説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】操作者が望む時間内に画像再構成を終了させ、直ちにその作成された画像を表示させることが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置(10)は、被検者(SB)から生じる磁気共鳴信号を用いて、被検者の第1断層画像を表示部(180)に表示する磁気共鳴イメージング装置である。そしてこの装置は、第1断層画像を得るための撮影条件を入力する条件入力部(190)と、撮影条件に基づいて第1断層画像を画像再構成する第1画像再構成条件で画像再構成に要する時間よりも短い時間で画像再構成する第2画像再構成条件を算出する算出部(175)と、を備え、第2画像再構成条件で画像再構成された第2断層画像を表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者から生じる磁気共鳴信号を画像化する磁気共鳴イメージング装置に関する。特に操作者に素早くMR画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の磁気共鳴イメージング装置においては、パルスシーケンス(pulse sequence)ごとに画像再構成される画像が、磁気共鳴イメージング装置に搭載されたオートビューワ機能により画像表示装置に逐次表示させていた。オートビューワ機能は画像再構成された画像を順次自動で表示する機能である。近年磁気共鳴イメージング装置の進歩に伴い、画像枚数又は画像再構成時間が増大する傾向にある。その一方、パルスシーケンスの進歩に伴い、撮影時間は短縮する傾向にある。
【0003】
特許文献1に示されているように、パルスシーケンスごと又は部位ごとに画像再構成された画像が逐次表示されていた。このため、磁気共鳴イメージング装置を操作する操作者は、所望の画像が撮影されているかを確認するために、撮影が終了しても所望の画像が表示されるまで待機し、所望の画像を確認してから被検者を磁気共鳴イメージング装置から退出させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−110510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気共鳴イメージング装置は狭いボア(内部空間)の中に被検者を搬入させて撮影されているため、操作者は被検者のためになるべく早く被検者をボア内から搬出したい事情がある。また、病院等の救急医療に携わる医療現場において、操作者は磁気共鳴イメージング装置による撮影の一人当たりのスループットを上げたい事情又は素早く撮影を終わらせて治療に移さなければならない事情もある。
【0006】
撮影結果を観察する医師等は多くの枚数の画像及び多くのパルスシーケンスによる画像を望んでいる現状がある。操作者は限られた時間枠の中で、できるだけ多くの枚数の画像及び多くのパルスシーケンスによる画像を撮影し、またできるだけ多くの被検者を撮影することを求められている。このため、磁気共鳴イメージング装置には被検者あたりにかかる撮影時間を減少させ、スループットの向上が求められている。さらに、磁気共鳴イメージング装置は撮影される画像の画質が良く、多くのパルスシーケンス、及び複数断面などの多くの画像の画像再構成も同時に求められている。
【0007】
そこで、本発明は撮影した画像を操作者が望む時間内に、その作成された画像を表示させることが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点の磁気共鳴イメージング装置は、被検者から生じる磁気共鳴信号を用いて、被検者の第1断層画像を表示部に表示する磁気共鳴イメージング装置である。そしてこの装置は、第1断層画像を得るための撮影条件を入力する条件入力部と、
撮影条件に基づいて第1断層画像を画像再構成する第1画像再構成条件で画像再構成に要する時間よりも短い時間で画像再構成する第2画像再構成条件を算出する算出部と、を備え、
第2画像再構成条件で画像再構成された第2断層画像を表示部に表示する磁気共鳴イメージング装置。
【0009】
第2の観点の磁気共鳴イメージング装置において、算出部は、第1画像再構成条件で第1断層画像が表示部に表示されるまでの時間を算出する。
【0010】
第3の観点の磁気共鳴イメージング装置は、条件入力部で設定可能な画像再構成条件を構成する複数のパラメータごとに画像再構成に要する画像再構成時間を記憶する記憶部を備え、
算出部は、パラメータを組み合わせて第2画像再構成条件を算出し、且つ第2画像再構成条件で第2断層画像が表示部に表示されるまでの時間を算出する。
【0011】
第4の観点の磁気共鳴イメージング装置は、表示部に第2断層画像が表示されるまでの時間、又は第1断層画像が表示される時間に対する第2断層画像が表示されるまでの時間の割合を入力する表示時間入力部を備える。
【0012】
第5の観点の磁気共鳴イメージング装置は、第1画像再構成条件は、磁気共鳴信号を得るためのパルスシーケンスの種類及び断層画像の解像度を含み、
算出部は、表示時間入力部で入力された時間又は割合に基づいて、解像度を低減した第2画像再構成条件を算出する。
【0013】
第6の観点の磁気共鳴イメージング装置は、第1画像再構成条件は、断層画像のノイズを低減するために断層画像の加算回数を含み、
算出部は、表示時間入力部で入力された時間又は割合に基づいて、加算回数を低減した第2画像再構成条件を算出する。
【0014】
第7の観点の磁気共鳴イメージング装置は、第1画像再構成条件は、断層画像の一部又は全部を強調させる画像選択条件を含み、
算出部は、表示時間入力部で入力された時間又は割合に基づいて、画像選択条件をなくした第2画像再構成条件を算出する。
【0015】
第8の観点の磁気共鳴イメージング装置は、時間又は割合は、被検者ごと又は磁気共鳴イメージング装置を操作する操作者ごとに表示時間入力部を介して予め設定されている。
第9の観点の磁気共鳴イメージング装置は、第1断層画像の画像再構成の終了後に、表示部は第2断層画像に代えて第1断層画像を表示する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作者が所望する時間に画像再構成を終了させることで、検査のスループットの向上を実現させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】磁気共鳴イメージング装置の概略構成図である。
【図2】磁気共鳴イメージング装置による検査に係るフローチャートである。
【図3】撮影と画像再構成とのタイムテーブルを示した図である。
【図4】(a)は、第1画像G1及び第2画像G2を並べて表示させた場合の図である。 (b)は、第1画像G1及び第2画像G2をタブ表示させた場合の図である。
【図5】磁気共鳴イメージング装置の撮影時に係る算出部175の動作の概要を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、撮影プロトコルHEAD1の一例を示した表である。 (b)は、撮影プロトコルHEAD2の一例を示した表である。
【図7】第2画像再構成時間Ta2を入力する表示時間入力部195の入力画面の一例を示した図である。
【図8】表示時間入力部195によるフローチャートである。
【図9】(a)は、第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayの入力画面を示した図である。 (b)は、画像加算回数NEXの入力画面を示した図である。 (c)は、オプションOPの入力画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの形態に限られるものではない。
【0019】
<磁気共鳴イメージング装置の構成>
図1は第1実施の形態の磁気共鳴イメージング装置10の概略構成図である。図1を参照して、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置10の構成およびその基本動作について述べる。
【0020】
本実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、マグネットシステム100、記憶部110、勾配コイル駆動部130、RFコイル駆動部140、データ収集部150、シーケンス制御部160、データ処理部170、表示部180及び条件入力部190を有する。
【0021】
マグネットシステム100は、主磁場コイル部102、勾配コイル部106及びRFコイル部108を有している。これら各コイル部は概ね円筒状の形状を有し、概ね円柱状のボアに互いに同軸状に配置されている。ボア内には被検者SBが寝台200に載置されており、寝台200は、撮影部位に応じて、マグネットシステム100内のボア内を移動可能になっている。
【0022】
主磁場コイル部102は、マグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は概ね被検者SBの体軸の方向に平行であり水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は、通常、超伝導コイルを用いて構成されるが、超伝導コイルに限らず永久磁石等を用いて構成してもよい。
【0023】
勾配コイル部106は、互いに直交する3軸、すなわち、スライス軸、位相軸および周波数軸の方向において、それぞれ主磁場コイル部102によって形成された静磁場強度に勾配を持たせるための3種の勾配磁場を発生する。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部106は図示しない3系統の勾配コイルを有する。勾配コイル部106には勾配コイル駆動部130が接続されており、勾配コイル駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配コイル駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0024】
スライス軸方向の勾配磁場をスライス勾配磁場と言い、位相軸方向の勾配磁場を位相エンコード勾配磁場(又はフェーズエンコード勾配磁場)と言い、周波数軸方向の勾配磁場をリードアウト勾配磁場(又は、周波数エンコード勾配磁場)と言う。
【0025】
三次元直交座標系において、静磁場空間における互いに直交する座標軸をX軸,Y軸,Z軸としたとき、いずれの軸もスライス軸とすることができる。本実施形態においては、スライス軸を被検者SBの体軸の方向をZ軸方向とし、残り2軸のうちの一方を位相軸とし、他方を周波数軸とする。なお、スライス軸、位相軸および周波数軸は、相互間の直交性を保ったまま、X,Y,Z軸に関して任意の傾きを持たせることも可能である。
【0026】
RFコイル部108は静磁場空間に被検者SBの体内のスピンを励起するための高周波磁場を形成する。高周波磁場を形成することをRF励起信号の送信といい、RF励起信号をRFパルスという。RFコイル部108にはRFコイル駆動部140が接続されており、RFコイル駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与えてRFパルスを送信する。励起されたスピンが生じる電磁波すなわち磁気共鳴(MR)信号は、RFコイル部108によって受信される。RFコイル部108にはデータ収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル部108が受信したエコー信号(又はMR受信信号)をデジタルデータとして収集する。
【0027】
RFコイル部108で検出し、データ収集部150で収集したMR信号は、周波数ドメイン(周波数領域)、例えばフーリエ空間の信号となる。位相軸方向および周波数軸方向の勾配により、MR信号のエンコードを2軸で行うので、MR信号は、たとえば、周波数空間をフーリエ空間で例示すると、二次元フーリエ空間における信号として得られる。二次元フーリエ空間をkスペースともいう。位相(フェーズ)エンコード勾配磁場および周波数エンコード(リードアウト)勾配磁場は、二次元フーリエ空間における信号のサンプリング位置を決定する。
【0028】
記憶部110はパルスシーケンスデータベース(以下はPSDと称する)、各種プログラム、各種データが記憶され、適宜読み出しと書き込みが行われる。また、記憶部110にはPSD及び被検者SBを撮影する撮影条件が撮影プロトコルとして記憶されている。この撮影プロトコルは、撮影されたデータから各種画像再構成の設定条件(以下はパラメータと称する)として保存されている。撮影プロトコルは撮影部位及び撮影方法ごとに記憶することも可能であり、被検者SB毎に記憶することも可能である。さらに、操作者ごとに撮影プロトコルを作成可能であり、操作者が所望するパラメータを容易に読み出すことが可能である。
【0029】
勾配コイル駆動部130、RFコイル駆動部140およびデータ収集部150にはシーケンス制御部160が接続されている。
シーケンス制御部160は、操作者に入力された撮影条件、すなわち撮影プロトコルに従い、勾配コイル駆動部130及びRFコイル駆動部140を駆動させる。
【0030】
表示部180は、グラフィックディスプレー等で構成されている。表示部180はデータ処理部170に接続されている。表示部180は複数のウィンドウが表示可能であり、例えば撮影画像の表示ウィンドウ及び各種操作ウンドウ等を表示することができる。また表示部180はデータ処理部170から出力される第1画像G1及び第2画像G2(図4を参照)および各種の情報を表示することができる。
【0031】
条件入力部190はポインティングデバイスを備えたキーボード等で構成される。条件入力部190はデータ処理部170に接続されている。条件入力部190は、操作者によって表示部180を介して操作され、記憶部110から撮影プロトコルなどを読み出したり、又は撮影プロトコルのパラメータ等を変更してデータ処理部170に入力したりする際に用いられる。条件入力部190は、キーボード等の代わりに表示部180にタッチパネルを配置してもよい。
【0032】
また、条件入力部190はグラフィックユーザーインターフェイスの表示時間入力部195を有する。表示時間入力部195を介して、操作者が撮影部位などを確認するため表示部180に速度重視で第2画像G2(図4を参照)を表示するために要する時間を設定することが可能である。
【0033】
データ処理部170にはデータ収集部150が収集した多くのMR信号(以下、撮影データという)が入力される。データ処理部170は、データ収集部150が収集した撮影データを記憶部110に記憶させる。記憶部110内には上述したkスペースに対応するデータ空間が形成される。データ処理部170は、kスペースのデータを周波数逆変換、例えば、二次元逆フーリエ変換することにより撮像された撮影データを画像再構成する。データ処理部170は第1画像G1及び第2画像G2(図4を参照)を画像再構成する。通常、1スライス断面に対して画質重視なパラメータを用いた第1画像G1と速度重視なパラメータを用いた第2画像G2とが画像再構成される。また、第1画像G1は1スライス断面に対して1断層像だけでなく、画像加算、エッジ強調、脂肪強調及び水強調など各種パラメータを用いて複数の断層像を作成することも可能である。なお、エッジ強調、脂肪強調及び水強調などは画像の一部又は全部を強調させる画像再構成手法である。
【0034】
また、データ処理部170は算出部175を有している。算出部175は操作者に入力された撮影プロトコルに基づいて、画像再構成に要する画像再構成時間を算出する。算出の基本となる撮影プロトコル(以下は基本撮影プロトコルPCと称する。)の画像再構成時間が記憶部110に記憶されている。基本撮影プロトコルPCはPSD及び複数のパラメータから構成される。また、記憶部110には、画質、画像加算、エッジ強調、脂肪強調及び水強調など各種パラメータに基づく、画像再構成に要する画像再構成時間が記憶されている。
【0035】
例えば、記憶部110には、基本撮影プロトコルPCのパラメータを付加しないPSDに基づく画像再構成時間がTa秒と記憶され、付加したパラメータに基づく画像再構成時間がTb秒と記憶されている。さらに記憶部110には、基本撮影プロトコルPCのPSDと異なるPSD毎に、基本撮影プロトコルPCのPSDの画像再構成時間Taとの差分時間Dta1、Dta2、………、Dtanと記憶されている。さらに、付加するパラメータ毎に基本撮影プロトコルPCのパラメータの画像再構成時間Tbとの差分時間Dtb1、Dtb2………、Dtbnと記憶されている。
【0036】
算出部175は、操作者によって撮影条件が設定された撮影プロトコル(以下は設定撮影プロトコルPC1と称する。)に基づき、第1画像G1を表示するのに要する第1画像再構成時間Ta1を算出する。算出部175は、基本撮影プロトコルPCのPSDと設定撮影プロトコルPC1のPSDとの差分時間を記憶部110から読み出す。例えば算出部175は差分時間Dta3を読み出す。また算出部175は、基本撮影プロトコルPCの各種パラメータと設定撮影プロトコルPC1の各種パラメータとの差分時間を記憶部110から読み出す。例えば、算出部175は異なるパラメータが2つあり差分時間Dtb2+Dtb5を読み出し合計時間を算出する。これにより算出部175は設定撮影プロトコルPC1に基づき、第1画像G1を表示するのに要する第1画像再構成時間Ta1(=Ta+Tb+Dta3+Dtb2+Dtb5)を算出する。基本撮影プロトコルPCは1種類又は複数種類を保存しておいてもよい。例えば、複数種類の基本撮影プロトコルPCは二次元撮影、三次元撮影及びアンギオ撮影などの撮影方法ごとに用意してもよい。
【0037】
また、算出部175は基本撮影プロトコルPCと設定撮影プロトコルPC1との差分時間に基づいて第1画像G1の第1画像再構成時間Ta1を算出したが、PSD毎の画像再構成時間及び各種パラメータ毎に要する画像再構成時間を組み合わせて算出された第1画像再構成時間Ta1の一覧をデータとしてあらかじめ保存しておき、設定撮影プロトコルPC1と同一のPSD及びパラメータの第1画像再構成時間Ta1を読み出す方法でもよい。
【0038】
また、算出部175は表示時間入力部195で入力された時間に基づいて、設定撮影プロトコルPC1からどのようなパラメータを変更すれば、入力された時間内に第2画像G2を表示部180に表示できるかを算出する。例えば、算出部175は、設定撮影プロトコルPC1から、脂肪強調のための画像再構成に要する時間を無くせば時間内に第2画像G2を表示できると算出する。そしてデータ処理部170は、脂肪強調のパラメータを無くした第2画像G2(図4を参照)を画像再構成する。
【0039】
以上説明してきたように、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、操作者が所望する時間に対応した速度重視の第2画像G2を画像再構成することにより、スループットを向上させることができる。
【0040】
<検査のフローチャート>
図2は、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置10による検査に係るフローチャートである。なお、磁気共鳴イメージング装置10は電源投入時に操作者のID及びパスワード(password)などでログイン(login)しておく。
【0041】
ステップS01において、操作者は被検者SBを磁気共鳴イメージング装置10の撮影室に入室させる。操作者は高磁場内の撮影室に被検者SBを入室させるために体内金属及び体外金属などの持ち込みに注意して入室させる。
【0042】
ステップS02において、操作者は被検者SBを寝台200に寝かせる。操作者は被検者SBを磁気共鳴イメージング装置10の寝台200に寝かせ、必要であれば所望する撮影部位に受信コイルを設置する等の撮影準備を行う。
【0043】
ステップS03において、操作者は被検者SBを磁気共鳴イメージング装置のボア内に搬送する。操作者は寝台200の搬入スイッチを操作することにより、被検者SBをボア内の所定位置に配置させる。
【0044】
ステップS04において、操作者は撮影室を退出して撮影を行う。操作者は条件入力部190を操作し所望の撮影プロトコルを読み出し、さらに必要に応じて撮影プロトコルのパラメータを変更する。また、操作者は表示時間入力部195を介して速度重視の第2画像G2を表示させる時間を設定する。そして、RFコイル駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与えてRFパルスを送信して、一連の撮影を行う。
【0045】
読み出される撮影プロトコルのPSDは、1つのPSDに対して複数枚の撮影が行われる。実際には撮影プロトコルに複数のPSDを設定させることや、複数の撮影プロトコルを同時に読み出すことも可能となっており、1人の被検者SBに対して数十枚から数百枚の撮影が行われる。
【0046】
ステップS05において、データ処理部170により速度重視で画像再構成された複数枚の第2画像G2を操作者は確認する。画像再構成は1つのPSDに対して複数枚の第2画像G2を作成する。図3は撮影と画像再構成と画像表示とのタイムテーブルを示した図である。図示されるように、PSDによる1回目の撮影が終了すると、撮影終了後に1回目の第2画像G2が画像再構成され、次のPSDによる2回目の撮影が終了すると、撮影終了後に2回目の第2画像G2が画像再構成される。データ処理部170は第2画像G2を優先して画像再構成する。第2画像G2は画像再構成順に自動で表示部180に画像表示される。なお、1つのPSDの撮影時間MRtはPSDごとで異なり、第2画像G2の第2再構成時間Ta2もPSD及びパラメータにより変化する。
【0047】
操作者は撮影ごとに順次自動で表示される第2画像G2を見て目的の範囲が撮影されているか、被検者SBの体動による動きがないか等を確認する。操作者は第2画像G2の確認が良い場合にステップS07に移り、目的の範囲外の撮影だったり被検者SBが動いてしまったりしていれば、ステップS04に戻り、再度、被検者SBを撮影する。
【0048】
ステップS06において、データ処理部170は撮影条件通りの複数枚の第1画像G1を空き時間に画像再構成する。画像再構成は1つのPSDに対して複数枚の第1画像G1を作成する。図3で示されるように、1つのPSDによる1回目の撮影が終了すると、第2画像G2の画像再構成の終了後に1回目の第1画像G1が画像再構成され、2回目の撮影が終了すると、1回目の第1画像G1の画像再構成の終了後に2回目の第1画像G1が画像再構成される。また、第2画像G2の画像再構成は第1画像G1の画像再構成より優先されるため、1回目の第1画像G1の画像再構成中であっても2回目の第2画像G2の画像再構成が開始され、1回目の第1画像G1の画像再構成が一時停止する。2回目の第2画像G2の画像再構成が終了すると、1回目の第1画像G1の画像再構成は再開する。データ処理部170は第2画像G2を優先して画像再構成し、空いた時間に第1画像G1を画像再構成する。なお、第1画像G1の第1再構成時間Ta1はPSD及びパラメータにより変化する。
【0049】
一般に第1画像G1は第2画像G2より高画質である。データ処理部170は第2画像G2の画像再構成が終了後に画質重視の第1画像G1を作成して記憶部110に第1画像G1を記憶する。なお、データ処理部170は1スライスごとの画質重視の第1画像G1が画像再構成されると、対応するスライスの速度重視の第2画像G2に上書きして表示部180に表示してもよい。第2画像G2を第1画像G1に上書することで、操作者が画像の確認作業を行うタイミングによっては一部又は全ての画質重視の第1画像G1を見ることが可能となる。
【0050】
ステップS07において、操作者は被検者SBをボア内からボア外に搬出する。操作者は寝台200の搬出スイッチを操作することにより、被検者SBをボア外の所定位置に配置させる。
【0051】
ステップS08において、操作者は被検者SBに装着した受信コイル等を外し、被検者SBを撮影室の外へ退出させる。
【0052】
検査のフローチャートに示されたように、磁気共鳴イメージング装置10の検査時間はステップS01〜ステップS03の撮影前の手順、ステップS07及びステップS08の撮影後の手順に多くの時間を割いている。操作者は速度重視の第2画像G2により目的の範囲が撮影されているか、又は体動による動きがないか等を確認することでステップS07の被検者SBの搬出作業に移ることが可能となるため、検査のスループットが向上する。なお、磁気共鳴イメージング装置10による検査は複数の撮影プロトコルを読み出し、複数のPSDを使用して多くの画像を生成することが多いため、速度重視の第2画像G2においても画像再構成に長時間かかる撮影プロトコルを最初に撮影し、第2画像G2において短時間で画像再構成が終了する撮影プロトコルを最後に撮影する等、操作者により可変選択可能である。
【0053】
図4は複数枚のうち1枚の第1画像G1と第2画像G2とを表示させた例である。図4(a)は、第1画像G1及び第2画像G2を並べて表示させた場合の図である。図示されるように、条件入力部190を介して、操作者が入力した撮影プロトコルにより画像再構成された第1画像G1は、画質が重視されている。また第2画像G2は表示速度を重視しているため、操作者が入力した撮影プロトコルと比べて解像力が落ちていたりオプションのパラメータがなかったりしている。しかし、操作者は第2画像G2であっても撮影範囲が正しいか否か等は判断できる。
【0054】
図4(b)は第1画像G1及び第2画像G2をタブ表示させた場合の図である。表示時間入力部195は画面上部のタブを切り替えることで第1画像G1及び第2画像G2を交互に表示させてもよい。
【0055】
<撮影時の算出部の動作>
図5は本実施形態の撮影時において、算出部175の動作の概要を示すフローチャートである。以下は、図2で示された検査のフローチャートのステップS04における撮影時の算出部175の動作である。
【0056】
ステップS41において、操作者はあらかじめ磁気共鳴イメージング装置10の記憶部110に記憶された撮影プロトコルを読み出し、さらに必要に応じて撮影プロトコルのパラメータを変更して、所望の撮影条件を準備する。図6は撮影プロトコルの例を示した表である。撮影プロトコルは撮影プロトコル名及び撮影方法であるPSDが含まれる。また撮影プロトコルは、画像再構成のパラメータであるX軸の第1画像画素数Ix、Y軸の第1画像画素数Iy、X軸の第2画像画素数Ax、Y軸の第2画像画素数Ay、画像加算回数NEX、及びオプションOP1〜オプションOPnまでの項目が含まれている。図6(a)は、撮影プロトコルHEAD1の一例を示した表であり、(b)は、撮影プロトコルHEAD2の一例を示した表である。
【0057】
図6(a)に示されるように撮影プロトコルHEAD1はPSDがT1強調T1w、T2強調T2w、その他のPSDの3つのPSDが含まれており、それぞれのPSDに対して、第1画像画素数Ix、第1画像画素数Iy、第2画像画素数Ax、第2画像画素数Ay、画像加算回数NEX、及びオプションOP1〜オプションOPnのオンオフが設定されている。一般に、PSDから読み出されたT1強調T1w及びT2強調T2wは2次元の撮影データを収集し、パラメータに基づいて2次元の撮影データから数十枚の2次元の第2画像G2及び第1画像G1が画像再構成される。なお、Z軸方向のスライス間隔はPSDで設定されているものとする。
【0058】
図6(b)に示されるように撮影プロトコルHEAD2は3D撮影3D1がPSDの中から1つ選択されており、このPSDに対して、第1画像画素数Ix、第1画像画素数Iy、第2画像画素数Ax、第2画像画素数Ay、画像加算回数NEX、及びオプションOP1〜オプションOPnのオンオフが設定されている。一般に、PSDから読み出された3D撮影3D1は3次元である3次元の撮影データを収集し、パラメータに基づいて3次元の撮影データから数十枚から数百枚の2次元の第2画像G2及び第1画像G1が画像再構成される。なお、Z軸方向の画像再構成の間隔はPSDで設定されているものとする。
【0059】
図6に示されたように、撮影条件は1つの撮影プロトコルに対して複数のPSDの設定又は1つのPSDの設定が行え、それぞれのPSDに対して、画像再構成のパラメータである第1画像画素数Ix、第1画像画素数Iy、第2画像画素数Ax、第2画像画素数Ay、画像加算回数NEX、及びオプションOP1〜オプションOPnのオンオフがそれぞれ設定可能である。また、第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayは、予め設定されていたり操作者が設定したりするのではなく、算出部175が表示時間入力部195によって入力された時間に応じて自動的に設定するようにしてもよい。
【0060】
磁気共鳴イメージング装置10は撮影プロトコルHEAD1及び撮影プロトコルHEAD2の複数の撮影プロトコルを同時に読み出し可能であり、操作者は必要に応じて撮影プロトコルの追加及び削除を行うことが可能である。また、操作者はPSDの追加及び削除も行うことが可能である。例えば、操作者はあらかじめ設定されている複数の撮影プロトコルを読み出し、重複または必要のないPSDを削除することで、操作者の所望するPSDを撮影可能である。また、撮影プロトコルは操作者ごとに作成し記憶部110に記憶しておくことで、磁気共鳴イメージング装置10のログインした操作者に適した撮影プロトコルが読み出し可能となっている。また、被検者SBは撮影する対象が脳で病名などがわかっているなら、被検者SBに適した撮影プロトコルが読み出し可能となっている。
【0061】
以下は説明を簡単にするため、図6(b)に示された1つの撮影プロトコルHEAD2に1つのPSDを読み出す場合について説明する。
【0062】
撮影プロトコルHEAD2は3D撮影方法をPSDの中から1つの3D撮影3D1が選択されている。
【0063】
X軸の第1画像画素数Ix及びY軸の第1画像画素数Iyは画質重視の第1画像G1の画素値である。例えば、第1画像G1の画素値は第1画像画素数Ixを256ピクセル(pixel)、第1画像画素数Iyを256ピクセルとして設定されている。X軸の第1画像画素数Ix及びY軸の第1画像画素数Iyは撮影時の位相エンコード数及び周波数エンコード数でもある。なお、X軸方向に位相エンコード方向を設定しY軸方向に周波数エンコード方向を設定する方法と、X軸方向に周波数エンコード方向を設定しY軸方向に位相エンコード方向を設定する方法がある。
【0064】
X軸の第2画像画素数Ax及びY軸の第2画像画素数Ayは速度重視の第2画像G2の画素値である。例えば、第2画像G2の画素値は第2画像画素数Axを64ピクセル、第2画像画素数Ayを64ピクセルと設定されている。また、第2画像画素数Axを64ピクセル、第2画像画素数Ayを128ピクセルなどとX軸方向とY軸方向とで比率を変更してもよい。さらに算出部75が表示時間入力部195によって入力された時間に応じて自動的に設定するようにしてもよい。
【0065】
画像加算回数NEXはPSDを繰り返す回数を表し、1,2又は3以上の整数倍となる。本実施形態の画像加算回数NEXは画像再構成に使用するPSDの回数の設定値であり、撮影の際にPSDが3回実行されていれば、1から3の画像加算回数を選択可能となる。なお、撮影時の画像加算回数NEXの回数はPSDにそれぞれ設定されている。第1画像G1は撮影時に実行された画像加算回数NEXで画像再構成される。
【0066】
オプションOPは複数設定可能でありオプションOP1〜オプションOPnまで設定可能である。例えばオプションOPは画像のエッジ強調、脂肪強調及び水強調などを設定可能であり、複数のオプションOPから選択又は未選択を設定する。エッジ強調、脂肪強調及び水強調などは画像の一部又は全部を強調させる画像再構成手法である。
【0067】
さらに操作者は表示時間入力部195を介して速度重視の第2画像G2を表示するのに要する第2再構成時間Ta2を数値で指定することも可能である。具体的には第2画像G2を表示するまでの第2画像再構成時間Ta2を10秒と入力する。また、操作者が設定した撮影プロトコルに基づいて第1画像G1が表示されるまでの第1画像再構成時間Ta1に対して、50%の時間で第2画像G2を表示するとか、25%の時間で第2画像G2を表示するとか時間の割合で入力することも可能である。
【0068】
図5のフローチャートに戻り、ステップS42において、算出部175は基本画像再構成時間Taを算出する。基本画像再構成時間Taは算出部175が算出に使用する基本撮影プロトコルPCにより画像再構成する際に要する時間である。基本画像再構成時間Taは上述したPSD、第1画像G1のX軸の第1画像画素数Ix、第1画像のY軸の第1画像画素数Iy、第2画像G2のX軸の第2画像画素数Ax、第2画像G2のY軸の第2画像画素数Ay、画像加算回数NEX、及びオプションOP1〜オプションOPnのパラメータを有している。基本撮影プロトコルPCにおける基本画像再構成時間Taは下記に示す数式1で表現できる。なお、fは関数であり、所定の関数が割り当てられる。なお、基本撮影プロトコルPCの基本画像再構成時間Taはあらかじめ実験値などで取得し記憶部110に記憶しておく。
Ta=f(PSD、Ix,Iy、Ax、Ay、NEX,OP)… 数式1
【0069】
ステップS43において、算出部175は操作者が撮影条件を設定した設定撮影プロトコルPC1に基づき画像が表示されるまでの時間、すなわち第1画像再構成時間Ta1を算出する。算出部175は設定撮影プロトコルPC1と基本撮影プロトコルPCとの違いから第1画像再構成時間Ta1を算出してもよいし、各パラメータに必要な画像再構成時間を足し合わせて算出してもよい。なお、第1画像再構成時間Ta1の算出には第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayのパラメータは使用しない。
【0070】
ステップS44において、算出部175は、表示時間入力部195で入力された再構成時間以内で第2画像G2が画像再構成できるように、撮影プロトコルのパラメータを算出する。例えば、算出部175は、第1画像G1を表示するためにパラメータの画像加算回数NEXが3であり脂肪強調のオプションOPが選択されていたとする。このような場合であっても、表示時間入力部195で入力された再構成時間内に第2画像G2を表示するために画像加算回数NEXを1にし、脂肪強調のオプションOPを無くす。このように算出部175は、どのパラメータを変更すれば表示時間入力部195で入力された再構成時間以内で第2画像G2が画像再構成できるかのパラメータを算出する。
【0071】
また、画像加算回数NEXを1にし脂肪強調のオプションOPを無くしても、表示時間入力部195で入力された第2画像再構成時間Ta2内に第2画像G2を表示できないこともある。そこで算出部175は解像度を粗くして画像再構成時間を短くする。つまり第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayのパラメータは、設定撮影プロトコルPC1の第1画像画素数Ix及び第1画像画素数Iyの1/2又は1/4等に変更される。
【0072】
ステップS45において、算出部175は操作者が設定した設定撮影プロトコルPC1に基づき画像が表示されるまでの第1画像再構成時間Ta1が表示部180に表示される。また、算出部175が算出した第2画像再構成時間Ta2内に第2画像G2を表示するための撮影プロトコルのパラメータが表示部180に表示される。
【0073】
ステップS46において、表示された第1画像再構成時間Ta1又は撮影プロトコルのパラメータを確認した後、操作者は撮影を開始する。操作者は撮影終了後、図2のステップS05に戻り速度重視の第2画像G2を確認する。
【0074】
なお、ステップS41において設定撮影プロトコルPC1は操作者ごとにパラメータ(第2画像画素数Ax、第2画像画素数Ay、画像加算回数NEX及びオプションOP)をあらかじめ記憶部110に記憶することが望ましい。また、操作者ごとに表示部180に第2画像G2を表示する表示時間を記憶しておくことが好ましい。操作者の好みのパラメータが読み込まれるため、操作者は撮影プロトコル読み出しごとに第2画像再構成時間Ta2の設定値を変化させる必要がなくなる。また、設定撮影プロトコルPC1は操作者ごとだけでなく、被検者SB又は撮影部位ごとに予め撮影プロトコルとして記憶部110に記憶しておくことで検査時間の短縮が図れる。
【0075】
図7は、表示部180に表示されたグラフィックユーザーインターフェイスの表示時間入力部195の例である。操作者は、表示時間入力部195を使って第2画像G2を表示部180に表示させるまでの第2画像再構成時間Ta2を細かく設定できる。
【0076】
図7(a)に示された第1例では、表示時間入力部195には、算出部175が算出した第1画像再構成時間Ta1の数値表示(例えば60sec)が表示されている。そして、第2画像再構成時間Ta2が割合でスケール表示されている。スケール表示は第1画像再構成時間Ta1をフルスケール(100%)で表示し、第2画像再構成時間Ta2を第1画像再構成時間Ta1に対する割合でスケールツールSTとしてパーセント表示する。表示時間入力部195において操作者は矢印AR1で示す方向にスケールツールSTを左右に動かすことで第2画像再構成時間Ta2を変化させることができる。算出部175は、第2画像再構成時間Ta2内で画像再構成するためのパラメータを算出する。そして、表示部180にそれらのパラメータが表示される。
【0077】
図7(b)に示された第2例では、算出部175が算出した第1画像再構成時間Ta1の数値表示が表示されている。また、第2例では操作者が表示時間入力部195において希望する任意の再構成時間を数値で入力することが可能である。図示される第2画像再構成時間Ta2の枠内に具体的な数値を入力可能である。また、表示時間入力部195はチェックボックスCBを用意し、チェックボックスCBによるオプションOPの選択により操作者が第2画像G2を表示させる際に重要視したいオプションOP項目を選択することが可能である。操作者が入力した第2画像再構成時間Ta2で且つ指定したオプションOPを前提にして、算出部175は第2画像再構成時間Ta2内に終了可能なパラメータを表示させ、操作者に確認させることができる。
【0078】
図7(c)に示された第3例でも、算出部175が算出した第1画像再構成時間Ta1の数値表示が表示されている。また、表示時間入力部195はプルダウンメニュPDを用意し、プルダウンメニュPDの選択により操作者が第2画像G2の確認で重要視したい項目を選択することが可能である。例えば、プルダウンメニュPD1において所望のピクセル数を指定し、プルダウンメニュPD2において画像加算回数NEXを指定することができる。そして、プルダウンメニュPD1及びPD2で指定したパラメータで、算出部175は第2画像再構成時間Ta2を算出する。例えば第1画像G1が256×256ピクセルで画像再構成され、第2画像G2を128×128ピクセルを指定したならば、第2画像G2の画像再構成で使用するデータ量が1/4になり第2画像再構成時間Ta2は短縮される。第2画像再構成時間Ta2の算出結果は図7(c)では数値として表示させ、操作者に第2画像再構成時間Ta2を認識させる。
【0079】
図7では第1例から第3例を示したが、第2画像再構成時間Ta2の設定の仕方はこれらに限られないことは言うまでもない。例えば、第1例から第3例を組み合わせてもよい。また第1例から第3例では第1画像再構成時間Ta1を表示させたが、経験豊富な操作者に対しては、第1画像再構成時間Ta1を表示しないようにしてもよい。
【0080】
<変形例>
上述された表示時間入力部195による入力画面は磁気共鳴イメージング装置10の習得者においては1画面で全てのパラメータを変更可能であり、操作者の所望する第2画像G2を設定可能である。磁気共鳴イメージング装置10は新しいPSD及びパラメータが更新され進歩が激しい。このため、磁気共鳴イメージング装置10の未習得者及び臨時の操作者にとってはPSD及びパラメータによる変化を想像することが困難である。本変形例は未習得者にやさしい表示時間入力部195を説明する。
【0081】
上述したように、設定撮影プロトコルPC1は撮影方法であるPSD、第1画像画素数Ix、第1画像画素数Iy、第2画像画素数Ax、第2画像画素数Ay、画像加算回数NEX、及びオプションOP1〜オプションOPnのパラメータ構成されている。磁気共鳴イメージング装置10の未習得者はこれらパラメータで画像再構成された画像を想像することが困難である。例えば、操作者は数十から数百あるPSDの正常例の画像、第1画像画素数と第2画像画素数との違いによる画質の違い、画像加算回数NEXの違いによる画質の違い、各種オプションOPで作成される画像などを想像することが困難となっている。
【0082】
表示時間入力部195はパラメータによる画質の違いを具体的に表示部に表示させることで、操作者のパラメータの入力の補助をすることができる。
【0083】
図8は表示時間入力部195によるフローチャートである。図8のフローチャートは磁気共鳴イメージング装置10の未習得者に適した対話形式によるパラメータの値の入力方法を示す。この図8のフローチャートは、図5に示されたステップS41からS45の代わりになる。
【0084】
ステップS51において、表示時間入力部195は設定撮影プロトコルPC1における第1画像G1の正常例の画像を表示する。表示時間入力部195はあらかじめ記憶部110に保存された対応するPSDの代表部位における第1画像G1の正常例の画像を表示させる。
【0085】
ステップS52において、表示時間入力部195は第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayの値を入力させる。表示時間入力部195は操作者にプルダウンメニュ及び手入力にて第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayの値を入力させる。図9(a)は第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayの入力画面を示した図である。なお図9において、画像表示方法は図4(b)に示されたタブ表示を用いている。
図9(a)に示されるように、第2画像画素数Ax及び第2画像画素数Ayの入力画面の右側には入力された値による画質の変化がタブを切り替えることにより画像として表示可能である。第1画像G1にはステップS51で表示した代表部位における1枚の正常例を表示し、第2画像G2にはその正常例を画像再構成部で処理した結果を表示させるか、あらかじめ記憶部110に保存しておいたものを表示させる。
【0086】
図9(a)に示されるように、表示時間入力部195で表示させる正常例の上部には設定撮影プロトコルPC1の第1画像再構成時間Ta1の値の表示と、パラメータの変化にともなう第2画像再構成時間Ta2の割合及び値を表示させる。以下の図9(b)及び図9(c)においても、第1画像再構成時間Ta1の値及び再構成時間Ta2の割合及び値を表示させる。
【0087】
図8にもどり、ステップS53において、表示時間入力部195は画像加算回数NEXが2以上かを判定する。画像加算回数NEXが1であればステップS54に移り、画像加算回数NEXが2以上であればステップS53に移る。
【0088】
ステップS54において、表示時間入力部195は画像加算回数NEXを入力させる。表示時間入力部195は操作者にプルダウンメニュ及び手入力にて2以上の画像加算回数NEXの値を入力させる。この場合入力できる画像加算回数NEXは整数でありPSDにより加算された回数のうち画像再構成に使用する画像加算回数NEXを入力する。図9(b)は画像加算回数NEXの入力画面を示した図である。図9(b)に示されるように画像加算回数NEXの入力画面の右側には入力された値の画質の変化が第2画像G2として表示可能である。この第2画像G2はステップS51で表示した代表部位における1枚の第1画像G1を画像再構成部で処理した結果を表示させるか、あらかじめ記憶部110に保存しておいてもよい。
【0089】
図8に戻り、ステップS55において、表示時間入力部195はオプションOPのオンオフを入力させる。表示時間入力部195は操作者にチェックボックス等にてオプションのオンオフを入力させる。図9(c)はオプションOPの入力画面を示した図である。図9(c)に示されるようにオプションOPの入力画面の右側にはチェックボックスのオンオフにより変化する第2画像G2が表示される。この第2画像G2はステップS51で表示した代表部位における1枚の第1画像G1を画像再構成部で処理した結果を表示させるか、あらかじめ記憶部110に保存しておいてもよい。
【0090】
図8にもどり、ステップS56において、表示時間入力部195は全てのオプションについて入力が終わったかを判断する。表示時間入力部195はオプションOP1〜オプションOPnまでの入力が終わった場合に終了し、未入力の場合にステップS55に戻り入力を再開する。
【0091】
本変形例では全てのパラメータを入力していたが、設定撮影プロトコルPC1の値を変化させる場合のみ入力を行ってもよい。また、図9(a)ないし(c)で示された表示画面は一画面に配置して表示可能であり、操作者が変更したい項目だけを入力することも可能である。
【0092】
以上に示された変形例により、磁気共鳴イメージング装置10は未習得者においても所望する第2画像G2を画像再構成することが可能である。
【0093】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、本実施形態では表示時間入力部195を有していたが、固定の短時間で表示するようにした際には表示時間入力部195は必ずしも有していなくてもよい。例えば、操作者が条件設定した撮影プロトコルの1/4時間で一律に画像再構成する第2画像を表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 … 磁気共鳴イメージング装置
100 … マグネットシステム
102 … 主磁場コイル部
106 … 勾配コイル部
108 … コイル部
110 … 記憶部
130 … 勾配コイル駆動部
140 … コイル駆動部
150 … データ収集部
160 … シーケンス制御部
170 … データ処理部
175 … 算出部
180 … 表示部
190 … 入力部
195 … 表示時間入力部
200 … 寝台
Ax … x軸方向の第2画像画素数
Ay … y軸方向の第2画像画素数
CB … チェックボックス
Ix … x軸方向の第1画像画素数
Iy … y軸方向の第1画像画素数
NEX … 画像加算回数
OP … オプション
PC … 基本撮影プロトコル
PC1 … 撮影プロトコル
PD … プルダウンメニュ
SB … 被検者
ST … スケールツール
T1w … T1強調、T2w … T2強調
Ta … 基本画像再構成時間
Ta1 … 第1画像再構成時間、Ta2 … 第2画像再構成時間
Ta3 … 希望画像再構成時間
G1 … 第1画像
G2 … 第2画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者から生じる磁気共鳴信号を用いて、前記被検者の第1断層画像を表示部に表示する磁気共鳴イメージング装置において、
前記第1断層画像を得るための撮影条件を入力する条件入力部と、
前記撮影条件に基づいて前記第1断層画像を画像再構成する第1画像再構成条件で画像再構成に要する時間よりも短い時間で画像再構成する第2画像再構成条件を算出する算出部と、を備え、
前記第2画像再構成条件で画像再構成された第2断層画像を前記表示部に表示する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記第1画像再構成条件で前記第1断層画像が前記表示部に表示されるまでの時間を算出する請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記条件入力部で設定可能な画像再構成条件を構成する複数のパラメータごとに画像再構成に要する画像再構成時間を記憶する記憶部を備え、
前記算出部は、前記パラメータを組み合わせて前記第2画像再構成条件を算出し、且つ前記第2画像再構成条件で前記第2断層画像が前記表示部に表示されるまでの時間を算出する請求項1又は請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記表示部に前記第2断層画像が表示されるまでの時間、又は前記第1断層画像が表示される時間に対する前記第2断層画像が表示されるまでの時間の割合を入力する表示時間入力部を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記第1画像再構成条件は、前記磁気共鳴信号を得るためのパルスシーケンスの種類及び前記断層画像の解像度を含み、
前記算出部は、前記表示時間入力部で入力された前記時間又は前記割合に基づいて、前記解像度を低減した前記第2画像再構成条件を算出する請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記第1画像再構成条件は、前記断層画像のノイズを低減するために前記断層画像の加算回数を含み、
前記算出部は、前記表示時間入力部で入力された前記時間又は前記割合に基づいて、前記加算回数を低減した前記第2画像再構成条件を算出する請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記第1画像再構成条件は、前記断層画像の一部又は全部を強調させる画像選択条件を含み、
前記算出部は、前記表示時間入力部で入力された前記時間又は前記割合に基づいて、前記画像選択条件をなくした前記第2画像再構成条件を算出する請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記時間又は前記割合は、前記被検者ごと又は前記磁気共鳴イメージング装置を操作する操作者ごとに前記表示時間入力部を介して予め設定されている請求項4から請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記第1断層画像の画像再構成の終了後に、前記表示部は前記第2断層画像に代えて前記第1断層画像を表示する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−5985(P2013−5985A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141987(P2011−141987)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】