説明

磁気共鳴診断装置

【課題】撮像領域やボクセルに関連付けた測定領域の指定をユーザが容易に行うことを可能とする。
【解決手段】撮像領域内に複数が定められるボクセルに関して磁気共鳴スペクトルを測定する磁気共鳴診断装置に、撮像領域決定手段、測定領域決定手段および変更決定手段を備える。撮像領域決定手段は、位置決め用画像上で撮像領域を決定する。測定領域決定手段は、位置決め用画像上で磁気共鳴スペクトルを測定する測定領域を決定する。変更決定手段は、撮像領域決定手段が撮像領域を変更決定したことに応じて、測定領域と変更される前の撮像領域との相対的位置関係を維持するように測定領域を変更決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(MRI)と磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)とを行う磁気共鳴診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、例えば特許文献1などによって知られている。
【0003】
この種の装置ではユーザは、MRSのための磁気共鳴信号の収集を行う領域(以下、撮像領域と称する)を、MRIにより撮像された画像(以下、MRI画像と称する)を参照しながら指定できるようになっている。ところで、近年はマルチスライスによる3次元でのスペクトロスコピー収集(3DMRS収集)への要求が大きくなっている。この3DMRS収集を行う場合、撮像領域の中には、多数のボクセルが3次元的に配列されることになる。そして一般的に、ボクセルの外形を表す線をMRI画像に重畳表示することによって、各ボクセルの位置をユーザが確認できるようにしている。
【0004】
また上記の装置ではユーザは、収集された磁気共鳴信号についてのスペクトルの測定を行う領域(以下、測定領域)を、MRI画像を参照しながら指定できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−187038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
測定領域は、撮像領域やボクセルとは無関係に指定することが可能であるために、ユーザが特定のボクセルをMR測定領域としたい場合であっても、そのように測定領域を指定することが困難であった。
【0007】
本発明の目的とするところは、撮像領域やボクセルに関連付けた測定領域の指定をユーザが容易に行うことを可能とする磁気共鳴診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明は、撮像領域内に複数が定められるボクセルに関して磁気共鳴スペクトルを測定する磁気共鳴診断装置において、位置決め用画像上で前記撮像領域を決定する撮像領域決定手段と、前記位置決め用画像上で前記磁気共鳴スペクトルを測定する測定領域を決定する測定領域決定手段と、前記撮像領域決定手段が前記撮像領域を変更決定したことに応じて、前記測定領域と変更される前の前記撮像領域との相対的位置関係を維持するように前記測定領域を変更決定する変更決定手段とを備えた。
【0009】
前記目的を達成するために本発明は、撮像領域内に複数が定められるボクセルに関して磁気共鳴スペクトルを測定する磁気共鳴診断装置において、位置決め用画像上で前記撮像領域を決定する撮像領域決定手段と、前記位置決め用画像上で前記磁気共鳴スペクトルを測定する測定領域を決定する測定領域決定手段と、前記測定領域決定手段が前記測定領域を変更決定したことに応じて、前記撮像領域と変更される前の前記測定領域との相対的位置関係を維持するように前記撮像領域を変更決定する変更決定手段とを備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像領域やボクセルに関連付けた測定領域の指定をユーザが容易に行うことを可能とする磁気共鳴診断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁気共鳴診断装置の構成を示す図。
【図2】撮像領域およびROIの設定に関わる図1中の制御部17の処理手順を示すフローチャート。
【図3】撮像領域線およびグリッド線の表示例を示す図。
【図4】撮像領域線およびグリッド線の表示例を示す図。
【図5】ROI設定処理における図1中の制御部17の処理手順を示すフローチャート。
【図6】ROIのユーザによる指定状況の一例を示す図。
【図7】図6に示す指定状況に基づいて設定されるROIの一例を示す図。
【図8】撮像領域変更処理における図1中の制御部17の処理手順を示すフローチャート。
【図9】オブリークが発生する撮像領域の設定状態の一例を示す図。
【図10】撮像領域に対してオブリークしている位置決め用画像における表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態につき説明する。
【0013】
図1は本実施形態に係る磁気共鳴診断装置の構成を示す図である。この図1に示す磁気共鳴診断装置は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、RFコイルユニット6a,6b,6c、送信部7、選択回路8、受信部9および計算機システム10を具備する。
【0014】
静磁場磁石1は、中空の円筒形をなし、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0015】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形をなし、静磁場磁石1の内側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3種のコイルが組み合わされている。傾斜磁場コイル2は、上記の3種のコイルが傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、磁場強度がX,Y,Zの各軸に沿って傾斜する傾斜磁場を発生する。なお、Z軸方向は、例えば静磁場と同方向とする。X,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮影断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0016】
被検体Pは、寝台4の天板4aに載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮影口)内に挿入される。寝台4は、寝台制御部5により駆動され、天板4aをその長手方向(図1中における左右方向)および上下方向に移動する。通常、この長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように寝台4が設置される。
【0017】
RFコイルユニット6aは、1つまたは複数のコイルを円筒状のケースに収容して構成される。RFコイルユニット6aは、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。RFコイルユニット6aは、送信部7から高周波パルス(RFパルス)の供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0018】
RFコイルユニット6b,6cは、天板4a上に載置されたり、天板4aに内蔵されたり、あるいは被検体Pに装着される。そして撮影時には、被検体Pとともに傾斜磁場コイル2の空洞内に挿入される。RFコイルユニット6b,6cとしては、アレイコイルが利用される。すなわちRFコイルユニット6b,6cは、それぞれ複数の要素コイルを備える。RFコイルユニット6b,6cに備えられた要素コイルはそれぞれ、被検体Pから放射される磁気共鳴信号を受信する。要素コイルのそれぞれの出力信号は、個別に選択回路8に入力される。受信用のRFコイルユニットは、RFコイルユニット6b,6cに限らず、様々なタイプのものが任意に装着可能である。また受信用のRFコイルユニットは、1つまたは3つ以上が装着されても良い。
【0019】
送信部7は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部および高周波電力増幅部を有している。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばシンク関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。そしてこれらの各部の動作の結果として送信部7は、ラーモア周波数に対応するRFパルスをRFコイルユニット6aに供給する。
【0020】
選択回路8は、RFコイルユニット6b,6cから出力される多数の磁気共鳴信号のうちのいくつかを選択する。そして選択回路8は、選択した磁気共鳴信号を受信部9へ与える。どのチャネルを選択するかは、計算機システム10から指示される。
【0021】
受信部9は、前段増幅器、位相検波器およびアナログディジタル変換器を有する処理系を複数チャネル備えている。これら複数チャネルの処理系へは、選択回路8が選択する磁気共鳴信号がそれぞれ入力される。前段増幅器は、磁気共鳴信号を増幅する。位相検波器は、前置増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。アナログディジタル変換器は、位相検波器から出力される信号をディジタル信号に変換する。受信部9は、各処理系により得られるディジタル信号をそれぞれ出力する。
【0022】
計算機システム10は、インタフェース部11、データ収集部12、再構成部13、記憶部14、表示部15、入力部16および制御部17を有している。
【0023】
インタフェース部11には、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7、受信部9および選択回路8等が接続される。インタフェース部11は、これらの接続された各部と計算機システム10との間で授受される信号の入出力を行う。
【0024】
データ収集部12は、受信部9から出力されるディジタル信号を収集する。データ収集部12は、収集したディジタル信号、すなわち磁気共鳴信号データを、記憶部14に格納する。
【0025】
再構成部13は、記憶部14に記憶された磁気共鳴信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成を実行し、被検体P内の所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを求める。
【0026】
記憶部14は、磁気共鳴信号データと、スペクトラムデータあるいは画像データとを、患者毎に記憶する。
【0027】
表示部15は、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を制御部17の制御の下に表示する。表示部15としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0028】
入力部16は、オペレータからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0029】
制御部17は、CPUやメモリ等を有しており、本実施形態の磁気共鳴診断装置を総括的に制御する。制御部17は、次のようないくつかの機能を備える。上記機能の1つは、MRIにより再構成された位置決め用画像上で撮像領域を決定する。上記機能の1つは、撮像領域およびこの撮像領域内のボクセルを表す撮像領域画像を位置決め用画像に重畳して表示させる。上記機能の1つは、位置決め用画像上で測定領域を表すROIを決定する。上記機能の1つは、撮像領域が変更決定されたことに応じて、ROIと変更される前の撮像領域との相対的位置関係を維持するようにROIを変更決定する。上記機能の1つは、ROIが変更決定されたことに応じて、撮像領域と変更される前のROIとの相対的位置関係を維持するように撮像領域を変更決定する。
【0030】
次に以上のように構成された磁気共鳴診断装置の動作について説明する。
【0031】
図2は撮像領域およびROIの設定に関わる制御部17の処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
ステップSa1において制御部17は、位置決め用画像を表示部15に表示させる。位置決め用画像は、事前に周知の手法により取得されたMRI画像である。なお、3次元の撮像領域やROIを決定することを容易とするために、サジタル像、アキシャル像およびコロナル像のうちの少なくとも2つを位置決め用画像とすることが望ましい。本実施形態においては、アキシャル像およびコロナル像を位置決め用画像として使用することとする。
【0033】
ステップSa2において制御部17は、ユーザにより入力部16を用いて指定されるボクセル条件を入力する。ボクセル条件は、ボクセルを決定するための条件であり、例えば撮像領域の位置および大きさと、ボクセルの大きさの情報を含む。撮像領域の位置および大きさの入力は、例えばアキシャル像およびコロナル像を表す位置決め用画像上のそれぞれにおける矩形の指定を入力することによって行う。そしてステップSa3において制御部17は、ボクセルおよび撮像領域を決定する。例えば制御部17は、指定された2つの矩形を直交する2面として有する直方体領域を撮像領域として決定する。また制御部17は、撮像領域内に指定の大きさのボクセルを配列することによってボクセルの位置を決定する。
【0034】
ステップSa4において制御部17は、撮像領域の外形を表す撮像領域線と、ボクセルの境界を表すグリッド線とを位置決め用画像に重畳表示する。図3および図4は撮像領域線およびグリッド線の表示例を示す図である。図3では、アキシャル像を表す位置決め用画像21に撮像領域線22およびグリッド線23が重畳表示されている。図4では、コロナル像を表す位置決め用画像31に撮像領域線32およびグリッド線33が重畳表示されている。
【0035】
ステップSa5乃至ステップSa7において制御部17は、ROI設定指示がなされるか、変更指示がなされるか、あるいは完了指示がなされるのを待ち受ける。
【0036】
ROIの設定を開始する指示がユーザによりなされたならば、制御部17はステップSa5からステップSa8へ進む。ステップSa8において制御部17は、ROI設定処理を実行する。
【0037】
図5はROI設定処理における制御部17の処理手順を示すフローチャートである。
【0038】
ステップSb1のおいて制御部17は、新規のROIの設定が要求されているのか否かを確認する。そして新規のROIの設定が要求されているのであれば、制御部17はステップSb1からステップSb2へ進む。ステップSb2において制御部17は、ROIとしてユーザにより指定された領域を判定する。ここでの領域の指定は、例えばアキシャル像およびコロナル像を表す位置決め用画像上のそれぞれにおける矩形の指定により行われる。制御部17は、指定された2つの矩形を直交する2面として有する直方体領域を指定領域として判定する。
【0039】
ステップSb3において制御部17は、上記の判定した領域をボクセル境界にフィッティングさせる。そしてステップSb4において制御部17は、フィッティング後の指定領域をROIとして決定する。
【0040】
具体的には、アキシャル面上で図6に示すような矩形41が指定された場合、この矩形41をボクセル境界(すなわちグリッド線)にフィッティングした図7に示す矩形42を一面とするとともに、コロナル面についても同様にして定めた矩形を一面とする直方体領域がROIとして決定される。
【0041】
さて、上記のようにして既に決定されていたROIの変更が要求されている場合には、制御部17はステップSb1からステップSb5へ進む。ステップSb5において制御部17は、ユーザの指示に応じてROIを変更する。
【0042】
ステップSb6において制御部17は、固定モードが設定されているか否かを確認する。固定モードは、ユーザの指示に応じて設定/解除される。固定モードが設定されているならば、制御部17はステップSb6からステップSb7へ進む。ステップSb7において制御部17は、変更前のROIと撮像領域との相対的位置関係を維持するように、撮像領域を変更する。しかしながら、固定モードが設定されていないならば、制御部17はステップSb6からステップSb8へ進む。そしてステップSb8において制御部17は、変更後のROIをさらにボクセル境界にフィッティングする。
【0043】
ステップSb4、ステップSb7またはステップSb8を終えたならば制御部17は、ROI設定処理を終了する。そうすると制御部17は、図2に示すステップSa5乃至ステップSa7の待ち受け状態に戻る。
【0044】
ステップSa5乃至ステップSa7の待ち受け状態にあるときに撮像領域の変更を開始する指示がユーザによりなされたならば、制御部17はステップSa6からステップSa9へ進む。ステップSa9において制御部17は、撮像領域変更処理を実行する。
【0045】
図8は撮像領域変更処理における制御部17の処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
ステップSc1において制御部17は、ユーザの指示に応じて撮像領域を変更する。
【0047】
ステップSc2において制御部17は、撮像領域中にROIが有るか否かを確認する。そしてROIが有るならば、制御部17はステップSc2からステップSc3へ進む。
【0048】
ステップSc3において制御部17は、固定モードが設定されているか否かを確認する。固定モードが設定されているならば、制御部17はステップSc3からステップSc4へ進む。ステップSc4において制御部17は、変更前の撮像領域とROIとの相対的位置関係を維持するように、ROIを変更する。しかしながら、固定モードが設定されていないならば、制御部17はステップSc3からステップSc5へ進む。そしてステップSc5において制御部17は、ROIを変更後の撮像領域に含まれるボクセルの境界にフィッティングする。
【0049】
ステップSc4またはステップSc5を終えたならば、あるいはROIが無いことをステップSc2にて確認したならば、制御部17は撮像領域変更処理を終了する。そうすると制御部17は、図2に示すステップSa10へ進む。
【0050】
ステップSa10において制御部17は、撮像領域変更処理により変更された後の撮像領域が、位置決め用画像に対してオブリークしているか否かを確認する。なお、ここでの「オブリーク」とは、位置決め用画像のスライス方向と撮像領域におけるスライス方向とが平行ではないか、または垂直ではない状態を指す。このようなオブリークがなければ、制御部17はステップSa10からステップSa11へ進む。ステップSa11において制御部17は、変更後の撮像領域の外形を表す撮像領域線と、変更後のボクセルの境界を表すグリッド線とを位置決め用画像に重畳表示する。こののちに制御部17は、ステップSa5乃至ステップSa7の待ち受け状態に戻る。
【0051】
一方、例えば図9に示すようにアキシャル面において撮像領域が傾けられた場合、撮像領域におけるスライス面はコロナル面に対して水平または垂直では無くなる。このような場合に制御部17はステップSa10からステップSa12へ進む。ステップSa12において制御部17は、撮像領域に対してオブリークしている位置決め用画像に関して、撮像領域を表す撮像領域線のみを重畳表示する。上記の例の場合、図10に示すようにコロナル像を表す位置決め用画像31に関して、撮像領域線34を重畳表示する。この撮像領域線34は、撮像領域の外形の他に、アキシャル面のスライスの境界を表している。すなわち撮像領域線34は、いわゆるスライス表示によって撮像領域を表す。撮像領域線34は、いわゆる全体表示や中心線表示によって撮像領域を表すものに変更しても良い。全体表示は、撮像領域の外形のみを表す。中心線表示は、スライスの中心面のみを表す。こののちに制御部17は、ステップSa5乃至ステップSa7の待ち受け状態に戻る。
【0052】
そして、ステップSa5乃至ステップSa7の待ち受け状態にあるときに完了の指示がユーザによりなされたならば、制御部17はこの待ち受け状態をステップSa7から抜けて、当該処理を終了する。
【0053】
以上のように本実施形態によれば、撮像領域におけるスライス面が位置決め用画像に対してオブリークしていない場合には、撮像領域を表す撮像領域線の他にボクセル境界を表すグリッド線を上記の位置決め用画像に重畳表示するが、オブリークしている場合には、上記の撮像領域線のみを重畳表示して上記のグリッド線を表示しないので、非常に見易い表示となる。
【0054】
また本実施形態によれば、撮像領域またはROIが変更された場合に、相対的な位置関係を維持するようにROIまたは撮像領域も自動的に変更するので、ユーザは撮像領域またはROIを変更するのに伴ってROIまたは撮像領域を変更するための操作を行う必要が無く、ユーザの負担が軽減される。すなわち、撮像領域およびROIを連動して変更することができる。
【0055】
また本実施形態によれば、撮像領域またはROIが変更された場合に、変更後の相対的な位置関係でROIをボクセルにフィッティングするので、撮像領域またはROIを独立に変更する場合であっても、その変更後においてROIを撮像領域内のボクセルの位置に一致させることができる。このため、ユーザは撮像領域とROIとの詳細な位置関係を意識することなく撮像領域またはROIを変更することが可能である。
【0056】
また本実施形態によれば、撮像領域およびROIの連動変更と、撮像領域またはROIの独立変更とは、固定モードの設定によってユーザが任意に使い分けることができるので、ユーザニーズに応じた柔軟な運用が可能であり便利である。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…静磁場磁石、2…傾斜磁場コイル、3…傾斜磁場電源、4…寝台、5…寝台制御部、6a,6b,6c…RFコイルユニット、7…送信部、8…選択回路、9…受信部、10…計算機システム、11…インタフェース部、12…データ収集部、13…再構成部、14…記憶部、15…表示部、16…入力部、17…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像領域内に複数が定められるボクセルに関して磁気共鳴スペクトルを測定する磁気共鳴診断装置において、
位置決め用画像上で前記撮像領域を決定する撮像領域決定手段と、
前記位置決め用画像上で前記磁気共鳴スペクトルを測定する測定領域を決定する測定領域決定手段と、
前記撮像領域決定手段が前記撮像領域を変更決定したことに応じて、前記測定領域と変更される前の前記撮像領域との相対的位置関係を維持するように前記測定領域を変更決定する変更決定手段とを具備したことを特徴とする磁気共鳴診断装置。
【請求項2】
前記変更決定手段は、特定のモードが設定されているときに前記測定領域を変更決定することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴診断装置。
【請求項3】
撮像領域内に複数が定められるボクセルに関して磁気共鳴スペクトルを測定する磁気共鳴診断装置において、
位置決め用画像上で前記撮像領域を決定する撮像領域決定手段と、
前記位置決め用画像上で前記磁気共鳴スペクトルを測定する測定領域を決定する測定領域決定手段と、
前記測定領域決定手段が前記測定領域を変更決定したことに応じて、前記撮像領域と変更される前の前記測定領域との相対的位置関係を維持するように前記撮像領域を変更決定する変更決定手段とを具備したことを特徴とする磁気共鳴診断装置。
【請求項4】
前記変更決定手段は、特定のモードが設定されているときに前記撮像領域を変更決定することを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−55745(P2012−55745A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277632(P2011−277632)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2006−284074(P2006−284074)の分割
【原出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】