説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】位相感応性反転回復(PSIR)法により撮像を行うMRI装置であって、撮像時間の短縮を図り、利便性に優れたMRI装置を提供する。
【解決手段】検査対象の同一心拍中に、核磁化反転シーケンス101、撮像シーケンス102、補正用シーケンス103の3つを実行させ、撮像時間の短縮を図る。撮像シーケンス102が核磁化に与える影響が補正用磁気共鳴信号に及ぶのを防止するため、(1)撮像シーケンス102と補正用シーケンス103との間に核磁化の回復を加速させるシーケンス1を実行させる、(2)撮像シーケンスと補正用シーケンスがそれぞれ信号を取得する領域を異ならせる、(3)核磁化反転シーケンスとして、補正用シーケンスが信号を取得する領域のみ磁化を反転させないシーケンスを用いる、という手段を単独あるいは組み合わせて用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、MRIと称す)装置に関し、特に心筋の撮影に適したMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置によって心筋を撮影する方法として、遅延造影撮影法が知られている。この撮影方法は、壊死・梗塞を生じた心筋組織に造影剤が凝集することにより正常組織に対して緩和時間T1が短くなる現象を利用し、反転回復(Inversion Recovery)法を用いて正常組織の縦磁化が0になる時点で撮像シーケンスを行う方法である。これにより壊死・梗塞状態の心筋を高信号領域として抽出することができる。
【0003】
特許文献1には、遅延造影撮影の1つの撮影方法として、撮像により得られた信号の虚数成分から信号位相を検出することにより、縦磁化の方向情報を得て、実数成分による画像再構成を補正する位相感応性反転回復(PSIR:Phase−sensitive inversion recovery)法が開示されている。このPSIR法により、絶対値画像に生じるアーチファクトを防止できるとともに、撮像シーケンスを行うタイミングが正常組織の縦磁化が0になるタイミングに対して多少ずれても画像が大きく劣化しないという効果が得られる。
【0004】
非特許文献1には、PSIR法において撮像シーケンスの後にリファレンスシーケンスを実行することにより、RFコイルの位相歪みの分布情報を含む補正用信号を得て、画像再構成時に撮像シーケンスで得られた信号を補正用信号で補正する方法が開示されている。補正後の信号の実数成分のみを用いて画像再構成を行うことにより、RFコイルに起因する位相歪みを除去した画像を得ることができる。非特許文献1に記載されているPSIR法は、そのパルスシーケンスを図14に示したように、核磁化を180°反転させるRFパルス(IRパルス)を照射するIRシーケンス101を行うことにより、正常心筋と梗塞心筋とのT1コントラストを付与した後、正常心筋の縦磁化が0になる時点近傍で、短TR、高SNの撮像シーケンス102を実行する。その後、低フリップ角(FA)、短TRのリファレンスシーケンス103を短時間で実行し、RFコイルに起因する位相歪み情報を含む補正用信号を取得する。IRシーケンス101と撮像シーケンス102は、第1心拍の拡張期に実行される(図14)。一方、リファレンスシーケンス103は、第2心拍の拡張期に実行され、撮像シーケンス102と同一スライス面から同数の磁気共鳴(MR)信号を取得している。第2心拍でリファレンスシーケンス103を取得することにより、撮像シーケンス102による核磁化の乱れの影響を受けにくくなり、しかも同じ心時相で実行しているため心臓の拍動に起因する画質劣化を防止できる。
【特許文献1】特開2000−83926号公報
【非特許文献1】Magnetic Resonance in Medicine Vol47,num2,p372-383(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非特許文献1に記載のPSIR法は、奇数心拍中にIRシーケンスと撮像シーケンスを実行し、偶数心拍中にリファレンスシーケンスを実行するため、2心拍に1度しか画像用信号を計測できない。このため、撮影時間が長くなるという問題がある。また、近年は静磁場強度が3T以上等の高静磁場のMRI装置が実用化されているが、高静磁場装置では緩和時間T1が延長されるため、リファレンスシーケンス時にIRパルスの影響が残存し、補正用信号の精度が低下する。
本発明の目的は、位相感応性反転回復(PSIR)法により撮像を行うMRI装置であって、撮像時間の短縮、あるいは、補正用信号の精度を向上を図り、利便性に優れたMRI装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、検査対象の同一心拍中に、核磁化反転シーケンス、撮像シーケンス、補正用シーケンスの3つを実行させ、撮像時間の短縮を図る。
【0007】
この場合、撮像シーケンスが核磁化に与える影響が補正用磁気共鳴信号に及ぶのを防止する手段を用いることが可能である。この手段としては、(1)撮像シーケンスと補正用シーケンスとの間に核磁化の回復を加速させるシーケンスを実行させる、(2)撮像シーケンスと補正用シーケンスがそれぞれ信号を取得する領域を異ならせる、(3)核磁化反転シーケンスとして、補正用シーケンスが信号を取得する領域のみ磁化を反転させないシーケンスを用いる、という手段を単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0008】
また、さらに撮像時間の短縮を図るために、撮像シーケンスで取得する画像用信号より補正用信号の数を低減することも可能である。
【0009】
本発明の第2の態様では、1つのパルスシーケンスとして、所定の領域について、補正用シーケンス、核磁化反転シーケンス、撮像シーケンスの3つをこの順に実行させる。これにより、撮像シーケンスが核磁化に与える影響が補正用磁気共鳴信号に及ぶのを防止する。
【0010】
この場合、核磁化反転シーケンスとして、つぎのパルスシーケンスで補正用磁気共鳴信号を取得する領域については核磁気を反転させず、他の領域の核磁気を反転させるシーケンスを用いることができる。また、補正用シーケンスを第1心拍で、核磁気反転シーケンスと撮像シーケンスを第2心拍で実行することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の適用対象であるMRI装置の全体構造を図1を用いて説明する。本実施の形態のMRI装置は、撮像空間に静磁場を発生する静磁場発生装置91、患者などの検査対象92を搭載し、撮像空間に配置するためのベッド93と、高周波磁場(RF)パルスを検査対象92に印加し、磁気共鳴(MR)信号を検出するための高周波磁場(RF)コイル104、ならびに、撮像空間にX方向、Y方向、Z方向の傾斜磁場をそれぞれ発生させる傾斜磁場発生コイル105、106、107を有している。
【0012】
高周波磁場コイル104には、高周波磁場を発生させるための高周波電流を供給する高周波電源108と、受信したエコー信号を増幅する増幅器114が接続されている。高周波電源108には、変調器113と、高周波信号を発振する発振器112が接続されている。増幅器114には、増幅後の信号をA/D変換し検波する受信器115が接続されている。受信器115が検出したMR信号は、計算機118に受け渡される。計算機118は、受信器115から受け取ったMR信号と、接続されている記憶媒体117に格納されている撮影条件などのデータとを参照して画像再構成を行う。再構成した画像は、計算機に接続されているディスプレイ119に表示される。また、傾斜磁場発生コイル105、106、107には、それぞれ電流を供給するための傾斜磁場電源109、110、111が接続されている。
【0013】
傾斜磁場電源109、110、111、発振器112、高周波電源108、増幅器114および受信器115は、これらの動作を制御する制御装置116に接続されている。制御装置116は、記憶媒体117に予め格納されているプログラムを読み込んで実行することにより、接続されている各部に所定のタイミングで制御信号を出力して動作させ、パルスシーケンスを実現する。パルスシーケンスのパラメータとなる具体的な撮像条件は、入力部121によりオペレータより受け付ける。また、制御装置116には、検査対象92である患者に取り付けられた心電計120が接続され、その出力信号を受け取っており、心電同期でパルスシーケンスを行うことが可能である。
【0014】
パルスシーケンス実行時の各部の動作について簡単に説明する。入力部121を介してオペレータにより指定された撮影条件に従い、制御装置116は、傾斜磁場電源109〜111に制御信号を送信し、傾斜磁場コイル109〜111により撮像空間に所望の方向の傾斜磁場を発生させる。同時に、発振器112および変調器113に命令を送信して所定の高周波磁場波形を生成させ、この波形を持つ電流信号を高周波磁場電源108により生じさせ、高周波磁場コイル104に送る。これにより高周波磁場コイル104は高周波磁場パルス(RFパルス)を発生し、検査対象92に印加する。検査対象92から発生したMR信号は、高周波磁場コイル104により受信された後、増幅器114で増幅され、受信器115でA/D変換と検波が行われる。検波の基準とする中心周波数は、事前に計測した値が記憶媒体117に格納されているので、制御装置116がこれを読み出し、受信器115にセットする。検波されたMR信号は、計算機118に送られて画像再構成処理が適用される。画像再構成等の結果はディスプレイ119に表示される。
【0015】
本実施の形態のMRI装置で実行するパルスシーケンスは、図2に示したシーケンスであり、これによりPSIR法による撮像を行う。このパルスシーケンスは、心電計120により取得した心電図のR波に同期して行われ、一心周期内にIRシーケンス101と撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103とを行うものである。本実施の形態では、撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103との間に核磁化回復加速シーケンス1を行うことにより、撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103とを連続して行うことを可能としている。
【0016】
IRシーケンス101は、検査対象92の撮像部位の核磁化を反転させるRFパルス(IRパルス)を照射するシーケンスであり、心電図のR波から所定の時間が経過した時点で実行される。予め造影剤が投与された心筋は、正常心筋と梗塞心筋との緩和時間T1に差異が生じているので、IRパルスの照射から時間が経過するにつれ核磁化にはT1コントラストが生じる。そこでIRパルスの照射から所定時間TI(心電図のR波から時間TD)が経過した時点で、短TR、高SNの撮像シーケンス102を実行する。なお、時間TIは、R波から時間TDが心臓位相の拡張期になるように設定する。
【0017】
撮像シーケンス102としては、例えば図3に示したように当該分野従事者間でBASGと呼ばれる公知のシーケンスを用いることができる。このBASGは、最初に印加するフリップ角(−α/2)のRFパルス41とその後に交互に印加するフリップ角αとフリップ角(−α)のRFパルス42、43とを含み、核磁化を(−α/2)と(α/2)の方向に交互に倒しながら、必要な数の画像用MR信号44を取得するシーケンスである。なお、図3では、図示の都合上、RFパルス42,43により2つの画像用MR信号のみを得ている場合について示しているが、実際には所定数の画像用MR信号が得られるまで、RFパルス42,43を印加しながらMR信号44を取得する。なお、撮像シーケンス102の最後のRFパルス47の照射時にはMR信号を取得せず、図3のように核磁化回復加速のためのシーケンス1を実行する。
【0018】
核磁化回復加速シーケンス1は、撮像シーケンス102照射されたRFパルス41、42、43、47により乱れた核磁化を回復させるシーケンスである。これにより、リファレンスシーケンス103で取得される補正用信号の精度を向上させる。核磁化回復加速シーケンス1は、図3に示したようにRFパルス45とスポイラー用の傾斜磁場46とを含む。RFパルス45は、撮像シーケンス102のRFパルスにより倒された核磁化を正立させるためのRFパルスである。図3の撮像シーケンス102の場合、最後のRFパルス41によりα/2方向に核磁化が倒れているため、RFパルス45としてフリップ角(−α/2)のRFパルスを用い、核磁化を正立させる。なお、RFパルス45の照射タイミングは、最後のRFパルス47から撮像シーケンス102におけるRFパルス42、43の照射間隔TRの1/2に設定する。スポイラー用の傾斜磁場は、正立させた核磁化の位相を均一化するため、XYZの三方向に印加する。
【0019】
この後、BASGよりもさらに低フリップ角、短TRのリファレンスシーケンス103を短時間で実行し、RFコイル104に起因する位相歪み情報を含む補正用信号を取得する。
【0020】
なお、スライス選択は、IRシーケンス101はスライス非選択で行い、撮像シーケンス102、核磁化回復加速シーケンス1およびリファレンスシーケンス103は、同じスライスについて実行する。IRシーケンス101のスライス非選択は、例えばスライス選択のための傾斜磁場を用いずに図2のようにIRパルスを印加することで実現する。
【0021】
実際のパルスシーケンスでは、1つのスライスにつき画像再構成に必要な数(例えば256個)のMR信号44および補正用信号を取得するまで、図2のシーケンスを繰り返し行う。一心拍の撮像シーケンス102およびリファレンスシーケンス103で取得する信号数は、R波から心臓拡張期となる時間TD後に開始して、次のR波までに取得可能な数を設定する。例えば、図2のように心電図のR波に同期してIRシーケンス101を実行した後、撮像シーケンス102を行なって32個のMR信号を取得する。核磁化回復シーケンス1を行った後、リファレンスシーケンス103を実行し、32個の補正用信号を取得する。これを繰り返すことにより、8心拍でMR信号256個、補正用信号256個を取得することができる。
【0022】
計算機118は、撮像シーケンス102およびリファレンスシーケンス103で得られた信号から、位相歪み除去処理を含む画像再構成を行う。まず、リファレンスシーケンス103で得た補正用信号に対して複素フーリエ変換を適用する。変換後のデータの実数成分と虚数成分を用いて、位相成分を算出する。これがRFコイル104に起因する位相歪みである。次いで、撮像シーケンス102で得られた画像用信号44に対して複素フーリエ変換を適用した後、データの実数成分と虚数成分とを用いて絶対値成分と位相成分を導出する。得られた位相成分と前述の補正用信号から得た位相成分との差分を求め、これを新たな位相成分とし、この新たな位相成分と、前述の画像用信号の絶対値成分とから、実数成分と虚数成分を再計算する。最後に、再計算で求めた実数成分のみを用いて画像を作成する。これにより、RFコイル104の位相歪みを除去したPSIR法による画像再構成を行うことができる。
【0023】
上述してきたように、第1の実施の形態のMRI装置では、同一心周期内でIRシーケンス101と撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103の3つを行うため、撮像時間を短縮することができる。しかも、撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103との間に、核磁化回復加速シーケンス1を実行することにより、撮像シーケンス1で乱れた核磁化を回復させてから補正用信号を取得することができる。よって、撮像時間の短縮を図りながら、補正用信号として撮像精度の高い信号を取得することができる。
【0024】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態のMRI装置は、第1の実施の形態と同様に、一心拍中にIRシーケンス101、撮像シーケンス102、リファレンスシーケンス103を実行することにより撮像時間の短縮を図る装置であるが、さらに撮像時間の短縮を図るために図4に示したようにリファレンスシーケンス103で取得する補正信号数を、MR信号の数よりも低減する。これにより、R波からリファレンスシーケンス103終了までの時間を短くできるため、例えば不整脈が発生し、心電図のR−R波間隔が短くなった場合であっても、補正用信号の取得エラーは生じにくく、検査時間を短縮する上で有効である。これを以下説明する。
【0025】
撮像シーケンス102で取得する画像用信号は、心筋梗塞部位の画像化を目的としているのに対し、リファレンスシーケンス103で取得する補正用信号はRFコイル4に起因する位相歪の計測を目的としている。この位相歪は通常、空間的に緩やかな分布となっているため、再構成画像と比較して空間分解能を低減し、リファレンスシーケンス103における取得信号数を低減することが可能である。なお、取得信号数を低減する場合、k空間の辺縁域の補正用信号を低減し、k空間の中心域の補正用信号を重点的に取得する事が望ましい。k空間の中心域の信号は、画像再構成により強コントラスト画像となるため、補正の効果が大きいからである。また、画像再構成時に位相歪を除去する演算は、上述したように、画像用信号の複素フーリエ変換後のデータと、補正用信号の複素フーリエ変換後のデータとを1対1で演算するため、両者のデータ数が等しいことが望ましい。そこで、補正用信号、或いは補正用信号を複素フーリエ変換した後のデータに関して、線形補間等の補間処理を施し、画像用信号の複素フーリエ変換後のデータ量に一致させる。
【0026】
具体的には、図4のように、撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103とで視野を揃えた上で、同一のスライスに対して撮像シーケンス102では1心拍あたり32個の画像用信号を取得し、リファレンスシーケンス103では16個の補正用信号を取得する。これを8心拍繰り返すと、画像用信号は256個、補正用信号は128個となる。ここで、計算機118は、補正用信号のデータに対してゼロフィリングを行い、データ数を256個とする。
【0027】
計算機118は、取得した256個の画像用信号と、補間により256個となった補正用信号のそれぞれに、第1の実施の形態と同様に複素フーリエ変換を適用する。複素フーリエ変換後のデータ数は、画像用信号と補正用信号とで等しいので、画像用信号と補正用信号を同数取得する場合の補正処理を変更することなく適用して、実数成分から画像を再構成することができる。
【0028】
また、不整脈に対応するため、補正用信号を画像用信号よりも少ない心拍数で取得するシーケンスにすることも可能である。例えば、取得するトータルの信号数を、画像用信号は信号数256個×2回積算で512個、補正用信号は96個とし、1心拍で取得する信号数を画像用信号32個、補正用信号8個とする。この場合、画像用信号は16心拍で、補正用信号は12心拍で取得することが可能である。よって、不整脈が発生せず、そのままパルスシーケンスを続行できる場合には、13心拍以後のリファレンスシーケンス103において、補正用信号の低周波領域を重点的に取得し、補正用信号の精度を向上させることができる。あるいは、13心拍以降はリファレンスシーケンス103を実行せずに撮像シーケンス102を継続し、1心拍あたりに取得する画像用信号の数を例えば32個から40個に増やし、撮影時間を短縮する構成にすることもできる。一方、パルスシーケンス中に不整脈が発生してR−R波間隔が狭まり、画像用信号は取得できたが補正用信号は取得エラーになる心拍が複数あった場合、全補正用信号を取得する以前に画像用信号の取得が完了することがあり得る。この湯合、13心拍以降は、撮像シーケンスは画像用信号の低周波領域を重点的に取得し、補正用信号の取得が完了するまでこれを継続する構成にすることができる。
【0029】
このように画像用信号と比較して、補正用信号を少ない心拍で取得するシーケンスにすることにより、不整脈が生じ得る検査対象92の検査時間を結果的に短縮することができ有効である。
【0030】
なお、本実施の形態で図4に示したパルスシーケンスでは、同一スライスに対して撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103とを実行するので、補正用信号の精度低下を防ぐため、撮像シーケンス102の後に第1の実施の形態の核磁化回復加速シーケンス1を行うことが望ましい。
【0031】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態のMRI装置は、一心拍中にIRシーケンス101、撮像シーケンス102、リファレンスシーケンス103を行うパルスシーケンスを実行するという点においては、第1および第2の実施の形態と同様であるが、図5または図6に示したように同一心拍内で実行する撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103の信号を取得するスライス面を異ならせている。これにより、撮像シーケンス102で核磁化の乱れが生じても、同一心拍内に行われるリファレンスシーケンス103では別のスライスから補正用信号を取得するため、補正用信号の精度低下を防止できる。これにより、核磁化回復加速シーケンス1を行わなくても、補正用信号の精度を向上させることが可能でなる。
【0032】
具体的な、パルスシーケンスを図5を用いて説明する。第1心拍において、IRシーケンス101実行後、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス101を実行する。撮像シーケンス102ではスライス1から画像用信号を取得し、リファレンスシーケンス103ではスライス2から補正用信号を取得する。つぎに第2心拍において、IRシーケンス201を実行後、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス202とリファレンスシーケンス203を実行する。撮像シーケンス202ではスライス2から画像用信号を取得し、リファレンスシーケンス203ではスライス3から補正用信号を取得する。第3心拍以降も同様のスライス選択とする。すなわち、第n番目心拍では、撮像シーケンスではスライス番号nについて、リファレンスシーケンスではスライス番号n+1についてそれぞれ信号を取得し、予め定められた数の画像用信号を取得するまで、同期計測を継続する。
【0033】
計算機118は、第n番目の心拍のリファレンスシーケンス103で取得したスライス番号nについての補正用信号によって、第n+1番目の心拍の撮像シーケンスで取得したスライス番号nの画像用信号を補正する。
【0034】
また、別のパルスシーケンスを図6を用いて説明する。図6のパルスシーケンスでは、同一心拍内で実行する撮像シーケンス102とリファレンスシーケンス103の信号を取得するスライス面を異ならせながら、連続した2つの心拍(第1心拍と第2心拍)で2つのスライス(スライス番号1とスライス番号2)についての画像用信号と補正用信号が取得できるようにしたものである。すなわち、第1心拍において、IRシーケンス101を実行後、所定の待ち時間TI経過後に、スライス1について撮像シーケンス102を実行して画像用信号を取得し、続けてスライス2についてリファレンスシーケンス103を実行して補正用信号を取得する。第2心拍において、IRシーケンス201実行後、スライス2について撮像シーケンス201を実行して画像用シーケンスを取得し、続けてスライス1についてリファレンスシーケンス202を実行して補正用信号を取得する。以後、予め定められた数の画像用信号が取得できるまで、連続した2つの心拍(第n番目と第n+1番目の心拍)で2つのスライス(スライス番号mとスライス番号m+1)についての画像用信号と補正用信号の両方が取得されるように、同期計測を継続する。
【0035】
計算機118は、第n番目の心拍のリファレンスシーケンスで取得したスライス番号m+1についての補正用信号により、第n+1番目の心拍の撮像シーケンスで取得したスライス番号m+1の画像用信号を補正し、第n+1番目の心拍のリファレンスシーケンスで取得したスライス番号mについての補正用信号により、第n番目の心拍の撮像シーケンスで取得したスライス番号mについての画像用信号を補正する。
【0036】
このように、第3の実施の形態の図5および図6のパルスシーケンスでは、同一心拍内に連続して行われる撮像シーケンスとリファレンスシーケンスでありながら別々のスライスから補正用信号を取得するため、十分回復した核磁化から高精度の補正用信号を取得することができる。
【0037】
なお、図5に示したパルスシーケンスは、いずれのスライスについても、補正用信号を取得してから画像用信号を取得するという順番になるため、高精度にRFコイル104の位相歪みを除去することができるという利点がある。一方、図6に示したパルスシーケンスは、2心拍で2つのスライスについて補正用信号と画像用信号の両方を取得できるので、不整脈等により信号取得が中断しやすい不安定な検査対象92に適しているという利点がある。
【0038】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態のMRI装置で実行するパルスシーケンスは、図7および図8に示したように、同一心拍中に実行する撮像シーケンスとリファレンスシーケンスの対象スライスを異ならせるという点では第3の実施の形態と同様であるが、さらにIRシーケンスによる核磁化反転の影響が残存してリファレンスシーケンスに及ぶのを防止するものである。これを実現するため、IRシーケンスでは、リファレンスシーケンスを実行するスライスのみ核磁化が反転しないようにする。
【0039】
具体的には、特定のスライスだけ核磁化を反転させず、残りのスライスについては核磁化を反転させるバンドパスIRシーケンス171、271を用い、図7に示したように、例えば第1心拍においてはリファレンスシーケンス103で補正信号を取得するスライス2のみ核磁化を反転させず、他のスライスの核磁化を反転させ、第2心拍においてはスライス3のみ磁化を反転させず、他のスライスの核磁化を反転させる。
【0040】
バンドパスIRシーケンス171、271としては、公知のシーケンスを用いることができ、例えば米国特許第6,618,605号公報に記載のものを用いることができる。または、図9(a)に示したように、一旦すべてのスライスにIRパルス(180°RFパルス)を照射した後、特定スライス(図9(a)ではスライス1)のみさらにIRパルスを照射することにより、特定スライスの核磁化を再び正立させるシーケンスを用いることもできる。さらには、図9(b)に示したように、特定スライス(図9(b)ではスライス3)を挟んで両側の領域(スライス1〜2の領域とスライス4の領域)に、それぞれIRパルスを照射することにより、特定スライスのみ磁化を反転させず、他のスライスの磁化を反転させるシーケンスを用いることもできる。
【0041】
このように図7のパルスシーケンスにおいては、第1心拍において、バンドパスIRシーケンス171によりスライス2以外のスライスの核磁化を反転させた後、第3の実施の形態の図5のシーケンスと同様に、スライス1について撮像シーケンス102を、スライス2についてリファレンスシーケンス103を実行する。第2心拍において、バンドパスIRシーケンス271によりスライス3以外のスライスの核磁化を反転させた後、スライス2について撮像シーケンス202を、スライス3についてリファレンスシーケンス203を実行する。
【0042】
一方、図8に示したパルスシーケンスにおいては、第1心拍において、バンドパスIRシーケンス171によりスライス2以外のスライスの核磁化を反転させた後、第3の実施の形態の図6のシーケンスと同様に、スライス1について撮像シーケンス102を、スライス2についてリファレンスシーケンス103を実行する。第2心拍において、バンドパスIRシーケンス271によりスライス3以外のスライスの核磁化を反転させた後、スライス2について撮像シーケンス202を、スライス1についてリファレンスシーケンス203を実行する。
【0043】
図7および図8のパルスシーケンスで取得した画像用信号は、第3の実施の形態の図5および図6のパルスシーケンスと同様に補正用信号により補正する。本実施の形態のパルスシーケンスでは、補正用信号が撮像シーケンスの核磁化の乱れの影響を受けないという効果に加えて、IRシーケンスの核磁化反転の影響も受けないという効果も得られるため、補正用信号の精度をさらに向上させることができる。
【0044】
(第5の実施の形態)
第1から第4の実施の形態では、画像用信号と補正用信号とを同一心拍内に取得するために、第1の実施の形態では核磁化回復加速シーケンス1を行う手法を、第2の実施の形態では補正用信号の数を低減する手法を、第3の実施の形態では、撮像シーケンスとリファレンスシーケンスのスライスを異ならせる手法を、第4の実施の形態では、リファレンスシーケンスを実行するスライスの核磁化をIRパルスで反転させない手法を用いた。これら4つの手法を、組み合わせて用いることも可能である。
【0045】
図10に示したパルスシーケンスは、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせたパルスシーケンスである。IRシーケンス101を実行後、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス102を実行し、スライス1から画像用信号を32個取得する。この後、核磁化回復シーケンス1を実行し、リファレンスシーケンス103を実行し、補正用信号を16個取得する。これにより、撮像シーケンス102により生じた核磁化の乱れの影響が補正用信号に及ぶのを防止し、かつ、補正用信号を短時間で取得できるという効果が得られる。
【0046】
なお、図10のシーケンスでは、撮像シーケンスとリファレンスシーケンスが、二次元スライス1から信号を取得する例を示しているが、両シーケンスが三次元ボリュームを対象とした信号取得シーケンスの場合であっても、図11のシーケンスを用いることが可能である。
【0047】
図11に示したパルスシーケンスは、第1、第2および第3の実施の形態の手法を組み合わせた例である。第1心拍において、IRシーケンス101を実行後、所定の待ち時間TI経過後に撮影シーケンス102を実行し、スライス1から画像用信号を32個取得する。この後、核磁化回復シーケンス1を実行し、続けてリファレンスシーケンス103を実行し、スライス2から補正用信号を16個取得する。第2心拍において、IRシーケンス201実行後、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス202を実行し、スライス2から画像用信号を32個取得する。核磁化回復シーケンス1を実行した後、リファレンスシーケンス203を実行し、スライス1から補正用信号を16個取得する。補正用信号の補間および画像信号の補正方法については、第1〜第3の実施の形態と同様にする。
【0048】
なお、図11のパルスシーケンスにおいて、核磁化回復加速シーケンス1を行わない構成にすることも可能である。また、図11のパルスシーケンスでは、補正信号を取得するスライスの順番を図6のパルスシーケンスと同様にした例を示しているが、図5のパルスシーケンスの順番にすることも可能である。
【0049】
図12に示したパルスシーケンスは、第1、第2および第4の実施の形態を組み合わせたパルスシーケンスである。第1心拍において、バンドパスIRシーケンス171により核磁化反転パルスをスライス2以外のスライスに印加し、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス102を実行し、スライス1から画像用信号を32個取得する。核磁化回復シーケンス1を実行した後、リファレンスシーケンス103を実行し、スライス2から補正用信号を16個取得する。第2心拍において、バンドパスIRシーケンス271により核磁化反転パルスをスライス1以外のスライスに印加し、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス201を実行し、スライス2から画像用信号を32個取得する。核磁化回復シーケンス1を実行した後、リファレンスシーケンス203を実行し、スライス1から補正用信号を16個取得する。補正用信号の補間および画像信号の補正方法については、第1〜第4の実施の形態と同様にする。
【0050】
なお、図12のパルスシーケンスにおいて、核磁化回復加速シーケンス1を行わない構成にすることも可能である。また、図12のパルスシーケンスでは、補正信号を取得するスライスの順番を図7のパルスシーケンスと同様にした例を示しているが、図8のパルスシーケンスの順番にすることも可能である。
【0051】
(第6の実施の形態)
上述の第1〜第5の実施の形態では、PSIR法の撮像時間の短縮の効果が得られるパルスシーケンスについて示したが、第6の実施の形態では撮像時間短縮は目的とせず、補正用信号の高精度化を目的としている。従来のPSIRシーケンスでは図14に示したように、2心拍に1度リファレンスシーケンスを実行し、このリファレンスシーケンスを実行する心拍ではIRパルスを印加しないことにより、補正用信号に与えるIRパルスの影響を低減している。しかしながら、近年、実用化されつつある静磁場強度が3T以上の高静磁場MRI装置では、検査対象92の緩和時間T1が延長されるため、2心拍に一度リファレンスシーケンスを実行する従来のPSIRシーケンスであっても、IRパルスの影響が大きく残存し、補正用信号の精度が低下する傾向にある。そこで、第6の実施の形態では、第3の実施の形態で説明した手法と第4の実施の形態で説明した手法を、従来の図14のシーケンスに適用することにより、補正用信号の精度を向上させる。
【0052】
図13にそのパルスシーケンスを示したように、1心拍ごとに交互に撮像シーケンスとリファレンスシーケンスを実行するパルシーケンスにおいて、リファレンスシーケンスを実行したスライスについて、次の心拍で撮像シーケンスを実行するようにスライスを選択し、かつ、バンドパスIRシーケンスによりリファレンスシーケンスを実行するスライスは核磁化を反転させないようにする。
【0053】
具体的には例えば、第1心拍において、バンドパスIRシーケンス171を実行することにより核磁化反転パルスをスライス1以外のスライスに印加し、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス102を実行し、スライス3から画像用信号を取得する。第2心拍においては、リファレンスシーケンス103を実行し、スライス1から補正用信号を取得する。第3心拍において、バンドパスIRシーケンス271により核磁化反転パルスをスライス3以外のスライスに印加し、所定の待ち時間TI経過後に撮像シーケンス202を実行し、スライス1から画像用信号を取得する。第4心拍において、リファレンスシーケンス203を実行し、スライス3から補正用信号を取得する。第5心拍以後のスライス面は、第5心拍は第1心拍と同様、第6心拍は第2心拍と同様とし、以後、同様のスライス対応関係により計測を継続する。取得した補正用信号を用いて、同一スライスについて撮像シーケンスで取得した画像用信号をそれぞれ補正する。
【0054】
このように、バンドパスIRシーケンスを用いながら、リファレンスシーケンスを実行したスライスについて、次の心拍で撮像シーケンスを実行するようにスライス選択を行うことにより、IRパルスの影響がリファレンスシーケンスに及ばない。よって、高精度の補正用信号を取得できるため、RFコイル104の位相歪みを精度よく除去することが可能になる。
【0055】
なお、図13のパルスシーケンスにおいて、撮像シーケンスの後に核磁化回復加速シーケンス1を実行することも可能である。また、リファレンスシーケンスで取得する補正信号数を第2の実施の形態のように撮像シーケンスで取得する画像信号数よりも少なくし、補間により同数にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態のMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施の形態のMRI装置で実行するパルスシーケンスを示す説明図。
【図3】図2のパルスシーケンスで行う撮像シーケンス102と核磁化回復加速シーケンス1の具体的なシーケンス例を示す説明図。
【図4】第2の実施の形態のMRI装置で実行する、補正信号数を低減したパルスシーケンスを示す説明図。
【図5】第3の実施の形態のMRI装置で実行する、スライス選択をするパルスシーケンスを示す説明図。
【図6】第3の実施の形態のMRI装置で実行する、スライス選択をするパルスシーケンスの別の例を示す説明図。
【図7】第4の実施の形態のMRI装置で実行する、バンドパスIRシーケンス171を用いるパルスシーケンスを示す説明図。
【図8】第4の実施の形態のMRI装置で実行する、バンドパスIRシーケンス171を用いるパルスシーケンスの別の例を示す説明図。
【図9】(a)および(b)は、図7および図8で用いるバンドパスIRシーケンスの一例を示す説明図。
【図10】第5の実施の形態のMRI装置で実行する、核磁化回復加速シーケンスと補正信号数低減とを組み合わせたパルスシーケンスを示す説明図。
【図11】第5の実施の形態のMRI装置で実行する、核磁化回復加速シーケンスと補正信号数低減とスライス選択とを組み合わせたパルスシーケンスを示す説明図。
【図12】第5の実施の形態のMRI装置で実行する、核磁化回復加速シーケンスと補正信号数低減とバンドパスIRシーケンスとを組み合わせたパルスシーケンスを示す説明図。
【図13】第6の実施の形態のMRI装置で実行する、リファレンスシーケンスと撮像シーケンスを別心拍に行いながらバンドパスIRシーケンスにより補正信号の高精度化するパルスシーケンスを示す説明図。
【図14】従来技術のPSIR法によるパルスシーケンスを示す説明図。
【符号の説明】
【0057】
1・・・核磁化回復加速シーケンス、91・・・静磁場発生装置、92・・・検査対象、93・・・ベッド、101・・・IRシーケンス、102・・・撮像シーケンス、103・・・リファレンスシーケンス、104・・・高周波磁場コイル(RFコイル)、105・・・X方向傾斜磁場コイル、106・・・Y方向傾斜磁場コイル、107・・・Z方向傾斜磁場コイル、108・・・高周波磁場電源、109・・・X方向傾斜磁場コイル、110・・・Y方向傾斜磁場コイル、111・・・Z方向傾斜磁場コイル、112・・・発振器、113・・・変調装置、114・・・増幅器、115・・・受信器、116・・・制御装置、117・・・記憶媒体、118・・・計算機、119・・・ディスプレイ、120・・・心電計、121・・・入力部、171、271・・・バンドパスIRシーケンス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像空間に静磁場を発生する静磁場発生部と、前記撮像空間に所定の傾斜磁場を印加する傾斜磁場発生部と、前記撮像空間に配置された検査対象に高周波磁場を照射し、前記検査対象が発した磁気共鳴信号を受信する高周波磁場コイルと、前記傾斜磁場発生部と高周波磁場コイルとを制御することにより所定のパルスシーケンスを実行する制御部とを含み、
前記制御部は、前記パルスシーケンスとして、核磁化を反転させる高周波磁場を照射する核磁化反転シーケンスと、画像用磁気共鳴信号を取得する撮像シーケンスと、前記高周波磁場コイルの位相歪み情報を含む補正用磁気共鳴信号を取得する補正用シーケンスとを、前記検査対象の一心拍中に実行することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記撮像シーケンスが核磁化に与える影響が前記補正用磁気共鳴信号に及ぶのを防止するために、前記制御部は、前記撮像シーケンスと補正用シーケンスとの間に核磁化の回復を加速させるシーケンスを実行することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記制御部が実行する前記核磁化回復加速シーケンスは、前記撮像シーケンスで照射された高周波磁場による核磁化の回転を打ち消すための高周波磁場の照射と、核磁化の位相を均一に分散させるための傾斜磁場の印加とを含むことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記撮像シーケンスが核磁化に与える影響が前記補正用磁気共鳴信号に及ぶのを防止するために、前記制御部は、同一心拍中に実行される前記撮像シーケンスと前記補正用シーケンスとが、別々の領域からそれぞれ前記画像用磁気共鳴信号と前記補正用磁気共鳴信号を取得するように制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記補正用シーケンスが前記補正用磁気共鳴信号を取得する領域は、次の心拍において前記撮像シーケンスが前記画像用磁気共鳴信号を取得する領域であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記制御部は、連続した2心拍のうち、最初の心拍において、第1領域から前記撮像シーケンスが前記画像用磁気共鳴信号を取得し、第2領域から前記補正用シーケンスが前記補正用磁気共鳴信号を取得し、2番目の心拍において、第2領域から前記撮像シーケンスが前記画像用磁気共鳴信号を取得し、第1領域から前記補正用シーケンスが前記補正用磁気共鳴信号を取得するように制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項4、5および6のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記核磁化反転シーケンスは、前記補正用シーケンスが前記補正用磁気共鳴信号を取得する領域については、核磁気を反転させないことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記制御部は、前記補正用シーケンスで取得する補正用磁気共鳴信号の数を、前記撮像シーケンスで取得される画像用磁気共鳴信号の数よりも少なくすることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
撮像空間に静磁場を発生する静磁場発生部と、前記撮像空間に所定の傾斜磁場を印加する傾斜磁場発生部と、前記撮像空間に配置された検査対象に高周波磁場を照射し、前記検査対象が発した磁気共鳴信号を受信する高周波磁場コイルと、前記傾斜磁場発生部と高周波磁場コイルとを制御することにより所定のパルスシーケンスを実行させる制御部とを含み、
前記制御部は、前記パルスシーケンスとして、所定領域について前記高周波磁場コイルの位相歪み情報を含む補正用磁気共鳴信号を取得する補正用シーケンス、当該所定領域の核磁化を反転させる高周波磁場を照射する核磁化反転シーケンス、当該所定領域について画像用磁気共鳴信号を取得する撮像シーケンスをこの順番で実行させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記制御部は、前記パルスシーケンスを繰り返し実行させ、前記核磁化反転シーケンスは、次のパルスシーケンスで補正用磁気共鳴信号を取得する領域については核磁気を反転させないことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の磁気共鳴イメージング装置において、1つの前記パルスシーケンスを連続する2心拍で実行し、第1心拍で前記補正用シーケンス、第2心拍で前記核磁化反転シーケンスと撮像シーケンスを実行することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−81704(P2006−81704A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269233(P2004−269233)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】