説明

磁気歯車減速機

【課題】磁気歯の剥れを防止して永続的に磁気歯を固定しながら、高い伝達トルク/体積重量を確保する。
【解決手段】第1磁気歯車124、126が、回転ヨーク124A、126Aとその外周に保持される磁気歯124B、126Bとを備え、該磁気歯124B、126Bは軸方向Oに磁極の対を有し、該磁気歯124B、126Bと該回転ヨーク124A、126Aとが接する部分の少なくとも一部に該第1磁気歯車124、126の半径方向と直交する方向に向う凹凸(124BC、126BC)とそれに対応する凸凹(124AC、126AC)が該磁気歯124B、126Bと該回転ヨーク124A、126Aのそれぞれに形成されて、第2磁気歯車132、134、136が、該第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの少なくとも一方の磁極と所定の空隙で前記軸方向Oに対峙して磁気的噛合する磁気歯132B、134B、136Bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気を利用した歯車により非接触でトルクを伝達する磁気歯車減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
減速機の主流は、インボリュートの平又ははす歯歯車を用い、その歯数比によって減速を行うものである。このような減速機は自動車をはじめ、あらゆる産業において広く用いられている。
【0003】
この種の減速機の問題点としては、減速機の歯車を構成する金属同士の接触に起因するものがほとんどである。それは、接触による振動・騒音の発生、歯車の寿命、及び潤滑油を必ず必要とすること、などである。
【0004】
これに対し、その問題を解決する1つの方法として減速機を用いず、モータと負荷をダイレクトで結合することが挙げられる。モータの回転速度を制御するドライバの性能が向上し、また、永久磁石を用いた小型のモータが製作可能となるなど技術的な進展があったこと、また、クリーンルームやクリーンな環境が必要である食品製造現場など従来の工場とは異なる環境の工場に設置するなど潤滑剤を使用する減速機の存在をなくしたいという環境側からの要請によるものである。
【0005】
しかし、モータドライバの低速回転における効率の問題や、価格の問題、またモータの小型化に限界がある点などにより、容易に置き換えができない事情も存在する。今後も今まで主流であった減速機が必要とされる領域が存在し、その領域はロボットなど装置の小型化が必然とされる分野では成長を続けていくと考えられる。
【0006】
こういった状況の中で、前記問題を解決するもう1つの方法として、金属の接触をなくし磁気による吸引・反発により減速機構を実現するための歯車及び歯車機構の使用が挙げられる。例えば、歯車の歯面に磁力を付加し、互いに反発する力により噛合する歯車同士の空隙を確保して、歯車同士を非接触にする特許文献1に示す磁気歯車が提案されている。また、対峙させた磁気歯を有する回転円板の磁気歯の比により、入力された回転を減速する特許文献2に示す磁気歯車が提案されている。
【0007】
なお、特許文献1、2において、磁気歯に用いられる永久磁石は接着剤等で着接されている。
【0008】
【特許文献1】特公平6−52096号公報
【特許文献2】特開平03−285556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示す磁気歯車では、単位体積又は単位重量あたりの伝達トルク(以下伝達トルク/体積重量)は小さくならざるを得ず、急激な負荷変動時には歯面が接触することがあり、また伝達トルクの脈動が発生し易いなどの構造的な欠陥が内在する。
【0010】
また、特許文献2に示す磁気歯車においては、伝達トルク/体積重量は、一般のインボリュート形状の歯形を用いた減速機の1/4から1/5になってしまうという問題が生じていた。
【0011】
更に、特許文献1、2に示す磁気歯車においては、磁気歯車が高速に回転した場合や減速機に想定以上の振動等が加わった場合等に、磁気歯を形成する永久磁石が磁気歯車から離脱する可能性が否定できない。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、磁気歯の剥れを防止して永続的に磁気歯を固定しながら、高い伝達トルク/体積重量を確保することの可能な磁気歯車減速機の構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、入力によって回転する第1磁気歯車と、該第1磁気歯車と磁気的噛合する第2磁気歯車と、を有する磁気歯車減速機において、前記第1磁気歯車が、円板形状の回転ヨークと該回転ヨークの外周に保持される磁気歯とを備え、該磁気歯は軸方向に磁極の対を有し、該磁気歯と該回転ヨークとが接する部分の少なくとも一部に該第1磁気歯車の半径方向と直交する方向に向う凹凸とそれに対応する凸凹が該磁気歯と該回転ヨークのそれぞれに形成されて、前記第2磁気歯車が、該第1磁気歯車の磁気歯の少なくとも一方の磁極と所定の空隙で前記軸方向に対峙して磁気的噛合する磁気歯を備えることにより前記課題を解決したものである。
【0014】
本発明によれば、磁気歯と回転ヨークとが接する部分の少なくとも一部に第1磁気歯車の半径方向と直交する方向に向う凹凸とそれに対応する凸凹が磁気歯と回転ヨークのそれぞれに形成されているので、第1磁気歯車が高速に回転した場合や減速機に想定以上の振動等が加わった場合等でも、磁気歯と回転ヨークとに形成された凸凹が互いに係止して、磁気歯の離脱を防止することができる。なお、この趣旨から、本明細書における「凹凸」と「凸凹」は、広く「平らでない」という意義で用いられており、「形状的な係止によって磁気歯の離脱が物理的に防止される状態」を指している。
【0015】
又、第1磁気歯車の磁気歯は、回転ヨークに保持されても、磁極の対の向きを軸方向に有して、第2磁気歯車の磁気歯と所定の空隙(非接触)で軸方向に対峙して磁気的噛合する。このため、第1磁気歯車の磁気歯と第2磁気歯車の磁気歯とは複数で互いに引き合うので、磁気歯の噛合面積を大きくすることができる。なお、急激な負荷変動により伝達トルクが過大となっても、第1磁気歯車と第2磁気歯車とは、軸方向に所定の空隙を有するので接触することはなく、接触による互いの破損等を防止することが可能である。
【0016】
又、第1磁気歯車の磁気歯は、第1磁気歯車の外周に保持されているので、第1磁気歯車の軸方向から見た面上に磁気歯が取り付けられている場合に比べて、第1磁気歯車を軽く、且つ厚みを薄くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、磁気歯の剥れを防止して永続的に磁気歯を固定しながら、磁気歯の噛合面積を増やすことができ、高い伝達トルク/体積重量を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の例を詳細に説明する。
【0019】
図1は第1本実施形態に係る磁気歯車減速機を模式的に示す断面図、図2は偏心体を模式的に示す断面図及び正面図、図3は第1磁気歯車の一部を模式的に示す正面図と断面図、及び図1のIIIC部分を模式的に示す断面図、図4は第1磁気歯車全体を模式的に示す正面図と第1磁気歯車の磁気歯部分を模式的に示す拡大断面図、図5は第1及び第2磁気歯車の噛合状態を表すスケルトン図、である。
【0020】
最初に、本実施形態の磁気歯車減速機の構成について、図1から図5を用いて説明する。
【0021】
磁気歯車減速機100は、図1に示す如く、入力軸102からの入力によって回転する第1磁気歯車124、126と、第1磁気歯車124、126と磁気的噛合する第2磁気歯車132、134、136とを有する。第1磁気歯車124、126は、円板形状の回転ヨーク124A、126Aと回転ヨーク124A、126Aの外周に保持される磁気歯124B、126Bとを備えている。磁気歯124B、126Bは、軸方向Oに磁極の対を有する。又、磁気歯124B、126Bと回転ヨーク124A、126Aとが接する部分の少なくとも一部に、第1磁気歯車124、126の半径方向と直交する方向(軸方向O)に向う凹凸(凹部124BC、126BC)とそれに対応する凸凹(凸部124AC、126AC)が磁気歯124B、126Bと回転ヨーク124A、126Aのそれぞれに形成されている(図4(B)参照)。第2磁気歯車132、134、136は、ケーシングに固定されて、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの磁極の対の両方と所定の空隙で軸方向Oに対峙して磁気的噛合する磁気歯132B、134B、136Bを備えている。なお、ケーシングは、ケーシング本体138と、入力段カバー140と、補助カバー142と、出力段カバー146と、から構成されて、ボルト孔162にボルトが挿通されることで固定される。
【0022】
なお、この実施形態における磁気的な噛合とは、第1磁気歯車124、126の外周に保持されて、軸方向Oに磁極の対を有して交互に向きが異なる磁気歯124B、126Bが、所定の空隙(非接触)Sで、第2磁気歯車132、134、136を構成する磁気歯132B、134B、136Bと図1の軸方向Oで重なり磁気的に引き合う状態をいう。
【0023】
以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0024】
前記入力軸102は、図1に示す如く、一対の軸受104、106によって軸支されている。即ち、入力軸102は、軸受104を介して、ケーシングを構成する入力段カバー140に支持されている。又、入力軸102は、軸受106を介して、出力軸154と一体であるフランジ体152の内面に支持されている。軸受104、106は、例えば、玉軸受であり、潤滑油を内部に封止可能な構造を備えている。この構造は、他の軸受122、156、158も同一である。なお、入力段カバー140には補助カバー142がボルト144で固定されており、補助カバー142が軸受104を押えて、入力軸102が軸方向Oに動くのを防止している。又、組立て時に軸受106が入力軸102から脱落しないように、軸受106を入力軸102と挟み込んで、円板形状の押え板108がボルト110で入力軸102に止められている。
【0025】
前記偏心体112は、図1に示す如く、軸受104、106の間のキー構造102Aが設けられた入力軸102に、位置がずれないように取り付けられて固定されている。図2(A)に示す如く、偏心体112は、2つの偏心体部112A、112Bを備えて、偏心体部112A、112Bは、中心Cから、それぞれ最大偏心量eで逆方向に偏心している。このため、偏心体112は、軸受122を介して2つの第1磁気歯車124、126の回転位相をそれぞれ180度異ならせることができる。なお、偏心体112には、軸方向Oにおいて、2つの第1磁気歯車124、126の磁力による変位を防止して一定の間隔を保つために、偏心体部112A、112Bのそれぞれに凸部112AA、112BAが設けられている。なお、偏心体軸受止め板114、118が、複数のボルト116、120で偏心体112に止められている(図2(B)では3本のボルト120)。
【0026】
軸受122は、図1に示す如く、2つの第1磁気歯車124、126と偏心体112との間に配置される。このため、2つの第1磁気歯車124、126と偏心体112との間で発生するトルク伝達ロスである熱や振動・接触騒音などを低減することができる。又、軸受122は、前述の如く、潤滑油が封止可能な構造であるため、潤滑油の漏れを防止できる。なお、2つの軸受122を用いて第1磁気歯車124(126)と接しているのは、2つの軸受122を用いることにより、磁力によって生じる力による第1磁気歯車124(126)の軸方向Oへの位置変動を低減するためである。従って、軸受122は1つの第1磁気歯車124(126)に対して3つ以上並べても構わず、その場合には第1磁気歯車124(126)の位置変動をより低減することができる。
【0027】
前記第1磁気歯車124、126は、図3、図4に示す如く、軸方向Oの厚みt2の円板形状の回転ヨーク124A、126Aと回転ヨーク124A、126Aの外周に機械的に保持される軸方向Oの厚みt1の磁気歯124B、126Bとを有する。
【0028】
回転ヨーク124A、126Aは、図1、図3(B)、図3(C)に示す如く、回転ヨーク本体124AA、126AAと磁気歯止め124AB、126ABとを有する。磁気歯止め124AB、126ABは、それぞれ、2つのボルト124AE、126AEで回転ヨーク本体124AA、126AAに取り付けられている。
【0029】
回転ヨーク本体124AA、126AAは、図1、図4に示す如く、その中央部に偏心体孔125、127を有し、軸受122を介して、偏心体112の外周に嵌合されている。又、回転ヨーク本体124AA、126AAは、その周辺部に貫通した8つのキャリアピン孔128、130を同一円周上に等間隔で有し、平行ローラ150が遊嵌される。なお、キャリアピン孔128、130の直径は、トルクを伝達するために、平行ローラ150の外径と偏心体112の最大偏心量eの2倍との和に等しい。更に、回転ヨーク本体124AA、126AAには、図4(B)に示す如く、その外周の側面に磁気歯124B、126Bの突起部124BA、126BAを保持するための溝124AD、126ADが、各磁気歯124B、126Bに対して設けられている。
【0030】
磁気歯止め124AB、126ABは、図3(A)に示す如く、例えば5つの磁気歯124B、126Bを保持できるような幅で、且つ、キャリアピン孔128、130を覆わないような略扇形状の板で形成されている。そして、磁気歯止め124AB、126ABには、図4(B)に示す如く、凹部(磁気歯124B、126Bの凹凸に相当)124BC、126BCに対応する凸部124AC、126AC(回転ヨーク124A、126Aの凸凹に相当)が、第1磁気歯車124、126の半径方向に直交する方向(軸方向O)に向かって磁気歯124B、126Bの機械的な保持のために形成されている。即ち、ボルト124AE、126AEにより、磁気歯止め124AB、126ABが、磁気歯124B、126Bを回転ヨーク124A、126Aに保持する。このため、第1磁気歯車124、126が高速で回転した場合や減速機に想定以上の振動等が加わった場合等である、第1磁気歯車124、126に遠心力が働く場合でも、凹部124BC、126BCと凸部124AC、126ACとが互いに係止する(機械的な保持)ので、磁気歯124B、126Bの離脱を防止することができる。なお、ボルト124AE、126AEには、図3(B)に示す如く、回転ヨーク124A、126Aの厚みt2を大きく増やさないように、例えば、頭の厚みが薄く平らな六角穴付ボタンボルトを使用することができる。本実施形態では、回転ヨーク124A、126Aに鋼材を使用しているので、磁気歯124B、126Bと回転ヨーク124A、126Aとは磁気吸着するので、ボルト124AE、126AEの締め付けトルクは少なくてすむ。このため、ボルト124AE、126AEの締め付けは緩くてもよいので、磁気歯124B、126Bの破損を防止することができる。
【0031】
磁気歯124B、126Bは、図3(C)、図4(B)に示す如く、厚みt1で軸方向Oに磁極の対を有する。磁気歯124B、126Bには、第1磁気歯車124、126の半径方向に、突起部124BA、126BAが設けられている。突起部124BA、126BAの体積は、磁気歯124B、126Bの体積の半分以下であり、磁気歯124B、126Bの体積の半分以上が第2磁気歯車132B、134B、136Bと磁気的噛合をすることとなる。突起部124BA、126BAは回転ヨークの溝124AD、126ADに保持されている。即ち、溝124AD、126ADにおいて、磁気歯124B、126Bと回転ヨーク124A、126Aとがそれぞれ少なくとも一部で接している。そして、図4(B)に示す如く、突起部124BA、126BAの側面に、即ち第1磁気歯車124、126の半径方向と直交する方向(軸方向O)に向かって、凹部124BC、126BCが形成されている。
【0032】
ここで、図4(A)に示すように、軸方向Oから第1磁気歯車124(126)を見たとき、一方の磁気歯124B(126B)がN極側であれば、その隣はS極側となるように磁気歯124B(126B)の磁極の対の向きが交互に変えられて回転ヨーク124A(126A)の外周側面に合わせて保持される。このため、永久磁石を用いた磁気歯124B、126Bの磁力を最大限に利用することができる。なお、第1磁気歯車124と第1磁気歯車126とは、偏心体112により回転位相が180度異なるために、図3(C)に示す状態においては、第1磁気歯車124は磁気歯124Bの磁極の向きが軸方向Oで紙面左からN極、S極の順番となる。しかし、第1磁気歯車126は磁気歯126Bの磁極の向きが軸方向Oで紙面左からS極、N極の順番となる。
【0033】
なお、図3(C)に示す如く、回転ヨーク124A、126Aの厚みt2と磁気歯124B、126Bの厚みt1とは同一なので、第1磁気歯車124、126は、磁気歯124B、126Bの軸方向Oの厚みt1と同一の厚みで形成されていることとなる。ここで、回転ヨーク124A、126Aの厚みt2を、磁気歯124B、126Bの厚みt1よりも薄くすることは可能であり、この場合には、第1磁気歯車124、126をより軽くすることができ、第1磁気歯車124、126の慣性モーメントを小さくすることができる。但し、この場合においても、第1磁気歯車124、126の厚みは、磁気歯124B、126Bの厚みt1に律されるため、磁気歯124B、126Bの厚みt1と同一となる。本実施形態において、第1磁気歯車124、126の軸方向Oの厚みと磁気歯124B、126Bの軸方向Oの厚みt1とが同一という範囲は、第1磁気歯車124、126の軸方向Oの厚みが磁気歯124B、126Bの軸方向Oの厚みt1の2倍未満とする。2倍未満であれば、回転ヨークの軸方向Oから見る面上に磁気歯を取り付けた磁気歯車と比べて、磁気的噛合と軸方向Oの厚みの観点において、本発明の効果の優位性が明確となるからである。なお、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの対の数は、本実施形態では例えば、20対とすることができる。
【0034】
前記第2磁気歯車132(134、136)は、図5に示す如く、円環状に並べられた複数の磁気歯132B(134B、136B)から構成されている。そして、第2磁気歯車132、134、136は、図1に示す如く、それぞれ、ケーシングを構成する入力段カバー140と、ケーシング本体138と、出力段カバー146に固定されている。第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bは、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bと同様に、軸方向Oに磁極の対が形成されている。そして、第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bは、図1、図3(C)、図5に示す如く、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの両方の磁極と所定の空隙Sを有して軸方向Oに対峙している。
【0035】
ここで、所定の空隙Sとは、磁気歯車減速機100が動作した際に第1磁気歯車124、126と第2磁気歯車132、134、136とが接触しない最小の間隔を指す。なお、第2磁気歯車132、134、136は、図1、図5に示す如く、第1磁気歯車124、126の歯数より僅少の差で歯数が多いので、第2磁気歯車132、134、136の内径D2は、第1磁気歯車124、126の回転ヨーク124A、126Aの直径D1よりも大きくなる(D1<D2)。本実施形態の磁気歯124B、126B、132B、134B、136Bで用いる永久磁石は、市販の量産されている角磁石で実現することができるため、容易に且つ低コストで第1磁気歯車124、126及び第2磁気歯車132、134、136を構成することができる。
【0036】
ここで、第2磁気歯車132は、磁気歯132Bの一方の磁極(図1上では左側)が入力段カバー140に固定され、第2磁気歯車134は、磁気歯134Bの磁極の対の向きとは垂直の面(図1上では上側あるいは下側)がケーシング本体138に固定され、第2磁気歯車136は、磁気歯136Bの一方の磁極(図1上では右側)が出力段カバー146に固定されている。即ち、ケーシング本体138に固定された第2磁気歯車134は、第1磁気歯車124、126と同様に磁気歯134Bの磁極の対の両方で、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bと磁気的噛合を構成する。このため、軸方向Oの厚みを増加させずに、磁気歯124B(126B)、134B間の噛合面積を増大させて、伝達トルクを大きくすることができる。
【0037】
第2磁気歯車132、134、136は、僅少の差(1乃至5)で第1磁気歯車124、126よりも歯数が多い。即ち、磁気歯132B、134B、136Bの対の数が磁気歯124B、126Bの対の数よりも多くなるように設定されている。例えば、磁気歯132B、134B、136Bの対の数の差を1に設定し、第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bで21対(N極側21とS極側21)とすると、1/20という大きな減速比が得られると共に、第1磁気歯車124、126と第2磁気歯車132、134、136の磁気的噛合も円滑に行うことができる。
【0038】
前記キャリアピン148が連結固定されているフランジ体152は、軸方向Oにおいて、入力軸102の反対側に配置されている。キャリアピン148にはパイプ状の平行ローラ150が挿嵌され、平行ローラ150は第1磁気歯車124、126のキャリアピン孔128、130に遊嵌されている。従ってキャリアピン148は、第2磁気歯車132、134、136と磁気的噛合する第1磁気歯車124、126の自転成分を取出す軸として機能する。
【0039】
前記出力軸154は、キャリアピン148と連結されたフランジ体152と一体であり、一対の軸受156、158を介して出力段カバー146によって支持されている。なお、出力段カバー146には、出力軸154が軸方向Oに動くのを規制するためのカラー160が設けられている。
【0040】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0041】
入力軸102を介して図示しない動力源から動力が伝達されると、入力軸102に取付け固定された偏心体112も偏心回転する。本実施形態では、偏心体112が最大に偏心している回転角度のときに、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bと第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bとが軸方向Oで最も重なるようにしている。このため、最大に偏心している回転角度のときに最も強力に磁気的噛合がなされる。作用的には偏心体112の偏心方向が第2磁気歯車132、134、136の円周方向に移動(偏心回転)することで、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bと第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bとが円周方向で順番に噛合していく。そして、第1磁気歯車124、126が1回転するたびに、第2磁気歯車132、134、136との噛合位置が順次ずれていくことになる。
【0042】
ここで、第2磁気歯車132、134、136はケーシングに固定されている。このため、偏心体112が揺動しながら1回転した段階で、第1磁気歯車124、126は、第2磁気歯車132、134、136との磁気歯の対の数の差、すなわち1対分だけ、偏心体112の回転方向と逆方向に回転する。このとき、各第1磁気歯車124、126の慣性モーメントは大きくなく、且つ、2つの第1磁気歯車124、126の回転位相が異なるので、第1磁気歯車124、126の回転時の動バランスを安定して保つことができる。このため、第1磁気歯車124、126の揺動運動がなされても振動や騒音を最小限に低減することができる。又、磁気歯124B、126Bには遠心力が働くが、第1磁気歯車124、126の半径方向と直交する方向(軸方向O)に向かって形成された凹部124BC、126BCと凸部124AC、126ACとが互いに係止する。このため、磁気歯124B、126Bが機械的に保持されるので、磁気歯124B、126Bの離脱が防止されている。
【0043】
ここで、第1磁気歯車124、126と第2磁気歯車132、134、136との相対回転成分、すなわち第1磁気歯車124、126の自転成分が、キャリアピン孔128、130に遊嵌されたキャリアピン148及び平行ローラ150を介してフランジ体152に取出される。なお、第1磁気歯車124、126の揺動成分はキャリアピン孔128、130に対するキャリアピン148及び平行ローラ150の遊嵌によって吸収される。
【0044】
従って、入力軸102の回転は、(第1磁気歯車124、126と第2磁気歯車132、134、136との磁気歯の対の数の差)/(第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの対の数)にまで減速されることとなる。本実施形態においては、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの対の数は20、第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bの対の数は21、歯数の対の数の差は1であるので、減速比は、1/20である。このフランジ体152の減速された回転は、フランジ体152と一体に形成された出力軸154へと伝達され、図示しない負荷へ動力を伝達することとなる。
【0045】
ここで、図5に、第1磁気歯車124(126)の磁気歯124B(126B)の対の数が20対で、第2磁気歯車132(134、136)の磁気歯132B(134B、136B)の対の数が21対の場合における磁気的噛合状態を示す。第1磁気歯車124(126)においては、ハッチング部分の磁極をN極、白抜きの磁極をS極として、第2磁気歯車132(134、136)においては、ハッチング部分の磁極をS極、白抜きの磁極をN極としている。すなわち、白抜き部分の磁極、及びハッチング部分の磁極同士が重なるときに、強い磁気的噛合いが生じていることを示す。この図5から明らかなように、1/2を優に超える円周部分Aで相互の磁気歯124B(126B)、132B(134B、136B)が強固に噛合している。これは、第1磁気歯車124(126)がこの円周部分Aで第2磁気歯車132(134、136)側からの十分な噛合反力を得ていることを示している。
【0046】
このようにして、磁気歯124B、126Bと回転ヨーク124A、126Aとが接する部分の少なくとも一部に、第1磁気歯車124、126の半径方向と直交する方向(軸方向O)に向う凹凸(突起部124BA、126BAに設けられた凹部124BC、126BC)とそれに対応する凸凹(凸部124AC、126AC)が磁気歯124B、126Bと回転ヨーク124A、126Aのそれぞれに形成されている。このため、第1磁気歯車124、126が高速に回転した場合や減速機に想定以上の振動等が加わった場合等でも、磁気歯124B、126Bと回転ヨーク124A、126Aとに形成された凸凹(凹部124BC、126BCと凸部124AC、126AC)が互いに係止して、磁気歯124B、126Bの離脱を防止することができる。
【0047】
又、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bは、回転ヨーク124A、126Aに保持されても、磁極の対の向きを軸方向Oに有して、第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bと所定の空隙(非接触)Sで軸方向Oに対峙して磁気的噛合する。このため、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bと第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bとは複数で互いに引き合うので、磁気歯の噛合面積を大きくすることができる。このとき、磁気歯124B、126Bの突起部124BA、126BAは、磁気歯124B、126Bの体積の半分以下であるので、磁気歯124B、126Bの磁気的に噛合する面積は大きい。なお、急激な負荷変動により伝達トルクが過大となっても、第1磁気歯車124、126と第2磁気歯車132、134、136とは、軸方向Oに所定の空隙Sを有するので接触することはなく、接触による互いの破損等を防止することが可能である。
【0048】
又、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bは、第1磁気歯車124、126の外周に保持されているので、回転ヨーク124A、126Aの厚みt2に磁気歯124B、126Bの厚みt1を加算することなく、第1磁気歯車124、126を構成することができる。そのため、第1磁気歯車124、126の軸方向Oから見た面上に磁気歯が取り付けられている場合に比べて、第1磁気歯車124、126を軽く、且つ厚みを薄くすることができる。そして、第1磁気歯車124、126の軸方向Oの厚みが磁気歯124B、126Bの軸方向Oの厚みt1と同一であることにより、更に第1磁気歯車124、126を軽く、且つ厚みを薄くすることができる。即ち、磁気歯車減速機100を軽量で且つ軸方向Oの長さを短くすることができる。それと共に、第1磁気歯車124、126の慣性モーメントの増大を防止することができる。
【0049】
又、2つの第1磁気歯車124、126をそれぞれ挟むように、軸方向Oの両側に第2磁気歯車132、134、136が配置されているので、第1磁気歯車124、126の外周に保持された磁気歯124B、126Bの磁極の対であるN極とS極の両方と第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bとが対峙して磁気的噛合が可能となる(磁気歯の両面の利用)ので、更に、磁気歯の噛合面積を増やすことができる。
【0050】
又、減速比は、第1磁気歯車124、126の歯数に対する第2磁気歯車132、134、136と第1磁気歯車歯数124、126との歯数の僅少の差(1乃至5)で定まるので、例えば第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの対の数が20対で磁気歯の対の数の差(僅少の差)が1であるので、1/20という高い減速比を実現することができる。
【0051】
又、第1磁気歯車124、126と第2磁気歯車132、134、136とは、所定の空隙Sを有して(非接触)、入力軸102、出力軸154、偏心体112等の物理的に摺動する箇所に位置する軸受104、106、122、156、158が潤滑油封入可能とする構造であるので、磁気歯車減速機100の全体に潤滑油を注入する必要もなく、密閉するための頑強な材質や構造を不要とすることができる。このため、軽量化や低コスト化を容易に実現することができる。
【0052】
又、第1磁気歯車124、126は、2つからなるので、伝達トルクを分散できる。このため、大きなトルクを伝達する場合であっても、1つの第1磁気歯車124(126)で伝達すべきトルクは小さいので、第1磁気歯車124、126を薄く且つ軽く成形することができる。また、第1磁気歯車124、126は、それぞれ、回転位相が異なるので、第1磁気歯車124、126の慣性モーメントが小さいことと相まって、回転速度が高くなっても、動バランスが安定しており、回転によって生じる振動や騒音を最小限に防ぐことができる。
【0053】
又、本実施形態の磁気歯車減速機100は、金属の歯同士の接触がなく、磁気歯による噛合を行うので、次のような効果を併せて得ることができる。先ず振動・騒音の発生が防止できるので高効率で、音の静かな減速機を実現することが可能である。また、金属疲労や磨耗などによる歯車の寿命もないので、メンテナンスフリーあるいはメンテナンスサイクルの長い減速機を実現することができる。更に、従来の機械的な歯車の噛合によって生じていた応力集中を低減出来るので、従来必要とされた歯車の噛合のための局所的な高い剛性を必要とせず、磁気歯車減速機100の全体として構造を軽量・簡略化することができる。
【0054】
即ち、本発明においては、磁気歯124B、126Bの剥れを防止して永続的に磁気歯124B、126Bを固定しながら、磁気歯の噛合面積を増やすことができ、一般の減速機と同程度の高い伝達トルク/体積重量を確保することができる。
【0055】
本実施形態において、磁気歯124B、126Bは一対の磁極から構成されていた(1つの磁気歯で1つの永久磁石)が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示す、本発明の第2実施形態においては、磁気歯124D、126Dは、軸方向Oに複数の磁極の対を一体にして備えている(図では5つの磁極の対を示す)。この場合には、磁気歯124D、126Dを円弧状に成形後、隣接する5つの磁区を交互に変えて着磁することで、容易に磁気歯124D、126Dを形成することができる。このとき、磁気歯124D、126Dによる組立ては、1つの永久磁石からなる磁気歯を用いる場合に比べて、磁気歯を並べる個数が減り、扱いが容易な大きさとなり、作業が軽減されて時間も少なくてすむという利点がある。ここでは、5つの磁極の対で1つの磁気歯124D、126Dを形成したが、本発明はこれに限定されない。なお、全ての磁極を1つの磁気歯で形成しても良いが、製作コスト等の面から、2つ以上の磁気歯を用いるのが好ましい。
【0056】
更に、上記実施形態に限らず、本発明は、図7に示す第3実施形態をとることが可能である。この場合には、磁気歯124F、126Fの着磁方法は、上記第2実施形態と同様である。しかし、磁気歯124F、126Fの突起部124FA、126FAを第1磁気歯車124、126の半径方向に向かって逆楔形に形成することで、凹部124FC、126FCが突起部124FA、126FAに設けられている。そして、凹部124FC、126FCが設けられた突起部124FA、126FAに対応して、回転ヨーク124E、126Eに軸方向Oに沿って溝124ED、126EDが形成されている。即ち、回転ヨーク124E、126Eの凸凹が軸方向Oに沿って形成されている。なお、磁気歯124F、126Fの突起部124FA、126FAが、軸方向Oから溝124ED、126EDに挿入されて、磁気歯124F、126Fの取り付けがなされる。このような構成をとることで、回転ヨーク124E、126Eの加工上制約が少なく、複数の磁極の対を一度に保持することができる。つまり、上記、第1、第2実施形態よりも部品点数が少なくなり、低コスト化と、組立ての高速化を容易に実現することができる。なお、特開2005−151731公報において、永久磁石の形を台形にして、回転子に埋め込む方式が提案されている。しかし、そこでは、永久磁石の体積の半分以上が回転体に埋め込まれてしまい、且つ磁極の対の向きが軸中心に向かう方向(半径方向)となっているので、回転子と対向する固定子を軸方向に対峙させて磁気歯の噛合面積を大きくすることはできない。
【0057】
上記実施形態では、凹部124BC、126BCを磁気歯124B、126Bに、凸部124AC、126ACを回転ヨーク124A、126Aの磁気歯止め124AB、126ABに設けていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、凸部を回転ヨーク本体124AA、126AAに設けてもよいし、磁気歯124B、126Bに凸部を設けて回転ヨーク124A、126A(回転ヨーク本体124AA、126AA、あるいは磁気歯止め124AB、126AB)に凹部を設けてもよい。なお、凸部、凹部を第1磁気歯車124、126のみならず、第2磁気歯車132、134、136に適用してもよい。
【0058】
又、上記実施形態では、磁気歯124B、126Bが回転ヨーク124A、126Aに吸着して、更に、磁気歯124B、126Bを機械的に固定するので、磁気歯124B、126Bの保持には十分な強度を得る事ができる。しかし、本発明は、更に、接着剤の使用や磁気歯の外周をステンレス薄板でのカバーで、より強固に磁気歯を保持してもよい。
【0059】
又、上記実施形態においては、入力軸102の偏心体112として、一般的な鋼製のものを用いているので、例えば、□200mm程度以上の大きさの磁気歯車減速機であった場合においても、上記実施形態のように軸受104、106、122、156、158として潤滑油封入可能なものを使用して、磁気歯車減速機の密閉のための材質や構造を不要とすることができる。そして、例えば磁気歯車減速機が小型の場合においては、前述の軸受を自己潤滑性を有するプラスチック製として、潤滑油を全く使用しないこととすることもできる。
【0060】
又、上記実施形態では、第1磁気歯車124、126の磁気歯124B、126Bの対の数が20対で、第2磁気歯車132、134、136の磁気歯132B、134B、136Bの対の数が21対であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
又、磁気歯車減速機100は、上記に限定されるものではなく、例えば、平行ローラ150を使用せずに、キャリアピン148だけをキャリアピン孔128、130に遊嵌させてもよいし、逆にプラスチック製等の軸受を適用してもよい。平行ローラ150がない場合には、より低コストとすることができ、軸受を用いる場合には、振動や騒音の更なる低減と高効率なトルク伝達が可能となる。
【0062】
又、本発明は、上記実施形態のような第1磁気歯車124、126が2つで、第2磁気歯車132、134、136が3つに限定されるものではない。例えば、第1磁気歯車が3つであるときには、回転位相を120度ずつずらすようにすることで、動バランスが改善され、より振動や騒音を低減することができると共に、伝達トルクの増加をさせることができる。なお、1つの第1磁気歯車を軸方向Oで挟み込むように2つの第2磁気歯車を配置する必要はなく、第2磁気歯車の磁気歯が第1磁気歯車の磁気歯と少なくとも一方の磁極と所定の空隙Sで軸方向Oに対峙するように備えられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態に係る磁気歯車減速機を模式的に示す断面図
【図2】同じく、偏心体を模式的に示す断面図及び正面図
【図3】同じく、第1磁気歯車の一部を模式的に示す正面図と断面図、及び図1のIIIC部分を模式的に示す断面図
【図4】同じく、第1磁気歯車全体を模式的に示す正面図と第1磁気歯車の磁気歯部分を模式的に示す拡大断面図
【図5】同じく、第1及び第2磁気歯車の噛合状態を表すスケルトン図
【図6】本発明の第2実施形態に係る磁気歯車減速機の第1磁気歯車を模式的に示す拡大正面図と第1磁気歯車と第2磁気歯車の関係を模式的に示す断面図
【図7】本発明の第3実施形態に係る磁気歯車減速機の第1磁気歯車を模式的に示す拡大正面図と第1磁気歯車と第2磁気歯車の関係を模式的に示す断面図
【符号の説明】
【0064】
100…磁気歯車減速機
102…入力軸
104、106、122、156、158…軸受
112…偏心体
124、126…第1磁気歯車
124A、124C、124E、126A、126C、126E…回転ヨーク
124AA、124CA、126AA、126CA…回転ヨーク本体
124AB、124CB、126AB、126CB…磁気歯止め
112AA、112BA、124AC、124CC、124EC、126AC、126CC、126EC…凸部
124AD、124CD、124ED、126AD、126CD、126ED…溝
124B、124D、124F、126B、126D、126F、132B、134B、136B…磁気歯
124BA、124DA、124FA、126BA、126DA、126FA…突起部
124BC、124DC、124FC、126BC、126DC、126FC…凹部
128、130…キャリアピン孔
132、134、136…第2磁気歯車
138…ケーシング本体
140…入力段カバー
142…補助カバー
146…出力段カバー
148…キャリアピン
150…平行ローラ
152…フランジ体
154…出力軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力によって回転する第1磁気歯車と、該第1磁気歯車と磁気的噛合する第2磁気歯車と、を有する磁気歯車減速機において、
前記第1磁気歯車が、円板形状の回転ヨークと該回転ヨークの外周に保持される磁気歯とを備え、該磁気歯は軸方向に磁極の対を有し、該磁気歯と該回転ヨークとが接する部分の少なくとも一部に該第1磁気歯車の半径方向と直交する方向に向う凹凸とそれに対応する凸凹が該磁気歯と該回転ヨークのそれぞれに形成されて、
前記第2磁気歯車が、該第1磁気歯車の磁気歯の少なくとも一方の磁極と所定の空隙で前記軸方向に対峙して磁気的噛合する磁気歯を備える
ことを特徴とする磁気歯車減速機。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1磁気歯車の磁気歯は、複数の磁極の対を一体にして備える
ことを特徴とする磁気歯車減速機。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記回転ヨークの凸凹が前記軸方向に沿って形成されている
ことを特徴とする磁気歯車減速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−250359(P2009−250359A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99631(P2008−99631)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】