説明

磁気共鳴イメージングシステム及び方法

【課題】データ収集シーケンスにおけるパラメータの自由度に対して時間的な制限を加えることなく分離画像を生成することができる磁気共鳴イメージングシステム及び方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムは、シーケンス実行部と、画像生成部とを備える。シーケンス実行部は、共鳴周波数が異なる複数の核種の磁化ベクトルを横磁化として励起する第1のプリパルスを印加し、前記複数の核種のうち対象の核種と他の核種との間で所定の位相差が生じる位相発生時間が経過した後に、前記対象の核種の磁化ベクトルを縦磁化に戻す第2のプリパルスを印加するプレップ印加部分を用いて、当該プレップ印加部分によるプリパルスの印加後に所定のデータ収集シーケンスを実行する。画像生成部は、前記データ収集シーケンスにより収集されたデータに基づいて、前記対象の核種の分離画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)システム及び方法に関する。好ましくは、以下に記載するMRIシステム及び方法は、異なるNMR(Nuclear Magnetic resonance)種(例えば、水分子及び脂肪分子)から発せられるNMR信号を分離するための機能の拡張を含む。
【背景技術】
【0002】
従来、MRIシステムにおいて、脂肪又は水を選択的に抑制した画像を得るための技術として、Dixon法が知られている。Dixon法は、水と脂肪との間でプロトンの共鳴周波数がわずかにずれることを利用して、プロトンから発せられるMR信号をもとに水画像と脂肪画像とを別々に画像化する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】W.Dixon、”Simple Proton Spectroscopic Imaging”、Radiology、Vol.153、No.1、Pages 189−194
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、データ収集シーケンスにおけるパラメータの自由度に対して時間的な制限を加えることなく分離画像を生成することができる磁気共鳴イメージングシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムは、シーケンス実行部と、画像生成部とを備える。シーケンス実行部は、共鳴周波数が異なる複数の核種の磁化ベクトルを横磁化として励起する第1のプリパルスを印加し、前記複数の核種のうち対象の核種と他の核種との間で所定の位相差が生じる位相発生時間が経過した後に、前記対象の核種の磁化ベクトルを縦磁化に戻す第2のプリパルスを印加するプレップ印加部分を用いて、当該プレップ印加部分によるプリパルスの印加後に所定のデータ収集シーケンスを実行する。画像生成部は、前記データ収集シーケンスにより収集されたデータに基づいて、前記対象の核種の分離画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、NMR種(例えば、水と脂肪)を分離するための強化された準備的なパルスシーケンス(すなわち、従来のMRIデータ収集シーケンスに先立って行われるパルスシーケンス)を用いるMRIシステムの実施形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、従来のFSE(Fast Spin Echo)法によるMRIパルスシーケンスが続く水/脂肪対向位相(Water/Fat Opposed Phase:WFOP)プレップの概略を示すシーケンス図である。
【図3】図3は、3つの比較用の脳組織のMR(Magnetic Resonance)画像を示す図である。
【図4】図4は、3つの比較用のMR画像における脂肪、白質及び灰白質を比較するための正規化された棒グラフを示す図である。
【図5】図5は、複数の収集によって得られたデータの合成(本例では、平方和(Sum of Squares:SSQ)を用いた合成)が続くことで、オフレゾナンスのNMR信号の全てのスペクトルにわたって最大信号となる最終合成画像を生成する位相サイクル準備シーケンス方式を用いた実施形態におけるNMR信号強度を示す図である。
【図6】図6は、データの合成のために4つの入力画像を提供する他の位相サイクル方式における4つのNMR信号収集を示す図である。
【図7】図7は、信号極性の交差点付近における不正確な脂肪/水割り当てを示す3つの比較用のMR画像を示す図である。
【図8】図8は、複数の位相オフセットを用いた脂肪/水画像処理におけるMR画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すMRIシステムは、架台10(概略断面で示す)と、互いに接続され機能する様々な関連するシステム構成要素20とを含む。少なくとも架台10は、通常、シールドルームに配置される。図1に示すMRIシステムの構造は、静磁場B磁石12、G、G及びG傾斜磁場コイルセット14、及び、無線周波数(Radio Frequency:RF)コイルアセンブリ16の実質的に同軸円筒状な配置を含む。この円筒状に配置されたエレメントの水平軸線に沿って、被検体テーブル11によって支持された被検体9の頭部を実質的に取り囲むように示されたイメージングボリューム18がある。
【0008】
MRIシステム制御部22は、表示部24、キーボード/マウス26、及びプリンタ28に接続される入力/出力ポートを備える。自明なように、表示部24は、制御入力もまた備えるような多様性のあるタッチスクリーンであってもよい。
【0009】
MRIシステム制御部22は、MRIシーケンス制御部30と連動する。MRIシーケンス制御部30は、G、G及びG傾斜磁場コイルドライバ32、並びにRF送信部34、及び送信/受信スイッチ36(同じRFコイルが、送信及び受信の両方に使用されている場合)を制御する。また、MRIシーケンス制御部30は、特定のシーケンスパラメータを定めるオペレータやシステムからの入力を使用して、予め利用可能になっているMRIシーケンス制御部30の様々なレパートリーのMRIデータ収集シーケンスを実行するための適切なプログラムコード構造38にアクセスする。
【0010】
MRIシステムは、表示部24へ送る処理済み画像データを作成するための情報をMRIデータ処理部42に提供するRF受信部40を含む。また、MRIデータ処理部42(μp、I/O、記憶装置)は、(例えば、実施形態及び画像再生プログラムコード構造44に従ったプロセスから得られるMR画像データを格納するために)画像再生プログラムコード構造44及びMR画像記憶部46にアクセスできるように構成されている。
【0011】
また、図1には、MRIシステムの様々なデータ処理コンポーネントにアクセスできるコンピューター読み取り可能な記録媒体にストアドプログラムコード構造(例えば、バイノミアルRF化学シフトの選択的前処理パルスを使用した水/脂肪対向位相シーケンスなどの強化された前処理シーケンスを生成するためのストアドプログラムコード構造)を記録したMRIシステムプログラム/データ格納部50を一般化した図も示している。なお、当業者には自明であるが、(プログラム格納部50を普通に格納したり、MRIシステム制御部22に直結したりするのではなく、)プログラム格納部50を分割し、少なくとも一部を、システム構成要素20の処理コンピューターのうち、通常の動作で、このようなストアドプログラムコード構造を最も早く必要とする処理コンピューターに直結してもよい。
【0012】
実際には、図1は、当業者には自明であるが、本明細書で後述する実施形態を実行できるように若干の変更を加えた一般的なMRIシステムを非常に高度に簡素化した図である。システムの構成要素は、様々な論理的な「ボックス」の集まりに分割され、通常、多数のデジタル信号処理装置(Digital Signal Processor:DSP)、マイクロプロセッサ、特殊用途向け処理回路(例えば、高速A/D(Analog/Digital:アナログ/デジタル)変換用の処理回路、高速フーリエ変換用の処理回路、アレイ処理用の処理回路など)を含む。これらの処理装置それぞれは、一般的に、クロックの周期(又は、所定のクロック数の周期)ごとに物理データ処理回路がある物理的状態から他の物理的状態へ進むクロック動作型の「ステートマシン」である。
【0013】
処理回路(例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、レジスタ、バッファ、計算ユニット、など)の物理的状態が、動作中にあるクロック周期から別のクロック周期へ次第に変化するだけでなく、連結されているデータ記録媒体(例えば、磁気記憶媒体のビット格納部)の物理的状態も、そのようなシステムの動作中に、ある状態から別の状態へ変化する。例えば、MR画像の再構成処理の終了時、物理的な記録媒体におけるコンピューター読み取り可能かつアクセス可能なデータ値の格納場所(例えば、ピクセル値の複数桁2進数表現)のアレイは、いくつかの事前の状態(例えば、全部一律の「ゼロ」値、又は全部「1」値)から新しい状態に変わる。その新しい状態では、そのようなアレイ(例えば、ピクセル値)の物理的場所の物理的状態は、最小値と最大値との間で変動し、実世界の物理的事象及び状況(例えば、撮像体積空間内の被検体の組織)を表現する。当業者には自明であるが、格納されたデータ値のそのようなアレイは、物理的構造を表しかつ構成する。つまり、このようなアレイは、命令レジスタの中に順次読み込まれてMRIシステムの1つ以上のCPUによって実行されたときに動作状態の特定シーケンスを発生させてMRIシステム内で移行させるコンピューター制御プログラムコードの特定構造を構成する。
【0014】
以下で説明する実施形態は、MRIデータの収集及び処理の一方又は両方と、MR画像の生成及び表示との一方又は両方を行うための改良された方法を提供する。
【0015】
標準的なDixon法の技術は、20年以上の間、脂肪抑制のために使われてきた。Dixonのスピンエコー(Spin Echo:SE)法では、TE(Echo Time:エコー時間)において、脂肪と水との間で所望の相対位相、望ましくはπラジアンの位相ずれが生じるように、RFリフォーカスパルスの時間がシフトされる。また、DixonのSE法は、高速スピンエコー(Fast Spin Echo:FSE)法に拡大適用できる。FSE法では、Dixonの効果は、最初のRFリフォーカスパルスの位置、又は、エコー信号におけるリードエコー(read echo)時間(k=0)の位置での所望の位相ずれに対応する時間のシフトによって奏される。なお、RFリフォーカスパルスをシフトする方法には、各ビューでRFエコーのkの位置が交互に入れ替わるため、典型的なN/2ゴーストを生じさせるという主な欠点がある。また、エコー間隔内でリードエコーの位置をシフトする他の方法として、エコー間の間隔を全サイクル時間(1.5T(tesla:テスラ)では4.6ms、3Tでは2.3ms)まで拡げる方法や、エコーを非対称に収集する方法がある。
【0016】
また、Dixon−SE法とDixon−FSE法では、RFエコーとリードエコー(k=0)とが同時に得られない。したがって、この遅延時間の間に、バックグラウンド位相が生じる。水と脂肪の分離を可能にするためには、フィールドマップを算出する際に、このバックグラウンド位相を除去する必要がある。しかし、バックグラウンド位相は簡単に算出することができない。また、エコー間隔を拡げた従来のDixon−FSE法における他の欠点として、長いエコー間隔によって、フィールドマップの算出におけるロバスト性が低減することが知られている。
【0017】
水と脂肪を分離するために複数のDixon−FSE画像が収集される場合には、画像ごとに、エコー間隔内の異なるタイミングでリードエコーが収集される。このとき、各エコーは、時間依存性の位相発生源(すなわち、先行の傾斜磁場による渦電流)のために、わずかに異なる位相で収集される。したがって、説明可能なバックグラウンド位相と違い、データセット全体にわたって不均一なこの位相に対処するためには、特別な考慮が必要になる。
【0018】
いわゆる「バイノミアル(binomial)」NMR RF励起パルスは、スペクトル(例えば、水)を選択的に励起するためのパルスとして以前より使用されてきた。例えば、バイノミアルパルスは、1:1、1:2:1、1:3:3:1のようなニューテーション角の比率で複数のRFニューテーション成分(RF nutation components)を有しており、脂肪分子から発生する磁化は静磁場Bに沿った縦磁化として残し、水関連のNMRの磁化のみを選択的に横磁化として励起するために用いられてきた。これにより、バイノミアルパルスは、脂肪が抑制された画像を生成する。
【0019】
以下に示す実施形態では、MRIシステムは、シーケンス実行部と、画像生成部とを備える。シーケンス実行部は、共鳴周波数が異なる複数の核種の磁化ベクトルを横磁化として励起する第1のプリパルスを印加し、前記複数の核種のうち対象の核種と他の核種との間で所定の位相差が生じる位相発生時間が経過した後に、前記対象の核種の磁化ベクトルを縦磁化に戻す第2のプリパルスを印加するプレップ印加部分を用いて、当該プレップ印加部分によるプリパルスの印加後に所定のデータ収集シーケンスを実行する。画像生成部は、前記データ収集シーケンスにより収集されたデータに基づいて、前記対象の核種の分離画像を生成する。なお、シーケンス実行部は、例えば、図1に示したMRIシーケンス制御部30であり、画像生成部は、MRIデータ処理部42である。
【0020】
より具体的には、以下に示す実施形態は、少なくとも2つの独立した段階的なRFフリップ角成分(RF flip angle components)を有するバイノミアルRFパルスを用いた準備的なNMRシーケンス(プレップ印加部分)を提供する。ここで、RFフリップ角成分は、NMR周波数が異なる所定のNMR種の間で位相差Δθを発生させるために、時間τだけ間隔を開けて配置される。そして、このようなバイノミアルRFパルスに続いて、少なくとも1つの傾斜磁場スポイラーパルスが印加された後に、従来の主なMRIデータ収集シーケンスが実行される。この従来のシーケンスの間に収集されたMRIデータは、従来通り、収集されたMRIデータの少なくとも1部が、被検体の組織の画像を生成及び表示するために用いられる。
【0021】
特に好適な実施形態では、RFフリップ角成分は、略90°(π/2ラジアン)のニューテーションフリップ角を有し、略180°(πラジアン)の相対RF位相差を有する。さらに、本実施形態では、異なる種の間で発生する位相差は略πラジアンであり、化学的な位相シフトで分離されるNMR種は、周波数に約3.4ppm(parts per million)のずれがある水と脂肪の種である。
【0022】
より詳細に説明すると、このプレップスキャン/MRIデータ収集方法は、プレップスキャンのパラメータ(例えば、バイノミアルパルス成分の少なくとも1つのために用いられる相対的なRF位相の位相サイクル)を変えて、繰り返し実行することができる。そして、収集された複数セットのMRIデータを合成することで、オフレゾナンスのNMR信号のスペクトル全体にわたって、より均一な信号を提供することができる。また、これにより、(例えば、平方和(Sum of Squares:SSQ)又は最大輝度投影(Maximum Intensity Projection:MIP)又は類似のデータ合成方法を用いることによって、)より均一な最終画像を提供することができる。
【0023】
特別な準備的なNMRシーケンスに続いて実行される従来のMRI収集シーケンスは、例えば、高速スピンエコー(FSE)法、シングルショット高速スピンエコー(Single Shot Fast Spin Echo:SSFSE)法、高速非対称スピンエコー(Fast Asymmetric Spin Echo:FASE)法、可変フリップ角(Variable Flip Angle:VFA)法、定常状態自由歳差運動(Steady−State Free Precession:SSFP)法などによるデータ収集シーケンスや、他の任意の好適なMRIデータ収集シーケンスを含むことができる。
【0024】
本実施形態は、ユニークなプリパルスを用いてDixon画像を描出する。本実施形態は、Dixonの水/脂肪対向位相(Water/Fat Oopposed−Phase:WFOP)脂肪抑制画像を描出できる。より高度な手法では、当該プリパルスは、(LAVA(Liver Acquisition with Volume Acquisition)、IDEAL(Iterative Decomposition of Water and Fat with Echo Asymmetry and Least Squares Estimation)などに類似した)脂肪/水分離画像を生成するために用いることができる。
【0025】
WFOP及び脂肪/水分離画像は、後続する主なMRIデータ収集パルスシーケンスにおけるTE/TR(Repetition Time)やエコー間隔、読出し帯域幅などの自由度に対して時間的な制限を加えることなく収集できる。この理由から、本実施形態は、主に、短いエコー間隔のFSE(FASE又はVFA)法又はSSFP法によるイメージングを含む積極的な読出し方法を用いて脂肪/水分離画像を生成する場合に適用されると思われる。
【0026】
図2に示す典型的なプレップ印加部分(以下、WFOPプレップと呼ぶ)は、2つの90°フリップパルスを有するバイノミアルRFニューテーションパルスを含む。90°RF成分は、非選択、スライス選択、又はスラブ選択とすることができる。RFパルス成分の相対送信位相は、水/脂肪の位相の発生に影響を及ぼす設計パラメータである。最も単純で典型的な方式では、RFフリップ成分の送信位相は、正反対(+x、−x、例えば、+90°、−90°)である。
【0027】
図2に示す典型的なWFOPプレップは、従来のFSE読出しの主要なMRIデータ収集シーケンスと組み合わせて用いられる。なお、パルス間の位相発生時間τは、水/脂肪分離の場合は、3Tで1.15msとするのが望ましい。シーケンス中の脂肪(黒い矢印)及び水(白い矢印)のイソクロマット(isochromat)の発生は、180°(例えば、x=π/2)の相対的なRF成分の位相に対応して表現された、概略90°の時計回り(clockwise:CW)のフリップ角及び概略90°の反時計回り(counterclockwise:CCW)のフリップ角で示される。なお、RFパルスは、スライス選択又はスラブ選択とすることができるが、図2では、非選択パルスとした場合の例を示している。
【0028】
典型的なRF成分は、逆位相(out−of−phase)の時間間隔(水/脂肪分離の場合は、3Tで1.15ms)だけ離される。第1のRFパルスは、縦磁化を横断面に倒す。その後、パルス間の時間τの間に、脂肪と水との間で相対位相角が発生する。そして、自由に調節可能な時間τ(水/脂肪の対向位相分離の場合には、望ましくは、1.15msに等しい時間)が経過した後に、横磁化が逆に縦軸方向に戻される。これにより、脂肪と水の間で発生した位相角が保存される。その後、パルス/エコーをシフトすることなく、従来の任意のMRI読出しシーケンスを用いて、対向する位相の縦磁化が読み出される。FSEの場合は、エコートレインのリフォーカスパルスが、各エコーにおいて、(脂肪/水が対向した)元の相対位相で横磁化を再編成する。
【0029】
典型的なWFOPプレップは、スペクトル選択の励起のために従来用いられていたものと若干類似したバイノミアル(1:1)RF合成パルスを用いる。しかし、新しい典型的なWFOPプレップは、両方(脂肪及び水)のベクトルを縦軸方向に残すように設計される。従来のバイノミアルスペクトル選択励起では、一方の種(一般的には、水)のベクトルが横断面に倒され、もう一方の種(一般的には、脂肪)のベクトルが縦軸方向に残される。このように、WFOPプレップは、バイノミアルスペクトル選択励起パルスとは対照的に、バイノミアルスペクトル選択反転パルスに似ている。つまり、WFOPプレップによって、1つのベクトルが選択的に励起されるのとは対照的に、1つのベクトルが選択的に反転される。
【0030】
WFOPプレップのプリパルスは、単純なDixon画像の生成に用いることができる。最も一般的には、この典型的な実施形態は、τ=πのWFOPプレップを用いて、若干の脂肪消去を行うための単純な脂肪抑制に用いられる。しかしながら、位相発生時間(τ)が異なる複数のWFOPプレップ画像を合成して、脂肪/水分離画像を生成することもできる。
【0031】
また、τは自由に設定できるパラメータであるので、WFOPプレップは、マルチポイントディクソン法による脂肪/水分離の一部として用いることもできる。この場合は、WFOPプレップによって、異なるτで複数の画像セットが得られる。そして、相対位相角は、MRI収集や読出しシーケンスではなくWFOPプレップの中で発生するので、各時間τにおいて、他のシーケンス依存性の位相発生源(例えば、渦電流)及びスティミュレイテッドエコーから同様に影響を受けたデータが収集される。この全てのデータセットにおける均一性によって、結果として得られるマルチポイントDixonデータの分析を単純化することができる。
【0032】
IRB(Institutional Review Board)の認可を受けた3T全身用MRI研究機システムで男性ボランティアの脳をスキャンして、WFOPプレップ有りの場合と無しの場合について、次のパラメータでパーシャルフーリエ3DFSEのアキシャル画像を収集した。TE/TR=80/3000ms、エコー間隔=5.0ms、2ショット、ETL(Echo Train Length)=80、マトリックス=256×256、パーシャルフーリエ係数=5/8、FOV(field of view)=25×25cm、16枚の3mm厚スライス、及び、読出しBW(Bandwidth:帯域幅)=651Hz/ピクセル。また、比較のために、CHESS(Chemical Shift Selective)による脂肪飽和を行った類似画像も収集した。
【0033】
脂肪抑制の効果を測るため、頭皮の下にある脂肪領域の4箇所、白質(White Matter:WM)の4箇所、及び灰白質(Gray Matter:GM)の4箇所にROI(Region of Interest)を設定した。
【0034】
図3において、脂肪飽和無しの画像(図3のA)、WFOPプレップ有りの画像(図3のB)、CHESSによる脂肪飽和有りの画像(図3のC)を示す。図3に示すように、WFOPプレップの画像(図3のB)では、水信号に悪影響を及ぼすことなく、大部分の脂肪信号が除去された。
【0035】
この単純な1つの実行可能性の検討のための画像(図3のB)は、CHESS画像(図3のC)ほど良好ではないが、複数の画像を合成することで改善される。そして、CHESSとは異なり、典型的なWFOPプレップスキャンを用いれば、正確な水のみの画像及び脂肪のみの画像を得ることができる。
【0036】
WFOPプレップは、従来の短いエコー間隔のFSE読出しで、Dixon画像の収集を可能にする。ここで、エコー間隔、読出し帯域幅、及び他のシーケンスパラメータは、時間τとは関係なく選択することができる。この自由性により、FSEベースのDixon法を、シングルショットFSEのような短いエコー間隔のアプリケーションと組み合わせて用いることが可能になる。
【0037】
なお、単一の収集の一部として用いられるとき、WFOPプレップは、図4に示す例でWM信号及びGM信号が20〜25%減少していることからも明らかなように、信号を損失しやすい。図4は、脂肪飽和無しの画像、WFOPプレップ有りの画像、及びCHESS画像における信号の比較を示す図である。データは、脂肪飽和無しの画像における脂肪信号に正規化された。WFOPでは脂肪信号が63%まで減少し、CHESSでは脂肪信号が79%まで減少した。また、WFOPプレップでは、WM信号が25%減少し、GM信号が19%減少した。また、CHESSデータでは、水信号がごくわずかに減少した。信号損失は、ΔBRF磁場不均一性によって90°が不完全になることや、自由な位相発生時間τの間に、バックグラウンドのΔB静磁場不均一性によって位相が発生することで生じうる。これらの理由から、単一の収集では、WFOPプレップは、適切なB及びBの均一性を有する領域でのみ適用可能であるといえる。なお、バックグラウンド位相の発生による信号損失は、正弦波である。この信号損失は、以下で説明するように軽減できる。
【0038】
WFOPプレップにおけるRF成分の相対送信RF位相は、WFOPプレップデータを「位相サイクル」させるために交互に入れ替えられる。この位相サイクルは、概念及び設計の面で、SSFP(すなわち、CISS(Constructive Interference Steady−state))と同様である。
【0039】
例えば、最初のWFOPプレップ収集では、90+x−(π時間の遅延)−90−xを用いることができる。この場合には、図5のAに示すように、π/2のオフレゾナンス(3Tでの110Hzに相当)で脂肪及び水からの信号が消滅する。しかし、次のWFOPプレップでは、90+x−(π時間の遅延)−90+yを用いる。この2番目の収集では、図5のBに示すように、オンレゾナンススピン(脂肪及び水)が同様に消滅するが、π/2のオフレゾナンススピンは最大信号になる。
【0040】
これらのデータセットそれぞれから得られた画像を(MIP、SSQ、などを用いて)合成することで、図5のCに示すように、オフレゾナンスのスペクトル全体にわたって、信号がより均一な最終画像を生成することができる。図5のCにおいて、破線は、図5のAの二乗データを表し、点線は、図5のBの二乗データを表し、実線は、破線と点線とを合成したデータを表す。このようにして、最終画像は、CISS画像と酷似した画像になる。この最終画像は、2つのSSFP画像が合成されて、より均一な画像(すなわち、オフレゾナンス核のスペクトル全体にわたって最大信号強度の画像)になる。
【0041】
図6は、ゼロ交点で信号損失が生じる正弦波信号変調の他の例を示している。すでに説明したように、RFパルスの相対送信位相を調整することで、信号損失が補償される。例えば、送信位相を90+x−90−xとした方式(図6のA及びC)で谷が形成されるところで、送信位相を90+x−90+yとした方式(図6のB及びD)ではピークが形成される。このように、RF送信位相をπ/2だけシフトすることは、正弦波応答をπ/2だけシフトすることと同等である。
【0042】
単純なDixon対向位相画像の収集では、(例えば、図6のAに示した方式を用いて、)ただ1つの画像が収集されなければならない。しかし、上記の信号変調によれば、(例えば、図6のBに示した方式を用いて、)さらに位相サイクルされた画像が得られ、その結果として生じるデータを(例えば、SSQ、MIPなどを用いて)組み合わせることで、実質的に信号損失が無いDixon対向位相画像を生成することができる。
【0043】
脂肪/水分離を行うためには、異なる位相πの時間間隔で複数の画像を得ることが必要である。どのようなDixonベースの方法でも、WFOPプレップを含め、少なくとも2つの個別の画像が必要である。例えば、これらの2つの画像は、図6のA及びCに対応するτ=π及びτ=2πで得られる。しかし、正弦波信号変調のために、さらなる画像を収集することが推奨される。最も重要なのは、(図6のBに対応する)送信位相がτ=πの周期で変わる画像を収集する必要がある。さらにロバスト性を高めるためには、(図6のDに対応する)送信位相がτ=2πの周期で変わる画像も収集するとよい。
【0044】
図6のAに示すように、90+x−90−x方式で、オフレゾナンスのπスペクトルをわたって発生時間をτ=π(1.15ms)とすると、水(実線)及び脂肪(点線)の信号は、π/2のオフレゾナンスで信号が消滅する。また、図6のBに示すように、送信位相の方式を(90+x−90+y)とし、τ=πとすると、脂肪及び水の信号がシフトされて、π/2オフレゾナンスで脂肪及び水の信号が(対向位相のままで)最大信号になる。また、図6のCに示すように、送信位相の方式を(90+x−90−x)とし、τ=2πとすると、脂肪と水は整列するが、オフレゾナンスに起因してサイクルを続ける。また、図6のDに示すように、送信位相の方式を(90+x−90+y)とし、τ=2πとすると、脂肪と水は再び整列する。
【0045】
水と脂肪の成分を解明するために、線形システムに画像(ここでは、図6に示す時間τ及び送信位相の方式に対応させて、A、B、C及びDと称する)を入力することとする。ここで、データセットは、水スピン密度をρ、脂肪スピン密度をρ、背景位相(ΔBと同等)をφとすると、以下に示す簡略化された方程式で表すことができる。
【0046】
【数1】

【0047】
A、B、C及びDの入力データは、符号付き振幅(magnitude)データのみで表されるものであり、複素データで表されるものではない。この情報により、B及びA(或いは、D及びC)を用いて単純な位相マップを導出することができる。なお、位相アンラップは不要である。このような位相マップの導出は、複素画像データでは機能せず、符号付き振幅データでしか機能しないので、絶対位相は不要であり、相対位相のみが関係する。または、外部位相マップ(例えば、シミングデータの収集により得られる位相マップ)を用いてもよいし、(IDEALのように)位相マップを繰り返して解明してもよい。
【0048】
【数2】

【0049】
式1は、以下に示す式3のように、φの解を用いて行列の形式に書き換えることができ、線形代数法を用いて解くことでρ及びρを得ることができる。この例では、φの行列の反転するための方法として特異値分解(singular value decomposition:SVD)を選択したが、自明なように、他にも多くの利用可能な数値法がある。
【0050】
【数3】

【0051】
上記の数式は、4つの入力画像が用いられる場合の式である。勿論、異なるτや相関送信位相でより多くの画像を得て、行列に加えることも可能である。画像の最小限の数は、2つである。入力画像の理想的な数は、バックグラウンド位相の量及びSNR(Signal−to−Noise Ratio)の関数である。
【0052】
上記の解を用いることで、各ピクセル位置のρ及びρの推定値が得られる。しかし、その結果は、入力される符合付き振幅の再構成における極性に影響されやすい。正極と負極との間の接点では、脂肪と水との間の割り当てが、いくつかのピクセルにおいて不正確になることがある。図7に、この問題の例を示す。ここでは、極性の交差点(矢印参照)付近における不正確な脂肪/水の割り当ての例を示す。図7のAは、入力される符号付き振幅の画像であり、灰色=0、明=一方の極性、暗=他方の極性である。この入力データを用いて、図7のAに示す極性の交差点付近で不正確にピクセルが割り当てられた図7のBに示す脂肪の画像及び図7のCに示す水の画像が生成される。
【0053】
このような敏感性を軽減する1つの方法は、高品質でロバストな符号付き振幅を再構成することであり、そのための多くの方法が文献により公表されている。大部分の方法は、入力データの良好なSNRに依存するものや、ゆっくり空間的に変化する位相で適切に挙動する位相マップを必要とするものである。
【0054】
しかし、この実施形態の場合は、符号付き振幅自体に配慮する必要はなく、むしろ最終的な水と脂肪の分離画像に配慮する必要がある。したがって、符号付き振幅の極性に対する敏感性を除去するために、単純かつロバストな解決法を実施することができる。
【0055】
例えば、脂肪/水分離は、位相オフセットを用いて実施することができる。図8に示すように、入力画像データごとに、単純な振幅画像及び位相(θ)画像を生成する。この位相画像を用いて、θ≧0の各ピクセルに正極を割り当て、θ<0の各ピクセルに負極を割り当てる。そして、式2及び式3を用いて、脂肪/水の分離を行う。全ての処理をN回繰り返し、毎回、入力位相画像に一定の位相オフセットを加える。例えば、0°、30°、60°、90°、120°の位相オフセットで6回処理を繰り返す。位相オフセットの数及び位相オフセットの増分は、基本的には任意である。そして、図8に示すように、位相オフセットごとに、脂肪画像及び水画像を生成する。位相オフセットの効果は、入力される符号付き振幅データにおける正極/負極の交差点の位置をシフトさせることである。SVDによる解法における脂肪/水の出力値は、交差点付近の値を除いて、全てのピクセルで同じ値である。全てのセットのうち最も一般的な値(モード)が、最終脂肪画像/最終水画像の値として割り当てられる。図8に、このアルゴリズムの1つの実施例を示す。この例では、3つの位相オフセットが用いられる。各位相オフセットの出力脂肪画像/出力水画像を、モードの操作により結合し、最終の脂肪/水画像を作成する。
【0056】
WFOPプレップのプリパルスにおけるRF成分の相対RF送信位相を調節することで、異なる脂肪/水の正弦波応答を生成することができる。相対RF送信位相が異なる複数の画像を組み合わせて、ロバストなオフレゾナンス応答のDixon画像を生成することができる。
【0057】
なお、RF成分が異なる送信位相を有することは、厳密に必須ではない。RF成分が同じ送信位相(すなわち、+x、+x)を有する場合には、負の水と正の脂肪とが生成されることになるが、それでも有効であろう。このように、各成分は独立して段階的に実行され、それぞれ異なっていてもよいが、これは必須ではない。
【0058】
上記2段落で説明した別の実施形態を組み合わせて、ロバストなオフレゾナンス応答の脂肪/水分離画像を生成することができる。
【0059】
また、WFOPプレップにおけるRFパルスやRF成分の数は変更することができる。例えば、1:3:3:1の合成バイノミアルRFパルスを用いることができる。異なるバイノミアル方式(1:1、1:2:1、1:3:3:1、など)によって、異なるオフレゾナンス応答の形状が作り出される。一般に、合成バイノミアルパルスの成分が多くなるほど、応答はボックスカーの形状により近付く。1:1の例は、最も単純な応答形状(正弦波)を示す。したがって、これが現在では最適な選択である。
【0060】
単純な脂肪/水の同位相(in−phase)画像は、WFOPプレップを全く用いない1つの画像セット(これは、従来のMR画像である)を収集することによって得ることができる。この同位相画像は、WFOPプレップを使用可能な他の脂肪/水分離用スキャンと組み合わせることができる。なお、この組み合わせは可能ではあるものの、この実施形態には、ΔB/ΔB効果を有するデータ(WFOPデータ)とこれらの効果を有しないデータ(従来のMR画像)とを混合するという欠点がある。したがって、この実施形態では、脂肪/水分離の品質が損なわれると予想される。
【0061】
WFOPプレップは、パルスシーケンスにおけるパラメータ(TE/TR、エコー間隔、読出し帯域幅など)の自由度に対して時間的な制限を加えることなく、Dixonイメージングを可能にする。したがって、WFOPプレップは、従来はDixonイメージングのために使うことが難しかった、又は、不可能であった積極的な読出し方法(すなわち、短いエコー間隔のFSE及び短いTEのSSFP)とともに用いることができる。
【0062】
また、WFOPプレップは、従来のDixon法による脂肪/水分離方法(IDEAL)を混乱させる渦電流を含む時間依存性のバックグラウンド位相の発生源の影響を受けない。
【0063】
また、WFOPプレップは、単純な振幅画像及び位相画像を入力することで、速く、直接的な処理を用いることができる。また、他の方法とは異なり、複雑な位相アンラップや、バックグラウンド位相の除去、ホモダイン処理が不要である。
【0064】
また、WFOPプレップは、全てのDixonベースの方法のように、Dixon水画像/Dixon脂肪画像の完全な分離のために、少なくとも2つの入力画像を必要とする。しかし、入力画像は、マルチエコーのグラディエントエコー読出し方法で収集できるほどには、同じ主要なデータ収集シーケンスで収集することはできない。したがって、WFOPプレップは、マルチエコーのグラディエントエコーイメージング(すなわち、LAVA)にとっては良い代替法ではないかもしれない。
【0065】
また、WFOPプレップは、オフレゾナンスによる信号損失を生じさせる可能性がある。この信号損失を軽減するためには、RF送信位相サイクルによる画像の追加が望ましい、又は必要な場合がある。
【0066】
WFOPプレップは、磁化を横断面(位相発生が起きる横断面)に倒したり、横断面から起こしたりするためフリップダウンRFパルス及びフリップアップRFパルスが必要になる。したがって、WFOPプレップは、BRF不均一性に対して敏感であるとよい。また、フリップ角αの最初のフリップダウンRFパルスが正確に90°でなかった場合には、若干の磁化が縦軸方向(cosα)に残る。そして、位相発生期間の後に、同じフリップ角αの縦軸方向に、横磁化がフリップアップして戻る場合がある。そのため、最後の縦磁化は、(sinαの係数で調整される)位相発生した磁化と(cosαの係数で調整される)位相発生していない磁化との組み合わせになる。位相発生した磁化と位相発生していない磁化とが混在すると、脂肪/水分離の処理が阻害される。ほぼ100%の脂肪又は水(ρ>0.9又はρ>0.9)のピクセルの場合、大きな偏差(α<70°又はα>110°、およそ20%のΔB)が、脂肪/水ピクセル値の不正確な割り当てを引き起こす場合がある。
【0067】
本発明の一定の実施形態を記載してきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示したのであって、本発明の範囲を限定するものではない。実際、本明細書に記載の新規の方法及びシステムは、様々な別の形式で具体化が可能である。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形式の様々な省略、置換、及び変更は、本発明の精神を逸脱することなく行うことが可能である。添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本発明の範囲及び精神の範囲内に収まると考えられるような形式又は改変を網羅するものである。
【符号の説明】
【0068】
22 MRIシステム制御部
30 MRIシーケンス制御部
42 MRIデータ処理部(μp、I/O、記憶装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共鳴周波数が異なる複数の核種の磁化ベクトルを横磁化として励起する第1のプリパルスを印加し、前記複数の核種のうち対象の核種と他の核種との間で所定の位相差が生じる位相発生時間が経過した後に、前記対象の核種の磁化ベクトルを縦磁化に戻す第2のプリパルスを印加するプレップ印加部分を用いて、当該プレップ印加部分によるプリパルスの印加後に所定のデータ収集シーケンスを実行するシーケンス実行部と、
前記データ収集シーケンスにより収集されたデータに基づいて、前記対象の核種の分離画像を生成する画像生成部と
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項2】
前記プレップ印加部分は、前記位相発生時間の間隔で配置された前記第1のプリパルス及び前記第2のプリパルスを含むバイノミアルパルスを印加するものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項3】
前記プレップ印加部分は、前記第2のプリパルスを印加した後に少なくとも1つの傾斜磁場スポイラーを印加するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項4】
前記第1のプリパルス及び第2のプリパルスそれぞれが有するニューテーション角の合計が略180°であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項5】
前記位相発生時間は、前記対象の核種と前記他の核種との間で180°の位相差が生じる時間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項6】
前記複数の核種には、水及び脂肪が含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項7】
前記シーケンス実行部は、前記第1のプリパルス及び前記第2のプリパルスの少なくとも一方の送信位相を変えながら前記プレップ印加部分及び前記データ収集シーケンスを繰り返し実行し、
前記画像生成部は、データそれぞれから得られた画像を合成することで前記分離画像を生成する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項8】
前記画像生成部は、平方和又は最大値投影を用いて合成することを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項9】
前記データ収集シーケンスは、高速スピンエコー(FSE)法、シングルショット高速スピンエコー(SSFSE)法、高速非対称スピンエコー(FASE)法、可変フリップ角(VFA)法、及び、定常状態自由歳差運動(SSFP)法によるシーケンスのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項10】
共鳴周波数が異なる複数の核種の磁化ベクトルを横磁化として励起する第1のプリパルスを印加し、前記複数の核種のうち対象の核種と他の核種との間で所定の位相差が生じる位相発生時間が経過した後に、前記対象の核種の磁化ベクトルを縦磁化に戻す第2のプリパルスを印加するプレップ印加部分を用いて、当該プレップ印加部分によるプリパルスの印加後に所定のデータ収集シーケンスを実行するステップと、
前記データ収集シーケンスにより収集されたデータに基づいて、前記対象の核種の分離画像を生成するステップと
を含んだことを特徴とする磁気共鳴イメージング方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−196432(P2012−196432A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38573(P2012−38573)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】