説明

磁気ヘッド

【課題】増加されたデータレートで書込みが可能な磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】特定の実施形態に従えば、磁気ヘッド100はコイル102を有し、コイル102は、ヨーク106と空気軸受面との間に位置付けられたリードコイルターンを有する。特定の実施形態においては、磁気ヘッド100はコイル102を含み、そのコイル102は、メイン書込極112から最小限の間隔があけられたリードコイルターンを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特定の実施形態は、概して、磁気ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、2010年11月24日に出願され、「磁気ヘッドにおいてデータレートを増加するための装置(An Apparatus For Increasing Data Rate IN A Magnetic Head)」と題された米国仮特許出願番号61/416,852号に関連し、米国法典119条(e)の下での優先権を主張し、その出願は、本明細書中における参照によって、その全体が引用される。
【0003】
当業者によって理解されるように、記憶装置には、読出部および書込部を有する磁気ヘッドが備えられ得る。書込部は、記録可能媒体に磁場を供給することによって、記録可能媒体に書込む。磁場は、書込部から読出部への磁束帰還経路として機能する。データを書込媒体に書込むために、磁気ヘッド内の導電コイルに電流が流される。コイル電流は、書込極にわたって磁場を誘導する。コイルを流れる電流の極性を反転させることによって、書込媒体へ書込まれるデータ極性も反転される。読出部は、記録可能媒体上の隣接する反対方向の磁化領域間またはドット間の磁気遷移を検出し得る。面積密度が増加するにつれて、磁気ヘッドが書込む速度を増加することが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
本発明の特定の実施形態は、概して、磁気ヘッドに関する。磁気記憶装置における面積密度が増加し続けているので、増加したデータレートで書込みが可能な磁気ヘッドについての必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定の実施形態に従えば、磁気ヘッドはコイルを有し、そのコイルは、ヨークと空気軸受面との間に位置付けられるリードコイルターン(lead coil turn)を有する。特定の実施形態においては、磁気ヘッドはコイルを有し、そのコイルは、メイン書込極から最小限の間隔があけられたリードコイルターンを有する。
【0006】
本発明のさまざまな実施形態を特徴付けるこれらのおよび他の特徴および局面は、以下の詳細な議論および添付の図面に照らして理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のさまざまな実施形態に従う磁気ヘッドを示す第1の図である。
【図2】本発明のさまざまな実施形態に従う磁気ヘッドを示す第2の図である。
【図3】本発明のさまざまな実施形態に従う磁気ヘッドを示す第3の図である。
【図4】本発明のさまざまな実施形態に従う磁気ヘッドを示す第4の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
当業者によって理解されるように、記憶装置には、読出部および書込部を有する磁気ヘッドが備えられ得る。書込部は、記録可能媒体に磁場を供給することによって、記録可能媒体に書込む。磁場は、書込部から読出部への磁束帰還経路として機能する。データを書込媒体に書込むために、磁気ヘッド内の導電コイルに電流が流される。コイル電流は、書込極にわたって磁場を誘導する。コイルを流れる電流の極性を反転させることによって、書込媒体へ書込まれるデータ極性も反転される。読出部は、記録可能媒体上の隣接する反対方向の磁化領域間またはドット間の磁気遷移を検出し得る。面積密度が増加するにつれて、磁気ヘッドが書込む速度を増加することが求められる。
【0009】
面積密度を増加させるために利用されるいくつかの技術は、熱支援磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording:HAMR)、ビットパターンメディア(BPM)、瓦磁気記録(Shingled Magnetic Recording:SMR)、およびディスクリートトラックレコーディング(Discrete Track Recording:DTR)を含む。当業者には認識されるように、HAMRを利用する記憶装置には、−たとえば、レーザダイオード、近接場変換器(Near Field Transducer:NFT)、導波管および回折格子のような−光学素子が設けられ、それらは、共に、記録媒体の温度を上昇させるための熱源を供給するように構成される。いくつかの光学素子は磁気ヘッド上に構成され、動作中に、磁気ヘッドが記録媒体へデータを記録するための磁場を生成している間に、その光学素子が記録媒体を加熱するための光源または熱源を供給するようにされ得る。
【0010】
磁気ヘッドがデータを記録するときの速度を増加する1つの方法は、磁気ヘッドの立上がり時間(rise time)を低減することである。ここで、磁気ヘッドの立上がり時間とは、ヘッドのコイルへの電圧印加後、磁気ヘッドの磁場が予め定められたしきい値に到達するのにかかる時間である。メイン書込極により近接して−書込極へ磁場を誘導する−コイルを配置することは、電流がメイン書込極まで伝達し、予め定められたしきい値に到達するまでの時間を低減する。それによって、立上がり時間が低減される。より具体的には、メイン書込極に近接してリードコイルまたは一組のリードコイルを配置することで、磁気ヘッドがデータを書込む速度を増加させることができる。
【0011】
例示的な実施形態に従って、図1は、リードコイル102と、コイル104と、ヨーク106と、帰還極(return pole)108と、後面ビア(back via)110と、メイン書込極112と、光学部114とを有する磁気ヘッド100の部分図を示す。磁気ヘッド100は、記録媒体124に面する空気軸受面を有するスライダ(図示せず)上に搭載される。磁気ヘッド100の端部116は、たとえば、空気軸受面に位置付けられるか、あるいは空気軸受面から引っ込んだ位置に位置付けられ得る。リードコイル102およびコイル104は、ヨーク106、帰還極108、後面ビア110、およびメイン書込極112を通る磁気経路を生成する磁場を提供する。メイン書込極112は、記録媒体を磁化するための磁束を漏洩させ、記録/書込みを実行する。メイン書込極112は、限定されないが、傾斜した書込器設計として示される。図1の想像線(phantom line)は、代替的なメイン書込極の形状を示す。
【0012】
リードコイル102−または、複数のリードコイルの各々−は、空気軸受面とヨーク106との間に位置付けられ得るリードコイルターンを有する。リードコイルは、リードコイルターンがメイン書込極112に隣接して位置付けられることを可能とする。そして、これは、リードコイル102が、磁場をメイン書込極112に迅速に供給することを可能とし、1ナノ秒よりも短い立上がり時間をもたらす。リードコイルターンは、メイン書込極112とリードコイル102間の電気的短絡を生成するような望ましくない効果の危険にさらすことなく、メイン書込極112から最小限の間隔があけられる。図1には示されていないが、メイン書込極112は、ヒートシンク材料で取り囲まれ得る。磁気ヘッド100に用いられる磁気材料は、当該技術分野において認識されている材料を含み得るが、たとえば、限定はされないが、多くの量のCo、NiまたはFeを有する任意の合金を含む。図1に示されるように、リードコイル102は、空気軸受面と空気軸受面に再接近したヨーク106の側面との間に、ヨーク106にいかなる部分もリードコイル102よりも空気軸受面に近くならないように位置付けられる。簡単に言うと、リードコイルターンは、ヨーク106のいかなる部分よりも空気軸受面に近い。
【0013】
さらに、リードコイルターンは、空気軸受面から最小限に間隔があけられ得る。空気軸受面にまたはそれに近接して、動作中に、リードコイル102はさらに露出され、記録媒体124および粒子(particle)によって影響を受け、それはリードコイル性能に悪影響を与える。たとえば、いくつかのリードコイル材料の性能は、記録媒体124との相互作用によって引き起こされる浸食のために低下し得る。したがって、リードコイル102は、埋め込み、密閉、薄膜コーティングの提供、または本技術分野において認識された他の方法によって浸食から保護され、それによって、リードコイル102が、記録媒体124からの悪影響が低減された状態または無視できる状態で、空気軸受面に近接して、および/または、メイン書込極112に近接して位置付けられるようにする。そして、それによって、リードコイル102およびメイン書込極112が増加されたデータレートを提供するように構成することを可能にする。
【0014】
図1に示されるように、コイル104は、らせん状のコイル設計で構成される。つまり、コイル104は、ヨーク106の周りにらせん状に巻回される。このおよび他の実施形態におけるコイルターンの数は例示的に過ぎず、ヘッド設計の仕様に依存する。たとえば、より多くのコイルターンは、より大きな磁場の生成をもたらすが、より大きなインダクタンスおよび抵抗ももたらす。より短いヨーク長さは、より少ないコイルターンを許容するが、立上がり時間もまた減少する。以下の実施形態において示されるように、コイルは多くの設計で構成され得、限定されないが、らせん状設計、単一のパンケーキ設計、二重のパンケーキ設計として示される。いくつかのコイル設計は、ヘッドの残余の設計および構成(たとえば、ヨークの形状、メイン書込極の形状、帰還極の形状、光学素子の形状)に基づいて、より複雑でかつ製造がより困難であるかもしれない。
【0015】
図1に示されるように、光学部114は、近接場変換器(NFT)118と、導波管コア120と、コア120を取り囲む導波管被覆122とを含む。図1は、メイン書込極112から間隔があけられたNFT118を示しているが、NFT118は、メイン書込極112に接するように位置付けることもできる。導波管は、たとえば、限定されないが、TiO2、Ta25、Si、SiN、ZnS、SiO2、およびAl23を含む、本技術分野において認識される材料を含み得る。
【0016】
例示的な実施形態に従って、図2は、リードコイル202と、コイル204と、ヨーク206と、帰還極208と、後面台(back pedestal)210と、メイン書込極212と、前面シールド214と、光学部216とを有する磁気ヘッド200の部分図を示す。光学部216は、NFT218と、導波管コア220と、被覆222とを含む。リードコイル202は、空気軸受面、または、空気軸受面とヨーク206との間に位置付けられ得るリードコイルターンを有する。リードコイルターンは、メイン書込極212に隣接して位置付けられ得、それによって、メイン書込極212に磁場を迅速に提供する。図2に示されるように、コイル204は、単一層の平面らせん(単一パンケーキ)コイル設計で構成され、磁気ヘッド200の側面および後面に一組のコイルターンを位置付ける。
【0017】
前面シールド214は、磁気ヘッド200の端部に位置付けられ、低リラクタンス経路を生成し、メイン書込極212における磁場を増加する。光学部216に対する前面シールド214の位置は、前面シールド214の厚さによって影響を受ける。たとえば、前面シールド214が厚くなればなるほど、前面シールド214はより多くの光学エネルギを吸収し、それによって、熱支援磁気ヘッドの光学効果を低減させる。しかしながら、前面シールド214は、メイン書込極212に近接して位置付けられると、より効果的である(たとえば、メイン書込極212における磁場を増加させる前面シールドの能力)。したがって、前面シールド214の位置および厚さを決定することは、光学効率の低下と磁気効果の増加との間のバランスである。
【0018】
例示的な実施形態に従って、図3は、リードコイル302と、コイル304と、ヨーク306と、帰還極308と、後面台310と、メイン書込極312と、前面シールド314と、光学部316とを有する磁気ヘッド300の部分図を示す。光学部316は、NFT318と、コア320と、被覆322とを含む。リードコイル302は、空気軸受面、または、空気軸受面とヨーク306との間に位置付けられ得るリードコイルターンを有する。リードコイルターンは、メイン書込極312に隣接して位置付けられ得、それによって、メイン書込極312に磁場を迅速に提供する。図3に示されるように、コイル304は、二重層の平面らせん(二重パンケーキ)コイル設計で構成され、磁気ヘッド300の側面および後面に二組のコイルターンを位置付ける。前面シールド314は、磁気ヘッド300の端部に位置付けられ、低リラクタンス経路を生成し、メイン書込極312における磁場を増加する。
【0019】
例示的な実施形態に従って、図4は、リードコイル402と、コイル404と、ヨーク406と、帰還極408と、後面台410と、メイン書込極412とを有する磁気ヘッド400の部分図を示す。リードコイル402は、空気軸受面、または、空気軸受面とヨーク406との間に位置付けられ得るリードコイルターンを有する。リードコイルターンは、メイン書込極412に隣接して位置付けられ得、それによって、メイン書込極412に磁場を迅速に提供する。図4に示されるように、コイル404は、単一層の平面らせん(単一パンケーキ)コイル設計で構成される。磁気ヘッド400は、任意的に、前面シールド(図示せず)を含み得る。
【0020】
本発明のさまざまな実施形態の多くの特徴および利点が、本発明のさまざまな実施形態の構造および機能の詳細とともに上記の説明に記載されたが、この詳細な説明は例示に過ぎず、詳細において、特に本発明の原理の範囲における構造、配置、および部品数の点において、添付の特許請求の範囲で表現される用語の広範な一般的な意味によって示されるすべての範囲について変形がなされてもよい。たとえば、コイルは光学素子のいずれかの側に位置付けられてもよいし、コイルは本技術分野において知られているさまざまなコイル設計で構成されてもよい。さらに、リードコイルの数は、1より大きくすることができる。
【符号の説明】
【0021】
100,200,300,400 磁気ヘッド、102,202,302,402 リードコイル、104,204,304,404 コイル、106,206,306,406 ヨーク、108,208,308,408 帰還極、110 後面ビア、112,212,312,412 メイン書込極、114,216,316 光学部、116 端部、120 コア、122,222,322 被覆、124 記録媒体、214,314 前面シールド、210,310,410 後面台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨークと空気軸受面との間に位置付けられたリードコイルターン(lead coil turn)を有するコイルを備えた、磁気ヘッド。
【請求項2】
前記リードコイルターンは、メイン書込極に隣接してさらに位置付けられる、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記リードコイルターンは、浸食を防止するために密閉される、請求項2に記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記ヨークの周りに、らせん状に巻回された複数のコイルをさらに備える、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記ヨークの周りに、単一パンケーキ設計で巻回された複数のコイルをさらに備える、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
前記ヨークの周りに、二重パンケーキ設計で巻回された複数のコイルをさらに備える、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
近接場変換器と、
導波管被覆によって囲まれた導波管コアとをさらに備える、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
前記近接場変換器は、メイン書込極に接する、請求項7に記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
前記リードコイルターンは、メイン書込極から最小限の間隔があけられる、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項10】
前記メイン書込極は傾斜している、請求項9に記載の磁気ヘッド。
【請求項11】
前記リードコイルターンは、前記ヨークの任意の部分よりも、前記空気軸受面に近く位置付けられる、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項12】
メイン書込極から最小限の間隔があけられたリードコイルターンを有するコイルを備えた、磁気ヘッド。
【請求項13】
前記メイン書込極は傾斜している、請求項12に記載の磁気ヘッド。
【請求項14】
近接場変換器と、
導波管被覆によって囲まれた導波管コアとをさらに備える、請求項12に記載の磁気ヘッド。
【請求項15】
前記リードコイルターンは、空気軸受面に位置付けられる、請求項14に記載の磁気ヘッド。
【請求項16】
前記近接場変換器は、前記メイン書込極に接する、請求項14に記載の磁気ヘッド。
【請求項17】
ヨークの周りに、らせん状に巻回された複数のコイルをさらに備える、請求項14に記載の磁気ヘッド。
【請求項18】
ヨークの周りに、単一パンケーキ設計で巻回された複数のコイルをさらに備える、請求項14に記載の磁気ヘッド。
【請求項19】
前記リードコイルターンは、浸食を防止するために密閉される、請求項14に記載の磁気ヘッド。
【請求項20】
空気軸受面を有する前面シールドをさらに備える、請求項14に記載の磁気ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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