説明

磁気共鳴のためのサイドバンド処理

【課題】SWIFT(Sweep Imaging with Fourier Transformation)あるいは他の関連する磁気共鳴技術における、サイドバンド信号の除去や利用の方法を提供する。
【解決手段】方法は、スキャナにおいて、スピン系にパルス列を適用することを含む。パルス列は、時間領域における複数の切れ目を有する。方法は、スピン系から応答を受信することを含む。応答は、ゲーティングされた信号に対応する。方法は、スキャナに対応する補正因子にアクセスすることを含む。方法は、補正因子に基づき、応答に対する補正を算出することを含む。方法は、補正に基づき、出力を生成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権の主張>
本願は、2011年6月20付出願の米国特許出願第61/499,015号の優先権の利益を主張し、米国出願において開示している全てについては、これにより、そっくりそのまま組み込まれる。
<連邦政府による支援を受けての研究開発に関する記述>
本発明は、米国国立保健研究所の査定番号5P41RR008079、5P30NS05791及び1R21CA139688の下で、米国政府のサポートによりなされたものである。米国政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
SWIFT(Sweep Imaging with Fourier Transformation)とは、ほぼ同時にスピンデータの励起と収集とを行うことを含む、高速3次元放射磁気共鳴画像シークエンスをいう。一実施例においては、SWIFTは、ギャップがあるRFパルスを含む。SWIFT(一実施例を図1に示す)には、一定の(ビューごとの)読み出しグラジェントの下での、ギャップのあるHSn(双曲線正割)低フリップ角励起パルス(掃引周波数「f」を含む)を含んでいる。
【0003】
SWIFTの一実施例においては、パルスのHSNファミリが励起に使用される。RFパルスは、32倍オーバーサンプリングを用いて決定することができる。ギャップパターンは、RF形ブランキングとしてパルスに挿入される。RFパルスの周波数応答は、励起のギャップパターンによる。例としては、RF負荷サイクルは、12.5パーセント(ベースバンド及び±1、±2、±3、±4、±5、±6及び±7で表される一連のサイドバンド)、25パーセント(ベースバンド及び±1、±2及び±3で表される一連のサイドバンド)及び50パーセント(ベースバンド及び±1で表されるサイドバンド)である。
【0004】
核磁気共鳴信号は、送信機のゲートがオフにされ、受信機のゲートがオンにされるギャップにおいて(二重ゲートで)受信される。SWIFTは、高い収集デューティサイクル、グラジェント積分誤差に対する耐性、極度に短いTの感度及び非常に滑らかなグラジェントの更新(静穏で低いグラジェントのハードウェア要求)を含む、高速3次元放射シークエンスにとって望ましい特性を有している。
【0005】
SWIFTにおいては、k空間が、中心(k=0)及びそこから外部へ延びる放射投影に沿ってサンプリングされる。k空間の各位置を取得するために割り当てられる時間は、k空間全体でほぼ一定である。一実施例では、SWIFTは、放射の収集のためにパラレルでイメージングを行うとともに、スポーク間に挿入されるのと同様の、抑制された筋状のアーチファクトを含んでいる。
【0006】
図12乃至図17に例示するように、k空間をサンプリングすることによりSWIFTを用いて画像が生成される。取得した撮影視野(FOV)に対するk空間サンプリングは、スペクトル幅よりも小さい。図12乃至図17は、収集したデータ点や、欠落しているデータ点を表す隙間を説明している。
【0007】
磁気共鳴画像シークエンスから生じるサイドバンド信号は、アーチファクトへとつながり、劣化した画像を生み出す。例えば、サイドバンドは、主極と重複あるいは主極に折り込まれるスペクトルの原因のひとつとなり、こうして、結果画像中の望ましくないアーチファクトへとつながる。
【0008】
ベーカー、E.B.等、「基線の安定性に対して広幅及び狭幅NMRに適用される200kcでの時分割変調」、レビューオブサイエンティフィックインスツルメンツ、第36巻、番号10、1495〜1498ページ、1965年10月においては、信号の漏れによる基線の不安定性を低減させるための、NMR送信機及び受信機がパルスを交互に送受する時分割法について言及している。この論文では、繰り返し率を200kcあるいはそれ以上に増やす方法について言及されており、これによれば、サイドバンドを搬送波から取り除き、歪みのない広幅化した線吸収信号やサイドバンドの重複のない高分解能のスペクトル(例えば、19Fスペクトル)が得られる。場や周波数の変調に伴う望ましくない特徴については、このようにして回避される。この方法は、2つの発振器、高速ダイオードスイッチ及び広帯域電力増幅器を用いることが必要である。
【0009】
現在の主題に関連する更なる出版物としては、以下のものが含まれる。
イディヤチューリン、D.;コルム、C.;パーク、J.Y.及びガーウッド、M.、掃引無線周波数を用いた高速及び静的MRI、ジャーナルオブマグネティックレゾナンス、2006年、181、342−349
イディヤチューリン、D.;コルム、C.;ムーラー、S.及びガーウッド、M.、周波数掃引MRIに対しギャップのあるパルス、ジャーナルオブマグネティックレゾナンス、2008年5月
アンダーセンPM、ローゼンME、エアハルトP、アドリアニーG、シュトルップJP、サルミRJ、ウグルビルK、MRIに対するオーバーサンプリングデジタルIF受信機、国際磁気共鳴医学会議紀要、ニューヨーク、1996年
S.ムーラー、C.コルム、D.イディヤチューリン、R.チェンバレン、M.ガーウッド、国際磁気共鳴医学会大会(ISMRM)、トロント、2008年
カート・コルム、ジャウダット・イディヤチューリン、ステーン・ムーラー及びマイク・ガーウッド、SWIFTにおける二重ゲートの(励起及び収集の)効果、データサンプリング及び画像再構成に関するISMRMワークショップ、2009年
コルム、C.A.;イディヤチューリン、D.;ムーラー、S.及びガーウッド、M.、SWIFTに対する信号処理及び画像再構成、第15回科学会議紀要、国際磁気共鳴医学会議、2007年、1669
国際出願公開第2011/123657号、発明の名称「改善されたSWIFTに対するパルスギャップサイクル」、国際出願番号PCT/US2011/030744号、国際公開日2011年10月6日、国際出願日2011年3月31日
上記の文献は、サンプルに対するスピンデータを収集する間にギャップをシフトさせることにより生成された磁気共鳴画像に言及している。スピンデータは、ギャップのある励起シークエンスにより生成される。
<概要>
SWIFTで使用される二重ゲート送受信スキームは、信号処理に多数の特性を与え、その結果アーチファクトを生じさせる。本主題に係るある実施例は、SWIFT信号についての二重ゲート(時分割)送受信時間の効果に関する。
【0010】
本主題は、SWIFTあるいは他の関連する磁気共鳴技術における、サイドバンド信号の除去や利用の方法を含む。
本主題に係るある実施例は、SWIFTを使用するときのアーチファクトを低減させることを目的としている。このため、本主題により、符号化することなく入手できるデータより、より大きな有効視野を生成することのできるトレーニングデータの使用が可能となる。加えて、本主題により、有効視野の外のデータを破棄することに対する解決策が提供され、これにより、そのようなデータを有効視野に折り込んでしまうことやアーチファクトを生成してしまうことを回避する。例えば、一実施例においては、折り込まれているアーチファクトの除去と、より大きな有効視野でよりシャープな画像を表示することとの組み合わせを表す情報を生成することができる。
【0011】
発明者は、とりわけ矩形波変調励起が、磁気共鳴画像の質を低くするアーチファクトを生成することに気付いた。本主題では、矩形波変調励起から生じるサイドバンドより信号の中身を抽出して、アーチファクトを除去するのに抽出した中身を使用することにより、この問題を解決する方法を提供するのを手助けすることを可能とする。
【0012】
この概要は、本特許出願に係る主題の要旨を提供することを目的とする。発明の排他的な説明や包括的な説明を提供することを意図するものではない。本特許出願について更に多くの情報を提供するために、発明の詳細な説明が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、必ずしも一定の縮小率で描かれてはおらず、図面中の数字等は、異なる視点から同様の構成要素を説明するものであることもある。異なる文字の添え字を有する数字等については、同様の構成要素の異なる事例を表している。図面は、一般的には、当該書面において論じられている各種の実施形態の例を説明するものであり、これに限定されるものではない。
【図1】2つのパルスと収集を示す単純化したSWIFTシークエンスを説明する図である。
【図2】一実施例による、オーバーサンプリングされた送信パルスと送信ゲートや受信ゲートが開状態の位置を示す、SWIFTシークエンスの部分区間を説明する図である。
【図3A】ギャップのないHS1パルスの複素周波数プロファイルを説明する図である。
【図3B】ギャップのあるHS1パルスの複素プロファイルを説明する図である。
【図4A】ギャップのないHS1励起からの時間領域スピン信号を説明する図である。
【図4B】ギャップのあるHS1励起からの時間領域スピン信号を説明する図である。
【図5A】HS1パルスサイドバンドにより励起された、長い、オフ共鳴の末尾を示すスピンスペクトルを説明する図である。
【図5B】受信機ゲートによりチョッピングされたあとに示されるデータスペクトルを説明する図であり、スピンスペクトルの変調「レプリカ」を説明する図である。レプリカの末尾はベースバンドと重複する(図5C参照)。
【図5C】ベースバンドと重複し、不要な信号がベースバンドに混入している、受信機のゲーティングサイドバンドからの末尾を説明する図である。
【図6】SWIFTフォワード信号フロー図である。
【図7A】受信機ゲーティング(チョッピング)が周波数領域の「折り込みカーネル」により畳み込みで表されることを説明する図である。この操作は、行列の乗算により表すことができる。
【図7B】カーネル(図示する複素数の大きさ)に対する「折り込み行列」と同等のものを説明する図である。
【図8A】「重複のない」擬似逆行列の大きさを説明する図である。
【図8B】折り込みのない(擬似逆)行列の中間列に対応する重複のないカーネルを説明する図である。
【図8C】受信ゲートサイドバンドで修復されたベースバンド信号を説明する図である。
【図9】SWIFT信号処理フロー図である。
【図10】ベースバンドと近隣のサイドバンドを用いるファントムデータが示す画像を説明する図である。
【図11】3次元SWIFT画像の選択されたスライスを説明する図である。
【図12】SWIFTにおける受信機のギャップにより起こる欠落データの例を説明する図である。
【図13】広い有効視野の調整データセットから算出したGRAPPAカーネルの例を説明する図である。
【図14】SWIFTデータセットにおける欠落データの例を説明する図である。
【図15】GRAPPAカーネルの算出を手助けするk空間の中心近くのギャップサイクルを説明する図である。
【図16】欠落データやオーバーサンプリングを有する投影を説明する図である。
【図17】オーバーサンプリングされたデータと組み合わされたギャップサイクルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
SWIFTにおいては、高速での送受信切り替えにより、最大帯域が制限され、ひいては、適当な期間内に達成される分解能が制限されうる。
本主題に係る一実施例は、SWIFTでの放射方向におけるアンダーサンプリングされたk空間を取得し、マルチチャネルアレイを使用してアンダーサンプリングされたk空間領域を補正し、これにより、同一のスキャン回数でより高い分解能を得ることを可能とする方法を対象としている。
【0015】
図1は、SWIFTシークエンスを説明する図である。図中のデータは、時間領域信号を表している。図に例示するRF信号及びf信号は、矩形波変調を有する掃引周波数信号を表す。この例では、掃引周波数は、HSnファミリ信号として記述される。矩形波変調により生成されるギャップは、サイドバンドを生じさせている切れ目部分である。グラジェント信号は、ゼロ以外であり、図示する期間に亘り連続的である。pFID信号は、擬似FID(自由誘導減衰、free induction decay)信号に相当する応答を表す。pFID信号は、掃引周波数励起に対応し、例えば、TRで示される期間がこれを表している。
【0016】
図2は、一実施例に係る、オーバーサンプリングされた送信パルスSWIFTシークエンスの部分区間と、開状態の送信・受信ゲートの相対位置とを説明する図である。SWIFTシークエンスにおける切れ目によって、信号の中身を含みうるサイドバンドが生成される。
<第1部>
以下においては、重複のない受信機のサイドバンドについて記載する。
【0017】
SWIFTによれば、送信機のゲーティングは、送信パルスにサイドバンドを生じさせうる。サイドバンドは、ベースバンドの帯域を超えることもある。その結果生じるサイドバンドは、SWIFTの有効視野(FOV)の外側に、好ましくない信号を引き起こしうる。例えば全てのスピンの等波長共鳴がベースバンド帯域内であったとしても、サイドバンドは、オフ共鳴のスピンの章動運動を生じさせ、これにより、観測可能な信号が生成されてしまうこととなる。
【0018】
図3Aは、切れ目のないHS1パルスの周波数プロファイルを説明する図である。図3Bは、ギャップのあるHS1パルスを説明する図である。この例では、送信機のデューティサイクルは、25パーセントである。−1及び+1のサイドバンドは、ベースバンドとほぼ同じ振幅である。
【0019】
送信機により励起されて起こるサイドバンドに加えて、受信機のゲーティングもまた、AD(アナログからデジタルへの)変換前にRFスピン信号をチョッピングするはたらきをする。チョッピングにより、ゲートされていない信号の変調サイドバンドが生成される。
【0020】
変調サイドバンドの末尾部分がベースバンドと重複することがあるかもしれない。ベースバンドをサンプリングしたアナログ受信機(オーバーサンプリングは行わない)では、ベースバンド信号の外側の信号の中に、ベースバンドのエイリアスを生じる(あるいはベースバンドに折り込まれる)ものが含まれてしまう。デジタル受信機では、ブリックウォールフィルタを用いるとしても、サイドバンドの末尾がベースバンドに混入してしまうことがある。
【0021】
ベースバンド信号に混入が起こることにより、最終画像にアーチファクトが生成されてしまう。更には、コントラストを損ね、測定した信号対雑音ノイズ比(SNR)を低減させるかすみ(haze)が画像に含まれてしまうことがある。
【0022】
ベースバンドへの混入を除去し、あるいは補正するために、ギャップサイクルを用いて折り込まれている信号を除去する、というアプローチのしかたがある。ギャップサイクルでは、パルスに対する送信機及び受信機の異なるギャップ位置の周期を使用する。これにより、結合すると、もはや変調もパルスのサイドバンドによる効果も有しない受信データが生成される。仮想的なオフ共鳴のスピン要素の大部分は、周波数領域でゆっくりと変化するため、ビューごとに循環させる必要はなく、したがって、追加の収集は不要である。
【0023】
本主題に係る一実施例では、オーバーサンプリングしたデータ(所定のコンソールや追加のハードウェアを利用して入手できるようなデータ)を使用することが必要である。混入は、後処理アルゴリズムで補正することができる。一実施例では、オーバーサンプリングしたデータを使用することなく混入を補正している。オーバーサンプリングしたリサンプリングにより、(オーバーサンプリングでグリッドを埋めて)混入のうちいくらかを除去することができる。
<擬似逆>
以下の受信機のスピン信号(周波数領域)をゲーティングする工程による効果は、行列あるいは回転カーネルとして表現することができる。これによれば、スピン信号は、D(f)として表され、折り込みカーネルは、K(f)として表される。畳み込み演算により、D(f)*K(f)=D´(f)が得られる。行列表現では、
【0024】

【0025】
以下の式が示される。

【0026】
ここで、K(t)は凡そ巡回であり、D(t)のカレットは、これが推定であることを表す。
行列形式においては、以下のように表現される。
【0027】

【0028】
ここで、ダガー†は、共役転置行列(あるいは、エルミート共役ないしは転置行列)であることを表す。このように、取り出されるDの推定については、アーチファクトやかすみを低減させたSWIFT画像を描くのに使用することができる。
<サイドバンドの利用>
サイドバンドの中身は、有効視野を励起するのに使用することができる。末尾部分の信号の中身により、画像情報が提供されうる。
【0029】
サイドバンドは、(例えばSWIFT等により)遮られた励起を利用した結果中に存在する。遮断(あるいはギャップ)を周期的に繰り返すことで、結果中に反転されたサイドバンドが含まれるが、非常に大きい数の周期を超えて見ると、サイドバンドはキャンセルされる。
【0030】
受信機のゲーティングにより、折り込まれているサイドバンドが主極への混入を生じさせている。
送信機及び受信機のゲーティングがない場合のデータを表すDの行列表現を考慮すると、D´は、送信機のゲーティングのみがある場合のデータを表し、D´´は、受信機のゲーティングのみがある場合のデータを表す。
【0031】
この表現においては、MD=D´´あるいはD=M−1D´´であり、M−1は、擬似逆行列とみなされる。擬似逆及び受信機のゲーティングの表現を生成することにより、混入のないデータが生成される。
【0032】
この表現においては、Mは、シミュレーションモデルを考慮に入れたモデルを表している。代わりに、Mは、トレーニングデータに基づき推定される、マルチチャネル補間と解釈することもできる。一般的な逆では、Mは、モデルに基づくか、あるいは、マルチチャネルからのキャリブレーションに基づくこととしうる。
【0033】
もし仮にMがキャリブレーションに基づくとした場合、データを相関させる前後のいずれであっても、Mを時間領域に適用することができ、また、周波数領域に適用することができる。行列Mは、より大きな有効視野で行ったキャリブレーションを表すことができる。
【0034】
言い換えると、低分解能でオーバーサンプリングした時間領域のデータを収集して、Mの値を得るために使用することができる。
キャリブレーションに基づくMの場合を考えると、低分解能データにより、より広いスペクトル幅の外部の対象をキャプチャすることのできる、広い視野が生じることとなる。
【0035】
一実施例によれば、目的は、線形数学を用いて解くことのできる表現に分類することにある。この場合、測定データ(検知したデータ)は、行列S(t)として表すことができ、Eは,Mを近似的に表すために使用することができる。そして、g(t)は、対象を表すことができる。言い換えると、これは、S(g)E=g(t)となる。S(t)が1×N(Nは、測定数)次元の行列であり、g(t)がα個の画素を含む場合、測定数はN*αである。高度に規定されている系では、より少ない画素、すなわち、α´<αの画素を使用でき、ここでN×α´は、満足させる結果を生じさせることができる。
【0036】
行列g(t)は、ある領域における疎を表すことができる。
<第2部>
以下の部分では、サイドバンド処理について記述する。
【0037】
SWIFT(SWeep Imaging with Fourier Transform)とは、NMR(核磁気共鳴)やMRI(磁気共鳴影像法)のシークエンスである。図1や図2に示すように、SWIFTは、ギャップのある周波数掃引(あるいは振幅変調)パルスにおいて、信号の励起及び受信をほぼ同時に行う。
<送信機のゲーティング>
SWIFTの一実施例にしたがって、ギャップのあるパルスを送信するために、送信機のゲートを開閉し、ギャップの間の信号の受信を許可するために、受信機のゲートを開閉する。その結果、送信パルス及び受信データの両方が、変調サイドバンドを有することとなる。
【0038】
図3A及び図3Bに示すように、SWIFTにおいては、送信ゲーティングにより、送信パルスにおけるサイドバンドが引き起こされる。サイドバンドは、ベースバンドの有効視野外部で、望ましくない信号を励起する。例え全てのスピン共鳴がベースバンドの帯域内にある場合であっても、サイドバンドにより、スピンのオフ共鳴の章動が起こり、ベースバンド信号の外部に観測できる中身が生成されてしまう。図4A及び図4Bは、ギャップのあるパルスにより励起されたスペクトルの「末尾」を表している。図に示されるように、時間領域で見ると、RF電力の「開始‐停止」の結果、ギザギザの形を有しており、RF電力により、高周波成分が生じている。
<受信機のゲーティング>
送信機のゲーティングに加えて、受信ゲーティングにおいても、アナログデジタル(AD)変換前にRF信号をチョッピングする。図5A、図5B及び図5Cに示すように、チョッピングにより、ゲーティングされていない信号の変調サイドバンドが生成される。受信機ゲーティング変調の末尾は、ベースバンドと重複している。ブリックウォールデジタルフィルタを有するデジタル受信機においては、送信及び受信のゲーティング変調の組み合わせによって、依然サイドバンドの末尾がベースバンドに混入しているであろう。
【0039】
アナログ受信機でサンプリングされたベースバンドにおいては、ベースバンドの外部の信号も折り込まれて(あるいはエイリアスを生じさせて)いる。これには、ベースバンドスピンスペクトルの末尾と、受信機のゲーティング変調のサイドバンドとの両方を含んでいる。
<ベースバンド(あるいは中間帯)の混入>
ベースバンド信号に混入があると、最終的に再構成された画像にアーチファクトが生成される。これには、コントラストを破壊する「かすみ」が含まれ、かすみは、信号対雑音ノイズ比SNRの低下の原因ともなる。
【0040】
本主題に係るある実施例では、ベースバンドへの混入を除去し、あるいは補正するように構成されている。上述のとおり、折り込まれた信号を除去するためのアプローチのひとつに、ギャップサイクルが考えられる。ギャップサイクルは、(受信機のゲーティング位置をも循環させる)送信パルスにおける、異なるギャップ位置の周期を使用して、平均して(25パーセントの送信デューティサイクルに対して少なくとも4倍周期である)全周期の後には、サイドバンドのないデータを生成する。統合されたデータは、ギャップのないパルス(及びゲーティングしていない受信機)から取得したデータに等しい。
【0041】
一実施例においては、サイドバンドのアーチファクトは、オーバーサンプリングされた時間領域のデータを用いて補正することができる。オーバーサンプリングされたデータは、擬似逆を介して後処理を施すことが可能である。
【0042】
図6は、送信及び受信ゲーティングによる信号のフォワード変調の概要を示す図である。これは、時間領域で表されており、スピンインパルス応答の回転h(t)、及び(図面においては理想パルスである)RFパルスx(t)が引き起こされて、系(スピン)の応答r(t)が得られる。数学的には、これは、h(t)*x(t)=r(t)である。図6においては、送信ゲートエラー、コイルのリングダウンやノイズ、並びに受信機ゲートエラーを含むように、離散スピンデータを計算するのに更に入力されるデータが記載されている。図面においては、A/Dは、アナログ‐デジタル変換処理を表している。
<擬似逆>
図7A及び図7Bに示すように、スピン信号に対する(周波数領域における)受信機ゲーティングのフォワード工程による効果は、行列で、あるいは、中間スペクトルに対しては、回転カーネルで表すことができる。
【0043】
図7Aは、受信機ゲーティング(チョッピング)が、周波数領域で「(図7Bに示す)折り込みカーネル」での回転により表すことができることを説明する図である。この工程は、行列の乗算で表すこともできる。
【0044】
図8A〜図8Cに示すように、擬似逆は、関心に応じて数値計算することとしてもよい。図8Aに示すように、擬似逆行列での乗算により、受信ゲーティングの効果が除去される。一実施例においては、遠い箇所のサイドバンドについては取り除きたくない場合には、畳み込みにより効果を除去する。
【0045】
修復されたデータは、受信サイドバンドによる混入がなく、ブリックウォールフィルタによりフィルタリングされて、アーチファクトやかすみの低減されたSWIFT画像を生成するのに使用されうる。
【0046】
図9は、オーバーサンプリングされた時間領域のデータを用いてSWIFTで取得することのできる混入のない信号帯域を分離するための、信号処理の概要を説明する図である。
【0047】
図9においては、外形を点で描かれたボックスが、オーバーサンプリングされたデータを表している。更には、ベースバンドを選択することにより、重複がなくなる。この説明は、先に示したフォワード信号フロー図の逆と同様である。
<リサンプリングとグリッド>
オーバーサンプリングした時間領域のデータが存在しない箇所においては、オーバーサンプリングされた時間領域データを生成(補間)するのに、リサンプリング法を使用することができる。これは、オーバーサンプリングされたグリッドの再構成の一部として達成される。k空間の収集方向に沿ってのリサンプリングに加え、3Dグリッドもまた、更に補間された時間分解能を提供する近隣の収集データ(ビュー)からの情報を混合させている。
【0048】
SWIFTにおいては、画像の再構成には、カイザーベッセルのカーネルでオーバーサンプリングされたグリッドや、サンプル密度補正後のグリッドを含むことができる。
図10に示す例においては、オーバーサンプリングされたグリッドのみでベースバンド及びサイドバンドを用いた画像の再構成を行うことができる。正しい帯域の信号については再構成させることができる一方で、チョッピングによって正しくない帯域に変調されてしまった信号は、人工ノイズとして消散させる。更には、サイドバンド信号もまた復元されてしまうため、1またはそれ以上のサイドバンド(あるいは部分的なサイドバンド)を加えたベースバンドに対応した、増大した帯域信号を使用することができる。図10は、ベースバンド及び隣接のサイドバンドを用いたファントムデータが表す画像を説明する図である。この例では、ギャップのあるHS1パルスの励起プロファイルのデューティサイクルは、0.33に等しい。図10は、±1のサイドバンドを説明しているが、他の例では、±2や±nのサイドバンドも使用することが可能である。
<オーバーサンプリング及びリサンプリングの統合>
ある実施例においては、オーバーサンプリングとリサンプリングによるグリッドの統合を、サイドバンドのアーチファクトを除去あるいは低減させるために使用する。
<第3部>
以下の箇所では、SWIFTのための信号処理および画像の再構成について記述する。
【0049】
次に、SWIFT信号の二重ゲート(時分割)による送受信時間の効果や、3次元放射SWIFTデータセットの信号処理や画像の再構成の結果について考えることとする。
<導入部>
上述のとおり、SWIFTは、一定の(ビューごとの)読み出しグラジェントの存在下で、ギャップのある、双曲線正割ファミリ「HSn」の低フリップ角の励起パルス(周波数掃引「f」を含む)の鎖を含むことができる。NMR信号は、送信機がゲーティングされず、受信機がゲーティングされている(二重ゲートされている)ギャップにおいて受信される。
【0050】
極度に短い待ち時間により、SWIFTは、超短T及びTスピンに対して非常に優れた感度を有する。
<RFパルスの効果>
極めて幅の狭いハードパルスかデルタ関数で励起すると、スピン同重体のインパルス応答は、積Iss(全ての定常状態の(T)効果を説明する)と、スピン同重体がデルタ関数パルス前には励起されていないという事実を説明する指数関数とで表すことができる。指数は、オフ共鳴やT緩和の効果を説明する。
【0051】
スピン応答は、ローレンツ関数を用いて周波数領域で、あるいは、Re(吸収)やIm(分散)信号を含むTの広げられた線の複素スペクトルの形で表すことができる。
画像データは、(グラジェントの存在下での立方形水ファントムのような)同重体の連続体として表すことができ、データ収集時間の緩和は無視している。これについては、周波数領域で表される。
【0052】
(FMパルスでの極めて広い)線形応答領域においては、スピン同重体の連続体上のパルスの効果は、応答、パルス及びスピン系インパルス応答を用いて、畳み込み演算で表すことができる。その関係については、畳み込み理論により、フーリエ領域で、R(f)=X(f)H(f)と記述することができる。ここで、R(f)は、パルスプロファイルX(f)の積であり、H(f)は、スピンスペクトルである。この結果は、小フリップ角にある場合には(全てのNMR及びMRI励起パルスにとって)一般的であり、フーリエパルス設計の基本である。オフセット独立アディアバティック(OIA、offset independent adiabatic)パルスからすれば、この結果は、おそらくは、いくらか改善の余地を有しているであろう。
<相関>
FM励起パルスによる位相は、相関(correlation)により除去することができる。相関は、NMRの整数部分(ときには基準点の解析に使用するが)やMRI信号処理とは通常はみなされない。大部分のMRIや多くのNMRシークエンスでは、ハードパルスか振幅変調(AM)パルスを使用するので、(0番目や1番目の位相相関を除き)周波数領域のデータの位相に歪みを生じさせることはない。画像用の大半のAMパルス(例えばスライスやスラブ用の選択的なsincパルス)は、平坦な励起プロファイルを有するので、更にプロファイルを平坦化させる必要がない。
【0053】
SWIFTでは、エコーを必要とはしないが、その代わりに、「擬似FID」(pFID)とみなされうるものを必要とする。SWIFTには、相関を利用して擬似二次位相を除去し、AMパルス励起で取得されるものと類似するFIDを取得することを含みうる。パルスの効果は、時間領域データあるいは周波数領域データから除去される。畳み込みとは逆の工程が相関である。データがパルスと相関を有する場合には、パルスの効果は、データから除去されて、スピンスペクトルの推定を用いて時間領域で数学的に表されうるスピンインパルス応答が残されることとなる。
【0054】
周波数領域においては、パルス相関の工程には、パルスプロファイルによる分割を必要とする。
<OIA効果>
HS1(f)(及び他の次元のHSパルス)のプロファイルのロバスト性の基本は、OIAパルスの「オフセット独立」条件に由来する。OIAパルスでは、プロファイルは、高フリップ角(アディアバティック)制限に対して常に平坦であり、低フリップ角で維持される。線形に設計されたAMパルスにおいては、「傾斜(dip)」は、オン共鳴のスピンに対応するプロファイル部分(対称パルスのプロファイルの中心)に現れる傾向がある。OIAパルスは、帯域内にスピンに対するほぼ理想的なスピン軌道を誘発するため、プロファイルは平坦なままである。
<投影の合計からの位相の算出(自動位相)>
コイルのチューニングやケーブル長だけでなく、パルスからの遅延や受信機のタイミングによって、原点やSWIFTデータの1次オーダ位相にばらつきが生じうる。SWIFTデータは、FID投影としてグリッド化されるので、位相は、投影間で一貫していなくてはならない。画像のアーチファクトは不適当な位相から生じ、画像の再構成後は容易には修正できない。
【0055】
データ自体からの自動位相推定は、位相の変化に対する解決法のひとつである。位相は、周波数(スペクトル)領域における吸収や分散の線形の特性に基づき推定されうる。分散信号は1/fに落ち込む一方で、線の中心からはるかに離れた箇所では、吸収信号は、1/f^2にまで落ち込む。このような理由から、複素スペクトル(投影)の位相は、線の中心から離れた箇所では、正または負の虚数に近づくと見込まれる。
【0056】
SWIFTにおけるデータは、3次元から1次元へと投影され、投影は、理想的には、拡張された対象のプラナースライスに亘り平均であるものであるので、演算には、いくらかの困難を伴いうる。複数の化学種だけでなく、対象そのものが構造を備えうる。より高い磁場においては、更に、B1伝播および空間的に依存したB0変数による位相効果が見られる。また、リングダウンやゲーティング効果による真の投影基線の歪みやサイドバンドの重なりも生じうる。
【0057】
与えられた周波数符号化グラジェントに沿って各位置に配置されているローレンツ線の重ね合わせを考える。更には、(B1効果によって)空間的に依存した位相が存在するかもしれない。更には、各位置には(脂質や水等のような)複数の化学種が存在するかもしれない。更には、正味吸収が存在するかもしれない。
【0058】
本主題に係るある実施例は、上記の議論に基づき、一連の投影から原点及び1次オーダ位相を推定する自動アルゴリズムを含む。
<短い待ち時間と低いTの感度>
SWIFTには、画像シークエンスの短く効果的な待ち時間がある。BLAST(あるいはRUFIS)は、同程度の待ち時間を有するシークエンスであるが、それぞれにつき、臨床用の大きさのコイルとの間でなすフリップ角を制限するピーク電力要求がある。ギャップのあるSWIFT待ち時間の実際上の限界は、コイルのリングダウンタイムである。UTEシークエンスにも、非常に短い待ち時間がある。
【0059】
SWIFTのある実施例では、UTE型シークエンスのそれを超えて、実際上の短いT(及びT)イメージングの範囲を拡張することができる。
<二重ゲート>
相関に加えて、SWIFTには、他にも独特な特性がある。大部分のMRIシークエンス(及び大部分のNMRシークエンス)では、明らかな連続の収集インターバルがある。受信機のゲートは開状態であり、A/D変換が開始する。(例えばRAREや他の多重エコーシークエンスにおいては)励起ごとに複数の収集が可能であるが、一般的には、(マグニチュードモードの取り扱いやタイミング補正を行っているものの)位相コヒーレンスを維持することについては関係していない。
【0060】
送信機のゲートや受信機のゲートは、ほぼ補完的であり、これにより、コイルのリングダウンだけでなく、ゲートの開閉に対する短い「待ち時間」が可能となる。送信機のゲートが、ギャップのあるパルスを送信するために開閉され、受信機のゲートが、ギャップにおいて受信を可能とするために開閉されるため、送信パルス及び受信データの両方により、変調サイドバンドが生成される。
【0061】
ゲーティングされた励起や収集は、ホモデカップリング実験で見られる。
<送信機のゲーティング>
まず、送信機のゲーティングにより、パルスのギャップが作られる。これは、パルスの忠実性やプロファイルに影響を及ぼす。ベースバンドのフリップ角を小さくすることだけでなく、パルスにギャップを与えることにより、プロファイルにおいて、サイドバンドが生成される。ゲーティングが周期的であれば、また、十分に短い期間に起こるのであれば、送信サイドバンドがベースバンドと重複することはない。振幅が小さくなることを除き、パルスベースバンドの送信プロファイルは、影響を受けない。理想的なハードウェア条件の下で、SWIFTは、この制約にかなっている。更には、ベースバンドの平坦さは、送信パルスの時間領域の「オーバーサンプリング」による。
【0062】
SWIFTにおいては、送信ゲーティングにより、送信パルスにサイドバンドが生じる。
<受信機のゲーティング>
SWIFTでは、「ゲーティングされた」あるいは「ギャップのある」収集インターバルを使用する。収集インターバルは、受信機のゲートが、ハードウェアをパルスからの大きな信号から保護するために「閉」とされる区間だけでなく、受信機のゲートが、スピン信号を2値化するのを許可して「開」とされる部分に分かれる。スピン信号は依然存在しているものの、パルスからのはるかにより大きな信号により、動作できなくなっている。
<ゲートの安定性と変調>
SWIFTのタイミング要求は、送信/受信切り替え部、内部ゲートタイミング及びMRIハードウェアのプリアンプの回復の優れた動作要件にかかっている。例えば、実験データにより、送信/受信切り替えのハードウェアは、高速グラジェントエコーやUTEシークエンスでの相対的にはるかに長い待ち時間と比べて非常に短い待ち時間(凡そ2〜4マイクロ秒かそれ以下)で、異なる動作をすることが示されている。SWIFTは、送信/受信スイッチ、プリアンプ、デジタルあるいはアナログのフィルタ及び他のゲーティングの過渡電流や制御信号が減衰する(あるいはリングダウンする)ことのないように、短い待ち時間で動作し、高速で切り替えを行う。
【0063】
不安定性や送信ゲートの過渡電流は、送信パルスのエラーにつながるかもしれない。更には、受信スイッチとプリアンプの組み合わせには、過渡準位やゲインがある。送受信スイッチとコイルのリングダウンとの組み合わせ、プリアンプの水準、利得変動が、NMR分光における基線エラーとして現れるかもしれない。SWIFTでは、ゲートの過渡の効果が、FIDの開始に限定されることなく、全体に及ぶ。
<ベースバンド(あるいは中間帯)の混入>
ベースバンド信号に混入があると、アーチファクトが最終再構成画像に生成される。これには、コントラストを破壊し、信号対雑音ノイズ比SNRを低減させるのにも寄与する「かすみ」が含まれうる。
【0064】
図9は、信号フロー図の概要を説明する図であり、図8は、送信及び受信ゲーティングにより信号が受けるフォワード変調の概要を説明する図である。
<パルスギャップサイクル>
一実施例においては、ベースバンドの混入を除去あるいは補正できることが望ましい。あるアプローチによれば、(受信機のゲーティング位置をも循環させる)送信パルスの異なるギャップ位置の周期を用いて、平均して(25パーセントの送信デューティサイクルに対して少なくとも4倍周期である)全周期の後には、サイドバンドのないデータを生成する。統合されたデータは、ギャップのないパルス(及びゲーティングしていない受信機)から取得したデータに等しいかもしれない。実際上は、いくらか過渡信号が存在するかもしれないが、ギャップサイクルは、これらの過渡を平滑化して、混入を低減させることとなる。
<復調>
(周波数領域における)スピン信号に対する受信機のゲーティングのフォワード工程による効果は、行列で、あるいは、中間スペクトルに対しては、回転カーネルで表すことができる。
【0065】
擬似逆は、関心に応じて数値計算することとしてもよい。擬似逆行列での乗算により、受信ゲーティングの効果が除去されうる。一実施例においては、遠い箇所のサイドバンドについては取り除きたくない場合には、畳み込みにより効果を除去することができる。
【0066】
受信サイドバンドによる混入のない修復されたデータは、ブリックウォールフィルタによりフィルタリングされて、アーチファクトやかすみの低減されたSWIFT画像を生成するのに使用されうる。
<第4部>
以下の箇所では、帯域幅により制限される収集に対する3次元放射パラレルイメージングについて記述する。
【0067】
SWIFTでは、有効視野FOVが、画像化される対象よりも大きい。また、SWIFTでは、グラジェントが常に存在し、グラジェントは、投影から投影にかけて滑らかに変化している。通常は、有効視野FOVが大きく、これによりスリューレートを考慮する必要がないため、最大グラジェント強度は利用されない。このことは、高分解能イメージングではSWIFTパルスを延長させるべきであることを意味する。SWIFTパルスの延長は、収集時間を増大させることとなるとともに、長くなった読み出し期間のT及びTのSNRロスにより、感度が低くなってしまう。短いスキャン時間と高感度を維持しつつ、より高い空間分解能を実現するために、パラレルイメージングを使用することができる。
【0068】
放射シークエンスでは、CG‐SENSE(Sensitivity Encoding)あるいはGRAPPA(Generalized Autocalibrating Partially Parallel Acquisitions)のいずれかを用いてのマルチチャネル再構成を、欠落している投影に対してk空間を効果的にフィルするのに使用することができる。これにより、画像の点拡がり関数(PSF)における放射縞状のものを低減させることができる。あるいは、反対に、ナイキストサンプリング半径を大きくすることができる。しかし、これは、分解能を著しく増大させるものではない。CG‐SENSEを用いて施された放射再構成は、GRAPPAを用いて施されたそれよりも計算上の規模が大きい。
【0069】
空間分解能を増大させるために、対象の広帯域での励起を維持しつつ、有効視野FOVを選択してエイリアスを生じさせることもできる。投影のそれぞれを、GRAPPAの補間カーネルによりエイリアスが生じていないものとすることができる。ギャップのあるパルスにおいては、サイドバンドの存在により、励起帯域は有効視野FOVよりもはるかに大きく、例えば減少係数のうち3を、1番目のRFサイドバンドの励起に使用することができる。
<方法>
水と脂肪とからなる乳房ファントムは、埋め込まれた球体のガラス製薬瓶で、4つの送信2チャネル受信胸部コイルで画像化することができる。SWIFTシークエンスを抑圧する脂肪は、16ビューにつき1回のケミカルシフト選択(CHESS)の脂肪抑圧パルス及びスポイラーパルスで、一投影ごとに256のギャップを使用することができ、トータルでは24576の投影となる。25センチメートル及び12.5センチメートルの有効視野FOVでの2つの収集は、それぞれ他の同等のパラメータで取得される。方位角に独立な1×4GRAPPA補間カーネルは、25センチメートルについての収集から調整がなされ、その後、12.5センチメートルの有効視野FOVでの収集に適用される。GRAPPAカーネルを用いての補間の後、各チャネルは、グリッドで構成され、二乗和平方根(RSOS)結合が行われる。
<結果と議論>
図11A、図11B、図11C及び図11Dは、0.5×0.5×0.5立方ミリメートルの分解能での3次元SWIFT画像の選択されたスライスを説明する図であり、このうち、図11Aは、2倍ゼロフィリングでフルFOVを表し、図11Bは、図11Aで表されるボックス領域の拡大表示を表し、図11Cは、128点でエイリアスを生じさせたFIDのR=2での再構成を表し、図11Dは、再構成後に2倍ゼロフィリングを行った、64点でエイリアスを生じさせたFIDのR=2での再構成を表す。
【0070】
図11Aにおいては、フルFOVでのSWIFT画像(加速なしで、画像の重なり1回(2-fold)ゼロフィリング、二乗和平方根再構成)を示し、図11Bには拡大領域を表示している。図11Cは、同等の収集ではあるが、2分の1のFOVで収集してGRAPPAで(R=2で)再構成して得られた、更に高分解能の画像を示す。効果的な体積要素はフルFOV画像におけるそれの8分の1のサイズであり、ノイズレベルがより高いことがわかる。図11Dには、フルFOVでの収集と同程度に再構成されたFIDを切り取ったものを示す。加速なしで収集したものと同等のノイズレベルや分解能がわかる。効果的な収集時間は、フルの収集に対して50パーセント未満であり、これにより、示されている関心領域ROIに対し、許容できる性能が得られるであろう。
<結論>
読み出しパラレルイメージングの再構成は、SWIFTシークエンスでの3次元放射イメージングに適用が可能である。これまでは、有効視野FOVは対象より大きいことが必要であったため、SWIFTシークエンスにとっては、これによる恩恵は大きい。この方法は、加速因子は2で、2チャネル再構成に対して立証される。
【0071】
補間演算子は、GRAPPAカーネルとしうる。演算子は、k空間の各点(θ,ψ)に対して固有のカーネルで調整されるか、近隣の(θ,ψ)(例えば、N=2、10または30の投影を用いる)に対するカーネルで調整されるか、あるいは、(θ,ψ)に独立した単一のカーネルで調整される。一実施例では、補間は、サンプリングされた4点を用いて軸k(r)に沿って行われる。
【0072】
GRAPPAカーネル調整(またはトレーニング)は、以下の形をとりうる。
(合成されたスキップされたデータ)=GRAPPA(合成されたアンダーサンプリングデータ)
合成されたアンダーサンプリングデータを使用することで、GRAPPA関数について関係を解くことができる。算出されたGRAPPA関数を用いて、欠落しているデータを算出あるいは決定するのに以下の関係を使用することができる。
【0073】
(欠落しているデータ)=GRAPPA(測定されたアンダーサンプリングデータ)
対象が有効視野FOVを満たすときは、カーネルに依存する角度は適切である点に留意すべきである。
【0074】
SWIFTは、(パルス波形との相関で前処理を行った後の)時間領域k空間データにおいて、ギャップを有すると言うことができる。図12においては、ここでは放射方向のビュー(radial view)として示されている投影と関連する線分と線分との間に、ギャップが現れる。
【0075】
より大きな視野を有する調整データセット(またはトレーニングデータセット)や他の同様のパラメータを、フル分解能データセットから欠落しているデータを取得するのに使用することができる。
【0076】
調整データセットから、フル分解能データセットの再構成を可能とする、非デカルトGRAPPAカーネルやデカルトGRAPPAカーネルを算出することができる。図13においては、GRAPPAカーネルは、2つの放射方向の調整ビューにより表される放射調整データセットを用いて生成されている。そして、GRAPPAカーネルは、放射方向のビュー(radial view)で欠落しているデータを補間するのに使用される。
【0077】
SWIFTデータセット(固定の有効視野FOV及びサンプリング帯域に対するデータセット)中の欠落しているデータは、情報が欠落している円弧部分と関連を有する。放射方向のビューの数を増加させても、欠落しているデータを手当てしたことにはならない。図14は、欠落データと関連する1組の弧を有するSWIFTデータセットを説明する図である。
【0078】
パルスギャップサイクルは、他の投影に対しある投影において欠落しているデータの位置を変えるのに使用することができる。パルスギャップの循環は、欠落しているデータを提供し、画像分解能を改善することができる。
【0079】
一実施例においては、GRAPPAカーネルは、k空間の中心近傍で、別個のトレーニングデータセットを必要とせずに、推定することができる。図15は、k空間の中心近傍のギャップサイクルで、GRAPPAカーネルの算出に使用されるSWIFTデータセットを説明する図である。
【0080】
時間領域におけるオーバーサンプリングにより、受信したデータストリームのうち、受信機のゲートが開である部分には、多数のデータ点が生成されている。このことは、最終画像に対する有効視野を広げる可能性を秘めている。実際上は、これによって、折り返しのある投影情報を、最終画像から除外することが可能となる。
【0081】
ビューの数が大きい場合やオーバーサンプリングの場合であっても、球対称のk空間データにおける放射方向のギャップは、折り返しアーチファクトに対して可能性を生じさせる。放射方向のギャップは、送信パルスのサイドバンドによって励起される再構成信号に使用されうる欠落データに対応している。図16に示すように、オーバーサンプリングを、投影のためのデータを生成するのに使用することができる。オーバーサンプリングによって、より細かなk空間データが生成され、より広い有効視野FOVを符号化するのに使用可能となる。受信機のギャップ位置により、欠落データの球対称の殻が生成され、これが、最終画像における折り返し投影信号やアーチファクトへとつながる。
【0082】
ギャップサイクルは、オーバーサンプリングと組み合わせることで、k空間の中心領域を均等にカバーし、適切な位置で低い空間周波数情報を符号化することが可能となる。その実質的な効果は、折り返しのアーチファクトを低減させ、あるいは最終画像において正しい位置にサイドバンド励起信号を符号化させることにある。
【0083】
GRAPPAカーネルにより、k空間位置の外側にあるデータを計算したり、フィルするのに使用したりすることも可能となる。図17に示すように、オーバーサンプリングされたデータと組み合わせることで、ギャップサイクルをk空間の中心領域をフィルするのに使用可能となる。
<注釈及び実施例>
一実施例では、サイドバンドの末尾の重複を補正することができる。受信前の元の時間領域データr(t)には帯域制限がないため、SWIFTでの受信処理により、サイドバンドの末尾部分がベースバンドに重複することとなる。自動位相により、未処理のベースバンドに対して部分的に補償がなされる。
【0084】
本主題に係るある実施例は、少なくとも一の時間的切れ目かギャップを有するパルス列を用いて実現できる。本主題に係るある実施例では、ゲート受信機を用いて実現できる。
磁気共鳴イメージングや磁気共鳴分光に加えて、本主題は、電子常磁性共鳴(EPR)や電子スピン共鳴(ESR)にも使用することが可能である。
【0085】
本主題に係るある実施例は、システム応答のサイドバンドから入手できる信号の中身を利用することを対象としている。サイドバンド信号の中身は、画質を向上させるために処理することが可能である。一実施例では、サイドバンドを用いて有効視野FOVを大きくして画質を向上させるために、サイドバンド信号の中身を利用することができる。これは、帯域を広げて画像のアーチファクトを補正するのに使用できる。
【0086】
本主題に係るいくつかの実施例では、+1サイドバンドや−1サイドバンド(±1サイドバンドとする)の処理を含むように記述されるが、サイドバンドの数は、いくつであっても使用することができる。サイドバンドは、ベースバンドに隣接する連続する位置に存在している。
【0087】
一実施例においては、サイドバンド処理により、時間領域におけるデータのオーバーサンプリングが起こる。オーバーサンプリングされたデータは、擬似逆行列を用いて処理することができる。更には、オーバーサンプリングには、グリッドの前、グリッドの後あるいはグリッドの前後の両方の組み合わせを含んでいる。
【0088】
一実施例においては、サイドバンド処理により、ギャップサイクルが起こる。データ中の一連のギャップを変調することにより、画質を向上させるためにデータが補間されるよう、ギャップがシフトされる。
【0089】
一実施例においては、サイドバンド処理により、オーバーサンプリングとギャップサイクルの組み合わせが起こる。
一実施例においては、サイドバンド処理により、補間演算子(あるいは畳み込み演算子)が生成される。補間演算子は、時にはカーネルと称されることもあり、欠落データをフィルするのに使用することができる。例えば、欠落データをフィルするのに使用できるGRAPPA型カーネル(時には折り返しなしの場合に対して使用される)を決定するのにトレーニングデータを使用することができる。トレーニングデータ(あるいは調整データ)は、様々な方法を用いて選択できる。GRAPPAカーネルに加えて、他の型の補間演算子を用いることも可能である。例えば、推定や、事前のデータ、あるいは他の因子に基づきカーネルを決定することが可能である。更には、カーネルは、特定のデータセット、特定の投影あるいは時間や空間の周期ごとに対して固有である。
【0090】
一実施例による方法には、低分解能画像データを収集する処理が含まれる。低分解能データからは、GRAPPAカーネルを決定するためのトレーニングデータあるいは調整データが得られる。方法には、ギャップのある高分解能画像データを収集する処理をも含む。トレーニングデータから算出されるGRAPPAカーネルは、高分解能データにとって欠落しているデータを生成するのに使用することができる。
【0091】
各種の実施例においては、補間演算子は、ギャップサイクルやオーバーサンプリングを組み合わせることができる。
RFの一部は、励起パルスの時間後のデューティサイクルと関連するパラメータを参照する。標識に続く値は、収集インターバルに対する相対的な部分時間量を示す。例えば、RFの一部が0.5であれば、受信機ゲートは、受信機ゲートの周期に続く時間の半分の期間に亘り、連続して維持されることとなる。
【0092】
適切な重み付け(例えば、乗算)をデータに適用して(補間カーネルをトレーニングデータまたは調整データにより決定して)もよいし、あるいは、RFの一部に(基づきカーネルを正確に重み付けし、)データについては重み付けしないこととしてもよい。
【0093】
図12〜図17に示す表示においては、内側の円は、0.5に相当し、外側の円は、1.0に相当する。
ここで述べたSWIFTイメージング技術は、励起に対するギャップのあるパルスを生じさせる。ギャップのあるパルスにより、サイドバンドが生じる。SWIFTに加えて、他のイメージング技術でも、ギャップのあるパルスを使用することができる。本主題に係る使用に適したパルス列の他の実施例としては、delay alternating with nutation for tailored excitationに基づく頭字語である、DANTEが含まれる。
【0094】
本主題に係る実施例は、イメージングにおいて特定の結果を得るために適用することが可能である。例えば、利用価値の高い帯域については増大させ、これにより、短いT時間で対象のイメージングを行うことが可能となる。加えて、本主題は、より電力効率が高く、したがって、削減した電力レベルを用いてイメージングを行うことが可能となる。更には、本主題により、より高速にイメージングを行うことが可能となる。
【0095】
実施例1としては、データ受信機及びプロセッサを有するシステム等の本主題を含んでもよいし、使用することとしてもよい。データ受信機は、磁気共鳴データを受信するように構成される。磁気共鳴データは、変調RFパルスからのベースバンド及びサイドバンドによる励起から生じる。プロセッサは、データ受信機に接続される。プロセッサは、磁気共鳴データに基づき対象の画像を生成するアルゴリズムを実行するように構成される。画像は、ベースバンド励起データと、サイドバンド励起データとに対応する。
【0096】
実施例2は、磁気共鳴データがオーバーサンプリングされたデータを含む場合やアルゴリズムが行列計算を実行するよう構成される場合を随意に含ませるために、本主題に係る実施例1を含んでもよいし、本主題に係る実施例1と随意に組み合わされることとしてもよい。
【0097】
実施例3は、行列計算が擬似逆行列での乗算を含む場合を随意に含ませるために、本主題に係る実施例1または実施例2のいずれか、あるいは実施例1及び実施例2の組み合わせを含んでもよいし、本主題に係る実施例1または実施例2のいずれか、あるいは実施例1及び実施例2の組み合わせと随意に組み合わされることとしてもよい。
【0098】
実施例4は、アルゴリズムが磁気共鳴データに基づく補間演算子を決定するよう構成される場合を随意に含ませるために、本主題に係る実施例1乃至実施例3のいずれかひとつ、あるいは実施例1乃至実施例3の組み合わせを含んでもよいし、本主題に係る実施例1乃至実施例3のうちのいずれか、あるいは実施例1乃至実施例3の組み合わせと随意に組み合わされることとしてもよい。
【0099】
実施例5は、アルゴリズムが補間演算子に基づき画像を生成するよう構成される場合を随意に含ませるために、本主題に係る実施例4を含んでもよいし、本主題に係る実施例4と随意に組み合わされることとしてもよい。
【0100】
実施例6は、データ受信機がパルスギャップの周期データを受信するように構成される場合や、アルゴリズムがパルスギャップの周期データに基づき画像を生成するよう構成される場合を随意に含ませるために、本主題に係る実施例1乃至実施例5のいずれかひとつ、あるいは実施例1乃至実施例5の組み合わせを含んでもよいし、本主題に係る実施例1乃至実施例5のうちのいずれか、あるいは実施例1乃至実施例5の組み合わせと随意に組み合わされることとしてもよい。
【0101】
実施例7としては、方法等の本主題を含んでもよいし、使用することとしてもよい。方法は、スキャナにおいてスピン系にパルス列を適用することを含むことができる。パルス列は、時間領域において複数の切れ目を有しうる。方法は、スピン系からの応答を受信することを含む。応答には、ベースバンドの中身とサイドバンドの中身とを含む。方法は、ベースバンドの中身とサイドバンドの中身とに基づき、補正因子を生成することを含む。方法は、補正因子に基づき、応答に対する補正を計算することを含む。方法は、補正に基づき、画像を生成することを含む。
【0102】
実施例8は、補正因子を生成することのうちに、応答に対応するオーバーサンプリングされたデータを処理することを含む場合を随意に含ませるために、本主題に係る実施例7を含んでもよいし、本主題に係る実施例7と随意に組み合わされることとしてもよい。
【0103】
実施例9は、補正因子を生成することのうちに、応答に対応する補間演算子を算出することを含む場合を随意に含ませるために、本主題に係る実施例7または実施例8のいずれか、あるいは実施例7及び実施例8の組み合わせを含んでもよいし、本主題に係る実施例7または実施例8のいずれか、あるいは実施例7及び実施例8の組み合わせと随意に組み合わされることとしてもよい。
【0104】
実施例10は、補正因子を生成することのうちに、第1の応答が第2の応答に対して相対的に時間シフトされた場合に、第1の応答を処理し、第2の応答を処理することを随意に含ませるために、本主題に係る実施例7乃至実施例9のいずれかひとつ、あるいは実施例7乃至実施例9の組み合わせを含んでもよいし、本主題に係る実施例7乃至実施例9のうちのいずれか、あるいは実施例7乃至実施例9の組み合わせと随意に組み合わされることとしてもよい。
【0105】
実施例11は、補正因子を生成することのうちに、補間演算子を生成することを随意に含ませるために、本主題に係る実施例7乃至実施例10のいずれかひとつ、あるいは実施例7乃至実施例10の組み合わせを含んでもよいし、本主題に係る実施例7乃至実施例10のうちのいずれか、あるいは実施例7乃至実施例10の組み合わせと随意に組み合わされることとしてもよい。
【0106】
実施例12は、補間演算子を生成することのうちに、GRAPPAカーネルを生成することを随意に含ませるために、本主題に係る実施例7乃至実施例11のいずれかひとつ、あるいは実施例7乃至実施例11の組み合わせを含んでもよいし、本主題に係る実施例7乃至実施例11のうちのいずれか、あるいは実施例7乃至実施例11の組み合わせと随意に組み合わされることとしてもよい。
【0107】
これらの制限されない実施例のそれぞれは、独立して成立しうるが、各種の置換を行って実施例を組み合わせてもよいし、1以上の他の実施例と組み合わせてもよい。
上記の発明の詳細な説明には、添付の図面の参照が含まれており、図面についても、発明の詳細な説明の一部を形成している。図面は、説明のため、発明を実施しうる特定の実施形態を示している。そうすると、これらの実施形態についても、「実施例」として言及しているのである。このような実施例については、図示や記述に加えて要素を含みうる。しかし、発明者は、これら図示され、あるいは記述されている要素のみを備えている実施例についても熟考している。更には、発明者は、ここで図示あるいは記述されている特定の実施例(ないしはその1以上の態様)に関して、あるいは他の実施例(ないしはその1以上の態様)に関して、図示され、あるいは記述されている要素(あるいはその1以上の態様)のあらゆる組み合わせや置換を用いた実施例についても熟考しているのである。
【0108】
万一、本書面と参照することにより組み込まれている他の書面との間で矛盾する使用法がある場合は、本書面における使用法により統制される。
本書面においては、「ある(「a」や「an」)」の語が使用されているが、これは、特許の書面においてはよく見られることであり、他の事例や、「少なくとも1つの(at least one)」または「1以上の(one or more)」の使用にはよらずに、1あるいは複数を含むものである。本書面においては、「あるいは(or)」の語が包括的であることの意で使用され、「AあるいはB」とは、特に示されていない限り、「AであるがBでない」、「BであるがAでない」、「A及びBである」ことを含む。本書面においては、「含む(including)」や「において(in which)」の語は、「備える(comprising)」や「そこで(wherein)」といった平易な言葉と同等のものとして使用されている。また、請求項においては、「含む(including)」や「備える(comprising)」の語は、制約がないことを意味する。すなわち、請求項中で後に挙げられている要素に加えて、システム、装置、項目(article)、構成(composition)、語句(formulation)あるいはプロセスが、要素を含んでいても、依然特許請求の範囲に含まれるとみなされることを意味する。更には、請求項においては、「第1」「第2」「第3」等の語が、単に名前を付すために使用されており、これは、その対象に数的な要求を課すことを意図するものではない。
【0109】
説明してきた方法の実施例については、少なくとも、部分的に機械であるか、コンピュータを実装していることとしてもよい。実施例の中には、上記の実施例において記述した方法を実現するため電子装置が動作可能に構成されるよう、指示が記録されているコンピュータ可読媒体や機械可読媒体を含むものがあってもよい。このような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コード等のコードを含んでもよい。このようなコードについては、各種方法を実行するためのコンピュータが読み取り可能な指示を含んでいてもよい。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成するかもしれない。更には、ある実施例においては、実行時あるいはその他のとき等に、コードを、1以上の揮発性、固定あるいは不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に目に見える方法で格納することが可能である。これら有形のコンピュータ可読媒体の実施例には、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光学ディスク(例えば、コンパクトディスクやデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードやメモリスティック、RAM(random access memories)、ROM(read only memories)等を含むこととしてよいが、これらに限定されるものではない。
【0110】
上記の記述は、説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。例えば、上述の実施例(あるいはその1以上の態様)については、互いに組み合わせて使用してもよい。当業者が上記の記述を吟味することで、他の実施形態を使用することもできる。要約書は、読者が技術的開示の本質を速やかに確認できるように提示している。要約書は、理解のために提出されているのであって、特許請求の範囲の解釈や限定に使用すべきでない。また、上記の発明の詳細な説明は、各種の特徴が、開示を簡素化すべくまとめられている。これによって、請求項に記載されていない特徴が、特許請求の範囲の要点であることを意図するものである、と解釈されるべきでない。むしろ、独創的な主題については、特定の開示されている実施形態の特徴の全てにあるというわけではない。このように、特許請求の範囲は、発明の詳細な説明に実施例や実施形態として組み込まれている。各請求項は、実施形態とは独立して成立し、そのような実施形態が他の各種組み合わせや置換と組み合わせられうることについては、熟考されている。発明の技術的範囲は、請求項に与えられると同等の全領域に沿って、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調RFパルスからのベースバンド及びサイドバンドによる励起から生じる磁気共鳴データを受信するよう構成されるデータ受信機と、
前記データ受信機と接続され、前記磁気共鳴データに基づいて、ベースバンド励起データ及びサイドバンド励起データに対応する対象の画像を生成するアルゴリズムを実行するよう構成されるプロセッサと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記磁気共鳴データは、オーバーサンプリングされたデータを含み、前記アルゴリズムは、行列計算を実行するよう構成される、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記行列計算は、逆擬似行列での乗算を含む、
請求項3記載のシステム。
【請求項4】
前記アルゴリズムは、前記磁気共鳴データに基づく補間演算子を決定するよう構成される、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記アルゴリズムは、前記補間演算子に基づき、前記画像を生成するよう構成される、
請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記データ受信機は、パルスギャップサイクルデータを受信するよう構成され、前記アルゴリズムは、前記パルスギャップサイクルデータに基づき、前記画像を生成するよう構成される、
請求項1記載のシステム。
【請求項7】
スキャナにおいて、時間領域における複数の切れ目を有するパルス列をスピン系に適用し、
前記スピン系からのベースバンドの中身及びサイドバンドの中身を含む応答を受信し、
前記ベースバンドの中身及び前記サイドバンドの中身に基づき、補正因子を生成し、
前記補正因子に基づき、前記応答に対する補正を算出し、
前記補正に基づき、画像を生成する、
処理を備える方法。
【請求項8】
前記補正因子を生成する処理は、前記応答に対応するオーバーサンプリングされたデータを処理することを含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記補正因子を生成する処理は、前記応答に対応する補間演算子を算出することを含む、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記補正因子を生成する処理は、第1の応答が第2の応答に相対的に時間シフトされた場合に、該第1の応答を処理し、該第2の応答を処理することを含む、
請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記補正因子を生成する処理は、補間演算子を生成することを含む、
請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記補間演算子を生成する処理は、GRAPPAカーネルを生成することを含む、
請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−603(P2013−603A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−138603(P2012−138603)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(305023366)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ (39)
【Fターム(参考)】