製造方法によれば、同一形状の基部40を効率よく量産することができる。
【0052】
図6に示すプレス加工に代えて、エッチング加工によって前記基部40を製造することも可能である。
図7に、エッチング加工を用いた前記基部の製造方法の一例を示す。
【0053】
図7に示す製造方法においては、まず、略均一な所定厚み(例えば、0.1mm〜0.5mm)の金属板300を、製品形状(外形状及び孔形状を含む)に対応したレジスト500でマスクする(図7(a)参照)。
次に、前記レジストをエッチングマスクとして前記金属板300をエッチング処理し、前記薄肉領域310の板厚を減少させると共に、必要な開口(位置決め孔44及び取付孔45)を形成する(図7(b)参照)。なお、図7においては取付孔45のみを示している。
【0054】
なお、エッチング処理しない前記他の領域350には前記レジスト500を両面に設け、前記薄肉領域310には前記レジスト500を一方面にだけ設け、且つ、前記孔を形成すべき領域には両面共に前記レジスト500を設けない状態で、前記エッチング処理を前記金属板300の両面から行うことにより、板厚の薄い前記薄肉領域310を形成しつつ、前記開口を形成することができる。
前記金属板300としてステンレス鋼材を用いる場合には、塩化第二鉄水溶液等のエッチング液を用いることができる。
【0055】
その後、前記レジスト500を除去し(図7(c))、洗浄を行って前記基部40を得る(図7(d))。
斯かるエッチングを用いた製造方法によれば、前記薄肉領域310及び前記開口を同時に形成することができる。さらに、前記薄肉領域310の表面が化学的に溶解される為、該薄肉領域310の表面平滑性を向上させることができる。
又、エッチング濃度やエッチング時間/エッチング温度等のエッチング条件を制御することにより、前記薄肉領域310の板厚を高精度にコントロールすることができる。
【0056】
実施の形態2
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図8(a)〜(c)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bの平面図(記録媒体とは反対側から視た図)、側面図及び背面図(記録媒体側から視た図)を示す。
なお、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては、前記荷重曲げ部30を構成する部材の前記固着領域210は、前記薄肉領域310における両面のうち前記他の領域350と同一面内に位置する面に、固着されている。
即ち、前記実施の形態1においては、前記薄肉領域310と前記他の領域350とによって形成される凹部320が記録媒体とは反対側を向くように前記基部40が配置されており、このように配置された前記基部40に対して、前記荷重曲げ部30を形成する部材200は、前記固着領域210が前記凹部320とは反対面に固着されている(図3(b)の拡大図参照)。
【0058】
これに対し、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bにおいては、図8に示すように、前記固着領域210は前記凹部320内において前記基部40に固着されている。
斯かる構成の磁気ヘッドサスペンション1Bにおいては、前記実施の形態1における効果に加えて、前記荷重曲げ部30と前記基部40との固着部分における板厚を減少させ、磁気ヘッドサスペンション1BのZ方向(記録媒体の記録面と直交する方向)の省スペース化を図ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態においては、前記凹部320が記録媒体を向くように前記基部40を配置した状態で、該凹部320内に前記固着領域210を位置させたが、当然ながら、前記凹部320が記録媒体とは反対側を向くように前記基部40を配置させた状態(図3に示す状態)で前記固着領域210を前記凹部320内に位置させることも可能である。
【0060】
実施の形態3
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図9(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cにおける基部40Cの平面図及び側面図を示す。
なお、前記実施の形態1又は2におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cは、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aにおいて、前記基部40の代わりに基部40Cを備えている。
詳しくは、前記実施の形態1における基部40は単一の金属材料からなる前記第3部材300によって形成されている。
これに対し、本実施の形態における基部40Cは、図9に示すように、物性の異なる複数の材料が積層されてなる積層部材300Cによって形成されている。
【0062】
具体的には、前記積層部材300Cは、図9に示すように、第1金属材料301C及び第2金属材料302Cと、前記第1及び第2金属材料301C,302Cによって挟まされた樹脂系材料303Cであって、前記第1及び第2金属材料301C,302Cよりも減衰定数C(前記式(2)参照)が大とされた樹脂系材料303Cとを含んでいる。
斯かる積層部材300Cを用いて前記基部40を形成することにより、前記実施の形態1又は2における効果に加えて、前記基部40の減衰比を大とすることができ、従って、磁気ヘッドサスペンション1Cの共振モードの振幅を低減させることができる。
前記樹脂系材料303Cとしては、ポリイミドや液晶ポリマー等のダンピング効果の高いものが例示される。
なお、前記第1及び第2金属材料301C,302Cには、ステンレス、アルミニウム、チタン等が例示される。
【0063】
図10に、前記積層部材300Cを用いた前記基部40Cの製造方法の一例を示す。
図10に示す製造方法においては、まず、前記他の領域350に必要な厚みを有するプレート状の前記積層部材300Cを用意し、該積層部材300Cを製品外形状に沿ったレジスト500で覆う(図10(a)参照)。
この際、前記他の領域350に相当する領域には両面に前記レジスト500を設け、前記薄肉領域310に相当する領域は一方面(図示の方法においては、前記第2金属材料302Cの側)だけに前記レジスト500を設け、且つ、前記開口を形成すべき領域には両面共に前記レジスト500を設けない。
【0064】
次に、所定形状の前記レジスト500をエッチングマスクとして前記積層部材300Cに対して第1エッチング処理を行う(図10(b)参照)。
前記第1エッチング処理は、前記積層部材300Cの両面側から行う。
この第1エッチング処理によって、前記薄肉領域310に相当する領域において露出している前記第1及び第2金属材料301C,302Cの一方(図示の構成においては第1金属材料301C)の一部又は全部がエッチング除去されると同時に、前記孔を形成すべき領域において露出している前記第1及び第2金属材料301C,302Cの双方がエッチング除去される。
なお、図10に示す製造方法においては、前記第1エッチング処理によって前記薄肉領域310において露出している前記一方の金属材料を全て除去し、前記薄肉領域310において前記樹脂系材料303Cが露出するように構成しているが(図10(b)参照)、これに代えて、前記薄肉領域310において露出している前記一方の金属材料の一部だけを除去することで、該薄肉領域310の板厚を前記他の領域350に比して薄くすることも可能である。
【0065】
次に、前記レジスト500又は残存する前記金属材料301C,302Cをエッチングマスクとして第2エッチング処理を行い(図10(c)参照)、前記開口を形成すべき領域において残存する前記樹脂系材料303Cをエッチング除去する。
前記第2エッチング処理は、例えば、強アルカリ水溶液を用いたエッチング又はプラズマエッチングとし得る。
なお、図10に示す製造方法においては、前記第2エッチング処理は、前記薄肉領域310に相当する領域において前記レジスト500が設けられた側(図示の形態においては前記第2金属材料302Cの側)から行われており、これにより、前記薄肉領域310における前記樹脂系材料303Cは残しつつ、前記開口を形成すべき領域における前記樹脂系材料303Cのみを除去するように構成している。
【0066】
これに代えて、前記第2エッチング処理を、前記積層部材300Cの両面側から行い、これにより、前記開口を形成すべき領域における前記樹脂系材料303Cに加えて、前記薄肉領域310における前記樹脂系材料303Cを除去するように構成することも可能である。
この置換方法によれば、前記薄肉領域310には、前記第1及び第2金属材料の他方だけ(例えば、第2金属材料302Cだけ)が残存することになる(図9(b)における拡大図参照)。
【0067】
その後、前記レジスト500を除去し(図10(d))、洗浄を行って前記基部40Cを得る(図10(e))。
斯かる製造方法によれば、前記薄肉領域310及び前記開口を同時に形成することができる。さらに、前記薄肉領域310の表面が化学的に溶解される為、振幅をより低減させ得る基部40Cを、前記薄肉領域310の表面平滑性を向上させた状態で得ることができる。
又、エッチング濃度やエッチング時間/エッチング温度等のエッチング条件を制御することにより、前記薄肉領域の板厚を高精度にコントロールすることができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aにおいて前記基部40の代わりに前記基部40Cを備えたが、当然ながら、前記実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンション1Bにおいて前記基部40Cを採用することも可能である。
【0069】
実施の形態4
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図11(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Dにおける基部40Dの平面図及び側面図を示す。
【0070】
前記実施の形態1〜3に係る磁気ヘッドサスペンション1A〜1Cにおいては、前記薄肉領域310と前記他の領域350との境界線は平面視において該磁気ヘッドサスペンションの幅方向に沿った略直線状とされている(図3,図8及び図9等参照)。
【0071】
これに対し、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Dの前記基部1Dにおいては、図11に示すように、前記薄肉領域310及び前記他の領域350の境界線は、幅方向中央が幅方向両側よりも基端側に位置するような平面視コの字状とされている。
即ち、本実施の形態においては、前記基部40Dは、前記薄肉領域310の基端側エッジの幅方向両側に厚肉領域350Dが存在するように構成されている。
【0072】
斯かる構成の磁気ヘッドサスペンション1Dにおいては、前記薄肉領域310によって質量低減化を図りつつ、前記厚肉領域350Dによって前記基部40Dのシーク方向(横方向)の剛性を向上させることができる。
従って、斯かる前記基部40Dを備えた前記磁気ヘッドサスペンション1Dにおいては、シーク方向の共振特性をより向上させることができる。
【0073】
好ましくは、図12に示すように、前記薄肉領域310及び前記他の領域350の境界線を、幅方向中央が幅方向両側よりも基端側に位置するような円弧状とすることができる。
斯かる構成の基部40D’は、前記薄肉領域310の基端側の境界線を平面視において略コの字状とされた前記基部40Dに比して、容易に製造され得る。
従って、シーク方向の共振特性をより向上させ得る磁気ヘッドサスペンション1Dを容易に得ることができる。
【0074】
実施の形態5
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図13(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Eにおける基部40Eの平面図及び側面図を示す。
【0075】
前記基部40Eは、図13に示すように、先端から所定距離だけ基端側へ延びる前記薄肉領域310が幅方向中央においてのみ存在し、前記薄肉領域310の幅方向両端側350Eを含む他の領域350が該薄肉領域310よりも肉厚とされている。
即ち、本実施の形態における前記基部40Eは、前記薄肉領域310の基端側に加えて、前記薄肉領域310の幅方向両端側350Eも厚肉とされている。
【0076】
斯かる構成の基部40Eを備えた磁気ヘッドサスペンション1Eにおいては、横方向に加えて、上下方向及び捩り方向の剛性を向上させることができる。
従って、共振特性の向上及び耐衝撃性の向上をより効果的に図ることができる。
【0077】
実施の形態6
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図14(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Fにおける基部40Fの分解平面図及び側面図を示す。
【0078】
前記各実施の形態においては、前記基部40〜40Eは、前記薄肉領域310及び前記他の領域350が単一部材によって形成されている。
これに対し、本実施の形態においては、前記基部40Fは、前記薄肉領域310を形成する部材と、前記他の領域350を形成する部材とが別体とされており、これらが溶接等によって固着されている。
【0079】
即ち、本実施の形態においては、前記基部40Fを構成する部材300Fは、前記他の領域350を形成する厚肉部材350Fと、前記薄肉領域310を形成する薄肉部材310Fであって、前記厚肉部材350Fとは別体とされた薄肉部材310Fとを有している。
そして、前記厚肉部材350F及び前記薄肉部材310Fを互いに固着することにより、前記基部40Fが形成されている。
【0080】
斯かる構成の前記基部40Fを備えた磁気ヘッドサスペンション1Fにおいては、前記薄肉領域310及び前記他の領域350をそれぞれ独立して形成することができる為、前記薄肉領域310及び前記他の領域350の板厚をより簡便に制御することができる。
【0081】
好ましくは、図15に示すように、前記薄肉領域310の幅方向両端側にフランジ曲げ部311が存するように前記薄肉部材310Fに曲げ加工を施すことができる。
斯かる構成の基部40F’を備えた磁気ヘッドサスペンション1F’においては、質量増加を抑えつつ、横方向、上下方向及び捩り方向の剛性を向上させることができる。
従って、共振特性の向上及び耐衝撃性の向上をより効果的に図ることができる。
【0082】
なお、図15に示す基部40F’においては、前記薄肉領域310の長手方向略全域に亘って前記フランジ曲げ部311を設けたが、本発明は斯かる構成に限定されるものではなく、前記フランジ曲げ部311が前記薄肉領域310の長手方向の少なくとも一部に設けられた種々の構成を含む。
【0083】
又、図15においては、前記薄肉領域310及び前記他の領域350が別部材で形成されている場合において、前記薄肉領域310の幅方向両端側にフランジ曲げ部311を設けた構成を示したが、このフランジ曲げ部311を設ける構成は前記薄肉領域310及び前記他の領域350が別部材によって形成される態様に限定されるものではない。
即ち、実施の形態1〜3に示すように前記薄肉領域310及び前記他の領域350が一体形成された構成において、前記薄肉領域310の幅方向両端側にフランジ曲げ部311を設けることも可能である。
【0084】
又、前記各実施の形態においては、前記薄肉領域310は全域が同一の厚みを有するように構成されているが、これに代えて、前記薄肉領域310が、先端側へ行くに従って板厚が薄くなるテーパ領域を有するように構成することも可能である。前記薄肉領域310の長手方向全域に亘って前記テーパ領域を設けることも可能であるし、前記薄肉領域310の長手方向の一部にのみ前記テーパ領域を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、磁気ヘッドサスペンションとして擬制したモデルの模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの斜視図であり、記録媒体とは反対側から視た状態を示している。
【図3】図3(a)〜(c)は、それぞれ、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの平面図(記録媒体とは反対側から視た図)、側面図及び背面図(記録媒体側から視た図)である。
【図4】図4は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの分解図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の平面図及び側面図である。
【図6】図6は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の製造方法の一例を示す模式図である。
【図7】図7は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の製造方法の他の例を示す模式図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの平面図、側面図及び背面図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の平面図及び側面図である。
【図10】図10は、前記実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の製造方法の一例を示す模式図である。
【図11】図11(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態4に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の平面図及び側面図である。
【図12】図12(a)及び(b)は、それぞれ、図11に示す基部の変形例の平面図及び側面図である。
【図13】図13(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態5に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の平面図及び側面図である。
【図14】図14(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態6に係る磁気ヘッドサスペンションにおける基部の分解平面図及び側面図である。
【図15】図15(a)及び(b)は、図14に示す基部の変形例の分解平面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0086】
1A〜1F 磁気ヘッドサスペンション
10 フレクシャ部
11 磁気ヘッド搭載領域
15 磁気ヘッドスライダ
20 ロードビーム部
30 荷重曲げ部
40 基部
44 位置決め孔
45 取付孔
100 フレクシャ部を構成する第1部材
200 ロードビーム部及び荷重曲げ部を構成する第2部材
210 固着領域
250 荷重発生領域
300 基部を構成する第3部材
300C 積層部材
301C 第1金属材料
302C 第2金属材料
303C 樹脂系材料
310 薄肉領域
310F 薄肉部材
311 フランジ曲げ部
320 凹部
350 他の領域
350F 厚肉部材
500 レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッド搭載領域を有するフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダを記録媒体へ向けて押し付ける荷重を発生させる荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部によって発生される荷重を前記フレクシャ部へ伝達するロードビーム部と、前記荷重曲げ部の基端側に連接される基部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記基部は、先端から所定距離だけ基端側へ至る領域が他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項2】
前記薄肉領域及び前記他の領域の境界線は、幅方向中央が基端側に位置するような平面視コの字状とされていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項3】
前記薄肉領域及び前記他の領域の境界線は、幅方向中央が基端側に位置するような平面視円弧状とされていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項4】
前記薄肉領域の幅方向両端側には、それぞれ、長手方向の少なくとも一部においてフランジ曲げ部が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項5】
磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッド搭載領域を有するフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダを記録媒体へ向けて押し付ける荷重を発生させる荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部によって発生される荷重を前記フレクシャ部へ伝達するロードビーム部と、前記荷重曲げ部の基端側に連接される基部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記基部は、幅方向中央において先端から所定距離だけ基端側へ至る領域が、該領域の幅方向両端側を含む他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項6】
前記基部を構成する部材は、前記他の領域を形成する厚肉部材と、前記薄肉領域を形成する薄肉部材であって、前記厚肉部材とは別体とされた薄肉部材とを有しており、
前記厚肉部材及び前記薄肉部材が互いに固着されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項7】
前記基部は単一の金属部材によって形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項8】
前記基部は、金属材料と該金属材料よりも減衰定数が大きい樹脂系材料とを含む積層部材によって形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項9】
前記荷重曲げ部を構成する部材は、前記基部に固着される固着領域と、前記固着領域と前記ロードビーム部との間に位置する荷重発生領域とを有しており、
前記固着領域は、前記薄肉領域と前記他の領域とによって形成される先端側に開く凹部内において前記基部に固着されていることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項10】
前記荷重曲げ部を構成する部材は、前記基部に固着される固着領域と、前記固着領域と前記ロードビーム部との間に位置する荷重発生領域とを有しており、
前記固着領域は、前記薄肉領域と前記他の領域とによって形成される先端側に開く凹部とは反対側の表面に固着されていることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項11】
前記荷重曲げ部及び前記ロードビーム部は単一部材によって一体形成されていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項12】
所定領域が他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされ且つ取付孔及び位置決め孔を含む開口が形成された磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法であって、
略均一な厚みの単一材料からなるプレート状部材を用意する工程と、
前記薄肉領域に対応した領域には前記プレート状部材の一方面にのみレジストを設け、前記他の領域に対応した領域には両面にレジストを設け、且つ、前記開口に対応した領域は両面共に露出させる工程と、
前記レジストをエッチングマスクとして前記プレート状部材の両面側からエッチング処理する工程とを含む磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法。
【請求項13】
所定領域が他の領域に比して板厚の薄い薄肉領域とされ且つ取付孔及び位置決め孔を含む開口が形成された磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法であって、
略均一な厚みのプレート状部材であって、樹脂系材料が第1及び第2金属材料によって挟まれてなる積層構造を有するプレート状部材を用意する工程と、
前記薄肉領域に対応した領域には前記第2金属材料が位置する側にのみレジストを設け、前記他の領域に対応した領域には両面側にレジストを設け、且つ、前記開口に対応した領域は前記第1及び第2金属材料の双方共に露出させる工程と、
前記レジストをエッチングマスクとして前記プレート状部材の両面側から露出している前記第1及び第2金属材料に対して第1のエッチング処理を行う工程と、
前記レジスト又は残存する前記第1及び第2金属材料をエッチングマスクとして前記樹脂系材料に対して第2のエッチング処理を行う工程とを含む磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法。
【請求項14】
前記第2のエッチング処理工程は、前記第2金属材料が位置する側からのみ行うことを特徴とする請求項13に記載の磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法。
【請求項15】
前記第2のエッチング処理工程は、両面側から行うことを特徴とする請求項13に記載の磁気ヘッドサスペンション用基部の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−65907(P2008−65907A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243088(P2006−243088)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】