説明

磁気共鳴画像/分光手段およびその方法

本発明は、人間または哺乳類動物の神経代謝および身体代謝の画像化のための神経化学剤および生化学薬であって、前記人間または哺乳類動物の脳内の神経またはグリア機能または神経調節性過程、血管機能、器官特異性代謝過程に係わる薬剤に関するものである。前記神経化学剤および生化学薬は、炭素13、窒素15、重水素、フッ素19、あるいは、これらの混合成分から選ばれた安定同位体で所定部分に標識を付け、薬剤および代謝サクセサの検出能を高めたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義にはMRIと分光手段およびその方法に関するが、特に、代謝作用、精神生物学、精神医学、神経学、神経変性に関連する脳機能に係わる磁気共鳴画像/分光手段およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精神病または神経変性疾患を煩っている人は、神経伝達物質あるいは神経修飾物質と呼ばれる脳内の化学的メッセンジャーにレベル変化を起こしている。鬱病において関係する2つの主要化学物質はノルアドレナリンとセロトニンである。
【0003】
脳の神経細胞は、セロトニンを絶え間なく生成している。低量のセロトニンは、不完全なメッセージの伝達をもたらし、ある種の鬱の徴候に関与すると考えられている。選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)などの薬剤はノルアドレナリンおよびセロトニンのレベルを増加させる。この亢進脳活動は心的状態を改善するのに役立つ。SSRIは抗鬱剤として今もっとも処方される薬剤である。この種の薬剤としては、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファクシン、ネファゾドン、ミルタザピンなどがある。SSRIではないが、ブプロピオンもポピュラーな抗鬱剤である。これら薬剤は、内科医、神経科医、精神科医によって処方される。患者が薬物治療を受け始めたら、薬を服用している期間全般に亘って患者の健康が綿密にモニターされる。ところが、ある種の薬剤が副作用を持つことや、患者の症状が十分な時間内に緩和されないケースがある。後者の場合、通常、他の薬剤に変更するが、他の投薬計画に変更する前に薬効を評価できる期間はせいぜい数週間から数ヶ月である。
【0004】
SSRIの副作用が次のような症状を軽度なものから重症にすることがある。すなわち、吐き気、不眠、眠気、不安神経症、神経過敏、衰弱、食欲不振、震動、口渇、発汗、性欲減退、性的不全、自殺念慮発現等である。SSRIが広く利用されているにも拘わらず、個々特定の脳に与える生化学的影響が精確に確認されておらず、現在の技術では数値定量化することはできなかった。そうした影響の知識不足が、特に、SSRIで治療を受けている鬱病の子供たちや思春期の子供たちにとって由々しい問題になっており、自殺行動に発展させる報告もある。ところが、精神治療薬の脳に与える影響をそのまま数値定量化できる優れた方法が切望されているにも拘わらず、そうした技術の開発が依然として見られない。
【0005】
人間の脳機能(及び、薬効)について最も広く採用されている評価は、脳の機能の最終結果を検証する神経科医と精神科医が神経学的検査および精神鑑定および尺度規準を通してヒトの認知および反応挙動を数値定量化することによって行われる。
【0006】
神経学的および精神病理学的尺度規準の例としては、
【0007】
(1)「DSM(精神疾患の分類と診断の手引)」米国精神医学会刊行のマニュアル(精神分析標準規格)
(2)「CIBIC plus」変化に対する臨床医の面接に基づく印象プラス介護者情報の使用
(3)「MMSE」ミニメンタルステート検査
(4)「QoL」患者の標準的生活の質
(5)「ADAS」アルツハイマー病評価スケール
(6)「CDR−SB」臨床痴呆評価サブスケール
(7)「CNS」意識のある脳卒中患者の神経機能を評価するカナダ神経学スケール
(8)モントゴメリー/アスベルグ評価スケール(MADRS)
(9)ハミルトン鬱病評価スケール(HAM−D)
(10)ヤング躁病評価スケール(YMRS)
(11)簡易精神症状評価スケール(BPRS)
(12)精神疾患簡易構造化面接法(DSM−IV基準に基づく)
【0008】
他にも、刺激、人間挙動、身体機能に対する人間の応答性を詳細に調べることによって脳機能を研究するための規準スケールが多くあることは当該分野において公知である。また、脳機能をデジタルで双方向計測するためのコンピュータソフトウェア製品が多数ある。診断及び治療モニターに有用であるが、脳活動について直接定量化できる生化学的尺度を規定していない。
【0009】
情動障害に加えて、セロトニン量も、中枢神経系における5−HT(セロトニン)が過剰である高セロトニン血状態であるセロトニン症候群(または、高セロトニン血症)と関係がある。セロトニン作動薬を組み合わせて用いた場合、あるいは、投薬の適切な休薬期間を持たずに抗鬱剤を変更した場合、通常、セロトニン作動薬の投与量が増えることになる。それほど多くはないが、単一のセロトニン作動薬を適量用いた場合や、オキシコドン、エリスロマイシン、セントジョンズワート抗鬱剤などの非セロトニン薬との組み合わせでも起こり得る。
【0010】
セロトニン症候群は珍しいが、重篤で、潜在的に生命に危険を及ぼす症状である。ところが、実験室テスト例はなく、診断はもっぱら症候の観察になる。この症例はしばしば、ウイルス性疾患、不安神経症、神経障害、精神状態悪化などとして誤診されることがあり、誤認されることになる。臨床医は、よく似た症候であるセロトニン症候群と神経弛緩薬性悪性症候群を区別する必要がある。したがって、脳内のセロトニン量を直接モニターする能力によって、セロトニン症候群の非侵襲的検査が可能となる。神経修飾物質の代謝に影響するために標的になる薬剤によって治療される脳疾患の他例としては、アルツハイマー病(AD)がある。
【0011】
アルツハイマー病(AD)は、高齢者を襲う痴呆の最大原因である。AD症状はニューロンとシナプスが継続的になくなることが原因である。AD治療で用いる現世代の薬剤は殆どがアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤からなる。これは、ADの患者の脳で不足している神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)の機能停止を部分的に遅らせる作用がある。この薬理学的介入の効果は症候性および代償性がある。
【0012】
上記目的で広範に試行されるコリンエステラーゼ阻害薬の筆頭であるタクリンは肝毒性を含む重大な有害影響を付随する。リバスティグミンなどの他のコリンエステラーゼ阻害薬は、作用の特異性および有害影響の危険性が少ないなどの優れた特徴がある。結局、神経変性過程は進行するので治療の効果は薄れる。効能と安全性を調べるプラシーボ対照臨床試験によって、AChE阻害剤の影響が用量依存的であることが分かっている。
【0013】
一対照群として高用量投与された患者では、認知機能がわずかに増加し、3〜6か月後に最大を示す。これは、偽薬プラシーボを投与された患者で観察された認知機能の悪化と対照をなす。望ましい認識の変化は、低用量投与の患者ではそれほど顕著ではない。日常生活動作(ADL)においての改善を評価するのはかなり困難である。この範囲では、高用量のAChE阻害剤を投与される平均的な患者には著しい改善が見られないこともあるが、偽薬プラシーボの場合よりAD徴候および症状の進行は減速する。
【0014】
群平均では、認識力と日常生活動作(ADL)に対するAChE阻害剤の効果は、劇的な改善ではなく安定化において高い評価がある。群平均から見て、個々の患者における治療成果の可能性についての情報は殆どない。AChE阻害剤を用いた対照臨床試験では一貫して、個々の成果に相当なバラツキがあることを示している。アルツハイマー病評価尺度認知機能検査(ADAS−Cog)などの標準的スケールでは、相当な割合の患者が平均よりかなり高いスコアで効果を顕すが、少数の患者には治療効果が現れない。AChE阻害剤で効果を示さない患者には、向知性薬(ピラセタムなど)、カルシウムチャンネル遮断薬(ニモジピンなど)、グルタミン酸調節剤(メマンチン)、セレギリンを用いた代替治療方法がある。これらの薬剤には効果にかなりの個人差がある。
【0015】
SSRIの場合は、個々の対象の脳内でのAChE阻害剤の効果を非侵略的に直接確かめる有効な試験方法はなかった。こうした検証データが不足しており、且つ、これらの薬剤の効能の評価には数週間から数ヶ月要するので、取り返しがつかないまでに症状が進行するほど患者の大切な時間を消費することや、患者に緩慢で非効率な治療を強いるために安定性を欠くなどの不都合がある。アルツハイマー病の進行が社会的及び経済的負担を極度に高める
【0016】
ドーパミンはもう一つの重要な神経修飾物質である。ドーパミンの生成及び代謝の不均衡は、精神病、神経変性疾患と共に統合失調症、鬱病、依存症、パーキンソン病などの疾患の原因となる。統合失調症は、重症の慢性精神障害(または、精神障害症候群)に関連し、高率発生(人口の0.5〜1%は罹患する)する障害である。幻覚および妄想などの障害をもたらす統合失調症の陽性症状には、殆どの患者で神経弛緩薬が効く。通常、引きこもり、精神運動遅延、作業記憶障害などの認識機能障害を含む陰性症状には神経弛緩薬は効かない。
【0017】
統合失調症は、統合失調症的表現型の人間や動物モデルの特定脳領域における神経伝達の阻害に関係がある。機能的画像化研究によって、統合失調症の認知障害は、前頭葉前部皮質の変異機能が原因と考えられ、間接的証明によって、前頭葉前部のドーパミン機能の欠損が統合失調症における前頭葉前部の機能障害の一因であるとする仮定を裏付けることができる。現在、生体内で定量化できる前頭葉前部のドーパミン伝達の唯一の指標はPET画像処理によるD受容体可用性である。
【0018】
受容体の放射性追跡子を用いた研究結果は、D受容体における前頭葉前部のドーパミンの活動不足が統合失調症患者に見られる認知的問題の一因となり得るという仮説と一致している。臨床研究で、低レベルの脳脊髄液ホモバニリン酸(ドーパミン代謝物)と作業記憶に関するタスクとの関連性を示唆しているが、前頭葉以外のタスクについては明らかになっていない。ところが、ドーパミン合成または新陳代謝が変化する脳の領域について直接的な証拠はない。いくつかの証拠では、統合失調症もまた、NMDA受容体に係わるグルタミン酸伝達における永続的な機能障害に関係することを明らかにしている。フェンシクリジン、ケタミンなどの非競合的NMDA拮抗薬は、健常者および統合失調症の患者において陽性症状と陰性症状を引き起こし、未服薬の統合失調症患者は、NMDA拮抗薬の効果に対して通常の対象者より過敏であるが、NMDA機能障害あるいは変異グルタミン酸合成および統合失調症の代謝作用の直接的な証拠はまだ不足している。典型的な神経弛緩薬はドーパミン受容体2(D)をブロックする。とりもなおさず、精神病徴候の改善の成功が、統合失調症におけるドーパミン作用性の仮説につながっており、この治療に関係する既知の生体内作用(受容体結合)がかなり早く、概して、治療開始から治療的有用性が顕れるまでに数週間のタイムラグがある。
【0019】
SSRIおよびAChE抑制剤の場合と同様に、神経弛緩薬には副作用があるが、全ての患者が特異的な治療を受けられるわけではなく、知識に基づいた試行錯誤を繰り返して患者に処方する最良の薬が見つかるまで投薬計画を何度も変更せざるを得なくなる。個人の脳内における直接的な薬物作用と効能を見極める試験結果がないために、試行錯誤の過程が数週間から数か月間続くことになる。脳、セロトニン作動性、ドーパミン作用性、ドーパミン作用性、コリン作用性、アドレナリン作動系などの様々な調整システムは、互いに独立して機能せず、いくつかの次元で互いに相互に関連性をもっている。特に、セロトニン作動系の配分はノルアドレナリン作動系と重なり合って相互に影響しあっている。更に、2つのアミンの受動態は同じニューロンに共存し、これらの神経伝達物質によって活性化する二次メッセンジャ間でクロストークする。人間の脳内の神経調節性システム間の平衡バランスは脳機能にとっと重要であるが、平衡失調は、統合失調症、鬱病、PD、ADなどのいくつかの疾病原因に関係がある。
【0020】
要するに、脳代謝、特に、神経調節性新陳代謝(セロトニン、ドーパミン、アセチルコリン)は、運動、思考、判断、気分などの調整に関連する。大抵の精神治療薬および神経保護薬は、神経調節性新陳代謝および神経調節性作用の少なくとも一つの性状を対象とするが、神経調節性新陳代謝を含むこれらの過程の大半は非侵襲性方法で直接に検出できない。
【0021】
亜酸化窒素(NO)の合成は血流の調節に重要因子であり、血流変化とNO生成は、腎臓、肝臓、筋肉の機能と共に多くの精神状態および神経学的状態、および、アテローム性動脈硬化症に関連することが分かっている。NOがアルギニンのシトルリンへの転換を経て生成されることは当該技術分野において知られているが、この反応は、NO新陳代謝の他の性状と同様に、非侵入性方法で生体脳あるいは生体の身体において直接観察されることはなかった。N−アセチルアスパラギン酸(NAA)は、精神病および神経変性疾患に関与するもう一つの神経系統に影響を与える薬物質である。低いNAAレベル(局在的磁気共鳴分光学によって非侵襲的に測定可能)と様々な神経変性過程との間に強い相関関係がある。
【0022】
統合失調症では、H−MRS研究によって、神経弛緩薬治療患者でさえ前頭葉前部NAA濃度またはクレアチン比率に対するNAAが減少することが明らかになっているが、NAAレベルの減少が神経変性の原因であるのか、結果であるのか、更には、総量としてのNAAレベルをどれくらい、個々の脳内の神経組織変成状態の診断において使用できるのかが依然として不明である。人間の脳内のNAAの代謝経路は、非侵入的方法でまだ研究されていない。
【0023】
動物での臨床生体内研究では、脳活動領域よりも体液中の神経修飾物質判定が用いられ、脳からの代謝物質分泌および体液鬱滞に関与する多くの作用に拘わらず、代謝作用と特殊な脳機能との関連性が観察されている。たとえば、低い脳脊髄液ホモバニリン酸(ドーパミン代謝物質)が、前頭葉以外のタスクでなく作業記憶を伴うタスクの性能不足に相関があることが分かった。動物モデルにおける侵襲的方法を用いた多くの研究によって、特定の脳領域の変成代謝とその作用の関係を明らかにした。
【0024】
アルツハイマー病と双極性鬱病などの精神状態と神経学的状態の早期検診のための脳脊髄液バイオマーカーとバイオマーカーを明らかにするために絶大な努力が払われてきた。これまでのところ、鑑別診断や明確に治療表示を可能にするようなバイオマーカーは見つかっていないので、神経修飾物質新陳代謝および特定の脳領域における他の代謝過程を非侵襲的にモニターする能力は、特異的分析を行い、治療をガイドし、且つ、モニターしながら脳機能コントロールを特徴づけるためには重要な要素である。
【0025】
様々なレベルの知覚麻痺は、神経調節性活動とバランスにおける変化ばかりでなく脳活動の電気波形と関係しているので、特定の脳領域における神経修飾物質の代謝を非侵襲的にモニターする能力は、知覚麻痺レベルの客観的バイオマーカーとなる。
【0026】
昏睡状態の程度の判定は、知覚麻痺レベルの判定よりさらに曖昧であるので、特定の脳領域における神経修飾物質の代謝をモニターする能力によって、症状の特徴付け(潜在的治療)を行うための客観的バイオマーカーが得られる。
【0027】
通常、神経ステロイド合成および脳深部電気刺激法によれば、誤った脳機能をコントロールするための新たな手段の可能性が見られるが、この処理に対する必要性の評価および脳内電極の位置確認には、脳内の機能不全神経調節範囲における位置の客観的バイオマーカーが欠如している。したがって、特定の脳領域における神経修飾物質の代謝を非侵襲的にモニターする能力によって、治療方法の客観的な標準化バイオマーカーが得られる。
【0028】
精神的外傷および脳梗塞の場合、影響を受けている周辺部範囲を決定することは重要であり、両症状では、神経修飾物質の変化が神経損傷に続いて起こるが、原因損傷に比べて広い範囲になる。前記周辺部の範囲は大きな予想値であり、治療の選択肢を示していることは当技術分野では公知であり、周辺部を視覚化するための非侵入的手段の開発に時間が費やされている。したがって、特定の脳領域における神経修飾物質の代謝を非侵入的にモニターする能力によって、治療を階層化する際に役立つ客観的標準化バイオマーカーが得られる。
【0029】
現在、人間の脳の画像化するための最も広く用いられている方法としては、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)がある。CTは主に解剖学的情報を作り出し、MRI(fMRI)およびPETは、脳活性化に関する補足情報を作り出すことができる。fMRIは、脳血流・血量および酸素量の変化に関する血行動態情報を測定するためにMRIを利用している。PETは、ポジトロンを放出する追跡子トレーサーを用いた画像法であり、トレーサーを被験者の血液中に導入して、そこからの放出ポジトロンを用いてその濃度を測定し、PETを脳血流量とトレーサー摂取および鬱滞の測定に用いる。
【0030】
fMRIとPETのどちらも、血流、血液量、酸素消費量、消費グルコース量の活性化誘発性変化に依存するが、これらの変化とニューロンの活動の関係、特に、神経修飾物質の場合は不明のままである。神経修飾は、神経伝達物質の感覚では刺激的でもなく、抑制的でもない(たとえば、神経修飾物質は抑制性のメッセージを抑制する)。したがって、神経伝達物質の合成、代謝、放出の範囲はfMRIおよびPETによって識別される活動領域に重ならない。しかも、神経調節性のニューロンは、1を超える神経伝達物質(ドーパミン、グルタミン酸塩など)を分泌することができる。
【0031】
PET画像法も神経修飾物質受容体、輸送体、および、他の脳内高分子のための放射活性物質で標識したリガンドを用いており、これによって、非侵襲性のであるが放射線を用いた方法で脳内高分子のレベルを視覚化できる。したがって、fMRIおよびPETで視覚化されるような神経修飾物質の代謝および脳活性化との相関関係の視覚化処理が、脳のネットワーク活動を理解する上で役立ち、個人の神経調節系の活動を特徴付け、鑑別診断を行い、治療を監視モニターできるようになる。
【0032】
脳機能も、電気生理学法、脳波記録法(EEG)、シングルフォトン放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)などの他の手段によって詳細に調べることができ、電気生理学的研究においては、侵襲的手技によって電極または電極アレイを脳内の特定の測定部位に位置付け、測定部位における脳組織の電気的挙動を測定する。EEGおよび電子化されたEEGは、脳細胞の活動によって発生する電気パルスを記録し、特定の神経学的状態の診断に供する特徴脳波形パターンを明らかにする非侵襲的診断法である。SPECTは、微量の放射性薬剤を静脈に注入し、放射性物質が存在する脳内範囲の詳細な画像を、スキャナを使って作り出す特殊なコンピュータ断層撮影(CT)走査法である。
【0033】
磁気スペクトロスコピー(MRS)は現在、生体脳の特定領域の代謝を非侵襲的に直接検出できる唯一の方法である。MRSは、共鳴周波数の差をもたらす分子における個々の原子核の化学環境における差を用いて、特定の分子を同定する。限局性のMRSでは、脳内の特定領域のスペクトルを得るために一連の高周波パルスおよびパルス磁場勾配を利用している。これらのスペクトルは、内因性化合物および外因性要因の内容に関する情報を持っている。炭素13脳MRSを動物および人間に適用して、グルタミン酸塩、グルタミン、アスパラギン酸塩、GABA、乳酸塩の合成を観察する。
【0034】
13C−MRS方法論は最近、ラットの脳切片に適用され、アセチルコリン合成の直接検出を可能にした。こうして、神経調節性の活動の非侵襲的な直接検出するために13C−MRSを利用することを実証しているが、低濃度(ミクロモルの範囲)の神経修飾物質がMRSによって高解像度での体内検出を妨げる。完全な正常脳における神経修飾物質の高解像度13C−MRS研究を可能にするために信号対雑音比を桁違いに改善する必要がある。そうした改善は、後述する過分極法によって達成してきた。
【0035】
MRIとMRSの基本原理は、外部磁場を有する原子核の相互作用に基づく。原子核の基本的性質はスピン量子数Iで表される核スピンにある。多くの原子核は非ゼロスピン量子数を有し、核磁気共鳴(NMR)を使った研究を行うことができるが、MRIの臨床使用は感度の制約によって今日まで水素原子Hに限られていた。水素原子Hは、内因性物質の中で他のどんな原子核より感度が高いばかりでなく、生物組織において相当に高い濃度(約80M)で豊富に存在している。
【0036】
スピン量子数I=1Aを有する原子核(H、13C、15Nなど)は2つの予想できる方向(外部磁場に対して平行「スピンアップ」、あるいは、非平行「スピンダウン」)に配向が可能である。単位体積当たり正味磁化、つまり、利用可能なNMR信号は2つの状態の占拠数差に比例する。2つの占拠数が等しければ、磁気モーメントは相殺され、その結果、巨視的ゼロ磁化になって、NMR信号を出力しない。
【0037】
熱平衡状態では、若干高いエネルギが「スピンダウン」方向に相関し、斯かるスピンの数が「スピンアップ」状態のスピン数より僅かに少なくなる。与えられた原子核の極性化PをP=CBZTとして定義でき、この場合、Cは原子核の固有の定数、Bは磁界強度、Tは絶対温度である。熱平衡極性化は極めて小さく、磁界が1.5Tでも、Hがたった5×10−6であり、13Cが1×10−6(体温)になる。換言すると、100万の原子核の約1つだけが、標準臨床MRIスキャンにおける測定NMR信号に影響する。極性化、および、それによるNMR信号の強度は、高磁界に発展する刺激である磁界に比例して強くなる。
【0038】
極性化を高める概念的に異なる方法は、原子核の人工的非平衡分布を形成する。つまり、占拠数差(「スピンアップ」ー「スピンダウン」)が熱平衡と比較して桁違いに大きくなる場合の過分極化状態を形成する。核オーバーハウザー効果などの動的核極性化(DNP)技術と適当な造影剤を用いることで、生体内で過分極化状態を形成できる。もう一つの方法として、イメージング剤の過分極化状態を外部装置で作りだし、画像処理すべき対象に造影剤を急速投与できることが知られている。
【0039】
動的核極性化(DNP)か、パラ水素誘電極性化(PHIP)のいずれかによって13Cまたは15Nを含む広範囲の有機分子の過分極化を可能にし、液体状態において13C−MRSの信号の増加が5桁にも達することが知られている。本発明において、熱平衡状態、または、前記外部過分極化法によって作られた過分化状態で用いる神経化学剤を提案する。
【0040】
本発明によって、完全な正常脳および正常身体における神経修飾および神経化学の非侵襲的研究にDNP法およびPHIP法を利用し、生体外で過分極化した特定の神経化学用薬剤および生化学用薬剤を用いる。磁気共鳴画像法および分光法(MRI/MRS)は、非侵襲的であり、特に医師にとって潜在的に有害な電離放射線に被験患者を曝すことがないので、診断法として魅力的な手段である。
【0041】
対象者の異なった組織タイプのMR造影の実効的な対比を実現するために、領域におけるMR造影原子核の緩和時間に影響するMR造影剤(常磁性金属種など)を対象者に投与することが当該技術分野で長く知られていた。同じ原理が、特定作用剤と代謝的運命を、検出能力を高めるために13C標識剤を投与する場合の代謝研究にも利用されている。投与常磁性種において電子スピン共鳴(ESR)遷移が造影原子核の核スピンシステムに結合する「オーバーハウザー効果」を用いることでコントラスト促進も達成している。オーバーハウザー効果(動的核極性化としても知られている)によって選択原子核の極性化を大幅に高め、比較的小さい主磁界でOMRI画像を迅速に生成させる100以上の要素によってMR信号強度を増幅させることができる。OMRI造影剤をラジカルとして用いて、生体内および生体外での造影原子核を極性化可能であることも当該分野では公知である。
【0042】
造影剤投与およびMR信号検出前にMR造影原子核を含む作用剤を生体外で極性化する技術も当該分野で知られている。こうした技術には、たとえば、従来のOMRI造影剤、過分極化ガス、水素化触媒などの分極剤を用いて、管理可能なMR造影原子核の生体外分極を行う必要がある。分極剤と言うのは、MR造影剤またはMR分光剤の生体外極性化を行うのに適した作用剤のことである。
【0043】
生体外方法は、所期の極性化を達成するのに分極剤の全部または実質的に全部を対象のサンプルに適用する必要がないことが利点であり、分光剤またはイメージング剤の管理は、OMRI、DNP、PHIP造影剤および生体内技術における触媒の投与可能性、生分解性、毒性による制限などの生理学的因子による制約が殆どない。
【0044】
DMPは可能な3つのメカニズムによって達成できる。即ち、(1)オーバーハウザー効果、(2)固体効果、(3)熱混合効果である。オーバーハウザー効果は、電子核相互作用が逆電子ラーモア周波数の時間スケールに時間依存(熱運動または弛緩効果に起因)する場合に起こる弛緩駆動処理である。
【0045】
電子・核交差緩和は、増強した核分極を生じさせる格子を備えたエネルギ交換をもたらす。全体的な増強はスカラーと双極子電子・核相互作用の相対強度およびマイクロ波電力に依存する。固体効果において、電子スピンシステムは電子・核ラーモア周波数の合計または差に相当する周波数で照射を受ける。核ゼーマン容器においてエネルギ差を吸収または放出が行われ、スピン温度は変化し、その結果に増強核分極がもたらされる。効率は、電子・核双極子相互作用の非永年項による複合核状態のために許容される他の禁制遷移の推移確率に左右される。電子・電子の双極容器において核ゼーマン容器との熱接触が達成された時に熱混合が発生する。これは特性電子共鳴線幅が核ラーモア周波数の順のものである。核ゼーマンエネルギに等しいエネルギの差を持つスピン間の電子・電子交差緩和は電子双極子容器によって吸収または放出され、スピン温度と核極性の変化を促進させる。熱混合には、禁制遷移と許容遷移が伴う。
【0046】
分極剤がOMRI造影剤である場合、分極磁界をつくる第1磁石とMR造影のための主磁界をつくる第2磁石を用いることで極性化を起こすことができることは当該技術分野では公知である。第1磁石において、DNPプロセスで誘電共振器を用いている。簡単に言えば、DNPには、できるだけ小さい共存磁界と相当に強力な高周波磁界を持つ容積が必要であることは当該技術分野において公知である。誘電共振器を用いて、円錐形の束をまとめたより糸状の円をなす管状磁界に磁力線を形成する好適な磁界構造を作り出す。極性化するための構成を、共振器の大きさ程度のクリアランスを有する金属筺内部に置かれた共振器内に配置して、結合ループなどで必要な共振を起こさせる。誘電共振器の代わりとなるのが共振空洞である。共振空洞の単純で効果的なものは円筒形などの金属筺である。好適な一態様としては、共振空洞の軸に垂直磁界を発生させるTM1、1、0が知られている。
【0047】
固体中では、低温度の強磁界で電子スピンを当てることによって動的核極性化を起こすことが望ましい。当該分野で電子スピン源が、当該分野において4−アミノTEMPO、TEMPO、Cr錯体などとして知られているフリーラジカルであってもよいことは公知である。勿論、選択されたOMRI造影剤は長い半減期(できれば少なくとも1時間)、長い緩和時間(TとT)、高い緩和能、少数のESR遷移線を示す方が好ましい。よって、国際特許出願公開第WO−A−68/10419号、同第WO−A−90/00904号、同第WO−A−91/12024号、同第WO−A−93/0271号、同第WO−A−96/39367号公報に開示されている常磁性酸素ベースまたは硫黄ベースまたは炭素ベースの有機フリーラジカルまたは磁性粉がOMRI造影剤として適している。
【0048】
列挙したOMRI造影剤の特に好ましい特徴は、小さい固有ESR線幅(望ましくは500mGより小さく、更に望ましくは、400mGより小さく、より望ましくは150mGより小さい)である。すなわち、トリアリールメチル、ニトロキシドラジカルなどの有機フリーラジカルは、最も有力な望ましい小さな線幅のソースである(たとえば、国際特許出願公開第WO−A−88/10419号、同第WO−A−90/00904号、同第WO−A−91/12024号、同第WO−A−93/02711号、同第WO−A−96/39367号公報参照)。
【0049】
極性化後で、且つ、過分極分光剤または過分極イメージング剤のサンプルへの導入前に、できるだけ迅速にOMRI造影剤の実質的に全てを(または、少なくとも生理学的に耐えうるレベルに減少するように)取り除くことが望ましい。当該技術分野において多くの身体的および化学的選別または抽出技術が知られており、これら技術は、OMRI造影剤および分光剤またはイメージング剤の迅速で効果的な選別を行うために用いられている。迅速に実行でき、特に1秒より少ない選別が可能な技術が更に好ましい選別方法であることは明らかである。これに関して、磁粉(たとえば、超常磁性粒子)は粉体固有の磁気特性が利用して、既知の技術によって迅速選別が可能であるため、これをOMRI造影剤として有利に用いることができる。同様に、OMRI造影剤または粉体が固相ビーズに結合している場合は(つまり、適当な印加磁場によって固相ビーズが磁性を帯びていると)、液体から都合よく分離することができる。
【0050】
OMRI造影剤および分光剤乃至イメージング剤を分離の容易性については、2種の混合が、二相液、または、液体懸濁液中の固体、または、液相分光剤またはイメージング剤中に配したビーズ繊維、シート状の固形物などの液中の比較的高い表面積固体基板などの異種系であることが特に好ましい。これら全てにおいて、分光剤またはイメージング剤およびOMRI造影剤の拡散距離は十分に小さく有効なオーバーハウザー効果核オーバーハウザー効果が達成できる。ある種のOMRI造影剤は、実際には、上記のような常磁性粒子および超常磁性剤のように本質的に特異である。
【0051】
他の物質では、従来の手段によって、固体基板または支持体(たとえば、有機ポリマーまたはゼオライト、シリコン材料などの無機基質など)に対して固定、吸収、結合できる。OMRI造影剤と固体基板または支持体との強い共有結合では通常、所望するオーバーハウザー効果を達成する際に作動薬の有効性を制限し、それによって、OMRI造影剤と固体基板または支持体との間に結合があればこれが弱くなって、OMRI造影剤を自由に回転させてしまうことになる。極性化前にOMRI造影剤を水溶性基板/支持体に結合させるか、あるいは、OMRI造影剤を極性化後に基板/支持体に付着または結合させることができる。
【0052】
更に、OMRI造影剤を、たとえば、投与前の濾過処理によって分光剤またはイメージング剤から分離できる。また、OMRI造影剤は水溶性高分子に接合させることも可能であり、OMRI造影剤の高分子を投与前に分光剤またはイメージング剤から分離することも可能である。
【0053】
OMRI造影剤と分光剤またはイメージング剤との組み合わせが異種系である場合、従来の技術を用いて分離するために異なった物理特性の相を用いることも可能である。たとえば、一つの相が液相であり、他方が非液相(固体または液体)である場合、一方の相から他方の相に単純に移し替えればよい。別の方法として、OMRI造影剤が、液状分光剤またはイメージング剤中に懸濁している固体または固体基板(たとえば、ビーズ)の場合、固体を液体から従来の手段、たとえば、濾過手段、重量手段、クロマトグラフ手段、遠心分離手段等を用いて分離できる。分光剤またはイメージング剤もまた、極性化中に固相(たとえば、凍結状態)であってもよく、固体OMRI造影剤に緊密に接触させればよい。極性化後に、加熱水または生理食塩水に溶解するか、あるいは、中毒性であり投与できない場合は、OMRI造影剤から除去または分離するとよい。
【0054】
分離技術の一つでは、陽イオン交換ポリマと陽イオンOMRI造影剤、たとえば、ペンダント・カルボン酸塩基を運ぶトリアリールメチル基などを用いている。溶液をpH4程度に酸性化する別の方法では、OMRI造影剤を沈殿させることもでき、その上で、たとえば、濾過によって分離して中立化させてもよい。別の技術として、イオンを加えて、それによるイオンOMRI造影剤を沈殿させて濾過分離するようにしてもよい。トリアリールメチル基などのある種のOMRI造影剤にタンパク質に対する親和性を持たせてもよい。タンパク質を粒子化や表面結合させるなどして作用剤に対して表面積を大きく処理し、前記極性化した後に、前記タンパク質に対する親和性を有するOMRI造影剤を含む成分をタンパク質中に通してもよく、または、接触させてもよい。この方法において、OMRI造影剤のタンパク質への結合によって除去が可能になる。
【0055】
当該技術分野において知られている別の電子スピン源として、常磁性、超常磁性、強磁性、フェリ磁性を示す一方の粒子を含有し、関連する他方の粒子にフリー電子を持たせたものもOMRI造影剤として実用的である。超常磁性ナノ粒子(たとえば、鉄もしくは酸化鉄のナノ粒子)が特に実用的である。磁気粒子は、高い安定性と、更に強力なオーバーハウザー効果要素をもたらす強電子・核スピン結合(高緩和能)を有する有機フリーラジカルより優れた利点を有する。炭素13を含む分子中に(好ましくは、不飽和結合に近い部分に)二重または三重炭素結合のパラハイドロジェン水素化によってPHIPを実現できる。
【0056】
パラハイドロジェンは二水素の核スピンの一重項状態である。これは、最も少ないエネルギを有する二水素分子ψp=1/√2(|αβ>−|βα>)の4つの有力なスピン異性体の一つである。このスピン異性体は、液体窒素の温度である華氏77度以下の温度で大きくなる。基板上の1単位としてのパラ水素分子の遷移は、PHIP効果の必須要素である。13C標識分子が対称性を破壊し、強力な逆位相信号の発現による陽子分光学を用いて増大したスピン秩序を検出できる。
【0057】
パラ水素分子のスピン順番が非断熱の磁界循環方法を通して13C核の核分極に変換される。この磁界循環には、外部磁界が急激に減少する(1ミリ秒で約3×10−8T)事象と、磁界が徐々に増大して環境地磁界強度へと戻る(約10−4T)事象が含まれる。この磁界循環は、ハミルトニアンの本来の固有状態の集合の再配列をもたらし、許容遷移の大部分が一致して実質的な極性化に対応しているところで、このシステムがNMRスペクトルを表示する。PHIP法を用いて、非濃縮成分中の自然に豊富な13C原子核と13C標識剤の13C信号における振幅強度が5桁も増加可能であることは当該技術分野において公知である。
【0058】
極性化後で、且つ、PHIP過分極分光剤またはイメージング剤のサンプルへの導入前にできるだけ迅速に水素化触媒の実質的に全てを(または、少なくとも生理学的に耐えうるレベルに減少するように)取り除くことが望ましい。当該技術分野において多くの身体的および化学的選別または抽出技術が知られており、これら技術は、触媒および分光剤またはイメージング剤の迅速で効果的な選別を行うために用いられている。迅速に実行でき、特に1秒より少ない選別が可能な技術が更に好ましい選別方法であることは明らかである。
【0059】
水素化触媒および分光剤乃至イメージング剤を分離の容易性については、2種の混合が、二相液、または、水中のナノ粒子(ナノ粒子を囲繞する水分子が有機溶剤を含む水を作る場合)、液体懸濁液中の固体、または、液相分光剤またはイメージング剤中に配したビーズ繊維、シート状の固形物などの液中の比較的高い表面積固体基板などの異種系であることが特に好ましい。水素化触媒では、従来の手段によって、固体基板または支持体(たとえば、有機ポリマーまたはゼオライト、シリコン材料などの無機基質など)に対して固定、吸収、結合できる。水素化触媒は、たとえば、投与前の濾過処理によって分光剤またはイメージング剤から分離できる。また、水素化触媒は水溶性高分子に接合させることも可能であり、水素化触媒の高分子を投与前に分光剤またはイメージング剤から分離することも可能である。
【0060】
水素化触媒と分光剤またはイメージング剤との組み合わせが異種系である場合、従来の技術を用いて分離するために異なった物理特性の相を用いることも可能である。たとえば、一つの相が液相であり、他方が非液相(固体または液体)である場合、一方の相から他方の相に単純に移し替えればよい。別の方法として、水素化触媒が、液状分光剤またはイメージング剤中に懸濁している固体または固体基板(たとえば、ビーズ)の場合、固体を液体から従来の手段、たとえば、濾過手段、重量手段、クロマトグラフ手段、遠心分離手段等を用いて分離できる。
【発明の概要】
【0061】
本発明は、神経機能と、脳機能と、一般生化学の直接的非侵襲定量化のための神経化学用および生化学用の薬剤と、装置と、方法を提供することを目的とする。神経化学および生化学の代謝作用を定量化し、脳比活性度、精神病、神経変性疾患、神経変性障害、治療効果、効能の指標マーカーを作り出す。前記方法は、神経化学剤の生体外極性化と、過分極化剤の人体または動物または脳への投与と、磁気共鳴分光および映像法により脳内への投与剤の分布および代謝的運命の監視モニターの処理よりなる。前記装置は、過分極化信号と熱平衡神経化学信号の検出と分析、特定代謝物の定量化、磁気共鳴断層撮影スキャナ、ポラライザ、画像・スペクトル分析用ソフトの動作モジュールで脳(または、身体)の解剖学的画像および機能画像と融合した代謝結果の表示を行うシステムからなる。
【0062】
均一磁界(たとえば、13C、15N、19FなどのMR原子核)中で磁気共鳴信号を放出可能で、且つ、長いT緩和時間、更に好ましくは長いT緩和時間と、血液脳関門透過能と、選択的に脳または身体における代謝脳を示す原子核よりなる生体外極性化MR造影剤を用いて生体内磁気共鳴画像/分光方法を改良できることが分かった。斯かる作用剤をここでは「高T神経化学剤」あるいはHTNC剤と称する。典型的なHTNC剤微粒子には、前記微粒子中の原子核の天然存在度より多い量のMR造影/分光原子核が含まれる(この作用剤は前記原子核で濃縮される)。
【0063】
本発明の範囲において、過分極化および熱平衡信号の検出と分析、特定の神経化学代謝および生化学代謝の定量化、磁気共鳴断層撮影スキャナ、ポラライザ、画像・スペクトル分析用ソフトの動作モジュールで脳(または、身体)の解剖学的画像および機能画像と融合した代謝結果の表示を行うシステムを提案する。また、本発明の範囲において、神経化学薬と人間の脳および身体内の代謝/異化産物の時空間分布を検出する方法であって、少なくとも一つの神経化学剤の生体外極性化処理を少なくとも一つ含み、前記神経化学剤を人間または動物の身体または脳に投与し、磁気共鳴分光法および磁気共鳴画像法によって脳内または身体内の前記神経化学剤およびその代謝生成物の分布をモニターすることからなる。
【0064】
前記方法は特に、
(a)高T神経化学(HTNC)剤を生体外極性化し、分極剤または分極触媒および分極装置によって極性化した場合に前記HTNC剤から前記分極剤または分極触媒の全部または一部を選択的に分離し、
(b)前記HTNC剤を人間または非人間である動物の身体または脳に投与し、
(c)選択した原子核の核スピン遷移を励起する周波数の放射線に曝露し、
(d)前記身体または脳からの磁気共鳴信号を検出し、
(e)前記検出信号から選択的に、画像、代謝データ、酵素動態データ、拡散データ、緩和データ、生理学的データのいずれかを生成し、
(f)前記処理(e)で得られたデータを選択的に用いて神経機能および脳機能を定量化に供し、
(g)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて身体または脳の疾患または障害を診断し、
(h)前記処理(f)および(g)で得られたデータを選択的に用いて精神病、神経変性疾患、神経系疾患およびこれらの障害を軽減または治癒させるための治療の行為および反応をモニターし、
(i)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて薬物そのものの活性を確認すると共に薬効を判定し、
(j)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて神経刺激電極の位置決めの実施計画をたて、
(k)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて身体内または脳内で徐放または開放制御装置の位置決めの実施計画をたて、
(l)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて凝り、腫瘍、嚢胞、血管異常、内臓機能の特徴付けを行い、
(m)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて知覚麻痺、昏睡状態、および、卒中または精神的外傷に侵された脳領域およびその周辺領域の評価と判定を行う処理からなり、前記HTNC剤が、H、13C、15N、19F、31P原子核からなる群から選択した原子核を有する固形もしくは液状HTNC剤であり、且つ、前記HTNC剤を、サンプル投与前に制御可能な投与媒体中に溶解したことを特徴とする。
【0065】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも2秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0066】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも5秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0067】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも10秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0068】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも30秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0069】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも70秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0070】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも100秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0071】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも200秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0072】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも300秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする。
【0073】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤が13C原子核を有することを特徴とする。
【0074】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、約1%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする。
【0075】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、約5%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする。
【0076】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、約10%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする。
【0077】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、約25%量の分子構造における特定部分に13C原子核を有することを特徴とする。
【0078】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、約50%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする。
【0079】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、約99%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする。
【0080】
また、本発明の範囲において、前記高HTNC剤が、1以上の炭素部で濃縮した13Cであることを特徴とする。
【0081】
また、本発明の範囲において、前記高HTNC剤が、1以上の炭素部で標識化した重水素であることを特徴とする。
【0082】
また、本発明の範囲において、前記重水素標識を、隣接13C原子核に近づけることを特徴とする。
【0083】
また、本発明の範囲において、前記高HTNC剤が、19F原子核を含むことを特徴とする。
【0084】
また、本発明の範囲において、前記高HTNC剤が、15N原子核を含むことを特徴とする。
【0085】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、分子構造における特定部分に約1%量の15Nを有することを特徴とする。
【0086】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、分子構造における特定部分に約5%量の15Nを有することを特徴とする。
【0087】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、分子構造における特定部分に約10%量の15Nを有することを特徴とする。
【0088】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、分子構造における特定部分に約25%量の15Nを有することを特徴とする。
【0089】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、分子構造における特定部分に約50%量の15Nを有することを特徴とする。
【0090】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤は、分子構造における特定部分に約99%量の15Nを有することを特徴とする。
【0091】
また、本発明の範囲において、前記HTNC剤が、少なくとも1以上の窒素部において15Nで濃縮したことを特徴とする。
【0092】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または分極触媒を液状または固体状で用いることを特徴とする。
【0093】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を(前記分極剤または水素化触媒および分極装置を使用せずに同一の身体条件および化学的条件での極性化レベルに比較して)2倍に増加させたことを特徴とする。
【0094】
また、本発明の範囲において、前記分極剤および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を10倍に増加させたことを特徴とする。
【0095】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を50倍に増加させたことを特徴とする。
【0096】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を100倍に増加させたことを特徴とする。
【0097】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を500倍に増加させたことを特徴とする。
【0098】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を1,000倍に増加させたことを特徴とする。
【0099】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を5,000倍に増加させたことを特徴とする。
【0100】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を10,000倍に増加させたことを特徴とする。
【0101】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を50,000倍に増加させたことを特徴とする。
【0102】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を100,000倍に増加させたことを特徴とする。
【0103】
また、本発明の範囲において、前記分極剤または水素化触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を500,000倍に増加させたことを特徴とする。
【0104】
本発明の一実施例による人間または非人間動物の身体または脳の磁気共鳴代謝調査方法において、以下の処理から非限定的に選択した処理からなることを特徴とする方法を提供する。
【0105】
すなわち、この方法は、
(i)HTNC剤を生体外極性化処理し、
(ii)HTNC剤を選択的に均一磁界(たとえば1Gの弱磁界の画像装置の主磁界B)に曝露し、
(iii)前記処理(i)を分極剤または水素化触媒によって行う場合、前記分極剤または水素化触媒の実質的全部または一部を前記HTNC剤から分離し、
(iv)前記HTNC剤を前記人間または動物の身体または脳に投与し、
(v)前記身体または脳を、たとえばHTNC剤のMR分光/造影原子核などの選択原子核における核スピン遷移を励起するために設定した周波数を持つ第2放射線に曝露し、
(vi)前記身体または脳からの磁気共鳴信号を検出し、
(vii)前記検出信号から選択的に、画像、代謝データ、酵素動態データ、拡散データ、緩和データ、生理学的データのいずれかを生成し、
(viii)前記処理(vii)で得られたデータを選択的に用いて神経機能を定量化に供し、
(ix)前記処理(viii)で得られたデータを選択的に用いて身体または脳の疾患または障害を診断し、
(x)前記処理(vii)および(viii)で得られたデータを選択的に用いて精神病、神経変性疾患、神経系疾患およびこれらの障害を軽減または治癒させるための治療の行為および反応をモニターし、
(xi)前記処理(viii)で得られたデータを選択的に用いて薬物そのものの活性を確認すると共に薬効を判定し、
(xii)前記処理(viii)で得られたデータを選択的に用いて神経刺激電極の位置決めの実施計画をたて、
(xiii)前記処理(viii)で得られたデータを選択的に用いて身体内または脳内で徐放または開放制御装置の位置決めの実施計画をたて、
(xiv)前記処理(viii)で得られたデータを選択的に用いて凝り、腫瘍、嚢胞、血管異常、内臓機能の特徴付けを行い、
(xv)前記処理(viii)で得られたデータを選択的に用いて知覚麻痺、昏睡状態、および、卒中または精神的外傷に侵された脳領域およびその周辺領域の評価と判定を行う処理からなり、前記HTNC剤が、H、13C、15N、19F、31P原子核からなる群から選択した原子核を有する固形もしくは液状HTNC剤であり、且つ、前記HTNC剤を、サンプル投与前に制御可能な媒体中に溶解したことを特徴とする。
【0106】
よって、本発明の方法は、長いT緩和時間を示す原子核からなるHTNC剤の生体外極性化と、(好ましくは、分極剤または触媒の一部、更に好ましくは、実質的に全部を含まない)極性化HTNC剤の投与と、従来の生体内MR信号発生および測定の逐次処理を含む。この方法で得られたMR信号を従来の操作によって代謝、運動、拡散、弛緩、生理学的状態に係わるデータを含む2次元、3次元、4次元データに変換することができる。
【0107】
本発明の更なる実施例において、生理学的に許容される担体、賦形剤、保護剤、機能調整剤のうちの1以上で、極性化13C、15N、H、19Fのいずれかを濃縮した成分よりなる組成剤を提供する。
【0108】
本発明の更なる実施例において、生理学的に許容される担体、賦形剤、保護剤、機能調整剤のうちの1以上と共に、約0.005Tから約10Tの磁界の溶液中で約2秒以上のT緩和時間時間を有する13C原子核、15N、H、19Fのいずれかで濃縮された極性化HTNC剤よりなる造影剤を提供する。
【0109】
HTNC剤には、コリン、ベタイン、アセチルコリン、アセテート、アスパラギン酸塩、N−アセチルアスパラギン酸、クレアチン、L−チロシン、L−DOPA、ドーパミン、ノルエピネフリン、エピネフリン、バニリルマンデル酸(VMA)、ホモバニリン酸(HVA)、3−0−メチルドーパミン、3−0−メチルノルエピネフリン、3−0−メチルエピネフリン、ドパキノン、L−トリプトファン、5ーヒドロキシトリプトファン、セロトニン、5−ヒドロキシインドール・アセトアルデヒド、5−ヒドロキシインドール酢酸、メラトニン、グルタミン酸塩、アルギニン、シトルリン、N−アセチルシトルリン、アルギニノコハク酸、キヌレン酸(KYNA)、7−クロロキヌレニン酸(7−Cl−KYNA)、キヌレニン、4−クロロキヌレニン、および、これらの薬理学的に許容される塩、および、前記成分の混合物などの代謝脳を有する分子が含まれる。
【0110】
HTNC剤には、リバスティグミン、ラサギリン、メチルフェニデート、アンフェタミン、タクリン、ドネペジル、メトリホナート、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファクシン、ネファゾドン、ミルタザピン、ブプロピオン、シアノプラミン、フェモキセチン、ミルナシプラン、オキサプロチリン、シブトラミン、ビカリン、クロザピン、フェンクロニン、デクスフェンフルラミン、クロルプロマジン、メタンフェタミン、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、トリマゾシン、ラベタロール、メドロキサロール、トフェナシン、トラゾドン、ビロキサジン、リルゾール、および、これらの薬理学的に許容される塩、および、これらの成分の混合物などの精神治療薬または神経保護薬、血流修飾剤、精神安定剤として現在使用されている分子が含まれる。
【0111】
HTNC剤には、ドーパミン受容体とトランスポーター、セロトニン受容体とトランスポーター、アセチルコリン受容体とトランスポーター、ノルエピネフリン受容体とトランスポーターのためのリガンドなどの高分子用リガンドとして、また、ベータアミロイドペプチドとそのイミダゾピリジルベンゼンアミンとベンゾチアゾールベンゼンアミン誘導体リガンドなどの疾患指標である高分子用リガンド、および、これらの薬理学的に許容される塩、および、上記いずれかの混合物などのPET造影剤として現在用いられている分子が含まれる。
【0112】
HTNC剤には、(2−ヒドロキシエテニル)塩化トリメチルアンモニウム(水素化によってコリンに変換可能)、(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルアンモニウム(連続水素化によってコリンに変換可能)、(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−H−インドール−3−yl)プロペン酸(水素化によってヒドロキシトリプトファンに変換可能)、(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニール)プロペン酸(水素化によってL−DOPAに変換可能)、2−アミノ−2−エン−5−(ジアミノメチリデン・アミノ)プロペン酸(水素化によってアルギニンに変換可能)、2−アミノ−5−(ジアミノメチリデン・イミノ)プロペン酸(水素化でアルギニンに変換可能)、および、これらの薬理学的に許容される塩、および、上記いずれかの混合物などのPET造影剤として現在用いられている水素化後に上記HTNCを生じる分子が含まれる。
【0113】
HTNC分子の適当な位置に炭素13および窒素15の標識をつける。
【0114】
炭素13の標識をつけた適当な位置に4価または3価非陽子部分を含む。統合的な必要性のために好ましくない位置にも標識をつけることがある。
【0115】
好ましい窒素15標識位置には、非陽子部分を含む。統合的な必要性のために好ましくない位置にも標識をつけることがある。
【0116】
標識HTNCの例を本発明で詳細に説明する。標識位置を印した数字を図1から図40に図示している。
【0117】
本発明の一実施例では、以前は生体内非侵襲検査に適しておらず脳機能の特徴付けに用いていた人間または動物の脳内の神経化学代謝経路の検出が含まれる。
【0118】
本発明の第2の実施例では、薬剤の分布の検出によって、目標ターゲット(受容体、チャネル、酵素)の分布を検出する処理を含む。たとえば、リバスチグミンは身体や脳の他の部位のものよりも少量で、ラットの脳内の2箇所(海馬と大脳皮質)のコリンエステラーゼ酵素をブロックすることで知られている。
【0119】
本発明の実施例における2番目の適用例として、リバスティグミンを脳内の特異アセチルコリン・エステラーゼのマーカーとして用いる。
【0120】
本発明の第3の実施例では、いくつかの神経化学剤と神経化学薬のバランスを同時に監視モニタする処理を含む。本発明における神経化学物質とは、個々の脳内における神経調節システムのバランスをモニタするために特定の組み合わせによって同時に与えられる。これは、放射性トレーサ法(PET、SPECT)とは反対の磁気共鳴分光学の特性によって可能になる特有の脳検査法である。各神経化学物質は特徴的な共鳴周波数パターンを持っているので、体内注入、検出、分解を同時に行うことができる。放射性トレーサ法では検出手段によって総放射線量を検出し、通常は微小分子構造に影響されないので、この方法には前記方法の能力は欠如している。
【0121】
本発明の第4実施例では、既知の分子の安定した同位体標識された新規の異性体を用いている。ここに出てくる標識付き異性体分子の殆どは(全てではない)本発明において最初の記述にでてきて合成される。これらの分子の合成する合成処理は当該技術分野において、二重結合および三重結合の(潜在的にパラ水素を用いた)水素化をもたらす合成経路を含む酵素および有機質の一方または両方の合成経路を通じて公知である。合成前駆体を用いて炭素13または窒素15の標識が付けられ、この新たに標識付けされた異性体分子を合成する。
【発明の詳細な説明】
【0122】
当該技術分野における技術者が本発明の利用および最適な実施態様を実施可能なように以下の記載の全ての章に亘って本発明を詳細説明するが、本発明の包括的原理は、神経化学剤、および、脳活動、精神病・精神疾患障害・神経変性疾患・神経変性障害の診断、投薬作用の確認、薬効の直接判定を行うための装置およびその方法に係わる者であり、当該技術分野の技術者であれば様々に改変できることは自明であり、本発明の範疇に属するものとする。
【0123】
HTNC剤は、炭素13、窒素15、フッ素19、重水素などの非ゼロスピン原子核を含む。画像を生成するMR信号はHTNC剤そのものからのみ実質的にもたらされ、本質的に背景信号(炭素13、フッ素19、重水素の天然存在度は無視できる)からの妨害はなく、都合のよいことには画像コントラストは高い。このことによって、特にHTNC剤それ自身が天然存在度以上に濃縮されることは自明である。
【0124】
本発明の方法は、生成画像に重要な重み付けできる利点がある。実際に、サンプルの選択領域に極性化したHTNC剤を(注射による注入などによって)投与すると言うことは、コントラスト対比効果はその領域に局在化させることができることを意味している。進路の精密な効果は、HTNC剤が有意に極性化状態を保つ期間に亘る脳内の分布の程度に左右される。
【0125】
本発明の一実施例における脳の「自然画像」(HTNC剤投与前に得られる画像、または、従来のMR実験におけるような事前極性化していない投与HTNC剤で得られた画像)を生成して、本発明によって得られる画像または分光ボクセルを重畳できる(たとえば、解剖学的な)構造情報を作り出す。通常、炭素13、窒素15、フッ素19が造影原子核である場合、それらは体内では低存在度であるため「自然画像」は得られない。この場合、プロトンMR造影法を用いて、炭素13、窒素15、フッ素19画像を重畳できる解剖学的情報を得ることができる。
【0126】
HTNC剤は勿論、生理学的に耐えられ投与可能で、且つ、無害であるべきであるが、都合のよいことに、一旦極性化されたHTNC剤は、無理のない好適な期間で分光/画像処理を行うことができる十分に長い期間に亘って維持する。極性化が、(0.01〜5Tの磁界強度で摂氏20〜40度の温度で)少なくとも2秒、好ましくは少なくとも5秒、更に好ましくは少なくとも10秒、特に好ましくは30秒以上、より好ましくは70秒以上、もっと好ましくは100秒以上のT値を有する場合(たとえば、1Tで水中摂氏37度、且つ、少なくとも0.1mMにおいて)、一般的に十分な極性化は、投与可能な形態のHTNC剤によって維持される。HTNC剤は、長いT緩和時間を有する作用剤であり、好適である。
【0127】
13Cおよび15N原子核の長いT緩和時間は特に都合よく、13Cおよび15N原子核を含むHTNC剤は本発明の方法に好適に利用できる。炭素のγ係数は、1Tで約10MHzのラーモア周波数をもたらす水素γ係数の約1/4である。患者体内におけるRF吸収および反射は水(陽子)造影におけるより少なく、有利である。望ましくは、極性化HTNC剤が、0.1T以上、より好ましくは、25T以上、更に好ましくは100T以上、もっと好ましくは5000T以上(たとえば、50kT)の磁界において300Kの熱平衡で得られる磁性化に対応する実効的13C核磁極を有している。
【0128】
ある分子中の核の電子雲が、代謝(化学)プロセスによって変化した場合、その(MR信号に関係する)原子のシールドに変化が起きて、MR周波数を移相させる(化学シフト効果)。よって、分子が代謝する場合、特定原子核の化学シフトが変化する。HTNC剤およびそれの様々な代謝産物は個々に磁気共鳴分光によって視覚化され、スペクトル選別法または化学シフト選別法のいずれかを適用できる。完全なスペクトル法として、ポイント解像スペクトロスコピー法(PRESS)、刺激エコー法(STEAM)、単ショット2D−NMR技術に基づく1Dまたは2D単ボクセル・スペクトロスコピー法またはマルチボクセル・スペクトロスコピー法を適用できる。
【0129】
化学シフト選別方法は化学シフトに敏感なパルスを使用する。2つのHTNC代謝間の周波数差が150Hz以上(1Tで3.5ppm以上に対応)である場合、これらの代謝は個々別々に励起され、2つの画像として視覚化される。標準的な化学シフト選別励起パルスを使用できる。周波数分離が僅かである場合は、周波数選別RFパルスでは2つの成分を分離できない。パルス励起後とMR信号検出後の時間遅延中に生じる位相差を2つの成分の分離に使用できる。位相感応画像パルスシーケンス方法を用いて異なった代謝を視覚化する画像を生成できることは当該技術分野において公知である。
【0130】
高T剤の特性である長いT緩和時間が長いエコー時間(TE)の使用を可能にして、SN比を高くできる。本発明の方法で用いるHTNC剤の重要な特長は、代謝プロセスの進行に影響される化学シフトが見られることである。
【0131】
HTNC剤のMR信号を高めるために、本発明では当該分野でDNPや、PHIPとして知られている2つの方法を用いる。DNP方法では、HTNC剤をOMRI分極剤と混合して、華氏15度で凍結させる。勿論、この温度では、HTNC剤は固体である。この段階で、HTNC剤は極めて長いT緩和時間を示し、そのために、本発明の方法において特に有効に用いることができる。
【0132】
生体内使用では、磁性化した固体HTNC剤を投与媒体(水や生理食塩水など)に溶解し、OMRI分極剤から分離し、対象生体に投与する。PHIPでは、HTNC剤は液状である。パラ水素で水素化した後、HTNCを水素化触媒から分離し、投与媒体に加え、その上で、当該技術分野で公知の従来の多核MR造影法を実行する。個体HTNC剤は、都合よく、急速に溶解し(水溶液などになる)、投与媒体の調製に役立つ。生理的に耐え得る担体にHTNC剤を溶解して、1mM/3T以上、望ましくは、1mM/2T以上、更に望ましくは、1mM/T以上の比率で少なくとも1mMの濃度にする。個体HTNC剤が凍結したら、好ましくは、摂氏37度付近で混合した媒体温度程度に投与媒体を加熱する。
【0133】
結果的に得られる液状のDNP−磁性化HTNC剤を単独またはHTNC補助剤、あるいは、末梢循環悪化を妨げ、血液脳関門透過性を向上させ、末梢器官の摂取を防止し、脳内あるいは体内効果を修飾するなどの効果を有する薬剤などの追加成分と共に投与できる。
【0134】
PHIP法では、水素化触媒を用いて、不飽和炭素結合を有するHTNC剤をパラ水素で短い反応時間(10秒より短い)で水素化する。当該技術分野において、様々な液状水素化触媒や非対称水素化触媒が知られている。高いスピン秩序効果を検証するために、ここでの調製剤をNMRスペクトロメータまたは撮像装置に移し替える。プロトンスペクトルにおける強力な逆位相信号は、生産的なパラ水素による水素化およびスピン秩序の良好な改善を表している。パラ水素による水素化によって得られた非平衡スピン秩序は、非断熱の磁界循環手段によって長さ方向の磁極に変換される。外部磁界を突然弱めた後、環境地磁界強度に徐々に戻していく。外部磁界を十分に弱くするために、当該技術分野でミューメタルとして知られている磁界シールドである3つの同心円筒を用いて環境地磁界を遮蔽する。当該分野で公知の磁界循環方法によって、各種炭素13標識有機分子の実効的磁極化がもたらされる。
【0135】
結果的に得られる液状のPHIP磁極化HTNC剤を水素化触媒から分離する。液状の分極剤を単独またはHTNC補助剤、あるいは、末梢循環悪化を妨げ、血液脳関門透過性を向上させ、末梢器官の摂取を防止し、脳内あるいは体内効果を修飾するなどの効果を有する薬剤などの追加成分と共に投与できる。
【0136】
HTNC剤が強力な磁性を残す時間枠内でHTNC剤それ自体を検出することを前提とすると、HTNC剤それ自体の検出は迅速に行え、且つ、事後短時間でMR測定ができるので極性化HTNC剤の投与にとって望ましい。極性化HTNC剤の好適な投与経路はボーラス注入法、点滴、動脈注入である。注入時間を、5T以下、好ましくは3T以下、更に好ましくはT以下、より好ましくは0.1T以下に相当させる。HTNC剤を、長いT緩和時間を有する原子核(たとえば、13Cおよび15N原子核)で適切に濃縮されるはずである。天然存在度を越えた量、つまり、約1%以上で特定の1箇所(あるいは1を超える特定箇所)で13Cを有する13C濃縮高T剤が好適である。好ましくは、斯かる単炭素箇所に5%以上、望ましくは25%以上、更に望ましくは50%以上、より望ましくは99%以上(たとえば、99.9%)の13Cを持たせる。13C原子核は、成分中のすべての炭素原子の2%未満になる。
【0137】
カルボニル群または一定の四級炭素中の13C原子核のT緩和時間が通常、2秒を超える、望ましくは5秒を超える、更に望ましくは30秒を超えると仮定した場合、HTNC剤は、望ましくは1以上のカルボニル炭素または四級炭素の部分で濃縮された13Cとなる。望ましくは、13C濃縮成分を、重水素標識させ、特に、13C原子核に近づける。また、特定部分で13Cが15Nに近くなっている13Cで濃縮した上記HTNC剤が望ましい。更に、15Nを天然存在度以上の量、すなわち、約1%以上で濃縮することが望ましい。また、斯かる単窒素部分を5%以上、好ましくは10%以上、更に好ましくは25%以上、より好ましくは50%以上、もっと好ましくは99%以上(つまり、99.9%)の15Nを持たせる。また、13C濃縮の有無に拘わらず1箇所以上で、上記15Nで濃縮したHTNC剤が望ましい。以下に記述するHTNCおよび標識位置の一覧を示すが、本発明の範囲においてこれらに限定しない。
【0138】
(1) コリン
(化1)
a)[1−13C, 15N]−コリン:HO−CH−CHN(CH

(化2)
b)[1−13C]−コリン:HO−CH−CH−N(CH
(化3)
c)[2−13C, 15N]−コリン:HO−CHCH2−N(CH

(化4)
d)[2−13C]−コリン:HO−CHCH−N(CH
(化5)
e)[1,2−13C, 15N]−コリン:HO−CHCHN(
CH
(化6)
f)[1,2−13C]−コリン:HO−CHCH−N(CH
(化7)
g)[15N]−コリン HO−CH−CHN(CH
【0139】
(2)ベタイン
(化8)
a)[1−13C, 15N]−ベタイン:HO−CO−CHN(CH

(化9)
b)[1−13C]−ベタイン:HO−CO−CH−N(CH
(化10)
c)[2−13C, 15N ]−ベタイン:HO−CO−CHN(C

(化11)
d)[2−13C]−ベタイン:HO−CO−CH−N(CH
(化12)
e)[1,2−13C, 15N]−ベタイン:HO−CO−CH
(CH
(化13)
f)[1,2−13C]−ベタイン:HO−CO−CH−N(CH
(化14)
g)[15N]−ベタイン:HO−CO−CHN(CH
【0140】
(3)アセチルコリン
(化15)
a)[1−13C, 15N]−アセチルコリン:CHCOOCHCH
N(CH
(化16)
b)[1−13C]−アセチルコリン:CHCOOCHCHN(CH

(化17)
c)[2−13C, 15N]−アセチルコリン:CHCOOCHCH
N(CH
(化18)
d)[2−13C]−アセチルコリン:CHCOOCHCHN(CH

(化19)
e)[1,2−13C, 15N]−アセチルコリン:CHCOOCH
CHN(CH
(化20)
f)[1,2−13C]−アセチルコリン:CHCOOCHCHN(
CH
(化21)
g)[3−13C, 15N]−アセチルコリン:CHCOOCHCH
N(CH
(化22)
h)[3−13C]−アセチルコリン:CHCOOCHCHN(CH

(化23)
i)[1,3−13C, 15N]−アセチルコリン:CHCOOCH
CHN(CH
(化24)
j)[1,3−13C]−アセチルコリン: CHCOOCHCHN(
CH
(化25)
k)[2,3−13C, 15N]−アセチルコリン:CHCOOCH
CHN(CH
(化26)
l)[2,3−13C]−アセチルコリン:CH*COOCH*CHN(
CH
(化27)
m)[1,2,3−13C, 15N]−アセチルコリン:CHCOO*C
CHN(CH
(化28)
n)[1,2,3−13C]−アセチルコリン:CHCOOCHCH
N(CH
(化29)
o)[15N]−アセチルコリン:CHCOOCHCHN(CH
【0141】
(4)アセテート
(化30)a)[1−13C]−アセテート:HOCOCH3
【0142】
(5)アスパラギン酸塩
(化31)
a)[1−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NH)CHCO
OH
(化32)
b)[2−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NHCHCO
OH
(化33)
c)[3−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NH)CHCO
OH
(化34)
d)[4−13C]−アスパラギン酸塩::HOOCCH(NH)CH
OOH
(化35)
e)[1,2−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NHCH
COOH
(化36)
f)[2,3−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NHCH
COOH
(化37)
g)[2,4−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NHCH
COOH
(化38)
h)[1,3−13C]−アスパラギン酸塩 :HOOCCH(NH)CH
COOH
(化39)
i)[1,4−13C]−アスパラギン酸塩 :HOOCH(NH)C
COOH
(化40)
j)[3,4−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NH)CH
COOH
(化41)
k)[1,3,4−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCH(NH
CHCOOH
(化42)
l)[1,2,3−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NH
CHCOOH
(化43)
m)[2,3,4−13C]−アスパラギン酸塩:HOOCCH(NH
CHCOOH
(化44)
n)[1,2,4−13C]−アスパラギン酸塩: HOOCH(NH
CHCOOH
(化45)
o)[1,2,3,4−13C]−アスパラギン酸塩: HOOCH(N
CHCOOH
【0143】
(6)N−アセチルアスパラギン酸
(化46)
a)[4−13C]−N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(NH(C
OCH3))CHCOOH
(化47)
b)[5−13C]−N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(NH(
OCH3))CHCOOH
(化48)
c)[3−13C]−N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(NH(CO
CH3))CHCOOH
(化49)
d)[3,4−13C]−N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(NH
(COCH3))CHCOOH
(化50)
e)[3,5−13C]−N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(NH(
COCH3))CHCOOH
(化51)
f)[4,5−13C]−N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(NH
COCH3))CHCOOH
(化52)
g)[3,4,5−13C]−N−アセチルアスパラギン酸 :HOOCCH
(NH(COCH3))CHCOOH
(化53)
h)15N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(NH(COCH3))
CHCOOH
(化54)
i)[5−13C,15N]−N−アセチルアスパラギン酸:HOOCCH(
NH(COCH3))CHCOOH
【0144】
(7)クレアチン
(化55)
a)[13C, 15N]−クレアチン:H+*C(NH
CHCHCO
(化56)
b)[4−13C]−クレアチン:H+*C(NH)N(CH)CH
CO
(化57)
c)[1−13C]−クレアチン:HC(NH)N(CH)CH
CO
(化58)
d)[1,4−13C]−クレアチン:H+*C(NH)N(CH)C
CO
(化59)
e)[4−13C, 3−15N]−クレアチン:H+*C(NH
(CH)CHCO
(化60)
f)[1−13C, 3−15N]−クレアチン:HC(NHN(
CH)CHCO
(化61)
g)[1,4−13C, 3−15N]−クレアチン:H+*C(NH
N(CH)CHCO
(化62)
h)〔3−15N〕− クレアチン:HC(NHN(CH)CH
CO
【0145】
(8)L−チロシン
(化63)
a)[9−13C]−L−チロシン:4−HO−CCHCH(NH
COOH
(化64)
b)[8,9−13C]−L−チロシン:4−HO−CCHCH(N
COOH
(化65)
c)[1,8,9−13C]−L−チロシン:4−HO−CH
H(NHCOOH (フェニール−1−13C)
(化66)
d)[1,4,8,9−13C]−L−チロシン:4−HO−CH
CH(NHCOOH (フェニール−1,4−13
(化67)
e)[1,3,4,8,9−13C]−L−チロシン:4−HO−
CH(NHCOOH(フェニール−1,3,4−13
(化68)
f)[1,2,3,4,5,6,8,9−13C]−L−チロシン:4−HO−
CHCH(NH2)COOH(フェニール−13
(化69)
g)[1−13C]−L−チロシン:4−HO−CHCH(NH
)COOH(フェニール−13
(化70)
h)[4−13C]−L−チロシン:4−HO−CHCH(NH
)COOH(フェニール−13C
(化71)
i)[13C]−L−チロシン:4−HO−CHCH(NH
COOH(フェニール−13
【0146】
(9)3−(3,4−ジヒドロキシフェニール)−アラニン (L−DOPA)
(化72)
a)[9−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−CCHCH
(NHCOOH
(化73)
b)[8,9−13C]−L−DOPA: 3−HO−,4HO−CCH
CH(NHCOOH
(化74)
c)[1,8,9−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−
CHCH(NHCOOH(フェニ−ル−1−13C
(化75)
d)[1,4,8,9−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−
CHCH(NHCOOH(フェニ−ル−1,4−13
(化76)
e)[1,3,4,8,9−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−
CHCH(NHCOOH(フェニ−ル−1,3,4−13
(化77)
f)[1,3,4−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−
CHCH(NH)COOH(フェニ−ル−1,3,4−13
(化78)
g)[1,2,3,4,5,6,8,9−13C]−L−DOPA:3−HO−
,4HO−CHCH(NHCOOH(フェニ−ル−13
(化79)
h)[1,2,3,4,5,6−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO
CHCH(NH)COOH(フェニール−13
(化80)
i)[3−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−CH
H(NH)COOH(フェニール−13
(化81)
j)[4−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−CH
H(NH)COOH (フェニール−13
(化82)
k)[1−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−CH
H(NH)COOH(フェニール−13
(化83)
l)[13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−CH
H(NHCOOH(フェニール−13
(化84)
m)[8−13C]−L−DOPA:3−HO−,4HO−CCH
H(NH)COOH
【0147】
(10)ドーパミン
(化85)
a)[13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−CHCH
−NH(フェニール−13
(化86)
b)[1−13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−CHCH
−NH(フェニール−13
(化87)
c)[3−13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−CHCH
−NH(フェニール−13
(化88)
d)[4−13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−CHCH
−NH(フェニール−13
(化89)
e)[1,4−13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−CH
CH−NH(フェニール−13
(化90)
f)[1,3−13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−CH
CH−NH(フェニール−13
(化91)
g)[3,4−13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−CH
CH−NH(フェニール−13
(化92)
h)[1,3,4−13C]−ドーパミン:3−HO−,4HO−
CH−NH(フェニール−13
【0148】
(11)ノルエピネフリン
(化93)
a)[13C]−ノルエピネフリン:3−HO−,4HO−CH(
OH)CH−NH(フェニール−13
(化94)
b)[1−13C]−ノルエピネフリン:3−HO−,4HO−CH
(OH)CH−NH(フェニール−13
(化95)
c)[3−13C]−ノルエピネフリン:3−HO−,4HO−CH
(OH)CH−NH(フェニール−13
(化96)
d)[4−13C]−ノルエピネフリン:3−HO−,4HO−CH
(OH)CH−NH(フェニール−13
【0149】
(12)エピネフリン
(化97)
a)[13C]−エピネフリン:3−HO−,4HO−CH(OH
)CH−NH(CH)(フェニール−13
(化98)
b)[1−13C]−エピネフリン:3−HO−,4HO−CH(O
H)CH−NH(CH)(フェニール−13
(化99)
c)[3−13C]−エピネフリン:3−HO−,4HO−CH(O
H)CH−NH(CH)(フェニール−13
(化100)
d)[4−13C]エピネフリン:3−HO−,4HO−CH(O
H)CH−NH(CH)(フェニール−13
【0150】
(13)バニリルマンデル酸 (VMA)
(化101)
a)[13C]− VMA:3−HO−,4HO−CH(OH)
COH(フェニール−13
(化102)
b)[8−13C]− VMA:3−HO−,4HO−CCH(OH)
CO
(化103)
c)[13C]− VMA:3−HO−,4HO−CH(OH
CO
(化104)
d)[13C]− VMA:3−HO−,4HO−CH(OH)
COH(フェニール−13
【0151】
(14)ホモバニリン酸 (HVA)
(化105)
a)[13C]− HVA:3−HO−,4HO−CHCO
H(フェニール−13
(化106)
b)[13C]− HVA:3−HO−,4HO−CH
H(フェニール−13
(化107)
c)[13C]− HVA:3−HO−,4HO−CHCO
H(フェニール−13
(化108)
d)[8−13C]− HVA:3−HO−,4HO−CCHCO

【0152】
(15)3−O−メチルドーパミン (3OMD)
(化109)
a)[13C]−3OMD:3−CHO−,4HO−CH
NH(フェニール−13
(化110)
b)[13C]−3OMD:3−CHO−,4HO−CH
CHNH(フェニール−13
(化111)
c)[1,3−13C]−3OMD:3−CHO−,4HO−
CHNH(フェニール−13
(化112)
d)[1,3,4−13C]−3OMD: 3−CHO−,4HO−
CHCHNH (フェニール−13
【0153】
(16)3−O−メチルノルエピネフリン (3OMN)
(化113)
a)[13C]−3OMN: 3−CHO−,4HO−CH(
OH)CHNH(フェニール−13
(化114)
b)[13C]−3OMN:3−CHO−,4HO−CH(
OH)CHNH(フェニール−13
(化115)
c)[1,3−13C]−3OMN:3−CHO−,4HO−
H(OH)CHNH(フェニール−13
(化116)
d)[1,3,4−13C]−3OMN:3−CHO−,4HO−
CH(OH)CHNH(フェニール−13
【0154】
(17)3−O−メチルエピネフリン (3OME)
(化117)
a)[13C]−3OME:3−CHO−,4HO−CH(O
H)CHNH(CH)(フェニール−13
(化118)
b)[13C]−3OME:3−CHO−,4HO−CH(
OH)CHNH(CH)(フェニール−13
(化119)
c)[1,3−13C]−3OME:3−CHO−,4HO−
H(OH)CHNH(CH)(フェニール−13
(化120)
d)[1,3,4−13C]−3OME:3−CHO−,4HO−
CH(OH)CHNH(CH)(フェニール−13
【0155】
(18)ドパキノン
(化121)
a)[13C]−ドパキノン:3O−,4O−CHCH(
NHCOOH (フェニール−13
(化122)
b)[1,3,4,8,9−13C]−ドパキノン:3O−,4O−
CHCH(NHCOOH(フェニール−13
(化123)
c)[1−13C]−ドパキノン:3O−,4O−CHCH(N
)COOH(フェニール−13
(化124)
d)[3−13C]−ドパキノン:3O−,4O−CHCH(N
)COOH (フェニール−13
(化125)
e) [4−13C]−ドパキノン:3O−,4O−CHCH(
NH)COOH(フェニール−13
(化126)
f)[8−13C]−ドパキノン:3O−,4O−CCHCH(N
)COOH
(化127)
g)[9−13C]−ドパキノン:3O−,4O−CCHCH(NH
COOH
(化128)
h)[13C]−ドパキノン:3O−,4O−CHCH(NH
)COOH(フェニール−13
【0156】
(19)L−トリプトファン
(化129)
a)[13C11]−L−トリプトファン:C(CHCH
(NHCOOH)CH−NH(フェニール−13
(化130)
b)[13C11, 15N]−L−トリプトファン:C(
CH(NHCOOH)CH−NH(フェニール−13
(化131)
c)[13C]−L−トリプトファン:C(CHCH(NH
)COOH)CH−NH (フェニ−ル−13
(化132)
d)[1,2,3,8,10,11−13C11]−L−トリプトファン:
C(CHCH(NHCOOH)CH−NH
(化133)
e)[1−13C11]−L−トリプトファン:CC(CHCH(N
)COOH)CH−NH
(化134)
f)「2−13C11」−L−トリプトファン:CC(CHCH(
NH)COOH)CH−NH
(化135)
g)[3−13C11]−L−トリプトファン:C(CHCH(
NH)COOH)CH−NH
(化136)
h)[8−13C11]−L−トリプトファン:C(CHCH(
NH)COOH)CH−NH
(化137)
i)[10−13C11]−L−トリプトファン:CC(CHCH
(NH)COOH)CH−NH
(化138)
j)[11−13C11]−L−トリプトファン:CC(CHCH(
NHCOOH)CH−NH
(化139)
k)[1,2,3,8,10,11−13C11,15N]−L−トリプトフ
ァン:C(CHCH(NHCOOH)CH−NH
(化140)
l)[1−13C11,15N]−L−トリプトファン:CC(CH
CH(NH)COOH)CH−NH
(化141)
m)「2−13C11,15N」−L−トリプトファン:CC(CH
CH(NH)COOH)CH−NH
(化142)
n)[3−13C11,15N]−L−トリプトファン:C(CH
CH(NH)COOH)CH−NH
(化143)
o)[8−13C11,15N]−L−トリプトファン: C(C
CH(NH)COOH)CH−NH
(化144)
p)[10−13C11,15N]−L−トリプトファン:CC(CH
CH(NH)COOH)CH−NH
(化145)
q)[11−13C11,15N]−L−トリプトファン:CC(CH
CH(NHCOOH)CH−NH
【0157】
(20)5−ヒドロキシ・トリプトファン
(化146)
a)[13C11]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−C(CHCH(NHCOOH)CH−NH(フェニール−13
(化147)
b)[13C11,15N]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OHC(CHCH(NHCOOH)CHNH(フェニール−13
(化148)
c)[13C]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OHC(CHCH(NH)COOH)CHNH(フェニーリ−13
(化149)
d)[1,2,3,5,8,10,11−13C]−5−ヒドロキシ・トリプ
トファン:
5−OHC(CHCH(NHCOOH) CH−NH
(化150)
e)[1−13C]−5−ヒドロキシ・トリプトファン: 5−OH−C
C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化151)
f)「2−13C」−5−ヒドロキシ・トリプトファン: 5−OH−C
C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化152)
g)[3−13C]−5−ヒドロキシ・トリプトファン: 5−OH−
C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化153)
h)[5−13C]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:5−OH−
C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化154)
i)[8−13C]5−ヒドロキシ・トリプトファン: 5−OH−
C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化155)
j)[10−13C]5−ヒドロキシ・トリプトファン: 5−OH−C
C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化156)
k)[11−13C]−5−ヒドロキシ・トリプトファン: 5−OH−C
C(CHCH(NHCOOH)CH−NH
(化157)
l)[1,2,3,5,8,10,11−13C,15N]−5−ヒドロキシ
・トリプトファン:
5−OH−C(CHCH(NHCOOH) CH−NH
(化158)
m)[1−13C,15N]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−CC(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化159)
n)「2−13C,15N」−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−CC(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化160)
o)[3−13C,15N]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化161)
p)[5−13C,15N]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化162)
q)[8−13C,15N]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−C(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化163)
r)[10−13C,15N]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−CC(CHCH(NH)COOH)CH−NH
(化164)
s)[11−13C,15N]−5−ヒドロキシ・トリプトファン:
5−OH−CC(CHCH(NHCOOH)CHNH
(化165)
t)[1,2,3,4,5,6,7,8−13C,15N]−5−ヒドロキシ
・トリプトファン:
5−OHC(CHCH(NH)COOH)CHNH(フェニール−13
【0158】
(21)5−ヒドロキシ・トリプタミン (5−HT), セロトニン
(化166)
a)[13C10]−セロトニン:5−OH−C(CH
NHCH−NH(フェニール−13C
(化167)
b)[13C10, 15N]−セロトニン:5−OH−C(
CHCHNHCH−NH(フェニール−13C
(化168)
c)[13C]−セロトニン:5−OH−C(CHCHNH
)CH−NH(フェニール−13
(化169)
d)[1,2,3,5,8−13C]−セロトニン:5−OH−
C(CHCHNHCH−NH(フェニール−13
(化170)
e)[1−13C]−セロトニン:5−OH−C−C(CHCH
CH−NH
(化171)
f)「2−13C」−セロトニン:5−OH−CC(CHCH
NH)CH−NH
(化172)
g)[3−13C]−セロトニン:5−OH−−C(CHCH
NH)CH−NH(フェニール−13
(化173)
h)[5−13C]−セロトニン:5−OH−−C(CHCH
NH)CH−NH(フェニール−13
(化174)
i)[8−13C]−セロトニン:5−OH−−C(CHCH
NH)CH−NH(フェニール−13
(化175)
j)[1,2,3,5,8−13C, 15N]−セロトニン:5−OH−
C(CHCHNHCH−NH(フェニール−13
(化176)
k)[1−13C, 15N]−セロトニン:5−OH−C−C(CH
CHNHCH−NH
(化177)
l)「2−13C, 15N」−セロトニン:5−OH−CC(C
CHNH)CH−NH
(化178)
m)[3−13C, 15N]−セロトニン: 5−OH−−C(C
CHNH)CH−NH(フェニール−13
(化179)
n)[5−13C, 15N]−セロトニン:5−OH−−C(C
CHNH)CH−NH(フェニール−13
(化180)
o)[8−13C, 15N]−セロトニン:5−OH−−C(C
CHNH)CH−NH(フェニール−13C
(化181)
p)「2,8−13C, 15N」−セロトニン:5−OH−
C(CHCHNH)CH−NH(フェニール−13
【0159】
(22)5−ヒドロキシインドール・アセトアルデヒド(5−HIA)
(化182)
a)[13C10]−5−HIA:5−OH−C(CH
HO)CH−NH(フェニール−13
(化183)
b)[13C10,15N]−5−HIA:5−OH−C(
CHO)CH−NH(フェニール−13
(化184)
c)[13C]−5−HIA: 5−OH−C(CHCHO)
CH−NH(フェニール−13
(化185)
d)[1,2,3,5,8,10−13C10]−5−HIA:5−OH−
C(CHCHO)CH−NH(フェニール−13
(化186)
e)[1−13C10]−5−HIA:5−OH−CC(CHCHO
CH−NH
(化187)
f)[2−13C10]−5−HIA: 5−OH−CC(CH
HO)CH−NH
(化188)
g)[3−13C10]−5−HIA:5−OH−C(CHCH
O)CH−NH(フェニール−13
(化189)
h)[5−13C10]−5−HIA:5−OH−C(CHCH
O)CH−NH(フェニール−13
(化190)
i)[8−13C10]−5−HIA:5−OH−C(CHCH
O)CH−NH(フェニール−13
(化191)
j)[10−13C10]−5−HIA:5−OH−CC(CH
HO)CH−NH
(化192)
k)[1,2,3,5,8,10−13C10,15N]−5−HIA:5−
OH−C(CHCHO)CH−NH(フェニール−13
(化193)
l)[1−13C10,15N]−5−HIA:5−OH−CC(CH
CHO)CH−NH
(化194)
m)[2−13C10,15N]−5−HIA:5−OH−CC(C
CHO)CH−NH
(化195)
n)[3−13C10,15N]−5−HIA:5−OH−C(C
CHO)CH−NH(フェニール−13
(化196)
o)[5−13C10,15N]−5−HIA:5−OH−C(C
CHO)CH−NH(フェニール−13
(化197)
p)[8−13C10,15N]−5−HIA:5−OH−C(C
CHO)CH−NH(フェニール−13
(化198)
q)[10−13C10,15N]−5−HIA:5−OH−CC(C
CHO)CH−NH
【0160】
(23)5−ヒドロキシインドール酢酸 (5−HIAA)
(化199)
a)[13C10]−5−HIAA:5−OH−C(CH
COH)CH−NH(フェニール−13
(化200)
b)[13C10,15N]−5−HIAA:5−OH−C(
CH*COH)CH−NH(フェニール−13
(化201)
c)[13C10]−5−HIAA:5−OH−C(CH
COH)CH−NH(フェニール−13
(化202)
d)[1,2,3,5,8,10−13C10]−5−HIAA:5−OH−
C(CHCOH)CH−NH(フェニール−13
(化203)
e)[1−13C10]−5−HIAA:5−OH−CC(CHCO
H)CH−NH
(化204)
f)[2−13C10]−5−HIAA:5−OH−CC(CH
H)CH−NH
(化205)
g)[3−13C10]−5−HIAA:5−OH−C(CH
H)CH−NH(フェニール−13
(化206)
h)[5−13C10]−5−HIAA:5−OH−C(CH
H)CH−NH(フェニール−13
(化207)
i)[8−13C10]−5−HIAA:5−OH−C(CH
H)CH−NH(フェニール−13
(化208)
j)[10−13C10]−5−HIAA:5−OH−CC(CH
COH)CH−NH
(化209)
k)[1,2,3,5,8,10−13C10,15N]−5−HIAA:5
−OH−C(CHCOH)CH−NH(フェニール−13
(化210)
l)[1−13C10,15N]−5−HIAA:5−OH−CC(C
COH)CH−NH
(化211)
m)[2−13C10,15N]−5−HIAA:5−OH−CC(
CHCOH)CH−NH
(化212)
n)[3−13C10,15N]−5−HIAA:5−OH−C(
CHCOH)CH−NH(フェニール−13
(化213)
o)[5−13C10,15N]−5−HIAA:5−OH−C(
CHCOH)CH−NH(フェニール−13
(化214)
p)[8−13C10,15N]−5−HIAA:5−OH−C(
CHCOH)CH−NH(フェニール−13
(化215)
q)[10−13C10,15N]−5−HIAA:5−OH−CC(
CHCOH)CH−NH
【0161】
(24)メラトニン
(化216)
a)[13C12]−メラトニン: 5−CHO−C(
CHNHCOCHCH−NH(フェニール−13
(化217)
b)[13C]−メラトニン: 5−CHO−C(CHCH
NHCOCH)CH−NH(フェニール−13
(化218)
c)[2−13C]−メラトニン: 5−CHO−CC(CH
NHCOCH)CH−NH
(化219)
d)[1−13C]−メラトニン: 5−CHO−CC(CHCH
NHCOCHCH−NH
(化220)
e)[11−13C]−メラトニン: 5−CHO−CC(CH
NH*COCH)CH−NH
(化221)
f)[13C12,15N]−メラトニン:5−CHO−
CHCHNHCOCHCH−NH(フェニール−13
(化222)
g)[13C,15N]−メラトニン:5−CHO−C(CH
CHNHCOCH)CH−NH(フェニール−13
(化223)
h)[2−13C,15N]−メラトニン: 5−CHO−CC(C
CHNHCOCH)CH−NH
(化224)
i)[1−13C,15N]−メラトニン:5−CHO−CC(CH
CHNHCOCHCH−NH
(化225)
j)[11−13C,15N]−メラトニン: 5−CHO−CC(
CHCHNHCOCH)CH−NH
【0162】
(25)グルタミン酸塩
(化226)
a)[1−13C]−グルタミン酸塩: HOOCCHCHCHC(N
)OOH
(化227)
b)[5−13C]−グルタミン酸塩: HOOCCHCHCHC(N
)OOH
(化228)
c)[1,5−13C]−グルタミン酸塩: HOO*CCHCHCH
C(NH)OOH
【0163】
(26)γアミノ酪酸
(化229)
a)[1−13C]−γアミノ酪酸:HN(CHCOOH
(化230)
b)[13C]−γアミノ酪酸:HN(CHCOOH
【0164】
(27)リバスティグミン酒石酸塩
(化231)
a)[15N]−リバスティグミン酒石酸塩
(化232)
b)[5−13C]−リバスティグミン酒石酸塩
(化233)
c)[5−13C,3−15N]−リバスティグミン酒石酸塩
(化234)
d)[5−13C,15N]−リバスティグミン酒石酸塩
(化235)
e)[13C(フェニール)]−リバスティグミン酒石酸塩
(化236)
f)[13C14]−リバスティグミン酒石酸塩
(化237)
g)[13C14,15N]−リバスティグミン酒石酸塩
【0165】
(28)ラサギリン(N−プロパルギル−1−(R)アミノイソ酪酸)
(化238)
a)[1,2−13C]−ラサギリン
(化239)
b)[2−13C]−ラサギリン
(化240)
c)[13C12]−ラサギリン
(化241)
d)[フェニール−13C]−ラサギリン:[7,8,9,10,11,1
2−13C]−ラサギリン
【0166】
(29)メチルフェニデート(メチル2−フェニール−2−(2−ピペリジル)アセテート)
(化242)
a)[1−13C]−メチルフェニデート
(化243)
b)[1,2−13C]−メチルフェニデート
(化244)
c)[2−13C]−メチルフェニデート
(化245)
d)[3,4,5,6,7,8−13C]−メチルフェニデート
(化246)
e)[1,2,3,4,5,6,7,8−13C]−メチルフェニデート
(化247)
f)[1,2,3,4,5,6,7,8,14−13C]−メチルフェニデー

(化248)
g)[13C14]−メチルフェニデート
【0167】
(30)アンフェタミン (α−メチル−フェネチルアミン)
(化249)
a)[フェニール−13C]−アンフェタミン
【0168】
(31)イミダゾピリジルベンゼンアミン誘導体
(化250)
a)[9−13C]−イミダゾピリジルベンゼンアミン
(化251)
b)[11−13C]−イミダゾピリジルベンゼンアミン
(化252)
c)[2−15N]−イミダゾピリジルベンゼンアミン
(化253)
d)[8−15N]−イミダゾピリジルベンゼンアミン
(化254)
e)[7−13C,2,8−15N]−イミダゾピリジルベンゼンアミン
【0169】
(32)ベンゾチアゾールベンゼンアミン誘導体
(化255)
a)[9−13C]ベンゾチアゾールベンゼンアミン
(化256)
b)[11−13C]−ベンゾチアゾールベンゼンアミン
(化257)
c)[7−13C,8−15N]−ベンゾチアゾールベンゼンアミン
【0170】
(33)(2−ヒドロキシエテニル)トリメチルアンモニウム
(化258)
a)[1−13C,15N]−(2−ヒドロキシエテニル)トリメチルアンモニ
ウム:HOCHCHN(CH
(化259)
b)[2−13C,15N]−(2−ヒドロキシエテニル)トリメチルアンモ
ニウム: HOCHCHN(CH
(化260)
c)[1,2−13C,15N]−(2−ヒドロキシエテニル)トリメチルア
ンモニウム: HOCHCHN(CH
(化261)
d)[1−13C]−(2−ヒドロキシエテニル)トリメチルアンモニウム:
HOCHCHN(CH
(化262)
e)[2−13C]−(2−ヒドロキシエテニル)トリメチルアンモニウム:
HOCHCHN(CH
(化263)
f)[1,2−13C]−(2−ヒドロキシエテニル)トリメチルアンモニウ
ム:HOCHCHN(CH
【0171】
(34)(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルアンモニウム
(化264)
a)[1−13C,15N]−〔2−ヒドロキシエチニル〕トリメチルアンモ
ニウム:HOCCN(CH
(化265)
b)[2−13C,15N]−(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルアンモ
ニウム:HOCN(CH
(化266)
c)[1,2−13C,15N]−(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルア
ンモニウム:HON(CH
(化267)
d)[1−13C]−(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルアンモニウム:
HOCCN(CH
(化268)
e)[2−13C]−(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルアンモニウム:
HOCCN(CH
(化269)
f)[1,2−13C]−(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルアンモニウ
ム:HOCN(CH
【0172】
(35)(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−yl)プロペン酸
(化270)
a)[9−13C]−(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−H−イ
ンドール−3−yl)プロペン酸:
5−OHCC(CHC(NH)COOH)CHNH
(化271)
b)[10−13C]−(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−1H−
インドール−3−yl)プロペン酸:
5−OHCC(CHC(NH)COOH)CHNH
(化272)
c)[8−13C]−(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−1H−イ
ンドール−3−yl)プロペン酸:
5−OHCC(CHC(NH)COOH)CHNH
(化273)
d)[11−13C]−(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−1H−
インドール−3−yl)プロペン酸:
5−OHCC(CHC(NHCOOH)CHNH
(化274)
e)[13C]−(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−1H−イン
ドール−3−yl)プロペン酸:
5−OHC(CHC(NH)COOH)CHNH(フェニール−13)
【0173】
(36)(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニール)プロペン酸
(化275)
a)[7−13C]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェ
ニール)プロペン酸:
3−HO−,4HO−CCHC(NH)COOH
(化276)
b)[8−13C]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェ
ニール)プロペン酸:
3−HO−,4HO−CCHC(NH)COOH
(化277)
c)[9−13C]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェ
ニール)プロペン酸:
3−HO−,4HO−CCHC(NHCOOH
(化278)
d)[13C]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニ
ール)プロペン酸:
3−HO−,4HO−CHC(NH)COOH(フェニール−13
(化279)
e)[7,8−13C]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシ
フェニール)プロペン酸:
3−HO−,4HO−CCHC(NH)COOH
(化280)
f)[7,8,9−13C]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロ
キシフェニール)プロペン酸:
3−HO−,4HO−CCHC(NHCOOH
(化281)
g)[13C]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニ
ール)プロペン酸:
3−HO−,4HO−CHC(NHCOOH
【0174】
(37)L−アルギニン
(化282)
a)[1−13C]−アルギニン: NHC(NH)NHCHCH
CHCH(NHCO
(化283)
b)[2−13C]−アルギニン: NHC(NH)NHCHCH
CHCH(NH)CO
(化284)
c)[6−13C]−アルギニン: NHC(NH)NHCHCH
CHCH(NH)CO
【0175】
(38)L−シトルリン
(化285)
a)[1−13C]−シトルリン: NHCONHCHCHCHCH
(NHCO
(化286)
b)[2−13C]−シトルリン: NHCONHCHCHCH
H(NH)CO
(化287)
c)[6−13C]−シトルリン: NHCONHCHCHCH
H(NH)CO
【0176】
(39)2−アミノ−2−ene−5−(ジアミノメチリデン・アミノ)ペンタン酸
(化288)
a)[1−13C]−2−アミノ−2−ene−5−(ジアミノメチリデン・
アミノ)ペンタン酸:
NHC(NH)NHCHCHCHC(NHCO
(化289)
b)[2−13C]−2−アミノ−2−ene−5−(ジアミノメチリデン・
アミノ)ペンタン酸:
NHC(NH)NHCHCHCHC(NH)CO
(化290)
c)[6−13C]−2−アミノ−2−ene−5−(ジアミノメチリデン・
アミノ)ペンタン酸:
NHC(NH)NHCHCHCHC(NH)CO
【0177】
(40)2−アミノ−5−(ジアミノメチリデン・イミノ)ペンタン酸
(化291)
a)[1−13C]−2−アミノ−5−(ジアミノメチリデン・イミノ)ペン
タン酸
NHC(NH)NCHCHCHCH(NHCO
(化292)
b)[2−13C]−2−アミノ−5−(ジアミノメチリデン・イミノ)ペン
タン酸
NHC(NH)NCHCHCHCH(NH)CO
(化293)
c)[6−13C]−2−アミノ−5−(ジアミノメチリデン・イミノ)ペン
タン酸
NHC(NH)NCHCHCHCH(NH)CO
【0178】
化学合成手順により他の標識付き誘導体も同じ磁気共鳴活性を持つ可能性があることは当該技術者には自明のことである。たとえば、他の部分における付加的炭素13または付加的窒素15原子核またはより少ない標識部分を持つ上記標識付き作用剤などである。これら誘導体も本発明の範疇に含んでいる。
【0179】
本発明を理解し実施できるよう本発明による複数の実施例を添付の図面を参照に説明するが、これらは本発明の例であって限定するものではない。
【0180】
生体外極性化は既知の方法で実施可能であるが、一例として2つの当該方法を以下に説明する。本発明による方法において実現できる極性化のレベルを、何らかの方法で連続的に投与するサンプルにおいてHTNC剤による診断に有効なコントラスト促進法を実施するのに十分な程度に設定する。
【0181】
MRIが実行される磁界以上の少なくとも2を超える係数、好ましくは、10を超える係数、更に好ましくは100を超える係数、より好ましくは1000を超える、更には10000を超える、もっと好ましくは100000を超える係数の極性化レベルを達成することが望ましい。
【0182】
生体外極性化:方法1
MR造影原子核の生体外極性化を、OMRI造影剤を用いて実行する。
【0183】
この方法は次の2つの主要処理よりなる:(1)OMRI造影剤及びHTNC剤を均一磁界(主磁界B)に接触させ、(2)OMRI造影剤を、OMRI造影剤内部で電子スピン遷移を励起させる周波数の第1放射線に曝露する。
【0184】
投与するには、OMRI造影剤の全てまたは実質的に全てが存在しない状態で高HTNC剤を投与することが望ましい。好ましくはOHRI造影剤を少なくとも80%、望ましくは90%以上、特に望ましくは95%以上、より望ましくは99%以上を除去する。通常、OMRI造影剤をできるだけ多く除去することで、生理学的耐性を向上させTを増加させるので理想的である。よって、使用に適したOMRI造影剤とは、極性化したHTNC剤から簡便に、且つ、迅速に分離できる造影剤である。斯かるOMRI造影剤は当該技術分野でも公知であり、ここでの用途に供することができるが、OMRI造影剤に毒性がない場合は、前記分離処理を省くことができる。極性化処理を行ったOMRI造影剤およびHTNC剤の固体(たとえば、凍結)成分を生理食塩水(たとえば、温生理食塩水)に迅速に溶解し、混合成分を直後に注入する。
【0185】
生体外極性化:方法2
HTNC中のMR造影原子核の極性化は一般に、低温度および強磁界で熱力学的平衡によって達成される。
【0186】
投与すべき造影媒体が固体(たとえば、結晶)である場合、超低温度の磁界に入れる。この場合、OMRI造影剤を伴わないので、分離処理は必要ない。そのため、極性化HTNCを極性化処理後直ちに身体または脳に注入できる。
【0187】
生体外極性化:方法3
パラ水素によるHTNC分子中の不飽和結合の水素化によって生体外極性化を行う。
【0188】
この方法は次の3つの主要処理よりなる:(1)パラ水素の作成、(2)水素化触媒存在下でパラ水素との不飽和結合の水素化、(3)高次スピンを陽子から炭素13へ遷移させる磁界循環。
【0189】
投与するには、OMRI造影剤の全てまたは実質的に全てが存在しない状態で高HTNC剤を投与することが望ましい。好ましくはOHRI造影剤を少なくとも80%、望ましくは90%以上、特に望ましくは95%以上、より望ましくは99%以上を除去する。通常、OMRI造影剤をできるだけ多く除去することで、生理学的耐性を向上させTを増加させるので理想的である。よって、使用に適したOMRI造影剤とは、極性化したHTNC剤から簡便に、且つ、迅速に分離できる造影剤である。斯かるOMRI造影剤は当該技術分野でも公知であり、ここでの用途に供することができるが、OMRI造影剤に毒性がない場合は、前記分離処理を省くことができる。
【0190】
本発明による方法で用いるHTNC剤は、従来の医薬化学または動物用の担体または賦形剤を用いて簡便に調製できる。本発明による製剤および使用される態様として、HTNC剤はもとより、人間または動物用の薬剤において従来から見られる治療診断成分を補助剤等として含めてもよく、たとえば、安定剤、酸化防止剤、浸透圧調整剤、可溶化剤、乳化剤、増粘剤、緩衝剤等々を含むことができる。調剤は非経口投与(静脈、動脈注射など)または腸内投与(経口など)の適当な形態を採ることができるが、通常は、生理学的に許容される担体、たとえば、水や生理食塩水に溶解させた溶液、懸濁液、拡散液が望ましい。
【0191】
好ましくは、調剤が実質的に等張性であり、検査段階で1ミクロモルから100mMの濃度のHTNC剤が確保できる程度に十分な濃度で投与すると都合よいが、勿論、精確な濃度や投与量は、毒性、HTNC剤の局所薬効性能、投与経路などの要素範囲に基づいて決まる。MR造影剤またはMR分光剤の最適濃度は様々な要素のバランスを表すことにもなり、静脈内投与または動脈内投与の調剤には、1mMから1OM、好ましくは50mMを超える、更に好ましくは200mMを超える、もっと好ましくは500mMを超える濃度のHTNC剤を含む。非経口投与は勿論、無菌状態で、且つ、生理学的に許容されない薬剤を含まないようにすべきであり、低重量オスモル濃度にして投与後に炎症あるいは他の副作用を最小限に抑える必要があり、これによって調剤が、等張性を有し、若干高い浸透性を有する望ましい状態になる。
【0192】
適当な賦形剤としては通常、塩化ナトリウム溶液、リンガー溶液、デキストロース溶液、デキストロース塩化ナトリウム溶液、乳酸加リンガー溶液、および、「レミントン薬学」15版、米国イーストンのマック・パブリシング社刊(1975年)、第1405〜1412頁および第1461−1487頁、および「国民医薬品集」14版、米国ワシントン、米国薬剤師会刊(1975年)に記載されている投与溶液などが用いられる。こうした成分には、従来から用いられている点滴製剤、賦形剤、あるいは、HTNC剤と相性がよく製造、保存、使用性にすぐれた添加剤、保存料、抗菌剤、緩衝剤、酸化防止剤等々が含まれる。
【0193】
本発明の方法に適用されるHTNC剤の投与用量は、使用するHTNC剤の正確な特性、対象組織、測定装置などによって変化するが、検出可能な対比効果を確保しながらもできるだけ少量が望ましい。一般に、最大用量は毒性の制約によって決まる。本発明を以下の実施例に従って説明するが、これらに限定するものではない。
【0194】
実施例1: 脳内アセチルコリン合成
コリン注入前に被験者をアトロピンで前処理して、コリン作用性中毒を防止する。
【0195】
[2−13C,15N]−コリン(99%13C−標識、99%15N−標識10mg)を、グリセロール:HOの50:50溶液40mgに溶解する。
【0196】
15mMと20mMの濃度になるまでトリチルラジカル(トリス{8−カルボキシl−2,2,6,6−テトラ[2−(1−ヒドロキシエチル)]−ベンゾ(1,2−d:4,5−d’)bis(1,3)ジチオレ−4−yl}メチルナトリウム塩)を添加する。混合液を上部開放容器に入れる。
【0197】
前記混合液を、華氏4.2度(または、1.2度以下)の2.5Tの磁界で少なくとも1時間、マイクロ波で極性化する。極性化処理は、実施位置におけるNMR記録により、既に発表されている方法(J.アルデンカシャ−・ラルセンの米国特許第6278893号(2001年))などに従って進める。
【0198】
極性化が適当なレベルに達すると、容器を偏向器から速やかに取り出し、50mT以下の磁界中で処理しながら、内容物をすばやく取り出して、温生理食塩水(摂氏40度5mL)に溶解する。
【0199】
極性化した[2−13C、15N]−コリン(5mLのHTNC)を含む溶液を被験者に予めセットしておいた静脈内カテーテルを使って注入する。
【0200】
過分極化溶解につづいて20mLの生理食塩水と他の所定の洗浄液を準備する。
【0201】
実験1:
(工程1)脳の解剖学的画像を事前に記録しておき、海馬の位置を確認する。
【0202】
(工程2)注入後1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、10秒、15秒、20秒、40秒、60秒に1×1×1cm(または、0.5×0.5×0.51cm、または、0.2×0.2×0.2cm、または、2×2×2cm)の範囲で炭素13スペクトルと被験者の海馬のボクセル(シングルボクセル分光法)を記録する。
【0203】
分光分析研究には、短いエコー時間(5ミリ秒、15ミリ秒、30ミリ秒)のポイント解像スペクトロスコピー法(PRESS)を用いる。データ収集中に陽子分断を適用する。
【0204】
別の方法として、データの取得に先立って極性化を窒素15原子核から隣接炭素13原子核(極性化処理の終わりに起こる過分極化)に転換可能であることは公知である。
【0205】
(工程3)スペクトルをフーリエ変換し、被験者の海馬内の[2−13C、15N]−コリンと[2−13C、15N]−アセチルコリンのレベルを定量化する。同様に、[2−13C、15N]−ベタインなどの[2−13C、15N]−コリンおよび[2−13C、15N]−ホスホコリンを同時に定量化する。
【0206】
実験2
(工程1)および(工程2)は前記実験1と同じである。
【0207】
(工程2)は100ミリ秒毎、200ミリ秒毎、300ミリ秒毎、500ミリ秒毎、600ミリ秒毎、700ミリ秒毎、800ミリ秒毎、900ミリ秒毎、1秒毎、1.5秒毎、2秒毎、3秒毎、4秒毎のいずれかの時間間隔で繰り返す。
【0208】
(工程3)スペクトルをフーリエ変換し、被験者の海馬内の[2−13C、15N]−コリンと[2−13C、15N]−アセチルコリンのレベルを定量化する。分光減衰、血流、血液・脳バリア間のコリン輸送運動性を考慮して、[2−13C、15N]−コリン蓄積と[2−13C、15N]−アセチルコリン合成の動態データを演算する。
【0209】
実験3
実験1または実験2を脳の別の部位、たとえば、前頭葉で繰り返す。
【0210】
実験4
実験1、2、3における工程2で、適宜に脳を断層サンプリングした内分光画像シーケンスを用いて実験した。分光画像の面内解像度は、0.2cm、0.4cm、0.5cm、1cm、2cm、3cmである。
【0211】
断層厚は、0.2cm、0.4cm、0.5cm、1cm、2cm、5cm、10cmである。マルチスライス分光画像シーケンスを脳全域のサンプリングに適用することもできる。
【0212】
実験5
実験1、2、3、4を、10、50、100の動物グループ(たとえば、ネズミ、ウサギ、ミニ豚、豚)で行った。
【0213】
実験を(数日後に)同じ動物グループと異なった動物グループで繰り返し、同時に脳内のアセチルコリンの量を変えるための薬剤を投与した(たとえば、新規および公知のアセチルコリン・エステラーゼ抑制治療)。
【0214】
個々の対象と平均のコリン摂取量、および、正常な動物の脳内アセチルコリン合成を計算し、薬剤の効果を判定した。
【0215】
実験6
実験1、2、3、4を、神経障害、精神疾患がなく薬物の常用または履歴のない健常被験者10人、50人、100人、200人、500人について行った。
【0216】
個々の対象と平均のコリン摂取量、および、正常な人の脳内アセチルコリン合成を計算し、薬剤の効果を判定した。
【0217】
同じ実験を、軽度認知機能障害者、および、薬物治療を受けていないアルツハイマー型痴呆症の程度の異なる患者のグループに対して行った。
【0218】
個々の対象と平均のコリン摂取量、および、前記患者グループにおける対象者の脳内アセチルコリン合成を計算し、薬剤の効果を判定した。
【0219】
同じ実験を、新規薬物による治療、または、既存のアセチルコリン・エステラーゼ阻害剤(リバスティグミンなど)による治療を受けている患者グループについて行った。
【0220】
個々の対象と平均のコリン摂取量、および、前記治療患者グループにおける対象者の脳内アセチルコリン合成を計算し、薬剤の効果を判定した。
【0221】
比較分析によって、個々の対象者と患者グループにおける薬の効果を判定した。個々対象者を定期的な適正時間で監視モニタし、継続的に治療の効果を確認した。
【0222】
実験7
実験1、2、3、4を、同じ被験者または患者について昼夜を通して数回行い、コリン輸送とアセチルコリン合成のパターンを判定した。個々のアセチルコリン合成と放出のパターンを、被験者の脳内に設けた制御放出装置からのアセチルコリン制御放出または脳または循環器へのコリン制御放出のための個人スケジュールを計画するために利用した。
【0223】
実験8
実験1、2、3、4を、脳腫瘍と診断された患者に対して行った。コリン代謝が悪性組織内で変性するので、被験組織における[2−13C、15N]−コリン輸送と、[2−13C、15N]−ホスホコリン合成、[2−13C、15N]−ベタイン合成が、腫瘍の特徴、または、腫瘍を取り巻く組織における悪性度の確認に利用できる。実験の範囲を広げることで、体内の、たとえば、胸部、前立腺、腎臓の腫瘍などの腫瘍の特徴付けができる。
【0224】
実施例2: 脳内ドーパミン合成
前記実施例1の方法に従って、[13]−L−DOPA(99%13C−標識フェニル10mg)を過分極化して、溶解した。
【0225】
被験者に、カルビドパ、ベンセラジド、ジフルオロメチルドーパなどの芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤、あるいは、経口投与されるα−メチルドーパ(20mg、40mg、60mg、80mg)を1回投与または複数回投与して事前処理した。
【0226】
カルビドパによる事前処理から1時間後に、過分極化溶液(摂氏37度に冷却)を被験者に迅速に(前記実施例1のように望ましくは10秒以内に)注入する。
【0227】
実験1:
(工程1)前記実施例1の実験1の工程1と同じ。
【0228】
(工程2)前記実施例1の実験1の工程2と同様に、被験者の中脳の黒質、大脳基底核の線条体、大脳基底核、視床などの特定部位における炭素13磁気共鳴スペクトルを記録する。
【0229】
(工程3)スペクトルをフーリエ変換し、前記特定部位の[13]−L−DOPA、[C]−ドーパミン、[13]ホモバニリン酸、[13]−3−O−メチルドーパミン、および、他の[13C]−L−DOPAの潜在的代謝産物のレベルを同時に定量化する。
【0230】
実験2
実験1に記載した測定を繰り返し、実施例1の実験2の動態解析を行った。
【0231】
実験3
実施例1の実験4に記載したような、[13]−L−DOPA、[13]−ドーパミン、および、他の[13C]−L−DOPAの潜在的代謝産物の分布を分光画像化した。
【0232】
実験4
実験1、2、3を、10、50、100の動物グループ(たとえば、ネズミ、ウサギ、ミニ豚、豚)で行った。
【0233】
実験を(数日後に)同じ動物グループと異なった動物グループで繰り返し、同時に脳内のドーパミンの量を増加させるための薬剤を投与した(たとえば、新規および公知のモノアミン酸化酵素阻害薬)。
【0234】
脳内の[13]−ドーパミン、および、他の[13]−L−DOPA代謝物のレベルを両動物グループについて測定した。未治療脳と治療脳の[13]−L−DOPA摂取と[13]−ドーパミン合成を計算し、薬効を判定した。
【0235】
実験5
実験1、2、3を、神経障害、精神疾患がなく薬物の常用または履歴のない健常被験者10人、50人、100人、200人、500人について行った。
【0236】
正常な人の脳内の[13]−ドーパミン、および、他の[13]−L−DOPA代謝物のレベルを測定した。正常な人の脳内の[13]−L−DOPA摂取と[13]−ドーパミン合成を計算した。
【0237】
同じ実験を、パーキンソン病と診断されているが投薬治療を受けていない患者グループについて行った。
【0238】
パーキンソン病患者の脳内の[13]−ドーパミン、および、他の[13]−L−DOPA代謝物のレベルを測定した。この患者グループの脳内の[13]−L−DOPA摂取と[13]−ドーパミン合成を計算した。
【0239】
同じ実験を、新規薬物による治療、または、既存のモノアミン酸化酵素阻害剤(ラサギリンなど)による治療を受けている患者グループについて行った。
【0240】
治療患者において[13]−ドーパミン、および、他の[13]−L−DOPA代謝物のレベルを測定した。治療患者の[13]−L−DOPA摂取と[13]−ドーパミン合成を計算した。
【0241】
比較分析によって、個々の対象者と患者グループにおける薬の効果を判定した。個々対象者を定期的な適正時間で監視モニタし、継続的に治療の効果を確認した。
【0242】
実験6
実験1、2、3を、同じ被験者または患者について昼夜を通して数回行い、L−DOPA摂取とドーパミン合成のパターンを判定した。斯かるデータを、患者の脳内に設けた制御放出装置からのL−DOPA、ドーパミン、または、モノアミン酸化酵素阻害薬などの薬剤の制御放出、または、循環器へのL−DOPAおよびカルビドパの制御放出の予定を設定するために用いた。
【0243】
別の方法として、脳深部電気刺激法(DBS)を治療法の手段として考える場合は、斯かるデータがDBS電極の位置を決める最良の部位の判定に役立つ。
【0244】
実験7
13]−(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニール)プロペン酸(99%、13C標識フェニル、10mg)を水素化触媒あるいは不斉水素化触媒の存在下でパラ水素を用いて水素化した。濾過塔または分子サイズの篩または相分離法(DOPAは強い親水性を持つ)を用いて水素化触媒をDOPA剤から数秒以内に分離した。
【0245】
DOPAのD−およびL−光学異性体を生成した場合、直ちに(5秒以内)分離する。[13]−L−DOPA溶液を磁界循環に入れて、極性を13C原子核に転移させる。
【0246】
被験者に、カルビドパ、ベンセラジド、ジフルオロメチルドーパなどの芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤、あるいは、経口投与されるα−メチルドーパ(20mg、40mg、60mg、80mg)を1回投与または複数回投与して事前処理する。
【0247】
カルビドパによる事前処理から1時間後に、過分極化[13]−L−DOPA溶液を被験者に迅速に(前記実施例1のように望ましくは10秒以内に)注入する。過分極化溶解につづいて20mLの生理食塩水と他の所定の洗浄液を準備する。この実施例(実施例2)の実験1〜6を実行した。どちらの場合もHTNCは同じであり、実験7では過分極処理をDNPの代わりにPHIPを通して実施したことが異なる。
【0248】
実施例3: 脳内におけるドーパミンとアセチルコリンのバランス
前記実施例1および2で用いたアトロピンとカルビドパを用いて事前処理した。
【0249】
前記実施例1の方法に従って、[13]−L−DOPA(99%13C−標識フェニル10mg)および[2−13C、15N]−コリン(99%再標識、99%15−標識10mg)を過分極化して、溶解した。
【0250】
過分極化溶液(摂氏37度に冷却)を被験者に迅速に(前記実施例1のように望ましくは10秒以内に)注入する。
【0251】
極性化した[13]−L−DOPAおよび[2−13C、15N]−コリン(5mLのHTNC)を含む溶液を被験者に予めセットしておいた静脈内カテーテルを使って注入する。
【0252】
過分極化溶解につづいて20mLの生理食塩水と他の所定の洗浄液を準備する。
【0253】
アセチルコリン生成およびドーパミン生成のバランスと代謝を、前述の実験で用いた動物モデルと人間の脳で定量化した。特に、前記バランスについての既成の薬剤および新規薬剤の効果を調べ、薬剤そのものの作用および薬効の判定に役立つ。
【0254】
実施例4: 脳内セロトニンレベルおよび代謝
[8−13C,15N]−5ーヒドロキシトリプトファン(99%13C−標識、99%15N−標識10mg)は、実施例1の方法によって過分極化し、溶解する。他の方法として、過分極化HTNCを、実施例2の実験7と同じ方法で、パラ水素を用いた水素化を通して[8−13C]−(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−H−インドール−3−yl)プロペン酸によって生成する。
【0255】
極性化処理の終わりに、過分極化溶液(摂氏37度に冷却)を被験者に迅速に(前記実施例1のように望ましくは10秒以内に)注入する。
【0256】
[8−13C,15N]−5−ヒドロキシトリプトファン摂取および[8−13C,15N]−セロトニンの合成を、上記実験で用いた炭素13磁気共鳴分光法によってモニターする。
【0257】
別の方法として、これら分子および潜在的代謝のレベルも、窒素15磁気共鳴分光法によってモニタする。
【0258】
更に他の方法として、5−ヒドロキシトリプトファンと様々な代謝の総レベルを、炭素13および窒素15イメージング法(化学的シフト次元を除く)によってモニターする。
【0259】
この種のイメージング法において、強い信号の範囲は、MRIシーケンスパラメータに依存する比較的高レベルの5−ヒドロキシトリプトファンおよびセロトニン代謝産物の存在を表しており、前記パラメータの一つによって、細胞外、細胞内、嚢内の空間に位置する分子間を区別する。
【0260】
5−ヒドロキシトリプトファン摂取、セロトニン合成、セロトニン代謝の動態を、実施例1〜4における実験手法を用いて、そのまま脳内で特徴付ける。
【0261】
これらデータによって、選択的セロトニンの再摂取阻害剤のような新規および既成のセロトニン作動薬の効果を判定する。
【0262】
実施例5: 脳内の特異酵素血液型亜型の分布
[2−13C]−ラサギリン(99%濃縮、5mg)を、実施例1または実施例2の実験7における方法によって過分極化し、溶解する。脳内ラサギリンの摂取および潜在的代謝の動態を、前記実験方法を用いて炭素13磁気共鳴分光法によってモニターする。別の方法として、脳内の[2−13C]−ラサギリン分布を磁気共鳴画像法(化学的シフト次元を除く)によってモニターする。この画像における高強度範囲は、MRIシーケンスパラメータ、ラサギリンの物理的状態、つまり、結合、遊離、運動の自由度、周囲媒質の化学的特性、粘着性等に依存する高レベルのラサギリンを表す。
【0263】
この種の画像の結果の解釈は、脳内の様々な範囲におけるモノアミン酸化酵素阻害薬のレベルについての情報を提示している。この情報は、パーキンソン病およびアルツハイマー病の診断および治療の際のモニターに用いることができると共に、この情報は、人間への薬剤を計画的に適用する際の重要な要素となる。
【図面の簡単な説明】
【0264】
【図1】コリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図2】ベタインにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図3】アセチルコリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図4】アセテートにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図5】アスパラギン酸塩における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図6】N−アセチルアスパラギン酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図7】クレアチンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図8】L−チロシンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図9】L−DOPAにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図10】ドーバミンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図11】ノルエピネフリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図12】エピネフリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図13】バニリルマンデル酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図14】ホモバニリン酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図15】3−0−メチルドーパミンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図16】3−0−メチルノルエピネフリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図17】3−0−メチルエピネフリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図18】ドパキノンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図19】L−トリプトファンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図20】5−ヒドロキシ・トリプトファンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図21】セロトニンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図22】5−ヒドロキシインドール・アセトアルデヒドにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図23】5−ヒドロキシインドール酢酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図24】メラトニンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図25】グルタミン酸塩における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図26】γ−アミノ酪酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図27】リバスティグミン酒石酸塩における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図28】ラサギリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図29】メチルフェニデートにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図30】アンフェタミンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図31】イミダゾピリジル・ベンゼンアミン誘導体における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図32】ベンゾチアゾールベンゼンアミン誘導体における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図33】(2−ヒドロキシエテニル)塩化トリメチルアンモニウムにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図34】(2−ヒドロキシエチニル)トリメチルアンモニウムにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図35】(S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−H−インドール−3−yl)プロペン酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図36】(S)−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニール)プロペン酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図37】アルギニンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図38】シトルリンにおける標識部分の分子構造および配列を示す。
【図39】2−アミノ−2−エン−5−(ジアミノメチリデン・アミノ)プロペン酸における標識部分の分子構造および配列を示す。
【図40】2−アミノ−5−(ジアミノメチリデン・イミノ)プロペン酸における標識部分の分子構造および配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間または哺乳類動物の神経代謝および身体代謝の画像化のための神経化学剤および生化学薬であって、
前記人間または哺乳類動物の脳内の神経またはグリア機能または神経調節性過程、血管機能、器官特異性代謝過程に係わる薬剤からなり、炭素13または窒素15または重水素またはフッ素19またはこれらの混合成分から選ばれた安定同位体で所定部分に標識を付け、薬剤および代謝サクセサの検出能を高めたことを特徴とする神経化学剤および生化学薬。
【請求項2】
過分極化信号と、特定代謝物の定量化と、脳の解剖学的画像および機能画像と融合した代謝結果の表示の検出および分析システムであって、磁気共鳴断層撮影スキャナ、ポラライザ、画像・スペクトル分析用ソフトの動作モジュールよりなることを特徴とするシステム。
【請求項3】
神経化学薬と人間の脳および身体内の代謝/異化産物の時空間分布を検出する方法であって、少なくとも一つの神経化学剤の生体外極性化処理を少なくとも一つ含むか省き、前記神経化学剤を人間または動物の身体または脳に投与し、磁気共鳴分光法および磁気共鳴画像法によって脳内または身体内の前記神経化学剤およびその代謝生成物の分布をモニターすることからなる検出方法。
【請求項4】
(a)高T神経化学(HTNC)剤を生体外極性化し、分極剤または分極触媒および分極装置によって極性化した場合に前記HTNC剤から前記分極剤または分極触媒の全部または一部を選択的に分離し、
(b)前記HTNC剤を人間または非人間である動物の身体または脳に投与し、
(c)選択した原子核の核スピン遷移を励起する周波数の放射線に曝露し、
(d)前記身体または脳からの磁気共鳴信号を検出し、
(e)前記検出信号から選択的に、画像、代謝データ、酵素動態データ、拡散データ、緩和データ、生理学的データのいずれかを生成し、
(f)前記処理(e)で得られたデータを選択的に用いて神経機能および脳機能を定量化に供し、
(g)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて身体または脳の疾患または障害を診断し、
(h)前記処理(f)および(g)で得られたデータを選択的に用いて精神病、神経変性疾患、神経系疾患およびこれらの障害を軽減または治癒させるための治療の行為および反応をモニターし、
(i)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて薬物そのものの活性を確認すると共に薬効を判定し、
(j)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて神経刺激電極の位置決めの実施計画をたて、
(k)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて身体内または脳内で徐放または開放制御装置の位置決めの実施計画をたて、
(l)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて凝り、腫瘍、嚢胞、血管異常、内臓機能の特徴付けを行い、
(m)前記処理(f)で得られたデータを選択的に用いて知覚麻痺、昏睡状態、および、卒中または精神的外傷に侵された脳領域およびその周辺領域の評価と判定を行う処理からなり、
前記HTNC剤が、H、13C、15N、19F、31P原子核からなる群から選択した原子核を有する固形もしくは液状HTNC剤であり、且つ、前記HTNC剤を、サンプル投与前に制御可能な投与媒体中に溶解したことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも2秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも5秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも10秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも30秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項9】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも70秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項10】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも100秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項11】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも200秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項12】
前記HTNC剤は、0.01〜5Tの磁界強度で、且つ、少なくとも300秒の温度範囲が摂氏20〜40度でT値を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項13】
前記HTNC剤が13C原子核を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項14】
前記HTNC剤は、約1%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記HTNC剤は、約5%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記HTNC剤は、約10%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記HTNC剤は、約25%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記HTNC剤は、約50%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記HTNC剤は、約99%量の分子構造における特定部に13C原子核を有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記高HTNC剤が1以上の炭素部で濃縮した13Cであることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項21】
前記高HTNC剤が1以上の炭素部で標識化した重水素であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記重水素標識を隣接13C原子核に近づけることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記高HTNC剤が19F原子核を含むことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項24】
前記高HTNC剤が15N原子核を含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項25】
前記HTNC剤が、分子構造における特定部分に約1%量の15Nを有することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記HTNC剤が、分子構造における特定部分に約5%量の15Nを有することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記HTNC剤が、分子構造における特定部分に約10%量の15Nを有することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記HTNC剤が、分子構造における特定部分に約25%量の15Nを有することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記HTNC剤が、分子構造における特定部分に約50%量の15Nを有することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記HTNC剤が、分子構造における特定部分に約99%量の15Nを有することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記分極剤または分極触媒を液状または固体状で用いることを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項32】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を(前記分極剤または触媒および分極装置を使用せずに同一の身体条件および化学的条件での極性化レベルに比較して)10倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項33】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を50倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項34】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を100倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項35】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を500倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項36】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を1000倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項37】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を5000倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項38】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を10000倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項39】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を50000倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。
【請求項40】
前記分極剤または触媒および分極装置の使用によってHTNC剤の極性化を500000倍に増加させたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公表番号】特表2009−514946(P2009−514946A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539605(P2008−539605)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001268
【国際公開番号】WO2007/052274
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(508137213)ブレイン ウォッチ エルティディ (1)
【Fターム(参考)】