説明

磁気共鳴イメージング用円筒形超電導磁石システム

【課題】傾斜磁場コイルの振動磁場に晒されるボアチューブの振動を抑制する。
【解決手段】外側真空室(OVC)14内に配置され軸方向にアライメントされた複数の一次超電導コイル30と、OVC内において一次超電導コイルを包囲する熱放射シールドと、一次超電導コイルと軸方向にアライメントされ一次超電導コイル内において半径方向に配置された傾斜磁場コイルアセンブリ22と、一次超電導コイルの外側において半径方向に配置され傾斜磁場コイルアセンブリに機械的に取り付けられた機械的支持アセンブリ24とを備え、機械的支持アセンブリは、OVC及び熱放射シールドに通るスルーホールを貫通する機械的取付け部品26によって傾斜磁場コイルアセンブリに機械的に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRI(磁気共鳴イメージング)システムのようなイメージングシステム(画像化システム)に用いられる円筒形磁石システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1には、イメージングシステムに用いられる典型的な磁石システムの半径方向の断面図が示されている。巻型または他の機械的支持構造物に取り付けられた超電導コイルを一般に含む円筒形磁石10は、超電導磁石をその遷移温度未満の温度に保つ、例えばヘリウムのようなある量の液体極低温冷却剤15を収容する極低温冷却剤容器12を含むクライオスタット内に配置されている。この磁石は、軸A−Aに関してほぼ回転対称をなしている。本明細書において、用語「軸方向」は軸A−Aに対して平行な方向を表すために用いられ、用語「半径方向」は軸A−Aに対して垂直な方向を表わしている。極低温冷却剤容器12は、それ自体円筒形であり、外側円筒形壁12a、内側円筒形ボアチューブ12b、及び、ほぼ平面の環状エンドキャップ(図1には見えない)を備えている。外側真空容器(OVC)14が極低温冷却剤容器12を包囲している。外側真空容器も、それ自体円筒形であり、外側円筒形壁14a、内側円筒形ボアチューブ(bore tube)14b、及び、ほぼ平面の環状エンドキャップ(図1には見えない)を備えている。OVC14と極低温冷却剤容器12との間の空間には強い真空化が施されており、有効な断熱を実現している。この真空排気された空間内に熱放射シールド16が配置されている。これは、一般に完全に密閉された容器ではなく、ほぼ円筒形であり、外側円筒形壁16a、内側円筒形ボアチューブ16b、及び、ほぼ平面の環状エンドキャップ(図1には見えない)を備えている。熱放射シールド16は、OVC14から放射される熱が極低温冷却剤容器12に到達する前に遮断する働きをする。熱放射線シールド16は、例えば、能動的極低温用冷凍機17によって、あるいは、極低温冷却剤蒸気の逃散によって冷却される。
【0003】
代替構成の場合、磁石は極低温冷却剤容器内に収容されず、冷却ループのような極低温冷却剤残留量の少ない構成、もしくは、極低温用冷凍機が磁石と熱的にリンクする「ドライ」構成のような、他の何らかの方法で冷却される。これらの構成において、磁石の熱負荷は、直接に液体極低温冷却剤内で処理されるのではなく、代わりに、冷却パイプ又は冷凍機に接続された熱リンクを介して間接的に除去される。このような動作中の熱負荷は、例えば、電流ランピングまたは傾斜磁場コイルの動作から生じる可能性がある。
【0004】
OVCボアチューブ14bは、半径方向および軸方向の両方における真空負荷に耐えるため、機械的に強くかつ真空気密でなければならない。従来、それはステンレス鋼製である。極低温冷却剤容器ボアチューブ12bは、もしあれば、強くてかつ極低温冷却剤容器内の極低温冷却剤ガス圧に耐えることが可能でなければならない。一般に、これもステンレス鋼製である。熱放射シールド16のボアチューブ16bは、赤外線に対して不透過性でなければならない。それは一般にアルミニウム製である。
【0005】
本発明は、全てのこのような事例に適用可能である。
【0006】
画像化能力を与えるため、1組の傾斜磁場コイル20が、超電導磁石のボア内に設けられている。これらは、通常、三次元に直交する振動傾斜磁場を発生するコイルを含む中空で円筒形の樹脂含浸ブロックとして構成されている。
【0007】
画像化中、傾斜磁場コイル20が、一般にほんの数ミリ秒という極めて速い立上り時間で振動磁場を急速に発生する。傾斜磁場コイルからの漂遊磁場が、クライオスタットの金属部分、とりわけ、OVC、熱シールド、及び、極低温冷却剤容器の金属ボアチューブ14b、16b、12bと、磁石10の構造にも渦電流を発生する。OVC14の材料内に生じる渦電流は、熱放射シールド16と、極低温冷却剤容器のボアチューブ12b、磁石コイル、及び、磁石巻型10のような極低温で冷却された構成部品とを傾斜磁場コイル20による漂遊磁場から遮蔽するのに役立つ。しかしながら、磁石によって生じる一定のバックグラウンド磁場のため、それらの渦電流は、ローレンツ力を発生し、これが半径方向及び軸方向に作用し、結果として、OVCのボアチューブに機械的振動を生じる。さらなる機械的振動が、かなりの交流電流が流れる傾斜磁場コイルアセンブリ20の導体に作用するローレンツ力によって惹き起こされる傾斜磁場コイルアセンブリ自体の機械的振動の結果として生じる。傾斜磁場コイルアセンブリ内の導体に作用するローレンツ力による傾斜磁場コイルアセンブリの機械的振動は、ボア内の空気を直接振動させることによってノイズも生じさせる。
【0008】
磁石10の一定のバックグラウンド磁場におけるこれらの機械的振動は、さらに、熱放射シールドのボアチューブ16b、または、極低温冷却剤容器のボアチューブ12bのような導電性材料中に二次渦電流を誘発する。二次渦電流は、もちろん二次磁場として知られる磁場を発生することになる。これらは、画像化を妨害し、機械的振動を生じ、さらにその領域に傾斜磁場コイルによって生じた漂遊磁場よりはるかに大きくなる可能性のある二次漂遊磁場を生じることになる。二次漂遊磁場は、また近接する導電性表面に三次渦電流を誘発する。これらの三次渦電流は、さらに、三次磁場を発生し、等々。
【0009】
熱放射シールド16のボアチューブ16bは、熱的及び電気的に伝導性であり、傾斜磁場コイルから磁石を電磁遮蔽するのが望ましい。
【0010】
よくあることであるが、傾斜磁場の振動の振動数がボアチューブの共振振動数に近い場合には、ある特殊な問題が生じる。典型的なMRIシステムのOVC、熱放射シールド、及び、極低温冷却剤容器のボアチューブのような同様の直径を備えたいくつかの同心クロスチューブは、同様の有効共振振動数を有することが知られている。
【0011】
機械的振動は、ボアチューブの共振振動の振動数が漂遊磁場の振動の振動数に一致する場合にとりわけ強くなる。もしあったとして、OVCボアチューブ、熱シールドボアチューブ、極低温冷却剤容器ボアチューブの共振振動数と、磁石構成部品の共振振動数が、本磁石と同様に互いに近い場合には、ボアチューブは一連の密結合振動子の働きをし、共振帯が生じることになる。
【0012】
振動は画像化プロセスを妨害し、その結果生じる画像に悪影響をもたらす可能性もある。
【0013】
結果生じる振動は、画像化を妨げ、もしあったとして、熱放射シールド及び極低温冷却剤容器のような冷却構成部品を加熱するだけでなく、ボア内の患者にとって最も不快な音響ノイズも発生する。
【0014】
磁石の極低温で冷却された構成部品中に誘発される渦電流は、極低温冷却システムに対するオーム熱負荷をなし、用いられている液体極低温冷却剤の消費を増大させるか、もしくは、極低温用冷凍機に対する熱負荷を増大させる。乾式磁石(液体極低温冷却剤によって冷却されない磁石)の場合、熱負荷が増大するとコイル温度を上昇させる可能性があり、その結果クエンチングが生じる可能性がある。
【0015】
この問題に対する既知のアプローチには、下記が含まれる。傾斜磁場コイルアセンブリ20は、弾性マウント、くさび、または、エアバッグを用いてOVCボアチューブ14bに取り付けることが可能である。これらは、傾斜磁場コイルアセンブリの機械的振動の減衰を意図したものである。しかしながら、このような構成では、傾斜磁場コイルからOVCへの振動の機械的伝達が完全には阻止されず、隣接する導電性構造物中における渦電流の発生を抑制するのにほとんど役立たない。OVCボアチューブではなく、エンドフレームに傾斜磁場コイルを取り付けることが提案されている。しかしながら、このような構成には、本発明で回避しようとしているシステムの延長が必要になった。傾斜磁場コイルアセンブリの機械的補強が試みられてきた。しかしながら、傾斜磁場コイルアセンブリの剛性を倍にしても、共振振動数が約1.4倍に増加するだけであると確信されている。特許文献1では、OVC内にアクチュエータを配置して、傾斜磁場コイルからの漂遊磁場によって生じる振動に対抗する、能動的力フィードバックアクチュエータが提案されている。この解決策は、複雑で、磁石コイルのような他の構成部品の間にアクチュエータを配置するのは困難であるとみなされている。傾斜磁場コイルアセンブリ自体の一次及び二次導体が傾斜磁場コイルアセンブリの振動振幅を小さくするように最適化された、モード補償傾斜磁場コイルが提案されている。しかしながら、このような最適化は、傾斜磁場コイルアセンブリの漂遊磁場強度を増し、結果として、渦電流発生のために極低温で冷却された構成部品の加熱が強まることが分かっている。
【0016】
同様の問題に対する既知のアプローチが、下記の刊行物に提示されている。
【0017】
特許文献2には、傾斜磁場コイルアセンブリとクライオスタットの間に能動マウントを含む取付け具の使用が開示されている。
【0018】
特許文献3には、軟質パッドを含む半径方向スポークの傾斜磁場コイル取付け具の使用が開示されている。
【0019】
特許文献4には、磁石のボア内における機械的振動の最大振幅点に傾斜磁場コイルを取り付けて、共振モードを遮断することが開示されている。
【0020】
特許文献5には、傾斜磁場コイルのための真空エンクロージャが開示されている。
【0021】
特許文献6には、傾斜振動振幅を小さくする手段として圧電変換器を使用することが開示されている。
【0022】
特許文献7には、傾斜磁場コイルのモード補償法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第6,552,543号明細書
【特許文献2】米国特許第6,552,543号明細書
【特許文献3】米国特許第5,345,177号明細書
【特許文献4】米国特許第6,353,319号明細書
【特許文献5】米国特許第7,053,744号明細書
【特許文献6】米国特許第5,617,026号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第102007025096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の課題は、傾斜磁場コイルアセンブリのための剛性機械的支持体を、傾斜磁場コイルアセンブリと超電導磁石コイルとOVCとの半径方向の外側に配置して設け、かつ熱放射シールドを設けることによって、傾斜磁場コイルの振動磁場に晒されるボアチューブの振動を抑制することにある。傾斜磁場コイルアセンブリは機械的支持体に機械的に結合され、一次コイルアセンブリの機械的剛性を増加させる。これにより、さらに、傾斜磁場コイルアセンブリの機械的振動が抑えられ、傾斜磁場コイルアセンブリからの音響ノイズが低減し、近接する導電性表面に誘発される渦電流が減少し、その結果、極低温で冷却された構成部品の加熱が抑制される。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願発明の課題は、本発明によれば、外側真空室(OVC)内に配置され軸方向にアライメントされた複数の一次超電導コイルと、前記OVC内において前記一次超電導コイルを包囲する熱放射シールドと、前記一次超電導コイルと軸方向にアライメントされ、前記一次超電導コイル内において半径方向に配置された傾斜磁場コイルアセンブリと、前記一次超電導コイルの外側において半径方向に配置され、前記傾斜磁場コイルアセンブリに機械的に取り付けられた機械的支持アセンブリとを備え、前記機械的支持アセンブリは、前記OVC及び前記熱放射シールドに通るスルーホールを貫通する機械的取付け部品によって前記傾斜磁場コイルアセンブリに機械的に取り付けられていることによって解決される(請求項1)。
本発明の有利な実施態様は次の通りである。
・前記機械的取付け部品は、互いに隣り合う一次超電導コイルの間を通る(請求項2)。
・前記OVCの穴は、前記OVCのボアチューブと凹部との間に延び半径方向に向いた管によって密封され、前記機械的取付け部品は前記管を通る(請求項3)。
・前記熱放射シールドの穴は、前記OVCを密封する管と同軸上に延び半径方向に向いた管によって密封される(請求項4)。
・前記機械的支持アセンブリは、前記傾斜磁場コイルアセンブリにその軸方向端でそれぞれ機械的に取り付けられた2つの環状構造を含む(請求項5)。
・前記機械的支持アセンブリは、前記傾斜磁場コイルアセンブリにその軸方向中央平面の両側で機械的に取り付けられた管状構造を含む(請求項6)。
・前記OVC及びその内容物は支持面に支持され、前記傾斜磁場コイルアセンブリ及び機械的支持アセンブリは、前記OVC及びその内容物とは独立して支持面に支持されている(請求項7)。
・さらに、前記一次磁石コイルを収容する極低温冷却剤容器が設けられ、前記熱放射シールドが前記OVC内で前記極低温冷却剤容器を包囲する(請求項8)。
・前記OVCは、ボアチューブ、外側円筒形壁、及び、環状エンドピースを含み、前記エンドピースの一方が、凹部を形成する凹形部分(re-entrant portion)を有し、前記管状構造が前記凹部内に配置される(請求項9)。
・前記OVCは、ボアチューブ、外側円筒形壁、及び、環状エンドピースを含み、両方のエンドピースが、それぞれの凹部を形成するそれぞれの凹形部分を有し、それぞれの管状構造がそれぞれの凹部内に配置される(請求項10)。
・一次超電導コイル及び管状構造の半径方向の外側に二次シールド超電導コイルが設けられ、前記OVCに対して中間支持部品が機械的に取り付けられ、シーリングを施され、前記二次シールド超電導コイルは、前記OVCに機械的に支持された前記支持部品に支持されている機械的支持構造に取り付けられている(請求項11)。
・凹部から遠い前記磁石構造の軸方向端において、前記二次シールド超電導コイルが前記一次磁石コイルに環状磁石結合構造によって機械的に結合され、前記熱放射シールドの環状部分と前記OVCの環状部分とによって、前記環状磁石結合構造が密閉されて、前記熱放射シールド及びOVCがそれぞれ完成する(請求項12)。
・前記傾斜磁場コイルアセンブリが、前記OVC及び熱放射シールドの外側で前記機械的支持アセンブリに結合されている(請求項13)。
・前記機械的支持アセンブリは、前記一次超電導コイル及び前記OVCの軸方向の外側に配置された環状支持リングを含む(請求項14)。
・機械的保持構造は、使用時、この機械的保持構造に質量及び慣性を与えるため液体またはばら材料を充填された室を含む(請求項15)。
【0026】
本発明の上記の課題及び別の課題、特性、及び、利点については、添付の図面に関連して例証のためだけに示される、そのいくつかの実施形態に関する下記説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】イメージングシステムに用いられる典型的な磁石システムの半径方向の断面図である。
【図2】本発明の実施形態の概略部分断面図である
【図3】本発明の実施形態の概略部分断面図である。
【図4】本発明の実施形態の概略部分断面図である。
【図5】本発明の実施形態の概略部分断面図である。
【図6】本発明の実施形態の概略部分断面図である。
【図7】本発明の実施形態の概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の構成によれば、傾斜磁場コイルの機械的振動、及び、傾斜磁場コイルの動作から生じる傾斜磁場コイル誘発加熱(GCIH)が大幅に低減する。重要なことは、本発明によれば、傾斜磁場コイルアセンブリのボアの半径方向の有効直径を縮小することなく、超電導コイルの直径を拡大することなく、さらに、磁石システムの長さを延長することなく、機械的振動及びGCIHの低減を実現することができるという点である。
【0029】
本発明によれば、さらに、傾斜磁場コイルアセンブリの機械的振動が抑制され、傾斜磁場コイルアセンブリから磁石システムの他の構成部品への機械的振動の伝達が低減する。
【0030】
クライオスタットの軸方向端は、漂遊傾斜磁場の影響を最も受けやすい。いくつかの実施形態においては、クライオスタットの軸方向端の近くにのみ、機械的支持構造が設けられている。さらに、これらの「端部支持体」は傾斜磁場コイル自体の剛性にはあまり役立たない。
【0031】
傾斜磁場コイルのボアをできるだけ開放された状態に保つことが重要である。というのは、それによって患者ボアの直径が決まるからである。患者ボアの直径が小さくなると、患者の快適性が低下し、画像化シーケンスが損なわれるか、あるいは、利用可能な容積が制限されるため、患者を画像化できないか、もしくは患者が画像化を嫌がる恐れがある。
【0032】
磁石システムの長さはできる限り短く保つことが重要である。というのは、長さが増すと、患者の閉所恐怖症の感覚を強めたり、あるいは、患者に閉所恐怖症の感覚を誘発する可能性があり、そのため、画像シーケンスが損なわれるか、患者が画像化を拒否する可能性があるからである。磁石を短くすると、輸送中及びユーザの施設の現場において必要なスペースが縮小される。磁石システムの長さは、一般にセールスポイントとして用いられ、磁石が短くなるほど、より望ましいとみなされる。
【0033】
本発明によれば、特徴を組み合わせることによって、本発明の課題を解決することが可能になる。
【0034】
傾斜磁場コイルアセンブリに機械的に連結されるが、クライオスタットからは機械的に切り離された、半径方向の外側の機械的支持構造物が設けられる。
【0035】
傾斜磁場コイル構造は、傾斜磁場コイルアセンブリの機械的振動によってOVCに振動が機械的に励起されるのを回避するため、クライオスタット構造から機械的に切り離されている。本発明のいくつかの実施形態では、傾斜磁場コイルは直接床に支持され、クライオスタット構造とは接触しない。
【0036】
傾斜磁場コイルの漂遊磁場に最もさらされるOVCボアチューブの部分(一般には、ボアチューブの端部に近い)は、渦電流及び二次漂遊磁場の影響を抑えるかもしくは排除するため、補強されるか又は非導電性材料で製造される。
【0037】
本発明の特徴の1つによれば、傾斜磁場コイルアセンブリの機械的支持体が、傾斜磁場コイルアセンブリ及び一次超電導コイルの半径方向の外側に設けられる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、傾斜磁場コイルアセンブリは、傾斜磁場コイルアセンブリからの音響ノイズの伝達を阻止するために、OVC内に封入される。
【0039】
図2には、傾斜磁場コイルアセンブリ22と傾斜磁場コイル支持体24とを含む、本発明の一実施形態による一般的な傾斜磁場コイルアセンブリの軸方向の部分断面が略示されている。図2の構造は、軸A−Aに対してほぼ回転対称をなす。傾斜磁場コイルアセンブリ22及び機械的傾斜磁場コイル支持体24は、構造の残りの部分に対して機械的にリンクされていない。この例の場合、機械的傾斜磁場コイル支持体24は、傾斜磁場コイルアセンブリの半径方向の外側でその軸方向の端部の近くにそれぞれ配置された2つの環状構造を具備している。各環状構造は、機械的取付け部品26によって傾斜磁場コイルアセンブリ22に機械的に取付けられている。
【0040】
この構成の場合、図面中に点線で示されたOVC14は、各環状エンドキャップに凹部28を形成する環状凹形部分(re-entrant portion)を有している。この凹形部分は、エンドキャップの剛性を有効に増し、画像化操作中の振動傾向を抑制する。機械的傾斜磁場コイルアセンブリ支持体24の環状構造は、この凹形部分内に配置される。超電導磁石には、凹部28よりも半径方向の内側でOVC14内に配置された一次超電導コイル30と、凹部28よりも半径方向の外側でOVC14内に配置されたシールドコイル32が含まれている。シールドコイル32と一次コイル30とは、任意の適切な方法で機械的に支持され、接合されている。一次超電導コイルおよび二次(シールド)超電導コイルの機械的支持及び接合方法は、傾斜磁場コイルアセンブリ22を機械的支持体24に連結する機械的取付け部品26が、OVC、熱放射シールド、及び、一次コイル30と二次(シールド)コイル32とを支持し接合する任意の構造を通るスルーホールを貫通している点を除けば、本発明の一部をなすものではない。
【0041】
OVC及び熱放射シールド内のスルーホールは、もちろんクロスチューブ40で密封しなければならない。幾つかの実施形態においては、これらのクロスチューブ40の存在によってもたらされる剛性の追加的な強化によって、OVC及び熱シールドに用いられる材料をより薄くすることが可能になり、おそらくは、磁石のボアの直径、さらには、傾斜磁場コイルアセンブリのボアの直径を拡大できることが分かるであろう。
【0042】
画像化中、傾斜磁場コイル中の電流は急速にパルス化される。超電導コイル30のバックグラウンド磁場内を流れる傾斜磁場コイル中の電流が急激に変化すると、傾斜磁場コイルアセンブリにローレンツ力が作用して、機械的振動を生じさせる。本発明は、半径方向の外側の機械的支持構造物を利用して、傾斜磁場コイルアセンブリの剛性を増すことにより、これらの機械的振動を抑制する。
【0043】
図3には、図2に示す例に類似した、本発明の実施形態の1つのより完全な軸方向の部分断面が示されている。図3の構造は、軸A−Aに対してほぼ回転対称をなし、C−Cと表示された中心面に対してほぼ鏡映対称をなす。
【0044】
クロスチューブ40によって、機械的取付け部品26がOVC14及び熱放射シールド16を貫通することが可能になり、その一方で、OVC14および熱放射シールド16の両方の機能的完全性が確保され、さらに、傾斜磁場コイルアセンブリとOVCとの機械的接触が回避される。
【0045】
一次超電導磁石コイル30は、クロスチューブ40がコイル間を半径方向に通ることができるようにする任意の適切な構成によって必要な固定相対位置に機械的に支持され保持されている。
【0046】
超電導シールドコイル32は、OVC14の環状エンドキャップ内に、二次傾斜磁場コイルアセンブリ24の収容に十分なキャビティ28を形成する凹形部分(凹入部)を設けることができる任意の適切な構成によって所定位置に機械的に支持され保持されている。
【0047】
図4には、OVCボアチューブの各軸方向端に2組の機械的支持体26を備えた、図3のものと同様の本発明によるもう1つの実施形態例が示されている。図4には、適切な機械的支持構造45の一例が示されているが、本発明の範囲内において、望ましい他の実施形態を用いることが可能である。
【0048】
この実施形態では、傾斜磁場コイルアセンブリ内に設けられた本体コイル42が例示されている。この本体コイル42は、他の例示の実施形態にも同様に設けられているが、明確に例証するようには示されていない。本体コイル42は、使用時、磁気共鳴イメージングに必要とされるRF(高周波)振動磁場を発生する。本体コイル42の内径dによって、患者ボア、すなわち、患者が画像化のために入らなければならないキャビティが決まる。患者ボアの内径を縮小することなく、本発明の利点が実現されるのが望ましい。
【0049】
点線で示された装飾カバー44は、磁石システムの端部を覆い、審美的に美しく、掃除しやすい外面を形成する。
【0050】
超電導シールドコイル32の支持構造45は、もしあれば、OVC14、熱放射シールド16、及び、極低温冷却剤容器のエンドキャップに凹形部分を設けることができるようになっている。従って、ほぼ環状のキャビティ28がOVC14のエンドキャップに形成される。
【0051】
図4に例示のように、傾斜磁場コイル支持構造24は凹部28内に配置されている。この実施形態では、図2〜3と同様、OVCボアチューブの各軸方向端に近い凹部28内に環状構造が設けられている。機械的取付け部品26が、クロスチューブ40を貫通し、傾斜磁場コイルアセンブリ22を機械的支持構造24に連結している。機械的支持構造24の環状リングは、通常、OVC14内の空間に配置される。機械的支持構造24を設けても、通常の傾斜磁場コイル構成による同様の磁石システムに比べて、有効患者ボア直径dが縮小することはない。
【0052】
機械的支持構造24は、傾斜磁場コイルアセンブリの有効剛性を増すことによって、傾斜磁場コイルアセンブリの動き及びたわみを制限する。この動きが抑制されることによって、隣接する導電性表面の渦電流が抑えられ、患者ボア内の音響ノイズが低減し、極低温で冷却される構成部品の傾斜磁場コイルに誘発される加熱が抑制される。
【0053】
例示されていないが、もしあれば、磁石アセンブリ、熱放射シールド、及び、極低温冷却剤容器をOVC14内に吊るすように、従来の機械的支持構成を施すことが可能である。一次超電導磁石のコイル30を所定位置に支持し保持するため、任意の適切な機械的構成を施すことが可能である。従来のように、熱放射シールド16とOVC14との間に、例えばアルミニウム蒸着ポリエステルシートのような固体断熱材46を設けることが可能である。
【0054】
一次超電導磁石を収容するOVC14及び熱放射シールド16の軸方向外側部分を通る半径方向に向いたクロスチューブ40の存在によって、漂遊傾斜磁場の影響を最も受けやすい領域におけるOVC14及び熱放射シールド16の剛性が大幅に増す。OVC14及び熱放射シールド16の剛性が増すと、それぞれのボアチューブの渦電流によって誘発される振動振幅が小さくなり、関連する加熱が抑制される。振動振幅が小さくなると、二次渦電流の振幅も小さくなる。OVC14の凹形エンドキャップによって、エンドキャップの振動の大きさも減少する。
【0055】
傾斜磁場コイルアセンブリは床に直接支持されている。長さが増すが、ボアの下方部分だけであり、全周囲にわたるわけではない。患者の「開放視覚」が影響されるわけではなく、ボアの主要部分の長さも仕様書に提示のものになるので、これは問題にはならない。従来の全てのシステムは、やはり、患者テーブルの存在のために底部のボアの長さが長くなっている。
【0056】
図5には、本発明のもう1つの実施形態が例示されている。この実施形態は、システムをさらに長くする必要があるが、患者のいない端部だけであり、従ってやはり患者の体験に影響することはない。この実施形態の場合、1つのOVCエンドキャップ全体に凹形部分が設けられ、環状凹部28が少なくとも機械的支持構造24の軸方向遠位端まで延びている。傾斜磁場コイルアセンブリ22が示されているが、この場合、一次超電導コイル30のアセンブリ全長にわたって延びている。図4に示されているのと同様のクロスチューブ40が設けられており、これによって、複数の一次超電導コイル30を収容するOVC14と熱放射シールド16との一部を通るスルーホールが形成されている。複数の一次超電導コイル30は、クロスチューブ40が、一次超電導コイルアセンブリに接触することなく、OVC14と熱放射シールド16との関連部分を通ることができるように共に保持され支持されている。
【0057】
傾斜磁場コイルアセンブリの機械的支持構造24が凹部28内に設けられている。凹部28は一次傾斜磁場コイルアセンブリの全長にわたって軸方向に延びているので、一次傾斜磁場コイルアセンブリの全長に亘って軸方向に延びる単一管状構造物26を設けることが可能である。この管状構造物26は、中心線C−Cの両側、望ましくはそれぞれ一次傾斜磁場コイルアセンブリの軸方向端で少なくとも2つの軸方向位置において傾斜磁場コイルアセンブリ24に機械的に取り付けられている。その結果として機械的に支持される傾斜磁場コイルアセンブリは極めて剛性が高く、磁石システムの有効ボアを縮小することなく、剛性が増す。
【0058】
例示の実施形態の場合、凹部28の軸方向長さのため、二次シールド超電導コイル32は、一次超電導コイルアセンブリによって直接には機械的に支持されていない。それどころか、中間支持部品50が設けられ、OVCに機械的に取り付けられて、密封されている。この支持部品50は頑丈な環状構造であり、二次シールド超電導コイル32は、OVCに支持されている支持部品50に支持された機械的支持構造52に取り付けられている。
【0059】
凹部28から遠い磁石構造の軸方向端において、二次シールド超電導コイル32が、コイルの動作温度で環状磁石結合構造56によって一次磁石コイル30に機械的に結合されている。熱放射シールド16の環状部分58とOVC14の環状部分60とによって、環状磁石結合構造56が密閉され、熱放射シールド及びOVCがそれぞれ完成する。
【0060】
傾斜磁場コイルアセンブリは、傾斜磁場コイルアセンブリ22に取り付けられOVCのボアから外へ軸方向に延びる環状延長部品62によって支持されている。地面支持体64が、環状延長部品62を利用して、一般に地面である支持面72で傾斜磁場コイルアセンブリを支持している。
【0061】
代わりにもしくは追加として、環状延長部品66を機械的支持体24の管状構造に取付けて、OVCエンドピースの凹部28から外へ軸方向に延びるようにすることが可能である。従って、地面支持体68が、環状延長部品66を利用して、支持面72で傾斜磁場コイルアセンブリ及び機械的支持アセンブリ24を支持することが可能になる。脚70によって、OVCが支持面72で支持される。
【0062】
図5に示されたこの実施形態は、図4に示され2つの独立した環状構造が一次傾斜磁場コイルアセンブリの軸方向の両端に向かって設けられている実施形態よりも高い剛性を有する傾斜磁場コイルアセンブリを提供すると考えられる。
【0063】
図6には、本発明のもう1つの実施形態が示されている。この実施形態の場合、傾斜磁場コイルアセンブリ22は、OVC14内においてOVC14と熱放射シールド16との間の真空スペース内に配置されている。傾斜磁場コイルアセンブリ22を真空スペース内に配置することにより、傾斜磁場コイルアセンブリから音響ノイズが伝搬することができなくなる。機械的支持アセンブリ24は、OVCの外側で記述の実施形態に関連して既述した環状凹部28内に配置される。機械的支持アセンブリ24は、地面支持体68によって一般には地面である支持面72で支持されている。傾斜磁場コイルアセンブリ22は、機械的取付け部品26を介して機械的支持構造24によって機械的に支持されている。この実施形態の場合、上述の他の実施形態におけるように、機械的取付け部品26は熱放射シールド16内でクロスチューブ40を貫通している。しかしながら、取付け部品26は、機械的支持アセンブリ24と接合するOVCの外側から傾斜磁場コイルアセンブリ22に接合するOVC内まで通らなければならない。
【0064】
例示の実施形態の場合、傾斜磁場コイルアセンブリ22と機械的支持アセンブリ24との間のOVC表面に複数の穴74が設けられ、この例の場合、それらの穴74は、機械的取付け部品26に対するシーリングを施した閉鎖部材78で密閉されたベローズ装置76によって塞がれている。ベローズ装置76は、OVCを真空気密状態に保ち、その一方で、傾斜磁場コイルアセンブリ22からの機械的振動を吸収して、これらの機械的振動が絶対にOVCに加えられないようにすることを可能にする。
【0065】
OVCのエンドキャップの一部80は、傾斜磁場コイル22の取付け及び交換を可能にするため、取外し可能であると望ましい。もちろん、この部分80は、OVCが真空状態でない場合だけにしか取り外すことはできない。取外し可能部分80の存在は、OVCが一次超電導コイル30のまわりで組み立てられているとき、大いに役立つことになる。このような構成の場合、OVCボアチューブ14bは、非導電性で非磁性の材料であると望ましい。適切な材料の一例は、熱硬化性樹脂を含浸したガラス繊維である。このような材料は、渦電流の発生の影響を受けることがなく、磁気的に透過性であるため、傾斜磁場コイルによって生じる傾斜磁場に干渉することはない。このような構成の場合、OVCボアチューブ14bは、ローレンツ力を受けることはない。
【0066】
傾斜磁場コイルアセンブリ22に必要な電流を供給するため、少なくとも1つの電流リード84が、OVCに、好ましくはその取外し可能部分80に設けられる。電流リード84は、傾斜磁場コイルアセンブリ22の機械的振動からOVCを切り離す働きをし、その一方で、やはりOVCを真空気密状態に保つことができるようにするベローズ86でOVCに結合するのが望ましい。ベローズは、電流リードに対するシーリングを施した閉鎖部材によって密閉することが可能である。
【0067】
傾斜磁場コイルは、80Kまで加熱し、このため、熱シールドに、従って間接的には磁石にかかる熱負荷が増大することになる。しかしながら、はるかに過酷な動的要素が大幅な補強のために著しく低減するので、この「定常状態」熱負荷は許容可能と考えられる。この構成は、全ての既知の伝達方法が排除されるか、かなり減らすことになるので、音響ノイズの低減において究極である。
【0068】
図7には、図3の実施形態に対する改良が示されている。慣性ダンパ、好ましくは環状水充填室82が、機械的支持アセンブリ24の環状構造に取り付けられている。これによって、機械的支持アセンブリにかなりの質量及び慣性が加えられる。充填室82は、出荷のためには空であることが望ましいが、磁石システムが設置される現場では、1つ又は複数の弁84を介して水が充填され、その一方で少なくとも1つの他の弁84から空気を流出させることが可能である。必要があれば、例えば、さらなる輸送のため、弁84を介して、もう一度水を空にし、空気を入れることが可能である。もちろん、水以外の液体を利用して、充填室82を充填することも可能であり、液体の代わりに、砂または細かい砂利のようなばら材料を利用することも可能である。しかしながら、現在のところは、豊富で、安価であり、毒性がなく、廃棄しやすいので、水が望ましい。
【0069】
図3の実施形態に特に関連して示されたが、図8の充填室82は、本発明の任意の実施形態に適用することが可能である。いくつかの実施形態では、環状室は機械的支持アセンブリの環状構造の全周にわたって延びる必要はないが、そうであることが望ましい。
【0070】
従って、本発明によれば、OVC、熱放射シールド、及び、極低温冷却剤容器の振動が大幅に抑制されるイメージングシステムの傾斜磁場コイル構成が得られる。これにより、結果得られる画像化及び患者の快適性が向上する。
【0071】
本発明によれば、機械的取付け部品26によって従来の傾斜磁場コイルアセンブリを半径方向の外側機械的支持アセンブリ24に機械的に連結することにより、傾斜磁場コイルの曲げ剛性が増す。結果得られる機械的補強によって、振動振幅が小さくなり、傾斜磁場コイルアセンブリの共振振動数が通常の画像化シーケンスでは励起されない値に向かって増加する。結果として、傾斜磁場コイルで誘発される磁石の加熱が大幅に抑えられるが、これは、最少の極低温冷却剤残留量または極低温冷却剤のない磁石にとってかなりの恩恵となる。
【0072】
傾斜磁場コイル構造は、OVCにおける振動の直接機械的励起を回避するため、クライオスタット構造から機械的に切り離されている。傾斜磁場コイルアセンブリは、クライオスタット構造から独立して支持面に取り付けるのが望ましい。
【0073】
OVCと熱放射シールドとの、ボアの軸方向端に近い部分を補強して、振動振幅を小さくするのが望ましい。この補強は、機械的取付け部品26が傾斜磁場コイルアセンブリ22から機械的支持アセンブリ24まで通ることができるようにする、上述のクロスチューブ40を取り付けることによって実現することが可能である。OVC及び熱放射シールドの軸方向端は、一般に、OVC及び熱放射シールドのボアチューブの軸方向中心よりも強い傾斜磁場コイルアセンブリによる漂遊磁場にさらされる。OVCのこれらの軸方向の外側部分は、OVCの材料に渦電流が発生するのを阻止するため、熱硬化性樹脂を含浸したガラス繊維のような複合材料で製造することが可能である。
【0074】
本発明の態様の1つによれば、傾斜磁場コイルアセンブリ内のローレンツ力は、傾斜磁場コイルアセンブリを機械的支持アセンブリ24に取り付けることによって増大した機械的剛性の抵抗を受ける。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態では、一次傾斜磁場コイルアセンブリは、圧力に基づくノイズ伝達を排除するため、OVC内の真空スペースに密閉されている。
【0076】
本発明の課題は、システムのOVCまたは傾斜磁場コイルアセンブリのボアの長さを増すことなく、また、有効患者容積の直径dを縮小することなく実現されるのが望ましい。実際、OVC及び熱放射シールドのクロスチューブ40の補強効果によって、OVCのボアチューブ及び熱放射シールドのボアチューブの厚さを薄くすることが可能になり、それによって有効患者容積の直径を増すことが可能になる。
【0077】
代替実施形態の1つにおいて、傾斜磁場コイルアセンブリ及び機械的支持アセンブリは、例えば一次超電導コイル及びOVCの軸方向の外側の環状支持体によって、OVC及び熱放射シールドの外側に共に機械的に連結される。この構成によれば、OVC及び熱放射シールドの端部はあまり強化されないが、横方向の貫通を伴わない、より通常型のクライオスタット構成が利用可能になる。
【符号の説明】
【0078】
14 外側真空容器(OVC)
16 熱放射シールド
22 傾斜磁場コイルアセンブリ
24 傾斜磁場コイル支持体
26 機械的取付け部品
28 凹部
30 一次超電導コイル
32 二次(シールド)超電導コイル
40 クロスチューブ
45 機械的支持構造
50 中間支持部品
52 機械的支持構造
56 環状磁石結合構造
58 熱放射シールドの環状部分
60 OVCの環状部分
62 環状延長部品
64 地面支持体
66 環状延長部品
68 地面支持体
70 脚
72 支持面
76 ベローズ装置
80 エンドキャップの一部
84 電流リード
86 ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージングに用いられる円筒形超電導磁石システムであって、
外側真空室(OVC)(14)内に配置され軸方向にアライメントされた複数の一次超電導コイル(30)と、
前記OVC内において前記一次超電導コイルを包囲する熱放射シールド(16)と、
前記一次超電導コイルと軸方向にアライメントされ、前記一次超電導コイル内において半径方向に配置された傾斜磁場コイルアセンブリ(22)と、
前記一次超電導コイルの外側において半径方向に配置され、前記傾斜磁場コイルアセンブリに機械的に取り付けられた機械的支持アセンブリ(24)とを備え、
前記機械的支持アセンブリは、前記OVC及び前記熱放射シールドに通るスルーホールを貫通する機械的取付け部品(26)によって前記傾斜磁場コイルアセンブリに機械的に取り付けられている
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング用円筒形超電導磁石システム。
【請求項2】
前記機械的取付け部品は、互いに隣り合う一次超電導コイルの間を通ることを特徴とする請求項1に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項3】
前記OVCの穴は、前記OVCのボアチューブ(14b)と凹部(28)との間に延び半径方向に向いた管(40)によって密封され、前記機械的取付け部品は前記管を通ることを特徴とする請求項1または2に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項4】
前記熱放射シールドの穴は、前記OVCを密封する管と同軸上に延び半径方向に向いた管(40)によって密封されることを特徴とする請求項3に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項5】
前記機械的支持アセンブリは、前記傾斜磁場コイルアセンブリにその軸方向端でそれぞれ機械的に取り付けられた2つの環状構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項6】
前記機械的支持アセンブリは、前記傾斜磁場コイルアセンブリにその軸方向中央平面の両側で機械的に取り付けられた管状構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項7】
前記OVC及びその内容物は支持面(72)に支持され、前記傾斜磁場コイルアセンブリ及び機械的支持アセンブリは、前記OVC及びその内容物とは独立して支持面に支持されていることを特徴とする請求項1から6の1つに記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項8】
さらに、前記一次磁石コイルを収容する極低温冷却剤容器(12)が設けられ、前記熱放射シールドが前記OVC内で前記極低温冷却剤容器を包囲することを特徴とする請求項1から7の1つに記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項9】
前記OVCは、ボアチューブ(14b)、外側円筒形壁(14a)、及び、環状エンドピースを含み、前記エンドピースの一方が、凹部(28)を形成する凹形部分を有し、前記管状構造が前記凹部内に配置されることを特徴とする請求項6に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項10】
前記OVCは、ボアチューブ(14b)、外側円筒形壁(14a)、及び、環状エンドピースを含み、両方のエンドピースが、それぞれの凹部(28)を形成するそれぞれの凹形部分を有し、それぞれの管状構造がそれぞれの凹部内に配置されることを特徴とする請求項5に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項11】
一次超電導コイル及び管状構造の半径方向の外側に二次シールド超電導コイル(32)が設けられ、前記OVCに対して中間支持部品(50)が機械的に取り付けられ、シーリングを施され、前記二次シールド超電導コイル(32)は、前記OVCに機械的に支持された前記支持部品(50)に支持されている機械的支持構造(52)に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項12】
凹部(28)から遠い前記磁石構造の軸方向端において、前記二次シールド超電導コイル(32)が前記一次磁石コイル(30)に環状磁石結合構造(56)によって機械的に結合され、前記熱放射シールド(16)の環状部分(58)と前記OVC(14)の環状部分(60)とによって、前記環状磁石結合構造(56)が密閉されて、前記熱放射シールド及びOVCがそれぞれ完成することを特徴とする請求項11に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項13】
前記傾斜磁場コイルアセンブリが、前記OVC及び熱放射シールドの外側で前記機械的支持アセンブリに結合されていることを特徴とする請求項1から6の1つに記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項14】
前記機械的支持アセンブリは、前記一次超電導コイル及び前記OVCの軸方向の外側に配置された環状支持リングを含むことを特徴とする請求項13に記載の円筒形超電導磁石システム。
【請求項15】
機械的保持構造は、使用時、この機械的保持構造に質量及び慣性を与えるため液体またはばら材料を充填された室(82)を含むことを特徴とする請求項1から14の1つに記載の円筒形超電導磁石システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161612(P2012−161612A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24270(P2012−24270)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【出願人】(509272285)シーメンス ピーエルシー (9)
【Fターム(参考)】