説明

磁気共鳴画像処理で使用するためのRFコイルアセンブリ

【課題】MR用改良型RFコイル
【解決手段】手術中のMRIのための装置は、患者支持台と、上部部分および下部部分を有するRFコイルとを備える。上部部分は、一対の補強材を備えた様々な形状に対して可撓性を有するフォーム材料で形成され、該補強材は接続された摺動可能な要素で形成され、該要素は、様々な形状で可撓性材料を保持するために、フォームの上部シートに埋め込まれた中央の背側の骨格から延出する。該上部部分は、患者支持台の側部レールに取り付けられた可撓性フォームのアームの1つの端部に運ばれ、長手方向の補強材によって硬化される。頭部クランプは、頭蓋クランプピン用のC形状ホルダーによって患者支持台に取り付けられる。下部コイルは、様々な曲度に長手方向の軸周りに曲げて動かすことができ、C形状ホルダーによってチャネル形状で保持され、一方の長手方向の端部で、頭部クランプに接続された調節可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴画像処理で使用するためのRFコイルに関する。特に、本発明の態様は、ユーザ調節式の半剛性フレキシブルフォームの上部RFコイルと、コイルに適合する支持機構と、および、下部コイル用の支持部を備える。
【背景技術】
【0002】
様々なデザインのRFコイルがMR画像での使用に利用される。コイルは信号を受け取る/伝えるために用いられ、および、このようにするために、コイルが磁石のボアの軸に平行な面にあるような方向に、コイルは人体構造上または人体構造の近傍に直接配されなければならない。
【0003】
コイルは上部と下部を含む。頭部を撮像するためのコイルに関して、頭部が2つのコイル部分に囲まれるように近接するまたは触れている側端部によって頭部を覆うように形作られ、互いに面しているチャネルが一般的にはある。各々のコイル部分は、フェーズドコイルアレイを形成するために、典型的には4つのコイル素子アレイを含む。
【0004】
このようなコイルは、剛性コイルまたはフレキシブルフォームコイルとして提供することができる。剛性コイルは、変えることができない特定の幾何学的形状を有しており、頭部や胸部などの特定の生体構造に通常は指定されることもあり、頭部や胸部では、コイルが平均的な患者に近似させるために必要な形状で設計される。
【0005】
フレキシブルコイルは既知のものであり、市販されている。このようなコイルは、患者の生体構造に適合可能であるが、適切な固定装置を備えるストラップなどの外部の固定方法を用いることによって適切な位置で保持されなければならない。つまり、フレキシブルコイルは、一般的には生体構造の合うために必要な形状に曲げられることができるが、弾性性質であることから、その形状のままでいることができない。したがって、フレキシブルコイルは、必要な形状と位置を維持するために、適所に固定されなければならない。
【0006】
磁気共鳴画像処理は、患者に意識があって無菌ではない診断状況下でしばしば行われるので、コイルは上記ストラップによって適所に取り付け可能となっている。固定化は問題ではないので、フレキシブルコイルは、こうして、この状況で典型的にまたは通常は用いられる。
【0007】
別の使用分野において、磁気共鳴画像処理は、患者に意識がなく、無菌性を維持するためにドレープされる手術中の条件下で行われる。この場合、ストラップを洗浄または殺菌することが困難なため、手術中の用途でのフレキシブルコイルの使用は限定される。したがって、現在に至るまで、一般的には、剛性コイルが、ベッドの枠組みまたは頭部固定装置などの適切な支持部によって堅く取り付けられたコイルとともに、このような状況下では用いられてきた。神経外科的用途に用いられるコイルは、剛性であれフレキシブルであれ、一般的に、患者台への剛性取り付け部または患者への直接的な剛性取り付け部を有し、この取り付け部が、コイルの機械的/幾何学的調整を困難または不可能なものにしている。
【0008】
上記のような剛性コイルは、必要に応じて殺菌することができる。しかしながら、剛性コイルは、患者の生体構造に対するコイルのアンテナの位置に関しては、妥協案を提供するものでしかない。周知のように、アンテナが関係する生体構造に対してもっとも好適な位置、および、磁場に対してもっとも好適な方向に配される場合に、改善画像が得られる。したがって、もっとも好適な画像は、縦軸との角度をなす際とは対照的に、ボアの縦軸に平行となるように最も近接する方向と組み合わせた、もっとも近接する近さで得られる。剛性コイルはすべてに合うように必要に応じて寸法を取るため、多くの場合、剛性コイルは患者に適切には合わない。同様に、取り付けも、一般的には、コイルを適切に方向づける能力に関しては制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改良型のRFコイル構造物を提供することが本発明の目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様によって、患者の一部の磁気共鳴画像処理で使用するための装置が提供され、該装置は、患者支持台と、患者支持台で磁場を発生させるように配された磁石と、MR画像に使用するためのRFコイルとを備え、該RFコイルは、患者の上方に配するための上部コイル部分と患者の下方に配するための下部コイル部分とを含み、上部コイルは可撓性材料から形成され、該可撓性材料は、可撓性材料に取り付けられるとともに該材料間を動かすことができる少なくとも1つの硬化要素によって、コイルを様々な形状に曲げることが可能であるとともに、前記少なくとも1つの硬化要素が様々な形状で可撓性材料を保持する役割を果たすように配された、曲げに対する耐性を有する。
【0011】
好ましくは、可撓性材料はフォームから形成される。
【0012】
好ましくは、前記少なくとも1つの硬化要素は、フォーム内に埋め込まれる。
【0013】
好ましくは、コイルは、一般的にチャネル形状であり、様々な曲率に曲げることによって動かすことができる。
【0014】
好ましくは、コイルは、平面状態から様々な曲率に曲げることによって動かすことができるパネル部材を備える。
【0015】
好ましくは、硬化要素はコイルを超えて横に延出する。
【0016】
コイルは、少なくとも1つの長手方向の骨格部材を備えてもよく、硬化要素は骨格部材に対して直角で延出する。しかしながら、これは省略することができ、コイルは硬化要素によってのみ硬化されてもよい。
【0017】
好ましくは、使用されるのであれば、骨格部材の夫々の側部には2つの硬化部材が各々あり、骨格部材の長手方向に配される。
【0018】
好ましくは、硬化要素は、複数の別々の部品を備え、該部品は、硬化要素の長さに沿って次の部品に各々接続され、次の部品に対して各々枢動可能に動かすことができる。
【0019】
この配置は、1995年9月12日に発行され、Lockwood Productsに譲渡された米国特許第5,449,206号(Lockwood)に記載されたタイプであってもよい。該文献の開示内容は参照することによって本発明に組み込まれる。
【0020】
好ましくは、硬化要素は、可撓性材料上の隆起したリブに配される。
【0021】
好ましくは、可撓性材料は、2つのシートのフォーム材料を備え、該材料は、中心面に配されたコイルの部品と、1つのシートに埋め込まれた前記少なくとも1つの硬化要素とによって、コイルの中心面でともに固定される。
【0022】
好ましくは、上部コイルは、患者に対して様々な位置に上部コイルを移動させるために、可撓性アームの1つの端部に運ばれ、該アームの反対側の端部は、患者支持台に対して固定された位置に運ばれる。
【0023】
好ましくは、アームの反対側の端部は、患者支持台の側部レールに取り付けられる。
【0024】
好ましくは、可撓性アームはその全体の長さに沿って可撓性を有する。
【0025】
好ましくは、可撓性アームは1つの部品である。
【0026】
好ましくは、可撓性アームは、アームの長さに沿った硬化要素を有するフォームから形成される。
【0027】
好ましくは、コイルは、RFケーブルが取り付けられるスリーブを備えるハウジングを含み、可撓性アームは、前記1つの端部に、ハウジングのスリーブに係合するためのクランプを含むことで、ハウジングのアームがRFケーブルに対して平行になる。
【0028】
好ましくは、コイルは、RFケーブルが取り付けられるスリーブを備えるハウジングを含み、可撓性アームは、前記1つの端部に、ハウジングのためのクランプを含み、コイルは、ハウジングに固く接続された少なくとも1つの長手方向の骨格部材を含み、前記少なくとも1つの硬化要素は、骨格部材に対して直角に延出する。
【0029】
好ましくは、侵襲的手法として患者の頭部を固定したまま保持するために、患者支持台に取り付けられた頭部クランプが提供され、下部コイルは一般的にチャネル形状であり、様々な曲率に長手方向の線回りに曲げることによって移動可能であり、下部コイルは、1つの長手方向の端部で、頭部クランプに接続された調節可能な取り付け部に取り付けられ、調節可能な取り付け部は、下部コイルの端部を頭部クランプに対して移動させることが可能なように調節される。
【0030】
好ましくは、調節可能な取り付け部は、下部コイルの端部を固く固定された位置に保持する調節の後に配される。
【0031】
好ましくは、調節可能な取り付け部は、6度の運動の自由度を提供する。
【0032】
好ましくは、頭部クランプは、C形状のクランプ部分を含み、患者の頭部は、患者の頭部とC形状のクランプ部分との間の下部コイルによって、このクランプ部分内に配され、C形状のクランプ部分は、前記様々な曲率の1つで下部コイルを係合および維持するために配される。
【0033】
好ましくは、調節可能な取り付け部は、下部コイルの長手方向の中心線上で下部コイルに係合するように配され、調節可能な取り付け部は、C形状のクランプ部分を含む平面に対して様々な角度及び位置に、下部コイルの中心線を移動させることが可能なように配され、その一方で、下部コイルは、C形状のクランプ部分と係合したまま、C形状のクランプ部分によって維持される。
【0034】
本発明の第2の態様によって、患者の一部のMR画像処理に使用するための装置が提供され、該装置は、患者支持台と、患者支持台で磁場を発生させるように配された磁石と、MR画像処理に使用するためのRFコイルとを備え、ここで、該RFコイルは、患者の上方位置の上部コイル部分と患者の下方位置の下部コイル部分とを含み、上部コイルは、患者に対して様々な位置に上部コイルを移動させるために、可撓性アームの1つの端部に運ばれ、該アームの反対側の端部は、患者支持台に対して固定された位置に運ばれる。
【0035】
本発明の第3の態様によって、患者の一部のMR画像処理に使用するための装置が提供され、該装置は、患者支持台と、患者支持台で磁場を発生させるように配された磁石と、MR画像処理に使用するためのRFコイルとを備え、ここで、該RFコイルは、患者の上方位置の上部コイル部分と患者の下方位置の下部コイル部分とを含み、該装置はさらに、侵襲的手法として患者の頭部を固定したまま保持するために、患者支持台に取り付けられた頭部クランプを備え、下部コイルは、一般的にチャネル形状であり、様々な曲率に長手方向の線回りに曲げることによって移動可能であり、下部コイルは、1つの長手方向の端部で、頭部クランプに接続された調節可能な取り付け部に取り付けられ、調節可能な取り付け部は、下部コイルの端部を頭部クランプに対して移動させることが可能なように調節される。
【0036】
本発明は、同様に、本装置とは別の素子として、支持アームを備える上部コイル部分の構造物と、本装置とは別の素子として、調節可能な支持取り付け部を備える下部コイルも含む。
【0037】
本発明のコイル構造は、頭部を撮像する手術中の使用に限定されないが、診断法と手術中の様式の双方に関して、頭部、頸部、および、心臓のコイルなどの多くのMR応用に用いることができる。それは、同様に、四肢(例えば、脚、肘)にも機能することができる。本明細書に記載の配置は、使用の際により多くの柔軟性を提供することができ、さらなる構造装置(conformation device)がないため、使い勝手がよく、安全に使用することができる。
【0038】
本明細書に記載のコイル調節機能装置によって、ユーザは、患者に触れることなく、患者の生体構造に関してコイルの位置を調節することができ、このことは、患者の安全性に有益であるだろう。コイル調節機能装置は、コイルを最適な方法で位置づけることができ、このことが画像の質を上げる。
【0039】
本明細書に記載のコイルは可撓性材料で作られるが、コイル形状が所望の領域の生体構造に適合することを可能にし、この事実が画像の質を著しく改善する。
【0040】
調節可能な半剛性のフレキシブルフォームコイルを用いる本明細書に記載のコイルは、機械式インターフェース、ストラップ、または、ベルクロストラップなどの外部装置を用いることなく、生体構造に適合することができる。
【0041】
本明細書に記載されるような半剛性のフレキシブルフォームコイルの使用は、いくつかの利点を提供することができる:
a)それは、最善の方法で、かつ、患者の適切な生体構造(所望の領域)上にコイルを位置づけることを避ける剛性形状を有していない。
b)コイルを適合させることを必要とする、ストラップ、ベルクロストラップ、または、機械式インターフェースなどの追加装置がない。
手術用のコイルに関して本明細書に記載されるような適合支持方法の使用は、いくつかの利点を提供することができる:
a)それは、コイルの位置で、6度までの自由度を認める。
b)それは、生体構造固定装置に対するコイル調節の柔軟性を与える。
c)それは、コイルが一時停止すると、コイルを所望の領域に直接位置づけることができ、該所望の領域に触れることはない。
d)それは、視野に対して最適な方法でコイルを位置づけることができ、このことが画像の質を著しく改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明の1つの実施形態は、添付の図に併せてここに記載される。
【図1】本発明による、患者台と、患者台上で患者を撮像するための位置に動かすことができるMRI磁石と、頭部クランプと、上部部分および下部部分を含むRFコイル配置とを示す、MR画像用の装置の等角図である。
【図2】図1の頭部クランプと下部コイル部分の1つの側部からの等角図である。
【図3】図1の頭部クランプと下部コイル部分の1つの前端部からの等角図である。
【図4】外側の構造体を曝露するために除去された上部フォームシートを備える、図1のRFコイルの上面図である。
【図5】図4のRFコイルを通る、線5−5に沿った断面図である。
【図6】図4のRFコイルを通る、線6−6に沿った断面図である。
【0043】
図において、参照番号は、異なる図面の対応する部分に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1において、患者が患者支持台に固定されたままで、患者の磁気共鳴画像処理を行うための配置が示される。この配置は、患者支持台(10)が取り付けられる部屋を提供し、該支持台は、MR画像システムの磁石(3)が磁石部分からこの部屋に入るために、部屋の一方の側にドア部を備える。本明細書に記載および図示される支持台(10)は、患者が手術中に支持台上に留まるような配置で用いられ、その一方で、画像処理は、手術中および手術後にMRIを用いて達成される。
【0045】
MRは、先に記載の2以上の部屋の間にある頭上のレールを移動する高磁場(例えば、1.5Tまたは3T)磁石である。その配置は、左に血管造影室(AR)、中央に診断室(DR)、および、右に手術室という、典型的な3つの部屋構造で使用することもできる。磁石は、部屋の間の頭上のレールを移動して、各々において撮像することが可能である。
【0046】
患者処理システム(The Patient Handling System)または支持台は、一般的には(10)で示される。患者支持台は従来構造の基部を有し、該従来構造によって、基部は、必要とされる高さ位置および方向位置に患者支持部分を移動させることができる。適切な駆動機構および連結部は、当該技術分野では知られており、したがって、本明細書で記載される必要はない。基部の上部に、繊維強化プラスティック材料で形成された一般的には平面本体形状の患者支持部分が取り付けられることで、患者支持部分に横たわりながら、患者を支持するために十分な表面積を規定する。
【0047】
本装置は、取り付けブラケット(21)によって台(10)の端部に接続される頭部クランプ(20)を有する。このような部品の詳細は、当業者には周知であり、変化し得るものであるため、本明細書では記載されない。頭部クランプは、C形状のクランプ部分と一対の頭蓋クランプピン部材(22)および(23)を有し、該クランプピン部材は、頭蓋の夫々の側を係合することで、手術および画像処理のための固定位置で頭部を保持する。
【0048】
C形状のクランプ部分は、基部部分(24)を有し、該基部部分は、各々が上方端部で夫々のピン部材(22、23)を運ぶ一対の直立アーム(25)によって、幅を調節可能である。
【0049】
C形状のクランプ部分は、クランプ部分の平面を上下左右に動かすことができるように、C形状のクランプ部分を多くの方向に調節可能な、複数の内部接続された調節可能なアームを有するブラケット(21)上に運ばれ、一般的には患者支持台の長手方向に、および、一般的には患者支持台に対して直角に、軸を中心に傾けることができる。したがって、図2および3のように、クランプ部分(24)が垂直面の前方に傾けられることで、クランプピン部材を前方に移動させる。1つのクランプピン部材が他のクランプピン部材よりも高くなるように、クランプ部分(24)は台の長手方向に軸を中心に回転することも可能である。
【0050】
本装置は、上部コイル部分(31)と下部コイル部分(32)とで形成されるRFコイル(30)をさらに含む。これらは、頭部の周りで協同してフェーズドアレイを形成するように、各々が複数のアンテナ素子で形成される。上部コイル部分(31)は、台(10)の側部レール(10A)に接続された支持アーム(33)上に運ばれる。下部コイル部分は調節可能なブラケット(34)上に運ばれ、該ブラケットは剛性であるが、下部コイル前部の接続部を頭部クランプに対して移動させるように調節可能である。
【0051】
RFコイル(31)の概略図が図4に示され、プリント基板(36)を含む。この基板は、フレキシブル基板であるポリイミド膜(Kapton(登録商標))で形成され、該フレキシブル基板上に、導電性トレースとしてアンテナが形成され、上記コイル構造体で必要とされる周知の様々な回路部品が該フレキシブル基板上に運ばれる。コイルの電気回路は、導電性トレース(37)、コンデンサ(38)、ダイオード(40)、および、プリアンプ(44)を含む。これらの要素の全ては、一般的な構造においては従来のものであり、コイル設計の当業者には周知であることから、詳細な説明は本明細書では必要ない。
【0052】
錠部および下部コイル部分は、基本的には同じ構造体で形成されることで柔軟な調節を提供し、この調節によって一般的にU形状の構造体を持ち上げることが可能となり、このU形状の構造体において、上部コイル部分のU形状の脚部の底部が、下部コイルの脚部の上部に接触するかまたは近傍に隣接することによって周囲の配置を提供する。
【0053】
各々の場合、コイル部分は、コイルが様々な形状に固定されるのを可能にするフォーム可撓性材料(42)で形成される。特に、図5および6の断面図に示されるように、可撓性材料は、中心面に配されたフレキシブル回路基板(36)上のコイルの部品によってコイルの中心線(43)でともに固定化されたフォーム材料の2つのシート(42Aおよび42B)を備える。したがって、コイル部分は一般的なチャネル形状であるとともに、様々な曲率に曲げることによって動かすことができる場合に、該コイル部分を平らな状態から様々な曲率に曲げることによって動かすことができる。
【0054】
フォーム材料の2つの重なるシートは、側部端部から内側に離間した基板(36)と同一の広がりを持つ。回路の部品は同様にフォーム材料に埋め込まれる。フォーム材料の厚さは、所望の曲率を可能にするために選択される。パネルを超えて離間した位置でフォーム材料に切り込みを入れることによって、アンテナ部分の中央を横切って配されるこのような所望の位置を有する所望の位置に曲げ動作を局在化することで、部品(38、40)が回路基板(36)上に配される領域における曲げを最小化する。
【0055】
アンテナとそれらのプリアンプは、パネルの1つの端部でハウジング(45)内に取り付けられた中央装置(44)に接続する。ハウジングは、RFケーブル(47)が取り付けられる頸部(46)に接続することで、RFコイルから遠隔位置の制御システムに伝えられる。
【0056】
このようなフレキシブルRFコイルは知られている。典型的には、このようなコイルは、コイルの持ち上げを妨げて、患者の生体構造を近接に囲む必要な形状を保持するのを妨げる弾性を有する。
【0057】
上部コイル部分に関して、コイル部分を形成するパネルの必要とされる形状を維持するために、可撓性フォーム材料に取り付けられ、互いの間を動かすことができる少なくとも1つの硬化要素(50)が提供される。硬化要素(50)は、曲げに対する耐性を提供し、該耐性は、硬化要素が可撓性材料を異なる形状で維持するよう機能するように配される。
【0058】
コイル(41)は、ハウジング(45)に接続されるとともにコイル構造体を形成するパネルに沿って長手方向に延出する、少なくとも1つの長手方向の骨格部材(51)を備える。これによって中心軸がまっすぐに保たれることで、この中心軸に平行な線の周囲にのみ、曲げが発生する。硬化要素(50)は骨格部材に対して直角に延出し、骨格部材に沿って離間した位置でそれに固定される。骨格部材は、コイル(41)が、頸部(56)に接続された可撓性アーム(33)によって適所に維持されることを可能にする。骨格部材と硬化要素は、好ましくは、フォームの上部シートに成型されたフォームリブ(52)を加えることによって、フォームの上部シートに埋め込まれる。
【0059】
したがって、硬化要素は、コイルを超えて横方向に延出し、必要とされる曲率で必要とされる選択されたチャネル形状内でコイルを維持するように機能する。
【0060】
好ましくは、骨格部材の夫々の側には各々2つの硬化部材があり、骨格部材の長手方向に離間しているが、2つ以上の部材が使用可能である。
【0061】
コイルが、中心の平らな部分を含まない連続的な放射状構造体に成型されるよう意図される場合、硬化部材は、中心の骨格部材を含まずに据え付けられた連続的な長さからなる。硬化要素は、頭部−脚部方向(上方−下方)において、限定的な曲率を可能にするH形状で配することもできる。
【0062】
硬化部材は、複数の別々の部品(54)を備え、該部品は、硬化部材の長さに沿って次の部品に各々接続され、次の部品に対して各々枢動可能に動かすことができる。このような材料は、曲げることのできる導管を作るために市販されている。このような材料の適切な供給元は、Lockwood Products Inc(オレゴン州のLake Oswego)である。類似の性質の他の材料、特に、この供給元から市販されている材料よりも断面が薄い材料も使用することができるが、上記のような材料は、必要とされる保持力を提供するように曲げに対する十分な耐性を有する。
【0063】
上部コイル(31)は、患者に対して様々な位置に上部コイルを移動させるための可撓性アーム(33)の1つの端部に運ばれ、可撓性アーム(33)の反対側の端部は、患者支持台に対して固定された位置に、および、側部レールは(10A)でこの例の固定された位置に運ばれる。所望の位置に上部コイル部分を配するために、可撓性アームを所望の方向に曲げることができるように、可撓性アームは、その全長に沿って可撓性を有する単一の部品を備える。その意図は、該アームが、患者の生体構造とのわずかな接触に由来する潜在的な支持によって、コイル部分を適所に維持するための十分な硬度をただ有するということである。可撓性アームは、上記と同じ構造のアームの長さに沿って、硬化要素(33B)で一定断面積の細長い要素を形成するフォーム材料(33A)から形成される。硬化要素の寸法は、より強力な維持力を提供するために大きくすることができる。
【0064】
該アーム(33)をコイル部分に取り付けるために、可撓性アーム(33)は、ハウジング(45)でRFケーブル(47)と平行になるように、スリーブの一方の端部でハウジング(45)のスリーブ(46)に係合させるためのクランプ(33C)を、その端部に備える。該アーム(33)は、その後、側部レールに接続するために一方の側部にそれる前に、一般的に患者の胸部に沿って延出する。RFケーブルは、制御システムへの必要な経路に沿って延出する。
【0065】
頭部クランプは、このようにして、侵襲的手法として患者の頭部を固定したまま保持するために、患者支持台に取り付けられる。下部コイル(32)は、その動作位置まで曲げられる際は一般的にチャネル形状をしており、長手方向の線に沿って様々な曲率まで曲げることによって動かすことができる。
【0066】
下部コイルは図4に示すそれと構造において類似しており、先に記載した1つの端部にハウジング(45)を含む。しかしながら、この配置において、ケーブル(47)へのスリーブ(46A)は、中心線に沿うよりもむしろ1つの端部まで延出する。このことによって、取り付けピン(60)のための部屋が残され、該ピンは、頭部クランプに接続された調節可能なブラケット(34)の外側端部に係合するように、中心線に対して直角の方向に中心線でハウジングを通って延出する。
【0067】
ブラケット(35)は、ピン(60)と、スイベル連結部(64)(65)および(66)によって接続される一連のアーム(61)、(62)、および、(63)とによって定義されることによって、調節可能な取り付け部が、頭部クランプに対して下部コイルの端部を移動させることができるように調節可能である。ピン(60)は、ピンの縦軸周りに回転運動をすることができる。連結部(66)は、頭部クランプに横方向の軸周りに回転運動をすることができる。連結部(64)および(65)は、2つの向かい合う鋸歯状のプレートを備えた、プレート間の角度を調節可能な「星型」取り付け部として既知のタイプのもので、頭部クランプに対してピンを再配置することができる。このように、ピンと、したがって、コイル部分(32)の長手方向の中心線の方向は、自由度6で調節することができる。
【0068】
調節可能な取り付け部は、固く固定した場所に下部コイルの端部を維持する調節をした後に配される。このように、頭部クランプは、外科的介入のために所望の場所で患者の頭部を維持するよう調節することができる。クランプがその所望の位置にある際、ピン(60)と、したがって、コイル部分の中心線(60A)は、中心線(60A)が、最良の画像処理を提供するために、可能な限り磁石ボアの軸に平行に近接するように、調節することができる。コイル部分の残りの部分は、その後、C形状取り付け部(25)によって適所に保持され、該取り付け部は、コイル部分をカップ形状へと変えるとともに該コイル部分をその所望のチャネル形状内へ配する。図で示すように、このことによって、C形状のブラケット(25)は所望の角度に傾けた様々な位置に持ち上げることができる。所望の角度は、例えば、前方に傾いて示されるが、一方の側に傾くことも可能である。コイル部分の前端部を位置づけることによって、コイル部分がC形状クランプに対して配され、したがって、コイル部分が画像処理のための最適な位置および方向に配される。
【0069】
このように、頭部クランプは、C形状のクランプ部分を備え、患者の頭部が、患者の頭部とC形状のクランプ部分との間の下部コイルによって該クランプ部分内に配され、C形状のクランプ部分は、頭部クランプと頭部との間の空間に合うように、様々な所望の1つの曲率で下部コイルを係合および保持するために配される。
【0070】
このような方法で、上部と下部の両方のコイル部分は、画像処理のために最適な位置を提供するように可撓性を有し、さらなる固定要素を必要とすることなく、上部の可撓性アーム(33)によって、および、取り付け部(34)と頭部クランプとの組み合わせによって、最適な方向で適所に保持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の一部を磁気共鳴(MR)画像処理で使用するための装置であって、
前記装置は、
患者支持台と、
前記患者支持台で磁場を発生させるために配された磁石と、
MR画像処理で使用するためのRFコイルとを備え、
前記RFコイルは、前記患者の上方に配するための上部コイル部分と、前記患者の下方に配するための下部コイル部分とを含み、
前記上部コイルは可撓性材料から形成され、前記可撓性材料は、前記可撓性材料に取り付けられるとともに前記材料間を動くことができる少なくとも1つの硬化要素によって、コイルを様々な形状に曲げることが可能であるとともに、前記少なくとも1つの硬化要素が様々な形状で前記可撓性材料を保持する役割を果たすように配された、曲げに対する耐性を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記可撓性材料はフォームを備え、前記少なくとも1つの硬化要素は、前記フォームに埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの硬化要素は、前記コイルを超えて横方向に延出することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コイルは少なくとも1つの長手方向の骨格部材を備え、前記少なくとも1つの硬化要素は前記骨格部材に対して直角に延出することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの硬化要素は、複数の別々の部品を備え、前記部品は、前記硬化要素の長さに沿って次の部品に各々接続され、次の部品に対して各々枢動可能に動かすことができることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記上部コイルは、前記患者に対して様々な位置に前記上部コイルを移動させるために、可撓性アームの1つの端部に運ばれ、前記アームの反対側の端部は、前記患者支持台に対して固定された位置に運ばれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コイルは、RFケーブルが取り付けられるスリーブを備えるハウジングを含み、および、
前記可撓性アームは、前記1つの端部に、前記ハウジングの前記スリーブに係合するためのクランプを含むことで、前記ハウジングの前記アームが前記RFケーブルに対して平行になることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
侵襲的手法として、前記患者の頭部を固定したまま保持するために、前記患者支持台に取り付けられた頭部クランプが提供され、
ここで、前記下部コイルは一般的にチャネル形状であり、様々な曲率に長手方向の線回りに曲げることによって移動可能であり、
前記下部コイルは、1つの長手方向の端部で、前記頭部クランプに接続された調節可能な取り付け部に取り付けられ、および、
前記調節可能な取り付け部は、前記下部コイルの端部を、前記頭部クランプに対して移動させることが可能なように調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記頭部クランプは、C形状のクランプ部分を含み、前記患者の頭部は、前記患者の頭部と前記C形状のクランプ部分との間の前記下部コイルによって、前記クランプ部分内に配され、および、
前記C形状のクランプ部分は、前記様々な曲率の1つで前記下部コイルを係合および保持するために配されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記調節可能な取り付け部は、前記下部コイルの長手方向の中心線上で前記下部コイルに係合するように配され、および、
前記調節可能な取り付け部は、前記C形状のクランプ部分を含む平面に対して様々な角度及び位置に、前記下部コイルの中心線を移動させることが可能なように配され、その一方で、前記下部コイルは、前記C形状のクランプ部分と係合したまま、前記C形状のクランプ部分によって保持されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
患者の一部の磁気共鳴(MR)画像処理に使用するための装置であって、
前記装置は、
患者支持台と、
前記患者支持台で磁場を発生させるように配された磁石と、
前記MR画像処理に使用するためのRFコイルとを備え、
前記RFコイルは、前記患者の上方に配するための上部コイル部分と、前記患者の下方に配するための下部コイル部分とを含み、
前記上部コイルは、前記患者に対して様々な位置に前記上部コイルを移動させるために、可撓性アームの1つの端部に運ばれ、前記アームの反対側の端部は、前記患者支持台に対して固定された位置に運ばれることを特徴とする装置。
【請求項12】
患者の一部の磁気共鳴(MR)画像処理に使用するための装置であって、
前記装置は、
患者支持台と、
前記患者支持台で磁場を発生させるように配された磁石と、
前記MR画像処理に使用するためのRFコイルとを備え、
前記RFコイルは、前記患者の上方に配するための上部コイル部分と、前記患者の下方に配するための下部コイル部分とを含み、
前記装置はさらに、
侵襲的手法として患者の頭部を固定したまま保持するために、患者支持台に取り付けられた頭部クランプを備え、
前記下部コイルは、一般的にチャネル形状であり、様々な曲率に長手方向の線回りに曲げることによって移動可能であり、
前記下部コイルは、1つの長手方向の端部で、前記頭部クランプに接続された調節可能な取り付け部に取り付けられ、
前記調節可能な取り付け部は、前記下部コイルの端部を前記頭部クランプに対して移動させることが可能なように調節可能であることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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